(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-12-15
(45)【発行日】2025-12-23
(54)【発明の名称】基板を処理する装置、及び基板を処理する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20251216BHJP
B65G 54/02 20060101ALI20251216BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B65G54/02
(21)【出願番号】P 2024205691
(22)【出願日】2024-11-26
(62)【分割の表示】P 2020141126の分割
【原出願日】2020-08-24
【審査請求日】2024-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002756
【氏名又は名称】弁理士法人弥生特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阪上 博充
【審査官】境 周一
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-504784(JP,A)
【文献】国際公開第2010/013333(WO,A1)
【文献】特開2002-184706(JP,A)
【文献】特開平08-100260(JP,A)
【文献】特開2020-094263(JP,A)
【文献】特開平06-014412(JP,A)
【文献】特開2017-085072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B65G 54/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する装置であって、
第1の磁石が設けられた床面部を有する基板搬送室と、
前記基板が載置されるステージと、前記ステージの下部側に配置された走行板と、前記第1の磁石との間に反発力が働く第2の磁石とを備え、前記反発力を用いた磁気浮上により、前記基板搬送室内で移動可能に構成された基板搬送モジュールと、
前記基板を処理するために前記基板搬送室の上面側に設けられ、前記基板を通過させることが可能な大きさの開口部が、前記基板搬送室内に向けて開口する複数の基板処理室と、を備え、
前記基板搬送モジュールによって搬送された前記基板を、前記基板処理室に収容した状態で当該基板の処理が行われ、
前記基板搬送室内は、前記基板を収容した状態の前記基板処理室の下方側を他の基板搬送モジュールが移動可能な高さに構成され
、
前記基板搬送モジュールは、前記基板搬送室に対し前記基板の搬入出を実施する外部の基板搬送機構との間で基板を受け渡すために、前記ステージにおける前記基板の載置面から突没自在に構成された複数の昇降ピンを備え、
前記昇降ピンは、前記第1の磁石との間に反発力が働く第3の磁石を備え、前記反発力を用いた磁気浮上により昇降自在に構成された、装置。
【請求項2】
前記基板搬送室内には、複数の前記基板処理室における前記基板の処理に用いられる複数の前記基板搬送モジュールが設けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記基板搬送室内には、前記走行板と前記第2の磁石とを備え前記基板搬送室内で移動可能に構成される一方、前記ステージを備えず、前記基板の処理を行っていない期間中の前記開口部を、前記走行板により閉じておくための閉止モジュールが設けられている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記基板搬送室には、前記閉止モジュールを使用していない期間中、前記閉止モジュールを退避させる退避室が接続されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第2の磁石は電磁石により構成され、前記基板搬送モジュールは、前記第2の磁石に電力を供給するための磁石電力供給部と、前記第1の磁石の影響を避けるため、前記ステージが前記基板処理室内に挿入されている期間中に前記第2の磁石への電力の供給を停止する給電制御部と、を備える、請求項1ないし4のいずれか一つに記載の装置。
【請求項6】
前記基板搬送室には、前記基板搬送モジュールの前記ステージをクリーニングするクリーニング室が接続されている、請求項1ないし5のいずれか一つに記載の装置。
【請求項7】
前記基板搬送室には、前記基板搬送モジュールおよび/または前記ステージを交換する交換室が接続されている、請求項1ないし5のいずれか一つに記載の装置。
【請求項8】
前記基板搬送室では、真空雰囲気下で前記基板の搬送が行われ、前記基板処理室では、真空雰囲気下で前記基板の処理が行われ、
前記基板搬送室には、常圧雰囲気と真空雰囲気とを切り替え自在に構成されたロードロック室が接続され、前記ロードロック室を介して前記基板の搬入出が行われる、請求項1ないし
7のいずれか一つに記載の装置。
【請求項9】
基板を処理する方法であって、
第1の磁石が設けられた床面部を有する基板搬送室内に収容され、前記基板が載置されるステージと、前記ステージの下部側に配置された走行板と、前記第1の磁石との間に反発力が働く第2の磁石とを備え、前記反発力を用いた磁気浮上により、前記基板搬送室内で移動可能に構成された基板搬送モジュールにより、前記ステージに載置された前記基板を搬送する工程と、
次いで、前記基板を処理するために前記基板搬送室の上面側に設けられ、前記基板搬送室内に向けて開口する開口部を備えた複数の基板処理室に対し、前記基板搬送モジュールによって搬送された基板を、前記基板処理室内に収容した状態とする工程と、
しかる後、前記基板処理室内で前記基板を処理する工程と、を含み、
前記基板搬送室内は、前記基板を収容した状態の前記基板処理室の下方側を他の基板搬送モジュールが移動可能な高さに構成され
、
前記基板搬送モジュールは、前記ステージにおける前記基板の載置面から突没自在に構成された複数の昇降ピンを備え、前記昇降ピンは、前記第1の磁石との間に反発力が働く第3の磁石を備え、前記反発力を用いた磁気浮上により昇降自在に構成され、前記基板搬送室に対し前記基板の搬入出を実施する外部の基板搬送機構との間で、前記昇降ピンを用いて基板を受け渡す工程を含む、方法。
【請求項10】
前記基板搬送室内には、複数の前記基板処理室における前記基板の処理に用いられる複数の前記基板搬送モジュールが設けられている、請求項
9載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板を処理する装置、及び基板を処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、基板である半導体ウエハ(以下、「ウエハ」ともいう)に対する処理を実施する装置においては、ウエハを収容したキャリアと、処理が実行されるウエハ処理室との間でウエハの搬送が行われる。ウエハの搬送にあたっては、種々の構成のウエハ搬送機構が利用される。
【0003】
例えば特許文献1には、磁極からの磁力の作用により、軌道及び隔壁に対して非接触状態を維持しつつ搬送路を浮上走行させて、半導体ウエハなどの被搬送物を搬送する搬送台を備えた磁気浮上搬送装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、配置される設備のフットプリントの増大を抑えつつ、磁気浮上を利用して基板を搬送する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る基板を処理する装置は、
第1の磁石が設けられた床面部を有する基板搬送室と、
前記基板が載置されるステージと、前記ステージの下部側に配置された走行板と、前記第1の磁石との間に反発力が働く第2の磁石とを備え、前記反発力を用いた磁気浮上により、前記基板搬送室内で移動可能に構成された基板搬送モジュールと、
前記基板を処理するために前記基板搬送室の上面側に設けられ、前記基板を通過させることが可能な大きさの開口部が、前記基板搬送室内に向けて開口する複数の基板処理室と、を備え、
前記基板搬送モジュールによって搬送された前記基板を、前記基板処理室に収容した状態で当該基板の処理が行われ、
前記基板搬送室内は、前記基板を収容した状態の前記基板処理室の下方側を他の基板搬送モジュールが移動可能な高さに構成され、
前記基板搬送モジュールは、前記基板搬送室に対し前記基板の搬入出を実施する外部の基板搬送機構との間で基板を受け渡すために、前記ステージにおける前記基板の載置面から突没自在に構成された複数の昇降ピンを備え、
前記昇降ピンは、前記第1の磁石との間に反発力が働く第3の磁石を備え、前記反発力を用いた磁気浮上により昇降自在に構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、配置される設備のフットプリントの増大を抑えつつ、磁気浮上を利用して基板を搬送できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示に係るウエハ処理装置の平面図である。
【
図4】真空搬送室の床面部、及びウエハ搬送モジュールの模式図である。
【
図6】前記ウエハ搬送モジュールの動作に係る第1の作用図である。
【
図7】前記ウエハ搬送モジュールの動作に係る第2の作用図である。
【
図8】他の実施形態のウエハ搬送モジュールの動作に係る第1の作用図である。
【
図9】他の実施形態のウエハ搬送モジュールの動作に係る第2の作用図である。
【
図10】一体型のウエハ搬送モジュールに係る説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態に係る基板を処理する装置である、ウエハ処理装置100の全体構成について、
図1~
図3を参照しながら説明する。
図1~
図3には、ウエハWを処理する基板処理室である複数のウエハ処理室110を備えたマルチチャンバタイプのウエハ処理装置100を示してある。
図1に示すように、ウエハ処理装置100は、ロードポート141と、大気搬送室140と、ロードロック室130と、真空搬送室120と、複数のウエハ処理室110とを備えている。以下の説明では、ロードポート141が設けられている向きを手前側とする。
【0010】
ウエハ処理装置100において、ロードポート141、大気搬送室140、ロードロック室130、真空搬送室120は、手前側からこの順に前後方向に配置されている。また複数のウエハ処理室110は、真空搬送室120の上面側に並べて設けられている。
【0011】
ロードポート141は、処理対象のウエハWを収容するキャリアCが載置される載置台として構成されている。キャリアCとしては、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)などを用いることができる。
大気搬送室140は、大気圧雰囲気となっており、例えば清浄空気のダウンフローが形成されている。また、大気搬送室140の内部には、ウエハWを搬送する不図示のウエハ搬送機構が設けられている。大気搬送室140内のウエハ搬送機構は、キャリアCとロードロック室130との間でウエハWの搬送を行う。
【0012】
ロードロック室130は、真空搬送室120と大気搬送室140との間に設けられている。ロードロック室130は、搬入されたウエハWが載置されるステージ131を有する。ロードロック室130は、大気圧雰囲気と真空雰囲気とを切り替えることができるように構成されている。ロードロック室130と大気搬送室140とは、ゲートバルブ133を介して接続されている。またロードロック室130と真空搬送室120とは、ゲートバルブ132を介して接続されている。さらにロードロック室130には、真空搬送室120との間でウエハWの搬送を行うウエハ搬送機構160が設けられているが、その構成については後段で説明する。
【0013】
真空搬送室120は、不図示の真空排気機構により、真空雰囲気に減圧されている。また、真空搬送室120の内部には、ステージ131と各ウエハ処理室110との間でウエハWを搬送するためのウエハ搬送モジュール20が設けられている。ウエハ搬送モジュール20の詳細な構成は後述する。真空搬送室120は本実施の形態の基板搬送室に相当している。
【0014】
図1~
図3に示すように、真空搬送室120は、前後方向に長い、平面視、矩形状の筐体により構成されている。本例のウエハ処理装置100において、真空搬送室120の上面側には、合計8基のウエハ処理室110が設けられている。これらのウエハ処理室110は、手前側から見て左右2つの列に分けて4基ずつ並べて配置されている。
【0015】
各ウエハ処理室110は、不図示の真空排気機構により、真空雰囲気に減圧され、その内部にてウエハWに対して所定の処理が実施される。ウエハWに対して実施する処理としては、エッチング処理、成膜処理、クリーニング処理、アッシング処理などを例示することができる。ウエハWに対して実施する処理が処理ガスを利用するものである場合、ウエハ処理室110には、シャワーヘッドなどにより構成される処理ガス供給部112が設けられる(
図2、
図3)。
【0016】
さらに、各ウエハ処理室110が真空搬送室120の上面と接続されている位置の下面側には、真空搬送室120の天井部を貫通して、真空搬送室120の内部空間に連通する円形の開口部111が形成されている。一方で、各ウエハ処理室110と真空搬送室120との間には、当該開口部111を開閉するためのゲートバルブなどは設けられていない。ウエハ処理室110は本実施の形態の基板処理室に相当している。
【0017】
以上に説明した概略構成を備えるウエハ処理装置100において、ウエハ搬送モジュール20は、磁気浮上により真空搬送室120内を移動可能に構成されている。また、ウエハ搬送モジュール20は、ウエハWの搬送を実行するばかりでなく、ウエハWの処理の期間中、ウエハ処理室110に接続され、ウエハ処理室110内に搬入されたウエハWを支持する機能を備えている。
以下、ウエハ搬送モジュール20を利用したウエハWの搬送、及び処理に関連する機器の構成を詳細に説明する。
【0018】
図2、
図3に示すように、ウエハ搬送モジュール20は、ウエハWが載置されるステージ21と、ステージ21の下部側に配置された走行板22とを備える。
例えばステージ21は、扁平な円板状に形成され、その上面は、搬送・処理する対象のウエハWを載置するための載置面となっている。ステージ21の直径は、ウエハ処理室110側に形成されている既述の開口部111よりも小さく、当該開口部111を介してウエハ処理室110の内部にステージ21を挿入することができる。
なお、開口部111の直径はウエハWの直径よりも大きければよく、ウエハWを載置したステージ21の一部が開口部111に挿入可能な寸法であればよい。
【0019】
図6などに示すように、ステージ21の内部には、処理を実施する際に、ステージ21に載置されたウエハWを加熱する加熱部31を設けてもよい。加熱部31に対しては、ウエハ搬送モジュール20内に設けられた加熱電力供給部であるバッテリー32より電力が供給されてステージ21を発熱させる。
【0020】
例えばバッテリー32は、ウエハ搬送モジュール20内に設けられた不図示の給電制御部により、加熱部31に対して供給される電力の増減や、供給・停止の制御が行われる。この給電制御部は、後述する制御部150との間で無線通信により給電制御に係る制御信号を取得する構成としてもよい。
なお、ウエハ処理室110側に加熱用のランプやLED(light emitting diode)を設けてウエハWの加熱を行う場合などにおいては、ステージ21内の加熱部31は設けなくてもよい。
【0021】
ステージ21の下部側には、例えばステージ21を下面側から支持するように配置された円板状の走行板22が設けられている。走行板22の直径は、ステージ21の直径より大きく構成され、ウエハ処理室110の開口部111を塞ぐことができる。
走行板22の上面には、ステージ21(ウエハ処理室110側の開口部111)を囲むようにO-リング23が設けられている。O-リング23は、走行板22によって既述の開口部111を塞いだ状態にて、ウエハ処理室110内を気密に保つ役割を果たす。
【0022】
さらに
図6などの拡大図に示すように、走行板22の上面には、位置合わせピン33設けてもよい。この場合、真空搬送室120の天井面側に設けられた位置合わせ孔34に対して位置合わせピン33が挿入されるように、ウエハ搬送モジュール20の位置合わせを行ってから、ステージ21をウエハ処理室110内に挿入する。この位置合わせにより、予め設定された正しい位置でウエハWの処理を行うことができる。
なお走行板22は、ステージ21を下面側から支持する板状の部材により構成する例に限定されるものではない。例えば、ステージ21の下部側の側周面からフランジ状に広がるように環状の部材を設けて走行板22を構成してもよい。
【0023】
図4に模式的に示すように、真空搬送室120の床面部10内には、複数の床面側コイル15が配列されている。床面側コイル15は、不図示の電力供給部から電力が供給されることにより磁場を発生する。この観点で床面側コイル15は、本実施の形態の第1の磁石に相当する。
【0024】
一方、ウエハ搬送モジュール20の内部にも、複数のモジュール側コイル35が配列されている。モジュール側コイル35に対しては、床面側コイル15によって生成される磁場との間に反発力が働く。この作用により床面部10に対してウエハ搬送モジュール20を磁気浮上させることができる。また、床面側コイル15によって生成する磁場の強さや位置を調節することにより、床面部10上でウエハ搬送モジュール20を所望の方向に移動させることや、浮上量の調節、ウエハ搬送モジュール20の向きの調節を行うことができる。なお、複数のモジュール側コイル35と共に、ウエハ搬送モジュール20の内部に永久磁石を補助的に設けた構成としてもよい。
【0025】
ウエハ搬送モジュール20に設けられたモジュール側コイル35は、本実施の形態の第2の磁石に相当する。モジュール側コイル35に対しては、ウエハ搬送モジュール20内に設けられた磁石電力供給部であるバッテリー32より電力が供給され、電磁石として機能する。図示の便宜上、
図6、
図7においては、既述の加熱部31に電力を供給するバッテリー32と共通のものを用いて、モジュール側コイル35に電力を供給する構成となっている。この例とは異なり、加熱電力供給部と磁石電力供給部とは、互いに異なるバッテリー32により構成してもよい。
【0026】
例えば各モジュール側コイル35は、ウエハ搬送モジュール20内に設けられた不図示の給電制御部により、モジュール側コイル35に対して供給される電力の増減や、供給・停止の制御が行われる。このとき給電制御部は、後述する制御部150との間で無線通信により給電制御に係る制御信号を取得する構成としてもよい。
【0027】
また真空搬送室120内には開口部111を介してステージ21をウエハ処理室110内に挿入する動作を実行するための昇降機構4が、各ウエハ処理室110に対応付けて複数、設けられている。
図2、
図3に示すように、昇降機構4は、ウエハ搬送モジュール20を底面側から支持する支持板41と、床面部10の下面側に配置され、不図示のレールに沿って昇降移動するスライダー44を備えた基体部45と、支持板41を支えると共に、真空搬送室120を貫通してスライダー44に接続された支柱部42とを備える。
【0028】
支持板41上にウエハ搬送モジュール20を移動させ、スライダー44を上昇移動させることにより、支持板41に支持されたウエハ搬送モジュール20がウエハ処理室110側へ向けて持ち上げられる。
また、床面部10の下面とスライダー44の上面との間には、床面部10を貫通する支柱部42を囲むように、伸縮自在なベローズ43が設けられている。このベローズ43により、外部雰囲気からの気体の進入が抑えられ、真空搬送室120の内部が気密に保たれる。
【0029】
ここで
図2、
図3に示すように、真空搬送室120の内部空間は、支持板41を上昇させ、ステージ21をウエハ処理室110内に挿入した状態にて、その下方側を、他のウエハ搬送モジュール20が移動できる高さ寸法に構成されている。
【0030】
また、
図1、
図2に示すように、例えば真空搬送室120の後端側には、ゲートバルブ124を介してクリーニング室123が接続されている。クリーニング室123は、ウエハ搬送モジュール20を収容可能な構成となっている。そして、ウエハWの処理に伴って反応生成物などがステージ21に付着したウエハ搬送モジュール20をクリーニング室123内に移動させ、ステージ21に向けてクリーニングガスが供給される。この結果、反応生成物を除去するクリーニングが実施される。なお、クリーニング室123の代わりに、ウエハ搬送モジュール20またはステージ21のいずれか、または、両方を複数ストックしたウエハ搬送モジュール交換室、または、ステージ交換室を真空搬送室120に接続してもよい。
【0031】
さらに真空搬送室120の内部には、ウエハWの処理を行っていない期間中のウエハ処理室110の開口部111を閉じておくための閉止モジュール50が設けられている。閉止モジュール50は、ステージ21を備えていない点を除いて、既述のウエハ搬送モジュール20と同様に構成されている。即ち、閉止モジュール50は、走行板22内にモジュール側コイル35を備え、床面部10の床面側コイル15との間に働く反発力を利用して磁気浮上し、真空搬送室120内で移動可能に構成される。
【0032】
閉止モジュール50は、既述の昇降機構4を利用して上昇移動し、ウエハ処理室110の開口部111が形成されている真空搬送室120の天井面に走行板22が当接することにより、当該開口部111を閉止する。走行板22の上面には、既述のO-リング23や位置合わせピン33を設けてもよい。
【0033】
真空搬送室120内に配置される閉止モジュール50の数は、真空搬送室120の上面側に設けられているウエハ処理室110の数よりも少なくてもよい。ウエハWの処理スケジュール上、ウエハWの処理を行っていないウエハ処理室110が発生する場合に、当該ウエハ処理室110の開口部111を閉じておくのに十分な数の閉止モジュール50が配置されていればよい。
【0034】
また
図1に示すように、例えば真空搬送室120の後端側には、閉止モジュール50を使用していない期間中、当該閉止モジュール50を退避させるための退避室121を接続してもよい。退避室121は、退避してきた閉止モジュール50を収容する空間を備えていれば、その構成に特段の限定はない。また、閉止モジュール50と真空搬送室120との内部空間は、常時、連通した状態となっていてもよく、ゲートバルブなどを用いて双方の内部空間を切り離し可能とすることは必須の要件ではない。
【0035】
次いで
図2、
図5を参照しながら、ロードロック室130との間でウエハWの受け渡しを行う機構について説明する。例えばロードロック室130の天井部には、ロードロック室130内のステージ131と、ウエハ搬送モジュール20側のステージ21との間でウエハWの搬送を行うウエハ搬送機構160が設けられている。
【0036】
図2に示すように、本例のウエハ搬送機構160は、中心軸周りに旋回自在、昇降自在及び伸縮自在に構成されたアーム部162と、アーム部162の先端側に設けられたエンドエフェクタ163とを備える。エンドエフェクタ163の下面には、非接触の状態でウエハWを持ち上げて搬送することが可能なベルヌーイチャック161が設けられている。
またはエンドエフェクタ163には、ベルヌーイチャック161に替えて不図示のエッジクランプを設け、ウエハWの側面にエッジクランプを当接させてウエハWを挟んで保持した状態で搬送を行ってもよい。ウエハ搬送機構160は、真空搬送室120の外部に設けられた基板搬送機構に相当する。
【0037】
一方、
図5に示すように、ウエハ搬送モジュール20のステージ21には、ウエハ搬送機構160との間でウエハWを受け渡すため、載置面であるステージ21の上面から突没自在に構成された複数の昇降ピン241が設けられている。ステージ21内には、前記突没動作を実行するため、昇降ピン241を昇降させる昇降機構が設けられている。
【0038】
昇降ピン241の昇降機構は、床面部10に設けられている既述の床面側コイル15によって生成される磁場との間に反発力が働く第3の磁石である昇降用コイル242を備える。そして、前記反発力を用いた磁気浮上の浮上量を変化させることにより、昇降ピン241を昇降移動させる。この動作により、ステージ21から昇降ピン241が突没し、ウエハ搬送機構160との間でのウエハWの受け渡しが行われる。ステージ21には、昇降用コイル242に電力を供給する不図示のバッテリーや、当該電力の給電制御を行う給電制御部が設けられていることは、既述のモジュール側コイル35の場合と同様である。
なお、昇降ピン241の昇降動作を実現する手法は、磁気浮上を利用する場合に限定されるものではない。例えばステージ21内に機械式の昇降機構を設け、モーターなどを利用して昇降ピン241を昇降させてもよい。
【0039】
上述の構成を備えるウエハ処理装置100は、各床面側コイル15や昇降機構4、ウエハ処理室110などを制御する制御部150を備える。制御部150は、CPUと記憶部とを備えたコンピュータにより構成され、床面部10の各部等を制御するものである。記憶部にはウエハ搬送モジュール20やウエハ処理室110の動作などを制御するためのステップ(命令)群が組まれたプログラムが記録されている。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリカードなどの記憶媒体に格納され、そこからコンピュータにインストールされる。
【0040】
次に、ウエハ処理装置100の動作の一例について説明する。初めに、ロードポート141に対し、処理対象のウエハWを収容したキャリアCが載置されると、大気搬送室140内の不図示のウエハ搬送機構によって、キャリアCからウエハWが取り出される。次いで、ゲートバルブ133が開かれると、ウエハ搬送機構はロードロック室130に進入して、ステージ131にウエハWを載置する。しかる後、ウエハ搬送機構がロードロック室130から退避すると、ゲートバルブ133が閉じられ、ロードロック室130内が大気圧雰囲気から真空雰囲気へと切り替えられる。
【0041】
ロードロック室130内が、真空雰囲気となったら、ゲートバルブ132が開かれ、ウエハ搬送機構160によってウエハWが真空搬送室120内へと搬送される。真空搬送室120内では、ロードロック室130の接続位置の近傍にて、1台のウエハ搬送モジュール20が待機している。そして、床面部10に設けられている床面側コイル15によって生成した磁場を利用し、磁気浮上により昇降ピン241を上昇させる。なおこのとき、昇降ピン241の昇降動作を実行するために生成されている磁場の影響を受けないように、モジュール側コイル35はオフとなっている。従って、ウエハ搬送モジュール20は真空搬送室120の床面部10の上面に載置された状態となっている。
【0042】
上述の動作により、ウエハWの載置面よりも上方側に昇降ピン241の先端部が突出し、ウエハ搬送機構160から昇降ピン241にウエハWが受け渡される。しかる後、昇降ピン241を降下させ、昇降ピン241からステージ21にウエハWを受け渡すことにより、所定の載置面にウエハWが載置される。そして、ウエハ搬送機構160が真空搬送室120から退避すると、ゲートバルブ132が閉じられる。
なお、ウエハWの上面にベルヌーイチャック161を近接させてウエハWを持ち上げる手法を採用する場合、昇降ピン241を介してウエハWの受け渡しを行うことは必須の要件ではない。ウエハ搬送機構160とステージ21の載置面との間で、直接、ウエハWの受け渡しを行ってもよい。
【0043】
ウエハ搬送モジュール20に対してウエハWが受け渡されたら、ウエハ搬送モジュール20に設けられているモジュール側コイル35をオンの状態とし、磁気浮上により、当該ウエハWの処理が行われるウエハ処理室110へ向けてウエハ搬送モジュール20を移動させる。
ウエハWの搬送先であるウエハ処理室110において、他のウエハWの処理に引き続いて当該ウエハWの処理を行う場合には、昇降機構4の支持板41を降下させ、先行するウエハWの処理に用いられていた他のウエハ搬送モジュール20をウエハ処理室110から取り外す。他のウエハ搬送モジュール20は、処理が完了したウエハWを、ロードロック室130との受け渡し位置まで搬送していく。
【0044】
またウエハWの搬送先のウエハ処理室110において、先行するウエハWの処理をしていない待機状態となっている場合には、支持板41を降下させ、閉止モジュール50をウエハ処理室110から取り外す。閉止モジュール50は、退避室121まで移動していく。
これらの動作により、開口部111を塞いでいたウエハ搬送モジュール20や閉止モジュール50が取り外され、ウエハ処理室110に対して新たなウエハWを搬入することが可能な状態となる。
【0045】
一方、新たなウエハWを受け取ったウエハ搬送モジュール20は、ロードロック室130よりウエハWを受け取った位置から、当該ウエハWの処理が行われるウエハ処理室110の下方側まで移動する。しかる後、支持板41上の所定の位置で停止し、向きの調節をしてからモジュール側コイル35をオフにする。この結果、磁気浮上の状態が解除され、支持板41にウエハ搬送モジュール20が載置される。
【0046】
しかる後、
図6に示すように支持板41を上昇させ、ステージ21をウエハ処理室110内に挿入することにより、ウエハ処理室110内にウエハWが搬入される。この動作に伴い、ウエハ処理室110の開口部111が走行板22によって塞がれ、ウエハ処理室110内に気密な処理空間が形成される(
図7)。
【0047】
ウエハWの搬入が完了したら、ステージ21によるウエハWの加熱を行い、予め設定された温度に昇温すると共に、処理ガス供給部112からウエハ処理室110内に処理ガスを供給する。こうして、ウエハWに対する所望の処理が実行される。
【0048】
予め設定した期間、ウエハWの処理を実行したら、ウエハWの加熱を停止すると共に、処理ガスの供給を停止する。また、必要に応じてウエハ処理室110内に冷却用ガスを供給し、ウエハWの冷却を行ってもよい。しかる後、支持板41を降下させ、ウエハ処理室110からウエハWを搬出する。
【0049】
ウエハWが搬出された後のウエハ処理室110には、他のウエハ搬送モジュール20を用いて次のウエハWが搬入されて処理を実行してもよい。または、閉止モジュール50を用いて開口部111が閉止され待機状態となってもよい。待機状態中は、ウエハ処理室110内のクリーニングを行ってもよい。
【0050】
一方、ウエハ搬送モジュール20は、支持板41が床面部10側まで降下したら、モジュール側コイル35をオンの状態とし、ロードロック室130へのウエハWの受け渡し位置まで磁気浮上により移動する。しかる後、処理後のウエハWは、搬入時とは反対の順序で、ロードロック室130、大気搬送室140に受け渡され、処理後のウエハWを収容するためのキャリアCへ搬入される。
【0051】
処理後のウエハWをロードロック室130へ受け渡した後、ウエハ搬送モジュール20は、毎回のウエハWの処理の後、または所定回数のウエハWの処理が実施された後、クリーニング室123へ移動する。クリーニング室123内では、クリーニングが実施され、反応生成物などが除去されてステージ21が清浄な状態となる。ウエハ搬送モジュール20は、真空搬送室120に移動して、再びウエハWの搬送を実行する。
【0052】
本実施の形態に係るウエハ処理装置100によれば、真空搬送室120の上面側にウエハ処理室110が設けられている。このため、例えば真空搬送室120の側面にウエハ処理室110を接続する場合と比較して、ウエハ処理装置100のフットプリントの増大を抑えることができる。
また、磁気浮上を利用してウエハWの搬送を行っている。このため、真空搬送室120内に伸縮アーム型のウエハ搬送機構を設け、ウエハWの搬入出を行う場合と比較して、真空搬送室120自体のフットプリントの増大や高背化を抑制することもできる。
【0053】
さらに本実施の形態のステージ21は、磁気浮上により移動自在なウエハ搬送モジュール20に設けられている。このため、ウエハ処理室110内にステージ21が固定して設けられている場合と比較して、クリーニング室123を用い、独自にステージ21のクリーニングを実施することができる。この結果、ウエハWと直接、接触するステージ21を常時、清浄な状態に保ち、パーティクルの発生などによるウエハWの汚染の発生を抑制することができる。
【0054】
ここで、ステージ21をウエハ処理室110内に挿入する際のウエハ搬送モジュール20の上昇移動は、既述のように昇降機構4を用いる例に限定されない。例えば
図8に示すように、磁気浮上の浮上量を増大させることにより、ウエハ搬送モジュール20を上昇移動させてもよい。
【0055】
このとき既述のように、ステージ21をウエハ処理室110に挿入した後は、床面側コイル15の磁場の影響を避けるため、ウエハ搬送モジュール20のモジュール側コイル35はオフの状態となる。一方、磁気浮上によりウエハ搬送モジュール20を上昇移動させている場合に、モジュール側コイル35をオフにすると、ウエハ搬送モジュール20は落下してしまう。そこで、
図8、
図9に示すように、真空搬送室120の天井面に支持機構36を設け、ウエハ搬送モジュール20を支持してもよい。
【0056】
支持機構36には、ステージ21がウエハ処理室110内に挿入された状態で走行板22を下面側から支持した支持位置(
図9に示す位置)と、この支持位置から退避した退避位置と(
図8に示す位置)との間で移動自在な支持部材361が設けられている。
図9に示す例では、支持部材361は、走行板22の下面に形成された切り欠き部362に進入して、走行板22を下面側から支持している。なお、支持機構36の機能をウエハ搬送モジュール20側に設けた構成としてもよい。
【0057】
また、
図2、
図3等に示した上述の実施の形態では、ウエハ搬送モジュール20は、円板状のステージ21の下部側に、ステージ21よりも直径の大きな円板状の走行板22を配置した構成となっている。
これに対して例えばステージ21と走行板22とを一体物として形成することでウエハ搬送モジュール20aを構成してもよい。このとき「一体物として形成する」とは、ステージ21と走行板22とを区別せずに、ウエハ搬送モジュール20a全体を構成する場合を例示できる。
【0058】
この場合、
図10に示すように、ウエハ搬送モジュール20aの上面にO-リング23を設ける一方、ウエハ処理室110側の開口部111下面に、ウエハ搬送モジュール20aの上部側を挿入可能な凹部を設けてもよい。ウエハ処理室110の一部を構成する凹部内にウエハ搬送モジュール20aの上部側を挿入し、ウエハ搬送モジュール20aの上面に設けられたO-リング23を凹部の上面に当接させることにより、ウエハ処理室110内を気密に保つことができる。
【0059】
また、真空搬送室120の上面側へのウエハ処理室110の配置数、配置レイアウトは、
図1~
図3に示した例に限定されるものではない。必要に応じてウエハ処理室110の配置数を増減してもよい。例えば真空搬送室120の上面にウエハ処理室110を1つだけ設ける場合も、本開示の技術に含まれる。
【0060】
また、真空搬送室120の配置についても、
図1に示すように平面形状が矩形状の真空搬送室120の長辺を前後方向に向けて配置する場合に限定されない。例えばロードポート141側から見て、前記長辺を左右方向に向けて真空搬送室120を配置してもよい。
さらに真空搬送室120の平面形状についても、ウエハ処理装置100が配置されるエリアの形状に応じて種々の形状のものを採用してよい。例えば正方形や五角形以上の多角形、円形や楕円形であってもよい。
【0061】
この他、ウエハ搬送モジュール20を用いてウエハ処理室110に対するウエハWの搬送が実施される基板搬送室は、内部が真空雰囲気である真空搬送室120によって構成する場合に限定されない。内部が大気圧雰囲気である基板搬送室の上面側にウエハ処理室110が設けられている構成のウエハ処理装置に対しても、本開示のウエハ搬送モジュール20を適用することができる。この場合には、ウエハ処理装置に対してロードロック室130を設けることは必須の要件ではなく、キャリアCから大気搬送室140に取り出したウエハWを、直接、基板搬送室に搬入してもよい。
【0062】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0063】
C キャリア
W ウエハ
10 床面部
15 床面側コイル
100 ウエハ処理装置
110 ウエハ処理室
111 開口部
120 真空搬送室
20 ウエハ搬送モジュール
21 ステージ
22 走行板