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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-17
(45)【発行日】2025-10-27
(54)【発明の名称】コンベヤベルト
(51)【国際特許分類】
   B65G 15/32 20060101AFI20251020BHJP
   C08L 67/00 20060101ALI20251020BHJP
   C08G 63/66 20060101ALI20251020BHJP
【FI】
B65G15/32
C08L67/00
C08G63/66
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022561063
(86)(22)【出願日】2021-05-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-23
(86)【国際出願番号】 EP2021064285
(87)【国際公開番号】W WO2021239918
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2024-04-01
(31)【優先権主張番号】20177591.3
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】コルクマン, アード
(72)【発明者】
【氏名】オーステルラーケン, アンドレアス アントニウス
【審査官】中村 英司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0128911(US,A1)
【文献】国際公開第2019/188285(WO,A1)
【文献】特開2013-234309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 67/00
C08G 63/66
B65G 15/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物を含むコンベヤベルトであって、前記組成物は、
a)ポリエステルを含むハードセグメントを含み、ISO 11357-1/-3(10℃/分)に従って測定して、200℃~240℃の溶融温度TmAを有する(コ)ポリエステルAであって、前記(コ)ポリエステルAは、前記組成物の総重量に対して1~60重量%の量で存在する(コ)ポリエステルAと、
b)ポリエステルを含むハードセグメントを含むコポリエステルBであって、前記コポリエステルBは、ISO 11357-1/-3(10℃/分)に従って測定して、100℃~180℃の溶融温度TmBを有し、前記コポリエステルBは、前記組成物の総重量に対して40~99重量%の量で存在するコポリエステルBと、を含む、コンベヤベルト。
【請求項2】
前記組成物は、少なくとも2つのピーク、200℃~240℃の1つのピークP1、及び100℃~180℃の別のピークP2を示す二峰性の溶融挙動を有する、請求項1に記載のコンベヤベルト。
【請求項3】
TmA-TmBは、少なくとも40℃であり、且つ/又は、P1-P2は、少なくとも40℃である、請求項1又は2に記載のコンベヤベルト。
【請求項4】
TmA-TmBは、少なくとも50℃であり、且つ/又は、P1-P2は、少なくとも50℃である、請求項1又は2に記載のコンベヤベルト。
【請求項5】
TmA-TmBは、少なくとも60℃であり、且つ/又は、P1-P2は、少なくとも60℃である、請求項1又は2に記載のコンベヤベルト。
【請求項6】
(コ)ポリエステルA及び/又はコポリエステルBは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を含むハードセグメントを含む、請求項1又は2に記載のコンベヤベルト。
【請求項7】
前記コポリエステルBは、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリエーテル、ダイマー脂肪酸及びダイマー脂肪ジオール並びにこれらの組み合わせから選択されるソフトセグメントを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のコンベヤベルト。
【請求項8】
前記脂肪族ポリエーテルは、ポリテトラメチレンオキシド(PTMO)である、請求項7に記載のコンベヤベルト。
【請求項9】
コポリエステルBは、コポリエステルBの総量に対して5~50重量%の量でポリブチレンイソフタレート(PBIセグメントを更に含む、請求項1又は2に記載のコンベヤベルト。
【請求項10】
前記組成物は、核剤、ガラス繊維、安定剤、着色剤、及びこれらの組み合わせを更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンベヤベルト。
【請求項11】
前記(コ)ポリエステルAは、ポリブチレンテレフタレート(PBTである、請求項1~10のいずれか一項に記載のコンベヤベルト。
【請求項12】
前記コンベヤベルトは、押し出し成形されたコンベヤベルトである、請求項1~11のいずれか一項に記載のコンベヤベルト。
【請求項13】
少なくとも以下の工程:
a)
・ポリエステルを含むハードセグメントを含み、ISO 11357-1/-3(10℃/分)に従って測定して、200℃~240℃の溶融温度TmAを有する(コ)ポリエステルAと、
・ポリエステルを含むコポリエステルBハードセグメントであって、前記コポリエステルBは、ISO 11357-1/-3(10℃/分)に従って測定して、100℃~180℃の溶融温度TmBを有する、コポリエステルBハードセグメントと、を含む組成物を提供する工程であって、
前記(コ)ポリエステルAは、前記組成物の総重量に対して1~60重量%の量で存在し、前記コポリエステルBは、前記組成物の総重量に対して40~99重量%の量で存在する、組成物を提供する工程と、
b)前記組成物を230℃~290℃の温度にして、溶融物を形成する工程と、
c)前記溶融物をダイを通して押し出し成形する工程と、
d)前記押し出し成形された溶融物を冷却して、コンベヤベルトを形成する工程と、
e)任意選択により場合によっては、前記コンベヤベルトに部品を溶接する工程と、を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のコンベヤベルトを調製するための方法。
【請求項14】
TmA-TmBは、少なくとも40℃である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
TmA-TmBは、少なくとも50℃である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
TmA-TmBは、少なくとも60℃である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
コポリエステルBは、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリカーボネート、ダイマー脂肪酸及びダイマー脂肪ジオール並びにこれらの組み合わせから選択されるソフトセグメントを更に含む、請求項13~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
工程a)の前記組成物は、前記(コ)ポリエステルAと前記コポリエステルBを乾燥ブレンドとして混合することによってブレンドとして提供される、請求項13~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記(コ)ポリエステルA及び前記コポリエステルBを230℃~290℃の温度にして溶融物を形成する前に、乾燥工程が、前記(コ)ポリエステルA及び/又は前記コポリエステルBに適用される、請求項13~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも以下の工程:
・コンベヤベルト上に食品を提供する工程と、
・前記コンベヤベルトを前記食品とともに所望の方向に移動させる工程と、を含む、食品を輸送するための方法であって、
前記コンベヤベルトは、請求項1~12のいずれか一項に記載のコンベヤベルトである、食品を輸送するための方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、コンベヤベルトに関する。コンベヤベルトは、公知であり、例えば、米国特許出願公開第2005082147A号明細書に記載されている。コンベヤベルト、特に押し出し成形されたコンベヤベルト(extruded conveyor belt)は、適切に機能するために、寿命の間、平坦を保つ必要があり、従って、低い反りを示す必要がある。更に、物品のより効率的な輸送を可能にする、又はベルトの動きを支持するために、フライト、歯及び/又はガイドがコンベヤベルトに一般的に溶接されている。更に、コンベヤベルトは、十分な剛性を依然として維持しながら、広い温度範囲(例えば、-30℃~+120℃)で作動する必要がある。加えて、コンベヤベルトは、一般的に継ぎ合わせて一枚にすることが多い。コンベヤベルトは、定期的に洗浄する必要があり、従って、十分な耐薬品性を示すことが必要である。
【0002】
従って、コンベヤベルトは、様々な要求を満たす必要がある。本発明の目的は、十分な溶接性能を有し、反りが少なく、必要な荷重を負荷するのに十分な強度の剛性を有するコンベヤベルトを提供することである。
【0003】
この目的は、
a)ポリエステルを含むハードセグメントを含み、ISO 11357-1/-3(10℃/分)に従って測定される、200℃~240℃の溶融温度TmAを有する(コ)ポリエステルAであって、(コ)ポリエステルAは、組成物の総重量に対して1~60重量%の量で存在する(コ)ポリエステルAと、
b)ポリエステルを含むハードセグメントを含むコポリエステルBであって、(コ)ポリエステルBは、ISO 11357-1/-3(10℃/分)に従って測定される、100℃~180℃の溶融温度TmBを有し、コポリエステルBは、組成物の総重量に対して40~99重量%の量で存在するコポリエステルBと、を含む組成物を含むコンベヤベルトによって達成された。
【0004】
驚くべきことに、本発明者らは、本発明によるコンベヤベルトが、十分な耐薬品性及び剛性を維持しながら、良好な溶接性能を示すことを見出した。このことは、実施例によって実証されている。加えて、コンベヤベルトは、同様の剛性を有する従来のコポリエステルベルトと比較して、はるかにより高い引張り強度及び荷重負担能力を示した。
【0005】
好ましくは、コンベヤベルトは、閉じられた表面を有し、これは、汚染を低減し得るので、食品を輸送する場合に特に有益である。「閉じられた表面」とは、本明細書では、穴のない表面と理解される。
【0006】
コンベヤベルトに適した材料として、多くのプラスチックが挙げられている。例えば、米国特許出願公開第2005082147A号明細書は、押し出し成形されたコンベヤベルトのためにポリエステル又はCOPEなどの熱可塑性材料を列挙しているが、これらの材料の多くは、反りを示す。コンベヤベルトの材料として使用される多くの材料は、押し出し成形後又はベルトの寿命の間に反りが発生する。本明細書での「反り」とは、ポリマー分子の流動と結晶化パターンの違いにより、押し出し成形された材料の凍結張力(frozen tension)が緩和され、ベルトを含む押し出し成形された材料が異方的に寸法変化し、ベルトに「反り」が発生することを指す。このプロセスは、ベルトを所望の幅及び長さに切断するときに既に始まっていることができ、時間の関数として、高温で、及び/又はベルトの使用中に(洗浄)化学物質の影響下で、より顕著になる場合さえある。
【0007】
本発明によるコンベヤベルトの別の利点は、例えば、-30~120℃などの広い温度範囲に渡って作動させることができることである。これは又、コンベヤベルトを損傷することなく、高温で化学物質を用いて、コンベヤベルトを洗浄することを可能にする。驚くべきことに又、本発明によるコンベヤベルトは、湿度の高い条件下で作動させることができる。
【0008】
コンベヤベルトは、様々な洗浄剤を使用して定期的に洗浄される。これらの薬剤は、抗菌剤、強酸、過酸化物、殺菌剤等であり得る。驚くべきことに、本発明によるコンベヤベルトは、十分な耐薬品性を示す。
【0009】
本明細書では、(コ)ポリエステルは、ポリエステルホモポリマーとコポリエステルの両方を含むポリマーの部類を指す。
【0010】
特定の溶融温度を有するコポリエステルは、当技術分野で公知である。コポリエステルの溶融温度は、例えば、コポリエステル中のハードセグメント及びソフトセグメントの量、並びに長さ及び種類を含むハードセグメント及びソフトセグメントの化学的性質によって影響を受ける場合がある。
【0011】
[(コ)ポリエステルA]
コンベヤベルトは、ポリエステルのハードセグメントを含み、ISO 11357-1/-3(10℃/分)に従って測定される、200℃~240℃の溶融温度TmAを有する(コ)ポリエステルAを含む組成物を含み、この場合、(コ)ポリエステルAは、組成物の総重量に対して1~60重量%の量で存在する。
【0012】
コンベヤベルトは、ポリエステルのハードセグメントを含み、200℃~240℃の溶融温度TmAを有する2つ以上の種類の(コ)ポリエステルAを含む、「(コ)ポリエステルA」を含む組成物を含む。
【0013】
ポリエステルのハードセグメントは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンイソフタレート(PBI)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、及びポリプロピレンナフタレート並びにこれらの組み合わせであり得る。好ましくは、PBTが容易に入手できるため、(コ)ポリエステルAのハードセグメントは、PBTである。(コ)ポリエステルAは、PBTのハードセグメントからなり得、その場合、それ自体PBTとも呼ばれ、従って、ポリエステルホモポリマーである。又、(コ)ポリエステルAは、例えばPBTとPBIなどの2つ以上のハードセグメントを含み得、その場合、コポリエステルである。
【0014】
(コ)ポリエステルAは又、ソフトセグメントを含み得、これは、広範囲のポリマーから選択されることができ、例えば、ポリテトラメチレンオキシド(PTMO)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリ(エチレンオキシド)とポリ(プロピレンオキシド)のブロックコポリマー、直鎖脂肪族ポリカーボネート、ポリブチレンアジペート(PBA)、及びダイマー脂肪酸又はダイマー脂肪酸ジオールの誘導体、直鎖脂肪族ポリエステル及びこれらの組み合わせを含む。好ましくは、(コ)ポリエステルAは、ポリテトラメチレンオキシド(PTMO)を含むソフトセグメントを含む。(コ)ポリエステルA中のハードセグメント及び任意にソフトセグメントの好ましい量は、変動し得、セグメントの種類、及び用途のための所望の剛性に依存し得る。以下の表1は、例えば、(コ)ポリエステルAの化学構造において、長さが変動するPBI又はPTMO、或いはPBTのみを使用することによって到達される異なる溶融温度(Tm)を有する本発明による様々な(コ)ポリエステルAの選択肢を示す。疑念を避けるために、(コ)ポリエステルAは、広範囲の(コ)ポリエステルを含み、表1に記載のものに限定されない。
【0015】
【表1】
【0016】
(コ)ポリエステルAの溶融温度TmAは、ISO 11357-1/-3(10℃/分)に従って測定される、200℃~240℃である。好ましくは、TmAは、220℃~230℃である。より好ましくは、(コ)ポリエステルAは、PBTであり、約225℃のTmAを有し、これは容易に入手できる。
【0017】
(コ)ポリエステルAの相対溶液粘度は、それ自体公知の特性であり、重合条件によって影響を受けることがある。相対溶液粘度は、例えば、又それ自体公知である固体後縮合プロセスによって更に増加させることができる。
【0018】
ISO1628-5:1998で算出される粘度数(VN)は、相対溶液粘度において、以下の式で表すことができる:
VN=(η-1)×1/c(式1)。
【0019】
この場合、ηは、相対溶液粘度(RSV)であり、cは、ISO規格で規定されたポリマー濃度(0.005g/ml)である。
【0020】
好ましくは、押し出し成形されたコンベヤベルトは、(コ)ポリエステルAを含み、この場合、(コ)ポリエステルAは、溶媒としてm-クレゾールを用いて25℃でISO 1628-5:1998に従って測定される、少なくとも1.55、より好ましくは少なくとも1.85、更により好ましくは少なくとも2.10のRSVを示す。又、(コ)ポリエステルAのRSVは、例えば、4.0まで高くあり得る。
【0021】
本発明によるコンベヤベルトの組成物中に存在する(コ)ポリエステルAの量は、ベルトの引張り強度、摩耗強度及び摩滅強度、並びに耐薬品性及び耐熱性などの最終的な機械的強度に対して重要であるため、組成物の総重量に対して、1~60重量%、好ましくは5~50重量%、更により好ましくは8~40重量%である。複数の(コ)ポリエステルAが存在する場合、上記の量は、全ての(コ)ポリエステルAの総量を指す。
【0022】
[コポリエステルB]
コンベヤベルトは、ポリエステルのハードセグメントを有し、ISO11357-1/-3(10℃/分)に従って測定される、100℃~180℃の溶融温度TmBを有するコポリエステルBを含む。コンベヤベルトは、ポリエステルのハードセグメントを含み、100℃~180℃の溶融温度TmAを有する2つ以上のコポリエステルBを含み得る。
【0023】
ポリエステルのハードセグメントは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンイソフタレート(PBI)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、及びポリプロピレンナフタレート並びにこれらの組み合わせであり得る。好ましくは、コポリエステルBのハードセグメントは、PBTであり、より好ましくは、ハードセグメントは、PBTとPBIの組み合わせであり、その理由は、これが、容易に入手でき、(コ)ポリエステルBの溶融温度を低くすることができるためである。
【0024】
コポリエステルBは又、ソフトセグメントを含み得、これは、広範囲のポリマーから選択されることができ、例えば、ポリテトラメチレンオキシド(PTMO)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリ(エチレンオキシド)とポリ(プロピレンオキシド)のブロックコポリマー、直鎖脂肪族ポリカーボネート、ポリブチレンアジペート(PBA)及びダイマー脂肪酸又はダイマー脂肪酸ジオールの誘導体、直鎖脂肪族ポリエステル及びこれらの組み合わせを含む。好ましくは、コポリエステルBは、ポリテトラメチレンオキシド(PTMO)を含むソフトセグメントを含み、これは、FDA食品接触用に認可されている。コポリエステルB中のハードセグメント及び任意にソフトセグメントの好ましい量は、変動し得、セグメントの種類、及び用途のための所望の剛性に依存し得る。以下の表2は、100℃~180℃の溶融温度を有するコポリエステルBの適切な例を示している。疑念を避けるために、コポリエステルBは、広範囲のコポリエステルを含み、表2に記載されたものに限定されない。
【0025】
PBIハードセグメントは、コポリエステルBの総量に対して、0重量%~50重量%、好ましくは5~40重量%の量で存在し得る。PTMOソフトセグメントは、コポリエステルBの総量に対して、0~80重量%、好ましくは30~70重量%の量で存在し得る。ハードセグメント及びソフトセグメントの量及び種類は、赤外分光法又は核磁気共鳴分光法によって決定されることができる。
【0026】
【表2】
【0027】
コポリエステルBの溶融温度TmBは、100℃~180℃、好ましくは140℃~175℃である。
【0028】
コポリエステルBの量は、組成物の総重量に対して、40~99重量%、好ましくは50~95重量%、更により好ましくは60~93重量%である。コンベヤベルトは、2つ以上の種類のコポリエステルBを含む、「コポリエステルB」を含む組成物を含む。2つ以上のコポリエステルBが存在する場合、上記の量は、全てのコポリエステルBの総量を指す。
【0029】
好ましくは、コポリエステルBは、ISO 11357-1/-3(10℃/分)に従って測定される、多くとも175℃、より好ましくは多くとも170℃の溶融温度TmBを有し、これにより、他の部品との溶接性を改善する。
【0030】
好ましくは、押し出し成形されたコンベヤベルトは、コポリエステルBを含み、この場合、コポリエステルBは、溶媒としてm-クレゾールを用いて25℃でISO 1628-5:1998に従って測定される、少なくとも2.0、より好ましくは少なくとも2.2、更に好ましいくは少なくとも2.5のRSVを示す。RSVは、例えば、4.0もの高くあり得る。
【0031】
コポリエステルは、例えば、「熱可塑性物質ハンドブック(Handbook of Thermoplastics)」 Marcel Dekker,Inc,1997,ページ399-401に記載されている、当技術分野で公知の方法によって調製することができる。
【0032】
本発明によるコンベヤベルトの組成物は、好ましくは、少なくとも2つのピーク、200℃~240℃の1つのピークP1、及び100℃~180℃の別のピークP2を示す二峰性の溶融挙動を有する。「二峰性の溶融挙動」とは、本明細書では、本発明によるコンベヤベルトの組成物の溶融曲線が、定義された領域において少なくとも2つのピークを示し、3つ以上のピークを有する溶融曲線を明示的に含むことが理解される。好ましくは、P1-P2は、少なくとも40℃であり、より好ましくは少なくとも50℃であり、最も好ましくは少なくとも60℃である。
【0033】
好ましくは、本発明によるコンベヤベルトの組成物は、1BAの射出成形された引張り棒において測定され、ISO 527-1/-2に従って試験される、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも100%、更により好ましくは少なくとも150%の破断伸びを示し、これにより、柔軟なコンベヤベルトが可能になる。
【0034】
好ましくは、本発明によるコンベヤベルトの組成物は、上記に開示されたように少なくとも2つのピークを示す二峰性の溶融挙動を有し、この場合、TmAとTmBの間の差は、少なくとも40℃、より好ましくは少なくとも50℃、最も好ましくは少なくとも60℃であり、これにより、(コ)ポリエステルA相とコポリエステルB相の間のトランスエステル化が制限される、又は全くないことが確実になり、これにより、押し出し成形後の良好なRF溶接性及び制限された反り挙動である利点をもたらす。TmAとTmBの間の差、及び/又はP1とP2の間の差がより低い場合、これは、トランスエステル化が起こりすぎたことを示しており、これは溶接性にとって不利である。
【0035】
本発明によるコンベヤベルトは、従来技術で公知のプロセスによって調製されることができる。好ましくは、コンベヤベルトは、少なくとも以下の工程:
a)
・ポリエステルのハードセグメントを含み、ISO 11357-1/-3(10℃/分)に従って測定される、200℃~240℃の溶融温度TmAを有する(コ)ポリエステルAであって、(コ)ポリエステルAは組成物の総重量に対して1~60重量%の量で存在する(コ)ポリエステルAと、
・ポリエステルのハードセグメントを含み、ISO 11357-1/-3(10℃/分)に従って測定される、100℃~180℃の溶融温度TmBを有するコポリエステルBであって、
コポリエステルBは、組成物の総重量に対して40~99重量%の量で存在するコポリエステルBと、を含む組成物を提供する工程と、
b)組成物を230℃~290℃の温度にして、溶融物を形成する工程と、
c)溶融物をダイを通して押し出し成形する工程と、
d)押し出し成形された溶融物を冷却して、コンベヤベルトを形成する工程と、
e)任意選択的に、コンベヤベルトに部品を溶接する工程と、を含むプロセスによって調製される。
【0036】
このプロセスは、押し出し成形工程とも呼ばれ、押し出し成形されたコンベヤベルトを提供する。驚くべきことに、このプロセスは、より少ない反りを示すコンベヤベルトをもたらす。従って、本発明は又、本明細書に開示されるような組成物を含む押し出し成形されたコンベヤベルトに関する。工程d)の後、冷却された押し出し成形された溶融物は、所望の幅、長さ及び又は寸法に切断及びスライスされることができ、継ぎ合わされてエンドレスベルトを形成することができる。
【0037】
好ましくは、TmAとTmBの間の差は、少なくとも40℃、より好ましくは少なくとも50℃の差、最も好ましくは少なくとも60℃の差である。更なる利点は、より高い押し出し成形生産量を使用してコンベヤベルトを調製することができ、これによりコンベヤベルトの生産時間が短縮されることである。コンベヤベルトの調製において、例えば、ともに端部を継ぎ合わせて連続ベルトを形成するなどの、更なる処理工程を利用することができる。驚くべきことに、コンベヤベルトにおいて上記に開示されたような組成物を使用することによって、継ぎ合わせを有利に利用することができる。
【0038】
溶接は、例えば高周波溶接(RF-溶接)、振動溶接などの、それ自体公知の溶接技術によって行われ得る。好ましくは、RF又は高周波(HF)-溶接が行われるが、これが、その優れた信頼性、再現性(品質)及び汎用性により、ベルト産業によって使用される好ましい技術であるためである。更なる部品は、異なる材料から作製されることができるが、好ましくは、ベルトと同じ組成物から作製される。
【0039】
組成物は、工程a)において、個々の成分を別々に提供することによって、例えば、(コ)ポリエステルA及びコポリエステルBを別々の供給装置において供給することによって、提供されることができる。組成物は、工程a)においてブレンドとして提供されることもでき、これは、例えば、(コ)ポリエステルA及びコポリエステルBを乾燥ブレンドすること又は溶融混合することによって得ることができ、これらは当業者に公知のプロセスである。溶融混合は、例えば、押し出し成形機で行われることができ、任意に造粒工程が続くことができる。これにより、組成物の更なる加工が容易になる。
【0040】
好ましくは、プロセスは、例えば、(コ)ポリエステルAの総重量に対して、多くとも0.02重量%、好ましくは多くとも0.01重量%の水分含量などの、低い水分含量の(コ)ポリエステルAで実施される。好ましくは、プロセスは、例えば、コポリエステルBの総重量に対して、多くとも0.02重量%、好ましくは多くとも0.01重量%の水分含量などの、低い水分含量のコポリエステルBで実施される。更により好ましくは、(コ)ポリエステルAとコポリエステルBの両方が、上記に開示されるような低い水分含量を示す。これは、粘度の減少が制限されるという利点を有する。好ましくは、(コ)ポリエステルA及び/又はコポリエステルBは、(コ)ポリエステルA及びコポリエステルBを230℃~290℃の温度にして溶融物を形成する前に、乾燥工程に供され、(コ)ポリエステルA及び/又はコポリエステルBの水分含量を減少させる。乾燥は、公知の手段で行うことができる。
【0041】
本発明によるコンベヤの組成物は、業界で一般的に知られているような成分を更に含むことができ、例えば、核剤、着色剤、難燃剤、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、安定剤、ガラス繊維などの補強充填材などを含む。核剤は、例えば、安息香酸ナトリウムを含む。食品用途の場合、コンベヤベルトは、好ましくは、ガラス繊維を含まない。好ましくは、コンベヤベルトは、本質的に、(コ)ポリエステルA、コポリエステルB、及び任意に着色剤からなる組成物を含み、従って、(コ)ポリエステルA及びコポリエステルB及び任意の添加剤の量は、組成物の総量に対して100重量%まで加えられる。
【0042】
本発明は又、少なくとも以下の工程を含む、食品を輸送するためのプロセスに関する:
a.コンベヤベルト上に食品を提供する工程、
b.コンベヤベルトを食品とともに所望の方向に移動させる工程、
この場合、コンベヤベルトは、上記に開示されたような本発明によるベルトである。驚くべきことに、このプロセスは、例えば、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、又はPebax(登録商標)としても知られているポリエーテルブロックアミドのコンベヤベルトが使用されるプロセスと比較して、洗浄後の劣化をより少なくすることを可能にする。もう1つの利点は、その寿命が尽きたコンベヤベルトをリサイクルできることである。
【0043】
[コンベヤベルト]
本発明によるコンベヤベルトは、例えば、20cmもの低い幅から3mもの広い幅までの広い範囲を有することができ、一般的に、ベルトの意図された使用に依存する。驚くべきことに、例えば、少なくとも100cmなどのより高い幅を有するコンベヤベルトは、依然として低い反りを示す。
【0044】
コンベヤベルトの厚さも変動し得、例えば1mm~10mmであり得、これもベルトの意図された使用に依存する。任意のフライト及び側壁が存在し得、好ましくはコンベヤベルトと同じ組成物を含み、これは使用後のベルトのリサイクルを容易にする。
【0045】
好ましくは、本発明によるコンベヤベルトは、モノリシックであり、従って、上記に開示されたような組成物からなる。
【0046】
好ましくは、本発明によるコンベヤベルトは、押し出し成形されたコンベヤベルトであり、従って、押し出し成形によって調製される。
【0047】
本発明によるコンベヤベルトは、様々な分野、例えば、物品、特に食品の輸送のためなどに使用することができる。
【0048】
[実施例]
[使用材料]
[ポリエステルA-I、PBT]
メルトボリュームフローレート(melt volume-flow rate)(T=250℃、重量=2.16kg):ISO1133による22cm/10分
溶融温度(10℃/分):ISO11357-1/-3による225℃
吸水率:0.45重量%(ISO62)
吸湿率:0.18重量%(ISO62)
密度:ISO1183による1300kg/m
RSV(m-クレゾール、1g/100mL):2.1(ISO1628-5:1998及びISO307)
【0049】
[(コ)ポリエステルA-II]
ハードセグメントとしてPBT、及びソフトセグメントとしてPTMOに基づき、ハードセグメント65m/m%、及びソフトセグメント35m/m%を含むコポリエーテルエステル。
メルトボリュームフローレート(T=230℃、重量=2.16kg):ISO1133による9cm/10分
溶融温度(10℃/分):ISO11357-1/-3による207℃
吸水率:0.65重量%(ISO62)
吸湿率:0.20重量%(ISO62)
密度:1200kg/m(ISO1183)
ショアD硬度(3s):52(ISO868)
RSV(m-クレゾール、1g/100mL):3.2(ISO1628-5:1998及びISO307)
【0050】
[(コ)ポリエステルA-III]
ハードセグメントとしてPBT、及びソフトセグメントとしてPTMOに基づき、ハードセグメント75m/m%、及びソフトセグメント25m/m%を含むコポリエーテルエステル。
メルトボリュームフローレート(T=230℃、重量=2.16kg):ISO1133による4cm/10分
溶融温度(10℃/分):ISO11357-1/-3による212℃
吸水率:0.6重量%(ISO62)
吸湿率:0.20重量%(ISO62)
密度:ISO1183による1240kg/m
ショアD硬度(3s):60(ISO868)
RSV(m-クレゾール、1g/100mL):3.4(ISO1628-5:1998及びISO307)
【0051】
[(コ)ポリエステルA-IV]
ハードセグメントとしてPBT、及びソフトセグメントとしてPTMOに基づき、ハードセグメント90m/m%、及びソフトセグメント10m/m%を含むコポリエーテルエステル。
メルトボリュームフローレート(T=230℃、重量=2.16kg):ISO1133による18cm/10分
溶融温度(10℃/分):ISO11357-1/-3による221℃
吸水率:0.6%(ISO62)
吸湿率:0.15%(ISO62)
密度:ISO1183による1290kg/m
ショアD硬度(3s):70(ISO868)
RSV(m-クレゾール、1g/100mL):2.3(ISO1628-5:1998及びISO307)
【0052】
[コポリエステルB-I]
ハードセグメントとしてPBTとPBIの両方、及びソフトセグメントとしてPTMOに基づき、ハードセグメント65m/m%、及びソフトセグメント35m/m%を含むコポリエステル。
メルトボリュームフローレート(T=230℃、重量=2.16kg):ISO1133による25m/10分
溶融温度(10℃/分):ISO11357-1/-3による165℃
吸水率:0.65重量%(ISO62)
吸湿率:0.20重量%(ISO62)
密度:ISO1183による1190kg/m
RSV(m-クレゾール、1g/100mL):2.8(ISO1628-5:1998及びISO307)
【0053】
[組成物の調製]
表3に列挙される配合で、射出成形前に所定の割合で顆粒を手で混合して組成物を作製した。
【0054】
【表3】
【0055】
[射出成形による試験プラーク及び1BA引張り棒の調製]
適用した場合、ISO294-1規格を使用した。
【0056】
寸法120×120×4.0mmのプラークを予備乾燥させた材料で成形した。材料は、真空とN2パージで6時間/120℃で乾燥させた。最大水分値(500ppm未満)の乾燥後の水分含量。材料を、Arburgブランドの射出成形機において型締力150トン及びスクリュー直径40mmで加工した。測定された溶融温度、247及び248℃。測定された鋳型温度は、40~43℃であった。作製されたプラークの厚さは、3.97~4.0mmと測定された。
【0057】
部品はシール袋に成形されたまま乾燥状態で梱包される。
【0058】
寸法80×80×1mmのプラークを予備乾燥させた材料で成形した。材料は、真空とN2パージで6時間/120℃で乾燥させた。最大水分値(500ppm未満)の乾燥後の水分含量。材料を、Arburgブランドの射出成形機において型締力110トン及びスクリュー直径25mmで加工した。測定された溶融温度、246及び247℃。測定された鋳型温度は、17~27℃であった。作製されたプラークの厚さは1.02mmと測定された。部品はシール袋に成形されたまま乾燥状態で梱包される。
【0059】
引張り棒ISO527-1BAを、予備乾燥させた材料で成形した。材料を、真空とN2パージで6時間/120℃で乾燥させた。最大水分値(500ppm未満)の乾燥後の水分含量。材料を、Arburgブランドの射出成形機において型締力70トン及びスクリュー直径20mmで加工した。測定された溶融温度、229~236℃。測定された鋳型温度は、46~51℃であった。作製されたバーの厚さは2.04mm~2.05mmと測定された。部品は、シール袋に成形されたまま乾燥状態で梱包される。
【0060】
[相対溶液粘度]
ISO1628-5:1998に従って、25℃で100mlのm-クレゾールにおける1.0gの材料の溶液において相対溶液粘度を決定した。
【0061】
[機械的特性]
ISO527に従って、タイプ1BAの引張り棒を、2.5kNのフォースセル(force cell)、ゲージ長25mmのツビック(Zwick)接触伸縮計タイプMultisens、及びグリップ距離58mmのツビックエアー式クランプタイプ8297を備えたツビックローエル(Zwick//Roell)Z010引張り試験機を用いて試験した。0.5Nの予備荷重をかけた後、試験速度1mm/分で試験を開始してE弾性率(0.05%~0.25%)を決定し、その後試験速度500mm/分で破断するまで試験した。歪みを伸縮計で60%の歪みまで測定し、その後破断までトラバース変位(traverse displacement)で測定した。引張り強度(MPa)は、試験中に見られた最も高い応力として決定した。試験を5回に分けて実施した。試験中、試験片は「成形されたまま乾燥(Dry As Moulded)」され、試験は、試験温度23℃で実施した。本明細書で「成形されたまま乾燥」とは、成形直後に試験片を防湿容器に入れ、(23±2)℃で少なくとも24時間保存し、水分含量が0.2%(質量分率)未満であることであると理解される。
【0062】
[動的機械分析(DMA)]
150mm×150mm×4.0mmの射出成形されたプラークから、ASTM D5279に一般に記載されているねじりDMA(DMA in torsion)を行った。測定用試料は、射出成形におけるメルトフローに平行及び垂直で、適切な長さ(10mm×55mm)に鋸引きした。寸法は,校正済みのハイデンハイン(Heidenhain)厚さ計を用いて測定した。測定の前に,試料を、150ミリバールの窒素圧力で4時間110℃で乾燥させた。動的機械分析を,TA ARES試験システムを使用して,周波数1Hzで温度範囲-130℃から250℃に渡り加熱速度3℃/分で実施した。測定中,貯蔵弾性率(G’),損失弾性率(G’’)及び正接デルタ(tanδ)を温度の関数として決定した。
【0063】
[溶接性]
80mm×80mm×1.0mmの射出成形されたプラークにおいて溶接を行った。2つのプラークを互いに重ね合わせた。溶接は,縦型プレスのセットアップを有する16KW RF溶接機にて行った。電極真鍮(electrode brass)75×10mmを使用した。主要ブロックの温度は、200°F(93.3℃)にて制御した。接触プレートの温度は制御しなかったが、典型的には110°F(43.3℃)で測定した。各RF溶接サイクルは、圧力が加えられた時に1.0秒の予備加熱、2.5秒間の電流量印加、2.0秒の冷却サイクルからなった。電流量は、最大出力のパーセントで制御される。180°の剥離試験を行い、以下に示す手順を使用して溶接部の最大剥離力を定量化した。溶接したプラークを23+/-2℃、50+/-10%RHの温度範囲の室内環境に3日間置いた。幅10mmのプラークにマークペンで印を付け、はさみを用い手で切断した。予備荷重*、グリップ距離(50mm)、試験速度(50mm/分)などの試験パラメータをソフトウェアに入力した。試験片の厚さと幅を測定し、試験ソフトウェアに入力した。棒の非溶接部分の外側をグリップにて挟み、その後、剥離試験を開始することができる。剥離試験後、試験片をグリップから外した。試験環境:23+/-2℃、50+/-10%相対湿度。最大剥離力(ニュートンでの単位)を表4に報告する。
*予備荷重(試験開始後,値はゼロにならない):正確な値は、試験開始前に、試験棒をグリップにてちょうど挟んだ時の各試料の初期荷重に基づいた。
【0064】
[反り]
例えば、4mmの押し出し成形されたプレートから100mm×40mmの試験片を流れ方向及び逆流方向で、並びに押し出し成形されたプレートの幅に渡る様々な位置で切断することによって反りを試験し、これらの試験試料を100℃で24時間曝露した。寸法変化を視覚的に記録し、定性的に評価することができる。等級は、全く反りのない状態、従って完全に平坦な「+++」から、端が丸まった「+/-」、最終的には完全に歪んだ「---」で示されるまでの範囲である。結果を表4に示す。
【0065】
[耐薬品性]
実施例2及び3で記載された組成物の耐性を評価するため、耐薬品性を評定した。1BA引張り棒を、75%のエタノール水溶液(23℃)、30%のリン酸水溶液(60℃)、3%のリン酸水溶液(60℃)、14%のNaClO水溶液(23℃)、200ppmのNaClO水溶液(23℃)及び2000ppmの過酢酸水溶液(23℃)中で672時間エージングさせた。上記いずれの化学物質においても、機械的特性(破断伸びによる)の低下は認められなかった。機械的試験は、ISO527に従って行った。
【0066】
【表4】
【0067】
驚くべきことに、ベルトの剛性の尺度である室温での同様のG’を有する本発明によるコンベヤベルトは、はるかにより高い引張り強度を示した。驚くべきことに、はるかにより柔らかい押し出し成形されたコンベヤベルト(実施例3)でさえ、高い剥離力によって示される高い剥離強度と組み合わせて、依然として高い引張り強度を示した。本発明によるコンベヤベルトは、低い反りを示し、従って、高い剥離強度と組み合わせて、実質的に平坦であった。