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7777945連続気泡構造の架橋エチレン-酢酸ビニル共重合発泡体とその製造方法及びシール材
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  • -連続気泡構造の架橋エチレン-酢酸ビニル共重合発泡体とその製造方法及びシール材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-11-20
(45)【発行日】2025-12-01
(54)【発明の名称】連続気泡構造の架橋エチレン-酢酸ビニル共重合発泡体とその製造方法及びシール材
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/04 20060101AFI20251121BHJP
   C08J 9/236 20060101ALI20251121BHJP
   C08J 9/38 20060101ALI20251121BHJP
【FI】
C08J9/04 101
C08J9/04 CEX
C08J9/236
C08J9/38
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021146840
(22)【出願日】2021-09-09
(65)【公開番号】P2023039623
(43)【公開日】2023-03-22
【審査請求日】2024-04-26
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 直樹
【審査官】岩田 行剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-107161(JP,A)
【文献】特開2021-100992(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/
B29C 44/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル分率(JIS K 6796:1998準拠)が65%以上であり、60℃で24時間50%圧縮歪(JIS K 6767準拠)が45%以下であり、
シランカップリング剤に由来する化学構造を含む連続気泡構造の架橋エチレン-酢酸ビニル共重合発泡体。
【請求項2】
連続気泡構造の架橋エチレン-酢酸ビニル共重合発泡体の製造方法において、
エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂と、発泡剤と、有機過酸化物と、シランカップリング剤とを含む樹脂組成物を混合する混合工程と、
前記樹脂組成物の発泡と前記有機過酸化物による架橋を行って独立気泡構造の発泡体を形成する発泡工程と、
前記独立気泡構造の発泡体を圧縮し、該発泡体の気泡を破壊して連続気泡構造の発泡体を得る圧縮破泡工程と、
前記連続気泡構造の発泡体に対してシラン架橋工程を行い、
ゲル分率(JIS K 6796:1998準拠)が65%以上である連続気泡構造の架橋エチレン-酢酸ビニル共重合発泡体の製造方法。
【請求項3】
60℃で24時間50%圧縮歪(JIS K 6767準拠)が45%以下であることを特徴とする請求項2に記載された連続気泡構造の架橋エチレン-酢酸ビニル共重合発泡体の製造方法。
【請求項4】
前記連続気泡構造の架橋エチレン-酢酸ビニル共重合発泡体は、シール材用であることを特徴とする請求項2又は3に記載の連続気泡構造の架橋エチレン-酢酸ビニル共重合発泡体の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載された連続気泡構造の架橋エチレン-酢酸ビニル共重合発泡体を備えるシール材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続気泡構造の架橋エチレン-酢酸ビニル共重合発泡体とその製造方法及びシール材に関する。
【背景技術】
【0002】
シール材として、連続気泡構造の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体が使用されたものがある(特許文献1)。
架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、加水分解し難く、かつ連続気泡構造とされることにより圧縮復元性が良好になるため、シール材として好適な材質である。また、連続気泡構造の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体として、連続気泡構造の架橋エチレン-酢酸ビニル共重合(EVA)発泡体が使用されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-107161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の連続気泡構造の架橋エチレン-酢酸ビニル共重合発泡体は、高温時の圧縮歪が大きく(耐熱性が低く)、高温時のシール性に劣る問題がある。
【0005】
耐熱性を改善するため、使用する主原料の樹脂を高結晶化の低密度ポリエチレン(LDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)等に変更する方法がある。しかし、その方法で得られる発泡体は、柔軟性が損なわれたものになり、圧縮される際の抵抗が大きく、連通化も難しいため、シール材として不向きであった。さらに、柔軟性が損なわれるため、シール面の凹凸に追従し難くなって、隙間を生じ易く、シール性が劣るようになる。
【0006】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、高温時の圧縮歪が小さい(耐熱性が高い)連続気泡構造の架橋エチレン-酢酸ビニル共重合発泡体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様は、連続気泡構造の架橋エチレン-酢酸ビニル共重合発泡体において、ゲル分率(JIS K 6796:1998準拠)が65%以上であり、60℃で24時間50%圧縮歪(JIS K 6767準拠)が45%以下であることを特徴とする。
第2の態様は、第1の態様において、シール材用であることを特徴とする。
【0008】
第3の態様は、連続気泡構造の架橋エチレン-酢酸ビニル共重合発泡体の製造方法において、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂と、発泡剤と、有機過酸化物と、シランカップリング剤とを含む樹脂組成物を混合する混合工程と、前記樹脂組成物の発泡と前記有機過酸化物による架橋を行って独立気泡構造の発泡体を形成する発泡工程と、前記独立気泡構造の発泡体を圧縮し、該発泡体の気泡を破壊して連続気泡構造の発泡体を得る圧縮破泡工程と、前記連続気泡構造の発泡体に対してシラン架橋工程を行うことを特徴とする。
【0009】
第4の態様は、第3の態様において、前記シランカップリング剤の配合量は、前記エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂100重量部に対して0.7~2.3重量部であることを特徴とする。
【0010】
第5の態様は、第3または第4の態様において、ゲル分率(JIS K 6796:1998準拠)が65%以上であり、60℃で24時間50%圧縮歪(JIS K 6767準拠)が45%以下であることを特徴とする。
【0011】
第6の態様は、第3から第5の態様の何れか一の態様において、前記連続気泡構造の架橋エチレン-酢酸ビニル共重合発泡体は、シール材用であることを特徴とする。
【0012】
第7の態様は、第1または第2の態様の連続気泡構造の架橋エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂発泡体を備えるシール材である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高温時の低圧縮歪を向上した連続気泡構造の架橋エチレン-酢酸ビニル共重合発泡体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】各比較例と各実施例の配合及び測定結果を示す表である。
図2】加熱時シール性を測定する装置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施形態を説明する。本発明の連続気泡構造の架橋エチレン-酢酸ビニル共重合発泡体は、良好な耐熱性を有し、二物体間で圧縮されて使用される止水用シール材として好適なものである。
【0016】
本発明の連続気泡構造の架橋エチレン-酢酸ビニル共重合発泡体は、独立気泡構造の架橋エチレン-酢酸ビニル共重合発泡体の気泡が破泡して連通化したものであり、ゲル分率(JIS K 6796:1998)が65%以上、好ましくは70%以上であり、60℃で24時間50%圧縮歪(JIS K 6767準拠)が45%以下である。
【0017】
連続気泡構造の架橋エチレン-酢酸ビニル共重合発泡体は、ゲル分率が65%未満の場合、耐熱性が低くなって加熱による歪が大きくなり、加熱状態下でのシール性が低下するようになる。
【0018】
連続気泡構造の架橋エチレン-酢酸ビニル共重合発泡体は、60℃で24時間50%圧縮歪が45%を超える場合、圧縮による塑性変形が大きいため、加熱状態下でのシール性が低下するようになる。
なお、本発明の連続気泡構造の架橋エチレン-酢酸ビニル共重合発泡体は、常態時(常温時)の24時間50%圧縮歪(JIS K 6767準拠)は、10%以下が好ましく、より好ましくは5%以下である。
【0019】
本発明の連続気泡構造の架橋エチレン-酢酸ビニル共重合発泡体は、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂と、発泡剤と、有機過酸化物と、シランカップリング剤とを含む樹脂組成物を混合する混合工程と、発泡工程と、圧縮破泡工程と、シラン架橋工程とを行うことにより製造することができる。
【0020】
エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂は、結晶性オレフィン樹脂として樹脂組成物に含まれるものであり、他の結晶性オレフィン樹脂と併用してもよい。結晶性オレフィン樹脂に含まれるエチレン-酢酸ビニル共重合樹脂の配合量は、50~100重量%が好ましい。エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂の配合量が少なくなると、柔軟性が乏しくなって相手面との密着性が悪くなり、シール性が低下するようになる。
【0021】
エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂と共に使用される他の結晶性オレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-プロピレン共重合樹脂、エチレン-ブテン共重合樹脂、エチレンとメチル、エチル、プロピル若しくはブチルの各アクリル酸エステルとの共重合樹脂、またはこれらの塩素化物、あるいはそれらの混合物、さらにはそれらとアイソタクチックポリプロピレン若しくはアタクチックポリプロピレンとの混合物等を挙げることができる。
特に低密度ポリエチレンは、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂と共に使用すると耐熱性を改善することができるため、併用が好ましい。結晶性オレフィン樹脂に含まれる低密度ポリエチレンの配合量は5~50重量%が好ましく、5~40重量%がより好ましく、5~20%が最も好ましく、残りをエチレン-酢酸ビニル共重合樹脂とするのが好ましい。
【0022】
発泡剤は、加熱により分解してガスを発生するものが用いられる。発泡剤として、アゾジカルボンアミド(ADCA)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾアミノベンゼン、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ベンゼン-1,3-スルホニルヒドラジド、ジフェニルオキシド-4,4’-ジスルフォニルヒドラジド、4,4’-オキシビスベンゼンスルフォニルヒドラジド、パラトルエンスルフォニルヒドラジド、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’-ジニトロソ-N,N’-ジメチルフタルアミド、テレフタルアジド、p-t-ブチルベンズアジド、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム等の一種又は二種以上の使用等が挙げられる。アゾジカルボンアミド、4,4’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジドが好適である。発泡剤の量は、結晶性オレフィン樹脂100重量部に対して10~30重量部程度とされる。
【0023】
有機過酸化物は、架橋剤として作用するものであり、ジクミルパーオキサイド(DCP)、2,5-ジメチル-2,5-ビス-ターシャリーブチルパーオキシヘキサン、1,3-ビス-ターシャリーパーオキシ-イソプロピルベンゼン等を挙げることができる。有機過酸化物の量は、結晶性オレフィン樹脂100重量部に対して0.5~1.5重量部程度とされる。
【0024】
シランカップリング剤は、シラン架橋法に使用されているものを使用することができる。例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルジメトキシエトキシシラン、ビニルジメトキシブトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができ、特にビニルトリメトキシシランあるいはビニルトリエトキシシランが好適である。シランカップリング剤は、1種類を単独で、または2種以上を併用してもよい。シランカップリング剤の量は、結晶性オレフィン樹脂100重量部に対して0.5~3重量部が好ましく、1.0~2.5重量がより好ましく、1.0~2.0重量部が最も好ましい。
【0025】
発泡性樹脂組成物には、適宜助剤が含まれる。助剤としては、発泡助剤、架橋促進剤、着色剤などが挙げられる。
発泡助剤としては、酸化亜鉛、酸化鉛などの金属酸化物、炭酸亜鉛等の金属炭酸塩、塩化亜鉛等の金属塩化物、尿素、ステアリン酸亜鉛等を挙げることができる。
架橋促進剤としてはトリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)が好適である。
【0026】
混合工程では、樹脂組成物を押出機で混練し、ダイスから押し出して発泡前シートを作製する。混練は、樹脂組成物に含まれる有機過酸化物と発泡剤の分解温度よりも低い温度で行われる。発泡前シートの厚みは、1.0~5.0mmが好ましい。なお、混合工程における混練は、押出機を用いる混練に限られず、例えばロールを用いる等、他の装置を用いる混練であってもよい。
【0027】
発泡工程では、混合工程で得られた発泡前シートを加熱して架橋・発泡反応を行わせる。加熱方法は限定されず、例えば発泡前シートを加熱炉に収容して行う方法を挙げる。加熱温度は、樹脂組成物に含まれる有機過酸化物と発泡剤の分解温度以上とされる。架橋・発泡させた発泡体を、自然冷却等によって冷却し、独立気泡構造の発泡体を得る。
【0028】
圧縮破泡工程では、発泡工程で得られた独立気泡構造の発泡体を、プレス装置や加圧ロール等で加圧・圧縮して発泡体の気泡を破壊し、連続気泡構造の発泡体を得る。圧縮破泡工程では、独立気泡構造の発泡体を、元厚の1/2~1/20の厚みになるように圧縮するのが好ましい。
【0029】
シラン架橋工程では、圧縮破泡工程で得られた連続気泡構造の発泡体を、水分の作用によってシランカップリング剤を介してシラン架橋させる。シラン架橋における水分は、空気中の水分であってもよい。
シラン架橋工程における具体的方法は、圧縮破泡工程で得られた連続気泡構造の発泡体を、室温で24時間以上維持することにより、あるいは温度40~60℃、湿度60~80%の状態で24時間以上維持したり、50~80℃程度の温水中に4時間以上維持したりすることにより、シラン架橋を行い、所望の連続気泡構造の架橋エチレン-酢酸ビニル共重合発泡体を得る。
シラン架橋工程で得られた連続気泡構造の架橋エチレン-酢酸ビニル共重合発泡体は、発泡工程における有機過酸化物による前架橋と、圧縮破泡後のシラン架橋による後架橋との2度の架橋によって、圧縮破泡後の形状保持性が向上し、圧縮歪を小さくできる。
【0030】
本発明の連続気泡構造の架橋エチレン-酢酸ビニル共重合発泡体は、環状等に打ち抜かれ、あるいは所定形状にされてシール材、特に止水用シール材として使用されるのに好適である。
また、本発明の連続気泡構造の架橋エチレン-酢酸ビニル共重合発泡体は、本発明の連続気泡構造の架橋エチレン-酢酸ビニル共重合発泡体を少なくとも一部に備えるシール材にも好適である。
【実施例
【0031】
以下の原料を用い、図1に示す配合の樹脂組成物を用いて比較例及び実施例の発泡体を作成した。
・EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂):品番;N8038、TPI POLENE PUBLIC COMPAN LIMITED社製
・LDPE(低密度ポリエチレン):品番;F2225.4、旭化成ケミカルズ社製
・ADCA(アゾジカルボンアミド):品番;1L-K3、永和化成工業社製
・尿素:品番;セルペースト101、永和化成工業社製
・DCP(ジクミルパーオキサイド):品番;パーカドックスBC-FF、化薬アクゾ社製
・TMPTMA(トリメチロールプロパントリメタクリレート):品番;TMPT、新中村化学工業社製
・シランカップリング剤:品番;KBM-1003、信越化学工業社製
【0032】
発泡体の作成は、次のようにして行った。
図1の配合からなる比較例及び実施例の樹脂組成物をオープンロールによって110℃で混練し、厚み3.0mmの発泡前シートを作成した。
得られた発泡前シートを225℃の恒温槽に投入し、12分間加熱して架橋・発泡反応を行った。架橋・発泡後の発泡体を冷却ロールで連続的に冷却し、厚み8~12mmの独立気泡構造の発泡体を得た。
得られた独立気泡構造の発泡体を、圧縮ロールに通して元厚の1/2~1/20の厚みに圧縮し、破泡させて連続気泡構造の発泡体を得た。比較例1、2については、ここで作業を終了して比較例1、2の発泡体を得た。
一方、実施例については、得られた連続気泡構造の発泡体を、温度50~80℃の温水中に約4時間収容してシラン架橋による後架橋を行い、実施例の発泡体を得た。
【0033】
比較例と実施例の発泡体に対して、発泡成形性、ゲル分率、50%圧縮応力、50%圧縮応力-歪、加熱時シール性を測定した。
発泡成形性は、得られた発泡体に割れや裂けが存在するか否かを目視で確認し、割れ及び裂けが存在しない場合「〇」とし、割れあるいは裂けの一方でも存在する場合「×」とした。
ゲル分率(%)は、JIS K 6796:1998に準拠し、常温で24時間以上養生した後に測定した。
50%圧縮応力(kPa)は、JIS K 6767に準拠して測定した。
【0034】
50%圧縮応力-歪(%)は、JIS K 6767に準拠し、常態時24時間圧縮歪と、加熱時60℃×24時間圧縮歪をそれぞれ測定した。
常態時24時間圧縮歪は、試験体を常温で24時間、50%圧縮した後、圧縮解放して24時間経過後の歪(元厚に対する変形した量の%)を測定した。
加熱時60℃×24時間圧縮歪は、60℃に加熱した状態で24時間、50%圧縮した後、圧縮解放して24時間経過後の歪(元厚に対する変形した量の%)を測定した。
【0035】
加熱時シール性は、図2に示すように、10mm厚みの比較例、実施例の発泡体50を幅15mm、開口幅100mmのU字形に打抜き、2枚のアクリル樹脂板71、71間に50%の圧縮状態で挟み、その状態でU字形内に水深100mとなるように水を注入し、60℃の加熱状態で維持して水の漏れ時間を測定した。水の漏れ時間はU字形内の水が漏れ出し始めるまでの時間である。
【0036】
比較例1は、EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂)とシランカップリング剤の両方を含まない例であり、樹脂としてLDPE(低密度ポリエチレン)を100重量部使用した。
比較例1は、発泡成形性「〇」、ゲル分率が51%、50%圧縮応力が8.0kPa、50%圧縮応力-歪みは、常態時24時間が2.5%、加熱時60℃×24時間が47.0%、加熱時シール性が1時間以内であり、常態時及び加熱時の圧縮歪が大きく、加熱時シール性が低かった。
【0037】
比較例2は、樹脂としてEVA(エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂)の92.3重量部とLDPE(低密度ポリエチレン)の7.7重量部を併用し、シランカップリング剤を含まない例である。
比較例2は、発泡成形性「〇」、ゲル分率が55%、50%圧縮応力が5.5kPa、50%圧縮応力-歪みは、常態時24時間が2.0%、加熱時60℃×24時間が50.0%、加熱時シール性が1時間以内であり、常態時及び加熱時の圧縮歪が大きく、加熱時シール性が低かった。
【0038】
実施例1は、樹脂としてEVA(エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂)の92.3重量部とLDPE(低密度ポリエチレン)の7.7重量部を併用し、シランカップリング剤を1.0重量部含む例である。
実施例1は、発泡成形性「〇」、ゲル分率が72%、50%圧縮応力が5.7kPa、50%圧縮応力-歪みは、常態時24時間が1.3%、加熱時60℃×24時間が44.3%、加熱時シール性が24時間以上であり、常態時及び加熱時の圧縮歪が小さく、加熱シール性が高いものであった。
【0039】
実施例2は、シランカップリング剤を1.5重量部に増量し、他は実施例1と同様にした例である。
実施例2は、発泡成形性「〇」ゲル分率が74%、50%圧縮応力が5.8kPa、50%圧縮応力-歪みは、常態時24時間が1.5%、加熱時60℃×24時間が42.5%、加熱時シール性が24時間以上であり、常態時及び加熱時の圧縮歪が小さく、加熱シール性が高いものであった。
【0040】
実施例3は、シランカップリング剤を2.0重量部に増量し、他は実施例1と同様にした例である。
実施例3は、発泡成形性「〇」、ゲル分率が78%、50%圧縮応力が6.1kPa、50%圧縮応力-歪みは、常態時24時間が1.4%、加熱時60℃×24時間が41.3%、加熱時シール性が24時間以上であり、常態時及び加熱時の圧縮歪が小さく、加熱シール性が高いものであった。
【0041】
このように、本発明は、高温時の圧縮歪が小さく、高温状態で使用されるシール材、特に止水性シール材として好適な連続気泡構造の架橋エチレン-酢酸ビニル共重合発泡体が得られる。
なお、本発明は実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で変更可能である。
図1
図2