(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-20
(45)【発行日】2025-10-28
(54)【発明の名称】てこの作用を利用した排出機構を備えたエアロゾル発生デバイス
(51)【国際特許分類】
   A24F  40/40        20200101AFI20251021BHJP        
   A24F  40/20        20200101ALI20251021BHJP        
【FI】
A24F40/40 
A24F40/20 
(21)【出願番号】P 2023519638
(86)(22)【出願日】2021-10-05
(86)【国際出願番号】 EP2021077457
(87)【国際公開番号】W WO2022074006
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2024-06-24
(32)【優先日】2020-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー  インターナショナル  エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue  Kazem  Radjavi,1202  Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本  修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前  徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾  淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100210398
【氏名又は名称】横尾  太郎
(72)【発明者】
【氏名】リエル,ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】スペーリ,モニーク
(72)【発明者】
【氏名】プレブニク,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】山口  顕
(72)【発明者】
【氏名】長谷川  亮
(72)【発明者】
【氏名】ブーチュイギュア,レイス・スリマン
(72)【発明者】
【氏名】嘉山  裕介
【審査官】根本  徳子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0141446(KR,A)      
【文献】国際公開第2019/202048(WO,A1)    
【文献】国際公開第2020/070259(WO,A1)    
【文献】特開2000-197472(JP,A)      
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F    40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
  エアロゾル発生デバイス(1)であって、
-基材(2)を収容し加熱してエアロゾルを発生させるように構成されたエアロゾル発生チャンバ(103)と、
-前記エアロゾル発生チャンバ(103)を覆う閉位置(31)、及び前記エアロゾル発生チャンバ(103)を露出させる開位置(33)に
ユーザによって直接操作されてスライドされることができるカバー(102)と、
-排出機構(101)であって、てこ(1011)を有し、前記カバー(102)が
ユーザによって直接操作されて前記開位置に
スライドされるときに、前記基材(2)の少なくとも一部分を前記エアロゾル発生チャンバ(103)から外に排出するように、前記カバー(102)と少なくとも部分的に係合している、排出機構(101)と、を備え、
前記排出機構(101)は、前記基材(2)が前記エアロゾル発生チャンバ(103)から突き出ている排出状態、及び前記基材(2)が前記エアロゾル発生チャンバ(103)に完全に収容されている非排出状態になることができ、
前記排出機構(101)は、前記カバー(102)が前記閉位置(31)から前記開位置(33)に移動すると、前記非排出状態から前記排出状態に遷移し、それによって、前記てこ(1011)を回転させることにより前記基材(2)を排出する、エアロゾル発生デバイス(1)。
【請求項2】
  前記カバー(102)が前記開位置(33)から前記閉位置(31)に移動すると、前記非排出状態になるように前記てこ(1011)が元の位置に回転して戻り、この状態では、前記基材(2)は前記エアロゾル発生チャンバ(103)に完全に挿入されている、請求項1に記載のエアロゾル発生デバイス(1)。
【請求項3】
  前記カバー(102)は前記開位置(33)と前記閉位置(31)との間の中間位置(32)にあることができ、前記カバー(102)が前記閉位置(31)から前記中間位置(32)に移動したときには、前記てこ(1011)は回転せず、前記カバー(102)が前記中間位置(32)から前記開位置(33)に移動したときには、前記てこ(1011)は回転することにより前記基材(2)を排出する、請求項1又は2の何れか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(1)。
【請求項4】
  前記てこ(1011)は、前記エアロゾル発生チャンバ(103)の底面を少なくとも部分的に規定する、請求項1~3の何れか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(1)。
【請求項5】
  前記排出機構(101)はスライドトラック(1013)を有し、前記カバー(102)と前記てこ(1011)に摺動的に係合されたスライドブロック(1012)は、前記スライドトラック(1013)内でスライドして前記てこ(1011)の前記回転をトリガーするように配置される、請求項1~4の何れか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(1)。
【請求項6】
  前記スライドブロック(1012)がスライドすると前記てこ(1011)が回転するように、且つその逆も同様になるように、固定機構は、前記てこ(1011)が前記スライドブロック(1012)と機械的に係合するようにする、請求
項5に記載のエアロゾル発生デバイス(1)。
【請求項7】
  前記カバー(102)が前記閉位置(31)から前記開位置(33)に移動すると、又は前記開位置(33)から前記閉位置(31)に移動すると、前記てこ(1011)がそれぞれ押し下げられるか又は持ち上げられるように、前記カバー(102)の突出部(1021)は、前記スライドブロック(1012)の端部と摺動的に係合されている、請求項5又は6の何れか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(1)。
【請求項8】
  前記排出機構の少なくとも一部分は、金属材料を含むか又
は金属材料でできており、好ましくは、前記カバー(102)の前記突出部(1021)及び/又は前記スライドブロック(1012)の前記端部は金属でできている、請求
項7に記載のエアロゾル発生デバイス(1)。
【請求項9】
  前記エアロゾル発生デバイス(1)は細長い形状をしており、前記カバー(102)は前記エアロゾル発生デバイス(1)の縦方向にスライドするように構成される、請求項1~8の何れか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(1)。
【請求項10】
              エアロゾル発生デバイス(1)であって、
            
              -基材(2)を収容し加熱してエアロゾルを発生させるように構成されたエアロゾル発生チャンバ(103)と、
            
              -前記エアロゾル発生チャンバ(103)を覆う閉位置(31)、及び前記エアロゾル発生チャンバ(103)を露出させる開位置(33)にあることができるカバー(102)と、
            
            -排出機構(101)であって、てこ(1011)を有し、前記カバー(102)が前記開位置にあるときに、前記基材(2)の少なくとも一部分を前記エアロゾル発生チャンバ(103)から外に排出するように、前記カバー(102)と少なくとも部分的に係合している、排出機構(101)と、を備え、
            
              前記排出機構(101)は、前記基材(2)が前記エアロゾル発生チャンバ(103)から突き出ている排出状態、及び前記基材(2)が前記エアロゾル発生チャンバ(103)に完全に収容されている非排出状態になることができ、
            
              前記排出機構(101)は、前記カバー(102)が前記閉位置(31)から前記開位置(33)に移動すると、前記非排出状態から前記排出状態に遷移し、それによって、前記てこ(1011)を回転させることにより前記基材(2)を排出し、
            
              前記カバー(102)は前記開位置(33)と前記閉位置(31)との間の中間位置(32)にあることができ、前記カバー(102)が前記閉位置(31)から前記中間位置(32)に移動したときには、前記てこ(1011)は回転せず、前記カバー(102)が前記中間位置(32)から前記開位置(33)に移動したときには、前記てこ(1011)は回転することにより前記基材(2)を排出する、エアロゾル発生デバイス(1)。
         【請求項11】
              エアロゾル発生デバイス(1)であって、
            
              -基材(2)を収容し加熱してエアロゾルを発生させるように構成されたエアロゾル発生チャンバ(103)と、
            
              -前記エアロゾル発生チャンバ(103)を覆う閉位置(31)、及び前記エアロゾル発生チャンバ(103)を露出させる開位置(33)にあることができるカバー(102)と、
            
            -排出機構(101)であって、てこ(1011)を有し、前記カバー(102)が前記開位置にあるときに、前記基材(2)の少なくとも一部分を前記エアロゾル発生チャンバ(103)から外に排出するように、前記カバー(102)と少なくとも部分的に係合している、排出機構(101)と、を備え、
            
              前記排出機構(101)は、前記基材(2)が前記エアロゾル発生チャンバ(103)から突き出ている排出状態、及び前記基材(2)が前記エアロゾル発生チャンバ(103)に完全に収容されている非排出状態になることができ、
            
              前記排出機構(101)は、前記カバー(102)が前記閉位置(31)から前記開位置(33)に移動すると、前記非排出状態から前記排出状態に遷移し、それによって、前記てこ(1011)を回転させることにより前記基材(2)を排出し、
            
              前記てこ(1011)は、前記エアロゾル発生チャンバ(103)の底面を少なくとも部分的に規定する、エアロゾル発生デバイス(1)。
         【請求項12】
              エアロゾル発生デバイス(1)であって、
            
              -基材(2)を収容し加熱してエアロゾルを発生させるように構成されたエアロゾル発生チャンバ(103)と、
            
              -前記エアロゾル発生チャンバ(103)を覆う閉位置(31)、及び前記エアロゾル発生チャンバ(103)を露出させる開位置(33)にあることができるカバー(102)と、
            
            -排出機構(101)であって、てこ(1011)を有し、前記カバー(102)が前記開位置にあるときに、前記基材(2)の少なくとも一部分を前記エアロゾル発生チャンバ(103)から外に排出するように、前記カバー(102)と少なくとも部分的に係合している、排出機構(101)と、を備え、
            
              前記排出機構(101)は、前記基材(2)が前記エアロゾル発生チャンバ(103)から突き出ている排出状態、及び前記基材(2)が前記エアロゾル発生チャンバ(103)に完全に収容されている非排出状態になることができ、
            
              前記排出機構(101)は、前記カバー(102)が前記閉位置(31)から前記開位置(33)に移動すると、前記非排出状態から前記排出状態に遷移し、それによって、前記てこ(1011)を回転させることにより前記基材(2)を排出し、
            
              前記排出機構(101)はスライドトラック(1013)を有し、前記カバー(102)と前記てこ(1011)に摺動的に係合されたスライドブロック(1012)は、前記スライドトラック(1013)内でスライドして前記てこ(1011)の前記回転をトリガーするように配置される、エアロゾル発生デバイス(1)。
         【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
  本開示は、エアロゾル発生基材を加熱してエアロゾルを形成するエアロゾル発生デバイスに関し、より具体的には、てこの作用を利用した排出機構を備えたエアロゾル発生デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
  ここ数年間で、エアロゾル発生デバイス(非燃焼型加熱式(heat-not-burn)製品又は気化器又は電子シガレットとしても知られている)の人気及び使用が急速に広まっている。従来のタバコ製品でタバコを燃やすのとは異なり、エアロゾル化可能な物質を加熱したり又は温めたりするための様々な装置及びシステムが入手可能である。
【0003】
  一般的に入手可能なリスク低減デバイス又はリスク修正デバイスとは、基材加熱式エアロゾル発生デバイス又は非燃焼型加熱式デバイスである。このタイプのデバイスは、典型的には、湿った葉タバコ又は他の好適なエアロゾル化可能材料を含むエアロゾル基材を、典型的には150℃~350℃の範囲の温度に加熱することによってエアロゾル又は蒸気を発生させる。エアロゾル基材を、燃焼させるか又は燃やすのではなく、加熱することにより、ユーザが求める成分を含むが、燃焼及び燃やすことによる毒性及び発癌性のある副生成物を含まないエアロゾルが放出される。更に、タバコ又はその他のエアロゾル化可能材料を加熱することにより生成されるエアロゾルは、典型的に、ユーザにとって不快であり得る、燃焼から生じる焼けた味又は苦い味を含まないので、基材は、煙及び/又は蒸気をユーザにとってより口にあうものにするためにそのような材料に典型的に添加されるような、砂糖及びその他の添加物を必要としない。
【0004】
  そのようなデバイスでは、基材は通常、加熱用のエアロゾル発生チャンバ内に実質的に収容され、ユーザは通常、基材を消費した後で新しい基材と交換するために基材をエアロゾル発生チャンバから排出するために、ボタンを押す必要がある。しかしながら、デバイス上にボタンを配置すると、エアロゾル発生デバイスのハウジングに隙間が生じることがあり、これにより、エアロゾル発生デバイスの入口が狭まり、ユーザにとって、デバイスの操作が複雑になることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
  本発明は、上述の課題の一部又は全部を解決する、エアロゾル発生デバイス用の喫煙物品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
  本発明の第1の実施形態は、エアロゾル発生デバイスに関し、このデバイスは、
-基材を収容し加熱してエアロゾルを発生させるように構成されたエアロゾル発生チャンバと、
-エアロゾル発生チャンバを覆う閉位置、及びエアロゾル発生チャンバを露出させる開位置にあることができるカバーと、
-排出機構であって、てこを有し、カバーが開位置にあるときに、基材の少なくとも一部分をエアロゾル発生チャンバから外に排出するように、カバーと少なくとも部分的に係合している、排出機構と、を備え、
排出機構は、基材の少なくとも一部分がエアロゾル発生チャンバから突き出ている排出状態、及び基材がエアロゾル発生チャンバに完全に収容されている非排出状態になることができ、
排出機構は、カバーが閉位置から開位置に移動すると、非排出状態から排出状態に移行し、それによって、てこを回転させることにより基材を排出する。
【0007】
  この排出機構は、ユーザがエアロゾル基材を使用し交換する際の利便性を改善する。カバーをあけるだけで自動的に基材を排出することができる。これにより、基材を交換するための直感的で確実な方法がもたらされ、更に、エアロゾル発生デバイスの内部構造が簡素になる。
【0008】
  第2の実施形態によれば、第1の実施形態において、カバーが開位置から閉位置に移動すると、非排出状態になるようにてこが元の位置に回転して戻り、この状態では、基材はエアロゾル発生チャンバに完全に挿入されている。
【0009】
  第3の実施形態によれば、先行する実施形態の何れか1つにおいて、カバーは開位置と閉位置との間の中間位置にあることができ、カバーが閉位置から中間位置に移動したときには、てこは回転せず、カバーが中間位置から開位置に移動したときには、てこは回転することにより基材を排出する。
【0010】
  この構成では、基材は、エアロゾル発生チャンバが完全に露出したときにのみ排出され、これにより、ユーザによる偶発的な操作が回避される。
【0011】
  第4の実施形態によれば、先行する実施形態の何れか1つにおいて、てこは、エアロゾル発生チャンバの底面を少なくとも部分的に規定する。
【0012】
  第5の実施形態によれば、先行する実施形態の何れか1つにおいて、排出機構はスライドトラックを有し、カバーとてこに接続されたスライドブロックが、スライドトラック内でスライドして、てこの回転をトリガーするように、配置される。
【0013】
  第6の実施形態によれば、直前の実施形態において、スライドブロックがスライドするとてこが回転するように、且つその逆も同様になるように、固定機構はてこがスライドブロックと機械的に係合するようにする。
【0014】
  第7の実施形態によれば、第5又は第6の実施形態の何れか1つにおいて、カバーが閉位置から開位置に移動すると、又は開位置から閉位置に移動すると、てこがそれぞれ押し下げられるか又は持ち上げられるように、カバーの突出部(1021)は、スライドブロックの突出部と摺動的に係合されている。
【0015】
  第8の実施形態によれば、第5~第7の実施形態の何れか1つにおいて、カバーの突出部(1021)及び/又はスライドブロックの突出部は金属でできている。
【0016】
  この構成では、排出機構及びデバイスの寿命が延びる。
【0017】
  第9の実施形態によれば、先行する実施形態の何れか1つにおいて、エアロゾル発生デバイスは細長い形状をしており、カバーはエアロゾル発生デバイスの縦方向にスライドするように構成される。
【0018】
  次に、添付の図面を参照しながら、あくまで例として、好ましい実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
            【
図1】本発明の例示的な実施形態による、基材を有するエアロゾル発生デバイスの概略図である。
 
            【
図2】本発明の例示的な実施形態による、エアロゾル発生デバイスの概略図である。
 
            【
図3】本発明の例示的な実施形態による、異なる状態にあるエアロゾル発生デバイスの露出概略図を示す。
 
          
【発明を実施するための形態】
【0020】
  以下、添付の図面と併せて、本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0021】
  本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生デバイス」、「気化器システム」、「吸入器」、又は「電子シガレット」という用語は、喫煙用のエアロゾルを含むエアロゾルをユーザに送達するように構成された電子シガレットを含むことがある。本発明におけるエアロゾル発生システムの例示される実施形態は、概略的なものである。
【0022】
  図面、特に
図1を参照すると、基材を消費するための電子シガレット1が示されている。電子シガレット1は、従来のシガレットの代わりとして使用されることがある。電子シガレット1は、カバー102、及び本体106を備える実質的に細長い形状をしている。カバー102は、スライドトラック(図示せず)を介して本体106と摺動的に係合している。挿入方向21に垂直なデバイス1の面をエアロゾル発生デバイス1の側面とすると、カバーは、デバイス1の本体の側面上に配置されており、基材2の挿入方向に垂直な方向に沿ってスライドする。挿入方向21に平行な方向を横方向とし、挿入方向21に垂直な方向を縦方向とすると、カバー102は、エアロゾル発生デバイス1の縦方向にスライドするように構成される。カバー102は、ユーザが基材103を消費するときにエアロゾル発生チャンバ103を覆っている閉位置31と、基材103を挿入又は廃棄するためにエアロゾル発生デバイス1に含まれるエアロゾル発生チャンバ103の開口部を露出させる開位置33と、を有する。エアロゾル発生チャンバ33は、本体内で垂直に向けられている、即ち、デバイス1の横方向に沿って配置されている。本実施形態では、閉位置と開位置との間に中間位置もある。カバー102を中間位置までスライドさせると、エアロゾル発生チャンバ103の開口部は完全に露出する。好ましい実施形態では、カバー102を閉位置から中間位置までスライドさせると、カバー102は、エアロゾル発生チャンバ103の開口部全体を単に見えるようにするだけである。
 
【0023】
  エアロゾル発生基材2の概略斜視図を、
図1に示す。基材2は、例えば、ニコチン又はタバコとエアロゾル形成剤とを含むことがある。タバコは様々な材料の形態、例えば、刻みタバコ、粒状タバコ、葉タバコ、及び/又は再構成タバコ等、を取ることがある。適切なエアロゾル形成剤としては、ポリオール(ソルビトール、グリセロール、及びプロピレングリコール又はトリエチレングリコールなどのグリコール類など)、非ポリオール(一価アルコール、乳酸などの酸類、グリセロール誘導体、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート、クエン酸トリエチルなどのエステル、グリセリン又は植物性グリセリンなど)が挙げられる。いくつかの実施形態では、エアロゾル発生剤は、グリセロール、プロピレングリコール又はグリセロールとプロピレングリコールとの混合物であり得る。基材103はまた、ゲル化剤、結合剤、安定剤、及び保水剤のうちの少なくとも1つも含むことがある。
 
【0024】
  基材2は、空気が基材2内を流れ、その際にエアロゾルを捕集できるような多孔質である。基材2は、例えば、発泡体、又はストランド若しくは繊維を押し固めたものであり得る。基材2は、押し出し及び/又は圧延工程によって安定した形状に形成されることがある。エアロゾル発生基材2は、一方の側面に1つの空気流路を設けるように、又は好ましい実施形態では、
図1に示すように複数の空気流路を、更に好ましくは両側に設けるように、形作られることがある。これらは、エアロゾル発生チャンバ103を通る空気の流れを増やすために、エアロゾル発生デバイス1の空気流路と整列されることがある。基材103は、外面がむき出しで露出される。或いは、基材103は、基材103の表面の少なくとも一部を覆う通気性ラッパーを含むことがある。ラッパーは、例えば、紙及び/又は不織布を含むことがある。
 
【0025】
  本実施形態では、基材は、サイズが18×12×1.2mmの、実質的に平坦な直方体状又はさや状をしていることがあり、直方体の長さ、幅、及び奥行きのそれぞれは、例えば、±40%の範囲内で選択されることがある。一般的に、好ましい実施形態における基材の長さは、40~10mmの間、好ましくは30~12mmの間、より好ましくは25~14mmの間、最も好ましくは22~15mmの間である。好ましい実施形態における基材の幅は、30~6mmの間、好ましくは25~8mmの間、より好ましくは20~9mmの間、最も好ましくは16~9mmの間である。好ましい実施形態における基材の奥行きは、3~0.5mmの間、好ましくは2~0.6mmの間、より好ましくは1.8~0.8mmの間、最も好ましくは1.6~0.9mmの間である。
【0026】
  カバーがカバー102の閉位置にあるときに、基材が、カバー102によって完全に覆われ、エアロゾル発生チャンバ103内に完全に封入され収容されるように、エアロゾル発生基材は、縦方向21のエアロゾル発生チャンバ103の長さ以下の長さになるように設計されることが好ましい。言い換えると、エアロゾル発生チャンバ107は、基材103の形状に対応する実質的に直方体状をしており、サイズは例えば20×12×1.2mmであり、直方体の長さ、幅、及び奥行きのそれぞれは、±40%の範囲内で選択される。エアロゾル発生チャンバの長さは、基材2の長さ、ここでは18mm、よりも大きいことが好ましく、エアロゾル発生チャンバ107の幅及び奥行きは、それぞれ12mm及び1.2mmである基材2の幅及び奥行きよりも大きいことが好ましい。より具体的には、好ましい実施形態におけるエアロゾル発生チャンバの長さは、45~11mmの間、好ましくは35~13mmの間、より好ましくは30~14mmの間、最も好ましくは25~15mmの間である。好ましい実施形態におけるチャンバの幅は、31~6mmの間、好ましくは26~8mmの間、より好ましくは21~9mmの間、最も好ましくは17~9mmの間である。好ましい実施形態におけるチャンバの奥行きは、4~0.5mmの間、好ましくは3~0.6mmの間、より好ましくは2.8~0.8mmの間、最も好ましくは2~0.9mmの間である。
【0027】
  エアロゾル発生チャンバの直方体は、横方向に垂直な2つの表面を形成する2つの対向端上に2つの開口部を有する。開口部の一方(「第1の開口部」)は、基材2を挿入及び廃棄するための開口部となるように構成され、カバー102によって覆うことができる。
【0028】
  図2を参照すると、本体は更に、排出機構101(暗く示されている)、LiPoバッテリー106、コントローラ又はCPUを含むPCBA104、及びLiPoバッテリー1061を充電するための且つ/又はデータをデバイス1に送信するためのUSB-Cコネクタ1063、を備える。排出機構101は、エアロゾル発生チャンバ103の第2の開口部を介して基材2を支持することにより、エアロゾル発生チャンバ103の外に基材2を排出するように構成される。エアロゾル発生チャンバ103は、排出機構と係合している。これは、基材2が排出機構により排出されると、基材2の少なくとも一部分が、エアロゾル発生チャンバの第1の開口部から外に自動的に突き出すことができ、カバーをあけた後でユーザが手で基材2を取り出すことができることを意味する。
 
【0029】
  デバイス1を使用し基材2を消費する前に、ユーザはまず、デバイス1のカバー102を、中間位置又は開位置まで縦方向に沿ってスライドさせることにより、カバー102をあける。次いで、ユーザは、基材103をエアロゾル発生チャンバ103の第1の開口部の中に挿入方向21に沿って挿入する。次いで、ユーザは、カバー102を閉位置31までスライドさせることにより、カバー102を閉じる。ユーザは、デバイス1のボタンを使ってデバイスのスイッチを入れ、基材2の消費を開始する。代替の実施形態では、カバーが閉じられたこと及び/又はデバイス1内の基材2の有無を感知するように、デバイス1内にセンサが配置されることがあり、デバイス1内に基材2があると、次いで、基材2の加熱が自動的にトリガーされる。ユーザが基材2を消費し終えた後、ユーザは、カバーが開位置33までスライドされるまで、単にカバー2をあける。基材2の少なくとも一部分が持ち上がり、エアロゾル発生チャンバ103の第1の開口部から自動的に突き出る。好ましい実施形態では、エアロゾル発生チャンバ103の加熱を停止するように、センサが、カバー102があけられたことを感知するように構成される。最後に、ユーザはデバイス1から基材2を廃棄する。
【0030】
  排出機構101の具体的な構成が、
図3a~
図3cに示されている。
 
【0031】
  排出機構101は、少なくとも間接的にエアロゾル発生チャンバ103及びカバー102と接続しており、少なくとも部分的にカバー102と係合している。排出機構101は、シーソーに似た、又はシーソーの形態をした、てこ1011を含む。てこ1011は、デバイス1の固定ヒンジの周りを旋回する2つの真っ直ぐなビーム又はロッドを有する。2つのビームは、1つの部品に統合され、所定の角度を固定して形成する。2つのビームのうちの一方のビームの上端は、基材2が加熱されている間、エアロゾル発生チャンバ103の底部(内部下側面又は床)として基材を支持するように構成され、エアロゾル発生チャンバ103の中に突き出ている。従って、カバー102がスライドしてあけられたときに、基材2の少なくとも一部分が、エアロゾル発生チャンバ103の第1の開口部から外に排出される。てこ1011のてこの動きは、カバー102によってトリガーされ、2つの状態、即ち、排出状態及び非排出状態、に分けることができる。排出状態では、基材2は、エアロゾル発生チャンバ103から突き出ており、非排出状態では、基材2はエアロゾル発生チャンバ103によって完全に収容されている。排出機構101は、カバー102が閉位置31から開位置33に移動すると、非排出状態から排出状態に遷移し、それによって、てこ1011を回転させることにより基材2を排出する。より具体的には、カバー102が閉位置31から中間位置32までスライドしたときには、てこ1011は回転せず、カバー102が中間位置32から開位置33までスライドしたときには、てこ1011はてこの動きによって、基材2を排出する。
【0032】
  排出機構は更に、スライドトラック1013を含み、この中で、スライドブロック1012は、てこ1011のてこの動きをトリガーするように、カバー及びてこと係合するように配置され構成される。スライドトラック1013は、デバイス1の横方向に沿って配置され、スライドブロック1012は、同じ軸に沿って移動する。その軸に沿って、スライドブロックは2つの対向端部を有する。第1の端部は傾斜平面を有し、第2の端部の少なくとも一部分は円弧を形成する。カバー102は、傾斜平面を有する突出部を備え、この傾斜平面は、中間位置32と閉位置33との間で、スライドブロック1012の傾斜面と摺動的に係合し協働する。言い換えると、カバーが中間位置32から閉位置33まで移動すると、カバー102の突出部の傾斜面は、スライドブロック1012が下方に移動するようにスライドブロック1012を押し、スライドブロック1012の円弧は、てこ1011の一方のビームを押し下げ、てこ1011の他方のビームは、てこの動きにより、持ち上げられる。
【0033】
  好ましい実施形態では、排出機構の少なくとも一部分は、金属材料を含むか、又は好ましくは金属材料からできており、カバー102の突出部1021及び/又はスライドブロック1012の傾斜面は、好ましくは金属でできている。
【0034】
  別の好ましい実施形態では、スライドブロック1012がスライドするとてこ1011が回転するように、且つ逆も同様になるように、てこ1011をスライドブロック1012の円弧と機械的に係合させるように、固定機構(図示せず)が構成される。より具体的には、一実施形態では、てこ1011のビームの下にバネが配置されることがある。別の実施形態では、スライドブロック1012上にリングが配置されることがあり、てこ1011のビームはこのリングを通って延びる。更に別の実施形態では、てこ1011及びスライドブロック1012内に磁石が配置されることがある。この固定機構があると、てこのビームは、スライドブロック1012及びカバー102と一緒に回転及び移動する。従って、基材2は、基材2を支持するてこ1011のビームが下方に回転することにより、閉位置33から中間位置32まで、加熱チャンバ103の中に自動的に挿入される。
【0035】
  他の実施形態では、デバイス1は、固定デバイスと共に構成されないことがある。ユーザは、カバー102が開位置33にあるときに、基材2をエアロゾル発生チャンバ102の中に挿入することができる。加熱チャンバの近くにあるてこ1011のビームが持ち上げられ、エアロゾル発生チャンバ102内に突き出るので、基材2も、エアロゾル発生チャンバ102の外に少なくとも部分的に突き出る。カバーが中間位置32から閉位置31までスライドするとき、基材2の重さにより、てこが重力に起因して元に戻るように、ユーザは単にデバイス1を水平に保持するだけでよい。
【0036】
  これ以降では、デバイス1内の排出機構101によって行われるプロセス、及び排出機構101の異なる状態、より具体的には排出状態及び非排出状態について、
図3a~
図3cを参照しながら考察する。
 
【0037】
[非排出状態]
  図3a及び
図3bでは、排出機構101は非排出状態である。基材2は、エアロゾル発生チャンバ103の中に完全に挿入されている。基材2を支持するてこ1011の一方のビームは基材によって押し下げられ、てこ1011の他方のビームはスライドブロック1012と一緒に持ち上げられている。
 
【0038】
  ユーザがカバーを閉位置31から中間位置32まで縦方向にスライドさせたとき、排出デバイスは非排出状態のままである。カバー102の突出部とエアロゾル発生チャンバ103を覆うカバーの端部との間の距離L1は、エアロゾル発生チャンバ103の幅より長くなるように構成されている。この構成では、非排出状態から排出状態までの遷移の間に、基材2及びエアロゾル発生チャンバ103の第1の開口部が完全に露出されるように、カバーが中間位置32までスライドされると、てこ1011は、固定ヒンジの周りで又はデバイス内のてこ支点の周りで回転及び旋回を開始する。
【0039】
[排出状態]
  図3cは、排出機構101の排出状態を示す。カバーは、開位置33までスライドされている。カバー102が更に後方までスライドするのを防ぐために、デバイス1内に停止構造(図示せず)が配置されている。カバー102が双安定になるように、即ち、カバー102が開状態又は閉状態の位置を安定して維持できるように、デバイス1内に固定構造(図示せず)も配置されることがある。固定構造は、中央のバネ又は磁石からなることがある。スライドブロック1012は、台形をしているカバー102の突出部によって押され、下方にスライドする。
 
【0040】
  スライドブロック1012と接続しているてこ1011のビームは押し下げられ、てこ1011の他方のビームは持ち上げられ、エアロゾル発生チャンバ103の中に突き出る。基材2は支持され、エアロゾル発生デバイスから突き出て、ユーザがその基材2をデバイスの外に廃棄する。