IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

7794123カルボン酸含有ニッケル粉末およびカルボン酸含有ニッケル粉末の製造方法
<>
  • -カルボン酸含有ニッケル粉末およびカルボン酸含有ニッケル粉末の製造方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-12-22
(45)【発行日】2026-01-06
(54)【発明の名称】カルボン酸含有ニッケル粉末およびカルボン酸含有ニッケル粉末の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 1/00 20220101AFI20251223BHJP
   B22F 1/102 20220101ALI20251223BHJP
   B03B 1/04 20060101ALI20251223BHJP
   B07B 7/08 20060101ALI20251223BHJP
【FI】
B22F1/00 M
B22F1/102
B03B1/04
B07B7/08
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022515388
(86)(22)【出願日】2021-04-13
(86)【国際出願番号】 JP2021015251
(87)【国際公開番号】W WO2021210558
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2024-04-11
(31)【優先権主張番号】P 2020072562
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000186762
【氏名又は名称】昭栄化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100173428
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】小林 裕平
(72)【発明者】
【氏名】西村 浩輔
(72)【発明者】
【氏名】北原 万里子
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 峰人
(72)【発明者】
【氏名】釜堀 康博
(72)【発明者】
【氏名】家田 秀康
(72)【発明者】
【氏名】森山 孝紀
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102357655(CN,A)
【文献】特開2010-255040(JP,A)
【文献】国際公開第2017/056741(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/163823(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00
B22F 1/102
B03B 1/04
B07B 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のニッケル粒子を含むとともに、前記ニッケル粒子の表面にカルボン酸を有するカルボン酸含有ニッケル粉末であって、
前記カルボン酸が、酢酸およびプロピオン酸よりなる群から選択される少なくとも1種であり、
TG-MSにより、不活性雰囲気下で、昇温速度20℃/minで38℃から600℃まで昇温したときに前記カルボン酸の分子イオンのマスクロマトグラムにおいてピークが検出され、前記カルボン酸の沸点をTbp[℃]としたとき、前記ピークのピークトップが、(Tbp+100)℃以上600℃以下の範囲内に存在し、
カルボン酸含有ニッケル粉末を構成する前記ニッケル粒子の表面積1mあたりの前記カルボン酸の含有量が、155μg以上450μg以下であるカルボン酸含有ニッケル粉末。
【請求項2】
TG-MSにより、不活性雰囲気下で、昇温速度20℃/minで38℃から600℃まで昇温したときに、(Tbp-50)℃以上(Tbp+50)℃以下の範囲内には、前記カルボン酸の分子イオンのマスクロマトグラムにおけるピークのピークトップが存在しない請求項1に記載のカルボン酸含有ニッケル粉末。
【請求項3】
請求項1または2に記載のカルボン酸含有ニッケル粉末を製造する方法であって、
気相中に分散したニッケル粉末に気体状態のカルボン酸を接触させる工程を有するカルボン酸含有ニッケル粉末の製造方法。
【請求項4】
気体状態の前記カルボン酸を含む雰囲気中に前記ニッケル粉末を分散させる請求項に記載のカルボン酸含有ニッケル粉末の製造方法。
【請求項5】
生成時に気相中において分散状態にある前記ニッケル粉末が当該気相中に分散した状態で、当該気相中に気体状態の前記カルボン酸を供給する請求項に記載のカルボン酸含有ニッケル粉末の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボン酸含有ニッケル粉末およびカルボン酸含有ニッケル粉末の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子部品の導電材料として、導電性金属粉末が用いられている。積層セラミックコンデンサにおいては、セラミック層、内部電極層ともに薄層化が急速に進んでいるため、薄く均一な厚みの内部電極層を形成することが求められている。そのため、積層セラミックコンデンサの内部電極用の導電性金属粉末としては、粒度分布が狭く、誘電体層を挟んで隣り合う内部電極の両方に接触して電極を短絡させる原因となり得る粗大粒子を含まず、かつ、有機溶媒等と混合してペースト化した場合に、ペースト中で均一に分散することが求められている。
【0003】
これまで、所望の粒度分布の粉末を製造する方法として、種々の製造方法で製造された粉末を分級する方法が用いられてきた。この分級方法としては、例えば、気相または液相中で粒子の沈降速度の差を利用して、粉末を粒子径の違いにより分級する方法がある。気相中で行う分級は乾式分級、液相中で行う分級は湿式分級と呼ばれている。湿式分級は、分級精度が優れているものの、分散媒として液体を使用する必要があり、また、分級後に乾燥および解砕を行う必要がある。したがって、乾式分級の方が圧倒的に低コストである。
【0004】
しかしながら、従来、この乾式分級を行うと、粉末が分級機の内部各所に付着して粉末の供給口や配管内部等が閉塞するため、長時間運転することが困難であり、また、分級精度が低いため、収率が低いという問題があった。
【0005】
このような問題を解決することを目的とする方法として、特許文献1には、粉体と、エタノール等の沸点が200℃未満のアルコール類からなる助剤とを混合し、助剤を気化させながら粉体を乾式分級する方法が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、粉体と、エタノール等のアルコールを10~50質量%含むアルコール水溶液からなる助剤とを混合し、助剤を気化させながら粉体を乾式分級する方法が開示されている。
【0007】
また、特許文献3には、ニッケルからなる粉体と、ジエチレングリコール等の引火点が80℃以上である有機溶媒からなる助剤とを混合し、助剤を気化させながら粉体を乾式分級する方法が開示されている。また、ニッケルからなる粉体と、水からなる助剤とを混合し、助剤を気化させながら粉体を乾式分級する方法が開示されている。
【0008】
また、特許文献4には、粉体と、液体助剤であるジエチレングリコールモノメチルエーテルとを混合し、粉体を乾式分級する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】国際公開第2010/047175号公報
【文献】国際公開第2010/057206号公報
【文献】国際公開第2010/106716号公報
【文献】国際公開第2012/124453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、本願発明者が検討を行ったところ、例えば、エタノール等の助剤を粉末に吸着させて乾式分級を行うことで、分級機を長時間運転できるようにはなるものの、得られた粉末には多数の粗大粒子が含まれており、この粗大粒子の数を減らすために何度も分級を繰り返さなければならないという問題を見出した。また、何度も分級を繰り返すことで粗大粒子を減らせる場合があるものの、時間とコストがかかるため生産性が低下し、さらには、得られる粉末の収率が著しく低下するという問題を見出した。
【0011】
また、上記のようにして得られる粉末は、有機溶媒等と混合して得られるペースト中で均一に分散するのが困難な場合があった。
【0012】
したがって、本発明の目的は、気相中での分散性が高く、かつ、有機溶媒等と混合してペーストの形成に用いた場合に当該ペースト中での分散性が高いカルボン酸含有ニッケル粉末およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような目的は、下記(1)~()に記載の本発明により達成される。
(1) 複数個のニッケル粒子を含むとともに、前記ニッケル粒子の表面にカルボン酸を有するカルボン酸含有ニッケル粉末であって、
前記カルボン酸が、酢酸およびプロピオン酸よりなる群から選択される少なくとも1種であり、
TG-MSにより、不活性雰囲気下で、昇温速度20℃/minで38℃から600℃まで昇温したときに前記カルボン酸の分子イオンのマスクロマトグラムにおいてピークが検出され、前記カルボン酸の沸点をTbp[℃]としたとき、前記ピークのピークトップが、(Tbp+100)℃以上600℃以下の範囲内に存在し、
カルボン酸含有ニッケル粉末を構成する前記ニッケル粒子の表面積1mあたりの前記カルボン酸の含有量が、155μg以上450μg以下であるカルボン酸含有ニッケル粉末。
【0014】
(2) TG-MSにより、不活性雰囲気下で、昇温速度20℃/minで38℃から600℃まで昇温したときに、(Tbp-50)℃以上(Tbp+50)℃以下の範囲内には、前記カルボン酸の分子イオンのマスクロマトグラムにおけるピークのピークトップが存在しない上記(1)に記載のカルボン酸含有ニッケル粉末。
【0019】
) 上記(1)または(2)に記載のカルボン酸含有ニッケル粉末を製造する方法であって、
気相中に分散したニッケル粉末に気体状態のカルボン酸を接触させる工程を有するカルボン酸含有ニッケル粉末の製造方法。
【0020】
) 気体状態の前記カルボン酸を含む雰囲気中に前記ニッケル粉末を分散させる上記()に記載のカルボン酸含有ニッケル粉末の製造方法。
【0021】
) 生成時に気相中において分散状態にある前記ニッケル粉末が当該気相中に分散した状態で、当該気相中に気体状態の前記カルボン酸を供給する上記()に記載のカルボン酸含有ニッケル粉末の製造方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、気相中での分散性が高く、かつ、有機溶媒等と混合してペーストの形成に用いた場合に当該ペースト中での分散性が高いカルボン酸含有ニッケル粉末およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明のカルボン酸含有ニッケル粉末を用いて、粗大粒子の個数が極めて少ない微粉末を得るのに用いられる分級機の一構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[1]カルボン酸含有ニッケル粉末
まず、本発明のカルボン酸含有ニッケル粉末について説明する。
【0025】
本発明のカルボン酸含有ニッケル粉末は、複数個のニッケル粒子を含むとともに、前記ニッケル粒子の表面にカルボン酸を有するものである。言い換えると、本発明のカルボン酸含有ニッケル粉末は、母粒子としてのニッケル粒子の表面にカルボン酸が吸着したカルボン酸吸着ニッケル粒子を含むものである。
【0026】
そして、本発明のカルボン酸含有ニッケル粉末について、TG-MS(熱重量-質量分析)により、不活性雰囲気下で、昇温速度20℃/minで38℃から600℃まで昇温したときに前記カルボン酸の分子イオンのマスクロマトグラムにおいてピークが検出され、前記カルボン酸の沸点をTbp[℃]としたとき、前記ピークのピークトップが、(Tbp+100)℃以上600℃以下の範囲内に存在するとともに、前記ニッケル粒子の表面積1mあたりの前記カルボン酸の含有量が、155μg以上450μg以下である。
【0027】
このような条件を満たすことにより、気相中での分散性が高く、かつ、有機溶媒等と混合しペーストの形成に用いた場合に当該ペースト中での分散性が高いカルボン酸含有ニッケル粉末を提供することができる。また、このようにカルボン酸含有ニッケル粉末の気相中での分散性が優れていることにより、乾式分級により、好適に粗大粒子を除去することができ、また、例えば、乾式分級により、優れた収率で、粒度分布がシャープな微粉末を好適に得ることができる。また、カルボン酸含有ニッケル粉末を含むペースト中におけるカルボン酸含有ニッケル粉末の分散性が優れていることにより、当該ペーストを用いて形成される塗膜の平滑性を優れたものにすることができる。
【0028】
なお、TG-MSにより検出されるカルボン酸の分子イオンのマスクロマトグラムにおけるピークのピークトップの値は、例えば、カルボン酸のニッケル粒子への吸着形態により、調整することができる。より具体的には、例えば、ニッケル粒子へのカルボン酸の吸着方法、吸着処理の条件、吸着量等を調整することにより、TG-MSにより検出されるカルボン酸の分子イオンのマスクロマトグラムにおけるピークのピークトップの値を好適に調整することができる。
【0029】
また、本明細書において、粗大粒子とは、対象となる粉末、例えば、上記のような分級による得られる粉末の体積基準の累積50%粒子径(D50)に対して、十分に大きい粒子径の粒子のことを指し、例えば、粒子径が、対象となる粉末のD50の1.5倍以上の粒子のこととすることができ、また、例えば、対象となる粉末のD50の2.0倍以上の粒子とすることができ、また、例えば、対象となる粉末のD50の2.5倍以上の粒子とすることができる。
【0030】
また、本明細書において、体積基準の累積50%粒子径(D50)とは、特に断りのない限り、レーザー式粒度分布測定装置を用いて測定した粒度分布の体積基準の積算分率50%値を指し、例えば、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA-960(HORIBA社製)を用いた測定により求めることができる。
【0031】
また、TG-MSには、例えば、試料を昇温するためのTG-DTAとしてNETZSCH社製のSTA2500 Regulus、試料の昇温により気化した物質を質量分析するためのMSとして日本電子社製のJMS-Q1500GCを用いることができる。
【0032】
また、カルボン酸含有ニッケル粉末を構成するニッケル粒子の表面積1mあたりのカルボン酸の含有量は、CS(炭素・硫黄)分析装置(例えば、HORIBA社製のEMIA-320V等)を用いた測定により求めることができる。
【0033】
上記のように、本発明のカルボン酸含有ニッケル粉末では、TG-MSによる分析で、カルボン酸の分子イオンのマスクロマトグラムにおいて、カルボン酸の沸点とは異なる所定の領域((Tbp+100)℃以上600℃以下の範囲)に、ピークが現れる。これは、特定の形態でニッケル粒子にカルボン酸が吸着していることによると考えられる。詳細なメカニズムは不明であるが、発明者は、例えば、カルボン酸がニッケル粒子に化学吸着しているため、物理吸着した場合と比べて強固に吸着しており、そのため、カルボン酸の沸点+100℃以上という高温領域においてピークが現れると推測しており、このように特定の形態でニッケル粒子にカルボン酸が吸着しているとともに、適切な割合でニッケル粒子の表面にカルボン酸が吸着していることにより、上記のような優れた効果が得られる、すなわち、気相中での分散性が向上し、かつ、有機溶媒等と混合してペーストの形成に用いた場合に当該ペースト中での分散性が向上するものと考えられる。
【0034】
また、ニッケル粒子の表面積1mあたりのカルボン酸の含有量が前記下限値以上であることで、気相中でのカルボン酸含有ニッケル粉末の分散性を十分に優れたものとすることができる。
【0035】
また、ニッケル粒子の表面積1mあたりのカルボン酸の含有量が前記上限値以下であることで、有機溶媒等と混合してペーストの形成に用いた場合に当該ペースト中でのカルボン酸含有ニッケル粉末の分散性を十分に優れたものとすることができる。
【0036】
なお、本明細書において、「沸点」とは、特に断りのない限り、1気圧下での沸点、すなわち、標準沸点のことを指す。
【0037】
また、カルボン酸含有ニッケル粉末が複数種のカルボン酸を含む場合、少なくとも1種のカルボン酸が上記のような条件を満たしていればよいが、特に、複数種のカルボン酸のうち最も含有率の高いものが上記のような条件を満たしているのが好ましく、カルボン酸含有ニッケル粉末中に含まれる全ての種類のカルボン酸が上記のような条件を満たしているのがより好ましい。
【0038】
上記のように、本発明のカルボン酸含有ニッケル粉末において、上記のようなTG-MSによる分析で検出されるカルボン酸の分子イオンのマスクロマトグラムにおけるピークのピークトップは、(Tbp+100)℃以上600℃以下の範囲内に存在していればよいが、(Tbp+120)℃以上580℃以下の範囲内に存在しているのが好ましく、(Tb+150)℃以上560℃以下の範囲内に存在しているのがより好ましく、(Tbp+200)℃以上540℃以下の範囲内に存在しているのがさらに好ましく、(Tbp+230)℃以上520℃以下の範囲内に存在しているのがもっとも好ましい。
これにより、前述した効果がより顕著に発揮される。
【0039】
また、本発明のカルボン酸含有ニッケル粉末において、ニッケル粒子の表面積1mあたりのカルボン酸の含有量は、155μg以上450μg以下であればよいが、155μg以上400μg以下であるのが好ましく、155μg以上380μg以下であるのがより好ましく、155μg以上350μg以下であるのがさらに好ましい。中でも、本発明のカルボン酸含有ニッケル粉末において、ニッケル粒子の表面積1mあたりのカルボン酸の含有量は、160μg以上350μg以下であるのが好ましく、170μg以上350μg以下であるのがより好ましく、250μg以上350μg以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述した効果がより顕著に発揮される。
【0040】
本発明のカルボン酸含有ニッケル粉末は、上記のようなTG-MSによる分析を行った場合に、(Tbp+100)℃以上600℃以下の範囲内に、カルボン酸の分子イオンのマスクロマトグラムにおけるピークのピークトップが存在していればよく、さらに、上記範囲外にもカルボン酸の分子イオンのマスクロマトグラムにおけるピークのピークトップが存在していてもよいが、(Tbp-50)℃以上(Tbp+50)℃以下の範囲内には、カルボン酸の分子イオンのマスクロマトグラムにおけるピークのピークトップが存在しないのが好ましい。
【0041】
これにより、カルボン酸含有ニッケル粉末の気相中での分散性をより優れたものとすることができる。カルボン酸含有ニッケル粉末が複数種のカルボン酸を含む場合、少なくとも1種のカルボン酸が上記のような条件を満たしているのが好ましく、特に、複数種のカルボン酸のうち最も含有率の高いものが上記のような条件を満たしているのがより好ましく、カルボン酸含有ニッケル粉末中に含まれる全ての種類のカルボン酸が上記のような条件を満たしているのがさらに好ましい。
【0042】
カルボン酸含有ニッケル粉末の体積基準の累積50%粒子径D50は、0.01μm超10μm以下であるのが好ましく、0.03μm超2.5μm以下であるのがより好ましく、0.05μm超1.2μm以下であるのがさらに好ましく、0.10μm超0.80μm以下であるのがもっとも好ましい。
【0043】
[1-1]ニッケル粒子
ニッケル粒子は、カルボン酸含有ニッケル粉末の主成分をなすものであり、主としてニッケルで構成されたものである。
【0044】
ニッケル粒子は、主としてニッケルで構成されたものであればよく、例えば、単体金属としてのニッケルで構成されたものでもよいし、ニッケル合金で構成されたものであってもよい。
ニッケル粒子は、最も含有率の高い成分が、ニッケルであればよいが、ニッケル粒子中におけるニッケル以外の成分の含有率は、40質量%以下であるのが好ましく、30質量%以下であるのがより好ましく、20質量%以下であるのがさらに好ましい。中でも、ニッケル粒子中におけるニッケル以外の成分の含有率は、10質量%以下であるのが好ましく、5質量%以下であるのがより好ましく、1質量%以下であるのがさらに好ましい。特に、ニッケル粒子中においてニッケル以外の成分は、不可避的成分としての含まれるもののみであるのが好ましく、ニッケル粒子中におけるニッケル以外の成分の含有率は、1000ppm以下であるのが好ましい。
【0045】
ニッケル粒子の形状は、特に限定されないが、例えば、球状、フレーク状、粒状等、種々の形状が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
なお、本明細書において、球状とは、長径/短径の比率が2以下の粒子の形状をいう。また、フレーク状とは、長径/短径の比率が2超の形状をいう。
【0047】
ニッケル粒子の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、電解法、アトマイズ法、機械的粉砕法、湿式還元法、噴霧熱分解法、化学気相析出法、物理気相析出法等が挙げられる。
【0048】
[1-2]カルボン酸
カルボン酸含有ニッケル粉末は、前述したニッケル粒子に加えて、カルボン酸を含んでいる。
【0049】
カルボン酸含有ニッケル粉末中に含まれるカルボン酸の大部分は、母粒子としてのニッケル粒子の表面に吸着している。言い換えると、カルボン酸含有ニッケル粉末中に含まれるカルボン酸の大部分は、カルボン酸吸着ニッケル粒子の構成成分として含まれている。
【0050】
カルボン酸のニッケル粒子に対する吸着の形式としては、物理吸着と化学吸着のいずれも有り得る。
【0051】
カルボン酸としては、カルボキシル基を有する化合物であれば、特に限定されない。
【0052】
カルボン酸としては、沸点が、100℃以上270℃以下のものであるのが好ましく、105℃以上250℃以下のものであるのがより好ましく、110℃以上200℃以下のものがさらに好ましく、115℃以上170℃以下のものであるのがもっとも好ましい。
【0053】
これにより、カルボン酸含有ニッケル粉末の気相中での分散性、カルボン酸含有ニッケル粉末を有機溶媒等と混合してペーストの形成に用いた場合における当該ペースト中でのカルボン酸含有ニッケル粉末の分散性をより優れたものとすることができる。また、カルボン酸含有ニッケル粉末の製造時においては、原料としてのカルボン酸を好適に液体状態で取り扱うことができ、ハンドリング性が向上するとともに、カルボン酸を気化させた状態でニッケル粉末に吸着させる場合に、ニッケル粉末に対してカルボン酸をより好適な状態で吸着させることができる。
【0054】
また、カルボン酸は、モノカルボン酸であるのが好ましい。
これにより、カルボン酸含有ニッケル粉末の気相中での分散性、カルボン酸含有ニッケル粉末を有機溶媒等と混合してペーストの形成に用いた場合における当該ペースト中でのカルボン酸含有ニッケル粉末の分散性をより優れたものとすることができる。
【0055】
カルボン酸の分子量は、40以上160以下であるのが好ましく、50以上120以下であるのがより好ましく、55以上100以下であるのがさらに好ましい。
【0056】
これにより、カルボン酸含有ニッケル粉末の気相中での分散性、カルボン酸含有ニッケル粉末を有機溶媒等と混合してペーストの形成に用いた場合における当該ペースト中でのカルボン酸含有ニッケル粉末の分散性をより優れたものとすることができる。
【0057】
カルボン酸の炭素数は、2以上9以下であるのが好ましく、2以上7以下であるのがより好ましく、2以上5以下であるのがさらに好ましい。
【0058】
これにより、カルボン酸含有ニッケル粉末の気相中での分散性、カルボン酸含有ニッケル粉末を有機溶媒等と混合してペーストの形成に用いた場合における当該ペースト中でのカルボン酸含有ニッケル粉末の分散性をより優れたものとすることができる。
【0059】
カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、クロトン酸、イソ吉草酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、乳酸、シュウ酸、コハク酸、オレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、酢酸およびプロピオン酸よりなる群から選択される少なくとも1種であるのが好ましく、酢酸であるのがより好ましい。
【0060】
これにより、カルボン酸含有ニッケル粉末の気相中での分散性、カルボン酸含有ニッケル粉末を有機溶媒等と混合してペーストの形成に用いた場合における当該ペースト中でのカルボン酸含有ニッケル粉末の分散性をより優れたものとすることができる。
【0061】
[1-3]カルボン酸含有ニッケル粉末の用途
本発明のカルボン酸含有ニッケル粉末の用途は、特に限定されないが、導電性粉末として用いることができ、特に、導電性ペースト用の導電性粉末として用いることが好ましい。粉末としての分散性が高いため、ペースト中での分散性も高くなりやすい。また、特に、本発明のカルボン酸含有ニッケル粉末は、後述するような分級工程に供された後、中でも、乾式分級工程に供された後に、導電性粉末として用いられるものであるのが好ましく、導電性ペースト用の導電性粉末として用いることがより好ましい。また、本発明のカルボン酸含有ニッケル粉末は流動性が高く、ハンドリング性に優れるため、種々の用途に供する場合において容易に取り扱うことができる。
【0062】
本発明のカルボン酸含有ニッケル粉末を、後述するような乾式分級工程に供することにより、平均粒子径が小さく、粒度分布が狭く、かつ、粗大粒子をほとんど含まない微粉末を好適に得ることができる。このような微粉末は、分級前の本発明のカルボン酸含有ニッケル粉末に比べて粒度分布が狭いため平滑性がより優れた塗膜を形成でき、前記微粉末が内部電極に用いられた場合には均一な厚みの電極層を形成することができる。また、粗大粒子をほとんど含まないため、導電性粉末粒子が内部電極の双方に接触して短絡することが好適に防止される。したがって、このような特に高い信頼性が求められる用途であっても、十分に満足のいく効果が得られる。したがって、前記微粉末が、積層セラミックコンデンサや積層セラミックインダクタ、積層圧電アクチュエータといった積層セラミック電子部品の内部導体(内部電極)や端子電極の形成に用いられるものである場合に、上記のような効果がより顕著に発揮される。
【0063】
導電性粉末は、例えば、ガラスフリットと有機ビヒクルと混合することにより導電性ペーストとして、電子部品の導電性を有する部位の形成に用いられてもよい。
【0064】
[2]カルボン酸含有ニッケル粉末の製造方法
次に、本発明のカルボン酸含有ニッケル粉末の製造方法について説明する。
【0065】
本発明のカルボン酸含有ニッケル粉末の製造方法は、前述した本発明のカルボン酸含有ニッケル粉末を製造する方法であって、気相中に分散した複数個のニッケル粒子の集合体であるニッケル粉末に気体状態のカルボン酸を接触させる工程を有する。
【0066】
これにより、前述したような、気相中での分散性が高く、かつ、有機溶媒等と混合してペーストの形成に用いた場合に当該ペースト中での分散性が高いカルボン酸含有ニッケル粉末の製造方法を提供することができる。また、静置した状態のニッケル粉末に気体状態のカルボン酸を接触させる場合と比べて、カルボン酸の濃度が低く、かつ、圧倒的に短い時間でニッケル粒子の表面にカルボン酸を吸着させることができるため、カルボン酸の消費量や時間短縮の観点でも有利である。
【0067】
本発明のカルボン酸含有ニッケル粉末の製造方法は、気相中に分散したニッケル粉末に気体状態のカルボン酸を接触させる工程を有していればよいが、例えば、気体状態のカルボン酸を含む雰囲気中に、複数個のニッケル粒子の集合体であるニッケル粉末を分散させるのが好ましい。
【0068】
また、本発明のカルボン酸含有ニッケル粉末の製造方法では、生成時に気相中において分散状態にある前記ニッケル粉末が当該気相中に分散した状態で、当該気相中に気体状態の前記カルボン酸を供給することにより、ニッケル粉末に気体状態のカルボン酸を接触させる工程を行ってもよい。
【0069】
このように、気相中でニッケル粉末を生成した後、当該ニッケル粉末を回収する前にカルボン酸ガスを送り込むことで、分散状態がより良好なニッケル粉末にカルボン酸ガスを接触させることができるため、より均一にカルボン酸を吸着させることができる。
【0070】
生成時に気相中において分散状態にある前記ニッケル粉末を生成させる方法としては、例えば、化学気相析出法、物理気相析出法等の気相法や、アトマイズ法、噴霧熱分解法等が挙げられる。特に、気相法や噴霧熱分解法を用いて前記ニッケル粉末を生成することにより、前記ニッケル粉末の粒子径が好適な条件となるように、より容易に調整することができる。
【0071】
なお、本発明のカルボン酸含有ニッケル粉末の製造方法では、気相中に分散したニッケル粉末に気体状態のカルボン酸を接触させる工程を有していればよく、生成直後のニッケル粉末に気体状態のカルボン酸を接触させる方法に限定されず、例えば、一度回収したニッケル粉末に気体状態のカルボン酸を接触させてもよい。
【0072】
[3]本発明のカルボン酸含有ニッケル粉末を用いた微粉末の製造方法
次に、前述した本発明のカルボン酸含有ニッケル粉末を用いた微粉末の製造方法について説明する。
【0073】
本実施形態に係る微粉末の製造方法は、体積基準の累積50%粒子径D50が0.01μm以上5.0μm以下の範囲内にある微粉末の製造方法であって、D50が0.01μm超10μm以下のカルボン酸含有ニッケル粉末を気相中に分散させて、分級される被分級粉末を得る被分級粉末生成工程と、前記被分級粉末を乾式分級する乾式分級工程と、を有する。
【0074】
これにより、粗大粒子の個数が極めて少ない、体積基準の累積50%粒子径D50が0.01μm以上5.0μm以下の範囲内にある微粉末を高い生産性で製造できる、微粉末の製造方法を提供することができる。
【0075】
このような優れた効果が得られるのは、以下のような理由によると考えられる。すなわち、エタノール等の助剤を粉末に吸着させて乾式分級を行う場合等に比べて、ニッケル粒子に所定の条件でカルボン酸が吸着したカルボン酸含有ニッケル粉末を用いることで、粉末の気相中での分散性が向上し、分級精度が高まる。そのため、製造された微粉末に含まれる粗大粒子の個数を極めて少なくできる。また、それによって、分級回数を少なくすることができ、生産性が向上する。
【0076】
また、上記のようにして得られる微粉末は、有機溶媒等と混合してペーストの形成に用いた場合に当該ペースト中での分散性が特に優れたものとなる。したがって、当該ペーストを用いて形成される塗膜の平滑性を優れたものにすることができる。
【0077】
また、本発明のカルボン酸含有ニッケル粉末を用いることで粉末の流動性が高まり、粉末の分級機内への付着が減少し、収率が向上する。また、分級機内への付着が減少することで、分級機の粉末の供給口や配管内部等が閉塞しにくくなるため、分級機の運転時間が長くなり、生産性が向上する。
【0078】
また、本実施形態では、予めニッケル粒子に所定の条件でカルボン酸を吸着させたカルボン酸含有ニッケル粉末を用いるため、微粉末の製造に用いる装置の構成を簡略化、小型化させる上で有利である。また、予めニッケル粒子に所定の条件でカルボン酸を吸着させたカルボン酸含有ニッケル粉末を用いるため、分散機にカルボン酸が吸着していないニッケル粉末を入れる場合に比べて、粉末の流動性が高く、分散機内での付着がより生じにくくなり、分散機内での粉末の移動もよりスムーズとなる。
【0079】
なお、本明細書において、分級とは、粉末をその大きさによって、比較的大きな粒子のグループ(言い換えると粗粉)と、比較的小さな粒子のグループ(言い換えると微粉)とに分ける操作のことをいう。具体的には、本明細書において、微粉は、体積基準の累積50%粒子径D50が0.01μm以上5.0μm以下の範囲内にある粒子のグループのことをいい、粗粉は、D50が微粉よりも大きな粒子のグループのことをいう。
【0080】
[3-1]分級機
図1は、本発明のカルボン酸含有ニッケル粉末を用いて、粗大粒子の個数が極めて少ない微粉末を得るのに用いられる分級機の一構成例を示す図である。
なお、以下の説明では、図1における上側を「上」とし、下側を「下」として説明する。
【0081】
分級機1は、粉末に作用する遠心力を利用して分級を行う気流式分級機であり、分級室10を形成するケーシング3を備える。
【0082】
分級室(分級ゾーン)10よりも上流側には、分級に先立ってカルボン酸含有ニッケル粉末を分散する分散ゾーン11が設けられている。分級室10は、分散されたカルボン酸含有ニッケル粉末を分級する領域である。
【0083】
また、分級機1は、分散ゾーン11内にカルボン酸含有ニッケル粉末を導入する導入口4と、分散ゾーン11内に高圧エアー(一次エアー)を噴射するエアノズル5と、分級室10内に二次エアーを流入させて分級室10内に旋回気流を形成するガイドベーン6と、分級室10の上部中央に開口する微粉排出口7と、分級室10の下部外周に沿って開口する粗粉排出口8とを有している。
【0084】
次に、このような分級機1を用いて、カルボン酸含有ニッケル粉末を分散・分級する方法について説明する。
【0085】
カルボン酸含有ニッケル粉末は、導入口4から分散ゾーン11に導入される。分散ゾーン11に噴射された一次エアーにより、カルボン酸含有ニッケル粉末は、分散力を与えられ、分散される。そして、カルボン酸含有ニッケル粉末は、分散された状態で分級室10へ導入される。
【0086】
分級室10では、ガイドベーン6から分級室10内に二次エアーを流入させることによって、気流が、分級室10で旋回し、分級室10の上部中央より排気される。この気流の旋回により作用する外向きの遠心力と中心向きに移動する気体の流れとによって、固気混合流体中のカルボン酸含有ニッケル粉末を粗粉と微粉に分離する。
【0087】
すなわち、粗粉は、気流の旋回による外向きの遠心力により分級室10内を径方向外側に移動して、分級室10の下部外周の粗粉排出口8から回収される。一方、微粉は、中心向きに移動する気体の流れにより分級室10内を径方向内側に移動して、分級室10の上部中央の微粉排出口7から回収される。
【0088】
微粉排出口7には、図示しない吸引ポンプが接続されており、微粉は、分級室10内のエアー(排気)とともに、排出、回収される。
【0089】
被分級粉末生成工程は、分散ゾーン11で行われる工程に対応し、乾式分級工程は、分級室(分級ゾーン)10で行われる工程に対応する。
すなわち、分散ゾーン11で分散された状態のカルボン酸含有ニッケル粉末、言い換えると、分級室10に導入されるカルボン酸含有ニッケル粉末が、本明細書でいう被分級粉末である。
【0090】
なお、上述した説明では、旋回気流による遠心力を利用して分級を行う気流式分級機を例に挙げて説明したが、分級機の分級方式については、特に限定されない。例えば、ローターの回転による遠心力を利用して分級を行う方式や、重力を利用して分級を行う方式、慣性力を利用して分級を行う方式であってもよい。
【0091】
また、本発明において、被分級粉末生成工程および乾式分級工程は、同一の装置を用いて行う場合に限定されず、それぞれ別個の装置を用いて行ってもよい。すなわち、カルボン酸含有ニッケル粉末を分散機で分散して被分級粉末を得た後、被分級粉末を乾式分級機で分級してもよい。
【0092】
[3-2]被分級粉末生成工程
被分級粉末生成工程では、カルボン酸含有ニッケル粉末が気相中に分散してなる被分級粉末を得る。
【0093】
分級機へのカルボン酸含有ニッケル粉末の供給速度、すなわち、例えば、図1に示す分級機1において、導入口4から分散ゾーン11内への、カルボン酸含有ニッケル粉末の供給速度は、分級機の大きさ(容量)にも依存するが、1kg/時以上20kg/時以下であるのが好ましく、3kg/時以上15kg/時以下であるのがより好ましく、5kg/時以上12kg/時以下であるのがさらに好ましい。
【0094】
これにより、カルボン酸含有ニッケル粉末の分散性をより優れたものとしつつ、微粉末の生産性をより優れたものとすることができる。
【0095】
分散時の供給分散圧力、すなわち、例えば、図1に示す分級機1において、エアノズル5から分散ゾーン11内へ噴射される分散エアーの圧力は、特に限定されないが、0.2MPa以上1.0MPa以下であるのが好ましく、0.4MPa以上0.8MPa以下であるのがより好ましく、0.5MPa以上0.7MPa以下であるのがさらに好ましい。
【0096】
これにより、カルボン酸含有ニッケル粉末の分散性をより優れたものとしつつ、微粉末の生産性をより優れたものとすることができる。
【0097】
[3-2]乾式分級工程
乾式分級工程では、被分級粉末生成工程で得られた被分級粉末を乾式分級する。
【0098】
被分級粉末は、気相中で好適に分散されているので、乾式分級工程における分級精度が向上する。このため、製造された微粉末に含まれる粗大粒子の個数を極めて少なくできる。また、分級精度が向上することで、分級回数を少なくすることができるため、生産性が向上する。
【0099】
また、被分級粉末の流動性が高まることで、被分級粉末の分級機内への付着が減少し、収率が向上する。また、分級機内への付着が減少することで、分級機の粉末の供給口や配管内部等が閉塞しにくくなるため、分級機の運転時間が長くなり、生産性が向上する。
【0100】
これにより、粗大粒子の個数が極めて少ない微粉末を、高い生産性で製造できる。
【0101】
乾式分級工程を行う気相温度は、特に限定されないが、60℃以上300℃以下であるのが好ましく、100℃以上250℃以下であるのがより好ましく、150℃以上200℃以下であるのがさらに好ましい。
【0102】
これにより、熱による粒子の変形や粒子の構成材料の変質等の問題をより効果的に防止しつつ、気流の速度が上がることで遠心力が高まり、また、水蒸気の粒子への付着を防ぎ、分級精度をさらに高めることができる。また、生産性をさらに向上させることができる。また、微粉末中の粗大粒子の個数を特に少なくすることができる。
【0103】
乾式分級工程を行う際の吸引風量、すなわち、例えば、図1に示す分級機1において、微粉排出口7に接続された吸引ポンプによる吸引風量は、特に限定されないが、5.0m/分以上30m/分以下であるのが好ましく、6.0m/分以上20m/分以下であるのがより好ましく、7.0m/分以上9.0m/分以下であるのがさらに好ましい。
これにより、被分級粉末の分級をより効率よく行うことができる。
【0104】
乾式分級を行う吸引圧力、すなわち、例えば、図1に示す分級機1において、微粉排出口7に接続された吸引ポンプによる吸引圧力は、特に限定されないが、-60kPa以上-5kPa以下であるのが好ましく、-50kPa以上-10kPa以下であるのがより好ましく、-40kPa以上-15kPa以下であるのがさらに好ましい。
これにより、被分級粉末の分級をより好適に行うことができる。
【0105】
被分級粉末を乾式分級することにより、被分級粉末は、微粉と粗粉とに分級される。被分級粉末は、例えば、体積基準の累積50%粒子径D50が0.01μm以上5.0μm以下の範囲内にある微粉と、微粉よりもD50が大きい粗粉とに分級される。このうち、微粉を、上述した微粉末として回収する。
【0106】
以上のようにして、体積基準の累積50%粒子径D50が0.01μm以上5.0μm以下の範囲内にある微粉末が製造される。
【0107】
このようにして製造された微粉末は、粗大粒子の個数が極めて少ない。また、微粉末には、好適な状態でカルボン酸が吸着していることにより、二次的な凝集も防止される。
【0108】
さらに、上述したような方法によれば、分級精度が高まるため分級回数を少なくすることができる。また、被分級粉末の分級機内への付着が減少する。これにより収率が向上する。また、分級機内への付着が減少することで、分級機の粉末の供給口や配管内部等が閉塞しにくくなるため、分級機の運転時間が長くなり、生産性が向上する。
【0109】
なお、乾式分級工程は、1回のみ行ってもよいが、複数回繰り返してもよい。これにより、分級精度をさらに高めることができる。
【0110】
乾式分級工程における微粉末の収率は、特に限定されないが、80%以上であるのが好ましく、81%以上であるのがより好ましく、82%以上であるのがさらに好ましく、83%以上であるのがもっとも好ましい。
これにより、本発明の効果がさらに顕著なものとなる。
【0111】
なお、本明細書において、乾式分級工程における微粉末の収率は、分級前の粉末重量、すなわち、カルボン酸含有ニッケル粉末の重量、および、分級後の粉末重量、すなわち、微粉末の重量から、下記式:
収率(%)=(分級後の粉末重量/分級前の粉末重量)×100
によって求められた値である。
【0112】
上述した本発明の方法により製造された微粉末は、体積基準の累積50%粒子径D50が0.01μm以上5.0μm以下の範囲内であればよいが、微粉末のD50は、0.03μm以上2.0μm以下であるのが好ましく、0.05μm以上1.0μm以下であるのがより好ましく、0.10μm以上0.60μm以下であるのがさらに好ましい。
【0113】
これにより、より理想的な粒度分布を有する微粉末を得ることができる。また、従来においては、D50がこのような範囲内の値である場合に、粗大粒子が問題になりやすく、また、粗大粒子による悪影響が特に生じやすかった。これに対し、本発明では、D50がこのような範囲内の値である場合であっても、上記のような問題の発生をより効果的に防止することができる。すなわち、微粉末のD50が前記範囲内の値である場合に、本発明による効果がより顕著に発揮される。
【0114】
上述した本発明の方法により製造された微粉末は、レーザー式粒度分布測定装置を用いて測定した粒度分布の体積基準の積算分率10%値をD10[μm]とし、積算分率50%値をD50[μm]とし、積算分率90%値をD90[μm]としたときの(D90-D10)/D50の値が、0.30以上0.90以下であるのが好ましく、0.35以上0.80以下であるのがより好ましく、0.40以上0.75以下であるのがさらに好ましい。
【0115】
(D90-D10)/D50は、粒度分布の均一性を表す指標であり、(D90-D10)/D50の値が小さいほど、粒度分布が狭いこと、すなわち、粒度がより均一なものであることを示す。
【0116】
これにより、微粉末は、粒度がより均一なものとなり、各種用途において好適に用いられる。
【0117】
また、微粉末の製造方法では、以下のような測定で求められる粗大粒子の個数が、30個以下であるのが好ましく、25個以下であるのがより好ましく、20個以下であるのがさらに好ましい。
【0118】
これにより、微粉末中に粗大粒子が含まれることによる種々の問題の発生をより効果的に防止することができる。
【0119】
上記の粗大粒子の個数の測定は、例えば、以下のようにして行うことができる。
まず、微粉末1.0gを20mLのエタノールと混合した後に、超音波洗浄機(例えば、本田電子株式会社製、W-113)を用いて1分間処理し、分散液を調製する。このようにして調製した分散液から30μL秤取し、アルミ製試料台に滴下し、乾燥させて分散媒を除去することで測定用試料を作製する。この測定用試料について、走査型電子顕微鏡(例えば、日立ハイテクノロジーズ社製、SU-1510)を用いて、10000倍の倍率で50視野の観察を行う。微粉末の体積基準の累積50%粒子径D50の1.5倍以上の粒径を有する粒子の総数を求め、この数を粗大粒子の個数とする。
【0120】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されない。
【0121】
例えば、微粉末の製造方法に適用する装置は、前述した実施形態で説明した物に限定されない。
【実施例
【0122】
以下に具体的な実施例をあげて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に温度条件、湿度条件を示していない処理は、室温(25℃)、相対湿度50%において行ったものである。また、各種測定条件についても、特に温度条件、湿度条件を示していないものは、室温(25℃)、相対湿度50%における数値である。また、カルボン酸含有ニッケル粉末、微粉末についての体積基準の積算分率10%値D10、積算分率50%値D50、積算分率90%値D90は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA-960(HORIBA社製)を用いた測定により求めた。
また、以下に述べる各実施例で用いたカルボン酸の条件を表1にまとめて示す。
【0123】
【表1】

【0124】
[4]カルボン酸含有ニッケル粉末の製造
(実施例1)
まず、体積基準の累積50%粒子径D50が0.31μmのニッケル粉末を用意した。
このニッケル粉末を、カルボン酸としての酢酸を含む雰囲気中に、10秒間分散させることで、酢酸吸着ニッケル粉末であるカルボン酸含有ニッケル粉末を得た。なお、酢酸は、純度100%に近いもの(富士フイルム和光純薬株式会社製、特級99.7+%)を用いた。また、ニッケル粉末を分散させる際の、酢酸を含む雰囲気の温度は、100℃に調整した。また、前記雰囲気中の酢酸の分圧は、6.6×10-5atmとした。
【0125】
(実施例2)
ニッケル粉末を、カルボン酸としての酢酸を含む雰囲気中に分散させる際の前記雰囲気中の酢酸の分圧を6.6×10-6atmに変更した以外は、前記実施例1と同様にして酢酸吸着ニッケル粉末であるカルボン酸含有ニッケル粉末を得た。
【0126】
(実施例3)
カルボン酸として、酢酸の代わりにプロピオン酸を用いるとともに、カルボン酸を含む雰囲気中に分散させる際の条件を表2に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてカルボン酸含有ニッケル粉末を得た。
【0127】
(実施例4)
まず、酢酸ニッケル四水和物の粉末を用意した。この酢酸ニッケル四水和物の粉末を噴霧し、気相中で1500℃に加熱することで、気相中に分散したニッケル粉末を得た。このニッケル粉末が気相中に分散した状態で気相の温度を300℃に調整した。このニッケル粉末が分散した気相中に、カルボン酸としての酢酸を供給して、10秒間処理することで、酢酸吸着ニッケル粉末であるカルボン酸含有ニッケル粉末を得た。酢酸は、純度100%に近いもの(富士フイルム和光純薬株式会社製、特級99.7+%)を用いた。また、カルボン酸としての酢酸での処理を行う際の気相中の酢酸の分圧は、6.6×10-5atmとした。なお、カルボン酸としての酢酸を供給する前にニッケル粉末を回収して測定した体積基準の累積50%粒子径D50は0.31μmであった。
【0128】
(実施例5)
カルボン酸を供給する際の気相の温度を500℃に変更するとともに、カルボン酸としての酢酸での処理を行う際の気相中の酢酸の分圧を1.3×10-5atmに変更した以外は、前記実施例4と同様にして酢酸吸着ニッケル粉末であるカルボン酸含有ニッケル粉末を得た。
【0129】
(実施例6)
カルボン酸としての酢酸での処理を行う際の気相中の酢酸の分圧を6.6×10-5atmに変更した以外は、前記実施例5と同様にして酢酸吸着ニッケル粉末であるカルボン酸含有ニッケル粉末を得た。
【0130】
(比較例1)
本比較例の粉末は、前記実施例1で原料粉末として用いたニッケル粉末を、カルボン酸による処理を施すことなく用いた。すなわち、本比較例に係る粉末は、カルボン酸で処理されていないニッケル粉末である。
【0131】
(比較例2)
まず、体積基準の累積50%粒子径D50が0.31μmのニッケル粉末を用意した。
このニッケル粉末を、アルコールとしてのエタノールを含む雰囲気中に、10秒間分散させることで、アルコール処理粉末としてのアルコール吸着ニッケル粉末を得た。なお、ニッケル粉末を分散させる際の、アルコールを含む雰囲気の温度は、25℃に調整した。また、前記雰囲気中のアルコールの分圧は、9.6×10-6atmとした。
【0132】
(比較例3)
アルコールとしてエタノールの代わりにイソプロパノールを用い、アルコールによる処理を行う際の雰囲気中のアルコールの分圧が8.8×10-6atmとなるようにした以外は、前記比較例2と同様にして有機化合物による処理粉末であるアルコール処理粉末を製造した。
【0133】
(比較例4)
まず、体積基準の累積50%粒子径D50が0.31μmのニッケル粉末を用意した。
このニッケル粉末を、カルボン酸としての酢酸を含む雰囲気中に静置することで、酢酸吸着ニッケル粉末であるカルボン酸含有ニッケル粉を得た。なお、酢酸は、純度100%に近いもの(富士フイルム和光純薬株式会社製、特級99.7+%)を用いた。また、酢酸による処理時間は30分間、酢酸による処理を行う際の処理温度は50℃、酢酸による処理を行う際の雰囲気中の酢酸の分圧は1.0×10-1atmとした。
【0134】
(比較例5、6)
ニッケル粉末を、カルボン酸としての酢酸を含む雰囲気中に分散させる際の条件を表2に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして酢酸吸着ニッケル粉末であるカルボン酸含有ニッケル粉末を得た。
【0135】
(比較例7)
カルボン酸として酢酸の代わりにプロピオン酸を用い、カルボン酸による処理時間が60分間、カルボン酸による処理を行う際の処理温度が120℃、カルボン酸による処理を行う際の雰囲気中のカルボン酸の分圧が5.0×10-1atmとなるようにした以外は、前記比較例4と同様にしてカルボン酸含有ニッケル粉を得た。
【0136】
前記各実施例および各比較例の粉末の製造条件とともに、これらの粉末について、TG-MSにより、不活性雰囲気であるヘリウム雰囲気下で、昇温速度20℃/minで38℃から600℃まで昇温したときに検出されるカルボン酸の分子イオン(酢酸の分子イオン:m/z=60、プロピオン酸の分子イオン:m/z=74)のマスクロマトグラムにおけるピークのピークトップの温度、得られた粉末を構成するニッケル粒子の表面積1mあたりのカルボン酸の含有量を表2にまとめて示した。なお、MSのイオン化法としてはEI(Electron Ionization)法を用いた。また、表2には、前記各実施例および比較例4~7で用いたカルボン酸の沸点をTbp[℃]としたときの、(Tbp+100)℃以上600℃以下の範囲内でのカルボン酸の分子イオンのマスクロマトグラムにおけるピークのピークトップの有無、(Tbp-50)℃以上(Tbp+50)℃以下の範囲内でのカルボン酸の分子イオンのマスクロマトグラムにおけるピークのピークトップの有無も示した。TG-MSには、試料を昇温するためのTG-DTAとしてNETZSCH社製のSTA2500 Regulus、試料の昇温により気化した物質を質量分析するためのMSとして日本電子社製のJMS-Q1500GCを用いた。また、粉末を構成するニッケル粒子の表面積1mあたりのカルボン酸の含有量は、CS(炭素・硫黄)分析装置(HORIBA社製、EMIA-320V)を用い、(1)カルボン酸を吸着させる処理をする前のニッケル粉末中の炭素量と、(2)カルボン酸を吸着させる処理を行った後のニッケル粉末の炭素量を測定し、(2)から(1)を引いた値を、カルボン酸を吸着させる処理によって増加した炭素量とし、この値と、カルボン酸中の炭素の割合と、カルボン酸を吸着させる処理をする前のニッケル粉末の比表面積とを用いて求めた。また、表2中、酢酸を「AA」、プロピオン酸を「PA」、エタノールを「EtOH」、イソプロパノールを「IPA」と示した。
【0137】
【表2】

【0138】
[5]乾式分級による微粉末の製造
前記各実施例および各比較例の粉末、すなわち、前記各実施例および前記比較例4~7についてはカルボン酸含有ニッケル粉末、前記比較例1についてニッケル粉末、前記実施例2、3についてはアルコール処理粉末を、それぞれ、図1に示す乾式分級機に1時間あたり10kg投入し、供給分散圧力を0.6MPaに設定して、被分級粉末を得た。
【0139】
次に、被分級粉末を、分級室に導入し、分級機内部の温度を25℃、吸引風量を8.5m/min、吸引圧力を-35kPaに設定して、乾式分級を行い、微粉末を製造した。
【0140】
その後、得られた微粉末について、上記と同様にして乾式分級をさらに行い、すなわち、乾式分級を合計で2回行い、最終的な微粉末を得た。
【0141】
[6]評価
[6-1]収率
前記各実施例および各比較例について、分級前の粉末重量、および、分級後の粉末重量すなわち2回の分級処理を行うことにより得られた微粉末の重量を測定し、次式によって収率を求めた。
収率(%)=(分級後の粉末重量/分級前の粉末重量)×100
【0142】
[6-2]粒度分布の評価
レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA-960(HORIBA社製)を用いた計測により、前記各実施例および各比較例について、原料粉末であるニッケル粉末および得られた微粉末の粒径分布を求め、その結果から、粒度分布の体積基準の積算分率10%値(D10)[μm]、積算分率50%値(D50)[μm]、積算分率90%値(D90)[μm]をそれぞれ求めた。
【0143】
また、上記のようにして求められたD10[μm]、D50[μm]、D90[μm]の値から、(D90-D10)/D50を算出した。
【0144】
[6-3]粗大粒子数の評価
前記各実施例および各比較例について、2回分級後の粉末1gに分散媒としてエタノールを20mL混合し、超音波洗浄機(本田電子株式会社製、W-113)を用いて1分間処理し、分散液を調製した。調製した分散液から30μL秤取し、アルミ製試料台に滴下し、乾燥させて分散媒を除去することで測定用試料を作製した。走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、SU-1510)を用いて前述の試料を10000倍に拡大し、50視野観察した。粒径が、上記[6-2]で求めた、対象の微粉末のD50の2.0倍以上である粒子を粗大粒子として、粗大粒子数を求めた。
【0145】
[6-4]塗膜の平滑性
上記[4]で得られた前記各実施例および各比較例の粉末、すなわち、分級処理を施す前の粉末100重量部と、エチルセルロース樹脂(ダウ・ケミカル社製、STD100)を3.0重量部と、ジヒドロターピネオールアセテート100重量部を混合し、ハイブリッドミキサー(THINKY社製、ARE-310)により2000rpmで2分間混合し、ニッケルペーストを得た。得られたニッケルペーストを、膜厚10μmでキャスティングし、微細形状測定器(小坂研究所製、ET3000i)を用いて、表面粗さRaを測定した。
【0146】
また、上記[5]で得られた前記各実施例および各比較例の微粉末についても、上記と同様にして、ペーストの調製、当該ペーストを用いた塗膜の形成および表面粗さの測定を行った。
【0147】
これらの結果を、表3にまとめて示す。また、前記各実施例で得られた微粉末について、上記[6-3]に示す方法で、各微粉末についての体積基準の累積50%粒子径D50の3.0倍以上の粒径を有する粒子の個数を求めたところ、いずれの実施例でもこのような粒子は含まれていなかった。
【0148】
【表3】

【0149】
表3から明らかなように、前記各実施例では、D50が0.01μm以上5.0μm以下の範囲内にあり、粗大粒子の個数が極めて少ない微粉末を、高い収率で、好適に製造できた。このことから、前記各実施例のカルボン酸含有ニッケル粉末は、気相中での分散性に優れていると言える。また、前記各実施例では、ペーストを用いて形成された塗膜の表面粗さが小さく、平滑性の高いものであった。このことから、前記各実施例のカルボン酸含有ニッケル粉末は、ペースト中での分散性に優れていると言える。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明のカルボン酸含有ニッケル粉末は、複数個のニッケル粒子を含むとともに、前記ニッケル粒子の表面にカルボン酸を有するものであって、TG-MSにより、不活性雰囲気下で、昇温速度20℃/minで38℃から600℃まで昇温したときに前記カルボン酸の分子イオンのマスクロマトグラムにおいてピークが検出され、前記カルボン酸の沸点をTbp[℃]としたとき、前記ピークのピークトップが、(Tbp+100)℃以上600℃以下の範囲内に存在し、カルボン酸含有ニッケル粉末を構成する前記ニッケル粒子の表面積1mあたりの前記カルボン酸の含有量が、155μg以上450μg以下である。そのため、気相中での分散性が高く、かつ、有機溶媒等と混合してペーストの形成に用いた場合に当該ペースト中での分散性が高いカルボン酸含有ニッケル粉末を提供することができる。また、本発明のカルボン酸含有ニッケル粉末の製造方法は、本発明のカルボン酸含有ニッケル粉末を製造する方法であって、気相中に分散したニッケル粉末に気体状態のカルボン酸を接触させる工程を有する。そのため、気相中での分散性が高く、かつ、有機溶媒等と混合してペーストの形成に用いた場合に当該ペースト中での分散性が高いカルボン酸含有ニッケル粉末の製造方法を提供することができる。したがって、本発明のカルボン酸含有ニッケル粉末およびカルボン酸含有ニッケル粉末の製造方法は、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0151】
1…分級機
3…ケーシング
4…導入口
5…エアノズル
6…ガイドベーン
7…微粉排出口
8…粗粉排出口
10…分級室(分級ゾーン)
11…分散ゾーン
図1