(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-11-25
(45)【発行日】2025-12-03
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/47 20060101AFI20251126BHJP
A61F 13/532 20060101ALI20251126BHJP
A61F 13/533 20060101ALI20251126BHJP
【FI】
A61F13/47 300
A61F13/532 200
A61F13/533 100
(21)【出願番号】P 2021176396
(22)【出願日】2021-10-28
【審査請求日】2024-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼平 明良
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-099372(JP,A)
【文献】特開2005-034652(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03403626(EP,A1)
【文献】特開2021-065631(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表側に設けられた透液性のトップシートと、裏側に設けられた不透液性のバックシート
と、前記トップシートと前記バックシートとの間に設けられた吸収体とを備え、長手方向
と前記長手方向に直交する幅方向とを有する吸収性物品であって、
前記長手方向に沿って延びる長手方向中心線を含むように前記長手方向に沿って延在す
る、表側から裏側へと凹む中央圧搾溝を備え、
前記吸収体に、平面視で前記中央圧搾溝の各側に、前記中央圧搾溝と前記幅方向に離間
して前記長手方向に沿って延在する、裏側から表側へと凹む裏溝が形成され、
前記裏溝の少なくとも前記幅方向の各側に、前記裏溝より浅い補助裏溝が形成され、
前記裏溝の前記幅方向の内側の輪郭が、前記中央圧搾溝に向かって突出する凸部を有す
る、吸収性物品。
【請求項2】
前記裏溝が、前記吸収体を裏側から圧搾することによって形成されている、請求項1に
記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記中央圧搾溝と前記裏溝との間の前記幅方向の距離が、前記吸収体の幅の8~23%
に等しい、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記吸収体の厚みが、前記裏溝の前記幅方向の外側において、前記幅方向の外側に向か
って漸次又は段階的に薄くなっている、請求項1から3のいずれか一項に記載の吸収性物
品。
【請求項5】
前記中央圧搾溝の前記長手方向の1つの端部にそれぞれ連結し、且つ互いの距離が前記
長手方向の外方に向かう程大きくなるように延在する一対の斜方向圧搾溝をさらに備えて
いる、請求項1から4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記バックシートの裏側にズレ止め部が設けられており、
平面視で、前記ズレ止め部が前記裏溝に重ならない、請求項1から5のいずれか一項に
記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
失禁用パッド、生理用ナプキン、パッドタイプのおむつ等のパット状の吸収性物品は、装着時には、装着者の身体に沿わせて三次元的に変形させて使用する。この変形後の形状は、体液の漏れを防止できるような形状となるようにすることが望ましいため、従来、適切な変形を促すための構成、例えば圧搾溝等の様々な工夫がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、肌側から表面シート21及び吸収性コア11の両者を一緒に圧搾してなる複数の圧搾部Eが形成され、当該圧搾部Eが、長手方向及び幅方向の中央部に長手方向に沿って設けられた第1圧搾部E1と、長手方向の端側に設けられた第2圧搾部E2とを有し、吸収性コア11が、中央部を囲む環状の、肌側に突出する突出部11Pを有するもの吸収性物品1が記載されている。特許文献1に記載の構成によれば、突出部11Pにより囲まれた空間SP11に、体液を一時貯留しておくことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、吸収性物品は、装着中に装着者の脚から幅方向に強い力を受けた場合、例えば装着者が脚を強く閉じたり組んだりした場合等には、幅方向中央で非肌側(下着側)に鋭く突出するよう変形してしまう可能性がある。特許文献1に記載の吸収性物品の構成で言えば、吸収性物品1が第1圧搾部E1にて非肌側に突出するように強く折られた状態になる可能性がある。その場合、突出部11Pと装着者の肌との間に隙間が生じることがあり、その隙間から体液が漏れる可能性がある。よって、装着者の脚の力による幅方向両側から強い力を受けても体液の漏れを防止できる構成が求められている。
【0006】
上記の点に鑑みて、本発明の一態様は、幅方向両側から強い力を受けた場合でも体液の漏れを十分に防止できる吸収性物品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様は、表側に設けられた透液性のトップシートと、裏側に設けられた不透液性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に設けられた吸収体とを備え、長手方向と前記長手方向に直交する幅方向とを有する吸収性物品であって、前記長手方向に沿って延びる長手方向中心線を含むように前記長手方向に沿って延在する、表側から裏側へと凹む中央圧搾溝を備え、前記吸収体に、平面視で前記中央圧搾溝の各側に、前記中央圧搾溝と前記幅方向に離間して前記長手方向に沿って延在する、裏側から表側へと凹む裏溝が形成されている。
【0008】
上記第一の態様によれば、吸収性物品の表側から凹む中央圧搾溝が形成され、且つ吸収体に、平面視で中央圧搾溝と幅方向に離間して長手方向に沿って延びる、裏側から凹む裏溝が形成されている。吸収性物品が幅方向の両側から力を受けた場合には、吸収性物品は、中央圧搾溝にて裏側(非肌側)へ突出するように曲がるとともに、その両側に位置する裏溝にて表側(肌側)へ突出するように曲がるので、全体として断面が略M状となるような変形を容易に得ることができる。このような変形状態では、中央圧搾溝を含む領域に長手方向に沿った窪み部が形成されるが、この窪み部の幅方向の両縁は、吸収体に形成された裏溝の位置にて表側に突出する凸縁部によって構成される。そのため、窪み部の両縁がある程度の剛性を有することができ、吸収性物品が外部から力を受けても、窪み部の形状が安定的に維持される。また、このような表側に突出する凸縁部が長手方向に沿って形成されることで、吸収性物品の表面を長手方向に沿ってより確実に装着者の肌に密着させることができ、幅方向外側への漏れを防ぐことができる。
【0009】
本発明の第二の態様では、前記裏溝が、前記吸収体を裏側から圧搾することによって形成されている。
【0010】
上記第二の態様によれば、裏溝が圧搾されているので、裏溝が形成された位置での吸収体の密度及び剛性が高くなっているため、裏溝にて容易に折曲がる。また、毛細管現象により体液が裏溝に集まりやすく且つ保持されやすくなるので、幅方向外側への体液の漏れをより一層防止できる。
【0011】
本発明の第三の態様では、前記中央圧搾溝と前記裏溝との間の前記幅方向の距離が、前記吸収体の幅の8~23%に等しい。
【0012】
上記第三の態様によれば、裏溝が、中央圧搾溝から適切な位置にあるため、吸収性物品を上述のような略M字状に変形させやすくなり、またその形状が維持されやすくなる。
【0013】
本発明の第四の態様では、前記裏溝の少なくとも前記長手方向の各外側に、前記裏溝より浅い補助裏溝が形成されている。
【0014】
上記第四の態様によれば、補助裏溝によって、吸収体がよりフレキシブルに変形できるので、装着感を向上させることができる。また、補助裏溝周辺の密度が高くなっている場合には、補助裏溝にも体液が集まりやすく且つ保持されやすくなり、幅方向外側への体液の漏れ防止の効果を向上できる。
【0015】
本発明の第五の態様では、前記裏溝の前記幅方向の内側の輪郭が、前記中央圧搾溝に向かって突出する凸部を有する。
【0016】
体液排出口対向部に排出された体液は中央圧搾溝に沿って移行する。ここで、上記第五の態様によれば、平面視で、裏溝の凸部の先端が中央圧搾溝近くに位置するので、体液が中央圧搾溝から上記凸部の先端から幅方向外側へ裏溝へと移行しやすい。そのため、多量の体液が排出された場合でも、体液を速やかに吸収体内へと移行させることができ、吸収性物品の表面を伝って体液が漏れることを防止できる。
【0017】
本発明の第六の態様では、前記吸収体の厚みが、前記裏溝の前記幅方向の外側において、前記幅方向の外側に向かって漸次又は段階的に薄くなっている。
【0018】
上記第六の態様によれば、装着時に吸収性物品が変形した状態でも、幅方向両端が脚に当たった際の違和感が生じにくい。
【0019】
本発明の第七の態様では、前記中央圧搾溝の前記長手方向の1つの端部にそれぞれ連結し、且つ互いの距離が前記長手方向の外方に向かう程大きくなるように延在する一対の斜方向圧搾溝をさらに備えている。
【0020】
上記第七の態様によれば、中央圧搾溝と所定形状の一対の斜方向圧搾溝とによって平面視で略Y字形状の圧搾溝が形成されるので、一対の斜方向圧搾溝間の領域を、装着者の身体の前方及び/又は後方に面で接触させることができる。
【0021】
本発明の第八の態様では、前記バックシートの裏側にズレ止め部が設けられており、平面視で、前記ズレ止め部が前記裏溝に重ならない。
【0022】
上記第八の態様によれば、ズレ止め部が設けられていても、ズレ止め部が裏溝の機能を損なうことがなく、上述の断面略M字状になるような変形が可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様によれば、幅方向両側から強い力を受けた場合でも体液の漏れを十分に防止できる吸収性物品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態による吸収性物品を肌側から見た平面図である。
【
図3】吸収性物品が
図2の状態から変形した状態を示す断面図である。
【
図10】変形例による吸収性物品を肌側から見た平面図である。
【
図11】別の変形例による吸収性物品を肌側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図面において、特に説明がない限り、同一の又は対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0026】
本発明の一実施形態は、失禁用パッド、生理用ナプキン、パッドタイプのおむつ等のパット状の吸収性物品であってよいが、以下においては、失禁用パッドを例として説明する。
図1に、吸収性物品1の平面図を示す。また、
図2に吸収性物品1のI-I線断面図を示す。
図1及び
図2に示すように、吸収性物品1は、透液性のトップシート3と、不透液性のバックシート2と、両シートの間に配置された吸収体4とが重ねられて構成されている。吸収性物品1は、装着前の状態では全体として概ね扁平形状となっている(
図2)。本明細書では、吸収性物品1のトップシート3側を表側、バックシート2側を裏側と呼ぶ。吸収性物品1の装着時には、表側は装着者の肌に触れる側、すなわち肌側であり、裏側は、吸収性物品1が下着に固定される側、すなわち非肌側(下着側)である。
図1は、吸収性物品1を表側から見た図である。
【0027】
<吸収性物品の基本構造>
図1に示すように、吸収性物品1は、平面視で細長形状を有している、すなわち長手方向D1に所定の長さを有し、且つ長手方向D1に直交する幅方向D2に所定の幅を有する形状であってよい。装着時には、吸収性物品1の長手方向D1は装着者の身体の前後方向に対応し、幅方向D2は装着者の身体の左右方向に対応する。
図1に示す形態では、吸収性物品1は、平面視で、長手方向D1に延びる中心線(長手方向中心線)CLに対して略線対称の形状を有しているが、形状は線対称でなくともよい。また、吸収性物品1の形状以外の構成(吸収体4の密度、材質、及び溝の大きさ、等を含む)も、中心線CLを対称軸として略対称であってもよいし、非対称であってもよい。
【0028】
バックシート2は、少なくとも遮水性を有するシートであってよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン樹脂製のシート等であってよい。また、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布や、さらには防水フィルムを介在させて実質的に不透液性を確保した不織布の積層シート等を用いることができる。また、ムレ防止の観点から透湿性を有するものが用いられることがさらに望ましい。このような遮水・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シート等を用いることができる。
【0029】
トップシート3は、尿、経血、おりもの等の体液を透過可能なシートとすることができる。トップシート3としては、有孔又は無孔の不織布や多孔性プラスチックシート等が好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の合成繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、及びこれらの混紡繊維、並びに綿等の天然繊維を単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。また、不織布の加工法としては、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等が挙げられる。これらの加工法のうち、スパンレース法は柔軟性、スパンボンド法はドレープ性に富む不織布を製造できる点で好ましく、サーマルボンド法は嵩高でソフトな不織布を製造できる点で好ましい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維、分割型繊維等の複合繊維を用いることもできる。
【0030】
吸収体4は、体液を吸収して保持できる材料であれば限定されないが、綿状パルプと吸水性ポリマーとを含むことが好ましい。吸水性ポリマーとしては、高吸水ポリマー粒状粉(superabsorbent polymer(SAP))、高吸水ポリマー繊維(superabsorbent fiber(SAF))、及びこれらの組合せを用いることができる。パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられる。化学パルプの原料材としては、広葉樹材、針葉樹材等が用いられるが、繊維長が長いこと等から針葉樹材が好適に使用される。
【0031】
吸収体4には合成繊維を混合してもよい。合成繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド、及びこれらの共重合体を使用でき、これらのうちの2種を混合して使用することもできる。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維、分割型繊維などの複合繊維も用いることができる。なお、疎水性繊維を親水化剤で表面処理し、体液に対する親和性を付与したものを用いることもできる。吸収体4は、積繊又はエアレイド法によって製造されたものが好ましい。
【0032】
吸収体4は、吸収体4の本体部分をクレープ紙又は不織布等からなる被包シートで包んだものであってよい。吸収体4が被包シートを備えていることで、吸収体4のよれや割れを防止でき、形状を保持できる。被包シートとしては、無着色(すなわち、白色)のクレープ紙や不織布を用いることもできるし、着色(例えば体液の色と同系色又は体液の色の補色に着色)されたものを用いることもできる。
【0033】
吸収体4は平面視形状は、
図1に示すように、略一定の幅を有する細長形状であってよいが、吸収体4の幅は長手方向D1に沿って変動していてもよい。
【0034】
吸収体4の長手方向D1の両端においては、バックシート2の縁部とトップシート3の縁部とが、接着剤、ヒートシール等によって接合されていてよい。また、吸収性物品1の両側部、すなわち幅方向D2の両縁部の表側(トップシート3側)には、長手方向D1に沿って、一対のサイドシート7、7が配置されている。
【0035】
サイドシート7は、体液の浸透を防止する、或いは肌触りを高める等の目的に応じて、適切な撥水処理又は親水処理を施した不織布素材を用いて構成されたものであってよい。サイドシート7の素材は、天然繊維、合成繊維、再生繊維等であってよい。また、サイドシート7が撥水処理されている場合、その処理には、シリコーン系、パラフィン系等の撥水剤を用いることができる。なお、吸収性物品は、サイドシート7を使用せずに、トップシート3が、吸収性物品1の幅方向D2の端部まで延在してバックシート2と接合された構成を有していてもよい。
【0036】
また、サイドシート7を利用してギャザーが形成されていてもよい。例えば、サイドシート7を幅方向D2の内側又は外側に折り返すか、又はサイドシート7を複数枚設けることによって、サイドシート7が複数層配置されるようにする。そして、サイドシート7の層間に糸ゴムのような伸縮性部材を長手方向D1に沿って伸長状態で配置して、当該伸縮性部材と接触するサイドシート7の層にそれぞれ接着させて、伸縮性部材をサイドシート7に固定することができる。これにより、伸縮性部材が自然長に戻った時(伸長させる力を解除した状態になった時)に、ギャザーが形成され得る。ギャザーは、サイドシート7の幅方向D2の内側がトップシート3に固定され、幅方向D2の外側が立ち上がるように構成することができる。
【0037】
吸収性物品1は、装着時に装着者の股間に主として対応させる中間領域Mと、中間領域Mの前方に隣接し且つ吸収性物品1の前端までの領域である前方領域Fと、中間領域Mの後方に隣接し且つ吸収性物品1の後端までの領域である後方領域Bとを有していてよい。中間領域Mは、体液排出口対向部Qを含む。体液排出口対向部Qは、装着時に装着者の尿道口、膣口等の体液排出口に対向する領域であり、その中心が、長手方向中心線CL上に位置する。
図1に示す例では、体液排出口対向部Qは、尿道口に対応する領域として楕円状に描かれているが、図示の体液排出口対向部Qの大きさ及び形状は、本形態による吸収性物品を説明するための例示にすぎない。
【0038】
なお、前方領域F及び後方領域Bは、吸収性物品が個装される際には、長手方向D1に肌側に折り返すことができる。
図1の例では、前方領域Fの折返しは、前方領域Fと中間領域Mとの境界線に沿った折り線によって、また後方領域Bの折返しは、後方領域Bと中間領域Mとの境界線に沿った折り線にて行うことができる。これにより、吸収性物品1を3つ折り以上に折り畳むことができる。前方領域F及び後方領域Bはどちらを先に折り返してもよい。
【0039】
また、
図1に示す吸収性物品1はウィングを備えていないが、吸収性物品1は、中間領域Mの両側縁から側方にそれぞれ延出する一対のウィングを有していてもよい。ウィングは、サイドシート7の延出部分とバックシート2の延出部分とが接合することによって形成できる。
【0040】
吸収性物品1の全体の長手方向D1の長さ(全長)は、好ましくは170~360mmであり、より好ましくは230~270mmであってよい。吸収性物品1の左右方向D2の長さ(ウィングを備えている場合はウィング部分を除いた本体の幅)は、好ましくは50~150mm、より好ましくは70~120mmであってよい。また、吸収性物品1の全体の厚みは、好ましくは1~30mm、より好ましくは5~20mmであってよい。
【0041】
<装着時の吸収性物品の変形>
図1及び
図2に示すように、吸収性物品1には、表側から裏側へと凹む(すなわちトップシート3側からバックシート2側へと凹む)圧搾溝が形成されている。
図1に示す例では、圧搾溝は、長手方向D1の中央を含むように且つ長手方向中心線CLを含むように形成された中央圧搾溝11である。圧搾溝は、少なくとも吸収体4とトップシート3とを重ね合せた積層物に対して、トップシート3側から所定箇所に所定の形状で圧力を掛けることによって形成できる。その際、例えば、所定の圧搾溝の形状に対応する凸部を有するロールと、当該ロールに対向する表面に凹凸のないロールとの間に、吸収体4とトップシート3とを含む積層物を通過させてもよい。
【0042】
図1に示すように、中央圧搾溝11は、平面視で、長手方向中心線CLを含むように、すなわち長手方向中心線CLと重なるように形成されている。また、中央圧搾溝11の長手方向D1に沿った中心線が、吸収性物品1の長手方向中心線CLとほぼ一致するような位置に形成されていることが好ましい。また、中央圧搾溝11は、体液排出口対向部Qと重なるように形成されている。さらに、中央圧搾溝11は吸収性物品1の中間領域Mに形成されており、好ましくは中間領域M内に形成されている。中央圧搾溝11の長手方向D1の長さは、50~130mmであってよい。
【0043】
圧搾溝内での圧搾度合(溝の深さ)は、全体として均一になっていてもよいし、場所により異なっていてもよい。
図1では図示を省略するが、例えば圧搾溝は、低圧搾部と、低圧搾部よりも深く窪んだ高圧搾部とを含んでいて、高圧搾部が低圧搾部内に断続的に形成されていてもよい(
図10及び
図11を参照して後述)。
【0044】
さらに、
図1及び
図2に示すように、吸収体4の裏側には、裏側から表側へと凹む裏溝41、41が形成されている。裏溝41、41は、長手方向D1に沿って延びる溝として形成されている。また、裏溝41、41はそれぞれ、平面視で、中央圧搾溝11から幅方向D2に離間して、中央圧搾溝11に略平行に、中央圧搾溝11と長手方向D1で重なるように形成されている。さらに、裏溝41、41は、中央圧搾溝11と同様、吸収性物品1の中間領域Mに形成されており、好ましくは中間領域M内に形成されていてよい。裏溝41の長さは、中央圧搾溝11の長さと同じ程度であってよいが、中央圧搾溝11の長さより短いことが好ましい。例えば、
図1に示すように、平面視で裏溝41の前端が中央圧搾溝11の前端を超えず、且つ裏溝41の後端が中央圧搾溝11の後端を超えないように構成することで、中央圧搾溝11よりも前方及び後方における部分において表側に突出する折りが生じることを防止し、吸収性物品1の前方及び後方の領域を身体の前方及び後方の形状に沿うように湾曲させることが容易になる。
【0045】
なお、裏溝41、41は、図示の例では、吸収体4に形成されていて、トップシート3及びバックシート2には形成されていないが、吸収体4及びバックシート2がともに裏側から表側へと凹んだ形態であってもよい。
【0046】
このように、本形態では、表側から裏側へと凹む中央圧搾溝11が形成され、且つ平面視で中央圧搾溝11の幅方向D2の各側に、吸収体4に裏側から表側へと凹む裏溝41、41が形成されていることで、吸収性物品1の装着時に、吸収性物品1の適切な変形状態を容易に得ることができる。
図3に、装着時に装着者の脚から幅方向D2の外方から内方へ力がかかった際の変形後の吸収性物品1の断面図を示す。
図3は、
図2に対応する断面図である。
【0047】
中央圧搾溝11が、表側(トップシート3側)から裏側(バックシート2側)へと凹む溝であるため、吸収性物品1は、幅方向D2の両側から力を受けた場合に、その圧搾溝に沿って裏側に突出するように曲がりやすくなっている。そのため、
図3に示すように、幅方向D2の中央付近の領域が、裏側へ突出するように(装着者の肌から離れるように)変形する。一方、裏溝41、41は、裏側から表側へと凹む溝であるため、吸収体4、ひいては吸収性物品1全体が、裏溝41、41に沿って表側へと突出するように折れ曲がりやすくなっている。そのため、装着時には、
図3に示すように、吸収性物品1が装着者の脚から幅方向D2の外側から内側へと力を受けた場合に、裏溝41、41の位置がそれぞれ表側へ突出するように(装着者の肌に近付くように)変形する。よって、本形態では、全体として、略M字状の断面若しくは略M字状を含む形状の断面を容易に得ることができる。このような略M字状の断面が形成されることで、以下に説明するような効果が得られる。
【0048】
装着時に、吸収性物品1が中央圧搾溝11の位置で裏側へ突出するように変形することで、吸収性物品1の幅方向D2の中央付近においてトップシート3と装着者の肌との間が離れ、窪み部47(
図3)が形成され得る。そして、この窪み部47には、体液排出口対向部Qに排出された体液が一時的に貯留され得る。窪み部47が形成された場合、窪み部47の両縁部48、48は、装着者の肌に密着していることが好ましい。しかしながら、装着者が脚を強く閉じたり、脚を組んだりした場合等には、吸収性物品1に大きな力が掛かり、両縁部48、48と肌との密着が損なわれ、幅方向D2外方へ体液が漏れてしまうことがある。これに対し、本形態では、さらに吸収体4に裏溝41、41が形成されていることで、吸収性物品1の断面を全体として略M字状にすることができる。これにより、上記窪み部47の幅方向D2の両縁48、48は、裏溝41、41の位置での折れ曲がりによって表側へと盛り上がった凸縁部によって構成され得る(
図3)。凸縁部は、吸収体4が曲げられることによって形成されているので、曲げられていない吸収体4の部分に比べて密度及び/又は剛性が高くなっている。そのため、吸収性物品1が幅方向D2外側から大きな力を受けたり、捻られたりした場合であっても、窪み部47の縁部の形状が崩れることを回避でき、縁部48、48から幅方向D2外方への体液の漏れを防止することができる。
【0049】
このように、本形態による吸収性物品1は、装着者の身体の動きによって吸収性物品1が大きく変形した場合でも、装着中に吸収性物品1の望ましい変形状態を安定的に維持することができるので、日常的に歩行又は走行し得る装着者によって使用される吸収性物品、例えば失禁パッドとして好適に使用される。
【0050】
中央圧搾溝11の幅W(
図1)は、2~15mmであってよい。幅Wを上記範囲とすることによって、幅方向D2の中央付近に、体液を少なくとも一時的に貯留できるような体積の窪み部47が形成されやすくなるとともに、幅方向D2の中央付近が硬くなって脚を閉じた時等に違和感が生じることを防止できる。
【0051】
裏溝41、41のそれぞれの幅w(
図1)は、2~10mmであってよい。幅wが2mm以上であることで、裏溝41、41における折れ曲がりを促進し、全体として略M字形状を含む断面となるような変形が容易になる。また、幅wが10mm以下であることにより、装着時の折れ曲がりによって形成される凸縁部の厚みが適度に保たれ、窪み部47の縁部48、48の形状を安定させることができ、肌当たりも良好になる。
【0052】
また、上述の断面略M字形状となる変形を、適切な大きさ及び形で得るためには、裏溝41中央圧搾溝11の長手方向に沿って延びる中心線が、吸収性物品1の長手方向中心線CLから、吸収体4の幅の15~25%の長さeだけ離れた仮想線Xに重なることが好ましい(
図1)。また、中央圧搾溝11と裏溝41との平面視での幅方向D2の距離dは、吸収体4の幅の8~23%とすることができる。また、上記距離dは、5~10mmであってよい。中央圧搾溝11及び裏溝41、41を上記のような配置とすることで、装着時に全体として略M字形状を含む断面が容易に得られ、その形状も装着中にわたって安定的に維持することができる。また、装着感も良好となる。
【0053】
裏溝41、41は圧搾によって形成されていてもよいし、或いは吸収体4の積繊の際に、裏溝41、41に対応する型を使用することで形成されていてもよい。裏溝41、41が圧搾によって形成されている場合には、裏溝41、41の周辺で吸収体4の剛性が高くなるため、裏溝41、41に沿って吸収体4が曲がりやすくなり、上述の略M字形状の変形を容易に得ることができる。また、溝41、41の周辺で吸収体4の密度が高くなるため、体液を裏溝41、41の位置に集めやすく、また体液を保持しやすいため、幅方向D2外方への体液の漏れを防止するという効果も奏する。
【0054】
<吸収体の変形例>
次に、
図4を参照して、吸収体4の変形例について説明する。
図4は、
図2と同様に吸収性物品1を幅方向D2で切った断面図であるが、変形例による吸収体4のみを示した図である。
図4に示す例では、吸収体4には、裏側から表側へ凹む裏溝41、41が形成されていることに加え、さらに裏溝41と幅方向D2に離間した補助裏溝42a、42b、42a'が各側に形成されている。これらの補助裏溝は、裏溝41よりも浅い溝である。別の言い方をすると、吸収体4には、裏側から表側へと凹む溝が複数形成されており、装着時には、吸収性物品1は、複数の溝のうち最も深い裏溝41、41の位置にて表側へ盛り上がるように曲げられ、断面が上述の略M字を含む形状となるように変形する(
図4における上下方向の矢印)。
【0055】
図4に示す例では、裏溝41の幅方向D2の外側に、裏溝41に近い方から順に補助裏溝42a、42bが形成されており、裏溝41の幅方向D2の内側に補助裏溝42a'が形成されている。なお、補助裏溝の数は、長手方向中心線CLの片側につき1~5であってよい。
【0056】
裏溝41、41に加えて、補助裏溝が形成されていることで、吸収体4が柔軟になり、裏溝41、41の周囲の吸収体4がより自在に変形できる。そのため、裏溝41、41が形成されている位置で吸収体4が表側に盛り上がる変形をより容易にできる。また、吸収性物品1が、例えば捩れるように大きく変形した場合であっても、上述の望ましい断面が略M字形状となる変形状態が装着中も維持できる。
【0057】
裏溝41の位置で吸収体4が表側に盛り上がる変形を助成するという観点では、裏溝41に最も近い補助裏溝(
図4の例では補助裏溝42a、42a')を、裏溝41から幅方向D2に2~10mm離間して形成することが好ましい。また、
図4に示すように、裏溝41の幅方向D2の片側に複数の補助裏溝が形成されている場合には、裏溝41から離れている補助裏溝の深さが、裏溝41に近い補助裏溝の深さより浅くなっていることが好ましい。これにより、補助裏溝による、裏溝41が形成されている位置での吸収体4の変形を助成しつつ、吸収体4全体の形状を適切に保持できる。
【0058】
なお、裏溝41、41に加えて補助裏溝が形成されている場合には、各溝の幅は、長手方向中心線CLの各側にそれぞれ1つの裏溝41が形成されている形態に比べて、狭くなっていてもよい。
【0059】
図5に、吸収体4の別の変形例を示す。
図5に示す例でも、吸収体4には、裏溝41、41に加えて、複数の補助裏溝が形成されている。具体的には、裏溝41の幅方向D2外側に補助裏溝42a、42bが、裏溝41の幅方向D2内側に補助裏溝42a'、42b'が形成されている。
図5に示す例では、補助裏溝の配置及び深さは、裏溝41の幅方向D2の中央を通る線を対称軸として幅方向D2に対称になっている。また、
図5に示す例では、裏溝41と、裏溝41に最も近い補助裏溝42a、42a'とのピッチpa、pa'は、補助裏溝42a、42a'と、隣接する補助裏溝42b、42b'とのピッチpb、pb'よりも小さくなっている。すなわち、補助裏溝は、裏溝41から離れるほど、溝間の幅方向D2のピッチが大きくなるように形成されている。ピッチpa、pa'がピッチpb、pb'より狭いことで、補助裏溝42a、42a'が、裏溝41の位置での吸収体4が表側へ盛り上がる変形を助成する作用が高まる。
【0060】
図6にも、吸収体4のさらなる別の変形例を示す。
図6に示す例では、裏溝41の幅方向D2外側に補助裏溝42a、42b、42c、42dが、裏溝41の幅方向D2内側に補助裏溝42a'が形成されている。そして、全体として、吸収体4の幅方向D2の端に近付くほど溝間のピッチが狭くなっている。ここで、裏溝41及び補助裏溝42a、42b、42c、42d、及び42a'を上記の配置とし、且つ圧搾により形成された圧搾溝とした場合には、幅方向D2の端に近い領域で、体液を集め保持する作用を高めることができ、好ましい。これにより、多量の体液が一時に排出された場合であっても、幅方向D2外方への漏れを防止することができる。
【0061】
図7も、吸収体4のさらなる別の変形例であり、裏溝41、41の構成は、
図2に示す吸収体4のものと同様である。しかしながら、
図7に示す例では、吸収体4の幅方向D2の両端部において、吸収体4の厚みが小さくなっている薄厚部4S、4Sを有している。より具体的には、吸収体4は、その厚みが幅方向D2の外方に向かって漸次小さくなっている部分を有する。これにより、吸収性物品1の装着時に、装着者の脚から力を受けた場合に、上述のような断面が略M字状となる変形状態を形成しやすくなる。また、吸収性物品1が変形状態にある場合に、幅方向D2の外側の端部が脚に当たった際の違和感も低減できる。なお、吸収体4の幅方向D2の端部における厚みは、漸次小さくなっているのではなく、段階的に小さくなっていてもよい。
【0062】
<裏溝の変形例>
図8には、基本的な構造は吸収性物品1と同様であるが、裏溝41、41に代えて変形例による裏溝41A、41Aを備えた吸収性物品1Aを示す。
図8は、吸収性物品1Aを表側から見た平面図である。
図8に示すように、裏溝41Aは、長手方向D1に沿って延びているが、裏溝41Aの幅方向D2の内側の輪郭が直線状ではなく、長手方向中心線CLに向かって突出する複数の凸部r、r、…を有している。凸部r、r…の数は、図示のような3つに限られず、裏溝41Aの大きさ(長手方向D1及び幅方向D2の長さ)に応じて1~6個であってもよい。
【0063】
図9に、
図8における中央圧搾溝11及び裏溝41A、41Aが形成されている部分の拡大図を示し、裏溝41A、41Aの作用について説明する。
図9に示すように、体液排出口対向部Q又はその周辺に排出された体液は、中央圧搾溝11に沿って前方及び後方に移行しやすくなる。さらに、このような中央圧搾溝11に沿った前後方向に沿った移行の途中で、裏溝41A、41Aのそれぞれが凸部r、r、…を備えていることで、体液を凸部r、r、…の頂点から吸収しやすくなっている。これにより、吸収体4において、体液が幅方向D2の外方に向かってより迅速に引き込まれるので、多量の体液が一時に排出された場合でも、長手方向D1での体液の移行が間に合わず幅方向D2外側から漏れることを防止できる。よって、裏溝41A、41Aのような構成は、尿のような粘性の低い体液の場合には、特に好ましい。そして、凸部r、r、…による体液の迅速な移行は、裏溝41A、41Aが圧搾により形成された圧搾溝であることによって特に高まる。
【0064】
なお、凸部r、r、…は、平面視で中央圧搾溝11に接していてもいなくてもよいが、体液が幅方向D2により移行しやすくなるので、
図9に示すように凸部r、r、…が中央圧搾溝11に平面視で接していることが好ましい。また、凸部r、r、…は、圧搾溝11と平面視で重なっていてもよい。
【0065】
<圧搾溝変形例>
図10に、変形例による圧搾溝を備えた吸収性物品1Bを示す。吸収性物品1Bでは、吸収性物品1(
図1)及び吸収性物品1A(
図8)と同様に長手方向中心線CLに重なるように長手方向D1に沿って延びる中央圧搾溝11が形成されている。また、吸収性物品1Bにおいても、吸収体4には、平面視で中央圧搾溝11から幅方向D2に離間した位置に、裏側から表側へ凹む一対の裏溝41B、41Bが設けられている。そのため、装着時に中間領域Mが幅方向D2の外方から脚の力を受けたとき、中央圧搾溝11及び裏溝41B、41Bによって、断面が略M字形状を含むような形状になるよう吸収性物品1Bが変形できる。
【0066】
但し、
図10に示す吸収性物品1Bにおいては、中央圧搾溝11に加えて、中央圧搾溝11の前端にそれぞれ連結した一対の前方斜方向圧搾溝12f、12f、及び中央圧搾溝11の後端にそれぞれ連結した一対の後方斜方向圧搾溝12b、12bが形成されている。ここで、一対の前方斜方向圧搾溝12f、12f及び一対の後方斜方向圧搾溝12b、12bを合わせて一対の斜方向圧搾溝12、12と呼ぶ場合がある。
【0067】
一対の斜方向圧搾溝12、12は、互いの距離が長手方向D1の外方に向かう程大きくなるように延在している。すなわち、一対の前方斜方向圧搾溝12f、12fは、互いの距離が前方に向かう程大きくなるように延在しており、一対の後方斜方向圧搾溝12b、12bは、互いの距離が後方に向かう程大きくなるように延在している。別の言い方をすると、一対の前方斜方向圧搾溝12f、12fは、右斜め前方に延びる圧搾溝と左斜め前方に延びる圧搾溝との対であり、一対の後方斜方向圧搾溝12b、12bは、右斜め後方に延びる圧搾溝と左斜め後方に延びる圧搾溝との対であってよい。
【0068】
上記のような一対の斜方向圧搾溝12、12を有することにより、吸収性物品1の前方及び後方には、略V字状の圧搾溝が形成されることになる。若しくは、中央圧搾溝11の端部を含めると、略Y字状の圧搾溝が形成されることになる。このような略V字状若しくは略Y字状の圧搾溝によって、幅方向D2に沿って切った断面で2箇所の折り曲げの基点が形成されるので、一対の斜方向圧搾溝12が形成されている領域を自然に湾曲させることができる。より具体的には、一対の前方斜方向圧搾溝12f、12fが形成されていることで、装着時には、一対の前方斜方向圧搾溝12f、12fでそれぞれ、吸収性物品1が裏側に突出するように弱く折れ曲がる。そのため、吸収性物品1の前方領域Fが、装着者の身体の前方(恥骨付近の丸み)に沿って面で接触するように変形できる。また、同様に、一対の後方斜方向圧搾溝12b、12bでそれぞれ吸収性物品1が裏側に突出するように弱く折れ曲がるので、吸収性物品1の後方領域Bが、装着者の身体の後方(お尻の丸み)に沿って面で接触するように変形できる。
【0069】
このような前方領域F及び後方領域Bの変形が、断面が略M字状となる上述の変形とともに得られることで、吸収性物品1を身体の形状に適合させてフィットさせることができ、またそのようにフィットされた状態を安定的に維持できるので、体液の漏れが防止される。
【0070】
一対の斜方向圧搾溝12、12はそれぞれ、平面視で直線状に延在していてもよいし、湾曲していてもよい。但し、
図10に示すように、長手方向中心線CLに向かって凸となるように湾曲していることで、脚の丸みに沿って吸収性物品1の前方及び後方を変形させることが可能になる。
【0071】
なお、一対の前方斜方向圧搾溝12f、12f及び一対の後方斜方向圧搾溝12b、12bの両方が形成されていなくともよく、一対の前方斜方向圧搾溝12f、12f、又は一対の後方斜方向圧搾溝12b、12bのいずれかが形成されていれば、吸収性物品1の前方又は後方で上述の効果を得ることができる。
【0072】
一対の斜方向圧搾溝12の長手方向D1の長さは、中央圧搾溝11の長手方向D1の長さに対して30~60%であると好ましい。また、一対の斜方向圧搾溝12、12は、平面視で吸収体4が配置されている範囲内に形成されていてよく、平面視でトップシート3が露出している範囲内に形成されていることが好ましいまた、斜方向圧搾溝12の幅は、1~4mmであってよい。
【0073】
図10に示す例では、中央圧搾溝11及び一対の斜方向圧搾溝12、12はいずれも、低圧搾部と、低圧搾部が形成されている領域内に形成された、低圧搾部よりも深く圧搾された高圧搾部とを備えている。
図10において、高圧搾部は黒色で示す。低圧搾部と高圧搾部とを備えていることで、ある程度幅の広い圧搾溝であっても、圧搾溝の作用、すなわち吸収性物品1が変形して窪み部が形成され、また圧搾溝に沿って体液がスムーズに移行できる作用を維持できるとともに、圧搾溝が形成された部分及びその周辺が硬くなって却って変形を妨げたり違和感を生じさせたりすることを防止できる。
【0074】
<その他の構成>
図11は、吸収性物品1Bを示す
図10を再掲したものであるが、吸収性物品1Bの裏側に設けられたズレ止め部も示した図である。ズレ止め部は、より具体的には、バックシート2の裏側に設けられたものであって、着時に吸収性物品を下着により確実に固定して、吸収性物品の下着からのズレを防止するための部材である。ズレ止め部は粘着性ズレ止め部であることが好ましい。粘着性のズレ止め部は、例えば流動物である粘着剤が塗布されるか、又は予め形成された粘着剤の層(粘着テープ等)が被着されることによって形成されている。ズレ止め部として用いられる粘着剤は、公知の粘着剤、例えばホットメルトタイプの粘着剤を用いることができる。その主成分としては、スチレン系ポリマー、粘着付与剤、及び可塑剤、並びにこれらの組合せが挙げられる。
【0075】
図11に示す例では、ズレ止め部は複数に分割して設けられている。ズレ止め部の配置は特に限定されないが、ズレ止め部は、
図11に示すように、中央圧搾溝11及び裏溝41B、41Bに平面視で重ならないように形成されていることが好ましい。ズレ止め部が中央圧搾溝11及び裏溝41B、41Bに重ならないことで、吸収性物品1Bの中間領域Mが上述の断面略M字形状となるよう変形することを妨げない。そのため、ズレ止め部による、吸収性物品1B全体のズレ防止の効果を奏しつつも、上述のように吸収性物品1Bの装着時の変形状態を安定的に維持できるという効果を奏する。
【0076】
なお、
図11に示す例では、ズレ止め部は、平面視で吸収体4の幅方向D2の端に重なる又は当該端に近接して設けられている側方ズレ止め部9S、9Sと、側方ズレ止め部S、9Sよりも幅方向D2内側に長手方向中心線CLの両側にそれぞれ設けられている中央ズレ止め部9C、9Cとを含んでいてよい。側方ズレ止め部9S、9Sは、長手方向D1に連続して延在している。一方、中央ズレ止め部9C、9Cはそれぞれ長手方向で不連続となっていて、平面視で中央圧搾溝11及び裏溝41B、41Bに重ならないようになっている。なお、ズレ止め部は、中央圧搾溝11及び裏溝41B、41Bに平面視で重ならないのであれば、
図11に示す配置以外の配置で設けることができる。例えば、前方及び/又は後方で、一方の側方ズレ止め部9S、2つの中央ズレ止め部9C、及びもう一方の側方ズレ止め部9Sが連続して形成されていてもよい。
【0077】
以上、本発明を実施形態に基づき説明したが、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。また、上記実施形態は、特許請求の範囲に記載された範囲内において、様々な変更、修正、置換、付加、削除、及び組合せ等が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0078】
1、1A、1B 吸収性物品
2 バックシート
3 トップシート
4 吸収体
4S 薄厚部
7 サイドシート
9C、9S ズレ止め部
11 中央圧搾溝
12f 前方斜方向圧搾溝
12b 後方斜方向圧搾溝
41、41A、41B 裏溝
42a、42b、42a'、42b' 補助裏溝
47 窪み部
48 窪み部の縁部
CL 長手方向中心線
D1 長手方向(第1方向)
D2 幅方向(第2方向)
F 前方領域
M 中間領域
B 後方領域
Q 体液排出口対向部
r 凸部
X 長手方向仮想線