(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-12-24
(45)【発行日】2026-01-08
(54)【発明の名称】防音材とその製造方法
(51)【国際特許分類】
G10K 11/162 20060101AFI20251225BHJP
G10K 11/168 20060101ALI20251225BHJP
【FI】
G10K11/162
G10K11/168
(21)【出願番号】P 2021160798
(22)【出願日】2021-09-30
【審査請求日】2024-05-22
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榊原 弘和
【審査官】冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-246182(JP,A)
【文献】特開平10-121597(JP,A)
【文献】特開2018-159919(JP,A)
【文献】特開2020-100101(JP,A)
【文献】特開2003-326533(JP,A)
【文献】特開2001-247890(JP,A)
【文献】特開平03-288606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 11/162
G10K 11/168
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンフォームで構成された防音材を製造する方法において、
発泡成形型の内面に、70~90℃と100~130℃の2個の融解ピークを有する離型剤を塗布し、前記発泡成形型内にポリウレタンフォーム原料を注入して発泡させ、表面に被膜層を有するポリウレタンフォームを成形することにより、前記表面に被膜層を有するポリウレタンフォームで構成された防音材を製造することを特徴とする防音材の製造方法。
【請求項2】
前記2個の融解ピークを有する離型剤は、重量平均分子量1000以上のワックス成分と重量平均分子量600以下のワックス成分とを含む混合離型剤であることを特徴とする請求項
1に記載の防音材の製造方法。
【請求項3】
前記表面に被膜層を有するポリウレタンフォームは、前記被膜層の通気性(JIS K6400-7:2012A法)が10L/min以下であり、前記被膜層よりも内部側の通気性(JIS K6400-7:2012A法)が15L/min以上
高く、密度(JIS K7222:2005)が130kg/m
3未満であることを特徴とする請求項
1または
2に記載の防音材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防音材とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車においては、フェンダー、インストルメントパネル、カウル周辺等における音の伝達経路の空隙内に防音材を配置して騒音が車内に伝わるのを抑えるようにしている。
【0003】
従来の防音材は、単一素材では遮音性と吸音性の両方を得ることが難しいため、遮音性を確保するための比重の高い遮音シートと、吸音性確保のためのポリウレタンフォームとの一体品からなるものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、遮音シートとポリウレタンフォームとからなる防音材は、重くなる問題がある。また、防音材を設置する面が凹凸等であったりした場合の防音材の形状追従性が、遮音シートの存在によって悪くなり、防音材設置面と防音材との間に隙間が発生して良好な遮音性が得られないことがある。
【0006】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、軽量で遮音性の高い防音材の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明の態様は、ポリウレタンフォームで構成された防音材において、前記ポリウレタンフォームは、表面に被膜層を有し、前記被膜層の通気性(JIS K6400-7:2012A法)が10L/min以下であり、前記被膜層よりも内部側の通気性(JIS K6400-7:2012A法)が15L/min以上であり、密度(JIS K7222:2005)が130kg/m3未満であることを特徴とする。
【0008】
第2の発明の態様は、ポリウレタンフォームで構成された防音材を製造する方法において、発泡成形型の内面に、70~90℃と100~130℃の2個の融解ピークを有する離型剤を塗布し、前記発泡成形型内にポリウレタンフォーム原料を注入して発泡させ、表面に被膜層を有するポリウレタンフォームを成形することにより、前記表面に被膜層を有するポリウレタンフォームで構成された防音材を製造することを特徴とする。
【0009】
第3の発明の態様は、第2の発明の態様において、前記2個の融解ピークを有する離型剤は、重量平均分子量1000以上のワックス成分と重量平均分子量600以下のワックス成分とを含む混合離型剤であることを特徴とする。
【0010】
第4の発明の態様は、第2または第3の発明の態様において、前記表面に被膜層を有するポリウレタンフォームは、前記被膜層の通気性(JIS K6400-7:2012A法)が10L/min以下であり、前記被膜層よりも内部側の通気性(JIS K6400-7:2012A法)が15L/min以上であり、密度(JIS K7222:2005)が130kg/m3未満であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、軽量で遮音性の高い防音材が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】各実施例及び各比較例の密度、通気性及び遮音性の結果を示す表である。
【
図2】各実施例と各比較例に用いたポリウレタンフォーム原料の配合を示す表である。
【
図3】一部の実施例及び一部の比較例に対する透過損失の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の防音材は、ポリウレタンフォームで構成されている。
【0014】
防音材を構成するポリウレタンフォームは、表面に被膜層を有し、被膜層の通気性(JIS K6400-7:2012A法)が10L/min以下、好ましくは8L/min以下、より好ましくは5L/min以下であり、表面の被膜層よりも内部側の通気性(JIS K6400-7:2012A法)が15L/min以上、好ましくは18L/min以上、より好ましくは20L/min以上である。
【0015】
表面の被膜層は、ポリウレタンフォームの気泡が圧縮され、ポリウレタンフォーム内部側(中心側)の部分よりも緻密な層で構成されている表面の部分である。被膜層の厚みは、通常では0.001~3mm程度である。
本発明において、表面の被膜層よりも内部側とは、表面の被膜層から離れた内部(中心側)の部分であり、具体的にはポリウレタンフォームの表面から3mm以上離れた部分である。
【0016】
ポリウレタンフォームにおける表面の被膜層の通気性と内部側の通気性とを前記の範囲にし、表面の被膜層の通気性を内部側の通気性よりも低くすることにより、良好な遮音性が得られる。
また、表面の被膜層の通気性と内部側の通気性との差は、10L/min以上が好ましく、より好ましくは15L/min以上であり、さらに好ましくは20L/min以上である。
【0017】
防音材を構成するポリウレタンフォームの密度(JIS K7222:2005)は、130kg/m3未満、好ましくは100kg/m3未満、より好ましくは80~40kg/m3である。ポリウレタンフォーム原料の配合(主として発泡剤の配合量)及び発泡成形型内へのポリウレタンフォーム原料の注入量を変量することで、ポリウレタンフォームの密度範囲を変えることができる。
防音材を構成するポリウレタンフォームの密度を前記範囲とすることにより、防音材を軽量なものにできる。
【0018】
本発明の防音材の製造は、ポリウレタンフォーム原料を発泡成形型内に注入して発泡させるモールド成形によって行われる。モールド成形は、ポリウレタンフォームの成形方法として多用されている方法であって、発泡成形型の型内面を製品形状としておくことによって、後加工を行うことなく所望の製品形状のポリウレタンフォームを得ることができる。
【0019】
ポリウレタンフォーム原料は、ポリオール、触媒、架橋剤、発泡剤、ポリイソシアネートを含む。
ポリオールは、一つの分子内に水酸基を二つ以上持つ化合物であり、官能基を2以上有するアルコール(多価アルコール)、または、これらを開始剤としてエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加重合させて製造されたものである。
ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオールの何れでもよい。また、ポリオールは1種類に限らず複数種類で構成してもよい。
ポリオールは、官能基数が2~4、分子量が3000~7000が好ましい。
【0020】
触媒としては、ポリウレタンフォーム用として用いられるアミン系触媒、金属触媒を挙げることができる。アミン系触媒としては、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルアミノエタノール、N,N´,N´-トリメチルアミノエチルピペラジン、トリエチレンジアミン等が用いられる。金属触媒としては、スタスオクトエートやジブチルチンジラウレート等の錫触媒やフェニル水銀プロピオン酸塩あるいはオクテン酸鉛等を挙げることができる。触媒の量は、ポリオール100重量部に対して0.1~8.0重量部程度が好ましい。
【0021】
架橋剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ブタンテトラオール、ポリオキシプロピレングリコール等の多価アルコール、ジエタノールアミン、ポリアミンを挙げることができる。架橋剤は一種類に限られず、複数種類併用してもよい。架橋剤の量は、ポリオール100重量部に対して0.3~5重量部程度が好ましい。架橋剤の量が前記範囲よりも少ない場合には被膜形成の効果が少なくなる傾向にあり、多い場合には、ポリウレタンフォームが硬くなり過ぎる傾向にある。
【0022】
発泡剤としては、水、炭化水素、ハロゲン系化合物等を挙げることができ、これらの中から1種類でもよく、又2種類以上でもよい。炭化水素としては、シクロペンタン、イソペンタン、ノルマルペンタン等を挙げることができる。また、ハロゲン系化合物としては、塩化メチレン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ノナフルオロブチルメチルエーテル、ノナフルオロブチルエチルエーテル、ペンタフルオロエチルメチルエーテル、ヘプタフルオロイソプロピルメチルエーテル等を挙げることができる。これらの中でも発泡剤として水が特に好適である。発泡剤としての水の量は、ポリオール100重量部に対して1~10重量部程度が好ましく、さらに1~7重量部程度が好ましく、これにより、ポリウレタンフォームの密度等を調整可能となる。
【0023】
ポリイソシアネートは、イソシアネート基を2以上有する化合物であれば、特に限定されるものではなく、ポリウレタンフォーム用のものが使用可能である。ポリイソシアネートは、1種類に限らず2種類以上の併用であってもよい。ポリイソシアネートとしては、芳香族系、脂肪族系、脂環族系のイソシアネート化合物、及びこれらの変性物を挙げることができる。
【0024】
芳香族系イソシアネート化合物としては、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、p-フェニレンジイソシアネート(PPDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシレンジイソジアネート(TMXDI)、トリジンイソシアネート(TODI)等が挙げられる。脂肪族系イソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リシンジイソシアネート(LDI)、リシントリイソシアネート(LTI)等が挙げられる。脂環族系イソシアネート化合物としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、水添化XDI(H6XDI)、水添化MDI(H12MDI)等が挙げられる。変性イソシアネート化合物としては、イソシアネート化合物のウレタン変性体、2量体、3量体、カルボジイミド変性体、アロファネート変性体、ビュレット変性体、ウレア変性体、イソシアヌレート変性体、オキサゾリドン変性体、イソシアネート基末端プレポリマー等が挙げられる。
【0025】
ポリイソシアネートの配合量は、イソシアネートインデックスが70~110となる量が好ましい。イソシアネートインデックスが70未満の場合、ポリウレタンフォームの強度が低くなりすぎ耐久性に乏しいものとなったり、ガスが抜けにくくシュリンクして成形状態が悪いものになったりする。一方、イソシアネートインデックスが110を超えるとポリウレタンフォームが高硬度になり、防音材が相手面の形状に変形し難くなる。なお、イソシアネートインデックスは、ポリウレタンフォーム原料中の活性水素基(例えば、ポリオールの水酸基、発泡剤として用いられる水などの活性水素基)の合計に対するポリイソシアネートのイソシアネート基の当量比を百分率で示す値であり、ポリウレタフォームの分野で使用されている指標である。
【0026】
その他、ポリウレタンフォーム原料には、適宜添加剤が配合される。適宜配合される添加剤としては、整泡剤、破泡剤、難燃剤、着色剤等を挙げることができる。
【0027】
整泡剤としては、ポリウレタンフォームに用いられるものであればよく、シリコーン系整泡剤、含フッ素化合物系整泡剤および公知の界面活性剤を挙げることができる。
【0028】
破泡剤は、ポリウレタンフォームの発泡時に泡(気泡)を破壊する作用を有するものである。破泡剤の種類としては、炭化水素系、エステル系、シリコーン系、ポリオール系を挙げることができ、1種類に限られず、2種類以上を使用してもよい。
炭化水素系の破泡剤としては、ポリブテン等のオイル類を挙げることができる。エステル系の破泡剤としては、ダイマー酸ジエステル等を挙げることができる。シリコーン系の破泡剤としては、シクロペンタシロキサン等を挙げることができる。ポリオール系としては、エチレンオキサイドの付加量が高い(EO率が50%以上、好適にはEO率が60~100%)ポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0029】
破泡剤を配合する場合の配合量は、ポリオール100重量部に対して、0.01~15重量部程度が好ましい。破泡剤の配合量が多すぎると、ポリウレタンフォームの良好な発泡が難しくなる。
【0030】
難燃剤としては、リン系、ポリリン酸アンモニウム等の粉体難燃剤や、リン酸エステル系難燃剤等の液体難燃剤があり、何れか一方あるいは両方の併用であってもよい。
着色剤としては、防音材の使用場所等に応じたものを使用できる。
【0031】
防音材のモールド成形時、まず発泡成形型の内面に離型剤を塗布する。発泡成形型は、上下型等に分離可能な分割型からなり、型内面が防音材の外形状と等しい形状とされている。また、発泡成形型は電熱ヒータや熱媒体循環パイプなどの加温手段が埋設され、電熱ヒータや熱媒体循環パイプに流した温水や加熱オイル等によって所定型温に温調可能となっている。型温は50~70℃程度が好ましい。型温が50℃よりも低い場合にはキュア性が悪くなって生産性が悪くなり、逆に70℃よりも高い場合にはポリウレタンフォーム原料の反応性が高くなりすぎて、ポリウレタンフォーム原料の流れ性が悪くなり、欠肉、外観表面が荒れる恐れがある。
【0032】
離型剤としては、70~90℃の融解ピークと、100~130℃の融解ピークとの2個の融解ピークを有する固形分(ワックス成分)を含有するものが用いられる。融解ピークは、離型剤の液状成分を蒸発させて残った固形分について示差走査熱量計(DSC)によって測定される値である。離型剤が70~90℃の融解ピークと、100~130℃の融解ピークとの2個の融解ピークを有することにより、良好な表面被膜層を持ったポリウレタンフォームが得られる。
【0033】
70~90℃の融解ピークと100~130℃の融解ピークとの2個の融解ピークを有する離型剤は、分岐鎖状ワックス系離型剤を含むものが好ましい。分岐鎖状ワックス系離型剤としては、変性ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、炭化水素系ワックス等の分岐鎖状ワックスを主成分として用い、これを有機溶媒に溶かしたもの、又は乳化剤を用いて水分に分散させたものが挙げられる。分岐鎖状ワックス系離型剤は、ポリウレタンフォームの表面に被膜層を形成しやすくする。
【0034】
70~90℃の融解ピークと100~130℃の融解ピークとの2個の融解ピークを有する離型剤は、重量平均分子量1000以上のワックス成分と、重量平均分子量600以下のワックス成分とを含む混合離型剤が好ましい。
【0035】
発泡成形型の内面に対する離型剤の塗布は、刷毛あるいはスプレー等によって行うことができる。離型剤の塗布量は10~100g/m2が好ましい。
【0036】
離型剤を発泡成形型の型内面に塗布した後、発泡成形型内にポリウレタンフォーム原料を混合して注入し、発泡成形型を閉型する。発泡成形型内へのポリウレタンフォーム原料の注入量は、得られるポリウレタンフォームの密度(JIS K7222:2005)が130kg/m3(0.13g/cm3)未満となる量とされる。
【0037】
ポリウレタンフォーム原料の発泡後、発泡成形型を開けてポリウレタンフォームで構成された防音材を脱型する。得られた防音材を構成するポリウレタンフォームは、表面に被膜層を有し、前記の物性を有するものである。
【実施例】
【0038】
型内面形状が直方体からなる内面寸法500×500×20mmの発泡成形型(型内容積5000cm
3)と、内面寸法500×250×40mmの発泡成形型(型内容積5000cm
3)の型内面に、以下の離型剤A、B、Cから
図1に示す各実施及び各比較例に応じて選択した離型剤を、スプレーにより(約25g/m
2の割合で)塗布し、以下の原料で構成した
図2の配合からなるポリウレタンフォーム原料を混合し、発泡成形型内に、各実施例及び各比較例に設定された密度となる量で注入し、型温を60℃に維持して発泡させた。その後脱型してポリウレタンフォームからなる各実施例及び各比較例の防音材を得た。
【0039】
・離型剤A:分岐ワックス系離型剤、第1融解ピーク81.0℃、第2融解ピーク110.2℃、品名;FRX-C8、株式会社ネオス製
・離型剤B:分岐ワックス系離型剤、融解ピーク106.9℃、品名;M975、中京油脂株式会社製
・離型剤C:直鎖ワックス系離型剤、第1融解ピーク93.2℃、第2融解ピーク108.3℃、品名;T-626、中京油脂株式会社製
・ポリオールA;ポリエーテルポリオール、分子量7000、官能基数3、EO含有率14%、品名;KC-737、三洋化成工業株式会社製
・ポリオールB;ポリエーテルポリオール、分子量5000、官能基数3、EO含有率14%、品名;FA-703、三洋化成工業株式会社製
・ポリオールC;ポリマーポリオール、分子量5000、官能基数3、品名;FA-728R、三洋化成工業株式会社製
・触媒A;アミン触媒、品名:DABCO BL-11、エボニック社製
・触媒B;アミン触媒、品名:DABCO 33LSI、エボニック社製
・触媒C;アミン触媒、品名:TOYOCAT D-60、東ソー社製
・架橋剤;ジエタノールアミン
・整泡剤;シリコーン整泡剤、品名:B8738LF2、エボニック社製
・破泡剤:ポリエーテルポリオール、分子量4800、官能基数3、PO/EO=30/70(EO率70%)、品名;CP1421、ダウ・ケミカル社製
・発泡剤;水
・ポリイソシアネート;ポリメリックMDI、NCO%;31.5%、品名:600B、BASF INOAC ポリウレタン株式会社製
【0040】
各実施例及び各比較例のポリウレタンフォーム(防音材)について、密度(JIS JIS K7222:2005)、表面の被膜層の通気性(JIS K6400-7:2012A法)及び内部側の通気性(JIS K6400-7:2012A法)を測定した。
【0041】
被膜層の通気性は、500×250×40mmの寸法で成形したポリウレタンフォームの表面から10mmの部分をカットして、51×51×10mmの寸法にして被膜層の測定用試験片とし、一方、内部側の通気性は、成形したポリウレタンフォームの厚み方向の中央位置部分(表面から10~20mm離れた位置)をカットして、同じ寸法(51×51×10mm)からなる内部側の測定用試験片を準備し、測定に用いた。
【0042】
被膜層の通気性が5L/min以下の場合に被膜層の通気性評価「◎」、5L/minより大~10L/min以下の場合に被膜層の通気性評価「〇」、10L/minより大の場合に被膜層の通気性評価「▲」とした。
被膜層と内部側との通気性差が20L/min以上の場合に通気差評価「◎」、通気性差が15L/min以上~20L/min未満の場合に通気性差評価「〇」、通気性差が15L/min未満の場合に通気性評価「▲」とした。
被膜層の通気性評価と通気性差評価から、次の基準に基づき通気性総合判定を行った。被膜層の通気性評価と通気性差評価の何れも「◎」の場合に通気性総合判定「◎」、被膜層の通気性評価と通気性差評価の何れか一方が「◎」で他方が「〇」の場合あるいは何れも「〇」の場合に通気性総合判定「〇」、被膜層の通気性評価と通気性差評価の一方又は両方が「▲」の場合に通気性総合判定「▲」とした。
【0043】
また、密度50kg/m
3の実施例1、比較例1、比較例5、密度150kg/m
3の比較例9の防音材について遮音性を判定した。
遮音性の判定は、音響透過損失(JIS A1441-1:2007/ISO 15186-1:2000)を1/3オクターブバンドで測定し、400Hz-4kHzの周波数における音響透過損失の平均(平均透過損失)を求めた。この平均透過損失は、12dB以上が好ましく、14dB以上がより好ましく、16dB以上がさらに好ましい。
400Hz-4kHzの透過損失の平均値(平均透過損失)が16dB以上の場合に「◎」、12dB以上16dB未満の場合に「〇」、8dB以上12dB未満の場合に「△」、8dB未満の場合に「×」とした。なお、遮音性の判定は、同一密度で比較して判断することが好ましい。
透過損失の測定は、使用した音源残響室が36m
3、受音無響室が20m
3、測定面積が400×400mm(0.16m
2)である。500mm角×厚み20mm(表面の被膜層付き)のポリウレタンフォームからなる防音材の周囲を50mm幅の枠で固定した状態でさらに隙間を粘土でシールした。音源側である残響室より音を入射させ、非音源側である受音無響室より防音材の表面から215mm離れた位置の25箇所(80mmピッチ)において250Hz-10kHzにおける数値を測定し、400Hz-4kHzの平均値を算出した。測定結果を
図3に示す。
【0044】
実施例1、2は、離型剤Aを用い、イソシアネートインデックスを80とし、ポリウレタンフォームの密度を50kg/m3(実施例1)と70kg/m3(実施例2)に異ならせた例である。
【0045】
実施例1(密度50kg/m3)は、内部側の通気性が56.6L/min、表面の被膜層の通気性が3.0L/min、評価「◎」、表面の被膜層と内部側との通気性差が53.6L/min、評価「◎」、通気性総合判定「◎」、400Hz-4kHzの平均透過損失は14.3dB、遮音性の判定「◎」であった。なお、実施例1は、同密度の比較例1における400Hz-4kHzの平均透過損失10.9dBよりも遮音性が高く、遮音性の判定「〇」であった。
【0046】
実施例2(密度70kg/m3)は、内部側の通気性が22.0L/min、表面の被膜層の通気性が3.5L/min、評価「◎」、表面の被膜層と内部側との通気性差が18.5L/min、評価「〇」、通気性総合判定「〇」であった。
【0047】
実施例3、4は、離型剤Aを用い、イソシアネートインデックスを100とし、ポリウレタンフォームの密度を50kg/m3(実施例3)と70kg/m3(実施例4)に異ならせた例である。
【0048】
実施例3(密度50kg/m3)は、内部側の通気性が55.0L/min、表面の被膜層の通気性が3.7L/min、評価「◎」、表面の被膜層と内部側との通気性差が51.2L/min、評価「◎」、通気性総合判定「◎」であった。
【0049】
実施例4(密度70kg/m3)は、内部側の通気性が24.1L/min、表面の被膜層の通気性が3.9L/min、評価「◎」、表面の被膜層と内部側との通気性差が20.3L/min、評価「◎」、通気性総合判定「◎」であった。
【0050】
比較例1、2は、離型剤Bを用い、イソシアネートインデックスを80とし、ポリウレタンフォームの密度を50kg/m3(比較例1)と70kg/m3(比較例2)に異ならせた例である。
【0051】
比較例1(密度50kg/m3)は、内部側の通気性が58.6L/min、表面の被膜層の通気性が26.9L/min、評価「▲」、表面の被膜層と内部側との通気性差が31.7L/min、評価「◎」、通気性総合判定「▲」、400Hz-4kHzの平均透過損失は10.9dBであり、同密度の実施例1よりも遮音性が低く、遮音性の判定「△」であった。
【0052】
比較例2(密度70kg/m3)は、内部側の通気性が22.1L/min、表面の被膜層の通気性が9.2L/min、評価「〇」、表面の被膜層と内部側との通気性差が12.9L/lmin、評価「▲」、通気性総合判定「▲」であった。
【0053】
比較例3、4は、離型剤Bを用い、イソシアネートインデックスを100とし、ポリウレタンフォームの密度を50kg/m3(比較例3)と70kg/m3(比較例4)に異ならせた例である。
【0054】
比較例3(密度50kg/m3)は、内部側の通気性が68.6L/min、表面の被膜層の通気性が14.0L/min、評価「▲」、表面の被膜層と内部側との通気性差が54.6L/min、評価「◎」、通気性総合判定「▲」であった。
【0055】
比較例4(密度70kg/m3)は、内部側の通気性が35.1L/min、表面の被膜層の通気性が14.7L/min、評価「▲」、表面の被膜層と内部側との通気性差が20.5L/min、評価「〇」、通気性総合判定「▲」であった。
【0056】
比較例5、6は、離型剤Cを用い、イソシアネートインデックスを80とし、ポリウレタンフォームの密度を50kg/m3(比較例5)と70kg/m3(比較例6)に異ならせた例である。
【0057】
比較例5(密度50kg/m3)は、内部側の通気性が47.3L/min、表面の被膜層の通気性が14.7L/min、評価「▲」、表面の被膜層と内部側との通気性差が32.6L/min、評価「◎」、通気性総合判定「▲」、400Hz-4kHzの平均透過損失は7.5dBであり、同密度の実施例1及び比較例1よりも遮音性が低く、遮音性の判定「×」であった。
【0058】
比較例6(密度70kg/m3)は、内部側の通気性が21.3L/min、表面の被膜層の通気性が7.3L/min、評価「〇」、表面の被膜層と内部側との通気性差が14.0L/min、評価「▲」、通気性総合判定「▲」であった。
【0059】
比較例7、8は、離型剤Cを用い、イソシアネートインデックスを100とし、ポリウレタンフォームの密度を50kg/m3(比較例7)と70kg/m3(比較例8)に異ならせた例である。
【0060】
比較例7(密度50kg/m3)は、内部側の通気性が54.4L/min、表面の被膜層の通気性が18.9L/min、評価「▲」、表面の被膜層と内部側との通気性差が35.5L/min、評価「◎」、通気性総合判定「▲」であった。
【0061】
比較例8(密度70kg/m3)は、内部側の通気性が26.1L/min、表面の被膜層の通気性が11.5L/min、評価「▲」、表面の被膜層と内部側との通気性差が14.6L/min、評価「▲」、通気性総合判定「▲」であった。
【0062】
比較例9は、離型剤Bを用い、イソシアネートインデックスを100とし、ポリウレタンフォームの密度を150kg/m3にした例である。
比較例9は、内部側の通気性が24.8L/min、表面の被膜層の通気性が7.8L/min、評価「〇」、表面の被膜層と内部側との通気性差が17.0L/min、評価「〇」、通気性総合判定「〇」、400Hz-4kHzの平均透過損失は15.8dBであり、本発明の離型剤とは異なる離型剤Bを用いたため、同密度の実施例5よりも遮音性が低く、遮音性の判定「〇」であった。
比較例9は、密度が150kg/m3と高いため、遮音性は良好であったが、重量が重い。
【0063】
比較例10は、離型剤Cを用い、イソシアネートインデックスを100とし、ポリウレタンフォームの密度を150kg/m3にした例である。
比較例10は、内部側の通気性が31.8L/min、表面の被膜層の通気性が30.2L/min、評価「▲」、表面の被膜層と内部側との通気性差が1.6L/min、評価「▲」、通気性総合判定「▲」であった。
【0064】
このように、本発明によれば、軽量で遮音性の高い防音材が得られる。なお、本発明は実施例に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。