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  • -水素ボイラ及び管理装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-12-15
(45)【発行日】2025-12-23
(54)【発明の名称】水素ボイラ及び管理装置
(51)【国際特許分類】
   F22B 1/18 20060101AFI20251216BHJP
   F22D 3/00 20060101ALI20251216BHJP
   F22D 1/28 20060101ALI20251216BHJP
   F22B 33/00 20060101ALI20251216BHJP
   F22B 35/00 20060101ALI20251216BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20251216BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20251216BHJP
【FI】
F22B1/18 D
F22D3/00
F22D1/28 Z
F22B33/00
F22B35/00 B
C25B1/04
C25B9/00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024125893
(22)【出願日】2024-08-01
【審査請求日】2025-09-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 靖国
(72)【発明者】
【氏名】森松 隆史
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 裕哉
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2023/149006(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第112879887(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第116379410(CN,A)
【文献】特開2017-089916(JP,A)
【文献】特開2020-041173(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2024/0240339(US,A1)
【文献】国際公開第2021/031435(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B 1/18
F22D 3/00
F22B 33/00
F22B 35/00
F22D 11/00
F22D 1/28
C25B 1/04
C25B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を電気分解して水素ガスと酸素ガスとを生成する水電解装置から供給された水素ガスと酸素ガスとを燃焼室において燃焼させ水管を加熱して水蒸気を生成し、
前記水素ガスと前記酸素ガスとを燃焼させることで前記燃焼室において生成された水蒸気の凝縮水を前記水管への給水とする、
水素ボイラ。
【請求項2】
前記燃焼室と給水タンクとが排ガスラインを介して接続され、
前記燃焼室において生成された水蒸気は、前記排ガスラインを介して前記給水タンクに供給される、
請求項1に記載の水素ボイラ。
【請求項3】
前記給水タンクの内部において新水ラインからの新水と前記排ガスラインからの水蒸気とが熱交換される、
請求項に記載の水素ボイラ。
【請求項4】
請求項1に記載の水素ボイラと、水を電気分解して生成した水素ガスと酸素ガスと前記水素ボイラに供給する水電解装置と、化石燃料を燃焼して水蒸気を生成する化石燃料ボイラとを制御する管理装置であって、
デマンドレスポンスの要請を事前取得し、前記デマンドレスポンスの要請に応じると判定した場合、前記水素ボイラ及び前記化石燃料ボイラからの水蒸気が集合する蒸気集合ヘッダの圧力が目標圧力になるように、前記水素ボイラに優先して前記化石燃料ボイラを制御する、
管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、水素ボイラ及び管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水素をエネルギーとして利用することが様々な分野で検討されている。特許文献1には、水素製造システムに係る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2022-177773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ボイラに係る技術分野において、水素を燃料とする水素ボイラが発案されている。水素ボイラが水素と空気との混合ガスを燃焼させる場合、地球環境に影響を及ぼす物質を含む排ガスが排出される可能性がある。地球環境に影響を及ぼす物質として、地球温暖化に影響を及ぼす二酸化炭素(CO)及び大気汚染に影響を及ぼす窒素酸化物(NO)が例示される。
【0005】
本明細書で開示する技術は、地球環境に影響を及ぼす物質を含む排ガスの排出を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示する技術は、水素ボイラを提供する。水素ボイラは、水を電気分解して水素ガスと酸素ガスとを生成する水電解装置から供給された水素ガスと酸素ガスとを燃焼室において燃焼させ水管を加熱して水蒸気を生成する。
【発明の効果】
【0007】
本明細書で開示する技術によれば、地球環境に影響を及ぼす物質を含む排ガスの排出が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係るボイラシステムを模式的に示す図である。
図2図2は、第2実施形態に係るボイラシステムを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係るボイラシステム1Aを模式的に示す図である。図1に示すように、ボイラシステム1Aは、水電解装置2と、水素ボイラ3と、給水タンク4と、燃料ライン5と、排ガスライン6と、新水ライン7と、給水ライン8と、蒸気ライン9とを備える。
【0010】
水電解装置2は、水を電気分解して水素ガスと酸素ガスとを生成する。水電解装置2は、電力系統10からの電力に基づいて作動する。水電解装置2においては、[HO→H+1/2O]の化学反応により水素ガスと酸素ガスとが製造される。水電解装置2は、水を電気分解して生成した水素ガスと酸素ガスと水素ボイラ3に供給する。
【0011】
水素ボイラ3は、水電解装置2から供給された水素ガスと酸素ガスとを燃焼室において燃焼させ、水管を加熱して水蒸気を生成する。燃料ライン5は、水電解装置2と水素ボイラ3とを接続する。水電解装置2において生成された水素ガスと酸素ガスとは、燃料ライン5を介して水素ボイラ3に供給される。水素ボイラ3の燃焼室において水素ガスと酸素ガスとが燃焼される。
【0012】
給水タンク4は、水素ボイラ3の水管に供給される水を収容する。新水ライン7は、給水タンク4に接続される。新水が新水ライン7を介して給水タンク4に供給される。新水とは、ボイラシステム1Aの外部に設けられた不図示の給水源から供給される水をいう。
【0013】
排ガスライン6は、水素ボイラ3と給水タンク4とを接続する。水素ボイラ3と給水タンク4とは、排ガスライン6を介して接続される。水素ボイラ3の燃焼室(燃焼空間ともいう。)において水素ガスと酸素ガスとが燃焼することにより、水蒸気が生成される。水素ボイラ3の燃焼室においては、[H+1/2O→HO]の化学反応により水蒸気が生成される。排ガスとして水素ボイラ3の燃焼室から水蒸気が排ガスライン6に排出される。水素ボイラ3の燃焼室から排出された水蒸気は、排ガスライン6を介して給水タンク4に供給される。
【0014】
水蒸気の温度は、新水の温度よりも高い。給水タンク4の内部において、新水ライン7からの新水と排ガスライン6からの水蒸気とが熱交換される。給水タンク4は、新水ライン7からの新水と排ガスライン6からの水蒸気とを直接熱交換する熱交換器として機能する。新水は、水蒸気との接触により温度上昇する。水蒸気は、新水との接触により凝縮水に変換される。給水タンク4において、新水は、水蒸気により予熱(加温)される。給水タンク4の内部において、新水の温度よりも高く水蒸気の温度よりも低い給水(予熱給水)が生成される。
【0015】
給水ライン8は、給水タンク4と水素ボイラ3とを接続する。水素ボイラ3と給水タンク4とは、給水ライン8を介して接続される。給水タンク4に収容されている予熱給水は、給水ライン8を介して水素ボイラ3に供給される。水素ガスと酸素ガスとを燃焼させることで水素ボイラ3の燃焼室において生成された水蒸気の凝縮水が、水素ボイラ3の給水とされる。
【0016】
水素ボイラ3に供給された予熱給水は、水管を通して加熱されることにより、水素ボイラ3の水管内において水蒸気が生成される。水素ボイラ3の水管内において生成された水蒸気は、蒸気ライン9を介して蒸気使用機器に供給される。蒸気使用機器として、滅菌装置又は食品加工機が例示される。
【0017】
以上説明したように、水電解装置2において生成された水素ガス及び酸素ガスは、水素ボイラ3に供給される。水電解装置2において生成された水素ガスの全部及び酸素ガスの全部が水素ボイラ3の燃焼室に供給される。水素ボイラ3は、水電解装置2から供給された水素ガスと酸素ガスとを水素ボイラ3の燃焼室において燃焼させ水素ボイラ3の水管を加熱して水管内において水蒸気を生成する。また、水素ボイラ3に供給された水素ガスの全部及び酸素ガスの全部が燃焼室において水蒸気に変換される。水素ボイラ3の燃焼室からの排ガスは、実質的に水蒸気のみを含む。この排ガスには、二酸化炭素(CO)や窒素酸化物(NO)等の地球環境に影響を及ぼす物質が含まれない。水素ボイラ3の燃焼室から排ガスとして水蒸気のみが排出され、地球環境に影響を及ぼす物質を含む排ガスの排出が抑制される。
【0018】
水素ボイラ3の燃焼室から排出された水蒸気の全部が給水タンク4に供給され、給水タンク4において新水を予熱(加温)する。水素ガスと酸素ガスとを燃焼させることで水素ボイラ3の燃焼室において生成された水蒸気の凝縮水は、水素ボイラ3の水管への給水とされる。水素ボイラ3の燃焼室から排出された水蒸気の全部が給水タンク4に供給され、新水を予熱に利用されるので、水素ボイラ3の燃焼室からの排ガス(水蒸気)を大気に放出するための煙突が不要となる。また、水素ボイラ3の燃焼室からの排ガス(水蒸気)が給水タンク4において新水と直接接触することにより新水が予熱されるので、エコノマイザが不要となる。そのため、ボイラシステム1Aの製造コスト及びランニングコストが抑制される。
【0019】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。図2は、第2実施形態に係るボイラシステム1Bを模式的に示す図である。図2に示すように、ボイラシステム1Bは、水電解装置2と、貯蔵装置15と、水素ボイラ3と、化石燃料ボイラ11と、蒸気集合ヘッダ12と、管理装置14とを備える。
【0020】
貯蔵装置15は、水電解装置2において生成された水素ガスと酸素ガスとを貯蔵する。水電解装置2と貯蔵装置15とは、燃料ライン5Aを介して接続される。水電解装置2において生成された水素ガスと酸素ガスとは、燃料ライン5Aを介して貯蔵装置15に供給される。
【0021】
貯蔵装置15と水素ボイラ3とは、燃料ライン5Bを介して接続される。貯蔵装置15に貯蔵されている水素ガスと酸素ガスとは、燃料ライン5Bを介して水素ボイラ3の燃焼室に供給される。
【0022】
図2には図示していないが、上述の第1実施形態と同様、水素ボイラ3の燃焼室から排出された水蒸気は、給水タンク4に供給され、新水の予熱に利用される。給水タンク4において生成された予熱給水は、水素ボイラ3に供給される。水素ボイラ3に供給された予熱給水は、水管を介して水素ボイラ3の燃焼室で発生する熱により加熱される。予熱給水が加熱されることにより、水素ボイラ3の水管内において水蒸気が生成される。水素ボイラ3の水管内において生成された水蒸気は、蒸気ライン9を介して蒸気集合ヘッダ12に供給される。
【0023】
化石燃料ボイラ11は、化石燃料を燃焼して水蒸気を生成する。化石燃料ボイラ11は、化石燃料を化石燃料ボイラ11の燃焼室において燃焼させ、化石燃料ボイラ11の水管を加熱して水蒸気を生成する。化石燃料として、石油、石炭、及び液化天然ガス(LNG)が例示される。図2には図示していないが、上述の第1実施形態において説明した給水タンク4から化石燃料ボイラ11に予熱給水が供給される。化石燃料ボイラ11に供給された予熱給水は、水管を介して化石燃料ボイラ11の燃焼室の熱により加熱される。予熱給水が加熱されることにより、化石燃料ボイラ11の水管内において水蒸気が生成される。化石燃料ボイラ11の水管内において生成された蒸気は、蒸気ライン13を介して蒸気集合ヘッダ12に供給される。
【0024】
水素ボイラ3及び化石燃料ボイラ11のそれぞれから蒸気集合ヘッダ12に水蒸気が供給される。蒸気集合ヘッダ12に水素ボイラ3からの水蒸気及び化石燃料ボイラ11からの水蒸気が集合する。蒸気集合ヘッダ12から蒸気使用機器に蒸気が供給される。蒸気集合ヘッダ12に圧力センサ20が配置される。圧力センサ20は、蒸気集合ヘッダ12の圧力を検出する。圧力センサ20の検出データは、管理装置14に送信される。
【0025】
管理装置14は、水素ボイラ3と、水電解装置2と、化石燃料ボイラ11とを制御するコンピュータである。管理装置14は、デマンドレスポンスの要請を取得することができる。デマンドレスポンス(DR:Demand Response)とは、電力の需要家が保有するエネルギーリソースを制御することにより、電力需要のパターンを変化させることをいう。デマンドレスポンスには、電力需要の増加を要請する上げデマンドレスポンスと、電力需要の抑制を要請する下げデマンドレスポンスとがある。以下の説明において、デマンドレスポンスを適宜、DR、と称し、上げデマンドレスポンスを適宜、上げDR、と称し、下げデマンドレスポンスを適宜、下げDR、と称する。
【0026】
電力系統10は、発電所において発生した電力を電力の需要家に供給する。アグリゲータは、電力会社からの電力需給指令に基づいて、契約している需要家に、通信ネットワークを介してDRを要請する。需要家は、DRの要請に応じることにより、アグリゲータから報酬を受け取ることができる。実施形態において、需要家が保有するエネルギーリソースは、水電解装置2を含む。上げDRの要請に応じることにより、水電解装置2の電力使用量が増加する。下げDRの要請に応じることにより、水電解装置2の電力使用量が抑制される。
【0027】
管理装置14は、実際にDRの要請を取得する前に、将来におけるDRの要請を事前取得することができる。将来におけるDRの要請を事前取得することは、DRの要請を予測すること及びDRの要請の事前通知を取得することの少なくとも一方を含む。
【0028】
将来におけるDRの要請は、様々な予測要因に基づいて予測可能である。将来におけるDRの要請を予測するための予測要因として、現在の発電所の発電能力、現在の電力の需給バランス、季節、時間帯、及び過去におけるDRの要請の実績が例示される。また、アグリゲータが需要家にDRの要請を事前通知する場合がある。このように、管理装置14は、実際にDRの要請を取得する前に、将来におけるDRの要請を事前取得することができる。
【0029】
実施形態において、管理装置14は、DRの要請を事前取得した場合、DRの要請に応じることができるように、実際にDRの要請を取得する時点までの間に、貯蔵装置15の水素貯蔵率を予め調整する。管理装置14は、上げDRの要請を事前取得した場合、上げDRの要請に応じることができるように、実際に上げDRの要請を取得する時点までの間に、貯蔵装置15の水素貯蔵率を予め減らしておく。管理装置14は、下げDRの要請を事前取得した場合、下げDRの要請に応じることができるように、実際に下げDRの要請が有る時点までの間に、貯蔵装置15の水素貯蔵率を予め増やしておく。
【0030】
管理装置14は、水電解装置2の運転状態を取得する。管理装置14は、貯蔵装置15の水素貯蔵率を取得する。貯蔵装置15の圧力を検出する圧力センサ21が貯蔵装置15に設けられる。管理装置14は、貯蔵装置15に設けられている圧力センサ21の検出データに基づいて、貯蔵装置15の水素貯蔵率を取得することができる。管理装置14は、水電解装置2の運転状態と貯蔵装置15の水素貯蔵率とに基づいて、アグリゲータからのDRの要請に応じるか否かを判定する。管理装置14は、実際にDRの要請が取得される前に、将来におけるDRの要請を事前取得する。上述のように、DRの要請を事前取得することは、DRの要請を予測すること及びDRの要請の事前通知を取得することの少なくとも一方を含む。実施形態において、管理装置14は、上述の予測要因に基づいて、DRの要請を予測する。
【0031】
以下の説明においては、実際にDRの要請が取得される前に、管理装置14が将来におけるDRの要請を予測した時点を適宜、予測時点、と称する。また、管理装置14が実際にDRの要請を取得した時点を適宜、取得時点、と称する。
【0032】
上述のように、管理装置14は、水電解装置2と水素ボイラ3と化石燃料ボイラ11とを制御する。水電解装置2は、貯蔵装置15に貯蔵する水素ガス及び酸素ガスを生成する。水素ボイラ3は、貯蔵装置15の水素ガス及び酸素ガスを消費する。管理装置14は、将来におけるDRの要請を予測(事前取得)し、DRの要請に応じると判定した場合、実際にDRの要請が取得される取得時点までの間に、貯蔵装置15の水素貯蔵率がDRに基づいて決定される目標値になるように、水電解装置2及び水素ボイラ3の少なくとも一方を制御し、且つ、蒸気集合ヘッダ12の圧力が目標圧力になるように、水素ボイラ3及び化石燃料ボイラ11の少なくとも一方の燃焼量を制御する。
【0033】
すなわち、貯蔵装置15の水素貯蔵率を目標値にするために、水電解装置2及び水素ボイラ3の一方又は両方が制御される。蒸気集合ヘッダ12の圧力を目標圧力にするために、水素ボイラ3及び化石燃料ボイラ11の一方又は両方が制御される。
【0034】
蒸気集合ヘッダ12の目標圧力は、目標とする蒸気集合ヘッダ12の圧力値、及び上限圧力値と下限圧力値との間の圧力範囲の一方又は両方を含む概念である。
【0035】
燃焼量[kcal/h]とは、ボイラ(3,11)の燃焼室において単位時間当たりに発生する熱量をいう。ボイラの燃焼室に供給される燃料流量が多いほど燃焼量は高くなる。燃焼室に供給される燃料流量が少ないほど燃焼量は低くなる。燃焼量が高いほど、ボイラの水管における水蒸気の生成量は多くなり、蒸気集合ヘッダ12への蒸気供給量が多くなる。燃焼量が低いほど、ボイラの水管における水蒸気の生成量は少なくなり、蒸気集合ヘッダ12への蒸気供給量が少なくなる。
【0036】
蒸気集合ヘッダ12の圧力が目標圧力となるように、蒸気集合ヘッダ12の圧力とボイラの必要燃焼量との関係を示す相関データが予め求められている。ボイラの必要燃焼量とは、蒸気集合ヘッダ12を目標圧力にするためにボイラに要求される燃焼量をいう。ボイラの燃焼量が高い場合、ボイラから蒸気集合ヘッダ12への蒸気供給量が多くなる。ボイラの燃焼量が低い場合、ボイラから蒸気集合ヘッダ12への蒸気供給量が少なくなる。
【0037】
蒸気集合ヘッダ12に複数のボイラ(水素ボイラ3及び化石燃料ボイラ11)が接続されている場合、蒸気集合ヘッダ12の圧力は、一定の圧力値又は一定の圧力範囲になるように制御される。ボイラ(3,11)から蒸気集合ヘッダ12への蒸気供給量が変動したり、蒸気使用機器の蒸気使用量が変動したりした場合、蒸気集合ヘッダ12の実際の圧力と目標圧力との差が大きくなる可能性がある。蒸気集合ヘッダ12の実際の圧力と目標圧力との差が大きくなった場合、管理装置14は、蒸気集合ヘッダ12の実際の圧力(圧力センサ20の検出データ)と上述の相関データとに基づいて、蒸気集合ヘッダ12の実際の圧力と目標圧力との差が小さくなるように、ボイラ(3,11)の必要燃焼量を決定する。管理装置14は、決定した必要燃焼量に基づいて、ボイラ(3,11)の燃焼量を変更する制御を実施する。
【0038】
上げDRの要請が予測され、上げDRの要請に応じると判定した場合、管理装置14は、上げDRの要請の取得時点までの間に、貯蔵装置15の水素貯蔵率が第1目標値になるように、水電解装置2による水素ガスの生成量を少なくする制御、及び水素ボイラ3による水素ガスの消費量を多くする制御の一方又は両方を実施する。第1目標値は、例えば20%以上55%以下の任意の値でもよい。
【0039】
下げDRの要請が予測され、下げDRの要請に応じると判定した場合、管理装置14は、下げDRの要請の取得時点までの間に、貯蔵装置15の水素貯蔵率が第1目標値よりも高い第2目標値になるように、水電解装置2による水素の生成量を多くする制御、及び水素ボイラ3による水素の消費量を少なくする制御の一方又は両方を実施する。第2目標値は、例えば55%以上90%以下の任意の値でもよい。
【0040】
上げDRの要請が予測され、上げDRの要請に応じると判定した場合、貯蔵装置15の水素貯蔵率が第1目標値になるように水素ボイラ3による水素の消費量を多くすると、水素ボイラ3の燃焼量が高くなるため、水素ボイラ3から蒸気集合ヘッダ12への蒸気供給量が多くなる。下げDRの要請が予測され、下げDRの要請に応じると判定した場合、貯蔵装置15の水素貯蔵率が第1目標値よりも高い第2目標値になるように水素ボイラ3による水素の消費量を少なくすると、水素ボイラ3の燃焼量が低くなるため、水素ボイラ3から蒸気集合ヘッダ12への蒸気供給量が少なくなる。
【0041】
このように、貯蔵装置15の水素貯蔵率が目標値になるように水素ボイラ3の燃焼量が制御されると、蒸気集合ヘッダ12の圧力が変動することになる。そのため、実施形態においては、蒸気集合ヘッダ12の実際の圧力と目標圧力との差があれば、蒸気集合ヘッダ12の実際の圧力を目標圧力にするために、管理装置14は、専ら化石燃料ボイラ11の燃焼量を制御する。すなわち、管理装置14は、DRの要請が予測され、DRの要請に応じると判定した場合、蒸気集合ヘッダ12の圧力が目標圧力になるように、水素ボイラ3に優先して化石燃料ボイラ11を制御する。
【0042】
<上げDRの要請が予測される場合>
上げDRの要請が予測される場合、実際に上げDRの要請を取得する取得時点までに、貯蔵装置15の水素貯蔵率を減らす(第1目標値にする)必要がある。
【0043】
上げDRの要請が予測され、貯蔵装置15の水素貯蔵率が減るように(第1目標値になるように)、水電解装置2による水素の生成量及び水素ボイラ3の燃焼量の一方又は両方が設定された後、上げDRの要請の予測時点から取得時点までの間に蒸気集合ヘッダ12の圧力が目標圧力よりも低くなって、ボイラの必要燃焼量が増えた場合、管理装置14は、水素ボイラ3の燃焼量を変更せず、必要燃焼量が得られるように、化石燃料ボイラ11の燃焼量を高くする制御を行う。このように、水素ボイラ3の制御に優先して、化石燃料ボイラ11を制御するので、管理装置14は、水素貯蔵率を早く第1目標値にすることができるとともに、蒸気集合ヘッダ12の圧力を目標圧力に近付けることができる。なお、水素貯蔵率は、上げDRの要請の取得時点までに第1目標値になっていればよい。そのため、上げDRの要請の予測時点から取得時点までの期間が長く、化石燃料ボイラ11を最大燃焼量に制御してもボイラの必要燃焼量にならない場合、管理装置14は、その期間において、水素ボイラ3の燃焼量を高くしてもよい。
【0044】
上げDRの要請が予測され、貯蔵装置15の水素貯蔵率が減るように(第1目標値になるように)、水電解装置2による水素の生成量及び水素ボイラ3の燃焼量の一方又は両方が設定された後、上げDRの要請の予測時点から取得時点までの間に蒸気集合ヘッダ12の圧力が目標圧力よりも高くなってボイラの必要燃焼量が減った場合、管理装置14は、水素ボイラ3の燃焼量を変更せず、必要燃焼量が得られるように、化石燃料ボイラ11の燃焼量を低くする制御を行う。このように、水素ボイラ3の制御に優先して、化石燃料ボイラ11を制御するので、管理装置14は、水素貯蔵率を早く第1目標値にすることができるとともに、蒸気集合ヘッダ12の圧力を目標圧力に近付けることができる。なお、水素貯蔵率は、上げDRの要請の取得時点までに第1目標値になっていればよい。そのため、上げDRの要請の予測時点から取得時点までの期間が長く、化石燃料ボイラ11を停止してもボイラの必要燃焼量にならない場合、管理装置14は、その期間において、水素ボイラ3の燃焼量を低くしてもよい。
【0045】
<下げDRの要請が予測される場合>
下げDRの要請が予測される場合、実際に下げDRの要請を取得する取得時点までに、貯蔵装置15の水素貯蔵率を増やす(第2目標値にする)必要がある。
【0046】
下げDRの要請が予測され、貯蔵装置15の水素貯蔵率が増えるように(第2目標値になるように)、水電解装置2による水素の生成量及び水素ボイラ3の燃焼量の一方又は両方が設定された後、下げDRの要請の予測時点から取得時点までの間に蒸気集合ヘッダ12の圧力が目標圧力よりも低くなってボイラの必要燃焼量が増えた場合、管理装置14は、水素ボイラ3の燃焼量を変更せず、必要燃焼量が得られるように、化石燃料ボイラ11の燃焼量を高くする制御を行う。このように、水素ボイラ3の制御に優先して、化石燃料ボイラ11を制御するので、管理装置14は、水素貯蔵率を早く第2目標値にすることができるとともに、蒸気集合ヘッダ12の圧力を目標圧力に近付けることができる。なお、水素貯蔵率は、下げDRの要請の取得時点までに第2目標値になっていればよい。そのため、下げDRの要請の予測時点から取得時点までの期間が長く、化石燃料ボイラ11を最大燃焼量に制御してもボイラの必要燃焼量にならない場合、管理装置14は、その期間において、水素ボイラ3の燃焼量を高くしてもよい。
【0047】
下げDRの要請が予測され、貯蔵装置15の水素貯蔵率が増えるように(第2目標値になるように)、水電解装置2による水素の生成量及び水素ボイラ3の燃焼量の一方又は両方が設定された後、下げDRの要請の予測時点から取得時点までの間に蒸気集合ヘッダ12の圧力が目標圧力より高くなってボイラの必要燃焼量が減った場合、管理装置14は、水素ボイラ3の燃焼量を変更せず、必要燃焼量が得られるように、化石燃料ボイラ11の燃焼量を低くする制御を行う。このように、水素ボイラ3の制御に優先して、化石燃料ボイラ11を制御するので、管理装置14は、水素貯蔵率を早く第2目標値にすることができるとともに、蒸気集合ヘッダ12の圧力を目標圧力に近付けることができる。なお、水素貯蔵率は、下げDRの要請の取得時点までに第2目標値になっていればよい。そのため、下げDRの要請の予測時点から取得時点までの期間が長く、化石燃料ボイラ11を停止してもボイラの必要燃焼量にならない場合、管理装置14は、その期間において、水素ボイラ3の燃焼量を低くしてもよい。
【0048】
[国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本明細書で開示する技術は、SDGs(Sustainable Development Goals)の目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」の実現に貢献する事項を含む。
【符号の説明】
【0049】
1A…ボイラシステム、1B…ボイラシステム、2…水電解装置、3…水素ボイラ、4…給水タンク、5…燃料ライン、5A…燃料ライン、5B…燃料ライン、6…排ガスライン、7…新水ライン、8…給水ライン、9…蒸気ライン、10…電力系統、11…化石燃料ボイラ、12…蒸気集合ヘッダ、13…蒸気ライン、14…管理装置、15…貯蔵装置、20…圧力センサ、21…圧力センサ。
【要約】
【課題】地球環境に影響を及ぼす物質を含む排ガスの排出を抑制すること。
【解決手段】水素ボイラ3は、水を電気分解して水素ガスと酸素ガスとを生成する水電解装置2から供給された水素ガスと酸素ガスとを水素ボイラ3の燃焼室において燃焼させ水素ボイラ3の水管を加熱して水蒸気を生成する。
【選択図】図1
図1
図2