(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-11-10
(45)【発行日】2025-11-18
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20251111BHJP
H04N 25/53 20230101ALI20251111BHJP
【FI】
H04N23/60 500
H04N25/53
(21)【出願番号】P 2023506711
(86)(22)【出願日】2021-08-05
(86)【国際出願番号】 JP2021029167
(87)【国際公開番号】W WO2022195909
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2024-06-25
(31)【優先権主張番号】P 2021041617
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】芝池 優子
【審査官】櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-097033(JP,A)
【文献】特開2008-301286(JP,A)
【文献】特開2012-010105(JP,A)
【文献】特開2020-141346(JP,A)
【文献】特開2006-345317(JP,A)
【文献】特開2005-204185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222-5/257、
23/00、23/40-23/76、
23/90-23/959
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが1フレームの画像を構成する複数のRAW画像データを合成して合成RAW画像データを生成する合成処理部を備え
、
前記合成処理部で合成する複数のRAW画像データは、1枚の撮像素子により非露光期間を介して時間的に連続して撮像され、互いの露光期間が時間的に連続する状態とする処理が施された複数のRAW画像データである
画像処理装置。
【請求項2】
前記合成処理部で合成する複数のRAW画像データは、
前記撮像素子における露光期間における露光量に対して、前記撮像素子における非露光期間に相当する露光量を追加する追加処理を行うことで、
互いの露光期間が時間的に連続する状態とされたものである
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記合成処理部により生成された合成RAW画像データに対する現像処理を行って所定形式の画像データを生成する現像処理部をさらに備えた
請求項1
又は請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記合成処理部は、合成処理により撮像時のシャッタースピードより遅いシャッタースピードで撮像した画像に相当する合成RAW画像データを生成する
請求項1
又は請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記合成処理部で合成する複数のRAW画像データは、一定のシャッタースピードで時間的に連続する複数フレームのRAW画像データである
請求項1
又は請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記合成処理部は、
シャッタースピードの指定に基づいて、時間的に連続する複数のRAW画像データから、合成処理の対象とする合成対象RAW画像データを選択する
請求項1
又は請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記合成処理部は、
枚数の指定に基づいて、時間的に連続する複数のRAW画像データから合成処理の対象とする合成対象RAW画像データを選択する
請求項1
又は請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記RAW画像データは、撮像素子の色配列と同じ色配列を有する画像データである
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記RAW画像データは、撮像素子から読み出される画素値を輝度値とクロマ値の形式にした画像データであって、色再現/シャープネス処理が施されていない画像データである
請求項1
又は請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項10】
それぞれが1フレームの画像を構成する複数のRAW画像データを合成して合成RAW画像データを生成する合成処理
を画像処理装置が実行する画像処理方法であり、
前記合成処理で合成する複数のRAW画像データは、1枚の撮像素子により非露光期間を介して時間的に連続して撮像され、互いの露光期間が時間的に連続する状態とする処理が施された複数のRAW画像データである
画像処理方法。
【請求項11】
それぞれが1フレームの画像を構成する複数のRAW画像データを合成して合成RAW画像データを生成する合成処理を
情報処理装置に実行させるプログラムであり、
前記合成処理で合成する複数のRAW画像データは、1枚の撮像素子により非露光期間を介して時間的に連続して撮像され、互いの露光期間が時間的に連続する状態とする処理が施された複数のRAW画像データである
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は画像処理装置、画像処理方法、プログラムに関し、画像の合成処理の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置などで画作りを行う前の画像はRAW画像と呼ばれることがある。そして撮影結果の画像としてRAW画像を記録することは一般に行われている。RAW画像を記録すると、撮像後に色再現などの処理における自由度が高まるという利点があるためである。
【0003】
下記特許文献1では、熟練を必要とせずに、長時間露光を利用した先幕シンクロ/後幕シンクロ/マルチ発光などの画像効果を容易に実現できるようにする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで一般に、カメラマンは撮像装置で撮像を行う際にシャッタースピードを設定する。シャッタースピードが自動設定される撮像装置もある。いずれにしても、撮像実行時にシャッタースピードは設定されていることになる。
そのため、例えRAW画像データを記録していても、撮像後にシャッタースピードの調整をすることはできない。このため、撮像前のシャッタースピード設定が適切でなかったなどとして撮影に失敗することもありえる。
またRAW画像データについては現像処理を行って画作りをした所定形式の画像データを生成するが、特許文献1のように現像後の画像データを合成する場合に、必ずしも合成画像に適した現像処理が行われるとは限らない。
【0006】
本開示では、これらの点に注目し、よりRAW画像を有効に利用する技術を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術に係る画像処理装置は、それぞれが1フレームの画像を構成する複数のRAW画像データを合成して合成RAW画像データを生成する合成処理部を備える。前記合成処理部で合成する複数のRAW画像データは、1枚の撮像素子により非露光期間を介して時間的に連続して撮像され、互いの露光期間が時間的に連続する状態とする処理が施された複数のRAW画像データである。
撮像により得られる一群のRAW画像データを合成する。即ち現像処理前の段階で合成する。
【0008】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記合成処理部により生成された合成RAW画像データに対する現像処理を行って所定形式の画像データを生成する現像処理部をさらに備えることが考えられる。
つまりRAW画像データを合成した後に、その合成RAW画像データについて現像処理を行うようにする。
【0009】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記合成処理部は、合成処理により撮像時のシャッタースピードより遅いシャッタースピードで撮像した画像に相当する合成RAW画像データを生成することが考えられる。
複数のRAW画像データを合成することで、個々のRAW画像の撮像時のシャッタースピードよりも長い露光期間のシャッタースピードの画像が得られるようにする。
【0010】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記合成処理部で合成する複数のRAW画像データは、時間的に連続する複数フレームのRAW画像データであることが考えられる。
例えば連写撮像や動画撮像により得られる、時間的に連続した撮像で得られた複数のフレームのRAW画像データを合成対象とする。
【0011】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記合成処理部で合成する複数のRAW画像データは、一定のシャッタースピードで時間的に連続する複数フレームのRAW画像データであることが考えられる。
例えば一定のシャッタースピードで連写撮像や動画撮像により得られる、時間的に連続した撮像で得られた複数のフレームのRAW画像データを合成対象とする。
【0012】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記合成処理部で合成する複数のRAW画像データは、時間的に隣接するRAW画像データで、互いの露光期間が時間的に連続する状態とされた複数のRAW画像データであることが考えられる。
例えば時間的に連続するRAW画像データは、非露光期間が存在しないような一連のRAW画像データとする。
【0013】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記合成処理部で合成する複数のRAW画像データは、前記撮像素子における露光期間における露光量に対して、前記撮像素子における非露光期間に相当する露光量を追加する追加処理を行うことで、互いの露光期間が時間的に連続する状態とされたものであることが考えられる。
撮像素子(イメージセンサ)による撮像動作では、例えば露光期間と読出期間が時分割で行われるため、読出期間は露光が途切れた非露光期間となる。このような非露光期間に露光量(露光により蓄積される電荷量)に相当する補間を行う。
【0014】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記合成処理部で合成する複数のRAW画像データは、複数の撮像素子から交互に順次読み出されることで、露光期間が時間的に連続する状態とされたものであることが考えられる。
複数の撮像素子を用いることで、一方の読出期間に、他方で露光を行うということができる。
【0015】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記合成処理部は、シャッタースピードの指定に基づいて、時間的に連続する複数のRAW画像データから、合成処理の対象とする合成対象RAW画像データを選択することが考えられる。
例えば合成処理を行う際に、ユーザがシャッタースピードを指定できるようにする。
【0016】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記合成処理部は、枚数の指定に基づいて、時間的に連続する複数のRAW画像データから合成処理の対象とする合成対象RAW画像データを選択することが考えられる。
例えば合成処理を行う際に、ユーザが画像の枚数を指定できるようにする。
【0017】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記RAW画像データは、撮像素子の色配列と同じ色配列を有する画像データであることが考えられる。
【0018】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記RAW画像データは、撮像素子から読み出される画素値を輝度値とクロマ値の形式にした画像データであって、色再現/シャープネス処理が施されていない画像データであることが考えられる。
いわゆるYC-RAWと呼ばれる画像データである。
【0019】
本技術に係る画像処理方法は、画像処理装置が、それぞれが1フレームの画像を構成する複数のRAW画像データを合成して合成RAW画像データを生成する合成処理を実行する画像処理方法である。前記合成処理で合成する複数のRAW画像データは、1枚の撮像素子により非露光期間を介して時間的に連続して撮像され、互いの露光期間が時間的に連続する状態とする処理が施された複数のRAW画像データである。これによりRAW画像データを有効に用いる。
本技術に係るプログラムは、この画像処理を情報処理装置に実行させるプログラムである。これにより上記の画像処理装置を容易に実現できるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本技術の実施の形態の合成処理の説明図である。
【
図3】実施の形態の情報処理装置のブロック図である。
【
図4】RAW画像データと現像処理の説明図である。
【
図5】実施の形態及び比較例の合成処理と現像処理の説明図である。
【
図6】実施の形態の撮像時の処理のフローチャートである。
【
図7】実施の形態の合成処理及び現像処理を含むフローチャートである。
【
図8】実施の形態で露光期間を連続させる追加処理の説明図である。
【
図9】実施の形態で露光期間が連続したRAW画像データの撮像の説明図である。
【
図10】YC-RAW画像データと現像処理の説明図である。
【
図11】実施の形態の合成処理と現像処理の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施の形態を次の順序で説明する。
<1.概要>
<2.撮像装置の構成>
<3.情報処理装置の構成>
<4.RAW画像データの合成処理と現像処理>
<5.YC-RAW画像データの合成処理と現像処理>
<6.まとめ及び変形例>
【0022】
なお本開示では、撮像装置などで現像処理の一部又は全部を行う前の画像をRAW画像と呼ぶ。またRAW画像としての1枚(1フレーム)の画像を構成する画像データをRAW画像データと呼ぶ。
具体的にRAW画像データと呼ばれる画像データは各種存在するが、本実施の形態では撮像素子(イメージセンサ)の色配列と同じ色配列を有する画像データをRAW画像データの例とする。なお同じ欠陥補正がされることで撮像素子の色配列と同じ色配列を有することになった画像データもRAW画像データに含まれる。
このRAW画像データは、例えばイメージセンサにおいてR(赤)、G(緑)、B(青)の画素信号を出力する場合は、R、G、B形式の画像データとなる。なお、RAW画像データとしては、R、G、BだけでなくW(ホワイト)の画素値を含んだ画像データもある。さらにベイヤー配列のイメージセンサの場合、G1(緑1),G2(緑2),R(赤),B(青)の各画素値を含んだ画像データがRAW画像データとなる。また、G1,G2,R,Bの各画素値を4つの別のチャンネルとしてそれぞれを纏めるような画像データ形式もある。例えばG1,G2,R,Bのそれぞれだけで1フレームを構成し、その後、各チャンネルを圧縮したような画像データである。つまりG1画像データ,G2画像データ,R画像データ,B画像データなどとしての画像データである。これもRAW画像データの例に含まれる。
【0023】
また、撮像素子から読み出される画像データを、輝度値とクロマ値の形式にした画像データであって、色再現/シャープネス処理が施されていない画像データもRAW画像データと呼ばれることがある。これも本開示でいうRAW画像データの一種であるが、説明上の区別のため、「YC-RAW画像データ」と呼ぶこととする。
【0024】
<1.概要>
実施の形態の画像処理装置は、撮像装置(カメラ)や画像編集等を行う情報処理装置において画像処理部として搭載されることが想定される。また、これらの画像処理部を搭載した撮像装置や情報処理装置自体を、画像処理装置と考えることもできる。
【0025】
そのような画像処理装置は、複数のRAW画像データを合成して、合成RAW画像データを生成する処理を行う。
図1には、RAW画像データR#1からRAW画像データR#nまでの複数のRAW画像データを合成して1枚の合成RAW画像データを生成することを模式的に示している。本実施の形態における合成処理としては、複数の画像データを、互いのフレームの位置を合わせて重畳させるような合成処理や、複数の画像データにおいて特定被写体の位置を互いに合わせて重畳させるような合成処理が考えられる。
【0026】
この場合に、合成処理の対象とする複数のRAW画像データ(R#1からR#n)は、連続して撮像され、時間的に連続したフレームとしての関係を持つ一群のRAW画像データであることが一例として考えられる。
但し、全く時間的には無関係な複数のRAW画像データを合成することも想定される。さらに被写体として特に相関関係がない画像である複数のRAW画像データを合成することも想定される。
【0027】
また複数のRAW画像データからは、1枚の合成RAW画像データが生成されてもよいし、複数のRAW画像データより少ない枚数の複数の合成RAW画像データが生成されてもよい。
例えば時間的に連続する10枚のRAW画像データが存在したとしたときに、10枚全部を合成したRAW画像データや、7枚を合成したRAW画像データなど、合成するRAW画像データを選択的に用いる例も考えられる。
【0028】
また合成RAW画像データに対して現像処理が行われる。これにより例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)画像データなど、所定形式の画像データが得られるようにする。もちろん所定形式の画像データとしてはJPEG形式の画像データに限定されない。例えばHEIF(High Efficiency Image File Format)、YUV422、YUV420などでもよい。
【0029】
以下の実施の形態の説明では、主に、時間的に連続した複数のRAW画像データを合成して合成RAW画像データを生成する例を述べていく。
例えば連続的に記録された複数枚のRAW画像データを合成し、1枚の合成RAW画像データを生成する。これにより長秒露光効果と同等の効果を得る。また合成するRAW画像データの枚数の設定により、各RAW画像データの撮像時のシャッタースピードより遅い任意のシャッタースピードで合成RAW画像データが作成できるものとする。
また合成処理で得られる合成RAW画像データに対しては、通常の現像処理と同様に、レンズ補正、NR(ノイズリダクション)、デモザイク、色再現、シャープネス処理等を加える。
【0030】
<2.撮像装置の構成>
図2で撮像装置1の構成例を説明する。
この撮像装置1は、RAW画像データの合成処理を行う画像処理部20を備えており、この画像処理部20、又は画像処理部20を備えた撮像装置1が、本開示の画像処理装置の例として考えることができる。
【0031】
撮像装置1は、例えばレンズ系11、撮像素子部12、記録制御部14、表示部15、通信部16、操作部17、カメラ制御部18、メモリ部19、画像処理部20、バッファメモリ21、ドライバ部22、センサ部23を有する。
【0032】
レンズ系11は、ズームレンズ、フォーカスレンズ等のレンズや絞り機構などを備える。このレンズ系11により、被写体からの光(入射光)が導かれ撮像素子部12に集光される。
【0033】
撮像素子部12は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型やCCD(Charge Coupled Device)型などのイメージセンサ12a(撮像素子)を有して構成される。
この撮像素子部12では、イメージセンサ12aで受光した光を光電変換して得た電気信号について、例えばCDS(Correlated Double Sampling)処理、AGC(Automatic Gain Control)処理などを実行し、さらにA/D(Analog/Digital)変換処理を行う。そしてデジタルデータとしての撮像信号を、後段の画像処理部20やカメラ制御部18に出力する。
【0034】
画像処理部20は、例えばDSP(Digital Signal Processor)等により画像処理プロセッサとして構成される。
この画像処理部20は、撮像素子部12からのデジタル信号(撮像画像信号)、即ちRAW画像データに対して、各種の信号処理を施す。
なお、RAW画像データとは、例えば上述のYC-RAW画像データのように、撮像素子部12からのデジタル信号について一部の処理を施した画像データを指す場合もある。またYC-RAW画像データの形式に至らなくとも、例えば前処理として、撮像素子部12からの撮像画像信号に対して、R,G,Bの黒レベルを所定のレベルにクランプするクランプ処理や、R,G,Bの色チャンネル間の補正処理等を行った段階のものをRAW画像データと呼ぶ場合もある。
またレンズ補正やノイズリダクションを行った段階の画像データも含めてRAW画像データと呼ぶ場合もある。
【0035】
本実施の形態の場合、画像処理部20は合成処理部31と現像処理部32としての信号処理機能を備える。
合成処理部31は後述のように、それぞれが1フレームの画像を構成する複数のRAW画像データを合成して合成RAW画像データを生成する合成処理を行う。
現像処理部32は、RAW画像データや、合成処理部31により生成された合成RAW画像データに対する現像処理を行って所定形式の画像データを生成する現像処理を行う。例えば現像処理部32は、レンズ補正、ノイズリダクション、同時化処理、YC生成処理、色再現/シャープネス処理等を行う。
【0036】
同時化処理では、各画素についての画像データが、R,G,B全ての色成分を有するようにする色分離処理を施す。例えば、ベイヤー配列のカラーフィルタを用いた撮像素子の場合は、色分離処理としてデモザイク処理が行われる。
YC生成処理では、R,G,Bの画像データから、輝度(Y)信号および色(C)信号を生成(分離)する。
色再現/シャープネス処理では、いわゆる画作りとしての、階調、彩度、トーン、コントラストなどを調整する処理を行う。
【0037】
これらの現像処理部32の処理が広義の現像処理であるが、特に色再現/シャープネス処理を狭義の現像処理と呼ぶ。狭義の現像処理を施した画像データは、元のRAW画像データの情報の一部が失われるため、その後の画像編集の自由度は狭くなる。
また狭義の現像処理を施していない段階の画像データは、本開示でいうRAW画像データ、YC-RAW画像データの範疇といえる。
【0038】
画像処理部20は、このように現像処理部32による広義の現像処理を行って、所定形式の画像データを生成する。
この場合に解像度変換や、ファイル形成処理を行ってもよい。ファイル形成処理では、画像データについて、例えば記録用や通信用の圧縮符号化、フォーマティング、メタデータの生成や付加などを行って記録用や通信用のファイル生成を行う。
例えば静止画ファイルとしてJPEG、TIFF(Tagged Image File Format)、GIF(Graphics Interchange Format)、HEIF、YUV422、YUV420等の形式の画像ファイルの生成を行う。またMPEG-4準拠の動画・音声の記録に用いられているMP4フォーマットなどとしての画像ファイルの生成を行うことも考えられる。
なお現像処理を施していないRAW画像データの画像ファイルを生成する場合もある。
【0039】
バッファメモリ21は、例えばD-RAM(Dynamic Random Access Memory)により形成される。このバッファメモリ21は、画像処理部20において上記の合成処理や現像処理の過程で、画像データの一時的な記憶に用いられる。
【0040】
記録制御部14は、例えば不揮発性メモリによる記録媒体に対して記録再生を行う。記録制御部14は例えば記録媒体に対し動画データや静止画データ等の画像ファイルを記録する処理を行う。
記録制御部14の実際の形態は多様に考えられる。例えば記録制御部14は、撮像装置1に内蔵されるフラッシュメモリとその書込/読出回路として構成されてもよい。また記録制御部14は、撮像装置1に着脱できる記録媒体、例えばメモリカード(可搬型のフラッシュメモリ等)に対して記録再生アクセスを行うカード記録再生部による形態でもよい。また記録制御部14は、撮像装置1に内蔵されている形態としてHDD(Hard Disk Drive)などとして実現されることもある。
【0041】
表示部15はユーザに対して各種表示を行う表示部であり、例えば撮像装置1の筐体に配置される液晶パネル(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイデバイスによる表示パネルやビューファインダーとされる。
表示部15は、カメラ制御部18の指示に基づいて表示画面上に各種表示を実行させる。
例えば表示部15は、記録制御部14において記録媒体から読み出された画像データの再生画像を表示させる。
また表示部15には画像処理部20で表示用に解像度変換された撮像画像の画像データが供給され、表示部15はカメラ制御部18の指示に応じて、当該撮像画像の画像データに基づいて表示を行う場合がある。これにより構図確認中や動画記録中などの撮像画像である、いわゆるスルー画(被写体のモニタリング画像)が表示される。
また表示部15はカメラ制御部18の指示に基づいて、各種操作メニュー、アイコン、メッセージ等、即ちGUI(Graphical User Interface)としての表示を画面上に実行させる。
【0042】
通信部16は、外部機器との間のデータ通信やネットワーク通信を有線又は無線で行う。例えば外部の情報処理装置、表示装置、記録装置、再生装置等に対して撮像画像データやメタデータを含む静止画ファイルや動画ファイルの送信出力を行う。
また通信部16はネットワーク通信部として、例えばインターネット、ホームネットワーク、LAN(Local Area Network)等の各種のネットワークによる通信を行い、ネットワーク上のサーバ、端末等との間で各種データ送受信を行うことができる。
また撮像装置1は、通信部16により、例えばPC、スマートフォン、タブレット端末などとの間で、例えばブルートゥース(Bluetooth:登録商標)、Wi-Fi(登録商標)通信、NFC(Near field communication)等の近距離無線通信、赤外線通信などにより、相互に情報通信を行うことも可能とされてもよい。また撮像装置1と他の機器が有線接続通信によって相互に通信可能とされてもよい。
従って撮像装置1は、通信部16により、撮像画像やメタデータを、後述の情報処理装置70に送信することができる。
【0043】
操作部17は、ユーザが各種操作入力を行うための入力デバイスを総括して示している。具体的には操作部17は撮像装置1の筐体に設けられた各種の操作子(キー、ダイヤル、タッチパネル、タッチパッド等)を示している。
操作部17によりユーザの操作が検知され、入力された操作に応じた信号はカメラ制御部18へ送られる。
【0044】
カメラ制御部18はCPU(Central Processing Unit)を備えたマイクロコンピュータ(演算処理装置)により構成される。
メモリ部19は、カメラ制御部18が処理に用いる情報等を記憶する。図示するメモリ部19としては、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどを包括的に示している。
メモリ部19はカメラ制御部18としてのマイクロコンピュータチップに内蔵されるメモリ領域であってもよいし、別体のメモリチップにより構成されてもよい。
カメラ制御部18はメモリ部19のROMやフラッシュメモリ等に記憶されたプログラムを実行することで、この撮像装置1の全体を制御する。
例えばカメラ制御部18は、撮像素子部12のシャッタースピードの制御、画像処理部20における各種信号処理の指示、ユーザの操作に応じた撮像動作や記録動作、記録した画像ファイルの再生動作、レンズ鏡筒におけるズーム、フォーカス、絞り調整等のレンズ系11の動作、ユーザインタフェース動作等について、必要各部の動作を制御する。
【0045】
メモリ部19におけるRAMは、カメラ制御部18のCPUの各種データ処理の際の作業領域として、データやプログラム等の一時的な格納に用いられる。
メモリ部19におけるROMやフラッシュメモリ(不揮発性メモリ)は、CPUが各部を制御するためのOS(Operating System)や、画像ファイル等のコンテンツファイルの他、各種動作のためのアプリケーションプログラムや、ファームウエア、各種の設定情報等の記憶に用いられる。
【0046】
ドライバ部22には、例えばズームレンズ駆動モータに対するモータドライバ、フォーカスレンズ駆動モータに対するモータドライバ、絞り機構のモータに対するモータドライバ等が設けられている。
これらのモータドライバはカメラ制御部18からの指示に応じて駆動電流を対応するドライバに印加し、フォーカスレンズやズームレンズの移動、絞り機構の絞り羽根の開閉等を実行させることになる。
【0047】
センサ部23は、撮像装置に搭載される各種のセンサを包括的に示している。
センサ部23として、例えばIMU(inertial measurement unit:慣性計測装置)が搭載された場合、例えばピッチ、ヨー、ロールの3軸の角速度(ジャイロ)センサで角速度を検出し、加速度センサで加速度を検出することができる。
またセンサ部23としては、例えば位置情報センサ、照度センサ、測距センサ等が搭載される場合もある。
センサ部23で検出される各種情報、例えば位置情報、距離情報、照度情報、IMUデータなどは、カメラ制御部18が管理する日時情報とともに、撮像画像に対してメタデータとして付加される。
【0048】
<3.情報処理装置の構成>
次に情報処理装置70の構成例を
図3で説明する。
情報処理装置70はコンピュータ機器など、情報処理、特に画像処理が可能な機器である。この情報処理装置70としては、具体的には、パーソナルコンピュータ(PC)、スマートフォンやタブレット等の携帯端末装置、携帯電話機、ビデオ編集装置、ビデオ再生機器等が想定される。また情報処理装置70は、クラウドコンピューティングにおけるサーバ装置や演算装置として構成されるコンピュータ装置であってもよい。
そして、この情報処理装置70は、RAW画像データの合成処理を行う画像処理部20を備えており、この画像処理部20,又は画像処理部20を備えた情報処理装置70が、本開示の画像処理装置の例として考えることができる。
【0049】
情報処理装置70のCPU71は、ROM72や例えばEEP-ROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などの不揮発性メモリ部74に記憶されているプログラム、または記憶部79からRAM73にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM73にはまた、CPU71が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0050】
画像処理部20は、上述の撮像装置1で説明した合成処理部31,現像処理部32としての機能を備える。
【0051】
この画像処理部20としての合成処理部31,現像処理部32は、CPU71内の機能として設けられてもよい。
また画像処理部20は、CPU71とは別体のCPU、GPU(Graphics Processing Unit)、GPGPU(General-purpose computing on graphics processing units)、AI(artificial intelligence)プロセッサ等により実現されてもよい。
【0052】
CPU71、ROM72、RAM73、不揮発性メモリ部74、画像処理部20は、バス83を介して相互に接続されている。このバス83にはまた、入出力インタフェース75も接続されている。
【0053】
入出力インタフェース75には、操作子や操作デバイスよりなる入力部76が接続される。例えば入力部76としては、キーボード、マウス、キー、ダイヤル、タッチパネル、タッチパッド、リモートコントローラ等の各種の操作子や操作デバイスが想定される。
入力部76によりユーザの操作が検知され、入力された操作に応じた信号はCPU71によって解釈される。
入力部76としてはマイクロフォンも想定される。ユーザの発する音声を操作情報として入力することもできる。
【0054】
また入出力インタフェース75には、LCD或いは有機ELパネルなどよりなる表示部77や、スピーカなどよりなる音声出力部78が一体又は別体として接続される。
表示部77は各種表示を行う表示部であり、例えば情報処理装置70の筐体に設けられるディスプレイデバイスや、情報処理装置70に接続される別体のディスプレイデバイス等により構成される。
表示部77は、CPU71の指示に基づいて表示画面上に各種の画像処理のための画像や処理対象の動画等の表示を実行する。また表示部77はCPU71の指示に基づいて、各種操作メニュー、アイコン、メッセージ等、即ちGUI(Graphical User Interface)としての表示を行う。
【0055】
入出力インタフェース75には、HDDや固体メモリなどより構成される記憶部79や、モデムなどより構成される通信部80が接続される場合もある。
【0056】
記憶部79は、処理対象のデータや、各種プログラムを記憶することができる。
情報処理装置70が本開示の画像処理装置として機能する場合、記憶部79には、処理対象の画像データ(例えばRAW画像データ)が記憶されることや、合成RAW画像データ、或いは合成RAW画像データに対して現像処理したJPEG画像データなどが記憶されることも想定される。
また記憶部79には、合成処理や現像処理のためのプログラムが記憶される。
【0057】
通信部80は、インターネット等の伝送路を介しての通信処理や、各種機器との有線/無線通信、バス通信などによる通信を行う。
撮像装置1との間の通信、特に撮像画像等の受信は、通信部80によって行われる。
【0058】
入出力インタフェース75にはまた、必要に応じてドライブ81が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体82が適宜装着される。
ドライブ81により、リムーバブル記録媒体82からは画像ファイル等のデータファイルや、各種のコンピュータプログラムなどを読み出すことができる。読み出されたデータファイルは記憶部79に記憶されたり、データファイルに含まれる画像や音声が表示部77や音声出力部78で出力されたりする。またリムーバブル記録媒体82から読み出されたコンピュータプログラム等は必要に応じて記憶部79にインストールされる。
【0059】
この情報処理装置70では、例えば本実施の形態の処理のためのソフトウェアを、通信部80によるネットワーク通信やリムーバブル記録媒体82を介してインストールすることができる。或いは当該ソフトウェアは予めROM72や記憶部79等に記憶されていてもよい。
【0060】
<4.RAW画像データの合成処理と現像処理>
以下、撮像装置1や情報処理装置70における画像処理部20で行われるRAW画像データの合成処理と現像処理について説明する。
【0061】
例えば画像処理部20は、撮像後におけるシャッタースピードの編集を目的として複数のRAW画像データを合成し、一枚又は複数枚の合成RAW画像データを生成する処理を行う。
【0062】
まず
図4は画像処理部20での現像処理の流れを模式的に示している。
例えば撮像素子部12から入力される画像データは、それ自体が、又は図示しない前処理を加えた状態がRAW画像データとなる。
なお
図4では、撮像装置1を想定して撮像素子部12から入力される画像データをRAW画像データとして示しているが、情報処理装置70の場合は、例えば記憶部79から読み出されたRAW画像データと考えればよい。
【0063】
広義の現像処理として、例えばステップST1のレンズ補正、ステップST2のNR(ノイズリダクション)、ステップST3のデモザイク、そして狭義の現像処理であるステップST4の色再現/シャープネス処理が行われる。
そして、このような現像処理後の画像データとして、例えばJPEG画像データが生成される。
【0064】
このような現像処理と合成処理の関係として、比較例と実施の形態を
図5A、
図5Bに示す。
図5Aは実施の形態に対する比較例として示したものであり、それぞれがRAW画像データについての現像処理(ステップST1,ST2,ST3,ST4)を経て生成された複数のJPEG画像データ(J#1からJ#n)を示している。
この複数のJPEG画像データ(J#1からJ#n)について、ステップST20として合成処理を施すことで、合成JPEG画像データを生成する。
【0065】
複数の画像の合成処理としては、この比較例のように、現像処理後の複数JPEG画像データ(J#1からJ#n)を合成することが想定される。
ところがこの場合、次のような問題が指摘できる。
まず、合成に用いる複数の画像データのそれぞれに対して広義の現像処理(ステップST1,ST2,ST3,ST4)が必要である。例えば個々のJPEG画像データ(J#1からJ#n)のそれぞれも保存対象とするものであればよいが、合成画像のみを目的とするような場合、処理負担が増えることになる。
【0066】
また現像処理は、各画像データに最適化された信号処理で行われる。このため合成後の画像データに対して最適な信号処理とは限らない。
また合成後の画像は現像処理後であるため、編集性が制限される。特にステップST4の色再現/シャープネス処理において色情報等が間引かれているなどしてRAW画像データの時点で存在した情報の一部が失われているためである。
【0067】
そこで本実施の形態では、
図5Bのような合成処理を行う。
図5Bは、合成処理の対象とする画像データとして複数のRAW画像データ(R#1からR#n)を示している。
例えばこの複数のRAW画像データ(R#1からR#n)について、ステップST10の合成処理を行う。これにより合成RAW画像データを得る。
また合成RAW画像データに対して、ステップST1、ST2,ST3,ST4の現像処理を行う。これにより合成画像としてのJPEG画像データを生成する。
【0068】
このようにすると、現像処理は合成後の一回のみでよく、信号処理負担が軽減される。また、その現像処理は、合成後の合成RAW画像データに対して最適化されたパラメータを用いて行うことができるため、生成される現像画像データ、例えば上記のJPEG画像データの画像品質を向上させることができる。
また色再現/シャープネス処理等の画作りが行われていない合成RAW画像データは画作りによる情報の欠損がないため、例えば色再現などの面で高い編集性を持つものとなる。
このように、複数のRAW画像データについて合成を行うことで、合成画像に最適化され、かつ効率化された信号処理を行うことが可能となる。
【0069】
ここで、複数のRAW画像データ(R#1からR#n)が時間的に連続して記録された画像データである場合を考える。
すると、1枚のRAW画像データの撮像時のシャッタースピードを合成枚数で掛けたシャッタースピードの合成画像が生成できるものとなる。
例えばシャッタースピード=1/100秒として、連写撮像した100枚のRAW画像データを合成すると、シャッタースピード=1秒の合成画像を得ることができる。
【0070】
このような考え方で、撮像後にシャッタースピードの編集を行うことができる。
このための処理例を
図6,
図7で説明する。
【0071】
まず
図6は、撮像装置1の撮像時の処理例である。
撮像装置1では、ユーザがRAW合成モードを選択することが可能とされている。RAW合成モードをユーザが選択する操作を行った場合、カメラ制御部18の制御に基づいて、画像処理部20が図示の処理を行う。
【0072】
ステップS101で画像処理部20は、カメラ制御部18の指示に基づいてRAW合成モードとしての設定を行う。これはステップS103以下の処理を行う動作モードの設定である。
【0073】
ステップS102で画像処理部20はレリーズ操作を待機する。
ユーザが、例えば連写撮像の要領で、例えばシャッターボタンを押し続けるなどのレリーズ操作を行う。
ユーザのレリーズ操作をカメラ制御部18が検知した場合、画像処理部20はカメラ制御部18のレリーズ指示に応じて、ステップS102からステップS103に進み、以降の処理を行う。
【0074】
レリーズ操作が行われると、撮像素子部12では、連写撮像の動作が行われる。例えば一定のシャッタースピードの撮像動作により、順次画像データを画像処理部20に送出してくる。
ステップS103で画像処理部20は、RAW画像データのバッファリングを行う。即ち撮像素子部12から入力される1フレームのRAW画像データをバッファメモリ21に記憶させる処理を行う。
画像処理部20は、ステップS104でカメラ制御部18からのレリーズ操作終了の通知を監視しながら、ステップS103の処理を繰り返す。
これにより、レリーズ操作が終了するまでの期間に、複数のRAW画像データがバッファリングされることになる。
【0075】
レリーズ操作終了となったら、画像処理部20はステップS105に進み、バッファメモリ21に一時記憶した複数のRAW画像データのそれぞれについて追加処理を行う。この追加処理とは、複数のRAW画像データの露光期間が時間的に連続するように、つまり露光期間の途切れがないようにする処理である。具体的には複数のRAW画像データのそれぞれが、イメージセンサ12aにおける露光期間における露光量に対して、イメージセンサ12aにおける非露光期間に相当する露光量を追加する処理である。
なお、ステップS105の追加処理は、必ずしもレリーズ操作が終了した後に開始するものとしなくてもよい。連写撮像が行われている期間にステップS105の追加処理を開始してもよい。
また、このステップS105の追加処理の具体例について以下
図8で説明するが、この追加処理自体が行われない場合もある。つまり
図6においてステップS105が存在しない処理例も想定される。
【0076】
図8ではイメージセンサ12aの撮像動作として、露光期間Taと露光による電荷の読出期間Tbを示している。なお実際には露光も読出も行わない期間やリセット期間などもあるが、図示及び説明の簡略化のため、それらは読出期間Tbに含めるものとする。
【0077】
露光期間Taと読出期間Tbの動作により、1フレームの画像データが得られるが、連写撮像が行われることで、この露光期間Taと読出期間Tbが繰り返されることになる。
ところが読出期間Tbにおいては、イメージセンサ12aでは露光が行われていない。すると、そのまま複数のRAW画像データを合成しても、正確には単純にシャッタースピードを遅くしたものとはならない。
【0078】
もちろん、シャッタースピードの編集という意味での合成処理は、必ずしも厳密な意味ではなくてもよいため、このように露光期間Taの途切れのある複数のRAW画像データを合成することでも、擬似的な意味でシャッタースピードの編集を行うということはできる。
その場合は、ステップS105の追加処理は不要としてもよい。
【0079】
一方、正確な意味でシャッタースピードの編集を実現するには、露光期間Taの途切れがない複数のRAW画像データを合成することが適切となる。
実際には、読出期間Tbの必要性から、露光期間Taは途切れるのであるが、その読出期間の画素情報としての露光量を画素値に追加する処理を行うことで、露光期間Taの途切れがない画像データを生成するものとする。
一例としては、1つのフレームの各画素値を、露光期間Taと読出期間Tbの期間長の比や、前後のフレームの追加処理前の画素値との変化量を考慮して、補間演算を行うことで、読出期間Tbにも露光が行われたとしたときの画素値を算出する。そしてそのよう各画素値について追加処理を行って、RAW画像データR#1,R#2、R#3・・・とする。
これによりRAW画像データR#1,R#2、R#3・・・は露光期間Taの途切れがない複数のRAW画像データとすることができる。
【0080】
なお、撮像素子部12に複数のイメージセンサ12a1,12a2が設けられることで、追加処理を行わなくとも、露光期間Taの途切れのない複数のRAW画像データを得ることができる。
図9に示すように、例えばイメージセンサ12a1の出力からRAW画像データR#1を得る。次に、イメージセンサ12a2の出力からRAW画像データR#2を得る。
このとき、イメージセンサ12a1とイメージセンサ12a2は、露光タイミングがずれた状態で同期するように動作させる。即ち図示のように、イメージセンサ12a1の露光期間Taの終了タイミングでイメージセンサ12a2の露光期間Taが開始され、またイメージセンサ12a2の露光期間Taの終了タイミングでイメージセンサ12a1の露光期間Taが開始されるようにする。
このようにすることで、イメージセンサ12a1,12a2から交互に得られるRAW画像データR#1、R#2、R#3、R#4・・・は、露光期間が連続した画像データとなる。
【0081】
また、1つのイメージセンサ12aを用いる場合でも、読出期間Tbによる露光期間の途切れがほぼ無視できるようなイメージセンサ12aである場合や、最終的に得たい画像が動く被写体が存在しないなど目的によって、追加処理を行わなくともよい。換言すると、露光期間の途切れの影響が多いような撮像装置や撮像場面のときに追加処理を可能とするようにしてもよい。
【0082】
図6のステップS105で追加処理を行った後、或いは
図6の処理としてステップS105の追加処理が行われない場合はステップS104でレリーズ操作終了と判定された後、画像処理部20はステップS106で、複数のRAW画像データR#1、R#2・・・を一群の画像データとしてパッキングして記録する。例えばHEIFを用いることでパッキングを行うことができる。
例えば画像処理部20から複数のRAW画像データを記録制御部14に転送して、グループ化された一群の画像データとして、記録媒体に記録させる。或いは、グループ化された一群の画像データとして、複数のRAW画像データを通信部16から外部機器、例えば情報処理装置70に送信させるようにしてもよい。
【0083】
以上のようにパッキングされた複数のRAW画像データに対して、撮像装置1又は情報処理装置70において、
図7の処理により、撮像後のシャッタースピード編集を行うことができる。
撮像装置1の場合は、記録媒体に記録した一群のRAW画像データを対象とする。
また情報処理装置70の場合は、撮像装置1から受信したり、リムーバブル記録媒体82を介して取り込まれたりして、記憶部79に格納された一群のRAW画像データを対象として、
図7の処理を行うことができる。
【0084】
ステップS150で画像処理部20は、指定されたシャッタースピード、又は指定された合成枚数を設定する。
例えばユーザインタフェースにより、ユーザが操作部17(又は入力部76)を用いて、任意のシャッタースピードや任意の合成枚数を指定できるようにする。
カメラ制御部18(又はCPU71)は、ユーザの操作を検知したら、それを画像処理部20に通知する。これにより画像処理部20では、シャッタースピード又は合成する画像の枚数を設定する。
【0085】
シャッタースピードを設定するということは、その求められたシャッタースピードから、撮像時のシャッタースピードを除算して、合成処理の対象とするRAW画像データの枚数を算出するという意味となる。
また画像の枚数を設定するというのは、そのまま合成処理の対象とするRAW画像データの枚数を決定するという意味となる。
【0086】
ステップS151で画像処理部20は、合成するRAW画像データの範囲を設定する。例えばRAW画像データR#1から合成RAW画像データR#50までの50枚のRAW画像データが時間的に連続する画像データとしてパッキングされているとする。この場合に、その50枚のうちで時間的に最初となるスタート画像から時間的に最後となるエンド画像の範囲を設定するものである。
例えば合成RAW画像データR#10からRAW画像データR#30の範囲を合成する範囲などとして設定する。
ユーザがスタート画像を指定する操作を行うことに応じて、そのスタート画像から指定されたシャッタースピード(又は指定枚数)で、エンド画像が決まり、合成する対象の範囲が決定される。
【0087】
なお、この処理例では、ステップS150でシャッタースピード又は枚数が設定されるため、ステップS151でスタート画像、又はエンド画像のいずれかがユーザによって指定されれば、合成する画像データの範囲が設定できることになる。
これに対して、ユーザがシャッタースピードや枚数を指定せずに、スタート画像とエンド画像を任意に指定することで、任意のシャッタースピードの合成画像が得られるようにしてもよい。
【0088】
ステップS152で画像処理部20は、ステップS151で設定した範囲の複数のRAW画像データの合成処理を行う。
なお、このとき、各画素単位で画素値を合成(例えば平均化)する単純な合成処理を行ってもよいし、複数枚の画像について重み付けを変えて合成する合成処理を行ってもよい。また被写体の特定箇所の合成RAW画像における画素位置を固定して合成することで、特定箇所がぼけない画像とする合成処理を行ってもよい。
【0089】
合成処理により、合成RAW画像データが得られる。
ステップS153では、画像処理部20は、合成RAW画像データに対して現像処理を行う。これにより例えばJPEG画像データを生成する。
ステップS154で画像処理部20は、記録する画像データを出力する。例えば撮像装置1の場合、記録制御部14にJPEG画像データや合成RAW画像データを転送して、記録媒体に記録させる。情報処理装置70の場合は、画像処理部20は記憶部79にJPEG画像データや合成RAW画像データを転送して、それらを記録させる。
なお記録する画像データは、現像処理を経たJPEG画像データのみでもよいし、合成RAW画像データのみの場合もあり得る。
合成RAW画像データを記録しておけば、その後にも、合成画像に対して自由度の高い画像編集/現像処理を行うことが可能になる。
【0090】
以上のように記録されたJPEG画像データや合成RAW画像データは、撮像後に任意のシャッタースピードに編集した画像データということができる。
【0091】
<5.YC-RAW画像データの合成処理と現像処理>
以上の例は、撮像素子部12で得られたRAW画像データについて合成処理を行う例としたが、同じ考え方で、輝度値とクロマ値の形式のYC-RAW画像データの合成も想定される。YC-RAW画像データの場合について、以下説明する。
なお以下では説明上、撮像素子部12で得られたR、G、B形式のRAW画像データを、YC-RAW画像データと区別するために「RGB-RAW画像データ」と表記する。またRGB-RAW画像データによる合成RAW画像データを「合成RGB-RAW画像データ」とする。
【0092】
図10はYC-RAW画像データを得る場合の画像処理部20の処理の流れを示している。
撮像素子部12から入力されるRGB-RAW画像データに対して、広義の現像処理として、例えばステップST1のレンズ補正、ステップST2のNR、ステップST3のデモザイク、そして狭義の現像処理であるステップST4の色再現/シャープネス処理が行われることで、例えばJPEG画像データが生成される。
この場合に、デモザイク後においてステップST5のYC変換が行われることで、YC-RAW画像データが得られる。
なおYC-RAW画像データの生成については、ステップST1のレンズ補正、ステップST2のNRが行われなくてもよい。
【0093】
このようなYC-RAW画像データとして、例えば時間的に連続した複数枚を一群にパッキングして記録することで、後の時点で、その複数のYC-RAW画像データを用いた合成処理が可能になる。
特にYC-RAW画像データでは、色再現/シャープネス処理を施す前の状態であることから、RAW画像データ段階の情報が失われていないため、上述のRAW画像データの合成の場合と同様の利点が得られる。
【0094】
図11A、
図11B、
図11Cに、YC-RAW画像データを用いた合成処理の例を示す。
図11Aは、複数のYC-RAW画像データ(YCR#1からYCR#n)を示しており、これをステップST11として合成処理を行い、合成YC-RAW画像データを生成する例である。また合成YC-RAW画像データに対してステップST4の色再現/シャープネス処理を行って、合成画像としての例えばJPEG画像データ等の現像画像データを生成することができる。
【0095】
図11Bは、複数のRGB-RAW画像データ(R#1からR#n)についてステップST10の合成処理を行い、合成RGB-RAW画像データを生成するとともに、ステップST1、ST2、ST3、ST5の処理を行って合成YC-RAW画像データを生成する例である。
【0096】
図11Cは、複数のYC-RAW画像データをそれぞれRGB-RAW画像データ(R#1からR#n)に戻してから合成する例である。複数のYC-RAW画像データから戻した複数のRGB-RAW画像データ(R#1からR#n)についてステップST10の合成処理を行い、合成RGB-RAW画像データを生成するとともに、ステップST1、ST2、ST3、ST4の処理を行って合成画像としての例えばJPEG画像データを生成する。
【0097】
以上の各例のようにYC-RAW画像データを用いての合成処理例も各種考えられる。
【0098】
<6.まとめ及び変形例>
以上の実施の形態によれば次のような効果が得られる。
実施の形態の画像処理装置、即ち画像処理部20(又は画像処理部20を備える撮像装置1や情報処理装置70)は、それぞれが1フレームの画像を構成する複数のRAW画像データを合成して合成RAW画像データを生成する合成処理部31を備える。
複数の画像データを合成する合成処理を、RAW画像データの段階で行うということは、複数の画像データについて現像処理を施す前の段階で合成し、その後、現像処理を行うということである。そして合成RAW画像データについて現像処理を行って、JPEG画像データなどを生成することは、その合成RAW画像データに対して適した現像処理ができるということになる。
合成の対象とする複数のRAW画像データは、時間的に連続した静止画として撮像されたものでもよいし、動画として撮像された各フレームのRAW画像データでもよい。さらには、合成の対象とする複数のRAW画像データは、撮像時刻としての関連性や、或いは被写体の関連性などのない、互いに無関係な複数のRAW画像データでもよい。つまりユーザが選択した任意の複数のRAW画像データを合成することも考えられる。
【0099】
実施の形態の画像処理部20は、合成処理部31により生成された合成RAW画像データに対する現像処理を行って所定形式の画像データを生成する現像処理部32をさらに備えている。
このようにすることで合成RAW画像データに適した各種のパラメータで現像処理が行われ、例えばJPEG画像データなどの合成後の所定形式の画像データが得られるため、生成される合成画像(例えばJPEG画像データによる画像)の画像品質の向上が実現できる。
また、合成する前の複数のRAW画像データのそれぞれについての現像処理を行わなくてもよいことで、現像処理の効率化が実現できる。
また合成RAW画像データは、圧縮処理等を含めた現像処理前のRAW画像データを合成したものであり、元の画像としての多くの情報が残っているため、ユーザが画作りを行うときの自由度が拡大するという利点もある。
また合成RAW画像データを保存することで、将来的に現像処理技術が進歩した状態で現像を行うということにも適している。
【0100】
実施の形態の合成処理部31は、合成処理により撮像時のシャッタースピードより遅いシャッタースピードで撮像した画像に相当する合成RAW画像データを生成する例を挙げた。
例えば被写体内容として関連する複数のRAW画像データを合成することで、個々のRAW画像データの撮像時のシャッタースピードよりも遅いシャッタースピードで撮像した画像に相当する合成RAW画像データを得ることができる。
【0101】
実施の形態では、合成処理部31が合成する複数のRAW画像データが、時間的に連続する複数フレームのRAW画像データである例を挙げた。
これにより例えば撮像時のシャッタースピードよりも遅いシャッタースピードで撮像したかのような画像を、撮像後に生成できることになる。つまり、撮影後にシャッタースピードを編集することが可能となる。
またこれにより、例えば貴重なシャッターチャンスにおいてシャッタースピードの設定ミスによる失敗を防ぐことができる。
シャッタースピードの調整に手間取ってシャッターチャンスを逃すということもなくなる。
また撮像時のシャッタースピードを変化させるものではないため、光量調整が不要であり、その上で、適切な光量で撮像された画像から、任意のシャッタースピードの合成画像を得ることができる。
さらに、撮像後にシャッタースピードを詳細に調整することで新たな画像表現につながる。
またシャッタースピードを編集した後の合成RAW画像データに対し、現像処理を行うことができる。
【0102】
実施の形態では、合成処理部31で合成する複数のRAW画像データが、一定のシャッタースピードで時間的に連続する複数フレームのRAW画像データである例を挙げた。
撮像により得られた複数のRAW画像データは、同じシャッタースピードの画像データとなる。従って合成するRAW画像データの範囲を設定するのみで、任意のシャッタースピードの合成画像を得ることができる。
【0103】
実施の形態では、合成処理部31で合成する複数のRAW画像データが、時間的に隣接するRAW画像データで、互いの露光期間が時間的に連続する状態とされた複数のRAW画像データである例を挙げた(
図8,
図9参照)。
複数のRAW画像データが、露光期間が途切れないような連続した状態とされていることで、合成RAW画像データは、実際に、撮像時のシャッタースピードよりも遅いシャッタースピードで撮像した画像と同等に扱うことができる画像データとなる。つまり、連続した露光期間の長短という本来の意味でのシャッタースピードの編集が可能になる。
これにより通常は撮影後では行うことができないシャッタースピードの変更を、撮影後に可能とするということが実現できる。
【0104】
実施の形態では、合成処理部31で合成する複数のRAW画像データが、撮像素子における露光期間における露光量に対して、前記撮像素子における非露光期間に相当する露光量を追加する追加処理を行うことで、露光期間が時間的に連続する状態とされたものである例を挙げた(
図8参照)。
これにより複数のRAW画像データは、読出期間や電荷リセット期間などの非露光期間があっても、その非露光期間が存在しない状態で得られたデータと考えることができる。従って、一連のRAW画像データを、露光期間が時間的に連続する状態とされた複数のRAW画像データとして扱って合成処理を行うことができる。
【0105】
実施の形態では、合成処理部31で合成する複数のRAW画像データは、複数のイメージセンサ12a1,12a2から交互に順次読み出されることで、露光期間が時間的に連続する状態とされたものとする例も挙げた(
図9参照)。
複数のイメージセンサ12a1,12a2を用い、一方の非露光期間には他方で露光が行われるように、イメージセンサ12a1,12a2の露光タイミングを設定し、イメージセンサ12a1,12a2から交互に順次読み出したRAW画像データであることで、その一連のRAW画像データは、露光期間が時間的に連続する状態とされた複数のRAW画像データとなる。
【0106】
実施の形態では、合成処理部31が、シャッタースピードの指定に基づいて、時間的に連続する複数のRAW画像データから、合成処理の対象とする合成対象RAW画像データを選択する例を挙げた(
図7参照)。
これによりユーザのシャッタースピードの指定操作に応じた合成処理が行われ、合成RAW画像データは、指定されたシャッタースピードで撮像されたかのような画像となる。シャッタースピードの編集という意味で使用性のよいものとなる。
【0107】
また実施の形態では、合成処理部31が、枚数の指定に基づいて、時間的に連続する複数のRAW画像データのうちで、合成処理の対象とする合成対象RAW画像データを選択する例も挙げた(
図7参照)。
これによりユーザの枚数の指定操作に応じた合成処理が行われ、合成RAW画像データは、指定された枚数の合成画像となる。シャッタースピードでの指定とは異なる指定手法がユーザに提供されることになり、ユーザによっては使いやすいものとなる。
なお、ユーザがシャッタースピードで指定する操作モードと、枚数で指定する操作モードを切り替えることができるようにすることで、ユーザの好みに合わせた使用性が実現される。
【0108】
実施の形態では、RAW画像データは、撮像素子の色配列と同じ色配列を有するRGB-RAW画像データである例を挙げた。
例えばR、G、B形式の画像データである。ベイヤー配列の場合のG1、G2、R、Bの各画素の画素値で構成される場合や、それらに上述した一部の処理を施した画像データを含む。このような画素値で構成されるRAW画像データは、撮像素子部12から読み出された元々の画像情報であり、合成後の現像処理でも自由度が高い。
【0109】
また実施の形態では、RAW画像データとして、撮像素子から読み出される画素値を輝度値とクロマ値の形式にした画像データであって、色再現/シャープネス処理が施されていないYC-RAW画像データの例を挙げた。
YC-RAW画像データについても、それを合成して合成処理を行うことで、現像処理の効率が向上する。またYC-RAW画像データは、RAW画像データに戻すこともできるため、RAW画像データに戻した上での合成処理やその後の現像処理も可能となる。
【0110】
実施の形態のプログラムは、上述の
図6、
図7のような処理を、例えばCPU、DSP、GPU、GPGPU、AIプロセッサ等、或いはこれらを含むデバイスに実行させるプログラムである。
即ち実施の形態のプログラムは、それぞれが1フレームの画像を構成する複数のRAW画像データを合成して合成RAW画像データを生成する合成処理を情報処理装置に実行させるプログラムである。
このようなプログラムにより本開示でいう画像処理装置を各種のコンピュータ装置により実現できる。
【0111】
これらのプログラムはコンピュータ装置等の機器に内蔵されている記録媒体としてのHDDや、CPUを有するマイクロコンピュータ内のROM等に予め記録しておくことができる。
あるいはまた、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magneto Optical)ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc(登録商標))、磁気ディスク、半導体メモリ、メモリカードなどのリムーバブル記録媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することができる。
また、このようなプログラムは、リムーバブル記録媒体からパーソナルコンピュータ等にインストールする他、ダウンロードサイトから、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワークを介してダウンロードすることもできる。
【0112】
またこのようなプログラムによれば、本開示の画像処理装置の広範な提供に適している。例えばスマートフォンやタブレット等の携帯端末装置、携帯電話機、パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、ビデオ機器、PDA(Personal Digital Assistant)等にプログラムをダウンロードすることで、これらの機器を本開示の画像処理装置として機能させることができる。
【0113】
なお、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
【0114】
なお本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)
それぞれが1フレームの画像を構成する複数のRAW画像データを合成して合成RAW画像データを生成する合成処理部を備えた
画像処理装置。
(2)
前記合成処理部により生成された合成RAW画像データに対する現像処理を行って所定形式の画像データを生成する現像処理部をさらに備えた
上記(1)に記載の画像処理装置。
(3)
前記合成処理部は、合成処理により撮像時のシャッタースピードより遅いシャッタースピードで撮像した画像に相当する合成RAW画像データを生成する
上記(1)又は(2)に記載の画像処理装置。
(4)
前記合成処理部で合成する複数のRAW画像データは、時間的に連続する複数フレームのRAW画像データである
上記(1)から(3)のいずれかに記載の画像処理装置。
(5)
前記合成処理部で合成する複数のRAW画像データは、一定のシャッタースピードで時間的に連続する複数フレームのRAW画像データである
上記(1)から(4)のいずれかに記載の画像処理装置。
(6)
前記合成処理部で合成する複数のRAW画像データは、時間的に隣接するRAW画像データで、互いの露光期間が時間的に連続する状態とされた複数のRAW画像データである 上記(1)から(5)のいずれかに記載の画像処理装置。
(7)
前記合成処理部で合成する複数のRAW画像データは、撮像素子における露光期間における露光量に対して、前記撮像素子における非露光期間に相当する露光量を追加する追加処理を行うことで、露光期間が時間的に連続する状態とされたものである
上記(6)に記載の画像処理装置。
(8)
前記合成処理部で合成する複数のRAW画像データは、複数の撮像素子から交互に順次読み出されることで、露光期間が時間的に連続する状態とされたものである
上記(6)に記載の画像処理装置。
(9)
前記合成処理部は、
シャッタースピードの指定に基づいて、時間的に連続する複数のRAW画像データから、合成処理の対象とする合成対象RAW画像データを選択する
上記(1)から(8)のいずれかに記載の画像処理装置。
(10)
前記合成処理部は、
枚数の指定に基づいて、時間的に連続する複数のRAW画像データから合成処理の対象とする合成対象RAW画像データを選択する
上記(1)から(9)のいずれかに記載の画像処理装置。
(11)
前記RAW画像データは、撮像素子の色配列と同じ色配列を有する画像データである 上記(1)から(10)のいずれかに記載の画像処理装置。
(12)
前記RAW画像データは、撮像素子から読み出される画素値を輝度値とクロマ値の形式にした画像データであって、色再現/シャープネス処理が施されていない画像データである
上記(1)から(10)のいずれかに記載の画像処理装置。
(13)
それぞれが1フレームの画像を構成する複数のRAW画像データを合成して合成RAW画像データを生成する合成処理を
画像処理装置が実行する画像処理方法。
(14)
それぞれが1フレームの画像を構成する複数のRAW画像データを合成して合成RAW画像データを生成する合成処理を
情報処理装置に実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0115】
1 撮像装置
12 撮像素子部
12a,12a1,12a2 イメージセンサ
14 記録制御部
15 表示部
16 通信部
17 操作部
18 カメラ制御部
19 メモリ部
20 画像処理部
21 バッファメモリ
31 画像合成部
32 現像処理部
70 情報処理装置、
71 CPU
79 記憶部
80 通信部