(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-12-24
(45)【発行日】2026-01-08
(54)【発明の名称】溝付き麺
(51)【国際特許分類】
A23L 7/109 20160101AFI20251225BHJP
【FI】
A23L7/109 B
A23L7/109 E
(21)【出願番号】P 2022580672
(86)(22)【出願日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 JP2022005317
(87)【国際公開番号】W WO2022172982
(87)【国際公開日】2022-08-18
【審査請求日】2024-07-24
(31)【優先権主張番号】P 2021021525
(32)【優先日】2021-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】398012306
【氏名又は名称】株式会社日清製粉ウェルナ
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東 秀明
(72)【発明者】
【氏名】木村 竜介
(72)【発明者】
【氏名】山地 和明
(72)【発明者】
【氏名】藤井 知之
【審査官】高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/090802(WO,A1)
【文献】特開2007-089564(JP,A)
【文献】国際公開第2018/207912(WO,A1)
【文献】特許第5726493(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
FSTA/CAplus/AGRICOLA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
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(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
麺線方向に沿って複数本の溝が形成された溝付き麺において、
麺線の横断面は、面積が1~4mm
2である円形または多角形の主外形を有し、
前記複数本の溝は、前記麺線の横断面において、それぞれ、前記麺線の表面から前記麺線の中心部に向かって径方向に延び且つ幅が一定または次第に縮小するような断面形状を有し、
前記複数本の溝は、前記麺線の横断面において、前記麺線の表面における開口部の幅0.3~0.5mmおよび前記径方向に沿った深さ0.3~0.6mmを有する第1の溝と、前記麺線の表面における開口部の幅0.15~0.35mmおよび前記径方向に沿った深さ0.03~0.05mmを有する第2の溝とを含み、
前記麺線の横断面における前記第1の溝の断面形状は、互いに対向し且つそれぞれ直線状に延びる一対の側辺部と、前記一対の側辺部の前記麺線の表面側の端部と前記麺線の表面とをそれぞれ接続する一対の曲率半径0.08~0.16mmの曲線部とを有
し、
調理後に、前記第1の溝および前記第2の溝は、それぞれ、閉じることなく、第1の凹部およびなだらかな曲線の凹形状の第2の凹部として残存する溝付き麺。
【請求項2】
前記麺線の横断面において、前記複数本の溝が無いと仮定した場合の前記主外形の面積に対する前記複数本の溝の面積の合計値は10~30%である請求項1に記載の溝付き麺。
【請求項3】
前記複数本の溝は、3~5本の前記第1の溝を含む請求項1または2に記載の溝付き麺。
【請求項4】
前記第1の溝と前記第2の溝が、前記麺線の周方向に沿って交互に配置されている請求項1~3のいずれか一項に記載の溝付き麺。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溝付き麺に係り、特に、麺線方向に沿って複数本の溝を有する溝付き麺に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、沸騰水中に麺を投入して、茹で麺を得る際の調理時間(茹で時間)の短縮を目的として、麺線方向に沿って溝が形成された麺が提案されている。例えば、特許文献1~4には、種々の溝形状を有し、溝が無い麺と比較して短時間で調理が可能であり、かつ調理後は溝が無い麺と同等の食感を有する溝付き麺が記載されている。また、特許文献5には、麺をダイスから押し出して製造する工程において溝付き麺に起こる不具合を解消するため、深さが微細な溝を有する溝付き麺が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開WO2008/090802号公報
【文献】特開2001-17104号公報
【文献】特開2011-4701号公報
【文献】特開2012-115173号公報
【文献】特開2007-89564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1~4は、麺の表面積を大きくして短時間での調理を可能にし、調理後には溝が無い麺と同様な外観、食感を有する溝付き麺を開示している。また、特許文献5は、取り扱い性に優れ、調理後には溝が無い麺と同様な外観、食感を有し、ソース乗りのよい溝付き麺を開示している。
しかしながら、溝の形状を工夫することで、調理時間の短縮化を可能にする溝形状を有しながら、調理後でも溝が残ることで麺に対するソースの付着性が改善された溝付き麺を提供することについては、特許文献1~5に記載が無い。
【0005】
そこで、本発明は、短時間で調理が可能になると共にソースの付着性に優れる溝付き麺を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
【0007】
本発明に係る溝付き麺は、
麺線方向に沿って複数本の溝が形成された溝付き麺において、
麺線の横断面は、面積が1~4mm2である円形または多角形の主外形を有し、
複数本の溝は、麺線の横断面において、それぞれ、麺線の表面から麺線の中心部に向かって径方向に延び且つ幅が一定または次第に縮小するような断面形状を有し、
複数本の溝は、麺線の横断面において、麺線の表面における開口部の幅0.3~0.5mmおよび径方向に沿った深さ0.3~0.6mmを有する第1の溝と、麺線の表面における開口部の幅0.15~0.35mmおよび径方向に沿った深さ0.03~0.05mmを有する第2の溝とを含み、
麺線の横断面における第1の溝の断面形状は、互いに対向し且つそれぞれ直線状に延びる一対の側辺部と、一対の側辺部の麺線の表面側の端部と麺線の表面とをそれぞれ接続する一対の曲率半径0.08~0.16mmの曲線部とを有し、
調理後に、第1の溝および第2の溝は、それぞれ、閉じることなく、第1の凹部およびなだらかな曲線の凹形状の第2の凹部として残存するものである。
【0008】
麺線の横断面において、複数本の溝が無いと仮定した場合の主外形の面積に対する複数本の溝の面積の合計値は、10~30%であることが好ましい。
また、複数本の溝は、3~5本の第1の溝を含むことが好ましい。
さらに、第1の溝と第2の溝は、麺線の周方向に沿って交互に配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、短時間で調理が可能になると共に、調理後も溝が残っており、溝を有しない従来の麺と比較してソースの付着性に優れる溝付き麺を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態に係る溝付き麺を示す部分斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る溝付き麺を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施の形態に基づいてなされるが、本発明はそのような実施の形態に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0012】
図1に、本発明の実施の形態に係る溝付き麺1を示す。溝付き麺1は、図中Lで示される麺線方向に延伸した乾麺からなっている。麺線の外周部には、麺線方向Lに沿って複数本の溝2が形成されている。
なお、溝付き麺1は、典型的には、小麦粉を含む原料粉より得られた生地を、ダイスの貫通孔から押し出して麺線状に成型したものである。このような成型方法によれば、ダイスの貫通孔の形状に対応した形状の麺線が連続的に押し出されるため、貫通孔の形状を所望の断面形状となるように設定することにより、麺線方向Lに沿って複数本の溝2を有する溝付き麺1を効率よく製造することができる。
【0013】
図2に示されるように、麺線は、麺線方向Lに直交する横断面において、ほぼ円形の主外形Mを有している。すなわち、複数本の溝2が無いものと仮定した場合に、溝付き麺1は、主外形Mに沿ったほぼ円形の断面形状を有することとなる。麺線の内部は、中実に形成されている。
【0014】
麺線の外周部に形成されている複数本の溝2は、それぞれ、麺線の表面Sから麺線の中心部Cに向かう径方向に沿って延びており、互いに深さが異なる2種類の溝、すなわち、比較的深い第1の溝3と、比較的浅い第2の溝4を含んでいる。4本の第1の溝3と4本の第2の溝4は、麺線の外周部の周方向に沿って交互に配置されている。4本の第1の溝3は、麺1の外周部の周方向に沿って均等な間隔で配置され、互いに隣接する2本の第1の溝3の中央部に第2の溝4が位置している。
【0015】
図3に示されるように、麺線の横断面において、第1の溝3は、径方向に沿った深さT1を有し、第1の溝3の断面形状は、最深部に位置する底部31と、それぞれ底部31の両端部に接続され且つ互いに対向して直線状に延びる一対の側辺部32と、それぞれ一対の側辺部32の端部と麺線の表面Sとを接続する一対の曲線部33とを有している。
一対の側辺部32は、それぞれ、径方向に沿いながら底部31の端部から麺線の表面Sに向かって延び、一対の側辺部32の麺線の表面S側の端部に一対の曲線部33が接続されている。
【0016】
それぞれの曲線部33は、曲率半径Rの円弧からなり、曲線部33の一端において、対応する側辺部32が曲線部33の接線方向に延びるように接続されている。また、曲線部33の他端において、主外形Mの一部を形成する麺線の表面Sと曲線部33とが共通の接線を有するように互いに接続されている。
麺線の表面Sと一対の曲線部33との接続点P1およびP2の間に、幅W1を有する第1の溝3の開口部3Aが形成されている。
【0017】
一方、第2の溝4は、麺線の表面Sに形成された浅い窪みのような断面形状を有している。具体的には、第2の溝4は、第1の溝3の深さT1に比べて1/10程度にまで小さい寸法の深さT2を有しており、麺線の表面Sに沿った開口部4Aの幅W2の方が径方向に沿った深さT2よりも大きく設定されている。
【0018】
麺線方向Lに直交する麺線の横断面において、複数本の溝2が無いものと仮定した溝付き麺1の主外形Mは、ほぼ円形であるが、多角形とすることもできる。多角形は、好ましくは4角形~12角形であり、より好ましくは6角形~10角形である。
麺線の横断面において、このような円形または多角形の主外形Mの面積は、1~4mm2である。また、主外形Mの面積に対する複数本の溝2の面積の合計値は10~30%であることが好ましい。
【0019】
第1の溝3の深さT1は、0.3~0.6mmの範囲内に規定され、好ましくは0.4~0.55mmである。また、第1の溝3の開口部3Aの幅W1は、0.3~0.5mmの範囲内に規定され、好ましくは0.35~0.45mmである。これらの深さT1または幅W1が上記の範囲外になると、溝付き麺1を茹で上げることにより第1の溝3が閉じた後に凹部が形成されにくくなり、その結果、調理後の麺の食感が劣り、または、ソースの付着性が低下する。
【0020】
また、第1の溝3の一対の側辺部32の間隔は、径方向に沿って一定であるが、開口部3A側の端部から底部31に向かって次第に縮小するように設定することもできる。仮に、一対の側辺部32の間隔が底部31に向かって次第に拡大する場合には、溝付き麺1を調理する際に、第1の溝3の底部31に比較して開口部3A側の端部の近傍がより早く閉じるため、溝付き麺1の調理後に麺線内部に空隙部が形成され、調理に用いた水がこの空隙部に残って水っぽい食味になると共に、閉じた溝の互いに対向する壁部がずれやすくなって食感に歯ごたえが不足してしまう。
【0021】
第1の溝3の側辺部32と麺線の表面Sとを接続する曲線部33の曲率半径Rは、0.08~0.16mmの範囲内に規定され、好ましくは0.09~0.14mmである。このような曲線部33の曲率半径Rと、一対の側辺部32の間隔を、径方向に沿って一定、または、底部31に向かって次第に縮小する形状とすることで、溝付き麺1の調理後に、第1の溝3の全体を完全に閉じさせるのではなく、第1の溝3の痕跡として微小な第1の凹部を形成することができる。第1の溝3の断面形状に起因して、調理後に形成される微小な第1の凹部は、中央が角張る凹形状となる。
【0022】
第1の溝3の一対の側辺部32が、開口部3Aの方向に向かって互いになす角度θは、0~10度、好ましくは1~8度に設定される。このように一対の側辺部32の間の角度θを0度または開口部3Aに向かって開く角度とすることで、第1の溝3が閉じるまでの時間を確保し、溝付き麺1の調理後に、微小な第1の凹部を確実に形成することができる。仮に、一対の側辺部32の間の角度θが15度を超えると、第1の溝3が急速に閉じるため、短時間調理の効果が得られにくくなると共に、第1の溝3の痕跡として第1の凹部が形成されにくくなる。一方、一対の側辺部32の間の角度θがマイナス、すなわち、底部31に向かって一対の側辺部32の間隔が次第に拡大すると、底部31よりも開口部3A側の部分が早く閉じるため、内部に空隙部が残ると共に、第1の溝3の痕跡として第1の凹部が形成されにくくなる。
【0023】
第2の溝4の深さT2は、0.03~0.05mmの範囲内に規定され、好ましくは0.035~0.045mmである。また、第2の溝4の開口部4Aの幅W2は、0.15~0.35mmの範囲内に規定され、好ましくは0.2~0.3mmである。第2の溝4の深さT2および幅W2をこのような寸法に規定することで、溝付き麺1の調理後に、第2の溝4は閉じることが無く、微小な第2の凹部として残存することとなる。この第2の凹部は、第1の溝3の痕跡として形成される第1の凹部とは異なり、なだらかな曲線の凹形状となる。
【0024】
図1および
図2に示される実施の形態の溝付き麺1は、上述したような第1の溝3と第2の溝4とを有するので、調理後には、溝が無い従来の麺と同様の形状ではなく、4本の第1の溝3に対応する4本の微小な第1の凹部と、4本の第2の溝4に対応する4本の微小な第2の凹部が、麺線方向に沿って延伸する形状の調理済み麺となる。中央が角張る凹形状の第1の凹部と、なだらかな曲線の凹形状の第2の凹部とが形成されるため、調理済み麺の全体にわたってソースが均一に且つ垂れ落ちにくく付着することとなり、溝が無い従来の麺および溝が完全に閉じるタイプの従来の溝付き麺に比較して、ソースとの一体感がより高められた風味を得ることが可能となる。
【0025】
図1および
図2に示される実施の形態の溝付き麺1では、4本の第1の溝3と4本の第2の溝4とが麺線の外周部の周方向に沿って交互に配置されているが、これに限るものではなく、3~5本の第1の溝3と3~15本の第2の溝4を配置するのが好ましい。第1の溝3と第2の溝4を含む複数本の溝2の総数を、4~16本、好ましくは8~12本とすることで、調理後の食感とソースの付着性を高度にバランスさせた麺を得ることができる。
【0026】
また、第2の溝4は、第1の溝3に対し、麺線の外周部の周方向に沿って、「1~3」の本数比率で交互に配置されるのが好ましい。例えば、
図1および
図2に示される実施の形態の溝付き麺1のように、第1の溝3と第2の溝4とが1本ずつ、すなわち、第1の溝3に対する第2の溝4の本数比率「1」で交互に配置されてもよく、あるいは、1本の第1の溝3と2本の第2の溝4が、繰り返して配置、すなわち、第1の溝3に対する第2の溝4の本数比率「2」で交互に配置されてもよい。さらに、麺線の外周部の周方向に沿って、本数比率「1」の配置と本数比率「2」の配置とが繰り返し連続するようにしてもよい。
【0027】
なお、麺線の外周部の周方向に沿って、互いに隣接する溝(第1の溝3、第2の溝4を問わない)の間には、主外形Mの一部を形成する麺線の表面Sが0.3~1mmの幅で露出することが好ましい。
【0028】
好ましくは、2~5本の第1の溝3と2~5本の第2の溝4を有し、第1の溝3に対して第2の溝4が本数比率「1」で交互に配置されるものである。このような配置とすることで、深い第1の溝3と浅い第2の溝4が交互にバランスよく配置されるため、効率よく短時間の調理を可能にすると共に、溝付き麺1の調理後に形成される第1の凹部および第2の凹部の数が確保され、ソースの付着性を高めることができる。
【0029】
本発明の溝付き麺において、第1の溝3および第2の溝4は、麺線の表面Sにおいてどのような順番および位置関係で形成されていてもよいが、隣接する溝同士(第1の溝3、第2の溝4を問わない)は互いに接触するのではなく、溝と溝の間に、麺線の表面Sが露出することが好ましい。特に、第1の溝3の周囲に麺線の表面Sが配置されなくなると、溝付き麺1の調理の際に、第1の溝3の底部31よりも開口部3A側が早く閉じやすくなり、第1の溝3の内部に空隙部が形成される、第1の溝3の痕跡となる第1の凹部が形成されにくくなる、等の不具合が生じるためである。
【0030】
本発明の溝付き麺は、公知の製造方法を適宜採用して製造することができる。本発明の溝付き麺は、溝が無い麺に比較して短時間で調理することができるが、麺の中でもパスタ類は、他の麺類に比べて調理に時間がかかるため、特に効果が高い。
以下、パスタ類の製造方法に準じて、本発明の溝付き麺の製造方法を説明する。
【0031】
本発明の溝付き麺は、原料となる原料粉を混捏して生地を形成し、この生地を本発明の溝付き麺の形状に成形することで製造することができる。原料粉の主体成分としては、デュラム小麦、普通小麦に由来する1種類の小麦粉を単独で、または、複数種類の小麦粉を混合して利用することができる。この小麦粉として、例えば、セモリナ粉を用いることができる。また、溝付き麺の原料として、小麦粉に加えて、一般的に麺類の原料として常用されている材料、例えば、小麦粉以外の穀粉類、澱粉類、糖類、塩、調味料、増粘剤等を混合して用いることができる。
【0032】
原料粉には練水を加水して混捏することで生地を製造する。練水としては、通常の麺の製造に用い得るものが適用でき、清水、酸性水、アルカリ水、及び、かん水等を適宜利用できる。練水の量も通常の麺の製造に用い得る量を適用することができ、一般的に原料粉100質量部に対して水20~30質量部である。
【0033】
製造された生地を、例えば貫通孔が形成されたダイスから高圧押出装置を用いて押し出すことで溝付き麺の麺線が成形される。このようにして成形された麺線(生麺線)は、通常22~30%の水分を含んでおり、柔らかい状態となっている。このような生麺線は、そのまま調理して喫食してもよく、または、冷凍するか冷蔵保存して保存期間中に調理することもできる。しかしながら、取り扱い性および保存性を向上させるため、乾燥させて、水分含有量を14%以下にすることが好ましい。
【0034】
麺線の乾燥方法については、常法により行われることができ、例えば、調湿した恒温室内において、複数の乾燥前の麺線を、互いに付着しないように離して載置した状態で乾燥させる方法を採用することができる。典型的な乾燥条件は、例えば、温度40℃~60℃で18時間~28時間、温度60℃~84℃で8時間~11時間、または、温度84℃以上で2時間~5時間程度である。
【0035】
本発明の溝付き麺は、調理して調理済み麺とすることで喫食可能になる。溝付き麺の調理方法としては特に制限されず、例えば、十分な量の沸騰水中に、溝付き麺を投入して茹でることで、短時間に優れた食感を有する茹で麺を得ることができる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
デュラムセモリナ100質量部に対して水26質量部を混合し、混捏して生地とした。次に、パスタ製造機に、
図1の溝付き麺1の形状(主外形Mの直径D=1.9mm)に対応する貫通孔が設けられたダイスを取り付け、-600mmHgの減圧条件下において混捏した生地を押出し、生麺線を成形した。
次に、生麺線を常法により乾燥して、長さ22cmの乾燥スパゲティを製造した。
【0037】
なお、溝付き麺1における各部の寸法は、
・主外形Mの直径Dを1.9mm、
・第1の溝3の開口部3Aの幅W1を0.4mm、
・第1の溝3の深さT1を0.5mm、
・第1の溝3の曲線部33の曲率半径Rを0.1mm、
・第1の溝3の一対の側辺部32がなす角度θを0度、
・第2の溝4の開口部4Aの幅W2を0.25mm、
・第2の溝4の深さT2を0.04mm、
・第1の溝3の本数を4、
・第2の溝4の本数を4、
・溝の総数を8、
・第1の溝3に対する第2の溝4の本数比率を1
とした。
【0038】
〔実施例2-7〕
溝付き麺1における各部の寸法を以下の表1に示される値に変更した他は、実施例1と同様にして実施例2-7の乾燥スパゲティを製造した。
〔比較例1-2〕
第1の溝3のみを有して第2の溝4を有しない溝付き麺1に変更した他は、実施例1と同様にして比較例1の乾燥スパゲティを製造した。
第2の溝4のみを有して第1の溝3を有しない溝付き麺1に変更した他は、実施例1と同様にして比較例2の乾燥スパゲティを製造した。
【0039】
〔食感評価〕
実施例1~7、比較例1-2により製造された乾燥スパゲティを、100gずつ取り分けて、たっぷりの湯で6分間茹で調理した。調理終了後、スパゲティを取り出して湯切りした。10名の訓練されたパネラーにスパゲティを1本喫食してもらい、以下の評価基準S1でスパゲティの食感を評価してもらった。なお、市販の溝の無い円形断面形状の乾燥スパゲティ(直径1.6mm)を適正時間茹で調理したものを同様に評価した結果を5点とした。
【0040】
<食感の評価基準S1>
5点:歯ごたえが十分にあり、通常の溝の無いスパゲティを適正に調理したものと同等であり、非常に良好。
4点:歯ごたえがあり、良好。
3点:全体にやや硬い食感か、または表面近傍がやや柔らかい食感。
2点:全体に硬い食感か、または表面近傍で溝がずれる感覚があり、不良。
1点:全体に硬すぎる食感か、または表面近傍で溝の互いに対向する壁部がずれてぐにゃりとした違和感があり、非常に不良。
【0041】
〔ソース付着性評価〕
実施例1~7、比較例1-2により製造された乾燥スパゲティを、100gずつ取り分けて、たっぷりの湯で6分間茹で調理した。調理終了後、スパゲティを取り出して湯切り後、直径26cmのボウルに取った。スパゲティの上から赤色のソース(日清フーズ製;あえるだけパスタソース ナポリタン)をかけて、全体によく混ぜ合わせた。10名の訓練されたパネラーに、それぞれスパゲティを10本ずつ観察してもらい、以下の評価基準S2でソースの付着性を評価してもらった。なお、市販の溝の無い円形断面形状の乾燥スパゲティ(直径1.6mm)を適正時間茹で調理したものを同様に評価した結果を3点とした。
【0042】
<ソース付着性の評価基準S2>
5点:麺線の全体に十分量のソースが均等に付着しており、持ち上げても液だれが無く、非常に良好。
4点:麺線の全体にソースが均等に付着しており、持ち上げても液だれがあまり無く、良好。
3点:麺線の全体にソースが付着しているが、持ち上げるとわずかに液だれがある。
2点:麺線の全体にソースが付着しているが付着むらがあり、持ち上げると液だれがあり、不良。
1点:麺線に部分的にソースが付着しており、持ち上げると液だれが多く、非常に不良。
【0043】
10名のパネラーによる食感評価の結果の平均値および10名のパネラーによるソース付着性評価の結果の平均値を表1に示す。
【0044】
【0045】
適正な寸法の第1の溝3および第2の溝4を有する実施例1-7の乾燥スパゲティでは、食感評価結果がいずれも3.3点以上、ソース付着性評価結果が3.4点以上となり、食感およびソース付着性共にほぼ良好であることが分かった。
一方、第1の溝3および第2の溝4のうち一方のタイプの溝しか有しない比較例1、2の乾燥スパゲティでは、食感評価結果が2.1点以下であって、食感は不良なものとなり、ソース付着性評価結果が3.2点以下であって、ソースの付着むらおよび液だれを生じることが分かった。
【0046】
〔実施例8-11、比較例3-6〕
第1の溝3の開口部3Aの幅W1および第1の溝3の深さT1を、以下の表2に示される値に変更した他は、実施例1と同様にして実施例8-11、比較例3-6の乾燥スパゲティを製造した。実施例8-11、比較例3-6の乾燥スパゲティに対し、実施例1と同様に食感評価およびソース付着性評価を行った。10名のパネラーによる食感評価の結果の平均値および10名のパネラーによるソース付着性評価の結果の平均値を表2に示す。
【0047】
【0048】
第1の溝3の開口部3Aの幅W1を、0.3~0.5mmの範囲内にすると共に、第1の溝3の深さT1を、0.3~0.6mmの範囲内に設定した実施例8-11の乾燥スパゲティでは、食感評価結果がいずれも4点以上、ソース付着性評価結果が4点以上となり、食感およびソース付着性共に良好であることが分かった。
一方、第1の溝3の開口部3Aの幅W1が、0.3mm未満または0.5mmを超える比較例3、4の乾燥スパゲティでは、食感評価結果が2.9点以下、ソース付着性評価結果が3.3点以下となり、第1の溝3の深さT1が、0.3mm未満または0.6mmを超える比較例5、6の乾燥スパゲティでは、食感評価結果が2.9点以下、ソース付着性評価結果が3.4点以下となった。これらの比較例3-6の乾燥スパゲティは、食感が不十分で、ソース付着性も実施例8-11の乾燥スパゲティに比べて大きく劣ることが分かった。
【0049】
〔実施例12-15、比較例7-10〕
第2の溝4の開口部4Aの幅W2および第2の溝4の深さT2を、以下の表3に示される値に変更した他は、実施例1と同様にして実施例12-15、比較例7-10の乾燥スパゲティを製造した。実施例12-15、比較例7-10の乾燥スパゲティに対し、実施例1と同様に食感評価およびソース付着性評価を行った。10名のパネラーによる食感評価の結果の平均値および10名のパネラーによるソース付着性評価の結果の平均値を表3に示す。
【0050】
【0051】
第2の溝4の開口部4Aの幅W2を、0.15~0.35mmの範囲内にすると共に、第2の溝4の深さT2を、0.03~0.05mmの範囲内に設定した実施例12-15の乾燥スパゲティでは、食感評価結果がいずれも4点以上、ソース付着性評価結果が4点以上となり、食感およびソース付着性共に良好であることが分かった。
一方、第2の溝4の開口部4Aの幅W2が、0.15mm未満または0.35mmを超える比較例7、8の乾燥スパゲティでは、食感評価結果が3.3点以下、ソース付着性評価結果が2.9点以下となり、第2の溝4の深さT2が、0.03mm未満または0.05mmを超える比較例9、10の乾燥スパゲティでは、食感評価結果が3.4点以下、ソース付着性評価結果が2.9点以下となった。これらの比較例7-10の乾燥スパゲティは、特に、ソース付着性が実施例12-15の乾燥スパゲティに比べて大きく劣ることが分かった。
【0052】
〔実施例16-19、比較例11-12〕
第1の溝3の曲線部33の曲率半径Rを、以下の表4に示される値に変更した他は、実施例1と同様にして実施例16-19、比較例11-12の乾燥スパゲティを製造した。実施例16-19、比較例11-12の乾燥スパゲティに対し、実施例1と同様に食感評価およびソース付着性評価を行った。10名のパネラーによる食感評価の結果の平均値および10名のパネラーによるソース付着性評価の結果の平均値を表4に示す。
【0053】
【0054】
第1の溝3の曲線部33の曲率半径Rを、0.08~0.16mmの範囲内に設定した実施例16-19の乾燥スパゲティでは、食感評価結果がいずれも3.8点以上、ソース付着性評価結果が3.8点以上となり、食感およびソース付着性共に良好であることが分かった。
一方、第1の溝3の曲線部33の曲率半径Rが、0.08mm未満または0.16mmを超える比較例11、12の乾燥スパゲティでは、食感評価結果が2.8点以下、ソース付着性評価結果が3.4点以下となり、食感が不十分で、ソース付着性も実施例16-19の乾燥スパゲティに比べて劣ることが分かった。
【0055】
〔実施例20-25、比較例13〕
第1の溝3の一対の側辺部32がなす角度θを、以下の表5に示される値に変更した他は、実施例1と同様にして実施例20-25、比較例13の乾燥スパゲティを製造した。実施例20-25、比較例13の乾燥スパゲティに対し、実施例1と同様に食感評価およびソース付着性評価を行った。10名のパネラーによる食感評価の結果の平均値および10名のパネラーによるソース付着性評価の結果の平均値を表5に示す。
【0056】
【0057】
第1の溝3の一対の側辺部32がなす角度θを、プラスの値に設定、すなわち、一対の側辺部32の間隔が開口部3A側の端部から底部31に向かって次第に縮小するように設定した実施例20-25の乾燥スパゲティでは、食感評価結果がいずれも4.2点以上、ソース付着性評価結果が4.1点以上となり、食感およびソース付着性共に良好であることが分かった。
一方、第1の溝3の一対の側辺部32がなす角度θを、マイナスの値に設定、すなわち、一対の側辺部32の間隔が開口部3A側の端部から底部31に向かって次第に拡大するように設定した比較例13の乾燥スパゲティでは、食感評価結果が1.9点、ソース付着性評価結果が2.8点となり、食感が不良で、ソース付着性も実施例20-25の乾燥スパゲティに比べて大きく劣り、ソースの付着むらおよび液だれを生じることが分かった。
【符号の説明】
【0058】
1 溝付き麺、2 複数本の溝、3 第1の溝、4 第2の溝、3A,4A 開口部、31 底部、32 側辺部、33 曲線部、L 麺線方向、M 主外形、C 中心部、T1,T2 深さ、W1,W2 幅、S 麺線の表面、R 曲率半径、P1,P2 接続点。