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7775559はんだ粒子、はんだ粒子の製造方法、及び導電性組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-11-17
(45)【発行日】2025-11-26
(54)【発明の名称】はんだ粒子、はんだ粒子の製造方法、及び導電性組成物
(51)【国際特許分類】
   B22F 1/14 20220101AFI20251118BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20251118BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20251118BHJP
   C22C 12/00 20060101ALN20251118BHJP
【FI】
B22F1/14 600
H01B1/22 A
B22F1/00 R
C22C12/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021138864
(22)【出願日】2021-08-27
(65)【公開番号】P2023032620
(43)【公開日】2023-03-09
【審査請求日】2024-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】波木 秀次
(72)【発明者】
【氏名】山口 沙梨
(72)【発明者】
【氏名】西尾 健
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/017568(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/004513(WO,A1)
【文献】特開2009-183886(JP,A)
【文献】特開2004-209494(JP,A)
【文献】特開2010-036234(JP,A)
【文献】高効率精密気流分級機 クラッシール カタログ,日本,セイシン企業(株),2014年,1-4頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/14
H01B 1/22
B22F 1/00
C22C 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に酸化膜を有し該酸化膜の平均膜厚が5nm以上100nm以下であり、かつ平均表面粗さRaが15nm以上110nm以下であるはんだ粒子であって、個数平均粒径が1μm以上であり、前記はんだ粒子の個数平均粒径の1.25倍以上大きい個数粒径の粗大はんだ粒子の割合が0.5%以下であることを特徴とするはんだ粒子。
【請求項2】
Snと、Bi、Ag、Cu、及びInから選択される少なくとも1種と、を含む、請求項1に記載のはんだ粒子。
【請求項3】
請求項1から2のいずれかに記載のはんだ粒子の製造方法であって、酸素含有雰囲気下、分級装置により強制的に気流を発生させてはんだ粒子を分級する分級工程を含むことを特徴とするはんだ粒子の製造方法。
【請求項4】
前記分級工程において、はんだ粒子の表面平均粗さを大きくし、かつ、はんだ粒子表面に酸化膜を形成することを特徴とする請求項3に記載のはんだ粒子の製造方法。
【請求項5】
前記分級装置が、ブロアー吸引により気流を発生させてはんだ粒子を旋回させながら篩表面に衝突させて分級する装置である、請求項3から4のいずれかに記載のはんだ粒子の製造方法。
【請求項6】
前記分級装置が、分級室内で空気渦がはんだ粒子とともに旋回し、ローターの回転によって生じる旋回遠心力とブロアー吸引によりローター中心方向へ流れる空気流との制御により分級する装置である、請求項3から4のいずれかに記載のはんだ粒子の製造方法。
【請求項7】
請求項1からのいずれかに記載のはんだ粒子を含有することを特徴とする導電性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだ粒子、はんだ粒子の製造方法、及び導電性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在市販されているはんだ粒子は、一般的な導電性粒子としての金属被覆樹脂粒子に比べて粒径が揃っておらず(粒度分布が広く)、一定量の粗大はんだ粒子が含まれている。このため、現在市販されているはんだ粒子を含有する導電性組成物を用いて配線パターンの接続を行うと、図1に示すように、加熱圧着実装時に配線パターン10間の無加圧部に存在する粗大はんだ粒子11によってショートが発生するおそれがある。図1中12は、はんだ粒子を表す。
【0003】
また、導電性粒子として金属被覆樹脂粒子を含有する導電性組成物を用いて配線パターンの接続を行うと、金属被覆樹脂粒子の周囲に存在する絶縁性バインダーによって配線パターン間の絶縁性を確保できる。しかし、導電性粒子としてはんだ粒子を含有する導電性組成物を用いて配線パターンの接続を行うと、図2に示すように、配線パターン10間のはんだ粒子12が、加熱圧着時に溶融して自己凝集により大きな金属体13が生成し、加熱圧着実装時に配線パターン間の無加圧部に存在する大きな金属体によってショートが発生するおそれがある。
【0004】
このようなショートの発生リスクを回避するために、はんだ粒子表面に絶縁膜を形成することが考えられる。例えば、中心粒径20μm~40μmのはんだ粒子表面に、平均厚さ2.5nm~6nmの酸化膜を形成してなるはんだペースト用はんだ粉が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4084657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1において平均厚さ2.5nm~6nmの酸化膜を形成する目的はペースト作製後のペーストの経時的粘度上昇を抑制するためであり、ショートリスクを回避し、配線パターン間に存在するはんだ粒子の溶融自己凝集粗大化を防止し、絶縁性の低下を抑制するためではない。また、上記特許文献1には、平均表面粗さRaが15nm以上110nm以下であること、酸素雰囲気下での強制気流式分級処理により酸化膜を形成することについて記載も示唆もされていない。
【0007】
一方、現在市販されているはんだ粒子はメカノケミカル法により絶縁膜を形成することは困難である。その理由は、上述したように、現在市販されているはんだ粒子の粒径が揃っていないため、均一な絶縁膜の形成が難しく、また、はんだ粒子は比較的柔らかいためメカノケミカル法の物理的な衝撃力に耐え切れず変形してしまうためである。
【0008】
本発明は、従来にける前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、ショートリスクを回避でき、絶縁性の低下を抑制できるはんだ粒子、はんだ粒子の製造方法、及び導電性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 表面に酸化膜を有し該酸化膜の平均膜厚が3nm以上であり、かつ平均表面粗さRaが10nm以上であることを特徴とするはんだ粒子である。
<2> 前記酸化膜の平均膜厚が5nm以上100nm以下であり、かつ平均表面粗さRaが15nm以上110nm以下である、前記<1>に記載のはんだ粒子である。
<3> 個数平均粒径が1μm以上である、前記<1>から<2>のいずれかに記載のはんだ粒子である。
<4> 前記はんだ粒子における個数平均粒径の1.25倍以上大きい個数粒径を有する粗大はんだ粒子の割合が0.5%以下である、前記<3>に記載のはんだ粒子である。
<5> Snと、Bi、Ag、Cu、及びInから選択される少なくとも1種と、を含む、前記<1>から<4>のいずれかに記載のはんだ粒子である。
<6> 酸素含有雰囲気下での強制気流式分級処理により製造される、前記<1>から<5>のいずれかに記載のはんだ粒子である。
<7> 酸素含有雰囲気下、分級装置により強制的に気流を発生させてはんだ粒子を分級する分級工程を含むことを特徴とするはんだ粒子の製造方法である。
<8> 前記分級装置が、ブロアー吸引により気流を発生させてはんだ粒子を旋回させながら篩表面に衝突させて分級する装置である、前記<7>に記載のはんだ粒子の製造方法である。
<9> 前記分級装置が、分級室内で空気渦がはんだ粒子とともに旋回し、ローターの回転によって生じる旋回遠心力とブロアー吸引によりローター中心方向へ流れる空気流との制御により分級する装置である、前記<7>に記載のはんだ粒子の製造方法である。
<10> 前記<1>から<6>のいずれかに記載のはんだ粒子を含有することを特徴とする導電性組成物である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、ショートリスクを回避でき、絶縁性の低下を抑制できるはんだ粒子、はんだ粒子の製造方法、及び導電性組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、導電性粒子として市販されているはんだ粒子を用いた場合、粗大はんだ粒子によってショートが発生することを示す模式図である。
図2図2は、はんだ粒子を含む導電性フィルムを配線パターン間で加熱圧着時に、はんだ粒子が溶融して自己凝集をおこし大きな金属体が生成することを示す模式図である。
図3図3の(a)及び(b)は、分級後のはんだ粒子は平均表面粗さを大きくすることにより、平均表面粗さの小さい分級前のはんだ粒子に比べて、はんだ粒子同士の接触面積を減少できることを示す模式図である。
図4図4の(a)及び(b)は、分級後のはんだ粒子は平均表面粗さを大きくすることにより、平均表面粗さの小さい分級前のはんだ粒子に比べて、疑似的に酸化膜の平均膜厚を増加できることを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(はんだ粒子)
本発明のはんだ粒子は、表面に酸化膜を有し該酸化膜の平均膜厚が3nm以上であり、かつ平均表面粗さRaが10nm以上である。
前記酸化膜の平均膜厚が5nm以上100nm以下であることが好ましく、かつ平均表面粗さRaが15nm以上110nm以下であることが好ましい。
【0013】
本発明においては、酸素含有雰囲気下で強制気流式分級装置を用いてはんだ粒子を分級することにより、市販されているはんだ粒子に含まれる粗大はんだ粒子を除去し、粗大はんだ粒子による配線パターン間のショートリスクを回避すると共に、はんだ粒子表面を荒らしながら、表面に酸化膜を形成することにより、配線パターン間に存在するはんだ粒子の溶融自己凝集粗大化を防止し、絶縁性の低下を抑制できる。
【0014】
本発明のはんだ粒子は、表面に酸化膜を有し該酸化膜の平均膜厚が3nm以上であることにより、加熱圧着実装時に配線パターン間などの無加圧部に存在するはんだ粒子は、接触したはんだ粒子同士がはんだ粒子の融点に達しても溶融して合一化しないので、絶縁性の低下を防止できる。
現在市販されているはんだ粒子(分級前のはんだ粒子)の酸化膜の平均膜厚は1nm程度であるため、上述の効果が得られない。
前記酸化膜の厚みの上限については、特に制限はないが、はんだ粒子の酸化膜が厚すぎると加熱圧着実装時に上下電極間で挟まれたはんだ粒子の酸化膜が破れずに導通抵抗が上昇することがあるため、酸化膜の平均膜厚は100nm以下であることが好ましい。
ここで、前記酸化膜の平均膜厚は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)(JEM-2100plus、日本電子株式会社製)を用い、はんだ粒子の断面写真におけるはんだ粒子の表面から中心方向の酸化膜の厚みを測定した。
酸化膜の平均膜厚は、はんだ粒子の1粒子について3箇所の酸化膜の厚みを測定し、10個のはんだ粒子について酸化膜の厚みを求め、これらの酸化膜の厚みを平均した平均値である。
【0015】
本発明のはんだ粒子は、平均表面粗さRaが10nm以上であること、即ち、はんだ粒子の表面を荒らして凹凸を形成することにより、更にはんだ粒子の深さ方向に酸化膜を形成することができる。
【0016】
ここで、図3の(a)及び(b)は、分級後のはんだ粒子21は平均表面粗さを大きくすることにより、平均表面粗さの小さい分級前のはんだ粒子20に比べて、はんだ粒子同士の接触面積を減少できることを示す模式図である。図3の(b)に示すように、本発明の分級後のはんだ粒子21は、平均表面粗さRaが大きいことにより、図3の(a)に示す分級前のはんだ粒子20に比べて、はんだ粒子同士の接触面積を減らすことができる。図3中22は、酸化膜である。
【0017】
また、図4の(a)及び(b)は、分級後のはんだ粒子21は平均表面粗さを大きくすることにより、平均表面粗さの小さい分級前のはんだ粒子20に比べて、疑似的に酸化膜の平均膜厚を増加できることを示す模式図である。図4の(b)に示すように、本発明の分級後のはんだ粒子21は、平均表面粗さRaが大きいことにより、図4の(a)に示す分級前のはんだ粒子20に比べて、分級前のはんだ粒子の酸化膜の厚みL1を分級後のはんだ粒子の酸化膜の厚みL2に疑似的に増やすことができる。図4中22は、酸化膜である。
【0018】
図3及び図4に示したように、本発明のはんだ粒子は、加熱圧着実装時に配線パターン間などの無加圧部に存在するはんだ粒子は、接触したはんど粒子同士がはんだ粒子の融点に達しても溶融して合一化しないので、絶縁性の低下を防止できる。
現在市販されているはんだ粒子(分級前のはんだ粒子)の平均表面粗さRaは1nm程度であるため、上述の効果は得られない。
【0019】
本発明のはんだ粒子の平均表面粗さRaは10nm以上であることにより、上述の効果を発揮することができる。平均表面粗さRaの上限値については特に制限はないが、平均表面粗さRaが大きすぎると分級プロセスは、はんだ粒子表面だけでなくはんだ粒子全体へのダメージが大きくなり、はんだ粒子の割れ及び欠けが発生してしまう。また、はんだ粒子の平均表面粗さRaが大きすぎると酸化膜が厚すぎるのと同義となるため、加熱圧着実装時に上下電極間で挟まれたはんだ粒子の酸化膜が破れずに導通抵抗が上昇してしまうことがある。このため、平均表面粗さRaは500nm以下であることが好ましい。
前記はんだ粒子の平均表面粗さRaは、例えば、AFM(SPA400 NanoNaviII、株式会社日立ハイテク製)を用い、はんだ粒子の1粒子について5箇所の表面粗さを測定し、10個のはんだ粒子について表面粗さを求め、これらの表面粗さを平均した平均値である。
【0020】
前記はんだ粒子は、例えば、JIS Z3282-1999に規定されている、Sn-Pb系、Pb-Sn-Sb系、Sn-Sb系、Sn-Pb-Bi系、Bi-Sn系、Sn-Cu系、Sn-Pb-Cu系、Sn-In系、Sn-Ag系、Sn-Pb-Ag系、Pb-Ag系などが挙げられ、Snと、Bi、Ag、Cu、及びInから選択される少なくとも1種と、を含むものが好ましく、具体的には、SnBi、SnBiAg、SnAgCu、SnInなどが挙げられる。
前記はんだ粒子の融点は、110℃以上240℃以下が好ましく、120℃以上200℃以下がより好ましい。
【0021】
前記はんだ粒子の個数平均粒径は1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、10μm以上が更に好ましく、15μm以上が特に好ましい。前記はんだ粒子の個数平均粒径の上限値は30μm以下が好ましく、25μm以下がより好ましく、20μm以下が更に好ましい。
前記はんだ粒子の個数平均粒径は、例えば、乾式撮像型粒度分布計(Morphologi G3、Malvern社製)を用い、約1万個の粒子を測定し、粒度分布は個数頻度で表現することができる。
前記はんだ粒子における個数平均粒径の1.25倍以上大きい個数粒径を有する粗大はんだ粒子の割合は0.5%以下が好ましく、0.1%以下がより好ましく、0.05%以下が更に好ましく、0.01%以下が特に好ましく、0%が最も好ましい。
前記はんだ粒子における個数平均粒径の1.25倍以上大きい個数粒径を有する粗大はんだ粒子の割合が0.5%以下であると、粗大はんだ粒子による配線パターン間のショートの発生を回避することができる。
【0022】
(はんだ粒子の製造方法)
本発明のはんだ粒子の製造方法は、酸素含有雰囲気下、分級装置により強制的に気流を発生させてはんだ粒子を分級する分級工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
【0023】
前記分級装置は、強制的に気流を発生させて粒子を分散させ粒子表面を荒らしながら分級する装置を使用する。前記分級装置としては、(1)篩を使用して気流で旋回させた粒子を篩に衝突させて篩を通過させて分級する装置でもよいし、(2)篩を使用せずに旋回遠心力を生み出すローターを使用し、ローターにはんだ粒子が衝突させながら発生させた遠心力と空気の抗力の釣り合いで分級する装置でもよい。
【0024】
前記(1)の分級装置としては、ブロアー吸引により気流を発生させて粒子を旋回させながら篩表面に何度も衝突させて分級する装置がある。この分級装置によると、はんだ粒子と篩表面の衝突によってはんだ粒子表面が凸凹に荒らされ、同時に酸化膜を形成しながら分級される。このような分級装置としては、例えば、スピンエアシーブ(株式会社セイシン企業製)などが挙げられる。
前記ブロアー吸引圧力は、0.1MPa以上1.5MPa以下が好ましく、0.5MPa以上1.0MPa以下がより好ましい。
【0025】
前記(2)の分級装置としては、分級室内で空気渦がはんだ粒子とともに旋回し、ローターの回転によって生じる旋回遠心力とブロアー吸引によりローター中心方向へ流れる空気流のバランスで粗粉と微粉に分級する装置を使用する。はんだ粒子とローター表面の衝突によってはんだ粒子表面が凹凸に荒らされると共に、酸化膜を形成しながら分級される。このような分級装置としては、例えば、クラッシール(株式会社セイシン企業製)などが挙げられる。
前記ローター回転数は500rpm以上2,000rpm以下が好ましく、900rpm以上1,800rpm以下がより好ましい。
【0026】
前記分級は、酸素含有雰囲気下で行う。酸素含有雰囲気における酸素濃度は、15vol%以上が好ましく、20vol%以上がより好ましい。前記酸素濃度が15vol%以上であると、はんだ粒子表面に強固な酸化膜を形成することができる。酸素濃度が21vol%の酸素含有雰囲気としては空気を用いることができる。
【0027】
(導電性組成物)
本発明の導電性組成物は、本発明のはんだ粒子を含有し、バインダー、単官能の重合性モノマー、エラストマー、硬化剤、及びシランカップリング剤を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0028】
前記導電性組成物は、フィルム状の導電性フィルム、又はペースト状の導電性ペーストのいずれであってもよい。取り扱いのし易さの点では導電性フィルムが好ましく、コストの点では導電性ペーストが好ましい。なお、導電性組成物が導電性フィルムである場合、前記はんだ粒子を含む導電性フィルムに、はんだ粒子を含まないフィルムが積層されてもよい。
【0029】
-はんだ粒子-
はんだ粒子としては、上述した本発明のはんだ粒子が用いられる。
前記はんだ粒子の前記導電性組成物における含有量としては、特に制限はなく、接続構造体の配線ピッチや、接続面積などによって適宜調整することができる。
【0030】
-バインダー-
前記バインダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばフェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、製膜性、加工性、接続信頼性の点でフェノキシ樹脂が特に好ましい。
前記フェノキシ樹脂とは、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンより合成される樹脂であって、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。該市販品としては、例えば商品名:YP-50(東都化成株式会社製)、YP-70(東都化成株式会社製)、EP1256(ジャパンエポキシレジン株式会社製)などが挙げられる。
前記バインダーの導電性組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、20質量%~70質量%が好ましく、35質量%~55質量%がより好ましい。
【0031】
-単官能の重合性モノマー-
前記単官能の重合性モノマーとしては、分子内に重合性基を1つ有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単官能の(メタ)アクリルモノマー、スチレンモノマー、ブタジエンモノマー、その他2重結合を有するオレフィン系モノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、接着強度、接続信頼性の点で単官能(メタ)アクリルモノマーが特に好ましい。
前記単官能(メタ)アクリルモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸n-ドデシル、アクリル酸2-エチルへキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2-クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸、又はそのエステル類;メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n-オクチル、メタクリル酸n-ドデシル、メタクリル酸2-エチルへキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸又はそのエステル類、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0032】
前記単官能の重合性モノマーの導電性組成物における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、2質量%~30質量%であることが好ましく、5質量%~20質量%であることがより好ましい。
【0033】
-硬化剤-
前記硬化剤としては、バインダーを硬化できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、有機過酸化物などが好適である。
前記有機過酸化物としては、例えばラウロイルパーオキサイド、ブチルパーオキサイド、ベンジルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、ベンジルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、ベンゾイルパーオキサイドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記硬化剤の導電性組成物における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%以上15質量%以下が好ましく、3質量%以上10質量%以下がより好ましい。
【0034】
-エラストマー-
エラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリウレタン系エラストマー、アクリルゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0035】
-シランカップリング剤-
前記シランカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばエポキシ系シランカップリング剤、アクリル系シランカップリング剤、チオール系シランカップリング剤、アミン系シランカップリング剤などが挙げられる。
前記シランカップリング剤の導電性組成物における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上5質量%以下がより好ましい。
【0036】
-その他の成分-
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機溶剤、充填剤、軟化剤、促進剤、老化防止剤、着色剤(顔料、染料)、イオンキャッチャー剤などが挙げられる。前記その他の成分の添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0037】
<用途>
本発明のはんだ粒子及び導電性組成物は、ショートリスクを回避でき、絶縁性の低下を抑制できるので、例えば、フレキシブルプリント基板とガラス基板との接続(FOG(Film on Glass))、半導体チップとフレキシブルプリント基板との接続(COF(Chip on Film))、半導体チップとガラス基板との接続(COG(Chip on Glass))、並びにフレキシブルプリント基板とガラスエポキシ基板との接続(FOB(Film on Board))などの様々な接続対象部材の電極間を電気的に接続するために用いることができる。
【実施例
【0038】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0039】
<粒度分布測定>
乾式撮像型粒度分布計(Morphologi G3、Malvern社製)を用い、約1万個の粒子を測定し、粒度分布は個数頻度で表示した。
【0040】
<酸化膜の平均膜厚の測定>
透過型電子顕微鏡(TEM)(JEM-2100plus、日本電子株式会社製)により、はんだ粒子の断面写真におけるはんだ粒子の表面から中心方向の酸化膜の厚みを測定した。
酸化膜の平均膜厚は、はんだ粒子の1粒子について3箇所の酸化膜の厚みを測定し、10個のはんだ粒子について酸化膜の厚みを求め、これらの酸化膜の厚みを平均した平均値である。
【0041】
<平均表面粗さRaの測定>
原子間力顕微鏡(AFM)(SPA400 NanoNaviII、株式会社日立ハイテク製)を用い、はんだ粒子の1粒子について5箇所の表面粗さを測定し、10個のはんだ粒子について表面粗さを求め、これらの表面粗さを平均した平均値である。
【0042】
<DSCによるはんだ粒子の吸熱ピークの測定>
DSCによるはんだ粒子の吸熱ピークは、示差走査熱量計(DSC)(EXSTAR DSC6200、セイコーインスツルメンツ(SII)株式会社製)を用いて測定した。
【0043】
<はんだ粒子の表面のSEM観察>
はんだ粒子の表面のSEM観察は、走査型電子顕微鏡(SEM)(JSM-6510A、日本電子株式会社製)を用いて行った。
【0044】
(実施例1)
<はんだ粒子の分級>
はんだ粒子としてSn42Bi58-Type5(三井金属鉱業株式会社製)を用意した。Sn42Bi58-Type5を乾式撮像型粒度分布計(Morphologi G3、Malvern社製)で測定した結果、粒度分布15μm~25μm、累積50%個数粒径(D50)20μm、個数粒径25μm以上の粗大はんだ粒子の割合が5%であった。
スピンエアシーブ(株式会社セイシン企業製)に直径φ200mm-目開き20μmの綾織金網篩(東京スクリーン株式会社製)をセットし、ブロアーで0.5kPaの吸引圧力となるよう吸引した。原料供給口からはんだ粒子50gを投入した。空気中で原料投入から分級終了まで5分間稼働させ、分級回数1回の強制気流式分級処理により篩を通過した微粉側の粒子を回収して分級はんだ粒子を得た。
得られた分級はんだ粒子を乾式撮像型粒度分布計(Morphologi G3、Malvern社製)で測定した結果、個数粒径25μm以上の粗大はんだ粒子の割合が0.01%であった。得られた分級はんだ粒子の表面は凸凹していることが走査型電子顕微鏡(SEM)観察から観察された。分級はんだ粒子の示差走査熱量計(DSC)による吸熱ピークを測定したところ141℃を示し、DSC測定後の分級はんだ粒子のSEM観察の結果、分級前はんだ粒子に比べて分級はんだ粒子は粒子溶融による粒子同士の凝集がほぼ無いことが観察された。
また、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて分級はんだ粒子の表面から中心方向の酸化膜の厚みの測定を行った結果、酸化膜の平均膜厚は5nmであり、分級前はんだ粒子よりも酸化膜の厚みが厚いことが確認された。
また、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて分級はんだ粒子の平均表面粗さRaを測定した結果、平均表面粗さRaは15nmであり、分級前はんだ粒子よりも平均表面粗さRaが大きいことが確認された。
【0045】
<導電性フィルムの作製>
作製した実施例1のはんだ粒子5質量部と、下記の絶縁性バインダー95質量部とを遊星式撹拌装置に投入し、1分間撹拌して導電性組成物を作製した。
次に、導電性組成物を厚さ50μmのPETフィルム上に塗布し、80℃のオーブンで5分間乾燥させ、導電性組成物からなる厚さ25μmの粘着層をPETフィルム上に形成し、幅2.0mmの導電性フィルムを作製した。
【0046】
-絶縁性バインダー-
絶縁性バインダーは、フェノキシ樹脂(商品名:YP-50、新日化エポキシ製造株式会社製)47質量部、単官能モノマー(商品名:M-5300、東亞合成株式会社製)3質量部、ウレタン樹脂(商品名:UR-1400、東洋紡績株式会社製)25質量部、ゴム成分(商品名:SG80H、ナガセケムテックス株式会社製)15質量部、シランカップリング剤(商品名:A-187、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)2質量部、及び有機過酸化物(商品名:ナイパーBW、日油株式会社製)3質量部を、固形分が50質量%となるように含有する、酢酸エチルとトルエンとの混合溶液とした。
【0047】
<接続構造体の作製>
上記導電性フィルムを介して、評価用基板(ガラスエポキシ基板(FR4)、200μmピッチ、ライン:スペース=1:1、端子厚み10μm、Cu(下地)/Ni/Auメッキ)と、FPC(ポリイミドフィルム、200μmピッチ、ライン:スペース=1:1、端子厚み12μm、Cu(下地)/Ni/Auメッキ)とを熱圧着し、接続構造体を作製した。
熱圧着は、FPC上の厚み200μmのシリコンラバーを介してツールを押し下げ、温度:150℃、圧力:2MPa、時間:20secの条件で行った。
【0048】
<導通特性の評価>
作製した接続構造体について、デジタルマルチメータ(横河電機株式会社製)を用い、4端子法にて電流1mAを流したときの初期導通抵抗を測定し、下記の基準で評価した。
また、接続構造体のパターン間に電圧を印加し、初期絶縁抵抗を測定し、ショートの有無を確認した。なお、初期絶縁抵抗が1×10Ω以下をショート発生NGとして評価した。
[評価基準]
〇:導通抵抗が1Ω以下の場合
△:導通抵抗が1Ωを超えた場合
×:導通抵抗がOPEN
【0049】
(実施例2)
<はんだ粒子の分級>
実施例1において、分級条件における分級回数を3回に変更した以外は、実施例1と同様にして、強制気流式分級処理を行い、実施例2のはんだ粒子を作製した。
【0050】
<導電性フィルムの作製、接続構造体の作製、及び評価>
作製した実施例2のはんだ粒子を用い、実施例1と同様にして、導電性フィルム及び接続構造体を作製し、評価を行った。結果を表1に示した。
【0051】
(実施例3)
<はんだ粒子の分級>
実施例1において、分級条件における吸引圧力を1MPaに変更した以外は、実施例1と同様にして、強制気流式分級処理を行い、実施例3はんだ粒子を作製した。
【0052】
<導電性フィルムの作製、接続構造体の作製、及び評価>
作製した実施例3のはんだ粒子を用い、実施例1と同様にして、導電性フィルム及び接続構造体を作製し、評価を行った。結果を表1に示した。
【0053】
(実施例4)
<はんだ粒子の分級>
実施例1において、Sn42Bi58-Type5を、Sn42Bi58Ag-Type5(千住金属株式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、強制気流式分級処理を行い、実施例4のはんだ粒子を作製した。
Sn42Bi58Ag-Type5を乾式撮像型粒度分布計(Morphologi G3、Malvern社製)で測定した結果、粒度分布15μm~25μm、累積50%個数粒径(D50)20μm、個数粒径25μm以上の粗大粒子の割合が6%であった。
【0054】
<導電性フィルムの作製、接続構造体の作製、及び評価>
作製した実施例4のはんだ粒子を用い、実施例1と同様にして、導電性フィルム及び接続構造体を作製し、評価を行った。結果を表2に示した。
【0055】
(実施例5)
<はんだ粒子の分級>
はんだ粒子としてSn42Bi58-Type5(三井金属鉱業株式会社製)を用い、クラッシール(株式会社セイシン企業製)に、付帯したローターを900rpmで回転させ、更にブロアーで3m/minの強度で吸引した。原料供給口からはんだ粒子50gを投入した。空気中で原料投入から分級終了まで5分間稼働させ、分級回数1回の強制気流式分級処理により微粉側の粒子を回収して分級はんだ粒子を得た。
得られた分級はんだ粒子を粒度分布計で測定した結果、個数粒径25μm以上の粗大はんだ粒子の割合は0%であった。得られた分級はんだ粒子の表面は凸凹していることがSEM観察から観察された。分級はんだ粒子の示差走査熱量計(DSC)による吸熱ピークを測定したところ141℃を示し、DSC測定後の粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)観察の結果、分級前粒子に比べて分級はんだ粒子は粒子溶融による粒子同士の凝集がほぼ無いことが観察された。
また、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて分級はんだ粒子の表面から中心方向の酸化膜の厚みの測定を行った結果、酸化膜の平均膜厚は8nmであり、分級前はんだ粒子よりも酸化膜の平均膜厚が厚いことが確認された。
また、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて分級はんだ粒子の平均表面粗さRaを測定した結果、平均表面粗さRaは20nmであり、分級前はんだ粒子よりも平均表面粗さRaが大きいことが確認された。
【0056】
<導電性フィルムの作製、接続構造体の作製、及び評価>
作製した実施例5のはんだ粒子を用い、実施例1と同様にして、導電性フィルム及び接続構造体を作製し、評価を行った。結果を表2に示した。
【0057】
(実施例6)
<はんだ粒子の分級>
実施例5において、分級条件におけるローター回転数を1200rpmに変更した以外は、実施例1と同様にして、強制気流式分級処理を行い、実施例6のはんだ粒子を作製した。
【0058】
<導電性フィルムの作製、接続構造体の作製、及び評価>
作製した実施例6のはんだ粒子を用い、実施例1と同様にして、導電性フィルム及び接続構造体を作製し、評価を行った。結果を表2に示した。
【0059】
(実施例7)
<はんだ粒子の分級>
実施例5において、分級条件におけるローター回転数を1800rpmに変更した以外は、実施例1と同様にして、強制気流式分級処理を行い、実施例7のはんだ粒子を作製した。
【0060】
<導電性フィルムの作製、接続構造体の作製、及び評価>
作製した実施例7のはんだ粒子を用い、実施例1と同様にして、導電性フィルム及び接続構造体を作製し、評価を行った。結果を表3に示した。
【0061】
(比較例1)
はんだ粒子としてSn42Bi58-Type5(三井金属鉱業株式会社製)を分級せずにそのまま用いた。
はんだ粒子の示差走査熱量計(DSC)による吸熱ピークを測定したところ141℃を示し、DSC測定後の粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)観察の結果、粒子溶融により粒子同士の凝集が多数できているのが観察された。
また、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて分級はんだ粒子の表面から中心方向の酸化膜の厚みの測定を行った結果、酸化膜の平均膜厚は1nmであり、実施例1~7の分級はんだ粒子よりも酸化膜の平均膜厚が薄いことが確認された。また、原子間力顕微鏡(AFM)を用いてはんだ粒子の平均表面粗さRaを測定した結果、平均表面粗さRaは5nmであり、実施例1~7の分級はんだ粒子よりも平均表面粗さRaが小さいことが確認された。
【0062】
<導電性フィルムの作製、接続構造体の作製、及び評価>
比較例1のはんだ粒子を用い、実施例1と同様にして、導電性フィルム及び接続構造体を作製し、評価を行った。結果を表3に示した。
【0063】
(比較例2)
<はんだ粒子の分級>
はんだ粒子としてSn42Bi58-Type5(三井金属鉱業株式会社製)を用い、Sn42Bi58-Type5を篩振とう機(VUD-80、筒井理化学器機株式会社製)で#20μm目開き篩を使用して粗大はんだ粒子を除去する分級を行った。
得られた分級はんだ粒子を粒度分布計で測定した結果、個数粒径25μm以上の粗大はんだ粒子の割合は0%であった。得られた分級はんだ粒子の表面は分級前とほぼ変わらないことが走査型電子顕微鏡(SEM)観察から確認できた。分級はんだ粒子の示差走査熱量計(DSC)による吸熱ピークを測定したところ141℃を示し、DSC測定後の粒子のSEM観察の結果、粒子溶融により粒子同士の凝集が多数できているのが観察された。
また、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて分級はんだ粒子の表面から中心方向の酸化膜の平均膜厚の測定を行った結果、酸化膜の平均膜厚は2nmであり、実施例1~7の分級はんだ粒子よりも酸化膜の平均膜厚が薄いことが確認された。
また、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて分級はんだ粒子の平均表面粗さRaを測定した結果、平均表面粗さRaは8nmであり、実施例1~7の分級後のはんだ粒子よりも平均表面粗さRaが小さいことが確認された。
【0064】
<導電性フィルムの作製、接続構造体の作製、及び評価>
作製した比較例2のはんだ粒子を用い、実施例1と同様にして、導電性フィルム及び接続構造体を作製し、評価を行った。結果を表3に示した。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
表1~表3の結果から、実施例1~7は、いずれも初期導通抵抗及び初期絶縁抵抗ともに良好な値が得られることがわかった。
また、比較例1は、初期導通抵抗は良好であったが、初期絶縁抵抗の測定においてショートが発生した。ショートが発生したチャンネルのパターン間を観察したところ、直径φ30μm程度の球形大のはんだ粒子が挟まっている部位、又はんだ粒子が溶融して粗大はんだ粒子に成長した異形はんだが存在する部位が観察された。
また、比較例2は、初期導通抵抗は良好であったが、初期絶縁抵抗の測定においてショートが発生した。ショートが発生したチャンネルのパターン間を観察したところ、はんだ粒子が溶融して粗大はんだ粒子に成長した異形はんだ粒子が存在する部位が観察された。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明のはんだ粒子及び導電性組成物は、ショートリスクを回避でき、絶縁性の低下を抑制できるので、例えば、フレキシブルプリント基板(FPC)やICチップの端子とLCDパネルのガラス基板上に形成されたITO(Indium Tin Oxide)電極との接続、COFとPWBの接続、TCPとPWBの接続、COFとガラス基板の接続、COFとCOFの接続、IC基板とガラス基板の接続、IC基板とPWBの接続などに好適に用いられる。
【符号の説明】
【0070】
10 配線パターン
11 粗大はんだ粒子
12 はんだ粒子
13 金属体
20 分級前のはんだ粒子
21 分級後のはんだ粒子
22 酸化膜
L1 分級前のはんだ粒子の酸化膜の厚み
L2 分級後のはんだ粒子の酸化膜の厚み

図1
図2
図3
図4