(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-11-18
(45)【発行日】2025-11-27
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20251119BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2025163347
(22)【出願日】2025-09-30
【審査請求日】2025-09-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 恭平
(72)【発明者】
【氏名】粟飯原 元
(72)【発明者】
【氏名】藤原 光る
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特許第7504276(JP,B1)
【文献】特許第7728398(JP,B1)
【文献】特許第7706802(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イベントの企画内容を示す企画情報を取得する第1取得部と、
イベントを評価するための一以上の評価軸に基づいて前記企画情報が示すイベントを大規模言語モデルに評価させるプロンプトを生成する生成部と、を有し、
前記大規模言語モデルは、過去に開催されたイベントである過去イベントの実績内容を示す実績情報と、前記一以上の評価軸に基づく前記過去イベントの評価結果とを参照可能に設定された大規模言語モデル、又は当該実績情報と当該評価結果とを教師データとして学習した大規模言語モデルであり、
前記大規模言語モデルに前記プロンプトを入力し、前記企画情報が示すイベントの評価結果を示す評価情報を前記大規模言語モデルから取得する第2取得部と、
前記評価情報を出力する出力部と、を有する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記生成部は、前記企画情報に基づいて前記一以上の評価軸を特定させ、特定した評価軸に基づいて前記企画情報が示すイベントを評価させる前記プロンプトを生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記生成部は、前記企画情報に基づいて、前記一以上の評価軸のうち相対的に重要な評価軸を特定させ、特定した評価軸に基づいて前記企画情報が示すイベントを評価させる前記プロンプトを生成する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記生成部は、前記企画情報の前記一以上の評価軸それぞれに対応する評価と、前記一以上の評価軸それぞれの評価に基づく前記企画情報の総合評価とを示す前記評価情報を生成させる前記プロンプトを生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記生成部は、前記企画情報が示す前記イベントの評価結果に基づいて当該イベントを開催することの良否を判定させ、前記評価結果と、当該イベントを開催することの良否を示すコメントとを含む前記評価情報を生成させる前記プロンプトを生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記生成部は、前記企画情報が示す前記イベントの評価結果に基づいて、前記一以上の評価軸それぞれの評価のうち、改善すべき評価を特定させ、特定した評価を改善させる前記イベントの企画内容の変更案を生成させる前記プロンプトを生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記生成部は、前記企画情報が示す前記イベントの評価結果に基づいて、前記一以上の評価軸のうち、相対的に低い評価の評価軸、又は相対的に総合評価への影響度が高い評価軸に対応する評価を、改善すべき評価と特定させる前記プロンプトを生成する、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記生成部は、前記企画情報が示す前記イベントと類似する過去イベントのうち相対的に実績内容が良い過去イベントにおいて評価が高い評価軸を、前記総合評価への影響度が高い評価軸と特定させる前記プロンプトを生成する、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第1取得部は、前記企画情報が示す前記イベントと異なる、当該イベントの開催場所から所定範囲内、かつ、当該イベントの開催予定日から所定期間内に開催される予定の他イベントの企画内容を示す他イベント情報を取得し、
前記生成部は、前記企画情報が示す前記イベントと、前記他イベント情報が示す他イベントとを評価させ、前記イベントの評価結果と、前記他イベントの評価結果との比較結果を生成する前記プロンプトを生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記生成部は、前記企画情報に含まれていない前記イベントの構成要素がある場合、前記イベントに当該構成要素を含めた場合に、当該イベントの評価が所定の基準を超える当該構成要素の内容を提案させる前記プロンプトを生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記大規模言語モデルは、前記過去イベントの開催場所における前記過去イベントのレイアウト及び人流を含む実績内容を示す実績情報を参照可能に設定された大規模言語モデル、又は当該実績情報を教師データとして学習した大規模言語モデルであり、
前記第1取得部は、前記イベントの開催場所を示す前記企画情報を取得し、
前記生成部は、前記大規模言語モデルに、前記イベントの開催場所における前記イベントのレイアウトであって、前記イベントの評価が高くなるレイアウトを提案させる前記プロンプトを生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
コンピュータが実行する、
イベントの企画内容を示す企画情報を取得するステップと、
イベントを評価するための一以上の評価軸に基づいて前記企画情報が示すイベントを大規模言語モデルに評価させるプロンプトを生成するステップと、を有し、
前記大規模言語モデルは、過去に開催されたイベントである過去イベントの実績内容を示す実績情報と、前記一以上の評価軸に基づく前記過去イベントの評価結果とを参照可能に設定された大規模言語モデル、又は当該実績情報と当該評価結果とを教師データとして学習した大規模言語モデルであり、
前記大規模言語モデルに前記プロンプトを入力し、前記企画情報が示すイベントの評価結果を示す評価情報を前記大規模言語モデルから取得するステップと、
前記評価情報を出力するステップと、を有する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、イベントを企画する企画者を支援する技術が知られている。例えば、特許文献1には、対象施設がイベントを実施するのに向いている施設であるかを評価する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
イベントの企画者にとっては、イベントを開催する施設の選定だけではなく、イベントの企画内容についても検討する必要がある。しかしながら、従来の技術では、イベントの企画内容を評価することができないという問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、イベントの企画内容を評価できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る情報処理装置は、イベントの企画内容を示す企画情報を取得する第1取得部と、イベントを評価するための一以上の評価軸に基づいて前記企画情報が示すイベントを大規模言語モデルに評価させるプロンプトを生成する生成部と、を有し、前記大規模言語モデルは、過去に開催されたイベントである過去イベントの実績内容を示す実績情報と、前記一以上の評価軸に基づく前記過去イベントの評価結果とを参照可能に設定された大規模言語モデル、又は当該実績情報と当該評価結果とを教師データとして学習した大規模言語モデルであり、前記大規模言語モデルに前記プロンプトを入力し、前記企画情報が示すイベントの評価結果を示す評価情報を前記大規模言語モデルから取得する第2取得部と、前記評価情報を出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記生成部は、前記企画情報に基づいて前記一以上の評価軸を特定させ、特定した評価軸に基づいて前記企画情報が示すイベントを評価させる前記プロンプトを生成してもよい。
【0008】
前記生成部は、前記企画情報に基づいて、前記一以上の評価軸のうち相対的に重要な評価軸を特定させ、特定した評価軸に基づいて前記企画情報が示すイベントを評価させる前記プロンプトを生成してもよい。
【0009】
前記生成部は、前記企画情報の前記一以上の評価軸それぞれに対応する評価と、前記一以上の評価軸それぞれの評価に基づく前記企画情報の総合評価とを示す前記評価情報を生成させる前記プロンプトを生成してもよい。
【0010】
前記生成部は、前記企画情報が示す前記イベントの評価結果に基づいて当該イベントを開催することの良否を判定させ、前記評価結果と、当該イベントを開催することの良否を示すコメントとを含む前記評価情報を生成させる前記プロンプトを生成してもよい。
【0011】
前記生成部は、前記企画情報が示す前記イベントの評価結果に基づいて、前記一以上の評価軸それぞれの評価のうち、改善すべき評価を特定させ、特定した評価を改善させる前記イベントの企画内容の変更案を生成させる前記プロンプトを生成してもよい。
【0012】
前記生成部は、前記企画情報が示す前記イベントの評価結果に基づいて、前記一以上の評価軸のうち、相対的に低い評価の評価軸、又は相対的に総合評価への影響度が高い評価軸に対応する評価を、改善すべき評価と特定させる前記プロンプトを生成してもよい。
【0013】
前記生成部は、前記企画情報が示す前記イベントと類似する過去イベントのうち相対的に実績内容が良い過去イベントにおいて評価が高い評価軸を、前記総合評価への影響度が高い評価軸と特定させる前記プロンプトを生成してもよい。
【0014】
前記第1取得部は、前記企画情報が示す前記イベントと異なる、当該イベントの開催場所から所定範囲内、かつ、当該イベントの開催予定日から所定期間内に開催される予定の他イベントの企画内容を示す他イベント情報を取得し、前記生成部は、前記企画情報が示す前記イベントと、前記他イベント情報が示す他イベントとを評価させ、前記イベントの評価結果と、前記他イベントの評価結果との比較結果を生成する前記プロンプトを生成してもよい。
【0015】
前記生成部は、前記企画情報に含まれていない前記イベントの構成要素がある場合、前記イベントに当該構成要素を含めた場合に、当該イベントの評価が所定の基準を超える当該構成要素の内容を提案させる前記プロンプトを生成してもよい。
【0016】
前記大規模言語モデルは、前記過去イベントの開催場所における前記過去イベントのレイアウト及び人流を含む実績内容を示す実績情報を参照可能に設定された大規模言語モデル、又は当該実績情報を教師データとして学習した大規模言語モデルであり、前記第1取得部は、前記イベントの開催場所を示す前記企画情報を取得し、前記生成部は、前記大規模言語モデルに、前記イベントの開催場所における前記イベントのレイアウトであって、前記イベントの評価が高くなるレイアウトを提案させる前記プロンプトを生成してもよい。
【0017】
本発明の第2の態様に係る情報処理方法は、コンピュータが実行する、イベントの企画内容を示す企画情報を取得するステップと、イベントを評価するための一以上の評価軸に基づいて前記企画情報が示すイベントを大規模言語モデルに評価させるプロンプトを生成するステップと、を有し、前記大規模言語モデルは、過去に開催されたイベントである過去イベントの実績内容を示す実績情報と、前記一以上の評価軸に基づく前記過去イベントの評価結果とを参照可能に設定された大規模言語モデル、又は当該実績情報と当該評価結果とを教師データとして学習した大規模言語モデルであり、前記大規模言語モデルに前記プロンプトを入力し、前記企画情報が示すイベントの評価結果を示す評価情報を前記大規模言語モデルから取得するステップと、前記評価情報を出力するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、イベントの企画内容を評価できるようにすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図4】ユーザ端末に評価情報が表示された例を示す図である。
【
図5】情報処理装置、大規模言語モデル及びユーザ端末における処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図6】イベントの開催場所におけるブース等の設置例と人流とが表示されたマップがユーザ端末に表示された例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[情報処理装置1の概要]
図1は、情報処理装置1の概要を示す図である。情報処理装置1は、大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)2と、イベントを企画、立案する企画者であるユーザが使用するユーザ端末3とに通信可能に接続されており、ユーザによるイベントの企画、立案を支援するためのコンピュータである。
【0021】
大規模言語モデル2は、例えば、ChatGPT(登録商標)やClaude(登録商標)といった生成AI(Artificial Intelligence)であり、指示情報としてのプロンプトを受け付けたことに応じて、プロンプトが示す指示に対応する回答を出力する。ユーザ端末3は、例えば、パーソナルコンピュータやタブレット等のコンピュータである。
【0022】
情報処理装置1は、ユーザから、イベントの企画内容を示す企画情報を取得する(
図1における(1))。情報処理装置1は、企画情報を取得したことに応じて、イベントを評価するための一以上の評価軸に基づいて、当該企画情報が示すイベントを大規模言語モデル2に評価させるプロンプトを生成する(
図1における(2))。
【0023】
情報処理装置1は、生成したプロンプトを大規模言語モデル2に入力し(
図1における(3))、大規模言語モデル2が生成した、企画情報が示すイベントの評価結果を示す評価情報を取得する(
図1における(4))。情報処理装置1は、評価情報を取得したことに応じて、取得した評価情報をユーザ端末3に出力する(
図1における(5))。
【0024】
ここで、大規模言語モデル2は、例えば、検索拡張生成(RAG)機能が組み込まれており、過去に開催されたイベントである過去イベントの内容及び過去イベントの実績内容を示す過去イベント結果情報と、当該過去イベントに対する一以上の評価軸に基づく評価結果とを参照可能に設定されたモデルである。これにより、大規模言語モデル2は、過去イベントの実績内容と、評価結果とに基づいて、企画情報が示す企画内容に対する評価を適切に行うことができる。
【0025】
このようにすることで、ユーザ端末3のユーザは、自身が企画、立案するイベントの企画内容を示す企画情報を情報処理装置1に入力することにより、当該企画情報が示すイベントに対する評価結果を得ることができる。これにより、ユーザは、評価結果を確認し、企画内容を評価することができる。したがって、情報処理装置1は、イベントの企画内容をユーザが評価できるようにすることができる。
【0026】
[情報処理装置1の機能構成]
続いて、情報処理装置1の機能構成について説明する。
図2は、情報処理装置1の機能構成を示す図である。情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。
【0027】
通信部11は、携帯電話回線やインターネット等の通信ネットワークを介して大規模言語モデル2やユーザ端末3等とデータを送受信するための通信インターフェースである。
記憶部12は、各種のデータを記憶する記憶媒体であり、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク、及びSSD(Solid State Drive)等を有する。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶する。例えば、記憶部12は、制御部13を、第1取得部131、生成部132、第2取得部133及び出力部134として機能させるプログラムを記憶する。
【0028】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、第1取得部131、生成部132、第2取得部133及び出力部134として機能する。
【0029】
第1取得部131は、イベントの企画内容を示す企画情報を取得する。例えば、第1取得部131は、ユーザ端末3から分析ページの取得要求を受け付けたことに応じて、分析ページをユーザ端末3に送信し、分析ページをユーザ端末3に表示させる。そして、第1取得部131は、ユーザ端末3から、企画情報を受け付ける。第1取得部131は、分析ページを介して、ユーザ端末3から、イベントの企画内容を示す企画情報として、開催日時、開催場所、イベントの種類、規模、目的、ターゲット層、広告の出稿媒体、出稿頻度、提供するサービスの品質等を示す情報を取得する。第1取得部131は、ユーザ端末3から、イベントの企画内容を示すテキスト情報及び画像の少なくともいずれかを含む概要資料等の、企画内容を示す情報を複数含むファイルを取得し、ファイルを解析することによってイベントの企画情報を取得してもよい。
【0030】
生成部132は、イベントを評価するための一以上の評価軸に基づいて、第1取得部131が取得した企画情報が示すイベントを大規模言語モデル2に評価させるプロンプトを生成する。ここで、一以上の評価軸は、予め定められており、経済的効果、集客力、独自性、ターゲットへの適合性、イベントの開催タイミングの適合性、地理的適合性等である。評価軸には、上述した他に出店者やスポンサーとの協調性、社会的意義が含まれていてもよい。また、一以上の評価軸は、予め定められているものとするが、これに限らない。生成部132は、プロンプトを生成する前に、ユーザ端末3から一以上の評価軸の設定を受け付けてもよいし、一以上の評価軸をユーザ端末3に提示し、評価対象の評価軸の選択や、評価軸の編集を受け付けてもよい。
【0031】
生成部132は、第1取得部131が取得した企画情報を含み、当該企画情報の一以上の評価軸それぞれに対応する評価と、一以上の評価軸それぞれの評価に基づく企画情報の総合評価とを示す評価情報を生成させるプロンプトを生成する。
【0032】
図3は、生成部132が生成したプロンプトの一例を示す図である。
図3に示すように、プロンプトに、企画情報が示すイベントの内容と、複数の評価軸と、イベントを複数の評価軸及び総合的に評価させる指示文が含まれていることが確認できる。また、
図3では、大規模言語モデル2に、複数の評価軸それぞれの評価をスコアにより示すことを指示する指示文が含まれていることが確認できる。
【0033】
なお、生成部132は、大規模言語モデル2に対してイベントを評価する場合に考慮する外的要因を明示したプロンプトを生成してもよい。例えば、生成部132は、大規模言語モデル2に対してイベントを評価する場合に、イベントの開催日に対応する天候情報や、イベントの開催日に予想される公共交通機関の混雑状況を考慮してイベントを評価することを示すプロンプトを生成してもよい。また、生成部132は、ユーザ端末3から、イベントを評価する場合に考慮する外的要因を示す情報を受け付け、受け付けた外的要因を考慮してイベントを評価することを指示するプロンプトを生成してもよい。このようにすることで、情報処理装置1は、大規模言語モデル2に、明示した外的要因を確実に考慮してイベントを評価させることができる。
【0034】
また、第1取得部131が取得する企画情報によっては、イベントを評価することができない評価軸が存在することもある。このため、生成部132は、第1取得部131が取得した企画情報に基づいて、大規模言語モデル2に評価させる一以上の評価軸を特定させ、当該評価軸に基づいて企画情報が示すイベントを評価させるプロンプトを生成してもよい。例えば、生成部132は、大規模言語モデル2に、企画情報が示す企画内容に基づいて評価可能な一以上の評価軸を特定させ、特定した評価軸に基づいて企画情報が示すイベントを評価させるプロンプトを生成してもよい。
【0035】
また、生成部132は、第1取得部131が取得した企画情報に基づいて、一以上の評価軸のうち相対的に重要な評価軸を特定させ、特定した評価軸に基づいて当該企画情報が示すイベントを評価させるプロンプトを生成してもよい。例えば、生成部132は、第1取得部131がイベントの企画内容を示す概要資料等を企画情報として取得した場合、当該概要資料に含まれるイベントの説明文やイベントの概要図に基づいてイベントの特徴を抽出し、当該特徴に基づいて、当該イベントにおいて相対的に重要な評価軸を特定させるプロンプトを生成してもよい。
【0036】
また、生成部132は、第1取得部131が取得した企画情報が示すイベントの評価結果に基づいて、当該イベントを開催することの良否を判定させ、当該評価結果と、当該イベントを開催することの良否を示すコメントとを含む評価情報を生成させるプロンプトを生成してもよい。このようにすることで、情報処理装置1は、ユーザ端末3のユーザに、イベントの開催の可否についての判断材料を与えることができる。
【0037】
また、生成部132は、第1取得部131が取得した企画情報が示すイベントの評価結果に基づいて、一以上の評価軸それぞれの評価のうち、改善すべき評価を特定し、特定した評価を改善させるイベントの企画内容の変更案を生成させるプロンプトを生成してもよい。この場合、例えば、生成部132は、第1取得部131が取得した企画情報が示すイベントの評価結果に基づいて、一以上の評価軸のうち、相対的に低い評価の評価軸を改善すべき評価と特定させるプロンプトを生成する。
【0038】
ここで、生成部132は、相対的に総合評価への影響度が高い評価軸に対応する評価が、予め定められた所定のスコア未満であることを条件として、当該影響度が高い評価軸に対応する評価を、改善すべき評価と特定させるプロンプトを生成してもよい。このようにすることで、情報処理装置1は、ユーザ端末3のユーザに、イベントの企画内容の改善方法を検討させることができる。
【0039】
また、生成部132は、第1取得部131が取得した企画情報が示すイベントと類似する過去イベントのうち相対的に実績内容が良い過去イベントにおいて評価が高い評価軸を、総合評価への影響度が高い評価軸と特定させるプロンプトを生成してもよい。この場合、生成部132は、プロンプトに、第1取得部131が取得した企画情報が示すイベントと類似する過去イベントのうち、相対的に実績内容が良い過去イベントを特定させ、特定した過去イベントを複数の評価軸で評価させ、相対的に評価が高い評価軸を総合評価への影響度が高い評価軸と特定させる指示文を含ませる。
【0040】
なお、生成部132は、大規模言語モデル2に、企画情報が示すイベントと他のイベントとを評価させて、当該イベントの評価結果と、当該他イベントの評価結果との比較結果を生成するプロンプトを生成してもよい。
【0041】
この場合、第1取得部131は、企画情報が示すイベントと異なる、当該イベントの開催場所から所定範囲内、かつ、当該イベントの開催予定日から所定期間内に開催される予定の他イベントの企画内容を示す他イベント情報を取得する。例えば、第1取得部131は、ユーザ端末3から他イベント情報を取得してもよいし、他イベントのイベント情報を提供するウェブページにアクセスし、他イベント情報を取得してもよい。
【0042】
そして、生成部132は、第1取得部131が取得した企画情報と、第1取得部131が取得した他イベント情報とを含み、当該企画情報が示すイベントと、当該他イベント情報が示す他イベントとを評価させ、イベントの評価結果と、他イベントの評価結果との比較結果を生成するプロンプトを生成する。このようにすることで、情報処理装置1は、ユーザ端末3のユーザに、ユーザが企画するイベントと、競合する可能性がある他イベントと評価結果を比較させ、企画内容の良否を検討させることができる。
【0043】
また、生成部132は、企画情報に含まれていないイベントの構成要素がある場合、イベントに当該構成要素を含めた場合に、当該イベントの評価が所定の基準を超える当該構成要素の内容を提案させるプロンプトを生成してもよい。この場合、生成部132は、企画情報に含まれているイベントの企画内容に基づいて、企画情報に含まれていないイベントの構成要素の内容を創出する指示文を含むプロンプトを生成してもよい。例えば、生成部132は、企画情報に含まれているイベントの企画内容に、イベントの場所又は開催時期が含まれている場合、当該場所又は開催時期に対応する他イベントに対して有利となる、イベントの構成要素の内容を創出する指示文を含むプロンプトを生成してもよい。このようにすることで、情報処理装置1は、ユーザ端末3のユーザが、企画情報に含まれていないイベントの構成要素について検討することを支援することができる。
【0044】
第2取得部133は、大規模言語モデル2に、生成部132が生成したプロンプトを入力し、第1取得部131が取得した企画情報が示すイベントの評価結果を示す評価情報を大規模言語モデル2から取得する。
【0045】
出力部134は、第2取得部133が大規模言語モデル2から取得した評価情報をユーザ端末3に出力する。
図4は、ユーザ端末3に評価情報が表示された例を示す図である。
図4に示されるように、第1取得部131が取得した企画情報が示すイベントの内容に対し、一以上の評価軸それぞれに対応するイベントの評価情報として、スコアと、評価コメントとが表示されているとともに、一以上の評価軸に基づく総合評価が示されていることが確認できる。
【0046】
[情報処理装置1における処理の流れ]
続いて、情報処理装置1における処理の流れについて説明する。
図5は、情報処理装置1、大規模言語モデル2及びユーザ端末3における処理の流れを示すシーケンス図である。
【0047】
例えば、第1取得部131は、ユーザ端末3から分析ページの取得要求を受け付けたことに応じて、分析ページをユーザ端末3に送信し(S1、S2)、分析ページをユーザ端末3に表示させる。そして、第1取得部131は、分析ページを介して、ユーザ端末3から、企画情報を取得する(S3)。
【0048】
続いて、生成部132は、大規模言語モデル2に、取得した企画情報が示すイベントを一以上の評価軸に基づいて評価させるプロンプトを生成する(S4)。第2取得部133は、生成したプロンプトを大規模言語モデル2に入力し(S5)、大規模言語モデル2が生成した評価情報を取得する(S6)。出力部134は、取得された評価情報をユーザ端末3に送信することにより(S7)、評価情報を分析ページに表示させる。
【0049】
[変形例1]
上述の実施の形態では、大規模言語モデル2は、例えば、検索拡張生成機能が組み込まれており、過去イベントの実績内容を示す実績情報と、一以上の評価軸に基づく過去イベントの評価結果とを参照可能に設定されたモデルであることとしたが、これに限らない。
【0050】
大規模言語モデル2は、過去に開催されたイベントである過去イベントの実績内容を示す実績情報と、一以上の評価軸に基づく過去イベントの評価結果とを教師データとして予め学習したモデルであってもよい。
【0051】
このようにすることで、情報処理装置1は、RAG機能により、過去イベントの実績内容を示す実績情報と、一以上の評価軸に基づく過去イベントの評価結果とを参照可能に設定された大規模言語モデル2を使用する場合と同様に、第1取得部131が取得した企画情報が示すイベントの企画内容を評価することができる。
【0052】
[変形例2]
上述の実施の形態では、大規模言語モデル2は、企画情報が示すイベントを評価したが、これに限らず、企画情報が示すイベントにおけるイベント会場のレイアウトを提案してもよい。この場合、大規模言語モデル2は、過去イベントの開催場所における過去イベントのブース等の設置に係るレイアウト及び開催場所及び周辺エリアにおける人流を含む実績内容を示す実績情報を参照可能に設定された大規模言語モデル、又は当該実績情報を教師データとして学習した大規模言語モデルであってもよい。
【0053】
そして、第1取得部131が、イベントの開催場所のマップを示す企画情報を取得し、生成部132が、大規模言語モデル2に、当該イベントの開催場所における当該イベントのレイアウトであって、イベントの評価が高くなるレイアウトを提案させるプロンプトを生成してもよい。この場合、生成部132は、一以上の評価軸のうち、評価内容を高めたい評価軸の選択をユーザ端末3から受け付け、受け付けた評価軸に対応する評価が高くなるレイアウトを提案させるプロンプトを生成してもよい。
【0054】
例えば、生成部132は、ユーザ端末3から、評価内容を高めたい評価軸として、集客性の選択を受け付けた場合、集客性に対応する評価が高くなるレイアウトを提案させるプロンプトを生成する。また、生成部132は、企画情報に含まれているイベントの開催場所のマップに対して、評価が高くなるブース等の設置例と、当該設置例に対して想定される人流を示すことを指示するプロンプトを生成してもよい。
【0055】
図6は、イベントの開催場所におけるブース等の設置例と人流とが表示されたマップがユーザ端末3に表示された例を示す図である。
図6には、ブース等の設置例が2つ示されており、それぞれの設置例に対応して人流を示す矢印が表示されていることが確認できる。ユーザ端末3のユーザは、ブース等の設置例と人流とを確認することにより、イベントの開催場所における公的なレイアウトを検討することができる。
【0056】
[本実施形態における効果]
以上説明したように、情報処理装置1は、イベントの企画内容を示す企画情報を取得し、イベントを評価するための一以上の評価軸に基づいて企画情報が示すイベントを大規模言語モデル2であって、過去イベントの実績内容を示す実績情報と、一以上の評価軸に基づく過去イベントの評価結果とを参照可能に設定された大規模言語モデル、又は当該実績情報と当該評価結果とを教師データとして学習した大規模言語モデルである大規模言語モデル2に評価させるプロンプトを生成し、大規模言語モデル2にプロンプトを入力して大規模言語モデル2から取得したイベントの評価結果を示す評価情報を出力する。このようにすることで、情報処理装置1は、イベントを様々な観点で評価できるようにすることができる。
【0057】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0058】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0059】
1 情報処理装置
2 大規模言語モデル
3 ユーザ端末
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 第1取得部
132 生成部
133 第2取得部
134 出力部
【要約】
【課題】イベントの企画内容を評価できるようにする。
【解決手段】情報処理装置1は、イベントの企画内容を示す企画情報を取得する第1取得部131と、イベントを評価するための一以上の評価軸に基づいて企画情報が示すイベントを大規模言語モデル2に評価させるプロンプトを生成する生成部132と、を有し、大規模言語モデル2は、過去に開催されたイベントである過去イベントの実績内容を示す実績情報と、一以上の評価軸に基づく過去イベントの評価結果とを参照可能に設定された大規模言語モデル、又は当該実績情報と当該評価結果とを教師データとして学習した大規模言語モデルであり、大規模言語モデル2にプロンプトを入力し、企画情報が示すイベントの評価結果を示す評価情報を大規模言語モデル2から取得する第2取得部133と、評価情報を出力する出力部134と、を有する。
【選択図】
図2