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7791893マイクロレンズアレイおよびマイクロレンズアレイを用いた車両用灯具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-12-16
(45)【発行日】2025-12-24
(54)【発明の名称】マイクロレンズアレイおよびマイクロレンズアレイを用いた車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/265 20180101AFI20251217BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20251217BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20251217BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20251217BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20251217BHJP
【FI】
F21S41/265
F21S41/143
F21V5/04 350
F21V5/04 650
F21W102:13
F21Y115:10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023545411
(86)(22)【出願日】2022-08-12
(86)【国際出願番号】 JP2022030748
(87)【国際公開番号】W WO2023032638
(87)【国際公開日】2023-03-09
【審査請求日】2025-05-21
(31)【優先権主張番号】P 2021139973
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021139974
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021139975
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】風間 彩香
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-061231(JP,A)
【文献】特開2007-328218(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0024865(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/00-41/698
F21V 5/04
F21W 102/13
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光学系を有するマイクロレンズアレイであって、
各々の前記光学系はそれぞれ、一対の入射側レンズ部と出射側レンズ部と、を備え、
前記入射側レンズ部の入射面と前記出射側レンズ部の出射面との間に、低屈折率部が設けられており、
前記低屈折率部の屈折率はその他の部位の屈折率よりも低く、
前記低屈折率部は、前記出射面の焦点を通って延びる第一面と、前記第一面から前記入射面へ延びる第二面とを含み、
前記第一面と前記第二面との境界部によってカットライン形成部が構成されており、
前記入射側レンズ部の正面視で、前記入射面は前記第二面と重ならない位置に設けられており、
少なくとも一つの前記光学系において、
前記出射側レンズ部の前記出射面は、第一領域と第二領域に区分けされており、
前記第一領域は、前記カットライン形成部に焦点が位置する曲率半径を有しており、
前記第二領域は、前記第一領域の曲率半径よりも大きい曲率半径を有している
マイクロレンズアレイ。
【請求項2】
前記低屈折率部は、空洞部である、請求項1に記載のマイクロレンズアレイ。
【請求項3】
前記入射面は、前記出射側レンズ部の光軸に対して前記低屈折率部と反対側に位置する、請求項1に記載のマイクロレンズアレイ。
【請求項4】
前記出射側レンズ部の光軸は、前記第一領域と前記第二領域との境界線を通る、請求項に記載のマイクロレンズアレイ。
【請求項5】
前記第二領域の曲率半径は、前記第一領域の曲率半径に対して1.1~1.5倍である、請求項に記載のマイクロレンズアレイ。
【請求項6】
光源と、
請求項1に記載のマイクロレンズアレイと、
を備えた、車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マイクロレンズアレイおよびマイクロレンズアレイを用いた車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1などにより、マイクロレンズアレイを介して、灯具前方を照射する車両用灯具が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国公表特許2016-534503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたマイクロレンズアレイは、後側レンズアレイと前側レンズアレイとの間に、遮光板を備えている。この遮光板が光源ユニットからの出射光の一部を遮ることにより、カットオフラインを有するロービーム配光パターンが形成される。
【0005】
また、特許文献1に記載のマイクロレンズアレイの光学系は、第一方向と第一方向に直交する第二方向に配列されている。各々の光学系が有する出射側レンズ部は、第一方向(例えば垂直方向)から見ても、第一方向に直交する第二方向(例えば水平方向)から見ても、湾曲した形状の出射面を有する。
【0006】
このような車両用灯具においては、遮光板によって光源から出射された光の一部が遮られて灯具前方に出射されず、光の利用効率に改善の余地がある。
【0007】
本開示は、光の利用効率の高いマイクロレンズアレイおよびマイクロレンズアレイを用いた車両用灯具を提供することを目的の一つとする。
【0008】
また、本発明者は、光の利用効率を高めるために光源から出射された光の一部を遮らずに前方に出射させる構成と同時に、グレアの発生を低減する構成も検討した。
【0009】
本開示は、光の利用効率を高めつつ、グレアの発生を低減するマイクロレンズアレイおよびマイクロレンズアレイを用いた車両用灯具を提供することを目的の一つとする。
【0010】
また、特許文献1に係るマイクロレンズアレイは、マイクロレンズアレイ内を通過した光を効果的に集光して配光パターンを投影できるように構成されているが、より広い範囲に出射光を拡散させるためには、新たな構成のマイクロレンズアレイが必要とされていた。
【0011】
本開示は、より広く出射光を拡散するマイクロレンズアレイおよびマイクロレンズアレイを用いた車両用灯具を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の第一態様に係るマイクロレンズアレイは、
複数の光学系を有するマイクロレンズアレイであって、
各々の前記光学系はそれぞれ、一対の入射側レンズ部と出射側レンズ部と、を備え、
前記入射側レンズ部の入射面と前記出射側レンズ部の出射面との間に、低屈折率部が設けられており、
前記低屈折率部の屈折率はその他の部位の屈折率よりも低く、
前記低屈折率部は、前記出射面の焦点を通って延びる第一面と、前記第一面から前記入射面へ延びる第二面とを含み、
前記第一面と前記第二面との境界部によってカットライン形成部が構成されており、
前記入射側レンズ部の正面視で、前記入射面は前記第二面と重ならない位置に設けられている。
【0013】
本開示の第二態様に係る車両用灯具は、
光源と、
第一態様に係るマイクロレンズアレイと、を備える。
【0014】
本開示の第三態様に係るマイクロレンズアレイは、
複数の光学系を有するマイクロレンズアレイであって、
各々の前記光学系はそれぞれ、一対の入射側レンズ部と出射側レンズ部と、を備え、
前記入射側レンズ部の入射面と前記出射側レンズ部の出射面との間に、低屈折率部が設けられており、
前記低屈折率部の屈折率がその他の部位の屈折率よりも低く、
前記低屈折率部は、前記出射面の焦点を通って延びる第一面と、前記第一面から前記入射面へ延びる第二面とを含み、
前記第一面と前記第二面との境界部によってカットライン形成部が構成されており、
前記入射側レンズ部の前記入射面から前記境界部までの厚さAと前記境界部から前記出射側レンズ部の前記出射面までの厚さBの比率A:Bは、1.8:1以上である。
【0015】
本開示の第四態様に係る車両用灯具は、
光源と、
第三態様に係るマイクロレンズアレイと、を備える。
【0016】
本開示の第五態様に係るマイクロレンズアレイは、
複数の光学系を備えるマイクロレンズアレイであって、
各々の前記光学系はそれぞれ、一対の入射側レンズ部と出射側レンズ部とを有し、
複数の前記光学系は少なくとも第一方向と、第一方向と直交する第二方向とに配列されており、
少なくとも一部の前記光学系は、その前記出射側レンズ部の出射面が、前記第一方向から見ると平面をなし、前記第二方向から見ると曲面をなす、拡散部を構成している。
【0017】
本開示の六態様に係る車両用灯具は、
光源と、
第五態様に係るマイクロレンズアレイと、
前記光源から出射した光を前記マイクロレンズアレイに入射させるプライマリレンズと、を備えている。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、光の利用効率を高めつつ、グレアの発生を低減するマイクロレンズアレイおよびマイクロレンズアレイを用いた車両用灯具を提供することができる。
【0019】
本開示によれば、光の利用効率の高いマイクロレンズアレイおよびマイクロレンズアレイを用いた車両用灯具を提供することができる。
【0020】
本開示によれば、より広く出射光を拡散するマイクロレンズアレイおよびマイクロレンズアレイを用いた車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の一実施形態に係る車両用灯具を左右方向から見た模式断面図である。
図2】第一実施形態に係るマイクロレンズアレイを右方向から見た断面図である。
図3】第一実施形態に係るマイクロレンズアレイを上方向から見た断面図である。
図4図2のマイクロレンズアレイの部分拡大図である。
図5図4の光学系を入射側レンズ部側から見た模式図である。
図6】入射面の下面が第二面よりも下方に位置するマイクロレンズアレイの部分拡大図である。
図7図6のマイクロレンズアレイを備えた車両用灯具により形成される配光パターンを示す図である。
図8図2のマイクロレンズアレイを備えた車両用灯具により形成される配光パターンを示す図である。
図9】出射側レンズ部の変形例を右方向から見た断面図である。
図10図9の出射側レンズ部の変形例を出射側レンズ部側から見た模式図である。
図11図9の出射側レンズ部を有するマイクロレンズアレイの部分拡大図である。
図12】第二実施形態に係るマイクロレンズアレイの側面図である。
図13】光学系のレンズ部の厚さの比率と光束効率およびクロストーク光線割合との関係を例示して
図14図12に示すマイクロレンズアレイの部分拡大図である。いる。
図15】第三実施形態に係る拡散部を有するマイクロレンズアレイを右方向から見た断面図である。
図16】第三実施形態に係る拡散部を有するマイクロレンズアレイを上方向から見た断面図である。
図17】配光形成部を有するマイクロレンズアレイを右方向から見た断面図である。
図18】配光形成部を有するマイクロレンズアレイを上方向から見た断面図である。
図19】マイクロレンズアレイを構成する複数の光学系の出射側レンズ部を正面から見た図である。
図20】車両用灯具を上方向から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本開示の実施の形態の例を、図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素や部材には同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0023】
また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述される全ての特徴やその組合せは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0024】
また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「前後方向」、「上下方向」について適宜言及する。ここで、「上下方向」は、「上方向」及び「下方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」及び「後方向」を含む方向である。「左右方向」は、「左方向」及び「右方向」を含む方向である。以降に説明する図中に示した符号Uは上方向を示す。符号Dは下方向を示す。符号Fは前方向を示す。符号Bは後方向を示す。符号Lは左方向を示す。符号Rは右方向を示す。なお、マイクロレンズアレイおよび車両用灯具を車両に取り付けた状態において、これらの方向が車両について設定される各々の方向と一致するとは限らない。
【0025】
図1は、本開示の一実施形態に係る車両用灯具1の模式断面図である。図1に示すように車両用灯具1は、アウタカバー2とハウジング3とを備えている。アウタカバー2とハウジング3によって灯室4が形成されている。
【0026】
灯室4内には、光源5と、プライマリレンズ6と、マイクロレンズアレイ7と、が備えられている。光源5は、ハウジング3によって支持される基板501に搭載された状態で、前方向へ向けて配置されている。光源5としては、例えば、LED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)を用いることができる。光源5から出射される光は、プライマリレンズ6及びマイクロレンズアレイ7を通過して、車両用灯具1の前方向へと出射される。以降の説明においては、光源5の発光面の中心点から車両用灯具1の前後方向に延びる仮想的な直線を、車両用灯具1の主光軸Mxと呼ぶ。
【0027】
プライマリレンズ6は、光源5から出射される光を平行光にしてマイクロレンズアレイ7に入射させる。プライマリレンズ6として、コリメートレンズ、アプラナートレンズ、フレネルレンズなどを用いることができる。図1に示すプライマリレンズ6は、光源5と向かい合う位置に設けられた第一入射部61と、第一入射部61の周囲を囲む縦壁として設けられた第二入射部62と、を有している。光源5から第一入射部61に入射した光B1は、例えば、第一入射部61において主光軸Mxの平行光となるように屈折される。光源5から第二入射部62に入射した光B2は、反射面63によって主光軸Mxの平行光となるように反射される。
【0028】
なお、図1に示した車両用灯具1においては、光源5と、プライマリレンズ6と、マイクロレンズアレイ7と、で一つの光源ユニットを構成している。車両用灯具1は、同一の灯室4内に複数の光源ユニットを備えていてもよい。
【0029】
マイクロレンズアレイ7は、例えば、透明樹脂材またはガラス材によって形成される光学部品である。
【0030】
(第一実施形態)
次に、図2から図4を用いて、第一実施形態に係るマイクロレンズアレイ7について詳述する。図2は、図1のマイクロレンズアレイ7を右方向から見た断面図である。図3は、図1のマイクロレンズアレイ7を上方向から見た断面図である。図4は、図2のマイクロレンズアレイ7の部分拡大図である。図5は、図4のマイクロレンズアレイ7の光学系70aを入射側レンズ部71側から見た模式図である。
【0031】
図2図3に示すように、マイクロレンズアレイ7は、複数の光学系70を有する。各々の光学系70は、光の出射方向(主光軸Mx:入射側レンズ部71の光軸Ax)に直交する方向に隣接しており、各々の光学系70は一体化されている。本実施形態においては、複数の光学系70は、上下方向と左右方向とに隣接して配置されている。図示したマイクロレンズアレイ7において、各々の光学系70は互いに同一の形状・寸法となっている。光学系70(各々のマイクロレンズ)の大きさは任意であるが、照射方向正面視で約0.5~10mm四方が好ましく、さらに約0.5~5mm四方がより好ましい。また、光学系70の前後方向の厚さは、3mm~40mmが好ましい。
【0032】
各々の光学系70は、一対に設けられた入射側レンズ部71と出射側レンズ部72と、低屈折率部73と、を備えている。例えば図2に示すように、光学系70aは、入射側レンズ部71のうちの入射面71aを含む部位と、出射側レンズ部72のうちの出射面72aを含む部位と、低屈折率部73aと、を備えている。光学系70b~70fについても同様である。
【0033】
入射側レンズ部71は、低屈折率部73よりもプライマリレンズ6側に設けられている。出射側レンズ部72は、低屈折率部73よりもアウタカバー2側に設けられている。入射側レンズ部71と出射側レンズ部72は、共通の光軸Ax上に設けられており、互いに向かい合っている。各々の光学系70の光軸Axは、車両用灯具1の主光軸Mxに平行である。なお、図2では、光学系70dの光軸Axのみが示されている。ある光学系70の入射側レンズ部71に入射した光は、基本的には、同じ光学系70に属する出射側レンズ部72に入射するように構成されている。
【0034】
入射側レンズ部71と出射側レンズ部72は、それぞれ凸レンズ形状とされている。例えば図2に示すように、入射側レンズ部71の入射面と出射側レンズ部72の出射面はそれぞれ、左右方向から見ると、単一の曲率半径を有する曲面を成している。また、例えば図3に示すように、入射側レンズ部71の入射面と出射側レンズ部72の出射面はそれぞれ、上下方向から見ると、単一の曲率半径を有する曲面を成している。
【0035】
低屈折率部73は、一つの光学系70を形成する一対の入射側レンズ部71と出射側レンズ部72との間に設けられている。例えば、低屈折率部73は、マイクロレンズアレイ7を左右方向に貫通している。なお、本例においては左右方向から見た場合の低屈折率部73の形状は略長方形状であるが、略三角形状など他の形状にしてもよい。
【0036】
低屈折率部73は、その屈折率が光学系70を構成する他の部位(入射側レンズ部71、出射側レンズ部72、および入射側レンズ部71と出射側レンズ部72を連結する部分)の屈折率よりも低くなるように構成されている。例えば、低屈折率部73は、空洞部であり、その内部には例えば空気などが存在する。あるいは低屈折率部73は、他の部位を形成する材料とは異なる材料により構成されうる。低屈折率部73とその他の部位の屈折率の差は0.03以上が好ましく、さらに0.05以上がより好ましい。低屈折率部73は、密閉された閉領域であってもよいし、密閉されていない開領域であってもよい。
【0037】
図2に示すように、低屈折率部73は、出射側レンズ部72の焦点fを通って延びる第一面731と、第一面731から入射側レンズ部71の入射面へ延びる第二面732と、を含む。また、第一面731と第二面732との境界部733によってカットライン形成部が構成されている。カットライン形成部は、車両用灯具1により形成される配光パターンにおいてカットラインを形成する。本実施形態において、第一面731は、上下方向および左右方向に延びる面である。また、第二面732は、前後方向および左右方向に延びる面である。第二面732は、例えば、対応する入射側レンズ部71から入射して第二面732に到達した光を全反射するように構成される。
【0038】
入射側レンズ部71の入射面71aは、入射側レンズ部71の正面視で、第二面732と重ならない位置に設けられている。例えば図4図5に示すように、光学系70aにおいて、入射側レンズ部71の入射面71aの下面71aEは、第二面732よりも上方に位置している。すなわち、入射側レンズ部71の入射面71aは、入射側レンズ部71の正面視で、第二面732と重ならない位置に設けられている。また、入射側レンズ部71の入射面71aは、光軸Axに対して低屈折率部73aと反対側に位置している。
【0039】
例えば図2に示されるように、ある光学系70の入射側レンズ部71に入射した光のうち一部の光B3は、対となる出射側レンズ部72に向かって進行し、出射側レンズ部72の出射面から出射される。また、入射側レンズ部71に入射した光のうち、そのままでは配光パターンのカットラインよりも上部に照射されてグレアになってしまう光B4は、低屈折率部73の第二面732で反射されて出射側レンズ部72に入射される。したがって、グレアの発生を抑制しつつ、光の利用効率を高めることができている。
【0040】
しかしながら、入射側レンズ部71の入射面と第二面732の位置関係により、入射側レンズ部71に入射した光の一部が、第二面732とは異なる面から低屈折率部73に入射する場合がある。この場合、低屈折率部73を通過して出射側レンズ部72に入射された光は、出射面72aから上方に出射されてグレアの要因となりうる。
【0041】
例えば、図6は、入射面171aの下端171aEが第二面1732よりも下方に位置している光学系170aを示す図である。図6に示すように、入射側レンズ部171の入射面171aにおいて第二面1732よりも下方に位置する部分に入射した光B15は、低屈折率部173aの側面1734から低屈折率部173aに入射する。そして低屈折率部173aに入射した光B15は、低屈折率部173aを通過して、出射側レンズ部72の出射面から上方に出射される。
【0042】
図7は、光学系170aを有するマイクロレンズアレイを備えた車両用灯具により形成される配光パターンP1を示している。図7において、H-Hは水平方向(水平線H)を、V-Vは垂直方向(垂直線V)をそれぞれ示している。当該配光パターンP1は、灯具前方の所定位置、例えば灯具前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成される配光パターンである。図7に示すように、配光パターンP1は、カットラインよりも上部に位置する照射領域(図7において破線で囲まれた領域)を含む形状となる。すなわち、上述のように低屈折率部173aを通過して出射側レンズ部72の出射面から上方に出射された光は、カットラインよりも上部に照射されてグレアとなる。
【0043】
これに対して、本実施形態に係るマイクロレンズアレイ7においては、図4に示したように入射側レンズ部71の入射面71aの下面71aEは、第二面732よりも上方に位置している。すなわち、第二面732よりも下方に位置する入射面71aの部位が存在しないので、低屈折率部73の側面734から低屈折率部73に入射する光が大幅に減少する。換言すれば、入射側レンズ部71に入射した光の多くは、出射側レンズ部72に直接入射される、あるいは、低屈折率部73の第二面732に反射されて出射側レンズ部72に入射される(図4の光B5)。これにより、グレアの発生を抑制でき、図8に示すように、マイクロレンズアレイ7を備えた車両用灯具1によりカットラインを含む所望の形状を有する配光パターンP2を形成することができる。
【0044】
なお、本実施形態において、出射側レンズ部72の出射面は、左右方向から見ても上下方向から見ても単一の曲率半径を有する曲面をなしている。しかしながら、例えば図9に示すように、出射側レンズ部72Aの出射面は、曲率半径の異なる第一領域721と第二領域722を有してもよい。
【0045】
図10は、図9の出射側レンズ部72Aを出射側レンズ部72A側から見た模式図である。図10に示すように、例えば第一領域721と第二領域722を分ける境界線BLは左右方向に延びる線であり、第一領域721は第二領域722よりも上方に位置している。本例においては、第一領域721と第二領域722は、出射側レンズ部72Aの光軸Axが境界線BLを通るように、区分けされている。
【0046】
第一領域721は、カットライン形成部に焦点が位置する曲率半径を有する。第二領域722は、第一領域721の曲率半径よりも大きい曲率半径を有する。例えば、第二領域722の曲率半径は、第一領域721の曲率半径に対して1.1~1.5倍が好ましい。
【0047】
第一領域721は、図3に示したように上下方向から見ると単一の曲率半径を有する曲面をなすように形成される。第二領域722もまた、図3に示したように上下方向から見ると単一の曲率半径を有する曲面をなすように形成される。
【0048】
出射側レンズ部72の出射面が左右方向から見て単一の曲率半径を有する場合、出射側レンズ部72の入射面から入射して出射側レンズ部72の出射面に到達した光の一部は、出射面から上方に出射されて、グレアの要因となる場合がある(図11の光B16参照)。
【0049】
これに対して、出射側レンズ部72Aでは、第二領域722から出射される光の屈折の度合いが小さいので、図11に示すように、入射側レンズ部71の入射面71aから入射して出射側レンズ部72Aの出射面の第二領域722に入射した光B6は、単一の曲率半径を有する出射面から出射される光B16よりも下方に向けて出射される。したがって、グレアの発生を抑制できる。
【0050】
なお、このような出射側レンズ部72Aの構成は、マイクロレンズアレイ7を構成する全ての出射側レンズ部72に適用されてもよいし、一部の出射側レンズ部72に適用されてもよい。例えば、出射側レンズ部72Aは、入射面の曲率半径が大きく光を拡散させる構成を有する入射側レンズ部71の対となる出射側レンズ部72に適用されうる。
【0051】
また、図9に示した出射側レンズ部72Aの構成は、図2の光学系70以外の構成を有する光学系にも適用可能である。例えば、出射側レンズ部72Aの構成は、入射面の下面が低屈折率部73の第二面732と同じ又は下方に位置する光学系にも適用されうる。
【0052】
(第二実施形態)
次に、図12から図14を用いて、第二実施形態に係るマイクロレンズアレイ7について詳述する。図12は、図1に示すマイクロレンズアレイ7の側面図である。
【0053】
図12に示すように、マイクロレンズアレイ7は、複数の光学系70を有する。各々の光学系70は、光の出射方向(主光軸Mx:入射側レンズ部71の光軸Ax)に直交する方向に隣接しており、各々の光学系70は一体化されている。複数のレンズ部品が単一のマイクロレンズアレイ7として統合されているため、各々の光学系70の位置決め精度が高い。また、持ち運びなどの取り扱いが容易となっている。光学系70(各々のマイクロレンズ)の大きさは任意であるが、照射方向正面視で約0.5~10mm四方が好ましく、さらに約0.5~5mm四方がより好ましい。また、光学系70の前後方向の厚さは、3mm~40mmが好ましい。
【0054】
図12に示したように、各々の光学系70は、一対に設けられた入射側レンズ部71と出射側レンズ部72と、低屈折率部73と、を備えている。例えば、光学系70aは、入射側レンズ部71のうちの入射面71aを含む部位と、出射側レンズ部72のうちの出射面72aを含む部位と、低屈折率部73aと、を備えている。光学系70b~70fについても同様である。
【0055】
入射側レンズ部71は、低屈折率部73よりもプライマリレンズ6側に設けられている。出射側レンズ部72は、低屈折率部73よりもアウタカバー2側に設けられている。入射側レンズ部71と出射側レンズ部72は、共通の光軸Ax上に設けられており、互いに向かい合っている。各々の光学系70の光軸Axは、車両用灯具1の主光軸Mxに平行である。入射側レンズ部71と出射側レンズ部72は、それぞれ凸レンズ形状とされている。図示したマイクロレンズアレイ7においては、各々の光学系70は互いに同一の形状・寸法となっている。なお、出射側レンズ部72の焦点距離は、入射側レンズ部71のレンズ厚みDと同等またはそれ以下である。
【0056】
低屈折率部73は、一つの光学系70を形成する一対の入射側レンズ部71と出射側レンズ部72との間に設けられている。低屈折率部73は、マイクロレンズアレイ7を第一方向(図12の例では左右方向)に貫通している。 なお、本例においては左右方向から見た場合の低屈折率部73の形状は略長方形状であるが、略三角形状など他の形状にしてもよい。
【0057】
低屈折率部73は、その屈折率が光学系70を構成する他の部位(入射側レンズ部71、出射側レンズ部72、および入射側レンズ部71と出射側レンズ部72を連結する部分)の屈折率よりも低くなるように構成されている。例えば、低屈折率部73は、空洞であり、その内部には例えば空気などが存在してもよい。あるいは低屈折率部73は、他の部位を形成する材料とは異なる材料により構成されうる。低屈折率部73とその他の部位の屈折率の差は0.03以上が好ましく、さらに0.05以上がより好ましい。低屈折率部73は、密閉された閉領域であってもよいし、密閉されていない開領域であってもよい。
【0058】
低屈折率部73は、出射側レンズ部72の焦点fを通って延びる第一面731と、第一面731から入射側レンズ部71の入射面へ延びる第二面732と、を含む。また、第一面731と第二面732との境界部733によってカットライン形成部が構成されている。本実施形態において、第一面731は、上下方向および左右方向に延びる面である。また、第二面732は、前後方向および左右方向に延びる面である。第二面732は、例えば、対応する入射側レンズ部71から入射して第二面732に到達した光を全反射するように構成される。
【0059】
ある光学系70の入射側レンズ部71に入射した光は、基本的には、同じ光学系70に属する出射側レンズ部72に入射するように構成されている。例えば図12に示されるように、入射側レンズ部71に入射した光B11は、対となる出射側レンズ部72に向かって進行し、出射側レンズ部72の出射面から出射される。しかしながら、光源から出射された光は、光源の種類によって程度の差はあるものの、放射状に広がる傾向がある。このため、入射側レンズ部の形状などを調整しても、光源から出射され入射側レンズ部に入射した光が対となる出射側レンズ部に到達しないことがある。本実施形態においては、マイクロレンズアレイ7は、第二面732を有する低屈折率部73を備えている。これにより、入射側レンズ部71に入射した光のうち、そのままでは対となる出射側レンズ部72に入射しないような光の少なくとも一部(光B12)を、低屈折率部73の第二面732で反射させて対となる出射側レンズ部72に入射させることができる。
【0060】
各々の光学系70は、入射側レンズ部71の入射面から境界部733までの厚さAと境界部733から出射側レンズ部72の出射面までの厚さBの比率A:Bが1.8:1以上となるように形成されている。なお、本明細書において厚さとは、光軸Axに沿った方向(図12の例では前後方向)の厚さを意味する。より詳細には、厚さAとは、光軸Ax上における入射側レンズ部71の入射面の最も突出した部位から境界部733までの寸法である。厚さBとは、光軸Ax上における境界部733から出射側レンズ部72の出射面の最も突出した部位までの寸法である。
【0061】
図13は、光学系70におけるレンズ部の厚さの比率A:Bと光束効率およびクロストーク光線割合との関係を例示している。図13において、横軸は比率A:Bを表している。縦軸は光束効率およびクロストーク発生割合を表している。黒三角は光束効率の値を示しており、黒丸がクロストーク光線割合の値を示している。
【0062】
光束効率(%)は、シミュレーションソフトにより算出した参考値である。
クロストーク光線割合(%)は、入射側レンズ部71の入射面に入射した光が対ではない隣の出射側レンズ部72の出射面に入射する割合(いわゆる光のクロストークの発生割合)を示している。クロストーク光線割合(%)は、{(C-P/2)/C}×100により算出される。
【0063】
ここで、図14に示したように、Pは入射側レンズ部71(出射側レンズ部72)のピッチである。Cは、入射側レンズ部71の入射面71aに入射した光のうち、対ではない隣の出射側レンズ部72の出射面72bに入射する光B13の高さ(光軸Ax光に沿って対となる出射側レンズ部72の出射面72aに入射する光B14に対する高さ)である。C-P/2は、隣の出射側レンズ部72の出射面72bに入射する光B13において隣の出射側レンズ部72にはみ出している部分の高さである。なお、本明細書において高さとは、光軸Axに直交する方向(図13では上下方向)の高さを意味する。また、P:C=A:Bの関係が成り立つので、クロストーク光線割合(%)は、{(C-P/2)/C}×100=(1-A/2B)×100により算出できる。
【0064】
図13に示すように、比率A:Bが大きくなるにつれて光のクロストーク発生割合が小さくなり、比率A:Bが2:1以上になると光のクロストーク発生割合がゼロとなった。すなわち、理論上、比率A:Bが2:1以上であれば光のクロストークが発生しなくなることが分かった。そこで、実際に複数のサンプルを制作して光のクロストーク発生割合を確認した。各部の寸法誤差などに起因して、比率A:Bが1.8以上であれば、光のクロストークの発生が抑制できることを確認できた。
【0065】
上述のように、本実施形態に係る光学系70は、比率A:Bが1.8:1以上になるように形成されているので、入射側レンズ部71から入射した光の一部が低屈折率部73の第二面732で反射されずに対ではない隣の出射側レンズ部72に入射する光のクロストークの発生を抑制できる。また、入射側レンズ部71から入射して低屈折率部73の第二面732で反射した光も、対ではない隣の出射側レンズ部72に入射することを抑制できる。したがって、光の利用効率を高めることができる。
【0066】
また、図13に示すように、比率A:Bが大きくなるにつれて光束効率が大きくなり、比率A:Bが2.5:1以上になると光束効率は飽和状態となる。他方、光学系70において比率A:Bが大きくなるほど、光学系70により投影される像のサイズが大きくなる傾向になる。したがって、各々の光学系70は、比率A:Bが2.5:1以下となるように形成されることが好ましい。光学系70を比率A:Bを2.5:1以下となるように形成することにより、投影像が求めている投影像に対して大きくなりすぎることを抑制できる。
【0067】
なお、図14に示した例(光軸Ax上に入射側レンズ部71が存在する構成)とは異なり、入射側レンズ部71の一部が削られて光軸Ax上に入射側レンズ部71が存在しない構成における厚さAとは、存在している入射側レンズ部71の入射面の曲率を保ったまま入射面を光軸Axと交差する位置まで仮想的に延長した場合に、仮想的に延長した入射面のうち光軸Ax上に位置する仮想点から光軸Axに沿って境界部733まで延ばした仮想線の長さを意味する。
もっとも、実際には「入射側レンズ部71の入射面の最も突出した部位」と「仮想点」との光軸方向のずれ量は、他の寸法B,C,Pと比較して極めて小さい。このため、「存在している入射側レンズ部71の入射面のうち最も突出した部位」から境界部733までの光軸Ax方向の距離を厚さAとして上式を計算したとしても、1.8や2.5といった数値範囲に大きな影響は及ばない。
【0068】
(第三実施形態)
次に、図15および図16を用いて、第三実施形態に係るマイクロレンズアレイ7について説明する。図15は、拡散部40を有するマイクロレンズアレイ7を右方向から見た断面図である。図16は、拡散部40を有するマイクロレンズアレイ7を上方向から見た断面図である。
【0069】
マイクロレンズアレイ7は、複数の光学系41を有する。複数の光学系41は上下方向(第一方向の一例)と左右方向(第二方向の一例)とに隣接して配置されている。図示したマイクロレンズアレイ7において、各々の光学系41の形状および寸法は同一である。各々の光学系41は透明樹脂材またはガラス材などから構成される単一の光学部品である。光学系41の大きさは任意であるが、例えば、単一の光学系41における正面視において、0.5mm~10mm四方であることが望ましく、より好ましくは0.5mm~5mm四方であることが望ましい。また、光学系41の前後方向の厚さは、3mm~40mmであることが望ましい。
【0070】
各々の光学系41はそれぞれ、一対の入射側レンズ部42および出射側レンズ部43と空洞部44とを有する。入射側レンズ部42は、空洞部44よりもプライマリレンズ6側に設けられている。出射側レンズ部43は、空洞部44よりもアウタカバー2側に設けられている。入射側レンズ部42と出射側レンズ部43とは互いに向き合っており、共通の光軸Ax2を有する。なお、光軸Ax2は主光軸Mxと平行である。入射側レンズ部42は、凸レンズ形状である。入射側レンズ部42は、プライマリレンズ6によって入射させられた光を、対応する出射側レンズ部43に入射するように構成されている。なお、入射側レンズの焦点は、後述する空洞部44付近に存在することが望ましい。
【0071】
空洞部44は、一つの光学系41を形成する入射側レンズ部42と出射側レンズ部43との間に設けられている。空洞部44は、マイクロレンズアレイ7を左右方向に貫通する空洞である。空洞部44の内部には、例えば空気などの任意の媒質が存在する。また、空洞部は密閉された閉領域であっても、密閉されていない開領域であっても良い。なお、図15にて例示する空洞部44は開領域である。
【0072】
図15に示すように、空洞部44は第一面44Aと第二面44Bを持つ。第一面44Aは、上下方向と左右方向とを含む平面上にある。第二面44Bは、前後方向と左右方向とを含む平面上にある。第一面44Aと第二面44Bの境界部によってカットライン形成部が構成されている。対応する入射側レンズ部42から入射して第二面44Bに届いた光を全反射するように第二面44Bを構成することが望ましい。
【0073】
出射側レンズ部43は、光学系41の中を通って出射側レンズ部43に入射した光をアウタカバー2側に出射する。ここで、図15に示すように出射側レンズ部43の出射面を左右方向から見ると出射面は曲面を成している。また、図16に示すように出射側レンズ部43の出射面を上下方向から見ると、出射面は平面を成している。
なお、出射側レンズ部43の出射面を左右方向から見ると出射面は曲面を成し、出射側レンズ部43の出射面を上下方向から見ると出射面は平面を成している光学系41が構成するマイクロレンズアレイを拡散部40と呼ぶことがある。
【0074】
図15および図16を用いて、拡散部40を通過する光の光路について説明する。
はじめに、拡散部40を左右方向から見た場合の光路について説明する。図15に示すように、主光軸Mxおよび光軸Ax2と略平行に入射側レンズ部42の入射面に入射した光は、入射面において屈折する。入射面において屈折した光のうちの一部の光L1は、空洞部44の第二面44Bにおいて全反射し、出射側レンズ部43に向かって進行する。入射面において屈折した他の光L2は、直接出射側レンズ部43に向かって進行する。出射側レンズ部43に入射した光は、出射側レンズ部43の出射面において屈折する。
【0075】
光L1は、第二面44Bで反射されなければ、光L1が入射した入射側レンズ部42と対応しない異なる光学系の出射側レンズ部に進行することがある。この場合、出射側レンズ部の出射面において屈折して出射した光が、所望の方向に進行せずに迷光の原因となることがある。本実施形態に係るマイクロレンズアレイ7は空洞部44の第二面44Bを備えているので、入射側レンズ部42から入射した光のほぼすべてを対応する出射側レンズ部43から出射させることができるので、迷光の発生を低減できるとともに、光の利用効率を向上させることもできる。
また、空洞部44の第一面44Aおよび第二面44Bの境界部によって構成されるカットライン形成部は、第二面44Bで反射されなければ出射側レンズ部43の出射面における屈折によって上方に照射されるはずの光を好適に遮断する。このため、車両用灯具1の前方の上方に照射されて対向車に眩しさを与えるおそれのある光が生じにくくされている。
【0076】
次に、拡散部40を上下方向から見た場合の光路について説明する。図16に示すように、主光軸Mxと略平行に入射側レンズ部42の入射面に入射した光は、入射面において屈折する。入射面において屈折した光は入射側レンズ部42の焦点でいったん収束した後に、再び拡散するようにマイクロレンズアレイ7内を進行する。出射側レンズ部43に入射した光は、出射面において屈折する。このとき、出射面において屈折した光はさらに拡散するように進行する。
【0077】
特許文献1のようなマイクロレンズアレイは(図18も参照)、出射側レンズ部の出射面を上下方向から見ても左右方向から見ても凸状の曲面を成している。このとき、図18に示すように出射面レンズの出射面から出射する光は拡散せずに、集光しようとする傾向がある。このようなマイクロレンズアレイにおいて、ロービーム用の配光パターンを形成しようとすると、左右方向の光の拡散が不足しがちであった。
【0078】
本実施形態に係るマイクロレンズアレイ7において、拡散部40を構成する光学系41に係る出射側レンズ部43の出射面は、第一方向である上下方向から見ると平面をなし、第二方向である左右方向から見ると曲面をなす。
左右方向から見た場合、拡散部40の出射側レンズ部43の出射面は曲面であるため、拡散部40から出射される光は上下方向には集光しやすい。一方で、上下方向から見た場合、拡散部40の出射側レンズ部43の出射面は平面であるため、拡散部40から出射される光は左右方向に拡散しやすい。
車両用灯具1は左右方向の照射範囲は、上下方向の照射範囲よりも広いことが求められる。本実施形態に係る車両用灯具1によれば、左右方向の照射範囲が広い配光パターンを形成しやすい。
【0079】
本実施形態に係るマイクロレンズアレイ7は、拡散部40を構成する光学系41の他に、配光形成部50を構成する光学系51をさらに備えていても良い。図17は、配光形成部50を有するマイクロレンズアレイ7を右方向から見た断面図である。図18は、配光形成部50を有するマイクロレンズアレイ7を上方向から見た断面図である。配光形成部50は拡散部40と比較して、出射側レンズの出射面が上下方向から見ても、曲面を成している点が異なっている。
【0080】
図17および図18を用いて、配光形成部50を通過する光の光路について説明する。
配光形成部50を左右方向から見た場合の光路については、拡散部40と同様である。つまり、出射側レンズ部53の出射面から出射した光は、概ね下方向に向かいつつ収束するように進行する。
【0081】
次に、配光形成部50を上下方向から見た場合の光路について説明する。図18に示すように、主光軸Mxと略平行に入射側レンズ部52の入射面に入射した光は、入射面において屈折する。入射面において屈折した光は入射側レンズ部52の焦点でいったん収束した後に、再び拡散するようにマイクロレンズアレイ7内を進行する。出射側レンズ部53に入射した光は、出射面において屈折する。しかし、拡散部40における光路とは異なり、出射面において屈折した光は収束するように進行する。
【0082】
本実施形態に係るマイクロレンズアレイ7の光学系41,51は、拡散部40の他に、配光形成部50も構成しうる。配光形成部50は集光した配光パターンを形成しやすい。マイクロレンズアレイ7は、拡散部40により広く光を照射することと、配光形成部50により集光された光を照射することとを両立できる。
【0083】
図17および図18に示すように、拡散部40および配光形成部50の入射側レンズ部42,52は、入射面において異なる2つの曲率半径を持つバイコーニックレンズであってもよい。このときすなわち、入射側レンズ部42,52を左右方向から見たときと上下方向から見たときとで曲率半径が異なる。
【0084】
ここで、拡散部40と配光形成部50とを上下方向から見たときに、入射側レンズ部42,52の入射面の曲率半径が異なっていることが望ましい。図16および図18を比較すると、拡散部40の入射側レンズ部42が有する入射面の曲率半径は、配光形成部50の入射側レンズ部52が有する入射面の曲率半径よりも小さい。
【0085】
拡散部40の入射側レンズ部42の入射面の曲率半径は、配光形成部50の入射側レンズ部52の入射面の曲率半径よりも小さいので、拡散部40の入射側レンズ部42の焦点距離は、配光形成部50の入射側レンズ部52の焦点距離よりも短くなる。これにより、拡散部40内を通過する光はより拡散される。
【0086】
図19はマイクロレンズアレイ7を構成する複数の光学系41,51の出射側レンズ部43,53を正面(前方)から見た図である。図19に示すように、拡散部40は配光形成部50に囲まれている。このように構成することで、意匠性の高いマイクロレンズアレイ7を実現できる。
【0087】
本実施形態に係る車両用灯具1は、光源5とプライマリレンズ6の他に、上記のマイクロレンズアレイ7を備えている。これにより、より拡散された光を照射できる車両用灯具1を実現できる。
【0088】
本実施形態に係る車両用灯具1において、拡散部40と配光形成部50とに光を照射させる光源を分けて構成しても良い。図20は、車両用灯具1を上方向から見た断面図である。灯室4には、拡散部40と配光形成部50とを備えたマイクロレンズアレイ7の他に、第一光源5A、第二光源5B、第一プライマリレンズ6A、および、第二プライマリレンズ6Bを備えている。第一光源5Aから出射した光は第一プライマリレンズ6Aを介して配光形成部50に入射する。第二光源5Bから出射した光は第二プライマリレンズ6Bを介して拡散部40に入射する。
【0089】
このような車両用灯具1において、第一光源5Aから照射された光は第一プライマリレンズ6Aを通って配光形成部50に入射し、第二光源5Bから照射された光は第二プライマリレンズ6Bを通って拡散部40に入射する。配光形成部50と拡散部40とに、それぞれ独立して光源とプライマリレンズとが設けられているので、車両用灯具1の設計が光学的に容易である。
【0090】
なお、拡散部40と配光形成部50とに光を照射する光源を分ける車両用灯具について例示したが、車両用灯具は、1つの光源から拡散部と配光形成部とを備えるマイクロレンズアレイに向けて光を照射するように構成されてもよい。
【0091】
以上、実施形態に基づいて本開示を説明した。本実施形態は本開示の一例であって、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本開示を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0092】
本開示のマイクロレンズアレイ7は、車両用灯具に用いることが好適ではあるが、他の用途の灯具に用いてもよい。
【0093】
本出願は、2021年8月30日出願の日本特許出願2021-139973号、2021年8月30日出願の日本特許出願2021-139974号および2021年8月30日出願の日本特許出願2021-139975号に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20