(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-12-10
(45)【発行日】2025-12-18
(54)【発明の名称】射出成形装置
(51)【国際特許分類】
B22D 17/30 20060101AFI20251211BHJP
B22D 17/02 20060101ALI20251211BHJP
【FI】
B22D17/30 E
B22D17/02 B
(21)【出願番号】P 2022205024
(22)【出願日】2022-12-22
【審査請求日】2024-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】松岡 達郎
【審査官】中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-037796(JP,A)
【文献】特開平07-290223(JP,A)
【文献】特開2020-059029(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0246681(US,A1)
【文献】中国実用新案第211679935(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 17/00-17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形材料を溶融するように構成される溶融部と、
溶融された前記成形材料を金型に射出するように構成される射出部と、
前記溶融部と前記射出部とを連結する連結流路と、
前記連結流路から前記射出部への前記成形材料の移動を選択的に遮断する遮断機構と、を備え、
前記溶融部は、前記連結流路を介して前記射出部に前記成形材料を供給する供給機構と、前記射出部に向かって移動する前記成形材料を収容する溶融チャンバーと、を含み、
前記射出部は、前記連結流路を介して前記溶融チャンバーから供給される前記成形材料を収容する射出チャンバーと、前記射出チャンバーに収容される前記成形材料を前記金型に射出する射出機構と、を含み、
前記遮断機構は、前記連結流路から前記射出チャンバーへの前記成形材料の移動を遮断する遮断部材、を含み、
前記連結流路は、前記遮断部材を受け入れる受入部と、前記溶融部の前記供給機構による前記成形材料の供給動作停止時に、前記成形材料と少なくとも前記受入部との接触を抑制する抑制構造と、を含
み、
前記連結流路は、前記溶融チャンバーと連結される第1連結部、および、前記射出チャンバーと連結される第2連結部を有し、
前記連結流路の前記抑制構造は、
前記第1連結部から重力作用方向における上流側に延出するように形成される第1延出部と、
前記第1連結部の重力作用方向における上流側端部から、重力作用方向とは異なる方向に延出するように形成される第2延出部と、
前記第2延出部のうち、前記溶融チャンバーの軸方向における前記第1延出部側とは反対側の端部から、重力作用方向における下流側に延出して前記第2連結部に達するように形成される第3延出部と、を含み、
前記受入部は、前記連結流路の延出方向において前記第1連結部と前記第2連結部との間に設けられ、
前記遮断部材は、
前記受入部に対して接近する方向に移動して前記連結流路を閉じることで、前記連結流路から前記射出チャンバーへの前記成形材料の移動を遮断し、
前記受入部に対して離れる方向に移動して前記連結流路を開くことで、前記連結流路から前記射出チャンバーへの前記成形材料の移動を許容する、
射出成形装置。
【請求項2】
前記連結流路の少なくとも前記受入部に、窒化珪素質材料が用いられる、請求項1に記載の射出成形装置。
【請求項3】
前記連結流路の前記受入部は、前記射出部外に配置される、請求項1に記載の射出成形装置。
【請求項4】
前記連結流路の前記受入部は、前記溶融部外に配置される、請求項3に記載の射出成形装置。
【請求項5】
前記遮断機構の前記遮断部材は、前記射出部外に配置される、請求項1に記載の射出成形装置。
【請求項6】
前記遮断機構の前記遮断部材は、前記溶融部外に配置される、請求項5に記載の射出成形装置。
【請求項7】
前記連結流路の前記抑制構造は、前記連結流路の一部が前記溶融チャンバーよりも重力作用方向上流側に配置される流路形状を含む、請求項1に記載の射出成形装置。
【請求項8】
前記供給機構は、気体圧力によって前記成形材料を前記溶融チャンバーから前記射出チャンバーに供給する、請求項1に記載の射出成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、成形材料を溶融して金型に射出する射出成形装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、溶融シリンダと射出シリンダとを連結する連結流路を備える射出成形装置が開示される。射出シリンダには、重力の作用によって、連結流路を介して溶融シリンダから溶湯が供給される。射出成形装置には、弁座、および、弁棒を含み、連結流路を閉じるための逆流防止構造が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の射出成形装置においては、連結路が常に溶湯によって満たされるため、逆流防止構造において溶損が発生する可能性がある。逆流防止構造において溶損が発生すると、射出シリンダから金型に溶湯が射出される際に、射出シリンダから溶融シリンダに溶湯が逆流し、射出圧力が低下する可能性がある。射出圧力が低下すると、成形品において巣が発生する可能性がある。
【0005】
本開示の目的の1つは、成形品における巣の発生を抑制できる射出成形装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1側面に従う射出成形装置は、成形材料を溶融するように構成される溶融部と、溶融された前記成形材料を金型に射出するように構成される射出部と、前記溶融部と前記射出部とを連結する連結流路と、前記連結流路から前記射出部への前記成形材料の移動を選択的に遮断する遮断機構と、を備え、前記溶融部は、前記連結流路を介して前記射出部に前記成形材料を供給する供給機構と、前記射出部に向かって移動する前記成形材料を収容する溶融チャンバーと、を含み、前記射出部は、前記連結流路を介して前記溶融チャンバーから供給される前記成形材料を収容する射出チャンバーと、前記射出チャンバーに収容される前記成形材料を前記金型に射出する射出機構と、を含み、前記遮断機構は、前記連結流路から前記射出チャンバーへの前記成形材料の移動を遮断する遮断部材、を含み、前記連結流路は、前記遮断部材を受け入れる受入部と、前記溶融部の前記供給機構による前記成形材料の供給動作停止時に、前記成形材料と少なくとも前記受入部との接触を抑制する抑制構造と、を含み、前記連結流路は、前記溶融チャンバーと連結される第1連結部、および、前記射出チャンバーと連結される第2連結部を有し、前記連結流路の前記抑制構造は、前記第1連結部から重力作用方向における上流側に延出するように形成される第1延出部と、前記第1連結部の重力作用方向における上流側端部から、重力作用方向とは異なる方向に延出するように形成される第2延出部と、前記第2延出部のうち、前記溶融チャンバーの軸方向における前記第1延出部側とは反対側の端部から、重力作用方向における下流側に延出して前記第2連結部に達するように形成される第3延出部と、を含み、前記受入部は、前記連結流路の延出方向において前記第1連結部と前記第2連結部との間に設けられ、前記遮断部材は、前記受入部に対して接近する方向に移動して前記連結流路を閉じることで、前記連結流路から前記射出チャンバーへの前記成形材料の移動を遮断し、前記受入部に対して離れる方向に移動して前記連結流路を開くことで、前記連結流路から前記射出チャンバーへの前記成形材料の移動を許容する。
第1側面の射出成形装置によれば、連結流路において、特に遮断部材との接触部の溶損を抑制することによって、溶湯を適切に射出でき、成形品における巣の発生を抑制できる。
【0007】
第1側面に従う第2側面の射出成形装置において、前記連結流路の少なくとも前記受入部に、窒化珪素質材料が用いられる。
第2側面の射出成形装置によれば、効果的に、連結流路における遮断部材との接触部の溶損を抑制できる。
【0008】
第1、または、第2側面に従う第3側面の射出成形装置において、前記連結流路の前記受入部は、前記射出部外に配置される。
第3側面の射出成形装置によれば、効果的に、連結流路における遮断部材との接触部の溶損を抑制できる。
【0009】
第3側面に従う第4側面の射出成形装置において、前記連結流路の前記受入部は、前記溶融部外に配置される
第4側面の射出成形装置によれば、効果的に、連結流路における遮断部材との接触部の溶損を抑制できる。
【0010】
第1から第4側面のいずれか1つに従う第5側面の射出成形装置において、前記遮断機構の前記遮断部材は、前記射出部外に配置される。
第5側面の射出成形装置によれば、効果的に、連結流路における遮断部材との接触部の溶損を抑制できる。
【0011】
第5側面に従う第6側面の射出成形装置において、前記遮断機構の前記遮断部材は、前記溶融部外に配置される。
第6側面の射出成形装置によれば、効果的に、連結流路における遮断部材との接触部の溶損を抑制できる。
【0012】
第1から第6側面のいずれか1つに従う第7側面の射出成形装置において、前記連結流路の前記抑制構造は、前記連結流路の一部が前記溶融チャンバーよりも重力作用方向上流側に配置される流路形状を含む。
第7側面の射出成形装置によれば、効果的に、連結流路における遮断部材との接触部の溶損を抑制できる。
【0015】
第1側面に従う第8側面の射出成形装置において、前記供給部は、気体圧力によって前記成形材料を前記溶融チャンバーから前記射出チャンバーに供給する。
第8側面の射出成形装置によれば、効率的に、成形材料を溶融部から射出部に供給できる。
【発明の効果】
【0017】
本開示の射出成形装置によれば、成形品における巣の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態に係る射出成形装置を示す断面図。
【
図3】射出チャンバーに溶湯が供給される状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る射出成形装置10が説明される。第1実施形態に係る射出成形装置10の説明には、
図1、および、
図2が用いられる。射出成形装置10は、成形材料1を溶融して金型3に射出するように構成される。成形材料1は、例えば、アルミニウム合金によって形成される。成形材料1は、アルミニウム合金とは異なる材料によって形成されてよい。
【0020】
図1に示されるように、射出成形装置10は、成形材料1を溶融するように構成される溶融部20と、溶融された成形材料1を金型3に射出するように構成される射出部30と、溶融部20と射出部30とを連結する連結流路60と、を備える。さらに、射出成形装置10は、連結流路60から射出部30への成形材料1の移動を選択的に遮断する遮断機構50と、を備える。本実施形態では、射出成形装置10は、溶融部20、射出部30、連結部材40、遮断機構50、および、連結流路60を含む。
【0021】
溶融部20は、連結流路60を介して射出部30に成形材料1を供給する供給機構25と、射出部30に向かって移動する成形材料1を収容する溶融チャンバー21と、を含む。本実施形態では、溶融部20は、溶融チャンバー21、材料押込装置22、貯留部23、加熱ヒータ24、および、供給機構25を含む。
【0022】
溶融チャンバー21は、内周面21a、外周面21b、および、底面21cを有する円筒形状に形成される。溶融チャンバー21の軸方向は、射出成形装置10に対して重力が作用する重力作用方向Gに対して垂直な方向を向く。底面21cは、溶融チャンバー21の軸方向を向くように形成される。
【0023】
溶融チャンバー21は、内周面21a、および、底面21cによって定義される内部空間21dを有する。内部空間21dは、溶融チャンバー21の軸方向において、底面21cとは反対側の端部に達する。内部空間21dの底面21cとは反対側の端部には、溶融チャンバー21の内周面21aに対応する形状の成形材料1が配置される。溶融チャンバー21の形状は、射出部30に向かって移動する成形材料1を収容できる形状であれば、本実施形態に限定されない。
【0024】
材料押込装置22は、溶融チャンバー21の底面21cに向かって成形材料1を押し込むように構成される。材料押込装置22によって押し込まれる成形材料1は、加熱ヒータ24によって加熱され、溶融チャンバー21の内部空間21dにおいて溶融される。本明細書においては、溶融される成形材料1が、溶湯2として記載される場合がある。
【0025】
貯留部23は、溶融チャンバー21の容量を超える溶湯2を貯留するように構成される。貯留部23は、本体部23a、蓋部23b、センサ23c、および、連結部材23dを含む。本体部23aは、溶融チャンバー21に対して、重力作用方向Gにおける上流側に間隔をあけて配置される。
【0026】
本体部23aは、底面、内側面、および、開口部を有する。本体部23aは、底面、および、内側面によって定義される内部空間23eを有する。蓋部23bは、本体部23aの開口部を閉塞するように構成される。センサ23cは、本体部23aに貯留される溶湯2の液面の高さに関する情報を検出するように構成される。連結部材23dは、本体部23a、および、溶融チャンバー21を連結する。連結部材23dは、内周面、および、外周面を有する。本体部23aに貯留される溶湯2は、内部空間23eにおける気体圧力によって、連結部材23dを介して溶融チャンバー21の内部空間21dに移動される。
【0027】
加熱ヒータ24は、溶融部20において、成形材料1を加熱するように構成される。加熱ヒータ24は、溶融部20に複数設けられる。加熱ヒータ24は、例えば、溶融チャンバー21の外周面21b、本体部23aの外周面、および、連結部材23dの外周面に設けられる。
【0028】
供給機構25は、溶融チャンバー21から射出チャンバー31に溶湯2を供給するように構成される。供給機構25は、貯留部23の蓋部23bを介して、本体部23aの内部空間23eに気体を供給するように構成される。本体部23aの内部空間23eに気体を供給することによって、供給機構25は、気体圧力によって成形材料1を溶融チャンバー21から射出チャンバー31に供給できる。
【0029】
供給機構25によって本体部23aに供給される気体は、例えば、不活性ガスを含む。本実施形態では、不活性ガスは、アルゴンガスを含む。不活性ガスは、溶湯2に対して反応しないガスであれば、アルゴンガスに限定されない。供給機構25は、気体圧力によって溶融チャンバー21から射出チャンバー31に溶湯2を供給できるのであれば、本体部23aとは異なる部材の内部空間に気体を供給してよい。
【0030】
射出部30は、溶融部20に対して重力作用方向Gにおける下流側に間隔をあけて配置される。射出部30は、連結流路60を介して溶融チャンバー21から供給される成形材料1を収容する射出チャンバー31と、射出チャンバー31に収容される成形材料1を金型3に射出する射出機構32と、を含む。本実施形態では、射出部30は、射出チャンバー31、射出機構32、ノズル33、および、加熱ヒータ34を含む。
【0031】
射出チャンバー31は、内周面31a、および、外周面31bを有する円筒形状に形成される。射出チャンバー31は、内周面31aによって定義される内部空間31cを有する。射出チャンバー31の軸方向は、溶融チャンバー21の軸方向と同一方向を向く。射出チャンバー31は、射出チャンバー31の軸方向において、金型3に対して間隔をあけて配置される。射出チャンバー31の形状は、溶湯2を収容できる形状であれば、本実施形態に限定されない。
【0032】
射出機構32は、プランジャ32a、および、駆動装置32bを含む。プランジャ32aは、射出チャンバー31の内周面31aと対応する形状に形成される。プランジャ32aは、射出チャンバー31の内周面31aのうち、金型3とは反対側の端部に挿通される。プランジャ32aは、射出チャンバー31の内周面31aに対して、射出チャンバー31の軸方向に摺動するように構成される。
【0033】
駆動装置32bは、プランジャ32aに連結され、プランジャ32aを射出チャンバー31の軸方向に往復移動させるように構成される。プランジャ32aの往復移動によって、射出チャンバー31の内部空間31cに貯留可能な溶湯2の量は、増減される。
【0034】
ノズル33は、金型3に向けて溶湯2を吐出するように構成される。ノズル33は、射出チャンバー31の軸方向において、金型3、および、射出チャンバー31の間に配置される。ノズル33は、射出チャンバー31の内部空間31cと連通される。
【0035】
加熱ヒータ34は、射出部30において、成形材料1を加熱するように構成される。加熱ヒータ34は、射出部30に複数設けられる。加熱ヒータ34は、例えば、射出チャンバー31の外周面31b、および、ノズル33の外周面に設けられる。
【0036】
図2に示されるように、連結部材40は、第1連結部材41、第2連結部材42、および、加熱ヒータ43を含む。第1連結部材41は、重力作用方向Gにおいて、溶融チャンバー21、および、射出チャンバー31の間に配置される。第1連結部材41は、例えば、内周面41a、および、外周面41bを有する筒状に形成される。第1連結部材41の軸方向は、重力作用方向Gを向く。
【0037】
第2連結部材42は、第1連結部材41に対して、重力作用方向Gにおける下流側に配置される。第2連結部材42は、射出チャンバー31に挿通される。第2連結部材42は、例えば、内周面42a、および、外周面42bを有する筒状に形成される。第2連結部材42の軸方向は、第1連結部材41の軸方向と同一方向を向く。
【0038】
連結部材40は、第1連結部材41の内周面41a、および、第2連結部材42の内周面42aによって定義される内部空間40aを有する。連結部材40の内部空間40aの重力作用方向Gにおける下流側端部は、射出チャンバー31の内部空間31cに達する。加熱ヒータ43は、第1連結部材41の外周面41bに複数設けられる。
【0039】
遮断機構50は、連結流路60から射出チャンバー31への成形材料1の移動を遮断する遮断部材51、を含む。本実施形態では、遮断機構50は、遮断部材51、および、駆動装置52を含む。遮断部材51は、射出部30外に配置される。遮断部材51は、溶融部20外に配置される。本実施形態では、遮断部材51は、重力作用方向Gにおいて、溶融チャンバー21、および、射出チャンバー31の間に配置される。
【0040】
遮断部材51は、例えば、軸状に形成される。遮断部材51の軸方向は、溶融チャンバー21の軸方向と同一方向を向く。遮断部材51は、外周面51a、および、軸方向面51bを含む。外周面51aは、第1連結部材41に対して、遮断部材51の軸方向に摺動するように構成される。軸方向面51bは、遮断部材51の軸方向を向くように形成される。
【0041】
駆動装置52は、連結流路60の受入部66に対して遮断部材51が接近する方向、および、受入部66に対して遮断部材51が離れる方向に、遮断部材51を移動させるように構成される。
【0042】
図1、および、
図2に示される連結流路60は、溶融チャンバー21の内部空間21d、および、射出チャンバー31の内部空間31cを連通するように構成される。連結流路60は、遮断部材51を受け入れる受入部66と、溶融部20の供給機構25による成形材料1の供給動作停止時に、成形材料1と少なくとも受入部66との接触を抑制する抑制構造63,64,65と、を含む。抑制構造63,64,65は、連結流路60の一部が溶融チャンバー21よりも重力作用方向上流側に配置される流路形状を含む。
【0043】
図2に示されるように、連結流路60は、溶融チャンバー21と連結される第1連結部61、および、射出チャンバー31と連結される第2連結部62を有し、第1連結部61から重力作用方向上流側に延びる。本実施形態では、連結流路60は、第1連結部61、第2連結部62、第1延出部63、第2延出部64、第3延出部65、および、受入部66を有する。
【0044】
第1連結部61は、溶融チャンバー21の内部空間21dにおいて開口するように形成される。第2連結部62は、射出チャンバー31の内部空間31cにおいて開口するように形成される。本実施形態では、第2連結部62は、第2連結部材42の内周面42aのうち、重力作用方向Gにおける下流側端部に形成される。
【0045】
第1延出部63は、溶融チャンバー21に形成される。第1延出部63は、第1連結部61から重力作用方向Gにおける上流側に延出するように形成される。第2延出部64は、溶融チャンバー21に形成される。第2延出部64は、第1連結部61の重力作用方向Gにおける上流側端部から、溶融チャンバー21の軸方向に延出するように形成される。
【0046】
第3延出部65は、第2延出部64のうち、溶融チャンバー21の軸方向における第1延出部63側とは反対側の端部から、重力作用方向Gにおける下流側に延出するように形成される。第3延出部65は、連結部材40の内部空間40aを含み、第2連結部62に達する。本実施形態では、第1延出部63、第2延出部64、および、第3延出部65によって、連結流路60は、第1連結部61から重力作用方向上流側に延びた後、重力作用方向下流側に延びて第2連結部62に達するように構成される。
【0047】
受入部66は、遮断部材51の形状に対応するように形成される。受入部66は、射出部30外に配置される。受入部66は、溶融部20外に配置される。本実施形態では、受入部66は、第1連結部材41に形成され、重力作用方向Gにおいて、溶融部20、および、射出部30の間に配置される。
【0048】
受入部66は、第1連結部材41の外周面41bから、遮断部材51の軸方向に延出する穴によって形成される。受入部66は、連結部材40の内部空間40aと連通される。遮断部材51は、受入部66に挿入される。受入部66は、内周面66a、および、底面66bを含む。
【0049】
内周面66aは、遮断部材51の外周面51aの形状に対応するように形成される。遮断部材51の外周面51aは、遮断部材51の軸方向において、内周面66aに対して摺動するように構成される。底面66bは、遮断部材51の軸方向面51bの形状に対応するように形成される。底面66bは、遮断部材51の軸方向において、軸方向面51bと対向するように配置される。
【0050】
駆動装置52によって遮断部材51が受入部66の底面66bに接近する方向に移動され、遮断部材51の外周面51aによって連結部材40の内部空間40aが閉塞されると、連結流路60が閉じられる。連結流路60が閉じられることによって、溶融チャンバー21の内部空間21d、および、射出チャンバー31の内部空間31cの間における溶湯2の移動が遮断される。
【0051】
駆動装置52によって遮断部材51が受入部66の底面66bに対して離れる方向に移動され、連結部材40の内部空間40aが開放されると、連結流路60が開かれる。連結流路60が開かれることによって、溶融チャンバー21の内部空間21d、および、射出チャンバー31の内部空間31cの間における溶湯2の移動が許容される。遮断機構50は、溶湯2の移動を選択的に遮断するように構成されるのであれば、本実施形態の構成に限定されない。
【0052】
連結流路60の少なくとも一部には、窒化珪素質材料が用いられる。本実施形態では、連結流路60の少なくとも受入部66に、窒化珪素質材料が用いられる。本実施形態では、受入部66の表面に窒化珪素質セラミックスがコーティングされることによって、窒化珪素質材料が用いられた受入部66が形成される。窒化珪素質材料が用いられた受入部66の構成は、本実施形態に限定されない。例えば、窒化珪素質セラミックスとは異なる窒化系素質材料によって受入部66が形成されてよい。受入部66に窒化珪素質材料が用いられることによって、受入部66の耐食性、および、耐摩耗性を向上できるため、受入部66における溶損の発生を抑制できる。
【0053】
連結流路60において窒化珪素質材料が用いられる部分は、本実施形態に限定されない。例えば、連結流路60のうち、受入部66よりも重力作用方向Gにおける上流側、および、受入部66よりも重力作用方向Gにおける下流側の流路に窒化珪素質材料が用いられてよい。窒化珪素質材料は、連結流路60、および、遮断部材51の少なくとも一方に用いられてよい。例えば、遮断部材51の先端部に、窒化珪素質材料が用いられてよい。
【0054】
図1から
図5が用いられ、射出成形装置10の動作が説明される。本明細書においては、連結流路60、射出チャンバー31、ノズル33、および、金型3に溶湯2が供給されていない状態が、初期状態として記載される。
図1、および、
図2には、初期状態の一例が示される。初期状態において、溶融チャンバー21は、溶湯2によって満たされる。初期状態において、連結流路60は、開かれる。
【0055】
射出成形装置10の動作が開始されると、
図3に示される供給機構25は、貯留部23の本体部23aの内部空間23eにアルゴンガスを供給する。アルゴンガスの供給によって、溶融チャンバー21の溶湯2は、連結流路60に向けて押し出される。溶湯2は、連結流路60を介して、射出チャンバー31の内部空間31cに移動される。
【0056】
射出チャンバー31に予め定める量の溶湯2が供給されると、
図4に示されるように、供給機構25は、アルゴンガスの供給を停止する。
図2に示されるように、本実施形態では、第1延出部63が、第1連結部61から重力作用方向Gにおける上流側に延びるように形成されるため、供給機構25がアルゴンガスの供給を停止すると、溶融チャンバー21から連結流路60に溶湯2が移動しない。第3延出部65が、第2延出部64から第2連結部62に向けて重力作用方向Gにおける下流側に延びるように形成されるため、供給機構25がアルゴンガスの供給を停止すると、第3延出部65を流通する溶湯2は、自重によって、射出チャンバー31の内部空間31cに移動される。
【0057】
供給機構25がアルゴンガスの供給を停止すると、溶融チャンバー21から連結流路60に溶湯2が移動せず、かつ、第3延出部65を流通する溶湯2が射出チャンバー31に移動されるため、
図4に示されるように、連結流路60には、溶湯2と接触しない非接触部分67が形成される。本実施形態では、非接触部分67は、少なくとも受入部66を含む。非接触部分67は、受入部66だけではなく、例えば、第1延出部63の少なくとも一部、第2延出部64の少なくとも一部、および、第3延出部65の少なくとも一部を含んでよい。
【0058】
図5に示されるように、供給機構25がアルゴンガスの供給を停止すると、駆動装置52によって遮断部材51が受入部66の底面66bに向けて移動され、連結流路60が閉じられる。連結流路60が閉じられると、射出機構32の駆動装置32bは、ノズル33に対してプランジャ32aが接近する方向に、プランジャ32aを移動させる。
【0059】
プランジャ32aの移動によって射出チャンバー31の内部空間31cの圧力が増加するため、連結流路60において遮断部材51まで溶湯2が逆流し、かつ、ノズル33から金型3に向けて溶湯2が射出され、金型3に溶湯2が充填される。本実施形態では、
図4において射出チャンバー31に充填される溶湯2の一部が、金型3に充填される。溶湯2の一部が金型3に充填されるため、
図5に示される金型3に溶湯2が充填された状態において、射出チャンバー31には、予め定める量の溶湯2が存在する。金型3に溶湯2が充填された状態において、射出チャンバー31に存在する溶湯2の量は、特に限定されない。
【0060】
金型3に充填される溶湯2は、金型3において冷却されることによって、予め定める形状の成形品に成形される。成形品が成形されると、金型3が開いて成形品が取り出される。遮断機構50の駆動装置52は、金型3が開いて成形品が取り出される間に、受入部66の底面66bから離れる方向に遮断部材51を移動させ、連結流路60を開く。
【0061】
金型3が開いて成形品が取り出されると、射出機構32の駆動装置32bは、ノズル33に対してプランジャ32aが離れる方向に、プランジャ32aを移動させる。供給機構25は、プランジャ32aが移動される際に稼働し、貯留部23の本体部23aの内部空間23eにアルゴンガスを供給する。供給機構25が稼働することによって、射出チャンバー31の内部空間31cには、溶湯2が充填される。
【0062】
射出チャンバー31の内部空間31cに溶湯2が充填されると、連結流路60が閉じられ、溶湯2が金型3に充填され、金型3から成形品が取り出され、射出チャンバー31の内部空間31cに溶湯2が充填される動作が繰り返される。繰り返しの動作において、非接触部分67は、射出チャンバー31の内部空間31cに溶湯2が充填されてから、溶湯2が金型3に充填されるまでの間に、連結流路60に形成される。
【0063】
本実施形態では、連結流路60は、成形材料1を溶融チャンバー21から射出チャンバー31に間欠的に供給することにより、連結流路60において、少なくとも部分的に連結流路60と成形材料1との非接触部分67を形成するように構成される。連結流路60に非接触部分67が形成されることによって、受入部66に溶湯2が接触しない時間を作ることができるため、受入部66における溶損の発生を抑制できる。受入部66における溶損の発生を抑制できることによって、金型3に溶湯2が射出される場合に、溶湯2が射出チャンバー31から溶融チャンバー21に逆流することを抑制でき、射出圧力の低下を抑制できる。射出圧力の低下を抑制できることによって、成形品における巣の発生を抑制できる。
【0064】
連結流路60に非接触部分67が形成されることによって、受入部66、および、溶湯2を反応し難くできる。例えば、受入部66が形成される第1連結部材41が鉄によって形成される場合に、鉄とアルミニウムが反応することによるFe-Al系金属間化合物の生成を防ぎ、Fe-Al系金属間化合物が溶湯2に含まれることを抑制できる。Fe-Al系金属間化合物が溶湯2に含まれることを抑制できることによって、清浄度を向上できる。本実施形態では、受入部66に窒化珪素質材料が用いられることによって、受入部66、および、溶湯2をより反応し難くできる。
【0065】
(変形例)
本実施形態に関する説明は、本発明が取り得る形態の例示であり、本発明を制限することを意図していない。本発明は、例えば以下に示す本実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わされた形態を取り得る。
【0066】
例えば、本実施形態における射出成形装置10の構成は一例であり、射出成形装置10は、本実施形態において示されない各種装置を含んでいてもよく、本実施形態において示す各種装置のうち一部を含まない構成としてもよい。例えば、射出成形装置10は、
図6に示されるように、本実施形態の遮断機構50とは、異なる位置に設けられる遮断機構70を含んでよい。
【0067】
図6に示される遮断機構70は、射出部30に設けられる。遮断機構70の遮断部材71の少なくとも一部は射出チャンバー31の内部空間31cに配置される。遮断部材71は、駆動装置72によって、重力作用方向Gにおける上流側、および、重力作用方向Gにおける下流側に往復移動するように形成される。
図6に示される変形例において、第2連結部材42の重力作用方向Gにおける下流側端部に、受入部66が形成される。遮断機構70は、射出部30ではなく、溶融部20に設けられてよい。
【0068】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」、または、「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」、または、「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0069】
1…成形材料、3…金型、10…射出成形装置、20…溶融部、21…溶融チャンバー、25…供給機構、30…射出部、31…射出チャンバー、32…射出機構、50…遮断機構、51…遮断部材、60…連結流路、61…第1連結部、62…第2連結部、63,64,65…抑制構造、66…受入部、67…非接触部