(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-20
(45)【発行日】2025-10-28
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20251021BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20251021BHJP
H01M 10/0585 20100101ALI20251021BHJP
H01M 4/02 20060101ALI20251021BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20251021BHJP
H01M 50/463 20210101ALI20251021BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20251021BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M10/052
H01M10/0585
H01M4/02 Z
H01M4/13
H01M50/463 B
H01M50/105
(21)【出願番号】P 2023129071
(22)【出願日】2023-08-08
(62)【分割の表示】P 2021115467の分割
【原出願日】2015-05-20
【審査請求日】2023-09-05
(31)【優先権主張番号】P 2014107546
(32)【優先日】2014-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 実
(72)【発明者】
【氏名】後藤 裕吾
(72)【発明者】
【氏名】米田 祐美子
(72)【発明者】
【氏名】三輪 託也
(72)【発明者】
【氏名】田島 亮太
【審査官】岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-168305(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0033195(KR,A)
【文献】特開2005-085570(JP,A)
【文献】国際公開第2011/125325(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 4/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲げることが可能な二次電池であって、
第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に位置するセパレータとを備え、
中央部に第1の開口部を有し、
前記第1の電極は、前記第1の開口部の周辺部に位置する複数の第2の開口部を有し、
前記第2の電極は、前記第1の開口部の周辺部に位置する複数の第3の開口部を有し、
前記第2の開口部
および前記第3の開口部は、前記第1の開口部とは異なる形状を有し、
前記第2の開口部
および前記第3の開口部は、スリット形状であり、
前記第1の開口部に、前記第1の電極の端子として機能する第1の領域および前記第2の電極の端子として機能する第2の領域が突出しており、
前記二次電池は、前記第1の開口部を中心とする点対称となる形状を有する、二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一様態は、物、方法、又は、製造方法に関する。または、本発明は、プロセス、
マシン、マニュファクチャ、又は、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。
本発明の一態様は、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、照明装置または電子機
器の製造方法に関する。特に、電子機器およびそのオペレーティングシステムに関する。
【0002】
なお、本明細書中において電子機器とは、二次電池を有する装置全般を指し、二次電池
を有する電気光学装置、二次電池を有する情報端末装置などは全て電子機器である。
【背景技術】
【0003】
使用者が携帯する電子機器や、使用者が装着する電子機器が盛んに開発されている。例え
ば、薄型携帯書籍が特許文献1に記載されている。
【0004】
使用者が携帯する電子機器や、使用者が装着する電子機器は、二次電池を電源として動作
する。使用者が携帯する電子機器は、長時間使用することが望まれ、そのために大容量の
二次電池を用いればよい。電子機器に大容量の二次電池を内蔵させると大容量の二次電池
は大きく、重量がかさむ問題がある。そこで携帯する電子機器に内蔵できる小型または薄
型で大容量の二次電池の開発が進められている。
【0005】
また、二次電池は、外装体として金属缶を用い、その金属缶内に電解質などを収納する構
成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
外装体として金属缶を用いる場合、二次電池自体の重量が増加する問題点がある。また、
薄い二次電池を実現するために、薄い金属缶を成形加工によって製造することが困難であ
り、薄い金属缶を用いて二次電池を作製することも困難である。
【0008】
外装体として金属箔(アルミニウム、ステンレスなど)と樹脂(熱融着性樹脂)の積層を
含むフィルム(ラミネートフィルムとも呼ぶ)を用いると、金属缶を用いた二次電池より
も軽量であり、薄型の二次電池を作製することができる。
【0009】
使用者の装着感を快適なものとするため、人体に装着して使用される表示装置は軽量化、
及び小型化が求められ、さらに表示装置の駆動装置や電源を含めた電子機器全体の軽量化
が求められる。
【0010】
新規な構造の電子機器を提供する。具体的には、さまざまな外観形状にすることができる
新規な構造の電子機器を提供する。
【0011】
または、本発明の一態様は、新規な蓄電装置、新規な二次電池などを提供することを課題
とする。なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本
発明の一態様は、必ずしも、これらの課題の全てを解決する必要はない。なお、これら以
外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明
細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
二次電池の外装体にフィルムを用いた場合、フィルムの強度は、金属缶よりも弱く、外部
から力が加わった場合に、外装体の内部に配置される集電体、または集電体表面に設けら
れた活物質層などにダメージを与える恐れがある。集電体は、リード電極と接続するため
の突出部(電極タブ部とも呼ばれる)が設けられており、外力が加わり二次電池が曲がっ
た時に突出部(電極タブ部)の周辺で亀裂などのダメージが集電体の一部に与えられ、二
次電池の破損に繋がる。なお、電極タブ部には活物質層は設けない。
【0013】
ラミネートフィルムを外装体に用いる薄型の二次電池は、亀裂の入りやすい電極形状、即
ち、リード電極の引き出しのため一部が突出している突出部(電極タブ部)を有している
。
【0014】
ラミネートフィルムを外装体に用いる薄型の二次電池を曲げる場合、その曲げによる外力
に対して強く耐え、新規構成を有する二次電池は、二次電池の中央部に電極タブ部を配置
し、その電極タブ部を中心とする点対称となるような外観を有する二次電池である。
【0015】
本明細書で開示する構成は、電解液が外装体で封止された二次電池であり、第1の集電体
と、第1の集電体上に第2の集電体と、外装体は、開口部を有し、開口部に第1の集電体
の一部が突出し、開口部に第2の集電体の一部が突出し、外装体はフィルムであることを
特徴とする二次電池である。
【0016】
上記構成において、開口部に突出する第1の集電体の一部は、正極の端子であり、開口部
に突出する第2の集電体の一部は、負極の端子であることを特徴の一つである。
【0017】
上記構成において、第1の集電体と第2の集電体の間にセパレータを有する。また、第1
の集電体は、複数の開口を有してもよい。また、第2の集電体は、複数の開口を有しても
よい。第1の集電体または第2の集電体に複数の開口を設けることによって集電体の一部
を曲がりやすくし、曲げた時に集電体が曲がる位置を制御することができる。
【0018】
二次電池の外側周縁は、熱圧着により固定されている。さらに、二次電池の中央部が熱圧
着により固定されており、二次電池の外側周縁部を曲げても曲がる量が制限されている。
二次電池内部には、集電体が複数収納されており、外部は、外装体で囲まれており、外装
体の一部と集電体の一部が固定されている。上記構成においては二次電池の開口部は貫通
した穴、即ち中空構造となっており、外装体の開口部では封止時に外装体の一部が集電体
の一部と固定されている。上面から見て二次電池のほぼ中央部に位置する開口部を固定し
て二次電池を曲げた場合、外装体と集電体が固定されていない領域、特に外側周縁部にお
いて外装体の変形量と集電体の変形量との差を従来よりも小さくできる。また、集電体を
複数用いる場合、最上層の集電体と最下層の集電体の変形量の差も小さくできる。即ち、
二次電池の中央部が熱圧着により固定されることにより、二次電池の変形に対する変形の
程度を抑える。従来では、矩形の二次電池の一辺に突出した正極(或いは負極)の端子を
有し、その一辺と集電体の一部が重なる部分で固定されている構成としているため、固定
した一辺から離れた領域においては、外装体の変形量と集電体の変形量との差が大きく、
内部においても最上層の集電体と最下層の集電体の変形量の差も大きくなる。最上層の集
電体と最下層の集電体の変形量の差が大きくなると、一対となっている第1の集電体と第
2の集電体とが重ならない領域は電池として機能しないため、容量低減につながる。
【0019】
また、二次電池の中央部に接続を行う構成となるため、二次電池の中央部に重ねて素子や
、回路を配置することで引き回し配線(リード線など)の長さを短縮し、配線抵抗を低減
することもできる。二次電池の中央部に重ねて素子や回路(例えばレギュレータなど)を
配置することは、特に、厚さの薄いデバイスにおいては筐体内に収納スペースが少ないた
め、二次電池を実装する上で有利である。レギュレータは、接続されている二次電池から
各機能回路に必要な電力または信号を生成し、供給する。また、二次電池への充電時には
、レギュレータは、二次電池は過充電などを防止することもできる。
【0020】
また、薄型の二次電池において、電極タブ部を中心として二次電池の外形サイズを大きく
することで大面積化も可能となる。
【発明の効果】
【0021】
新規構成を有する二次電池を実現できる。新規構成を有する二次電池とすることで、二次
電池を備えた電子機器の筐体が変形する場合、筐体とともに二次電池が変形しても、二次
電池の変形に対する変形量を抑える。
【0022】
また、その新規構成を有する二次電池を有する新規な構造の電子機器を実現できる。
【0023】
二次電池を備えた電子機器を人体の一部(例えば、肘、肩、膝、頭などの球面を含む部分
)に装着することによって、製造業、警察、消防、医療、老人介護、流通、商品販売など
の、手を自由に使う必要がある業務形態に有用である。
【0024】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は
、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面
、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一態様を示す上面図及び断面図である。
【
図4】本発明の一態様を示す斜視図及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は
以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれ
ば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈さ
れるものではない。
【0027】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は、発
明を明瞭化するために誇張または省略されている場合がある。よって、必ずしもそのスケ
ールに限定されない。
【0028】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避けるた
めに付すものであり、工程順または積層順など、なんらかの順番や順位を示すものではな
い。また、本明細書等において序数詞が付されていない用語であっても、構成要素の混同
を避けるため、特許請求の範囲において序数詞が付される場合がある。
【0029】
(実施の形態1)
図1(A)に蓄電体の模式上面図の一例を示す。
【0030】
本発明の一態様の蓄電体100は、外装体107内に、正極101と、セパレータ103
と、負極102と、電解液120を少なくとも有する。蓄電体の構造としては、様々な構
造があるが、本実施の形態では、外装体107の形成にフィルムを用いる。
【0031】
本実施の形態では、2つの円形の開口部を有する1枚の積層フィルムを折り、2つの開口
が重なるようにして、開口部周縁を熱圧着している。また、外側周縁(3辺)も熱圧着し
ている。
【0032】
また、1つの円形の開口部を有する1枚目の積層フィルムと、1つの円形の開口部を有す
る2枚目の積層フィルムとを用いて、2つの開口が重なるようにして、開口部周縁及び外
側の4辺を熱圧着で封止してもよい。
【0033】
正極101の上面図の一例を
図1(B)に示す。正極101は、積層フィルムの開口部と
重なる開口部を有しており、電極タブ部の部分が突出している。電極タブ部は、外部の配
線と接続するための端子である。なお、正極101は、集電体(アルミニウムなど)の片
面または両面に正極活物質層などを設けたものを含めて正極と呼ぶこととする。なお、正
極活物質層は、集電体において端子となる領域、即ち電極タブ部には形成しない。
【0034】
また、負極102の上面図の一例を
図1(D)に示す。負極102も積層フィルムの開口
部と重なる開口部を有しており、電極タブ部の部分が突出している。負極102は、集電
体(銅など)の片面または両面に負極活物質層などを設けたものを含めて負極と呼ぶこと
とする。なお、負極活物質層は、集電体において端子となる領域、即ち電極タブ部には形
成しない。
【0035】
本実施の形態において、蓄電体の構成は、例えば、セパレータ103の厚さは約15μm
以上30μm以下、正極101の集電体は約10μm以上約40μm以下、正極活物質層
は約50μm以上約100μm以下、負極活物質層は約50μm以上約100μm以下、
負極102の集電体は約5μm以上約40μm以下とする。
【0036】
また、正極101と負極102の間に配置するセパレータ103の上面図の一例を
図1(
C)に示す。セパレータも積層フィルムの開口部と重なる開口部を有している。また、図
1(C)では、セパレータ103は、シート状のものを用いる例を示したが、袋状のもの
を用いてよい。また、1枚のセパレータを折り曲げ、曲げたセパレータの間に正極(或い
は負極)が位置するように外装体107内に設置してもよい。
【0037】
また、
図1(A)中の鎖線A-Bで切断した断面模式図が
図1(E)である。
【0038】
図1(E)では、電極タブ部が外装体107から突出する構成を示している。また、3枚
の正極を重ねて超音波接合させてその積層体を一方の端子とする例を示している。このよ
うな構成とすると、リード電極を用いることなく、端子電極を形成することができる。
【0039】
なお、本実施の形態では説明を簡略にするため、
図1(E)においては、電解液120と
、3組の正極101と負極102を外装体107に収納する例を示しているが、蓄電体の
容量を大きくするために、4組以上の正極101と負極102の組み合わせを外装体10
7に収納してもよい。また、蓄電体を薄くするために2組または1組の正極101と負極
102の組み合わせを外装体107に収納してもよい。
【0040】
また、中央部での正極と負極の短絡を防ぐため、正極のタブ部と負極のタブ部の間に絶縁
体を設けることが好ましい。
【0041】
以下に蓄電体100を作製する例を示す。
【0042】
まず、3つの正極(
図1(B)に示す形状を有する集電体を含む)と、5つのセパレータ
(
図1(C)に示す形状を有するセパレータ)と、3つの負極(
図1(D)に示す形状を
有する集電体を含む)を用意する。正極101は、中央部の開口の他にスリットとして複
数の開口を有しており、蓄電体が曲げられた場合に正極の皺などが生じにくい構成として
いる。なお、正極101は、片面または両面に正極活物質層を有する。負極102も、中
央部の開口の他にスリットとして複数の開口を有しており、蓄電体が曲げられた場合に負
極の皺などが生じにくい構成としている。また、負極102は、片面または両面に負極活
物質層を有する。
【0043】
正極101や負極102に用いる集電体としては、ステンレス、金、白金、亜鉛、鉄、ニ
ッケル、銅、アルミニウム、チタン、タンタル等の金属、及びこれらの合金など、導電性
の高く、リチウム等のキャリアイオンと合金化しない材料を用いることができる。また、
シリコン、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性を向上させる元素
が添加されたアルミニウム合金を用いることができる。また、シリコンと反応してシリサ
イドを形成する金属元素で形成してもよい。シリコンと反応してシリサイドを形成する金
属元素としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、
クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。集電体は、厚みが5
μm以上40μm以下のものを用いるとよい。
【0044】
正極101に用いる集電体の一面または両面には正極活物質層を形成する。
【0045】
蓄電体100の正極活物質層に用いる正極活物質としては、オリビン型の結晶構造、層状
岩塩型の結晶構造、またはスピネル型の結晶構造を有する複合酸化物等がある。正極活物
質として、例えばLiFeO2、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、V2O
5、Cr2O5、MnO2等の化合物を用いる。
【0046】
または、複合材料(一般式LiMPO4(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(I
I)、Ni(II)の一以上))を用いることができる。一般式LiMPO4の代表例と
しては、LiFePO4、LiNiPO4、LiCoPO4、LiMnPO4、LiFe
aNibPO4、LiFeaCobPO4、LiFeaMnbPO4、LiNiaCob
PO4、LiNiaMnbPO4(a+bは1以下、0<a<1、0<b<1)、LiF
ecNidCoePO4、LiFecNidMnePO4、LiNicCodMnePO
4(c+d+eは1以下、0<c<1、0<d<1、0<e<1)、LiFefNigC
ohMniPO4(f+g+h+iは1以下、0<f<1、0<g<1、0<h<1、0
<i<1)等のリチウム化合物を材料として用いることができる。
【0047】
または、一般式Li(2-j)MSiO4(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(
II)、Ni(II)の一以上、0≦j≦2)等の複合材料を用いることができる。一般
式Li(2-j)MSiO4の代表例としては、Li(2-j)FeSiO4、Li(2
-j)NiSiO4、Li(2-j)CoSiO4、Li(2-j)MnSiO4、Li
(2-j)FekNilSiO4、Li(2-j)FekColSiO4、Li(2-j
)FekMnlSiO4、Li(2-j)NikColSiO4、Li(2-j)Nik
MnlSiO4(k+lは1以下、0<k<1、0<l<1)、Li(2-j)FemN
inCoqSiO4、Li(2-j)FemNinMnqSiO4、Li(2-j)Ni
mConMnqSiO4(m+n+qは1以下、0<m<1、0<n<1、0<q<1)
、Li(2-j)FerNisCotMnuSiO4(r+s+t+uは1以下、0<r
<1、0<s<1、0<t<1、0<u<1)等のリチウム化合物を材料として用いるこ
とができる。
【0048】
また、正極活物質として、AxM2(XO4)3(A=Li、Na、Mg、M=Fe、M
n、Ti、V、Nb、Al、X=S、P、Mo、W、As、Si)の一般式で表されるナ
シコン型化合物を用いることができる。ナシコン型化合物としては、Fe2(MnO4)
3、Fe2(SO4)3、Li3Fe2(PO4)3等がある。また、正極活物質として
、Li2MPO4F、Li2MP2O7、Li5MO4(M=Fe、Mn)の一般式で表
される化合物、NaFeF3、FeF3等のペロブスカイト型フッ化物、TiS2、Mo
S2等の金属カルコゲナイド(硫化物、セレン化物、テルル化物)、LiMVO4等の逆
スピネル型の結晶構造を有する酸化物、バナジウム酸化物系(V2O5、V6O13、L
iV3O8等)、マンガン酸化物、有機硫黄等の材料を用いることができる。
【0049】
なお、キャリアイオンが、リチウムイオン以外のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属
イオンの場合、正極活物質として、リチウムの代わりに、アルカリ金属(例えば、ナトリ
ウムやカリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウ
ムベリリウム、またはマグネシウム等)を用いてもよい。
【0050】
負極102に用いる集電体の一面または両面には負極活物質層を形成する。
【0051】
蓄電体100の負極活物質層に用いる負極活物質としては、リチウムの溶解・析出、又は
リチウムイオンの挿入・脱離が可能な材料を用いることができ、リチウム金属、炭素系材
料、合金系材料等を用いることができる。
【0052】
リチウム金属は、酸化還元電位が低く(標準水素電極に対して-3.045V)、重量及
び体積当たりの比容量が大きい(それぞれ3860mAh/g、2062mAh/cm3
)ため、好ましい。
【0053】
炭素系材料としては、黒鉛、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)、難黒鉛化性炭素(ハー
ドカーボン)、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラック等がある。
【0054】
黒鉛としては、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、コークス系人造黒鉛、ピッチ
系人造黒鉛等の人造黒鉛や、球状化天然黒鉛等の天然黒鉛がある。
【0055】
黒鉛はリチウムイオンが黒鉛に挿入されたとき(リチウム-黒鉛層間化合物の生成時)に
リチウム金属と同程度に卑な電位を示す(0.1~0.3V vs.Li/Li+)。こ
れにより、リチウムイオン二次電池は高い作動電圧を示すことができる。さらに、黒鉛は
、単位体積当たりの容量が比較的高い、体積膨張が小さい、安価である、リチウム金属に
比べて安全性が高い等の利点を有するため、好ましい。
【0056】
負極活物質として、リチウムとの合金化・脱合金化反応により充放電反応を行うことが可
能な合金系材料または酸化物も用いることができる。キャリアイオンがリチウムイオンで
ある場合、合金系材料としては、例えば、Al、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、
Ag、Au、Zn、Cd、In、Ga等のうち少なくとも一つを含む材料がある。このよ
うな元素は炭素に対して容量が大きく、特にシリコンは理論容量が4200mAh/gと
飛躍的に高い。このため、負極活物質にシリコンを用いることが好ましい。このような元
素を用いた合金系材料としては、例えば、Mg2Si、Mg2Ge、Mg2Sn、SnS
2、V2Sn3、FeSn2、CoSn2、Ni3Sn2、Cu6Sn5、Ag3Sn、
Ag3Sb、Ni2MnSb、CeSb3、LaSn3、La3Co2Sn7、CoSb
3、InSb、SbSn等がある。
【0057】
また、負極活物質として、SiO、SnO、SnO2、二酸化チタン(TiO2)、リチ
ウムチタン酸化物(Li4Ti5O12)、リチウム-黒鉛層間化合物(LixC6)、
五酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化タングステン(WO2)、酸化モリブデン(MoO2
)等の酸化物を用いることができる。なお、SiOとは、ケイ素リッチの部分を含むケイ
素酸化物の粉末を指しており、SiOy(2>y>0)とも表記できる。例えばSiOは
、Si2O3、Si3O4、またはSi2Oから選ばれた単数または複数を含む材料や、
Siの粉末と二酸化ケイ素SiO2の混合物も含む。また、SiOは他の元素(炭素、窒
素、鉄、アルミニウム、銅、チタン、カルシウム、マンガンなど)を含む場合もある。即
ち、単結晶Si、アモルファスSi、多結晶Si、Si2O3、Si3O4、Si2O、
SiO2から選ばれる複数を含む材料を指しており、SiOは有色材料である。SiOで
はないSiOx(Xは2以上)であれば無色透明、或いは白色であり、区別することがで
きる。ただし、二次電池の材料としてSiOを用いて二次電池を作製した後、充放電を繰
り返すなどによって、SiOが酸化した場合には、SiO2に変質する場合もある。
【0058】
また、負極活物質として、リチウムと遷移金属の複窒化物である、Li3N型構造をもつ
Li3-xMxN(M=Co、Ni、Cu)を用いることができる。例えば、Li2.6
Co0.4N3は大きな充放電容量(900mAh/g、1890mAh/cm3)を示
し好ましい。
【0059】
リチウムと遷移金属の複窒化物を用いると、負極活物質中にリチウムイオンを含むため、
正極活物質としてリチウムイオンを含まないV2O5、Cr3O8等の材料と組み合わせ
ることができ好ましい。なお、正極活物質にリチウムイオンを含む材料を用いる場合でも
、あらかじめ正極活物質に含まれるリチウムイオンを脱離させておくことで負極活物質と
してリチウムと遷移金属の複窒化物を用いることができる。
【0060】
また、コンバージョン反応が生じる材料を負極活物質として用いることもできる。例えば
、酸化コバルト(CoO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化鉄(FeO)等の、リチウム
と合金化反応を行わない遷移金属酸化物を負極活物質に用いてもよい。コンバージョン反
応が生じる材料としては、さらに、Fe2O3、CuO、Cu2O、RuO2、Cr2O
3等の酸化物、CoS0.89、NiS、CuS等の硫化物、Zn3N2、Cu3N、G
e3N4等の窒化物、NiP2、FeP2、CoP3等のリン化物、FeF3、BiF3
等のフッ化物でも起こる。なお、上記フッ化物の電位は高いため、正極活物質として用い
てもよい。
【0061】
また、負極活物質層には、上述した負極活物質の他、活物質の密着性を高めるための結着
剤(バインダ)、負極活物質層の導電性を高めるための導電助剤等を有してもよい。
【0062】
そして、3組の正極101と負極102を重ねて正極同士を接合し、負極同士を接合する
。即ち、
図1(E)に示すように、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極、セパレ
ータ、正極、セパレータ、負極、セパレータ、正極の順で積層する。なお、正極同士の接
合や、負極同士の接合は、超音波接合などにより、電気的に接続する。
【0063】
セパレータ103としては、セルロース(紙)、または空孔が設けられたポリプロピレン
、ポリエチレン等の絶縁体を用いることができる。
【0064】
次いで、上記正極とセパレータと負極の組み合わせを収納する外装体107を形成するた
めのフィルムを用意する。本実施の形態では、2つの円形の開口を有する積層フィルムを
1枚用いる。
【0065】
外装体107を形成するためのフィルムは金属フィルム(アルミニウム、ステンレス、ニ
ッケル鋼、金、銀、銅、チタン、ニクロム、鉄、錫、タンタル、ニオブ、モリブデン、ジ
ルコニウム、亜鉛など金属箔となる金属または合金)、有機材料からなるプラスチックフ
ィルム、有機材料(有機樹脂や繊維など)と無機材料(セラミックなど)とを含むハイブ
リッド材料フィルム、炭素含有無機フィルム(カーボンフィルム、グラファイトフィルム
など)から選ばれる単層フィルムまたはこれら複数からなる積層フィルムを用いる。
【0066】
本実施の形態では、2つの円形の開口を有する積層フィルムを中央で折り曲げて2つの開
口を重ね、3辺を接着層で封止する。まず、電解液を入れるための一辺を残すため、フィ
ルムの2辺に対して熱圧着を行って封止する。また、開口部の周縁に対しても熱圧着を行
って熱圧着領域118bを形成して封止する。開口部においては、電極タブ部を露出させ
た状態で熱圧着を行う。
【0067】
そして、減圧雰囲気下、或いは不活性雰囲気下で所望の量の電解液をフィルムが袋状とな
った内側に滴下する。そして、最後に、熱圧着をせずに残していたフィルムの周縁に対し
て熱圧着を行って熱圧着領域118aを形成して封止する。
【0068】
電解液は、支持電解質として、キャリアイオンが移送可能であり、且つキャリアイオンで
あるリチウムイオンを有する材料を含む。支持電解質の代表例としては、LiPF6、L
iClO4、LiAsF6、LiBF4、LiCF3SO3、Li(CF3SO2)2N
、Li(C2F5SO2)2N等のリチウム塩がある。これらの支持電解質は、一種を単
独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
【0069】
また、電解液の溶媒としては、キャリアイオンが移送可能な材料を用いる。電解液の溶媒
としては、非プロトン性有機溶媒が好ましい。非プロトン性有機溶媒の代表例としては、
エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエ
チルカーボネート(DEC)、γーブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン
、テトラヒドロフラン等があり、これらの一つまたは複数を用いることができる。また、
電解液の溶媒としてゲル化される高分子材料を用いることで、漏液性等に対する安全性が
高まる。また、二次電池の薄型化及び軽量化が可能である。ゲル化される高分子材料の代
表例としては、シリコーンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリエチレンオ
キサイド系ゲル、ポリプロピレンオキサイド系ゲル、フッ素系ポリマーのゲル等がある。
また、電解液の溶媒として、難燃性及び難揮発性であるイオン液体(常温溶融塩)を一つ
または複数用いることで、二次電池の内部短絡や、過充電等によって内部温度が上昇して
も、二次電池の破裂や発火などを防ぐことができる。なお、イオン液体は、流動状態にあ
る塩であり、イオン移動度(伝導度)が高い。また、イオン液体は、カチオンとアニオン
とを含む。イオン液体としては、エチルメチルイミダゾリウム(EMI)カチオンを含む
イオン液体、またはN-メチル-N-プロピルピペリジニウム(PP13)カチオンを含
むイオン液体などがある。
【0070】
また、電解液の代わりに、硫化物系や酸化物系等の無機物材料を有する固体電解質や、P
EO(ポリエチレンオキシド)系等の高分子材料を有する固体電解質を用いることができ
る。固体電解質を用いる場合には、セパレータやスペーサの設置が不要となる。また、電
池全体を固体化できるため、漏液のおそれがなくなり安全性が飛躍的に向上する。
【0071】
こうして
図1(A)に示す蓄電体100を作製することができる。
【0072】
蓄電体100は、中央部に端子を有しており、二次電池の中央部が熱圧着により固定され
ることにより、二次電池の変形に対する変形量を抑えることができる。また、リード電極
を用いておらず、部品点数を削減できている。
【0073】
実施の形態1では正方形の外形形状の例を示したが特に限定されず、中央部に開口を有す
る長方形や、中央部に開口を有する円形や、中央部に開口を有する楕円形などとしてもよ
い。また、外装体に設けられた開口の形状も円に限定されず、長方形や正方形や楕円や多
角形などとしてもよい。
【0074】
(実施の形態2)
実施の形態1では開口部が円形である例を示したが、本実施の形態では、実施の形態1と
は異なる開口部の形状とする例を示す。
【0075】
本実施の形態は、実施の形態1と開口部の形状や、端子の位置、即ち正極の形状や負極の
形状が異なっている以外は同一である。従って、
図2において、
図1と共通の部分には同
じ符号を用いて説明することとし、簡略化のため詳細な説明はここでは省略することとす
る。
【0076】
図2(A)に蓄電体200の上面図の一例を示す。
図2(B)に正極101の上面形状を
示す。
図2(C)にセパレータ103の上面形状を示す。
図2(D)に負極102の上面
形状を示す。
【0077】
本発明の一態様の蓄電体200は、開口部を有する外装体107内に、正極101と、セ
パレータ103と、負極102と、電解液を少なくとも有する。
【0078】
本実施の形態においては、外装体107の開口部において、露出している正極101の部
分(正極電極タブ部)と負極102の部分(負極電極タブ部)との位置をずらして短絡を
防止する構成となっている。
【0079】
また、外装体107の開口部の形状は長方形または正方形となっており、その開口部を囲
むように熱圧着領域118bが形成されている。
【0080】
また、
図3に、蓄電体200を曲げた時の断面模式図を示す。
図3は、
図2中の鎖線CD
で切断した断面図であり、
図2と同じ個所には同じ符号を用いる。
図3において、外装体
107に収納される負極やセパレータは省略している。なお、正極101は、一つのみを
図示している。
【0081】
図3に示すように蓄電体200を曲げる場合、中央部及び熱圧着領域118bは、熱圧着
領域118aに比べて変化量が小さい。変化量が小さい箇所に電極タブ部が設けられた蓄
電体200は、曲げに強い構成となる。
【0082】
また、蓄電体200は中央部に開口を有しているため、蓄電体200自体は部分的に曲が
りやすい構成になっている。
【0083】
また、
図3に示すように、中央部にスペースができるため、この部分でリード線と接続さ
せることや、外装体107の開口部よりも小さい回路基板を設置することもできる。特に
正極101を複数重ねて用いる場合、容量を大きくすることができ、厚さも厚くなるが、
その分、中央部のスペースも多くなり、その中央部に、より多くの素子や回路を設置する
こともできる。このように、中央部に開口を有している蓄電体200は、中央部の空間を
有効利用することができる蓄電体の構成とすることができる。
【0084】
本実施の形態は、実施の形態1と自由に組み合わせることができる。
【0085】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1や実施の形態2で得られる蓄電体を電子機器に実装する
場合の一例を
図4を用いて示す。
【0086】
図4(A)に示す蓄電体400には、ソケット403と、正極と接続されたリード線40
1と、負極と接続されたリード線402が接続されている。
【0087】
ソケット403内部では、正極タブとリード線401が溶接により接続され、負極タブと
リード線402が溶接により接続され、それらの間には短絡防止の絶縁体が設けられてい
る。
【0088】
また、ソケット403内部に過充電などを防止する回路設け、それぞれのリード線と接続
させてもよい。
【0089】
また、曲げる方向を変えた例を
図4(B)に示している。曲げる方向を変えたとしても中
央部は、他の部分に比べて変化量が小さい。また、蓄電体400の外装体107はエンボ
ス加工が施されており、曲がりやすい構成としている。従って、
図4(A)の状態から図
4(B)の状態に示す曲げを繰り返し行っても、中央部の変化量を小さく抑え、その他の
部分は曲がりやすい構成とすることができる。
【0090】
エンボス加工によりフィルム表面(または裏面)に形成された凹部または凸部は、フィル
ムを封止構造の壁の一部とする空間の容積が可変な閉塞空間を形成する。この閉塞空間は
、フィルムの凹部または凸部が蛇腹構造、ベローズ構造となって形成されるとも言える。
また、プレス加工の一種であるエンボス加工に限らず、フィルムの一部に浮き彫り(レリ
ーフ)が形成できる手法であればよい。
【0091】
また、
図4(A)及び
図4(B)では、正極と接続されたリード線401と、負極と接続
されたリード線402とを別々の面から取り出す例を示したが特に限定されず、一方の面
に両方のリード線401、402を取り出すこともできる。
【0092】
フィルムを外装体として用いる蓄電体は、単体として利用するよりも複数を直列または並
列に接続し、さらに過充電などを防止する回路を設けて一つの電池パックとして電子機器
に実装する。
【0093】
例えば、2つの蓄電体400の中央部が重なるように接続できるコネクタを2つの蓄電体
400の間に設ければ、直列接続が可能である。このように、直列に接続する場合、中央
部が重なるように固定し、上下を電気的に接続させることができる。
【0094】
また、3つ以上の蓄電体400を重ねる場合においても同様に直列接続することができる
。また、複数の蓄電体400を直列に接続し、電池パックを作製することもできる。複数
の蓄電体400を重ねたとしてもそれぞれが曲がりやすい電池であるため、積層させたと
しても曲げることのできる電池パックを実現できる。
【0095】
また、リード電極を設ける場合、リード電極を折り曲げて実装すると面積およびスペース
が必要となってくるが、本実施の形態に示す蓄電体は、リード電極を省略することができ
、複数の蓄電体を実装する時に、小さいスペースに収納できる。
【0096】
また、他の実装する例を
図4(C)に示す。
図4(C)は、表示パネルと蓄電体とを重ね
て固定している。表示パネル410の表示領域の中央部に開口部を有する表示パネル41
0と、その中央部と重なるように開口部412を有する蓄電体420とを重ねる。また、
固定具411a、411b、411cは、ねじやボルトなどを用い、固定具の材料は、蓄
電体の端子が短絡しないように絶縁体を用いることが望ましい。また、導電材を用いても
固定具の表面に絶縁膜を形成すれば、固定具に用いることができる。
【0097】
なお、
図4(C)では蓄電体420と表示パネルの電気的な接続構造は図示していないが
、開口部412で接続させることも可能である。
【0098】
また、開口を有する表示パネル410がフレキシブルである場合、開口を有する蓄電体4
20もフレキシブルなものとすることができる。表示パネル410の開口と蓄電体420
の開口とを利用して互いに固定具411a、411b、411cにより固定することがで
きる。固定することによって丈夫な電子機器を実現できる。
【0099】
また、表示パネル410はフレキシブルでないパネルを用いてもよい。
【0100】
表示パネルに用いる表示素子としては、EL素子(有機物および無機物を含むEL素子、
有機EL素子、無機EL素子)、LED(白色LED、赤色LED、緑色LED、青色L
EDなど)、トランジスタ(電流に応じて発光するトランジスタ)、電子放出素子、液晶
素子、電子インク、電気泳動素子、グレーティングライトバルブ(GLV)、プラズマデ
ィスプレイ(PDP)、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)を用
いた表示素子、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、DMS(デジタル・マイク
ロ・シャッター)、IMOD(インターフェアレンス・モジュレーション)素子、シャッ
ター方式のMEMS表示素子、光干渉方式のMEMS表示素子、エレクトロウェッティン
グ素子、圧電セラミックディスプレイ、カーボンナノチューブを用いた表示装置などの少
なくとも一つを有している。これらの他にも、電気的または磁気的作用により、コントラ
スト、輝度、反射率、透過率などが変化する表示媒体を有していてもよい。EL素子を用
いた表示装置の一例としては、ELディスプレイなどがある。電子放出素子を用いた表示
装置の一例としては、フィールドエミッションディスプレイ(FED)またはSED方式
平面型ディスプレイ(SED:Surface-conduction Electro
n-emitter Display)などがある。液晶素子を用いた表示パネルの一例
としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反
射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投射型液晶ディスプレイ)などがある
。電子インク、電子粉流体(登録商標)、または電気泳動素子を用いた表示パネルの一例
としては、電子ペーパーなどがある。なお、半透過型液晶ディスプレイや反射型液晶ディ
スプレイを実現する場合には、画素電極の一部または全部が、反射電極としての機能を有
するようにすればよい。例えば、画素電極の一部または全部が、アルミニウム、銀などを
有するようにすればよい。さらに、その場合、反射電極の下に、SRAMなどの記憶回路
を設けることも可能である。これにより、消費電力をさらに低減することができる。
【0101】
また、本実施の形態は、実施の形態1または実施の形態2と自由に組み合わせることがで
きる。
【0102】
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態1乃至3のいずれか一を用いて得られる蓄電体を組み込ん
だ電子機器の一例を示す。
【0103】
蓄電体を適用した電子機器として、例えば、ヘッドマウントディスプレイやゴーグル型デ
ィスプレイのような表示装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、デスクトッ
プ型やノート型等のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカ
メラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、電子手帳、電子書籍端末、電子
翻訳機、玩具、マイクロフォン等の音声入力機器、電気シェーバ、電動歯ブラシ、電子レ
ンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器、電気洗濯機、電気掃除機、温水器、扇風機、毛髪
乾燥機、加湿器や除湿器やエアコンディショナ等の空気調和設備、食器洗い器、食器乾燥
器、衣類乾燥器、布団乾燥器、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、電気冷凍冷蔵庫、DNA保存用
冷凍庫、懐中電灯、電動工具、煙感知器、ガス警報装置や防犯警報装置等の警報装置、産
業用ロボット、補聴器、心臓ペースメーカ、X線撮影装置、放射線測定器、電気マッサー
ジ器や透析装置等の健康機器や医療機器、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう
)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、照明装置、ヘッドホン、ステレオ、リモートコント
ローラ、置き時計や壁掛け時計等の時計、コードレス電話子機、トランシーバ、歩数計、
電卓、デジタルオーディオプレーヤ等の携帯型又は据置型の音響再生装置、パチンコ機な
どの大型ゲーム機などが挙げられる。
【0104】
実施の形態1乃至3のいずれか一を用いて得られる蓄電体は、外装体が薄く柔軟性を有す
るフィルムであり、曲面を有する支持構造体に貼り付け、支持構造体の曲率半径の大きい
領域の曲面部分に追随して変形させることができる。
【0105】
また、フレキシブルな形状を備える蓄電体を、家屋やビルの内壁または外壁や、自動車
の内装または外装の曲面に沿って組み込むことも可能である。
【0106】
図5(A)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401
に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、ス
ピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、蓄電
体7407を有している。
【0107】
図5(B)は、携帯電話機7400を湾曲させた状態を示している。携帯電話機740
0を外部の力により変形させて全体を湾曲させると、その内部に設けられている蓄電体7
407も湾曲される。また、その時、曲げられた蓄電体7407の状態を
図5(C)に示
す。蓄電体7407はラミネート構造の蓄電池(積層構造電池、フィルム外装電池とも呼
ばれる)である。蓄電体7407は曲げられた状態で固定されている。なお、蓄電体74
07は集電体7409と電気的に接続されたリード電極7408を有している。例えば、
蓄電体7407の外装体のフィルムに開口部が設けられており、蓄電体7407が曲げら
れた状態での信頼性が高い構成となっている。さらに、携帯電話機7400は、SIMカ
ードを挿入するためのスロットや、USBメモリなどUSBデバイスを接続するコネクタ
部などを設けてもよい。
【0108】
図5(D)は、曲げることのできる携帯電話の一例を示している。前腕に巻くような形
状に曲げれば、
図5(E)に示すバングル型の携帯電話にすることができる。携帯電話7
100は、筐体7101、表示部7102、操作ボタン7103、及び蓄電体7104を
備える。また、
図5(F)に曲げることのできる蓄電体7104の状態を示す。蓄電体7
104は曲げられた状態で使用者の腕への装着時に、筐体が変形して蓄電体7104の一
部または全部の曲率が変化する。具体的には、曲率半径が10mm以上150mm以下の
範囲内で筐体または蓄電体7104の主表面の一部または全部が変化する。なお、蓄電体
7104は集電体7106と電気的に接続されたリード電極7105を有している。例え
ば、蓄電体7104の外装体のフィルムに開口部が設けられており、蓄電体7104が曲
率を変化させて曲げられる回数が多くとも高い信頼性を維持できる構成となっている。こ
のように、
図5(D)に示す携帯電話は、複数の形状に変化することのできるデバイスで
あり、それを実現するためには少なくとも筐体7101、表示部7102、及び蓄電体7
104が可撓性を有することが望ましい。
【0109】
さらに、携帯電話7100は、SIMカードを挿入するためのスロットや、USBメモリ
などUSBデバイスを接続するコネクタ部などを設けてもよい。
【0110】
また、携帯電話の他の使用例として、
図5(D)に示す携帯電話の中央部分を折り曲げる
と、
図5(G)に示すような形状にすることもできる。また、携帯電話の中央部分をさら
に折り曲げて
図5(H)に示すように携帯電話の端部が重なるようにして小型化させ、使
用者のポケットなどに入れるサイズにできる。
図5(D)、
図5(G)、及び
図5(H)
に示す変形のみであれば、蓄電体7104は曲げられる状態にはなっていない。
【0111】
また、
図6(A)は、掃除機の一例を示している。掃除機に二次電池を備えることでコー
ドレスとすることができ、掃除機内部はゴミを吸い取り収納する集塵スペースを確保する
ため、蓄電体7604の占める空間は小さければ小さいほど好ましい。従って、薄型であ
り、外側表面と集塵スペースとの間に曲げることのできる蓄電体7604を配置すること
は有用である。
【0112】
掃除機7600は、操作ボタン7603、及び蓄電体7604を備える。また、
図6(B
)に曲げることのできる蓄電体7604の状態を示す。蓄電体7604は、外装体のフィ
ルムに開口部が設けられており、蓄電体7604が曲げられた状態での信頼性が高い構成
となっている。蓄電体7604は負極と電気的に接続されたリード電極7601と、正極
と電気的に接続されたリード電極7602を有する。
【0113】
薄型の蓄電体7604は実施の形態1に示したラミネート構造の二次電池の作製方法を用
いて作製することができる。
【0114】
薄型の蓄電体7604はラミネート構造であり、曲げられて固定されている。また、掃除
機7600は、薄型の蓄電体7604の電力残量などを表示する表示部7606を有して
おり、掃除機の外表面の形状に合わせて表示面も湾曲されている表示部7606である。
また、掃除機はコンセントに接続するための接続コードを有し、薄型の蓄電体7604に
十分な電力が充電されれば、接続コードを外して掃除機を使用することもできる。また、
薄型の蓄電体7604の充電は接続コードを用いず、ワイヤレスで無線充電を行ってもよ
い。蓄電体7604の外装体のフィルムに開口部を設けることで信頼性が高い。
【0115】
また、人体の一部に取り付ける電子機器の一例を
図6(C)、
図7(A)、及び
図7(B
)に示す。
【0116】
実施の形態1乃至3のいずれか一を用いて得られる蓄電体は、球面などを含む複雑な曲面
を有している人体の一部にフィットするように曲げることができる。
【0117】
図6(C)は、腕章型の表示装置の一例を示している。表示装置7300は、表示部73
04を有し、本発明の一態様の蓄電装置を有している。また、表示装置7300は、表示
部7304にタッチセンサを備えることもでき、また、携帯情報端末として機能させるこ
ともできる。
【0118】
表示部7304はその表示面が湾曲しており、湾曲した表示面に沿って表示を行うことが
できる。また、表示装置7300は、通信規格された近距離無線通信などにより、表示状
況を変更することができる。
【0119】
また、表示装置7300は入出力端子を備え、他の情報端末とコネクターを介して直接デ
ータのやりとりを行うことができる。また入出力端子を介して充電を行うこともできる。
なお、充電動作は入出力端子を介さずに無線給電により行ってもよい。
【0120】
図7(A)に示す電子機器7700は、人体の一部に取り付けるためのバンド7702と
、フレキシブルな照明(EL素子を用いたEL照明)と、コネクタ7703を介して電気
的に接続された蓄電体7704を有している点灯装置である。
【0121】
図7(B)では、夜間の歩行時または走行時に肘の部分に2つの電子機器7700を取り
付けている様子を示している。電子機器7700及び電子機器の電源である蓄電体770
4は、腕の動きに合わせて曲げることができる。
【0122】
また、
図7(B)のようにバンドで取り付けるのではなく、衣服の一部などに設置しても
よい。また、照明だけでなく、時計機能、温度センサなどをさらに有してもよい。
【0123】
また、曲げることのできる蓄電体を車両に搭載すると、ハイブリッド車(HEV)、電気
自動車(EV)、又はプラグインハイブリッド車(PHEV)等の次世代クリーンエネル
ギー自動車を実現できる。また、農業機械、電動アシスト自転車を含む原動機付自転車、
自動二輪車、電動車椅子、電動カート、小型又は大型船舶、潜水艦、固定翼機や回転翼機
等の航空機、ロケット、人工衛星、宇宙探査機や惑星探査機、宇宙船などの移動体に曲げ
ることのできる蓄電体を搭載することもできる。
【符号の説明】
【0124】
100 蓄電体
101 正極
102 負極
103 セパレータ
107 外装体
118a 熱圧着領域
118b 熱圧着領域
120 電解液
200 蓄電体
400 蓄電体
401 リード線
402 リード線
403 ソケット
7100 携帯電話
7101 筐体
7102 表示部
7103 操作ボタン
7104 蓄電体
7105 リード電極
7106 集電体
7300 表示装置
7304 表示部
7400 携帯電話機
7401 筐体
7402 表示部
7403 操作ボタン
7404 外部接続ポート
7405 スピーカ
7406 マイク
7407 蓄電体
7408 リード電極
7409 集電体
7600 掃除機
7601 リード電極
7602 リード電極
7603 操作ボタン
7604 蓄電体
7606 表示部
7700 電子機器
7702 バンド
7703 コネクタ
7704 蓄電体