(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-12-22
(45)【発行日】2026-01-06
(54)【発明の名称】静電チャック
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20251223BHJP
H02N 13/00 20060101ALI20251223BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H02N13/00 D
(21)【出願番号】P 2024029024
(22)【出願日】2024-02-28
【審査請求日】2025-05-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100121843
【氏名又は名称】村井 賢郎
(74)【代理人】
【識別番号】100170058
【氏名又は名称】津田 拓真
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 雄基
(72)【発明者】
【氏名】白石 純
(72)【発明者】
【氏名】籾山 大
(72)【発明者】
【氏名】板倉 郁夫
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-027640(JP,A)
【文献】特開2020-161813(JP,A)
【文献】特開2019-121432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H02N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被吸着物が載置される載置面を有する誘電体基板と、
前記誘電体基板の内部に設けられたRF電極と、
金属により形成され、前記誘電体基板に接合されたベースプレートと、
前記RF電極と前記ベースプレートとの間を電気的に接続する接続部材と、を備え、
前記ベースプレートの内部には、冷媒の通る冷媒流路が形成されており、
前記載置面に対し垂直な方向から見た場合において、
前記接続部材は、その少なくとも一部が前記冷媒流路と重なる位置に配置されていることを特徴とする静電チャック。
【請求項2】
前記載置面に対し垂直な方向から見た場合において、
前記接続部材は、その中心が前記冷媒流路と重なる位置に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項3】
前記載置面に対し垂直な方向から見た場合において、
前記接続部材は、その全体が前記冷媒流路と重なる位置に配置されていることを特徴とする、請求項2に記載の静電チャック。
【請求項4】
前記接続部材は複数設けられており、
前記載置面に対し垂直な方向から見た場合において、
全ての前記接続部材のそれぞれが、その少なくとも一部が前記冷媒流路と重なる位置に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項5】
前記載置面に対し垂直な方向から見た場合において、
前記接続部材の形状は円形であり、
前記接続部材の直径が前記冷媒流路の幅よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の静電チャック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は静電チャックに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばエッチング装置等の半導体製造装置には、処理の対象となるシリコンウェハ等の基板を吸着し保持するための装置として、静電チャックが設けられる。静電チャックは、吸着電極が設けられた誘電体基板と、誘電体基板を支持するベースプレートと、を備え、これらが互いに接合された構成を有する。吸着電極に電圧が印加されると静電力が生じ、誘電体基板上に載置された基板が吸着され保持される。
【0003】
下記特許文献1に記載されているように、誘電体基板には、半導体製造装置においてプラズマを発生させるための一対の対向電極のうちの1つ、であるRF電極が内蔵されることもある。この場合、RF電極とベースプレートとの間は、導電性を有する接続部材を介して電気的に接続される。これにより、基板の処理中におけるRF電極の電位は、ベースプレートの電位(例えば接地電位)に保たれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の接続部材とRF電極との間を電気的に接続するためには、例えば、誘電体基板のうちベースプレート側の面に凹部を形成し、その底面においてRF電極を露出させた上で、凹部の内側に接続部材を収容すればよい。当該接続部材を介してRF電極とベースプレートとの間を電気的に接続するためには、例えば、ベースプレートのうち誘電体基板側の面にも凹部を形成し、当該凹部の内側に接続部材を収容すればよい。接続部材は、誘電体基板とベースプレートとの間に挟み込まれた状態となる。
【0006】
ところで、半導体製造装置で基板の処理が行われているときには、RF電極に対する交流電圧の印可に伴って、接続部材ではジュール熱が生じる。接続部材の発熱量によっては、誘電体基板のうち接続部材の直上の部分が、接続部材からの熱によって局所的に加熱され過ぎてしまう可能性がある。
【0007】
このように、接続部材は、誘電体基板や被吸着物に対する加熱源となり得る。従って、接続部材の位置によっては、処理中における基板の面内温度分布のばらつきが大きくなり過ぎてしまう可能性がある。
【0008】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、処理中における基板の面内温度分布のばらつきを抑制することのできる静電チャック、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る静電チャックは、被吸着物が載置される載置面を有する誘電体基板と、誘電体基板の内部に設けられたRF電極と、金属により形成され、誘電体基板に接合されたベースプレートと、RF電極とベースプレートとの間を電気的に接続する接続部材と、を備える。ベースプレートの内部には、冷媒の通る冷媒流路が形成されている。載置面に対し垂直な方向から見た場合において、接続部材は、その少なくとも一部が冷媒流路と重なる位置に配置されている。
【0010】
上記構成の静電チャックでは、加熱源となり得る接続部材を、冷媒流路と重なる位置に配置している。このような構成においては、接続部材で生じた熱が冷媒によって効率的に回収されるため、処理中における基板の面内温度分布のばらつきを抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、処理中における基板の面内温度分布のばらつきを抑制することのできる静電チャック、を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る静電チャックの構成を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図1の静電チャックが備える誘電体基板の、載置面側の構成を示す図である。
【
図3】ベースプレートの内部に形成された冷媒流路の構成を示す図である。
【
図4】第1実施形態に係る静電チャックの、接続部材及びその近傍部分の構成を詳細に示す断面図である。
【
図6】冷媒流路と接続部材等との位置関係を説明するための図である。
【
図7】第2実施形態に係る静電チャックの、接続部材及びその近傍部分の構成を詳細に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0014】
第1実施形態について説明する。本実施形態に係る静電チャック10は、例えばエッチング装置のような不図示の半導体製造装置の内部において、処理対象となる基板Wを静電力によって吸着し保持するものである。被吸着物である基板Wは、例えばシリコンウェハである。静電チャック10は、半導体製造装置以外の装置に用いられてもよい。
【0015】
図1には、基板Wを吸着保持した状態の静電チャック10の構成が、模式的な断面図として示されている。静電チャック10は、誘電体基板100と、ベースプレート200と、を備える。
【0016】
誘電体基板100は、セラミック焼結体からなる略円盤状の部材である。誘電体基板100は、例えば高純度の酸化アルミニウム(Al2O3)を含むが、他の材料を含んでもよい。誘電体基板100におけるセラミックスの純度や種類、添加物等は、半導体製造装置において誘電体基板100に求められる耐プラズマ性等を考慮して、適宜設定することができる。
【0017】
誘電体基板100のうち
図1における上方側の面110は、基板Wが載置される「載置面」となっている。また、誘電体基板100のうち
図1における下方側の面120は、接合層300を介してベースプレート200に接合される「被接合面」となっている。面110に対し垂直な方向に沿って、面110側から静電チャック10を見た場合の視点のことを、以下では「上面視」のようにも表記する。
【0018】
誘電体基板100の内部には吸着電極130が埋め込まれている。吸着電極130は、例えばタングステン等の金属材料により形成された薄い平板状の層であり、面110に対し平行となるように配置されている。吸着電極130の材料としては、タングステンの他、モリブデン、白金、パラジウム等を用いてもよい。不図示の給電路を介して外部から吸着電極130に電圧が印加されると、面110と基板Wとの間に静電力が生じ、これにより基板Wが吸着保持される。上記給電路の構成としては、公知となっている種々の構成を採用することができる。吸着電極130は、本実施形態のように所謂「単極」の電極として1つだけ設けられていてもよいが、所謂「双極」の電極として2つ設けられていてもよい。
【0019】
誘電体基板100の内部には、上記の吸着電極130に加えて、RF電極140も埋め込まれている。RF電極140は、半導体製造装置においてプラズマを発生させるための一対の対向電極のうちの1つ、として設けられている。対向電極のうちのもう一つは、半導体製造装置において静電チャック10よりも上方側となる位置に設けられる。これらの対向電極の間に高周波の交流電圧が印加されると、基板Wの上方側においてプラズマが発生し、基板Wに対する成膜やエッチング等の処理に供される。
【0020】
RF電極140は、吸着電極130と同様に、例えばタングステン等の金属材料により形成された薄い平板状の層である。RF電極140の材料としては、タングステンの他、モリブデン、白金、パラジウム等を用いてもよい。RF電極140は、吸着電極130よりも面120側となる位置に埋め込まれている。RF電極140は、吸着電極130と同様に、面110に対して平行となるように配置されている。RF電極140は、上面視において略円形の単一の電極である。上面視におけるRF電極140の中心は、誘電体基板100の中心と一致している。
【0021】
静電チャック10には接続部材400が設けられている。接続部材400は、RF電極140と後述のベースプレート200との間を電気的に接続するための部材である。接続部材400により、基板Wの処理中におけるRF電極140の電位は、ベースプレート200の電位と同じになる。
図1においては、接続部材400が単純な直線として模式的に描かれている。接続部材400の具体的な形状については後に説明する。
【0022】
図1に示されるように、誘電体基板100と基板Wとの間には空間SPが形成されている。半導体製造装置においてエッチング等の処理が行われる際には、空間SPには、
図1においては不図示のガス穴114(
図2を参照)を介して、外部から温度調整用のヘリウムガスが供給される。誘電体基板100と基板Wとの間にヘリウムガスを介在させることで、両者間の熱抵抗が調整され、これにより基板Wの温度が適温に保たれる。尚、空間SPに供給される温度調整用のガスは、ヘリウムとは異なる種類のガスであってもよい。
【0023】
図2は、誘電体基板100を上面視で描いた図である。同図に示されるように、載置面である面110上には、シールリング150やドット113が設けられており、上記の空間SPはこれらの周囲に形成されている。尚、
図1においてはドット113の図示が省略されている。
【0024】
シールリング150は、空間SPを区画する壁として設けられた環状の突起である。シールリング150は複数設けられており、上面視において略同心円状に並んでいる。それぞれのシールリング150の先端面(
図1における上端面)は、面110の一部となっており、基板Wに当接する。本実施形態では、計2つのシールリング150が設けられており、これにより空間SPは2つに分けられている。このような構成とすることで、それぞれの空間SPにおけるヘリウムガスの圧力を個別に調整し、処理中における基板Wの表面温度分布を均一に近づけることが可能となる。
【0025】
外側に配置された方のシールリング150のことを、以下では「第1シールリング151」とも称する。また、内側に配置された方のシールリング150のことを、以下では「第2シールリング152」とも称する。
【0026】
第1シールリング151は、載置面である面110のうち最も外周端となる位置に配置されたシールリング150である。第2シールリング152は、第1シールリング151との間に他のシールリング150を挟むことなく、第1シールリング151の内側となる位置に配置されたシールリング150である。第2シールリング152の内側に、更に他のシールリング150が設けられている態様であってもよい。また、1つの第1シールリング151のみが設けられており、他のシールリング150が存在しない態様であってもよい。
【0027】
図1や
図2において符号「116」が付されている部分は、空間SPの底面である。以下では、当該部分のことを「底面116」とも称する。シールリング150は、次に述べるドット113と共に、面110の一部を底面116の位置まで掘り下げた結果として形成されている。
【0028】
ドット113は、底面116から突出する円形の突起である。
図2に示されるように、ドット113は複数設けられており、誘電体基板100の載置面において分散配置されている。それぞれのドット113の上端面は、面110の一部となっており、基板Wに当接する。このようなドット113を複数設けておくことで、基板Wの撓みが抑制される。
【0029】
複数のドット113のうち、第1シールリング151に対し内側から最も近接する位置に配置されており、且つ第1シールリング151に沿って環状に並ぶように配置された一群のドット113のことを、以下では「ドット113A」とも称する。また、複数のドット113のうち、第2シールリング152に対し内側から最も近接する位置に配置されており、且つ第2シールリング152に沿って環状に並ぶように配置された一群のドット113のことを、以下では「ドット113B」とも称する。
【0030】
ドット113は、誘電体基板100の載置面の全体において均等に分散配置されてもよいが、一部において密となるように配置されていてもよい。本実施形態では、上面視において外周側の部分におけるドット113の配置密度が、中央側の部分におけるドット113の配置密度よりも高くなっている。具体的には、上記のドット113A及びドット113Bの配置密度が、その他のドット113の配置密度よりも高くなっている。複数のドット113をこのように配置することで、基板Wのうち比較的高温となりやすい部分である外周側部分を効率的に冷却し、基板Wの面内温度分布のばらつきを抑制することが可能となる。
【0031】
図2に示されるように、誘電体基板100には複数のガス穴114が形成されている。
図1においてはガス穴114の図示が省略されている。ガス穴114は、空間SPにヘリウムガスを供給するための穴であって、面120から面110側に向かって垂直に伸びるように形成された円形の貫通穴である。外部から供給されたヘリウムガスは、ベースプレート200の内部に形成された不図示のガス流路を通った後、それぞれのガス穴114を通じて空間SPへと供給される。
【0032】
本実施形態では、2つに区分された空間SPのそれぞれに対して、ガス穴114が複数個ずつ繋がっている。ガス穴114の内部には、例えばアルミナ等により形成された多孔質体が配置されていてもよい。このような構成とすることで、ガス穴114におけるガスの流れを確保しながらも、ガス穴114を通じた経路での絶縁破壊の発生を抑制することが可能となる。
【0033】
空間SPの底面116には、ヘリウムガスの面内拡散速度を高めることを目的として溝が形成されていてもよい。
【0034】
図1に戻って説明を続ける。ベースプレート200は、誘電体基板100を支持する略円盤状の部材である。ベースプレート200は、例えばアルミニウムのような金属材料により形成されている。ベースプレート200は、誘電体基板100の面120に対して、接合層300を介して接合されている。ベースプレート200のうち、
図1における上方側の面210は、誘電体基板100に接合される「被接合面」となっている。
【0035】
接合層300は、誘電体基板100とベースプレート200との間に設けられた層であって、両者を接合している。接合層300は、絶縁性の材料からなる接着材を硬化させたものである。本実施形態では、上記接着剤としてシリコーン接着剤を用いている。ただし、接合層300は、他の種類の接着剤を硬化させたものであってもよい。いずれの場合であっても、誘電体基板100とベースプレート200との間の熱抵抗が小さくなるように、接合層300の材料としては、可能な限り熱伝導率が高い材料を用いるのが好ましい。
【0036】
ベースプレート200の表面には絶縁膜が形成されていてもよい。絶縁膜としては、例えば、溶射により形成されたアルミナの膜を用いることができる。ベースプレート200の表面を絶縁膜で覆っておくことにより、ベースプレート200の絶縁耐圧を高めることができる。
【0037】
ベースプレート200の内部には、冷媒を通すための冷媒流路250が形成されている。半導体製造装置においてエッチング等の処理が行われる際には、外部から冷媒が冷媒流路250に供給され、これによりベースプレート200が冷却される。処理中において基板Wで生じた熱は、空間SPのヘリウムガス、誘電体基板100、及びベースプレート200を介して冷媒へと伝えられ、冷媒と共に外部へと排出される。冷媒流路250への冷媒の供給及び排出は、ベースプレート200のうち、面210とは反対側の面220に形成された開口251、252(
図1においては不図示、
図3を参照)を介して行われる。
【0038】
図3には、ベースプレート200の内部に形成された冷媒流路250の構成が、上面視で模式的に描かれている。先に述べたように、ベースプレート200の面220には開口251、252が設けられている。冷媒流路250は、開口251と開口252との間を繋いでおり、上面視においてベースプレート200の略全体を通るような経路に沿って形成されている。冷媒流路250の大部分は、円形であるベースプレート200と同心の円弧に沿って伸びるように形成されている。
【0039】
開口251、252はいずれも、上面視において円形の開口であり、面220から冷媒流路250に向けて、面220に対し垂直に伸びるように形成されている。開口251、252の内部空間は、冷媒流路250の一部とみなすこともできる。本実施形態では、開口251に対して外部から冷媒が供給される。冷媒流路250を通り基板Wの冷却に供された冷媒は、開口252から外部へと排出される。
【0040】
接続部材400及びその近傍部分の具体的な構成について、
図4等を参照しながら説明する。
図4に示されるように、誘電体基板100のうちベースプレート200側の面120には、第1凹部160が形成されている。第1凹部160は、接続部材400を配置可能とするために、面120の一部を面110側へと凹状に後退させた部分である。本実施形態の第1凹部160は、RF電極140を露出させる深さ位置まで形成されている。このため、第1凹部160の底面162では、内部電極であるRF電極140が露出している。上面視における第1凹部160の形状は円形であり、その内側には略円柱形状の空間が形成されている。
【0041】
ベースプレート200のうち誘電体基板100側の面210には、第2凹部260が形成されている。第2凹部260は、面210のうち、上面視において第1凹部160と重なる部分に形成されている。第2凹部260は、接続部材400を配置可能とするために、面210の一部を面220側へと凹状に後退させた部分である。第2凹部260の内側では、全体においてベースプレート200の金属部分が露出している。上面視における第2凹部260の形状は円形であり、その内側には略円柱形状の空間が形成されている。第2凹部260の中心軸は、第1凹部160の中心軸と一致している。ただし、第2凹部260の内周面261の直径は、第1凹部160の内周面161の直径よりも小さい。
【0042】
接合層300のうち、第1凹部160と第2凹部260と間の部分には円形の開口が形成されている。第1凹部160と第2凹部260との間は、当該開口を介して繋がっており、これらの全体が一つの空間となっている。
【0043】
図4において符号「310」が付されている部材は、第1凹部160や第2凹部260の内側に、未硬化の接着剤が入り込んでしまうことを防止するために配置された部材である。当該部材のことを、以下では「遮断部310」とも称する。遮断部310は、上面視において、第1凹部160を外側から全周に亘り囲むように配置された円環状の部材である。遮断部310の内径は、第1凹部160の内径と同じであるが、第1凹部160の内径とは異なる大きさであってもよい。遮断部310としては、例えば硬化したシリコーン接着剤が用いられる。
【0044】
接続部材400は、繊維状の金属部材により形成された略円柱形状の部材であって、第1凹部160及び第2凹部260の内側に収容されている。つまり、接続部材400の一部は第1凹部160に収容されており、接続部材400の他の一部は第2凹部260に収容されている。
【0045】
接続部材400は、第1凹部160の底面162において露出しているRF電極140、に対し当接している。また、接続部材400は、第2凹部260の底面262において露出しているベースプレート200の金属部分、に対しても当接している。このように配置された接続部材400によって、RF電極140とベースプレート200の金属部分との間が電気的に接続されている。
【0046】
図5に示されるように、接続部材400は、円柱形状の本体部410と、複数の突出部420と、を有しており、その全体が繊維状の金属部材により一体に形成されている。上面視における接続部材400の形状は円形である。当該円の直径、すなわち、本体部410の直径のことを、以下では「直径D1」とも称する。
【0047】
突出部420は、本体部410のうち誘電体基板100側の面から、更に誘電体基板100側に向かって伸びるように形成された略円柱形状の突起である。本実施形態では、突出部420は計4つ形成されているが、突出部420の数はこれとは異なっていてもよい。
【0048】
繊維状の金属部材からなる接続部材400は、その内部に、空気や接着剤等の流体が入り込み得る程度の通気性を有している。つまり、繊維状の金属部材は十分に密とはなっておらず、繊維同士の間には隙間が空いている。このような構成とすることで、接続部材400は、突出部420を含む各部が、外力によって容易に変形し得る弾性体となっている。
【0049】
外力を受けていないときの、接続部材400の上下方向(突出部420が伸びている方向)の寸法は、
図5の状態における同方向の寸法よりも大きい。つまり、接続部材400は、誘電体基板100からベースプレート200に向かう方向に沿って圧縮された状態で、第1凹部160及び第2凹部260の内側に収容され、RF電極140とベースプレート200との間に挟み込まれている。それぞれの突出部420の先端は、第1凹部160の底面162(つまりRF電極140)に対し押し付けられることで潰れるように弾性変形している。
【0050】
接続部材400は、自らの復元力によってRF電極140及びベースプレート200のそれぞれに対し押し付けられた状態となっている。このため、基板Wの処理時等において、静電チャック10の各部の熱膨張又は収縮が生じても、RF電極140とベースプレート200との間の電気的な接続が常に維持される。
【0051】
接続部材400の形状としては、
図5に示されるものとは異なる形状を採用してもよい。例えば、接続部材400の全体を略円柱形状とし、突出部420を有さない形状としてもよい。
【0052】
接続部材400の数は1つであってもよいが、本実施形態では複数の接続部材400が設けられている。
図2には、静電チャック10において複数設けられた接続部材400のそれぞれの位置が示されている。尚、実際の構成においては、面110側から接続部材400を視認することはできないが、
図2においては説明の便宜上、それぞれの接続部材400が、誘電体基板100を通じて面110側から視認できるように描かれている。
【0053】
図2に示されるように、複数設けられた接続部材400は、いずれも、上面視において第1シールリング151と第2シールリング152との間の領域に配置されている。上面視における接続部材400の直径D1は、第1シールリング151と第2シールリング152との間の距離D2よりも小さい。
【0054】
複数設けられた接続部材400のそれぞれは、第2シールリング152に沿って環状に並ぶように配置されている。
図2に示される一点鎖線DLは、第2シールリング152と平行に伸びている仮想的な線である。上面視において一点鎖線DLは円形であり、その中心は、誘電体基板100やベースプレート200の中心と一致している。上面視においては、それぞれの接続部材400の中心の位置が、一点鎖線DL上の位置となるように、全ての接続部材400が配置されている。
【0055】
本実施形態におけるそれぞれの接続部材400は、その全体が、上面視において第1シールリング151及び第2シールリング152のいずれとも重ならない位置に配置されている。つまり、任意の1つの接続部材400に着目した場合において、当該接続部材400は、上面視においてシールリング150と一切重なっていない。静電チャック10に設けられた全ての接続部材400について同様である。
【0056】
図2に示されるように、第1シールリング151と第2シールリング152との間の部分には、接続部材400に加えて複数のガス穴114も配置されている。当該部分に配置されたガス穴114は、いずれも、上面視におけるその中心の位置が一点鎖線DL上の位置となるように配置されている。つまり、本実施形態では、接続部材400とガス穴114とが、上面視において環状に且つ一列に並ぶように配置されている。
【0057】
ところで、半導体製造装置で基板Wの処理が行われているときには、RF電極140に対する交流電圧の印可に伴って、接続部材400ではジュール熱が生じる。接続部材400の発熱量によっては、誘電体基板100のうち接続部材400の直上の部分が、接続部材400からの熱によって局所的に加熱され過ぎてしまう可能性がある。
【0058】
このように、接続部材400は、誘電体基板100や基板Wに対する加熱源となり得る。このため、接続部材400の位置によっては、処理中における基板Wの面内温度分布のばらつきが大きくなり過ぎてしまう可能性がある。
【0059】
そこで、本実施形態に係る静電チャック10では、それぞれの接続部材400を、上面視において冷媒流路250と重なる位置に配置することとしている。このような構成においては、接続部材400で生じた熱が冷媒によって効率的に回収されるため、処理中における基板Wの面内温度分布のばらつきを抑制することができる。
【0060】
図6には、冷媒流路250の一部が上面視で描かれており、その直上に配置された接続部材400及びガス穴114が模式的に描かれている。同図に示されるように、接続部材400は、上面視においてその全体が冷媒流路250と重なる位置に配置されている。つまり、任意の1つの接続部材400に着目した場合において、当該接続部材400は、上面視においてその全体が冷媒流路250と重なっている。上面視における接続部材400の直径D1は、上面視における冷媒流路の幅D3よりも小さい。
【0061】
任意の1つの接続部材400に着目した場合において、当該接続部材400のうち上面視において冷媒流路250と重なっている部分は、本実施形態のように当該接続部材400の全体であってもよいが、当該接続部材400の一部のみであってもよい。すなわち、接続部材400が、冷媒流路250に対し部分的に重なっているような態様であってもよい。ただし、接続部材400で生じた熱を効率的に回収するためには、接続部材400のうち冷媒流路250と重なっている部分は、可能な限り大きい方が好ましい。接続部材400は、少なくともその中心が、上面視において冷媒流路250と重なるような位置に配置されることが好ましい。
【0062】
本実施形態では、静電チャック10に設けられた複数の接続部材400の全てが、上記のようにその全体が冷媒流路250と重なる位置に配置されている。このような態様に替えて、一部の接続部材400が、上記とは異なる位置に配置されているような態様としてもよい。つまり、上面視において冷媒流路250と重なる位置に配置されているのは、複数ある接続部材400のうちの一部のみであってもよい。ただし、接続部材400で生じた熱を効率的に回収するためには、全ての接続部材400のそれぞれが、その少なくとも一部が冷媒流路250と重なる位置に配置されていることが好ましい。
【0063】
本実施形態では、静電チャック10に複数設けられた接続部材400はいずれも、上面視において、その中心が第1シールリング151と第2シールリング152との間となる位置に配置されている。その結果、複数の接続部材400は、誘電体基板100の外周側部分において並ぶように配置されている。
【0064】
半導体製造装置における基板Wの処理中には、RF電極140を含む一対の対向電極の間を流れる交流電流が、誘電体基板100の外周側部分に偏って流れやすいことが知られている。そこで、本実施形態では、交流電流が比較的流れやすい外周部分に、電路の一部である接続部材400を配置している。これにより、交流電流の流れる経路を概ね最短とすることができるので、基板Wに対して効率的にプラズマを引き込むことができる。
【0065】
上記のような接続部材400及びガス穴114の配置は、シールリング150として、1つの第1シールリング151のみが設けられているような構成においても採用することができる。
【0066】
第2実施形態について説明する。以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
【0067】
図7には、本実施形態に係る静電チャック10の構成が、
図4と同様の視点で描かれている。
図7に示されるように、本実施形態の第1凹部160は、RF電極140を露出させる深さ位置までは形成されていない。第1凹部160の底面162は、RF電極140よりも面120側の位置にある。
【0068】
第1凹部160の底面162は、金属板141によって覆われている。金属板141は、例えばモリブデンにより形成された板状の部材であって、底面162の略全体に密着している。突出部420の先端は、本実施形態では金属板141に対して押し付けられている。
【0069】
金属板141とRF電極140との間は、誘電体基板100に設けられた複数のビア部142によって電気的に接続されている。ビア部142は、面120に対し垂直な方向に沿って伸びるように形成された穴の内側に、例えばタングステンのような導電性の部材を充填したものである。ビア部142のうち一方側の端部は金属板141に繋がっており、他方側の端部はRF電極140に繋がっている。
【0070】
このように、本実施形態では、接続部材400とRF電極140との間が直接的には繋がっておらず、金属板141及びビア部142を介して間接的に繋がっている。このような態様でも、第1実施形態で説明したものと同様の効果を奏する。
【0071】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0072】
10:静電チャック
100:誘電体基板
110:面
140:RF電極
200:ベースプレート
250:冷媒流路
400:接続部材
W:基板