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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-11-25
(45)【発行日】2025-12-03
(54)【発明の名称】蓄熱ボード
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/04 20060101AFI20251126BHJP
【FI】
E04F15/04 601E
E04F15/04 601B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021103737
(22)【出願日】2021-06-23
(65)【公開番号】P2023002898
(43)【公開日】2023-01-11
【審査請求日】2024-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000413
【氏名又は名称】永大産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 貴雄
(72)【発明者】
【氏名】奥山 利彦
(72)【発明者】
【氏名】岸 和実
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-135017(JP,A)
【文献】特開2007-107338(JP,A)
【文献】特開2013-027660(JP,A)
【文献】特開2008-013930(JP,A)
【文献】特開平09-150406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/00-15/22
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面に複数の遮音溝が形成された木質基材と、
前記木質基材の裏面に貼着された可撓性の蓄熱シートと、
前記蓄熱シートの裏面に貼着された裏面材と、を少なくとも備え、
前記蓄熱シートの表面のうち、前記木質基材に貼り付けられる側の表面には、複数の凸条が形成されており、
前記蓄熱シートは、隣り合う凸条同士の間に形成された凹空間を残すように、前記凸条が前記木質基材の裏面に貼着されており、
前記遮音溝および前記凸条は、前記木質基材の少なくとも短手方向に沿って複数形成されており、
前記短手方向に沿った前記凸条は、前記短手方向に沿った前記遮音溝から外れた位置に貼着されていることを特徴とする蓄熱ボード。
【請求項2】
前記蓄熱シートは、発泡樹脂からなる基材に蓄熱材を分散させた弾性シートであることを特徴とする請求項1に記載の蓄熱ボード。
【請求項3】
前記木質基材の裏面には、前記遮音溝の溝幅よりも広く、前記遮音溝の深さよりも浅い幅広溝が、形成されており、
前記蓄熱シートは、前記幅広溝に形成された溝空間を残すように、前記木質基材の裏面に貼着されていることを特徴とする請求項1または2に記載の蓄熱ボード。
【請求項4】
前記遮音溝および前記幅広溝は、前記木質基材の少なくとも短手方向に沿って複数形成されており、
前記遮音溝と前記幅広溝とは、重なるように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の蓄熱ボード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮音性を有した蓄熱ボードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、遮音性を高めるために、裏面に複数の遮音溝を形成した木質基材と、木質基材の裏面に貼り付けられた緩衝シートと、を備えた遮音床が提案されている(たとえば特許文献1参照)。この遮音床によれば、木質基材の表面に衝撃音が発生すると、この衝撃音を、木質基材の表面から木質基材の裏面側に形成された遮音溝で低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-135017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ボードの蓄熱性を高めるために、蓄熱シートを用いることがある。ここで、特許文献1に示す遮音床などの遮音性を有したボードに対して、蓄熱シートを適用した場合、木質基材の表面側から熱が入熱されるため、蓄熱シートを木質基材と緩衝シートとの間に配置することになる。この場合、木質基材の裏面に蓄熱シートを貼着することになるが、ボードの表面に発生する衝撃音が十分に低減できないことがわかった。
【0005】
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、蓄熱性と遮音性との両立を図ることができる蓄熱ボードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を鑑みて、発明者らは鋭意検討を重ねた結果、蓄熱シートを用いた場合、特に低音の衝撃音(たとえば、125Hz~250Hz近傍の周波数領域の音)を低減することが難しいことがわかった。さらに、発明者らが検討を進めると、この衝撃音は、木質基材の撓み(変形)により低減され易いことがわかった。しかしながら、上述したように、木質基材の裏面全体に蓄熱シートを貼着してしまうと、蓄熱ボードの表面で低音の衝撃音が発生した際に、蓄熱シートにより木質系ボードの撓みを拘束してしまい、衝撃音を十分に低減することができないとの新たな知見を得た。
【0007】
本発明は、発明者らによる新たな知見によるものであり、第1発明に係る蓄熱ボードは、裏面に複数の遮音溝が形成された木質基材と、前記木質基材の裏面に貼着された可撓性の蓄熱シートと、前記蓄熱シートの裏面に貼着された裏面材と、を少なくとも備え、前記木質基材の裏面には、前記遮音溝の溝幅よりも広く、前記遮音溝の深さよりも浅い幅広溝が、形成されており、前記蓄熱シートは、前記幅広溝に形成された溝空間を残すように、前記木質基材の裏面に貼着されていることを特徴とする。
【0008】
第1発明によれば、木質基材の裏面に蓄熱シートを貼着することにより、木質基材から入熱される熱を蓄熱することができる。木質基材に蓄熱シートを貼着した場合、蓄熱ボードの遮音性が低下し易い。しかしながら、本発明によれば、遮音溝とは別に、遮音溝よりも溝幅が広く、遮音溝よりも溝深さの浅い幅広溝を、木質基材の裏面に設けることにより、蓄熱シートと蓄熱シートの間には、幅広溝による溝空間が形成される。この溝空間により、蓄熱ボードの遮音性を高めることができる。
【0009】
さらに、蓄熱シートは、幅広溝に形成された溝空間を残すように、木質基材の裏面に貼着されているので、木質基材の裏面における、蓄熱シートの貼着面積を低減することができる。このため、木質基材は、蓄熱シートに拘束され難い。この結果、木質基材に作用する衝撃エネルギを、木質基材の撓みで吸収し、発生する音を低減することができる。
【0010】
第1発明に係る好ましい態様としては、前記遮音溝および前記幅広溝は、前記木質基材の少なくとも短手方向に沿って複数形成されており、前記遮音溝と前記幅広溝とは、重なるように形成されている。
【0011】
この態様によれば、短手方向に沿って、複数の遮音溝を形成することにより、木質基材に作用する衝撃エネルギを、木質基材の撓みで吸収し、発生する音を低減することができる。これに加えて、遮音溝の空間と幅広溝の空間とが、連続して形成されるため、これら空間内で発生する音を効果的に吸収することができる。
【0012】
第1発明に係る好ましい態様としては、前記蓄熱シートの表面のうち、前記木質基材に貼り付けられる側の表面には、複数の凸条が形成されており、前記蓄熱シートは、隣り合う凸条同士の間に形成された凹空間を残すように、前記凸条が前記木質基材の裏面に貼着されている。
【0013】
この態様によれば、隣り合う凸条同士の間に形成された凹空間により、蓄熱ボードの遮音性を高めることができる。さらに、蓄熱シートの凹空間を残すように、蓄熱シートは、木質基材の裏面に貼着されているので、木質基材の裏面における、蓄熱シートとの貼着面積を低減することができる。このため、木質基材は、蓄熱シートに拘束され難い。この結果、木質基材に作用する衝撃エネルギを、木質基材の撓みで吸収し、蓄熱ボードで発生する音を低減することができる。
【0014】
以下に、第2発明に係る蓄熱ボードを説明する。第2発明に係る蓄熱ボードは、裏面に複数の遮音溝が形成された木質基材と、前記木質基材の裏面に貼着された可撓性の蓄熱シートと、前記蓄熱シートの裏面に貼着された裏面材と、を少なくとも備え、前記蓄熱シートの表面のうち、前記木質基材に貼り付けられる側の表面には、複数の凸条が形成されており、前記蓄熱シートは、隣り合う凸条同士の間に形成された凹空間を残すように、前記凸条が前記木質基材の裏面に貼着されていることを特徴とする。
【0015】
第2発明によれば、木質基材の裏面に蓄熱シートを貼着することにより、木質基材から入熱される熱を蓄熱することができる。このような蓄熱シートを設けた場合、蓄熱ボードの遮音性が低下し易い。しかしながら、本発明によれば、遮音溝とは別に、蓄熱シートは、隣り合う凸条同士の間に形成された凹空間を残すように、凸条が木質基材の裏面に貼着されているので、この凹空間で、効果的に音を吸収し、蓄熱ボードの遮音性を高めることができる。
【0016】
さらに、蓄熱シートは、蓄熱シートの凹空間を残すように、木質基材の裏面に貼着されているので、木質基材の裏面における、蓄熱シートの貼着面積を低減することができる。このため、木質基材は、蓄熱シートに拘束され難い。この結果、木質基材に作用する衝撃エネルギを、木質基材の撓みで吸収し、発生する音を低減することができる。
【0017】
第2発明に係る好ましい態様としては、前記遮音溝および前記凸条は、前記木質基材の少なくとも短手方向に沿って複数形成されており、前記短手方向に沿った前記凸条は、前記短手方向に沿った前記遮音溝から外れた位置に貼着されている。
【0018】
この態様によれば、遮音溝および凸条は、木質基材の少なくとも短手方向に沿って複数形成されているため、短手方向に沿った凸条に、木質基材が拘束されるため、木質基材は、長手方向に撓み易い。この結果、木質基材に作用する衝撃エネルギを、木質基材の撓みで吸収し、発生する音を低減することができる。
【0019】
ここで、第1および第2発明に係る蓄熱シートは、蓄熱性を有するシートであれば、特に限定されるものではないが、より好ましい態様としては、前記蓄熱シートは、発泡樹脂からなる基材に蓄熱材を分散させた弾性シートである。この態様によれば、蓄熱シートを弾性シートにすることにより、木質基材からの衝撃エネルギを、蓄熱シートが圧縮変形することにより吸収するので、蓄熱ボードで発生する音を低減することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る蓄熱ボードによれば、蓄熱性と遮音性との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態に係る蓄熱ボードを上方から視た分解斜視図である。
図2図1に係る蓄熱ボードを下方から視たときの分解斜視図である。
図3】(a)は、図1に示す蓄熱ボードの要部拡大図であり、(b)は、(a)の変形例であり、(c)は、(a)の他の変形例である。
図4図1に示す蓄熱シートの要部を説明するための拡大図である。
図5】第2実施形態に係る蓄熱ボードを上方から視た分解斜視図である。
図6図5に係る蓄熱ボードを下方から視たときの分解斜視図である。
図7】(a)は、図5に示す蓄熱ボードの要部拡大図であり、(b)~(f)は、(a)の変形例である。
図8】第3実施形態に係る蓄熱ボードを上方から視た分解斜視図である。
図9図8に係る蓄熱ボードを下方から視たときの分解斜視図である。
図10】(a)は、図8に示す蓄熱ボードの要部拡大図であり、(b)および(c)は、(a)の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1図10を参照しながら、本発明の実施形態およびその変形例に係る蓄熱ボードを説明する。
【0023】
〔第1実施形態(第1発明)〕
以下に、第1実施形態に係る蓄熱ボード1Aの構成を簡単に説明する。図1は、第1実施形態に係る蓄熱ボードを上方から視た分解斜視図である。図2は、図1に係る蓄熱ボードを下方から視たときの分解斜視図である。図3(a)は、図1に示す蓄熱ボードの要部拡大図であり、図3(b)は、図3(a)の変形例であり、図3(c)は、図3(a)の他の変形例である。図4は、図1に示す蓄熱シートの要部を説明するための拡大図である。
【0024】
図1に示すように、第1実施形態に係る蓄熱ボード1Aは、第1発明に含まれるものであり、遮音性と蓄熱性を有したボードである。図1では、蓄熱ボード1Aとして、床材に適用した例を示しているが、たとえば、壁材等の建材に適用されてもよい。
【0025】
図1および図2に示すように、蓄熱ボード1Aは、裏面11gに複数の遮音溝21が形成された木質基材11と、木質基材11の裏面11gに貼着された可撓性の蓄熱シート12と、蓄熱シート12の裏面12gに貼着された裏面材13と、を少なくとも備えている。
【0026】
1.木質基材11について
木質基材11は、短手方向Xと長手方向Yを有した木質系の基材であり、本実施形態では、表面化粧材と、ベース材とをたとえば貼着等により積層したものであり、表面化粧材は必ずしも積層されなくてもよい。たとえば、表面化粧材としては、化粧単板、樹脂製の化粧シート、挽き板、または突板などを挙げることができ、表面化粧材の代わりに、ベース材の表面に化粧用の印刷、たとえば適宜下地処理後のUV硬化型インクジェット印刷やグラビア印刷等が施されていてもよい。
【0027】
ベース材としては、合板、パーティクルボード(PB)、木質繊維板(MDF・インシュレーションボード・ハードボードなど)、配向性ストランドボード、OSB、LVL、集成材、無垢材などを挙げることができ、これらを熱処理・薬剤処理などをしたものであってもよく、これらを2種類以上積層した木質複合ベース材のようなものであってもよい。
【0028】
また、図1および図2に示すように、木質基材11(具体的にはベース材)の周縁には、雄実部11aおよび雌実部11bが形成されている。蓄熱ボード1Aを床下地面に敷設する際に、隣接する蓄熱ボード1A、1A同士の雄実部11aと雌実部11bを接合することにより、複数の蓄熱ボード1Aを連結することができる。また、木質基材11の表面から裏面までの厚さ(見かけ上の厚さ)は、好ましくは6~12mmであり、より好ましくは8~10mmである。
【0029】
さらに、本実施形態では、木質基材11の裏面11gに、複数の遮音溝21、21、…が形成されている。複数の遮音溝21、21、…は、木質基材11の短手方向Xおよび長手方向Yに沿って、所定のピッチで形成されている。遮音溝21のピッチは、3~1000mm、溝幅は、0.3~10mm、深さは1~10mmの範囲であることが好ましい。これにより、蓄熱ボード1Aの表面(すなわち、木質基材11の表面)に衝撃荷重等の荷重が作用した際に、木質基材11を好適に撓ませることができる。
【0030】
本実施形態では、長手方向Yに沿った遮音溝21と短手方向Xに沿った遮音溝21が交差するように、複数の遮音溝21、21、…を形成したが、上述した撓みの効果を期待することができるのであれば、いずれか一方の方向に沿ってのみ複数の遮音溝21が形成されていてもよく、短手方向Xおよび長手方向Yと交差する方向に沿って複数の遮音溝21が形成されていてもよく、各遮音溝21の幅、深さ等が異なっていてもよい。なお、木質基材11には、幅広溝22がさらに形成されているが、その詳細については、後述する。
【0031】
2.蓄熱シート12について
蓄熱シート12は、木質基材11の裏面11gを覆うように配置されている。本実施形態では、蓄熱シート12は、表面12fおよび裏面12gが平坦な面を有した蓄熱シートである。
【0032】
蓄熱シート12は、液相から固相への潜熱により蓄熱する潜熱蓄熱材を含むシートであり、液相時に潜熱蓄熱材が蓄熱シート12から溶出しないものであることが好ましい。本実施形態では、図4に示すように、蓄熱シート12は、潜熱蓄熱材をマイクロカプセルに内包した蓄熱粒子12bが、樹脂基材12aに分散されたシート状の部材であり、可撓性を有するものが好ましい。マイクロカプセルおよび樹脂基材12aは、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂のいずれであってもよく、マイクロカプセルから潜熱蓄熱材が流出しなければ、その樹脂は限定されるものではない。樹脂基材12aは、成形時の加熱温度以下で軟化する熱可塑性樹脂であってもよい。ここで、樹脂基材12aを構成する熱可塑性樹脂は、塩化ビニルなどを挙げることができ、蓄熱シート12は、樹脂基材12aを発泡させた発泡シートであってもよい。
【0033】
潜熱蓄熱材の液相から固相への相変化温度(融点)は、18~25℃であることが好ましい。潜熱蓄熱材としては、n-ヘキサデカン、n-ヘプタデカン、n-オクタデカン、n-ノナデカン等或いはこれらの混合物で構成される、典型的には炭素数16~24の、n-パラフィンやパラフィンワックス等の飽和脂肪族炭化水素;1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン等或いはこれらの混合物で構成される、典型的には炭素数16~24の、直鎖α-オレフィン等の一価又は多価不飽和脂肪族炭化水素;オクタン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸等或いはこれらの混合物で構成される長鎖脂肪酸;上記脂肪酸のエステル、ポリエチレングリコール等のポリエーテル化合物等を挙げることができる。たとえば28℃で融解するものであれば、n-オクタデカンを選択し、18℃で融解するものであれば、n-ヘキサデカンを選択する。さらに、上述した融点の異なる複数の潜熱蓄熱材を混合して用いてもよい。
【0034】
また、蓄熱シート12として、たとえば、金属、樹脂またはこれらを積層したフィルムからなる袋体に、上述した潜熱蓄熱材を密封したものであってもよい。この他にも、蓄熱シート12は、相変化温度以上でゲル状となる潜熱蓄熱材からなってもよい。この態様によれば相変化温度以上で固形状からゲル状となるので、相変化温度以上になったとしても潜熱蓄熱材の形状を容易に保持することができる。
【0035】
さらに、出願人が既に出願した国際公開2015/174523に開示されるように、潜熱蓄熱材と水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとを含む蓄熱材組成物が、蓄熱シート12に含まれてもよい。水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン/プロピレンブロック共重合体(SEP)、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)、及びスチレン-エチレン-エチレン/プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEEPS)からなる群から選択される少なくとも1種(2種以上の混合物であってもよい)等を挙げることができる。
【0036】
3.裏面材13について
裏面材13は、蓄熱シート12の裏面側に配置されている。裏面材13は、不織布または織布を挙げることができる。
【0037】
裏面材13の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロンを含むポリアミド系樹脂などからなる樹脂繊維、または、綿、羊毛等の天然繊維等であってもよい。また、この他にも裏面材13は、無孔質の樹脂シート等であってもよい。たとえば、裏面材13が、衝撃緩衝シート(クッション性を有したシート)であってもよい。衝撃緩衝シートとして、たとえば、発泡樹脂シートを挙げることができ、発泡樹脂の樹脂は、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、または、ポリプロピレン樹脂などを挙げることができ、中でも、圧縮方向に弾性変形率が高いポリウレタン樹脂が好ましい。
【0038】
4.防音構造について
本実施形態では、木質基材11と蓄熱シート12とにより、防音構造が形成される。具体的には、木質基材11の裏面11gには、遮音溝21の溝幅よりも広く、遮音溝21の深さよりも浅い幅広溝22が、形成されている。具体的には、図3(a)に示すように、幅広溝22の深さD2は、遮音溝21の深さD1よりも浅く、幅広溝22の溝幅W2は、遮音溝21の溝幅W1よりも広い。たとえば、幅広溝22の深さD2は、遮音溝21の深さD1に対して、0.05倍~0.50倍の範囲にあり、幅広溝22の溝幅W2は、遮音溝21の溝幅W1の2倍~30倍の範囲にあることが好ましい。
【0039】
本実施形態では、図2および図3(a)に示すように、遮音溝21および幅広溝22は、木質基材11の少なくとも短手方向Xに沿って複数形成されており、遮音溝21と幅広溝22とは、重なるように形成されている。本実施形態では、短手方向Xに沿って、幅広溝22が形成されているが、たとえば、長手方向Yに沿って幅広溝22が形成されていてもよい。この場合には、長手方向に沿った遮音溝21と幅広溝22とが、重なるよう形成される。
【0040】
木質基材11と蓄熱シート12とは、接着剤を介して貼着されている。具体的には、図3に示すように、蓄熱シート12は、幅広溝22に形成された溝空間S2を残すように、木質基材11の裏面11gに貼着されている。なお、蓄熱シート12と裏面材13も同様に、接着剤を介して貼着されている。
【0041】
木質基材11と蓄熱シート12とを接着する接着剤、および蓄熱シート12と裏面材13とを接着する接着剤は、これらの接着性を確保することができるのであれば、特に限定されるものではない。したがって、接着剤は、これらの界面に接着層として形成されていればよく、幅広溝22に面した蓄熱シート12の表面12fには、接着剤は付着していないことが好ましい。これにより、幅広溝22に面した蓄熱シート12の表面12fは、接着剤により硬化しないので、蓄熱シート12の表面12fで、幅広溝22の空間S2に伝達された音を吸音することができる。
【0042】
たとえば、接着剤としては、尿素・メラミン樹脂系接着剤、または、変性酢酸ビニル接着剤などのエチレン酢酸ビニル共縮合樹脂系接着剤などの水性接着剤;一成分型のポリウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤などの湿気により化学反応し硬化する機能を有した接着剤;ポリアミド系接着剤、EVA系接着剤などのホットメルト系接着剤、を挙げることができる。この他にも、接着材料となる樹脂に、炭化水素系の有機溶剤で溶解した接着剤であってもよい。
【0043】
本実施形態によれば、木質基材11の裏面11gに蓄熱シート12を貼着することにより、木質基材11から入熱される熱を蓄熱することができる。木質基材11に蓄熱シート12を貼着した場合、蓄熱ボード1Aの遮音性が低下し易いが、本実施形態によれば、遮音溝21とは別に、遮音溝21よりも溝幅が広く、遮音溝21よりも溝深さの浅い幅広溝22を、木質基材11の裏面11gに設けることにより、木質基材11と蓄熱シート12の間には、遮音溝21による空間S1に加えて、幅広溝22による溝空間S2が形成される。この溝空間S2により、蓄熱ボード1Aの遮音性を高めることができる。
【0044】
特に、短手方向Xに沿って、複数の遮音溝21、21、…を形成することにより、木質基材11に作用する衝撃エネルギを、木質基材11の撓みで吸収し、木質基材11の表面側で発生する音を低減することができる。これに加えて、図3(a)に示すように、遮音溝21の空間S1と幅広溝の空間S2とが連続して形成されている(連通している)ため、これら空間S1、S2内で、発生する音を効果的に吸収することができる。
【0045】
このことから、たとえば、図3(b)の変形例に示すように、遮音溝21に対して、片側に延在するように、幅広溝22を形成してもよいが、図3(a)に示すように、遮音溝21に対して両側に延在するように幅広溝22を設ければ、遮音溝21から伝達された音は、幅広溝22の空間S2に分散されるため、蓄熱ボード1Aの遮音性を高めることができる。なお、図3(b)に示す遮音溝21を、木質基材11の長手方向Yに沿って、さらに形成してもよい。
【0046】
図3(a)および図3(b)に示す蓄熱シート12は、幅広溝22に形成された溝空間S2を残すように、木質基材11の裏面11gに貼着されているので、木質基材11の裏面11gにおける、蓄熱シート12との貼着面積を、これまでのもの(遮音溝21のみのもの)に比べて、低減することができる。このため、木質基材11は、蓄熱シート12に拘束され難い。この結果、木質基材11に作用する衝撃エネルギを、木質基材11の撓みで吸収し、発生する音を低減することができる。なお、このような効果を発現するため、木質基材11の裏面を平面視したときの総面積に対して、蓄熱シート12の貼着面積は、30%~70%の範囲にあることが好ましく、より好ましくは、40%~60%である。
【0047】
したがって、たとえば、図3(c)の変形例の蓄熱ボード1Aに示すように、遮音溝21に対して外れた位置に、幅広溝22を形成したとしても、同様の効果を得ることができる。なお、図3(c)に示すように、遮音溝21に対して外れた位置に、幅広溝22を形成したとしても、この幅広溝22の空間S2は、木質基材11の長手方向に沿って形成された遮音溝21に交差するため、長手方向の遮音溝21の空間に連続するので、これらの空間により、吸音性を高めることができる。さらに、図3(c)に示すように、木質基材11の長手方向に沿って、幅広溝22を形成してもよい。
【0048】
〔第2実施形態(第1発明)〕
以下に、図5図7を参照して、第2実施形態に係る蓄熱ボード1Bについて説明する。第2実施形態は、第1発明に含まれる実施形態であり、第1実施形態と相違する点は、蓄熱シートである。したがって、第1実施形態の蓄熱ボード1Aの各構成と同じ構成は、以下の図5図7において、同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0049】
図5は、第2実施形態に係る蓄熱ボードを上方から視た分解斜視図である。図6は、図5に係る蓄熱ボードを下方から視たときの分解斜視図である。図7(a)は、図5に示す蓄熱ボードの要部拡大図であり、図7(b)~(f)は、(a)の変形例である。
【0050】
図5に示すように、第2実施形態に蓄熱ボード1Bは、蓄熱シート12の表面のうち、木質基材11に貼り付けられる側の表面12fには、複数の凸条31、31、…が形成されている。図5に示す各凸条31は、凸条の高さに比べて、凸条の幅が広い幅広の凸条であるが、この形状に限定されるものではなく、凸条の高さに比べて、凸条の幅が同等または狭くてもよい。凸条31、31同士の間には、凹溝32が形成されており、凹溝32により、凹空間S3が形成されている。
【0051】
図5では便宜上、凸条31の数を少なく描いているが、凸条31の幅は、4~60mmの範囲にあることが好ましく、凹溝32の幅も、4~60mmの範囲にあることが好ましい。ここで、図7(a)に示すように、蓄熱シート12は、隣り合う凸条31、31同士の間に形成された凹空間S3を残すように、凸条31が木質基材11の裏面11gに貼着されている。本実施形態では、蓄熱シート12の凹溝32の溝幅は、遮音溝21の溝幅よりも広い。
【0052】
ここで、凸条31を有する蓄熱シート12は、第1実施形態で示した材料から、たとえば、図4に示す発泡樹脂からなる基材に蓄熱材を分散させた材料から、一体的に成形されていてもよいが、凸条31に相当する紐状または線状の部材を、平坦な表面を有したシート材に貼り付けることにより、蓄熱シート12を作製してもよい。
【0053】
この他にも、凸条31のみ、不織布で構成し、その他の部分を、蓄熱性を有した素材で構成してもよい。凸条31の不織布の密度は、たとえば、0.4g/cm~1.0g/cmの範囲であることが好ましく、不織布の繊維径は、たとえば、0.5μm~15μmの範囲であることが好ましい。
【0054】
本実施形態によれば、隣り合う凸条31、31同士の間に形成された凹溝32の凹空間S3により、蓄熱ボード1Aの遮音性を高めることができる。さらに、蓄熱シート12の凹空間S3を残すように、蓄熱シート12は、木質基材11の裏面11gに貼着されているので、木質基材11の裏面11gにおける、蓄熱シート12との貼着面積を低減することができる。このため、木質基材11は、蓄熱シート12に拘束され難い。この結果、木質基材11に作用する衝撃エネルギを、木質基材11の撓みで吸収し、蓄熱ボード1Bで発生する音を低減することができる。
【0055】
ここで、図7(a)に示すでは、蓄熱シート12に形成された凹溝32が、木質基材11の幅広溝22に重なるように形成されているため、蓄熱シート12の凹溝32の凹空間S3は、木質基材11の遮音溝21の空間S1および幅広溝22の空間S2に連続する。この結果、これらの連続した空間S1~S3により、蓄熱ボード1Bの遮音性を高めることできる。
【0056】
ここで、図7(b)に示すように、凹溝32の溝幅が、幅広溝22の溝幅よりも狭くてもよい。しかしながら、図7(a)に示すように、凹溝32の溝幅を、幅広溝22の溝幅よりも、広くすることにより、木質基材11の裏面11gにおける、蓄熱シート12との貼着面積を低減することができる。さらに、図7(c)に示すように、凹溝32が、幅広溝22に対してはみ出すように形成されていてもよい。この場合であっても、図7(b)の蓄熱ボード1Bに比べて、木質基材11の裏面11gにおける、蓄熱シート12との貼着面積を低減することができる。これにより、木質基材11が撓んだ際に、木質基材11に対する蓄熱シート12の拘束を低減することができるため、蓄熱ボード1Bの遮音性を高めることができる。
【0057】
さらに、図7(d)に示すように、蓄熱シート12に形成された凹溝32が、木質基材11の幅広溝22から外れるように形成されていてもよい。このような場合であっても、第1実施形態の図3(b)に示す蓄熱ボード1Aに比べて、木質基材11の裏面11gにおける、蓄熱シート12との貼着面積を低減することができる。この場合も同様に、木質基材11が撓んだ際に、木質基材11に対する蓄熱シート12の拘束を低減することができるため、蓄熱ボード1Bの遮音性を高めることができる。
【0058】
さらに、図7(e)に示すように、遮音溝21から外れた位置に、幅広溝22が形成され、遮音溝21と重なるように、蓄熱シート12の凹溝32が形成されていてもよい。これにより、遮音溝21の空間S1と凹溝32の凹空間S3が連続し、これらの空間により、蓄熱ボード1Bの遮音性を高めることができる。この他にも、図7(f)に示すように、遮音溝21から外れた位置に、幅広溝22が形成され、遮音溝21と幅広溝22に重なるように、蓄熱シート12の凹溝32が形成されていれば、これらの空間により、蓄熱ボード1Bのより遮音性をより一層高めることができる。
【0059】
このように、蓄熱ボード1Bに、図7(a)~(f)の遮音構造のいずれか1つを、設けられていてもよく、これらのうちのいくつかを含んでいてもよい。さらに、蓄熱ボード1Bとして、第1実施形態の図3(a)~(c)で示す木質基材11に、図7(a)~(f)に示すいずれかの蓄熱シート12を適用してもよい。
【0060】
〔第3実施形態(第2発明)〕
以下に、図8図10を参照して、第3実施形態に係る蓄熱ボード1Cについて説明する。第3実施形態は、第2発明に含まれる実施形態であり、第2実施形態と相違する点は、木質基材である。したがって、第2実施形態の蓄熱ボード1Bの各構成と同じ構成は、以下の図8図10において、同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0061】
図8は、第3実施形態に係る蓄熱ボードを上方から視た分解斜視図である。図9は、図8に係る蓄熱ボードを下方から視たときの分解斜視図である。図10(a)は、図8に示す蓄熱ボードの要部拡大図であり、図10(b)および図10(c)は、図10(a)の変形例である。
【0062】
図8図10に示すように、第3実施形態に係る蓄熱ボード1Cは、裏面11gに複数の遮音溝21が形成された木質基材11と、木質基材11の裏面11gに貼着された、可撓性を有した蓄熱シート12と、蓄熱シート12の裏面12gに貼着された裏面材13と、を備えている。
【0063】
本実施形態では、木質基材11の裏面11gには、遮音溝21は形成されているが、幅広溝22が形成されていない。本実施形態では、第2実施形態の蓄熱シート12と同様に、蓄熱シート12の表面のうち、木質基材11に貼り付けられる側の表面12fには、複数の凸条31、31、…が形成されている。
【0064】
図8に示す各凸条31は、第2実施形態と同様に、凸条の高さに比べて、凸条の幅が広い幅広の凸条であるが、この形状に限定されるものではなく、凸条の高さに比べて、凸条の幅が同等または狭くてもよい。凸条31、31同士の間には、凹溝32が形成されており、凹溝32は、凹空間S3が形成されている。凸条31の寸法および凹溝32の寸法は、第2実施形態で示した範囲と同じである。
【0065】
本実施形態では、図8図10(a)等に示すように、ここで、短手方向Xに沿った凸条31は、短手方向Xに沿った遮音溝21から外れた位置に貼着されている。したがって、蓄熱シート12は、隣り合う凸条31、31同士の間に形成された凹空間S3を残すように、凸条31が木質基材11の裏面11gに貼着されている。ここで、第2実施形態と同様に、蓄熱シート12の凹溝32の溝幅は、遮音溝21の溝幅よりも広い。また、凹溝32の溝深さは、遮音溝21の溝深さよりも浅くてもよい。
【0066】
ここで、凸条31を有する蓄熱シート12は、第1実施形態で示した材料から、たとえば、図4に示す発泡樹脂からなる基材に蓄熱材を分散させた材料から、一体的に成形されていてもよいが、凸条31に相当する紐状または線状の部材を、平坦な表面を有したシート材に貼り付けることにより、蓄熱シート12を作製してもよい。この他にも、第2実施形態に示したように、凸条31のみ、不織布で構成し、その他の部分を、蓄熱性を有した素材で構成してもよい。
【0067】
本実施形態によれば、隣り合う凸条31、31同士の間に形成された凹溝32の凹空間S3により、蓄熱ボード1Cの遮音性を高めることができる。さらに、蓄熱シート12の凹空間S3を残すように、蓄熱シート12は、木質基材11の裏面11gに貼着されているので、木質基材11の裏面11gにおける、蓄熱シート12との貼着面積を、凹溝32を設けていないものに比べて、低減することができる。このため、木質基材11は、蓄熱シート12に拘束され難い。この結果、木質基材11に作用する衝撃エネルギを、木質基材11の撓みで吸収し、蓄熱ボード1Cで発生する音を低減することができる。
【0068】
第3実施形態も同様に、木質基材11の裏面11gに蓄熱シート12を貼着することにより、木質基材11から入熱される熱を蓄熱することができる。木質基材11に蓄熱シート12を貼着した場合、蓄熱ボード1Cの遮音性が低下し易いが、本実施形態によれば、遮音溝21とは別に、凹溝32が、木質基材11の裏面11gと対向する位置に配置されるので、木質基材11と蓄熱シート12の間には、遮音溝21による空間S1に加えて、凹溝32による凹空間S3が形成される。この溝空間S3により、蓄熱ボード1Cの遮音性を高めることができる。
【0069】
さらに、本実施形態では、特に、遮音溝21および凸条31は、木質基材11の少なくとも短手方向Xに沿って複数形成されており、短手方向に沿った凸条31は、短手方向Xに沿った遮音溝21から外れた位置に貼着されている。したがって、図10(a)に示すように、本実施形態では、遮音溝21の空間S1と、蓄熱シート12の凹空間S3が連続している。これらの連続した空間により、蓄熱ボードの遮音性を高めることができる。
【0070】
ここで、蓄熱シート12は、蓄熱シート12の凹空間S3を残すように、木質基材11の裏面11gに貼着されているので、木質基材11の裏面11gにおける、蓄熱シート12の貼着面積を低減することができる。このため、木質基材11は、蓄熱シート12に拘束され難い。この結果、木質基材11に作用する衝撃エネルギを、木質基材11の撓みで吸収し、発生する音を低減することができる。
【0071】
ここで、たとえば、図10(b)の変形例に示すように、遮音溝21に対して、片側に延在するように、凹溝32を形成してもよいが、図10(a)に示すように、遮音溝21に対して両側に延在するように凹溝32を設ければ、遮音溝21から伝達された音は、凹溝32の凹空間S3に分散されるため、蓄熱ボード1Cの遮音性を高めることができる。なお、図3(b)に示す遮音溝21が、木質基材11の長手方向Yに沿って、さらに形成されていてもよい。
【0072】
図10(a)および図10(b)に示す蓄熱シート12は、凹溝32に形成された溝空間S3を残すように、木質基材11の裏面11gに貼着されているので、木質基材11の裏面11gにおける、蓄熱シート12との貼着面積を、これまでのもの(遮音溝21のみのもの)に比べて、低減することができる。このため、木質基材11は、蓄熱シート12に拘束され難い。この結果、木質基材11に作用する衝撃エネルギを、木質基材11の撓みで吸収し、発生する音を低減することができる。なお、このような効果を発現するため、木質基材11の裏面を平面視したときの総面積に対して、蓄熱シート12の貼着面積は、30%~70%の範囲にあることが好ましく、より好ましくは、40%~60%である。
【0073】
したがって、たとえば、図10(c)の変形例の蓄熱ボード1Cに示すように、遮音溝21に対して外れた位置に、凹溝32を形成したとしても、同様の効果を得ることができる。なお、図10(c)に示すように、遮音溝21に対して外れた位置に、凹溝32を形成したとしても、この凹溝32の凹空間S3は、木質基材11の長手方向に沿って形成された遮音溝21に交差し、長手方向の遮音溝21の空間S1に連続するので、これらの空間により、吸音性を高めることができる。さらに、図10(c)に示すように、木質基材11の長手方向Yに沿って、凹溝32を形成してもよい。
【実施例
【0074】
以下に、本発明に係る実施例を説明する。
【0075】
〔実施例1〕
第1実施形態に相当する蓄熱ボードを作製した。具体的には、厚さ9.0mmの木質基材と、厚さ3.0mmの蓄熱シートと、厚さ3.0mmの裏面材と、を準備した。木質基材は、合板の表面に化粧材が貼り合わされたものであり、裏面には、深さ6.0mmの複数の遮音溝が形成されているものであり、木質基材の裏面に、幅10mmピッチで、深さ0.6mmの幅広溝を短辺方向に沿って形成した。蓄熱シートは、潜熱蓄熱材を内包したマイクロカプセルを、発泡ウレタン樹脂に分散した弾性シートである。次に、幅広溝の空間が残るように、これらを接着剤を介して貼り合わせ、蓄熱ボードを作製した。
【0076】
〔実施例2〕
実施例1と同じように、蓄熱ボードを作製した。実施例1と相違する点は、木質基材に幅広溝を設けず、第3実施形態の如く、蓄熱シートの表面のうち、木質基材に貼り付けられる面に、幅10mm、ピッチ10mm、高さ1.7mmの凸条を複数形成した。この凸条も、マイクロカプセルを、発泡ウレタン樹脂に分散したものである。
【0077】
〔比較例1〕
実施例1と同じように、蓄熱ボードを作製した。実施例1と相違する点は、幅広溝を形成していない木質基材を用いた点である。
【0078】
(遮音試験)
実施例1~5および比較例1に係る蓄熱ボードに対して、JIS A 1418に準拠した床衝撃音レベル低減量(以下低減量という)を測定した。この結果を、表1に示す。
【0079】
【表1】
【0080】
実施例1および2に係る蓄熱ボードの床衝撃音レベル低減量は、周波数が125Hz~1kHzの範囲において、比較例1のものよりも大きいことがわかった。特に、周波数が125Hzである場合には、実施例1~2に係る蓄熱ボードの低減量は、比較例1の物に比べて4倍程度であった。これは、比較例1の蓄熱ボードは、吸音するための空間が少なく、実施例1および2に比べて、木質基材が、蓄熱シートで強固に拘束されているからであると考えられる。
【0081】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【符号の説明】
【0082】
1A、1B、1C:蓄熱ボード、11:木質基材、12:蓄熱シート、13:裏面材、21:遮音溝、22:幅広溝、31:凸条、X:短手方向、Y:長手方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10