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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-11-04
(45)【発行日】2025-11-12
(54)【発明の名称】レジスト材料及びパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20251105BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20251105BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20251105BHJP
【FI】
G03F7/004 503A
G03F7/039 601
G03F7/20 521
G03F7/20 501
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022166325
(22)【出願日】2022-10-17
(65)【公開番号】P2023109686
(43)【公開日】2023-08-08
【審査請求日】2024-10-25
(31)【優先権主張番号】P 2022010588
(32)【優先日】2022-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畠山 潤
(72)【発明者】
【氏名】福島 将大
【審査官】石附 直弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-109701(JP,A)
【文献】特開2013-250431(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111138410(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表されるスルホニウム塩を含む酸発生剤を含むレジスト材料。
【化1】
[式中、pは0又は1であり、qは0~4の整数であり、rは1又は2であり、sは1~3の整数である。
1は、単結合、エーテル結合、チオエーテル結合又はエステル結合である。
2は、単結合又は炭素数1~20のアルカンジイル基であり、該アルカンジイル基は、フッ素原子又はヒドロキシ基を有していてもよい。
3は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子若しくはアミノ基、又はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ヒドロキシ基、アミノ基及びエーテル結合から選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい、炭素数1~20の飽和ヒドロカルビル基、炭素数1~20の飽和ヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~20の飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基、炭素数2~20の飽和ヒドロカルビルオキシカルボニル基若しくは炭素数1~4の飽和ヒドロカルビルスルホニルオキシ基である。
4は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。s=1のとき、2つのR4は、互いに同一であっても異なっていてもよく、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。
-は、非求核性対向イオンである。
ALは、下記式(AL-1)~(AL-4)のいずれかで表される酸不安定基である。
【化2】
(式中、m1は0~4の整数であり、n1は0~3の整数であり、0≦m1+n1≦4である。m2は0~6の整数であり、n2は0~3の整数であり、0≦m2+n2≦6である。n3は0~4の整数である。n4は0~4の整数である。
5は、水素原子、炭素数1~12の飽和ヒドロカルビル基、炭素数2~8のアルケニル基又は炭素数2~8のアルキニル基であり、該飽和ヒドロカルビル基、アルケニル基及びアルキニル基は、酸素原子又は硫黄原子を含んでいてもよい。
6は、フッ素原子、ヨウ素原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~4のアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~4のアルコキシ基又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~4のアルキルチオ基である。
7は、ヒドロキシ基、炭素数2~4のアルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、塩素原子、臭素原子、アミノ基、フェニル基又は炭素数1~4のアルキルスルホニル基であり、n2が2又は3のとき、2つのR7が互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。
8は、炭素数2~6のアルケニル基である。
弧Ra1は、炭素数2~10の4価飽和炭化水素基であり、炭素-炭素結合間に酸素原子、硫黄原子、窒素原子又は炭素数6~10の芳香族基を含んでいてもよい。
弧Ra2は、炭素数2~10の4価飽和炭化水素基であり、炭素-炭素結合間に酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含んでいてもよい。
円Ra3は、環の中に二重結合を有する及び/又は環中の炭素原子に結合するアルキリデン基を有する炭素数3~10の(n3+2)価の環式脂肪族炭化水素基である。
円Ra4は、炭素数3~10の(n4+2)価の環式飽和炭化水素基である。
破線は、結合手である。)]
【請求項2】
前記非求核性対向イオンが、スルホン酸アニオン、イミドアニオン又はメチドアニオンである請求項1記載のレジスト材料。
【請求項3】
m1が1~4の整数であり、m2が1~6の整数である請求項記載のレジスト材料。
【請求項4】
更に、有機溶剤を含む請求項記載のレジスト材料。
【請求項5】
更に、ベースポリマーを含む請求項記載のレジスト材料。
【請求項6】
前記ベースポリマーが、下記式(a1)で表される繰り返し単位又は下記式(a2)で表される繰り返し単位を含むものである請求項記載のレジスト材料。
【化3】
(式中、RAは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。
1は、単結合、フェニレン基若しくはナフチレン基、又はエステル結合、エーテル結合及びラクトン環から選ばれる少なくとも1種を含む炭素数1~12の連結基である。
2は、単結合又はエステル結合である。
3は、単結合、エーテル結合又はエステル結合である。
11及びR12は、それぞれ独立に、酸不安定基である。
13は、フッ素原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~7の飽和ヒドロカルビルカルボニル基、炭素数2~7の飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基又は炭素数2~7の飽和ヒドロカルビルオキシカルボニル基である。
14は、単結合又は炭素数1~6のアルカンジイル基であり、該アルカンジイル基の-CH2-の一部が、エーテル結合又はエステル結合で置換されていてもよい。
aは、1又は2である。bは、0~4の整数である。ただし、1≦a+b≦5である。)
【請求項7】
化学増幅ポジ型レジスト材料である請求項6記載のレジスト材料。
【請求項8】
前記ベースポリマーが、下記式(f1)~(f3)で表される繰り返し単位から選ばれる少なくとも1種を含む請求項記載のレジスト材料。
【化4】
(式中、RAは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。
1は、単結合、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基、ナフチレン基若しくはこれらを組み合わせて得られる炭素数7~18の基、又は-O-Z11-、-C(=O)-O-Z11-若しくは-C(=O)-NH-Z11-である。Z11は、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基、ナフチレン基又はこれらを組み合わせて得られる炭素数7~18の基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。
2は、単結合又はエステル結合である。
3は、単結合、-Z31-C(=O)-O-、-Z31-O-又は-Z31-O-C(=O)-である。Z31は、炭素数1~12のヒドロカルビレン基、フェニレン基又はこれらを組み合わせて得られる炭素数7~18の基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合、ヨウ素原子又は臭素原子を含んでいてもよい。
4は、メチレン基、2,2,2-トリフルオロ-1,1-エタンジイル基又はカルボニル基である。
5は、単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基、トリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基、-O-Z51-、-C(=O)-O-Z51-又は-C(=O)-NH-Z51-である。Z51は、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合、ヒドロキシ基又はハロゲン原子を含んでいてもよい。
21~R28は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。また、R23及びR24又はR26及びR27が、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。
-は、非求核性対向イオンである。)
【請求項9】
更に、界面活性剤を含む請求項記載のレジスト材料。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項記載のレジスト材料を用いて、基板上にレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜を高エネルギー線で露光する工程と、前記露光したレジスト膜を、現像液を用いて現像する工程とを含むパターン形成方法。
【請求項11】
前記高エネルギー線が、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、電子線又は波長3~15nmの極端紫外線である請求項10記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト材料及びパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が急速に進んでいる。5Gの高速通信と人工知能(artificial intelligence、AI)の普及が進み、これを処理するための高性能デバイスが必要とされているためである。最先端の微細化技術としては、波長13.5nmの極端紫外線(EUV)リソグラフィーによる5nmノードのデバイスの量産が行われている。更には、次世代の3nmノード、次次世代の2nmノードデバイスにおいてもEUVリソグラフィーを用いた検討が進められており、ベルギーのIMECは1nmと0.7nmのデバイス開発を表明している。
【0003】
微細化の進行とともに酸の拡散による像のぼけが問題になっている。寸法サイズ45nm以降の微細パターンでの解像性を確保するためには、従来提案されている溶解コントラストの向上だけでなく、酸拡散の制御が重要であることが提案されている(非特許文献1)。しかしながら、化学増幅レジスト材料は、酸の拡散によって感度とコントラストを上げているため、ポストエクスポージャーベーク(PEB)温度を下げたり、時間を短くしたりして酸拡散を極限まで抑えようとすると、感度とコントラストが著しく低下する。
【0004】
感度、解像度及びエッジラフネス(LWR)のトライアングルトレードオフの関係が示されている。解像度を向上させるためには酸拡散を抑えることが必要であるが、酸拡散距離が短くなると感度が低下する。
【0005】
バルキーな酸が発生する酸発生剤を添加して酸拡散を抑えることは有効である。そこで、重合性不飽和結合を有するオニウム塩に由来する繰り返し単位をポリマーに含ませることが提案されている。このとき、ポリマーは、酸発生剤としても機能する(ポリマーバウンド型酸発生剤)。特許文献1には、特定のスルホン酸を発生する重合性不飽和結合を有するスルホニウム塩やヨードニウム塩が提案されている。特許文献2には、スルホン酸が主鎖に直結したスルホニウム塩が提案されている。
【0006】
より微細なパターンを形成するため、酸拡散を抑えるだけでなく溶解コントラストを向上させることが必要である。溶解コントラスト向上のため、酸による脱保護反応によってフェノール基やカルボキシ基が発生する極性変換型のベースポリマーが用いられている。これを含むレジスト材料を用いて、アルカリ現像によってポジ型のパターンを形成したり、有機溶剤現像によってネガ型のパターンを形成したりするが、ポジ型のパターンの方が高解像である。これは、アルカリ現像の方が溶解コントラストが高いためである。また、フェノール基が発生するベースポリマーよりもカルボキシ基が発生するベースポリマーの方が、アルカリ溶解性が高く、高い溶解コントラストを得ることができる。そのため、カルボキシ基発生型のベースポリマーが用いられるようになってきている。
【0007】
露光によって主鎖が分解し、分子量が低下することによって有機溶剤現像液への溶解性が向上するα-クロロアクリレート及びα-メチルスチレンが共重合したポリマーをベースポリマーとする主鎖分解型の非化学増幅レジスト材料は、酸の拡散の影響はないが溶解コントラストが低い。前述した極性変換機能を有する化学増幅レジスト材料の方が、高解像である。
【0008】
更なる溶解コントラスト向上のため、極性変換機能を有するベースポリマーに加えて、極性変換機能を有する酸発生剤をレジスト材料に添加することが提案されている。特許文献3及び4には、カチオン部分に3級エステル型の酸不安定基を有するスルホニウム塩を含むレジスト材料が示され、特許文献5及び6には、酸不安定基をアニオン部分に有するスルホニウム塩を含むレジスト材料が示されている。しかし、これらの文献に記載された脂環式構造型やジメチルフェニルカルビノール型の酸不安定基では、溶解コントラストの向上と膨潤の低減とが不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2006-045311号公報
【文献】特開2006-178317号公報
【文献】特開2011-006400号公報
【文献】特開2021-070692号公報
【文献】特開2014-224236号公報
【文献】国際公開第2021/200056号
【非特許文献】
【0010】
【文献】SPIE Vol. 6520 65203L-1 (2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
レジスト材料において、ラインパターンのLWRやホールパターンの寸法均一性(CDU)を改善することが可能で、かつ感度も向上させることができる酸発生剤の開発が望まれている。このためには、現像時における溶解コントラストを一段と向上させる必要がある。
【0012】
本発明は、前記事情に鑑みなされたもので、特にポジ型レジスト材料において、高感度であり、LWRやCDUが改善されたレジスト材料、及びこれを用いるパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、カチオン部分に芳香族基を有する環状の2級又は3級エステル型酸不安定基を有するスルホニウム塩を含むレジスト材料が、酸による脱離反応性に優れ、アルカリ現像液との親和性が高いため、高コントラストかつ低膨潤な特性が得られ、これによって、LWR及びCDUが改善ざれ、解像性に優れ、プロセスマージンが広いレジスト材料が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0014】
すなわち、本発明は、下記レジスト材料及びパターン形成方法を提供する。
1.下記式(1)で表されるスルホニウム塩を含む酸発生剤を含むレジスト材料。
【化1】
[式中、pは0又は1であり、qは0~4の整数であり、rは1又は2であり、sは1~3の整数である。
1は、単結合、エーテル結合、チオエーテル結合又はエステル結合である。
2は、単結合又は炭素数1~20のアルカンジイル基であり、該アルカンジイル基は、フッ素原子又はヒドロキシ基を有していてもよい。
3は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子若しくはアミノ基、又はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ヒドロキシ基、アミノ基及びエーテル結合から選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい、炭素数1~20の飽和ヒドロカルビル基、炭素数1~20の飽和ヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~20の飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基、炭素数2~20の飽和ヒドロカルビルオキシカルボニル基若しくは炭素数1~4の飽和ヒドロカルビルスルホニルオキシ基である。
4は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。s=1のとき、2つのR4は、互いに同一であっても異なっていてもよく、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。
-は、非求核性対向イオンである。
ALは、下記式(AL-1)~(AL-4)のいずれかで表される酸不安定基である。
【化2】
(式中、m1は0~4の整数であり、n1は0~3の整数であり、0≦m1+n1≦4である。m2は0~6の整数であり、n2は0~3の整数であり、0≦m2+n2≦6である。n3は0~4の整数である。n4は0~4の整数である。
5は、水素原子、炭素数1~12の飽和ヒドロカルビル基、炭素数2~8のアルケニル基、炭素数2~8のアルキニル基又は炭素数6~10のアリール基であり、該飽和ヒドロカルビル基、アルケニル基、アルキニル基及びアリール基は、酸素原子又は硫黄原子を含んでいてもよい。
6は、フッ素原子、ヨウ素原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~4のアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~4のアルコキシ基又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~4のアルキルチオ基である。
7は、ヒドロキシ基、炭素数2~4のアルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、塩素原子、臭素原子、アミノ基、フェニル基又は炭素数1~4のアルキルスルホニル基であり、n2が2又は3のとき、2つのR7が互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。
8は、炭素数2~6のアルケニル基である。
弧Ra1は、炭素数2~10の4価飽和炭化水素基であり、炭素-炭素結合間に酸素原子、硫黄原子、窒素原子又は炭素数6~10の芳香族基を含んでいてもよい。
弧Ra2は、炭素数2~10の4価飽和炭化水素基であり、炭素-炭素結合間に酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含んでいてもよい。
円Ra3は、環の中に二重結合を有する及び/又は環中の炭素原子に結合するアルキリデン基を有する炭素数3~10の(n3+2)価の環式脂肪族炭化水素基である。
円Ra4は、炭素数3~10の(n4+2)価の環式飽和炭化水素基である。
破線は、結合手である。)]
2.前記非求核性対向イオンが、スルホン酸アニオン、イミドアニオン又はメチドアニオンである1のレジスト材料。
3.m1が1~4の整数であり、m2が1~6の整数である1又は2のレジスト材料。
4.更に、有機溶剤を含む1~3のいずれかのレジスト材料。
5.更に、ベースポリマーを含む1~4のいずれかのレジスト材料。
6.前記ベースポリマーが、下記式(a1)で表される繰り返し単位又は下記式(a2)で表される繰り返し単位を含むものであるのレジスト材料。
【化3】
(式中、RAは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。
1は、単結合、フェニレン基若しくはナフチレン基、又はエステル結合、エーテル結合及びラクトン環から選ばれる少なくとも1種を含む炭素数1~12の連結基である。
2は、単結合又はエステル結合である。
3は、単結合、エーテル結合又はエステル結合である。
11及びR12は、それぞれ独立に、酸不安定基である。
13は、フッ素原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~7の飽和ヒドロカルビルカルボニル基、炭素数2~7の飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基又は炭素数2~7の飽和ヒドロカルビルオキシカルボニル基である。
14は、単結合又は炭素数1~6のアルカンジイル基であり、該アルカンジイル基の-CH2-の一部が、エーテル結合又はエステル結合で置換されていてもよい。
aは、1又は2である。bは、0~4の整数である。ただし、1≦a+b≦5である。)
7.化学増幅ポジ型レジスト材料である6のレジスト材料。
8.前記ベースポリマーが、下記式(f1)~(f3)で表される繰り返し単位から選ばれる少なくとも1種を含む5~7のいずれかのレジスト材料。
【化4】
(式中、RAは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。
1は、単結合、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基、ナフチレン基若しくはこれらを組み合わせて得られる炭素数7~18の基、又は-O-Z11-、-C(=O)-O-Z11-若しくは-C(=O)-NH-Z11-である。Z11は、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基、ナフチレン基又はこれらを組み合わせて得られる炭素数7~18の基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。
2は、単結合又はエステル結合である。
3は、単結合、-Z31-C(=O)-O-、-Z31-O-又は-Z31-O-C(=O)-である。Z31は、炭素数1~12のヒドロカルビレン基、フェニレン基又はこれらを組み合わせて得られる炭素数7~18の基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合、ヨウ素原子又は臭素原子を含んでいてもよい。
4は、メチレン基、2,2,2-トリフルオロ-1,1-エタンジイル基又はカルボニル基である。
5は、単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基、トリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基、-O-Z51-、-C(=O)-O-Z51-又は-C(=O)-NH-Z51-である。Z51は、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合、ヒドロキシ基又はハロゲン原子を含んでいてもよい。
21~R28は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。また、R23及びR24又はR26及びR27が、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。
-は、非求核性対向イオンである。)
9.更に、界面活性剤を含む1~8のいずれかのレジスト材料。
10.1~9のいずれかのレジスト材料を用いて、基板上にレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜を高エネルギー線で露光する工程と、前記露光したレジスト膜を、現像液を用いて現像する工程とを含むパターン形成方法。
11.前記高エネルギー線が、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、電子線(EB)又は波長3~15nmのEUVである10のパターン形成方法。
【発明の効果】
【0015】
式(1)で表されるスルホニウム塩を含むレジスト材料は、酸不安定基を含むベースポリマーが含まれている場合は、従来の酸発生剤と同様に露光によって発生した酸触媒反応による極性変化によってアルカリ溶解速度が向上するだけでなく、酸発生剤自身も未露光部分は現像液に溶解せず、露光によって自身が発生した酸によってカルボキシ基が発生し、アルカリ溶解速度が向上する。これらによって、LWR及びCDUが改善されたレジスト材料を構築することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[レジスト材料]
本発明のレジスト材料は、芳香族基を有する環状の2級又は3級エステル型酸不安定基をカチオンに有するスルホニウム塩を含む酸発生剤を含む。
【0017】
[芳香族基を有する環状の2級又は3級エステル型酸不安定基をカチオンに有するスルホニウム塩]
前記芳香族基を有する環状の2級又は3級エステル型酸不安定基をカチオンに有するスルホニウム塩は、下記式(1)で表されるものである。
【化5】
【0018】
式(1)中、pは0又は1であり、qは0~4の整数であり、rは1又は2であり、sは1~3の整数である。
【0019】
式(1)中、R1は、単結合、エーテル結合、チオエーテル結合又はエステル結合であり、エーテル結合又はエステル結合が好ましい。
【0020】
式(1)中、R2は、単結合又は炭素数1~20のアルカンジイル基であり、該アルカンジイル基は、フッ素原子又はヒドロキシ基を有していてもよい。前記アルカンジイル基としては、メタンジイル基、エタン-1,1-ジイル基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、ブタン-1,1-ジイル基、ブタン-1,2-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-2,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、1,1-ジメチルエタン-1,2-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、2-メチルブタン-1,2-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基、ドデカン-1,12-ジイル基等が挙げられる。
【0021】
式(1)中、R3は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子若しくはアミノ基、又はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ヒドロキシ基、アミノ基及びエーテル結合から選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい、炭素数1~20の飽和ヒドロカルビル基、炭素数1~20の飽和ヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~20の飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基、炭素数2~20の飽和ヒドロカルビルオキシカルボニル基若しくは炭素数1~4の飽和ヒドロカルビルスルホニルオキシ基である。
【0022】
3で表される飽和ヒドロカルビル基並びに飽和ヒドロカルビルオキシ基、飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基、飽和ヒドロカルビルオキシカルボニル基及び飽和ヒドロカルビルスルホニルオキシ基の飽和ヒドロカルビル部は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環式飽和ヒドロカルビル基が挙げられる。
【0023】
式(1)中、R4は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、炭素数1~20の飽和ヒドロカルビル基、炭素数2~20の不飽和脂肪族ヒドロカルビル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~20のアラルキル基、これらを組み合わせて得られる基等が挙げられる。
【0024】
前記飽和ヒドロカルビル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環式飽和ヒドロカルビル基が挙げられる。
【0025】
前記不飽和脂肪族ヒドロカルビル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基;シクロヘキセニル基等の環式不飽和ヒドロカルビル基が挙げられる。
【0026】
前記アリール基としては、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、n-プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n-ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、sec-ブチルフェニル基、tert-ブチルフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基、n-プロピルナフチル基、イソプロピルナフチル基、n-ブチルナフチル基、イソブチルナフチル基、sec-ブチルナフチル基、tert-ブチルナフチル基等が挙げられる。
【0027】
前記アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0028】
また、前記ヒドロカルビル基の水素原子の一部又は全部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子を含む基で置換されていてもよく、前記ヒドロカルビル基の-CH2-の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を含む基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、スルトン環、スルホ基、スルホニウム塩含有基、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、スルフィド結合、スルホニル基、アミド結合等を含んでいてもよい。
【0029】
s=1のとき、2つのR4は、互いに同一であっても異なっていてもよく、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。このとき、前記環としては、以下に示す構造のものが好ましい。
【化6】
(式中、破線は、式(1)中の芳香環との結合手である。)
【0030】
式(1)中、RALは、下記式(AL-1)~(AL-4)のいずれかで表される酸不安定基である。
【化7】
(式中、破線は、結合手である。)
【0031】
式(AL-1)~(AL-4)中、m1は0~4の整数であり、n1は0~3の整数であり、0≦m1+n1≦4である。m2は0~6の整数であり、n2は0~3の整数であり、0≦m2+n2≦6である。n3は0~4の整数である。n4は0~4の整数である。
【0032】
式(AL-1)~(AL-3)中、R5は、水素原子、炭素数1~12の飽和ヒドロカルビル基、炭素数2~8のアルケニル基、炭素数2~8のアルキニル基又は炭素数6~10のアリール基であり、該飽和ヒドロカルビル基、アルケニル基、アルキニル基及びアリール基は、酸素原子又は硫黄原子を含んでいてもよい。
【0033】
5で表される炭素数1~12の飽和ヒドロカルビル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基等の炭素数1~12のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3~12の環式飽和ヒドロカルビル基が挙げられる。R5で表される炭素数2~8のアルケニル基としては、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等が挙げられる。R5で表される炭素数2~8のアルキニル基としては、エチニル基、ブチニル基等が挙げられる。R5で表される炭素数6~10のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0034】
式(AL-1)及び(AL-2)中、R6は、フッ素原子、ヨウ素原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~4のアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~4のアルコキシ基又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~4のアルキルチオ基である。これらのうち、R6としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1~4のアルキル基、フッ素原子で置換された炭素数1~4のアルコキシ基又はフッ素原子で置換された炭素数1~4のアルキルチオ基が好ましい。フッ素原子を有する酸不安定基をカチオンに有することによって、高い溶解コントラストを得ることができる。
【0035】
式(AL-1)~(AL-4)中、R7は、ヒドロキシ基、炭素数2~4のアルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、塩素原子、臭素原子、アミノ基、フェニル基又は炭素数1~4のアルキルスルホニル基であり、n2が2又は3のとき、2つのR7が互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。
【0036】
式(AL-4)中、R8は、炭素数2~6のアルケニル基である。その具体例としては、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等が挙げられる。
【0037】
式(AL-1)中、弧Ra1は、炭素数2~10の4価飽和炭化水素基であり、炭素-炭素結合間に酸素原子、硫黄原子、窒素原子又は炭素数6~10の芳香族基を含んでいてもよい。式(AL-2)中、弧Ra2は、炭素数2~10の4価飽和炭化水素基であり、炭素-炭素結合間に酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含んでいてもよい。前記4価飽和炭化水素基としては、メタンジイル基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基等のアルカンジイル基の同一炭素原子上の2つの水素原子を取り除いて得られる基が挙げられる。
【0038】
式(AL-3)中、円Ra3は、環の中に二重結合を有する及び/又は環中の炭素原子に結合するアルキリデン基を有する炭素数3~10の(n3+2)価の環式脂肪族炭化水素基である。その具体例としては、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン等のシクロアルケンに由来する基;メチリデン基等のアルキリデン基で置換されたシクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等のシクロアルカンに由来する基、アルキリデン基で置換されたシクロアルケンに由来する基等が挙げられる。
【0039】
式(AL-4)中、円Ra4は、炭素数3~10の(n4+2)価の環式飽和炭化水素基である。その具体例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等のシクロアルカンに由来する基が挙げられる。
【0040】
ALとしては、式(AL-1)で表されるものであってm1が1~4の整数であるもの、式(AL-2)で表されるものであってm2が1~6の整数であるもの、式(AL-3)で表されるものであってn3が1~4の整数であるもの、又は式(AL-4)で表されるものであってn4が1~4の整数であるものが好ましい。
【0041】
ベースポリマー及び前記スルホニウム塩が、これらの酸不安定基が酸触媒による脱保護反応を起こしてアルカリ現像液に溶解することによって、より一層高い溶解コントラストが発現する。これによって、より一層の高感度化と、小さなLWRやCDUの向上が実現できる。さらに、脱保護反応によるベースポリマーの溶解性が向上する露光量と、スルホニウム塩が溶解する露光量が同じであることによって一段とコントラストを高めることができる。
【0042】
ベースポリマーの酸不安定基及び前記スルホニウム塩の酸不安定基が同じ構造である場合、発生した酸の近傍に存在しているスルホニウム塩の方が脱保護反応しやすく、たとえ同時に脱保護反応が起こったとしても分子量の小さなスルホニウム塩の方が低露光量側でアルカリ現像液に溶解する。従来型の酸不安定基で置換されたスルホニウム塩は、ベースポリマーと同様の酸不安定基が付いていたため、ベースポリマーとスルホニウム塩の脱保護反応性のギャップが存在することによって溶解コントラスト向上効果が低かった。
【0043】
本発明では、ベースポリマーとスルホニウム塩の脱保護反応性のギャップを無くするため、スルホニウム塩の酸不安定基はベースポリマーの酸不安定基よりも低い脱保護反応性のものを用いることが好ましい。例えば、芳香族基を含む酸不安定基の場合、芳香族基にハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等の電子吸引基を導入することや、エステルとの結合を2級にすることによって脱保護反応性を低く調整することが可能である。
【0044】
式(1)で表されるスルホニウム塩のカチオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化8】
【0045】
【化9】
【0046】
【化10】
【0047】
【化11】
【0048】
【化12】
【0049】
【化13】
【0050】
【化14】
【0051】
【化15】
【0052】
【化16】
【0053】
【化17】
【0054】
【化18】
【0055】
【化19】
【0056】
【化20】
【0057】
【化21】
【0058】
【化22】
【0059】
【化23】
【0060】
【化24】
【0061】
【化25】
【0062】
【化26】
【0063】
【化27】
【0064】
【化28】
【0065】
【化29】
【0066】
【化30】
【0067】
【化31】
【0068】
【化32】
【0069】
【化33】
【0070】
【化34】
【0071】
【化35】
【0072】
【化36】
【0073】
【化37】
【0074】
【化38】
【0075】
【化39】
【0076】
【化40】
【0077】
【化41】
【0078】
【化42】
【0079】
【化43】
【0080】
【化44】
【0081】
【化45】
【0082】
【化46】
【0083】
【化47】
【0084】
【化48】
【0085】
【化49】
【0086】
【化50】
【0087】
【化51】
【0088】
【化52】
【0089】
【化53】
【0090】
【化54】
【0091】
【化55】
【0092】
【化56】
【0093】
【化57】
【0094】
【化58】
【0095】
【化59】
【0096】
【化60】
【0097】
式(1)中、X-は、非求核性対向イオンである。前記非求核性対向イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオン;トリフレートイオン、1,1,1-トリフルオロエタンスルホネートイオン、ノナフルオロブタンスルホネートイオン等のフルオロアルキルスルホネートイオン;トシレートイオン、ベンゼンスルホネートイオン、4-フルオロベンゼンスルホネートイオン、1,2,3,4,5-ペンタフルオロベンゼンスルホネートイオン等のアリールスルホネートイオン;メシレートイオン、ブタンスルホネートイオン等のアルキルスルホネートイオン;ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドイオン、ビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミドイオン等のイミドイオン;トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドイオン、トリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチドイオン等のメチドイオンが挙げられる。
【0098】
前記非求核性対向イオンの他の例としては、下記式(1A)~(1D)から選ばれるアニオンが挙げられる。
【化61】
【0099】
式(1A)中、Rfaは、フッ素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40のヒドロカルビル基である。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、後述する式(1A')中のRfa1で表されるヒドロカルビル基として例示するものと同様のものが挙げられる。
【0100】
式(1A)で表されるアニオンとしては、下記式(1A')で表されるものが好ましい。
【化62】
【0101】
式(1A')中、RHFは、水素原子又はトリフルオロメチル基であり、好ましくはトリフルオロメチル基である。Rfa1は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~38のヒドロカルビル基である。前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が好ましく、酸素原子がより好ましい。前記ヒドロカルビル基としては、微細パターン形成において高い解像度を得る点から、特に炭素数6~30であるものが好ましい。
【0102】
fa1で表されるヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、ウンデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘプタデシル基、イコシル基等の炭素数1~38のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、1-アダマンチルメチル基、ノルボルニル基、ノルボルニルメチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基、テトラシクロドデシルメチル基、ジシクロヘキシルメチル基等の炭素数3~38の環式飽和ヒドロカルビル基;アリル基、3-シクロヘキセニル基等の炭素数2~38の不飽和脂肪族ヒドロカルビル基;フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、9-フルオレニル基等の炭素数6~38のアリール基;ベンジル基、ジフェニルメチル基等の炭素数7~38のアラルキル基;これらを組み合わせて得られる基等が挙げられる。
【0103】
また、前記ヒドロカルビル基の水素原子の一部又は全部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子を含む基で置換されていてもよく、前記ヒドロカルビル基の-CH2-の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を含む基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物(-C(=O)-O-C(=O)-)、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。ヘテロ原子を含むヒドロカルビル基としては、テトラヒドロフリル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メチルチオメチル基、アセトアミドメチル基、トリフルオロエチル基、(2-メトキシエトキシ)メチル基、アセトキシメチル基、2-カルボキシ-1-シクロヘキシル基、2-オキソプロピル基、4-オキソ-1-アダマンチル基、3-オキソシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0104】
式(1A)で表されるアニオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、Acはアセチル基である。
【化63】
【0105】
【化64】
【0106】
【化65】
【0107】
【化66】
【0108】
式(1B)中、Rfb1及びRfb2は、それぞれ独立に、フッ素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40のヒドロカルビル基である。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、式(1A')中のRfa1で表されるヒドロカルビル基として例示したものと同様のものが挙げられる。Rfb1及びRfb2として好ましくは、フッ素原子又は炭素数1~4の直鎖状フッ素化アルキル基である。また、Rfb1とRfb2とは、互いに結合してこれらが結合する基(-CF2-SO2-N--SO2-CF2-)と共に環を形成してもよく、このとき、Rfb1とRfb2とが互いに結合して得られる基は、フッ素化エチレン基又はフッ素化プロピレン基であることが好ましい。
【0109】
式(1C)中、Rfc1、Rfc2及びRfc3は、それぞれ独立に、フッ素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40のヒドロカルビル基である。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、式(1A')中のRfa1で表されるヒドロカルビル基として例示したものと同様のものが挙げられる。Rfc1、Rfc2及びRfc3として好ましくは、フッ素原子又は炭素数1~4の直鎖状フッ素化アルキル基である。また、Rfc1とRfc2とは、互いに結合してこれらが結合する基(-CF2-SO2-C--SO2-CF2-)と共に環を形成してもよく、このとき、Rfc1とRfc2とが互いに結合して得られる基は、フッ素化エチレン基又はフッ素化プロピレン基であることが好ましい。
【0110】
式(1D)中、Rfdは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40のヒドロカルビル基である。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、式(1A')中のRfa1で表されるヒドロカルビル基として例示したものと同様のものが挙げられる。
【0111】
式(1D)で表されるアニオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化67】
【0112】
【化68】
【0113】
前記非求核性対向イオンの例としては、更に、ヨウ素原子又は臭素原子で置換された芳香環を有するアニオンが挙げられる。このようなアニオンとしては、下記式(1E)で表されるものが挙げられる。
【化69】
【0114】
式(1E)中、xは、1≦x≦3を満たす整数である。y及びzは、1≦y≦5、0≦z≦3及び1≦y+z≦5を満たす整数である。yは、1≦y≦3を満たす整数が好ましく、2又は3がより好ましい。zは、0≦z≦2を満たす整数が好ましい。
【0115】
式(1E)中、XBIは、ヨウ素原子又は臭素原子であり、x及び/又はyが2以上のとき、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0116】
式(1E)中、L1は、単結合、エーテル結合若しくはエステル結合、又はエーテル結合若しくはエステル結合を含んでいてもよい炭素数1~6の飽和ヒドロカルビレン基である。前記飽和ヒドロカルビレン基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。
【0117】
式(1E)中、L2は、xが1のときは単結合又は炭素数1~20の2価の連結基であり、xが2又は3のときは炭素数1~20の(x+1)価の連結基であり、該連結基は酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含んでいてもよい。
【0118】
式(1E)中、R8は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子若しくはアミノ基、若しくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヒドロキシ基、アミノ基若しくはエーテル結合を含んでいてもよい、炭素数1~20のヒドロカルビル基、炭素数1~20のヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~20のヒドロカルビルカルボニル基、炭素数2~10のヒドロカルビルオキシカルボニル基、炭素数2~20のヒドロカルビルカルボニルオキシ基若しくは炭素数1~20のヒドロカルビルスルホニルオキシ基、又は-N(R8A)(R8B)、-N(R8C)-C(=O)-R8D若しくは-N(R8C)-C(=O)-O-R8Dである。R8A及びR8Bは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基である。R8Cは、水素原子又は炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基であり、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニル基又は炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基を含んでいてもよい。R8Dは、炭素数1~16の脂肪族ヒドロカルビル基、炭素数6~12のアリール基又は炭素数7~15のアラルキル基であり、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニル基又は炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基を含んでいてもよい。前記脂肪族ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。前記ヒドロカルビル基、ヒドロカルビルオキシ基、ヒドロカルビルカルボニル基、ヒドロカルビルオキシカルボニル基、ヒドロカルビルカルボニルオキシ基及びヒドロカルビルスルホニルオキシ基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。x及び/又はzが2以上のとき、各R8は互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0119】
これらのうち、R8としては、ヒドロキシ基、-N(R8C)-C(=O)-R8D、-N(R8C)-C(=O)-O-R8D、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、メトキシ基等が好ましい。
【0120】
式(1E)中、Rf1~Rf4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であるが、これらのうち少なくとも1つはフッ素原子又はトリフルオロメチル基である。また、Rf1とRf2とが合わさってカルボニル基を形成してもよい。特に、Rf3及びRf4がともにフッ素原子であることが好ましい。
【0121】
式(1E)で表されるアニオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、XBIは、前記と同じである。
【化70】
【0122】
【化71】
【0123】
【化72】
【0124】
【化73】
【0125】
【化74】
【0126】
【化75】
【0127】
【化76】
【0128】
【化77】
【0129】
【化78】
【0130】
【化79】
【0131】
【化80】
【0132】
【化81】
【0133】
【化82】
【0134】
【化83】
【0135】
【化84】
【0136】
【化85】
【0137】
【化86】
【0138】
【化87】
【0139】
【化88】
【0140】
【化89】
【0141】
【化90】
【0142】
【化91】
【0143】
【化92】
【0144】
前記非求核性対向イオンとしては、特許第6648726号公報記載のヨウ素原子を含む芳香族基に結合するフルオロベンゼンスルホン酸アニオン、国際公開第2021/200056号や特開2021-070692号公報に記載された酸によって分解する機構を有するアニオン、特開2018-180525号公報や特開2021-35935号公報記載の環状のエーテル基を有するアニオン、特開2018-092159号公報記載のアニオンを用いることもできる。
【0145】
前記非求核性対向イオンとしては、更に、特開2006-276759号公報、特開2015-117200号公報、特開2016-65016号公報及び特開2019-202974号公報に記載されたフッ素原子を含まないバルキーなベンゼンスルホン酸誘導体のアニオン、特許第6645464号公報記載のヨウ素原子を含む芳香族基に結合するフッ素原子を含まないベンゼンスルホン酸アニオンやアルキルスルホン酸アニオンを用いることもできる。
【0146】
前記非求核性対向イオンとしては、更に、特開2015-206932号公報に記載されたビススルホン酸のアニオン、国際公開第2020/158366号に記載された片側がスルホン酸でもう一方がこれとは異なるスルホンアミドやスルホンイミドのアニオン、特開2015-024989号公報に記載された片側がスルホン酸でもう一方がカルボン酸のアニオンを用いることもできる。
【0147】
式(1)で表されるスルホニウム塩の合成方法としては、前述したスルホニウムカチオンの弱酸塩を、前記非求核性対向イオンを有するアンモニウム塩とイオン交換する方法が挙げられる。
【0148】
本発明のレジスト材料中、式(1)で表されるスルホニウム塩の含有量は、後述するベースポリマー100質量部に対し、感度と酸拡散抑制効果の点から0.01~1,000質量部が好ましく、0.05~500質量部がより好ましい。
【0149】
[ベースポリマー]
本発明のレジスト材料に含まれるベースポリマーは、ポジ型レジスト材料の場合、酸不安定基を含む繰り返し単位を含む。酸不安定基を含む繰り返し単位としては、下記式(a1)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位a1ともいう。)又は下記式(a2)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位a2ともいう。)が好ましい。
【化93】
【0150】
式(a1)及び(a2)中、RAは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。X1は、単結合、フェニレン基若しくはナフチレン基、又はエステル結合、エーテル結合及びラクトン環から選ばれる少なくとも1種を含む炭素数1~12の連結基である。X2は、単結合又はエステル結合である。X3は、単結合、エーテル結合又はエステル結合である。R11及びR12は、それぞれ独立に、酸不安定基である。R13は、フッ素原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~7の飽和ヒドロカルビルカルボニル基、炭素数2~7の飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基又は炭素数2~7の飽和ヒドロカルビルオキシカルボニル基である。R14は、単結合又は炭素数1~6のアルカンジイル基であり、該アルカンジイル基の-CH2-の一部が、エーテル結合又はエステル結合で置換されていてもよい。aは、1又は2である。bは、0~4の整数である。ただし、1≦a+b≦5である。
【0151】
繰り返し単位a1を与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RA及びR11は、前記と同じである。
【化94】
【0152】
繰り返し単位a2を与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RA及びR12は、前記と同じである。
【化95】
【0153】
式(a1)及び(a2)中、R11及びR12で表される酸不安定基としては、例えば、特開2013-80033号公報、特開2013-83821号公報に記載のものが挙げられる。
【0154】
典型的には、前記酸不安定基としては、下記式(L-1)~(L-3)で表されるものが挙げられる。
【化96】
(式中、破線は、結合手である。)
【0155】
式(L-1)及び(L-2)中、RL1及びRL2は、それぞれ独立に、炭素数1~40のヒドロカルビル基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。前記ヒドロカルビル基としては、炭素数1~40の飽和ヒドロカルビル基が好ましく、炭素数1~20の飽和ヒドロカルビル基がより好ましい。
【0156】
式(L-1)中、cは、0~10の整数であり、1~5の整数が好ましい。
【0157】
式(L-2)中、RL3及びRL4は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~20のヒドロカルビル基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。前記ヒドロカルビル基としては、炭素数1~20の飽和ヒドロカルビル基が好ましい。また、RL2、RL3及びRL4のいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する炭素原子又は炭素原子と酸素原子と共に炭素数3~20の環を形成してもよい。前記環としては、炭素数4~16の環が好ましく、特に脂環が好ましい。
【0158】
式(L-3)中、RL5、RL6及びRL7は、それぞれ独立に、炭素数1~20のヒドロカルビル基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。前記ヒドロカルビル基としては、炭素数1~20の飽和ヒドロカルビル基が好ましい。また、RL5、RL6及びRL7のいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3~20の環を形成してもよい。前記環としては、炭素数4~16の環が好ましく、特に脂環が好ましい。
【0159】
前記ベースポリマーは、密着性基としてフェノール性ヒドロキシ基を含む繰り返し単位bを含んでもよい。繰り返し単位bを与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RAは、前記と同じである。
【化97】
【0160】
前記ベースポリマーは、他の密着性基として、フェノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基、ラクトン環、スルトン環、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カルボニル基、スルホニル基、シアノ基又はカルボキシ基を含む繰り返し単位cを含んでもよい。繰り返し単位cを与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RAは、前記と同じである。
【化98】
【0161】
【化99】
【0162】
【化100】
【0163】
【化101】
【0164】
【化102】
【0165】
【化103】
【0166】
【化104】
【0167】
【化105】
【0168】
前記ベースポリマーは、インデン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、アセナフチレン、クロモン、クマリン、ノルボルナジエン又はこれらの誘導体に由来する繰り返し単位dを含んでもよい。繰り返し単位dを与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化106】
【0169】
前記ベースポリマーは、スチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルピレン、メチレンインダン、ビニルピリジン又はビニルカルバゾールに由来する繰り返し単位eを含んでもよい。
【0170】
前記ベースポリマーは、重合性不飽和結合を含むオニウム塩に由来する繰り返し単位fを含んでもよい。好ましい繰り返し単位fとしては、下記式(f1)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位f1ともいう。)、下記式(f2)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位f2ともいう。)及び下記式(f3)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位f3ともいう。)が挙げられる。なお、繰り返し単位f1~f3は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合せて使用してもよい。
【化107】
【0171】
式(f1)~(f3)中、RAは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。Z1は、単結合、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基、ナフチレン基若しくはこれらを組み合わせて得られる炭素数7~18の基、又は-O-Z11-、-C(=O)-O-Z11-若しくは-C(=O)-NH-Z11-である。Z11は、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基、ナフチレン基又はこれらを組み合わせて得られる炭素数7~18の基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。Z2は、単結合又はエステル結合である。Z3は、単結合、-Z31-C(=O)-O-、-Z31-O-又は-Z31-O-C(=O)-である。Z31は、炭素数1~12のヒドロカルビレン基、フェニレン基又はこれらを組み合わせて得られる炭素数7~18の基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合、ヨウ素原子又は臭素原子を含んでいてもよい。Z4は、メチレン基、2,2,2-トリフルオロ-1,1-エタンジイル基又はカルボニル基である。Z5は、単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基、トリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基、-O-Z51-、-C(=O)-O-Z51-又は-C(=O)-NH-Z51-である。Z51は、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合、ヒドロキシ基又はハロゲン原子を含んでいてもよい。
【0172】
式(f1)~(f3)中、R21~R28は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、式(1)中のR4で表されるヒドロカルビル基として例示したものと同様のものが挙げられる。また、前記ヒドロカルビル基の水素原子の一部又は全部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子を含む基で置換されていてもよく、前記ヒドロカルビル基の-CH2-の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を含む基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物(-C(=O)-O-C(=O)-)、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。また、R23及びR24又はR26及びR27が、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。このとき、前記環としては、式(1)の説明において、2つのR4が互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に形成し得る環として例示したものと同様のものが挙げられる。
【0173】
式(f1)中、M-は、非求核性対向イオンである。前記非求核性対向イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオン;トリフレートイオン、1,1,1-トリフルオロエタンスルホネートイオン、ノナフルオロブタンスルホネートイオン等のフルオロアルキルスルホネートイオン;トシレートイオン、ベンゼンスルホネートイオン、4-フルオロベンゼンスルホネートイオン、1,2,3,4,5-ペンタフルオロベンゼンスルホネートイオン等のアリールスルホネートイオン;メシレートイオン、ブタンスルホネートイオン等のアルキルスルホネートイオン;ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドイオン、ビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミドイオン等のイミドイオン;トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドイオン、トリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチドイオン等のメチドイオンが挙げられる。
【0174】
また、M-で表される非求核性対向イオンとしては、式(1A)~(1E)のいずれかで表されるアニオンを適用することもできる。
【0175】
繰り返し単位f1を与えるモノマーのカチオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R A 、前記と同じである。
【化108】
【0176】
繰り返し単位f2又f3を与えるモノマーのカチオンの具体例としては、特開2017-219836号公報に記載されたスルホニウムカチオンが挙げられる。
【0177】
繰り返し単位f2を与えるモノマーのアニオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RAは、前記と同じである。
【化109】
【0178】
【化110】
【0179】
【化111】
【0180】
【化112】
【0181】
【化113】
【0182】
【化114】
【0183】
【化115】
【0184】
【化116】
【0185】
【化117】
【0186】
【化118】
【0187】
【化119】
【0188】
【化120】
【0189】
繰り返し単位f3を与えるモノマーのアニオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RAは、前記と同じである。
【化121】
【0190】
ポリマー主鎖に酸発生剤を結合させることによって酸拡散を小さくし、酸拡散のぼけによる解像性の低下を防止できる。また、酸発生剤が均一に分散することによってLWR及びCDUが改善される。
【0191】
ポジ型レジスト材料用のベースポリマーは、酸不安定基を含む繰り返し単位a1又はa2を必須とする。この場合、繰り返し単位a1、a2、b、c、d、e及びfの含有比率は、0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0<a1+a2<1.0、0≦b≦0.9、0≦c≦0.9、0≦d≦0.8、0≦e≦0.8及び0≦f≦0.5が好ましく、0≦a1≦0.9、0≦a2≦0.9、0.1≦a1+a2≦0.9、0≦b≦0.8、0≦c≦0.8、0≦d≦0.7、0≦e≦0.7及び0≦f≦0.4がより好ましく、0≦a1≦0.8、0≦a2≦0.8、0.1≦a1+a2≦0.8、0≦b≦0.75、0≦c≦0.75、0≦d≦0.6、0≦e≦0.6及び0≦f≦0.3が更に好ましい。なお、繰り返し単位fが繰り返し単位f1~f3から選ばれる少なくとも1種である場合、f=f1+f2+f3である。また、a1+a2+b+c+d+e+f=1.0である。
【0192】
一方、ネガ型レジスト材料用のベースポリマーは、酸不安定基は必ずしも必要ではない。このようなベースポリマーとしては、繰り返し単位bを含み、必要に応じて更に繰り返し単位c、d、e及び/又はfを含むものが挙げられる。これらの繰り返し単位の含有比率は、0<b≦1.0、0≦c≦0.9、0≦d≦0.8、0≦e≦0.8及び0≦f≦0.5が好ましく、0.2≦b≦1.0、0≦c≦0.8、0≦d≦0.7、0≦e≦0.7及び0≦f≦0.4がより好ましく、0.3≦b≦1.0、0≦c≦0.75、0≦d≦0.6、0≦e≦0.6及び0≦f≦0.3が更に好ましい。なお、繰り返し単位fが繰り返し単位f1~f3から選ばれる少なくとも1種である場合、f=f1+f2+f3である。また、b+c+d+e+f=1.0である。
【0193】
前記ベースポリマーを合成するには、例えば、前述した繰り返し単位を与えるモノマーを、有機溶剤中、ラジカル重合開始剤を加えて加熱し、重合を行えばよい。
【0194】
重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。重合開始剤としては、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が挙げられる。重合時の温度は、好ましくは50~80℃である。反応時間は、好ましくは2~100時間、より好ましくは5~20時間である。
【0195】
ヒドロキシ基を含むモノマーを共重合する場合、重合時にヒドロキシ基をエトキシエトキシ基等の酸によって脱保護しやすいアセタール基で置換しておいて重合後に弱酸と水によって脱保護を行ってもよいし、アセチル基、ホルミル基、ピバロイル基等で置換しておいて重合後にアルカリ加水分解を行ってもよい。
【0196】
ヒドロキシスチレンやヒドロキシビニルナフタレンを共重合する場合は、ヒドロキシスチレンやヒドロキシビニルナフタレンのかわりにアセトキシスチレンやアセトキシビニルナフタレンを用い、重合後前記アルカリ加水分解によってアセトキシ基を脱保護してヒドロキシスチレンやヒドロキシビニルナフタレンにしてもよい。
【0197】
アルカリ加水分解時の塩基としては、アンモニア水、トリエチルアミン等が使用できる。また、反応温度は、好ましくは-20~100℃、より好ましくは0~60℃である。反応時間は、好ましくは0.2~100時間、より好ましくは0.5~20時間である。
【0198】
前記ベースポリマーは、溶剤としてTHFを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が、好ましくは1,000~500,000、より好ましくは2,000~30,000である。Mwが前記範囲であれば、レジスト膜の耐熱性やアルカリ現像液への溶解性が良好である。
【0199】
また、前記ベースポリマーにおいて分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は、低分子量や高分子量のポリマーが存在するため、露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりするおそれがある。パターンルールが微細化するに従って、MwやMw/Mnの影響が大きくなりやすいことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト材料を得るには、前記ベースポリマーのMw/Mnは、1.0~2.0、特に1.0~1.5と狭分散であることが好ましい。
【0200】
前記ベースポリマーは、組成比率、Mw、Mw/Mnが異なる2つ以上のポリマーを含んでもよい。
【0201】
[有機溶剤]
本発明のレジスト材料は、有機溶剤を含んでもよい。前記有機溶剤は、前述した各成分及び後述する各成分が溶解可能なものであれば、特に限定されない。前記有機溶剤としては、特開2008-111103号公報の段落[0144]~[0145]に記載の、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチル-2-n-ペンチルケトン、2-ヘプタノン等のケトン類、3-メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert-ブチル、プロピオン酸tert-ブチル、プロピレングリコールモノtert-ブチルエーテルアセテート、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸プロピル、2-ヒドロキシイソ酪酸ブチル等のエステル類、γ-ブチロラクトン等のラクトン類等が挙げられる。
【0202】
本発明のレジスト材料中、前記有機溶剤の含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、100~10,000質量部が好ましく、200~8,000質量部がより好ましい。前記有機溶剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0203】
[クエンチャー]
本発明のレジスト材料は、クエンチャーを含んでもよい。なお、クエンチャーとは、レジスト材料中の酸発生剤より発生した酸をトラップすることで未露光部への拡散を防ぐことができる化合物を意味する。
【0204】
前記クエンチャーとしては、従来型の塩基性化合物が挙げられる。従来型の塩基性化合物としては、第1級、第2級、第3級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、ヒドロキシ基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド類、イミド類、カーバメート類等が挙げられる。特に、特開2008-111103号公報の段落[0146]~[0164]に記載の第1級、第2級、第3級のアミン化合物、特にはヒドロキシ基、エーテル結合、エステル結合、ラクトン環、シアノ基、スルホン酸エステル結合を有するアミン化合物あるいは特許第3790649号公報に記載のカーバメート基を有する化合物等が好ましい。このような塩基性化合物を添加することによって、例えば、レジスト膜中での酸の拡散速度を更に抑制したり、形状を補正したりすることができる。
【0205】
また、前記クエンチャーとして、特開2008-158339号公報に記載されているα位がフッ素化されていないスルホン酸、カルボン酸又はフッ素化されたアルコキシドの、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩等のオニウム塩が挙げられる。α位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸又はメチド酸は、カルボン酸エステルの酸不安定基を脱保護させるために必要であるが、α位がフッ素化されていないオニウム塩との塩交換によってα位がフッ素化されていないスルホン酸、カルボン酸又はフッ素化アルコールが放出される。α位がフッ素化されていないスルホン酸、カルボン酸及びフッ素化アルコールは脱保護反応を起こさないため、クエンチャーとして機能する。
【0206】
このようなクエンチャーとしては、例えば、下記式(2)で表される化合物(α位がフッ素化されていないスルホン酸のオニウム塩)、下記式(3)で表される化合物(カルボン酸のオニウム塩)、及び下記式(4)で表される化合物(アルコキシドのオニウム塩)が挙げられる。
【化122】
【0207】
式(2)中、R101は、水素原子又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40のヒドロカルビル基であるが、スルホ基のα位の炭素原子に結合する水素原子が、フッ素原子又はフルオロアルキル基で置換されたものを除く。
【0208】
101で表される炭素数1~40のヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基等の炭素数1~40のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基、ノルボルニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、アダマンチル基、アダマンチルメチル基等の炭素数3~40の環式飽和ヒドロカルビル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等の炭素数2~40のアルケニル基;シクロヘキセニル基等の炭素数3~40の環式不飽和脂肪族ヒドロカルビル基;フェニル基、ナフチル基、アルキルフェニル基(2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、4-エチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、4-n-ブチルフェニル基等)、ジアルキルフェニル基(2,4-ジメチルフェニル基、2,4,6-トリイソプロピルフェニル基等)、アルキルナフチル基(メチルナフチル基、エチルナフチル基等)、ジアルキルナフチル基(ジメチルナフチル基、ジエチルナフチル基等)等の炭素数6~40のアリール基;ベンジル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基等の炭素数7~40のアラルキル基等が挙げられる。
【0209】
また、前記ヒドロカルビル基の水素原子の一部又は全部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子を含む基で置換されていてもよく、前記ヒドロカルビル基の-CH2-の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を含む基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物(-C(=O)-O-C(=O)-)、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。ヘテロ原子を含むヒドロカルビル基としては、チエニル基等のヘテロアリール基;4-ヒドロキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、2-メトキシフェニル基、4-エトキシフェニル基、4-tert-ブトキシフェニル基、3-tert-ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基;メトキシナフチル基、エトキシナフチル基、n-プロポキシナフチル基、n-ブトキシナフチル基等のアルコキシナフチル基;ジメトキシナフチル基、ジエトキシナフチル基等のジアルコキシナフチル基;2-フェニル-2-オキソエチル基、2-(1-ナフチル)-2-オキソエチル基、2-(2-ナフチル)-2-オキソエチル基等の2-アリール-2-オキソエチル基等のアリールオキソアルキル基等が挙げられる。
【0210】
式(3)中、R102は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40のヒドロカルビル基である。R102で表されるヒドロカルビル基としては、R101で表されるヒドロカルビル基として例示したものと同様のものが挙げられる。また、その他の具体例として、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロ-1-メチル-1-ヒドロキシエチル基、2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)-1-ヒドロキシエチル基等の含フッ素アルキル基;ペンタフルオロフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基等の含フッ素アリール基等も挙げられる。
【0211】
式(4)中、R103は、少なくとも3つのフッ素原子を有する炭素数1~8の飽和ヒドロカルビル基又は少なくとも3つのフッ素原子を有する炭素数6~10のアリール基であり、ニトロ基を有していてもよい。
【0212】
式(2)、(3)及び(4)中、Mq+は、オニウムカチオンである。前記オニウムカチオンとしては、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン又はアンモニウムカチオンが好ましく、スルホニウムカチオンがより好ましい。スルホニウムカチオンとしては、特開2017-219836号公報に記載されたスルホニウムカチオンが挙げられる。
【0213】
クエンチャーとして、下記式(5)で表されるヨウ素化ベンゼン環含有カルボン酸のスルホニウム塩も好適に使用できる。
【化123】
【0214】
式(5)中、R201は、ヒドロキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、若しくは水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換されていてもよい、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基若しくは炭素数1~4の飽和ヒドロカルビルスルホニルオキシ基、又は-N(R201A)-C(=O)-R201B若しくは-NR201A)-C(=O)-O-R201Bである。R201Aは、水素原子又は炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基である。R201Bは、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基又は炭素数2~8の不飽和脂肪族ヒドロカルビル基である。
【0215】
式(5)中、x'は、1~5の整数である。y'は、0~3の整数である。z'は、1~3の整数である。L11は、単結合又は炭素数1~20の(z'+1)価の連結基であり、エーテル結合、カルボニル基、エステル結合、アミド結合、スルトン環、ラクタム環、カーボネート結合、ハロゲン原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基から選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい。前記飽和ヒドロカルビル基、飽和ヒドロカルビルオキシ基、飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基及び飽和ヒドロカルビルスルホニルオキシ基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。y'及び/又はz'が2以上のとき、各R201は互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0216】
式(5)中、R202、R203及びR204は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、式(1)中のR4で表されるヒドロカルビル基として例示したものと同様のものが挙げられる。また、前記ヒドロカルビル基の水素原子の一部又は全部が、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、オキソ基、シアノ基、ニトロ基、スルトン環、スルホ基又はスルホニウム塩含有基で置換されていてもよく、前記ヒドロカルビル基の-CH2-の一部が、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、アミド結合、カーボネート結合又はスルホン酸エステル結合で置換されていてもよい。また、R202とR203とが、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。
【0217】
式(5)で表される化合物の具体例としては、特開2017-219836号公報、特開2021-91666号公報に記載されたものが挙げられる。
【0218】
前記クエンチャーの他の例として、特開2008-239918号公報に記載のポリマー型のクエンチャーが挙げられる。これは、レジスト膜表面に配向することによってレジストパターンの矩形性を高める。ポリマー型クエンチャーは、液浸露光用の保護膜を適用したときのパターンの膜減りやパターントップのラウンディングを防止する効果もある。
【0219】
さらに、特許第6848776号公報及び特開2020-37544号公報に記載されたベタイン型のスルホニウム塩、特開2020-55797号公報に記載されたフッ素原子を含まないメチド酸、特許第5807552号公報に記載されたスルホンアミドのスルホニウム塩、特開2019-211751号公報に記載されたヨウ素原子を含むスルホンアミドのスルホニウム塩をクエンチャーとして用いることもできる。
【0220】
本発明のレジスト材料が前記クエンチャーを含む場合、その含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0~5質量部が好ましく、0~4質量部がより好ましい。前記クエンチャーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0221】
[その他の成分]
本発明のレジスト材料は、前述した成分に加えて、式(1)で表されるスルホニウム塩以外の酸発生剤(以下、その他の酸発生剤という。)、界面活性剤、溶解阻止剤、架橋剤、撥水性向上剤、アセチレンアルコール類等を含んでもよい。
【0222】
前記その他の酸発生剤としては、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)が挙げられる。光酸発生剤の成分としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでも構わないが、スルホン酸、イミド酸又はメチド酸を発生する酸発生剤が好ましい。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N-スルホニルオキシイミド、オキシム-O-スルホネート型酸発生剤等がある。酸発生剤の具体例としては、特開2008-111103号公報の段落[0122]~[0142]、特開2018-5224号公報、特開2018-25789号公報に記載されている。本発明のレジスト材料がその他の酸発生剤を含む場合、その含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0~200質量部が好ましく、0.1~100質量部がより好ましい。
【0223】
前記界面活性剤としては、特開2008-111103号公報の段落[0165]~[0166]に記載されたものが挙げられる。界面活性剤を添加することによって、レジスト材料の塗布性を一層向上させ、あるいは制御することができる。本発明のレジスト材料が前記界面活性剤を含む場合、その含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0.0001~10質量部が好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0224】
本発明のレジスト材料がポジ型である場合は、溶解阻止剤を配合することによって、露光部と未露光部との溶解速度の差を一層大きくすることができ、解像度を一層向上させることができる。前記溶解阻止剤としては、分子量が好ましくは100~1,000、より好ましくは150~800で、かつ分子内にフェノール性ヒドロキシ基を2つ以上含む化合物の該フェノール性ヒドロキシ基の水素原子を酸不安定基によって全体として0~100モル%の割合で置換した化合物、又は分子内にカルボキシ基を含む化合物の該カルボキシ基の水素原子を酸不安定基によって全体として平均50~100モル%の割合で置換した化合物が挙げられる。具体的には、ビスフェノールA、トリスフェノール、フェノールフタレイン、クレゾールノボラック、ナフタレンカルボン酸、アダマンタンカルボン酸、コール酸のヒドロキシ基、カルボキシ基の水素原子を酸不安定基で置換した化合物等が挙げられ、例えば、特開2008-122932号公報の段落[0155]~[0178]に記載されている。
【0225】
本発明のレジスト材料がポジ型であって前記溶解阻止剤を含む場合、その含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0~50質量部が好ましく、5~40質量部がより好ましい。前記溶解阻止剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0226】
一方、本発明のレジスト材料がネガ型である場合は、架橋剤を添加することによって、露光部の溶解速度を低下させることによりネガ型パターンを得ることができる。前記架橋剤としては、メチロール基、アルコキシメチル基及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの基で置換された、エポキシ化合物、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物又はウレア化合物、イソシアネート化合物、アジド化合物、アルケニルオキシ基等の二重結合を含む化合物等が挙げられる。これらは、添加剤として用いてもよいが、ポリマー側鎖にペンダント基として導入してもよい。また、ヒドロキシ基を含む化合物も架橋剤として用いることができる。
【0227】
前記エポキシ化合物としては、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリメチロールメタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリエチロールエタントリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0228】
前記メラミン化合物としては、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンの1~6個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサアシロキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1~6個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物等が挙げられる。
【0229】
前記グアナミン化合物としては、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1~4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1~4個のメチロール基がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物等が挙げられる。
【0230】
前記グリコールウリル化合物としては、テトラメチロールグリコールウリル、テトラメトキシグリコールウリル、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1~4個がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1~4個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物等が挙げられる。ウレア化合物としてはテトラメチロールウレア、テトラメトキシメチルウレア、テトラメチロールウレアの1~4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルウレア等が挙げられる。
【0231】
前記イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
【0232】
前記アジド化合物としては、1,1'-ビフェニル-4,4'-ビスアジド、4,4'-メチリデンビスアジド、4,4'-オキシビスアジド等が挙げられる。
【0233】
前記アルケニルオキシ基を含む化合物としては、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,2-プロパンジオールジビニルエーテル、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4-シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等が挙げられる。
【0234】
本発明のレジスト材料がネガ型であって前記架橋剤を含む場合、その含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0.1~50質量部が好ましく、1~40質量部がより好ましい。前記架橋剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0235】
前記撥水性向上剤は、レジスト膜表面の撥水性を向上させるものであり、トップコートを用いない液浸リソグラフィーに用いることができる。前記撥水性向上剤としては、フッ化アルキル基を含むポリマー、特定構造の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール残基を含むポリマー等が好ましく、特開2007-297590号公報、特開2008-111103号公報等に例示されているものがより好ましい。前記撥水性向上剤は、アルカリ現像液や有機溶剤現像液に溶解する必要がある。前述した特定の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール残基を有する撥水性向上剤は、現像液への溶解性が良好である。撥水性向上剤として、アミノ基やアミン塩を含む繰り返し単位を含むポリマーは、PEB中の酸の蒸発を防いで現像後のホールパターンの開口不良を防止する効果が高い。本発明のレジスト材料が前記撥水性向上剤を含む場合、その含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0~20質量部が好ましく、0.5~10質量部がより好ましい。前記撥水性向上剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0236】
前記アセチレンアルコール類としては、特開2008-122932号公報の段落[0179]~[0182]に記載されたものが挙げられる。本発明のレジスト材料がアセチレンアルコール類を含む場合、その含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0~5質量部が好ましい。前記アセチレンアルコール類は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0237】
本発明のレジスト材料は、前記各成分を十分に混合し、感度や膜厚が所定の範囲になるように調整した後、得られた溶液の濾過を行うことで調製することができる。濾過工程は、現像後のレジストパターンの欠陥を低減させるために重要である。濾過を行うための膜の口径は、好ましくは1μm以下、より好ましくは10nm以下、更に好ましくは5nm以下であり、小さければ小さいほど微細なパターンにおける欠陥の発生を抑えることができる。膜の素材としては、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン等が挙げられる。テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の表面を改質して吸着能を高めた膜を用いることもできる。テトラフルオロエチレン、ポリエチレン及びポリプロピレンは無極性なので、ナイロン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリイミド等の膜のように極性によるゲルや金属イオンの吸着能はないが、極性を有する官能基による表面修飾によって、ゲルや金属イオンの吸着能を高めることができる。特に、より小さな口径の膜を形成できるポリエチレンやポリプロピレンの膜を表面修飾することによって、微細なパーティクルだけでなく、極性を有するパーティクルや金属イオンを低減することができる。異なる材質の膜を積層したものや、異なる穴のサイズを積層した膜を用いてもよい。
【0238】
イオン交換能を有する膜を用いることもできる。陽イオンを吸着するイオン交換膜の場合は、金属イオンを吸着することによって金属不純物を低減させることができる。
【0239】
濾過を行うときに複数のフィルターをつなぐこともできる。複数のフィルターの膜の種類及び口径は、同じであってもよく、異なっていてもよい。複数の容器間をつなぐ配管中で濾過を行ってもよいし、1つの容器に出口及び入口を設けて配管をつなぎ、循環濾過を行ってもよい。濾過を行うフィルターは、直列配管でつないでもよく、平行配管でつないでもよい。
【0240】
[パターン形成方法]
本発明のレジスト材料を種々の集積回路製造に用いる場合は、公知のリソグラフィー技術を適用することができる。例えば、パターン形成方法としては、前述したレジスト材料を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜を高エネルギー線で露光する工程と、前記露光したレジスト膜を、現像液を用いて現像する工程とを含む方法が挙げられる。
【0241】
まず、本発明のレジスト材料を、集積回路製造用の基板(Si、SiO2、SiN、SiON、TiN、WSi、BPSG、SOG、有機反射防止膜等)あるいはマスク回路製造用の基板(Cr、CrO、CrON、CrN、MoSi2、SiO2、MoSi2積層膜、Ta、TaN、TaCN、Ru、Nb、Mo、Mn、Co、Niあるいはこれらの合金等)上にスピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターコート等の適当な塗布方法により塗布膜厚が0.01~2μmとなるように塗布する。これをホットプレート上で、好ましくは60~150℃、10秒~30分間、より好ましくは80~120℃、30秒~20分間プリベークし、レジスト膜を形成する。
【0242】
次いで、高エネルギー線を用いて、前記レジスト膜を露光する。前記高エネルギー線としては、紫外線、遠紫外線、EB、波長3~15nmのEUV、X線、軟X線、エキシマレーザー光、γ線、シンクロトロン放射線等が挙げられる。前記高エネルギー線として紫外線、遠紫外線、EUV、X線、軟X線、エキシマレーザー光、γ線、シンクロトロン放射線等を用いる場合は、目的のパターンを形成するためのマスクを用いて、露光量が好ましくは1~200mJ/cm2程度、より好ましくは10~100mJ/cm2程度となるように照射する。高エネルギー線としてEBを用いる場合は、露光量が好ましくは0.1~300μC/cm2程度、より好ましくは0.5~200μC/cm2程度で目的のパターンを形成するためのマスクを用いて又は直接描画する。なお、本発明のレジスト材料は、特に高エネルギー線の中でもKrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、EB、EUV、X線、軟X線、γ線、シンクロトロン放射線による微細パターニングに好適であり、特にEB又はEUVによる微細パターニングに好適である。
【0243】
露光後、ホットプレート上又はオーブン中で、好ましくは30~150℃、10秒~30分間、より好ましくは50~120℃、30秒~20分間PEBを行ってもよいし、行わなくてもよい。
【0244】
露光後又はPEB後、0.1~10質量%、好ましくは2~5質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、3秒~3分間、好ましくは5秒~2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により露光したレジスト膜を現像することで、目的のパターンが形成される。ポジ型レジスト材料の場合は、光を照射した部分は現像液に溶解し、露光されなかった部分は溶解せず、基板上に目的のポジ型のパターンが形成される。ネガ型レジスト材料の場合はポジ型レジスト材料の場合とは逆であり、光を照射した部分は現像液に不溶化し、露光されなかった部分は溶解する。
【0245】
酸不安定基を含むベースポリマーを含むポジ型レジスト材料を用いて、有機溶剤現像によってネガ型パターンを得ることもできる。このときに用いる現像液としては、2-オクタノン、2-ノナノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸ブテニル、酢酸イソペンチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、ギ酸イソペンチル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸ペンチル、乳酸イソペンチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、ギ酸ベンジル、ギ酸フェニルエチル、3-フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2-フェニルエチル等が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0246】
現像の終了時には、リンスを行う。リンス液としては、現像液と混溶し、レジスト膜を溶解させない溶剤が好ましい。このような溶剤としては、炭素数3~10のアルコール、炭素数8~12のエーテル化合物、炭素数6~12のアルカン、アルケン、アルキン、芳香族系の溶剤が好ましく用いられる。
【0247】
前記炭素数3~10のアルコールとしては、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1-ブチルアルコール、2-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、tert-ペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、2-メチル-1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、3-メチル-3-ペンタノール、シクロペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、2,3-ジメチル-2-ブタノール、3,3-ジメチル-1-ブタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-エチル-1-ブタノール、2-メチル-1-ペンタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-メチル-3-ペンタノール、3-メチル-1-ペンタノール、3-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-3-ペンタノール、4-メチル-1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、4-メチル-3-ペンタノール、シクロヘキサノール、1-オクタノール等が挙げられる。
【0248】
前記炭素数8~12のエーテル化合物としては、ジ-n-ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ-sec-ブチルエーテル、ジ-n-ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ-sec-ペンチルエーテル、ジ-tert-ペンチルエーテル、ジ-n-ヘキシルエーテル等が挙げられる。
【0249】
前記炭素数6~12のアルカンとしては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン等が挙げられる。前記炭素数6~12のアルケンとしては、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、ジメチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等が挙げられる。前記炭素数6~12のアルキンとしては、ヘキシン、ヘプチン、オクチン等が挙げられる。
【0250】
前記芳香族系の溶剤としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、メシチレン等が挙げられる。
【0251】
リンスを行うことによってレジストパターンの倒れや欠陥の発生を低減させることができる。また、リンスは必ずしも必須ではなく、リンスを行わないことによって溶剤の使用量を削減することができる。
【0252】
現像後のホールパターンやトレンチパターンを、サーマルフロー、RELACS技術又はDSA技術でシュリンクすることもできる。ホールパターン上にシュリンク剤を塗布し、ベーク中のレジスト膜からの酸触媒の拡散によってレジスト膜の表面でシュリンク剤の架橋が起こり、シュリンク剤がホールパターンの側壁に付着する。ベーク温度は、好ましくは70~180℃、より好ましくは80~170℃であり、ベーク時間は、好ましくは10~300秒であり、余分なシュリンク剤を除去し、ホールパターンを縮小させる。
【実施例
【0253】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。
【0254】
レジスト材料に用いたスルホニウム塩の酸発生剤PAG-1~PAG-40の構造を以下に示す。PAG-1~PAG-40は、それぞれ下記アニオンを与えるフッ素化スルホン酸のアンモニウム塩と、下記カチオンを与えるスルホニウムクロリドとのイオン交換によって合成した。
【化124】

【0255】
【化125】
【0256】
【化126】
【0257】
【化127】
【0258】
【化128】
【0259】
【化129】
【0260】
【化130】
【0261】
【化131】
【0262】
[合成例]ベースポリマー(ポリマーP-1~P-5)の合成
各モノマーを組み合わせて溶剤であるTHF中で共重合反応を行い、反応溶液をメタノールに投入し、析出した固体をヘキサンで洗浄した後、単離し、乾燥して、以下に示す組成のベースポリマー(ポリマーP-1~P-5)を得た。得られたベースポリマーの組成は1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPC(溶剤:THF、標準:ポリスチレン)により確認した。
【化132】
【0263】
[実施例1~46、比較例1~4]レジスト材料の調製及びその評価
(1)レジスト材料の調製
界面活性剤としてオムノバ社製Polyfox PF-636を100ppm溶解させた溶剤に表1~4に示す組成で各成分を溶解させた溶液を、0.2μmサイズのフィルターで濾過してレジスト材料を調製した。
【0264】
表1~4中、各成分は、以下のとおりである。
・有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
EL(乳酸エチル)
DAA(ジアセトンアルコール)
【0265】
・ブレンド酸発生剤:bPAG-1、bPAG-2
【化133】
【0266】
・比較酸発生剤:cPAG-1~cPAG-4
【化134】
【0267】
・クエンチャー:Q-1、Q-2
【化135】
【0268】
(2)EUVリソグラフィー評価
表1~4に示す各レジスト材料を、信越化学工業(株)製ケイ素含有スピンオンハードマスクSHB-A940(ケイ素の含有量が43質量%)を膜厚20nmで形成したSi基板上にスピンコートし、ホットプレートを用いて105℃で60秒間プリベークして膜厚50nmのレジスト膜を作製した。ASML社製EUVスキャナーNXE3400(NA0.33、σ0.9/0.6、クアドルポール照明、ウエハー上寸法がピッチ40nm、+20%バイアスのホールパターンのマスク)を用いて前記レジスト膜を露光し、ホットプレート上で表1~4記載の温度で60秒間PEBを行い、2.38質量%TMAH水溶液で30秒間現像を行って、寸法20nmのホールパターンを形成した。
(株)日立ハイテク製測長SEM(CG6300)を用いて、ホール寸法が20nmで形成されるときの露光量を測定してこれを感度とし、また、このときのホール50個の寸法を測定し、その結果から算出した標準偏差(σ)の3倍値(3σ)をCDUとした。結果を表1~4に示す。
【0269】
【表1】
【0270】
【表2】
【0271】
【表3】
【0272】
【表4】
【0273】
表1~4に示した結果より、式(1)で表されるスルホニウム塩を酸発生剤として含む本発明のレジスト材料は、CDUが良好であることがわかった。