(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-11-04
(45)【発行日】2025-11-12
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置、静電チャック及びプラズマ処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20251105BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20251105BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/68 R
(21)【出願番号】P 2023012673
(22)【出願日】2023-01-31
【審査請求日】2025-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆彦
【審査官】原島 啓一
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-44540(JP,A)
【文献】特開2006-128203(JP,A)
【文献】特開2004-22889(JP,A)
【文献】特開2021-158134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/302
H01L 21/461
H01L 21/67-21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理チャンバと、
前記プラズマ処理チャンバ内に配置される基台と、
前記基台の上面に配置され、基板載置部、及び前記基板載置部に載置された基板を囲むエッジリングを載置するエッジリング載置部を備える静電チャックと、
前記基板載置部に給電する第1の給電部と、前記エッジリング載置部に給電する第2の給電部の少なくともいずれか一方と、
を備え、
前記第1の給電部は、
前記基板載置部の基板載置面に形成される第1の電極層と、
前記基板載置部内において、前記第1の電極層の下方に配置される第1の吸着電極層と、
前記第1の電極層に電気的に接続される第1のバイアス電源と、
を備え、
前記第2の給電部は、
前記エッジリング載置部のエッジリング載置面に形成される第2の電極層と、
前記エッジリング載置部内において、前記第2の電極層の下方に配置される第2の吸着電極層と、
前記第2の電極層に電気的に接続される第2のバイアス電源と、
を備える、プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記第1の電極層は、平面視において、前記第1の吸着電極層と重なり合わない領域を有する、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記第2の電極層は、平面視において、前記第2の吸着電極層と重なり合わない領域を有する、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記第1の電極層は、前記基板載置面の外周側に形成される、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記第1の電極層は、側面視において、前記基板載置面のシールバンドの上面中央に形成される、請求項4に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記第1の給電部は、前記第1の電極層に電気的に接続される第1の吸着用電源を備える、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記第1の給電部は、前記第1の吸着電極層に電気的に接続される第2の吸着用電源を備える、請求項6に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記第1の給電部は、前記第1の電極層に電気的に接続される第1のプラズマ生成用電源を備える、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記第2の給電部は、前記第2の電極層に電気的に接続される第3の吸着用電源を備える、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記第2の給電部は、前記第2の吸着電極層に電気的に接続される第4の吸着用電源を備える、請求項9に記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
前記第2の給電部は、前記第2の電極層に電気的に接続される第2のプラズマ生成用電源を備える、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項12】
前記基板載置部は、少なくとも1つの第1の貫通孔を備え、
前記第1の貫通孔の内側面には、前記第1の電極層と導通する第1の導電膜が形成される、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項13】
前記基台は、導電性材料で形成され、
前記基台と前記第1の導電膜は電気的に接続される、請求項12に記載のプラズマ処理装置。
【請求項14】
前記エッジリング載置部は、少なくとも1つの第2の貫通孔を備え、
前記第2の貫通孔の内側面には、前記第2の電極層と導通する第2の導電膜が形成される、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項15】
基板載置部、及び前記基板載置部に載置された基板を囲むエッジリングを載置するエッジリング載置部を備える誘電体部と、
前記基板載置部に設けられた第1の電極部と、前記エッジリング載置部に設けられた第2の電極部の少なくともいずれか一方と、
を備え、
前記第1の電極部は、
前記基板載置部の基板載置面に形成される第1のバイアス電極層と、
前記基板載置部内において、前記第1のバイアス電極層の下方に配置される第1の吸着電極層と、
を備え、
前記第2の電極部は、
前記エッジリング載置部のエッジリング載置面に形成される第2のバイアス電極層と、
前記エッジリング載置部内において、前記第2のバイアス電極層の下方に配置される第2の吸着電極層と、
を備える、静電チャック。
【請求項16】
前記第1のバイアス電極層は、平面視において、前記第1の吸着電極層と重なり合わない領域を有する、請求項15に記載の静電チャック。
【請求項17】
前記第2のバイアス電極層は、平面視において、前記第2の吸着電極層と重なり合わない領域を有する、請求項15に記載の静電チャック。
【請求項18】
前記第1のバイアス電極層は、前記基板載置面の外周側に形成される、請求項15に記載の静電チャック。
【請求項19】
前記第1のバイアス電極層は、側面視において、前記基板載置面のシールバンドの上面中央に形成される、請求項18に記載の静電チャック。
【請求項20】
前記基板載置部は、少なくとも1つの第1の貫通孔を備え、
前記第1の貫通孔の内側面には、前記第1のバイアス電極層と導通する第1の導電膜が形成される、請求項15に記載の静電チャック。
【請求項21】
前記エッジリング載置部は、少なくとも1つの第2の貫通孔を備え、
前記第2の貫通孔の内側面には、前記第2のバイアス電極層と導通する第2の導電膜が形成される、請求項15に記載の静電チャック。
【請求項22】
プラズマ処理装置を用いたプラズマ処理方法であって、
前記プラズマ処理装置は、
プラズマ処理チャンバと、
前記プラズマ処理チャンバ内に配置される基台と、
前記基台の上面に配置され、基板載置部、及び前記基板載置部に載置された基板を囲むエッジリングを載置するエッジリング載置部を備える静電チャックと、
前記基板載置部の基板載置面に形成される電極層と、
前記基板載置部内において、前記電極層の下方に配置される吸着電極層と、
前記電極層に電気的に接続されるバイアス電源と、
前記電極層に電気的に接続される第1の吸着用電源と、
前記吸着電極層に電気的に接続される第2の吸着用電源と、
を備え、
前記プラズマ処理方法は、
前記第2の吸着用電源から前記吸着電極層に第2の吸着電力を供給して、基板を前記基板載置部に仮吸着する工程と、
前記第1の吸着用電源から前記電極層に第1の吸着電力を供給するとともに、前記第2の吸着用電源から前記吸着電極層に前記第2の吸着電力を供給して、基板を前記基板載置部に本吸着する工程と、
前記バイアス電源から前記電極層にバイアス電力を供給して、基板にプラズマ処理を行う工程と、
を含む、プラズマ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ処理装置、静電チャック及びプラズマ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板及びエッジリングを支持するための静電チャックが開示されている。静電チャック内には、イオン引き込み用のバイアス電力が印加されるバイアス電極が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、プラズマ処理装置における電力効率を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様のプラズマ処理装置は、プラズマ処理チャンバと、前記プラズマ処理チャンバ内に配置される基台と、前記基台の上面に配置され、基板載置部、及び前記基板載置部に載置された基板を囲むエッジリングを載置するエッジリング載置部を備える静電チャックと、前記基板載置部に給電する第1の給電部と、前記エッジリング載置部に給電する第2の給電部の少なくともいずれか一方と、を備え、前記第1の給電部は、前記基板載置部の基板載置面に形成される第1の電極層と、前記基板載置部内において、前記第1の電極層の下方に配置される第1の吸着電極層と、前記第1の電極層に電気的に接続される第1のバイアス電源と、を備え、前記第2の給電部は、前記エッジリング載置部のエッジリング載置面に形成される第2の電極層と、前記エッジリング載置部内において、前記第2の電極層の下方に配置される第2の吸着電極層と、前記第2の電極層に電気的に接続される第2のバイアス電源と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、プラズマ処理装置における電力効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】プラズマ処理システムの構成例を示す説明図である。
【
図2】プラズマ処理装置の構成例を示す断面図である。
【
図4】基板のエッジ領域におけるシースの制御方法を示す説明図である。
【
図5】シールバンド上の第1の電極層の配置を示す説明図である。
【
図6】第1の吸着用電源と第2の吸着用電源を含む回路を示す説明図である。
【
図7】基台が絶縁材料で形成される場合の基板支持部の一部を示す断面図である。
【
図8】基台が絶縁材料で形成される場合の基板支持部の一部を示す断面図である。
【
図9】基台が導電性部材を含む場合の基板支持部の一部を示す断面図である。
【
図10】基台が導電性部材を含む場合の基板支持部の一部を示す断面図である。
【
図11】基台が絶縁材料で形成される場合の基板支持部の一部を示す断面図である。
【
図12】基台が絶縁材料で形成される場合の基板支持部の一部を示す断面図である。
【
図13】第1の電極層と第2の電極層の配置を示す平面図である。
【
図16】第1の電極層と第2の電極層の配置を示す平面図である。
【
図17】第1の電極層と第2の電極層の配置を示す平面図である。
【
図18】エッジリングの吸着シーケンスの一例を示す説明図である。
【
図19】吸着シーケンスの第1の例を示す説明図である。
【
図20】吸着シーケンスの第2の例を示す説明図である。
【
図21】吸着シーケンスの第3の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
半導体デバイスの製造工程では、例えばプラズマ処理装置において半導体基板(以下、「基板」という)にプラズマ処理が行われる。プラズマ処理装置では、チャンバの内部で処理ガスを励起させることによりプラズマを生成し、当該プラズマによって、静電チャックに支持された基板を処理する。
【0009】
プラズマ処理装置では、プラズマ処理の生産性向上を目的として、電力効率の向上が求められている。従来、例えばバイアス電力の供給効率を向上させるために、基板とバイアス電極間の静電容量を大きくする改善が行われてきた。特許文献1に開示されたように静電チャック内にバイアス電極が設けられる場合、基板とバイアス電極間の誘電体部の厚みを小さくすることで高静電容量化が実現され、誘電損失を低減することができる。
【0010】
ここで、例えばプラズマ処理としてエッチングを行う場合、上述した高静電容量化はエッチングレート向上に寄与する。また、高静電容量化が実現すると、例えば矩形波のバイアス電力を供給する場合、線幅や選択比などのエッチング特性も向上する。従って、高静電容量化は、プラズマ処理には有用である。
【0011】
しかしながら、耐電圧の観点から誘電体部の厚みを十分に小さくできず、このため、高静電容量化には限界がある。従って、プラズマ処理における電力効率向上には改善の余地がある。
【0012】
本開示にかかる技術は、プラズマ処理装置における電力効率を向上させる。以下、本実施形態にかかるプラズマ処理装置、静電チャック及びプラズマ処理方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
<プラズマ処理システム>
図1は、プラズマ処理システムの構成例を説明するための図である。一実施形態において、プラズマ処理システムは、プラズマ処理装置1及び制御部2を含む。プラズマ処理システムは、基板処理システムの一例であり、プラズマ処理装置1は、基板処理装置の一例である。プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、基板支持部11及びプラズマ生成部12を含む。プラズマ処理チャンバ10は、プラズマ処理空間を有する。また、プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間に供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。ガス供給口は、後述するガス供給部20に接続され、ガス排出口は、後述する排気システム40に接続される。基板支持部11は、プラズマ処理空間内に配置され、基板を支持するための基板支持面を有する。
【0014】
プラズマ生成部12は、プラズマ処理空間内に供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマを生成するように構成される。プラズマ処理空間において形成されるプラズマは、容量結合プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)、誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)、ECRプラズマ(Electron-Cyclotron-resonance plasma)、ヘリコン波励起プラズマ(HWP:Helicon Wave Plasma)、又は、表面波プラズマ(SWP:Surface Wave Plasma)等であってもよい。また、AC(Alternating Current)プラズマ生成部及びDC(Direct Current)プラズマ生成部を含む、種々のタイプのプラズマ生成部が用いられてもよい。一実施形態において、ACプラズマ生成部で用いられるAC信号(AC電力)は、100kHz~10GHzの範囲内の周波数を有する。従って、AC信号は、RF(Radio Frequency)信号及びマイクロ波信号を含む。一実施形態において、RF信号は、100kHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。
【0015】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、処理部2a1、記憶部2a2及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aにより実現される。処理部2a1は、記憶部2a2からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより種々の制御動作を行うように構成され得る。このプログラムは、予め記憶部2a2に格納されていてもよく、必要なときに、媒体を介して取得されてもよい。取得されたプログラムは、記憶部2a2に格納され、処理部2a1によって記憶部2a2から読み出されて実行される。媒体は、コンピュータ2aに読み取り可能な種々の記憶媒体であってもよく、通信インターフェース2a3に接続されている通信回線であってもよい。処理部2a1は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0016】
<プラズマ処理装置>
以下に、プラズマ処理装置1の一例としての容量結合型のプラズマ処理装置の構成例について説明する。
図2は、容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
【0017】
容量結合型のプラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10の筐体とは電気的に絶縁される。
【0018】
基板支持部11は、本体部111及びエッジリング112を含む。本体部111は、基板Wを載置して支持するための中央領域である基板載置面111aと、エッジリング112を載置して支持するための環状領域であるエッジリング載置面111bとを有する。ウェハは基板Wの一例である。本体部111のエッジリング載置面111bは、平面視で本体部111の基板載置面111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の基板載置面111a上に載置され、エッジリング112は、本体部111の基板載置面111a上の基板Wを囲むように本体部111のエッジリング載置面111b上に載置される。
【0019】
一実施形態において、本体部111は、基台1110及び静電チャック1111を含む。基台1110は、導電性部材を含む。基台1110の導電性部材は下部電極として機能し得る。静電チャック1111は、基台1110の上に配置される。静電チャック1111は、基板載置部1111aとエッジリング載置部1111bとを備える。基板載置部1111aとエッジリング載置部1111bは、本開示における誘電体部を構成し、例えばセラミックで形成される。基板載置部1111aは、基板載置面111aを有し、基板Wを載置する。エッジリング載置部1111bは、エッジリング載置面111bを有し、エッジリング載置する。エッジリング載置部1111bは、基板載置部1111aを囲むように配置される。エッジリング載置面111bは、基板載置面111aより低い位置に形成される。
【0020】
なお、環状静電チャックや環状絶縁部材のような、静電チャック1111を囲む他の部材がエッジリング載置面111bを有してもよい。この場合、エッジリング112は、環状静電チャック又は環状絶縁部材の上に配置されてもよく、静電チャック1111と環状絶縁部材の両方の上に配置されてもよい。
【0021】
エッジリング112は、1又は複数の環状部材を含む。エッジリング112は、導電性材料又は絶縁材料で形成される。なお、エッジリング112の外側には、当該エッジリング112を囲むように少なくとも1つのカバーリングが設けられてもよい。カバーリングは、絶縁材料で形成される。
【0022】
また、基板支持部11は、静電チャック1111、エッジリング112及び基板Wのうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路1110a、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路1110aには、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。一実施形態において、流路1110aが基台1110内に形成され、1又は複数のヒータが静電チャック1111の基板載置部1111a及びエッジリング載置部1111b内に配置される。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と基板載置面111aとの間の間隙(以下、「第1の伝熱空間」という)、又はエッジリング112の裏面とエッジリング載置面111bとの間の間隙(以下、「第2の伝熱空間」という)に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部50を含んでもよい。伝熱ガス供給部50は、伝熱ガス供給路51を介して、上記第1及び第2の伝熱空間に伝熱ガスを供給する。
【0023】
基板支持部11の下方には、基板載置部1111aに対して基板Wを昇降させる第1のリフター60が設けられる。第1のリフター60は、第1のリフターピン61及び駆動部62を有する。第1のリフターピン61は、駆動部62に接続されることで昇降可能に構成される。
【0024】
また、基板支持部11の下方には、エッジリング載置部1111bに対してエッジリング112を昇降させる第2のリフター70が設けられる。第2のリフター70は、第2のリフターピン71及び駆動部72を有する。第2のリフターピン71は、駆動部72に接続されることで昇降可能に構成される。
【0025】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、少なくとも1つの上部電極を含む。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0026】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する少なくとも1つの流量変調デバイスを含んでもよい。
【0027】
電源30は、プラズマ生成用電源の一例としてのソースRF電源31、バイアス電源の一例としてのバイアスRF電源32、及び吸着用電源33を含む。ソースRF電源31及びバイアスRF電源32は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合される。吸着用電源33は、プラズマ処理チャンバ10に結合される。
【0028】
ソースRF電源31は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に電気的に接続され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、10MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、ソースRF電源31は、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、ソースRF電源31は、プラズマ生成部12の少なくとも一部として機能し得る。
【0029】
一実施形態において、バイアスRF電源32は、第1のバイアスRF電源32a及び第2のバイアスRF電源32bを含む。第1のバイアスRF電源32aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して後述する第1の電極層210に電気的に接続され、第1のバイアスRF信号(第1のバイアスRF電力)を生成するように構成される。第2のバイアスRF電源32bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して、後述する第2の電極層212に電気的に接続され、第2のバイアスRF信号(第2のバイアスRF電力)を生成するように構成される。第1及び第2のバイアスRF信号の周波数は、ソースRF信号の周波数と同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、第1及び第2のバイアスRF信号は、ソースRF信号の周波数よりも低い周波数を有する。一実施形態において、第1及び第2のバイアスRF信号は、100kHz~60MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のバイアスRF電源32a及び第2のバイアスRF電源32bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。第1のバイアスRF電源32aで生成された1又は複数の第1のバイアスRF信号は、後述する第1の電極層210に供給され、第2のバイアスRF電源32bで生成された1又は複数の第2のバイアスRF信号は、後述する第2の電極層212に供給される。これにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。また、種々の実施形態において、ソースRF信号、第1及び第2のバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0030】
一実施形態において、吸着用電源33は、第1の吸着用電源33a、第2の吸着用電源33b、第3の吸着用電源33c及び第4の吸着用電源33dを含む。
【0031】
第1の吸着用電源33aは、後述する第1の電極層210に電気的に接続され、第1の吸着DC信号(第1の吸着電力)を生成するように構成される。生成された第1の吸着DC信号は、後述する第1の電極層210に供給される。第2の吸着用電源33bは、後述する第1の吸着電極層211に電気的に接続され、第2の吸着DC信号(第2の吸着電力)を生成するように構成される。生成された第2の吸着DC信号は、後述する第1の吸着電極層211に供給される。これら第1及び第2の吸着電力によって発生する静電気力により、基板Wを基板載置面111aに吸着保持することができる。なお、第1の吸着用電源33aは省略されてもよい。
【0032】
第3の吸着用電源33cは、後述する第2の電極層212に電気的に接続され、第3の吸着DC信号(第3の吸着電力)を生成するように構成される。生成された第3の吸着DC信号は、後述する第2の電極層212に供給される。第4の吸着用電源33dは、後述する第2の吸着電極層213に電気的に接続され、第4の吸着DC信号(第4の吸着電力)を生成するように構成される。生成された第4の吸着DC信号は、後述する第2の吸着電極層213に供給される。これら第3及び第4の吸着電力によって発生する静電気力により、エッジリング112をエッジリング載置面111bに吸着保持することができる。なお、第3の吸着用電源33cは省略されてもよい。
【0033】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源34を含んでもよい。DC電源34は、第1のDC電源34a及び第2のDC電源34bを含む。一実施形態において、第1のDC電源34aは、少なくとも1つの下部電極に電気的に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のDC信号は、少なくとも1つの下部電極に印加される。一実施形態において、第2のDC電源34bは、少なくとも1つの上部電極に電気的に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、少なくとも1つの上部電極に印加される。
【0034】
種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号がパルス化されてもよい。この場合、電圧パルスのシーケンスが少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に印加される。電圧パルスは、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせのパルス波形を有してもよい。一実施形態において、DC信号から電圧パルスのシーケンスを生成するための波形生成部が第1のDC電源34aと少なくとも1つの下部電極との間に接続される。従って、第1のDC電源34a及び波形生成部は、電圧パルス生成部を構成する。第2のDC電源34b及び波形生成部が電圧パルス生成部を構成する場合、電圧パルス生成部は、少なくとも1つの上部電極に接続される。電圧パルスは、正の極性を有してもよく、負の極性を有してもよい。また、電圧パルスのシーケンスは、1周期内に1又は複数の正極性電圧パルスと1又は複数の負極性電圧パルスとを含んでもよい。なお、第1及び第2のDC電源34a、34bは、ソースRF電源31及びバイアスRF電源32に加えて設けられてもよく、バイアスRF電源32に代えて設けられてもよい。
【0035】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0036】
<基板支持部>
次に、上述した基板支持部11の構成について、
図3を用いて説明する。
図3は、基板支持部11の構成例の概略を示す断面図である。
図3において、中央点線より右側は主として電極層を示し、中央点線より左側は主として貫通孔を示す。
【0037】
基板載置部1111aの基板載置面111aは、シールバンド200と複数のドット201を備える。なお、
図3においてドット201の図示は省略する。シールバンド200は、基板載置面111aの外周側に環状に形成される。シールバンド200は、基板Wの裏面と基板載置面111aとの間の第1の伝熱空間202をシールする。複数のドット201は、シールバンド200の内側に配置される。各ドット201は、円柱形状を有する。シールバンド200と複数のドット201は、上面が同じ高さで且つ平坦に形成されており、基板載置面111aで基板Wを載置する際に基板Wに接触する。
【0038】
エッジリング載置部1111bのエッジリング載置面111bは、シールバンド203を備える。シールバンド203は、エッジリング載置面111bの内側と外側において環状に形成される。シールバンド203は、エッジリング112の裏面とエッジリング載置面111bとの間の第2の伝熱空間204をシールする。シールバンド203は、上面が平坦に形成されており、エッジリング載置面111bでエッジリング112を載置する際にエッジリング112に接触する。
【0039】
基板載置部1111aの基板載置面111aには、第1の電極層210が形成される。すなわち、基板載置面111aに基板Wが載置される際、第1の電極層210は基板Wに接触して電気的に導通する。第1の電極層210には、第1のバイアスRF電源32a及び第1の吸着用電源33aが電気的に接続される。なお、
図3の例では説明の理解を容易にするため、基板載置面111aの全面に第1の電極層210が形成されているが、実際には所望のパターンで形成される。以下、
図4、
図7~
図12、
図18の例においても同様である。この第1の電極層210の具体的配置については後述する。また、第1の電極層210は、本開示における第1のバイアス電極層に相当する。
【0040】
基板載置部1111a内において第1の電極層210の下方には、第1の吸着電極層211が形成される。第1の吸着電極層211には、第2の吸着用電源33bが電気的に接続される。
【0041】
なお、第1の電極層210、第1の吸着電極層211、第1のバイアスRF電源32a、第1の吸着用電源33a及び第2の吸着用電源33bは、基板載置部1111aに給電する、本開示における第1の給電部を構成する。また、第1の電極層210及び第1の吸着電極層211は、基板載置部1111aに設けられた、本開示における第1の電極部を構成する。
【0042】
エッジリング載置部1111bのエッジリング載置面111bには、第2の電極層212が形成される。すなわち、エッジリング載置面111bにエッジリング112が載置される際、第2の電極層212はエッジリング112に接触して電気的に導通する。第2の電極層212には、第2のバイアスRF電源32b及び第3の吸着用電源33cが電気的に接続される。なお、
図3の例では説明の理解を容易にするため、エッジリング載置面111bの全面に第2の電極層212が形成されているが、実際には所望のパターンで形成される。以下、
図4、
図7~
図12、
図18の例においても同様である。この第2の電極層212の具体的配置については後述する。また、第2の電極層212は、本開示における第2のバイアス電極層に相当する。
【0043】
エッジリング載置部1111b内において第2の電極層212の下方には、第2の吸着電極層213が形成される。第2の吸着電極層213には、第4の吸着用電源33dが電気的に接続される。
【0044】
なお、第2の電極層212、第2の吸着電極層213、第2のバイアスRF電源32b、第3の吸着用電源33c及び第4の吸着用電源33dは、エッジリング載置部1111bに給電する、本開示における第2の給電部を構成する。また、第2の電極層212及び第2の吸着電極層213は、エッジリング載置部1111bに設けられた、本開示における第2の電極部を構成する。
【0045】
基台1110には、上述した各電源32a~32b、33a~33dの給電ラインを挿通させるための貫通孔220が形成される。貫通孔220の内側面には、絶縁膜221が形成される。絶縁膜221の材料は特に限定されないが、例えばガラスが用いられる。なお、
図3の例では、絶縁膜221が貫通孔220に形成されるが、これに限定されるものではない。セラミックスなどによる絶縁スリーブが貫通孔220に挿入されてもよい。
【0046】
基板載置部1111aには、第1の貫通孔の一例としての第1の伝熱ガス供給孔230aが形成される。第1の伝熱ガス供給孔230aは、基板載置面111aから厚み方向に貫通する。基台1110にも、第1の伝熱ガス供給孔230bが形成される。第1の伝熱ガス供給孔230aと第1の伝熱ガス供給孔230bは連続し、上述した伝熱ガス供給路51に含まれる。また、第1の伝熱ガス供給孔230a、230bは伝熱ガス供給部50に連通する。なお、図示の例においては第1の伝熱ガス供給孔230aは基板載置部1111aの厚み方向に延伸するが、第1の伝熱ガス供給孔230aの経路は任意であり、例えば水平方向の経路を含んでいてもよい。また、第1の伝熱ガス供給孔230bは基台1110を貫通するが、第1の伝熱ガス供給孔230bの経路は任意である。伝熱ガス供給部50から供給される伝熱ガスは、第1の伝熱ガス供給孔230a、230bを介して、基板Wの裏面と基板載置面111aとの間の第1の伝熱空間202に供給される。
【0047】
また、基板載置部1111aには、第1の貫通孔の一例としての第1のピン挿通孔231aが形成される。第1のピン挿通孔231aは、基板載置面111aから厚み方向に貫通する。基台1110にも、第1のピン挿通孔231bが形成される。第1のピン挿通孔231bは、基台1110を厚み方向に貫通する。第1のピン挿通孔231aと第1のピン挿通孔231bは連続し、当該第1のピン挿通孔231a、231bを第1のリフターピン61が挿通する。
【0048】
第1の伝熱ガス供給孔230aの内側面には、第1の電極層210と導通する第1の導電膜232が形成される。第1のピン挿通孔231aの内側面にも、第1の電極層210と導通する第1の導電膜232が形成される。これら第1の導電膜232は、基台1110と短絡し電気的に接続される。なお、第1の伝熱ガス供給孔230bの内側面と第1のピン挿通孔231bには、導電膜は形成されない。
【0049】
エッジリング載置部1111bには、第2の貫通孔の一例としての第2の伝熱ガス供給孔233aが形成される。第2の伝熱ガス供給孔233aは、エッジリング載置面111bから厚み方向に貫通する。基台1110にも、第2の伝熱ガス供給孔233bが形成される。第2の伝熱ガス供給孔233aと第2の伝熱ガス供給孔233bは連続し、上述した伝熱ガス供給路51に含まれる。また、第2の伝熱ガス供給孔233a、233bは伝熱ガス供給部50に連通する。なお、図示の例においては第2の伝熱ガス供給孔233aはエッジリング載置部1111bの厚み方向に延伸するが、第2の伝熱ガス供給孔233aの経路は任意であり、例えば水平方向の経路を含んでいてもよい。また、第2の伝熱ガス供給孔233bは基台1110を貫通するが、第2の伝熱ガス供給孔233bの経路は任意である。伝熱ガス供給部50から供給される伝熱ガスは、第2の伝熱ガス供給孔233a、233bを介して、エッジリング112の裏面とエッジリング載置面111bとの間の第2の伝熱空間204に供給される。
【0050】
また、エッジリング載置部1111bには、第2の貫通孔の一例としての第2のピン挿通孔234aが形成される。第2のピン挿通孔234aは、エッジリング載置面111bから厚み方向に貫通する。基台1110にも、第2のピン挿通孔234bが形成される。第2のピン挿通孔234bは、基台1110を厚み方向に貫通する。第2のピン挿通孔234aと第2のピン挿通孔234bは連続し、当該第2のピン挿通孔234a、234bを第2のリフターピン71が挿通する。
【0051】
第2の伝熱ガス供給孔233bの内側面と第2のピン挿通孔234bの内側面には、絶縁膜235が形成される。第2の伝熱ガス供給孔233a及び第2の伝熱ガス供給孔233b(絶縁膜235)の内側面において、第2の伝熱ガス供給孔233aの上端から第2の伝熱ガス供給孔233bの下端まで、第2の電極層212と導通する第2の導電膜236が形成される。同様に、第2のピン挿通孔234a及び第2のピン挿通孔234b(絶縁膜235)の内側面において、第2のピン挿通孔234aの上端から第2のピン挿通孔234bの下端まで、第2の電極層212と導通する第2の導電膜236が形成される。なお、
図3の例では、絶縁膜235が第2の伝熱ガス供給孔233a及び第2のピン挿通孔234bに形成されるが、これに限定されるものではない。セラミックスなどによる絶縁スリーブが第2の伝熱ガス供給孔233a及び第2のピン挿通孔234bに挿入されてもよい。
【0052】
<バイアスRF電力の直接供給(電力効率向上対策)>
本実施形態では、基板載置部1111aの基板載置面111aに第1の電極層210が設けられており、第1の電極層210と基板Wが接触する。また第1の電極層210には、第1のバイアスRF電源32aが接続される。従って、第1のバイアスRF電力は、第1のバイアスRF電源32aから第1の電極層210を介して基板Wに直接供給(電気的導通)される。このため、誘電損失が生じないため、電力損失を低減することができるので、プラズマ処理における電力効率を向上させることができる。
【0053】
また、エッジリング載置部1111bのエッジリング載置面111bに第2の電極層212が設けられており、第2の電極層212とエッジリング112が接触する。また第2の電極層212には、第2のバイアスRF電源32bが接続される。従って、第2のバイアスRF電力は、第2のバイアスRF電源32bから第2の電極層212を介してエッジリング112に直接供給(電気的導通)される。このため、誘電損失が生じないため、電力損失を低減することができるので、プラズマ処理における電力効率を向上させることができる。
【0054】
なお、第1及び第2のバイアスRF電力の電流は表皮効果によりそれぞれ、第1の電極層210の表面と第2の電極層212の表面を流れるため、これら第1の電極層210と第2の電極層212はそれぞれ、導電膜のように薄い構造でもよい。また、この導電膜のような第1及び第2の電極層210、212を製造する方法は任意である。例えば、第1及び第2の電極層210、212は、メッキ等の表面処理を行って製造してもよい。また層状の導電性セラミックス等を積層してもよいし、板状の導電性セラミックス等を貼り合わせてもよい。
【0055】
また、本実施形態のプラズマ処理装置1は、第1の電極層210と第2の電極層212の両方を備えているが、いずれか一方を省略してもよい。例えば、第1の電極層210を省略し、第2の電極層212のみを設ける場合には、第1のバイアスRF電源32aは、第1の電極層210に代えて基板載置部1111a内に設けられるバイアス電極に接続され、第1の吸着用電源33aは省略される。また例えば、第2の電極層212を省略し、第1の電極層210のみを設ける場合には、第2のバイアスRF電源32bは、第2の電極層212に代えてエッジリング載置部1111b内に設けられるバイアス電極に接続され、第3の吸着用電源33cは省略される。
【0056】
(残留吸着力の抑制)
従来、静電チャック内に電極が設けられていたため、基板の電位を直接制御することができず、その結果、静電チャックから基板を離脱させる際に基板に残留電荷による残留吸着力が発生することがあった。この点、本実施形態によれば、第1の電極層210と基板Wが導通するので、基板Wの電位を直接制御することができる。そして、例えば基板Wの電位を接地電位に接続すると、第1の電極層210と基板Wのいずれもが接地電位になり、第1の電極層210と基板Wとの間の残留電荷が発生しない。従って、静電チャック1111の基板載置部1111aから基板Wを離脱させる際に作用する残留吸着力を低減することができる。
【0057】
同様に、第2の電極層212とエッジリング112が導通するので、エッジリング112の電位を直接制御することができる。そして、例えばエッジリング112の電位を接地電位に接続すると、第2の電極層212とエッジリング112のいずれもが接地電位になり、第2の電極層212とエッジリング112との間の残留電荷が発生しない。従って、静電チャック1111のエッジリング載置部1111bからエッジリング112を離脱させる際に作用する残留吸着力を低減することができる。
【0058】
(プラズマ非生成時のエッジリング吸着)
エッジリング112は、プラズマ生成時に加えてプラズマ非生成時においても、静電チャック1111のエッジリング載置部1111bに吸着保持される必要がある。従来、静電チャック内に双極の吸着電極を設けて、プラズマ非生成時にエッジリングを吸着保持していた。この点、本実施形態では、第2の電極層212に第3の吸着用電源33cが接続され、第2の吸着電極層213に第4の吸着用電源33dが接続される。このため、第2の電極層212に供給される第3の吸着電力と、第2の吸着電極層213に供給される第4の吸着電力によって、プラズマ非生成時でもエッジリング112を吸着保持することができる。
【0059】
(第2のバイアスRF電力の独立制御)
基板Wに第1のバイアスRF電力を直接供給する場合、基板Wを覆うシースが形成される。この際、
図4(a)に示すように基板Wのエッジ領域では基板載置面111aに対して垂直でない方向からイオンが入射されてしまう。具体的には、例えばエッジリング112が消耗しその厚みが減少すると、基板Wのエッジ領域において、シースSHの厚みが小さくなり、当該シースSHの形状が下方凸形状に変化する。
【0060】
そこで、このイオンの斜め入射を抑制するため、
図4(b)に示すようにエッジリング112に第2のバイアスRF電力を供給して、基板Wのエッジ領域におけるシースSHを持ち上げてフラットにする必要がある。
【0061】
本実施形態では、第2のバイアスRF電力は第2の電極層212を介して独立制御できるので、基板Wにおけるチルト角度を制御することができる。すなわち、第2のバイアスRF電力はチルト制御ノブとして機能する。なお、チルト角度は、基板Wのエッジ領域において、エッチングにより形成される凹部の基板Wの厚み方向に対する傾き(角度)である。チルト角度は、基板Wのエッジ領域へのイオンの入射方向の縦方向に対する傾き(イオンの入射角度)とほぼ同様の角度となる。
【0062】
特に、バイアス電力として、第1及び第2のバイアスRF電力に代えて、矩形波の第1及び第2のバイアス電力を用いる場合、これら第1及び第2の矩形波バイアス電力を独立制御することは有用である。第1の矩形波バイアス電力は、例えば第1のDC電源34aから第1の電極層210を介して基板Wに供給される。第2の矩形波バイアス電力は、例えば第2のDC電源34bから第2の電極層212を介してエッジリング112に供給される。ここで矩形波の場合、第1の矩形波バイアス電力と第2の矩形波バイアス電力は、波形の立ち上がり時間及び立下り時間が短く急峻になる。従って、第1の矩形波バイアス電力の供給タイミングと第2の矩形波バイアス電力の供給タイミングが僅かにずれるだけで、基板Wとエッジリング112で電位差がつきやすい。換言すれば、矩形波の場合、チルト角度を制御するうえで、基板Wの電位とエッジリング112の電位を同期させることは重要である。この点、本実施形態では、第1及び第2の矩形波バイアス電力を独立制御することで、第1及び第2の矩形波バイアス電力の供給タイミングを適切に同期させることができ、チルト角度を適切に制御することができる。
【0063】
なお、第2のバイアスRF電力を独立制御する場合、当該第2のバイアスRF電力を第2の電極層212に供給するための給電ラインは、第1のバイアスRF電力等の給電ラインや基台1110と絶縁される必要がある。そこで上述したように、第2のバイアスRF電力の給電ラインを挿通させる貫通孔220の内側面には、絶縁膜221が形成される。
【0064】
(矩形波バイアス電力によるイオン引き込み制御)
ここで、上述したようにバイアス電力として、第1及び第2の矩形波バイアス電力を用いる場合、矩形波の立ち上がり時間及び立下り時間が急峻であるため、基板Wとエッジリング112に大きなバイアス電圧が印加される状態が長く続く。従って、基板Wに対してイオンが加速して入射するため、エッチングレート等のプラズマ処理レートを向上させる利点がある。
【0065】
さらに、本実施形態では、基板Wと第1の電極層210との間及びエッジリング112と第2の電極層212との間の静電容量の影響がないため、第1及び第2の矩形波バイアス電力を理想的な状態で基板W及びエッジリング112に供給することができる。従来は、上述したように基板とバイアス電極間の静電容量を大きくする改善が行われてきた。これは、基板とプラズマとの間の電位差が減少することによるエッチングレートの低下を抑制するためである。従来の構成では、バイアス電極は静電チャック内に設けられるため、基板とバイアス電極との間に静電容量が発生する。静電容量が小さい場合は、基板にイオンが引き込まれることで、基板とプラズマとの間の電位差の減少が急速に進み、エッチングレートが急速に低下する。そこで、静電容量を大きくすることで、基板とプラズマとの間の電位差が減少する時間をより長くすることで、エッチングレートの低下を抑制する改善が行われてきた。一方、本実施形態では、第1の電極層210は基板載置面111aに形成され、第2の電極層212はエッジリング載置面111bに形成されるため、基板Wと第1の電極層210との間及びエッジリング112と第2の電極層212との間の静電容量の影響がない。従って、第1及び第2の矩形波バイアス電力を理想的な状態で基板W及びエッジリング112に供給することができ、エッチングレート等のプラズマ処理レートを向上させる利点がある。
【0066】
<直接給電に伴う吸着力低下対策>
例えば、従来のクーロン型の静電チャックでは、次のように基板を吸着する。先ず、静電チャック内の吸着電極に印加された電圧によって、静電チャックの誘電体部が分極する。例えば、吸着電極をプラスの電位に制御すると、静電チャックにおいて吸着電極側にマイナスの電荷が偏り、表面側(基板側)にプラスの電荷が偏る。次に、このように偏った電荷に引き寄せられて、プラズマから基板に電子が供給され、基板がマイナスに帯電する。そうすると、静電チャックの表面(プラスの電荷)と基板の裏面(マイナスの電荷)間の電位差でクーロン力が作用して、基板が静電チャックに吸着される。
【0067】
この点、本実施形態のように静電チャック1111の基板載置面111aに第1の電極層210を形成すると、基板載置面111aと第1の電極層210間で電荷のペアが形成され、基板載置面111aと基板W間に電位差がなくなる。そうするとクーロン力が作用せず、第1の電極層210上の吸着力が低下する。同様の理由で、静電チャック1111のエッジリング載置面111bに第2の電極層212を形成すると、第2の電極層212上の吸着力が低下する。
【0068】
(第1及び第2の電極層の配置調整)
この吸着力の低下を抑制するため、第1の電極層210は基板載置面111aの全面に設けないのが好ましい。詳細には第1の電極層210は、平面視において、第1の吸着電極層211と重なり合わない領域を有するのが好ましい。かかる場合、上記領域では、第1の吸着電極層211に供給された第2の吸着電力によってクーロン力を作用させ、基板Wを基板載置面111aに適切に吸着保持することができる。
【0069】
また、吸着力の低下を抑制する観点から、基板Wに接触する第1の電極層210の周囲は、基板Wの裏面と基板載置面111aが接触するのが好ましい。例えば
図5に示すように、基板載置面111aのシールバンド200の上面に第1の電極層210が設けられる場合、第1の電極層210は、側面視において、シールバンド200の上面中央に設けられる。そうすると、シールバンド200の上面において第1の電極層210の内周側と外周側には、すなわち第1の電極層210が設けられていない領域にはクーロン力が作用する。
【0070】
具体的には、先ず、第1の吸着電極層211に第2の吸着電力を供給すると、シールバンド200において静電チャック1111の誘電体部の第1の吸着電極層211側にマイナスの電荷が偏り、静電チャック1111の誘電体部の上面側(基板W側)にプラスの電荷が偏る。次に、このように偏った電荷に引き寄せられて、プラズマから基板Wに電子が供給され、基板Wがマイナスに帯電する。そうすると、シールバンド200の上面(プラスの電荷)と基板Wの裏面(マイナスの電荷)間の電位差でクーロン力が作用して、基板Wがシールバンド200に吸着される。かかる場合、シールバンド200の上面において、第1の電極層210と基板Wが接触し、確実な電気的接点を確保することができ、さらに第1の伝熱空間202のシール性を確保することができる。
【0071】
同様に、第2の電極層212上の吸着力の低下を抑制するため、第2の電極層212はエッジリング載置面111bの全面に設けないのが好ましい。詳細には第2の電極層212は、平面視において、第2の吸着電極層213と重なり合わない領域を有するのが好ましい。かかる場合、上記領域では、第2の吸着電極層213に供給された第4の吸着電力によってクーロン力を作用させ、エッジリング112をエッジリング載置面111bに適切に吸着保持することができる。
【0072】
また、吸着力の低下を抑制する観点から、エッジリング112に接触する第2の電極層212の周囲は、エッジリング112の裏面とエッジリング載置面111bが接触するのが好ましい。例えば、エッジリング載置面111bのシールバンド203の上面に第2の電極層212が設けられる場合、第2の電極層212は、側面視において、シールバンド203の上面中央に設けられる。かかる場合、シールバンド203の上面において、第2の電極層212とエッジリング112が接触し、確実な電気的接点を確保することができ、さらに第2の伝熱空間204のシール性を確保することができる。
【0073】
なお、静電チャック1111がJR(ジョンセン・ラーベック)型であっても、本実施形態は適用することができる。
【0074】
(吸着電圧上昇と吸着用電源簡易化)
本実施形態では、第1の電極層210には第1の吸着用電源33aが接続され、第1の吸着電極層211には第2の吸着用電源33bが接続される。そうすると、
図6に示すような回路において、第1の吸着用電源33aから第1の電極層210に第1の吸着電力が供給され、接地電位から見て第1の吸着電圧A1が印加される。また、第2の吸着用電源33bから第1の吸着電極層211に第2の吸着電力が供給され、接地電位から見て第2の吸着電圧A2が印加される。例えば、第1の吸着電圧A1が+3kVで、第2の吸着電圧A2が-3kVの場合、基板Wと第1の吸着電極層211に6kV(=|A1|+|A2|)の電圧を生じさせることができる。従って、第1の吸着用電源33aと第2の吸着用電源33bの簡易的な電源2台を用いることで、基板Wの吸着力を大きくすることができる。また、このように吸着力が大きくできるので、第1の伝熱空間202からの伝熱ガスのリークを低減することができ、さらに伝熱ガスの圧力上昇によって基板Wの温度を低減させ、基板Wの温度の面内均一性を向上させることが可能となる。
【0075】
同様に、第2の電極層212には第3の吸着用電源33cが接続され、第2の吸着電極層213には第4の吸着用電源33dが接続される。かかる場合、第3の吸着用電源33cから第2の電極層212に第3の吸着電力が供給され、接地電位から見て第3の吸着電圧A3が印加される。また、第4の吸着用電源33dから第2の吸着電極層213に第4の吸着電力が供給され、接地電位から見て第4の吸着電圧A4が印加される。そうすると、エッジリング112と第2の吸着電極層213に|A3|と|A4|を足し合わせた電圧を生じさせることができる。従って、第3の吸着用電源33cと第4の吸着用電源33dの簡易的な電源2台を用いることで、エッジリング112の吸着力を大きくすることができる。
【0076】
なお、本実施形態では、第1の電極層210には第1のバイアスRF電源32aと第1の吸着用電源33aが接続され、プロセス処理時において第1のバイアスRF電力と第1の吸着電力が重畳して供給される。第2の電極層212には第2のバイアスRF電源32b及び第3の吸着用電源33cが接続され、第2のバイアスRF電力と第3の吸着電力が重畳して供給される。
【0077】
<異常放電対策>
プラズマ処理装置では、プラズマ処理の生産性向上を目的として、高電力対応の向上が求められている。例えば、バイアスRF電力等のバイアス電力が高電力化される。また、上述した第1及び第2の電極層210、212の形成に伴う吸着力低下対策として、吸着電力を高電力化することも考えられる。このような高電力条件のプロセス下では、静電チャック1111の第1の伝熱ガス供給孔230a、第1のピン挿通孔231a、第2の伝熱ガス供給孔233a及び第2のピン挿通孔234a等の貫通孔において、異常放電が生じることが懸念される。
【0078】
(第1及び第2の導電膜の形成)
本実施形態では、第1の伝熱ガス供給孔230aの内側面と第1のピン挿通孔231aの内側面には、第1の電極層210と導通する第1の導電膜232が形成される。これら第1の電極層210と第1の導電膜232によって、基板W、基板載置面111a、第1の伝熱ガス供給孔230a及び第1のピン挿通孔231aが同電位となる。このため、上述した異常放電を抑制することができ、その結果、高電力化を向上させることができる。
【0079】
同様に、第2の伝熱ガス供給孔233a、233bの内側面と第2のピン挿通孔234a、234bの内側面には、第2の電極層212と導通する第2の導電膜236が形成される。これら第2の電極層212と第2の導電膜236によって、エッジリング112、エッジリング載置面111b、第2の伝熱ガス供給孔233a、233b及び第2のピン挿通孔234a、234bが同電位となる。このため、上述した異常放電を抑制することができ、その結果、高電力化を向上させることができる。
【0080】
(基台と第1の導電膜の短絡)
本実施形態では、基台1110は導電性部材を含み、上述したように第1の伝熱ガス供給孔230aの内側面と第1のピン挿通孔231aの内側面に第1の導電膜232を形成する。そうすると、第1の導電膜232と基台1110間が短絡されていない場合は、第1の導電膜232と基台1110間の電位差により、基板Wの裏面や第1の伝熱ガス供給孔230a、230b及び第1のピン挿通孔231a、231b等の貫通孔において、異常放電が生じることが懸念される。
【0081】
この点、本実施形態では、第1の導電膜232は、基台1110と短絡し電気的に接続される。そうすると、これら第1の導電膜232と基台1110が同電位となり、上述した異常放電を抑制することができる。
【0082】
なお、かかる場合、プロセス処理時においてソースRF電力は、基台1110、第1の導電膜232及び第1の電極層210を介して基板Wに直接供給される。すなわち、第1の電極層210には、第1のバイアスRF電力、第1の吸着電力及びソースRF電力が重畳して供給される。
【0083】
(基台の絶縁材料形成)
他の実施形態として、例えば基台1110がアルミナセラミックスや炭化ケイ素等の絶縁材料で形成される場合、上述した貫通孔220の下端(出口)と基台1110間の異常放電を抑制することができる。なお、上記実施形態における絶縁膜221は省略される。
【0084】
基台1110が絶縁材料で形成される場合、
図7及び
図8に示すように第1の導電膜232は、第1の伝熱ガス供給孔230a及び第1の伝熱ガス供給孔230bの内側面において、第1の伝熱ガス供給孔230aの上端から第1の伝熱ガス供給孔230bの下端まで形成される。また、第1の導電膜232は、第1のピン挿通孔231a及び第1のピン挿通孔231bの内側面において、第1のピン挿通孔231aの上端から第1のピン挿通孔231bの下端まで形成される。
【0085】
なお、上記実施形態と同様に、第2の導電膜236は、第2の伝熱ガス供給孔233a及び第2の伝熱ガス供給孔233bの内側面において、第2の伝熱ガス供給孔233aの上端から第2の伝熱ガス供給孔233bの下端まで形成される。また、第2の導電膜236は、第2のピン挿通孔234a及び第2のピン挿通孔234bの内側面において、第2のピン挿通孔234aの上端から第2のピン挿通孔234bの下端まで形成される。なお、上記実施形態における絶縁膜235は省略される。
【0086】
基台1110が絶縁材料で形成される場合、基台1110は下部電極として機能しないため、ソースRF電力は例えば次の方法で供給される。例えば
図7に示すように、ソースRF電源31は、第1の電極層210及び第2の電極層212に電気的に接続されてもよい。そしてソースRF電力は、第1の電極層210及び第2の電極層212に供給される。なお、本例において、ソースRF電源31は、第1の電極層210に接続される第1のソースRF電源と、第2の電極層212に接続されるソースRF電源を備えていてもよい。
【0087】
また、例えば
図8に示すように、基台1110と静電チャック1111間に導電性接合層240を設けてもよい。ソースRF電源31は導電性接合層240に電気的に接続され、ソースRF電力は導電性接合層240に供給される。
【0088】
(基板バイアス端子の廃止)
従来、静電チャックの基板載置面には、基板にバイアスRF電力等のバイアス電力を供給するための端子(以下、「基板バイアス端子」という)が設けられる。この基板バイアス端子を設けるためには、静電チャックに空間を形成し、当該空間の内側面に接着剤を介してガラス等の絶縁膜を形成する必要がある。かかる場合、この空間の空気層によってプロセス処理時の抜熱が悪化し、基板に温度特異点(ホットスポット)が形成されるおそれがある。特に、高電力を使用した高入力プロセスでは、温度特異点が形成されやすい。
【0089】
この点、本実施形態によれば、第1の導電膜232と基台1110は短絡し、第1の電極層210には、プラズマ処理時に第1のバイアスRF電力、第1の吸着電力及びソースRF電力が重畳して供給される。かかる場合、従来の基板バイアス端子が不要となり、省略することができる。従って、上述したプロセス処理時の局所的な抜熱悪化が低減し、基板Wにおける温度特異点の形成を抑制することができる。
【0090】
(エッジリングバイアス端子の廃止)
従来、静電チャックのエッジリング載置面には、エッジリングにバイアスRF電力等のバイアス電力を供給するための端子(以下、「エッジリングバイアス端子」という。)が設けられる。このエッジリングバイアス端子を設けるためには、静電チャックに空間を形成する必要がある。ここで、プロセス処理時において、静電チャックは加熱及び冷却され、径方向に膨張及び収縮する。静電チャックの誘電体材料(例えばセラミック)と基台の導電性材料(例えばアルミニウム)では線膨張係数の差が大きいため、プロセス処理時に静電チャックと基台で線膨張差が大きくなる。また、エッジリングバイアス端子は静電チャックの径方向において外周側に設けられるため、この線膨張差の影響が大きくなる。そうすると、エッジリングバイアス端子と静電チャックとの干渉を回避するため、例えばエッジリングバイアス端子に可撓性を持たせて、当該エッジリングバイアス端子を設ける空間を大きくする必要がある。かかる場合、この空間の空気層によってプロセス処理時の抜熱が悪化し、基板に温度特異点(ホットスポット)が形成されるおそれがある。特に、高電力を使用した高入力プロセスでは、温度特異点が形成されやすい。
【0091】
本実施形態のように、基台1110が導電性部材を含む場合、
図9及び
図10に示すように基台1110の外側面には絶縁膜250が形成されてもよい。絶縁膜250は、例えば溶射によって形成される。この絶縁膜250によって、基台1110の外側面から静電チャック1111の外側への電力抜けを低減することができ、また基台1110と周囲の部品との異常放電を抑制することができる。
【0092】
上述した温度特異点の対策として、
図9に示すように絶縁膜250の表面に導電膜251を設ける。導電膜251は、第2の電極層212と導通する。また導電膜251は、第2のバイアスRF電源32bに電気的に接続される。そうすると、第2のバイアスRF電源32bからの第2のバイアスRF電力は、導電膜251を介して第2の電極層212に供給される。かかる場合、従来のエッジリングバイアス端子が不要となり、省略することができる。従って、上述したプロセス処理時の局所的な抜熱悪化が低減し、基板Wにおける温度特異点の形成を抑制することができる。
【0093】
また、
図10に示すように導電膜251の表面に絶縁膜252を形成してもよい。絶縁膜252は例えば溶射によって形成される。かかる場合、基台1110と周囲の部品との異常放電を抑制することができる。また、導電膜251が例えば金属で形成される場合、当該導電膜251の消耗によるプラズマ処理チャンバ10内の金属汚染を、絶縁膜252によって抑制することもできる。
【0094】
他の実施形態において、基台1110が絶縁材料で形成される場合、上述した温度特異点の対策として、
図11に示すように基台1110の側面に導電膜253を設ける。導電膜253は、上記導電膜251と同様に、第2の電極層212と導通し、また第2のバイアスRF電源32bに電気的に接続される。そうすると、第2のバイアスRF電源32bからの第2のバイアスRF電力は、導電膜253を介して第2の電極層212に供給される。かかる場合、従来のエッジリングバイアス端子が不要となり、省略することができ、基板Wにおける温度特異点の形成を抑制することができる。
【0095】
また、上記絶縁膜252と同様に、
図12に示すように導電膜253の表面に絶縁膜254を形成してもよい。絶縁膜254は例えば溶射によって形成される。かかる場合、基台1110と周囲の部品との異常放電を抑制することができる。また、導電膜253が例えば金属で形成される場合、当該導電膜253の消耗によるプラズマ処理チャンバ10内の金属汚染を、絶縁膜254によって抑制することもできる。
【0096】
<プラズマ分布偏り低減対策>
基台が導電性部材を含み、基台の下部電極にソースRF電力を供給する場合、当該下部電極に供給されたソースRF電力は静電チャックを通してプラズマ処理空間に抜け出る。例えば、静電チャックにおいてエッジリング載置面が基板載置面より低く、基板側に比べてエッジリング側の誘電体部が薄い、いわゆるハット型の静電チャックの場合、基板側に比べてエッジリング載置面側のインピーダンスが小さくなる。そうすると、エッジリング側からソースRF電力がエッジリング側から多く抜け出て、基板側のソースRF電力と、エッジリング側のソースRF電力にバラツキが生じる。そこで従来、エッジリング載置面の直下にインピーダンス調整用の溶射膜を形成して、エッジリング側からの電力抜けを抑制していた。
【0097】
この点、本実施形態において、上述したようにエッジリング載置面111bに形成された第2の電極層212にソースRF電源31が接続される場合、ソースRF電力は第2の電極層212に直接供給される。このため、従来のようなインピーダンス調整の溶射構造を採用することはできない。そこで、第2の電極層212への給電ラインの内部にインピーダンス調整部を設けるのが好ましい。インピーダンス調整部の一例として、例えば真空バリコンが用いられる。かかる場合、第1の電極層210に供給されるソースRF電力と、第2の電極層212に供給されるソースRF電力のバラツキを抑制することができる。その結果、プラズマ分布の偏りを低減することができる。
【0098】
<イオンシース厚偏り低減対策>
上述したソースRF電力のバラツキ(プラズマ分布の偏り)に対する対策と同様に、バイアスRF電力のバラツキ(イオンシース厚の偏り)に対する対策も必要である。例えば、静電チャック内にバイアス電極が設けられ、バイアス電極にバイアスRF電力を供給する場合、当該バイアス電極に供給されたバイアスRF電力は静電チャックを通してプラズマ処理空間に抜け出る。この際、ハット型の静電チャックの場合、基板側に比べてエッジリング載置面側のインピーダンスが小さくなる。そうすると、エッジリング側からバイアスRF電力がエッジリング側から多く抜け出て、基板側のバイアスRF電力と、エッジリング側のバイアスRF電力にバラツキが生じる。
【0099】
この点、本実施形態では、第2の電極層212にバイアスRF電力が直接供給されるので、従来のようなインピーダンス調整の溶射構造を採用することはできない。そこで、第2の電極層212への給電ラインの内部にインピーダンス調整部を設けるのが好ましい。インピーダンス調整部の一例として、例えば真空バリコンが用いられる。かかる場合、第1の電極層210に供給されるバイアスRF電力と、第2の電極層212に供給されるバイアスRF電力のバラツキを抑制することができる。その結果、イオンシース厚の偏りを低減することができる。
【0100】
<第1及び第2の電極層の具体的配置>
次に、第1の電極層210と第2の電極層212の具体的配置について説明する。
図13は、第1の電極層210と第2の電極層212の配置を示す平面図である。
図14は、
図13における一部(点線部C)を拡大して示す平面図である。
図15は、
図14におけるA-A断面図である。
【0101】
基板載置部1111aの基板載置面111aは、シールバンド200と複数のドット201を備える。エッジリング載置部1111bのエッジリング載置面111bは、シールバンド203を備える。
【0102】
第1の電極層210は、径方向外側から環状の第1の電極層210a、210b、210cが設けられた3重構造を有する。また、第1の電極層210は、第1の電極層210a、210b、210cと導通し、径方向に延伸する複数の第1の電極層210dを有する。なお、
図13に示す例では、第1の電極層210dは4箇所に設けられるが、この第1の電極層210dの数は限定されない。
【0103】
第1の電極層210aは、
図5に示したようにシールバンド200の上面中央に環状に設けられる。このようにシールバンド200の上面中央に設けられることが好ましい理由は上述したとおりである。第1の電極層210aは、基板Wの裏面と接触する。すなわち、第1の電極層210において、基板Wへの給電はこの第1の電極層210aを介して行われる。なお、第1の電極層210aと基板Wとの接触を確実に行うため、第1の電極層210aは、周囲のシールバンド200の上面より突出していてもよい。
【0104】
シールバンド200の径方向内側の第1の伝熱空間202には、複数の第1の伝熱ガス供給孔230aが同一円周上に等間隔で設けられる。第1の電極層210bは、この複数の第1の伝熱ガス供給孔230aと同一円周上に環状に設けられる。また、第1の電極層210bは、各第1の伝熱ガス供給孔230aの内側面に設けられた第1の導電膜232と導通する。
【0105】
複数の第1の伝熱ガス供給孔230aの径方向内側には、複数の第1のピン挿通孔231aが同一円周上に等間隔で設けられる。第1の電極層210cは、この複数の第1のピン挿通孔231aと同一円周上に環状に設けられる。また、第1の電極層210cは、各第1のピン挿通孔231aの内側面に設けられた第1の導電膜232と導通する。
【0106】
ここで、仮にドット201の上面に第1の電極層210を設けた場合、上述したように当該第1の電極層210上では基板Wの吸着力が低下する。そこで本実施形態では、第1の電極層210b、210c、210dは、ドット201の上面には設けない。なお、
図14及び
図15に示した例では、第1の電極層210b、210cはドット201の周囲に設けられたが、ドット201とドット201の間に設けてもよい。
【0107】
第2の電極層212は、環状の第2の電極層212aと、第2の電極層212aと第2の導電膜236を導通させるための第2の電極層212bと有する。
【0108】
第2の電極層212aは、シールバンド203の上面中央に環状に設けられる。このようにシールバンド203の上面中央に設けられることが好ましい理由は上述したとおりである。第2の電極層212aは、エッジリング112の裏面と接触する。すなわち、第2の電極層212において、エッジリング112への給電はこの第2の電極層212aを介して行われる。なお、第2の電極層212aとエッジリング112との接触を確実に行うため、第2の電極層212aは、周囲のシールバンド203の上面より突出していてもよい。
【0109】
シールバンド203の径方向外側の第2の伝熱空間204には、複数の第2の伝熱ガス供給孔233aと複数の第2のピン挿通孔234aが同一円周上に等間隔で設けられる。第2の電極層212bは、第2の電極層212から径方向に延伸し、各第2の伝熱ガス供給孔233aの内側面と第2のピン挿通孔234aの内側面に設けられた第2の導電膜236と導通する。
【0110】
なお、上記実施形態は、第1の電極層210と第2の電極層212の配置の一例であり、これら第1の電極層210と第2の電極層212の配置は任意に設定できる。例えば
図16に示すように、シールバンド200上の第1の電極層210aは分割されていてもよい。また例えば
図17に示すように、シールバンド200上の第1の電極層210aは一点に設けれられていてもよい。但し、基板面内におけるプラズマ処理の均一性を鑑みると、第1の電極層210と第2の電極層212は、対称性をもって配置されるのが好ましい。
【0111】
<吸着シーケンス>
次に、本実施形態における吸着シーケンスの一例について説明する。
図18は、エッジリング112の吸着シーケンスの一例を示す説明図である。
【0112】
(ステップS1:仮吸着)
先ず、ステップS1においてエッジリング112の仮吸着を行う。
図18(a)に示すように仮吸着では、第4の吸着用電源33dから第2の吸着電極層213に第4の吸着電力が供給され、第4の吸着電圧A4、例えば+3kVが印加される。そうすると、静電チャック1111のエッジリング載置部1111bの誘電分極により、当該エッジリング載置部1111bのエッジリング載置面111b側がプラスに帯電する。
【0113】
また、第2の電極層212は接地電位に接続される。そうすると、エッジリング載置部1111bのエッジリング載置面111b側のプラスの電荷に引き寄せられて、プラズマからエッジリング112に電子が供給され、エッジリング112がマイナスに帯電する。そして、エッジリング載置面111b(プラスの電荷)とエッジリング112の裏面(マイナスの電荷)間の電位差でクーロン力が作用して、エッジリング112がエッジリング載置面111bに仮吸着される。
【0114】
なお、エッジリング112を仮吸着する方法は、本実施形態に限定されない。例えば、第2の吸着電極層213に第4の吸着電力を供給し、第4の吸着電圧A4に印加するとともに、第2の電極層212をフローティング電位に接続してもよい。そして、プラズマ処理チャンバ10内をガスで一定圧力に維持すると、ガスを介して、接地電位に接続されたプラズマ処理チャンバ10からエッジリング112に電子が供給される。そうすると、エッジリング載置面111b(プラスの電荷)とエッジリング112の裏面(マイナスの電荷)間の電位差でクーロン力が作用して、エッジリング112がエッジリング載置面111bに仮吸着される。
【0115】
なお、プラズマ処理チャンバ10内を大気雰囲気から真空雰囲気まで真空引きした際にエッジリング112が動くことを抑制するため、大気雰囲気の条件でもエッジリング112を吸着しておく必要がある。このため、本吸着の前に仮吸着を行う。
【0116】
(ステップS2:本吸着)
次に、ステップS2においてエッジリング112の本吸着を行う。上述したように第2の電極層212上ではエッジリング112の吸着力が低下するため、当該エッジリング112の本吸着を行う。
【0117】
図18(b)に示すように本吸着では、第4の吸着用電源33dから第2の吸着電極層213への第4の吸着電力の供給を継続し、第4の吸着電圧A4、例えば+3kVが印加される。また、第3の吸着用電源33cから第2の電極層212に第3の吸着電力が供給され、第3の吸着電圧A3、例えば-3kVが印加される。そうすると、エッジリング112と第2の吸着電極層213に6kV(=|A3|+|A4|)の電圧を生じさせることができる。従って、第3の吸着用電源33cと第4の吸着用電源33dの簡易的な電源2台を用いることで、エッジリング112の吸着力を大きくすることができる。
【0118】
(ステップS3:プラズマ処理)
次に、ステップS3においてプラズマ処理を行う。
図18(c)に示すようにプラズマ処理時には、本吸着が継続される。すなわち、第4の吸着用電源33dから第2の吸着電極層213への第4の吸着電力の供給を継続し、第4の吸着電圧A4、例えば+3kVが印加される。また、第3の吸着用電源33cから第2の電極層212への第3の吸着電力の供給を継続し、第3の吸着電圧A3、例えば-3kVが印加される。
【0119】
さらにプラズマ処理時には、第2のバイアスRF電源32bから第2の電極層212に第2のバイアスRF電力が供給され、第2のバイアスRF電圧B2が印加される。すなわち、第2の電極層212には、第2のバイアスRF電力と第3の吸着電力が重畳して供給される。
【0120】
また、プラズマ生成用のソースRF電力は、ソースRF電源31から基台1110の下部電極に供給されてもよいし、ソースRF電源31から第2の電極層212に供給されてもよい。後者の場合、第2の電極層212には、第2のバイアスRF電力、第3の吸着電力及びソースRF電力が重畳して供給される。
【0121】
なお、基板Wの吸着シーケンスも、上述したエッジリング112の吸着シーケンスと同様である。すなわち、ステップS1の仮吸着では、第2の吸着用電源33bから第1の吸着電極層211に第2の吸着電力が供給され、第2の吸着電圧A2が印加される。また、第1の電極層210は接地電位に接続される。そうすると、基板載置面111a(プラスの電荷)と基板Wの裏面(マイナスの電荷)間の電位差でクーロン力が作用して、基板が基板載置面111aに仮吸着される。
【0122】
次に、ステップS2の本吸着では、第2の吸着用電源33bから第1の吸着電極層211への第2の吸着電力の供給を継続し、第2の吸着電圧A2が印加される。また、第1の吸着用電源33aから第1の電極層210に第1の吸着電力が供給され、第1の吸着電圧A1が印加される。そうすると、基板Wと第1の吸着電極層211に|A1|と|A2|を足し合わせた電圧を生じさせることができる。従って、基板Wの吸着力を大きくすることができる。
【0123】
次に、ステップS3のプラズマ処理では、基板Wの本吸着が継続される。すなわち、第2の吸着用電源33bから第1の吸着電極層211への第2の吸着電力の供給を継続し、第2の吸着電圧A2が印加される。また、第1の吸着用電源33aから第1の電極層210への第1の吸着電力の供給を継続し、第1の吸着電圧A1が印加される。
【0124】
さらにプラズマ処理時には、第1のバイアスRF電源32aから第1の電極層210に第1のバイアスRF電力が供給され、第1のバイアスRF電圧B1が印加される。すなわち、第1の電極層210には、第1のバイアスRF電力と第1の吸着電力が重畳して供給される。
【0125】
また、プラズマ生成用のソースRF電力は、ソースRF電源31から基台1110に供給されてもよいし、ソースRF電源31から第1の電極層210に供給されてもよい。後者の場合、第1の電極層210には、第1のバイアスRF電力、第1の吸着電力及びソースRF電力が重畳して供給される。
【0126】
なお、吸着シーケンスは本実施形態に限定されない。以下、吸着シーケンスの種々の例について説明する。なお、下記第1~第3の例では、比較のために時間軸を合わせて説明する。
【0127】
<吸着シーケンスの第1の例>
図19に示すように第1の例においては、先ず、プラズマ処理チャンバ10内にガスを供給する(時間T1)。
【0128】
次に、第2の吸着用電源33bから第1の吸着電極層211に第2の吸着電力を供給する(時間T2)。時間T2では、ガスを介して、接地電位に接続されたプラズマ処理チャンバ10からエッジリングに電子が供給される。そして、基板載置面111a(プラスの電荷)と基板Wの裏面(マイナスの電荷)間の電位差でクーロン力が作用して、基板Wが基板載置面111aに仮吸着される。この仮吸着では基板Wに供給される電子が少なく、吸着力は小さい。
【0129】
次に、ソースRF電源31から基台1110の下部電極にソースRF電力を供給する(時間T3)。時間T3ではプラズマが生成され、当該プラズマから基板Wに電子が供給される。そして、基板載置面111a(プラスの電荷)と基板Wの裏面(マイナスの電荷)間の電位差でクーロン力が作用して、基板Wが基板載置面111aに本吸着される。この本吸着では基板Wに十分な量の電子が供給され、吸着力は大きい。
【0130】
<吸着シーケンスの第2の例>
図20に示すように第2の例においては、先ず、第2の吸着用電源33bから第1の吸着電極層211に第2の吸着電力を供給する(時間T2)。時間T2では、第1の電極層210は接地電位に接続される。そうすると、接地電位から基板Wに電子が供給され、基板Wがマイナスに帯電する。そして、基板載置面111a(プラスの電荷)と基板Wの裏面(マイナスの電荷)間の電位差でクーロン力が作用して、基板Wが基板載置面111aに本吸着される。なお、この時間T2における基板Wの本吸着は、
図18に示した上記実施形態におけるステップS1の仮吸着と同様である。
【0131】
かかる場合、第1の例と異なり、ガスやソースRF電力に依存することなく基板Wを本吸着することができる。
【0132】
なお、第2の例において、エッジリング112の吸着シーケンスも、基板Wの吸着シーケンスと同様である。
【0133】
<吸着シーケンスの第3の例>
図21に示す第3の例においては、先ず、第2の吸着用電源33bから第1の吸着電極層211に第2の吸着電力を供給する(時間T2)。時間T2では、第1の電極層210は接地電位に接続される。そうすると、第2の例と同様に、基板Wが基板載置面111aに本吸着される。
【0134】
次に、第1の吸着用電源33aから第1の電極層210に第1の吸着電力を供給する(時間T3)。この第1の吸着電力により印加される第1の吸着電圧と、上記第2の吸着電力により印加される第2の吸着電圧は正負逆である。そうすると、基板載置面111a(プラスの電荷)と基板Wの裏面(マイナスの電荷)間の電位差を拡大して、基板Wの吸着力を大きくすることができる。なお、この時間T3における基板Wの吸着は、
図18に示した上記実施形態におけるステップS2の本吸着と同様である。
【0135】
なお、第3の例において、エッジリング112の吸着シーケンスも、基板Wの吸着シーケンスと同様である。
【0136】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。例えば、上記実施形態の構成要件は任意に組み合わせることができる。当該任意の組み合せからは、組み合わせにかかるそれぞれの構成要件についての作用及び効果が当然に得られるとともに、本明細書の記載から当業者には明らかな他の作用及び他の効果が得られる。
【0137】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、又は、上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0138】
なお、以下のような構成例も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
プラズマ処理チャンバと、
前記プラズマ処理チャンバ内に配置される基台と、
前記基台の上面に配置され、基板載置部、及び前記基板載置部に載置された基板を囲むエッジリングを載置するエッジリング載置部を備える静電チャックと、
前記基板載置部に給電する第1の給電部と、前記エッジリング載置部に給電する第2の給電部の少なくともいずれか一方と、
を備え、
前記第1の給電部は、
前記基板載置部の基板載置面に形成される第1の電極層と、
前記基板載置部内において、前記第1の電極層の下方に配置される第1の吸着電極層と、
前記第1の電極層に電気的に接続される第1のバイアス電源と、
を備え、
前記第2の給電部は、
前記エッジリング載置部のエッジリング載置面に形成される第2の電極層と、
前記エッジリング載置部内において、前記第2の電極層の下方に配置される第2の吸着電極層と、
前記第2の電極層に電気的に接続される第2のバイアス電源と、
を備える、プラズマ処理装置。
(2)
前記第1の電極層は、平面視において、前記第1の吸着電極層と重なり合わない領域を有する、前記(1)に記載のプラズマ処理装置。
(3)
前記第2の電極層は、平面視において、前記第2の吸着電極層と重なり合わない領域を有する、前記(1)又は(2)に記載のプラズマ処理装置。
(4)
前記第1の電極層は、前記基板載置面の外周側に形成される、前記(1)~(3)のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
(5)
前記第1の電極層は、側面視において、前記基板載置面のシールバンドの上面中央に形成される、前記(4)に記載のプラズマ処理装置。
(6)
前記第1の給電部は、前記第1の電極層に電気的に接続される第1の吸着用電源を備える、前記(1)~(5)のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
(7)
前記第1の給電部は、前記第1の吸着電極層に電気的に接続される第2の吸着用電源を備える、前記(6)に記載のプラズマ処理装置。
(8)
前記第1の給電部は、前記第1の電極層に電気的に接続される第1のプラズマ生成用電源を備える、前記(1)~(7)のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
(9)
前記第2の給電部は、前記第2の電極層に電気的に接続される第3の吸着用電源を備える、前記(1)~(8)のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
(10)
前記第2の給電部は、前記第2の吸着電極層に電気的に接続される第4の吸着用電源を備える、前記(9)に記載のプラズマ処理装置。
(11)
前記第2の給電部は、前記第2の電極層に電気的に接続される第2のプラズマ生成用電源を備える、前記(1)~(10)のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
(12)
前記基板載置部は、少なくとも1つの第1の貫通孔を備え、
前記第1の貫通孔の内側面には、前記第1の電極層と導通する第1の導電膜が形成される、前記(1)~(11)のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
(13)
前記基台は、導電性材料で形成され、
前記基台と前記第1の導電膜は電気的に接続される、前記(12)に記載のプラズマ処理装置。
(14)
前記エッジリング載置部は、少なくとも1つの第2の貫通孔を備え、
前記第2の貫通孔の内側面には、前記第2の電極層と導通する第2の導電膜が形成される、前記(1)~(13)のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
(15)
基板載置部、及び前記基板載置部に載置された基板を囲むエッジリングを載置するエッジリング載置部を備える誘電体部と、
前記基板載置部に設けられた第1の電極部と、前記エッジリング載置部に設けられた第2の電極部の少なくともいずれか一方と、
を備え、
前記第1の電極部は、
前記基板載置部の基板載置面に形成される第1のバイアス電極層と、
前記基板載置部内において、前記第1のバイアス電極層の下方に配置される第1の吸着電極層と、
を備え、
前記第2の電極部は、
前記エッジリング載置部のエッジリング載置面に形成される第2のバイアス電極層と、
前記エッジリング載置部内において、前記第2のバイアス電極層の下方に配置される第2の吸着電極層と、
を備える、静電チャック。
(16)
前記第1のバイアス電極層は、平面視において、前記第1の吸着電極層と重なり合わない領域を有する、前記(15)に記載の静電チャック。
(17)
前記第2のバイアス電極層は、平面視において、前記第2の吸着電極層と重なり合わない領域を有する、前記(15)又は(16)に記載の静電チャック。
(18)
前記第1のバイアス電極層は、前記基板載置面の外周側に形成される、前記(15)~(17)のいずれかに記載の静電チャック。
(19)
前記第1のバイアス電極層は、側面視において、前記基板載置面のシールバンドの上面中央に形成される、前記(18)に記載の静電チャック。
(20)
前記基板載置部は、少なくとも1つの第1の貫通孔を備え、
前記第1の貫通孔の内側面には、前記第1のバイアス電極層と導通する第1の導電膜が形成される、前記(15)~(19)のいずれかに記載の静電チャック。
(21)
前記エッジリング載置部は、少なくとも1つの第2の貫通孔を備え、
前記第2の貫通孔の内側面には、前記第2のバイアス電極層と導通する第2の導電膜が形成される、前記(15)~(20)のいずれかに記載の静電チャック。
(22)
プラズマ処理装置を用いたプラズマ処理方法であって、
前記プラズマ処理装置は、
プラズマ処理チャンバと、
前記プラズマ処理チャンバ内に配置される基台と、
前記基台の上面に配置され、基板載置部、及び前記基板載置部に載置された基板を囲むエッジリングを載置するエッジリング載置部を備える静電チャックと、
前記基板載置部の基板載置面に形成される電極層と、
前記基板載置部内において、前記電極層の下方に配置される吸着電極層と、
前記電極層に電気的に接続されるバイアス電源と、
前記電極層に電気的に接続される第1の吸着用電源と、
前記吸着電極層に電気的に接続される第2の吸着用電源と、
を備え、
前記プラズマ処理方法は、
前記第2の吸着用電源から前記吸着電極層に第2の吸着電力を供給して、基板を前記基板載置部に仮吸着する工程と、
前記第1の吸着用電源から前記電極層に第1の吸着電力を供給するとともに、前記第2の吸着用電源から前記吸着電極層に前記第2の吸着電力を供給して、基板を前記基板載置部に本吸着する工程と、
前記バイアス電源から前記電極層にバイアス電力を供給して、基板にプラズマ処理を行う工程と、
を含む、プラズマ処理方法。
【符号の説明】
【0139】
1 プラズマ処理装置
10 プラズマ処理チャンバ
112 エッジリング
1110 基台
1111 静電チャック
1111a 基板載置部
1111b エッジリング載置部
210 第1の電極層
211 第1の吸着電極層
212 第2の電極層
213 第2の吸着電極層
32a 第1のバイアスRF電源
32b 第2のバイアスRF電源
W 基板