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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-12-15
(45)【発行日】2025-12-23
(54)【発明の名称】自動車
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20251216BHJP
   B60K 35/22 20240101ALI20251216BHJP
【FI】
B60R11/02 C
B60K35/22
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024548822
(86)(22)【出願日】2022-09-26
(86)【国際出願番号】 JP2022035683
(87)【国際公開番号】W WO2024069692
(87)【国際公開日】2024-04-04
【審査請求日】2025-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米田 泰也
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-119657(JP,A)
【文献】特開2012-239547(JP,A)
【文献】国際公開第2021/166706(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/22,13/245,13/803
A63H 17/00,30/00
B60J 1/02
B60K 35/00
B60R 1/04,11/00
B62D 5/04, 6/00
G09B 9/042
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
娯楽用ソフトウェアを実行するか、ラジオコントロール機器と通信するか、又は映像コンテンツを再生する娯楽実行装置と、
前記娯楽実行装置から出力される画像を、ウィンドシールド又はフロントウィンドシールドとステアリングホイールとの間において昇降可能とされたフレキシブルディスプレイに表示する表示装置と、
前記娯楽実行装置を作動する娯楽モードと、自動車を運転する運転モードとが選択可能とされ、それぞれのモードに応じた制御を実行するモード選択制御装置と、を備え、
前記モード選択制御装置は、
前記運転モードが選択された場合には、前記娯楽実行装置から出力される画像を、前記ウィンドシールドのうち法規上表示可能な第1領域に表示するか又は下降した状態の前記フレキシブルディスプレイに表示し、
前記娯楽モードが選択された場合には、前記娯楽実行装置から出力される画像を、前記ウィンドシールドのうち前記第1領域より広い第2領域に表示するか又は上昇した状態の前記フレキシブルディスプレイに表示するように、前記表示装置を制御する自動車。
【請求項2】
前記ウィンドシールドは、前記フロントウィンドシールドを含む請求項1に記載の自動車。
【請求項3】
ステアリングホイールが転舵輪から機械的に切り離され、前記ステアリングホイールの操作を電気信号として前記転舵輪へ伝える操舵装置をさらに備え、
前記モード選択制御装置は、前記娯楽モードが選択された場合には、前記ステアリングホイールが操作されても前記転舵輪が転舵しないように前記操舵装置を制御する請求項1又は2に記載の自動車。
【請求項4】
前記モード選択制御装置は、自動車を起動するためのメインスイッチがONしたときに、前記娯楽モードと前記運転モードとをドライバーに選択させる選択スイッチを含む請求項1又は2に記載の自動車。
【請求項5】
前記モード選択制御装置は、ドライバーの要求に応じて自動車を製造する際に車載される請求項1又は2に記載の自動車。
【請求項6】
前記ウィンドシールドは、サイドウィンドシールド、リヤウィンドシールド、ルーフウィンドシールドを含む請求項1又は2に記載の自動車。
【請求項7】
前記表示装置は、前記娯楽実行装置から出力される画像を室内ミラーにも表示する請求項1又は2に記載の自動車。
【請求項8】
前記ウィンドシールドは調光ガラスを含み、
前記表示装置は、遮光モードにした状態の前記調光ガラスに、前記娯楽実行装置から出力される画像を表示する請求項1又は2に記載の自動車。
【請求項9】
自車両の周囲を監視する監視装置をさらに備え、
前記モード選択制御装置は、前記娯楽モードが選択された場合に、前記監視装置により自車両の周囲に異常が検出されたときは、前記娯楽実行装置から出力される画像の表示を中止又は中断するように、前記表示装置を制御する請求項1又は2に記載の自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に関し、特に車室内で娯楽に興ずることができる自動車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車室内に設けられたディスプレイ、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダルなどの各種操作機器を操作することで、車室内においてレーシングゲームに興ずることができる自動車が知られている(非特許文献1の記事参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】https://response.jp/article/2019/06/23/323716.html オートモーティブメディア・レスポンスのホームページ,2019年6月23日掲載の記事“テスラの車載ディスプレイでゲーム、最新作は「ビーチバギーレーシング2」…ハンドルとペダルで操作”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の自動車では、ゲームのコンテンツを表示するディスプレイがセンターコンソールに設けられ、ドライバーの目線が下方及び車両の中央方向に向かうため、首が疲れるという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、車室内において楽な姿勢でゲームなどの娯楽に興ずることができる自動車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、娯楽実行装置を搭載した自動車において、娯楽実行装置から出力される画像を、ウィンドシールド又はフロントウィンドシールドとステアリングホイールとの間において昇降可能とされたフレキシブルディスプレイに表示することによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車室内において楽な姿勢でゲームなどの娯楽に興ずることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る自動車の一実施の形態を示すブロック図である。
図2図1の操舵装置の一例を示す概略図である。
図3】娯楽モードと運転モードとをドライバーに選択させるための表示の一例を示す正面図である。
図4図1の娯楽実行装置を用いて自動車のレーシングゲームを行う状況を示す概略図である。
図5図1の娯楽実行装置を用いてラジコン自動車おもちゃを操縦する状況を示す概略図である。
図6図1の表示装置の一例を示す図である。
図7A図1の表示装置の他例を示す図(上昇状態・娯楽モード)である。
図7B図1の表示装置の他例を示す図(下降状態・運転モード)である。
図8A図1の表示装置のさらなる他例を示す図(運転モード)である。
図8B図1の表示装置のさらなる他例を示す図(娯楽モード)である。
図9図1の監視装置の一例を示す平面図である。
図10図1の自動車が実行する情報処理フローを示すフローチャートである。
図11A図10の運転モード(S6)のサブルーチンを示すフローチャート(その1)である。
図11B図10の運転モード(S6)のサブルーチンを示すフローチャート(その2)である。
図12図10の娯楽モード(S7)のサブルーチンを示すフローチャートである。
図13図12の監視モード(S74)のサブルーチンを示すフローチャートである。
図14A図12のゲームモード(S76)のサブルーチンを示すフローチャート(その1)である。
図14B図12のゲームモード(S76)のサブルーチンを示すフローチャート(その2)である。
図15A図12のラジコンモード(S77)のサブルーチンを示すフローチャート(その1)である。
図15B図12のラジコンモード(S77)のサブルーチンを示すフローチャート(その2)である。
図16図12の映像モード(S78)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
《実施形態に係る自動車Vの主たる構成》
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態例を説明する。図1は、本発明に係る自動車の一実施の形態を示すブロック図である。本実施形態の自動車Vは、娯楽実行装置41が搭載された自動車Vであり、自動車Vを停車した状態で娯楽実行装置41を起動し、車室内に設けられた表示装置6、ステアリングホイール501、アクセルペダル14、ブレーキペダル15などの各種操作機器を操作することで、車室内においてレーシングゲームやラジコンおもちゃの操縦などに興ずることができる。また、本実施形態の自動車Vは、娯楽実行装置41により映画その他の動画コンテンツを表示装置6に再生することで、車室内において動画を鑑賞することができる。
【0010】
そのため、本実施形態の自動車Vは、レーシングゲームその他の娯楽用ソフトウェアを実行するか、ラジコンおもちゃその他のラジオコントロール機器と通信するか、又は映像コンテンツを再生する娯楽実行装置41と、娯楽実行装置41から出力される画像を、車体BのウィンドシールドW、又はフロントウィンドシールドW1とステアリングホイール501との間において昇降可能とされたフレキシブルディスプレイ65に表示する表示装置6と、を備える。
【0011】
また本実施形態の自動車Vは、ステアリングホイール501が転舵輪502から機械的に切り離され、ステアリングホイール501の操作を電気信号として転舵輪502へ伝える、いわゆるステアリングバイワイヤ方式(SBW)の操舵装置5と、娯楽実行装置41を作動する娯楽モードと、自動車Vを運転する運転モードとが選択可能なモード選択制御装置2と、を備える。ただし、これらステアリングバイワイヤ方式の操舵装置5とモード選択制御装置2は、本発明に係る自動車に必須の構成ではなく、省略してもよい。
【0012】
最初に、本実施形態の表示装置6について説明する。図6は、本実施形態の表示装置の一例を示す図であり、車室内から車両の前方を見た図である。本実施形態の表示装置6は、インストルメントパネルB1に設けられたセンターディスプレイ61及びメータディスプレイ62を含むほか、フロントウィンドシールドW1に設けられたディスプレイ63と、室内ミラーMに設けられたディスプレイ64も含む。
【0013】
フロントウィンドシールドW1の面には、道路交通法などの法規上、前方視界を確保する趣旨から、情報などを表示することが認められている第1領域R1と、認められていない第2領域R2がある。図6に示すフロントウィンドシールドW1の上端部と下端部が、情報の表示が認められた第1領域R1であり、その間の中央部が情報の表示が認められていない第2領域R2である。本例のフロントウィンドシールドW1に設けられたディスプレイ63は、少なくとも第2領域R2を含む範囲、好ましくはフロントウィンドシールドW1の全体に設定されている。
【0014】
フロントウィンドシールドW1にディスプレイ63を設ける具体的手段は特に限定されないが、たとえば有機発光ダイオード(OLED:Organic Light Emitting Diode)からなる薄膜ディスプレイをフロントウィンドシールドW1に設けることで実現することができる。また、フロントウィンドシールドW1を、電子遮光機能を有する調光ガラスで構成し、プロジェクタをルーフトリムなどに設け、遮光モードにした調光ガラスに画像を投影することでも実現することができる。さらに、ヘッドアップディスプレイ装置を利用し、画像の虚像をフロントウィンドシールドW1に投影することでディスプレイ63としてもよい。
【0015】
また、室内ミラーMに設けるディスプレイ64は、液晶ディスプレイで構成することができ、電子式室内ミラーのディスプレイと共用してもよい。なお、センターディスプレイ61は、ナビゲーション装置の地図情報、エアコン装置7の入出力情報、オーディオ装置8の入出力情報などが表示され、メータディスプレイ62は、速度、燃料残量その他の運転状態に関する各種情報が表示される。
【0016】
本実施形態の表示装置6は、フロントウィンドシールドW1に設けられたディスプレイ63などには限定されず、他の形態のディスプレイを含んでもよい。図7A及び図7Bは、本例の表示装置6の他例を示す図である。図7Aは、本例のフレキシブルディスプレイ65が上昇した状態(娯楽モード)を示し、図7Bは、本例のフレキシブルディスプレイ65が下降した状態(運転モード)を示し、それぞれ車室内から車両の前方を見た図である。
【0017】
本例のフレキシブルディスプレイ65は、フロントウィンドシールドW1とステアリングホイール501との間のインストルメントパネルB1に設けられ、図7Aに示す上昇位置と図7Bに示す下降位置とに昇降可能に設けられている。本例のフレキシブルディスプレイ65は、たとえばシート状の有機ELディスプレイから構成することができ、インストルメントパネルB1の内部において当該シート状の有機ELディスプレイを巻き取り/繰り出しすることで、小さいスペースでフレキシブルディスプレイ65の昇降機構を実現することができる。
【0018】
本例のフレキシブルディスプレイ65は、後述するモード選択制御装置2にて運転モードが選択され、自動車Vを運転操作する場合には、図7Bに示すように下降した状態になり、フロントウィンドシールドW1の全体を通して前方視界が確保できる。すなわち、本例のフレキシブルディスプレイ65は、前方視界の邪魔にならない位置まで下降する。この下降状態のフレキシブルディスプレイ65においては、一部がインストルメントパネルB1から突出し、その表示面には、センターディスプレイ61及びメータディスプレイ62のそれぞれに表示される情報が表示される。
【0019】
これに対し、モード選択制御装置2にて娯楽モードが選択された場合には、図7Aに示すように上昇した状態になり、この拡大された大画面に、娯楽実行装置41から出力される画像を表示することができる。
【0020】
本実施形態の表示装置6は、図6に示すフロントウィンドシールドW1に設けられたディスプレイ63,室内ミラーMに設けられたディスプレイ64,フレキシブルディスプレイ65のみに限定されず、さらに他の形態のディスプレイを含んでもよい。図8A及び図8Bは、本実施形態の表示装置6のさらなる他例を示す図であり、ワンボックスタイプの自動車の後部座席を含む車両の後方を見た図である。
【0021】
本例では、2つのサイドウィンドシールドW2,W3(左右合計で4つでもよい)と、リヤウィンドシールドW4とが調光ガラスで構成されている。調光ガラスは、光が透過して透明になる状態(透光モード)と、光を遮断して不透明になる状態(遮光モード)とが切替可能なガラスであり、サイドウィンドシールドW2,W3及びリヤウィンドシールドW4のガラスに、調光フィルムを貼り合わせるなどして実現することができる。
【0022】
本例の表示装置6において、ルーフトリムには、サイドウィンドシールドW2に画像を投影するプロジェクタPJ1と、サイドウィンドシールドW3に画像を投影するプロジェクタPJ2と、リヤウィンドシールドW4に画像を投影するプロジェクタPJ3とが設けられている。
【0023】
そして、後述するモード選択制御装置2にて運転モードが選択され、自動車Vを運転操作する場合には、図8Aに示すように、サイドウィンドシールドW2,W3及びリヤウィンドシールドW4の調光ガラスを透光モードにし、乗員の外界視界を確保する。これに対し、モード選択制御装置2にて娯楽モードが選択され、娯楽実行装置41からの画像を表示する場合には、図8Bに示すように、サイドウィンドシールドW2,W3及びリヤウィンドシールドW4の調光ガラスを遮光モードにし、それぞれのプロジェクタPJ1,PJ2,PJ3からサイドウィンドシールドW2,W3及びリヤウィンドシールドW4に対して画像を投影する。なお、図示は省略するが、自動車Vにサンルーフ又はムーンルーフが設けられている場合には、同様の構成にてこれらのルーフウィンドシールドに画像を投影してもよい。
【0024】
なお、図8A及び図8Bに示すサイドウィンドシールドW2,W3又はリヤウィンドシールドW4に娯楽実行装置41からの画像を表示する場合、上述した調光ガラス及びプロジェクタPJ1~PJ3に代えて、有機発光ダイオード(OLED)からなる薄膜ディスプレイを、これらサイドウィンドシールドW2,W3又はリヤウィンドシールドW4に設けてもよい。
【0025】
本実施形態の自動車Vは、上述したとおりウィンドシールドWを遮光モードにし、車室内で娯楽に興ずることがある。そのため、車両の周囲に不審者などが来ても気づかないこともある。そのため、本実施形態の自動車Vには、監視装置17が設けられている。図9は、本実施形態の監視装置17の一例を示す平面図である。
【0026】
本実施形態の監視装置17は、図9に示すように、5つのカメラ171~175と4つのレーダ又はソナーセンサを備える。カメラは、フロントバンパの中央に設けられ、車両の前方を撮像するカメラ171と、室内ミラーの近傍に設けられ、車両の前方を撮像するカメラ172と、右ドアミラーに設けられ、車両の右側方を撮像するカメラ173と、左ドアミラーに設けられ、車両の左側方を撮像するカメラ174と、リヤバンパの中央に設けられ、車両の後方を撮像するカメラ175とを含む。これらカメラ171~175のそれぞれの撮像範囲を図9に実線で示す。
【0027】
またレーダ又はソナーセンサは、フロントバンパの右側部に設けられ、車両の右前方を走査するレーダ又はソナーセンサ176と、フロントバンパの左側部に設けられ、車両の左前方を走査するレーダ又はソナーセンサ177と、リヤバンパの右側部に設けられ、車両の右後方を走査するレーダ又はソナーセンサ178と、リヤバンパの左側部に設けられ、車両の左後方を走査するレーダ又はソナーセンサ179とを含む。これらレーダ又はソナーセンサ176~179の走査範囲を図9に点線で示す。
【0028】
本実施形態の監視装置17は、これらカメラ171~175及びレーダ又はソナーセンサ176~179からの検出信号を読み込み、自車両の周囲に異常があるかどうかを監視する。監視装置17による異常の検出方法は特に限定されないが、人間を含む動物や車両などの移動物体が検出された場合に異常と判断してもよい。また、詳細は後述するが、モード選択制御装置2は、娯楽モードが選択された場合において、監視装置17により自車両の周囲に異常が検出されたときは、娯楽実行装置41から出力される画像の表示を中止又は中断するように、表示装置6を制御する。これにより、ドライバーは娯楽を一時的に中止し、自車両の周囲を目視などで確認することができ、車両への悪戯や盗難を未然に防止することができる。
【0029】
次に、本実施形態のステアリングバイワイヤ方式の操舵装置5について説明する。図2は、本実施形態の操舵装置5の一例を示す概略図であり、運転者が操舵操作可能なステアリングホイール501と、左右の前輪である転舵輪502と、ステアリングシャフト503と、を備える。ステアリングホイール501は、ステアリングシャフト503に連結され、転舵輪502,502とは機械的に切り離し可能に設けられている。このステアリングシャフト503には、操舵角センサ504と、反力モータ505と、操舵トルクセンサ506とが設けられている。
【0030】
操舵角センサ504は、ステアリングホイール501の操舵角を検出するものであり、エンコーダなどで構成することができる。
【0031】
反力モータ505は、ステアリングシャフト503にトルクを印加することにより、ステアリングホイール501に操舵反力を与えるためのものであり、操舵反力とは、ドライバーがステアリングホイール501を操舵する操作方向とは反対方向へ作用する力をいう。反力モータ505は、ブラシレスモータ等で構成することができ、後述するSBWコントローラECU5の第1制御部51が出力する反力モータ駆動電流に応じて駆動する。
【0032】
操舵トルクセンサ506は、ステアリングホイール501からステアリングシャフト503に伝達される操舵トルクを検出する。操舵トルクセンサ506は、たとえばトーションバーの捩れ角変位をポテンショメータで検出することで、操舵トルクを検出する構成となっている。
【0033】
本実施形態の操舵装置5は、さらにクラッチ507と、ピニオンシャフト508と、転舵モータ509と、転舵モータ角センサ510と、ピニオンギヤ511と、ラック軸512と、タイロッド513と、ナックルアーム514と、SBWコントローラECU5と、を備える。
【0034】
クラッチ507は、ステアリングホイール501と転舵輪502との間に介装され、SBWコントローラECU5からのクラッチ指令電流に従って、締結状態と非締結状態とに切り換わる。本例のクラッチ507は、無励磁締結形の電磁クラッチからなり、電磁コイルが無励磁のときに、たとえばカムローラ機構により、入力軸のカム面と出力軸の外輪との間にローラが噛み合い、入力軸と出力軸とが締結されて締結状態となる。一方、電磁コイルを励磁すると、アマチュアの吸引により、入力軸のカム面と出力軸の外輪との間でローラの噛み合いが解除され、入力軸と出力軸とが遮断され、非締結状態となる。本例のクラッチ507は、SBWシステムが正常に作動している状態では、非締結状態となり、SBWシステムに何らかの異常が発生したときに締結状態となる。
【0035】
また、本例のクラッチ507において、非締結状態では、ステアリングホイール501と転舵輪502との間のトルク伝達経路が機械的に分離するため、ステアリングホイール501の操舵操作が転舵輪502へ伝達しない状態となる。一方、クラッチ507が締結状態である場合は、ステアリングホイール501と転舵輪502との間のトルク伝達経路が機械的に結合するため、ステアリングホイール501の操舵操作が転舵輪502へ伝達する状態となる。
【0036】
ピニオンシャフト508は、その一端がクラッチ507に連結され、その他端には、ピニオンギヤ511が設けられている。ピニオンギヤ511は、ラック軸512の両端部間に設けられたラックギヤと噛合する。ラック軸512の両端のそれぞれは、タイロッド513及びナックルアーム514を介して、転舵輪502に連結されている。これにより、転舵輪502は、ピニオンギヤ511の回転に応じてラック軸512が車幅方向へ変位することで、タイロッド513及びナックルアーム514を介して転舵する。その結果、自動車Vの進行方向が変わることになる。
【0037】
転舵モータ509は、反力モータ505と同様にブラシレスモータ等で構成され、SBWコントローラECU5が出力する転舵モータ駆動電流に応じて駆動する。転舵モータ509は、転舵モータ駆動電流に応じて駆動することにより、転舵輪502を転舵するための転舵トルクを出力する。転舵モータ509の出力軸の先端にはウォームが設けられ、ピニオンシャフト508にはウォームホイールが設けられ、これらウォームとウォームホイールとからなるウォームギヤ515の噛合により、転舵モータ509の回転がピニオンシャフト508に伝達される。
【0038】
転舵モータ509には、転舵モータ角センサ510が設けられている。転舵モータ角センサ510は、転舵モータ509の回転角を検出する。ここで、転舵輪502の転舵角は、転舵モータ509の回転角度と、ウォームギヤ515のギヤ比と、ピニオンギヤ511とラック軸512のラックギヤとのギヤ比とによって一意に決定するため、転舵モータ509の回転角から転舵輪502の転舵角を求めることができる。すなわち、転舵モータ角センサ510の検出角から転舵輪502の転舵角を求めることができる。
【0039】
SBWコントローラECU5は、プロセッサを含むマイクロコンピュータで構成され、操舵角センサ504で検出したステアリングホイール501の操舵角θsと、操舵トルクセンサ506で検出した操舵トルクTと、転舵モータ角センサ510で検出した転舵角θrとを読み込む。またこの他に、SBWコントローラECU5は、他システムのコントローラ(不図示)から車速Vdやヨーレートγを入力する。そして、クラッチ507が非締結状態である場合に、SBWコントローラECU5は、ステアリングホイール501の操舵状態に応じて転舵モータ509を駆動制御し、転舵輪502を転舵する。これにより、転舵輪502の転舵角θrは、ステアリングホイール501の操舵状態に応じた転舵指令角に一致することになる。これと同時に、SBWコントローラECU5は、転舵輪502の転舵状態に応じて反力モータ505を駆動制御し、ステアリングホイール501に操舵反力を付与する。これにより、ステアリングホイール501に路面反力を模擬した操舵反力を与える。このようにして、SBWコントローラECU5は、ステアバイワイヤ制御(以下、SBW制御ともいう。)を行う。
【0040】
より具体的には、SBWコントローラECU5は、第1制御部51と第2制御部52とを含んで構成され、第1制御部51は、ステアリングホイールへの操舵反力に相当する第1制御量を反力モータ505へ出力し、第2制御部52は、転舵輪の転舵角に相当する第2制御量を転舵モータ509へ出力する。
【0041】
特に限定はされないが、本実施形態のSBWコントローラECU5においては、第1制御部51と第2制御部52のそれぞれが、操舵角センサ504で検出したステアリングホイール501の操舵角θs、操舵トルクセンサ506で検出した操舵トルクT、転舵モータ角センサ510で検出した転舵角θr、車速Vd、ヨーレートγなど演算に必要とされる検出値を読み込み、これらに基づいて、反力モータ505へ出力する第1制御量と、転舵モータ509へ出力する第2制御量とを独立して演算する。
【0042】
そして、反力モータ505及び転舵モータ509へ出力する前に、第1制御部51で演算された第1制御量及び第2制御量と、第2制御部52で演算された第1制御量及び第2制御量とが一致するか否かを判断し、一致しない場合には、操舵装置5に何らかの異常が発生したものと判定し、異常である旨の信号を出力する。
【0043】
詳細は後述するが、自動車Vを運転する運転モードでは、第1制御部51は、ステアリングホイール501への操舵反力に相当する第1制御量を反力モータ505へ出力し、第2制御部52は、転舵輪502の転舵角に相当する第2制御量を転舵モータ509へ出力する。しかしながら、自動車Vを停車し、娯楽実行装置41を作動してゲームなどを楽しむ娯楽モードでは、第1制御部51は、ステアリングホイール501への操舵反力に相当する第1制御量を反力モータ505へ出力する一方、第2制御部52は、転舵輪502の転舵角を変化させない制御量としての0を転舵モータ509へ出力する。これにより、ゲームの内容に応じた操舵反力をステアリングホイール501で感じながら、ステアリングホイール501を回転しても転舵輪502の転舵を停止することができる。
【0044】
図1に戻り、本実施形態の自動車Vは、娯楽実行装置41を含むIVIコントローラ4を備える。本例のIVIコントローラ4とは、車載された情報娯楽提供装置(In-Vehicle Infotainment)を意味し、プロセッサを含むマイクロコンピュータで構成され、情報の提供と娯楽の提供を実現するシステムである。本例のIVIコントローラ4は、情報の提供機能として、カーナビゲーション装置を用いて走行経路を案内したり道路交通情報を表示したりする。また、本例のIVIコントローラ4は、娯楽の提供機能として、TVチューナを含むオーディオ装置8や表示装置6を用いて音楽,映画,テレビ番組などを提供する。特に本例のIVIコントローラ4は、娯楽実行装置41を搭載し、レーシングゲームその他の娯楽用ソフトウェアを実行したり、ラジコンおもちゃその他のラジオコントロール機器と通信したり、映画その他の動画コンテンツを表示装置6及びオーディオ装置8に再生したりする。
【0045】
なお、娯楽実行装置41を用いてゲームソフトウェアを実行する場合、ソフトウェアのコンテンツはたとえばクラウドサーバCSに接続することで行うことができる。また、娯楽実行装置41を用いて映画その他の動画コンテンツを再生する場合、動画コンテンツはたとえばクラウドサーバCSに接続することでダウンロードしたりすることができる。映画その他の動画コンテンツを再生する場合、動画コンテンツを格納したDVD又はBDなどのディスク媒体を、オーディオ装置8を用いて再生し、本実施形態の表示装置6に表示してもよい。
【0046】
本実施形態の自動車Vは、娯楽実行装置41を作動する娯楽モードと、自動車Vを運転する運転モードとが選択可能な、プロセッサを含むマイクロコンピュータで構成されたモード選択制御装置2を備える。本例のモード選択制御装置2は、自動車Vを起動するためのメインスイッチ3がONしたときに、娯楽モードと運転モードとをドライバーに選択させる選択スイッチを含む。図3は、インストルメントパネルのセンターディスプレイ61に表示した、娯楽モードと運転モードとをドライバーに選択させるための選択スイッチの一例を示す正面図である。センターディスプレイ61が液晶タッチパネルなどで構成されている場合には、ドライバーが、左の運転モードを示す部分P1と右の娯楽モードを示す部分P2とのいずれかをタッチすることで、所望のモードが選択できる。なお、自動車Vを起動するためのメインスイッチ3とは、内燃機関が搭載された自動車Vにあってはイグニッションスイッチが相当し、電気自動車やハイブリッド自動車にあっては、パワースイッチが相当する。
【0047】
ちなみに、本例のモード選択制御装置2は、自動車Vを起動するためのメインスイッチ3がONするたびに、娯楽モードと運転モードとをドライバーに選択させるので、娯楽モードに興味がないドライバーにとっては、この選択操作が煩わしいと感じることもある。そのため、本例のモード選択制御装置2は、ドライバーの要求に応じて自動車Vを製造する際の、いわゆるオプション品の一つに設定することとし、娯楽モードが必要な購入者の自動車Vのみに搭載することが好ましい。
【0048】
本例のモード選択制御装置2は、自動車の起動時に娯楽モードと運転モードとをドライバーに選択させるほか、娯楽モードが選択された場合には、ステアリングホイール501が操作されても転舵輪502が転舵しないように操舵装置5を制御する機能を有する。これについては後述する。
【0049】
また本例のモード選択制御装置2は、娯楽モードが選択された場合のステアリングホイール501の最大回転角を、運転モードが選択された場合のステアリングホイール501の最大回転角よりも小さく設定する。ステアリングホイール501の回転角に対する転舵輪502の回転角の大きさを転舵輪の切れ角と定義したときに、娯楽モードが選択された場合の転舵輪の切れ角を、運転モードが選択された場合の転舵輪の切れ角より大きく設定する。これにより、ゲームやラジコン操作においてステアリングホイール501を大きく回す必要がなくなり、小さな操作角で俊敏な転舵操作を実現することができる。
【0050】
本実施形態の自動車Vは、図1に示すように、ボディコントロールモジュール1を備える。本例のボディコントロールモジュール1は、車載ボディ全般の機能を統括的に制御する電子コントロールユニットであり、プロセッサを含むマイクロコンピュータで構成されている。また、本実施形態の自動車Vは、一般的な自動車と同様に、表示装置6,エアコン装置7,スピーカ、ラジオチューナ、テレビチューナ、CD・DVD・BD再生器を含むオーディオ装置8,アクチュエータを用いて座席の姿勢や位置を調整するシート姿勢調整装置9,車体の姿勢を調整するエアサスペンション装置10,ステアリングホイール501に設けられたステアリングスイッチ11,いわゆるフロアシフトレバーとも称される変速シフトレバー12,ステアリングホイール501に設けられたパドルシフト13,アクセルペダル14,ブレーキペダル15,監視装置17を備える。またこれ以外にも、車室内外の照明装置、ドアの施解錠装置、ドア窓ガラスの昇降装置、ドアミラーや室内ミラー、ワイパーなどを備える。
【0051】
本実施形態の自動車Vには、CSMA/CA方式の多重通信(CAN:ControllerArea Network)やフレックスレイ(Flex Ray)等の車載通信ネットワーク(車載LAN)規格を用いた通信路が構築され、ボディコントロールモジュール1を含む各コントローラ同士は、通信線16によって相互通信可能に接続されている。
【0052】
そして、モード選択制御装置2により運転モードが選択された場合には、その旨がモード選択制御装置2からボディコントロールモジュール1へ出力され、ボディコントロールモジュール1は、図1に示す各コントローラを通常の運転モードとして制御する。
【0053】
これに対し、モード選択制御装置2により娯楽モードが選択された場合には、その旨がモード選択制御装置2からボディコントロールモジュール1へ出力され、ボディコントロールモジュール1は、娯楽実行装置41にて実行される娯楽のコンテンツに応じて各コントローラを制御する。たとえば、娯楽実行装置41を用いて自動車のレーシングゲームを行う場合を例に挙げ、自動車Vの各種装置の制御例を説明する。図4は、娯楽実行装置41を用いて自動車のレーシングゲームを行う状況を示す概略図である。
【0054】
図4に示すような自動車のレーシングゲームでは、ゲームソフトウェアを表示装置6に表示し、ドライバーはこの画面を見ながらステアリングホイール501、アクセルペダル14、ブレーキペダル15を操作する。また、レーシングカーの加減速及び旋回以外の操作入力がある場合は、ステアリングスイッチ11の各種ボタンやパドルシフト13のほか変速シフトレバー12などを用いて操作入力する。これらステアリングホイール501、アクセルペダル14、ブレーキペダル15、ステアリングスイッチ11の各種ボタン、パドルシフト13、変速シフトレバー12から入力された操作信号の操作量は、通信線16及びボディコントロールモジュール1を介して娯楽実行装置41へ出力され、ゲームソフトウェアで定義されたそれぞれの操作の制御量としてゲームソフトウェアに入力される。これにより、自動車Vのステアリングホイール501などを用いてレーシングゲームを実行することができる。
【0055】
一方、自動車のレーシングゲームを行っている場合の画像は上述したように表示装置6に表示されるが、レーシングゲームで出力される音声は、オーディオ装置8を用いてスピーカから出力される。また、レーシングゲームの臨場感を高めるために、シート姿勢調整装置9のアクチュエータを制御することでドライバー席に振動を付与してもよい。同様に、エアサスペンション装置のアクチュエータを制御することで車体の姿勢を変え、コーナリング感や加減速感を与えてもよい。さらに、ロールプレイングゲーム(RPG)などを楽しむ場合に、ゲーム内の環境に応じてエアコン装置7を作動して車室内の温度を変化させ、臨場感を与えてもよい。このように、表示装置6、エアコン装置7、オーディオ装置8、シート姿勢調整装置9、エアサスペンション装置10の少なくともいずれかを、娯楽実行装置41からの制御信号に応じて制御することで、娯楽の臨場感をより一層高めることができる。
【0056】
なお、本実施形態の娯楽実行装置41は、ゲームその他の娯楽用ソフトウェアを実行するほか、ラジオコントロール機器RCと通信することでラジコンカーやラジコンドローンを遠隔操作する娯楽にも用いられる。図5は、娯楽実行装置41を用いてラジコン自動車おもちゃやラジコンドローンおもちゃなどのラジオコントロール機器RCを操縦する状況を示す概略図である。
【0057】
図5に示すようなラジコンカーやラジコンドローンなどのラジオコントロール機器RCでは、ラジコンカーやラジコンドローンに搭載したCCDカメラの映像を表示装置6に表示し、ドライバーはこの画面を見ながらステアリングホイール501、アクセルペダル14、ブレーキペダル15を操作する。また、ラジコンカーやラジコンドローンの加減速及び旋回以外の操作入力がある場合は、ステアリングスイッチ11の各種ボタンやパドルシフト13のほか変速シフトレバー12などを用いて操作入力する。これらステアリングホイール501、アクセルペダル14、ブレーキペダル15、ステアリングスイッチ11の各種ボタン、パドルシフト13、変速シフトレバー12から入力された操作信号の操作量は、通信線16及びボディコントロールモジュール1を介して娯楽実行装置41へ出力され、ラジオコントロール機器RCで定義されたそれぞれの操作の制御量としてラジオコントロール機器RCに入力される。これにより、自動車Vのステアリングホイール501などを用いてラジコンカーやラジコンドローンを操縦することができる。
【0058】
一方、ラジコンカーやラジコンドローンを操縦している場合のカメラ画像は上述したように表示装置6に表示されるが、ラジオコントロール機器RCで出力される音声は、オーディオ装置8を用いてスピーカから出力される。また、ラジコンカーやラジコンドローンの臨場感を高めるために、シート姿勢調整装置9のアクチュエータを制御することでドライバー席に振動を付与してもよい。同様に、エアサスペンション装置のアクチュエータを制御することで車体の姿勢を変え、コーナリング感や加減速感を与えてもよい。さらに、走行又は飛行中の環境に応じてエアコン装置7を作動して車室内の温度を変化させ、臨場感を与えてもよい。このように、表示装置6、エアコン装置7、オーディオ装置8、シート姿勢調整装置9、エアサスペンション装置10の少なくともいずれかを、娯楽実行装置41からの制御信号に応じて制御することで、娯楽の臨場感をより一層高めることができる。
【0059】
《実施形態に係る自動車の動作》
次に、本実施形態の自動車Vの動作について説明する。図10は、本実施形態の自動車Vが実行する情報処理フローを示すフローチャートである。まずステップS1にて、ドライバーが自動車Vのメインスイッチ3をONすると、内燃機関を搭載した自動車の場合は内燃機関が起動し、電気自動車の場合は主電源から電気系統への電力供給が起動する。続くステップS2にて、SBWコントローラECU5による制御が開始され、操舵装置5に≦がないと判定されるとステップS3にてクラッチ507の締結が解除されて非締結状態となる。
【0060】
そして、続くステップS4にて、表示装置6のセンターディスプレイ61に、図3に示すような運転モードと娯楽モードとを選択する画像が表示されるので、ステップS5において、運転モードを希望する場合は部分P1にタッチし、娯楽モードを希望する場合は部分P2にタッチする。運転モードを示す部分P1にタッチするとステップS6へ進む一方、娯楽モードを示す部分P2にタッチするとステップS7へ進む。
【0061】
ステップS8では、運転モードを選択した場合はドライバーが自動車Vのメインスイッチ3をOFFするまで運転モードが継続し、娯楽モードを選択した場合もドライバーが自動車Vのメインスイッチ3をOFFするまで娯楽モードが継続する。ドライバーがメインスイッチ3をOFFすると、内燃機関を搭載した自動車の場合は内燃機関が停止し、電気自動車の場合は主電源から電気系統への電力供給が停止するので、ステップS9にてクラッチ507を繋ぎ、それまでの非締結状態から締結状態にする。
【0062】
《運転モードの動作》
次に、ステップS6の運転モードの動作について説明する。図11A及び図11Bは、図10のステップS6の運転モードが選択された場合のサブルーチンを示すフローチャートである。これら図11A及び図11Bに示す演算処理は所定の時間間隔(たとえば数msec間隔)で繰り返される。図10のステップS5において、ドライバーが運転モードを選択すると、図11AのステップS601へ進む。ステップS601では操舵角センサ504からの検出信号を読み出し、ステアリングホイール501の操舵角を検出する。
【0063】
ステップS601にてステアリングホイール501の操舵角が検出されると、続くステップS602及びS603にて、SBWコントローラECU5の第1制御部51と第2制御部52のそれぞれが、この操舵角センサ504で検出したステアリングホイール501の操舵角θsのほか、操舵トルクセンサ506で検出した操舵トルクT、車速Vd、ヨーレートγなど演算に必要とされる検出値を読み込み、これらに基づいて、転舵モータ509へ出力する第2制御量を、互いに独立して演算する。この第2制御量は、転舵輪502の転舵角度に相当する転舵モータ509へ出力制御値として求められる。ここでは、第1制御部51により演算された第2制御量をθ1,第2制御部52により演算された第2制御量をθ2とする。なお、本発明に係る自動車では特に限定はされないが、本実施形態のように第1制御部51と第2制御部52とで同じ演算を実行し、その演算結果の一致性を確認することで関連機器の異常を発見することができる。
【0064】
ステップS604では、ステップS602とステップS603とのそれぞれで求められた第2制御量θ1とθ2との一致性を判定する。この一致性の判定は、演算誤差などを考慮して一定の許容範囲を設けてもよい。第2制御量のθ1とθ2とが一致する場合(θ1=θ2)は、図11BのステップS608へ進み、正常な場合の操舵制御を実行する。これに対し、第2制御量のθ1とθ2とが一致しない場合(θ1≠θ2)は、ステップS605へ進み、インストルメントパネルのメータディスプレイ62などに設けられた警告灯を点灯し、異常を検知した旨を表示する。
【0065】
またこれに続き、ステップS606にて、クラッチ507の電磁コイルへの励磁を停止し、それまでの非締結状態から締結状態にする。またはこれに代えて、予め操舵装置5を、その各センサ、各コントローラ、各モータを複数設けた冗長系として構成している場合には、バックアップ系を起動する冗長制御を始動してもよい。
【0066】
またこれに続き、クラッチ507が締結されてステアリングホイール501の操舵トルクがピニオンシャフト508へ伝達されるので、ステップS607にて、転舵モータ509を、ドライバーの操舵操作を支援する電動パワーステアリングのアクチュエータとして利用するためのEPS制御に移行する。その後は、クラッチ507が締結された状態で電動パワーステアリング制御が行われることになる。
【0067】
図11AのステップS604に戻り、第2制御量のθ1とθ2とが一致する場合(θ1=θ2)は、図11BのステップS608へ進む。図11BのステップS608~S610では、第2制御部52が、演算して求められた第2制御量θ2を転舵モータ509へ出力し、角度サーボ制御を実行することで、ピニオンシャフト508、ピニオンギヤ511及びラック軸512などを介して転舵輪502を転舵する。これにより、ドライバーのステアリングホイール501の操作量に応じて転舵輪502が転舵し、自動車Vが所望の方向へ旋回することになる。
【0068】
ステップS611では、路面から転舵輪502を介して転舵ギヤへ入力があるか否かを判定する。路面からの入力がない場合にはステアリングホイール501に反力を印加する必要がないため、その後の処理を終了する。
【0069】
これに対し、路面からの入力がある場合はステップS612及びS613に進み、SBWコントローラECU5の第1制御部51と第2制御部52のそれぞれが、操舵角センサ504で検出したステアリングホイール501の操舵角θsのほか、転舵モータ角センサ510で検出した転舵角θr、操舵トルクセンサ506で検出した操舵トルクT、車速Vd、ヨーレートγなど演算に必要とされる検出値を読み込み、これらに基づいて、反力モータ505へ出力する第1制御量を、互いに独立して演算する。この第1制御量は、ステアリングホイール501の操舵反力トルクに相当する反力モータ505へ出力制御値として求められる。ここでは、第1制御部51により演算された第1制御量をF1,第2制御部52により演算された第1制御量をF2とする。なお、本発明に係る自動車では特に限定はされないが、本実施形態のように第1制御部51と第2制御部52とで同じ演算を実行し、その演算結果の一致性を確認することで関連機器の異常を発見することができる。
【0070】
ステップS614では、ステップS612とステップS613とのそれぞれで求められた第1制御量F1とF2との一致性を判定する。この一致性の判定は、演算誤差などを考慮して一定の許容範囲を設けてもよい。第1制御量のF1とF2とが一致する場合(F1=F2)は、ステップS615へ進み、正常な場合の第1制御部による反力制御を実行する。これに対し、第1制御量のF1とF2とが一致しない場合(F1≠F2)は、ステップS617へ進み、インストルメントパネルのメータディスプレイ62などに設けられた警告灯を点灯し、異常を検知した旨を表示する。
【0071】
またこれに続き、ステップS618にて、反力モータ505へ第1制御量としてF=0を出力する。すなわち、続くステップS619にてクラッチ507が締結されることで機械的な本来の反力がステアリングホイール501に印加されるか、又はこれに代えて冗長制御が始動するため、ここでは反力モータ505へ出力する第1制御量をF=0とする。
【0072】
これに続き、ステップS619にて、クラッチ507の電磁コイルへの励磁を停止し、それまでの非締結状態から締結状態にする。またはこれに代えて、予め操舵装置5を、その各センサ、各コントローラ、各モータを複数設けた冗長系として構成している場合には、バックアップ系を起動する冗長制御を始動してもよい。
【0073】
またこれに続き、クラッチ507が締結されてステアリングホイール501の操舵トルクがピニオンシャフト508へ伝達されるので、ステップS620にて、転舵モータ509を、ドライバーの操舵操作を支援する電動パワーステアリングのアクチュエータとして利用するためのEPS制御に移行する。その後は、クラッチ507が締結された状態で電動パワーステアリング制御が行われることになる。
【0074】
ステップS614に戻り、第1制御量のF1とF2とが一致する場合(F1=F2)は、ステップS615へ進む。ステップS615~S616では、演算して求められた第1制御量F1を反力モータ505へ出力し、ステアリングホイール501に、路面から入力される操舵反力に相当する疑似力を印加する。これにより、ドライバーは運転操作に応じた反力を触感することができる。
【0075】
《娯楽モードの動作》
次に、図10のステップS7の娯楽モードの動作について説明する。図12は、図10のステップS7の娯楽モードが選択された場合のサブルーチンを示すフローチャートである。図10のステップS5において、ドライバーが娯楽モードを選択すると、図12のステップS71へ進む。ステップS71では娯楽実行装置41が起動し、続くステップS72では表示装置6に初期画面や選択画面が表示される。本実施形態の娯楽実行装置41は、ゲームを楽しむゲームモードと、ラジオコントロール機器を楽しむラジコンモードと、映画などの動画を鑑賞する映像モードとを備えるので、続くステップS75にて、ドライバーにゲームモードとラジコンモードと映像モードのどれの実行を希望するかを選択させる。
【0076】
ステップS72にて表示装置6の画面に初期画面や選択画面が表示されたら、ステップS73にて監視装置17を起動し、ステップS74にて監視モードを実行する。図13は、ステップS74の監視モードのサブルーチンを示すフローチャートである。
【0077】
まず、ステップS741では、車体Bに設けられたカメラ171~175及びレーダ又はソナーセンサ176~179からの検出信号を所定の時間間隔で読み込み、車両の周囲に異常がないかを監視する。たとえば動物又は車両のような移動物体が検出され、これを以上と判断した場合には、ステップS742へ進み、娯楽実行装置41から表示装置6へ出力されている画像の表示を停止する。これにより、ステップS743にて娯楽実行装置41が一時的に停止する。ドライバーが車両の周囲を目視等で確認することで、異常の有無を確認する。異常がなければ、ステップS744にて表示装置6への画像の再表示を許容(OK)するが、異常が解除されない限り画像の表示を停止し続ける。
【0078】
ステップS744にて表示装置6への画像の再表示を許容(OK)したら、ステップS745にて娯楽実行装置41を再作動し、ステップS746にて表示装置6へ画像を表示する。これら図13に示す監視モードは、図12のゲームモード、ラジコンモード及び映像モードのいずれかが実行している間は継続される。
【0079】
図12のステップS75に戻り、ドライバーがゲームモードを選択した場合はステップS76へ進み、ラジコンモードを選択した場合はステップS77へ進み、映像モードを選択した場合はステップS78へ進む。これらステップS76のゲームモード、ステップS77のラジコンモード及びステップS78の映像モードの詳細は後述する。続くステップS79では、ステップS76のゲームモードを選択した場合には当該ゲームが終了したか否かを判定し、ステップS77のラジコンモードを選択した場合には当該ラジオコントロール機器の操作が終了したか否かを判定し、ステップS78の映像モードを選択した場合には動画コンテンツの再生が終了したか否かを判定し、終了した場合は当該処理を終了する。
【0080】
《娯楽モード中のゲームモードの動作》
次に、図12のステップS75において、ドライバーがゲームモードを選択した場合の動作について説明する。図14A及び図14Bは、図12のステップS76のゲームモードのサブルーチンを示すフローチャートである。なお、図14Aの処理フローは、ゲームモードが選択された場合に1ルーチンの演算が実行され、図14Bの処理フローは、図14AのステップS769にてゲーム制御がスタンバイ状態になった後に所定の時間間隔(たとえば数msec間隔)で繰り返し実行される。
【0081】
まずドライバーがゲームモードを選択すると、図14AのステップS761にてIVIコントローラ4による娯楽実行装置41の統括制御が開始され、娯楽実行装置41はゲームを実行するためのアプリケーションソフトウェアを起動する。そして、ステップS762にて、娯楽実行装置41は、クラウドサーバCSにアクセスし、クラウドゲームプラットフォームに接続し、所望のゲームソフトウェア、ここではレーシングカーゲームを起動する。ステップS763では、ゲームの画像を表示する表示装置6を、フロントウィンドシールドW1に設けられたディスプレイ63と、室内ミラーMに設けられたディスプレイ64と、調光ガラスで構成されたウィンドシールドWとの中から選択させる。
【0082】
ドライバーが、フロントウィンドシールドW1に設けられたディスプレイ63を選択した場合はステップS764へ進み、娯楽実行装置41は、選択されたレーシングカーゲームのコンテンツをフロントウィンドシールドW1に設けられたディスプレイ63に表示する。同様に、ドライバーが、室内ミラーMに設けられたディスプレイ64を選択した場合はステップS765へ進み、娯楽実行装置41は、選択されたレーシングカーゲームのコンテンツを室内ミラーMに設けられたディスプレイ64に表示する。同様に、ドライバーが、調光ガラスで構成されたウィンドシールドWを選択した場合はステップS766へ進み、調光ガラスを遮光モードにした上でステップS767へ進み、娯楽実行装置41は、選択されたレーシングカーゲームのコンテンツを調光ガラスで構成されたウィンドシールドWに表示する。
【0083】
ステップS768では、第2制御部52は、転舵モータ509に対し、転舵角度としてθ3=0を出力する。ここで、図10のステップS1において自動車Vのメインスイッチ3がONされたのち、ステップS7において娯楽モードが選択された場合には、その前のステップS2においてSBWコントローラECU5によるSBW制御が開始され、ステップS3においてクラッチ507が非締結状態とされている。したがって、レーシングカーゲームのレーシングカーを操作するためにステアリングホイール501を操作すると、SBW制御によって転舵輪502も転舵することになる。本実施形態では、ゲームを実行する場合には自動車Vの転舵輪502が転舵しないように、ゲームを開始する前のステップS744において、第2制御部52から、転舵モータ509に対し、転舵角度としてθ3=0を出力する。
【0084】
ステップS769では、ゲーム制御の準備が整ったスタンバイ状態になるので、表示装置6にゲームの開始ボタンなどが表示される。
【0085】
ステップS769にてゲーム制御がスタンバイ状態になり、ゲームが開始されると、図14BのステップS7601へ進む。これと前後して、クラウドサーバCSのクラウドゲームプラットフォームからゲームのコンテンツの画像やBGMが出力されるので、これを入力した娯楽実行装置41は、ボディコントロールモジュール1を介し、選択された表示装置6にコンテンツの画像を表示するとともに、オーディオ装置8を用いてスピーカからBGMを出力する。実際にレーシングゲームが開始すると、ドライバーはステアリングホイール501を操作しながらアクセルペダル14やブレーキペダル15を操作することで、ゲーム中のレーシングカーを運転する。ステップS7401では、操舵角センサ504からの検出信号を読み出し、ステアリングホイール501の操舵角を検出する。
【0086】
ステップS7601にてステアリングホイール501の操舵角が検出されると、続くステップS7602及びS7603にて、SBWコントローラECU5の第1制御部51と第2制御部52のそれぞれが、この操舵角センサ504で検出したステアリングホイール501の操舵角θsのほか、操舵トルクセンサ506で検出した操舵トルクT、車速Vd、ヨーレートγなど演算に必要とされる検出値を読み込み、これらに基づいて、転舵モータ509へ出力する第2制御量を、互いに独立して演算する。なお、娯楽モードを実行中は自動車Vが停車状態であるので、車速Vd、ヨーレートγなどの検出値は停車状態の検出値となる。
【0087】
ただし、ゲームモードにおける第2制御量は、自動車Vの転舵輪502ではなく、ゲームコンテンツの中のレーシングカーの転舵輪の転舵角度に相当する出力制御値として求められる。ここでは、第1制御部51により演算された第2制御量をθ1,第2制御部52により演算された第2制御量をθ2とする。なお、本発明に係る自動車では特に限定はされないが、本実施形態のように、ゲームモードにおいても、第1制御部51と第2制御部52とで同じ演算を実行し、その演算結果の一致性を確認することで、次に自動車Vを運転する前に関連機器の異常を発見することができるというメリットがある。
【0088】
ステップS7604では、ステップS7602とステップS7603とのそれぞれで求められた第2制御量θ1とθ2との一致性を判定する。この一致性の判定は、演算誤差などを考慮して一定の許容範囲を設けてもよい。第2制御量のθ1とθ2とが一致する場合(θ1=θ2)は、ステップS7606へ進み、正常な場合の操舵制御を実行する。これに対し、第2制御量のθ1とθ2とが一致しない場合(θ1≠θ2)は、ステップS7605へ進み、インストルメントパネルB1のメータディスプレイ62などに設けられた警告灯を点灯し、異常を検知した旨を表示したのち、ゲームモードを終了する。
【0089】
ステップS7604に戻り、第2制御量のθ1とθ2とが一致する場合(θ1=θ2)は、ステップS7606へ進む。ステップS7606~S7607では、第2制御部52が、ボディコントロールモジュール1及び娯楽実行装置41を介してクラウドサーバCSのクラウドゲームプラットフォームへ、演算して求められた第2制御量θ2を出力し、レーシングカーの転舵輪を転舵する。これにより、ドライバーのステアリングホイール501の操作量に応じてレーシングカーの転舵輪が転舵し、ゲーム中のレーシングカーが所望の方向へ旋回することになる。
【0090】
これに続き、ステップS7608では、クラウドサーバCSのクラウドゲームプラットフォームが、ゲーム中の路面からレーシングカーの転舵輪を介して転舵ギヤへ入力があるか否かを判定する。路面からの入力がない場合にはステアリングホイール501に反力を印加する必要がないため、その後の処理を終了する。
【0091】
これに対し、路面からの入力がある場合はステップS7609へ進み、クラウドサーバCSのクラウドゲームプラットフォームが、ゲーム中の各種検出値に基づいた操舵反力に関する制御信号を、自動車Vの反力モータ505へ出力する第1制御量F1に変換演算する。この第1制御量F1は、ステアリングホイール501の操舵反力トルクに相当する反力モータ505へ出力制御値として求められる。
【0092】
ステップS7610~S7612では、クラウドサーバCSのクラウドゲームプラットフォームから出力された第1制御量F1を第1制御部51へ出力し、これを入力した第1制御部51は、第1制御量F1を反力モータ505へ出力する。これにより、ステアリングホイール501に、路面から入力される操舵反力に相当する疑似力が印加されるので、ドライバーは運転操作に応じた反力を触感することができる。
【0093】
なお、図14Bには図示しないが、レーシングカーが路面から受ける反力を自動車Vのステアリングホイール501へ反映するほか、レーシングカーが受ける衝撃や加減速力(ドライバーが受ける重力G)などを、クラウドサーバCSのクラウドゲームプラットフォームで検出し、当該クラウドゲームプラットフォームから娯楽実行装置41へ出力し、シート姿勢調整装置9のアクチュエータを制御することでドライバー席に振動を付与したり、エアサスペンション装置のアクチュエータを制御することで車体の姿勢を変え、コーナリング感や加減速感を付与したり、してもよい。
【0094】
《娯楽モード中のラジコンモードの動作》
次に、図12のステップS75において、ドライバーがラジコンモードを選択した場合の動作について説明する。図15A及び図15Bは、図12のステップS77のラジコンモードのサブルーチンを示すフローチャートである。なお、図15Aの処理フローは、ラジコンモードが選択された場合に1ルーチンの演算が実行され、図15Bの処理フローは、図15AのステップS779にてラジコン制御がスタンバイ状態になった後に所定の時間間隔(たとえば数msec間隔)で繰り返し実行される。
【0095】
まずドライバーがラジコンモードを選択すると、図15AのステップS771にてIVIコントローラ4による娯楽実行装置41の統括制御が開始され、娯楽実行装置41はラジコン操作を実行するためのアプリケーションソフトウェアを起動する。そして、ステップS772にて、娯楽実行装置41は、クラウドサーバCSにアクセスし、クラウドゲームプラットフォームに接続し、所望のラジオコントロール機器RC、ここではラジコンカーに接続する。
【0096】
ステップS773では、ゲームの画像を表示する表示装置6を、フロントウィンドシールドW1に設けられたディスプレイ63と、室内ミラーMに設けられたディスプレイ64と、調光ガラスで構成されたウィンドシールドWとの中から選択させる。
【0097】
ドライバーが、フロントウィンドシールドW1に設けられたディスプレイ63を選択した場合はステップS774へ進み、娯楽実行装置41は、選択されたレーシングカーゲームのコンテンツをフロントウィンドシールドW1に設けられたディスプレイ63に表示する。同様に、ドライバーが、室内ミラーMに設けられたディスプレイ64を選択した場合はステップS775へ進み、娯楽実行装置41は、選択されたレーシングカーゲームのコンテンツを室内ミラーMに設けられたディスプレイ64に表示する。同様に、ドライバーが、調光ガラスで構成されたウィンドシールドWを選択した場合はステップS776へ進み、調光ガラスを遮光モードにした上でステップS777へ進み、娯楽実行装置41は、選択されたレーシングカーゲームのコンテンツを調光ガラスで構成されたウィンドシールドWに表示する。以上により、娯楽実行装置41は、選択されたラジコンカーに搭載されたカメラの撮影画像を、選択された表示装置6に表示する。
【0098】
ステップS778では、第2制御部52は、転舵モータ509に対し、転舵角度としてθ3=0を出力する。ここで、図10のステップS1において自動車Vのメインスイッチ3がONされたのち、ステップS7において娯楽モードが選択された場合には、その前のステップS2においてSBWコントローラECU5によるSBW制御が開始され、ステップS3においてクラッチ507が非締結状態とされている。したがって、ラジコンカーを操作するためにステアリングホイール501を操作すると、SBW制御によって転舵輪502も転舵することになる。本実施形態では、ラジコン操作を実行する場合には自動車Vの転舵輪502が転舵しないように、ラジコン操作を開始する前のステップS778において、第2制御部52から、転舵モータ509に対し、転舵角度としてθ3=0を出力する。
【0099】
ステップS779では、ラジコン操作制御の準備が整ったスタンバイ状態になるので、表示装置6にラジコン操作の開始ボタンなどが表示される。
【0100】
ステップS779にてラジコン操作制御がスタンバイ状態になり、ラジコン操作が開始されると、図15BのステップS7701へ進む。これと前後して、ラジオコントロール機器RCからカメラの撮影画像やマイクロフォンで集音された音声が出力されるので、これを入力した娯楽実行装置41は、ボディコントロールモジュール1を介し、選択された表示装置6にカメラの撮影画像を表示するとともに、オーディオ装置8を用いてスピーカから集音音声を出力する。実際にラジコンカーの遠隔操作が開始すると、ドライバーはステアリングホイール501を操作しながらアクセルペダル14やブレーキペダル15を操作することで、遠隔操作中のラジコンカーを運転する。ステップS7501では、操舵角センサ504からの検出信号を読み出し、ステアリングホイール501の操舵角を検出する。
【0101】
ステップS7701にてステアリングホイール501の操舵角が検出されると、続くステップS7702及びS7703にて、SBWコントローラECU5の第1制御部51と第2制御部52のそれぞれが、この操舵角センサ504で検出したステアリングホイール501の操舵角θsのほか、操舵トルクセンサ506で検出した操舵トルクT、車速Vd、ヨーレートγなど演算に必要とされる検出値を読み込み、これらに基づいて、転舵モータ509へ出力する第2制御量を、互いに独立して演算する。なお、娯楽モードを実行中は自動車Vが停車状態であるので、車速Vd、ヨーレートγなどの検出値は停車状態の検出値となる。
【0102】
ただし、ラジコンモードにおける第2制御量は、自動車Vの転舵輪502ではなく、操作されるラジコンカーの転舵輪の転舵角度に相当する出力制御値として求められる。ここでは、第1制御部51により演算された第2制御量をθ1,第2制御部52により演算された第2制御量をθ2とする。なお、本発明に係る自動車では特に限定はされないが、本実施形態のように、ラジコンモードにおいても、第1制御部51と第2制御部52とで同じ演算を実行し、その演算結果の一致性を確認することで、次に自動車Vを運転する前に関連機器の異常を発見することができるというメリットがある。
【0103】
ステップS7704では、ステップS7702とステップS7703とのそれぞれで求められた第2制御量θ1とθ2との一致性を判定する。この一致性の判定は、演算誤差などを考慮して一定の許容範囲を設けてもよい。第2制御量のθ1とθ2とが一致する場合(θ1=θ2)は、ステップS7506へ進み、正常な場合の操舵制御を実行する。これに対し、第2制御量のθ1とθ2とが一致しない場合(θ1≠θ2)は、ステップS7705へ進み、インストルメントパネルのメータディスプレイ62などに設けられた警告灯を点灯し、異常を検知した旨を表示したのち、ラジコンモードを終了する。
【0104】
ステップS7704に戻り、第2制御量のθ1とθ2とが一致する場合(θ1=θ2)は、ステップS7706へ進む。ステップS7706~S7707では、第2制御部52が、ボディコントロールモジュール1及び娯楽実行装置41を介してラジオコントロール機器RCへ、演算して求められた第2制御量θ2を出力し、ラジコンカーの転舵輪を転舵する。これにより、ドライバーのステアリングホイール501の操作量に応じてラジコンカーの転舵輪が転舵し、遠隔操作中のラジコンカーが所望の方向へ旋回することになる。
【0105】
これに続き、ステップS7708では、ラジオコントロール機器RCが、路面からラジコンカーの転舵輪を介して転舵ギヤへ入力があるか否かを判定する。路面からの入力がない場合にはステアリングホイール501に反力を印加する必要がないため、その後の処理を終了する。
【0106】
これに対し、路面からの入力がある場合はステップS7709へ進み、ラジオコントロール機器RCが、ラジコン操作中の各種検出値に基づいた操舵反力に関する制御信号を、自動車Vの反力モータ505へ出力する第1制御量F1に変換演算する。この第1制御量F1は、ステアリングホイール501の操舵反力トルクに相当する反力モータ505へ出力制御値として求められる。
【0107】
ステップS7710~S7712では、ラジオコントロール機器RCから出力された第1制御量F1を第1制御部51へ出力し、これを入力した第1制御部51は、第1制御量F1を反力モータ505へ出力する。これにより、ステアリングホイール501に、路面から入力される操舵反力に相当する疑似力が印加されるので、ドライバーは運転操作に応じた反力を触感することができる。
【0108】
なお、図15Bには図示しないが、ラジコンカーが路面から受ける反力を自動車Vのステアリングホイール501へ反映するほか、ラジコンカーが受ける衝撃や加減速力(ドライバーが受ける重力G)などを、ラジオコントロール機器RCで検出し、当該ラジオコントロール機器RCから娯楽実行装置41へ出力し、シート姿勢調整装置9のアクチュエータを制御することでドライバー席に振動を付与したり、エアサスペンション装置のアクチュエータを制御することで車体の姿勢を変え、コーナリング感や加減速感を付与したり、してもよい。
【0109】
《娯楽モード中の映像モードの動作》
次に、図12のステップS75において、ドライバーが映像モードを選択した場合の動作について説明する。図16は、図12のステップS78の映像モードのサブルーチンを示すフローチャートである。なお、図16の処理フローは、映像モードが選択された場合に1ルーチンの演算が実行される。
【0110】
まずドライバーが映像モードを選択すると、図16のステップS781にてIVIコントローラ4による娯楽実行装置41の統括制御が開始され、娯楽実行装置41は映像の再生を実行するためのアプリケーションソフトウェアを起動する。そして、ステップS782にて、娯楽実行装置41は、クラウドサーバCSにアクセスし、クラウド動画プラットフォームに接続し、所望の動画、ここでは映画を再生する。ステップS783では、映画を表示する表示装置6を、フロントウィンドシールドW1に設けられたディスプレイ63と、室内ミラーMに設けられたディスプレイ64と、調光ガラスで構成されたウィンドシールドWとの中から選択させる。
【0111】
ドライバーが、フロントウィンドシールドW1に設けられたディスプレイ63を選択した場合はステップS784へ進み、娯楽実行装置41は、選択された映画のコンテンツをフロントウィンドシールドW1に設けられたディスプレイ63に表示する。同様に、ドライバーが、室内ミラーMに設けられたディスプレイ64を選択した場合はステップS785へ進み、娯楽実行装置41は、選択された映画のコンテンツを室内ミラーMに設けられたディスプレイ64に表示する。同様に、ドライバーが、調光ガラスで構成されたウィンドシールドWを選択した場合はステップS786へ進み、調光ガラスを遮光モードにした上でステップS787へ進み、娯楽実行装置41は、選択された映画のコンテンツを調光ガラスで構成されたウィンドシールドWに表示する。映画の再生が終了するまで、選択された表示装置6への表示を継続する。
【0112】
《実施形態の作用・効果》
以上のように、本実施形態の自動車Vでは、娯楽用ソフトウェアを実行するか、ラジオコントロール機器RCと通信するか、又は映像コンテンツを再生する娯楽実行装置41と、娯楽実行装置41から出力される画像を、ウィンドシールドW又はフロントウィンドシールドW1とステアリングホイール501との間において昇降可能とされたフレキシブルディスプレイ65に表示する表示装置6と、を備えるので、車室内において楽な姿勢で娯楽実行装置41による娯楽に興ずることができる。
【0113】
また、本実施形態の自動車Vでは、ウィンドシールドWは、フロントウィンドシールドW1を含むので、大きな画面に娯楽実行装置41からの画像を表示することができ、より臨場感を高めることができる。
【0114】
また、本実施形態の自動車Vでは、娯楽実行装置41を作動する娯楽モードと、自動車Vを運転する運転モードとが選択可能とされ、それぞれのモードに応じた制御を実行するモード選択制御装置2を備え、モード選択制御装置2は、運転モードが選択された場合には、娯楽実行装置41から出力される画像を、ウィンドシールドWのうち法規上表示可能な第1領域R1に表示するか又は下降した状態のフレキシブルディスプレイ65に表示し、娯楽モードが選択された場合には、娯楽実行装置41から出力される画像を、ウィンドシールドWのうち第1領域R1より広い第2領域R2に表示するか又は上昇した状態のフレキシブルディスプレイ65に表示するように、表示装置6を制御する。これにより、運転モードにおいては、法規を遵守しながら前方視界を確保することができ、娯楽モードにおいては、大きな画面に娯楽実行装置41からの画像を表示することができ、より臨場感を高めることができる。
【0115】
また、本実施形態の自動車Vでは、ステアリングホイール501が転舵輪502から機械的に切り離され、前記ステアリングホイール501の操作を電気信号として前記転舵輪502へ伝える操舵装置5をさらに備え、モード選択制御装置2は、娯楽モードが選択された場合には、ステアリングホイール501が操作されても転舵輪502が転舵しないように操舵装置5を制御するので、いわゆる据え切り操作が抑制される。その結果、タイヤを痛めたりホイールアライメントが狂ったりすることが抑制され、自動車の機構に悪影響を与えることなく、車室内でゲームなどの娯楽に興ずることができる。
【0116】
また、本実施形態の自動車Vでは、モード選択制御装置2は、自動車Vを起動するためのメインスイッチがONしたときに、娯楽モードと運転モードとをドライバーに選択させる選択スイッチを含む。すなわち、娯楽モードの選択は、メインスイッチ3をONした自動車Vの起動時にのみ行われるので、自動車Vを運転中に娯楽モードを選択することを防止できる。
【0117】
また、本実施形態の自動車Vでは、モード選択制御装置2は、ドライバーの要求に応じて自動車を製造する際に車載される。すなわち、モード選択制御装置2は自動車製造時のオプション設定であるため、娯楽モードが不要なドライバーはモード選択制御装置2の不装着が選択できる。これにより、自動車Vを始動するたびにモード選択操作を行う煩わしさを回避することができる。
【0118】
また、本実施形態の自動車Vでは、ウィンドシールドWは、サイドウィンドシールドW2,W3、リヤウィンドシールドW4、ルーフウィンドシールドを含むので、運転席や助手席だけでなく、後部座席にて娯楽に興ずることができる。また、着座した姿勢だけでなく、寝転がる姿勢や仰向けの姿勢で娯楽に興ずることができる。
【0119】
また、本実施形態の自動車Vでは、表示装置6は、娯楽実行装置41から出力される画像を室内ミラーMにも表示するので、車室内において楽な姿勢で娯楽実行装置41による娯楽に興ずることができる。
【0120】
また、本実施形態の自動車Vでは、ウィンドシールドWは調光ガラスを含み、表示装置6は、遮光モードにした状態の調光ガラスに、娯楽実行装置41から出力される画像を表示するので、野外に駐車した場合であっても、プライバシーを保護しつつ娯楽に興ずることができる。
【0121】
また、本実施形態の自動車Vでは、自車両Vの周囲を監視する監視装置17をさらに備え、モード選択制御装置2は、娯楽モードが選択された場合に、監視装置17により自車両の周囲に異常が検出されたときは、娯楽実行装置41から出力される画像の表示を中止又は中断するように、表示装置6を制御するので、画像表示の中止又は中断にともなって自車両の周囲を目視などで確認することができ、車両への悪戯や盗難を未然に防止することができる。
【符号の説明】
【0122】
V…自動車
1…ボディコントロールモジュール(BCM)
2…モード選択制御装置
3…メインスイッチ
4…IVIコントローラ(車載情報娯楽提供装置)
41…娯楽実行装置
5…操舵装置
ECU5…SBWコントローラ
51…第1制御部
52…第2制御部
501…ステアリングホイール
502…転舵輪
503…ステアリングシャフト
504…操舵角センサ
505…反力モータ(第1アクチュエータ)
506…操舵トルクセンサ
507…クラッチ
508…ピニオンシャフト
509…転舵モータ(第2アクチュエータ)
510…転舵モータ角センサ
511…ピニオンギヤ
512…ラック軸
513…タイロッド
514…ナックルアーム
515…ウォームギヤ
6…表示装置
61…センターディスプレイ
62…メータディスプレイ
63…ディスプレイ(フロントウィンドシールド)
64…ディスプレイ(室内ミラー)
65…フレキシブルディスプレイ
7…エアコン装置
8…オーディオ装置
9…シート姿勢調整装置
10…エアサスペンション装置
11…ステアリングスイッチ
12…変速シフトレバー
13…パドルシフト
14…アクセルペダル
15…ブレーキペダル
16…通信線
17…監視装置
171~175…カメラ
176~179…レーダ又はソナーセンサ
RC…ラジオコントロール機器
CS…クラウドサーバ
B…車体
B1…インストルメントパネル
W…ウィンドシールド
W1…フロントウィンドシールド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16