(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-12-22
(45)【発行日】2026-01-06
(54)【発明の名称】切削インサートおよび切削工具
(51)【国際特許分類】
B23B 27/14 20060101AFI20251223BHJP
【FI】
B23B27/14 C
(21)【出願番号】P 2025541089
(86)(22)【出願日】2024-11-01
(86)【国際出願番号】 JP2024039067
【審査請求日】2025-07-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503212652
【氏名又は名称】住友電工ハードメタル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉村 綾
(72)【発明者】
【氏名】堤内 勇貴
(72)【発明者】
【氏名】松田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】竹村 彰太
(72)【発明者】
【氏名】久木野 暁
(72)【発明者】
【氏名】前田 敦彦
(72)【発明者】
【氏名】島本 陽介
(72)【発明者】
【氏名】松原 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】末吉 大河
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/046121(WO,A1)
【文献】国際公開第2024/101308(WO,A1)
【文献】特開2008-207312(JP,A)
【文献】国際公開第2015/163326(WO,A1)
【文献】特開2006-055917(JP,A)
【文献】特開2018-001401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 27/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
すくい面と、
第1逃げ面部と、第2逃げ面部と、第3逃げ面部と、第4逃げ面部と、前記すくい面と前記
第1逃げ面部および前記第2逃げ面部との稜線で構成される前方切れ刃とを含む切削インサートであって、
前記第3逃げ面部は、前記すくい面に対して前記第1逃げ面部の反対に位置
し、
前記第4逃げ面部は、前記すくい面に対して前記第2逃げ面部の反対に位置
し、
前記前方切れ刃は、前記すくい面と前記第1逃げ面部との稜線で構成され、かつ直線状の第1切れ刃部を含み、
前記第1切れ刃部において、前記すくい面に対する前記第1逃げ面部のなす角は、89°超え91°未満であり、
前記すくい面に対する前記第2逃げ面部のなす角は、90°未満であり、
前記すくい面に対する前記第3逃げ面部のなす角は、90°超えであり、
前記すくい面に対する前記第4逃げ面部のなす角は、89°超え91°未満であ
り、
前記切削インサートは、旋削用である、切削インサート。
【請求項2】
前記前方切れ刃は、
コーナ切れ刃部と、
さらえ刃部と、
前記コーナ切れ刃部に連なる第2切れ刃部とを含み、
前記第2切れ刃部は、前記すくい面と前記第2逃げ面部との稜線で構成され、
前記コーナ切れ刃部は、湾曲しており、
前記さらえ刃部は、前記第1切れ刃部と前記コーナ切れ刃部との間に配置されている、請求項1に記載の切削インサート。
【請求項3】
前記切削インサートは、前記すくい面の反対に位置する第1底面を含み、
前記第1底面に対する前記第4逃げ面部のなす角は、前記すくい面に対する前記第1逃げ面部のなす角と同じであり、
前記第1底面に対する前記第3逃げ面部のなす角は、前記すくい面に対する前記第2逃げ面部のなす角と同じであり、
前記第1底面に対する前記第2逃げ面部のなす角は、前記すくい面に対する前記第3逃げ面部のなす角と同じであり、
前記第1底面に対する前記第1逃げ面部のなす角は、前記すくい面に対する前記第4逃げ面部のなす角と同じである、請求項1または請求項2に記載の切削インサート。
【請求項4】
前記切削インサートは、前記第1底面と前記
第3逃げ面
部および前記第4逃げ面部との稜線で構成される後方切れ刃を含む、請求項3に記載の切削インサート。
【請求項5】
請求項2に記載の切削インサートと、
前記切削インサートを拘束する凹部が設けられているホルダとを備え、
前記切削インサートは、前記すくい面の反対に位置する第1底面を含み、
前記凹部は前記第1底面に対向する第2底面を有する、切削工具。
【請求項6】
前記ホルダの長手方向に平行であり、かつ前記コーナ切れ刃部を通る面を基準面とすると、
前記長手方向から見た際に、前記第1切れ刃部は、前記基準面と前記第2底面との間に配置され、
前記長手方向に対して垂直な方向から見た際に、前記第2底面からみて前記第2切れ刃部は、前記基準面よりも遠い位置に配置されている、請求項5に記載の切削工具。
【請求項7】
前記ホルダの長手方向に平行であり、かつ前記コーナ切れ刃部を通る面を基準面とすると、
前記長手方向に対して垂直な方向から見た際に、前記第1切れ刃部は、前記基準面と前記第2底面との間に配置され、
前記長手方向から見た際に、前記第2底面からみて前記第2切れ刃部は、前記基準面よりも遠い位置に配置されている、請求項5に記載の切削工具。
【請求項8】
前記凹部は、前記第3逃げ面部に接する第1拘束面と、前記第4逃げ面部に接する第2拘束面を有し、
前記第1拘束面は、前記第3逃げ面部に沿っており、
前記第2拘束面は、前記第4逃げ面部に沿っている、請求項5に記載の切削工具。
【請求項9】
前記切削インサートは、刃部材と、ろう材によって前記刃部材が取り付けられている台金とを含み、
前記刃部材は、cBN基焼結体から構成され、
前記台金は、超硬合金から構成される、請求項5に記載の切削工具。
【請求項10】
前記ホルダは、鋼材から構成される、請求項5に記載の切削工具。
【請求項11】
前記第2底面と前記切削インサートとの間に配置され、超硬合金から構成される敷板を備える、請求項5に記載の切削工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、切削インサートおよび切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2019/087496号(特許文献1)には、すくい面と、逃げ面と、すくい面と逃げ面との間に配置されるチャンファーとを有する切削インサートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本開示に係る切削インサートは、すくい面と、逃げ面と、前方切れ刃とを含む。前方切れ刃は、すくい面と逃げ面との稜線で構成される。逃げ面は、第1逃げ面部と、第2逃げ面部と、第3逃げ面部と、第4逃げ面部とを含む。第3逃げ面部は、第1逃げ面部の反対に位置する。第4逃げ面部は、第2逃げ面部の反対に位置する。前方切れ刃は、第1切れ刃部を含む。第1切れ刃部は、すくい面と第1逃げ面部との稜線で構成される。第1切れ刃部は、直線状である。第1切れ刃部において、すくい面に対する第1逃げ面部のなす角は、89°超え91°未満である。すくい面に対する第2逃げ面部のなす角は、90°未満である。すくい面に対する第3逃げ面部のなす角は、90°超えである。すくい面に対する第4逃げ面部のなす角は、89°超え91°未満である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る切削インサートの構成を示す斜視模式図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る切削インサートの構成を示す平面模式図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る切削インサートの構成を示す斜視模式図である。
【
図4】
図4は、第1切れ刃部の接線に対して垂直な断面を示す模式図である。
【
図5】
図5は、第2切れ刃部の接線に対して垂直な断面を示す模式図である。
【
図6】
図6は、第3稜線部の接線に対して垂直な断面を示す模式図である。
【
図7】
図7は、第4稜線部の接線に対して垂直な断面を示す模式図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る切削工具の構成を示す斜視模式図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る切削工具の構成を示す部分拡大平面模式図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る切削工具の構成を示す正面模式図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態に係る切削工具の構成を示す部分拡大側面模式図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係る切削工具を用いた加工方法を示す模式図である。
【
図13】
図13は、第3実施形態に係る切削インサートの構成を示す斜視模式図である。
【
図14】
図14は、第3実施形態に係る切削インサートの構成を示す平面模式図である。
【
図15】
図15は、第4実施形態に係る切削工具の構成を示す斜視模式図である。
【
図16】
図16は、第4実施形態に係る切削工具の構成を示す部分拡大平面模式図である。
【
図17】
図17は、第4実施形態に係る切削工具の構成を示す正面模式図である。
【
図18】
図18は、第4実施形態に係る切削工具の構成を示す部分拡大側面模式図である。
【
図19】
図19は、第4実施形態に係る切削工具を用いた加工方法を示す模式図である。
【
図20】
図20は、ホルダおよび切削インサートの各々における測定点を示す平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[本開示が解決しようとする課題]
引き加工を行う場合、切削抵抗が大きいと、切れ刃に欠損が生じるおそれがある。また、切削インサートの回転またはホルダからの浮き上がりが発生し、当該切削インサートがホルダに対してずれるおそれがある。
【0007】
本開示の目的は、欠損を低減しつつ、ホルダに対するずれが低減された切削インサートを提供することである。
[本開示の効果]
本開示によれば、欠損を低減しつつ、ホルダに対するずれが低減された切削インサートを提供することができる。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0008】
(1)本開示に係る切削インサートは、すくい面と、逃げ面と、前方切れ刃とを含む。前方切れ刃は、すくい面と逃げ面との稜線で構成される。逃げ面は、第1逃げ面部と、第2逃げ面部と、第3逃げ面部と、第4逃げ面部とを含む。第3逃げ面部は、第1逃げ面部の反対に位置する。第4逃げ面部は、第2逃げ面部の反対に位置する。前方切れ刃は、第1切れ刃部を含む。第1切れ刃部は、すくい面と第1逃げ面部との稜線で構成される。第1切れ刃部は、直線状である。第1切れ刃部において、すくい面に対する第1逃げ面部のなす角は、89°超え91°未満である。すくい面に対する第2逃げ面部のなす角は、90°未満である。すくい面に対する第3逃げ面部のなす角は、90°超えである。すくい面に対する第4逃げ面部のなす角は、89°超え91°未満である。このようにすれば、切削インサートの強度が向上するため、当該切削インサートを取り付けた切削工具を用いて被削材を加工しても、切れ刃としての前方切れ刃の欠損が低減する。また、切削インサートの回転およびホルダからの浮き上がりが抑制され、ホルダに対するずれが低減する。
【0009】
(2)上記(1)に係る切削インサートによれば、前方切れ刃は、コーナ切れ刃部と、さらえ刃部と、第2切れ刃部とを含んでもよい。第2切れ刃部は、コーナ切れ刃部に連なってもよい。第2切れ刃部は、すくい面と第2逃げ面部との稜線で構成されてもよい。コーナ切れ刃部は、湾曲してもよい。さらえ刃部は、第1切れ刃部とコーナ切れ刃部との間に配置されていてもよい。このようにすれば、引き加工時に、仕上げ面粗度を大幅に改善することができる。従って、高能率加工においても、安定的に良好な面粗度が得られる。
【0010】
(3)上記(1)または(2)に係る切削インサートは、すくい面の反対に位置する第1底面を含んでもよい。第1底面に対する第4逃げ面部のなす角は、すくい面に対する第1逃げ面部のなす角と同じであってもよい。第1底面に対する第3逃げ面部のなす角は、すくい面に対する第2逃げ面部のなす角と同じであってもよい。第1底面に対する第2逃げ面部のなす角は、すくい面に対する第3逃げ面部のなす角と同じであってもよい。第1底面に対する第1逃げ面部のなす角は、すくい面に対する第4逃げ面部のなす角と同じであってもよい。このようにすれば、当該切削インサートを裏返しにして使用することができる。
【0011】
(4)上記(3)に係る切削インサートは、第1底面と逃げ面との稜線で構成される後方切れ刃を含んでもよい。このようにすれば、前方切れ刃を構成する刃部材だけでなく、後方切れ刃を構成する刃部材を用いて被削材を切削することができるため、経済性に優れた切削インサートを得ることができる。
【0012】
(5)本開示に係る切削工具は、上記(2)に係る切削インサートと、ホルダとを備えてもよい。ホルダには、切削インサートを拘束する凹部が設けられていてもよい。切削インサートは、すくい面の反対に位置する第1底面を含んでもよい。凹部は第1底面に対向する第2底面を有してもよい。
【0013】
(6)上記(5)に係る切削工具によれば、ホルダの長手方向に平行であり、かつコーナ切れ刃部を通る面を基準面としてもよい。長手方向から見た際に、第1切れ刃部は、基準面と第2底面との間に配置されてもよい。長手方向に対して垂直な方向から見た際に、第2底面からみて第2切れ刃部は、第2底面から基準面よりも遠い位置に配置されてもよい。このようにすれば、当該切削工具を用いて、被削材の外周面に対して引き加工ができる。
【0014】
(7)上記(5)に係る切削工具によれば、ホルダの長手方向に平行であり、かつコーナ切れ刃部を通る面を基準面としてもよい。長手方向に対して垂直な方向から見た際に、第1切れ刃部は、基準面と第2底面との間に配置されてもよい。長手方向から見た際に、第2底面からみて第2切れ刃部は、基準面よりも遠い位置に配置されてもよい。このようにすれば、当該切削工具を用いて、被削材の端面に対して引き加工ができる。
【0015】
(8)上記(5)から(7)のいずれかに係る切削工具によれば、凹部は、第1拘束面と、第2拘束面とを有してもよい。第1拘束面は、第3逃げ面部に接してもよい。第2拘束面は、第4逃げ面部に接してもよい。第1拘束面は、第3逃げ面部に沿っていてもよい。第2拘束面は、第4逃げ面部に沿っていてもよい。このようにすれば、切削インサートの回転およびホルダからの浮き上がりが抑制され、ホルダに対するずれが低減する。
【0016】
(9)上記(5)から(8)のいずれかに係る切削工具によれば、切削インサートは、刃部材と、台金とを含んでもよい。台金には、ろう材によって刃部材が取り付けられていてもよい。刃部材は、cBN基焼結体から構成されてもよい。台金は、超硬合金から構成されてもよい。
【0017】
(10)上記(5)から(9)のいずれかに係る切削工具によれば、ホルダは、鋼材から構成されてもよい。
【0018】
(11)上記(5)から(10)のいずれかに係る切削工具は、敷板を備えてもよい。敷板は、第2底面と切削インサートとの間に配置されてもよい。敷板は、超硬合金から構成されてもよい。
【0019】
(12)上記(5)から(11)のいずれかに係る切削工具によれば、切削インサートは旋削用であってもよい。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の一実施形態に係る切削インサートの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
【0020】
(第1実施形態)
<切削インサートの構成>
図1は、第1実施形態に係る切削インサート100の構成を示す斜視模式図である。
図1に示されるように、第1実施形態に係る切削インサート100は、2つの刃部材1a,1bと、台金2とを有している。刃部材1a,1bは、台金2に取り付けられている。刃部材1a,1bの各々は、切削に関与する。台金2の平面視形状は、特に限定されないが、例えば菱形である。台金2の鋭角コーナ部に、刃部材1a,1bが接合されている。台金2は、例えば、超硬合金またはサーメット等から構成されている。第1実施形態に係る切削インサート100は、台金2の鋭角コーナ部に刃部材1a,1bが接合されて形成されているが、切削インサート100全体を刃部材で形成してもよい。
【0021】
台金2の鋭角コーナ部には、上面(第2すくい面部12)の一部を部分的に落ち込ませた座繰り部4aが形成されている。刃部材1aは、座繰り部4aにおいてロウ材等の接合手段により台金2に取り付けられている。
【0022】
刃部材1a,1bは、cBN基焼結体から構成されてもよく、ダイヤモンド基焼結体、セラミックス、サーメット、または超硬合金のいずれか構成されてもよい。cBN基焼結体は、cBN(立方晶型窒化硼素)を体積比で10パーセント以上100パーセント以下含む焼結体である。ダイヤモンド基焼結体は、ダイヤモンドを体積比で10パーセント以上100パーセント以下含む焼結体である。セラミックスは、例えば、アルミナ(Al2O3)、窒化けい素(Si3N4)、炭化チタン(TiC)のセラミックスであってもよい。サーメットは、例えば、窒化物系サーメットあるいは炭化物系サーメットであってもよい。
【0023】
第1実施形態に係る切削インサート100は、すくい面10と、逃げ面20と、第1底面30と、前方切れ刃40とを含む。第1底面30は、すくい面10の反対に位置する。逃げ面20は、すくい面10と第1底面30とを接続する。前方切れ刃40は、すくい面10と逃げ面20との稜線50で構成される。前方切れ刃40は、稜線50の一部である。
【0024】
稜線50は、前方切れ刃40、第1稜線部51、第2稜線部52、第3稜線部53、第4稜線部54を含む。前方切れ刃40は、第1切れ刃部41、第2切れ刃部42、コーナ切れ刃部43、さらえ刃部44を含む。前方切れ刃40は、刃部材1aから構成されている。第1稜線部51、第2稜線部52、第3稜線部53、第4稜線部54は、台金2から構成されている。
【0025】
図1に示されているように、第1切れ刃部41は、さらえ刃部44と第1稜線部51とを繋いでいる。第2切れ刃部42は、コーナ切れ刃部43と第2稜線部52とを繋いでいる。コーナ切れ刃部43は、第2切れ刃部42とさらえ刃部44とを繋いでいる。さらえ刃部44は、第1切れ刃部41とコーナ切れ刃部43とを繋いでいる。さらえ刃部44は、第1切れ刃部41とコーナ切れ刃部43との間に配置されている。
【0026】
第1稜線部51は、第1切れ刃部41と第4稜線部54とを繋いでいる。第2稜線部52は、第2切れ刃部42と第3稜線部53とを繋いでいる。第3稜線部53は、第2稜線部52と第4稜線部54とを繋いでいる。第4稜線部54は、第1稜線部51と第3稜線部53とを繋いでいる。
【0027】
すくい面10は、第1すくい面部11と、第2すくい面部12とを有している。第1すくい面部11は、刃部材1aにより構成されている。第2すくい面部12は、台金2により構成されている。第2すくい面部12には、貫通孔5が形成されている。
【0028】
逃げ面20は、第1逃げ面部21と、第2逃げ面部22と、第3逃げ面部23と、第4逃げ面部24と、コーナ逃げ面部25と、さらえ逃げ面部26とを含む。第3逃げ面部23は、第1逃げ面部21の反対に位置する。第4逃げ面部24は、第2逃げ面部22の反対に位置する。
【0029】
第1逃げ面部21は、第1刃部逃げ面部21aと、第1台金逃げ面部21bとを含む。第2逃げ面部22は、第2刃部逃げ面部22aと、第2台金逃げ面部22bとを含む。第1刃部逃げ面部21a、第2刃部逃げ面部22a、コーナ逃げ面部25、さらえ逃げ面部26は、刃部材1aから構成されている。第1台金逃げ面部21b、第2台金逃げ面部22b、第3逃げ面部23、および第4逃げ面部24は、台金2から構成されている。
【0030】
第1切れ刃部41は、すくい面10の第1すくい面部11と第1逃げ面部21の第1刃部逃げ面部21aとの稜線50で構成されている。第2切れ刃部42は、すくい面10の第1すくい面部11と第2逃げ面部22の第2刃部逃げ面部22aとの稜線50で構成されている。コーナ切れ刃部43は、すくい面10の第1すくい面部11とコーナ逃げ面部25との稜線50で構成されている。さらえ刃部44は、すくい面10の第1すくい面部11とさらえ逃げ面部26との稜線50で構成されている。
【0031】
第1稜線部51は、すくい面10の第2すくい面部12と第1逃げ面部21の第1台金逃げ面部21bとの稜線50で構成されている。第2稜線部52は、すくい面10の第2すくい面部12と第2逃げ面部22の第2台金逃げ面部22bとの稜線50で構成されている。第3稜線部53は、すくい面10の第2すくい面部12と第3逃げ面部23との稜線50で構成されている。第4稜線部54は、すくい面10の第2すくい面部12と第4逃げ面部24との稜線50で構成されている。
【0032】
第1刃部逃げ面部21aは、さらえ逃げ面部26と第1台金逃げ面部21bとに繋がっている。さらえ逃げ面部26は、第1刃部逃げ面部21aとコーナ逃げ面部25とに繋がっている。コーナ逃げ面部25は、さらえ逃げ面部26と第2刃部逃げ面部22aとに繋がっている。第2刃部逃げ面部22aは、コーナ逃げ面部25と第2台金逃げ面部22bとに繋がっている。第3逃げ面部23は、第2台金逃げ面部22bと第4逃げ面部24とに繋がっている。第4逃げ面部24は、第23逃げ面部23と第1台金逃げ面部21bとに繋がっている。
【0033】
図2は、第1実施形態に係る切削インサート100の構成を示す平面模式図である。
図2に示される平面模式図は、すくい面10に対して垂直な直線に沿ってすくい面10を見た状態を示している。
【0034】
図2に示されるように、すくい面10に対して垂直な直線に沿って見て、コーナ切れ刃部43は、湾曲している。コーナ切れ刃部43は、外側に凸となるように湾曲している。すくい面10に対して垂直な直線に沿って見て、コーナ切れ刃部43の曲率半径は、0.2mm以上2.4mm以下である。コーナ切れ刃部43の曲率半径は、0.3mm以上2.2mm以下であってもよく、0.4mm以上2.0mm以下であってもよく、0.6mm以上1.8mm以下であってもよい。
【0035】
図2に示されるように、すくい面10に対して垂直な直線に沿って見て、さらえ刃部44の形状は、直線状である。すくい面10に対して垂直な直線に沿って見て、さらえ刃部44の形状は、曲線状であってもよい。さらえ刃部44の形状が曲線状である場合、すくい面10に対して垂直な直線に沿って見て、さらえ刃部44の曲率半径は、10mm以上100mm以下であってもよく、20mm以上90mm以下であってもよく、30mm以上80mm以下であってもよい。一方で、さらえ刃部44の曲率半径が5mm未満であると、仕上げ面粗度が大きく改善されない。
【0036】
図2に示されるように、すくい面10に対して垂直な直線に沿って見て、第1切れ刃部41および第2切れ刃部42の各々の形状は、直線状である。第1切れ刃部41の長さは、第2切れ刃部42の長さよりも大きい。第1切れ刃部41の長さは、第2切れ刃部42の長さの1.5倍以上であってもよく、2倍以上であってもよい。
【0037】
図2に示されるように、第1稜線部51、第2稜線部52、第3稜線部53、第4稜線部54の各々の形状は、直線状である。第1稜線部51の長さは第2稜線部52の長さより小さい。第3稜線部53の長さは第4稜線部54の長さと同じである。第2稜線部52の長さは、第3稜線部53の長さおよび第4稜線部54の長さの各々より小さい。
【0038】
第2すくい面部12には、貫通孔5が形成されている。貫通孔5は、台金2を貫通している。貫通孔5は、すくい面10および第1底面30の各々に開口している。
【0039】
図3は、第1実施形態に係る切削インサート100の構成を示す斜視模式図である。
図3に示される斜視模式図は、台金2から見て刃部材1aの反対から第3逃げ面部23および第4逃げ面部24を見た状態を示している。
図3に示されているように、刃部材1aが配置されている座繰り部4a(台金2の鋭角コーナ部)の反対の位置に、下面(第1底面30)の一部を部分的に落ち込ませた座繰り部4bが形成されていてもよい。当該座繰り部4bに刃部材1bが配置されている。刃部材1bは、座繰り部4bにおいてロウ材等の接合手段により台金2に取り付けられている。
【0040】
刃部材1bは、刃部材1aと同様の構成を含んでいる。具体的には、第1実施形態に係る切削インサート100は、後方切れ刃60を含む。後方切れ刃60は、刃部材1bから構成されている。後方切れ刃60は、第1切れ刃部61、第2切れ刃部62、コーナ切れ刃部63、さらえ刃部64を含む。後方切れ刃60は、第1底面30と逃げ面20との稜線で構成される。後方切れ刃60は、第1底面30と逃げ面20との稜線の一部である。
【0041】
切削インサート100が鏡面対称となるように、刃部材1bは、台金2に取り付けられてもよい。具体的には、すくい面10に対して垂直な直線に沿って見て、一対の鋭角コーナ部を通る線に対して垂直であり、かつ貫通孔5の中心を通る線を線分A(
図2参照)とする。すくい面10に対して垂直な直線に沿って見て、座繰り部4aに配置された刃部材1aおよび座繰り部4bに配置された刃部材1bは線分Aに対して互いに鏡面対称となって配置されている。このようにすれば、前方切れ刃40を構成する刃部材1aだけでなく、後方切れ刃60を構成する刃部材1bを用いて被削材300を切削することができる。その結果、経済性に優れた切削インサート100をホルダ101に取り付けることができる。
【0042】
第1実施形態に係る切削インサート100は、刃部材の数(コーナ数)は2であるが、1であってよい。つまり、座繰り部4bに刃部材1bが配置されず、座繰り部4aのみに刃部材1aが配置されてもよい。
【0043】
図4は、第1切れ刃部41の接線に対して垂直な断面を示す模式図である。
図4に示されるように、第1逃げ面部21は、すくい面10に垂直な方向に沿っている。具体的には、第1切れ刃部41において、すくい面10に対する第1逃げ面部21のなす角(第1角度θ1)は、90°である。第1切れ刃部41において、すくい面10に対する第1逃げ面部21のなす角は、89°超え91°未満であってもよく、89.5°以上90.5°以下であってもよい。
【0044】
なお、第1逃げ面部21において、第1刃部逃げ面部21aおよび第1台金逃げ面部21bは同一平面上に配置されている。そのため、第1稜線部51において、すくい面10に対する第1逃げ面部21のなす角は、90°である。
【0045】
図5は、第2切れ刃部42の接線に対して垂直な断面を示す模式図である。
図5に示されるように、第2逃げ面部22は、すくい面10に垂直な平面に対して内側に傾斜している。具体的には、第2切れ刃部42において、すくい面10に対する第2逃げ面部22のなす角(第2角度θ2)は、90°未満である。第2切れ刃部42において、すくい面10に対する第2逃げ面部22のなす角は、85°以下であってもよく、80°以下であってもよい。
【0046】
なお、第2逃げ面部22において、第2刃部逃げ面部22aおよび第2台金逃げ面部22bは同一平面上に配置されている。そのため、第2稜線部52において、すくい面10に対する第2逃げ面部21のなす角(第1角度θ1)は、90°未満である。
【0047】
図6は、第3稜線部53の接線に対して垂直な断面を示す模式図である。
図6に示されるように、第3逃げ面部23は、すくい面10に垂直な平面に対して外側に傾斜している。具体的には、すくい面10に対する第3逃げ面部23のなす角(第3角度θ3)は、90°超えである。すくい面10に対する第3逃げ面部23のなす角は、95°以上であってもよく、100°以上であってもよい。なお、第3角度θ3に第2角度θ2を加算した値が180°になるように、第2角度θ2および第3角度θ3を決定してもよい。
【0048】
図7は、第4稜線部54の接線に対して垂直な断面を示す模式図である。
図7に示されるように、第4逃げ面部24は、すくい面10に垂直な方向に沿っている。具体的には、すくい面10に対する第4逃げ面部24のなす角(第4角度θ4)は、90°である。すくい面10に対する第4逃げ面部24のなす角は、89°超え91°未満であってもよく、89.5°以上90.5°以下であってもよい。
【0049】
第1実施形態に係る切削インサート100は鏡面対称となって構成されている。異なる観点から言うと、第1底面30からみた第4逃げ面部24は、すくい面10からみた第1逃げ面部21に対応している。つまり、第1底面30に対する第4逃げ面24のなす角は、第1角度θ1(すくい面10に対する第1逃げ面部21のなす角)と同じである。第1底面30からみた第3逃げ面部23は、すくい面10からみた第2逃げ面部22に対応している。つまり、第1底面30に対する第3逃げ面23のなす角は、第2角度θ2(すくい面10に対する第2逃げ面部22のなす角)と同じである。第1底面30からみた第2逃げ面部22は、すくい面10からみた第3逃げ面部23に対応している。つまり、第1底面30に対する第2逃げ面22のなす角は、第3角度θ3(すくい面10に対する第3逃げ面部23のなす角)と同じである。第1底面30からみた第1逃げ面部21は、すくい面10からみた第4逃げ面部24に対応している。つまり、第1底面30に対する第1逃げ面21のなす角は、第4角度θ4(すくい面10に対する第4逃げ面部24のなす角)と同じである。
【0050】
(第2実施形態)
<切削工具の構成>
次に、第2実施形態に係る切削工具200について説明する。
【0051】
図8は、第2実施形態に係る切削工具200の構成を示す斜視模式図である。第2実施形態に係る切削工具200は、第1実施形態1に係る切削インサート100と、ホルダ101と、敷板102と、押さえ部材110と、締結ネジ120とを有する。ホルダ101は円柱状であってもよく、直方体状であってもよい。ホルダ101は工作機械のタレットに取り付けられる。ホルダ101は、クロムモリブデン鋼あるいはダイス鋼などの鋼材から構成されてもよい。敷板102は、超硬合金から構成されてもよい。
【0052】
図8に示されているように、ホルダ101が直方体状である場合、ホルダ101は、第1側面101a、第2側面101b、第3側面101c、第4側面101d、第1端面101e、および第2端面101fを有する。第1端面101eに垂直な方向をX方向とする。第1側面101aに垂直な方向をY方向とする。X方向およびY方向に対して垂直な方向をZ方向とする。ホルダ101の長手方向はX方向である。第2端面101fは、ホルダ101の長手方向(X方向)において第1端面101eの反対に位置する。
【0053】
第1側面101aは、第1上面領域101a1と、第2上面領域101a2とを有する。第3側面101cからみて第2上面領域101a2はY方向において第1上面領域101a1より遠い位置に配置されている。第2上面領域101a2は、第2端面101fに連なっている。
【0054】
第2側面101bは、第1側面領域101b1と、第2側面領域101b2とを有する。第4側面101dからみて第2側面領域101b2はZ方向において第1側面領域101b1より遠い位置に配置されている。第2側面領域101b2は、第2端面101fに連なっている。
【0055】
第2端面101f、第2上面領域101a2、第2側面領域101b2の境界部には、切削インサート100を拘束する凹部103が設けられている。凹部103には、切削インサート100および敷板102が配置されている。切削インサート100は、敷板102上に積み重ねて配置されている。
【0056】
図9は、第2実施形態に係る切削工具200の構成を示す部分拡大平面模式図である。
図9に示される部分拡大平面模式図は、第1側面101aに対して垂直な直線(Y方向)に沿って切削インサート100を見た状態を示している。切削インサート100は、押さえ部材110を用いてホルダ101に取り付けられる。押さえ部材110は、本体部112と、挿入部111とを有している。挿入部111は、切削インサート100の貫通孔5に挿入される。本体部112には、取付穴113が形成されている。取付穴113には、締結ネジ120が挿入される。これにより、押さえ部材110は、ホルダ101に固定される。
【0057】
第1逃げ面部21は第2端面101fに沿うように配置されている。つまり、第1切れ刃部41は第2端面101fに沿うように配置されている。第2逃げ面部22は第2側面領域101b2に沿うように配置されている。つまり、第2切れ刃部42は第2側面領域101b2に沿うように配置されている。
【0058】
図10は、第2実施形態に係る切削工具200の構成を示す正面模式図である。
図10に示されている正面模式図は、ホルダ101の長手方向(X方向)に沿って切削インサート100を見た状態を示している。
図11は、第2実施形態に係る切削工具200の構成を示す部分拡大側面模式図である。
図11に示されている部分拡大側面模式図は、Z方向に沿って切削インサート100を見た状態を示している。
【0059】
凹部103は、第2底面103aと、第1拘束面103b(
図11参照)と、第2拘束面103c(
図10参照)とを有する。凹部103は、第2底面103a、第1拘束面103b、第2拘束面103cから構成される。第2底面103aは、第1底面30に対向する面である。第1拘束面103bは、第3逃げ面部23に接する面である。第1拘束面103bは、第2上面領域101a2、第2側面領域101b2、第2底面103a、第2拘束面103cに連なる。第2拘束面103cは、第4逃げ面部24に接する面である。第2拘束面103cは、第2上面領域101a2、第2端面101f、第2底面103a、第2拘束面103cに連なる。
【0060】
図10および
図11に示されているように、第1底面30が第2底面103aに対向するように切削インサート100が凹部103に配置される。第2底面103aと第1底面30との間に敷板102が配置されてもよい。
【0061】
図11に示されているように、第3逃げ面部23が第1拘束面103bに対向するように切削インサート100が凹部103に配置される。つまり、切削インサート100を凹部103に配置したときに、第1拘束面103bは、第3逃げ面部23に沿っている。すくい面10に対する第3逃げ面部23のなす角(第3角度θ3)は、90°超えである。そのため、第2上面領域101a2に対する第1拘束面103bの成す角は、90°未満であってもよい。
【0062】
図10に示されているように、第4逃げ面部24が第2拘束面103cに対向するように切削インサート100が凹部103に配置される。つまり、切削インサート100を凹部103に配置したときに、第2拘束面103cは、第4逃げ面部24に沿っている。すくい面10に対する第3逃げ面部23のなす角(第4角度θ4)は、89°超え91°未満である。そのため、第2上面領域101a2に対する第2拘束面103cの成す角は、89°超え91°未満であってもよい。第4角度θ4が90°である場合、第2上面領域101a2に対する第2拘束面103cの成す角は、90°であってもよい。
【0063】
図10および
図11に示されているように、ホルダ101の長手方向(X方向)に平行であり、かつコーナ切れ刃部43を通る面を基準面A1とする。基準面A1は、第1端面101eに対して垂直な面であってもよい。
図10に示されているように、X方向から見て、第1切れ刃部41は、内側に傾斜している。異なる観点から言うと、長手方向(X方向)から切削インサート100を見た際に、第1切れ刃部41は、Y方向において基準面A1と第2底面103aとの間に配置されている。X方向から見て、基準面A1に対する第1切れ刃部41のなす角(第5角度θ5)は、5°以上であってもよく、7°以上であってもよく、10°以上であってもよい。
【0064】
図11に示されているように、Z方向から見て、第2切れ刃部42は、外側に傾斜している。異なる観点から言うと、長手方向(X方向)に対して垂直な方向(Z方向)から切削インサート100を見た際に、第2底面103aからみて第2切れ刃部42は、Y方向において基準面A1よりも遠い位置に配置されている。Z方向から見て、基準面A1に対する第2切れ刃部42のなす角(第6角度θ6)は、5°以上であってもよく、7°以上であってもよく、10°以上であってもよい。
【0065】
次に、第2実施形態に係る切削工具200を用いた加工方法について説明する。
図12は、第2実施形態に係る切削工具200を用いた加工方法を示す模式図である。
【0066】
第1実施形態に係る切削インサート100が取り付けられた切削工具200は、被削材300の外周面301において引き加工が可能である。被削材300は、外周面301を有している。第2実施形態に係る引き加工は、切削インサート100を第1送り方向D1に移動させながら行う加工である。第1送り方向D1は、-Z方向に向かう方向である。引き加工においては、第1切れ刃部41を用いて被削材300が加工される。外周面301は、被削材300の回転軸X1に平行である。つまり、第1送り方向D1は、被削材300の回転軸X1に平行である。被削材300は、回転軸X1の周りを回転方向R1に回転する。このように、切削インサート100は旋削用であってもよい。
【0067】
第1角度θ1は、90°である。そのため、引き加工における切削インサート100の強度は十分確保される。つまり、当該切削インサート100を取り付けた切削工具200を用いて被削材300を加工しても、切れ刃としての前方切れ刃40の欠損が低減する。また、第3角度θ3は、90°超えである。そのため、引き加工においてY方向における切削抵抗が大きくなっても、切削インサート100がホルダ101から浮き上がらない。また、第4角度θ4は、90°である。つまり、Y方向からみて切削インサート100の回転方向に対して第4逃げ面部24は垂直な方向に沿っている。そのため、引き加工において切削抵抗が大きくなっても、基準面A1の面内上で当該切削インサート100は回転しない。このようにして、ホルダ101に対する切削インサート100のずれが低減する。また、第2角度θ2は、90°未満である。そのため、第2逃げ面部22は、すくい面10に垂直な平面に対して内側に傾斜する。その結果、被削材300の端面302(
図19参照)を加工する際に第2逃げ面部22が端面302に干渉しない。また、X方向から見て、第1切れ刃部41は、内側に傾斜している。そのため、第1切れ刃部41を被削材300に接触させて効率よく引き加工できる。
【0068】
当該切削インサート100を用いて被削材300の外周面301において押し加工してもよい。押し加工は、切削インサート100を第1送り方向D1の反対の方向(Z方向に向かう方向)に移動させながら行う加工である。押し加工においては、第2切れ刃部42を用いて被削材300が加工される。Z方向から見て、第2切れ刃部42は、外側に傾斜している。そのため、第2切れ刃部42を被削材300に接触させて効率よく押し加工できる。
【0069】
(第3実施形態)
<切削工具の構成>
次に、第3実施形態に係る切削インサート100について説明する。第3実施形態に係る切削インサート100は、主に、第1実施形態に係る切削インサート100に対して鏡面対称となって構成されている点において、第1実施形態に係る切削インサート100と異なっており、その他の点については、第1実施形態に係る切削インサート100と同様である。以下、第1実施形態に係る切削インサート100と異なる構成を中心に説明する。
【0070】
図13は、第3実施形態に係る切削インサート100の構成を示す斜視模式図である。
図13に示される斜視模式図は、
図1に示される切削インサート100の斜視模式図に対して鏡面対称となった状態を示している。
図14は、第3実施形態に係る切削インサート100の構成を示す平面模式図である。
図14に示される平面模式図は、
図2に示される切削インサート100の平面模式図に対して鏡面対称となった状態を示している。
【0071】
具体的には、第3実施形態に係る切削インサート100は、第1実施形態に係る切削インサート100においてすくい面10に対して垂直な直線に沿って見て、一対の鋭角コーナ部を通る面であり、かつ貫通孔5の中心を通る面に対して鏡面対称となって構成されている。
【0072】
なお、第3実施形態に係る第1角度θ1、第2角度θ2、第3角度θ3、第4角度θ4の各々の大小関係は、第1実施形態に係る第1角度θ1、第2角度θ2、第3角度θ3、第4角度θ4の各々の大小関係と同じである。
【0073】
(第4実施形態)
<切削工具の構成>
次に、第4実施形態に係る切削工具200について説明する。第4実施形態に係る切削工具200は、主に、第3実施形態に係る切削インサート100がホルダ101に取り付けられている点において、第2実施形態に係る切削工具200と異なっており、その他の点については、第2実施形態に係る切削工具200と同様である。以下、第4実施形態に係る切削工具200と異なる構成を中心に説明する。
【0074】
図15は、第4実施形態に係る切削工具200の構成を示す斜視模式図である。第4実施形態に係る切削工具200は、第2実施形態1に係る切削インサート100と、ホルダ101と、敷板102と、押さえ部材110と、締結ネジ120とを有する。
【0075】
図16は、第4実施形態に係る切削工具200の構成を示す部分拡大平面模式図である。
図16に示される部分拡大平面模式図は、第1側面101aに対して垂直な直線(Y方向)に沿って切削インサート100を見た状態を示している。
【0076】
図16に示されているように、第1逃げ面部21は第2側面領域101b2に沿うように配置されている。つまり、第1切れ刃部41は第2側面領域101b2に沿うように配置されている。第2逃げ面部22は第2端面101fに沿うように配置されている。つまり、第2切れ刃部42は第2端面101fに沿うように配置されている。
【0077】
図17は、第4実施形態に係る切削工具200の構成を示す正面模式図である。
図17に示されている正面模式図は、ホルダ101の長手方向(X方向)に沿って切削インサート100を見た状態を示している。
図18は、第4実施形態に係る切削工具200の構成を示す部分拡大側面模式図である。
図18に示されている部分拡大側面模式図は、Z方向に沿って切削インサート100を見た状態を示している。
【0078】
図18に示されているように、第4実施形態に係る切削工具200において、第1拘束面103bは、第4逃げ面部24に接する面である。
図17に示されているように、第4実施形態に係る切削工具200において、第2拘束面103cは、第3逃げ面部23に接する面である。
【0079】
つまり、
図18に示されているように、第4逃げ面部24が第1拘束面103bに対向するように切削インサート100が凹部103に配置される。切削インサート100を凹部103に配置したときに、第1拘束面103bは、第4逃げ面部24に沿っている。すくい面10に対する第4逃げ面部24のなす角(第4角度θ4)は、89°超え91°未満である。そのため、第2上面領域101a2に対する第1拘束面103bのなす角は、89°超え91°未満であってもよい。第4角度θ4が90°である場合、第2上面領域101a2に対する第1拘束面103bの成す角は、90°であってもよい。
【0080】
図17に示されているように、第3逃げ面部23が第2拘束面103cに対向するように切削インサート100が凹部103に配置される。つまり、切削インサート100を凹部103に配置したときに、第2拘束面103cは、第3逃げ面部23に沿っている。すくい面10に対する第3逃げ面部23のなす角(第3角度θ3)は、90°超えである。そのため、第2上面領域101a2に対する第2拘束面103cの成す角は、90°未満であってもよい。
【0081】
図17および
図18に示されているように、ホルダ101の長手方向(X方向)に平行であり、かつコーナ切れ刃部43を通る面を基準面A2とする。基準面A2は、第1端面101eに対して垂直な面であってもよい。
図18に示されているように、Z方向から見て、第1切れ刃部41は、内側に傾斜している。異なる観点から言うと、長手方向(X方向)に対して垂直な方向(Z方向)に沿って切削インサート100を見た際に、第1切れ刃部41は、Y方向において基準面A2と第2底面103aとの間に配置されている。Z方向から見て、基準面A2に対する第1切れ刃部41のなす角(第7角度θ7)は、5°以上であってもよく、7°以上であってもよく、10°以上であってもよい。
【0082】
図17に示されているように、X方向から見て、第2切れ刃部42は、外側に傾斜している。異なる観点から言うと、長手方向(X方向)に沿って切削インサート100を見た際に、第2底面103aから見て第2切れ刃部42は、Y方向において基準面A2よりも遠い位置に配置されている。X方向から見て、基準面A2に対する第2切れ刃部42のなす角(第8角度θ8)は、5°以上であってもよく、7°以上であってもよく、10°以上であってもよい。
【0083】
次に、第4実施形態に係る切削工具200を用いた加工方法について説明する。
図19は、第4実施形態に係る切削工具200を用いた加工方法を示す模式図である。
【0084】
第4実施形態に係る切削インサート100が取り付けられた切削工具200は、被削材300の端面302において引き加工が可能である。被削材300は、端面302を有している。第4実施形態に係る引き加工は、切削インサート100を第2送り方向D2に移動させながら行う加工である。第2送り方向D2は、-X方向に向かう方向である。引き加工においては、第1切れ刃部41を用いて被削材300が加工される。端面302は、被削材300の回転軸X2に垂直である。そのため、第2送り方向D2は、被削材300の回転軸X2に垂直である。被削材300は、回転軸X2の周りを回転方向R2に回転する。このように、切削インサート100は、被削材300の端面302において引き加工が可能であるように構成されてもよい。
【0085】
次に、本実施形態に係る切削インサート100および切削工具200の作用効果について説明する。
【0086】
本実施形態に係る切削インサート100は、すくい面10と、逃げ面20と、前方切れ刃40とを含む。前方切れ刃40は、すくい面10と逃げ面20との稜線50で構成される。逃げ面20は、第1逃げ面部21と、第2逃げ面部22と、第3逃げ面部23と、第4逃げ面部24とを含む。第3逃げ面部23は、第1逃げ面部21の反対に位置する。第4逃げ面部24は、第2逃げ面部22の反対に位置する。前方切れ刃40は、第1切れ刃部41を含む。第1切れ刃部41は、すくい面10と第1逃げ面部21との稜線50で構成される。第1切れ刃部41は、直線状である。第1切れ刃部41において、すくい面10に対する第1逃げ面部21のなす角(第1角度θ1)は、89°超え91°未満である。すくい面10に対する第2逃げ面部22のなす角(第2角度θ2)は、90°未満である。すくい面10に対する第3逃げ面部23のなす角(第3角度θ3)は、90°超えである。すくい面10に対する第4逃げ面部24のなす角(第4角度θ4)は、89°超え91°未満である。このようにすれば、切削インサート100の強度が向上するため、当該切削インサート100を取り付けた切削工具200を用いて被削材300を加工しても、切れ刃としての前方切れ刃40の欠損が低減する。また、切削インサート100の回転およびホルダ101からの浮き上がりが抑制され、ホルダ101に対するずれが低減する。
【0087】
本実施形態に係る切削インサート100によれば、前方切れ刃40は、コーナ切れ刃部43と、さらえ刃部44と、第2切れ刃部42とを含む。第2切れ刃部42は、コーナ切れ刃部43に連なる。第2切れ刃部42は、すくい面10と第2逃げ面部22との稜線50で構成される。コーナ切れ刃部43は、湾曲している。さらえ刃部44は、第1切れ刃部41とコーナ切れ刃部43との間に配置されている。このようにすれば、引き加工時に、仕上げ面粗度を大幅に改善することができる。
【0088】
本実施形態に係る切削インサート100は、すくい面10の反対に位置する第1底面30を含む。第1底面30に対する第4逃げ面部24のなす角は、すくい面10に対する第1逃げ面部21のなす角(第1角度θ1)と同じである。第1底面30に対する第3逃げ面部23のなす角は、すくい面10に対する第2逃げ面部22のなす角(第2角度θ2)と同じである。第1底面30に対する第2逃げ面部22のなす角は、すくい面10に対する第3逃げ面部23のなす角(第3角度θ3)と同じである。第1底面30に対する第1逃げ面部21のなす角は、すくい面10に対する第4逃げ面部24のなす角(第4角度θ4)と同じである。このようにすれば、当該切削インサート100を裏返しにして使用することができる。
【0089】
本実施形態に係る切削インサート100は、第1底面30と逃げ面20との稜線で構成される後方切れ刃60を含む。このようにすれば、前方切れ刃40を構成する刃部材1aだけでなく、後方切れ刃60を構成する刃部材1bを用いて被削材300を切削することができるため、経済性に優れた切削インサート100を得ることができる。
【0090】
本実施形態に係る切削工具200によれば、ホルダ101の長手方向(X方向)に平行であり、かつコーナ切れ刃部43を通る面を基準面A1とする。長手方向(X方向)から見た際に、第1切れ刃部41は、基準面A1と第2底面103aとの間に配置される。長手方向に対して垂直な方向(Z方向)から見た際に、第2底面103aからみて第2切れ刃部42は、基準面A1よりも遠い位置に配置される。このようにすれば、当該切削工具200を用いて、被削材300の外周面301に対して引き加工ができる。
【0091】
本実施形態に係る切削工具200によれば、ホルダ101の長手方向(X方向)に平行であり、かつコーナ切れ刃部43を通る面を基準面A2とする。長手方向に対して垂直な方向(Z方向)から見た際に、第1切れ刃部41は、基準面A2と第2底面103aとの間に配置される。長手方向(X方向)から見た際に、第2底面103aからみて第2切れ刃部42は、基準面A2よりも遠い位置に配置される。このようにすれば、当該切削工具200を用いて、被削材300の端面302に対して引き加工ができる。
【0092】
本実施形態に係る切削工具200によれば、凹部103は、第1拘束面103bと、第2拘束面103cとを有する。第1拘束面103bは、第3逃げ面部23に接する。第2拘束面103cは、第4逃げ面部24に接する。第1拘束面103bは、第3逃げ面部23に沿っている。第2拘束面103cは、第4逃げ面部24に沿っている。このようにすれば、切削インサート100の回転およびホルダ101からの浮き上がりが抑制され、ホルダ101に対するずれが低減する。
【0093】
<実施例>
(サンプル準備)
表1から表4に記載の形状を有する切削インサート100(サンプル1からサンプル43)を試作し、下記の条件にて切削評価を行った。表1および表2では、左側から第1角度θ1、第2角度θ2、第3角度θ3、第4角度θ4を示す。
【0094】
サンプル1からサンプル22の切削インサート100は、実施例である。表1に示されているように、サンプル1からサンプル22の切削インサート100において、第1角度θ1は90°であり、第2角度θ2は90°未満であり、第3角度θ3は90°超えであり、第4角度θ4は90°である。
【0095】
サンプル23からサンプル43の切削インサート100は、比較例である。表2に示されているように、サンプル23からサンプル25、サンプル27からサンプル29、サンプル38からサンプル42の切削インサート100において、第1角度θ1は89°以下である。サンプル26、31、43の切削インサート100において第1角度θ1は、90°超えである。サンプル30、サンプル32からサンプル37の切削インサート100において、第2角度θ2は90°である。
【0096】
【0097】
【0098】
表3および表4では、左側からさらえ刃部の形状、コーナ数を示す。なお、サンプル1からサンプル43の切削インサート100において、第5角度θ5は、6°である。サンプル1からサンプル43の切削インサート100において、第6角度θ6は、-6°である。
【0099】
サンプル1からサンプル43の切削インサート100は、
図10および
図11に示されているようにホルダ101に取り付けられる。
図10に示されているように、X方向から見て、第1切れ刃部41が内側に傾斜している場合、第5角度θ5は正である。一方で、X方向から見て、第1切れ刃部41が外側に傾斜している場合、第5角度θ5は負である。
図11に示されているように、Z方向から見て、第2切れ刃部42が外側に傾斜している場合、第6角度θ6は負である。一方で、Z方向から見て、第2切れ刃部42が内側に傾斜している場合、第6角度θ6は正である。
【0100】
サンプル1からサンプル7、およびサンプル17からサンプル43の切削インサート100において、さらえ刃部44の形状は、直線状である。サンプル14からサンプル16の切削インサート100において、さらえ刃部44を設けていない。サンプル8からサンプル13の切削インサート100において、さらえ刃部44の形状は、曲線状である。サンプル8からサンプル10の切削インサート100において、さらえ刃部44の曲率半径は、5mmである。サンプル11からサンプル13の切削インサート100において、さらえ刃部44の曲率半径は、40mmである。
【0101】
サンプル1からサンプル18、サンプル27からサンプル29、サンプル31からサンプル13、サンプル38からサンプル43の切削インサート100のおいて、台金2には、2つの刃部材1a,1bが取り付けられており、コーナ数が2である(
図1参照)。サンプル17からサンプル26、サンプル34からサンプル37の切削インサート100のおいて、台金2には、1つの刃部材1aが取り付けられており、コーナ数が1である。サンプル30の切削インサート100のおいて、台金2には、4つの刃部材が取り付けられており、コーナ数が4である。サンプル1からサンプル43の切削インサート100において、刃部材の材料は、cBN基焼結体とした。
【0102】
【0103】
【0104】
(加工条件1)
切削インサート100をホルダ101に取り付けた状態で、被削材300の外周面301に対して引き加工した。外周面301は、第1切れ刃部41を用いて加工される。外周面301は高能率条件で加工される。
(被削材)
クロムモリブテン鋼SCM415H(HRC58~60)、直径=100mm、長さ=300mm
(切削条件)
切削速度:Vc=200m/分、送り量:f=0.6mm/回転、切込み量:ap=0.2mm、湿式
(加工条件2)
切削インサート100をホルダ101に取り付けた状態で、被削材300の端面302に対して引き加工した。端面302は、第2切れ刃部42を用いて加工される。端面302は通常能率条件で加工される。
(被削材)
クロムモリブテン鋼SCM415H(HRC58~60)、直径=100mm、長さ=50mm
(切削条件)
切削速度:Vc=200m/分、送り量:f=0.15mm/回転、切込み量:ap=0.2mm、湿式
(加工条件3)
切削インサート100をホルダ101に取り付けた状態で、被削材300の外周面301に対して引き加工した。外周面301は、第1切れ刃部41を用いて加工される。外周面301は高能率条件で加工される。
(被削材)
クロムモリブテン鋼SCM415H(HRC58~60)、直径=100mm、長さ=300mm
(切削条件)
切削速度:Vc=150m/分、送り量:f=1.4mm/回転、切込み量:ap=0.4mm、湿式
(試験結果)
外周面301に対して引き加工した際における加工結果および端面302に対して引き加工した際における加工結果を表5および表6に示す。外周面301に対して引き加工した際に、切削インサート100のずれ、第1切れ刃部41の耐欠損性、および仕上げ面粗度を評価した。
【0105】
第1切れ刃部41の耐欠損性について、被削材300の外周が10km移動した後の第1切れ刃部41の刃先の脱落量を評価した。第1切れ刃部41の刃先の脱落量が0.2mm以内である場合、耐欠損性の評価はAである。第1切れ刃部41の刃先の脱落量が0.2mm超えである場合、耐欠損性の評価はBである。
【0106】
切削インサート100のずれについて、被削材300の外周が1km移動した後の切削インサート100のずれを評価した。
図20は、ホルダ101および切削インサート100の各々における測定点P1,P2を示す平面模式図である。
図20に示されている測定点P1と測定点P2とのX方向における差分を計測することで、ずれ量を計測することができる。なお、切削インサート100のずれは、上記の加工条件3の下で、評価した。
【0107】
測定点P1は、切削インサート100のすくい面10上の点である。具体的には、Z方向における測定点P1とコーナ切れ刃部43との間の幅W1は、2mmである。X方向における測定点P1とコーナ切れ刃部43との間の距離L1は、10mmである。
【0108】
測定点P2は、ホルダ101の第1側面101a上の点である。具体的には、Z方向における測定点P2とコーナ切れ刃部43との間の幅は、測定点P1とコーナ切れ刃部43との間の幅W1と同じであり、2mmである。X方向における測定点P2とコーナ切れ刃部43との間の距離L2は、20mmである。
【0109】
被削材300を加工する前において、測定点P1と測定点P2とのX方向における高さの差分d1を算出する。次に、被削材300を加工した後(被削材300の外周が1km移動した後)、測定点P1と測定点P2とのX方向における高さの差分d2を算出する。測定点P1,P2における測定は、ミツトヨ製の標準形ダイヤルゲージ(2109A-10)を用いて測定することができる。
【0110】
切削インサート100のずれは、差分d1と差分d2との高さの差分d3で評価することができる。差分d3が2μm未満である場合、切削インサート100のずれの評価はAである。差分d3が2μm以上である場合、切削インサート100のずれの評価はBである。
【0111】
仕上げ面粗度について、被削材300の外周が0.1km移動した後の被削材300の外周面301の面粗度を評価した。面粗度は、最大高さRzで評価した。最大高さRzが10μm以下である場合、仕上げ面粗度の評価はAである。最大高さRzが10μm超えである場合、仕上げ面粗度の評価はBである。
【0112】
端面302に対して引き加工した際に、第2切れ刃部42の耐欠損性を評価した。第2切れ刃部42の耐欠損性について、被削材300の端面が10km移動した後の第2切れ刃部42の刃先の脱落量を評価した。第2切れ刃部42の刃先の脱落量が0.2mm以内である場合、耐欠損性の評価はAである。第2切れ刃部42の刃先の脱落量が0.2mm超えである場合、耐欠損性の評価はBである。
【0113】
【0114】
【0115】
表5および表6に示されているように、サンプル1からサンプル22の切削インサート100を用いて外周面301に対して引き加工した際における、切削インサート100のずれおよび第1切れ刃部41の耐欠損性は、Aと評価された。一方で、サンプル23からサンプル43の切削インサート100を用いて外周面301に対して引き加工した際における、切削インサート100のずれおよび第1切れ刃部41の耐欠損性は、少なくともいずれかがBと評価された。
【0116】
特に、第1角度θ1が89°以下であるサンプル23からサンプル25の切削インサート100において、第1切れ刃部41の耐欠損性はBと評価された。また、第1角度θ1が95°であるサンプル26およびサンプル31の切削インサート100において、切削抵抗が大きくなり、切削インサート100のずれはBと評価された。また、第3角度θ3が90°以下であるサンプル27からサンプル30、サンプル32およびサンプル33の切削インサート100において、切削インサート100のずれはBと評価された。第4角度θ4が89°未満であるサンプル34からサンプル36の切削インサート100において、切削インサート100のずれはBと評価された。第1角度θ1が89°未満であるサンプル38からサンプル42の切削インサート100において、第1切れ刃部41の耐欠損性はBであり、切削インサート100のずれはBであると評価された。これは、当該切削インサート100にかかる切削抵抗が増加したためであると考えられる。
【0117】
さらえ刃部43が設けられていないサンプル14からサンプル16の切削インサート100を用いて外周面301に対して引き加工した際における、外周面301の仕上げ面粗度の評価はBと評価された。
【0118】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した実施の形態ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0119】
1a,1b 刃部材、2 台金、4a,4b 座繰り部、5 貫通孔、10 すくい面、11 第1すくい面部、12 第2すくい面部、20 逃げ面、21 第1逃げ面部、21a 第1刃部逃げ面部、21b 第1台金逃げ面部、22 第2逃げ面部、22a 第2刃部逃げ面部、22b 第2台金逃げ面部、23 第3逃げ面部、24 第4逃げ面部、25 コーナ逃げ面部、26 さらえ逃げ面部、30 第1底面、40 前方切れ刃、41 第1切れ刃部、42 第2切れ刃部、43 コーナ切れ刃部、44 さらえ刃部、50 稜線、51 第1稜線部、52 第2稜線部、53 第3稜線部、54 第4稜線部、60 後方切れ刃、100 切削インサート、101 ホルダ、101a 第1側面、101a1 第1上面領域、101a2 第2上面領域、101b 第2側面、101b1 第1側面領域、101b2 第2側面領域、101c 第3側面、101d 第4側面、101e 第1端面、101f 第2端面、102 敷板、103 凹部、103a 第2底面、103b 第1拘束面、103c 第2拘束面、110 押さえ部材、111 挿入部、112 本体部、113 取付穴、120 締結ネジ、200 切削工具、300 被削材、301 外周面、302 端面、A1,A2 基準面、D1 第1送り方向、D2 第2送り方向、R1,R2 回転方向、X1,X2 回転軸、θ1 第1角度、θ2 第2角度、θ3 第3角度、θ4 第4角度、θ5 第5角度、θ6 第6角度、θ7 第7角度、θ8 第8角度。
【要約】
切削インサートは、すくい面と、逃げ面と、前方切れ刃とを含む。前方切れ刃は、すくい面と逃げ面との稜線で構成される。逃げ面は、第1逃げ面部と、第2逃げ面部と、第3逃げ面部と、第4逃げ面部とを含む。第3逃げ面部は、第1逃げ面部の反対に位置する。第4逃げ面部は、第2逃げ面部の反対に位置する。前方切れ刃は、第1切れ刃部を含む。第1切れ刃部は、すくい面と第1逃げ面部との稜線で構成される。第1切れ刃部は、直線状である。第1切れ刃部において、すくい面に対する第1逃げ面部のなす角は、89°超え91°未満である。すくい面に対する第2逃げ面部のなす角は、90°未満である。すくい面に対する第3逃げ面部のなす角は、90°超えである。すくい面に対する第4逃げ面部のなす角は、89°超え91°未満である。