(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-31
(45)【発行日】2025-11-11
(54)【発明の名称】基板処理方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20251104BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L21/302 101B
(21)【出願番号】P 2021078924
(22)【出願日】2021-05-07
【審査請求日】2024-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【氏名又は名称】佐藤 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100140431
【氏名又は名称】大石 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【氏名又は名称】澤井 光一
(74)【代理人】
【識別番号】100131598
【氏名又は名称】高村 和宗
(72)【発明者】
【氏名】大類 貴俊
(72)【発明者】
【氏名】須田 隆太郎
(72)【発明者】
【氏名】木原 嘉英
(72)【発明者】
【氏名】戸村 幕樹
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 圭恵
【審査官】▲高▼橋 徳浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-039309(JP,A)
【文献】特開2017-228690(JP,A)
【文献】国際公開第2019/235398(WO,A1)
【文献】特開2017-195365(JP,A)
【文献】国際公開第2019/178030(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0243303(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0031216(US,A1)
【文献】特開2017-085161(JP,A)
【文献】特開2011-049591(JP,A)
【文献】特開2019-192727(JP,A)
【文献】特開2014-096499(JP,A)
【文献】特開2020-009840(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理装置において基板を処理する基板処理方法であって、
前記プラズマ処理装置は、
チャンバと、
前記チャンバ内に設けられた基板支持器と、
前記チャンバ内において前記基板支持器に対向して設けられた上部電極と、
を備え、
前記基板処理方法は、
シリコン含有誘電体膜を有する基板を前記基板支持器に準備する工程と、
フッ化水素ガス及びリン含有ガスを含む処理ガスからプラズマを生成して前記シリコン含有誘電体膜をエッチングする工程と
を含み、
前記エッチングする工程は、
前記処理ガスを前記チャンバ内に供給する工程と、
前記基板支持器又は前記上部電極に前記プラズマを生成するための第1の高周波信号を供給する工程と、
前記上部電極に第1の電気バイアスを印加する工程と
を含む、基板処理方法。
【請求項2】
前記第1の電気バイアスは、直流電圧又は低周波RF信号である、請求項1記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記第1の電気バイアスは、負極性の直流電圧である、請求項1記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記第1の電気バイアスは、パルス波又は連続波である、請求項1から3のいずれか1項記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記第1の電気バイアスは、第1の期間と、前記第1の期間と交互の第2の期間に前記上部電極に供給され、
前記第1の期間における前記第1の電気バイアスの電圧の絶対値は0又は第1の電圧値であり、前記第2の期間における前記第1の電気バイアスの電圧の絶対値は、前記第1の電圧値よりも大きい第2の電圧値である、請求項1~4のいずれか1項記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記第1の高周波信号は、第3の期間と、前記第3の期間と交互の第4の期間に供給され、
前記第3の期間における電圧の絶対値は0又は第3の電圧値であり、前記第4の期間における電圧の絶対値は前記第3の電圧値よりも大きい第2の電圧値であり、
前記第2の期間と前記第3の期間とは少なくとも一部で重複している、請求項5記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記第1の期間と前記第2の期間との合計に対して、前記第2の期間が占める割合は、20%以上80%以下である、請求項5又は6記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記第1の期間及び前記第2の期間に対する前記第2の期間の周期を規定する周波数は、2kHz以上8kHz以下である、請求項5から7のいずれか1項記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記エッチングする工程は、前記基板支持器に第2の電気バイアスを供給する工程をさらに含む、請求項1から8のいずれか1項記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記リン含有ガスは、ハロゲン化リンを含む、請求項1記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記ハロゲン化リンは、フッ化リンである、請求項
10記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記処理ガスは、フルオロカーボンガス及びハイドロフルオロカーボンガスからなる群から選択される少なくとも1種の炭素含有ガスをさらに含む、請求項1から
11のいずれか1項記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記シリコン含有誘電体膜は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜及び多結晶シリコン膜からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1から
12のいずれか1項記載の基板処理方法。
【請求項14】
基板を処理する基板処理装置であって、
チャンバ、前記チャンバ内に設けられた基板支持器、前記チャンバ内において前記基板支持器に対向して設けられた上部電極、前記チャンバに処理ガスを供給するガス供給部、前記チャンバ内でプラズマを生成させるための電力を供給する電源、及び、制御部を備え、
前記制御部は、
シリコン含有誘電体膜を有する基板を前記基板支持器に配置し、
フッ化水素ガス及びリン含有ガスを含む処理ガスを前記チャンバ内に供給し、
前記基板支持器又は前記上部電極に前記プラズマを生成するための第1の高周波信号を供給し、
前記上部電極に第1の電気バイアスを印加する、
制御を実行する、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、基板処理方法および基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスの製造においては、基板のシリコン含有膜のプラズマエッチングが行われている。例えば、特許文献1には、プラズマエッチングにより、誘電体膜をエッチングする方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、プラズマエッチングで形成される凹部の形状を制御する基板処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一つの例示的実施形態は、プラズマ処理装置において基板を処理する基板処理方法である。前記プラズマ処理装置は、チャンバと、前記チャンバ内に設けられた基板支持器と、前記チャンバ内において前記基板支持器に対向して設けられた上部電極と、を備え、前記基板処理方法は、シリコン含有誘電体膜を有する基板を前記基板支持器に準備する工程と、水素とフッ素を含むガスを含む処理ガスからプラズマを生成して前記シリコン含有誘電体膜をエッチングする工程とを含み、前記エッチングする工程は、前記処理ガスを前記チャンバ内に供給する工程と、前記基板支持器又は前記上部電極に前記プラズマを生成するための第1の高周波信号を供給する工程と、前記上部電極に第1の電気バイアスを印加する工程とを含む。
【0006】
本開示の一つの例示的実施形態において、基板を処理する基板処理装置が提供される。前記基板処理装置は、チャンバ、前記チャンバ内に設けられた基板支持器、前記チャンバ内において前記基板支持器に対向して設けられた上部電極、前記チャンバに処理ガスを供給するガス供給部、前記チャンバ内でプラズマを生成させるための電力を供給する電源、及び、制御部を備え、前記制御部は、シリコン含有誘電体膜を有する基板を前記基板支持器に配置し、水素とフッ素を含むガスを含む処理ガスを前記チャンバ内に供給し、前記基板支持器又は前記上部電極に前記プラズマを生成するための第1の高周波信号を供給し、前記上部電極に第1の電気バイアスを印加する、制御を実行する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一つの例示的実施形態によれば、プラズマエッチングで形成される凹部の形状を制御する基板処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一つの例示的実施形態に係る基板処理装置1を概略的に示す図である。
【
図3】本処理方法の一例を示すフローチャートである。
【
図4】第1の電気バイアス、高周波電力HF及び第2の電気バイアスのタイミングチャートである。
【
図5】工程ST22における基板Wの断面構造の一例を示す図である。
【
図6】凹部RCの断面形状の評価方法の一例を説明するための図である。
【
図7】実施例1及び参考例1におけるずれ量を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の各実施形態について説明する。
【0010】
一つの例示的実施形態において、基板処理方法が提供される。
【0011】
基板処理方法は、プラズマ処理装置において基板を処理する基板処理方法であって、プラズマ処理装置は、チャンバと、チャンバ内に設けられた基板支持器と、チャンバ内において基板支持器に対向して設けられた上部電極と、を備え、基板処理方法は、シリコン含有誘電体膜を有する基板を基板支持器に準備する工程と、水素とフッ素を含むガスを含む処理ガスからプラズマを生成してシリコン含有誘電体膜をエッチングする工程とを含み、エッチングする工程は、処理ガスをチャンバ内に供給する工程と、基板支持器又は上部電極にプラズマを生成するための第1の高周波信号を供給する工程と、上部電極に第1の電気バイアスを印加する工程とを含む。
【0012】
一つの例示的実施形態において、第1の電気バイアスは、直流電圧又は低周波RF信号である。
【0013】
一つの例示的実施形態において、第1の電気バイアスは、負極性の直流電圧である。
【0014】
一つの例示的実施形態において、第1の電気バイアスは、パルス波又は連続波である。
【0015】
一つの例示的実施形態において、第1の電気バイアスは、第1の期間と、第1の期間と交互の第2の期間に上部電極に供給され、第1の期間における第1の電気バイアスの電圧の絶対値は0又は第1の電圧値であり、第2の期間における第1の電気バイアスの電圧の絶対値は、第1の電圧値よりも大きい第2の電圧値である。
【0016】
一つの例示的実施形態において、第1の高周波信号は、第3の期間と、第3の期間と交互の第4の期間に供給され、第3の期間における電圧の絶対値は0又は第3の電圧値であり、第4の期間における電圧の絶対値は第3の電圧値よりも大きい第2の電圧値であり、第2期間と第3の期間とは少なくとも一部で重複している。
【0017】
一つの例示的実施形態において、第1の期間と第2の期間との合計に対して、第2の期間が占める割合は、20%以上80%以下である。
【0018】
一つの例示的実施形態において、第1の期間及び第2の期間に対する第2の期間の周期を規定する周波数は、2kHz以上8kHz以下である。
【0019】
一つの例示的実施形態において、エッチングする工程は、基板支持器に第2の電気バイアスを供給する工程をさらに含む。
【0020】
一つの例示的実施形態において、水素とフッ素を含むガスは、フッ化水素ガスである。
【0021】
一つの例示的実施形態において、処理ガスは、リン含有ガスをさらに含む。
【0022】
一つの例示的実施形態において、リン含有ガスは、ハロゲン化リンを含む。
【0023】
一つの例示的実施形態において、ハロゲン化リンは、フッ化リンである。
【0024】
一つの例示的実施形態において、処理ガスは、フルオロカーボンガス及びハイドロフルオロカーボンガスからなる群から選択される少なくとも1種の炭素含有ガスをさらに含む。
【0025】
一つの例示的実施形態において、シリコン含有誘電体膜は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜及び多結晶シリコン膜からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
【0026】
一つの例示的実施形態において、基板を処理する基板処理装置が提供される。基板処理装置は、チャンバ、チャンバ内に設けられた基板支持器、チャンバ内において基板支持器に対向して設けられた上部電極、チャンバに処理ガスを供給するガス供給部、チャンバ内でプラズマを生成させるための電力を供給する電源、及び、制御部を備え、制御部は、シリコン含有誘電体膜を有する基板を基板支持器に配置し、水素とフッ素を含むガスを含む処理ガスをチャンバ内に供給し、基板支持器又は上部電極にプラズマを生成するための第1の高周波信号を供給し、上部電極に第1の電気バイアスを印加する、制御を実行する。
【0027】
以下、図面を参照して、本開示の各実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一または同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づいて上下左右等の位置関係を説明する。図面の寸法比率は実際の比率を示すものではなく、また、実際の比率は図示の比率に限られるものではない。
【0028】
<基板処理装置1の構成>
図1は、一つの例示的実施形態に係る基板処理装置1を概略的に示す図である。基板処理装置1は、プラズマ処理装置の一例である。一つの例示的実施形態に係る基板処理方法(以下「本処理方法」という)は、基板処理装置1を用いて実行されてよい。
【0029】
図1に示す基板処理装置1は、チャンバ10を備える。チャンバ10は、その中に内部空間10sを提供する。チャンバ10はチャンバ本体12を含む。チャンバ本体12は、略円筒形状を有する。チャンバ本体12は、例えばアルミニウムから形成される。チャンバ本体12の内壁面上には、耐腐食性を有する膜が設けられている。耐腐食性を有する膜は、酸化アルミニウム、酸化イットリウムなどのセラミックから形成され得る。
【0030】
チャンバ本体12の側壁には、通路12pが形成されている。基板Wは、通路12pを通して内部空間10sとチャンバ10の外部との間で搬送される。通路12pは、ゲートバルブ12gにより開閉される。ゲートバルブ12gは、チャンバ本体12の側壁に沿って設けられる。
【0031】
チャンバ本体12の底部上には、支持部13が設けられている。支持部13は、絶縁材料から形成される。支持部13は、略円筒形状を有する。支持部13は、内部空間10sの中で、チャンバ本体12の底部から上方に延在している。支持部13は、基板支持器14を支持している。基板支持器14は、内部空間10sの中で基板Wを支持するように構成されている。
【0032】
基板支持器14は、下部電極18及び静電チャック20を有する。基板支持器14は、電極プレート16を更に有し得る。電極プレート16は、アルミニウムなどの導体から形成されており、略円盤形状を有する。下部電極18は、電極プレート16上に設けられている。下部電極18は、アルミニウムなどの導体から形成されており、略円盤形状を有する。下部電極18は、電極プレート16に電気的に接続されている。
【0033】
静電チャック20は、下部電極18上に設けられている。基板Wは、静電チャック20の上面の上に載置される。静電チャック20は、本体及び電極を有する。静電チャック20の本体は、略円盤形状を有し、誘電体から形成される。静電チャック20の電極は、膜状の電極であり、静電チャック20の本体内に設けられている。静電チャック20の電極は、スイッチ20sを介して直流電源20pに接続されている。静電チャック20の電極に直流電源20pからの電圧が印加されると、静電チャック20と基板Wとの間に静電引力が発生する。基板Wは、その静電引力によって静電チャック20に引き付けられて、静電チャック20によって保持される。
【0034】
基板支持器14上には、エッジリング25が配置される。エッジリング25は、リング状の部材である。エッジリング25は、シリコン、炭化シリコン、又は石英などから形成され得る。基板Wは、静電チャック20上、且つ、エッジリング25によって囲まれた領域内に配置される。
【0035】
下部電極18の内部には、流路18fが設けられている。流路18fには、チャンバ10の外部に設けられているチラーユニットから配管22aを介して熱交換媒体(例えば冷媒)が供給される。流路18fに供給された熱交換媒体は、配管22bを介してチラーユニットに戻される。基板処理装置1では、静電チャック20上に載置された基板Wの温度が、熱交換媒体と下部電極18との熱交換により、調整される。
【0036】
基板処理装置1には、ガス供給ライン24が設けられている。ガス供給ライン24は、伝熱ガス供給機構からの伝熱ガス(例えばHeガス)を、静電チャック20の上面と基板Wの裏面との間の間隙に供給する。
【0037】
基板処理装置1は、上部電極30を更に備える。上部電極30は、基板支持器14の上方に設けられている。上部電極30は、部材32を介して、チャンバ本体12の上部に支持されている。部材32は、絶縁性を有する9材料から形成される。上部電極30と部材32は、チャンバ本体12の上部開口を閉じている。
【0038】
上部電極30は、天板34及び支持体36を含み得る。天板34の下面は、内部空間10sの側の下面であり、内部空間10sを画成する。天板34は、発生するジュール熱の少ない低抵抗の導電体又は半導体から形成され得る。天板34は、天板34をその板厚方向に貫通する複数のガス吐出孔34aを有する。
【0039】
支持体36は、天板34を着脱自在に支持する。支持体36は、アルミニウムなどの導電性材料から形成される。支持体36の内部には、ガス拡散室36aが設けられている。支持体36は、ガス拡散室36aから下方に延びる複数のガス孔36bを有する。複数のガス孔36bは、複数のガス吐出孔34aにそれぞれ連通している。支持体36には、ガス導入口36cが形成されている。ガス導入口36cは、ガス拡散室36aに接続している。ガス導入口36cには、ガス供給管38が接続されている。
【0040】
ガス供給管38には、流量制御器群41及びバルブ群42を介して、ガスソース群40が接続されている。流量制御器群41及びバルブ群42は、ガス供給部を構成している。ガス供給部は、ガスソース群40を更に含んでいてもよい。ガスソース群40は、複数のガスソースを含む。複数のガスソースは、本処理方法で用いられる処理ガスのソースを含む。流量制御器群41は、複数の流量制御器を含む。流量制御器群41の複数の流量制御器の各々は、マスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器である。バルブ群42は、複数の開閉バルブを含む。ガスソース群40の複数のガスソースの各々は、流量制御器群41の対応の流量制御器及びバルブ群42の対応の開閉バルブを介して、ガス供給管38に接続されている。
【0041】
基板処理装置1では、チャンバ本体12の内壁面及び支持部13の外周に沿って、シールド46が着脱自在に設けられている。シールド46は、チャンバ本体12に反応副生物が付着することを防止する。シールド46は、例えば、アルミニウムから形成された母材の表面に耐腐食性を有する膜を形成することにより構成される。耐腐食性を有する膜は、酸化イットリウムなどのセラミックから形成され得る。
【0042】
支持部13とチャンバ本体12の側壁との間には、バッフルプレート48が設けられている。バッフルプレート48は、例えば、アルミニウムから形成された部材の表面に耐腐食性を有する膜(酸化イットリウムなどの膜)を形成することにより構成される。バッフルプレート48には、複数の貫通孔が形成されている。バッフルプレート48の下方、且つ、チャンバ本体12の底部には、排気口12eが設けられている。排気口12eには、排気管52を介して排気装置50が接続されている。排気装置50は、圧力調整弁及びターボ分子ポンプなどの真空ポンプを含む。
【0043】
基板処理装置1は、高周波電源62及びバイアス電源64を備えている。高周波電源62は、高周波電力HFを発生する電源である。高周波電力HFは、第1の高周波信号の一例である。高周波電力HFは、プラズマの生成に適した第1の周波数を有する。第1の周波数は、例えば27MHz~100MHzの範囲内の周波数である。高周波電源62は、整合器66及び電極プレート16を介して下部電極18に接続されている。整合器66は、高周波電源62の負荷側(下部電極18側)のインピーダンスを高周波電源62の出力インピーダンスに整合させるための回路を有する。なお、高周波電源62は、整合器66を介して、上部電極30に接続されていてもよい。高周波電源62は、一例のプラズマ生成部を構成している。
【0044】
バイアス電源64は、電気バイアスを発生する電源である。当該電気バイアスは、第2の電気バイアスの一例である。バイアス電源64は、下部電極18に電気的に接続されている。電気バイアスは、第2の周波数を有する。第2の周波数は、第1の周波数よりも低い。第2の周波数は、例えば400kHz~13.56MHzの範囲内の周波数である。電気バイアスは、高周波電力HFと共に用いられる場合には、基板Wにイオンを引き込むために基板支持器14に与えられる。一例では、電気バイアスは、下部電極18に与えられる。電気バイアスが下部電極18に与えられると、基板支持器14上に載置された基板Wの電位は、第2の周波数で規定される周期内で変動する。なお、電気バイアスは、静電チャック20内に設けられたバイアス電極に与えられてもよい。
【0045】
一実施形態において、電気バイアスは、第2の周波数を有する高周波電力LFであってもよい。高周波電力LFは、第2の電気バイアスの一例である。高周波電力LFは、高周波電力HFと共に用いられる場合には、基板Wにイオンを引き込むための高周波バイアス電力として用いられる。高周波電力LFを発生するように構成されたバイアス電源64は、整合器68及び電極プレート16を介して下部電極18に接続される。整合器68は、バイアス電源64の負荷側(下部電極18側)のインピーダンスをバイアス電源64の出力インピーダンスに整合させるための回路を有する。
【0046】
なお、高周波電力HFを用いずに、高周波電力LFを用いて、即ち、単一の高周波電力のみを用いてプラズマを生成してもよい。この場合には、高周波電力LFの周波数は、13.56MHzよりも大きな周波数、例えば40MHzであってもよい。また、この場合には、基板処理装置1は、高周波電源62及び整合器66を備えなくてもよい。この場合には、バイアス電源64は一例のプラズマ生成部を構成する。
【0047】
別の実施形態において、電気バイアスは、パルス状の電圧(パルス電圧)であってもよい。この場合、バイアス電源は、直流電源であってよい。バイアス電源は、電源自体がパルス電圧を供給するように構成されてもよく、バイアス電源の下流側に電圧をパルス化するデバイスを備えるように構成されてもよい。一例では、パルス電圧は、基板Wに負の電位が生じるように下部電極18に与えられる。パルス電圧は、矩形波であってもよく、三角波あってもよく、インパルスであってもよく、又はその他の波形を有していてもよい。
【0048】
パルス電圧の周期は、第2の周波数で規定される。パルス電圧の周期は、二つの期間を含む。二つの期間のうち一方の期間におけるパルス電圧は、負極性の電圧である。二つの期間のうち一方の期間における電圧のレベル(即ち、絶対値)は、二つの期間のうち他方の期間における電圧のレベル(即ち、絶対値)よりも高い。他方の期間における電圧は、負極性、正極性の何れであってもよい。他方の期間における負極性の電圧のレベルは、ゼロよりも大きくてもよく、ゼロであってもよい。この実施形態において、バイアス電源64は、ローパスフィルタ及び電極プレート16を介して下部電極18に接続される。なお、バイアス電源64は、下部電極18に代えて、静電チャック20内に設けられたバイアス電極に接続されてもよい。
【0049】
一実施形態において、バイアス電源64は、電気バイアスの連続波を下部電極18に与えてもよい。即ち、バイアス電源64は、電気バイアスを連続的に下部電極18に与えてもよい。
【0050】
別の実施形態において、バイアス電源64は、電気バイアスのパルス波を下部電極18に与えてもよい。電気バイアスのパルス波は、周期的に下部電極18に与えられ得る。電気バイアスのパルス波の周期は、第3の周波数で規定される。第3の周波数は、第2の周波数よりも低い。第3の周波数は、例えば1Hz以上、200kHz以下である。他の例では、第3の周波数は、5Hz以上、100kHz以下であってもよい。
【0051】
電気バイアスのパルス波の周期は、二つの期間、即ちH期間及びL期間を含む。H期間における電気バイアスのレベル(即ち、電気バイアスのパルスのレベル)は、L期間における電気バイアスのレベルよりも高い。即ち、電気バイアスのレベルが増減されることにより、電気バイアスのパルス波が下部電極18に与えられてもよい。L期間における電気バイアスのレベルは、ゼロよりも大きくてもよい。或いは、L期間における電気バイアスのレベルは、ゼロであってもよい。即ち、電気バイアスのパルス波は、電気バイアスの下部電極18への供給と供給停止とを交互に切り替えることにより、下部電極18に与えられてもよい。ここで、電気バイアスが高周波電力LFである場合には、電気バイアスのレベルは、高周波電力LFの電力レベルである。電気バイアスが高周波電力LFである場合には、電気バイアスのパルスにおける高周波電力LFのレベルは、2kW以上であってもよい。電気バイアスが負極性の直流電圧のパルス波である場合には、電気バイアスのレベルは、負極性の直流電圧の絶対値の実効値である。電気バイアスのパルス波のデューティ比、即ち、電気バイアスのパルス波の周期においてH期間が占める割合は、例えば1%以上、80%以下である。別の例では、電気バイアスのパルス波のデューティ比は5%以上50%以下であってよい。或いは、電気バイアスのパルス波のデューティ比は、50%以上、99%以下であってもよい。
【0052】
一実施形態において、高周波電源62は、高周波電力HFの連続波を供給してもよい。即ち、高周波電源62は、高周波電力HFを連続的に供給してもよい。
【0053】
別の実施形態において、高周波電源62は、高周波電力HFのパルス波を供給してもよい。高周波電力HFのパルス波は、周期的に供給され得る。高周波電力HFのパルス波の周期は、第4の周波数で規定される。第4の周波数は、第2の周波数よりも低い。一実施形態において、第4の周波数は、第3の周波数と同じである。高周波電力HFのパルス波の周期は、二つの期間、即ちH期間及びL期間を含む。H期間における高周波電力HFの電力レベルは、二つの期間のうちL期間における高周波電力HFの電力レベルよりも高い。L期間における高周波電力HFの電力レベルは、ゼロよりも大きくてもよく、ゼロであってもよい。
【0054】
なお、高周波電力HFのパルス波の周期は、電気バイアスのパルス波の周期と同期していてもよい。高周波電力HFのパルス波の周期におけるH期間は、電気バイアスのパルス波の周期におけるH期間と同期していてもよい。或いは、高周波電力HFのパルス波の周期におけるH期間は、電気バイアスのパルス波の周期におけるH期間と同期していなくてもよい。高周波電力HFのパルス波の周期におけるH期間の時間長は、電気バイアスのパルス波の周期におけるH期間の時間長と同一であってもよく、異なっていてもよい。高周波電力HFのパルス波の周期におけるH期間の一部又は全部が、電気バイアスのパルス波の周期におけるH期間と重複してもよい。
【0055】
基板処理装置1は、電源70を更に備えている。電源70は、上部電極30に接続されている。一例において、基板処理装置1は、プラズマ処理中、上部電極30に直流電圧又は低周波電力を供給するように構成されてよい。当該直流電圧及び当該低周波電力は、第1の電気バイアスの一例である。例えば、電源70は、上部電極30に負極性の直流電圧を供給してもよく、低周波電力を周期的に供給してもよい。直流電圧又は低周波電力はパルス波として供給してもよく、連続波として供給してもよい。この実施形態では、内部空間10s内に存在する正イオンが上部電極30に引き込まれて衝突する。これにより、上部電極30から二次電子が放出される。放出された二次電子は、マスク膜MKを改質し、マスク膜MKのエッチング耐性を向上させる。また、二次電子は、プラズマ密度の向上に寄与する。また、二次電子の照射により、基板Wの帯電状態が中和されるため、エッチングにより形成された凹部内へのイオンの直進性が高められる。さらに、上部電極30がシリコン含有材料により構成されている場合には、正イオンの衝突により、二次電子とともにシリコンが放出される。放出されたシリコンは、プラズマ中の酸素と結合して酸化シリコン化合物としてマスク上に堆積して保護膜として機能する。以上より、上部電極30への直流電圧又は低周波電力の供給により、選択比の改善ばかりでなく、エッチングにより形成される凹部における形状異常の抑制、エッチングレートの改善等の効果が得られる。
【0056】
基板処理装置1においてプラズマ処理が行われる場合には、ガスがガス供給部から内部空間10sに供給される。また、高周波電力HF及び/又は電気バイアスが供給されることにより、上部電極30と下部電極18との間で高周波電界が生成される。生成された高周波電界が内部空間10sの中のガスからプラズマを生成する。
【0057】
基板処理装置1は、制御部80を更に備え得る。制御部80は、プロセッサ、メモリなどの記憶部、入力装置、表示装置、信号の入出力インターフェイス等を備えるコンピュータであり得る。制御部80は、基板処理装置1の各部を制御する。制御部80では、入力装置を用いて、オペレータが基板処理装置1を管理するためにコマンドの入力操作等を行うことができる。また、制御部80では、表示装置により、基板処理装置1の稼働状況を可視化して表示することができる。さらに、記憶部には、制御プログラム及びレシピデータが格納されている。制御プログラムは、基板処理装置1で各種処理を実行するために、プロセッサによって実行される。プロセッサは、制御プログラムを実行し、レシピデータに従って基板処理装置1の各部を制御する。一つの例示的実施形態において、制御部80の一部又は全てが基板処理装置1の外部の装置の構成の一部として設けられてよい。
【0058】
<基板Wの一例>
図2は、基板Wの断面構造の一例を示す図である。基板Wは、本処理方法が適用され得る基板の一例である。基板Wは、本処理方法における誘電体膜の一例であるシリコン含有膜SFを有する。基板Wは、下地膜UF及びマスク膜MKを有してよい。
図3に示すように、基板Wは、下地膜UF、シリコン含有膜SF及びマスク膜MKがこの順で積層されて形成されてよい。
【0059】
下地膜UFは、シリコンウェハ上に形成された有機膜、誘電体膜、金属膜、半導体膜等であってよい。また、下地膜UFは、シリコンウェハであってよい。また、下地膜UFは、複数の膜が積層されて構成されてよい。
【0060】
シリコン含有膜SFは、シリコン含有誘電体膜であり得る。シリコン含有誘電体膜は、シリコン酸化膜又はシリコン窒化膜を含み得る。シリコン含有誘電体膜は、シリコンを含有する膜であれば、他の膜種を有する膜であってもよい。また、シリコン含有膜SFは、シリコン膜(例えば多結晶シリコン膜)を含んでいてもよい。また、シリコン含有膜SFは、シリコン窒化膜、多結晶シリコン膜、炭素含有シリコン膜、及び低誘電率膜のうち少なくとも一つを含んでいてもよい。炭素含有シリコン膜は、SiC膜及び/又はSiOC膜を含み得る。低誘電率膜は、シリコンを含有し、層間絶縁膜として用いられ得る。また、シリコン含有膜SFは、互いに異なる膜種を有する二つ以上のシリコン含有膜を含んでいてもよい。二つ以上のシリコン含有膜は、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜を含んでいてもよい。シリコン含有膜SFは、例えば、交互に積層された一つ以上のシリコン酸化膜及び一つ以上のシリコン窒化膜を含む多層膜であってもよい。シリコン含有膜SFは、交互に積層された複数のシリコン酸化膜及び複数のシリコン窒化膜を含む多層膜であってもよい。或いは、二つ以上のシリコン含有膜は、シリコン酸化膜及びシリコン膜を含んでいてもよい。シリコン含有膜SFは、例えば、交互に積層された一つ以上のシリコン酸化膜及び一つ以上のシリコン膜を含む多層膜であってもよい。シリコン含有膜SFは、交互に積層された複数のシリコン酸化膜及び複数の多結晶シリコン膜を含む多層膜であってもよい。或いは、二つ以上のシリコン含有膜は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、及びシリコン膜を含んでいてもよい。
【0061】
マスク膜MKは、シリコン含有膜SF上に設けられている。マスク膜MKは、工程ST2においてシリコン含有膜SFのエッチングレートよりも低いエッチングレートを有する材料から形成される。マスク膜MKは、有機材料から形成され得る。即ち、マスク膜MKは、炭素を含有してもよい。マスク膜MKは、例えば、アモルファスカーボン膜、フォトレジスト膜、又はスピンオンカーボン膜(SOC膜)から形成され得る。或いは、マスク膜MKは、シリコン含有反射防止膜のようなシリコン含有膜から形成されてもよい。或いは、マスク膜MKは、窒化チタン、タングステン、炭化タングステンのような金属含有材料から形成された金属含有マスクであってもよい。
【0062】
マスク膜MKは、シリコン含有膜SF上に少なくとも1つの開口OPを規定するようにパターニングされている。即ち、マスク膜MKは、工程ST2においてシリコン含有膜SFをエッチングするためのパターンを有している。マスク膜MKのパターンにより規定される開口OPの形状に基づいて、シリコン含有膜SFにホール又はトレンチ等の凹部が形成される。工程ST2においてシリコン含有膜SFに形成される開口のアスペクト比は20以上であってよく、30以上、40以上、又は50以上であってもよい。なお、マスク膜MKは、ラインアンドスペースパターンを有していてもよい。
【0063】
<本処理方法の一例>
図3は、本処理方法の一例を示すフローチャートである。本処理方法は、例えば、
図1に示す基板処理装置1を用いて、基板Wに対して実行される。
【0064】
図4は、本処理方法において、高周波電力HF及び第2の電気バイアスが基板支持器14(下部電極18又はバイアス電極)に供給されるタイミング、及び、第1の電気バイアスが上部電極30に印加されるタイミングを示すタイミングチャートである。
図4において、横軸は時間を示す。また、縦軸は、第1の電気バイアス及び第2の電気バイアスの電圧レベル(一例として、電気バイアスの電圧の絶対値の実効値)並びに高周波電力HFの電力レベル(一例として、高周波電力HFの電力の実効値)を示す。即ち、第1の電気バイアスの「L1」は、第1の電気バイアスが供給されていないか、又は、「H1」で示す電圧レベルよりも低いことを示す。また、高周波電力HFの「L2」は、高周波電力HFが供給されていないか、又は、「H2」で示す電力レベルよりも低いことを示す。また、第2の電気バイアスの「L3」は、第2の電気バイアスが供給されていないか、又は、「H3」で示す電圧レベルよりも低いことを示す。L1及びL3の電圧レベルはゼロであってよく、また、L2の電力レベルはゼロであってよい。
【0065】
なお、
図4は、第1の電気バイアス、高周波電力HF及び第2の電気バイアスとしていずれもパルス波を用いる例である。一例として、第1の電気バイアスは、その電圧レベルが「L1」である第1の期間とその電圧レベルが「H1」である第2の期間を交互に繰り返すパルス波である。即ち、第1の電気バイアスは、第2の期間において電気パルスを有するパルス波である。また、一例として、高周波電力HFは、その電力レベルが「L2」である第3の期間とその電力レベルが「H2」である第4の期間を交互に繰り返すパルス波である。即ち、高周波電力HFは、第4の期間において電気パルスを有するパルス波である。また、一例として、第2の電気バイアスは、その電圧レベルが「L3」である第5の期間とその電圧レベルが「H3」である第6の期間を交互に繰り返すパルス波である。即ち、第2の電気バイアスは、第6の期間において電気パルスを有するパルス波である。なお、一例として、第1の電気バイアス(パルス波)及び第2の電気バイアス(パルス波)の電気パルスは、パルス状の電圧(パルス電圧)から構成されてよい。パルス電圧は、矩形波であってもよく、三角波あってもよく、インパルスであってもよく、又はその他の波形を有していてもよい。また、第2の電気バイアスは、連続波であってもよい。一例として、第2の電気バイアスは、第5の期間及び第6の期間においてパルス電圧を連続して印加する連続波であってよい。また、
図4における各波形は、模式的に示したものであり、周波数、時間、電力、電圧等を具体的に示すものではない。
【0066】
以下、各図を参照しつつ、
図2に示す基板Wに対して、
図3に示す本処理方法を実行する例を説明する。なお、以下の例では、
図1に示す制御部80が、基板処理装置1の各部を制御して、本処理方法が実行される。
【0067】
(工程ST1:基板の準備)
【0068】
工程ST1において、基板Wをチャンバ10の内部空間10s内に準備する。内部空間10s内において、基板Wは、基板支持器14に配置され、静電チャック20により保持される。基板Wの各構成を形成するプロセスの少なくとも一部は、内部空間10s内で行われてよい。また、基板Wの各構成の全部又は一部が基板処理装置1の外部の装置又はチャンバで形成された後、基板Wが内部空間10s内に搬入され、基板支持器14に配置されてもよい。
【0069】
工程ST1は、基板支持器14の温度を設定する工程を含んでよい。一例として、基板支持器14の温度は0℃以下に設定される。また、基板支持器14の温度は、-40℃以下の温度に設定されてもよい。基板支持器14又は基板Wの温度が、このような温度に設定されると、工程ST2におけるシリコン含有膜SFのエッチングレートが高くなる。基板支持器14の温度を設定するために、制御部80はチラーユニットを制御し得る。なお、後述するように、処理ガスがリン含有分子を含む場合、基板支持器14の温度は20℃以下に設定してもよい。
【0070】
(工程ST2:エッチングの実行)
工程ST2において、基板Wのシリコン含有膜SFをエッチングする。工程ST2は、処理ガスを供給する工程(工程ST21)と、下部電極18に高周波電力を供給する工程(工程ST22)と、上部電極30に直流電圧を印加する工程(工程ST23)とを含む。工程ST2において、処理ガスから生成されたプラズマの活性種(イオン、ラジカル)により、シリコン含有膜SFがエッチングされる。なお、工程ST21からST23が開始される順番は、この順番に限られない。また、工程ST21からST23は、並行して実行されてよい。
【0071】
(工程ST21:処理ガスの供給)
工程ST21において、処理ガスがチャンバ10内に供給される。処理ガスは、基板Wに形成された被エッチング膜をエッチングするために用いられるガスである。処理ガスの種類は、被エッチング膜の材料、マスク膜の材料、下地膜の材料、マスク膜が有するパターン、エッチングの深さ等に基づいて適宜選択されてよい。
【0072】
工程ST21において用いられる処理ガスは、水素とフッ素を含むガスを含み得る。水素とフッ素を含むガスは、プラズマ処理中に、チャンバ10内でフッ化水素(HF)種を生成可能なガスでよい。フッ化水素種は、エッチャントとして機能する。水素とフッ素を含むガスは、フッ化水素(HF)及びハイドロフルオロカーボンからなる群から選択される少なくとも1種のガスであってよい。ハイドロフルオロカーボンは、例えば、CH2F2、CHF3、又はCH3Fの少なくとも一つである。ハイドロフルオロカーボンは、二つ以上の炭素原子を含んでいてもよく、二つ以上六つ以下の炭素原子を含んでいてもよい。ハイドロフルオロカーボンは、例えば、C2HF5、C2H2F4、C2H3F3、C2H4F2等の二つの炭素原子を含んでいてもよい。ハイドロフルオロカーボンは、例えば、C3HF7、C3H2F2、C3H2F4、C3H2F6、C3H3F5、C4H2F6、C4H5F5、C4H2F8等、三つの又は四つの炭素原子を含んでいてもよい。ハイドロフルオロカーボンガスは、例えば、C5H2F6、C5H2F10、C5H3F7等の五つの炭素原子を含んでもいてもよい。一実施形態として、ハイドロフルオロカーボンガスは、C3H2F4、C3H2F6、C4H2F6及びC4H2F8からなる群から選択される少なくとも1種を含む。また、水素とフッ素を含むガスは、プラズマ処理中に、チャンバ10内でフッ化水素種を生成可能な混合ガスであってもよい。フッ化水素種を生成可能な混合ガスは、水素源及びフッ素源を含んでよい。水素源は、例えば、H2、NH3、H2O、H2O2又はハイドロカーボン(CH4、C3H6等)であってよい。フッ素源は、NF3、SF6、WF6、XeF2、フルオロカーボン又はハイドロフルオロカーボンであってよい。フッ化水素種を生成可能な混合ガスは、例えば、三フッ化窒素(NF3)と水素(H2)との混合ガスである。
【0073】
工程ST21において用いられる処理ガスは、少なくとも一つのリン含有分子を更に含み得る。リン含有分子は、十酸化四リン(P4O10)、八酸化四リン(P4O8)、六酸化四リン(P4O6)等の酸化物であってもよい。十酸化四リンは、五酸化二リン(P2O5)と呼ばれることがある。リン含有分子は、三フッ化リン(PF3)、五フッ化リン(PF5)、三塩化リン(PCl3)、五塩化リン(PCl5)、三臭化リン(PBr3)、五臭化リン(PBr5)、ヨウ化リン(PI3)のようなハロゲン化物(ハロゲン化リン)であってもよい。即ち、リンを含む分子は、ハロゲン元素としてフッ素を含むフッ化物(フッ化リン)であってもよい。或いは、リンを含む分子は、ハロゲン元素としてフッ素以外のハロゲン元素を含んでもよい。リン含有分子は、フッ化ホスホリル(POF3)、塩化ホスホリル(POCl3)、臭化ホスホリル(POBr3)のようなハロゲン化ホスホリルであってよい。リン含有分子は、ホスフィン(PH3)、リン化カルシウム(Ca3P2等)、リン酸(H3PO4)、リン酸ナトリウム(Na3PO4)、ヘキサフルオロリン酸(HPF6)等であってよい。リン含有分子は、フルオロホスフィン類(HxPFy)であってよい。ここで、xとyの和は、3又は5である。フルオロホスフィン類としては、HPF2、H2PF3が例示される。処理ガスは、少なくとも一つのリン含有分子として、上記のリン含有分子のうち一つ以上のリン含有分子を含み得る。例えば、処理ガスは、少なくとも一つのリン含有分子として、PF3、PCl3、PF5,PCl5,POCl3、PH3、PBr3、又はPBr5の少なくとも一つを含み得る。なお、処理ガスに含まれる各リン含有分子が液体又は固体である場合、各リン含有分子は、加熱等によって気化されてチャンバ10内に供給され得る。
【0074】
工程ST21において用いられる処理ガスは、炭素を更に含んでよい。炭素を含む分子として、ハイドロカーボン(CxHy)、フルオロカーボン(CvFw)、ハイドロフルオロカーボン(CsHtFu)からなる群から選択される少なくとも一種の炭素含有ガスを含んでいてもよい。ここで、x、y、s、t、u、v及びwの各々は自然数である。ハイドロカーボンは、例えば、CH4、C2H6、C3H6、C3H8又はC4H10等を含んでもよい。フルオロカーボンは、例えば、CF4、C2F2、C2F4、C3F8、C4F6、C4F8又はC5F8等を含んでもよい。これらの炭素含有ガスから生成される化学種は、マスク膜MKを保護する。
【0075】
また、処理ガスは、ハロゲン含有分子を含んでもよい。ハロゲン含有分子は、炭素を含有しなくてもよい。ハロゲン含有分子は、フッ素含有分子であってよく、フッ素以外のハロゲン元素を含有するハロゲン含有分子であってもよい。フッ素含有分子は、例えば、三フッ化窒素(NF3)、六フッ化硫黄(SF6)、三フッ化ホウ素(BF3)などのガスを含んでいてもよい。フッ素以外のハロゲン元素を含有するハロゲン含有分子は、例えば、塩素含有ガス、臭素含有ガス及びヨウ素からなる群から選択される少なくとも1種であってよい。塩素含有ガスは、例えば、塩素(Cl2)、二塩化ケイ素(SiCl2)、四塩化ケイ素(SiCl4)、四塩化炭素(CCl4)、ジシクロロシラン(SiH2Cl2)、六塩化二ケイ素(Si2Cl6)、クロロホルム(CHCl3)、塩化スルフリル(SO2Cl2)、三塩化ホウ素(BCl3)などのガスである。臭素含有ガスは、例えば、臭素(Br2)、臭化水素(HBr)、ジブロモジフルオロメタン(CBr2F2)、ブロモペンタフルオロエタン(C2F5Br)三臭化リン(PBr3)、五臭化リン(PBr5)、リン酸オキシブロミド(POBr3)、三臭化ホウ素(BBr3)などのガスである。ヨウ素含有ガスは、例えば、ヨウ化水素(HI)、トリフルオロヨードメタン(CF3I)、ペンタフルオロヨードエタン(C2F5I)、ヘプタフルオロプロピルヨージド(C3F7I)、五フッ化ヨウ素(IF5)、七フッ化ヨウ素(IF7)、ヨウ素(I2)、三ヨウ化リン(PI3)などのガスである。これらのハロゲン含有分子はから生成される化学種は、プラズマエッチングで形成される凹部の形状を制御するために用いられる。
【0076】
処理ガスは、酸素含有分子を更に含んでいてもよい。酸素含有分子は、例えばO2、CO2又はCOを含んでいてもよい。或いは、処理ガスは、酸素を含んでいなくてもよい。また、処理ガスは、Ar、Kr、Xe等の貴ガスを含んでもよい。
【0077】
(工程ST22:高周波電力の供給)
工程ST22において、下部電極18に高周波電力HFが供給される。
図4に示すように、高周波電力HFは、第4の期間において、電力レベルH2を有し、第3の期間において、電力レベルH2よりも低い電力レベルL2を有する。なお、
図4の第3の期間において、高周波電力HFの電力レベルはゼロであってもよい。
【0078】
高周波電力HFの電気パルス(即ち、電力レベルがH2となる第4の期間)が周期的に発生する周波数は、例えば、2kHz以上8kHz以下である。また、当該電気パルスを構成する高周波は、例えば、27MHz以上100MHz以下の周波数を有する。高周波電力HFにおいて、電気パルスのデューティ比、すなわち、高周波電力HFの1周期(第3の期間と第4の期間を足した期間)において第4の期間が占める割合は、例えば、1%以上90%以下である。当該デューティ比は、20%以上80%以下であってよい。
【0079】
また、工程ST22において、下部電極18に第2の電気バイアスがさらに供給されてよい。一例として、第2の電気バイアスは、負極性を有する直流電圧である。また、第2の電気バイアスは、高周波電力LFであってもよい。第2の電気バイアスは、高周波電力HFが基板支持器14に供給されるタイミングに同期して、基板支持器14に供給されてよい。一例として、第2の電気バイアスの電気パルス(即ち、電圧レベルがH3となる第6の期間)は、高周波電力HFの電力パルスと同じタイミングで基板支持器14に供給される。また、第2の電気バイアスの電気パルスは、高周波電力HFの電力パルスと異なるタイミングで基板支持器14に供給されてよい。第4の期間と第6の期間とは少なくとも一部が時間的に重複してよい。
【0080】
第2の電気バイアスの電気パルスが周期的に発生する周波数は、例えば、2kHz以上8kHz以下である。また、当該電気パルスを構成する高周波は、例えば、400kHz以上13.56MHz以下の周波数を有する。第2の電気バイアスにおいて、電気パルスのデューティ比、すなわち、第2の電気バイアスの1周期(第5の期間と第6の期間を足した期間)において第6の期間が占める割合は、例えば、1%以上90%以下である。当該デューティ比は、20%以上80%以下であってよい。また、第2の電気バイアスにおける電気パルス(第6の期間)のデューティ比は、高周波電力HFにおける電気パルス(第4の期間)のデューティ比と異なってよい。なお、他の実施形態において、第2の電気バイアスに替えて、高周波電力LFが基板支持器14に供給されてもよい。
【0081】
図5は、工程ST22における基板Wの断面構造の一例を示す図である。工程ST22において、高周波電力HF及び第2の電気バイアスが下部電極18に供給されると、上部電極30と基板支持器14との間で高周波電界が生成される。これにより、内部空間10s内に供給された処理ガスからプラズマが生成される。また、生成されたプラズマ中のイオン、ラジカルといった化学種が基板Wに引き寄せられて、基板Wにおいてシリコン含有膜SFがエッチングされる。そして、
図5に示すように、マスク膜MKの開口OPの形状に基づいて、マスク膜MKに形成された開口OPから連続して、シリコン含有膜SFにおいても、シリコン含有膜SFの側壁で規定された凹部RCが形成される。凹部RCは、その底部BTにおいて下地膜UFが露出する開口であってよい。
【0082】
(工程ST23:第1の電気バイアスの印加)
工程ST23において、第1の電気バイアスが上部電極30に印加される(
図3参照)。第1の電気バイアスは、高周波電力HFの電気パルスが基板支持器14に供給されるタイミングに基づいて、その電圧が制御されてよい。一例として、第2の期間における第1の電気バイアスの電圧レベルは、-100ボルトから-500ボルトの範囲であってよい。また、一例として、第1の期間における第1の電気バイアスの電圧レベルは、-500ボルトから-1200ボルトの範囲であってよい。なお、他の実施形態において、第1の電気バイアスに替えて、低周波RF信号が上部電極30に供給されてもよい。
【0083】
第1の電気バイアスは、高周波電力HFが基板支持器14に供給されるタイミングに同期して、基板支持器14に供給されてよい。一例として、第1の電気バイアスの電気パルス(即ち、電圧レベルがH1となる第2の期間)は、高周波電力HFの第3の期間と同じタイミングで基板支持器14に供給されてよい。また、第1の電気バイアスの電気パルスは、高周波電力HFの第3の期間と異なるタイミングで基板支持器14に供給されてよい。第2の期間と第3の期間とは少なくとも一部が時間的に重複してよい。
【0084】
第1の電気バイアスにおける第2の期間のデューティ比、すなわち、第1の電気バイアスの1周期(第1の期間と第2の期間を足した期間)において第2の期間が占める割合は、例えば、1%以上90%以下である。当該デューティ比は、20%以上80%以下であってよい。また、第1の電気バイアスにおける第2の期間のデューティ比は、高周波電力HFにおける第3の期間のデューティ比と同じでよく、また、異なってもよい。
【0085】
<実施例1>
図6は、凹部の断面形状の評価方法の一例を説明するための図である。
図6において、中心基準線CLは、マスク膜MKの下面又はシリコン含有膜SFの上面における凹部RCの幅の中点MPを通る線である。中心基準線CLからの中点MPのずれ量を凹部RCの深さ方向に沿って測定することによって、開口OPの形状を評価することができる。例えば、当該ずれ量によって、シリコン含有膜SFに形成された凹部RCの曲がりや撚れ等を評価することができる。
【0086】
以下の条件による実施例1及び参考例1で、基板Wのシリコン含有膜SFのエッチングを行った。すなわち、実施例1及び参考例1の双方において、基板処理装置1の内部空間10sに、処理ガスとして、Cl
2、HBr、NF
3、CH
2F
2、HF及びPF
3の混合ガスを供給した。また、高周波電力HFとして40MHz、5500Wの高周波、及び、第2の電気バイアスとして400kHz、6000Vのパルス電圧を下部電極18に供給して、当該混合ガスからプラズマを20分間生成し、基板Wのシリコン含有膜SFをエッチングした。その間、基板支持器14の温度は-70℃に設定した。また、実施例1及び参考例1の双方において、
図4に示す第4の期間のデューティ比を80%に設定した。また、実施例1において、第1の電気バイアスの第1の期間における電圧レベルを-150ボルト、第2の期間における電圧レベルを-1000ボルトに設定した。他方で、参考例1においては、第1の電気バイアスの電圧レベルを、第1の期間及び第2の期間の双方において連続して-150ボルトに設定した。
【0087】
図7は、本処理方法の実施例1によりシリコン含有膜SFをエッチングして得られた凹部RCの幅の中点MPの中心基準線CLからのずれ量と、参考例1によりシリコン含有膜SFをエッチングして得られた凹部RCの幅の中点MPの中心基準線CLからのずれ量とを示したグラフである。
図7において、縦軸は、シリコン含有膜SFの凹部RCの深さを示す。また、横軸は、凹部RCの幅の中点MPの中心基準線CLからのずれ量を示す。
図7に実線で示すように、実施例1では、中心基準線CLに対する中点MPのずれは、ほとんど見られなかった。他方で、
図7に破線で示すように、参考例1では、特に深さ約2μmから約6μmにおいて、中点MPが中心基準線CLから大きくずれ、凹部RCの断面形状が大きく曲がる結果となった。
【0088】
<実施例2>
実施例2及び参考例2では、実施例1及び参考例1における条件のうちPF
3の流量を1.5倍にして基板Wのシリコン含有膜SFのエッチングを行った。実施例2では、実施例1と同様に、20分間のエッチング後に、曲がりがほとんど見られない凹部RCが得られた。他方で、参考例2では、エッチング開始後約7分30秒で、シリコン含有膜SFの凹部RCの底部BT周辺(
図5参照)に発生した堆積物の影響で、エッチング処理が途中で停止した。
【0089】
本実施形態では、例えば第4の期間において、プラズマ中で生成された活性種が基板Wに引き込まれて、シリコン含有膜SFがエッチングされると、基板Wにおいてエッチングされた部分(例えば、シリコン含有膜SFに形成された凹部RCの側壁SSや底部BT等)は、プラスに帯電する場合がある。凹部RCの側壁SSや底部BT等が非対称に帯電すると、プラズマ中で生成された活性種が凹部RCに到達したときに、当該活性種の進行方向が当該帯電に影響を受け得る。他方で、例えば第3の期間において、上部電極30に第1の電気バイアスの電気パルスが印加されると、プラズマ中に存在する正イオンが、上部電極30側に引き込まれ、上部電極30に衝突する。正イオンが上部電極30に衝突すると、二次電子が上部電極から放出される。放出された二次電子は、負電位となっている上部電極30によって加速されて、基板Wに到達する。そして、基板Wに到達した二次電子によって、基板Wのうちプラスに帯電した部分(例えば、シリコン含有膜SFに形成された凹部RCの底部BT等)の帯電が解消又は低減される。すなわち、本実施形態によれば、例えば第4の期間において発生した凹部RCの側壁SSや底部BT等の帯電を、第2の期間において解消又は低減させることができる。従って、プラズマ中で生成された活性種が凹部RCに到達したときに、当該活性種の進行方向が当該帯電により影響を受けることを解消又は低減させることができる。
【0090】
また、本実施形態では、第2の期間において、第2の電気バイアスの電気パルスを上部電極30に印加することにより、プラズマ中で生成される活性種の組成を制御することができる。これにより、シリコン含有膜SFのエッチング中において堆積物の生成を制御することができる。ひいては、エッチング中における当該堆積物によるエッチング処理への悪影響を解消又は低減させることができる。
【0091】
以上の各実施形態は、説明の目的で説明されており、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく種々の変形をなし得る。
【符号の説明】
【0092】
1…基板処理装置、10…チャンバ、12…チャンバ本体、13…支持部、14…基板支持器、16…電極プレート、18…下部電極、20…静電チャック、24…ガス供給ライン、25…エッジリング、30…上部電極、32…部材、34…天板、36…支持体、62…高周波電源、64…バイアス電源、66…整合器、68…整合器、80…制御部、BT…底部、HF…高周波電力、HP…電力パルス、LF…高周波電力、LP…電力パルス、MK…マスク膜、MP…中点、OP…開口、RC…凹部、SF…シリコン含有膜、SS…側壁、UF…下地膜、W…基板