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7786199電力処理指示スケジュール作成方法、コンピュータプログラム、及びコンピュータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-12-08
(45)【発行日】2025-12-16
(54)【発明の名称】電力処理指示スケジュール作成方法、コンピュータプログラム、及びコンピュータ
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20251209BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20251209BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20251209BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20251209BHJP
【FI】
G06Q50/06
H02J3/00 180
H02J3/32
H02J3/38 130
H02J3/00 130
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021213256
(22)【出願日】2021-12-27
(65)【公開番号】P2023097099
(43)【公開日】2023-07-07
【審査請求日】2024-06-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年8月20日、ブルーコンシャス株式会社大阪本社において開催された市場連動モードに関する説明会にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099933
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100124028
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 公雄
(74)【代理人】
【識別番号】100078813
【弁理士】
【氏名又は名称】上代 哲司
(74)【代理人】
【識別番号】100094477
【弁理士】
【氏名又は名称】神野 直美
(72)【発明者】
【氏名】中島 由晴
(72)【発明者】
【氏名】綾井 直樹
(72)【発明者】
【氏名】上田 光保
(72)【発明者】
【氏名】浦川 文男
(72)【発明者】
【氏名】水谷 学
【審査官】藤澤 美穂
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-093652(JP,A)
【文献】特開2021-164317(JP,A)
【文献】特開2017-022918(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0257585(US,A1)
【文献】特開2007-256990(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
H02J 3/00
H02J 3/32
H02J 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、電力の取引価格のスケジュールを定めたスケジュールデータを取得するステップと、
コンピュータが、前記スケジュールの中で取引価格が第1の価格である第1の区間と、取引価格が前記第1の価格より高い第2の価格である第2の区間とを組み合わせ、前記第1の区間と前記第2の区間に、それぞれ異なる処理を行うことを指示する、電力に関する処理の指示スケジュールを作成するステップとを含み、
前記指示スケジュールを作成するステップは、
コンピュータが、前記スケジュールの中で取引価格が低いものから順番に前記第1の区間を選択するステップと、
コンピュータが、前記選択するステップにおいて選択された前記第1の区間の各々について、当該第1の区間よりも後の区間の中で、当該区間における取引価格が前記第1の区間の前記第1の価格を超えて最も高く、かつ他の区間と組み合わされていない区間を前記第2の区間として選択するステップとを含む、電力処理指示スケジュール作成方法。
【請求項2】
前記第2の区間として選択されるのは、前記第2の価格と前記第1の価格との差額が、前記第1の価格に対し予め定める正の値を乗じた値以上となる区間である、請求項1に記載の電力処理指示スケジュール作成方法。
【請求項3】
前記指示スケジュールは、蓄電池の充電期間及び放電期間を指示するスケジュールである、請求項1又は請求項2に記載の電力処理指示スケジュール作成方法。
【請求項4】
前記指示スケジュールは、
前記第1の区間には前記蓄電池の充電を行うことを指示し、
前記第2の区間には前記蓄電池の放電を行うことを指示する、
請求項3に記載の電力処理指示スケジュール作成方法。
【請求項5】
さらに、コンピュータが、充電及び放電を行わず待機することを指示する値を前記指示スケジュールの、前記第1の区間でも前記第2の区間でもない第3の区間に設定するステップを含む、請求項4に記載の電力処理指示スケジュール作成方法。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電力処理指示スケジュール作成方法を実行するよう機能させる、コンピュータプログラム。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電力処理指示スケジュール作成方法を実行するようにプログラムされた、コンピュータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、電力処理指示スケジュール作成方法、充放電指示スケジュールの更新方法、蓄電システム、コンピュータプログラム、コンピュータ、及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電システムを設置する家庭が増加しつつある。蓄電システムを用いると、例えば電気料金の安い深夜電力により蓄電システムを充電し、電気料金の高い昼間には蓄電システムから放電された電力を家庭内の負荷に供給できる。そうした蓄電システムを含む電力供給システムが後掲の特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された電力供給システムは、電気料金が比較的安価な深夜電力を蓄電池に蓄電し、日中は電力系統から電力を購入する代わりに、太陽電池の発電電力と蓄電池の充電電力とを優先的に家庭内負荷に供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-079058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最近は、電力自由化に伴い、電力供給会社の間に電力を取引することが行われるようになっている。そのために、電力のマーケットとも言われる、電力を取引する市場が設けられている。この市場における電力価格は、電力の需給バランスにより変化する。電力供給会社は、この電力価格を参考に電力を販売したり購入したりする。
【0006】
この市場における電力価格は24時間を30分ずつ48個の時間帯(区間)に分けて、実際に電力が取引される前日に決定され公開される。公開されるのは、翌日と翌々日の2日分の電力の取引単価(取引価格)である。この価格は、電力の需給により変動するため、日により、また区間により異なってくる。
【0007】
一方、最近では個人の家庭に蓄電システムと呼ばれるシステムを設置することが多くなっている。蓄電システムは、上記特許文献1にも記載されたとおり、電力に余剰があるときに電力を一時的に蓄電し、電力の価格が高いときに、蓄電された電力を負荷に供給する。しかし、特許文献1に記載されたシステムは、予め固定された区間に充電し、同様に固定された区間に放電するように設定されている。そのため、価格が30分を単位として変動するような市場から電力を購入したり、蓄電した電力を最も効率的に放電したりすることは難しいという問題がある。
【0008】
こうした問題は、蓄電システムのような電力変換システムに限定されず、太陽光発電システムを備え、太陽光発電システムの発電電力を電力系統に売電したり、蓄電池に充電したりできる電力変換システムにおいても生じる。したがって、電力変換システムが効率的に電力の取引市場から電力を購入し利用できるようにするための、電力処理指示スケジュールを電力市場の電力の取引価格の変動を適切に反映して立案できるようにする必要がある。
【0009】
それゆえに本開示は、効率的に電力を使用するための電力処理指示スケジュール作成方法、充放電指示スケジュールの更新方法、コンピュータプログラム、コンピュータ、及び記憶媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この開示の第1の局面に係る電力処理指示スケジュール作成方法は、コンピュータが、電力の取引価格のスケジュールを定めたスケジュールデータを取得するステップと、コンピュータが、スケジュールの中で取引価格が第1の価格である第1の区間と、取引価格が第1の価格より高い第2の価格である第2の区間とを組み合わせ、第1の区間と第2の区間に、それぞれ異なる処理を行うことを指示する、電力に関する処理の指示スケジュールを作成するステップとを含む。
【0011】
この開示の第2の局面に係るコンピュータプログラムは、コンピュータを、上記したいずれかの装置の各手段として機能させる。
【0012】
この開示の第3の局面に係るコンピュータは、上記したいずれかの電力処理指示スケジュール作成方法を実行するようにプログラムされている。
【0013】
この開示の第4の局面に係る充放電指示スケジュールプログラムは、蓄電システムの充放電を指示するための、充放電指示スケジュールプログラムであって、所定期間を複数の区間に分割し、各区間に蓄電システムの充電、放電及び待機のいずれかを指示するようコンピュータを機能させる。
【0014】
この開示の第5の局面に係るコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、上記した充放電指示スケジュールプログラムを記憶している。
【0015】
この開示の第6の局面に係る蓄電システムは、電力系統に接続される蓄電システムであって、蓄電池と、上記したいずれかの電力処理指示スケジュール作成方法によって作成された電力処理指示スケジュールに基づいて、蓄電池の充放電を制御する制御装置とを含む。
【0016】
この開示の第7の局面に係る充放電指示スケジュールの更新方法は、所定の長さの対象期間を複数の区間に分割し、対象期間内の各区間について蓄電システムに対して充電、放電及び待機のいずれかを指示するようにコンピュータを機能させる、充放電指示スケジュールの更新方法であって、コンピュータが、更新対象の充放電指示スケジュールを準備するステップと、コンピュータが、更新対象の充放電指示スケジュールの少なくとも現時点以降の各区間について、蓄電システムの充放電に関係する所定の状態又は所定の物理量値を予測するステップと、コンピュータが、更新対象の充放電指示スケジュールにしたがって蓄電システムを動作させたときの予測電気料金と、更新対象の充放電指示スケジュールにおいて、予測するステップで予測された値を考慮した場合に得られる予測電気料金とを比較するステップと、コンピュータが、比較するステップでの比較結果にしたがって、更新対象の充放電指示スケジュールを更新するステップとを含む。
【0017】
この開示の第8の局面に係る蓄電システムは、蓄電池と、上記した充放電指示スケジュールの更新方法によって作成された充放電指示スケジュールに基づいて、蓄電池の充放電を制御する制御装置とを含む。
【0018】
この開示の第9の局面に係るコンピュータプログラムは、コンピュータを、上記した充放電指示スケジュールの更新方法を実行するように機能させる。
【0019】
この開示の第10の局面に係るコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、上記したコンピュータプログラムを記録している。
【0020】
この開示の第11の局面に係るコンピュータは、上記したいずれかの充放電指示スケジュールの更新方法を実行するようにプログラムされている。
【発明の効果】
【0021】
以上のようにこの開示によると、効率的に電力を使用するための電力処理指示スケジュール作成方法、充放電指示スケジュールの更新方法、蓄電システム、コンピュータプログラム、コンピュータ、及び記憶媒体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、この開示の第1実施形態に係る電力処理指示スケジュール作成方法を実現する電力売買システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示す充放電指示データ作成サーバを実現するためのコンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。
図3図3は、図1に示す蓄電システムのための室内リモートコントローラのハードウェア構成を示すブロック図である。
図4図4は、蓄電システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
図5図5は、図1に示す充放電指示データ作成サーバが電力取引の市場価格管理サーバからスポット価格データをダウンロードするために実行するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
図6図6は、図1に示す充放電指示データ作成サーバが蓄電システムの充放電のスケジュールを指示する充放電指示データを作成するために実行するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
図7図7は、図6に示すプログラムにおいて、エリアごとに実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
図8図8は、図7に示すプログラムにおいて、価格の高い区間及び価格の安い区間をマッチングする処理を実現するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
図9図9は、図1に示す充放電指示データ配布システムにおいて、充放電指示データ配布サーバから室内リモートコントローラが充放電指示データをダウンロードするためのプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
図10図10は、図1に示す室内リモートコントローラが充放電指示データに従って蓄電システムを制御するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
図11図11は、この開示の第2実施形態に係る電力売買システムの構成を、関係する各部との関係で示すブロック図である。
図12図12は、図11に示す室内リモートコントローラの機能的構成を示すブロック図である。
図13図13は、図11に示す充放電指示データ保守サーバの機能的構成を示すブロック図である。
図14図14は、図11に示す充放電指示データ作成サーバにおいて充放電指示データを作成する処理を実現するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
図15図15は、図14に示すプログラムにおいて装置ごとの処理を実現するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
図16図16は、図15に示すプログラムにおいて、各対象日の処理を実現するためのプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
図17図17は、この開示の第3実施形態に係る室内リモートコントローラと電力売買システムとの関係を示すブロック図である。
図18図18は、図17に示す室内リモートコントローラの機能的構成を示すブロック図である。
図19図19は、図18に示す室内リモートコントローラが日次処理として実行する、充放電指示データの更新処理を実現するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
図20図20は、図19に示すプログラムの一部である定時処理を実現するためのプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
図21図21は、この開示の第4実施形態において充電区間と放電区間のマッチング処理を説明するための模式図である。
図22図22は、第4実施形態において充電区間と放電区間をマッチングする処理を実現するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[本開示の実施形態の説明]
以下の説明及び図面においては、同一の部品には同一の参照番号を付してある。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。なお、以下の1又は複数の任意の特徴を組み合わせてもよい。
【0024】
(1)この開示の第1の局面に係る電力処理指示スケジュール作成方法は、コンピュータが、電力の取引価格のスケジュールを定めたスケジュールデータを取得するステップと、コンピュータが、スケジュールの中で取引価格が第1の価格である第1の区間と、取引価格が第1の価格より高い第2の価格である第2の区間とを組み合わせ、第1の区間と第2の区間に、それぞれ異なる処理を行うことを指示する、電力に関する処理の指示スケジュールを作成するステップとを含む。
【0025】
この構成により、電力の取引価格の相違を利用して効率的に電力を使用できる。
【0026】
(2)指示スケジュールを作成するステップは、コンピュータが、スケジュールの中で取引価格が低いものから順番に第1の区間を選択するステップと、コンピュータが、選択するステップにおいて選択された第1の区間の各々について、当該第1の区間よりも後の区間の中で、当該区間における取引価格が第1の区間の第1の価格を超えて最も高く、かつ他の区間と組み合わされていない区間を第2の区間として選択するステップとを含んでもよい。
【0027】
電力の取引価格が最も低い区間と、最も高い区間とを組み合わせることで、電力の購入時の価格及び売却時の価格の差額を大きくでき、電力の取引価格の相違を利用して効率的に電力を使用できる。
【0028】
(3)第2の区間として選択されるのは、第2の価格と第1の価格との差額が、第1の価格に対し予め定める正の値を乗じた値以上となる区間であってもよい。
【0029】
電力の取引価格が最も低い区間と、その価格よりも一定以上の差額で最も高い区間とを組み合わせることで、電力の購入時の価格と売却時の価格の差額を、購入及び売却による損失よりも大きくでき、電力の取引価格の相違を利用して効率的に電力を使用できる。
【0030】
(4)電力処理指示スケジュールは、蓄電池の充電期間及び放電期間を指示するスケジュールであってもよい。
【0031】
電力の取引価格の低いときに電力を購入して蓄電池を充電し、電力の価格の高いときに蓄電池から電力を放電し負荷に供給できる。放電時に電力を購入する場合との差額を蓄電池の充電及び放電による損失より大きくすることで、電力の取引価格の相違を利用して効率的に電力を使用できる。
【0032】
(5)電力処理指示スケジュールは、第1の区間には蓄電池の充電を行うことを指示し、第2の区間には蓄電池の放電を行うことを指示してもよい。
【0033】
蓄電池の充電期間と放電期間とを明示的にスケジュールとして指示する。電力の取引価格の低いときに電力を購入して蓄電池を充電し、電力の価格の高いときに蓄電池から電力を放電し負荷に供給するというスケジュールを容易に組むことができる。その結果、電力の取引価格の相違を利用して効率的に電力を使用できる。
【0034】
(6)電力処理指示スケジュール作成方法は、さらに、コンピュータが、充電及び放電を行わず待機することを指示する値を、電力処理指示スケジュールの、第1の区間でも第2の区間でもない第3の区間に設定するステップを含んでもよい。
【0035】
蓄電池の充電期間及び放電期間とは別に、蓄電池を待機させる区間を設けることで、蓄電池の放電を、売却価格の有利な時期に限定できる。
【0036】
(7)この開示の第2の局面に係るコンピュータプログラムは、コンピュータを、上記したいずれかの装置の各手段として機能させる。その結果、電力の取引価格の相違を利用して効率的に電力を使用できる。
【0037】
(8)この開示の第3の局面に係るコンピュータは、上記したいずれかの電力処理指示スケジュール作成方法を実行するようにプログラムされている。
【0038】
上記したいずれかの電力処理指示スケジュール作成方法と同様、電力の取引価格の相違を利用して効率的に電力を使用できる。
【0039】
(9)この開示の第4の局面に係る充放電指示スケジュールプログラムは、蓄電システムの充放電を指示するための、充放電指示スケジュールプログラムであって、所定期間を複数の区間に分割し、各区間に蓄電システムの充電、放電及び待機のいずれかを指示するようコンピュータを機能させる。
【0040】
充放電指示スケジュールを適切に設定することで電力の取引価格の相違を利用して効率的に電力を使用できる。
【0041】
(10)この開示の第5の局面に係るコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、上記した充放電指示スケジュールプログラムを記憶している。
【0042】
このプログラムをコンピュータに実行させることにより、充放電指示スケジュールを適切に設定することで電力の取引価格の相違を利用して効率的に電力を使用できる。
【0043】
(11)この開示の第6の局面に係る蓄電システムは、電力系統に接続される蓄電システムであって、蓄電池と、上記したいずれかの電力処理指示スケジュール作成方法によって作成された電力処理指示スケジュールに基づいて、蓄電池の充放電を制御する制御装置とを含む。
【0044】
この蓄電システムによれば、充放電指示スケジュールを適切に設定することで電力の取引価格の相違を利用して効率的に蓄電池の充電及び放電を制御できる。
【0045】
(12)この開示の第7の局面に係る充放電指示スケジュールの更新方法は、所定の長さの対象期間を複数の区間に分割し、対象期間内の各区間について蓄電システムに対して充電、放電及び待機のいずれかを指示するようにコンピュータを機能させる、充放電指示スケジュールの更新方法であって、コンピュータが、更新対象の充放電指示スケジュールを準備するステップと、コンピュータが、更新対象の充放電指示スケジュールの少なくとも現時点以降の各区間について、蓄電システムの充放電に関係する所定の状態又は所定の物理量値を予測するステップと、コンピュータが、更新対象の充放電指示スケジュールにしたがって蓄電システムを動作させたときの予測電気料金と、更新対象の充放電指示スケジュールにおいて、予測するステップで予測された値を考慮した場合に得られる予測電気料金とを比較するステップと、コンピュータが、比較するステップでの比較結果にしたがって、更新対象の充放電指示スケジュールを更新するステップとを含む。
【0046】
この方法によれば、電力料金が安くなるように充放電指示スケジュールが必要により更新される。その結果、電力の取引価格の相違を利用して効率的に電力を使用できる。
【0047】
(13)蓄電システムは、太陽光発電システム及び電力系統に電気的に接続された電力変換システムに接続されてもよい。さらに、予測するステップは、コンピュータが、更新対象の充放電指示スケジュールの少なくとも現時点以降の各区間について、現時点以降の各区間における気象情報及び現時点までの電力変換システムの稼動ログの系列を用いて、太陽光発電システムによる発電電力量、電力変換システムに接続された負荷による消費電力量、又は蓄電システムが持つ蓄電池の充電状態、若しくはこれらの任意の組み合わせを予測するステップを含み、比較するステップは、コンピュータが、対象期間の現時点までに予測するステップで予測された値に基づいて、更新対象の充放電指示スケジュールにしたがって蓄電システムを動作させたときの予測電気料金と、更新対象の充放電指示スケジュールの中で充電指示が設定されている区間において、太陽光発電システムによる余剰電力を蓄電システムに充電せず電力系統に売電したときの予測電気料金とを比較するステップを含み、更新するステップは、コンピュータが、比較するステップでの比較結果にしたがって、更新対象の充放電指示スケジュールの少なくとも現時点以降の各区間での指示内容を更新するステップを含むように構成されてもよい。予測するステップは、電力変換システムと電力系統との間の売買電力量をさらに、又は上記に代えて、予測する構成であってもよい。さらに売買電力量に代えて、又は売買電力量に加えて、電力系統への逆潮流量を予測する構成としてもよい。
【0048】
この方法によれば、気象情報と現時点までの稼動ログの系列とに基づいて、充放電指示スケジュールによる充電、放電、及び待機の指示をそのまま使用して蓄電システムを稼動させたときと、充放電指示スケジュールを更新して蓄電システムを稼動させたときとの電力料金とが比較される。比較結果に従って、電力料金が安くなるように充放電指示スケジュールが必要により更新される。その結果、電力の取引価格の相違を利用して効率的に電力を使用できる。
【0049】
(14)気象情報は、日射予測を含み、充放電指示スケジュールの更新方法はさらに、コンピュータが、複数の電力変換システムから、区間別の稼動ログの系列を受信し蓄積するステップと、コンピュータが、各地域における、区間別の日射情報の系列を蓄積するステップと、コンピュータが、蓄積された稼動ログ及び日射情報のそれぞれの系列から生成した訓練データにより、予測するステップで予測される情報を出力するよう、予め準備された機械学習モデルの訓練を行うステップとを含み、予測するステップは、コンピュータが、現時点より以前の稼動ログから選択された特徴量の系列と予測対象の区間における日射量の予測とを入力として機械学習モデルに与え、太陽光発電システムによる発電電力量、電力変換システムに接続された負荷による消費電力量、又は蓄電システムが持つ蓄電池の充電状態、若しくはこれらの任意の組み合わせの予測を機械学習モデルの出力として得るステップを含んでいてもよい。
【0050】
予測電気料金の算出は機械学習モデルにより行われる。機械学習モデルは複数の電力変換システムから蓄積した稼動ログを用いて訓練される。電力変換システムの電力料金の予測が、この機械学習モデルにより行われるため、予測が実際の電力変換システムの過去の稼動情報を反映した正確なものとなることが期待でき、電力の取引価格の相違を利用して効率的に電力を使用できる。
【0051】
(15)蓄電システムは、太陽光発電システム及び電力系統に電気的に接続された電力変換システムに接続されてもよい。さらに、予測するステップは、コンピュータが、更新対象の充放電指示スケジュールの少なくとも現時点以降の各区間について、現時点以降の各区間における気象情報及び現時点までの電力変換システムの稼動ログの系列を用いて、太陽光発電システムによる発電電力量、電力変換システムに接続された負荷による消費電力量、又は蓄電システムが持つ蓄電池の充電状態、若しくはこれらの任意の組み合わせを予測するステップを含み、比較するステップは、コンピュータが、対象期間の現時点までの、蓄電システムが電力系統から購入した実電気料金、及び、対象期間の現時点までに予測するステップで予測された値に基づいて、更新対象の充放電指示スケジュールにしたがって蓄電システムが稼動したと仮定したときの、蓄電システムが電力系統から購入したであろう予測電気料金を比較するステップを含み、更新するステップは、コンピュータが、比較するステップでの比較結果にしたがって、更新対象の充放電指示スケジュールの現時点以降の各区間での指示内容を更新するステップを含むように構成されてもよい。予測するステップは、電力変換システムと電力系統との間の売買電力量をさらに、又は上記に代えて、予測する構成であってもよい。さらに売買電力量に代えて、又は売買電力量に加えて、電力系統への逆潮流量を予測する構成としてもよい。
【0052】
気象情報、及び現時点までの電力変換システムの稼動状況に基づいて、電力変換システムの実購入電気料金と、充放電指示スケジュールに従って電力変換システムが稼動したと仮定したときの予測電気料金とを比較する。この結果に従って実購入電気料金と予測料金との比較に基づいて充放電指示スケジュールの各区間の指示内容が更新される。したがって、電力変換システムのその後の充放電指示スケジュールを、電力の取引価格の相違を利用して効率的に電力を使用できるように更新できる。
【0053】
(16)気象情報は、日射予測を含み、充放電指示スケジュールの更新方法はさらに、コンピュータが、少なくとも区間ごとに電力変換システムの稼動ログを受信しその系列を蓄積するステップと、コンピュータが、現時点より前に蓄積された稼動ログの系列及び蓄積するステップで受信された現時点の稼動ログから生成した訓練データを用いて、予測するステップで予測される情報を出力するよう、予め準備された機械学習モデルのオンライン学習を行うステップとを含み、予測するステップは、コンピュータが、現時点より以前の稼動ログから選択された特徴量の系列と予測対象の区間における日射量の予測とを入力として機械学習モデルに与え、太陽光発電システムによる発電電力量、電力変換システムに接続された負荷による消費電力量、又は蓄電システムが持つ蓄電池の充電状態、若しくはこれらの任意の組み合わせの予測を機械学習モデルの出力として得るステップを含んでもよい。
【0054】
電力変換システムの予測電気料金の算出には機械学習モデルが用いられる。この機械学習モデルは、稼動ログによるオンライン学習により訓練される。電力変換システムの実際の稼動状況に基づいて機械学習モデルが逐次的に訓練される。したがって、電力変換システムのその後の充放電指示スケジュールを適切に更新でき、電力の取引価格の相違を利用して効率的に電力を使用できる。
【0055】
(17)電力変換システムは、電力の需要家を含み、蓄電システムは、需要家に設置される構成とすることができる。
【0056】
(18)この開示の第8の局面に係る蓄電システムは、蓄電池と、上記した充放電指示スケジュールの更新方法によって作成された充放電指示スケジュールに基づいて、蓄電池の充放電を制御する制御装置とを含む。
【0057】
この蓄電システムによれば、電力料金が安くなるように必要により更新された充放電指示スケジュールを用いることができるので、より効率的に蓄電池の充電及び放電を制御できる。
【0058】
(19)この開示の第9の局面に係るコンピュータプログラムは、コンピュータを、上記したいずれかの充放電指示スケジュールの更新方法を実行するよう機能させる。
【0059】
したがって、それら方法と同様、電力の取引価格の相違を利用して効率的に電力を使用できる。
【0060】
(20)この開示の第10の局面に係るコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、上記したコンピュータプログラムを記録している。
【0061】
このコンピュータプログラムをコンピュータに実行させることにより、電力の取引価格の相違を利用して効率的に電力を使用できる。
【0062】
(21)この開示の第11の局面に係るコンピュータは、上記したいずれかの充放電指示スケジュールの更新方法を実行するようにプログラムされている。
【0063】
このようにプログラムされたコンピュータを動作させることにより、電力の取引価格の相違を利用して効率的に電力を使用できる。
【0064】
この開示の上記及び他の目的、特徴、局面及び利点は、添付の図面と関連して理解されるこの開示に関する次の詳細な説明から明らかとなるだろう。
【0065】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る電力処理指示スケジュール作成方法及び充放電指示スケジュールの更新方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内における全ての変更が含まれることが意図される。
【0066】
第1 第1実施形態
1 構成
(1)全体構成
図1を参照して、第1実施形態に係る電力売買システム50は、電力市場の取引価格を示すスポット価格データを配布するための市場価格管理サーバ60にインターネットなどの通信網を介して接続可能である。電力売買システム50は、このスポット価格情報に基づいて後述する充放電指示データを作成して配布するための充放電指示データ配布システム62、及び充放電指示データ配布システム62から充放電指示データをダウンロードし、充放電指示データに従って蓄電システムへの充電及び蓄電システムからの放電を行うことにより、電力系統70から効率的に電力の供給を受けながら、電力価格の変動に適応して電力料金を低く抑えることができる電力変換システム63を含む。
【0067】
市場価格管理サーバ60は、電力の取引市場の運営者が管理する、電力市場の取引価格を示すデータを配布するためのサーバである。この実施形態においては、市場価格管理サーバ60は、翌日と翌々日について、各日の電力の取引価格であるスポット価格を30分ごとに区分して示すスポット価格データを作成し、各電力供給者に配布する。このスポット価格は、日本をいくつかのエリアに分割し、各エリアに対して定められる。したがって、異なるエリアにいる電力供給者は互いに異なる電力価格により電力を取引する。
【0068】
この実施形態においては、市場価格管理サーバ60が保持するスポット価格データは年度ごとに一定の名称を持つファイルとして毎日更新されている。したがって、充放電指示データ配布システム62は、同じ年度内なら、1日に1回だけ一定のURLにアクセスすることによりスポット価格データを入手できる。
【0069】
充放電指示データ配布システム62は、まず各日に市場価格管理サーバ60からこのスポット価格データを取得する。充放電指示データ配布システム62はさらに、エリアごとに、蓄電池の充放電を指示するスケジュールをスポット価格データに基づいて作成する。このスケジュールを充放電指示スケジュールと呼ぶ。充放電指示データ配布システム62はさらに、充放電指示データ配布システム62の運営者と契約している、蓄電システムの所有者からの要求に応じてこの充放電スケジュールを配布する。
【0070】
(2)充放電指示データ配布システム62
充放電指示データ配布システム62は、市場価格管理サーバ60から、毎日の定時に市場価格管理サーバ60にアクセスし、スポット価格データをダウンロードする充放電指示データ作成サーバ100を含む。充放電指示データ作成サーバ100は、ダウンロードしたスポット価格データに基づいて、エリアごとに蓄電システムの充放電指示データを作成する。充放電指示データ配布システム62はさらに、充放電指示データ作成サーバ100により作成された充放電指示データを一時的に保持するための充放電指示データ保守サーバ102、及び、常にウェブサーバを動作させており、充放電指示データ保守サーバ102により保持されている充放電指示データを、このウェブサーバを介して各電力変換システムに配布するための充放電指示データ配布サーバ104を含む。
【0071】
(3)電力変換システム63
電力変換システム63は電力の需要家に設置されるシステムである。以下では需要家として一般家庭を想定しているが、より規模の大きな需要家、例えばオフィスビル、集合住宅等に適用する事もできる。
【0072】
電力変換システム63は、インターネットなどのネットワークを介して充放電指示データ配布サーバ104へのアクセスを提供するための無線LAN(Local Area Network)ルータ64、及び一般負荷分電盤72を介して電力系統70及び家庭用コンセント74に接続された蓄電システム68を含む。一般負荷分電盤72と電力系統70との間の電路には、買電用電力計80及び売電用電力計82が設けられている。家庭用コンセント74には、家庭内の一般負荷が接続される。
【0073】
電力変換システム63はさらに、無線LANルータ64と蓄電システム68とに接続された蓄電システム68のための室内リモートコントローラ66を含む。室内リモートコントローラ66はプロセッサを含む。このプロセッサが所定のプログラムを実行することにより、無線LANルータ64を介して充放電指示データ配布サーバ104からダウンロードした充放電指示データに従って蓄電システム68の充放電を指示する機能が実現される。室内リモートコントローラ66はこれ以外にも、蓄電システム68の状態を表示したり、蓄電システム68に対するユーザからの指示を入力したりするためのユーザI/F(Interface)を備えている。
【0074】
電力変換システム63はさらに、蓄電システム68に接続され、蓄電システム68からの電力が供給される蓄電システム用分電盤76、及び蓄電システム用分電盤76に接続された特定コンセント78を含む。この実施形態においては、蓄電システム用分電盤76は、蓄電システム68からの電力のみを特定コンセント78に供給する。しかし、蓄電システム用分電盤76による特定コンセント78への電力の供給を、電力系統70及び蓄電システム68の間で切り替えることができるような分電盤を使用してもよい。
【0075】
(4)充放電指示データ作成サーバ100などのハードウェア構成
充放電指示データ作成サーバ100、充放電指示データ保守サーバ102及び充放電指示データ配布サーバ104は、この実施形態においては、いずれもいわゆるクラウドサービス上において実現することを想定している。通常、クラウドサービスの場合には、利用者がハードウェアを意識することはない。しかし、クラウドサービスも1又は複数のコンピュータ、1又は複数の外部記憶装置、及びそれらを結ぶ通信網を用いて実現されている。また、上記充放電指示データ作成サーバ100、充放電指示データ保守サーバ102及び充放電指示データ配布サーバ104をいずれも単独のコンピュータにより実現してもよい。それに代えて単独のコンピュータハードウェアの上に仮想的に構築された別々のシステム上にこれらを実現してもよい。
【0076】
図2に、典型的なコンピュータのハードウェア構成をブロック図形式で示す。図2を参照して、このコンピュータシステム150は、DVD(Digital Versatile Disc)ドライブ202を有するコンピュータ170、いずれもコンピュータ170に接続された、ユーザと対話するためのキーボード174、マウス176、及びモニタ172を含む。これはユーザ対話のための構成の一例であって、ユーザ対話に利用できる一般のハードウェア及びソフトウェア(例えばタッチパネル、音声入力、ポインティングデバイス一般)であればどのようなものも利用できる。
【0077】
コンピュータ170は、DVDドライブ202に加えて、CPU(Central Processing Unit)190、GPU(Graphics Processing Unit)192、CPU190とGPU192とDVDドライブ202とに接続されたバス210を含む。コンピュータ170はさらに、バス210に接続され、コンピュータ170のブートアッププログラムなどを記憶するROM(Read-Only Memory)196、バス210に接続され、プログラムを構成する命令、システムプログラム、及び作業データなどを記憶するRAM(Random Access Memory)198、及びバス210に接続された不揮発性メモリであるハードディスクドライブ(HDD(Hard Disk Drive))200を含む。HDD200は、CPU190及びGPU192が実行するプログラム、CPU190及びGPU192が実行するプログラムが使用するデータなどを記憶するためのものである。コンピュータ170はさらに、他端末との通信を可能とするネットワーク186への接続を提供するネットワークI/F208、及び、USB(Universal Serial Bus)メモリ184が着脱可能で、USBメモリ184とコンピュータ170内の各部との通信を提供するUSBポート206を含む。
【0078】
なお、CPUとしては単一コアに限らず複数コアを持つものでもよい。コンピュータ170が、CPUを複数個備えたものでもよい。またこの実施形態では外部記憶装置としてHDD200を使用する。しかしこの開示はそのような実施形態に限定されるわけではない。HDD200に代えて、又はHDD200に加えてSSDを使用してもよい。1台のコンピュータ170だけではなく、複数のコンピュータを用いた分散処理により上記実施形態を実現してもよい。HDD200、SDDなどの固定した記憶媒体ではなく、いわゆるクラウドストレージなどのように、利用者が記憶媒体の所在を意識しないし特定もできないようなサービスを用いてもよい。さらに、コンピュータ170に代えて、いわゆるクラウドサービスにより提供される環境で利用可能な、コンピュータ170に相当する機能を用いてもよい。この環境としては、1又は複数のコンピュータにより提供される仮想環境が考えられる。
【0079】
上記実施形態においては、充放電指示データ及びその他のデータなどは、いずれも例えば図2に示すHDD200、RAM198、DVDドライブ202、又はUSBメモリ184、若しくはネットワークI/F208及びネットワーク186を介して接続された図示しない外部装置の記憶媒体などに格納される。典型的には、これらのデータなどは、例えば外部からHDD200に書込まれコンピュータ170の実行時にはRAM198にロードされる。
【0080】
このコンピュータシステムを図1に示す市場価格管理サーバ60、充放電指示データ作成サーバ100、充放電指示データ保守サーバ102、及び充放電指示データ配布サーバ104並びにそれらの各構成要素の機能を実現するよう動作させるためのコンピュータプログラムなどは、DVDドライブ202に装着されるDVD178に記憶され、DVDドライブ202からHDD200に転送される。又は、このプログラムはUSBメモリ184に記憶され、USBメモリ184をUSBポート206に装着し、プログラムをHDD200に転送する。又は、このプログラムはネットワーク186を通じてコンピュータ170に送信されHDD200に記憶されてもよい。プログラムは実行のときにRAM198にロードされる。キーボード174、モニタ172及びマウス176を用いてソースプログラムを入力し、コンパイルした後のオブジェクトプログラムをHDD200に格納してもよい。スクリプト言語の場合には、キーボード174などを用いて入力したスクリプトをHDD200に格納してもよい。仮想マシン上において動作するプログラムの場合には、仮想マシンとして機能するプログラムを予めコンピュータ170にインストールしておく必要がある。
【0081】
CPU190は、その内部のプログラムカウンタと呼ばれるレジスタ(図示せず)により示されるアドレスに従ってRAM198からプログラムを読み出して命令を解釈し、命令の実行に必要なデータを命令及びデータにより指定されるアドレスに従ってRAM198、HDD200又はそれ以外の機器から読み出して命令により指定される処理を実行する。CPU190は、実行結果のデータを、RAM198、HDD200、CPU190内のレジスタなど、プログラム及びデータにより指定されるアドレスに格納する。このとき、プログラムカウンタの値もプログラムによって更新される。コンピュータプログラムは、DVD178から、USBメモリ184から、又はネットワークを介して、RAM198に直接にロードしてもよい。なお、CPU190が実行するプログラムの内、一部のタスク(主として数値計算)については、プログラムに含まれる命令により、又はCPU190による命令実行時の解析結果に従って、GPU192にディスパッチされる。
【0082】
コンピュータ170により後述する各実施形態に係る各部の機能を実現するプログラムは、それら機能を実現するようコンピュータ170を動作させるように記述され配列された複数の命令を含む。この命令を実行するのに必要な基本的機能のいくつかはコンピュータ170上において動作するオペレーティングシステム(OS)若しくはサードパーティのプログラム、又はコンピュータ170にインストールされる各種ツールキットのモジュールにより提供される。したがって、このプログラムはこの実施形態のシステム及び方法を実現するのに必要な機能全てを必ずしも含まなくてよい。このプログラムは、命令の内、所望の結果が得られるように制御されたやり方により適切な機能又は「プログラミング・ツール・キット」の機能を呼出すことにより、上記した各装置及びその構成要素としての動作を実行する命令のみを含んでいればよい。そのためのコンピュータ170の動作方法は周知なので、ここでは繰り返さない。
【0083】
なお、GPU192は並列処理を行うことが可能であり、機械学習及び推論実行に伴う多量の計算を同時並列的又はパイプライン的に実行できる。例えばプログラムのコンパイル時にプログラム中に発見された並列的計算要素、又はプログラムの実行時に発見された並列的計算要素は、随時、CPU190からGPU192にディスパッチされ、実行され、その結果が直接に、又はRAM198の所定アドレスを介してCPU190に返され、プログラム中の所定の変数に代入される。
【0084】
コンピュータ170により代表されるコンピュータに、後述するプログラムをインストールし実行させることにより、コンピュータは各実施形態における各部の機能を実現するようにプログラムされた専用コンピュータとなる。
【0085】
(5)室内リモートコントローラ66のハードウェア構成
図3に、室内リモートコントローラ66のハードウェア構成をブロック図形式により示す。図3を参照して、室内リモートコントローラ66は実質的にはコンピュータであって、プロセッサ250、及びバス262を介してプロセッサ250と通信可能な複数の周辺回路を含む。
【0086】
周辺回路は、メモリ252、通信インターフェイス254、入出力インターフェイス256、タッチパネル260及びタッチパネルコントローラ258を含む。通信インターフェイス254は図1に示す無線LANルータ64に接続され、無線LANを介して他のコンピュータと通信可能である。入出力インターフェイス256は図1に示す蓄電システム68の制御部、及び電力変換システム63の各部に設けられた電力計などの計器と通信するためのものである。
【0087】
(6)蓄電システム68のハードウェア構成
図4に、蓄電システム68のハードウェア構成をブロック図形式により示す。図4を参照して、蓄電システム68は、蓄電池274と、蓄電池274への充電及び蓄電池274からの放電を行うために、所定の電圧の直流電力の間の電力変換を行うDC/DCコンバータを含む電力変換部272と、室内リモートコントローラ66からの指令にしたがって電力変換部272を制御するための制御装置270とを含む。
【0088】
(7)プログラム構成
ア)充放電指示データ作成サーバ100
充放電指示データ作成サーバ100を実現するプログラムの制御構造を図5に示す。このプログラムは1日のなかのある時点に起動される。
【0089】
図5を参照して、このプログラムは、市場価格管理サーバ60にアクセスするステップ300、及び市場価格管理サーバ60からスポット価格データのダウンロードが可能か否かに従って制御の流れを分岐させるステップ302を含む。
【0090】
このプログラムはさらに、ステップ302の判定が肯定のときに行われ、市場価格管理サーバ60からダウンロードしたスポット価格データを所定アドレスに保存するステップ304を含む。このプログラムはさらに、ステップ304に続き、ステップ304において保存したスポット価格データから、本日分のスポット価格データと明日分のスポット価格データとを抽出するステップ306を含む。この実施形態においては、市場価格管理サーバ60が準備するスポット価格データは本日と明日との2日分である。したがってこのステップにおいてこれら2つのデータを別ファイルとして抽出する。なお、準備されるスポット価格データが2日分ではなく3日分以上となるような場合は適宜、必要な日数分を利用すればよい。スポット価格データが当日の分だけであればその分のみを保存すればよい。
【0091】
このプログラムはさらに、ステップ306に続き、蓄電システムに対する、エリア別の充放電指示データを作成するステップ308、及びステップ308において作成された充放電指示データを暗号化し、所定の名称により記憶装置の所定アドレスに保存してプログラムの実行を終了するステップ310を含む。この実施形態では、通信の安全を確保するために充放電指示データを暗号化する。しかしこの開示はそのような実施形態に限定されない。充放電指示データを平文のまま保存してもよい。その場合には、通信時に暗号化することが好ましい。
【0092】
このプログラムはさらに、ステップ302の判定が否定のときに実行され、市場価格管理サーバ60へのアクセスのリトライ期間が終了したか否かに従って制御の流れを分岐させるステップ312を含む。この場合のリトライ期間とは、当日のスポット価格データを市場価格管理サーバ60からダウンロードする処理が失敗したときに、どの程度の時間の間、スポット価格データのダウンロードをリトライするかを指定する。ここでは1日の間、リトライを繰り返すものとする。
【0093】
このプログラムはさらに、ステップ312の判定が否定のときに、30分だけ待機した後、制御をステップ300に戻すステップ314を含む。ステップ314があるため、各電力変換システムは30分に1回程度という低い頻度により市場価格管理サーバ60にアクセスする。その結果、市場価格管理サーバ60にアクセスが集中するという問題を回避できる。ただし、この待機時間は1例であって、例えば30分より短くても、また30分より長くてもよい。
【0094】
ステップ312における判定が肯定のときにはこのプログラムの実行は終了される。ただし、翌日になるとこのプログラムは再び起動される。
【0095】
イ)充放電指示データ保守サーバ102
図6は、図1に示す充放電指示データ保守サーバ102が充放電指示データを作成するために実行するプログラムの制御構造をフローチャート形式として示す。図6を参照して、このプログラムは、起動されると、このプログラムの基本的設定を記録した利用可能な設定ファイルの内、最新のものを選択するステップ330、及び、ステップ330において選択された設定ファイルを読み込み、必要な変数に設定された値を代入するステップ332を含む。ここでの設定ファイルは、例えば充放電指示データを作成する上での基本的な値、例えば指示の単位となる区間の長さ、充放電指示データのファイル名、一度に作成する充放電指示データの日数など、変更が考えられる変数の値を記録しておくものである。設定済の値に変更があった場合には、プログラムを変更せずに設定ファイルをダウンロードして変更することにより迅速に対応できる。なおこのような機能は、設定ファイルによるだけでなく、例えばプログラムの一部のルーチンをファームウェアとして適宜置換してもよい。
【0096】
このプログラムはさらに、ステップ332において読み込んだ値に基づき、充放電指示データを作成する対象日の各々に対して後述のステップ336を実行するステップ334、及び、ステップ334の処理により作成された充放電指示データに所定の名称を付して所定アドレスに保存し、処理を終了するステップ338を含む。
【0097】
ステップ336は、処理対象となる各エリアに対してステップ352の処理を実行するステップ350を含む。ここでいうエリアとは、例えば電力会社が電力を供給する範囲などのことをいう。電力会社が異なれば電力取引の価格も異なるためこのようにエリア別に処理を行う。
【0098】
図7は、図6のステップ352において行われるエリアごとの処理を実現するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。図7を参照して、このプログラムは、1日を構成する24時間を設定ファイルにより指定された長さに区分して得られる区間の数だけの要素を持つ配列を準備するステップ380を含む。以下の説明ではこの配列を第1配列と呼ぶ。例えば充放電指示が30分単位で行われるものとする。1日24時間をそれぞれ30分の長さの区間に区切ると、48個のブロックが得られる。したがってステップ380において準備される第1配列は、48個の要素を持つ。
【0099】
この実施形態では、この第1配列の各要素はさらに配列になっている。この配列をここでは行配列と呼ぶ。行配列は、例えばそのブロックの開始時刻を示す時間、処理対象のエリアにおけるその時間における電力の取引価格(単価)、及びその区間に充電すべきか放電すべきかを示す指示フラグ、の3つの要素を含む。各ブロックの終了時刻は、次のブロックの開始時刻と等しい。
【0100】
この実施形態では、各ブロックが対象とする区間の長さは30分である。指示フラグとは、充放電のいずれを行うかを蓄電システムに対して指示する値のことである。指示フラグの値が1であれば充電、2であれば放電、0であれば充電も放電もしない待機、をそれぞれ意味する。
【0101】
このプログラムはさらに、ステップ380に続き、第1配列の全ての行配列の指示フラグに「0」を代入するステップ382を含む。指示フラグの値が0であれば、それは待機を示す。したがってこのステップ380の処理により、一旦処理対象の日の各区間について「待機」がスケジュールされる。
【0102】
このプログラムはさらに、ステップ382に続き、第1配列の各要素である行配列の時間及び電力の取引価格に、処理対象のエリアの時間と、その区間におけるそのエリアの電力の取引価格とをスポット価格データから転記するステップ384を含む。
【0103】
ウ)充放電指示データ配布サーバ104
このプログラムはさらに、ステップ384に続き、第1配列をそのまま同じ要素数の第2配列に転記するステップ386を含む。この第2配列は後述するように、取引価格の安い区間と取引価格の高い区間とをマッチングするための作業用配列である。
【0104】
このプログラムはさらに、第2配列の全要素を、その行要素の中の取引価格の昇順でソートするステップ388、及び、以後に行うマッチング処理が終了の段階に達したか否かを示す終了フラグに、まだ終了していないことを示す値=0を代入するステップ390を含む。
【0105】
図8に、図7のステップ394の詳細を示す。この処理は、時間の昇順にソートされた第2配列の要素を先頭から順番に処理していく。その過程で所定の終了条件が充足されると終了フラグに9が代入される。
【0106】
図8を参照して、ステップ394は、第1配列の各要素の内、処理対象となっている第2配列の要素の時間よりも後の時間の要素であって、価格が最も高く、しかもその価格と処理対象となっている第2配列の要素の価格との差額が所定の値以上となっているような要素を探索し、もしあればそれらの要素をペアとするステップ430を含む。ここで価格の差額は、蓄電システムの蓄電池の総合効率に基づく制約を満たす必要がある。すなわち、電力変換効率ロスのため、蓄電池に蓄積した電力を全ては放電できない。そこで、蓄電システムの蓄電池に蓄積した電力量に対する、蓄積した電力量から放電できる電力量の比をη(<1、ただしη>0)とする。すると、例えばx[円/kWh]で購入した電力については、x/η[円/kWh]以上の価格で放電できないと、電力の価格の差額による利益を享受できない。そこで、ステップ430では、処理対象となっている第2配列の要素の電力価格をx[円/kWh]として、第1配列の要素の内、価格がx/η[円/kWh]のもので最も高いものを探す。すなわち、処理対象の電力価格との差額が(1/η―1)x円(0<η<1)以上であって最も価格が高い区間を探す。しかもこの場合、既に他の区間の要素とペアとなっているものを採用できない。ステップ430での探索はこうした制約を満たす必要がある。
【0107】
このプログラムはさらに、ステップ430の結果、ペアが成立したか否かにより制御の流れを分岐させるステップ432、及びステップ432の判定が肯定のときに、ペアとなった第1配列の要素、すなわち価格の高い方の要素の充放電指示データに放電を示す「2」を、第1配列の中で処理対象の第2配列の要素に対応する要素、すなわち価格の安い方の充放電指示データに充電を示す「1」を、それぞれ代入してこの処理を終了するステップ434を含む。このプログラムはさらに、ステップ432でペアが成立しなかったときに、終了フラグに9を設定してこのプログラムの実行を終了するステップ436を含む。
【0108】
このようにしてペアを作成することにより、安い価格の区間に蓄電システムに充電し、十分に高い価格のときに蓄電システムから放電させて負荷に供給できる。その結果、価格の相違を利用して効率的に電気料金の節約を図ることができる。
【0109】
エ)室内リモートコントローラ66
室内リモートコントローラ66を機能させるプログラムの内、この開示に関係ある機能を実現するプログラムの制御構造を図9に示す。このプログラムは、毎日、一定の時間に起動される。図9を参照して、このプログラムは、起動されると充放電指示データ配布サーバ104に所定アドレスを指定してアクセスするステップ470、及び、ステップ470で充放電指示データ配布サーバ104から受信した情報により、アクセスが成功したか否かを判定し、判定に従って制御の流れを分岐させるステップ472を含む。
【0110】
このプログラムはさらに、ステップ472の判定が肯定のときに、充放電指示データ配布サーバ104から受信した(ダウンロードした)充放電指示データに所定の名称をつけて所定のアドレスに保存してこのプログラムの実行を終了するステップ474を含む。この実施形態では、ステップ472の判定が否定のときには何もせずにこのプログラムの実行を終了する。すなわち、室内リモートコントローラ66が充放電指示データ配布サーバ104の所定アドレスにアクセスしても必要な充放電指示データが得られないときには、アクセスのリトライはしないこととしている。この実施形態では、充放電指示データがダウンロードできないときには、蓄電システムのユーザが手動で図9に示すプログラムを起動する。なお、ダウンロードが失敗したときにリトライを行うようにしてもよい。リトライは成功するまで繰り返すようにしてもよいし、所定時間の間、又は所定回数だけに制限してもよい。もちろん、リトライをするか否か、その場合の時間又はリトライ回数の制限などをユーザなどが設定できるようにしてもよい。仮にリトライが失敗したときにはユーザなどに何らかの形で通知することが望ましい。
【0111】
充放電指示データを取得した後、室内リモートコントローラ66が充放電指示データに従って蓄電システム68を制御するためのプログラムの制御構造を図10に示す。このプログラムは、基本的に室内リモートコントローラ66の電源が投入されている限り繰り返される。その過程で図9に示すプログラムにより充放電指示データが更新されることで図10に示すプログラムの振る舞いも変化する。
【0112】
図10を参照して、このプログラムは、当日の充放電指示データのファイルを特定するステップ500、及びステップ500で特定された充放電指示データのファイルを読みメモリに展開するステップ502を含む。
【0113】
このプログラムはさらに、ステップ502に続き、蓄電システム68が設置されているエリア及び時計により現在時刻を確認するステップ504、及び、これまでに処理していた充放電指示データの日付けと、ステップ504で確認された日付けとが異なっているか否か、すなわち日付けに変更があったか否かを判定し、判定に従って制御の流れを分岐させるステップ506を含む。ステップ506で日付けに変更があったと判定されたときには制御はステップ500に戻り、新たな日付けのための充放電指示ファイルを特定しステップ502でその内容を読み出してメモリに展開しなおすことになる。
【0114】
このプログラムはさらに、ステップ506の判定で日付けに変更がないと判定されたことに応答して、室内リモートコントローラ66を含む電力変換システム63(図1参照)が設置されたエリア及び現在時刻に対応する充放電指示データをメモリから読み出し、蓄電システム68の制御部に送信するステップ508、一定の時間間隔を置くためにタイマを設定するステップ510、及び、このタイマが満了するまで待機し、タイマが満了したことに応答して制御をステップ504に戻すステップ512を含む。
【0115】
2 動作
(1)充放電指示データの作成
図1を参照して、市場価格管理サーバ60が翌日と翌々日の取引価格を記載したスポット価格ファイルを準備する。充放電指示データ作成サーバ100が所定の時刻に市場価格管理サーバ60をアクセスしスポット価格ファイルをダウンロードする。この処理は、充放電指示データ作成サーバ100が図5のステップ300、302、及び304を実行することで実現される。
【0116】
さらに充放電指示データ作成サーバ100が充放電指示データを作成し、暗号化して所定のアドレスに所定の名称で保存する。この処理は、充放電指示データ作成サーバ100が図5のステップ308及び310を実行することで実現される。
【0117】
より具体的に、充放電指示データは以下のように作成される。図6を参照して、図6のステップ330では、充放電指示データ作成サーバ100に記憶されている最新の設定ファイルを選択し、ステップ332でその内容を読み出し、必要な変数に所定の値を設定する。さらにステップ334において、各対象日(この実施形態は当日及び翌日)についてステップ336の処理を実行することにより、各対象日の充放電指示データが作成され保存される。
【0118】
各対象日の充放電指示データは図7のステップ380からステップ390の処理を実行し、さらにステップ392において終了フラグが9となるまでステップ394の処理を繰り返し実行することにより作成される。ステップ394においては、図8に示すようにステップ430において取引価格が最も安い区間から開始して、最も高い区間において、その差額が所定の条件を満たし、さらに他の区間とペアになっていない区間が探索される。探索の結果、そのような区間があれば処理対象の価格の安い区間とその区間とをペアにする。価格の安い方の区間の指示フラグには、充電を示す値(1)を代入し、価格の高い方の区間の指示フラグには放電を示す値(2)を代入する。こうした処理が条件を満たすペアが見つからなくなるまで行われる。その結果、処理対象日の充放電指示データとして、充放電する各区間には1又は2の値が設定され、それ以外の区間には待機を示す値(0)が設定される。なお待機を示す値は図7のステップ382において予め全ての区間に対して設定される。
【0119】
(2)充放電指示データの配布
充放電指示データ作成サーバ100により作成された充放電指示データは、一旦充放電指示データ保守サーバ102にコピーされる。その後、充放電指示データは所定の名称を付して充放電指示データ配布サーバ104の所定アドレスに保存される。そのファイル名は1年度を通じて一定であり、年度が変化するとそれを反映するよう変更される。またこのファイルは充放電指示データ配布サーバ104において動作しているウェブサーバのアクセス可能な範囲にある。したがって、コンピュータがこのファイルを表す所定アドレスを指定してこのウェブサーバにアクセスすることにより、そのコンピュータは充放電指示データを入手できる。
【0120】
図1に示す室内リモートコントローラ66は、毎日の一定時刻になると無線LANルータ64を介して充放電指示データ配布サーバ104のウェブサーバに充放電指示ファイルを表すアドレスを指定してアクセスする。すなわち、室内リモートコントローラ66は図9のステップ470を実行する。ファイルが所定のアドレスにあればステップ472の判定が肯定になり、ステップ474において充放電指示データのファイルが室内リモートコントローラ66の所定アドレスに保存される。
【0121】
(3)蓄電システムの制御
室内リモートコントローラ66は、図10に制御構造を示すプログラムを実行する。すなわち、日付けの変更時にはステップ506からステップ500、さらにステップ502及び504を実行することにより、新たな日付けの充放電指示データの内容をメモリに展開する。その後、次の日付けの変更時まではステップ506、508、510、512、504という処理を繰り返し実行する。その結果、ステップ508が実行される時刻には、その時刻を含む区間に対する充放電指示データが蓄電システムの制御部に送信される。この充放電指示データを受信した蓄電システムの制御部は、その値に従って蓄電池の充電、放電をし、待機を示す値であれば何もしない。
【0122】
3 第1実施形態の効果
以上のような構成の第1実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。電力の取引価格が安いときには安い価格の電力を購入して蓄電システムに充電する。電力の取引価格が高いときには、系統電力から電力を購入することに代えて、蓄電システムに蓄積された電力を放電して負荷に供給する。その結果、全区間にわたり充電せず系統電力から電力を購入した場合と比較して電力料金を安くできる。電力の取引価格に変更があったとしても、その変更に追従して充電する区間と放電する区間とを変更できる。したがって、電力価格に変動があるときにも安定して電力料金を安く抑えることができるという効果がある。
【0123】
なお、上記第1実施形態は、蓄電システムに蓄積した電力を系統電力に売電できなという前提の構成である。仮に蓄電システムに蓄積した電力を系統電力に売電することが許されるならば、蓄電システムから放電した電力を系統電力に売電するようにしてもよい。さらに上記実施形態では、電力価格は1日単位で決定されている。しかしこの開示はそのような実施形態には限定されない。電力価格を決定する周期を1日より短くしてもよいし、1日より長くしてもよい。また一定の電力価格を設定する単位となる区間として30分を想定しており、充放電指示データの区間も同様にしている。しかしこの開示はそのような実施形態に限定されない。電力価格を設定する単位となる区間の長さを30分より短くしてもよいし、30分より長くしてもよい。また区間の長さを一定とせず、可変としてもよい。
【0124】
充放電指示データの作成処理においては区間の長さを考慮する必要がある。しかし、基本的には上記第1実施形態と同様のプログラムを用いて充放電指示データを作成できる。室内リモートコントローラ66の場合は、充放電指示データに従って動作すればよいだけである。ただし、図10のステップ510において設定されるタイマの時間(充放電指示データにアクセスするための間隔を表す時間)については、その長さに合わせて調整が必要な場合がある。この長さに変更が必要な場合が想定されるのであれば、設定ファイルにおいて待機時間を指定するようにシステムを設計すればよい。設定ファイルを書き換えれば、プログラム自体を変更しなくても待機時間を容易に変更できる。
【0125】
なお、上記実施形態では、充放電指示データの作成処理は全て充放電指示データ作成サーバ100が行っている。しかしこの開示はそのような実施形態に限定されない。充放電指示データ作成処理の一部を充放電指示データ作成サーバ100と異なる装置が行うようにしてもよい。
【0126】
第2 第2実施形態
1 構成
(1)電力売買システム550
図11に、第2実施形態に係る電力売買システム550の概略構成を示す。第1の実施形態においては、スポット価格データが電力の取引を行うマーケットを運営する会社により維持されている。この第2実施形態においては、電力の取引価格が電力会社により管理されているか、又は個人・法人の間の取引のマーケットでの取引価格に連動するよう設定されているか、または実施形態1と同様にそのようなマーケットを管理している会社により管理されていることを想定している。同一のエリアにおいて同一の電力会社から電力の供給を受けているユーザ、又は同一のマーケットで電力の取引を行っているユーザでも、適用される電力価格が異なる場合がある。また複数のマーケットにおいて電力を取引しているユーザもある。この実施形態は、そのような場合を考慮したものである。なお、以下では、説明及び図面を簡潔にするため、スポット価格データは電力会社により単独で管理されている場合を例としている。
【0127】
図11を参照して、電力売買システム550は、ユーザとの契約に基づく電力価格及び電力の取引価格を管理する電力会社サーバ570、及び各地方の気象情報をサービスとして供給する気象情報サーバ572から情報の提供を受け、各ユーザの所有する蓄電システムに関する充放電指示データを作成し配布するための充放電指示データ配布システム574、及び図1に示す電力変換システム63と類似した構成を持つ電力変換システム575を含む。
【0128】
電力変換システム575は、図1の電力変換システム63の構成に加えて分散型電源の一種である太陽電池モジュール580、及び太陽電池モジュール580のためのパワーコンディショナ578を含む。電力変換システム575はさらに、図1に示す室内リモートコントローラ66に代えて室内リモートコントローラ576を含む。室内リモートコントローラ576は、室内リモートコントローラ66の持つ機能に加えて、太陽電池モジュール580、蓄電池、負荷などの稼動ログを蓄積し充放電指示データ配布システム574に送信する機能を持つ。太陽電池モジュール580による発電力を負荷で消費する場合、その価格をゼロと考えればよい。
【0129】
(2)充放電指示データ配布システム574
充放電指示データ配布システム574は、充放電指示データ作成サーバ600、充放電指示データ保守サーバ602、及び充放電指示データ配布サーバ604を含む。
【0130】
充放電指示データ作成サーバ600は、データの入手先が図1に示す市場価格管理サーバ60と異なり、電力会社サーバ570である点を除き、図1に示す充放電指示データ作成サーバ100と同様の構成を持つ。
【0131】
充放電指示データ配布サーバ604も図1に示す充放電指示データ配布サーバ104と同様の構成及び機能を持つ。
【0132】
充放電指示データ保守サーバ602は、気象情報サーバ572から得られる日射量の過去の時系列データ及び今後の予想日射量と、室内リモートコントローラ576からの稼動ログとに基づいて、電力変換システム575における稼動状態を予測し、その予測に基づいて、充放電指示データ作成サーバ600が作成した充放電指示データを更新する機能を持つ。その構成については後述する。
【0133】
(3)室内リモートコントローラ576
図12を参照して、室内リモートコントローラ576は、充放電指示データ配布サーバ604から充放電指示データを取得する充放電指示データ取得部630、及び充放電指示データ取得部630が取得した充放電指示データに基づいて蓄電システム68の制御部に充放電の指示を与える蓄電システム制御部632を含む。充放電指示データ取得部630及び蓄電システム制御部632は、協働して図1に示す室内リモートコントローラ66と同様の機能を実現する。
【0134】
室内リモートコントローラ576はさらに、電力変換システム575の各部の稼動ログを収集する稼動ログ収集部634、収集された稼動ログを記憶する稼動ログ記憶部636、及び稼動ログ記憶部636に記憶された稼動ログを定期的に図11に示す充放電指示データ保守サーバ602に稼動ログ582(図1参照)としてアップロードする稼動ログアップロード部638を含む。これら稼動ログは、図1に示す充放電指示データ保守サーバ602において各種の機械学習モデルの訓練を行うために使用される。
【0135】
(4)充放電指示データ保守サーバ602
図13を参照して、充放電指示データ保守サーバ602は、図11に示す充放電指示データ作成サーバ600から充放電指示データを受け、一時記憶するための充放電指示データ記憶部664を含む。
【0136】
充放電指示データ保守サーバ602はさらに、充放電指示データ記憶部664に接続され、充放電指示データ記憶部664に記憶された充放電指示データを、気象情報と電力変換システム575のような電力変換システムから受信した稼動ログに基づいて各電力変換システムにあわせて更新し各電力変換システムのための充放電指示データを出力するための充放電指示データ更新部666を含む。この場合の更新は、電力変換システムごとに、その地域、電力変換システムの稼動状況、過去の日射量、及び気象情報に基づく日射量の予測を用いて、当日の各エリアの電力変換システムの稼動状況を予測することにより、より経済的な運転が可能になるように、充電する区間と放電する区間とを変更するというものである。
【0137】
充放電指示データ保守サーバ602はさらに、充放電指示データ更新部666により更新された、電力変換システムごとの充放電指示データを記憶するための更新後充放電指示データ記憶部668を含む。更新後充放電指示データ記憶部668に記憶された更新後充放電指示データのデータファイルには、各電力変換システムの識別子とその年度に基づく名称が付されている。さらにこのデータファイルには、外部からアクセスが可能である。電力変換システム575のような電力変換システムはこの更新後充放電指示データのデータファイルにアクセスし、自己の識別子に対応するファイルを選択し、それぞれの室内リモートコントローラにダウンロードする。
【0138】
充放電指示データ保守サーバ602はさらに、各電力変換システムから稼動ログを受信し、電力変換システムごとに蓄積するための装置別稼動ログ記憶部652と、図11に示す気象情報サーバ572から受信する当日の気象情報に基づき、地域別・時間別の日射量と当日及び翌日の地域別・時間別の日射量の予測とを記憶するための地域別・時間別日射量記憶部650とを含む。この場合の時間別の区間の長さは、充放電指示データにより充放電が指示される区間と一致していることが望ましいが、1日の中における日射量の変化を反映できる程度の長さなら特に問題はない。
【0139】
充放電指示データ保守サーバ602はさらに、太陽光発電電力量予測モデル656、宅内負荷電力量予測モデル658、蓄電池SOC(State Of Charge)予測モデル660、売買電力量予測モデル662、並びに地域別・時間別日射量記憶部650に記憶された日射量データ及び装置別稼動ログ記憶部652に記憶された装置別の稼動ログから各モデルの訓練データを作成し、各モデル656、658、660、及び662の訓練を行うための予測モデル訓練部654を含む。なお、この実施形態においては、これらモデル656、658、660及び662は、図示してはいないが、対象とする各電力変換システムに対して設けられる。ただし、単独の電力変換システムの稼動ログのみでは十分な訓練が行えない可能性があるため、いずれのモデルについても、全ての電力変換システムの稼動ログから得た訓練データを用いて事前訓練をした後、各電力変換システムの稼動ログを用いたチューニング用データを用いて電力変換システムにあわせたチューニングをすることが望ましい。もちろん、単独の電力変換システムの稼働ログで十分に大きな訓練データを作成できれば、その稼動ログのみを用いて作成した訓練データで各モデルを訓練してもよい。例えば1つの訓練データから複数の類似の訓練データを作成することで訓練データの数を多くする手法を用いてもよい。
【0140】
予測モデル訓練部654は、各モデルを別々の訓練データを用いて訓練する。各モデルは機械学習モデル(典型的に深層学習モデル)であり、教師あり学習により訓練される。
【0141】
太陽光発電電力量予測モデル656は、予測対象の日の直前の複数日における各区間の日射量の系列、及び予測対象の日の各区間における、対象の電力変換システムが存在する地域における日射量の予測の系列を入力とし、予測対象の日の各区間における電力変換システムに設けられた太陽電池モジュールのおおよその予測発電量を示すラベルの系列を出力するよう訓練される。したがって、訓練データは、過去の稼動ログから得られた、連続する複数日の各日における各区間の日射量の系列、及び同じ日の各区間における、対象の電力変換システムが存在する地域における日射量(又はその予測)の系列、及びその直後の日の各区間における太陽電池モジュールの実際の発電量に対応するラベルの系列を含む。発電量をあまり詳細に分類すると訓練データが疎となる可能性が高い。したがって発電量を10程度の範囲に区分することによりラベルの数を減らし、訓練データが疎となる可能性を小さくする。これは他のモデルについても同様である。
【0142】
宅内負荷電力量予測モデル658は、予測対象の日の直前の複数日における、対象の電力変換システムに接続された宅内負荷が各区間において消費した電力量の系列を入力とし、予測対象の日の各区間における宅内負荷のおおよその予測消費電力量を示すラベルの系列を出力するように訓練される。したがって、訓練データは、過去の稼動ログから得られた、連続する複数日の各日における各区間において宅内負荷が消費した電力量の系列、及び、その複数日の直後の日の各区間における、電力変換システムに接続された宅内負荷のおおよその消費電力量を示すラベルの系列を含む。
【0143】
蓄電池SOC予測モデル660は、予測対象の日の直前の複数日における、対象の電力変換システムが含む蓄電池の、各区間のSOC、太陽光発電電力量のラベル、日射量の各系列を入力とし、予測対象の日の各区間における蓄電池の予測SOCのラベル系列を出力とする。したがって、蓄電池SOC予測モデル660の訓練データは、過去の稼動ログから得られた、連続する複数日の各区間における、対象の電力変換システムに含まれる蓄電池のSOC、太陽光発電電力量のラベル、及び日射量の各系統、並びにその直後の日の各区間におけるSOCを示すラベルの系列を含む。
【0144】
売買電力量予測モデル662は、予測対象の日の直前の複数日における、対象の電力変換システムが含む蓄電池の、各区間のSOC、太陽光発電電力量のラベル、日射量、及び売買電力量の各系列を入力とし、予測対象の日の各区間における売買電力量のおおよその量を示すラベルの系列を出力する。したがって、訓練データは過去の稼動ログから得られた、連続する複数日における、対象の電力変換システムが含む蓄電池の、各区間のSOC、太陽光発電電力量のラベル、日射量、及び売買電力量のラベルの各系列、並びにその直後の日の各区間における売買電力量のおおよその量を示すラベルの系列を含む。
【0145】
これらモデル及び各電力変換システムの過去の稼動ログを用いることにより、予測対象の電力変換システムに関し、予測対象の日の各区間における太陽光発電の電力量、宅内負荷電力量、蓄電池SOC、及び売買電力量が予測できる。なお、売買電力量予測モデル662に代えて、又は売買電力量予測モデル662に加えて、電力系統への逆潮流量(逆潮流量=需要家の発電電力量-需要家の消費電力量)を予測する逆潮流量予測モデルを用いてもよい。逆潮流量予測モデルは、例えば、予測対象の日の直前の複数日における、対象の電力変換システムが含む蓄電池の、各区間のSOC、太陽光発電電力量のラベル、日射量、及び売買電力量の各系列を入力とし、予測対象の日の各区間における逆潮流量のおおよその量を示すラベルの系列を出力する。
【0146】
充放電指示データ更新部666は、充放電指示データ記憶部664に記憶されている充放電指示データを、予測対象の各電力変換システムについて上記した各モデルを用いて得られた予測値を用い、以下の手順に従って更新する。
【0147】
ア)太陽光発電の余剰電力を、充放電指示データが充電を指示している区間において蓄電池の充電に用い、放電が指示されている区間において放電をした場合の予測電気料金(第1の予測電気料金)を算出する。
【0148】
イ)太陽光発電の余剰電力を、充放電指示データが充電を指示している区間において、充電ではなく電力系統に買電し、充放電期間に蓄電池から放電した場合の予測電気料金(第2の予測電気料金)を算出する。
【0149】
ウ)第2の予測電気料金>第1の予測電気料金のとき:充放電指示データに変更なし。なぜかといえば、充放電指示データに従って充電することにより経済効果が出るためである。
【0150】
エ)第1の予測電気料金≧第2の予測電気料金のとき、太陽光発電による余剰電力が発生する区間であり、かつ充放電指示データが充電を指示している区間における充放電指示データをゼロ(待機を示す値)に変更する。なぜかといえば、充放電指示データが充電を指示する区間において売電ができるなら、充電ではなく売電を行うことにより経済効果が出るためである。
【0151】
(5)プログラム構成
図11に示す充放電指示データ作成サーバ600が実行するプログラムの制御構造は第1の実施形態に関連して示した図6とほぼ同様である。
【0152】
図13に示す充放電指示データ保守サーバ602が実行するプログラムの制御構造を図14に示す。図14を参照して、このプログラムは、利用可能な最新の設定ファイルを選択するステップ700、選択された設定ファイルを読むステップ702、及び設定ファイルによる設定に従って、充放電指示データを作成する対象日の各々についてステップ706を実行するステップ704を含む。
【0153】
ステップ706は、充放電指示データを作成する対象である各電力変換システムについての処理であるステップ732を各電力変換システムに対し実行するステップ730を含む。
【0154】
図15にステップ732の詳細を示す。図15を参照して、ステップ732は、各対象日に対する処理であるステップ752を対象となる日の各々に対して実行するステップ750、及び、ステップ750の結果得られた充放電指示データのファイルに、対象となっている電力変換システムの識別子を含む適切な名前を付して更新後充放電指示データ記憶部668に保存するステップ754を含む。
【0155】
図16に、図15のステップ752の詳細を示す。図16を参照して、このプログラムは、装置番号(電力変換システムの識別子)、その電力変換システムの直前の一定期間の稼動ログ及び当日の各区間の日射予測の系列からモデル656、658、660及び662にそれぞれ入力する素性ベクトルを生成するステップ780を含む。このプログラムはさらに、各モデルに、そのモデルに対応する素性ベクトルを入力するステップ782を含む。この入力に応答して、各モデル(モデルを構成するニューラルネットワークの構造、重み及びバイアスデータを規定するパラメータ、並びに上記パラメータに従ってニューラルネットワークの出力計算を行う所定のプログラムの組み合わせ)が動作し、それぞれ予測結果を出力する。これら予測結果は、対象日の各区間における予測太陽光発電電力量、宅内負荷の予測電力、予測蓄電池SOC、及び予測売買電力量のラベル系列である。ラベルであるから具体的な数値ではないが、各ラベルを代表する数値をこれらモデルの出力とみなすことができる。したがって各予測電気料金のラベルはその代表する値に換算すればよい。
【0156】
このプログラムはさらに、各モデルの出力を読み、対象となる電力変換システムの予測対象日の各区間における太陽光発電電力及び宅内負荷電力の予測データを作成するステップ784、上記した第1の予測電気料金C1を算出するステップ786、及び、第2の予測電気料金C2を算出するステップ788を含む。
【0157】
このプログラムはさらに、第1の予測電気料金C1と第2の予測電気料金C2とを比較しその結果に従って制御の流れを分岐させるステップ790を含む。より具体的には、ステップ790においてはC2>C1か否かを判断する。このプログラムはさらに、ステップ790の判定が否定のときに、充放電指示データの内、余剰電力の発生区間であってかつ充電指示区間の充放電指示を全てゼロ(待機を示す値)に変更するステップ792を含む。
【0158】
ステップ790の判定が肯定のとき、及びステップ790の判定が否定でありステップ792の処理が終了したときには、ステップ794において充放電指示データに適切な名前をつけて更新後充放電指示データ記憶部668(図13)に保存しこのプログラムの実行を終了する。
【0159】
2 動作
図11に示す充放電指示データ作成サーバ600は、充放電指示データ作成のためのデータを図1に示す市場価格管理サーバ60ではなく電力会社サーバ570から得ることを除き、図1に示す充放電指示データ作成サーバ100と同様に動作する。
【0160】
図11に示す充放電指示データ保守サーバ602は以下のように動作する。前提として、図12に示す室内リモートコントローラ576の稼動ログ収集部634は電力変換システム575内の各部からその稼動ログを収集し稼動ログ記憶部636に格納する。稼動ログアップロード部638は、定期的にこの稼動ログを充放電指示データ保守サーバ602にアップロードする。アップロードされた稼動ログは装置別稼動ログ記憶部652に蓄積される。充放電指示データ保守サーバ602はまた、図11に示す気象情報サーバ572から、地域ごと、区間ごとの日射予測を含む気象情報を定期的に受信する。これら気象情報は図13に示す地域別・時間別日射量記憶部650に保存される。
【0161】
予測モデル訓練部654は、定期的に(例えば1日又は複数日に1回)、地域別・時間別日射量記憶部650に新たに保存された日射量の地域ごと、区間ごとの系列の情報、及び装置別稼動ログ記憶部652に新たに保存された各電力変換システムの区間ごとの稼動ログを用いて太陽光発電電力量予測モデル656、宅内負荷電力量予測モデル658、蓄電池SOC予測モデル660及び売買電力量予測モデル662を訓練するための新たな訓練データを作成する。新たな訓練データは過去に作成されていた訓練データに加えられる。予測モデル訓練部654はさらに、このようにして得られた新たな訓練データを含めた全ての訓練データを用いて太陽光発電電力量予測モデル656、宅内負荷電力量予測モデル658、蓄電池SOC予測モデル660及び売買電力量予測モデル662の訓練を行う。
【0162】
一方、図13に示す充放電指示データ記憶部664が新たな充放電指示データを受信し記憶すると、充放電指示データ更新部666がその充放電指示データと、太陽光発電電力量予測モデル656、宅内負荷電力量予測モデル658、蓄電池SOC予測モデル660及び売買電力量予測モデル662を用い、各電力変換システムに適合するよう充放電指示データを更新する。この充放電指示データは更新後充放電指示データ記憶部668に各電力変換システムに対応した適切な名前を付してファイルとして保存される。
【0163】
ただし、充放電指示データ更新部666がモデル656、658、660及び662をアクセスしているときにこれらモデルを訓練することはできない。そこで、充放電指示データ更新部666は、これらモデルの訓練に先立ってこれらモデルの最新のコピーを作成し、そのコピーを用いて充放電指示データの更新を行う。充放電指示データ更新部666は、各モデルの訓練が完了した時点で、アクセス先を訓練済の新たなモデルに切り替える。又は、コピー済のモデルを破棄し、訓練済の新たなモデルの新たなコピーを作成し、そのコピーを用いるようにしてもよい。こうすることにより、モデル656、658、660及び662の訓練を定常的に行うことができる。
【0164】
図12を参照して、室内リモートコントローラ576の充放電指示データ取得部630は、定期的に図13の更新後充放電指示データ記憶部668にアクセスし、自己に対応する識別子を含む充放電指示データのファイルをダウンロードする。蓄電システム制御部632は、この充放電指示データに保存された、各区間における充放電指示に従って、各区間に蓄電システム68の充電、放電、及び待機の指示を行う。この動作は第1実施形態における室内リモートコントローラ66と同様である。
【0165】
3 第2実施形態の効果
この第2実施形態によれば、充放電指示データが各電力変換システムの最近の稼動状況及び電力変換システムが設置されている地域の日射量に従って、経済効果が得られるように更新される。したがって、個別の電力変換システムの状況を考慮しない第1実施形態よりも電気料金の節約額を大きくできる。
【0166】
なお、この第2実施形態では分散型電源として太陽電池モジュール580を使用している。しかしこの開示はそのような実施形態に限定されない。分散型電源としては、風力発電装置、地熱発電装置、小型の水力発電装置、バイオマス発電装置、電気自動車のように移動可能な蓄電装置など、及びこれらの任意の組み合わせを用いてもよい。この第2実施形態ではさらに、蓄電システム68は別体のパワーコンディショナ578を介して太陽電池モジュール580と接続される。しかしこの開示はそのような実施形態には限定されない。蓄電システムは、パワーコンディショナ578を介さずに太陽電池モジュール580と接続される構成であってもよい。例えば、蓄電システムは、太陽電池モジュール用のパワーコンディショナの機能を持つ、いわゆるハイブリッドタイプの蓄電システムであってもよい。
【0167】
第3 第3実施形態
1 構成
(1)概略構成
第2実施形態においては、各電力変換システムの最近の稼動状況、及び電力変換システムが設置されている地域の日射量などに基づいて各電力変換システムの置かれた状況に適したように充放電指示データが更新される。しかし、この更新はあくまで予測に基づいて行われる。したがって、電力変換システムの実際の稼動状況が予測と異なってくる可能性が十分にある。むしろ実際の稼動状況が予測と異なるほうが通常であると考えられる。第1実施形態及び第2実施形態のいずれにおいても、このような予測と実際の稼動状況とのずれを補償することはできない。以下に説明する第3実施形態の電力変換システムは、そのような予測と実際の稼動状況とのずれを補正する機能を持つ。
【0168】
なお、以下に説明する第3実施形態は電力変換システムの室内リモートコントローラの改良に関する。補正の対象となる充放電指示データとしては、第1実施形態及び第2実施形態において使用したものと同じ形式であればよい。
【0169】
図17を参照して、この第3実施形態に係る電力売買システム850は、第2実施形態に係る充放電指示データ配布システム574により作成された充放電指示データを用いて動作する電力変換システム852を含む。
【0170】
電力変換システム852が図11に示す第2実施形態の電力変換システム575と異なるのは、図11の室内リモートコントローラ576に代えて、充放電指示データ配布システム574から受信した充放電指示データを、電力変換システム852の稼動ログに基づいて逐次更新していく機能を持つ室内リモートコントローラ860を含む点である。その他の点においては、電力変換システム852は、図11に示す電力変換システム575と同じ構成を持つ。
【0171】
図18を参照して、この実施形態に係る室内リモートコントローラ860は、蓄電システム68の稼動ログを収集する稼動ログ収集部880、及び収集された稼動ログを蓄積する稼動ログ記憶部882を含む。
【0172】
室内リモートコントローラ860はさらに、図17に示す電力会社サーバ570からユーザと電力会社との契約による電気料金テーブル896をダウンロードする電力会社サーバアクセス部894、及びダウンロードされた電気料金テーブル896を保存する記憶部を含む。
【0173】
室内リモートコントローラ860はさらに、図17に示す充放電指示データ配布サーバ604にアクセスし、電力変換システム852のための充放電指示データをダウンロードするための充放電指示データ配布サーバアクセス部904を含む。充放電指示データ配布サーバアクセス部904がアクセスするのは、充放電指示データ配布サーバ604内の処理フォルダに格納された、電力変換システム852の識別子(装置番号)と日付とを名称に含むファイルである。
【0174】
室内リモートコントローラ860はさらに、充放電指示データ配布サーバアクセス部904がダウンロードした充放電指示データを記憶するための充放電指示データ記憶部906、及び充放電指示データ記憶部906に記憶された充放電指示データに従って蓄電システム68の充電及び放電を制御したときの、当日の開始から現時点までの予測電気料金を、電気料金テーブル896を参照して算出するための予測電気料金算出部908を含む。
【0175】
室内リモートコントローラ860はさらに、稼動ログ記憶部882に記憶された稼動ログと電気料金テーブル896とに基づいて、電力変換システム852が当日の開始から現時点までの間に実際に購入した電気料金を算出する実購入電気料金算出部898、及び、予測電気料金算出部908が算出した予測料金と実購入電気料金算出部898が算出した実購入電気料金を比較して比較結果を示す信号を出力する料金比較部910を含む。
【0176】
室内リモートコントローラ860はさらに、図13に示す第2実施形態のモデル656、658、660及び662とそれぞれ同様の機能を持つ太陽光発電電力量予測モデル886、宅内負荷電力量予測モデル888、蓄電池SOC予測モデル890、及び売買電力量予測モデル892、並びにこれらモデル886、888、890及び892を、新たな稼動ログが稼動ログ記憶部882に記憶されたことに応答してこの新たな稼動ログを用いて各モデルの訓練データを作成し各モデルのオンライン学習を行うためのオンライン学習部884を含む。ただし、電力変換システム852の稼動ログを用いるだけでは、これらモデルの十分な訓練を行うことが難しいことがある。そこで、モデル886、888、890及び892は、例えば電力会社、蓄電システムの製造会社、販売会社、又はそれらの協働により、大量の電力変換システムの稼動ログを用いて事前学習したモデルを初期モデルとし、それを特定の電力変換システムの稼動ログを用いたオンライン学習によりチューニングすることが実際的である。なお、単独の電力変換システムで蓄積した稼働ログの量が十分に大きければ、その電力変換システムの稼働ログのみを用いて機械学習モデルの訓練を行ってもよい。これは他の実施形態でも同様である。
【0177】
室内リモートコントローラ860はさらに、料金比較部910による予測電気料金と実購入電気料金との比較結果、モデル886、888、890及び892を用いて充放電指示データ記憶部906に記憶された充放電指示データの各区間の指示データを、より経済性が高くなるように更新するための充放電データ更新部912、並びに充放電データ更新部912により更新された充放電指示データに従って、各区間について、蓄電システム68の充電、放電、及び待機を制御するための蓄電システム制御部914を含む。
【0178】
(2)プログラム構成
以下に、室内リモートコントローラ860の機能を実現するプログラムの制御構造について説明する。図19を参照して、このプログラムは1日に1回起動される。したがってここではこのプログラムを「日次処理」という。
【0179】
日次処理プログラムは、起動されると最初に図17に示す充放電指示データ配布サーバ604にアクセスして、電力変換システム852のための充放電指示データのファイルにアクセスするステップ950、及びステップ950のアクセスが成功したか否かに従って制御の流れを分岐させるステップ952を含む。ステップ952においてアクセスが失敗したと判定されたときにはこのプログラムの実行は直ちに終了される。何回かリトライするようにしてもよいが、この実施形態においてはあえてリトライはせず、必要ならユーザが手作業によりリトライするようにしている。
【0180】
このプログラムはさらに、ステップ952においてアクセスが成功したと判定されたことに応答して、充放電指示データをダウンロードし所定の記憶装置に保存するステップ954、及び、この充放電指示データに対してステップ958の定時処理と呼ばれる処理を当日の最後の区間の処理が完了するまで繰り返し実行するステップ956を含む。この定時処理は、電力変換システム852の実際の稼動状況に従って、充放電データの内容を更新するためのものである。この処理を行うことにより、電力変換システム852の稼動状況(したがって実購入電力料金)が予測とずれたときに、そのずれを解消し、電力変換システム852の動作の経済性を高めるように充放電指示データが更新される。
【0181】
図20図19のステップ958において実行される定時処理のためのプログラムの制御構造をフローチャート形式により示す。図20を参照して、このプログラムは、現在の区間(現区間)までの実購入電気料金F1を、稼動ログ記憶部882(図18)に記憶された稼動ログ及び電気料金テーブル896を参照して算出するステップ1000、及び充放電指示データと電気料金テーブル896を参照して現在の区間までの予測電気料金F2を算出するステップ1002を含む。
【0182】
このプログラムはさらに、ステップ1000及び1002においてそれぞれ算出された料金F1及びF2について、F1≦F2という関係が成立しているか否かにしたがい制御の流れを分岐させるステップ1004を含む。ステップ1004における判定が肯定のときにはこれ以上何もせず、この定時処理の実行を終了する。F1≦F2という関係は実購入電力料金が予測電気料金以下であることを意味する。したがって、ステップ1004の判定が肯定であれば、予測による経済効果が得られているということである。そのため、この場合には充放電指示データを補正することなく引き続き充放電指示データに従って蓄電システム68を制御する。
【0183】
このプログラムはさらにステップ1004の判定が否定のときに、図18に示すモデル886、888、890及び892の訓練が完了した状態になるまで待機するステップ1006、及びステップ1006の後に、充放電指示データの内、現時点以降の区間(残区間)の各々について、ステップ1010に示す予測処理を行うステップ1008を含む。ステップ1010においては、充放電データ更新部912(図18)は、対象となる区間の各々について、稼動ログからモデルへの入力ベクトルを作成しモデル886、888、890及び892にそれぞれ入力する。モデル886、888、890及び892からはそれぞれ、その区間における予測太陽光発電電力量のラベル、予測宅内負荷電力量のラベル、予測蓄電池SOCのラベル、及び予測売買電力量のラベルが得られる。これらラベルはそれぞれ特定の代表値に換算できる。ステップ1008の処理が完了することにより、現在の区間以降の各区間についての予測電気料金を算出するために必要な情報が得られる。
【0184】
このプログラムはさらに、ステップ1008に引き続き、前述の第1の予測電気料金C1を算出するステップ1012、第2の予測電気料金C2を算出するステップ1014、及びこれらの間にC2>C1の関係が成立しているか否かに従って制御の流れを分岐させるステップ1016を含む。ステップ1016の判定が否定のときには何も行うことなくこのプログラムの実行は終了する。ステップ1016の判定が肯定のときには、ステップ1018において充放電指示データの残区間を全てゼロ(待機を示す値)に変更してプログラムの実行を終了する。
【0185】
2 動作
この実施形態においては、充放電指示データ配布システム574による動作は第2実施形態と同様である。しかしこの実施形態においては、室内リモートコントローラ860が電力変換システム852の稼動ログを稼動ログ582として定期的に充放電指示データ保守サーバ602にアップロードするだけではなく、図18に示す稼動ログ記憶部882にも記憶する。稼動ログ記憶部882に新たな稼動ログが記憶されると、オンライン学習部884がその稼動ログを使用して各モデル886、888、890及び892のための訓練データを作成し、オンライン学習を行う。したがって新たなログが稼動ログ記憶部882に格納されるたびに各モデル886、888、890及び892のパラメータが更新され、その予測出力が調整される。
【0186】
一方、図18に示す充放電指示データ配布サーバアクセス部904が一定時刻に充放電指示データ配布サーバ604にアクセスして充放電指示データをダウンロードし充放電指示データ記憶部906に記憶する。各区間の最初(又は終わり)のある時点において、実購入電気料金算出部898及び予測電気料金算出部908は、現時点までの実購入電気料金F2、及び現時点までの各区間において充放電指示データに従って蓄電システム68の充放電を制御したときの予測電気料金F1をそれぞれ算出する(図20のステップ1000及び1002)。料金比較部910が両者を比較する(ステップ1004)。F1≦F2の関係が成立していれば(ステップ1004においてYES)、現時点においては充放電指示データを更新せず処理を終了する。F1≦F2の関係が成立していなけれ(ステップ1004においてNO)、図20のステップ1008において残区間の各々について、予測太陽光発電電力量、予測宅内負荷消費電力量、予測蓄電池SOC、及び予測売買電力量を算出する。
【0187】
さらに、ステップ1012において第1の予測電気料金C1を、ステップ1014において第2の予測電気料金C2をそれぞれ算出する。続くステップ1016においてC2>C1が成立しているか否かを判定する。この関係が成立していれば残区間の充放電指示データの全てについて、待機を表す値(0)に変更することにより充放電指示データを更新する。この関係が成立していないときには充放電指示データを変更せずそのままとする。
【0188】
以上の処理を繰り返すことにより、予測に基づいて設定した充放電指示データを、実際の稼動データに基づく実購入電気料金とその後の予測稼動データに基づいて補正し、電力変換システム852の動作の経済性を高めていく。
【0189】
3 第3実施形態の効果
以上のように第3実施形態によれば、電力変換システム852に備えられた室内リモートコントローラ860でなければ得られない最新の情報を用いて、電力変換システム852の具体的な稼動状況に応じて充放電指示データを更新できる。その結果、充放電指示データ配布システム574により作成された充放電指示データをそのまま利用する場合と比較して、さらに電力変換システム852の経済性を高めることができる。
【0190】
第4 第4実施形態
1 概要
需要家によっては、毎日の負荷電力の需要が一定のパターンに従う場合がある。毎日が同じパターンに従うのではなく、例えば曜日によって異なるが同じ曜日であれば同じ電力消費パターンに従ったり、さらに月の末日のような特定の日には特別なパターンに従ったりすることもある。すると、例えば電力の需要が全くないかごく少ない時間帯に蓄電池から放電するスケジュールを作成しても、需要がなく無駄になることがあり得る。そうした場合には、せっかく安い価格で購入した電力を高い価格帯のときに利用できず、電力を有効に利用できないという問題がある。
【0191】
そこで、この第4実施形態では、電力需要のパターンを学習し、又は予め設定し、そのパターンにしたがって有効に電力を使用できるように蓄電池の放電区間を設定する。
【0192】
具体的には、図21を参照して、予め設定された取引価格1050にしたがって電力価格が設定されているものとする。一方、この電力変換システムに対する電力需要が図21下の負荷消費量1060により示されるように、第1の区間1062まではほとんどなく、その直後の第2の区間1064から発生するものとする。すると、例えば取引価格1050によれば、電力価格が最も高いのは第1の区間1062に対応する区間である。しかし、この区間には電力の需要がなく、蓄電池から放電された電力の使い道がない。そのため、せっかく蓄電池に充電した電力が有効に使用できないという問題が生じる。
【0193】
そこでこの第4実施形態では、放電する区間として、第2の区間1064とそれ以降の区間のように、電力の需要パターンから需要が存在することが予測される区間に限って蓄電池の放電区間を選択する。ただしこの場合、既に述べたように、この区間の電力価格が、充電時の価格に1/ηを乗じた価格以上でなければ損が生じる。したがって、図21の上に示すように充電時の価格に1/ηを乗じた基準値1052を上回る区間のみを放電区間とする。なお図21では説明を簡明にするために基準値1052を直線で示してある。しかしこの基準値は、実際には電力を充電したときの取引価格に依存して変化する点に注意すべきである。
【0194】
この構成により、安い価格で蓄積した電力を、確実に利益が生ずる値段でできるだけ多く利用でき、電力を有効に利用できる。
【0195】
2 プログラム構成
図22に、この実施形態において、各充電区間に対して放電区間をマッチングする処理を実現するプログラムの制御構造をフローチャート形式で示す。この実施形態を実現する電力売買システムの構成は第1実施形態の電力売買システム50の構成と基本的に同じである。この図22に示す処理は、図7に示すステップ394の処理として、図8に構造を示すプログラムに代えて使用できる。
【0196】
図22に示すプログラムが図8に示すものと異なるのは、図8のステップ430に代えて、価格が処理対象の第2配列の要素に対応する区間における電力の取引価格に1/ηを乗じた価格以上で、かつ負荷消費電力が0より大きな区間に対応する第1配列の要素を抽出するステップ1100と、ステップ1100で抽出された第1配列の要素の中で、第2配列の処理対象の要素の時間より後で価格が最も高い要素を探索するステップ1102とを含む点である。ステップ1102の後はステップ432に続き、ステップ432より後の処理は図8に示すものと同様である。
【0197】
3 第4実施形態の効果
上記した第4実施形態によれば、蓄電池に充電された電力を放電するのに適した区間として、需要が存在すると予測される区間であってかつその取引価格が充電時の取引価格に比して十分に利益が出る区間が選択される。そのため、せっかく蓄積した電力を取引価格が高いときに利用できないという状況が発生することが防止でき、電力を有効に利用できる。
【0198】
なお、電力需要の予測は、前述したように機械学習によるモデルで予測してもよいし、予め手動で設定してもよい。毎日の電力需要が一定パターンになることが予測される需要家の場合、毎日の電力の負荷消費量を蓄積しておき、直前の何週間分かの実績の各区間における平均値をとることで予測パターンとしてもよい。この場合、曜日ごとに予測を別に行ってもよいし、休日か否か、月末か否か等により別の予測処理を行ってもよい。
【0199】
今回開示された実施形態は全ての点において例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、開示の詳細な説明の記載により示されるわけではなく、特許請求の範囲の各請求項によって示され、特許請求の範囲の文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0200】
50、550、850 電力売買システム
60 市場価格管理サーバ
62、574 充放電指示データ配布システム
63、575、852 電力変換システム
64 無線LANルータ
66、576、860 室内リモートコントローラ
68 蓄電システム
70 電力系統
72 一般負荷分電盤
74 家庭用コンセント
76 蓄電システム用分電盤
78 特定コンセント
80 買電用電力計
82 売電用電力計
100、600 充放電指示データ作成サーバ
102、602 充放電指示データ保守サーバ
104、604 充放電指示データ配布サーバ
150 コンピュータシステム
170 コンピュータ
172 モニタ
174 キーボード
176 マウス
178 DVD
184 USBメモリ
186 ネットワーク
190 CPU
192 GPU
196 ROM
198 RAM
200 HDD
202 DVDドライブ
206 USBポート
208 ネットワークI/F
210、262 バス
250 プロセッサ
252 メモリ
254 通信インターフェイス
256 入出力インターフェイス
258 タッチパネルコントローラ
260 タッチパネル
270 制御装置
272 電力変換部
274 蓄電池
300、302、304、306、308、310、312、314、330、332、334、336、338、350、352、380、382、384、386、388、390、392、394、430、432、434、436、470、472、474、500、502、504、506、508、510、512、700、702、704、706、730、732、750、752、754、780、782、784、786、788、790、792、794、950、952、954、956、958、1000、1002、1004、1006、1008、1010、1012、1014、1016、1018、1100、1102 ステップ
570 電力会社サーバ
572 気象情報サーバ
578 パワーコンディショナ
580 太陽電池モジュール
582 稼動ログ
630 充放電指示データ取得部
632、914 蓄電システム制御部
634、880 稼動ログ収集部
636、882 稼動ログ記憶部
638 稼動ログアップロード部
650 地域別・時間別日射量記憶部
652 装置別稼動ログ記憶部
654 予測モデル訓練部
656、886 太陽光発電電力量予測モデル
658、888 宅内負荷電力量予測モデル
660、890 蓄電池SOC予測モデル
662、892 売買電力量予測モデル
664、906 充放電指示データ記憶部
666 充放電指示データ更新部
668 更新後充放電指示データ記憶部
884 オンライン学習部
894 電力会社サーバアクセス部
896 電気料金テーブル
898 実購入電気料金算出部
904 充放電指示データ配布サーバアクセス部
908 予測電気料金算出部
910 料金比較部
912 充放電データ更新部
1050 取引価格
1052 基準値
1060 負荷消費量
1062 第1の区間
1064 第2の区間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22