(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-12-19
(45)【発行日】2026-01-05
(54)【発明の名称】リアクトル
(51)【国際特許分類】
H01F 37/00 20060101AFI20251222BHJP
H01F 27/24 20060101ALI20251222BHJP
H01F 41/12 20060101ALI20251222BHJP
【FI】
H01F37/00 M
H01F37/00 C
H01F37/00 H
H01F37/00 A
H01F37/00 E
H01F37/00 R
H01F27/24 K
H01F41/12 F
(21)【出願番号】P 2021214112
(22)【出願日】2021-12-28
【審査請求日】2024-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】390005223
【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 龍太
【審査官】井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-223123(JP,A)
【文献】特開2010-080907(JP,A)
【文献】国際公開第2018/193854(WO,A1)
【文献】特開2010-263077(JP,A)
【文献】特開2010-171358(JP,A)
【文献】特開2006-294997(JP,A)
【文献】中国実用新案第211907140(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 37/00
H01F 27/24
H01F 41/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から電流が流される主コイルと、
磁性体を含み、前記主コイルが装着されるコアと、
前記コアを被覆し、前記コアと前記主コイルとの間に介在するコア被覆樹脂と、
前記主コイルの磁束が入って電流を発生させる補助巻線と、
前記補助巻線を支持して、前記補助巻線が前記コアに嵌るように前記コア被覆樹脂に設置される、当該コア被覆樹脂とは別体の補助巻線支持体と、
を備え
、
前記補助巻線支持体は、
環状の内枠及び外枠と、
前記内枠と前記外枠との間の溝部と、
を有し、
前記補助巻線は、前記溝部に配線され、
前記補助巻線支持体の前記外枠は、前記補助巻線と離間した角部を有すること、
を特徴とするリアクトル。
【請求項2】
外部から電流が流される主コイルと、
磁性体を含み、前記主コイルが装着されるコアと、
前記コアを被覆し、前記コアと前記主コイルとの間に介在するコア被覆樹脂と、
前記主コイルの磁束が入って電流を発生させる補助巻線と、
前記補助巻線を支持して、前記補助巻線が前記コアに嵌るように前記コア被覆樹脂に設置される、当該コア被覆樹脂とは別体の補助巻線支持体と、
を備え
、
前記補助巻線支持体は、
環状の内枠及び外枠と、
前記内枠と前記外枠との間の溝部と、
を有し、
前記補助巻線は、
前記溝部に配線され、
前記補助巻線支持体から引き出されるリード線と、
前記リード線とは180度反対側の湾曲領域と、
を有し、
前記補助巻線支持体の前記外枠は、前記補助巻線の前記湾曲領域に対向し、当該湾曲領域の位置を規制する壁部を有すること、
を特徴とするリアクトル。
【請求項3】
前記補助巻線は、
前記補助巻線支持体から引き出されるリード線と、
前記リード線とは180度反対側の湾曲領域と、
を有し、
前記補助巻線支持体の前記外枠は、前記補助巻線の前記湾曲領域に対向し、当該湾曲領域の位置を規制する壁部を有すること、
を特徴とする請求項
1記載のリアクトル。
【請求項4】
前記コアは、複数の脚部と当該脚部を繋ぐヨーク部とを含んで閉環状を有し、
前記コア被覆樹脂は、前記ヨーク部を被覆するヨーク収容部を有し、
前記補助巻線は、前記ヨーク収容部と前記補助巻線支持体との間に挟まれていること、
を特徴とする請求項1
乃至3の何れかに記載のリアクトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リアクトルに関する。
【背景技術】
【0002】
リアクトルは主としてコイルとコアとから成る。コイルは、通電により巻数に従って磁束を発生させる。以下、外部から通電されて磁束を発生させることにより誘導性リアクタンスとして機能するコイルを主コイルと呼ぶ。コアは、コイルが発生させた磁束を真空よりも高い透磁率に従って通す閉磁路となる。即ち、リアクトルは、電気エネルギーを磁気エネルギーに変換して蓄積及び放出する電磁気部品である。
【0003】
このようなリアクトルは、多種多様の用途に使用されている。代表的なリアクトルとして、昇圧リアクトル、直列リアクトル、並列リアクトル、限流リアクトル、始動リアクトル、分路リアクトル、中性点リアクトル及び消弧リアクトル等が挙げられる。
【0004】
昇圧リアクトルは、ハイブリッド自動車や電気自動車の駆動システム等の車載用の昇圧回路に組み込まれる。直列リアクトルは、電動機回路に直列に接続し短絡時の電流を制限する。並列リアクトルは、並列回路間の電流分担を安定させる。限流リアクトルは、短絡時の電流を制限しこれに接続される。始動リアクトルは、機械を保護する電動機回路に直列に接続して始動電流を制限する。分路リアクトルは、送電線路に並列接続されて進相無効電力の補償や異常電圧を抑制する。中性点リアクトルは、中性点と大地間に接続して電力系統の地絡事故時に流れる地絡電流を制限するために使用する。消弧リアクトルは、三相電力系統の1線地絡時に発生するアークを自動的に消滅させる。
【0005】
このようなリアクトルにおいて、リアクトルの状態を検知するために補助巻線が設けられる場合がある。補助巻線は、主コイルが発生させた磁束を受けて、磁束に応じた電流を流す。この補助巻線の電流値を検知することで、例えばリアクトルが発生させた磁束の計測といったセンサ等に使われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、回路の小型化と電気部品の集積化の進展によってリアクトルの小型化が求められている。リアクトルは、コイルをコアに装着して成る。コアは閉磁路を形成するために、コイルが装着される脚部と、この脚部と平行な他の脚部、各脚部を両側から挟んで閉環形状を画成するヨーク部を有する。リアクトルの小型化のために脚部間の間隔は狭くなっている。更に、コアはコイルとの絶縁のために絶縁性能を有する樹脂で被覆される。従って、樹脂で被覆された脚部間は更に狭くなっている。
【0008】
このような狭い領域に補助巻線を挿し込み、脚部に巻き付けて引き出す作業は、リアクトルの小型化に伴って難しくなってきており、補助巻線を撓むことなく良好に設置できない虞も生じ得る。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、補助巻線が容易に設置できることで高品質なリアクトルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明の実施形態に係るリアクトルは、外部から電流が流される主コイルと、磁性体を含み、前記主コイルが装着されるコアと、前記コアを被覆し、前記コアと前記主コイルとの間に介在するコア被覆樹脂と、前記主コイルの磁束が入って電流を発生させる補助巻線と、前記補助巻線を支持して、前記補助巻線が前記コアに嵌るように前記コア被覆樹脂に設置される、当該コア被覆樹脂とは別体の補助巻線支持体と、を備える。
【0011】
前記コアは、複数の脚部と当該脚部を繋ぐヨーク部とを含んで閉環状を有し、前記コア被覆樹脂は、前記ヨーク部を被覆するヨーク収容部を有し、前記補助巻線は、前記ヨーク収容部と前記補助巻線支持体との間に挟まれているようにしてもよい。
【0012】
前記補助巻線支持体は、環状の内枠及び外枠と、前記内枠と前記外枠との間の溝部と、を有し、前記補助巻線は、前記溝部に配線されるようにしてもよい。
【0013】
前記補助巻線支持体の前記外枠は、前記補助巻線と離間した角部を有するようにしてもよい。
【0014】
前記補助巻線は、前記補助巻線支持体から引き出されるリード線と、前記リード線とは180度反対側の湾曲領域と、を有し、前記補助巻線支持体の前記外枠は、前記補助巻線の前記湾曲領域に対向し、当該湾曲領域の位置を規制する壁部を有するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、補助巻線が容易に設置できることでリアクトルが高品質化する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図6】補助巻線支持体に補助巻線をセットした状態を示す斜視図である。
【
図7】補助巻線が配線された補助巻線支持体とコア被覆樹脂と主コイルの分解斜視図である。
【
図8】補助巻線支持体とコア被覆樹脂とを組み立てた後の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態のリアクトルについて説明する。各図面においては、理解容易のため、厚み、寸法、位置関係、比率又は形状等を強調して示している場合があり、本発明は、それら強調に限定されるものではない。
【0018】
図1は、本実施形態のリアクトルの主構成を示す斜視図である。リアクトル1は、電気エネルギーを磁気エネルギーに変換して蓄積及び放出する電磁気部品である。リアクトル1は、主コイル2とコア3と補助巻線4とを備えている。主コイル2と補助巻線4はコア3に嵌っている。例えば、リアクトル1は、1個のコア3に対して3個の主コイル2と3個の補助巻線4を有している。
【0019】
主コイル2は、リアクトル1が組み込まれる回路から電流が流されて磁束を発生させるインダクタであり、回路に誘導性リアクタンスを導入する。この主コイル2は、エナメル被覆等の絶縁被覆が施された導電線を筒状に巻いた巻回体であり、巻軸に沿って1ターンごとに巻位置をずらしながら螺旋状に巻回することで形成される。主コイル2は、例えば平角線であり、導電線の幅広面が主コイル2の巻軸との直交方向に拡がるように、導電線が巻回されて成る螺旋状のエッジワイズコイルである。主コイル2としては、また例えばフラットワイズコイルを採用することもできる。
【0020】
主コイル2の巻き始めと巻き終わりには引出線21が引き出されている。引出線21は、バスバー(不図示)に接続されている。バスバーは、回路内の他機器との接続するための接続導体であり、例えば銅等の導体を引き出した長板である。各引出線21は各バスバーと溶接等により接続されている。このバスバーに回路内の他機器の端子が接続されることで、主コイル2に対して外部から電流供給される。
【0021】
補助巻線4は、リアクトル1の状態を検出するために、主コイル2が発生させてコア3を通る磁束を受けて、当該磁束に応じた起電力を生じ、補助巻線4に接続された磁力センサ等の外部機器に電流を流す。この補助巻線4は、導電線を概略360度に亘って一巻き以上された巻回体であり、巻き始め及び巻き終わりのリード線41が並べて引き出されている。この補助巻線4は例えばエナメル被覆等の絶縁被覆が施された丸線である。補助巻線4は、主コイル2と一対一で対応して配置されており、より磁束漏れの影響が少ない磁束を得るために、対応の主コイル2の磁束導出端面の近傍に配置されている。
【0022】
コア3は、磁性体を含み、主コイル2が発生させた磁束を真空よりも高い透磁率に従って通す閉磁路となる。磁性体としては、圧粉磁心、フェライト磁心、メタルコンポジットコア又は積層鋼板等が挙げられる。圧粉磁心は、磁性粉末を押し固めた圧粉成形体を焼鈍したものである。磁性粉末は、鉄を主成分とし、純鉄粉、鉄を主成分とするパーマロイ(Fe-Ni合金)、Si含有鉄合金(Fe-Si合金)、センダスト合金(Fe-Si-Al合金)、アモルファス合金、ナノ結晶合金粉末、又はこれら2種以上の粉末の混合粉などが挙げられる。メタルコンポジットコアは、磁性粉末と樹脂とが混練され成型されて成るコアである。
【0023】
図2は、コア3の斜視図であり、説明の都合上、一部の主コイル2を省いている。コア3は、ヨーク部31と嵌装脚部32と接続脚部33とを備えた縦格子状の閉磁路である。ヨーク部31は、主コイル2及び補助巻線4の巻軸に直交して延び、全主コイル2を包含する長さを有する。コア3は、一対のヨーク部31を備えている。一対のヨーク部31は、主コイル2の巻軸と直交両端面側から全主コイル2を挟んでいる。
【0024】
嵌装脚部32は、主コイル2と補助巻線4とが嵌入される。嵌装脚部32は、主コイル2と補助巻線4の組数分、間隔を空けてヨーク部31間に延びている。この嵌装脚部32は、主コイル2内が空芯となる脚部であり、突起部32aと断絶域32bとから成る。突起部32aは、各ヨーク部31から延び、ヨーク部31と一体成型された同種の磁性体により成る突起であり、補助巻線4が掛けられ、主コイル2の環状面入口付近に入り込んで延びている。一対の突起部32a間が断絶域32bであり、換言すると嵌装脚部32は突起部32a間が途切れている。接続脚部33は、嵌装脚部32の両脇に延び、一対のヨーク部31間を繋いでいる。
【0025】
尚、嵌装脚部32は、これに限らず、ヨーク部31間に断絶無く連続して延びていても良い。また、嵌装脚部32は、ヨーク部31間に架橋されつつ、インダクタンス低下を防止する磁気的なギャップを有していてもよい。磁気的なギャップとしては、非磁性体、セラミック、非金属、樹脂、炭素繊維、若しくはこれら2種以上の合成材、ギャップ紙又はエアギャップを用いることができる。
【0026】
図3は、リアクトル1の全構成を示す斜視図である。このコア3は、コア被覆樹脂5によって被覆され、主コイル2及び補助巻線4は、コア被覆樹脂5の上からコア3に装着される。補助巻線4は、コア被覆樹脂5とは別体の補助巻線支持体6に固定してから、補助巻線支持体6をコア被覆樹脂5に取り付けることによってコア3に装着する。コア被覆樹脂5には、補助巻線止め55が延設されており、装着された補助巻線4から引き出されたリード線41が外れないように係止されている。補助巻線止め55は、鉤状に延出し、補助巻線4の被覆層を縮径させて嵌め込んでいる。
【0027】
このコア被覆樹脂5は、コア3を機械的衝撃から保護すると共に、少なくとも主コイル2及び補助巻線4とコア3とが近接する箇所を覆って、主コイル2と補助巻線4に対してコア3を絶縁させている。補助巻線支持体6は、補助巻線4の装着を容易にしている。コア被覆樹脂5及び補助巻線支持体6の材質としては、例えばエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、BMC(Bulk Molding Compound)、PPS(Polyphenylene Sulfide)、PBT(Polybutylene Terephthalate)、又はこれらの複合が挙げられ、コア被覆樹脂5は絶縁性及び耐熱性を備えている。コア被覆樹脂5及び補助巻線支持体6には熱伝導性のフィラーを混入させてもよい。
【0028】
その他、このリアクトル1においては、バスバーを固定し、外部機器の端子とバスバーとを締結するための端子台(不図示)が設けられている。また、このリアクトル1は、コア被覆樹脂5で覆われたコア3、当該コア3に嵌め込まれた主コイル2及び補助巻線4から成るリアクトル本体を収容するケース(不図示)を備えている。ケースは、例えばアルミニウム合金等、熱伝導性が高く軽量な金属で構成されており、放熱性を有する。このケースは、上面開口及び有底の概略箱形状を有する。
【0029】
尚、リアクトル本体とケースとの隙間には、充填剤が充填されて固化していてもよい。充填剤は、主コイル2及びコア3の放熱性能の確保及び主コイル2及びコア3からケースへの振動伝搬の軽減のため、比較的柔らかく熱伝導性の高い樹脂が適している。また、充填剤は絶縁性を有することが好ましい。この充填剤としては、例えばシリコーン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂が挙げられる。
【0030】
図4は、コア被覆樹脂5の分解図である。
図4に示すように、コア被覆樹脂5は、短脚樹脂部51と長脚樹脂部56とに分かれて構成されている。短脚樹脂部51は、ヨーク部31を被覆するヨーク収容部52を備える。ヨーク収容部52からは、嵌装脚部32を覆い、また主コイル2が嵌る主コイル挿通部53が延びる。更に、ヨーク収容部52からは、接続脚部33を覆う接続脚収容部54が延びている。
【0031】
また、長脚樹脂部56は、ヨーク部31を被覆するヨーク収容部57を備える。ヨーク収容部57からは、嵌装脚部32を覆い、また主コイル2が嵌る主コイル挿通部58が延びる。更に、ヨーク収容部57からは、接続脚部33を覆う接続脚収容部59が延びている。短脚樹脂部51と長脚樹脂部56とにおいて、短脚樹脂部51の主コイル挿通部53及び接続脚収容部54は、長脚樹脂部56の主コイル挿通部58及び接続脚収容部59より短い。
【0032】
短脚樹脂部51において、ヨーク収容部52の延び方向に沿って、主コイル挿通部53と接続脚収容部54が交互に並ぶ。また、長脚樹脂部56において、ヨーク収容部57の延び方向に沿って、主コイル挿通部58と接続脚収容部59が交互に並ぶ。短脚樹脂部51は、ヨーク収容部52と主コイル挿通部53で、突起部32aが突出した一方のヨーク部31を被覆する。長脚樹脂部56は、ヨーク収容部57と主コイル挿通部58で、突起部32aが突出した他方のヨーク部31を被覆する。また、長脚樹脂部56は、接続脚収容部59で接続脚部33を被覆する。接続脚部33は、短脚樹脂部51の接続脚収容部54と同長分、長脚樹脂部56の接続脚収容部59の先端から露出している。
【0033】
そして、長脚樹脂部56の主コイル挿通部58に主コイル2を装着する。次に、主コイル挿通部53と主コイル挿通部58を突き合わせ、接続脚収容部59から露出した接続脚部33を接続脚収容部54に挿入しつつ、接続脚収容部54と接続脚収容部59を突き合わせることにより、コア3は閉環状に組み立てられる。ここで、補助巻線4は、短脚樹脂部51の主コイル挿通部53と、隣の一方の接続脚収容部54との間を通り、主コイル挿通部53を一回りし、この主コイル挿通部53と、隣の他方の接続脚収容部54から引き出されるように、速やかに、撓み無く高品質に設置される。この補助巻線4の装着作業が補助巻線支持体6を用いた作業によって簡略化されている。
【0034】
図5は、補助巻線支持体6の斜視図である。
図5に示すように、補助巻線4を速やかに撓み無く高品質に設置するために、このリアクトル1は、補助巻線支持体6を備えている。この補助巻線支持体6は、コア被覆樹脂5とは別体の樹脂板であり、補助巻線4を収容し、コア被覆樹脂5に嵌合にて取り付けられる。
【0035】
補助巻線支持体6は、平面部63、内枠61、外枠62及び庇部68を有する。平面部63は環形状の平坦板であり、内側が開口している。内枠61は、平面部63の内縁に沿って全周に亘って無端状に立ち上がっており、平面部63を基準に垂直に延びている。内枠61の平面部63からの高さは、少なくとも補助巻線4の導線直径以上である。内枠61は、面取りされた概略矩形であり、壁面の一部に嵌合爪67が形成されている。嵌合爪67は、コア被覆樹脂5と嵌合する爪であり、弾性変形可能に内枠61の他の壁面と断絶している。
【0036】
外枠62は、平面部63の外縁に沿って、平面部63を基準に垂直に立ち上がっており、内枠61と同じ方向に延びている。外枠62の平面部63からの高さは、少なくとも補助巻線4の導線直径以上である。この外枠62は、平面部63の外縁の3方向を囲むように立ち上がって概略U字状である。即ち、外枠62は、対向して互いに平行な側壁部621と、側壁部621の端部に側壁部621間に延び、側壁部621と直交する直線状のU字底側壁部622を有する。側壁部621とU字底側壁部622との間は、面取りされた湾曲角部623で繋がっている。
【0037】
この補助巻線支持体6は、平面部63と内枠61と外枠62とによって溝部64が画成されている。溝部64は断面U字型であり、平面部63を底とする有底であり、一端は補助巻線4を挿し入れ可能に露出面65になっている。平面部63を基端として外枠62の頂上には、挿し入れた補助巻線4が脱落を抑制するコイル止め66が突出している。コイル止め66は、例えば二辺の側壁部621及びU字底側壁部622の三方から溝部64上に差し掛かり、内枠61に向けて突出し、平面部63と平行に延びる。コイル止め66は、補助巻線4の一次的な縮径により、コイル止め66と内枠61との間に補助巻線4を挿入可能な程度に突出している。
【0038】
庇部68は、平面部63に沿ってU字型に延在する外枠62の解放端を横断する板面である。この庇部68は、平面部63のうち、外枠62が延出した箇所以外の残りの外縁から立ち上がる。庇部68は、内枠61及び外枠62よりも高く立ち上がり、外枠62のU字底側壁部622よりも長く延び、外枠62の両側壁部621よりも外方へはみ出ている。内枠61と庇部68との間は、補助巻線4を配線可能に、補助巻線4の導線直径以上の間隔が空いている。
【0039】
図6は、補助巻線支持体6に補助巻線4をセットした状態を示す斜視図である。
図6に示すように、この補助巻線支持体6の露出面65から溝部64内にコイル止め66を超えて補助巻線4を押し込む。そして、庇部68側を起点にして、補助巻線4を内枠61に沿って1周に亘って、内枠61を締め付けるように巻き付けることで、補助巻線4に環状の湾曲領域42を作出する。このとき、外枠62の内外は湾曲角部623によって隔てられているので、外枠62の角から外枠62の外側に補助巻線4の湾曲領域42が逸脱し、誤ってU字底側壁部622と外表面側を補助巻線4の湾曲領域42が通り、補助巻線4の巻回半径が拡径することが抑制される。
【0040】
リード線41は、庇部68側から引き出す。このリード線41から180度反対側では、補助巻線4の湾曲領域42が外枠62側へ膨らもうとするが、U字底側壁部622によって湾曲領域42の膨らみは阻まれる。従って、補助巻線4は、規定の半径で巻回され、半径方向に拡径することが阻止されている。
【0041】
図7は、補助巻線4が配線された補助巻線支持体6とコア被覆樹脂5と主コイル2の分解斜視図である。
図7に示すように、補助巻線支持体6は、補助巻線4が露出した露出面65を短脚樹脂部51のヨーク収容部52に向き合わせて、主コイル挿通部53に装着される。主コイル2についても、短脚樹脂部51の主コイル挿通部53と長脚樹脂部56の主コイル挿通部58に装着する。そして、短脚樹脂部51の主コイル挿通部53と長脚樹脂部56の主コイル挿通部58とを向かい合わせにし、短脚樹脂部51の接続脚収容部54と長脚樹脂部56の接続脚収容部59に向かい合わせにして、コア3を閉環状に組み立てる。
【0042】
図8は、補助巻線支持体6とコア被覆樹脂5とを組み立てた後の斜視図である。
図8に示すように、補助巻線4は、コア被覆樹脂5のヨーク収容部52と補助巻線支持体6に挟まれ、またコア被覆樹脂5に形成されている補助巻線止め55にリード線41が狭持されている。このヨーク収容部52と補助巻線支持体6に挟まれていることにより、補助巻線4の弛みが抑制されている。また、補助巻線支持体6のU字底側壁部622による規制により、補助巻線4がU字底側壁部622を超えて膨らむことが抑制され、補助巻線4の軸と直交する方向にリアクトル1が嵩高になることが防止されている。
【0043】
補助巻線4は、主コイル2よりもコア被覆樹脂5のヨーク収容部52側に位置するため、バスバーは補助巻線4の上方を超えて延在し、リアクトル1の外側に引き出される。但し、補助巻線4は補助巻線支持体6に収容され、補助巻線4の上には補助巻線支持体6の庇部68が掛かっている。そのため、補助巻線4とバスバーとの間は庇部68で隔絶され、補助巻線4とバスバーとの間の絶縁性が確保されている。
【0044】
このように、本実施形態のリアクトル1は、主コイル2とコア3とコア被覆樹脂5と補助巻線4と補助巻線支持体6とを備えるようにした。主コイル2は、外部から電流が流される。コア3は、磁性体を含み、主コイル2が装着される。コア被覆樹脂5は、コア3を被覆し、コア3と主コイル2との間に介在する。補助巻線4は、主コイル2の磁束が入って電流を発生させる。補助巻線支持体6は、補助巻線4を支持して、補助巻線4がコア3に嵌るようにコア被覆樹脂5に設置され、コア被覆樹脂5とは別体である。
【0045】
これにより、構造が繁雑なコア被覆樹脂5に対して狭い箇所に正確に補助巻線4を押し込んだり、引き出したりする必要ない。このリアクトル1では、コア被覆樹脂5とは別体で構造がシンプルな補助巻線支持体6に補助巻線4を設置し、コア被覆樹脂5に補助巻線支持体6を取り付ける簡単な作業で、補助巻線4のリアクトル1への設置が完了する。従って、補助巻線4の設置が容易になり、補助巻線4が撓んでしまう等の虞も抑制できるため、リアクトル1が高品質化する。
【0046】
また、補助巻線支持体6は、環状の内枠61及び外枠62と、内枠61と外枠62との間の溝部64とを有する。そして、補助巻線4は、溝部64に配線されるようにした。これにより、内枠61に対して補助巻線4をテンションを掛けながら巻き付ければ済むので、補助巻線支持体6への設置も容易化する。従って、補助巻線4の設置が更に容易になる。
【0047】
また、コア3は、嵌装脚部32や接続脚部33といった複数の脚部と当該脚部を繋ぐヨーク部31とを含んで閉環状を有し、コア被覆樹脂5は、ヨーク部31を被覆するヨーク収容部52を有する。そして、補助巻線4は、ヨーク収容部52と補助巻線支持体6との間に挟まれているようにした。これにより、補助巻線4が緩んでしまう虞が抑制され、補助巻線4が緩まないように巻回方法を複雑化する必要がなく、また補助巻線4は精度良く磁束を捉えることができる。
【0048】
また、補助巻線支持体6の外枠62は、補助巻線4と離間した湾曲角部623を有するようにした。これにより、補助巻線4を補助巻線支持体6に巻き付けている最中に、補助巻線4が外枠62の角から飛び出して、U字底側壁部622の外側を通してしまうことを防止できる。従って、補助巻線4が緩んでしまうことが抑制される。また、補助巻線4の巻回径が大きくならず、リアクトル1が嵩高になることを阻止できる。
【0049】
また、補助巻線4は、補助巻線支持体6から引き出されるリード線41と、リード線41とは180度反対側の湾曲領域42とを有する。そして、補助巻線支持体6の外枠62は、補助巻線4の湾曲領域42に対向し、当該湾曲領域42の位置を規制するU字底側壁部622を有するようにした。これにより、湾曲領域42が外枠62側へ膨らもうとしても、U字底側壁部622によって阻まれる。従って、補助巻線4は、規定の半径で巻回され、半径方向に拡径することが阻止され、リアクトル1が嵩高になることを阻止できる。
【0050】
以上の本発明の実施形態は例として提示したものであって、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。そして、実施形態やその変形は本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0051】
1 リアクトル
2 主コイル
21 引出線
3 コア
31 ヨーク部
32 嵌装脚部
32a 突起部
32b 断絶域
33 接続脚部
4 補助巻線
41 リード線
42 湾曲領域
5 コア被覆樹脂
51 短脚樹脂部
52 ヨーク収容部
53 主コイル挿通部
54 接続脚収容部
55 補助巻線止め
56 長脚樹脂部
57 ヨーク収容部
58 主コイル挿通部
59 接続脚収容部
6 補助巻線支持体
61 内枠
62 外枠
621 側壁部
622 U字底側壁部
623 湾曲角部
63 平面部
64 溝部
65 露出面
66 コイル止め
67 嵌合爪
68 庇部