(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-12-24
(45)【発行日】2026-01-08
(54)【発明の名称】保持装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20251225BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20251225BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20251225BHJP
H02N 13/00 20060101ALI20251225BHJP
C04B 37/02 20060101ALI20251225BHJP
C23C 16/458 20060101ALI20251225BHJP
C23C 14/50 20060101ALI20251225BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H01L21/31 D
H01L21/31 C
H01L21/302 101G
H02N13/00 D
C04B37/02 B
C23C16/458
C23C14/50 A
(21)【出願番号】P 2021102421
(22)【出願日】2021-06-21
【審査請求日】2024-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【氏名又は名称】田邊 淳也
(72)【発明者】
【氏名】三輪 要
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-064661(JP,A)
【文献】特開2019-087637(JP,A)
【文献】特開2019-135749(JP,A)
【文献】特開2016-143795(JP,A)
【文献】特開2018-101711(JP,A)
【文献】特開2007-067036(JP,A)
【文献】特開2014-112620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/31
H01L 21/3065
H02N 13/00
C04B 37/02
C23C 16/458
C23C 14/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と、前記第1の面とは反対側に設けられる第2の面と、前記第2の面に設けられて内部電極に接続された端子パッドとを備える第1部材と、
第3の面と、前記第3の面とは反対側に設けられる第4の面と、前記第3の面と前記第4の面とを貫通する貫通孔と、冷媒が流れる冷媒流路とを備える第2部材と、
前記端子パッドに接続される一端部と、コネクタに接続される他端部と、前記一端部と前記他端部とをつなぐ導通部と、を有する導通部材を備え、前記貫通孔の内側に配置される端子部材と、
前記第1部材の前記第2の面と前記第2部材の前記第3の面との間に配置されて前記第1部材と前記第2部材とを接合する接合層と、を有し、
前記第1部材の前記第1の面上に対象物を保持する保持装置において、
前記接合層は、無機材料を主成分とする無機接合材により形成されており、
前記端子部材は、前記第2部材の前記冷媒流路間に配置され、かつ、セラミックス部材内に前記導通部が形成され、
前記一端部は、前記セラミックス部材で覆われ
、
前記導通部は、前記セラミックス部材と焼結された状態で一体形成されている
ことを特徴とする保持装置。
【請求項2】
請求項1に記載する保持装置において、
前記端子部材は、前記冷媒流路を形成する上面より前記第4の面側にて、前記第2部材
に接合されている
ことを特徴とする保持装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載する保持装置において、
前記端子部材と前記貫通孔との間に隙間が形成されている
ことを特徴とする保持装置。
【請求項4】
請求項1に記載する保持装置において、
前記導通部材は、前記端子パッドにロウ付けされており、
前記端子部材の外周を覆うように前記貫通孔内に配置された筒状部材を有し、
前記筒状部材は、前記第1部材に一体的に形成されている
ことを特徴とする保持装置。
【請求項5】
請求項4に記載する保持装置において、
前記筒状部材と前記貫通孔との間に隙間が形成されている
ことを特徴とする保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対象物を保持する保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
保持装置として、例えば、特許文献1に記載された静電チャックが知られている。この静電チャックは、表面(保持面)に半導体ウエハを保持するセラミック基板(第1部材)と、セラミック基板に接合された金属製のベース部材(第2部材)とを備えており、セラミック基板の内部に、チャック電極やヒータ電極などの内部電極が配置されている。そして、このような静電チャックには、内部電極への給電のための構成として、セラミック基板の下面に内部電極に導通する第1の端子が配置され、ベース部材に形成された貫通孔内に、一端が外部電源に接続されて他端が第1の端子に接続される第2の端子が配置されている。そして、第1の端子及び第2の端子とベース部材とを絶縁するために、端子周りに絶縁管が配置されている。この絶縁管は、樹脂接着剤により静電チャックに固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年、静電チャックが高温(250℃以上)で使用されることが増えており、樹脂接着剤では絶縁管を固定することができなくなり、端子周りの絶縁が不十分となるおそれがある。また、静電チャックが高温(250℃以上)で使用されると、端子に接続されてベース部材の下面側に配置された、端子を外部電源に接続させるための樹脂製のコネクタを使用することができなくなるおそれもある。
【0005】
そこで、本開示は上記した問題点を解決するためになされたものであり、端子周りの絶縁性を向上させるとともに、樹脂製のコネクタを介して外部電源と端子とを電気的に接続させることができる保持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本開示の一形態は、
第1の面と、前記第1の面とは反対側に設けられる第2の面と、前記第2の面に設けられて内部電極に接続された端子パッドとを備える第1部材と、
第3の面と、前記第3の面とは反対側に設けられる第4の面と、前記第3の面と前記第4の面とを貫通する貫通孔と、冷媒が流れる冷媒流路とを備える第2部材と、
一端が前記端子パッドに接続して他端がコネクタに接続する導通部材を備え、前記貫通孔の内側に配置される端子部材と、
前記第1部材の前記第2の面と前記第2部材の前記第3の面との間に配置されて前記第1部材と前記第2部材とを接合する接合層と、を有し、
前記第1部材の前記第1の面上に対象物を保持する保持装置において、
前記接合層は、無機材料を主成分とする無機接合材により形成されており、
前記端子部材は、前記第2部材の前記冷媒流路間に配置され、かつ、セラミックス部材内に前記導通部材が形成されていることを特徴とする。
【0007】
この保持装置では、接合層が、無機材料(例えば、半田等の金属、アルミナやジルコニア等のセラミックス等)を主成分とする無機接合材により形成されているため、耐熱性が向上するので高温下で使用しても第1部材と第2部材との接合不良が発生しない。そして、端子部材に設けられて端子パッドに接続する導通部材が、セラミックス部材内に形成されているため、セラミックス部材によって端子周り(端子パッド又は導通部材と接合層又は第2部材との間)における絶縁を確保することができる。
【0008】
また、端子部材が冷媒流路間に配置されているため、冷媒により端子部材が冷却され易く導通部材が高温になり難い。そのため、保持装置を高温下(250℃以上)で使用しても、導通部材の他端に樹脂製のコネクタを接続することができるため、コネクタを介して外部電源と端子とを安定して電気的に接続することができる。
【0009】
このようにして、この保持装置によれば、高温下(250℃以上)において、端子周りの絶縁性を向上させるとともに、樹脂製のコネクタを介して外部電源と端子とを電気的に接続することができる。
【0010】
上記した保持装置において、
前記端子部材は、前記冷媒流路を形成する上面より前記第4の面側にて、前記第2部材に接合されていることが好ましい。
【0011】
このように、温度が低くなる第2部材の第4の面側で端子部材を第2部材に接合することにより、端子部材から第2部材の最低温度部分への熱移動を促進させることができる。これにより、端子部材(導通部材)の温度を効果的に下げることができる。従って、導通部材に接続するコネクタの温度をより下げることができ、高温下での使用時であっても、樹脂性のコネクタを介して外部電源と端子とを安定して電気的に接続することができる。
【0012】
上記した保持装置において、
前記端子部材と前記貫通孔との間に隙間が形成されていることが好ましい。
【0013】
ここで、第1部材を形成する材料と第2部材を形成する材料との間に熱膨張差がある場合には、保持装置の温度が上昇/下降する際に、熱膨張差によって端子部材が第2部材と接触することで、端子部材が損傷することがある。
【0014】
そこで、このように端子部材と貫通孔との間に隙間を形成することにより、端子部材の損傷を確実に防ぐことができる。これにより、端子部材によって、端子パッド又は導通部材と接合層又は第2部材との間における絶縁性を向上させることができる。
【0015】
上記した保持装置において、
前記導通部材は、前記端子パッドにロウ付けされており、
前記端子部材の外周を覆うように前記貫通孔内に配置された筒状部材を有し、
前記筒状部材は、前記第1部材に一体的に形成されている
ことが好ましい。
【0016】
ここで、導通部材と端子パッドとがロウ付けされた状態で端子部材が第1部材に接合して端子部材を設ける際、端子部材と第1部材との間に隙間が生じる場合がある。そして、接合層又は第2部材が金属材料などの導電材料で形成されている際、端子部材と第1部材との間に隙間が生じてしまうと、端子パッド又は導通部材と接合層又は第2部材との間における絶縁性が不十分になるおそれがある。
【0017】
そこで、第1部材に一体的に形成された筒状部材を、端子部材の外周を覆うように貫通孔内に配置することにより、筒状部材によって、端子パッド又は導通部材と接合層又は第2部材との間における絶縁性を確実に向上させることができる。
【0018】
上記した保持装置において、
前記筒状部材と前記貫通孔との間に隙間が形成されていることが好ましい。
【0019】
ここで、筒状部材を形成する材料と第2部材を形成する材料との間に熱膨張差がある場合には、保持装置の温度が上昇/下降する際に、熱膨張差によって筒状部材が第2部材と接触することで、筒状部材が損傷することがある。
【0020】
そこで、このように筒状部材と貫通孔との間に隙間を形成することにより、筒状部材の損傷を確実に防ぐことができる。これにより、筒状部材によって、端子パッド又は導通部材と接合層又は第2部材との間における絶縁性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、端子周りの絶縁性を向上させるとともに、樹脂製のコネクタを介して外部電源と端子とを電気的に接続できる保持装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1実施形態の静電チャックの概略斜視図である。
【
図2】第1実施形態の静電チャックのXZ断面の概略構成図である。
【
図3】第1実施形態の静電チャックのXY平面の概略構成図である。
【
図6】第2実施形態の静電チャックのXZ断面の概略構成図である。
【
図8】変形例を示す静電チャックのXZ断面の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示に係る実施形態である保持装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、保持装置として、例えば、成膜装置(CVD成膜装置やスパッタリング成膜装置など)やエッチング装置(プラズマエッチング装置など)といった半導体製造装置に使用される静電チャックを例示して説明する。
【0024】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態の静電チャック1について、
図1~
図5を参照しながら説明する。本実施形態の静電チャック1は、半導体ウエハW(対象物)を静電引力により吸着して保持する装置であり、例えば、半導体製造装置の真空チャンバー内で半導体ウエハWを固定するために使用される。
図1に示すように、静電チャック1は、板状部材10と、ベース部材20と、板状部材10とベース部材20とを接合する接合層40とを有する。なお、板状部材10は本開示の「第1部材」の一例であり、ベース部材20は本開示の「第2部材」の一例である。
【0025】
以下の説明においては、説明の便宜上、
図1に示すようにXYZ軸を定義する。ここで、Z軸は、静電チャック1の軸線方向(
図1において上下方向)の軸であり、X軸とY軸は、静電チャック1の径方向の軸である。
【0026】
板状部材10は、
図1に示すように、円盤状の部材であり、セラミックスにより形成されている。セラミックスとしては、様々なセラミックスが用いられるが、強度や耐摩耗性、耐プラズマ性等の観点から、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ、Al
2O
3)または窒化アルミニウム(AlN)を主成分とするセラミックスが用いられることが好ましい。なお、ここでいう主成分とは、含有割合の最も多い成分(例えば、体積含有率が90vol%以上の成分)を意味する。板状部材10の直径は、例えば150mm~350mm程度であり、板状部材10の厚さは、例えば2mm~6mm程度である。
【0027】
図1、
図2に示すように、板状部材10は、半導体ウエハWを保持する保持面11と、板状部材10の厚み方向(Z軸方向に一致する方向、上下方向)について保持面11とは反対側に設けられる下面12とを備えている。この保持面11上に半導体ウエハWが保持される。なお、保持面11は本開示の「第1の面」の一例であり、下面12は本開示の「第2の面」の一例である。
【0028】
板状部材10の保持面11は、凹凸形状をなしている。具体的には、保持面11には、
図2、
図3に示すように、その外縁付近に環状凸形状のシールバンド16が形成され、シールバンド16の内側に複数の独立した柱状の凸部17が形成されている。シールバンド16の断面(XZ断面)の形状は、
図2に示すように、略矩形である。シールバンド16の高さ(Z軸方向の寸法)は、例えば、10μm~20μm程度である。また、シールバンド16の幅(X軸方向の寸法)は、例えば、0.5mm~5.0mm程度である。
【0029】
各凸部17は、
図3に示すように、Z軸方向視(平面視)で略円形をなしており、略均等間隔で配置されている。また、各凸部17の断面(XZ断面)の形状は、
図2に示すように、略矩形である。凸部17の高さは、シールバンド16の高さと略同一であり、例えば、10~20μm程度である。また、凸部17の幅(Z軸方向視での凸部17の最大径)は、例えば、0.5~1.5mm程度である。なお、板状部材10の保持面11におけるシールバンド16より内側において、凸部17が形成されていない部分は、凹部18となっている。
【0030】
そして、半導体ウエハWは、板状部材10の保持面11におけるシールバンド16と複数の凸部17とに支持されて、静電チャック1に保持される。半導体ウエハWが静電チャック1に保持された状態では、半導体ウエハWの表面(下面)と、板状部材10の保持面11(詳細には、保持面11の凹部18)との間に、空間Sが存在することとなる(
図2参照)。この空間Sには、静電チャック1を貫通するガス孔30b(
図3参照)を介して不活性ガス(例えば、ヘリウムガス)が供給されるようになっている。また、静電チャック1には、
図3に示すように、静電チャック1を貫通する貫通孔として、ガス孔30bの他、半導体ウエハWを保持面11上から押し上げるリフトピンが配置されるリフトピン挿入孔30a等が形成されている。なお、以下の説明では、リフトピン挿入孔30aとガス孔30bを、単に「貫通孔30」と表記する場合もある。
【0031】
また、
図2に示すように、板状部材10は、その内部にチャック電極50とヒータ電極52を備えている。チャック電極50は、Z軸方向視で、例えば略円形をなしており、導電性材料(例えば、タングステンやモリブデン等)により形成されている。ヒータ電極52は、Z軸方向視で、例えば略螺旋状に延びるパターンを構成しており、導電性材料(例えば、タングステンやモリブデン、白金等)により形成されている。チャック電極50やヒータ電極52は本開示の「内部電極」の一例である。
【0032】
ここで、チャック電極50への給電構造について、
図4も参照しながら説明する。まず、チャック電極50には、
図2に示すように、ビア61が接続されている。このビア61は、チャック電極50から下面12側にZ軸方向へ延びるように配置されている。ビア61の他端は、端子パッド60に接続されている。これにより、端子パッド60は、ビア61を介して、チャック電極50に電気的に接続される。端子パッド60及びビア61は、導電性材料(例えば、タングステンやモリブデン等)により形成されている。
【0033】
端子パッド60は、
図2、
図4に示すように、板状部材10の下面12に設けられた有底孔15の底部15bに配置されている。なお、Z軸方向視における端子パッド60の形状は、例えば、略円形である。有底孔15は、円形凹部であり、Z軸方向視で、後述するベース部材20の貫通孔25に重なる領域が、保持面11側に向かって凹んだ形状をなしている。
【0034】
この端子パッド60には、
図4に示すように、端子部材70に備わる導通部材71が接続されている。端子部材70は、円柱形状のセラミックス部材72の内部に導通部材71が配置された(導通部材71がセラミックス部材72に覆われた)部材であり、セラミックス部材72と板状部材10とが同時に焼成され、板状部材10と一体形成されている。これにより、端子パッド60や端子パッド71aは、端子部材70(セラミックス部材72)及び板状部材10に完全に覆われる。なお、セラミックス部材72の先端は、ベース部材20の下面22とほぼ同一面に位置している。このセラミックス部材72は、板状部材10と同様、セラミックスで形成されており、板状部材10と同様の材料で形成されている。
【0035】
なお、端子部材70の製作(同時焼成)方法としては、内部に導通部材71となる導電性ペーストが配置されたグリーンシートで円柱形状のセラミックス端子(焼結前の端子部材70)を予め製作した後、そのセラミック端子を、焼結前の板状部材下面のザグリ穴(有底孔15)に差し込み、セラミック端子と焼結前の板状部材とを溶剤と熱圧着で接着してから両者を焼結(同時焼成)すればよい。または、端子部材70の配置位置に導通部材71となる導電性ペーストを配置した厚めのグリーンシート状態の板状部材を形成し、その板状部材を焼結した後、焼結後の板状部材から、板状部材10及び端子部材70以外の不要部分を研磨等の機械加工により削り落としてもよい。あるいは、焼結前の板状部材と、内部に導通部材71となる導電性ペーストが配置された円柱形状のセラミックス端子とをグリーンシートで一緒に形成した後に焼結してよい。
【0036】
端子部材70に備わる導通部材71の端部には、端子パッド60に接続する端子パッド71aと、セラミックス部材72の端部で外部に露出する端子パッド71bとが設けられている。そして、端子パッド71bには、雄端子71cがロウ付けによって接合されている。なお、導通部材71、端子パッド71a,71b、及び雄端子71cが、本開示の「導通部材」の一例である。
【0037】
そして、雄端子71cには、外部電源に接続されたコネクタ80が嵌め合わされる。コネクタ80は、樹脂部材81内に雌端子82を備え、雌端子82が配線83を介して外部電源に接続されている。そのため、端子部材70にコネクタ80を接続する、つまりコネクタ80の雌端子82を雄端子71cに嵌合させることにより、端子部材70を介して、外部電源と端子パッド60とが電気的に接続される。これにより、外部電源から端子部材70(導通部材71)、端子パッド60、ビア61を介して、チャック電極50に電力が供給される。
【0038】
なお、ヒータ電極52への給電構造は、上記のチャック電極50への給電構造と基本的に同じであるため詳細な説明は省略するが、ヒータ電極52への給電構造では、
図2に示すように、端子パッド60がビア61によりヒータ電極52に直接接続されずに、接続パッド63を介して電気的に接続されている点が異なる。具体的には、端子パッド60と接続パッド63とがビア61によって接続され、接続パッド63とヒータ電極52とがビア62によって接続されることにより、端子パッド60がヒータ電極52に電気的に接続されている。これにより、ヒータ電極52への電力供給は、外部電源からコネクタ80、端子部材70(導通部材71)、端子パッド60、ビア61、接続パッド63、ビア62を介して行われる。
【0039】
ベース部材20は、
図1に示すように円柱状、詳しくは、直径の異なる2つの円柱が、大きな直径の円柱状の上面部の上に小さな直径の円柱状の下面部が載せられるようにして、中心軸Caを共通にして重ねられて形成された段付きの円柱状である。このベース部材20は、金属(例えば、アルミニウムやアルミニウム合金等)により形成されている。
【0040】
そして、
図1、
図2に示すように、ベース部材20は、上面21と、ベース部材20(板状部材10)の中心軸Ca(
図2参照)方向(すなわち、Z軸方向)について上面21とは反対側に設けられる下面22と、を備えている。なお、上面21は本開示の「第3の面」の一例であり、下面22は本開示の「第4の面」の一例である。
【0041】
ベース部材20の直径は、上段部が例えば150mm~300mm程度であり、下段部が例えば180mm~350mm程度である。また、ベース部材20の厚さ(Z軸方向の寸法)は、例えば20mm~50mm程度である。
【0042】
また、
図2に示すように、ベース部材20には、冷媒(例えば、フッ素系不活性液体や水等)を流すための冷媒流路23が形成されている。冷媒流路23は、
図5に示すように、Z軸方向視で螺旋形状に形成されており、ベース部材20の径方向の外側の部分に設けられた供給口27、及びベース部材20の中心の部分に設けられた排出口28に接続している。そして、供給口27からベース部材20に供給された冷媒が、
図5に矢印で示すように、冷媒流路23内を流れて排出口28からベース部材20の外へ排出される。なお、供給口27と排出口28を逆にしてもよい。このようにして、ベース部材20の冷媒流路23内に冷媒を流すことにより、ベース部材20が冷却され、これにより、接合層40を介して板状部材10が冷却される。
【0043】
そして、ベース部材20には、
図2に示すように、上面21と下面22との間を厚み方向(Z軸方向、
図2において上下方向)に貫通する円筒形状の貫通孔25が形成されている。貫通孔25は、XZ断面視で冷媒流路23の間(Z軸方向視では隣接する冷媒流路23に挟まれる位置)に設けられている。そして、この貫通孔25内に端子部材70が配置され、冷媒流路23を形成する上面23aよりベース部材20の下面22側(つまり、Z軸方向において上面23aと下面22との間)において、接着剤26によりベース部材20に接合されている。本実施形態では、端子部材70は、ベース部材20の下面22近傍にてベース部材20に接合されている。本実施形態では、端子部材70の先端部分がベース部材20に、例えば接着剤26により接合されている。そして、端子部材70と貫通孔25との間には、隙間35(
図4参照)が形成されている。
【0044】
接合層40は、
図2に示すように、板状部材10の下面12とベース部材20の上面21との間に配置され、板状部材10とベース部材20とを接合している。この接合層40を介して、板状部材10の下面12とベース部材20の上面21とが熱的に接続されている。なお、接合層40の厚さ(Z軸方向の寸法)は、例えば0.1~1.0mm程度である。
【0045】
この接合層40は、無機材料(例えば、半田等の金属、アルミナやジルコニア等のセラミックス等)を主成分とする無機接合材により構成されている。接合層40として、一般的には樹脂接着剤が使用されることが多いが、静電チャック1が高温下(例えば250℃以上)で使用される場合には、樹脂接着材では耐熱性不足により接合不良が発生するおそれがあるため、無機接合材が使用される。このような無機接合材を使用することにより、耐熱性が向上するので、静電チャック1を高温下で使用しても、板状部材10とベース部材20との接合不良の発生を防止することができる。
【0046】
なお、無機接合材として、金属材料を主成分とする金属接合材を使用する場合には、例えば、金属粉末や金属箔を用いて接合する金属接着剤や、金属繊維、ポーラス材、網目構造体などの金属メッシュとロウ材で構成されるもの、あるいは、複数の柱状金属片とロウ材で構成されるもの等を使用することができる。金属接着材、金属メッシュや金属片を形成する金属としては、チタン、ニッケル、アルミニウム、銅、真鍮、これらの合金、又はステンレス鋼などを使用することができる。
【0047】
このような接合層40には、
図2に示すように、端子部材70が配置される接合層貫通孔45が形成されている。つまり、有底孔15と貫通孔25との間に、円筒形状の接合層貫通孔45が形成されている。接合層貫通孔45は、有底孔15及び貫通孔25と同軸であり、有底孔15と接合層貫通孔45と貫通孔25とが、Z軸方向(静電チャック1の軸線方向)に連なって配置されて、端子パッド60及び端子部材70が配置される端子孔65(
図4参照)が形成されている。
【0048】
ここで、静電チャック1を高温下(例えば250℃以上)で使用する場合、従来の静電チャックのように、端子周りに絶縁管を配置して、樹脂接着剤により絶縁管を静電チャックに接合しておくことが難しいため絶縁性が低下してしまう。高温下では樹脂接着剤が劣化するため、接合部分に隙間ができたり、接着剤自体が損傷して、その隙間や損傷部分がリーク経路となるからである。そして、リーク経路ができると、端子パッド60とベース部材20又は接合層40(金属接合材で構成される場合)との間における絶縁が破壊され、異常放電が発生してしまう。
【0049】
そのため、本実施形態の静電チャック1では、端子パッド60に接続する導通部材71(端子パッド71a)をセラミックス部材72内に備える端子部材70を、板状部材10と同時焼成して一体形成している。これにより、端子パッド60や端子パッド71aが、端子部材70のセラミックス部材72及び板状部材10によって完全に覆われる。従って、静電チャック1を高温下で使用しても、端子パッド60や端子パッド71aとベース部材20又は接合層40(金属接合材で構成される場合)との間における絶縁を確保することができる。
【0050】
また、本実施形態の静電チャック1では、端子部材70が冷媒流路23の間に配置されているため、冷媒により端子部材70が冷却され易く、端子部材70内の導通部材71が高温になり難い。そして、端子部材70は、冷媒流路23を形成する上面23aよりベース部材20の下面22側(本実施形態では、温度の低い下面22の近傍)にて、接着剤26によりベース部材20に接合されている。そのため、接着剤26を介して、端子部材70からベース部材20の低温度部分への熱移動を促進させることができ、端子部材70(導通部材71)をより効果的に冷却することができる。従って、高温下においても、導通部材71の他端に備わる雄端子71cに樹脂製のコネクタ80を接続することができる。これにより、高温下においても、コネクタ80を介して、外部電源と静電チャック1との安定した電気的接続を確保することができる。
【0051】
そして、本実施形態の静電チャック1では、板状部材10を形成する材料(セラミックス)とベース部材20を形成する材料(金属)との間に熱膨張差があるため、静電チャック1の温度が上昇/下降する際に、熱膨張差によって端子部材70がベース部材20と接触することで、端子部材70が損傷するおそれがある。特に、静電チャック1を高温下で使用する場合、熱膨張差による変形量が大きくなるため、端子部材70が損傷するおそれが高まる。
【0052】
そのため、本実施形態の静電チャック1では、端子部材70と貫通孔25との間に隙間35が形成されている。隙間35としては、端子部材70とベース部材20との熱膨張差によっても端子部材70がベース部材20に接触しない程度(例えば、0.1~2.0mm程度)を設定すればよい。このような隙間35を形成することにより、端子部材70の損傷を確実に防ぐことができる。これにより、端子部材70によって、端子パッド60や導通部材71とベース部材20又は接合層40(金属接合材で構成される場合)との間における絶縁を確保することができる。
【0053】
以上のように、本実施形態の静電チャック1によれば、セラミックス部材72内に導通部材71が形成された端子部材70を、板状部材10と同時焼成して一体形成している。そのため、高温下においても、端子周り(端子パッド60又は導通部材71とベース部材20又は接合層40(金属接合材で構成される場合)との間)における絶縁を確保することができる。そして、端子部材70をベース部材20の冷媒流路23の間に配置し、端子部材70をベース部材20の下面22の近傍で接着剤26により接合している。そのため、高温下においても、冷媒流路23を流れる冷媒により、端子部材70(導通部材71)を効率良く冷却することができるため、導通部材71が高温になり難い。従って、静電チャック1を高温下で使用しても、導通部材71の他端に備わる雄端子71cに樹脂製のコネクタ80を接続することができる。これにより、コネクタ80を介して外部電源と静電チャック1とを安定して電気的に接続することができる。
【0054】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について、
図6、
図7を参照しながら説明する。第2実施形態では、第1実施形態と基本的な構成は同じであるが、端子部材が板状部材と一体形成されていない点、及び端子部材を囲む絶縁スリーブ(筒状部材)を備える点が第1実施形態とは異なる。そこで、第1実施形態と同様の構成については同符号を付して説明を適宜省略し、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0055】
本実施形態の静電チャック1aでは、
図6、
図7に示すように、端子部材70が板状部材10と一体形成されずに、端子パッド60と端子パッド71aとがロウ付けにより接合されている。つまり、端子部材70の端面と板状部材10(有底孔15の底部15b)とは接触しているが接合されていない。そのため、端子部材70と板状部材10との間に隙間が生じるおそれがある。そして、端子部材70と板状部材10との間に隙間が生じてしまうと、端子パッド60又は導通部材71とベース部材20又は接合層40(金属接合材で構成される場合)との間における絶縁が不十分になるおそれがある。特に、内部電極のうち最も高い電圧が印加されるチャック電極50への電力供給経路において絶縁が不十分になるおそれが高い。なお、本実施形態の端子部材70は、第1実施形態と同様、グリーンシートを用いて製作してもよいし、導通部材71となる金属部材をセラミックス粉末内に配置して加熱・加圧等して製作することもできる。
【0056】
そこで、端子部材70の外周を囲むように、セラミックス製の筒状の絶縁スリーブ75を、貫通孔25に配置している。この絶縁スリーブ75は、端部が板状部材10(有底孔15)に対して拡散接合されて板状部材10に一体的に形成されている。このような絶縁スリーブ75を設けることにより、高温下においても、端子パッド60又は導通部材71とベース部材20又は接合層40(金属接合材で構成される場合)との間における絶縁を確保することができる。
【0057】
そして、絶縁スリーブ75は、ベース部材20の下面22の近傍で、接着剤76によりベース部材20に接合されている。なお、端子部材70は、ベース部材20の下面22の近傍で、接着剤26により絶縁スリーブ75に接合されている。これにより、接着剤26、絶縁スリーブ75、接着剤76を介して、端子部材70からベース部材20の低温度部分への熱移動を促進させることができ、端子部材70(導通部材71)を効果的に冷却することができる。従って、高温下においても、導通部材71の他端に備わる雄端子71cに樹脂製のコネクタ80を接続することができる。これにより、高温下においても、コネクタ80を介して、外部電源と静電チャック1aとの安定した電気的接続を確保することができる。
【0058】
ここで、絶縁スリーブ75を形成する材料(セラミックス)とベース部材20を形成する材料(金属)との間に熱膨張差があるため、静電チャック1aの温度が上昇/下降する際に、熱膨張差によって絶縁スリーブ75がベース部材20と接触することで、絶縁スリーブ75が損傷するおそれがある。
【0059】
そのため、本実施形態の静電チャック1aでは、絶縁スリーブ75とベース部材20との間に隙間77が形成されている(
図7参照)。隙間77としては、絶縁スリーブ75とベース部材20との熱膨張差によっても絶縁スリーブ75がベース部材20に接触しない程度(例えば、0.1~2.0mm程度)を設定すればよい。このような隙間77を形成することにより、絶縁スリーブ75の損傷を確実に防ぐことができる。これにより、絶縁スリーブ75によって、端子パッド60や導通部材71とベース部材20又は接合層40(金属接合材で構成される場合)との間における絶縁を確保することができる。
【0060】
以上のように、本実施形態の静電チャック1aによれば、端子部材70が板状部材10と一体形成されずに、端子パッド60と端子パッド71aとのロウ付けによって端子パッド60と端子部材70(導通部材71)とが接続されているが、端子部材70を囲むように配置した絶縁スリーブ75が板状部材10に拡散接合され、絶縁スリーブ75と板状部材10とが一体形成されている。そのため、高温下においても、絶縁スリーブ75によって、端子パッド60や導通部材71とベース部材20又は接合層40(金属接合材で構成される場合)との間における絶縁を確保することができる。
【0061】
そして、本実施形態の静電チャック1aによれば、接着剤26、絶縁スリーブ75、接着剤76を介して、端子部材70からベース部材20の低温度部分への熱移動を促進させることができるため、端子部材70(導通部材71)を効果的に冷却することができる。これにより、高温下においても、導通部材71の他端に備わる雄端子71cに樹脂製のコネクタ80を接続することができ、コネクタ80を介して、外部電源と静電チャック1aとの安定した電気的接続を確保することができる。
【0062】
なお、上記の実施形態は単なる例示にすぎず、本開示を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。例えば、上記の実施形態では、端子パッド60とヒータ電極52とが接続パッド63を介して接続されている場合を例示したが、端子パッド60とヒータ電極52とがビア61により直接接続されていてもよい。
【0063】
また、上記の実施形態において、接合層40として、通気性のある金属接合材(金属メッシュ等)を使用する場合には、リフトピン挿入孔30aやガス孔30bなどの貫通孔30の気密を確保することができなくなる。そのため、
図8に示すように、貫通孔30内に絶縁スリーブ75を配置し、絶縁スリーブ75を接着剤76によりベース部材20に接合することが好ましい。こうすることにより、貫通孔30の気密を確保することができるからである。
【0064】
また、上記の実施形態において、ベース部材20を形成する材料として、金属を例示しているが、金属に限られることはなく、金属以外の材料、例えばセラミックス等(AlSiCやSiなど)であっても良い。
【0065】
さらに、上記の実施形態において、板状部材10とベース部材20とを接合層40で接合した形態を例示したが、板状部材とベース部材とが接合剤を用いずに拡散接合にて接合されていても良い。この場合においても、樹脂材料の接合層を用いていないため、高温(例えば250℃以上)で使用することが可能となる。
【符号の説明】
【0066】
1 静電チャック
10 板状部材
11 保持面
12 下面
20 ベース部材
21 上面
22 下面
23 冷媒流路
23a 上面
25 貫通孔
26 接着剤
35 隙間
40 接合層
50 チャック電極
52 ヒータ電極
60 端子パッド
70 端子部材
71 導通部材
72 セラミックス部材
75 絶縁スリーブ
76 接着剤
77 隙間
80 コネクタ
W 半導体ウエハ