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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-20
(45)【発行日】2025-10-28
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20251021BHJP
【FI】
A63F5/04 511E
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2024209092
(22)【出願日】2024-11-29
【審査請求日】2024-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】雪江 恵理
(72)【発明者】
【氏名】井川 加奈子
【審査官】金子 和孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2024-066345(JP,A)
【文献】特開2018-134144(JP,A)
【文献】特開2016-158802(JP,A)
【文献】特開2003-180914(JP,A)
【文献】特開2008-012146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の図柄が配置されたリールテープを有するリールを備え、
前記複数の図柄には、特定図柄が含まれ、
前記特定図柄は、複数の塗料により形成されており、
前記複数の塗料は、第1塗料と第2塗料と第3塗料とを含み、
前記第1塗料は、前記第3塗料よりも先に印刷されており、
前記第2塗料は、前記第1塗料よりも先に印刷されており、
前記第1塗料は、ベタで形成された第1ベタ部と、網点で形成された第1網点部と、を形成しており、
前記第2塗料は、網点で形成された第2網点部を形成しており、
前記第3塗料は、ベタで形成された第2ベタ部を形成しており、
前記特定図柄は、光が当たっていることを示す明部と、前記明部より光が当たっていないことを示す暗部と、を有し、
前記明部は、前記第2ベタ部と前記第1網点部とを重ねることで表現された領域を有し、
前記暗部は、前記第1ベタ部と前記第2網点部とを重ねることで表現された領域を有し、
前記第1網点部における網点は、第1方向に配列されて表現されており、
前記第2網点部における網点は、前記第1方向に対して異なる角度の第2方向に配列されて表現されており、
前記第1網点部の縁と前記第2網点部の縁とが接するように表現されている、遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外周面に図柄が配列された複数のリールを備えた遊技機(回胴式遊技機、スロットマシン)が知られている。この種の遊技機は、メダルやパチンコ玉などの遊技媒体に対して一定の遊技価値を付与し、このような遊技媒体を獲得するための遊技を行うものである。また、この種の遊技機は、遊技者によるスタートレバーに対する開始操作を契機として、内部抽選を行うとともに複数のリールの回転を開始させ、遊技者によるストップボタンに対する停止操作を契機として、内部抽選の結果に応じた態様で複数のリールを停止させる制御を行っている。そして、遊技の結果は、複数のリールが停止した状態における入賞判定ライン上に表示された図柄組合せによって判定され、遊技の結果に応じてメダル等の払い出しなどが行われる。
【0003】
この種の遊技機においては、リール枠の外周に巻付けられてリールを構成するリールテープを有しており、このリールテープには、透明な基材に複数種類(各色、或いは透明)の塗料が重ねられるように印刷されることで、複数種類の図柄が形成されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-137428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば図柄やその背景においては、塗料をベタで塗るだけではデザイン性に乏しいため、網点を用いて中間色やグラデーションを表現することがある。しかしながら、複数の塗料の層(つまり複数の印刷層)において網点を用いる場合に、複数の網点が重なるとモアレが発生する恐れがあり、つまりリールテープのデザイン性が低下する恐れがある。
【0006】
そこで本発明は、リールテープのデザイン性を向上することが可能な遊技機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一態様は、遊技機において、
複数の図柄が配置されたリールテープを有するリールを備え、
前記複数の図柄には、特定図柄が含まれ、
前記特定図柄は、複数の塗料により形成されており、
前記複数の塗料は、第1塗料と第2塗料と第3塗料とを含み、
前記第1塗料は、前記第3塗料よりも先に印刷されており、
前記第2塗料は、前記第1塗料よりも先に印刷されており、
前記第1塗料は、ベタで形成された第1ベタ部と、網点で形成された第1網点部と、を形成しており、
前記第2塗料は、網点で形成された第2網点部を形成しており、
前記第3塗料は、ベタで形成された第2ベタ部を形成しており、
前記特定図柄は、光が当たっていることを示す明部と、前記明部より光が当たっていないことを示す暗部と、を有し、
前記明部は、前記第2ベタ部と前記第1網点部とを重ねることで表現された領域を有し、
前記暗部は、前記第1ベタ部と前記第2網点部とを重ねることで表現された領域を有し、
前記第1網点部における網点は、第1方向に配列されて表現されており、
前記第2網点部における網点は、前記第1方向に対して異なる角度の第2方向に配列されて表現されており、
前記第1網点部の縁と前記第2網点部の縁とが接するように表現されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、リールテープのデザイン性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る遊技機の外観構成を示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係る遊技機の機能ブロックを説明する図である。
図3】第1実施形態に係る遊技機のリールユニットのリールを示す斜視図である。
図4】第1実施形態に係る遊技機のリールテープを示す図である。
図5】第1実施形態に係る図柄を示す図で、(a)は7図柄を示す図、(b)はBAR図柄を示す図、(c)はスイカ図柄を示す図、(d)はベルA図柄を示す図、(e)はベルB図柄を示す図、(f)はリプレイ図柄を示す図、(g)はブランクA図柄を示す図、(h)はブランクB図柄を示す図である。
図6】第1実施形態に係るベルA図柄の詳細を示す図である。
図7】第1実施形態に係る7図柄におけるリールテープの断面を示す図である。
図8】第2実施形態に係る図柄を示す図で、(a)はベル図柄を示す図、(b)はリプレイA図柄を示す図、(c)はリプレイB図柄を示す図、(d)はチェリー図柄を示す図、(e)はスイカ図柄を示す図、(f)は白7図柄を示す図、(g)は銀BAR図柄を示す図、(h)は黒BAR図柄を示す図、(i)はブランク図柄を示す図、(j)はボーナス図柄を示す図、である。
図9】(a)はベル図柄の詳細を示す図、(b)はリプレイA図柄の詳細を示す図である。
図10】(a)はチェリー図柄の詳細を示す図、(b)はスイカ図柄の詳細を示す図である。
図11】第2実施形態に係るブランク図柄の詳細を示す図である。
図12】第2実施形態に係る一区画における背景模様を示す図である。
図13】第2実施形態に係るリプレイA図柄におけるリールテープの断面を示す図である。
図14】第2実施形態に係るインクの種類と各層との関係を示す図である。
図15】第3実施形態に係る一区画における背景模様を示す図である。
図16】第3実施形態に係るリプレイA図柄におけるリールテープの断面を示す図である。
図17】(a)は第4実施形態に係るバックライト消灯時の一区画における背景模様を示す図、(b)は第4実施形態に係るバックライト点灯時の一区画における背景模様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、本実施形態で説明される構成のすべてが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。また、以下の記載において、遊技者の方(手前)を「前方」、反対を「後方」と記載する。
【0011】
[遊技機の構成の概要]
図1は、本発明の本実施形態に係るスロットマシン1の外観構成を示す斜視図である。本実施形態のスロットマシン1は、いわゆる回胴式遊技機と呼ばれるもので、また、遊技者が遊技の用に供することができる遊技価値について、スロットマシン1の外部に設けられ、電磁的方法によって遊技価値となる電子化メダルの貸出及び精算を行う構成を有する外部装置及び特定ユニットとしての専用ユニットSU(図2参照)から出力される貸出信号に基づき、電磁的方法によって遊技価値を記録する、いわゆるメダルレス遊技機から構成されている。スロットマシン1は、記録された電子化メダルの枚数の情報を遊技メダル数として記憶し、記憶された遊技メダル数を専用ユニットSUに送信可能に構成されている。専用ユニットSUは、スロットマシン1から受信した遊技メダル数をICカード等の記録媒体に記録して排出することで電子化メダルを精算する。
【0012】
本実施形態のスロットマシン1は、筐体BX、前面上扉UD及び前面下扉DDからなる箱形の筐体内に複数のリールとしてのリールR1~R3(順に、R1が左リール、R2が中リール、R3が左リール)からなるリールユニットRUが収められている。また、本実施形態のスロットマシン1の筐体内には、CPU、ROM(情報記憶媒体の一例)、RAM等を搭載し、スロットマシン1の動作を制御する制御基板も収められている。
【0013】
図1に示すリールR1~R3は、それぞれ外周面が一定の間隔で20の領域(以下、各領域を「コマ」と記載する)に区画されており、各コマに複数種類の図柄のいずれかが配列されている。
【0014】
前面上扉UDと前面下扉DDとは、個別に開閉可能に設けられている。前面上扉UDには、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種映像や画像から構成された演出を行うための表示手段としての表示装置410が設けられている。また、表示装置410は、画像を表示する表示領域410aのうちリールR1~R3と対向する特定領域410bが透過液晶ディスプレイから構成されており、表示装置410を介してリールR1~R3の回転状態及び停止状態を観察可能に構成されている。リールR1~R3の停止状態では、リールR1~R3それぞれの外周面に一定間隔で配列された複数種類の図柄のうち、外周面上に連続して配列されている3つの図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)をスロットマシン1の正面から表示装置410を通じて観察できるようになっている。
【0015】
また、本実施形態のスロットマシン1では、表示装置410を通じて図柄を観察するための表示位置として、各リールについて上段、中段、下段が設けられており、各リールの表示位置の組合せによる有効ラインについて、有効ラインL1が設定されている。本実施形態のスロットマシン1では、1回の遊技に関して必要となる電子化メダルの数、いわゆる規定数(規定数)が3枚(第1規定数)又は2枚(第2規定数)に設定されており、規定数に相当する電子化メダルが投入されるとリールR1~R3の中段によって構成される有効ラインL1が有効化される。
【0016】
そして、遊技結果は、有効ラインL1上(有効ライン上)に停止表示された図柄組合せによって判定され、有効ラインL1上の図柄組合せが予め定められた役に対応した図柄組合せである場合に、その役が入賞したものとして、入賞した役に応じた制御が実行される。
【0017】
前面下扉DDには、各種の操作手段が設けられている。操作手段としては、スロットマシン1に記憶されている電子化メダルを投入状態に設定する操作を行うための投入操作手段としてのマックスベットボタンMB、リールR1~R3を回転させて遊技を開始する契機となる開始操作を遊技者に実行させるための遊技開始操作手段としてのスタートレバーSL、ステッピングモータにより回転駆動されているリールR1~R3のそれぞれを停止させる契機となる停止操作を遊技者に実行させるための停止操作手段としてのストップボタンB1~B3、スロットマシン1に記憶されている遊技メダル数を専用ユニットSUに送信する計数操作を行うための計数操作手段としての計数ボタンKB及び投入状態を解除し投入状態に設定された電子化メダルをメダル数カウンタ311(図2参照)に返却する精算操作を行うための精算ボタンABも設けられている。
【0018】
また、前面下扉DDには、主制御基板1000(図2参照)のCPUによって制御される主制御表示装置10Dが設けられている。主制御表示装置10Dは、7セグメント表示器等からなり、今回の遊技で当選した役の情報、電子化メダルの払い出しに関係するストップボタンB1、ストップボタンB2、ストップボタンB3の押し方を示唆する情報の表示(報知表示)等の各種遊技情報が表示される。主制御表示装置10Dに表示される報知表示は、規定数の電子化メダルが投入されスタートレバーSLが操作された際に、今回の遊技で当選した役の情報である当選情報に基づき作成される制御信号である当選役コマンドに対応する表示となっている。
【0019】
また、前面下扉DDには、メダル数制御CPU3001(図2参照)によって制御される遊技メダル数表示装置MDが設けられている。遊技メダル数表示装置MDは、7セグメント表示器等からなり、スロットマシン1に記憶されている遊技メダル数を表示することで、概念的な受け皿として機能している。
【0020】
そして、前面下扉DDには、音を用いた演出を行うための音響装置420が複数設けられている。音響装置420からは、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の音声が出力される。
【0021】
図2は、本実施形態のスロットマシン1の機能ブロック図である。本実施形態のスロットマシン1は、制御基板として、主制御基板1000と、副制御基板2000と、メダル数制御基板3000と、を有している。主制御基板1000は、遊技価値を用いて行う遊技を制御することで遊技の進行を制御する主制御CPU1001(遊技制御手段)を有する。副制御基板2000は、遊技に関する演出を制御する副制御CPU2001を有する。メダル数制御基板3000は、電子化メダルを管理し、専用ユニットSUと通信可能に構成されることで遊技メダル数に係る制御を行うメダル数制御CPU3001を有する。
【0022】
主制御CPU1001は、設定変更手段100、投入受付手段105、乱数生成手段110、内部抽選手段120、リール制御手段130、入賞判定手段140、払出制御手段150、遊技状態移行制御手段160、アシストタイム制御手段(AT制御手段)170及びコンプリート制御手段180として機能する。主制御CPU1001を構成する各手段は、各制御処理の実行時に、主記憶手段190に予め記憶されている各制御プログラムを読み出して実行する。
【0023】
設定変更手段100は、主記憶手段190の設定値記憶手段191に記憶されている設定値を変更する制御(設定変更制御)を行う。設定変更手段100は、主制御基板1000に設けられた設定キーシリンダKCに設定キーが差し込まれ、設定キーが回されることで設定キーシリンダKCの内部に設けられた設定変更スイッチSSがON状態となる。設定変更手段100は、設定変更スイッチSSがON状態となった状態で電源が投入された場合に、設定変更を許可する設定変更許可状態に移行する。一方、設定変更手段100は、電源が投入されている状態で設定変更スイッチSSがON状態となった場合には、設定変更許可状態に移行しない構成となっている。
【0024】
設定変更手段100は、設定変更許可状態において、電源装置に設けられている設定変更ボタンBSが操作されることで出力される入力信号を受け付けるごとに、設定値を設定1→設定2→・・・→設定6→設定1→・・・の順序で循環的に変動させ、スタートレバーSLが操作されることで出力されるスタート信号を受信したことに基づいて設定値を確定させる。スロットマシン1では、設定値記憶手段191において確定された設定値に応じて、内部抽選手段120による内部抽選で当選可能な当選エリアのうち一部の当選エリアの当選確率が変更される。つまり、設定変更手段100は、内部抽選手段120による内部抽選における役の当選確率を変更可能な値である設定値を変更可能に構成されている。
【0025】
なお、本実施形態のスロットマシン1においては、設定変更手段100による設定変更制御が実行された場合に、遊技状態移行制御手段160が実行する遊技状態に係る制御及びAT制御手段170が実行する有利区間に係る制御が初期化されるように構成されており、遊技状態が後述する非リプレイタイム(以下、リプレイタイムを「RT」とも記載)状態に設定され、設定変更前においてAT制御手段170が実行していた補助遊技に関する制御についても、初期化されて通常区間が設定されるように構成されている。一方、スロットマシン1においては、主制御CPU1001への電力の供給が遮断(電断)され、その後再度電力の供給が再開された場合、遊技状態移行制御手段160が実行する遊技状態に係る制御及びAT制御手段170が実行する有利区間に係る制御について、電断前の状態から再開されるように構成されており、電断前にAT制御手段170が実行していた補助遊技に関する制御についても、電断前の状態が維持されるように構成されている。
【0026】
投入受付手段105は、電子化メダルの投入を受け付ける投入受付期間内において、後述するメダル数カウンタ311に規定数以上の遊技メダル数が記憶された状態でマックスベットボタンMBが操作(ベット操作)されて出力される入力信号を受け付けることで、各遊技状態に設定された規定数を限度として、メダル数カウンタ311に記憶された電子化メダルを投入状態に設定し、規定数に相当する電子化メダルが投入状態に設定されたことに基づいて、スタートレバーSLに対する遊技開始操作を有効化する処理を行う。
【0027】
なお、本実施形態のスロットマシン1では、規定数に相当する電子化メダルが投入状態に設定されたことに基づいて有効化されたスタートレバーSLの最初の押下操作が、遊技者による遊技の開始操作として受け付けられ、リールR1~R3の回転を開始させる契機となっているとともに、後述する内部抽選手段120が内部抽選を実行する契機となっている。また、各遊技状態に設定されている規定数の詳細については、後述する。
【0028】
また、投入受付手段105は、電子化メダルが投入状態に設定され、且つスタートレバーSLが開始操作されるまでの期間において、精算ボタンABが操作されて出力される入力信号を受け付けることで、投入状態を解除して投入状態に設定された電子化メダルと同数をメダル数カウンタ311に記憶された遊技メダル数に加算することで、投入状態に設定された電子化メダルを精算する。
【0029】
乱数生成手段110は、抽選用の乱数を発生させる手段である。なお、本実施形態において、「乱数」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、発生自体は規則的であっても、取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能し得る値も含まれる。
【0030】
内部抽選手段120は、遊技者がスタートレバーSLに対して開始操作を実行することで出力されるスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う手段であって、抽選テーブル選択処理、乱数判定処理、抽選フラグ設定処理等を行う。
【0031】
抽選テーブル選択処理では、主記憶手段190の内部抽選テーブル記憶手段192に記憶されている複数の内部抽選テーブルのうち、いずれの内部抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを現在の遊技状態に基づき選択する。各内部抽選テーブルでは、複数の乱数(例えば、0~65535の65536個の乱数)のそれぞれに対して、リプレイ、小役及びボーナスなどの各種の役や不当選(ハズレ)が対応付けられている。
【0032】
なお、以下の記載において、ボーナスとは、入賞することで役物又は役物連続作動装置を作動させる役を意味し、ボーナスが作動とは、ボーナスが入賞し役物又は役物連続作動装置を作動することを意味し、ボーナス状態とは、役物又は役物連続作動装置が作動した状態を意味する。
【0033】
乱数判定処理では、スタートレバーSLが開始操作されることで出力されるスタート信号に基づいて、遊技ごとに乱数生成手段110が生成する乱数(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数を抽選テーブル選択処理で選択した内部抽選テーブルと比較して、比較結果に基づき役に当選したか否かを判定する。
【0034】
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役に対応する抽選フラグを非成立状態(第1のフラグ状態、OFF状態)から成立状態(第2のフラグ状態、ON状態)に設定する。本実施形態のスロットマシン1では、2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが成立状態に設定される。なお、本実施形態のスロットマシン1では、入賞するまで次回以降の遊技に成立状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に成立状態を持ち越さずに非成立状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)が用意されている。また、抽選フラグの設定情報は、主記憶手段190の抽選フラグ記憶手段193に記憶される。
【0035】
リール制御手段130は、遊技者がスタートレバーSLへ開始操作を実行しスタート信号が出力されたことに基づいて、リールR1~R3の回転駆動を開始しリールR1~R3の回転態様を制御するリール回転制御を実行する。また、リール制御手段130は、リールR1~R3の回転状態が、所定速度(例えば、約80rpm)で定常回転する回転状態となった場合に、各リールに対応するストップボタンB1~B3が操作される停止操作を有効化する制御を実行する。そして、リール制御手段130は、ストップボタンB1~B3が停止操作されリール停止信号が出力された場合に、停止操作されたストップボタンB1~B3に対応するリールR1~R3の各リールを停止させる制御(リール停止制御)を行う。
【0036】
なお、以下の記載において、リール制御手段130によってリールR1~R3の回転が開始され、遊技者が有効なストップボタンB1~B3をそれぞれ操作することについて、最初の操作を第1停止操作、2番目の操作を第2停止操作、3番目の操作を第3停止操作とも記載する。
【0037】
本実施形態のスロットマシン1では、リールR1~R3について、ストップボタンB1~B3が押下された時点から所定の期間としての190ms(ミリ秒、msec)が経過するまでに、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールを停止するようになっている。なお、以下の記載において、ストップボタンB1~B3を押下することを操作とも記載する。また、スロットマシン1は、ストップボタンB1~B3が押下された場合に限らず、例えば、ストップボタンB1~B3が押下され、押しこまれたストップボタンB1~B3が解放される操作が実行されたタイミングで停止信号が出力されるように構成されていてもよい。
【0038】
ここで、ストップボタンの押下時点から190ms以内に回転中のリールを停止させる場合、回転している各リールの停止位置は、各リールの直径及び回転速度より、ストップボタンの押下時点からリールが停止するまでに最大で4コマ分回転可能に構成されている。このため、本実施形態のスロットマシン1では、リールR1~R3について、ストップボタンの押下時点で有効ラインL1上に表示されているコマから4コマ回転するまでの計5コマが、有効ラインL1上に図柄を引き込み可能な範囲(引き込み範囲)となっている。
【0039】
リール制御手段130は、リール停止制御の実行時において、抽選フラグが成立状態に設定された役を可能な限り入賞させることができるように回転中のリールを停止させる引き込み処理と、抽選フラグが非成立状態に設定された役を入賞させることができないように回転中のリールを停止させる蹴飛ばし処理と、を含むロジック演算により予め設定された優先順位に基づき回転中のリールの停止位置を求めるロジック演算処理と、主記憶手段190のリール制御データ記憶手段194に記憶されている停止制御テーブルを参照して回転中のリールの停止位置を決定するテーブル参照処理と、を行い、回転中のリールを停止させ有効ラインL1上に図柄を表示(以下、リール停止制御によって回転中のリールを停止させて有効ラインL1上に図柄を表示することを「停止表示」とも記載)している。
【0040】
なお、本実施形態のスロットマシン1において、内部抽選で複数種類の小役が当選した場合における停止位置の候補の優先度の求め方は、有効ラインL1上に表示可能な図柄組合せの数に応じて優先度を求める方法(個数優先制御)と、小役に予め定められている配当に基づく電子化メダルの払出数に応じて優先度を求める方法(枚数優先制御)とが存在する。ただし、枚数優先制御を実行する場合に、配当が同一の小役が重複して当選した場合には、それぞれの小役を入賞させることができる停止位置の候補の優先度がそれぞれ同一のものとして扱われる。
【0041】
入賞判定手段140は、リールR1~R3の停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する入賞判定処理を行う。具体的には、主記憶手段190の入賞判定テーブル記憶手段195に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、リールR1~R3のすべてが停止した時点で有効ラインL1上に表示されている図柄組合せが、それぞれ予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。そして、各リールが停止した状態における有効ラインL1上に表示された図柄組合せによって、ボーナス、リプレイ、小役の入賞の有無を判定(以下、「入賞判定」と記載)できるように入賞判定テーブルが用意されている。なお、以下の記載において、役の入賞形態を示す図柄組合せを「入賞図柄組合せ」とも記載する。
【0042】
本実施形態のスロットマシン1では、入賞判定処理における入賞判定手段140の判定結果に基づいて各処理が実行される。入賞役の判定結果に基づき実行される各処理としては、例えば、小役が入賞した場合には払出制御手段150に電子化メダルを払い出させる遊技メダル数を決定する処理が行われ、リプレイが入賞した場合には払出制御手段150に次回の遊技において電子化メダルを消費せずに実行させる処理を行わせ、ボーナス等の遊技状態を移行させる契機となる役が入賞した場合には遊技状態移行制御手段160に遊技状態を移行させる処理が行われる。
【0043】
払出制御手段150は、遊技結果に応じた電子化メダルの払い出しに関する払出処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役ごとに予め定められている配当に基づいて遊技における電子化メダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当する遊技メダル数を、メダル数カウンタ311に加算することで仮想的に払い出す制御を行う。
【0044】
また、払出制御手段150は、入賞判定手段140により有効ラインL1上に後述する複数種類のリプレイ役のうちいずれかのリプレイの入賞を示す図柄組合せが停止表示されたと判定され、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して電子化メダルの投入を要さずに遊技を実行可能にする準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。すなわち、本実施形態のスロットマシン1では、リプレイが入賞した場合、規定数分の電子化メダルを遊技者の手持ちの電子化メダルを使わずに自動的に投入する自動投入処理が行われ、前回の遊技と同じ有効ラインL1を設定した状態で、次回のスタートレバーSLに対する開始操作を待機する。
【0045】
なお、スロットマシン1においては、リプレイが入賞した遊技から次回の遊技が開始されるまでの期間、すなわちリプレイ処理によって規定数分の電子化メダルが自動的に投入され且つ遊技が開始されていない期間において、精算ボタンABが操作されたとしても規定数と同数の遊技メダル数をメダル数カウンタ311に加算しないように構成されている。
【0046】
遊技状態移行制御手段160は、複数の遊技状態の間で遊技状態を移行させる処理と、ボーナスの作動及び終了に係る処理と、を行う。ここで、各遊技状態の移行条件は、1つの条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうちいずれか1つの条件が成立したこと、あるいは複数の予め定められた条件のすべてが成立したことに基づいて、遊技状態を別の遊技状態へ移行させることができる。
【0047】
AT制御手段170は、特定役の入賞を補助する報知を主制御表示装置10Dに表示する補助遊技を含む指示機能に係る制御が実行可能となる区間(期間)である有利区間(有利期間)と、内部抽選手段120による内部抽選の結果に基づく補助遊技に関する制御(指示機能に係る制御)が実行不能な区間(期間)である通常区間(非有利期間、非有利区間)と、の間での移行に係る制御を、AT制御データ記憶手段196に記憶されているデータを用いて実行し、通常区間、有利区間及び補助遊技に係る制御を行う補助遊技制御手段を構成する。
【0048】
AT制御データ記憶手段196には、有利区間内において実行される通常状態やAT状態を含む複数種類の演出状態に関する各種制御において用いられるデータ(所定の制御処理でON状態又はOFF状態にセットする各種フラグ、カウンタ等)が記憶されている。
【0049】
AT制御手段170は、有利区間において所定条件下で演出状態をAT状態(アシストタイム状態)に設定し、7セグメント表示器からなる主制御表示装置10Dに当選している特定役を入賞可能にするストップボタンB1~B3の操作態様に対応する情報(操作指示情報の一例)を表示することで、特定役の入賞を補助する操作報知を行う。また、スロットマシン1では、AT制御手段170による操作報知が実行される場合に、後述する演出制御手段200によって表示装置410に正解打順に対応する指標を表示するナビ演出を実行する。このように、スロットマシン1では、AT状態において、操作報知とナビ演出との入賞補助によってストップボタンB1~B3の操作態様が報知されることで、遊技者にとって有利な補助遊技(AT遊技、報知遊技)が実行される。
【0050】
AT制御手段170は、より詳しくは後述する有利区間を終了する所定の終了条件が成立した際に、有利区間を終了し次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理と、有利区間内において設定した各種フラグ、数値等、有利区間に関する情報を初期化する処理である所定の初期化処理と、を実行する。
【0051】
AT制御手段170は、有利区間を開始した遊技から電子化メダルの払出数を電子化メダルの投入数で減算した差分の値(差枚数、獲得数)を有利区間カウンタ196aに累積的に記録する更新処理(有利区間差枚数更新処理)を実行する。AT制御手段170は、有利区間に制御している場合、いずれの遊技状態である場合にも、電子化メダルの差枚数に相当する値を有利区間カウンタ196aの記憶値に累積的に更新する有利区間差枚数更新処理を実行する。
【0052】
また、AT制御手段170は、有利区間差枚数更新処理において、当該遊技における電子化メダルの払出数が規定数未満であることで有利区間カウンタ196aの記憶値を減算した際に、有利区間カウンタ196aの記憶値が値「0」未満となる場合にも、有利区間カウンタ196aに減算した結果をセットする。換言すると、AT制御手段170は、有利区間カウンタ196aに負の値をセット可能に構成されている。
【0053】
AT制御手段170は、有利区間において2400枚を超える電子化メダルが獲得された場合、つまり有利区間カウンタ196aの記憶値が値「2400」を超えた場合に、有利区間を終了させる所定の終了条件として特定終了条件が成立したと判定し、有利区間を終了させて次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理を実行する。このため、スロットマシン1では、例えば、電子化メダルを獲得可能な演出状態に移行するまでに有利区間カウンタ196aの記憶値が負の値として値「-900」であった場合、電子化メダルを獲得可能な演出状態において、有利区間カウンタ196aの記憶値が値「0」になるまでの900枚と、有利区間カウンタ196aの記憶値が値「2401」以上になるまでの2401枚と、の合計3301枚の電子化メダルが獲得可能となる。
【0054】
AT制御手段170は、所定の初期化処理において、有利区間においてON状態にセットした各フラグや有利区間において設定した値等の有利区間における各種制御処理で用いた情報をすべて初期化する。なお、AT制御手段170は、特定終了条件以外の予め設定されている所定の終了条件(通常終了条件)が成立した場合にも有利区間を終了可能であり、通常終了条件が成立した場合にも所定の初期化処理及び所定の終了処理を実行する。本実施形態のAT制御手段170が設定する通常終了条件の詳細については、後述する。
【0055】
コンプリート制御手段180は、スロットマシン1の電源投入時からの電子化メダルの獲得数の累積値が所定の値(例えば19000枚)に達した場合に、スロットマシン1を打ち止め状態にする機能としてのコンプリート機能を作動させる制御を行う。コンプリート制御手段180は、スロットマシン1に電源が投入されてから、毎回の遊技における電子化メダルの払出数を電子化メダルの投入数で減算した差分の値(差枚数、獲得数)をコンプリート記憶手段197のメダル獲得数カウンタ197aに累積的に記録する更新処理(コンプリート獲得数更新処理)を実行する。なお、コンプリート制御手段180は、リプレイが入賞した場合、メダル獲得数カウンタ197aの記憶値を更新しない。
【0056】
コンプリート制御手段180は、メダル獲得数カウンタ197aの記憶値を更新するコンプリート獲得数更新処理において、当該遊技における電子化メダルの払出数が規定数未満であることでメダル獲得数カウンタ197aの記憶値を減算した際に、メダル獲得数カウンタ197aの記憶値が値「0」未満となる場合、メダル獲得数カウンタ197aの記憶値を値「0」にセットする。これにより、コンプリート制御手段180は、メダル獲得数カウンタ197aの記憶値が最下点となる際の値について、値「0」に固定することができるため、メダル獲得数カウンタ197aの記憶値を用いた制御処理において、最下点における具体的な数値に応じて判定の閾値となる値を変動させる必要がなくなり、メダル獲得数カウンタ197aの記憶値を用いた制御処理の負荷を軽減させることができる。
【0057】
コンプリート制御手段180は、スロットマシン1の電源投入後における電子化メダルの払出数の最下点から獲得されたメダル数が19000枚に達した場合、つまりメダル獲得数カウンタ197aの記憶値が値「19000」に達した場合に、コンプリート機能を作動させる条件が成立したと判定する。
【0058】
コンプリート制御手段180は、第1種特別役物としてのレギュラーボーナス(RB)、第1種特別役物に係る役物連続作動装置としてのレギュラービッグボーナス(RBB)及び第2種特別役物に係る役物連続作動装置としてのチャレンジビッグボーナス(CBB)のいずれもが作動していない場合、コンプリート機能を作動させる条件の成立に基づき、条件が成立した遊技においてストップボタンB1~B3が停止操作されリールR1~R3が停止した後にコンプリート機能を作動させる。
【0059】
一方、コンプリート制御手段180は、RB,RBB又はCBBのいずれかが作動している場合、作動しているRB,RBB又はCBBが終了した遊技においてストップボタンB1~B3が停止操作されリールR1~R3が停止した後にコンプリート機能を作動させる。
【0060】
コンプリート制御手段180は、コンプリート機能を作動させる場合に、コンプリート記憶手段197のコンプリートフラグ記憶手段197bに記憶されているコンプリート機能作動フラグをON状態に設定する。スロットマシン1は、コンプリート機能作動フラグがON状態に設定されることで、打ち止め状態となり、以降コンプリート機能作動フラグがOFF状態となるまで遊技を実行できない状態となる。ON状態に設定されたコンプリート機能作動フラグは、スロットマシン1の前面上扉UDが開けられ、内部に設けられた設定変更ボタンBSが操作されて初期化されることで、OFF状態に設定される。このような構成であることから、スロットマシン1では、コンプリート機能が作動した場合、遊技者による操作によってコンプリート機能が解除されない構成となっている。
【0061】
副制御CPU2001は、演出制御手段200として機能する。副制御CPU2001を構成する各手段は、各制御処理の実行時に、副記憶手段210に予め記憶されている各制御プログラムを読み出して実行する。
【0062】
演出制御手段200は、副記憶手段210の演出制御データ記憶手段211に記憶されている演出データに基づいて、例えば、表示装置410を用いて行う画像、映像演出や、音響装置420を用いて行う音響演出等、遊技に関する演出に係る制御を行う。具体的には、マックスベットボタンMB、スタートレバーSL、ストップボタンB1~B3、計数ボタンKBに対する操作等への遊技者によるスロットマシン1の各構成の操作時や、遊技状態の変動等の遊技イベントの発生時に、ランプ及びLEDの点灯あるいは点滅、音響装置420からの音の出力を用いた演出等を実行することにより、遊技を盛り上げる演出や、遊技の補助、遊技者に操作が行われたことを報知するための演出の実行制御を行う。また、演出制御手段200は、各演出状態に基づく演出を演出装置400を構成する各構成に実行させる。
【0063】
メダル数制御CPU3001は、メダル数制御手段300として機能する。メダル数制御CPU3001を構成する各手段は、各制御処理の実行時に、メダル数記憶手段310に予め記憶されている各制御プログラムを読み出して実行する。
【0064】
メダル数制御手段300は、貸出装置接続端子板40を介して専用ユニットSUに信号を送信可能に構成されるとともに、専用ユニットSUから送信される信号を貸出装置接続端子板40を介して受信可能に構成されている。メダル数制御CPU3001は、スロットマシン1において遊技の用に供することができる電子化メダルの総数である遊技メダル数を、メダル数カウンタ311を用いて記憶し、メダル数カウンタ311に記憶されている遊技メダル数を遊技メダル数表示装置MDに表示する。
【0065】
メダル数制御手段300は、主制御基板1000から受信したコマンド、専用ユニットSUから受信した通知、又は計数スイッチ126を内蔵する計数ボタンKBの操作等に応じ、主として、メダル数カウンタ311に記憶(保持)された遊技メダル数の更新(加算、減算)を行う。また、メダル数制御手段300は、このようにして更新された遊技メダル数を遊技メダル数表示装置MDに表示する。
【0066】
具体的にはメダル数制御手段300は、遊技が可能な間に計数ボタンKBが操作された場合に、メダル数カウンタ311に記憶されている遊技メダル数に応じた値を貸出装置接続端子板40を介して専用ユニットSUに送信し、送信した値に応じたメダル数をメダル数カウンタ311から減算する。ここで、遊技が可能な間とは、遊技機と専用ユニットSUとが電気的に接続され、且つ遊技機と専用ユニットSUとのいずれにも電源が投入されている状態で、遊技機又は専用ユニットSUがメンテナンス中ではなく、遊技を実行不可能なエラーも発生していない状態を意味する。また、スロットマシン1は、専用ユニットSUに接続されていない場合、計数ボタンKBへの操作によってメダル数カウンタ311の記憶値が減算されないように制御することで、メダル数カウンタ311の記憶値が減算されたにも関わらず専用ユニットSUに信号が送信されない状態が発生することを防いでいる。
【0067】
メダル数制御手段300は、計数ボタンKBが押下された時間が500ms未満である場合、1枚に相当する値「1」を貸出装置接続端子板40を介して専用ユニットSUに送信し、メダル数カウンタ311の記憶値を値「1」で減算する。また、メダル数制御手段300は、計数ボタンKBが押下された時間が500ms以上である場合、500ms経過した以降の計数のタイミングで50枚に相当する値「50」を貸出装置接続端子板40を介して専用ユニットSUに送信し、メダル数カウンタ311の記憶値を値「50」で減算し、以降、計数ボタンKBが押下された状態で300ms経過するごとに、50枚に相当する値「50」を貸出装置接続端子板40を介して専用ユニットSUに送信し、メダル数カウンタ311の記憶値を値「50」で減算する。なお、メダル数制御手段300は、計数ボタンKBが押下されて500ms以上経過する際に、メダル数カウンタ311の記憶値が値「50」未満である場合、メダル数カウンタ311の記憶値に対応する値を貸出装置接続端子板40を介して専用ユニットSUに送信し、メダル数カウンタ311の記憶値を、該記憶値に対応する値で減算することで、メダル数カウンタ311の記憶値を値「0」にする。
【0068】
メダル数制御手段300は、メダル数カウンタ311の記憶値が値「16369」以上となった場合に、スロットマシン1に記憶させる制限に設定されている16368枚を超える遊技メダル数が記憶されたメダルオーバーフローであると判定する。スロットマシン1では、メダルオーバーフローであると判定されたことに基づき、メダルオーバーフローエラーが発生し、計数ボタンKBが操作されてメダル数カウンタ311に記憶された遊技メダル数が計数されることでメダル数カウンタ311の記憶値が値「16368」以下になった場合に、メダルオーバーフローエラーが解除される。
【0069】
メダル数制御手段300は、遊技機の内部に設けられたメダル数クリアボタンCLが押下された状態で電源が投入された場合、メダル数カウンタ311を初期化し、メダル数カウンタ311の記憶値を値「0」にするメダル数のクリア(初期化)を行う。これにより、スロットマシン1は、電源を切る前にメダル数カウンタ311に残存していたメダル数の情報を、電源投入時に初期化することができる。
【0070】
[リールユニットの詳細]
次に、リールユニットRUの詳細について説明する。図3は第1実施形態に係る遊技機のリールユニットのリールを示す斜視図である。リールユニットRUは、図3に示すように、リールR1~R3のそれぞれに設けられて各リールを回転駆動するステッピングモータMと、各ステッピングモータMの駆動軸に支持されたリールR1~R3と、リールR1~R3のそれぞれに対応して設けられて各リールR1~R3の回転位置を検出するための透過型の光学センサであるリールセンサ26と、を有する。また、リールユニットRUは、リールR1~R3のそれぞれに対して設けられて各リールを内側から前方に向けて照明するリールバックライトBLiと、リールバックライトBLiからの光を反射して前方に案内するリフレクタRLと、を有する。リールバックライトBLiは、複数の光源としてのLED(発光ダイオード)と、その複数の光源としてのLEDが設置されたバックライト基板BLBとを有しており、バックライト基板BLBには、リフレクタRLの各開口において例えば3列かつ2行となる計6個のLEDがそれぞれ配置されている。なお、本実施形態においては図示を省略したが、例えば特定領域410b(図1参照)の上下に配置され、リールR1~R3の外側から表面に向けて照明するリール照明ライトも配置されている。
【0071】
図3に示すように、リールR1は、リールフレームFR1と、表側から視認可能な複数の図柄が長手方向(周方向)Yに沿って一列状に並んで配置された薄い帯状のリールテープT1と、インデックス部27と、を有する。第2リールR2は、リールフレームFR2と、表側から視認可能な複数の図柄が長手方向(周方向)Yに沿って一列状に並んで配置された薄い帯状のリールテープT2と、インデックス部27と、を有する。第3リールR3は、リールフレームFR3と、表側から視認可能な複数の図柄が長手方向(周方向)Yに沿って一列状に並んで配置された薄い帯状のリールテープT3と、インデックス部27と、を有する。インデックス部27は、リールセンサ26の光軸を遮蔽可能にリールフレームFR1~リールフレームFR3に保持されており、リールセンサ26の光軸を遮蔽及び透過するタイミングによってリールセンサ26に各リールの回転位置を検出させる。
【0072】
リールフレームFR1~リールフレームFR3は、それぞれ、ステッピングモータMの回転軸に取付けられるハブ部24と、第1リム部21及び第2リム部22と、これら第1及び第2リム部21,22の間を接続する複数の接続部23と、複数のスポーク部25と、を有し、透光性が高い(本実施の形態では透明な)合成樹脂によって一体的に形成されている。
【0073】
第1リム部21及び第2リム部22は、ステッピングモータMの回転軸と同心の円環状に形成され、左右方向(軸方向)、即ちリールテープT1~リールテープT3の長手方向Yと直交する短手方向(幅方向)Xに離間して配置されている。接続部23は、第1リム部21及び第2リム部22の円周上の異なる位置に複数設けられて、第1リム部21及び第2リム部22の間を架け渡すように短手方向Xに沿って延在し、第1リム部21と第2リム部22とを接続している。
【0074】
なお、リールフレームは、接続部を有しておらず、第1リム部と第2リム部とが独立して形成され、リールテープを介して第1リム部と第2リム部とが接続されるように構成されていてもよい。また、リールフレームは、着色された合成樹脂によって形成されていてもよく、着色された合成樹脂(例えば黒色の合成樹脂)によって形成されている場合、上述のインデックス部をリールフレームと一体的に形成することが可能となる。
【0075】
スポーク部25は、第1リム部21及び第2リム部22のいずれか一方の周方向における異なる位置に複数設けられて、第1リム部21及び第2リム部22のいずれか一方とハブ部24とを接続し、ステッピングモータの回転力をハブ部24から第1リム部21及び第2リム部22へ伝達する。本実施形態では、スポーク部25は、ハブ部24と第2リム部22とを接続している。
【0076】
第1リム部21及び第2リム部22のそれぞれの外周には、左右方向に所定の幅(例えば3.5mm~6.5mm程度)を有して形成され、リールテープT1~リールテープT3の裏面(内側の面)に当接してリールテープT1~リールテープT3の左右端部をリールの径方向に支持する円筒面状の端部支持面21a,22aが形成されている。本実施形態においては、第1リム部21及び第2リム部22は、短手方向Xにおける端部支持面21aの幅と端部支持面22aの幅とが略同じ寸法となるように形成されている。なお、第1リム部及び第2リム部は、互いの端部支持面の幅が異なる寸法となるように形成されていてもよい。
【0077】
また、第1リム部21及び第2リム部22は、端部支持面21a,22aよりも左右方向の外側に、リールテープT1~リールテープT3の短手方向X端に当接可能なフランジ部21b、22bを有している。フランジ部21b、22bは、例えば、左右方向に0.7mm~1.5mm程度の幅となるように形成されており、リールテープT1~リールテープT3の左右方向の位置を規制している。
【0078】
接続部23には、第1リム部21及び第2リム部22の端部支持面21a,22aと連続し、第1リム部21と第2リム部22との間でリールテープT1~リールテープT3をリールの径方向に支持するための接続支持面23aが形成されている。この接続支持面23aと、上述した端部支持面21a,22aと、によって、リールテープT1~リールテープT3をリールの径方向に支持する支持面FRaが形成されている。
【0079】
[リールテープの取付け構造]
次に、図3図4、及び図7を参照しながら、リールテープT1~リールテープT3の取付け構造について説明する。図4は第1実施形態に係る遊技機のリールテープを示す図であり、図7は7図柄におけるリールテープの断面を示す図である。なお、リールテープT1~リールテープT3の各取付け構造は同様であるため、以下、リールテープT1の取付け構造を例に説明し、リールテープT2及びリールテープT3の取付け構造の詳細については省略する。
【0080】
図3図4、及び図7に示すように、リールテープT1の短手方向Xの両端部の裏面には、第1リム部21の端部支持面21a及び第2リム部22の端部支持面22aに対してリールテープT1を接着するための両面テープ等の接着部材65,65が貼付けされる接着領域が形成されている。この接着領域は、リールテープT1を表面側から視た場合、から内方へ距離bの範囲である左側の接着領域を含む。例えば、距離bは、4mm程度の距離に設定されており、端部支持面21a,22aよりも1mm程度左右方向(短手方向X)に小さく形成されていることが望ましい。換言すると、図7に示すように、第1リム部21の端部支持面21a及び第2リム部22の端部支持面22aは、接着部材65,65よりも左右方向(短手方向X)に1mm程度大きい距離aを有している。
【0081】
リールフレームFR1に巻き回された(巻きつけられた)リールテープT1は、接着部材65によって、内面(裏面)に形成された右側の接着領域と端部支持面21aとが接着され、内面に形成された左側の接着領域と端部支持面22aとが接着されて、リールフレームFR1に保持される。
【0082】
また、上述したようにリールテープT1は、長手方向Yの長さが、端部支持面21a,22aの周方向の長さ(円周長さ)よりも長くなるように形成されており、長手方向Yにおける一方側の一端部(始端部)T11に対して他方側の他端部(終端部)T12がリールの径方向の外側から重なるようにリールフレームFR1に巻き回されて(巻きつけられて)いる。リールテープT1は、リールフレームFR1に巻き回されている状態で、透明部63と、長手方向Yにおける最も他方側に配置された図柄(19番図柄)である図柄P4と、がリールの径方向に重なっている。言い換えると、リールテープT1がリールフレームFR1に巻き回されている状態で、透明部63は、長手方向Yの他端部T12によって外面(表面、外周面)が覆われている。
【0083】
また、リールテープT1は、リールフレームFR1に巻き回された状態で、リールテープT1の長手方向Yにおける他方側の端部である他端部T12と、一方側の端部である一端部T11とが、両面テープ等の接着部材66によって接着されている。この接着部材66は、他端T1bから内方へ距離cの範囲内に短手方向Xに沿って延在している。リールテープT1は、接着部材66によって他端部T12の裏面と一端部T11の表面とが密着した状態を維持することが可能となっている。なお、距離cは、例えば、8mmから12mmの範囲の距離に設定されている。また、接着部材65や接着部材66は、例えば白、乳白色、透明等でリールバックライトBLiからの光が透過しやすい素材の両面テープ等で構成されていることが好ましいが、リールテープT1の裏面に塗布された接着剤等で構成されていてもよい。
【0084】
[リールテープの詳細]
図3に示すように、リールテープT1(リールテープT2,リールテープT3も同様)は、長手方向YにおけるY1方向側の一端部T11に対して長手方向YにおけるY2方向側の他端部T12が外側から重なるような形で、円筒状(無端状)となるようにリールフレームFR1(リールフレームFR2,リールフレームFR3)の支持面FRaに巻き回されている。
【0085】
図4に示したリールテープT1の図は、表面側(リールフレームFR1(図3参照)に巻き回された状態での外周面側)から見た図である。図4に示すように、リールテープT1(リールテープT2~T3も同様)に配置されている複数の図柄は、例えば、機種固有にデザインされた数字、文字列、フルーツ、キャラクタ等や、これらの組合せから構成されている。
【0086】
これら複数の図柄には、例えば、図柄P1(図柄「7」)、図柄P2(図柄「BAR」)、図柄P3(図柄「スイカ」)、図柄P4(図柄「ベルA」)、図柄P5(図柄「ベルB」)、図柄P6(図柄「リプレイ」)、図柄P7(図柄「ブランクA」)、図柄P8(図柄「ブランクB」)、等が含まれる(図5参照)。なお、これら図柄の配色(使用されるインクの色)や、背景Hの詳細については後述する。
【0087】
図柄P1(図柄「7」)、図柄P2(図柄「BAR」)は、他の図柄に比して少なくとも短手方向Xの幅が大きく視認性が高くなるように形成されており、内部抽選の結果等に応じて所定のタイミングで停止ボタンを停止操作した場合に有効ラインL1上又は特定領域410b内に表示可能な図柄で、遊技者にとって有利な状態、例えばボーナス状態やAT状態(アシスト状態)へ移行する契機となる図柄組合せを構成するための図柄となっている。
【0088】
図柄P3(図柄「スイカ」)は、内部抽選の結果等に応じて所定のタイミングで停止ボタンを停止操作した場合に有効ラインL1上又は特定領域410b内に表示可能な図柄で、遊技者に有利な抽選の契機となるチャンス役(所謂レア役)の図柄組合せや、遊技者に有利な特典が付与される契機となる図柄組合せを構成するための図柄となっている。
【0089】
図柄P4(図柄「ベルA」)又は図柄P5(図柄「ベルB」)、図柄P6(図柄「リプレイ」)は、内部抽選の結果等に応じて何れのタイミングで停止ボタンを停止操作した場合でも有効ラインL1上又は特定領域410b内に表示可能な図柄で、入賞した場合に小役やリプレイの図柄組合せを構成するための図柄となっている。
【0090】
図柄P7(図柄「ブランクA」)、図柄P8(図柄「ブランクB」)は、内部抽選の結果等に応じて所定のタイミングで停止ボタンを停止操作した場合に有効ラインL1上又は特定領域410b内に表示可能な図柄で、有効ラインL1上又は特定領域410b内に一直線上に揃ったとしても入賞役を構成しない、はずれ等を構成するための図柄となっている。なお、図柄P7(図柄「ブランクA」)、図柄P8(図柄「ブランクB」)は、一直線上に揃うように停止したり所定の形状(山形やL字型など)で停止したりした場合に、機種によって入賞はしないがチャンス役として遊技者に有利な抽選の契機となったり、或いは遊技者にとって有利な状態であることを告知したりする図柄としても用いられる。また、図柄P7(図柄「ブランクA」)、図柄P8(図柄「ブランクB」)は、他の図柄と組合せられた図柄組合せで、特殊小役(1枚役等)として用いられても構わない。
【0091】
上記の図柄P1、図柄P2、図柄P3、図柄P4、図柄P5、図柄P6のそれぞれは、詳しくは後述するように塗料が印刷されることで、図柄の外形の縁(輪郭)を形成する縁部P1a、縁部P2a、縁部P3a、縁部P4a、縁部P5a、縁部P6aと、その縁部P1a、縁部P2a、縁部P3a、縁部P4a、縁部P5a、縁部P6aの内部で着色された着色部P1b、着色部P2b、着色部P3b、着色部P4b、着色部P5b、着色部P6bと、を有している。
【0092】
なお、上記図柄P1、図柄P2は、径方向から視て、縁部P1a、縁部P2aが、第1リム部21、第2リム部22、接着部材65,65と、一部が短手方向Xに重なるように、かつ着色部P1b、着色部P2bが、第1リム部21及び第2リム部22のいずれとも重ならないように配置されている。これにより、着色部P1b、着色部P2bを透過するリールバックライトBLiからの光が第1リム部21及び第2リム部22によって遮られることなく、図柄P1、図柄P2を短手方向Xに大きく見せることができる。
【0093】
一方、上記の図柄P7、図柄P8のそれぞれは、図柄の模様を形成する着色部P7b、着色部P8bを有している。なお、図柄P7及び図柄P8は、着色部P7b及び着色部P8bが線により描かれており、その他の部分は詳しくは後述する背景部である背景Hを形成する背景形成層61が図柄の内部に印刷されて、つまり図柄P7及び図柄P8の着色部P7b及び着色部P8bにおける線以外の部分は背景Hと同色となっている。
【0094】
図4に示すように、上記リールテープT1は、リールフレームFR1に巻き回された状態(つまり透明部63に他端部T12が重なった状態)で長手方向Yを仮想的に均等に20分割した20個の仮想領域(つまり1コマ)のそれぞれに、つまりリールテープT1~T3の長手方向Yに並んだ所定数(20個)の領域のそれぞれに、上記図柄P1~図柄P8の何れか1つずつが配置されている。図4に示すリールテープT1の左側の数字は図柄番号を示しており、一端部T11に最も近い側が0番図柄であり、そこからY2方向に順に、1番図柄、2番図柄、3番図柄、・・・19番図柄として、上記図柄P1~図柄P8の何れか1つが図4に示す配列で配置されている。なお、リールテープT2及びリールテープT3においては、図4に示すリールテープT1の配列とは異なる配列で、同様に0番図柄~19番図柄として格仮想領域に対して上記図柄P1~図柄P8の何れか1つが配置されている。
【0095】
また、本実施形態では、各仮想領域(1コマ)に配置される図柄は、その仮想領域のX方向(幅方向)の中心線とY方向(周方向)の中心線とが交わる仮想領域の中心に、各図柄のX方向(幅方向)の両端部に対する中心線と図柄のY方向(周方向)の両端部に対する中心線とが交わる図柄の中心が一致するように配置されている。しかしながら、これに限らず、図柄の形状や配列に応じて、図柄の中心が仮想領域の中心に対してズレるように配置されていてもよい。本実施形態では、特に接着部材66が裏面に配置される19番図柄について、接着部材66に対して図柄P4の縁部P4aに重なり、着色部P4bには重ならないように配置されていることで、着色部P4bが暗くならず、図柄P4として綺麗にかつ見易くなるように構成されている。例えばこの図柄P4のY方向(周方向)の高さの距離がさらに大きい場合等では、図柄の中心が仮想領域の中心に対してY1方向にズラして配置することで、接着部材66の影によって図柄P4の着色部P4bが見難くなることを避けることができる。
【0096】
図7は、例えば図柄P1(図柄「7」)が配置された部分におけるリールテープT1の断面図である。リールテープT1(リールテープT2~T3も同様)は、それぞれ図柄の配置(図柄の種類、特定の図柄の個数、図柄が並ぶ順番等)及びそれらを識別するための識別表示70が異なるが、他の構成は同様であるため、以下、リールテープT1を例に説明し、リールテープT2及びリールテープT3におけるリールテープT1と同様の構成についての説明は省略する。
【0097】
図4、及び図7に示すように、リールテープT1は、透明な合成樹脂製の基材60の裏面に対し、色(Y,M,C,K、及びWH(背景))や透明度(チヂミ)が異なる複数種類の塗料等によりシルク印刷される印刷層が積層されて構成されており、例えば、基材60の裏面に近い側から順番に、複数の図柄を形成する図柄形成層(図柄部)67、表面側から視た際の図柄の周囲に延在する領域である背景Hを形成する背景形成層61、詳しくは後述する第2背景形成層61bが形成されていない部分において、リールバックライトBLiからの光を拡散するための透明チヂミ形成層(拡散層)64、図柄形成層67の裏から図柄の着色部を補色するための補色形成層69が重ねられて、それぞれの層がスクリーン印刷等によって形成されている。なお、本第1実施形態においては、リールテープT1~T3に裏打ち形成層が形成されてなく、リールバックライトBLiの光が透過し易く、リールテープT1~T3の全体が特定領域410bの内部で明るく照明され、特定領域410bに液晶による画像が表示されても、リールテープT1~T3の各図柄が視認し易くなるように構成されている。
【0098】
なお、本実施形態において図柄を形成するシルク印刷で使用される色はY(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)、K(ブラック)の4色の合計4色であり、これらY,M,C,Kの4色のインクのドットないしベタが隣接ないし重なり合うことで中間色も表現可能となるように印刷されている。また、これら4色の印刷層に加え、白色(WH)の背景形成層61が二層で形成されることで、図柄P1、図柄P2、図柄P3、図柄P4、図柄P5、図柄P6、図柄P7、図柄P8に対する背景Hが形成される。但し、このような4色のインクによる印刷手法でリールテープT1の着色部P1b、着色部P2b、着色部P3b、着色部P4b、着色部P5b、着色部P6bを形成した場合、各色のドット同士に隙間が生じること等に起因して、図柄の着色部の色が薄くなる可能性がある。そのため、各着色部の裏側に補色する補色形成層69を印刷して、各図柄の色が薄くならないように構成している。本実施形態では、補色形成層69を透明チヂミ形成層64の裏側に形成しているが、この順は反対であっても構わない。補色形成層69を形成する場合のインクの色は、その図柄のメインとなる色が好ましく、例えば図柄P1(図柄「7」)である場合、詳しくは後述するように図柄のメインの色が濃ピンクとなるため(図5(a)参照)、赤色やピンク色等が好ましい。また、例えば図柄P3(図柄「スイカ」)である場合、詳しくは後述するように図柄のメインの色が緑となるため(図5(c)参照)、緑色等が好ましい。また、例えば図柄P4(図柄「ベルA」)や図柄P5(図柄「ベルB」)である場合、詳しくは後述するように図柄のメインの色が黄色となるため(図5(d)、図5(e)参照)、黄色等が好ましい。そして、例えば図柄P6(図柄「リプレイ」)である場合、詳しくは後述するように図柄のメインの色が水色となるため(図5(f)参照)、青色や水色等が好ましい。
【0099】
上記図柄形成層67は、図7に示すように、大まかに、縁形成層67aと着色形成層67bとにより形成されており、縁形成層67aは、上記各図柄P1~P6の縁部P1a~P6aを形成する黒色(K)の層(インク層)が印刷されることで形成されている。即ち、縁部P1a~P6aは、図柄の外形(輪郭)を形成しており、上記黒色の塗料で黒色に形成され、リールバックライトBLiからの光(可視光)が透過し難くなるように、つまり明度が低くなるように形成されている。なお、縁形成層67aは、少なくとも図柄の縁部を形成していればよく、縁部を形成する塗料と同一の塗料等によって縁部の内部領域の一部が形成されていてもよい。また、縁形成層67aは、各図柄間で同一の塗料等によって形成されているものに限らず、各図柄間で異なる塗料によって形成されていてもよい。また、本実施形態の縁部は黒色の塗料で黒色に形成されるものを説明するが、暗灰色、濃紺色等であっても構わない。
【0100】
また、着色形成層67bは、上記4色の塗料が重ねられて形成されている。即ち、上記縁形成層67aと着色形成層67bとにより、リールテープT1の表面から見て各図柄の形状(デザイン)が形成されている。着色形成層67bは、例えば、基材60の裏面に近い側から順番に、ブラック(K)の層、シアン(C)の層、マゼンダ(M)の層、イエロー(Y)の層が、詳しくは後述する各図柄P1~P8の配色となるように印刷されることで形成されている。なお、着色形成層67bは、縁形成層67aに一部が重なるように形成されることで、印刷ずれが生じても、縁形成層67aと着色形成層67bとの間に隙間が生じないように、印刷領域が設定されている。また、ブラック(K)の層は、基本的に上記縁形成層67aに用いられるが、図柄によっては、模様や各模様の輪郭線等で着色形成層67bとしても用いられる。
【0101】
なお、着色形成層67bは、例えば、大部分が縁形成層67a(黒色)よりも彩度や明度が高い、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の塗料によって形成されている。なお、図7において着色形成層67bは、一層であるものを示しているが、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)のドットが表現したい色となるように、各塗料の色の割合が好適な面積比となるように印刷されるものである。
【0102】
上記背景形成層61は、図7に示すように、基材60の裏面に近い側に印刷され、背景Hの第1層目として基材60の裏面に近い側に印刷される第1背景形成層61aと、基材60に対してその第1背景形成層61aを挟んで反対側に印刷される第2背景形成層61bと、を含んでいる。本第1実施形態において、第1背景形成層61aは白色の1層目(以下、「白1(WH1)」という)の層により、第2背景形成層61bは白色の2層目(以下、「白2(WH2)」という)の層により、それぞれ形成されている。これら白1(WH1)の層と白2(WH2)の層とは、同じインクの層からなり、背景Hにおいては、基本的に白1(WH1)の層と白2(WH2)の層とが印刷されるため、つまり背景Hは白色のインク層が2層構造となるように形成されている。
【0103】
なお、上記図柄形成層67の着色形成層67bにおいて、白色を表現したい部分には(図5(a)参照)、この背景Hに用いられる白1(WH1)の層だけが印刷され、白2(WH2)の層は印刷されない。これにより、着色形成層67bにおける白色部分は、背景Hの2層構造よりも上記リールバックライトBLiからの光が透過し易く、明るい白色を表現することができるように構成されている。
【0104】
また、図4に示すように、リールテープT1の長手方向Yにおける一方側(Y1方向側、図4に示す下方側)の一端部T11には、図柄形成層67及び背景形成層61のいずれも形成されない透明部63が形成されている。透明部63(一端部T11)は、リールテープT1がリールフレームFR1に巻つけられた状態で他端部T12に重なって隠れるように配置され、換言すると、背景Hが少なくとも一周して繋がるように形成されている。
【0105】
透明チヂミ形成層64は、図7に示すように、基材60に対して背景形成層61を挟んで反対側に印刷される層であり、紫外線硬化型の透明な塗料(インク)で例えば印刷後に紫外線を照射して塗料を硬化収縮させることにより、皺(シワ)(細かい凹凸)を発生させることで形成されるチヂミの層により形成されている。また、本第1実施形態において、透明チヂミ形成層64は、図柄形成層67に重なって覆うように、つまり各図柄P1~P6の領域を覆うように印刷されている。これにより、各図柄P1~P6の着色部P1b~P6bにおいて透過された上記リールバックライトBLiからの光は、透明チヂミ形成層64により不規則に屈曲ないし反射されることで拡散されて、上記リールバックライトBLiのLEDから光が点状に光る、所謂点光が発生することを防止でき、図柄P1~P6の見栄えが悪くなることの抑制を図って、図柄P1~P6の視認性を向上することができる。なお、本実施形態において、図柄P7~P8には透明チヂミ形成層64が形成されていない。
【0106】
[各図柄の詳細]
ついで、各図柄P1~P8の詳細な配色について図5を用いて説明する。図5は第1実施形態に係る図柄を示す図で、(a)は7図柄を示す図、(b)はBAR図柄を示す図、(c)はスイカ図柄を示す図、(d)はベルA図柄を示す図、(e)はベルB図柄を示す図、(f)はリプレイ図柄を示す図、(g)はブランクA図柄を示す図、(h)はブランクB図柄を示す図である。
【0107】
図5(a)に示すように、図柄P1(図柄「7」)は、縁部P1aが縁形成層67aとして黒(BL)となるようにブラック(K)のインクにより形成されていると共に、着色部P1bが着色形成層67bとして、濃ピンク(PK1)となるように配合されたYMCKのインクによる模様(内側の輪郭線)、白1(WH1)のインクによる模様(縁部P1aの内部の塗り部分)、が形成され、さらに、透明チヂミ形成層64として、チヂミ(TP)のインクによる層が図柄P1の全体の裏側を覆うように形成されている。
【0108】
図5(b)に示すように、図柄P2(図柄「BAR」)は、縁部P2aが縁形成層67aとして黒(BL)となるようにブラック(K)のインクにより形成されていると共に、着色部P2bが着色形成層67bとして、ピンク(PK2)となるように配合されたYMCKのインクによる模様(BARの字体の輪郭)、白1(WH1)のインクによる模様(縁部P2aの内部の塗り部分、BARの字体の内部の塗り部分)、が形成され、さらに、透明チヂミ形成層64として、チヂミ(TP)のインクによる層が図柄P2の全体の裏側を覆うように形成されている。
【0109】
図5(c)に示すように、図柄P3(図柄「スイカ」)は、縁部P3aが縁形成層67aとして黒(BL)のインクにより形成されていると共に、着色部P3bが着色形成層67bとして、黒(BL)となるようにブラック(K)のインクによる模様(スイカの縞模様と種の模様)、濃ピンク(PK1)となるように配合されたYMCKのインクによる模様(スイカの断面の模様)、緑色(GN)となるように配合されたYMCKのインクによる模様(スイカの表面模様、オレンジの茎の模様)、オレンジ(OL)となるように配合されたYMCKのインクによる模様(オレンジの表面の模様)、グレー(GR)となるようにブラック(K)のインクによる模様(オレンジの影の模様)、白1(WH1)のインクによる模様(スイカの皮断面の模様、オレンジの窪み模様)、が形成され、さらに、透明チヂミ形成層64として、チヂミ(TP)のインクによる層が図柄P3の全体の裏側を覆うように形成されている。
【0110】
図5(d)に示すように、図柄P4(図柄「ベルA」)は、縁部P4aが縁形成層67aとして黒(BL)となるようにブラック(K)のインクにより形成されていると共に、着色部P4bが着色形成層67bとして、黒(BL)となるようにブラック(K)のインクによる模様(ベルの輪郭の模様)、黄(YL)となるように配合されたYMCKのインクによる模様(ベルの表面模様)、オレンジ(OL)となるように配合されたYMCKのインクによる模様(ベルの暗くなった部分の模様)、詳しくは後述するモアレ黒(MBL)となるようにマゼンダ(M)のドットとブラック(K)のドットとを含むYMCKのインクによる模様(ベルの影となる部分の模様)が形成され、さらに、背景H(白1(WH1)と白2(WH2)とが2層で形成された層)が露出する模様(ベルのテカリの模様)が形成されている。また、透明チヂミ形成層64として、チヂミ(TP)のインクによる層が図柄P4の全体の裏側を覆うように形成されている。
【0111】
図5(e)に示すように、図柄P5(図柄「ベルB」)も、縁部P5aが縁形成層67aとして黒(BL)となるようにブラック(K)のインクにより形成されていると共に、着色部P5bが着色形成層67bとして、黒(BL)となるようにブラック(K)のインクによる模様(ベルの輪郭の模様)、黄(YL)となるようにイエロー(Y)のインクによる模様(ベルの表面模様)、オレンジ(OL)となるようにマゼンダ(M)とイエロー(Y)とブラック(K)とのインクによる模様(ベルの暗くなった部分の模様)、詳しくは後述するモアレ黒(MBL)となるようにマゼンダ(M)のドットとブラック(K)のドットとを含むYMCKのインクによる模様(ベルの影となる部分の模様)が形成され、さらに、背景H(白1(WH1)と白2(WH2)とが2層で形成された層)が露出する模様(ベルのテカリの模様)が形成されている。また、透明チヂミ形成層64として、チヂミ(TP)のインクによる層が図柄P5の全体の裏側を覆うように形成されている。なお、図柄P5(図柄「ベルB」)は、図柄P4(図柄「ベルA」)に比して、鐘の舌の位置が変更されたものであり、その他の部分は図柄P4(図柄「ベルA」)と同様に形成されるものであるので、図柄P4(図柄「ベルA」)と図柄P5(図柄「ベルB」)とは、遊技者が同じ種類の図柄と認識可能な図柄である。
【0112】
図5(f)に示すように、図柄P6(図柄「リプレイ」)は、縁部P6aが縁形成層67aとして黒(BL)となるようにブラック(K)のインクにより形成されていると共に、着色部P6bが着色形成層67bとして、黒(BL)となるようにブラック(K)のインクによる模様(縁部P6aの内側の輪郭)、水色(WB)となるように配合されたYMCKのインクによる模様(REPの輪郭を囲む塗り部分)、白1(WH1)のインクによる模様(縁部P4aの内部の塗り部分、REPの字体の内部の塗り部分)、が形成され、さらに、透明チヂミ形成層64として、チヂミ(TP)のインクによる層が図柄P6の全体の裏側を覆うように形成されている。
【0113】
図5(g)に示すように、図柄P7(図柄「ブランクA」)は、縁部が形成されてなく、着色部P7bが着色形成層67bとして、グレー(GR)となるようにブラック(K)のインクによる模様(外側の輪郭と内側の星模様)、が形成され、その他の部分は、背景Hがそのまま露出しており、つまり白1(WH1)と白2(WH2)とが2層で形成された背景Hで図柄の内部が塗られた形となっている。なお、図柄P7(図柄「ブランクA」)については、透明チヂミ形成層64が形成されていない。
【0114】
図5(h)に示すように、図柄P8(図柄「ブランクB」)は、縁部が形成されてなく、着色部P8bが着色形成層67bとして、グレー(GR)となるようにブラック(K)のインクによる模様(外側の輪郭と内側の星模様)、が形成され、その他の部分は、背景Hがそのまま露出しており、つまり白1(WH1)と白2(WH2)とが2層で形成された背景Hで図柄の内部が塗られた形となっている。なお、図柄P8(図柄「ブランクB」)についても、透明チヂミ形成層64が形成されていない。
【0115】
[図柄「ベルA」及び図柄「ベルB」の印刷構成の詳細]
続いて、第1特定図柄としての図柄P4(図柄「ベルA」)及び第2特定図柄としての図柄P5(図柄「ベルB」)の詳細、特に図柄における明部と暗部との表現手法について説明する。図5(d)に示すように、図柄P4(図柄「ベルA」)は、図中の左上方向に光源があり、図柄が光源の光が当たって照らされていることを示す第1明部としての明部P4Mと、明部P4Mよりも光源の光が当たっていないことを示す第1暗部としての暗部P4Dと、を有するようにデザイン的に表現されている。特に明部P4Mには、光が反射していることを示すテカリTkとなる部分が形成されており、反対に、暗部P4Dには、鐘の舌に形成された陰Kgとなる部分が形成されている。このように明部P4Mと暗部P4Dとが形成されていることで、図柄P4に視覚的な立体感を与えることができ、デザイン性を良好にすることができている。
【0116】
同様に、図5(e)に示すように、図柄P5(図柄「ベルB」)も、図中の左上方向に光源があり、図柄が光源の光が当たって照らされていることを示す第2明部としての明部P5Mと、光源の光が当たっていないことを示す第2暗部としての暗部P5Dと、を有するようにデザイン的に表現されている。特に明部P5Mには、光が反射していることを示すテカリTkとなる部分が形成されており、反対に、暗部P5Dには、鐘の舌に形成された陰Kgとなる部分が形成されている。このように明部P5Mと暗部P5Dとが形成されていることで、図柄P5に視覚的な立体感を与えることができ、デザイン性を良好にすることができている。
【0117】
[暗部(陰)を形成する場合の問題点]
ここで、上記暗部P4D及び暗部P5Dにおける陰Kgとなる部分を形成する上での問題点を説明する。この陰Kgとなる部分を例えば単にブラック(K)のインクをベタ(全領域が埋まるように塗ること)で形成すると、黒色が強くなって黒光りしたようなデザインとなり、黒色が他の部分よりも強く協調された状態となるばかりか、平たく立体感が無いように見え、本来は目立たないはずの暗部P4D及び暗部P5Dにおいて違和感が強くなってしまうという問題があった。また、陰Kgとなる部分を例えばブラック(K)のインクのドットで形成したとしても、平たく立体感が無いように見え、明部と暗部とを形成して立体感を与えようとした図柄に違和感を生じる恐れがあった。そこで、本実施形態においては、以下のように陰Kgの部分を形成することで、この問題を解消するものである。
【0118】
[陰におけるモアレ形成]
ついで、本第1実施形態における図柄P4(図柄「ベルA」)における暗部P4D、及び図柄P5(図柄「ベルB」)における暗部P5Dの形成手法について図6を用いて説明する。図6は第1実施形態に係るベルA図柄の詳細を示す図であり、特に陰Kgの部分を拡大して示す図である。なお、図柄P5(図柄「ベルB」)は、図柄P4(図柄「ベルA」)に比して、鐘の舌の位置が変更されたものであり、その他の部分は図柄P4(図柄「ベルA」)と同様に形成されるものであるので、図柄P4(図柄「ベルA」)を一例に説明し、図柄P5(図柄「ベルB」)の説明は省略する。
【0119】
図6に示すように、図柄P4(図柄「ベルA」)においては、明部P4MがテカリTk以外の領域で黄色(YL)となっており、テカリTk以外のベルを示す着色部P4bの領域全体に、イエロー(Y)のインクが例えば面積比で100%となるように、つまりイエロー(Y)のインクがベタとなるように形成されている。暗部P4Dは、このようにイエロー(Y)のインクがベタとなるように形成された領域に、マゼンダ(M)のインクの網点(以下、「ドット」ともいう)で形成された第1網点部として第1ドット部Dt1が重ねられることで形成されている。第1ドット部Dt1は、マゼンダ(M)のインクのドットが例えば面積比で30%~50%となるように形成されており、イエロー(Y)のベタに第1ドット部Dt1のマゼンダ(M)のドットが混ざることでオレンジ色(OL)が形成され、これによって、明部P4Mよりも視覚的に暗くなる暗部P4Dが形成されている。この第1ドット部Dt1におけるマゼンダ(M)のドットが配列された第1方向D1(つまりドットが並ぶ方向)は、リールテープT1の短手方向(図中の左右方向)に対して角度θ1(本実施形態では30度)となっている。
【0120】
暗部P4Dにおける陰Kgの領域ArMは、イエロー(Y)のインクがベタで形成され、かつ第1ドット部Dt1のマゼンダ(M)のインクのドットが形成された領域に、ドットで形成された第2網点部として第2ドット部Dt2が重ねられることで形成されている。第2ドット部Dt2は、ブラック(K)のインクのドットが例えば面積比で30%~50%となるように形成されている。この第2ドット部Dt2のブラック(K)のドットが配列された第2方向D2(つまりドットが並ぶ方向)は、リールテープT1の短手方向(図中の左右方向)に対して角度θ2(本実施形態では60度)となっており、つまりマゼンダ(M)のドットが配列された第1方向D1と異なる角度となっている。このように形成された陰Kgは、マゼンダ(M)のドットとブラック(K)のドットとが互いに干渉して干渉縞を発生し、所謂モアレが形成された領域ArMとなっている。このため、暗部P4Dが有する陰Kgの領域ArMは、黒っぽく形成されつつも、ベタの黒色や平たいドットの黒色とは異なる色に見える干渉縞の黒色(以下、「モアレ黒」という)に形成される。このように、暗部P4Dが陰Kgの領域としてモアレが形成された領域を有することで、黒色が強くなってしまったり立体感が無くなってしまったりすることを防ぐことができて、図柄のデザイン性、つまりはリールテープT1のデザイン性を向上することができる。
【0121】
なお、図柄P5(図柄「ベルB」)における暗部P5Dも、イエロー(Y)のインクがベタとなるように形成された領域に、マゼンダ(M)のインクのドットで形成された第1網点部として第1ドット部Dt1が重ねられることで形成されており、また、暗部P5Dの陰Kgの領域ArMも、イエロー(Y)のインクがベタで形成され、かつ第1ドット部Dt1のマゼンダ(M)のインクのドットが形成された領域に、ドットで形成された第2網点部として第2ドット部Dt2が重ねられることで形成されている。ここで、第1ドット部Dt1は、図柄P4(図柄「ベルA」)にも図柄P5(図柄「ベルB」)にも形成されていることになるが、これはマゼンダ(M)のインクのドットを形成するシルク印刷の版が同一の版であるので、本実施形態では、2つの図柄のそれぞれにマゼンダ(M)のインクのドットを形成した部分という意味で第1ドット部Dt1を定義するものである。また同様に、第2ドット部Dt2は、図柄P4(図柄「ベルA」)にも図柄P5(図柄「ベルB」)にも形成されていることになるが、これはブラック(K)のインクのドットを形成するシルク印刷の版が同一の版であるので、本実施形態では、2つの図柄のそれぞれにブラック(K)のインクのドットを形成した部分という意味で第2ドット部Dt2を定義するものである。
【0122】
[第1実施形態のまとめ]
以上説明したように、本第1実施形態に係るリールテープT1における図柄P4は、マゼンダ(M)の塗料(インク)とブラック(K)の塗料(インク)とを含む複数の塗料により形成されており、マゼンダ(M)の塗料は、ドットで形成された第1ドット部Dt1を形成し、ブラック(K)の塗料は、ドットで形成された第2ドット部Dt2を形成している。そして、第1ドット部Dt1と第2ドット部Dt2とが重ねられることでモアレが形成された領域ArMである陰Kgを有している。このように、モアレで形成された陰Kgの領域ArMを有していることで、例えば黒色のベタで形成されて黒光りしたり、単に黒色のドットで形成されて平面的になったりすることがなく、図柄P4のデザイン性、つまりはリールテープT1のデザイン性を良好にすることができている。
【0123】
また特に、図柄P4は、光が当たっていることを示す部分である明部P4Mと、光が当たっていないことを示す部分である暗部P4Dとを有しており、暗部P4Dにおいて、第1ドット部Dt1と第2ドット部Dt2とが重ねられることでモアレが形成された領域ArMである陰Kgを有している。このように、明部P4Mと暗部P4Dとによって視覚的に立体感が与えられた図柄P4において、暗部P4Dがモアレで形成された陰Kgの領域ArMを有していることで、例えば黒色のベタで形成されて黒光りしたり、単に黒色のドットで形成されて平面的になったりすることがなく、図柄P4のデザイン性、つまりはリールテープT1のデザイン性を良好にすることができている。
【0124】
また、例えば第1ドット部Dt1のドットの規則性(ドットの大きさや間隔)と第2ドット部Dt2のドットの規則性(ドットの大きさや間隔)とを異ならせつつ干渉させることでモアレを形成することも考えられる。しかしながら、ドットの規則性を変更する場合、その塗料をシルク印刷する場合の版の網目を色ごとに変更する必要が生じ、コストが高くなったり、他の部分における画質の粗さに繋がってデザイン性を損なったりする恐れもある。
【0125】
本第1実施形態においては、第1ドット部Dt1におけるドットを第1方向D1に配列させて形成し、第2ドット部Dt2におけるドットを第1方向D1に対して異なる角度の第2方向D2に配列させて形成することで、上記モアレを形成している。これにより、コストアップや他の部分のデザイン性を損なうことなく、モアレを形成することができ、リールテープT1のデザイン性を良好にすることができている。
【0126】
そして、本第1実施形態に係るリールテープT1における遊技者が図柄P4と同じ種類の図柄と認識可能な図柄P5も、マゼンダ(M)の塗料(インク)とブラック(K)の塗料(インク)とを含む複数の塗料により形成されており、マゼンダ(M)の塗料は、ドットで形成された第1ドット部Dt1を形成し、ブラック(K)の塗料は、ドットで形成された第2ドット部Dt2を形成している。また、図柄P5は、光が当たっていることを示す部分である明部P5Mと、光が当たっていないことを示す部分である暗部P5Dとを有しており、暗部P5Dは、第1ドット部Dt1と第2ドット部Dt2とが重ねられることでモアレが形成された領域ArMである陰Kgを有している。このように、明部P5Mと暗部P5Dとによって視覚的に立体感が与えられた図柄P5において、暗部P5Dがモアレで形成された陰Kgの領域ArMを有していることで、例えば黒色のベタで形成されて黒光りしたり、単に黒色のドットで形成されて平面的になったりすることがなく、図柄P5のデザイン性、つまりはリールテープT1のデザイン性を良好にすることができている。
【0127】
[第1実施形態の変形例]
なお、以上説明した第1実施形態においては、リールテープT1~T3に対してY,M,C,Kの4色のインクによって図柄や背景を印刷し、特に陰Kgの領域ArMをマゼンダ(M)の塗料(インク)のドットとブラック(K)の塗料(インク)のドットとによってモアレが生じるように形成したものを説明したが、これに限らず、例えば後述する第2実施形態のように、各色のインクによって複数層のシルク印刷を行うもので、異なるインクのドットによってモアレが生じるように形成したものでも構わない。
【0128】
また、上記第1実施形態においては、陰Kgの領域ArMにおいて、第1ドット部Dt1におけるマゼンダ(M)のインクのドットを第1方向D1に配列させ、第2ドット部Dt2におけるブラック(K)のインクのドットを第1方向D1に対して異なる角度の第2方向D2に配列させることでモアレを生じさせるものを説明したが、これに限らず、これらのドットを同じ方向に配列させたものでも構わない。2種類のドットを同じ方向に配列したとしても、例えば一方のインクのドットの間隔を他方のインクのドットの間隔と異ならせることでモアレを生じさせることも考えられる。
【0129】
また、上記第1実施形態においては、マゼンダ(M)のインクのドットとブラック(K)のインクのドットとを異なる方向に配列したものを説明したが、これらに限らず、全てのインクのドットを同じ方向(例えばリールテープT1の短手方向に対して30度、又は45度、又は60度等)に揃えても構わない。
【0130】
さらに、上記第1実施形態においては、マゼンダ(M)のインクのドットをリールテープT1の短手方向に対して30度に傾斜させ、ブラック(K)のインクのドットをリールテープT1の短手方向に対して60度に傾斜させたものを説明したが、これらの角度はどのような角度でも構わない。但し、各インクのドットをリールテープT1の短手方向に対して0度或いは90度のように配列すると、特にリールR1~R3と対向する透過液晶ディスプレイである表示装置410の液晶素子が配列された角度と重なる恐れがあり、その場合、リールテープT1~T3に印刷されたドットと液晶素子とが干渉して視認性を損なう可能性がある。そのため、各色のインクは、リールテープT1の短手方向に対して0度(水平方向)や90度(垂直方向、リール回転方向)に対して異なる角度に配列しておくことで、リールテープT1~T3の視認性を向上することができる。
【0131】
<第2実施形態>
続いて、上記第1実施形態を一部変更した第2実施形態について図8乃至図14を用いて説明する。なお、本第2実施形態の説明においては、上記第1実施形態と同様な部分に同符号を用い、その説明を省略する。
【0132】
上記第1実施形態においては、リールテープT1~T3に対してY,M,C,Kの4色のインクによって図柄や背景を印刷したものを説明したが、本第2実施形態においては、リールテープT1~T3に対して各色のインク(第1塗料、第2塗料、第3塗料を含む複数の塗料)によって複数層のシルク印刷(図14参照)を施すことで図柄や背景を形成するものである。また、本第2実施形態においては、上記第1実施形態に比して、背景Hに背景模様Hmを形成したものである。なお、図14に示す複数層のシルク印刷を施すための複数のインクは、基材60に近い側から順に印刷されるものであり、かつ概ね明度や彩度が低い順に印刷されるものである。
【0133】
[リールテープのデザイン性の問題点]
ここで、リールテープのデザイン性の問題点について説明する。リールテープT1~T3に形成する図柄や背景には、遊技の公平性を担保するために、好適な視認性を有することが求められる。そのため、ドットを用いたハーフトーンとなる印刷領域がないシンプルな図柄や背景を採用したものもある。しかし、ドットを用いていない図柄や背景は、デザイン性に乏しくなる恐れがある。つまり、ドットを用いた方がハーフトーンやグラデーション等の表現が可能となるため、デザイン性を向上することができる。しかしながら、ドットを用いた場合にあって、特に複数層の印刷を行う場合にドット同士が重なると、モアレを生じてしまい、デザイン性を損なう恐れがあるという問題があった。そのため、本第2実施形態においては、ドットを用いつつモアレが生じることを防止することを可能として、リールテープのデザイン性の向上を図るものである。
【0134】
[背景模様について]
ついで、第2実施形態に係るリールテープT1~T3における背景部としての背景Hとその背景模様Hmとの詳細について図12図13、及び図14を用いて説明する。図12は第2実施形態に係る一区画における背景模様を示す図である。図13は第2実施形態に係るリプレイ図柄におけるリールテープの断面を示す図である。図14は第2実施形態に係るインクの種類と各層との関係を示す図である。なお、図12に示す図は、背景Hを説明するため、図柄P11~P20を省略した(消した)状態で、一区画としての1コマ分のものを示している。なお、本第2実施形態においても、リールテープT2~T3は、リールテープT1と同様の構成であるため、リールテープT1について説明を行い、リールテープT2~T3の説明を省略する。
【0135】
背景Hは、図13及び図14に示すように、基材60の裏面から順に、極薄ピンク(PK4)のインクが印刷される層である背景模様形成層61m、白1(WH1)のインクが印刷される層である第1背景形成層61a、白2(WH2)のインクが印刷される層である第2背景形成層61b、によって構成されている。このうち第1背景形成層61aは白1(WH1)のインクがベタで印刷されたベタ層となっている。また、第2背景形成層61bも白2(WH2)のインクがベタで印刷されている。特に、背景模様形成層61m(後述するように極薄ピンク(PK4)のインクのドットで形成された部分を含む)と、第1背景形成層61a(白1(WH1)のインクのベタの層)とは、基材60に対する層方向、つまり表裏の方向に隣接するように配置されている。
【0136】
なお、本第2実施形態においては、背景Hのベースとなる色が白系の色となるように、白1(WH1)及び白2(WH2)のインクを用いたものを説明しているが、これに限らず、薄い色であって、図柄P11~P20よりも目立たない(インパクトが小さい)控えめの色で、つまり薄い色であれば、どのような色であっても構わない。即ち、背景Hのベースとなる色は、例えば、薄ピンク、薄水色、薄紫色、薄橙色等も考えられる。また、本第2実施形態においては、背景模様Hmが極薄ピンク(PK4)のインクを用い、その濃さ(ドットの粗さであって、ドットの面積比)を変えたものを説明するが、これに限らず、薄い色であって、図柄P11~P20よりも目立たない(インパクトが小さい)控えめの色で、つまり薄い色であれば、どのような色であっても構わない。即ち、背景模様Hmの色は、例えば、白色、薄ピンク、薄水色、薄紫色、等も考えられ、特に背景Hのベースの色と異なる色であればよい。
【0137】
図12に示すように、背景Hは、リールテープT1の短手方向Xにおいて、両端側にそれぞれ背景模様Hmと、それらの間に背景中央部HCと、を有する形で構成されており、つまりリールテープT1において短手方向Xの両端まで印刷されている。背景中央部HCは、背景模様Hmが形成されていない領域であり、つまり図柄P11~P20が形成されていない部分では、第1背景形成層61a及び第2背景形成層61bの2層で白色に印刷されている。
【0138】
一方、背景模様Hmは、第1背景形成層61a及び第2背景形成層61bよりも基材60の側に印刷されており、リールテープT1の短手方向Xにおける両端である右端T1c及び左端T1dから、それぞれ例えば15mm程度の幅を有するように形成され、詳しくは後述する図柄P11~P20のうちの、図柄P11(図柄「ベル」)、図柄P12(図柄「リプレイA」)、図柄P13(図柄「リプレイB」)、図柄P14(図柄「チェリー」)、図柄P15(図柄「スイカ」)には重ならず(図8参照)、つまり、これらの図柄P11~P15は、背景中央部HCの領域の範囲内に収まるように印刷される。
【0139】
また、背景模様Hmは、詳しくは後述するように断裁された状態でリールテープT1の短手方向Xにおける両端に形成された端部であって、右端T1c及び左端T1dから、それぞれ例えば2mm程度の距離dを有して後述の模様形状Hmk1,Hmk2が形成されていない模様端部Hmedと、その模様端部Hmedから例えば13mm程度の幅で、実際に模様形状Hmk1,Hmk2を有するように形成される模様形成部Hmmnと、を有している。そして、模様端部Hmed及び模様形成部Hmmnは、詳しくは後述する図柄P11~P20のうちの、図柄P16(図柄「白7」)、図柄P17(図柄「銀BAR」)、図柄P18(図柄「黒BAR」)、図柄P19(図柄「ブランク」)、図柄20(図柄「ボーナス」)と少なくとも一部が重なるように印刷され、特に模様端部Hmedは、それら図柄P16~P18,P20の縁部P16a~P18a,P20aの一部と重なるように印刷される(図8参照)。これにより、図柄P16~P18,P20は、リールテープT1の短手方向Xにおいて、最大限のサイズとなるように配置され、全図柄の中でもインパクトが強い図柄として形成することができている。
【0140】
また、背景模様Hmの模様形成部Hmmnは、本実施形態では第2塗料としての極薄ピンク(PK4)により形成されており、模様端部Hmedの境界部分が、極薄ピンク(PK4)の濃さが最も濃い状態(例えば極薄ピンク(PK4)が70%)となるように、かつ、背景中央部HCまで(つまりリールテープT1の短手方向の中央に向かって)徐々に極薄ピンク(PK4)の濃さが連続的ないし段階的に変化して薄くなって無くなるように形成され、所謂グラデーションとなるように形成されている。この模様形成部Hmmnに形成された模様形状Hmk1は、模様端部Hmedのうちの最も濃い色(例えば極薄ピンク(PK4)が70%)となって所謂ベタの状態となるように形成され、一方の模様形状Hmk2は、背景模様Hmのインクが無い(例えば極薄ピンク(PK4)が0%)となって所謂白抜き模様となるように形成されている。従って、背景模様Hmの模様形成部Hmmnは、模様形状Hmk1及び模様形状Hmk2を有するものでありながら、全て一種類(一色)の極薄ピンク(PK4)のインクだけで模様が形成されるように印刷されている。そして、この背景模様Hmにおける最も濃い色(例えば極薄ピンク(PK4)が70%)となる部分以外における薄い色となる部分は、背景網点部として極薄ピンク(PK4)のインクのドットによって形成され、その濃さは領域に対するドットを形成するシルク印刷の版の網目の面積比(%)で定義される。つまり、最も濃い色が例えば極薄ピンク(PK4)の70%であるのは、ドットが印刷された際にインクがリールテープT1~T3の表面上で広がって隣り合うドットと繋がって隙間なく印刷された、所謂ベタの状態となるためである。つまり、濃さを示す単位である領域に対するドットの面積比(%)は、シルク印刷の版におけるインクを通過させる網目の面積比であると言える。
【0141】
また、背景模様Hmは、図12に示すパターンHmPが、各図柄P11~P20が配置される領域である1コマ分のパターンを形成し、かつリールテープT1の長手方向Yに対して、パターンHmPを繰り返して並ぶように印刷されている。つまり、パターンHmPの背景模様が0番図柄から19番図柄(図4参照)の背景として配置されるように印刷される。
【0142】
ところで、背景Hを形成する背景形成層61は、図4に示すように、0番図柄の領域よりも長手方向Y1に長くなるように形成されている。即ち、背景形成層61は、リールテープT1の他端T1bが重なる領域となる背景重なり部61ovを有しており、その分、背景形成層61の端部61Aa(61Ba)が、0番図柄の領域よりも長手方向Y1の側に突出した位置となり、要するに背景Hが図柄P11~P20が配置される0番図柄~19番図柄の領域よりも長くなるように形成されている。そして、この背景重なり部61ovには、上記模様形状Hmk1や模様形状Hmk2が形成されないように構成されている。これにより、リールテープT1の他端T1bを透明部63に重ねてリールフレームFR1に巻き回して接着する際に、貼付け位置にズレが生じたとしても、模様形状Hmk1や模様形状Hmk2が途切れた形とならず、かつ背景模様Hmの模様形成部Hmmn及び模様端部Hmedが背景重なり部61ovまで形成されていることで、透明部63が露出してリールバックライトBLiの光が直接的に漏れ出ることも防止され、見栄えが低下することの防止を図ることができる。
【0143】
(背景模様の模様端部について)
ところで、3つのリールテープT1~T3は、一枚のシート状の基材60に例えば短手方向Xに並列された形で印刷され、それを断裁することで切り出されて、それぞれのリールテープT1~T3が製造される。なお、3本のリールテープT~T3は隙間無く並べられた状態で印刷されるが、両端に位置するリールテープT1とリールテープT3とのさらに両側(例えばリールテープT1の左端T1d(図4参照))の外側も余白部分として断裁される。この断裁を行う際、断裁機の誤差により、例えば最大で0.5mm程度の断裁位置にズレが生じる虞がある。しかしながら、本第2実施形態のリールテープT1~T3においては、上述したように背景模様Hmの模様端部Hmedから裁断誤差よりも大きくなる所定の距離d(例えば2mm)で、均一の濃さとなるように印刷されているため、断裁位置にズレが生じても、背景模様Hmが大きく変わることがなく、断裁後のリールテープT1~T3の見栄えが低下することの防止を図ることができ、また、断裁位置のズレによる遊技機の個体差も低減できて、遊技者による誤認の防止も図ることができる。なお、リールテープT1~T3を断裁する際、長手方向の端部(例えば一端T1a及び他端T1b(図4参照))も断裁されるが、上述した背景重なり部61ovが例えば2mm程度は形成されているため、断裁位置にズレが生じても、同様に見栄えが低下することの防止を図ることができる。
【0144】
なお、本実施形態においては、模様端部Hmedが短手方向Xに所定の距離d(例えば2mm)で形成されたものを説明しているが、断裁機の誤差が例えば最大で0.5mm程度であるので、所定の距離dが断裁機の誤差以上であれば良いが、断裁時のズレで模様端部Hmedが無くなる虞もあるので、好ましくは所定の距離dが、1mm以上あり、背景模様Hmの領域を圧迫しないように5mm以下であることが好ましい。この場合、リールテープT1~T3をリールフレームFR1~FR3に接着する上記接着部材65(図4参照)の幅よりも大きく、或いは一致させて、接着部材65を目立たないようにしてもよい。
【0145】
[各図柄の詳細]
続いて、第2実施形態に係るリールテープT1~T3に配置される各図柄P11~P20の詳細なサイズや配色(使用しているインクの種類)について図8を用いて説明する。図8は第2実施形態に係る図柄を示す図で、(a)はベル図柄を示す図、(b)はリプレイA図柄を示す図、(c)はリプレイB図柄を示す図、(d)はチェリー図柄を示す図、(e)はスイカ図柄を示す図、(f)は白7図柄を示す図、(g)は銀BAR図柄を示す図、(h)は黒BAR図柄を示す図、(i)はブランク図柄を示す図、(j)はボーナス図柄を示す図、である。
【0146】
なお、本第2実施形態においては、図14に示すように、図柄形成層67において、各図柄P11~P18,P20の縁部P11a~P18a,P20aを形成する縁形成層67aである黒(BL)のインクよりも基材60の裏面に近い側に、着色形成層67bの一部として金(GL)のインクの層を有している。また、着色形成層67bは、例えば、基材60の裏面に近い側から順番に、金(GL)の層、黒(BL)の層、青(BU)の層、赤(RD)の層、水色(WB)の層、濃ピンク色(PK1)の層、ピンク色(PK2)の層、薄ピンク色(PK3)の層、紫(PU)の層、オレンジ色(OL)の層、黄色(YL)の層、グレー色(GR)の層、茶(BW)の層が、詳しくは後述する各図柄P11~P20の配色となるように印刷されることで形成されている。なお、背景模様形成層61mは、極薄ピンク(PK4)の層で形成され、第1背景形成層61aは白1(WH1)の層で形成され、第2背景形成層61bは白2(WH2)の層で形成されている。つまり、本第2実施形態においては、16種類(16色)のインクが用いられている。なお、本第2実施形態においても、リールテープT1~T3に裏打ち形成層が形成されてなく、リールバックライトBLiの光が透過し易く、リールテープT1~T3の全体が特定領域410bの内部で明るく照明され、特定領域410bに液晶による画像が表示されても、リールテープT1~T3の各図柄が視認し易くなるように構成されている。
【0147】
図8(a)に示すように、図柄P11(図柄「ベル」)は、縁部P11aが縁形成層67aとして黒(BL)のインクにより形成されていると共に、着色部P11bが着色形成層67bとして、黒(BL)のインクによる模様(ベルの輪郭の模様)、黄(YL)のインクによる模様(ベルの表面模様)、黄色(YL)のインクとピンク(PK2)のインクとが重ねられることによるオレンジ(OL)の模様(ベルの暗くなった表面の模様)、黄(YL)のインクとピンク色(PK2)のインクと黒(BL)のインクとが重ねられることによるモアレ黒(MBL)の模様(ベルの暗くなった部分の陰kgの模様)、が形成され、さらに、背景H(白1(WH1)と白2(WH2)とが2層で形成された層)が露出する模様(ベルのテカリTkの模様)が形成されている。
【0148】
なお、白1(WH1)のインクに対して黄色(YL)のインクは明度(彩度)が低く、さらに、黄色(YL)のインクに対してピンク(PK2)のインクは明度(彩度)が低く、さらに、ピンク(PK2)のインクに対して黒(BL)のインクは明度(彩度)が低いものである。また、図14に示すように、印刷順は、黒(BL)のインクが先に印刷され、後にピンク(PK2)のインクが印刷され、さらに後に黄色(YL)のインクが印刷され、らに後に白1(WH1)のインクが印刷されるものである。つまり、図柄P11(図柄「ベル」)が印刷される領域においては、黒(BL)のインク、ピンク(PK2)のインク、黄色(YL)のインク、白1(WH1)のインクが、明度が低い順に印刷されている。なお、ここでは、明度が低い順に印刷されているものを説明しているが、これに限らず、彩度が低い順に印刷されているものであってもよい。つまり、黒(BL)のインク、ピンク(PK2)のインク、黄色(YL)のインク、白1(WH1)のインクの順で印刷されることで、彩度が低い順に印刷されているものであっても構わない。
【0149】
図8(b)に示すように、特定図柄或いは第1特定図柄としての図柄P12(図柄「リプレイA」)は、縁部P12aが縁形成層67aとして黒(BL)のインクにより形成されていると共に、着色部P12bが着色形成層67bとして、青(BU)のインクによる模様(REPの字体の輪郭)、青(BU)のインクと水色(WB)のインクによる模様(縁部P12aの内側の扇形状の部分)と、水色(WB)のインクによる模様(縁部P12aの内側の扇形状の部分)、が形成され、その他の部分は、背景Hがそのまま露出しており、つまり白1(WH1)と白2(WH2)とが2層で形成された背景Hで図柄の内部が塗られた形となっている。
【0150】
なお、白1(WH1)のインクに対して水色(WB)のインクは明度(彩度)が低く、さらに、水色(WB)のインクに対して青(BU)のインクは明度(彩度)が低く、さらに、青(BU)のインクに対して黒(BL)のインクは明度(彩度)が低いものである。また、図14に示すように、印刷順は、黒(BL)のインクが先に印刷され、後に青(BU)のインクが印刷され、さら後に水色(WB)のインクが印刷され、さらに後に白1(WH1)のインクが印刷されるものである。つまり、図柄P12(図柄「リプレイA」)が印刷される領域においては、黒(BL)のインク、青(BU)のインク、水色(WB)のインク、白1(WH1)のインクが、明度が低い順に印刷されている。なお、ここでは、明度が低い順に印刷されているものを説明しているが、これに限らず、彩度が低い順に印刷されているものであってもよい。つまり、黒(BL)のインク、青(BU)のインク、水色(WB)のインク、白1(WH1)のインクの順で印刷されることで、彩度が低い順に印刷されているものであっても構わない。
【0151】
図8(c)に示すように、第2特定図柄としての図柄P13(図柄「リプレイB」)は、図柄P12(図柄「リプレイA」)と類似する図柄であり、遊技者が同じ図柄として認識可能な図柄であり、図柄P12(図柄「リプレイA」)とはREPの字体がベタ(文字全体が隙間なく塗られている)となっている以外は同じデザインとなっている。詳細には、図柄P13(図柄「リプレイB」)は、縁部P13aが縁形成層67aとして黒(BL)のインクにより形成されていると共に、着色部P13bが着色形成層67bとして、青(BU)のインクによる模様(REPの字体)、青(BU)のインクと水色(WB)のインクによる模様(縁部P13aの内側の扇形状の部分)と、水色(WB)のインクによる模様(縁部P13aの内側の扇形状の部分)、が形成され、その他の部分は、背景Hがそのまま露出しており、つまり白1(WH1)と白2(WH2)とが2層で形成された背景Hで図柄の内部が塗られた形となっている。なお、印刷の順(明度、彩度の順)は、上記図柄P12(図柄「リプレイA」)と同じであるので、説明を省略する。
【0152】
図8(d)に示すように、図柄P14(図柄「チェリー」)は、縁部P14aが縁形成層67aとして黒(BL)のインクにより形成されていると共に、着色部P14bが着色形成層67bとして、赤(RD)のインクによる模様(果実の部分)、白1(WH1)及び赤(RD)のインクによるテカリTkの模様(果実のテカリTkの模様)、赤(RD)及び黒(BL)のインクによる陰Kgの模様(果実の陰Kgの模様)、水色(WB)及び黄(YL)のインクによる緑色の模様(葉の部分)、グレー(GR)のインクによる模様(葉の影)、が形成されている。
【0153】
なお、白1(WH1)のインクに対してグレー(GR)のインクは明度(彩度)が低く、さらに、グレー(GR)のインクに対して赤(RD)のインクは明度(彩度)が低く、さらに、赤(RD)のインクに対して黒(BL)のインクは明度(彩度)が低いものである。また、図14に示すように、印刷順は、黒(BL)のインクが先に印刷され、後に赤(RD)のインクが印刷され、さら後にグレー(GR)のインクが印刷され、さらに後に白1(WH1)のインクが印刷されるものである。つまり、図柄P14(図柄「チェリー」)が印刷される領域においては、黒(BL)のインク、赤(RD)のインク、グレー(GR)のインク、白1(WH1)のインクが、明度が低い順に印刷されている。なお、ここでは、明度が低い順に印刷されているものを説明しているが、これに限らず、彩度が低い順に印刷されているものであってもよい。つまり、黒(BL)のインク、赤(RD)のインク、グレー(GR)のインク、白1(WH1)のインクの順で印刷されることで、彩度が低い順に印刷されているものであっても構わない。
【0154】
図8(e)に示すように、図柄P15(図柄「スイカ」)は、縁部P15aが縁形成層67aとして黒(BL)のインクにより形成されていると共に、着色部P15bが着色形成層67bとして、黒(BL)のインクによる模様(スイカの縞模様と種の模様)、濃ピンク(PK1)のインクによる模様(スイカの断面の模様)、水色(WB)及び黄(YL)のインクによる緑色の模様(スイカの表面模様)、薄ピンク(PK3)のインクによる模様(ハートの模様)、グレー(GR)のインクによる模様(ハートの影の模様)、が形成され、さらに、背景H(白1(WH1)と白2(WH2)とが2層で形成された層)が露出する模様(スイカの断面の皮部分の模様)が形成されている。
【0155】
なお、白1(WH1)のインクに対してグレー(GR)のインクは明度(彩度)が低く、さらに、グレー(GR)のインクに対して黄色(YL)のインクは明度(彩度)が低く、さらに、黄色(YL)のインクに対して薄ピンク(PK3)のインクは明度(彩度)が低く、さらに、薄ピンク(PK3)のインクに対して濃ピンク(PK1)のインクは明度(彩度)が低く、さらに、濃ピンク(PK1)のインクに対して水色(WB)のインクは明度(彩度)が低く、さらに、水色(WB)のインクに対して黒(BL)のインクは明度(彩度)が低いものである。また、図14に示すように、印刷順は、黒(BL)のインクが先に印刷され、後に水色(WB)のインクが印刷され、さらに後に濃ピンク(PK1)のインクが印刷され、さらに後に薄ピンク(PK3)のインクが印刷され、さらに後に黄色(YL)のインクが印刷され、さらに後にグレー(GR)のインクが印刷され、さらに後に白1(WH1)のインクが印刷されるものである。つまり、図柄P15(図柄「スイカ」)が印刷される領域においては、黒(BL)のインク、グレー(GR)のインク、水色(WB)のインク、濃ピンク(PK1)のインク、薄ピンク(PK3)のインク、黄色(YL)のインク、グレー(GR)のインク、白1(WH1)のインクが、明度が低い順に印刷されている。なお、ここでは、明度が低い順に印刷されているものを説明しているが、これに限らず、彩度が低い順に印刷されているものであってもよい。つまり、黒(BL)のインク、グレー(GR)のインク、水色(WB)のインク、濃ピンク(PK1)のインク、薄ピンク(PK3)のインク、黄色(YL)のインク、グレー(GR)のインク、白1(WH1)のインクの順で印刷されることで、彩度が低い順に印刷されているものであっても構わない。
【0156】
図8(f)に示すように、図柄P16(図柄「白7」)は、縁部P16aが縁形成層67aとして黒(BL)のインクにより形成されていると共に、着色部P16bが着色形成層67bとして、金(GL)のインクによる模様(縁部P16aの装飾線の模様)、紫(PU)のインクによる模様(内部の斜線の模様と花びら模様)、が形成され、その他の部分は、背景Hがそのまま露出しており、つまり白1(WH1)と白2(WH2)とが2層で形成された背景Hで図柄の内部が塗られた形となっている。なお、図柄P16(図柄「白7」)が印刷される領域における、各インクの印刷順(明度や彩度の順)は、図14に示す順であるので、その説明を省略する。
【0157】
図8(g)に示すように、図柄P17(図柄「銀BAR」)は、縁部P17aが縁形成層67aとして黒(BL)のインクにより形成されていると共に、着色部P17bが着色形成層67bとして、グレー(GR)のインクによる模様(縁部P17aの内部の塗り部分)が形成され、さらに、背景H(白1(WH1)と白2(WH2)とが2層で形成された層)が露出する模様(BARの字体の模様)が形成されている。なお、図柄P17(図柄「銀BAR」)が印刷される領域における、各インクの印刷順(明度や彩度の順)も、図14に示す順であるので、その説明を省略する。
【0158】
図8(h)に示すように、図柄P18(図柄「黒BAR」)は、縁部P18aが縁形成層67aとして黒(BL)のインクにより形成されていると共に、着色部P18bが着色形成層67bとして、赤(RD)のインクによる模様(縁部P18aの内部の塗り部分)が形成され、さらに、背景H(白1(WH1)と白2(WH2)とが2層で形成された層)が露出する模様(BARの字体の模様)が形成されている。なお、図柄P18(図柄「黒BAR」)が印刷される領域における、各インクの印刷順(明度や彩度の順)も、図14に示す順であるので、その説明を省略する。
【0159】
図8(i)に示すように、図柄P19(図柄「ブランク」)は、縁部が形成されてなく、着色部P19bが着色形成層67bとして、茶色(BW)のインクによる模様(外側の菱形の模様、内側の菱形の模様、十字の模様の部分)、詳しくは後述する茶色(BW)のインクのドット(薄茶色(BWD))による模様(外側の菱形の模様と内側の菱形の模様との間、内側の菱形の模様の内側の部分)、が形成され、さらに、背景H(白1(WH1)と白2(WH2)とが2層で形成された層)が露出する模様(BARの字体の模様)が形成されている。なお、図柄P19(図柄「ブランク」)が印刷される領域における、各インクの印刷順(明度や彩度の順)も、図14に示す順であるので、その説明を省略する。
【0160】
図8(j)に示すように、図柄P20(図柄「ボーナス」)は、縁部P20aが縁形成層67aとして黒(BL)のインクにより形成されていると共に、着色部P20bが着色形成層67bとして、金(GL)のインクによる模様(「ONUS」の字体の輪郭線の模様)、青(BU)のインクによる模様(「B」の字体の塗り部分)、水色(WB)のインクによる模様(縁部20aの内部の塗り部分)、オレンジ(OL)のインクによる模様(星の模様)、黄(YL)のインクによる模様(稲妻の模様)、が形成され、さらに、背景H(白1(WH1)と白2(WH2)とが2層で形成された層)が露出する模様(BARの字体の模様)が形成されている。なお、図柄P20(図柄「ボーナス」)が印刷される領域における、各インクの印刷順(明度や彩度の順)も、図14に示す順であるので、その説明を省略する。
【0161】
[各図柄の印刷構成の詳細]
続いて、第2実施形態における図柄P11(図柄「ベル」)、図柄P12(図柄「リプレイA」)、図柄P13(図柄「リプレイB」)、図柄P14(図柄「チェリー」)、図柄P15(図柄「スイカ」)、図柄P19(図柄「ブランク」)を、複数層(多色)のシルク印刷によって形成したときの構成について、図9乃至図11、及び図13を用いて説明する。図9(a)はベル図柄の詳細を示す図、(b)はリプレイA図柄の詳細を示す図である。図10(a)はチェリー図柄の詳細を示す図、(b)はスイカ図柄の詳細を示す図である。図11は第2実施形態に係るブランク図柄の詳細を示す図である。
【0162】
(図柄「ベル」の詳細)
まず、図柄P11(図柄「ベル」)の詳細について図9(a)を用いて説明する。図9(a)に示すように、図柄P11(図柄「ベル」)は、第1実施形態の図柄P4(図柄「ベルA」)と同様に、図中の左上方向に光源があり、着色部P11bにおいて、図柄が光源の光が当たって照らされていることを示す明部P11Mと、光源の光が当たっていないことを示す暗部P11Dと、を有するようにデザイン的に表現されている。特に明部P11Mには、光が反射していることを示すテカリTkとなる部分が形成されており、反対に、暗部P11Dには、鐘の舌に形成された陰Kgとなる部分が形成されている。このように明部P11Mと暗部P11Dとが形成されていることで、図柄P11に視覚的な立体感を与えることができ、デザイン性を良好にすることができている。
【0163】
図柄P11(図柄「ベル」)においては、明部P11MがテカリTk以外の領域で黄色(YL)となっており、テカリTk以外のベルを示す着色部P11bの領域全体に、第3塗料としての黄色(YL)のインクがベタ部(ベタ層)としてのベタ(例えば70%)となるように形成されている。暗部P11Dは、このように黄色(YL)のインクがベタとなるように形成された領域に、第1塗料としてのピンク(PK2)のインクのドットで形成された第1網点部として第1ドット部Dt1が重ねられることで形成されている。
【0164】
このうちの明部P11MのテカリTk以外の領域では、基材60に対して、黄色(YL)のインクによってベタで形成された層が印刷されて形成されており、ベタで表現された領域ArM1が形成されている。そして、その黄色(YL)のインクのベタの層に対して基材60とは反対側には、白1(WH1)のインクによって第1背景形成層61aがベタ(隙間が無いように塗布された状態)で形成されている。なお、白1(WH1)のインクによる第1背景形成層61aの基材60とは反対側には、さらに、白2(WH2)のインクによって第2背景形成層61bがベタ(隙間が無いように塗布された状態)で形成されている。なお、テカリTkの領域では、黄色(YL)のインクが印刷されていないことで、白1(WH1)のインクによる第1背景形成層61aが基材60に印刷されていることになる。
【0165】
暗部P11Dの領域においては、基材60に対して、第1ドット部Dt1としてのピンク(PK2)のインクのドットが例えば面積比で30%~50%となるように印刷されて形成されており、つまり、ベタ部に第1網点部を重ねることで表現された領域ArD1が形成されている。また、そのピンク(PK2)のインクのドットに対して基材60とは反対側には、黄色(YL)のインクによってベタで形成された層(つまりベタ層)が印刷されて形成されている。これにより、黄色(YL)のベタに第1ドット部Dt1のピンク(PK2)のドットが混ざることでオレンジ色(OL)が形成され、明部P11Mよりも視覚的に暗くなる暗部P11Dが形成されている。この第1ドット部Dt1におけるピンク(PK2)のドットが配列された第1方向D1(つまりドットが並ぶ方向)は、リールテープT1の短手方向(図中の左右方向)に対して角度θ1(本実施形態では30度)となっている。
【0166】
暗部P11Dにおける陰Kgの領域ArMは、イエロー(Y)のインクがベタで形成され、かつ第1ドット部Dt1のピンク(PK2)のインクのドットが形成された領域に、第2塗料としての黒色(BL)のインクのドットで形成された第2網点部として第2ドット部Dt2が重ねられることで形成されている。即ち、陰Kgの領域ArMにおいては、基材60に対して、第1ドット部Dt1としてのピンク(PK2)のインクのドットが例えば面積比で30%~50%となるように印刷されて形成されている。さらに、そのピンク(PK2)のインクのドットに対して基材60とは反対側には、第2ドット部Dt2としての黒色(BL)のインクのドットが例えば面積比で30%~50%となるように形成されている。この第2ドット部Dt2の黒色(BL)のドットが配列された第2方向D2(つまりドットが並ぶ方向)は、リールテープT1の短手方向(図中の左右方向)に対して角度θ2(本実施形態では60度)となっており、つまりピンク(PK2)のドットが配列された第1方向D1と異なる角度となっている。また、このピンク(PK2)のインクのドットのそれぞれの大きさは、黒色(BL)のインクのドットのそれぞれの大きさよりも大きく形成されている。また、その黒色(BL)のインクのドットに対して基材60とは反対側には、黄色(YL)のインクによってベタで形成された層が印刷されて形成されている。そして、その黄色(YL)のインクのベタの層に対して基材60とは反対側には、白1(WH1)のインクによって第1背景形成層61aがベタ(隙間が無いように塗布された状態)で形成されている。なお、白1(WH1)のインクによる第1背景形成層61aの基材60とは反対側には、さらに、白2(WH2)のインクによって第2背景形成層61bがベタ(隙間が無いように塗布された状態)で形成されている。
【0167】
このように形成された陰Kgは、ピンク(PK2)のドットと黒色(BL)のドットとが互いに干渉して干渉縞を発生し、所謂モアレが形成された領域ArMとなっている。このため、暗部P11Dが有する陰Kgの領域ArMは、黒っぽく形成されつつも、ベタの黒色や平たいドットの黒色とは異なる色に見える干渉縞のモアレ黒に形成される。このように、暗部P11Dが陰Kgの領域としてモアレが形成(表現)された領域を有することで、黒色が強くなってしまったり立体感が無くなってしまったりすることを防ぐことができて、図柄のデザイン性、つまりはリールテープT1のデザイン性を向上することができる。
【0168】
なお、本実施形態においては、このピンク(PK2)のインクのドットのそれぞれの大きさが、黒色(BL)のインクのドットのそれぞれの大きさよりも大きく形成されているものを説明したが、これに限らず、ピンク(PK2)のインクのドットのそれぞれの大きさが、黒色(BL)のインクのドットのそれぞれの小さくよりも大きく形成されているもの、或いは同じ大きさに形成されているものでも構わない。
【0169】
(図柄「リプレイA」の詳細)
次に、図柄P12(図柄「リプレイA」)の詳細について図9(b)及び図13を用いて説明する。なお、上述したように、図柄P12(図柄「リプレイA」)に類似する図柄P13(図柄「リプレイB」)については、基本的に同じように印刷されて形成されているため、図柄P12(図柄「リプレイA」)を詳細に説明し、図柄P13(図柄「リプレイB」)の詳細については説明を省略する。
【0170】
図9(b)に示すように、図柄P12(図柄「リプレイA」)の着色部P12bにおいては、扇形状の第1領域ArT1と扇形状の第2領域ArT2とが周方向に交互に並ぶように形成されている。即ち、上記図柄P11(図柄「ベル」)と同様に、図中の左上方向に光源があり、第1領域ArT1において、図柄が光源の光が当たって照らされていることを示す明部P12Mと、第2領域ArT2において、光源の光が当たっていないことを示す暗部P12Dと、を有するようにデザイン的に表現されている。要するに、第1領域ArT1と第2領域ArT2とが、扇のように断面視で鋸形状となる交互に隣接して立体的に並び、かつ角度が異なる平面をそれぞれ表現している。
【0171】
このうちの第1領域ArT1は、ベタ層として水色(WB)のインクがベタとなるように形成された領域に、青(BU)のインクのドットで形成された第2図柄網点部としての第3ドット部Dt3が重ねられ、かつ青(BU)のインクのドットが中心から徐々に薄くなるグラデーションとなるように形成されている。即ち、第3ドット部Dt3は、青(BU)のインクのドットが例えば中心が面積比で70%となり、外側に向かって0%となるように形成されており、これにより、中心から徐々に薄くなるグラデーションとなるように形成されている。このようにグラデーションを有することで、明暗によって、中心が奥となり外側が手前となるように表現している。
【0172】
また、第2領域ArT2は、背景Hのインク(白1(WH1)と白2(WH2))がベタとなるように形成された(つまり白1(WH1)がベタ層で印刷された)領域に、第1塗料としての水色(WB)のインクのドットで形成された図柄網点部或いは第1図柄網点部としての第4ドット部Dt4が重ねられ、かつ水色(WB)のインクのドットが中心から徐々に薄くなるグラデーションとなるように形成されている。即ち、第4ドット部Dt4は、水色(WB)のインクのドットが例えば中心が面積比で70%となり、外側に向かって0%となるように形成されており、これにより、中心から徐々に薄くなるグラデーションとなるように形成されている。このようにグラデーションを有することで、明暗によって、中心が奥となり外側が手前となるように表現している。
【0173】
また、この図柄P12(図柄「リプレイA」)における、青(BU)のインクのドットで形成された第3ドット部Dt3は、リールテープT1の短手方向(図中の左右方向)に対して角度θ2(本実施形態では60度)である第2方向D2に向けてドットが配列されている。一方の水色(WB)のインクのドットで形成された第4ドット部Dt4は、リールテープT1の短手方向(図中の左右方向)に対して角度θ1(本実施形態では30度)である第1方向D1に向けてドットが配列されている。このように、第3ドット部Dt3における、青(BU)のインクのドットの配列方向と、第4ドット部Dt4における、水(WB)のインクのドットの配列方向とを異ならせることで、明部P12Mと暗部P12Dとの違いに対してメリハリを付けることができ、デザイン性の向上が図られている。さらに、第3ドット部Dt3の縁と第4ドット部Dt4の縁とが接するように表現され、それによって明部P12Mと暗部P12Dとの境界線BDが形成されているので、明部P12Mと暗部P12Dとが一気に切り替わる部分として効果的に表現することができている。
【0174】
なお、第1領域ArT1と第2領域ArT2との境界線BDとなる部分では、第1領域ArT1における水色(WB)のインクのベタが青(BU)のインクのドットよりも外側にはみ出してマージンとなるように形成されていてもよく、つまり第3ドット部Dt3と第4ドット部Dt4との間に、水色(WB)のインクのベタが介在するように形成されていてもよい。これにより、例えば印刷時に第3ドット部Dt3と第4ドット部Dt4との少なくとも一方にズレが生じても、第1領域ArT1の青(BU)のインクのドットと第2領域ArT2の水色(WB)のインクのドットとが交錯せず、これらのドットが干渉しないように構成され、これによってモアレが生じることを防ぐようにしてもよい。
【0175】
(図柄「リプレイA」における印刷層の順序について)
ついで、図柄P12(図柄「リプレイA」)における印刷層(インクの層)の順序について図13を用いて説明する。図13に示すように、背景Hが形成された領域においては、上述したように基材60に対して模様形成部Hmmnを形成する背景模様形成層61mが極薄ピンク(PK4)のインクによって、ドットないしベタでグラデーションとなるように印刷されて形成されている(図12参照)。そして、その背景模様形成層61mに対して基材60とは反対側には、第3塗料としての白1(WH1)のインクによって第1背景形成層61aが第2ベタ部としてのベタ層(隙間が無いように塗布された状態)で形成されており、つまり背景模様形成層61mと第1背景形成層61aとは表裏の方向に隣接して形成されている。なお、白1(WH1)のインクによる第1背景形成層61aの基材60とは反対側には、さらに、白2(WH2)のインクによって第2背景形成層61bがベタ(隙間が無いように塗布された状態)で形成されている。白1(WH1)のインクと白2(WH2)のインクとは、二層となっているため、区別して表現しているが、本実施形態では同じインクである。
【0176】
一方、図柄P12(図柄「リプレイA」)の着色部P12bが形成された領域にあって、第1領域ArT1では、基材60に対して、第2塗料としての青(BU)のインクによってドットで形成された第2網点部としての第3ドット部Dt3が印刷されて形成されている(図9(b)参照)。また、その青(BU)のインクのドットに対して基材60とは反対側には、水色(WB)のインクによって第1ベタ部としてのベタで形成されたベタ層が印刷されて形成されている。そして、その水色(WB)のインクのベタの層に対して基材60とは反対側には、白1(WH1)のインクによって第1背景形成層61aがベタ(隙間が無いように塗布された状態)で形成されている。なお、白1(WH1)のインクによる第1背景形成層61aの基材60とは反対側には、さらに、白2(WH2)のインクによって第2背景形成層61bがベタ(隙間が無いように塗布された状態)で形成されている。
【0177】
また、図柄P12(図柄「リプレイA」)の着色部P12bが形成された領域にあって、第2領域ArT2では、基材60に対して、第1塗料としての水色(WB)のインクによってドットで形成された第1網点部としての第4ドット部Dt4が印刷されて形成されている(図9(b)参照)。そして、その水色(WB)のインクのドットに対しての基材60とは反対側には、白1(WH1)のインクによって第1背景形成層61aがベタ(隙間が無いように塗布された状態)で形成されており、つまり第4ドット部Dt4と第1背景形成層61aとは表裏の方向に隣接して形成されている。また、白1(WH1)のインクによる第1背景形成層61aの基材60とは反対側には、さらに、白2(WH2)のインクによって第2背景形成層61bがベタ(隙間が無いように塗布された状態)で形成されている。
【0178】
このように、模様形成部Hmmnにおける極薄ピンク(PK4)のインクのドット、第1領域ArT1における青(BU)のインクのドット、第2領域ArT2における水色(WB)のインクのドットは、基材60とは反対側(つまり裏側)において全てベタのインクの層が重なるように形成され、つまり全てのドットがベタで覆われているので、ドット同士が重なってモアレが生じることが防がれている。
【0179】
(図柄「リプレイB」について)
上述したように、図柄P13(図柄「リプレイB」)については、上述したようにREPの文字の部分以外は図柄P12(図柄「リプレイA」)と同様のデザインで形成されている。即ち、図中の左上方向に光源があり、第1領域ArT1において、図柄が光源の光が当たって照らされていることを示す明部と、第2領域ArT2において、光源の光が当たっていないことを示す暗部と、を有するようにデザイン的に表現されている。
【0180】
この図柄P13(図柄「リプレイB」)の着色部P13bが形成された領域にあって、第2領域ArT2では、基材60に対して、水色(WB)のインクによってドットで形成された第2図柄網点部として第4ドット部Dt4が印刷されて形成され、その水色(WB)のインクのドットに対しての基材60とは反対側には、白1(WH1)のインクによって第1背景形成層61aがベタ(隙間が無いように塗布された状態)で形成されており、つまりこの図柄P13(図柄「リプレイB」)においても、第4ドット部Dt4と第1背景形成層61aとは表裏の方向に隣接して形成されている。
【0181】
また、この図柄P13(図柄「リプレイB」)における、青(BU)のインクのドットで形成された第3ドット部Dt3は、リールテープT1の短手方向(図中の左右方向)に対して角度θ2(本実施形態では60度)である第2方向D2に向けてドットが配列されている。また、水色(WB)のインクのドットで形成された第4ドット部Dt4は、リールテープT1の短手方向(図中の左右方向)に対して角度θ1(本実施形態では30度)である第1方向D1に向けてドットが配列されている。従って、遊技者が図柄P12(図柄「リプレイA」)と図柄P13(図柄「リプレイB」)とを見比べてもドットの方向が同じであり、ドットが形成された部分における視認性の違いが出ないように構成され、遊技者が同じ図柄と認識することができ、換言すると異なる図柄と誤認することを防ぐことができている。
【0182】
(図柄「チェリー」の詳細)
ついで、図柄P14(図柄「チェリー」)の詳細について図10(a)を用いて説明する。図10(a)に示すように、図柄P14(図柄「チェリー」)の着色部P14bにおいては、上述したように、第1塗料としての赤(RD)のインクによる果実の部分、第3塗料としての白1(WH1)及び赤(RD)のインクによるテカリTkの模様、赤(RD)及び第2塗料としての黒(BL)のインクによる陰Kgの模様、水色(WB)及び黄(YL)のインクによる葉の部分、グレー(GR)のインクによる葉の影の模様、が形成されている。即ち、上記図柄P11(図柄「ベル」)と同様に、図中の左上方向に光源があり、果実のテカリTkの模様、及び葉の上の部分において、図柄が光源の光が当たって照らされていることを示す明部P14Mと、果実の陰Kgの模様や果実における葉の下の部分において、光源の光が当たっていないことを示す暗部P14Dと、を有するようにデザイン的に表現されている。なお、果実の部分において、テカリTkの模様、陰Kgの模様、葉の影の模様以外の部分は、広義としては、光が当たっている明部とも言えるが、本明細書においては、明部P14Mと暗部P14Dとの間の中間部分と定義する。
【0183】
このうち、果実の部分の領域は、テカリTkの模様以外の部分において、基材60に対して、赤(RD)のインクが第1ベタ部としてのベタ層がベタとなるように形成されており、また、テカリTkの模様の領域は、基材60に対して、赤(RD)のインクのドットで形成された第1網点部としての第5ドット部Dt5が印刷されて形成されている。また、その赤(RD)のインクのドットに対しての基材60とは反対側には、白1(WH1)のインクによって第1背景形成層61aがベタ(隙間が無いように塗布された状態)で形成されている。さらに、白2(WH2)のインクによって第2背景形成層61bがベタ(隙間が無いように塗布された状態)で形成されている。従って、特にこのテカリTkの模様の領域は、白1(WH1)のインクのベタに赤(RD)のインクのドットを重ねることで形成(表現)された領域ArM2を形成していることで、光源の光が当たって照らされている明部P14Mを表現している。
【0184】
また、陰Kgの模様の領域は、基材60に対して、黒(BL)のインクのドットで形成された第2網点部としての第6ドット部Dt6が印刷されて形成されている。また、その黒(BL)のインクのドットに対しての基材60とは反対側には、赤(RD)のインクによってベタ層としてベタで形成された層が印刷されて形成されている。そして、その赤(RD)のインクのベタの層に対して基材60とは反対側には、白1(WH1)のインクによって第1背景形成層61aがベタ(隙間が無いように塗布された状態)で形成されている。なお、白1(WH1)のインクによる第1背景形成層61aの基材60とは反対側には、さらに、白2(WH2)のインクによって第2背景形成層61bがベタ(隙間が無いように塗布された状態)で形成されている。従って、特にこの陰Kgの模様の領域は、赤(RD)のインクのベタに黒(BL)のインクのドットを重ねることで形成(表現)された領域ArD2を形成していることで、光源の光が当たっていないことを示す暗部P14Dを表現している。
【0185】
また、葉の模様の領域は、基材60に対して、水色(WB)のインクのドットで形成された第7ドット部Dt7が印刷されて形成されている。また、その水色(WB)のインクのドットに対しての基材60とは反対側には、黄色(YL)のインクによってベタ層としてベタで形成された層が印刷されて形成されている。これにより、水色(WB)のインクのドットと黄色(YL)のインクのベタによって葉の緑色が表現されている。そして、その黄色(YL)のインクのベタの層に対して基材60とは反対側には、白1(WH1)のインクによって第1背景形成層61aがベタ(隙間が無いように塗布された状態)で形成されている。なお、白1(WH1)のインクによる第1背景形成層61aの基材60とは反対側には、さらに、白2(WH2)のインクによって第2背景形成層61bがベタ(隙間が無いように塗布された状態)で形成されている。
【0186】
そして、葉の影の模様の領域は、基材60に対して、赤(RD)のインクがベタ層としてベタとなるように形成されており、その赤(RD)のインクのベタに対しての基材60とは反対側には、グレー(GR)のインクのドットで形成された第8ドット部Dt8が印刷されて形成されている。これにより、赤(RD)のインクのベタとグレー(GR)のインクのドットによって葉の影のグレー(暗い部分)が表現されている。そして、そのグレー(GR)のインクのドットの層に対して基材60とは反対側には、白1(WH1)のインクによって第1背景形成層61aがベタ(隙間が無いように塗布された状態)で形成されている。なお、白1(WH1)のインクによる第1背景形成層61aの基材60とは反対側には、さらに、白2(WH2)のインクによって第2背景形成層61bがベタ(隙間が無いように塗布された状態)で形成されている。従って、特にこの葉の陰の模様の領域は、赤(RD)のインクのベタにグレー(GR)のインクのドットが形成されていることで、光源の光が当たっていないことを示す暗部P14Dを表現している。
【0187】
なお、この図柄P14(図柄「チェリー」)における、赤(RD)のインクのドットで形成された第5ドット部Dt5、水色(WB)のインクのドットで形成された第7ドット部Dt7、グレー(GR)のインクのドットで形成された第8ドット部Dt8は、リールテープT1の短手方向(図中の左右方向)に対して角度θ1(本実施形態では30度)である第1方向D1に向けてドットが配列されている。これにより、特に第7ドット部Dt7と第8ドット部Dt8とは隣接しているが、例えば印刷時に第7ドット部Dt7と第8ドット部Dt8との少なくとも一方にズレが生じて、第7ドット部Dt7の水色(WB)のドットと第8ドット部Dt8のグレー(GR)のドットとが重なってしまってとしても、モアレが生じることが防がれている。
【0188】
一方、暗部P14Dである陰Kgの模様の領域である黒(BL)のインクのドットで形成された第6ドット部Dt6は、リールテープT1の短手方向(図中の左右方向)に対して角度θ2(本実施形態では60度)である第2方向D2に向けてドットが配列されている。即ち、特に上述した明部P14MであるテカリTkの模様の領域である赤(RD)のインクのドットで形成された第5ドット部Dt5が第1方向D1に向けてドットが配列されており、暗部P14Dである陰Kgの模様の領域である黒(BL)のインクのドットで形成された第6ドット部Dt6は、第1方向D1とは異なる第2方向D2に向けてドットが配列されているので、明部P14Mと暗部P14Dとの違いに対してメリハリを付けることができ、デザイン性の向上を図ることができる。
【0189】
また、テカリTkの模様の領域と陰Kgの模様の領域との間(果実の部分)、つまり赤(RD)のインクのドットで形成された第5ドット部Dt5と黒(BL)のインクのドットで形成された第6ドット部Dt6との間は、赤(RD)のインクのベタが介在するように表現されており、これにより、明部P14Mから暗部P14Dに切り替わる部分(中間部分)を効果的に表現することができている。
【0190】
(図柄「スイカ」の詳細)
ついで、図柄P15(図柄「スイカ」)の詳細について図10(b)を用いて説明する。図10(b)に示すように、第3特定図柄としての図柄P15(図柄「スイカ」)の着色部P15bにおいては、上述したように、黒(BL)のインクによるスイカの縞模様及び種の模様、濃ピンク(PK1)のインクによるスイカの断面の模様、水色(WB)及び黄(YL)のインクによる緑色のスイカの表面の模様、薄ピンク(PK3)のインクによるハートの模様、グレー(GR)のインクによるハートの影の模様、背景H(白1(WH1)と白2(WH2)とが2層で形成された層)が露出するスイカの断面の皮部分の模様、が形成されている。
【0191】
このうち、スイカの縞模様及び種の模様の領域は、基材60に対して、黒(BL)のインクがベタとなるように形成されている。また、スイカの断面の模様の領域は、基材60に対して、濃ピンク(PK1)のインクのドットで形成された第3図柄網点部としての第9ドット部Dt9が印刷されて形成されており、濃ピンク(PK1)のインクのドットに対しての基材60とは反対側には、白1(WH1)のインクによって第1背景形成層61aがベタ(つまりベタ層)で形成されている。さらに、白1(WH1)のインクによる第1背景形成層61aの基材60とは反対側には、白2(WH2)のインクによって第2背景形成層61bがベタ(隙間が無いように塗布された状態)で形成されている。
【0192】
、また、スイカの表面の模様の領域は、基材60に対して、水色(WB)のインクのドットで形成された第10ドット部Dt10が印刷されて形成されており、水色(WB)のインクのドットに対しての基材60とは反対側には、黄色(YL)のインクによってベタ層としてベタで形成された層が印刷されて形成されている。
【0193】
また、ハートの模様の領域は、薄ピンク(PK3)のインクのドットで形成された第11ドット部Dt11が印刷されて形成されており、薄ピンク(PK3)のインクのドットに対しての基材60とは反対側には、白1(WH1)のインクによって第1背景形成層61aがベタ(つまりベタ層)で形成されている。さらに、白1(WH1)のインクによる第1背景形成層61aの基材60とは反対側には、白2(WH2)のインクによって第2背景形成層61bがベタ(隙間が無いように塗布された状態)で形成されている。
【0194】
なお、この図柄P15(図柄「スイカ」)における、濃ピンク(PK1)のインクのドットで形成された第9ドット部Dt9、水色(WB)のインクのドットで形成された第10ドット部Dt10、薄ピンク(PK3)のインクのドットで形成された第11ドット部Dt11は、全て、リールテープT1の短手方向(図中の左右方向)に対して角度θ1(本実施形態では30度)である第1方向D1に向けてドットが配列されている。これにより、特に第10ドット部Dt10と第11ドット部Dt11とは隣接しているが、例えば印刷時に第10ドット部Dt10と第11ドット部Dt11との少なくとも一方にズレが生じて、第10ドット部Dt10の水色(WB)のドットと第11ドット部Dt11の薄ピンク(PK3)のドットとが重なってしまってとしても、モアレが生じることが防がれている。
【0195】
(図柄「ブランク」の詳細)
ついで、図柄P19(図柄「ブランク」)の詳細について図11を用いて説明する。図11に示すように、図柄P19(図柄「ブランク」)の着色部P19bにおいては、上述したように、茶色(BW)のインクのベタによる外側の菱形の模様、内側の菱形の模様、及び十字の模様の部分と、茶色(BW)のインクのドット(薄茶色(BWD))による外側の菱形の模様と内側の菱形の模様との間、及び内側の菱形の模様の内側の部分、が形成されている。即ち、図柄P19(図柄「ブランク」)においては、同じ茶色(BW)のインクだけで着色部P19bが形成されている。
【0196】
このうち、外側の菱形の模様、内側の菱形の模様、及び十字の模様の部分の領域は、基材60に対して、茶色(BW)のインクがベタとなるように形成されている。また、外側の菱形の模様と内側の菱形の模様との間、及び内側の菱形の模様の内側の部分の領域は、基材60に対して、茶色(BW)のインクのドットで形成されて薄茶色(BWD)となる第12ドット部Dt12が印刷されて形成されており、茶色(BW)のインクのドットに対しての基材60とは反対側には、白1(WH1)のインクによって第1背景形成層61aがベタ(つまりベタ層)で形成されている。さらに、第1背景形成層61aの裏側には、白2(WH2)のインクによって第2背景形成層61bがベタ(隙間が無いように塗布された状態)で形成されている。
【0197】
なお、図柄P19(図柄「ブランク」)における第12ドット部Dt12の茶色(BW)のインクのドット(薄茶色(BWD))は、図柄P11(図柄「ベル」)における第2ドット部Dt2の茶色(BW)のドットと同様に形成されており、つまり、第12ドット部Dt12と第2ドット部Dt2とは、ドットの色が同じで、ドットの配列も同じ方向となっている。
【0198】
[第2実施形態のまとめ]
以上説明したように、本第2実施形態に係るリールテープT1~T3における図柄P11は、ピンク(PK2)の塗料(インク)と黒色(BL)の塗料(インク)とを含む複数の塗料により形成されており、ピンク(PK2)の塗料は、ドットで形成された第1ドット部Dt1を形成し、黒色(BL)の塗料は、ドットで形成された第2ドット部Dt2を形成している。そして、第1ドット部Dt1と第2ドット部Dt2とが重ねられることでモアレが形成された領域ArMである陰Kgを有している。このように、モアレで形成された陰Kgの領域ArMを有していることで、例えば黒色のベタで形成されて黒光りしたり、単に黒色のドットで形成されて平面的になったりすることがなく、図柄P11のデザイン性、つまりはリールテープT1のデザイン性を良好にすることができている。
【0199】
また特に、図柄P11は、光が当たっていることを示す部分である明部P11Mと、光が当たっていないことを示す部分である暗部P11Dとを有しており、暗部P11Dにおいて、第1ドット部Dt1と第2ドット部Dt2とが重ねられることでモアレが形成された領域ArMである陰Kgを有している。換言すると、明部P11Mが、黄色(YL)のベタで表現された領域を有し、暗部P11Dが、黄色(YL)のベタにピンク(PK2)のインクのドットを重ねることで表現された第1ドット部Dt1と、黄色(YL)のベタにピンク(PK2)のインクのドットと黒色(BL)のインクのドットとを重ねることで表現された第2ドット部Dt2とを有している。このように、明部P11Mと暗部P11Dとによって視覚的に立体感が与えられた図柄P11において、暗部P11Dがモアレで形成された陰Kgの領域ArMを有していることで、例えば黒色のベタで形成されて黒光りしたり、単に黒色のドットで形成されて平面的になったりすることがなく、図柄P11のデザイン性、つまりはリールテープT1のデザイン性を良好にすることができている。
【0200】
また、図柄P14においては、暗部P14Dである陰Kgの模様の領域である黒(BL)のインクのドットで形成された第6ドット部Dt6は第2方向D2に向けてドットが配列され、明部P14MであるテカリTkの模様の領域である赤(RD)のインクのドットで形成された第5ドット部Dt5は第1方向D1に向けてドットが配列されている。つまり、暗部P14Dである陰Kgの模様の領域である黒(BL)のインクのドットは、テカリTkの模様の領域である赤(RD)のインクのドットとは異なる方向に向けてドットが配列されているので、明部P14Mと暗部P14Dとの違いに対してメリハリを付けることができ、デザイン性の向上を図ることができる。
【0201】
また、図柄P14においては、テカリTkの模様の領域と陰Kgの模様の領域との間(果実の部分)、つまり赤(RD)のインクのドットで形成された第5ドット部Dt5と黒(BL)のインクのドットで形成された第6ドット部Dt6との間は、赤(RD)のインクのベタが介在するように表現されており、これにより、明部P14Mから暗部P14Dに切り替わる部分(中間部分)を効果的に表現することができている。
【0202】
また、図柄P12においては、第3ドット部Dt3における、青(BU)のインクのドットの配列方向と、第4ドット部Dt4における、水(WB)のインクのドットの配列方向とを異ならせることで、明部P12Mと暗部P12Dとの違いに対してメリハリを付けることができ、デザイン性の向上が図られている。さらに、第3ドット部Dt3の縁と第4ドット部Dt4の縁とが接するように表現され、それによって明部P12Mと暗部P12Dとの境界線BDが形成されているので、明部P12Mと暗部P12Dとが一気に切り替わる部分として効果的に表現することができる。
【0203】
また、白1(WH1)のインクのベタで形成された第1背景形成層61aが、図柄P12(図柄「リプレイA」)の着色部P12bにおける第4ドット部Dt4と、背景模様Hmのドットとに対して表裏の方向に隣接して形成されているので、ハーフトーンやグラデーション等の表現が可能となるものでありながら、ベタで形成された第1背景形成層61aによって第4ドット部Dt4や背景模様Hmのドットが他のドットと重なってモアレを発生することを防止することができ、リールテープのデザイン性の向上を図ることができる。
【0204】
また、第4ドット部Dt4と背景模様Hmのドットとが、同方向である第1方向D1に配列されているので、視認性の違いが出ないように構成され、リールテープT1のデザイン性の向上を図ることができる。
【0205】
また、図柄P12(図柄「リプレイA」)の第1図柄網点部としてベタの第1背景形成層61aが裏側に隣接する水色(WB)の第4ドット部Dt4と、図柄P13(図柄「リプレイB」)の第2図柄網点部としてベタの水色(WB)が裏側に隣接する青(BU)の第4ドット部Dt4とが、同方向である第1方向D1に配列されているので、特にこれらにモアレ等が生じることがないため、図柄P12(図柄「リプレイA」)と図柄P13(図柄「リプレイB」)との視認性の違いが出ないようにできて、遊技者が同じ図柄と認識することができ、これによって、リールテープT1のデザイン性の向上を図ることができる。
【0206】
そして、図柄P12(図柄「リプレイA」)の第1図柄網点部としてベタの第1背景形成層61aが裏側に隣接する第4ドット部Dt4は第1塗料である水色(WB)のインクで形成されており、ベタの第1背景形成層61aが裏側に隣接する背景網点部として背景模様Hmのドットが第2塗料である極薄ピンク(PK4)のインクで形成されており、図柄P15(図柄「スイカ」)の第3図柄網点部としてベタの第1背景形成層61aが裏側に隣接する第9ドット部Dt9は第3塗料である濃ピンク(PK1)のインクで形成されているので、複数の異なる色でハーフトーンやグラデーション等の表現が可能となるものでありながら、特にこれらにモアレ等が生じることがなく、リールテープのデザイン性の向上を図ることができる。
【0207】
[第2実施形態の変形例]
なお、本第2実施形態においては、例えば第4ドット部Dt4、背景模様Hmのドット、第9ドット部Dt9等が、ベタで形成された第1背景形成層61aや水色(WB)の層より表側に形成されたものを説明したが、これに限らず、ベタとなる層の裏側にドットを形成するものでも構わない。さらに、例えばドットの層、ベタの層、ドットの層、となるように印刷を行っても、ドット同士が直接的に重なることを防ぐことができるので、モアレの発生を低減することができる。
【0208】
また、本第2実施形態においては、図柄P11(図柄「ベル」)の陰Kgの部分における茶(BW)のドット以外、各色のドットが第1方向に配列されたものを説明したが、これに限らず、特に領域同士が重ならない場合には異なる角度で配列されるようにドットを形成しても構わない。
【0209】
例えば、図柄P12(図柄「リプレイA」)や図柄P13(図柄「リプレイB」)において、第3ドット部Dt3のドット(青(BU)のドット)と第4ドット部Dt4のドット(水色(WB)のドット)とを同じ角度の配列で形成するようにしても構わない。
【0210】
また同様に、例えば、図柄P15(図柄「スイカ」)において、第9ドット部Dt9のドット(濃ピンク(PK1)のドット)と第10ドット部Dt10のドット(水色(WB)のドット)と第11ドット部Dt11のドット(薄ピンク(PK3)のドット)とのうちの2つ又は3つを異なる角度の配列で形成するようにしても構わない。これにより、図柄に立体感を与えることができ、リールテープのデザイン性を向上することができる。
【0211】
また、上記第2実施形態においては、陰Kgの領域ArMにおいて、第1ドット部Dt1におけるピンク(PK2)のインクのドットを第1方向D1に配列させ、第2ドット部Dt2における茶(BW)のインクのドットを第1方向D1に対して異なる角度の第2方向D2に配列させることでモアレを生じさせるものを説明したが、これに限らず、これらのドットを同じ方向に配列させたものでも構わない。2種類のドットを同じ方向に配列したとしても、例えば一方のインクのドットの間隔を他方のインクのドットの間隔と異ならせることでモアレを生じさせることも考えられる。
【0212】
また、上記第2実施形態においては、ピンク(PK2)のインクのドットと茶(BW)のインクのドットとを異なる方向に配列したものを説明したが、これらに限らず、全てのインクのドットを同じ方向(例えばリールテープT1の短手方向に対して30度、又は45度、又は60度等)に揃えても構わない。
【0213】
さらに、上記第2実施形態においては、ピンク(PK2)のインクのドットをリールテープT1の短手方向に対して30度に傾斜させ、茶(BW)のインクのドットをリールテープT1の短手方向に対して60度に傾斜させたものを説明したが、これらの角度はどのような角度でも構わない。但し、各インクのドットをリールテープT1の短手方向に対して0度或いは90度のように配列すると、特にリールR1~R3と対向する透過液晶ディスプレイである表示装置410の液晶素子が配列された角度と重なる恐れがあり、その場合、リールテープT1~T3に印刷されたドットと液晶素子とが干渉して視認性を損なう可能性がある。そのため、各色のインクは、リールテープT1の短手方向に対して0度(水平方向)や90度(垂直方向、リール回転方向)に対して異なる角度に配列しておくことで、リールテープT1~T3の視認性を向上することができる。
【0214】
また、本第2実施形態においては、ベタ層として、背景Hにおける第1背景形成層61a、特定図柄における着色部P11bの領域全体の黄色(YL)のインクのベタ、特定図柄における第1領域ArT1の水色(WB)のインクのベタ、を一例として説明したが、これに限らず、ドットとなる層に対して表裏の方向に隣接するベタの層が少なくとも1つ形成されていればよく、つまり複数のインクにより印刷層のうちの少なくとも1つがベタ層として印刷されてドットに隣接するように配置されていればよい。
【0215】
<第3実施形態>
続いて、上記第2実施形態を一部変更した第3実施形態について図15及び図16を用いて説明する。図15は第3実施形態に係る一区画における背景模様を示す図、図16は第3実施形態に係るリプレイA図柄におけるリールテープの断面を示す図である。なお、本第3実施形態の説明においては、上記第1及び第2実施形態と同様な部分に同符号を用い、その説明を省略する。
【0216】
上記第2実施形態においては、模様形状Hmk1及び模様形状Hmk2を有する背景Hの背景模様Hmを極薄ピンク(PK4)のインクによる背景模様形成層61mを印刷する際に色の濃さを変える(ドットの面積比を変える)ことで形成したものを説明したが、本第3実施形態においては、第2背景形成層61bを印刷しない部分で模様形状Hmk11及び模様形状Hmk21を形成し、これによって背景模様Hmを形成したものである。
【0217】
詳細には、図15及び図16に示すように、背景形成層61は、背景Hの第1層目として基材60の裏面に印刷される第2形成層としての第1背景形成層61aと、基材60に対して第1背景形成層61aを挟んで反対側に印刷される第1形成層としての第2背景形成層61bと、を有している。本第3実施形態においても、第1背景形成層61aは白1(WH1)のインクの層により形成され、第2背景形成層61bは白2(WH2)のインクの層により形成されている。そして、図16に示すように、第2背景形成層61bが印刷されないことで模様形状Hmk11及び模様形状Hmk21が形成されている。
【0218】
このように形成された背景模様Hmは、リールバックライトBLiによってリールテープT1~T3が照明された際に、第2背景形成層61bが印刷されない模様形状Hmk11及び模様形状Hmk21が透光性が高くて明るく表示され、その他の部分である第1背景形成層61a及び第2背景形成層61bが印刷された部分が相対的に模様形状Hmk11及び模様形状Hmk21よりも暗く表示される。これにより、図15に示すように、模様形状Hmk11及び模様形状Hmk21が浮かび上がる形で、背景模様Hmが構成されることになる。
【0219】
[第3実施形態のまとめ]
以上説明したように、本第3実施形態に係るリールテープT1~T3においては、背景Hには、模様形状Hmk11及び模様形状Hmk21を有する背景模様Hmが形成されており、模様形状Hmk11及び模様形状Hmk21が、第2背景形成層61bが印刷されないことで形成されているので、模様形状Hmk11及び模様形状Hmk21の透光性が高くなって明るく表示され、デザイン性として富んで、リールテープのデザイン性を向上することができる。
【0220】
[第3実施形態の変形例]
なお、本第3実施形態においては、第2形成層としての第1背景形成層61aが基材60に印刷され、第1形成層としての第2背景形成層61bが基材60に対して第1背景形成層61aを挟んで反対側に印刷されたものを説明したが、反対に、第1形成層としての第2背景形成層61bが基材60に印刷され、第2形成層としての第1背景形成層61aが基材60に対して第2背景形成層61bを挟んで反対側に印刷されたものでも構わない。要するに、背景形成層61が第1背景形成層61a及び第2背景形成層61bの二層が形成されており、そのうちの基材60に近い側の一層目に印刷しない部分を設けることで、模様形状を形成してもよい。例えば二層目に背景模様を形成した場合は背景模様の縁が捲れて、その背景形成層に剥がれが生じてしまう可能性がある。しかしながら、一層目に背景模様を形成した場合は、その裏側に二層目が印刷されることになるので、模様形状として印刷されていない部分を二層目で覆うように印刷することができ、一層目における背景模様の縁が露出せず、上記のように背景形成層に剥がれが生じてしまう可能性を軽減することができる。
【0221】
また、本第3実施形態においては、背景形成層61が第1背景形成層61aと第2背景形成層61bとの二層で形成されたものを説明したが、これに限らず、第1背景形成層61aと第2背景形成層61bと第3背景形成層とを印刷する等、つまり背景形成層61が三層以上であっても構わない。特に背景形成層61が三層である場合には、そのうちの一層又は二層が印刷されないことで模様形状を形成することが考えられる。また、例えば背景形成層61が三層であって二層が印刷されないことで模様形状を形成する場合は、そのうちの一方の層の模様形状を他の層の模様形状よりも一回り大きく形成することで、輪郭部分に所謂逃げを形成することが考えられ、これによって、それらの層の印刷時にズレが発生しても、模様形状が意図せず小さくなったり形状が変わったりすることを防ぐことができる。さらに、このように三層のうちの二層又は一層に模様形状を形成する場合でも、基材60に近い側の一層目や二層目に模様形状を形成し、二層目及び三層目、或いは三層目だけで模様形状を覆うことで、上記と同様に、背景形成層に剥がれが生じてしまう可能性を軽減することができる。
【0222】
また、本第3実施形態においては、模様形状Hmk11及び模様形状Hmk21が四角ないし菱形形状であるものを説明したが、これに限らず、どのような形状でも構わない。特に模様形状を文字(漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字、数字、記号等)として、遊技機の機種名や版権名を入れたり、リールテープT1~T3を区別する番号を入れたりしても構わない。
【0223】
<第4実施形態>
続いて、上記第2実施形態を一部変更した第4実施形態について図17を用いて説明する。図17(a)は第4実施形態に係るバックライト消灯時の一区画における背景模様を示す図、図17(b)は第4実施形態に係るバックライト点灯時の一区画における背景模様を示す図である。なお、本第4実施形態の説明においては、上記第1及び第2実施形態と同様な部分に同符号を用い、その説明を省略する。
【0224】
上記第2実施形態においては、背景Hの背景模様Hmにおいて、模様端部Hmedが、極薄ピンク(PK4)の濃さが最も濃い状態となるように、かつ、模様形成部Hmmnが、背景中央部HCまで徐々に極薄ピンク(PK4)の濃さが連続的ないし段階的に変化して薄くなって無くなるようにグラデーションで形成されたものを説明したが、本第4実施形態においては、模様端部Hmedに対して模様形成部Hmmnが薄くなるように、つまり2段階のトーンとなるように形成されたものである。
【0225】
詳細には、図17(a)に示すように、背景Hの背景模様Hmにおいて模様端部Hmedは、リールテープT1の短手方向Xにおける右端T1cから内方へ距離d1の範囲に形成され、かつリールテープT1の短手方向Xにおける左端T1dから内方へ距離d1の範囲に形成されている。この模様端部Hmedは、例えば極薄ピンク(PK4)のインクのドットで形成され、かつシルク印刷の版の網目の面積比で70%程度の濃さに形成されている。この模様端部Hmedの距離d1は、上記接着領域の距離bの4mmよりも大きく、さらに、リールフレームFR1の第1リム部21の端部支持面21a及び第2リム部22の端部支持面22aの距離aの5mmよりも大きい、10mm程度となっている。つまり、模様端部Hmedは、リールフレームFR1の第1リム部21及び第2リム部22に重なる重なり領域ArAとなっている。
【0226】
また、背景Hの背景模様Hmにおいて模様形成部Hmmnは、リールテープT1の両端にある模様端部Hmedのそれぞれから内方へ距離d2の範囲に形成されている。この模様形成部Hmmnの距離d2は、14mm程度となっている。なお、模様形成部Hmmnの距離d2は、本実施形態では、図柄P11~P20に重なるものとなっているが、第2実施形態と同様に、図柄P11~P20のうちの、図柄P11(図柄「ベル」)、図柄P12(図柄「リプレイA」)、図柄P13(図柄「リプレイB」)、図柄P14(図柄「チェリー」)、図柄P15(図柄「スイカ」)には重ならないような距離に形成されていてもよい(図8参照)。つまり、模様形成部Hmmnは、リールフレームFR1の第1リム部21及び第2リム部22に重ならない非重なり領域ArBとなっている。従って、模様形成部Hmmnにおいて、リールフレームFR1の第1リム部21及び第2リム部22に重なる重なり領域ArAと重ならない非重なり領域ArBとの境界は、リールテープT1の短手方向Xにおける右端T1c又は左端T1dから内方へ距離aの位置にあって、境界線LnBで表すことができる。
【0227】
このように構成された背景Hの背景模様Hmにおいては、模様形状Hmk1及び模様形状Hmk2を除き、大まかに、リールテープT1の両端から模様端部Hmed及び模様形成部Hmmnによって2段階のトーンとなるように形成されている。
【0228】
そして、背景Hの背景模様Hmにおいては、上述したように模様形状Hmk1及び模様形状Hmk2が形成されている。この模様形状Hmk1及び模様形状Hmk2は、リールテープT1の短手方向Xにおける右端T1c又は左端T1dから内方へ距離aよりも離れた位置に配置されている。従って、模様形状Hmk1及び模様形状Hmk2は上記境界線LnBの上には重ならないように形成されており、換言すると、境界線LnBの上に模様形状Hmk1及び模様形状Hmk2が形成されていない。
【0229】
ところで、リールバックライトBLiは、遊技の進行に応じて点灯と消灯とを切替えることで演出を行うことがある。具体的には、リールR1~R3の回転中においては点灯する必要があるが、それぞれのリールR1~R3の回転停止後は消灯することが可能であり、特に、例えばフリーズ演出中、疑似遊技中等であってはバックライト消灯演出を行うことが考えられる。
【0230】
このため、本第4実施形態におけるリールテープT1においては、リールバックライトBLiの点灯時に、図17(b)に示すように、模様端部HmedにリールフレームFR1の第1リム部21及び第2リム部22の影が出現して、模様端部Hmedが2段階のトーンとなり、つまり、模様形成部Hmmnと合わせて、リールテープT1の両端から3段階のトーンとなるように表示される。また、リールバックライトBLiの消灯時に、図17(a)に示すように、リールテープT1の両端から2段階のトーンとなるように表示される。
【0231】
そして、このようにリールバックライトBLiが点灯された場合には、模様形成部Hmmnにおいて、リールフレームFR1の第1リム部21及び第2リム部22に重なる重なり領域ArAと重ならない非重なり領域ArBとの境界である境界線LnBが出現することになるが、この境界線LnBは模様形状Hmk1及び模様形状Hmk2に重なっていないため、模様形状Hmk1及び模様形状Hmk2の視認性に影響を及ぼさない。
【0232】
[第4実施形態のまとめ]
以上説明したように、本第4実施形態に係るリールテープT1~T3においては、背景Hに、リールフレームFR1の第1リム部21及び第2リム部22と重なる重なり領域ArAと、第1リム部21及び第2リム部22と重ならない非重なり領域ArBと、を有しており、模様形状Hmk1及び模様形状Hmk2は、重なり領域ArAと非重なり領域ArBとの境界線LnBの上に形成されていないので、模様形状Hmk1及び模様形状Hmk2の視認性に影響を及ぼさないようにすることができ、リールテープのデザイン性を向上することができる。
【0233】
[第4実施形態の変形例]
なお、本第4実施形態においては、主に模様形成部Hmmnに模様形状Hmk1及び模様形状Hmk2が形成されているものを一例に説明したが、これに限らず、模様端部Hmedに模様形状が形成されていてもよく、つまり、模様形状が境界線LnBの上に形成されていなければよく、特に、第1リム部21及び第2リム部22と重なる重なり領域ArAに模様形状が形成されていても構わない。
【0234】
また、本第4実施形態においては、模様形成部Hmmnがハーフトーンとなっているものを説明したが、これに限らず、模様形成部Hmmnが第2実施形態のようにグラデーションとなっていても構わない。
【0235】
また、本第4実施形態においては、模様形成部Hmmnが模様端部Hmedよりも色が薄いもの(ドットの密度(面積比)が小さいもの)を説明したが、これに限らず、模様形成部Hmmnが模様端部Hmedよりも色が濃くなるものであっても構わない。
【0236】
<他の実施形態の可能性>
なお、第1乃至第4実施形態においては、第1背景形成層61aと第2背景形成層61bとが同じ塗料(例えば白1(WH1)及び白2(WH2))で形成されているものを説明したが、これに限らず、同系色の塗料を用いたものでもよく、さらには、特に第2背景形成層61bが光を遮光する塗料(例えば黒色、暗灰色、濃紺等の塗料)により形成された遮光層(裏打ち層であって所謂銀裏打ち)であってもよい。
【0237】
また、第1乃至第4実施形態において、背景Hは第1背景形成層61Aの白色の塗料で背景色が形成されているものを説明したが、これに限らず、どのような色の背景色であってもよく、特に白色系の背景色であれば好ましく、例えば光輝性顔料を含有するようなものでも構わない。
【0238】
また、第1乃至第4実施形態において、各図柄の縁部は明度の低い塗料(黒(BL)のインク)によって形成されているものとして説明したが、これに限らず、例えば暗灰色、濃紺等の明度の低い塗料であれば、どのような塗料を用いてもよいが、特に各図柄で同系色の塗料を用いていることが好ましい。なお、同系色とは、同一色の他、類似色、例えば、赤に対するマゼンタ、青に対するシアン、黒に対するグレー等を含む色である。具体的には、同系色とは色差(ΔEab)が小さい色であり、好ましくは、色差が10未満、より好ましくは、5.0未満となる色である。このΔEabは、ΔEab=√((ΔL+(Δa+(Δb)で表される値であり、値が大きいほど目視したときの色の違いが大きいということになる。
【0239】
また、第2乃至第4実施形態においては、各図柄P11~P20の何れにもリールバックライトBLiの光を透過する透明な塗料だけでチヂミとして形成された透光部を備えていないものを説明したが、これに限らず、例えば星図柄、テカリ部分等に、透光部を形成して、図柄の一部が相対的に明るく光るように構成しても構わない。なお、この場合は、透光部によってリールバックライトBLiの光が点光しないように、透光部の裏面にはチヂミを形成することが好ましい。
【0240】
また、第1乃至第4実施形態においては、本スロットマシン1が特定領域410bを覆うように液晶ディスプレイである表示装置410を備えた所謂全面液晶機であるものとして説明したが、これに限らず、例えば特定領域410bとは異なる場所に表示装置410を配置したものであっても構わない。この場合でもリールテープT1~リールテープT3の背景Hに透明塗料を含有してリールバックライトBLiの照明を透過し易くすることで、リールR1~R3を明るくすることができ、図柄の見易さも相俟って見栄えを良好にすることができる。
【0241】
また、第1乃至第4実施形態において、リールR1は最も左方側に配置され、リールR2はリールR1の右方側に配置され、リールR3は最も右方側に配置されているものであるが、これに限らず、リールR1~R3が配置される順番はいずれの順番であってもよいし、リールR1~R3以外のリールR4(4つ目のリール)があり、どの位置に配置されていてもよい。
【0242】
また、第1乃至第4実施形態において、背景模様Hmは、長手方向Yにおいて20個(20コマ)の領域のうちの1個(1コマ)を一単位として長手方向に20個が連続的に並ぶものを説明したが、これに限らず、例えば20個(20コマ)を複数に分割したものを一単位として連続的に並ぶものであってもよい。具体的には、例えば20コマの領域を「5」で分割した長さ(つまり背景模様が4コマの長さ)。20コマの領域を「4」で分割した長さ(つまり背景模様が5コマの長さ)、20コマの領域を「2」で分割した長さ(つまり背景模様が10コマの長さ)、21コマの領域を「7」で分割した長さ(つまり背景模様が3コマの長さ)、21コマの領域を「3」で分割した長さ(つまり背景模様が7コマの長さ)、16コマの領域を「4」で分割した長さ(つまり背景模様が4コマの長さ)等、つまりリールテープにおける図柄が配置される個数が割り切れるように分割されていれば、背景模様Hmの1つのパターンは、どのような長さであっても構わない。
【符号の説明】
【0243】
1…スロットマシン(遊技機)
ArT1…領域
ArT2…領域
BU…青のインク(第2塗料)
D1…第1方向
D2…第2方向
Dt4…第4ドット部(第1網点部)
Dt3…第3ドット部(第2網点部)
P11~P20…図柄
P12…図柄(特定図柄)
P12D…暗部
P12M…明部
R1~R3…リール
T1~T3…リールテープ
WB…水色のインク(第1塗料)
WH1…白1のインク(第3塗料)
【要約】
【課題】リールテープのデザイン性を向上すること。
【解決手段】図柄P12は、水色(WB)と青(BU)と白1(WH1)とを含む複数の塗料により形成されており、水色(WB)は白1(WH1)よりも先に、青(BU)は水色(WB)よりも先に印刷されている。図柄P12は明部P12Mと暗部P12Dとを有し、明部P12Mは白1(WH1)のベタ層と第4ドット部Dt4とを重ねることで表現された領域ArT2を有し、暗部P12Dは、水色(WB)のベタ層と第3ドット部Dt3とを重ねることで表現された領域ArT1を有し、第4ドット部Dt4におけるドットは、第1方向D1に配列されて表現されており、第3ドット部Dt3におけるドットは、第1方向D1に対して異なる角度の第2方向D2に配列されて表現されており、第4ドット部Dt4の縁と第3ドット部Dt3の縁とが接するように表現されている。
【選択図】図9
図1
図2
図3
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図17