(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-12-26
(45)【発行日】2026-01-13
(54)【発明の名称】IL-21に対するアプタマーおよびその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/115 20100101AFI20260105BHJP
A61K 31/712 20060101ALI20260105BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20260105BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20260105BHJP
【FI】
C12N15/115 Z ZNA
A61K31/712
A61P9/12
A61P11/00
(21)【出願番号】P 2022531903
(86)(22)【出願日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 JP2021023023
(87)【国際公開番号】W WO2021256530
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2024-05-27
(31)【優先権主張番号】P 2020104831
(32)【優先日】2020-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】505254175
【氏名又は名称】株式会社リボミック
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】青木 一晃
(72)【発明者】
【氏名】三井 麻利江
【審査官】小倉 梢
(56)【参考文献】
【文献】抗IL-21アプタマーを用いた肺動脈性肺高血圧症の革新的治療薬の開発に関する研究成果の発表,News Release, 株式会社リボミック, [オンライン],2019年01月30日,[検索日2021.07.19], インターネット: <URL : https://ssl4.eir-parts.net/doc/4591/tdnet/1665714/00.pdf>
【文献】ファルマシア,2018年,Vol. 54,No. 7,p. 706-708
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00 - 15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターロイキン-21に結合し、インターロイキン-21とその受容体との結合を阻害する、アプタマーであって、以下の式(1):
CGRYKACY (1)
(式中、Rは、AまたはGを表し、Yは、CまたはUを表し、Kは、GまたはUを表す。)で表されるヌクレオチド配列、
以下の式(2):
CCKYC (2)
(式中、Kは、GまたはUを表し、Yは、CまたはUを表す。)で表されるヌクレオチド配列、および
以下の式(3):
GYMCG (3)
(式中、Yは、CまたはUを表し、Mは、AまたはCを表す。)で表されるヌクレオチド配列を、5’末端側から、式(2)、式(1)、式(3)の順で含
み、
配列番号1~5、7、20~29および31~43のいずれかで表されるヌクレオチド配列(但し、ウラシル(U)はチミン(T)であってもよい)を含む、アプタマー。
【請求項2】
式(1)における1番目のCにおいて、リボース2’位のヒドロキシ基がフルオロ基で置換されている、請求項1に記載のアプタマー。
【請求項3】
請求項1
または2に記載のアプタマ
ーであって、
(a)該アプタマーに含まれるヌクレオチドにおいて、
(i)各ピリミジンヌクレオチドのリボースの2’位がフッ素原子であり、
(ii)各プリンヌクレオチドのリボースの2’位がヒドロキシ基である、アプタマー;または
(b)該(a)のアプタマーにおいて、
(i)各ピリミジンヌクレオチドのリボースの2’位のフッ素原子が、それぞれ独立して、無置換であるか、水素原子、ヒドロキシ基およびメトキシ基からなる群より選ばれる原子もしくは基で置換されており、
(ii)各プリンヌクレオチドのリボースの2’位のヒドロキシ基が、それぞれ独立して、無置換であるか、水素原子、メトキシ基およびフッ素原子からなる群より選ばれる原子もしくは基で置換されている、アプタマー。
【請求項4】
式(3):GYMCGにおける4番目のCにおいて、リボース2’位のヒドロキシ基がフルオロ基で置換されている、請求項1~
3のいずれか一項に記載のアプタマー。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか一項に記載のアプタマーおよび機能性物質を含む複合体。
【請求項6】
機能性物質が、親和性物質、標識用物質、酵素、薬物送達媒体または薬物である、請求項
5に記載の複合体。
【請求項7】
請求項1~
4のいずれか一項に記載のアプタマーあるいは請求項
5または
6に記載の複合体を含む医薬。
【請求項8】
肺高血圧症の治療用または予防用である、請求項
7に記載の医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターロイキン-21に対するアプタマーに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
肺動脈性肺高血圧症(以下「PAH」と略記する場合がある)は肺動脈の中膜、内膜の過増殖を病態背景に有する疾患である。現在、肺高血圧症治療には、エンドセリン受容体拮抗薬(ボセンタン、アンブリセンタン等)、ホスホジエステラーゼ(PDE)5阻害薬(シルデナフィル、タダラフィル等)、プロスタグランジンI2およびその誘導体(エポプロステノール、べラプロスト等)などが使用されている。しかし、これらの治療による予後の改善は十分とは言えず、PAHは難病の1つに指定されている。それゆえ、PAHの新しい治療法の開発が要請されている。
【0003】
炎症がPAH病態の進行に関わると報告されており、特に炎症性サイトカインであるインターロイキン-6(IL-6)の関与が報告されている。さらに近年になってインターロイキン-21(以下、「IL-21」と記載)が、IL-6の作用によってヘルパーT細胞の一種であるTh17細胞から分泌されることで、PAHの発症に重要な役割を担うことが報告されている(非特許文献1)。具体的には、IL-21が肺に存在するマクロファージをM2マクロファージ優位な状態に誘導して、M2マクロファージの肺組織への集積と相関して肺動脈平滑筋細胞の増殖が促進されることでPAH発症に至ると考えられている。
【0004】
特許文献1には、IL-21からのシグナル伝達を阻害することによって、肺高血圧症の予防および治療が可能になることが記載されている。具体的には、抗IL-21抗体が、IL-21とIL-21受容体との相互作用を阻害することにより、IL-21からのシグナル伝達が阻害されることに基づく。しかしながら、特許文献1にはIL-21とIL-21受容体との相互作用を阻害することができる物質として、IL-21抗体、IL-21受容体抗体、IL-21やIL-21受容体と結合するペプチドなどが挙げられているが、IL-21アプタマーについては記載も示唆もされていない。
【0005】
アプタマーは標的分子(タンパク質、糖鎖、ホルモン等)に特異的に結合する核酸であり、一本鎖のRNA(又はDNA)が形成する三次元立体構造を介して、標的分子に結合することができる。その取得にはSELEX法(Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)と呼ばれるスクリーニング法が用いられる(特許文献2~4)。SELEX法で得られるアプタマーの鎖長は80ヌクレオチド程度であり、その後標的分子の生理阻害活性を指標に短鎖化が図られる。さらに生体内での安定性向上を目的に化学修飾を加え、医薬品としての最適化が図られる。アプタマーは免疫排除を受けにくく、抗体特有の抗体依存性細胞障害(ADCC)や補体依存性細胞障害(CDC)などの副作用は起こりにくいとされる。また同じ分子標的医薬である低分子化合物には難溶性の分子もあり、その製剤化には最適化が必要である場合もあるが、アプタマーは水溶性が高いため、その点でも有利である。さらに化学合成により生産されるので、大量生産すればコストダウンを図ることができる。その他、長期保存安定性や熱、溶媒耐性もアプタマーの優位な特徴である。一方で、一般にアプタマーの血中半減期は抗体よりも短い。しかし、この点も毒性の観点からはメリットとなる場合がある。2004年12月に米国で承認された初めてのRNAアプタマー医薬品であるMacugen(対象疾患:加齢黄斑変性症)をはじめ、様々なアプタマー医薬品が開発されている。近年ではRNAアプタマーだけでなく、生体内で安定かつ安価に製造可能なDNAアプタマーの開発も進められている。
【0006】
また、アプタマーが有する標的分子への親和性の高さを利用して、標的分子の精製や分子ターゲティングに用いられる試みも数多くなされている。アプタマーは同様な機能をもつ抗体と比較してもその親和性は高い場合が多い。デリバリーの観点でも、アプタマーは抗体の1/10程度の分子サイズであるため組織移行が起こりやすく、目的の部位まで薬物を送達させることがより容易である。したがって、抗体よりも有用な医薬品が開発できる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第6359921号公報
【文献】国際公開第91/19813号
【文献】国際公開第94/08050号
【文献】国際公開第95/07364号
【非特許文献】
【0008】
【文献】PNAS May 19, 2015 112 (20) E2677-E2686
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、IL-21に対するアプタマーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、IL-21に結合するアプタマーの製造に成功した。またこのアプタマーがIL-21とIL-21受容体との結合を阻害することも明らかとした。さらに本IL-21アプタマーは、特徴的なモチーフ配列を有するアプタマーであることも明らかにした。
【0011】
即ち、本発明は、以下のとおりである。
[1]インターロイキン-21に結合するアプタマー。
[2]インターロイキン-21とその受容体との結合を阻害する、[1]に記載のアプタマー。
[3]以下の式(1):
CGRYKACY (1)
(式中、Rは、AまたはGを表し、Yは、CまたはUを表し、Kは、GまたはUを表す。)で表されるヌクレオチド配列を含む、[1]または[2]に記載のアプタマー。
[4]式(1)における1番目のCにおいて、リボース2’位のヒドロキシ基がフルオロ基で置換されている、[3]に記載のアプタマー。
[5]以下の式(2):
CCKYC (2)
(式中、Kは、GまたはUを表し、Yは、CまたはUを表す。)で表されるヌクレオチド配列、および
以下の式(3):
GYMCG (3)
(式中、Yは、CまたはUを表し、Mは、AまたはCを表す。)で表されるヌクレオチド配列をさらに含む、[3]または[4]に記載のアプタマー。
[6]5’末端側から、式(2)、式(1)、式(3)の順で各ヌクレオチド配列を含む、[5]に記載のアプタマー。
[7]式(1)における4番目のYがCであり、Kおよび8番目のYがそれぞれUであり、
式(2)におけるKおよびYがそれぞれUであり、
式(3)におけるYおよびMがそれぞれCである、[5]または[6]に記載のアプタマー。
[8]以下の式(4):
CCKYC-N1-CGRYKACY-N2-GYMCG (4)
(式中、N1は、5~9個の長さの任意のヌクレオチド配列であり、N2は、5~10個の長さの任意のヌクレオチド配列であり、Rは、AまたはGを表し、Yは、CまたはUを表し、Kは、GまたはUを表し、Mは、AまたはCを表す。)で表されるヌクレオチド配列を含む、[1]~[7]のいずれかに記載のアプタマー。
[9]以下の式(5):
X1CCKYCX2-N1a-X3CGRYKACYX4-N2a-X5GYMCGX6 (5)
(式中、N1aは、3~7個の長さの任意のヌクレオチド配列であり、N2aは、3~8個の長さの任意のヌクレオチド配列であり、X1とX6、X2とX5、およびX3とX4はそれぞれ互いに相補的なヌクレオチドであり、Rは、AまたはGを表し、Yは、CまたはUを表し、Kは、GまたはUを表し、Mは、AまたはCを表す。)で表されるヌクレオチド配列を含む、[1]~[7]のいずれかに記載のアプタマー。
[10][1]~[9]のいずれかに記載のアプタマーにおいて、1又は数個のヌクレオチドが置換、欠失、挿入又は付加されたヌクレオチド配列を含むアプタマーであって、
(a)該アプタマーに含まれるヌクレオチドにおいて、
(i)各ピリミジンヌクレオチドのリボースの2’位がフッ素原子であり、
(ii)各プリンヌクレオチドのリボースの2’位がヒドロキシ基である、アプタマー;
(b)該(a)のアプタマーにおいて、
(i)各ピリミジンヌクレオチドのリボースの2’位のフッ素原子が、それぞれ独立して、無置換であるか、水素原子、ヒドロキシ基およびメトキシ基からなる群より選ばれる原子又は基で置換されており、
(ii)各プリンヌクレオチドのリボースの2’位のヒドロキシ基が、それぞれ独立して、無置換であるか、水素原子、メトキシ基およびフッ素原子からなる群より選ばれる原子又は基で置換されている、アプタマー。
[11]式(3):GYMCGにおける4番目のCにおいて、リボース2’位のヒドロキシ基がフルオロ基で置換されている、[5]~[9]のいずれかに記載のアプタマー。
[12]ヌクレオチドの長さが65ヌクレオチド以下である、[1]~[11]のいずれかに記載のアプタマー。
[13]以下の(a)または(b)のヌクレオチド配列を含む、[8]または[9]に記載のアプタマー。
(a)配列番号1~5、7、20~29および31~43のいずれかで表されるヌクレオチド配列(但し、ウラシル(U)はチミン(T)であってもよい)
(b)上記(a)のヌクレオチド配列において、1又は数個のヌクレオチドが置換、欠失、挿入又は付加されたヌクレオチド配列
[14][1]~[13]のいずれかに記載のアプタマーおよび機能性物質を含む複合体。
[15]機能性物質が、親和性物質、標識用物質、酵素、薬物送達媒体又は薬物である、[14]に記載の複合体。
[16][1]~[13]のいずれかに記載のアプタマーあるいは[14]または[15]に記載の複合体を含む医薬。
[17]肺高血圧症の治療用又は予防用である、[16]に記載の医薬。
【発明の効果】
【0012】
本発明のアプタマー又はアプタマーを含む複合体は、IL-21が関与する疾患の予防または治療、特に肺高血圧症の予防または治療に有用であり得る。あるいは、IL-21の精製および濃縮、IL-21の標識、並びにIL-21の検出および定量にも有用であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、配列番号1および2で表される各アプタマーの二次構造予測を示す。
【
図2】
図2は、配列番号1および2で表される各アプタマーがヒトIL-21に結合することを示すセンサーグラムである。
【
図3】
図3は、配列番号1で表されるアプタマーがヒトIL-21とその受容体との結合を阻害することを示すセンサーグラムである。
【
図4】
図4は、配列番号3~5および7で表される各アプタマーの二次構造予測を示す。
【
図5】
図5は、配列番号22で表されるアプタマーの二次構造予測を示す。
【
図6】
図6は、配列番号25~36で表される各アプタマーの二次構造予測を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、インターロイキン(IL)21に結合するアプタマー、即ち、IL-21に対して結合活性を有するアプタマー(以下、「本発明のアプタマー」と称する場合がある。)を提供する。
【0015】
アプタマーとは、所定の標的分子に対する結合活性を有する核酸分子をいう。アプタマーは、所定の標的分子に対して結合することにより、所定の標的分子の活性を阻害し得る。本発明のアプタマーは、RNA、DNA、修飾核酸又はそれらの混合物であり得る。また本発明のアプタマーは、直鎖状、環状又はステム‐ループ状の形態であり得るが、好ましくは後述するステム-ループ状の構造を採り得る。
【0016】
本発明のアプタマーは生理的な緩衝液中でIL-21へ結合する。緩衝液としては特に限定されるものではないが、pHが約5.0~10.0程度のものが好ましく用いられ、このような緩衝液としては、例えば後述する溶液A(実施例1参照)が挙げられる。本発明のアプタマーは、以下のいずれかの試験により検出可能な程度の強度で、IL-21へ結合するものである。
結合強度の測定にはGEヘルスケア社製のBiacore T200を用いる。一つの測定方法としては、まずセンサーチップにアプタマーを固定化する。アナライト用のIL-21溶液は0.1μMに調製したものをインジェクトし、ヒトIL-21のアプタマーへの結合を検出する。例えば、後述する実施例で用いられるようにヒトIL-21以外をターゲットとするアプタマー(以下、「非ヒトIL-21アプタマー」)をネガティブコントロールとし、該コントロール核酸と比較してヒトIL-21が有意に強くアプタマーに結合した場合、該アプタマーはヒトIL-21への結合能を有すると判定することができる。また一つの測定方法として、センサーチップにヒトIL-21を固定化し、アプタマー溶液をインジェクトして結合を検出することも可能である。
【0017】
本発明のアプタマーは、一実施態様において、IL-21に結合し、IL-21の活性を阻害し得る。すなわち、本発明のアプタマーは、IL-21に対する阻害活性をも有し得る。
【0018】
IL-21に対する阻害活性とは、IL-21が保有する任意の活性に対する阻害能を意味する。例えば、IL-21はIL-21受容体発現細胞に作用してシグナル伝達を活性化し、各種細胞増殖因子やその受容体の産生を誘導する。従って、IL-21に対する阻害活性とはIL-21受容体を介した細胞内シグナル伝達を阻害する活性のことであり得る。これら各種細胞増殖因子やその受容体の発現は、結果的に細胞の増殖活性や遊走活性の亢進を導く、あるいは各種細胞からの特定の液性因子の分泌を減少させる場合がある。したがって、IL-21の阻害活性とはそれらの活性の阻害や、従来IL-21の刺激により分泌される液性因子の減少を意味する。
よって、本発明のアプタマーがIL-21に結合しIL-21とIL-21受容体との結合を阻害した場合、IL-21受容体を介した細胞内シグナル伝達経路の活性化に伴う作用、例えばNK細胞におけるインターフェロンγの分泌などが阻害され得る。換言すると、本発明のアプタマーがNK細胞におけるインターフェロンγの分泌を低減させた場合、本発明のアプタマーはIL-21に結合し、IL-21とIL-21受容体との結合を阻害するアプタマーであるといえる。
【0019】
IL-21とは、CD4陽性T細胞やナチュラルキラーT細胞に強く発現するサイトカインであり、例えば、配列番号44で表されるアミノ酸配列を持つタンパク質である。本発明におけるIL-21は、動物体内で作られる他、マウスなどの哺乳細胞、昆虫細胞、大腸菌などの培養細胞を用いても作製することができ、更に化学合成によっても作ることができる。培養細胞や化学合成によって作製する場合は、自体公知の方法で容易に変異体を作製することができる。ここでIL-21の「変異体」とは、公知のIL-21のアミノ酸配列からアミノ酸が1~数個置換、欠失、付加等されたものや、公知のIL-21のアミノ酸配列の一部分のアミノ酸配列からなるものであって、本来IL-21が有している活性の少なくとも一つ以上の活性を有しているタンパク質又はペプチドを意味する。アミノ酸が置換、付加される場合、当該アミノ酸は天然のアミノ酸であってもよいし非天然のアミノ酸であってもよい。本発明におけるIL-21はこれらの変異体を含む。
【0020】
IL-21受容体(以下、「IL-21R」ともいう)とは、IL-21が結合する細胞表面タンパク質を意味する。IL-21受容体としては、例えば、配列番号45で表されるアミノ酸配列を持つタンパク質が知られている。本発明におけるIL-21受容体とは、天然のアミノ酸配列を含むタンパク質であってもよいしその変異体であってもよい。ここでIL-21受容体の「変異体」とは、公知のIL-21受容体のアミノ酸配列を構成するアミノ酸のうち1~数個が置換、欠失、付加等されたものや、公知のIL-21受容体のアミノ酸配列の一部分のアミノ酸配列からなるものであって、IL-21に対して結合活性を有するタンパク質又はペプチドを意味する。一実施態様において、本発明はIL-21とIL-21受容体との結合を阻害するアプタマーを提供する。
【0021】
本発明のアプタマーは、IL-21の任意の部分に結合するアプタマーである限り特に限定されない。また本発明のアプタマーは、IL-21の任意の部分に結合し、その活性を阻害し得るものである限り特に限定されない。
【0022】
本発明のアプタマーの長さは特に限定されず、通常、約200ヌクレオチド以下であり得るが、例えば約100ヌクレオチド以下であり、好ましくは約70ヌクレオチド以下であり、より好ましくは65ヌクレオチド以下であり、さらに好ましくは50ヌクレオチド以下であり、よりさらに好ましくは約40ヌクレオチド以下であり、最も好ましくは37ヌクレオチド以下であり得る。
総ヌクレオチド数が少なければ、化学合成および大量生産がより容易であり、かつコスト面でのメリットも大きい。また、化学修飾も容易であり、生体内安定性も高く、毒性も低いと考えられる。本発明のアプタマー長の下限は、共通配列(CGRYKACY)を含み、かつ後述するステム-ループ状の構造を採り得る限り特に制限はないが、該アプタマー長は、例えば20ヌクレオチド以上、好ましくは30ヌクレオチド以上、より好ましくは35ヌクレオチド以上であり得る。以上のことから、本発明の特に好ましい実施態様において、本発明のアプタマーの長さは35~40ヌクレオチドである。
【0023】
好ましい一実施態様において、本発明のアプタマーは、式(1):
CGRYKACY (1)
(式中、Rは、AまたはGを表し、Yは、CまたはUを表し、Kは、GまたはUを表す。)で表されるヌクレオチド配列を含む、IL-21に結合するアプタマーである。
【0024】
本発明のアプタマーを構成する各ヌクレオチドは、それぞれ独立して、リボースであってもデオキシリボースであってもよい。以下、本発明のアプタマーにおいて、ヌクレオチドがデオキシリボースである場合、ウラシル(U)はチミン(T)に読み替えるものとする。
【0025】
式(1)において、4番目のYは、Cであることが好ましく、Kは、Uであることが好ましく、8番目のYはUであることが好ましい。
【0026】
さらに好ましい一実施態様において、本発明のアプタマーは、式(2):
CCKYC (2)
(式中、Kは、GまたはUを表し、Yは、CまたはUを表す。)で表されるヌクレオチド配列、および式(3):
GYMCG (3)
(式中、Yは、CまたはUを表し、Mは、AまたはCを表す。)で表されるヌクレオチド配列をさらに含む、IL-21に結合するアプタマーである。
【0027】
式(2)において、Kは、Uであることが好ましく、Yは、Uであることが好ましい。また、式(3)において、Yは、Cであることが好ましく、Mは、Cであることが好ましい。
【0028】
上記式(1)、式(2)および式(3)は、本発明のアプタマーの配列において、5’末端側からどのような順で並んでいてもよいが、5’末端側から、式(2)、式(1)、式(3)の順で各ヌクレオチド配列が並んでいることが好ましい。この順で各配列が配置されることによって、本発明のアプタマーが良好にIL-21に結合することが可能になる。
【0029】
また、式(1)、式(2)および式(3)の各ヌクレオチド配列は、リンカー(スペーサー)となるヌクレオチド配列を介して結合されていてもよい。リンカーとなるヌクレオチド配列は特に限定されず、本発明のアプタマーがIL-21に結合する限りどのような配列も採用することが可能である。
【0030】
本発明のアプタマーとして、より好ましくは、以下の式(4):
CCKYC-N1-CGRYKACY-N2-GYMCG (4)
(式中、N1は、5~9個の長さの任意のヌクレオチド配列であり、N2は、5~10個の長さの任意のヌクレオチド配列であり、Rは、AまたはGを表し、Yは、CまたはUを表し、Kは、GまたはUを表し、Mは、AまたはCを表す。)で表されるヌクレオチド配列を含む、アプタマーが挙げられる。
【0031】
ここで、N1およびN2は、上記リンカーとなるヌクレオチド配列に相当し、該リンカーを介して、5’末端側から、式(2)、式(1)、式(3)の順で各ヌクレオチド配列が並んでいることが分かる。
式(4)のような配置と位置関係で式(1)、式(2)および式(3)が並ぶことにより、本発明のアプタマーがIL-21により強く結合し、それゆえ高い効果を発揮することが可能となる。
【0032】
式(4)において、N1の長さは、通常5~9ヌクレオチドであり、好ましくは5~7ヌクレオチドであり、最も好ましくは6ヌクレオチドである。N2の長さは、通常5~10ヌクレオチドであり、好ましくは5~8ヌクレオチドであり、最も好ましくは6または7ヌクレオチドである。N1およびN2がこの範囲内のヌクレオチド長であることにより、本発明のアプタマーの機能が発揮される。
また、N1とN2の長さの差は0~2であることが好ましく、0または1であることがより好ましい。そして式(1)部分の両側に位置するN1とN2とはステム構造を形成するが、このステム構造は全体としてステム構造が形成されている限りミスマッチによる部分的なバルジ構造やループ構造を含んでいてもよい。
【0033】
さらにN1およびN2のヌクレオチド配列は、式(2)部分(CCKYC)と式(3)部分(GYMCG)とが、それぞれの両端で塩基対を形成してインターナルループを形成し、式(1)部分(CGRYKACY)がループを形成し得る限り、いかなるヌクレオチド配列であってもよい。
ここで、式(1)部分は、全体(CGRYKACY)でループを形成してもよいし、例えば、下線を付したRとYとの間で塩基対(例、A-U)を形成することでループを形成してもよい。いずれのループを形成した場合であっても、前述の共通配列を保有する限りにおいて、本発明のアプタマーの機能が発揮される。なお後者の場合、N2の5’末端側の2ヌクレオチドは、式(1)の5’末端側の「CG」とステム構造を形成することが望ましく、その配列としてはステム構造を形成する限り限定されないが、「CG」であることが望ましい。
なお、式(4)中、前記式(1)~(3)に相当する各部分配列における好ましいヌクレオチドは、式(1)~(3)について上記したとおりである。
【0034】
また、本発明のアプタマーとして、より好ましくは、以下の式(5):
X1CCKYCX2-N1a-X3CGRYKACYX4-N2a-X5GYMCGX6 (5)
(式中、N1aは、3~7個の長さの任意のヌクレオチド配列であり、N2aは、3~8個の長さの任意のヌクレオチド配列であり、X1とX6、X2とX5、およびX3とX4はそれぞれ互いに相補的なヌクレオチドであり、Rは、AまたはGを表し、Yは、CまたはUを表し、Kは、GまたはUを表し、Mは、AまたはCを表す。)で表されるヌクレオチド配列を含む、アプタマーが挙げられる。
【0035】
ここで、N1aおよびN2aは、上記リンカーとなるヌクレオチド配列に相当し、該リンカーを介して、5’末端側から、式(2)、式(1)、式(3)の順で各ヌクレオチド配列が並んでいることが分かる。
式(5)のような配置と位置関係で式(1)、式(2)および式(3)が並ぶことにより、本発明のアプタマーがIL-21にさらにより強く結合し、それゆえ高い効果を発揮することが可能となる。
【0036】
式(5)において、N1aの長さは、通常3~7ヌクレオチドであり、好ましくは3~5ヌクレオチドであり、最も好ましくは4ヌクレオチドである。N2aの長さは、通常3~8ヌクレオチドであり、好ましくは3~6ヌクレオチドであり、最も好ましくは4または5ヌクレオチドである。N1aおよびN2aがこの範囲内のヌクレオチド長であることにより、本発明のアプタマーの機能が発揮される。また、N1aとN2aの長さの差は0~2であることが好ましく、0または1であることがより好ましい。ここで、N1aとN2aとは、それぞれX2、X3およびX5、X4と一緒になってステム構造を形成するが、このステム構造は全体としてステム構造が形成されている限り、N1aとN2aとの間でのミスマッチによる部分的なバルジ構造やループ構造を含んでいてもよい。
【0037】
さらには、X1とX6、X2とX5がそれぞれ塩基対を形成することによって、式(2)部分(CCKYC)と式(3)部分(GYMCG)とがインターナルループを形成するのをさらに安定化し、X3とX4が塩基対を形成することによって式(1)部分(CGRYKACY)がループを形成することとなる。
なお、式(5)中、前記式(1)~(3)に相当する各部分配列における好ましいヌクレオチドは、式(1)~(3)について上記したとおりである。
【0038】
好ましい一実施態様において、本発明のアプタマーとしては、配列番号1~5、7、20~29および31~43で表されるヌクレオチド配列を含むアプタマーが挙げられる。以下に、配列番号1~5、7、20~29および31~43で表されるヌクレオチド配列(但し、ウラシルはチミンであってもよい)を示す。下線は共通配列(5’末端側から順に、式(2)、式(1)および式(3))を示す。
【0039】
配列番号1:
GGGAGAAGAACCUUCAACACGCGACUACUCGUGAUUGCCCGUUCUGAGCCCAGACGCUCUGCGCU
配列番号2:
GGGAGAAGAACCUUCCACGACCGACUACUGUCAAUGGCCCGUUCUUUGCCCAGACGCUCUGCGCU
配列番号3:
GGGAGAAGAACCUUCAACACGCGACUACUCGUGAUUGCCCGUUCUGAGCCC
配列番号4:
GGAGAACCUUCAACACGCGACUACUCGUGAUUGCCCGUUCUCC
配列番号5:
GGACCUUCAACACGCGACUACUCGUGAUUGCCCGUCC
配列番号7:
GGCCUUCAACACGCGACUACUCGUGAUUGCCCGCC
【0040】
配列番号20:
GACCUUCAACACGCGACUACUCGUGAUUGCCCGUC
配列番号21:
ACCUUCAACACGCGACUACUCGUGAUUGCCCGU
配列番号22:
GGACCUUCAACACGCGGCUACUCGUGAUUGCCCGUCC
配列番号23:
GAACCUUCAACACGCGACUACUCGUGAUUGCCCGUUC
配列番号24:
GACCUUCAACACGCGGCUACUCGUGAUUGCCCGUC
配列番号25:
GGACCUUCAACACGCGAUUACUCGUGAUUGCCCGUCC
配列番号26:
GGACCUUCAACAAGCGAUUACUCUUGAUUGCACGUCC
配列番号27:
GGACCUUCAACCCGCGAUUACUCGGGAUUGCCCGUCC
配列番号28:
GGACCUUCAACCCGCGACUACUCGGGAUUGCCCGUCC
配列番号29:
GGCCCGCCAACACACGAUUACUUGUGAUUGUCCGGCC
【0041】
配列番号31:
GGACCUUCAACGCGCGACUACUCGCGAUUGCCCGUCC
配列番号32:
GGACCGCCAACACACGAUUACUUGUGAUUGCCCGUCC
配列番号33:
GGACCUUCAACCCGCGAUUACUCGGGAUUGCACGUCC
配列番号34:
GGACCGCCAACACACGACUACUUGUGAUUGUCCGUCC
配列番号35:
GGACCUUCAUCACGCGAUUACUCGUGAAUGCCCGUCC
配列番号36:
GGACCGCCAACAAACGAUUACUUUUGAUUGUCCGUCC
配列番号37:
GGACCUUCAACCCGCGGCUACUCGGGAUUGCCCGUCC
配列番号38:
GACCUUCAACCCGCGGCUACUCGGGAUUGCCCGUC
配列番号39:
GGACCGUCAACACGCGACUACUCGUGAUUGCCCGUCC
【0042】
配列番号40:
GGACCUCCAACACGCGACUACUCGUGAUUGCCCGUCC
配列番号41:
GGACCUUCAACACGCGACGACUCGUGAUUGCCCGUCC
配列番号42:
GGACCUUCAACACGCGACUACCCGUGAUUGCCCGUCC
配列番号43:
GGACCUUCAACACGCGACUACUCGUGAUUGCACGUCC
【0043】
特に好ましい一実施態様において、本発明のアプタマーは、配列番号24または38で表される配列を含む。
【0044】
一実施態様において、本発明のアプタマーは、上記のいずれかのアプタマーにおいて、1又は数個のヌクレオチドが置換、欠失、挿入又は付加されたヌクレオチド配列を含み、かつIL-21との結合活性、好ましくは、さらにIL-21とその受容体との結合阻害活性を有するアプタマーである。
【0045】
ここで、上記置換、欠失、挿入又は付加されるヌクレオチド数は、置換、欠失、挿入又は付加後も依然としてIL-21に結合する限り特に限定されないが、例えば1~約10個、好ましくは1~6個、より好ましくは1~5個、さらに好ましくは1~4個、さらに好ましくは1~3個、最も好ましくは1個又は2個であり得る。ヌクレオチドが置換、欠失、挿入又は付加される部位も、置換、欠失、挿入又は付加後も依然としてIL-21に結合する限り特に限定されないが、上記式(1)、(2)および(3)中においては、1~3か所、好ましくは1又は2か所、より好ましくは1か所においてヌクレオチドが置換、欠失、挿入又は付加され得る(但し、式(1)、(2)および(3)中、複数種のヌクレオチドをとり得る部位(即ち、R、Y、KまたはM)においては、選択肢に含まれるヌクレオチド間での置換は含まないものとする)。特に好ましくは、式(1)、(2)および(3)中には、ヌクレオチドの置換、欠失又は挿入は含まれない。一方、それ以外の部位では、より多くのヌクレオチド(例えば、1~約10個、好ましくは1~6個、より好ましくは1~5個、さらに好ましくは1~4個)の置換、欠失、挿入又は付加も許容され得る。
【0046】
本発明のアプタマーはまた、上記いずれかの1種のアプタマーの複数の連結物、上記から選ばれる2種以上のアプタマーを、各々1個以上含む連結物であり得る。これらの連結物も、IL-21に結合し得る。
ここで連結はタンデム結合にて行われ得る。また、連結に際し、リンカーを利用してもよい。リンカーとしては、ヌクレオチド鎖(例、1~約20ヌクレオチド)、非ヌクレオチド鎖(例、-(CH2)n-リンカー、-(CH2CH2O)n-リンカー、ヘキサエチレングリコールリンカー、TEGリンカー、ペプチドを含むリンカー、-S-S-結合を含むリンカー、-CONH-結合を含むリンカー、-OPO3-結合を含むリンカー)が挙げられる。上記複数の連結物における複数とは、2以上であれば特に限定されないが、例えば2個、3個又は4個であり得る。
【0047】
本発明のアプタマーに含まれる各ヌクレオチドはそれぞれ、同一又は異なって、リボース(例、ピリミジンヌクレオチドのリボース、プリンヌクレオチドのリボース)の2’位においてヒドロキシ基を含むヌクレオチド(即ち、天然のリボヌクレオチド)であるか、あるいはリボースの2’位において、ヒドロキシ基が、任意の原子又は基で置換(修飾)されているヌクレオチド(本明細書において、「修飾ヌクレオチド」と記載する場合がある)であり得る。
【0048】
このような任意の原子又は基としては、例えば、水素原子、フッ素原子又は-O-アルキル基(例、-O-Me基)、-O-アシル基(例、-O-CHO基)、アミノ基(例、-NH2基)などが挙げられる。本発明のアプタマーはまた、少なくとも1種(例、1、2、3又は4種)のヌクレオチドが、リボースの2’位において、ヒドロキシ基、又は上述した任意の原子又は基、例えば、水素原子、フッ素原子、-O-Me基からなる群より選ばれる少なくとも2種(例、2、3又は4種)の原子又は基を含み得る。
【0049】
本発明のアプタマーにおいてはまた、全てのピリミジンヌクレオチドが、リボースの2’位がフッ素原子であるヌクレオチドであるか、あるいは該フッ素原子が、同一又は異なって、無置換であるか、上述した任意の原子又は基、好ましくは、水素原子、ヒドロキシ基およびメトキシ基からなる群より選ばれる原子又は基で置換されているヌクレオチドであり得る。特に本発明のアプタマーの製造方法として、T7 Transcription Kit(自社製)を用いた製造方法を適用した場合、ピリミジンヌクレオチドのリボース2’位がフルオロ化したアプタマーが得られる。フッ素原子がその他の上記原子又は基で置換されているアプタマーは、後述の方法で製造することができる。
【0050】
本発明のアプタマーにおいてはまた、全てのプリンヌクレオチドが、リボースの2’位がヒドロキシ基であるヌクレオチドであるか、あるいは該ヒドロキシ基が、同一又は異なって、無置換であるか、上述した任意の原子又は基、好ましくは、水素原子、メトキシ基およびフッ素原子からなる群より選ばれる原子又は基で置換されるヌクレオチドであり得る。ヒドロキシ基がその他の上記原子又は基で置換されているアプタマーは、後述の方法で製造することができる。
【0051】
本発明のアプタマーにおいてはまた、全てのピリミジンヌクレオチドが、リボースの2’位のフッ素原子が上述した任意の原子又は基、例えば、水素原子、ヒドロキシ基および-O-Me基からなる群より選ばれる同一の原子又は基で置換されているヌクレオチドであり得る。
本発明のアプタマーにおいてはまた、全てのプリンヌクレオチドが、リボースの2’位のヒドロキシ基が上述した任意の原子又は基、例えば、水素原子、フッ素原子および-O-Me基からなる群より選ばれる同一の原子又は基で置換されているヌクレオチドであり得る。
【0052】
好ましい実施態様において、本発明のアプタマーに含まれる各ピリミジンヌクレオチドはいずれも、リボースの2’位においてフッ素原子を含むヌクレオチドであり、かつ各プリンヌクレオチドはいずれも、リボースの2’位においてヒドロキシ基を含むヌクレオチドである。別の実施態様において、上記各ピリミジンヌクレオチドのリボースの2’位のフッ素原子は、それぞれ独立して水素原子、ヒドロキシ基およびメトキシ基からなる群より選ばれる原子又は基で置換されていてもよく、かつ上記各プリンヌクレオチドのリボースの2’位のヒドロキシ基は、それぞれ独立して水素原子、メトキシ基およびフッ素原子からなる群より選ばれる原子又は基で置換されていてもよい。
【0053】
尚、本明細書においては、アプタマーを構成するヌクレオチドをRNAと仮定して(すなわち糖基をリボースと仮定して)、ヌクレオチド中の糖基への修飾の態様を説明するが、これは、アプタマーを構成するヌクレオチドからDNAが除外されることを意味するものではなく、適宜DNAへの修飾として読み替えられる。例えば、アプタマーを構成するヌクレオチドがDNAである場合、リボースの2’位のヒドロキシル基のXへの置き換えは、デオキシリボースの2’位の水素原子のXへの置き換えとして読み替えられる。
【0054】
本発明のアプタマーにおいてはまた、ヌクレオチドにおけるリン酸ジエステル結合の1又は数個、例えば、1~2個、1~3個、1~4個、1~5個のヌクレオチドが任意の置換基で修飾もしくは置換されていてもよい。例えば、リン酸ジエステル結合がホスホロチオエート結合、ホスホロジチオエート結合、アルキルホスホネート結合、ホスホロアミデート結合等に置換されていてもよい。ここで、例えば「ヌクレオチドがホスホロチオエート結合に置換されている」とは、隣接するヌクレオチド間の結合部位にあるリン酸基が硫黄化されている、すなわち、ホスホジエステル結合がホスホロチオエート結合に改変されていることを示す。
【0055】
本発明のアプタマーにおいてはまた、アプタマーを安定化し、その活性を向上させる目的で、1又は数個、例えば、1~2個、1~3個、1~4個、1~5個のヌクレオチドが架橋化核酸Bridged Nucleic Acid(BNA)又はLocked Nucleic Acid(LNA)で置換されていてもよい。ここで、「架橋化核酸」とは、核酸の自由度を分子内架橋で拘束することにより、相補配列に対する結合親和性を高め、かつヌクレアーゼ耐性を獲得する構造を持つものをいい、例えば、2’,4’-BNA(LNA)、2’-O,4’-C-ethylene-bridged Nucleic Acid(ENA)などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0056】
本発明のアプタマーは、IL-21に対する結合性、安定性、薬物送達性等を高めるため、各ヌクレオチドの糖残基(例、リボース)が修飾されたものであってもよい。糖残基において修飾される部位としては、例えば、糖残基の2’位、3’位および/又は4’位の酸素原子を他の原子に置き換えたものなどが挙げられる。修飾の種類としては、例えば、フルオロ化、O-アルキル化(例、O-メチル化、O-エチル化)、O-アリル化、S-アルキル化(例、S-メチル化、S-エチル化)、S-アリル化、アミノ化(例、-NH2)が挙げられる。他にも、4’位の酸素を硫黄に置き換えた4’-SRNA、2’位と4’位とをメチレンを介して架橋したLNA(Locked Nucleic Acid)、3’位の水酸基をアミノ基に置き換えた3’-N-ホスホロアミデート核酸などを例として挙げることができる。本発明のアプタマーは、その製造方法からピリミジンヌクレオチドのリボース2’位の酸素原子が一定の修飾をもって製造される場合があり、例えば、T7 Transcription Kit(自社製)を用いた製造方法を適用した場合、好ましくは全てのピリミジンヌクレオチドのリボース2’位がフルオロ化したアプタマーが製造される。したがって、得られたアプタマーに対しその後このような糖残基の改変を加えることで、塩基配列は同じであるが活性が高められた様々なバリエーションのアプタマーを製造することが可能である。以上のことから、本発明のアプタマーは、好ましくは少なくとも一つのヌクレオチドの糖残基が修飾されたアプタマーであり得る。このような糖残基の改変は、自体公知の方法により行うことができる(例えば、Sproat et al.,(1991),Nucl.Acid.Res.19,733-738;Cotton et al.,(1991),Nucl.Acid.Res.19,2629-2635;Hobbs et al.,(1973),Biochemistry 12,5138-5145参照)。具体的には、全てのピリミジンヌクレオチドのリボース2’位の水酸基がフルオロ基に置換されたアプタマーをベースに、リボース2’位における水酸基を、水素原子、ヒドロキシル基およびメトキシ基からなる群より選ばれる原子又は基で置換したアプタマーを製造することができる。
【0057】
好ましい一実施態様において、本発明のアプタマーは、式(1)における1番目のCにおいて、リボース2’位のヒドロキシ基がフルオロ基で置換されている。あるいは/さらに、式(1)における2番目のCにおいて、リボース2’位のヒドロキシ基がフルオロ基で置換されている。また、好ましい一実施態様において、本発明のアプタマーは、式(3):GYMCGにおける4番目のCにおいて、リボース2’位のヒドロキシ基がフルオロ基で置換されている。
【0058】
本発明のアプタマーはまた、IL-21に対する結合性、多量体化の防止、安定性、薬物送達性等を高めるため、核酸塩基(例、プリン、ピリミジン)が改変(例、化学的置換)されたものであってもよい。このような改変としては、例えば、5位ピリミジン改変、6および/又は8位プリン改変、環外アミンでの改変、4-チオウリジンでの置換、5-ブロモ又は5-ヨード-ウラシルでの置換が挙げられる。また、ヌクレアーゼおよび加水分解に対して耐性であるように、本発明のアプタマーに含まれるリン酸基が改変されていてもよい。例えば、P(O)O基が、P(O)S(チオエート)、P(S)S(ジチオエート)、P(O)N(R)R’(アミデート)、P(O)R、P(O)OR、CO又はCH2(ホルムアセタール)又は3’-アミン(-NH-CH2-CH2-)で置換されていてもよい〔ここで各々のR又はR’は独立して、Hであるか、あるいは置換されているか、又は置換されていないアルキル(例、メチル、エチル)である〕。
連結基としては、-O-、-N-又は-S-が例示され、これらの連結基を通じて隣接するヌクレオチドに結合し得る。
改変はまた、キャッピングのような3’および5’の改変を含んでもよい。
【0059】
改変はさらに、ポリエチレングリコール(PEG)、アミノ酸、ペプチド、inverted dT、核酸、ヌクレオシド、Myristoyl、Lithocolic-oleyl、Docosanyl、Lauroyl、Stearoyl、Palmitoyl、Oleoyl、Linoleoyl、その他脂質、ステロイド、コレステロール、カフェイン、ビタミン、色素、蛍光物質、抗癌剤、毒素、酵素、放射性物質、ビオチンなどを末端に付加することにより行われ得る。このような改変については、例えば、米国特許第5,660,985号、同第5,756,703号を参照のこと。
【0060】
特に、改変がPEGの末端付加によって行われる場合、PEGの分子量は特に限定されないが、好ましくは1000~100000、より好ましくは30000~90000である。PEGは、直鎖状であってもよいし、二つ以上の鎖に分岐したもの(マルチアームPEG)であってもよい。PEGの末端付加は後述するアプタマーの多量体化の防止に有用である。
このようなPEGとしては特に限定されず、当業者であれば市販あるいは公知のPEGを適宜選択して用いることができる(例えば、http://www.peg-drug.com/peg_product/branched.htmlを参照のこと)が、本発明のアプタマーに適用するPEGの好適例として具体的には、分子量40000の2分岐AS型(官能基:-CH2-COO-NHS)PEG(Y-NHS-40K Jenkem製)、分子量40000の2分岐GS型(官能基:-CO-(CH2)3-COO-NHS)PEG(SUNBRIGHT GL2-400GS 日油製)、分子量40000の2分岐TS型(活性基:-COO-NHS)PEG(SUNBRIGHT GL2-400TS 日油製)、分子量40000の4分岐TS型PEG(SUNBRIGHT GL4-400TS 日油製)、分子量80000の2分岐TS型PEG(SUNBRIGHT GL2-800TS 日油製)、又は分子量80000の4分岐TS型PEG(SUNBRIGHT GL4-800TS 日油製)などが挙げられる。
【0061】
この場合、本発明のアプタマーは、PEGが末端に直接付加されていてもよいが、その末端にPEGと結合可能な基を有するリンカーなどが付加され、それを介してPEGを本発明のアプタマーに付加することがより好ましい。
【0062】
PEGと本発明に用いられるアプタマーのリンカーとしては特に限定されず、炭素鎖数や官能基などを結合部位やPEGの種類などに応じて適宜選択することができる。このようなリンカーとしては、例えばアミノ基を有するリンカーが挙げられ、具体的には、5’末端に付加する場合は、ssH Linker(SAFC)又はDMS(O)MT-AMINO-MODIFIER(GLENRESEARCH)が、3’末端に付加する場合は、TFA Amino C-6 lcaa CPG(ChemGenes)などが例示される。このリンカーを選択した場合、PEGには、例えばN-hydroxysuccinimideの活性基を付加した上で、これをリンカー側のアミノ基と反応させることで、本発明に用いられるアプタマーとPEGとをリンカーを介して結合することができる。
【0063】
なおPEGやリンカーとしては、市販のものを好ましく用いることができる。またPEG、リンカーおよび本発明に用いられるアプタマーの結合に関する反応条件などは、当業者であれば適宜設定することが可能である。
【0064】
本発明のアプタマーは、本明細書中の開示および当該技術分野における自体公知の方法により化学合成することができる。アプタマーは、リン酸基の負電荷を利用したイオン結合、リボースを利用した疎水結合および水素結合、核酸塩基を利用した水素結合やスタッキング結合など多様な結合様式により標的物質と結合する。特に、構成ヌクレオチドの数だけ存在するリン酸基の負電荷を利用したイオン結合は強く、タンパク質の表面に存在するリジンやアルギニンの正電荷と結合する。このため、標的物質との直接的な結合に関わっていない核酸塩基は置換することができる。特に、ステム構造の部分は既に塩基対が作られており、また、二重らせん構造の内側を向いているので、核酸塩基は、標的物質と直接結合し難い。従って、塩基対を他の塩基対に置換してもアプタマーの活性は減少しない場合が多い。ループ構造など塩基対を作っていない構造においても、核酸塩基が標的分子との直接的な結合に関与していない場合に、塩基の置換が可能である。リボースの2’位の修飾に関しては、まれにリボースの2’位の官能基が標的分子と直接的に相互作用していることがあるが、多くの場合無関係であり、他の修飾分子に置換可能である。このようにアプタマーは、標的分子との直接的な結合に関与している官能基を置換又は削除しない限り、その活性を保持していることが多い。また、全体の立体構造が大きく変わらないことも重要である。
【0065】
アプタマーは、SELEX法およびその改良法(例えば、Ellington et al.,(1990),Nature,346,818-822;Tuerk et al.,(1990),Science,249,505-510)を利用することで作製することができる。SELEX法ではラウンド数を増やしたり、競合物質を使用したりすることで、標的物質に対してより結合力の強いアプタマーが濃縮され、選別されてくる。よって、SELEXのラウンド数を調節したり、および/又は競合状態を変化させたりすることで、結合力が異なるアプタマー、結合形態が異なるアプタマー、結合力や結合形態は同じであるが塩基配列が異なるアプタマーを得ることができる場合がある。また、SELEX法にはPCRによる増幅過程が含まれるが、その過程でマンガンイオンを使用するなどして変異を入れることで、より多様性に富んだSELEXを行うことが可能となる。
【0066】
SELEXで得られるアプタマーは標的物質に対して親和性が高い核酸であるが、そのことは必ずしも、それらのアプタマーが標的物質の活性部位に結合することを意味しない。従って、SELEXで得られるアプタマーは必ずしも標的物質の機能に作用するとは限らない。活性部位に結合しないアプタマーはその標的物質の活性に影響を及ぼさない可能性がある。例えば、BINKLEY et al. Nucleic Acids Res. 23(16):3198-3205 (1995)には、SELEXで得られた神経増殖因子(NGF)に結合する数種のアプタマーが開示されているが、それらの中でもNGFに対する親和性の高い3種のアプタマーについて、NGFとNGF受容体との結合阻害活性を試験したところ、いずれのアプタマーもNGFとNGF受容体との結合を阻害しなかった(WO2010/0357259)。このことは、たとえSELEX法によってIL-21に結合するアプタマーが得られたとしても、IL-21とIL-21受容体との結合を阻害して該受容体を介したシグナル伝達を抑制する活性を有するアプタマーを取得するためには、SELEXの種々の条件について好適な組み合わせを見つけ出さなければならず、試行錯誤を要することを意味する。尚、SELEXで得られたIL-21に対するアプタマーが、IL-21の活性(例、IL-21受容体との結合活性、IFN-γの分泌誘導活性等)を阻害するか否かは、例えば、後記実施例に記載の各種アッセイ法を用いて検証することができる。
【0067】
このようにして選ばれた活性のあるアプタマーは、最適化SELEXを行うことで、更に高性能化することが可能である。最適化SELEXとは、ある配列が決まっているアプタマーの一部をランダム配列にしたテンプレートや10~30%程度のランダム配列をドープしたテンプレートを作製して、再度SELEXを行うものである。
【0068】
SELEXで得られるアプタマーは80ヌクレオチド程度の長さがあり、これをそのまま医薬にすることは難しい。そこで、試行錯誤を繰り返し、容易に化学合成ができる長さ(例えば、化学合成ができるのは約60ヌクレオチド以下であり、より好ましくは約50ヌクレオチド程度以下、さらに好ましくは45ヌクレオチド以下)まで短くすることが好ましい。
SELEXで得られるアプタマーはそのプライマー設計に依存して、その後の最小化作業のしやすさが変わる。うまくプライマーを設計しないと、SELEXによって活性のあるアプタマーが選別できたとしても、その後の開発が不可能となる。
【0069】
アプタマーは化学合成が可能であるので改変が容易である。アプタマーはMFOLDプログラムを用いて二次構造を予測したり、X線解析やNMR解析によって立体構造を予測したりすることで、どのヌクレオチドを置換又は欠損することが可能か、また、どこに新たなヌクレオチドを挿入可能かある程度予測することができる。予測された新しい配列のアプタマーは容易に化学合成することができ、そのアプタマーが活性を保持しているかどうかを既存のアッセイ系により確認することができる。
【0070】
得られたアプタマーの標的物質との結合に重要な部分が、上記のような試行錯誤を繰り返すことにより特定できた場合、その配列の両端に新しい配列を付加しても、多くの場合活性は変化しない。そして、新しい配列の長さは特に限定されるものではない。
【0071】
さらに、既に述べたように、修飾に関しても配列と同様に高度に設計又は改変可能である。
【0072】
以上のように、アプタマーは高度に設計又は改変可能である。本発明はまた、所定の配列(例、ステム部分、インターナルループ部分、ヘアピンループ部分および一本鎖部分から選ばれる部分に対応する配列:以下、必要に応じて固定配列と省略する)を含むアプタマーを高度に設計又は改変可能である、アプタマーの製造方法を提供する。
【0073】
例えば、このようなアプタマーの製造方法は、下記:
【0074】
【0075】
〔上記において、(N)aはa個のNからなるヌクレオチド鎖を示し、(N)bは、b個のNからなるヌクレオチド鎖を示し、Nはそれぞれ、同一又は異なって、A、G、C、UおよびT(好ましくは、A、G、CおよびU)からなる群より選ばれるヌクレオチドである。a、bはそれぞれ、同一又は異なって、任意の数であり得るが、例えば1~約100、好ましくは1~約50、より好ましくは1~約30、さらにより好ましくは1~約20又は1~約10であり得る〕で表されるヌクレオチド配列からなる単一種の核酸分子又は複数種の核酸分子(例、a、bの数等が異なる核酸分子のライブラリー)、およびプライマー用配列(i)、(ii)にそれぞれ対応するプライマー対を用いて、固定配列を含むアプタマーを製造することを含む。
【0076】
本発明はまた、本発明のアプタマーおよびそれに結合した機能性物質を含む複合体を提供する。本発明の複合体におけるアプタマーと機能性物質との間の結合は、共有結合、又は非共有結合であり得る。本発明の複合体は、本発明のアプタマーと1以上(例、2又は3個)の同種又は異種の機能性物質とが結合したものであり得る。機能性物質は、本発明のアプタマーに何らかの機能を新たに付加するもの、あるいは本発明のアプタマーが保持し得る何らかの特性を変化(例、向上)させ得るものである限り特に限定されない。機能性物質としては、例えば、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質、糖質、単糖、ポリヌクレオチド、ヌクレオチドが挙げられる。機能性物質としてはまた、例えば、親和性物質(例、ビオチン、ストレプトアビジン、標的相補配列に対して親和性を有するポリヌクレオチド、抗体、グルタチオンセファロース、ヒスチジン)、標識用物質(例、蛍光物質、発光物質、放射性同位体)、酵素(例、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ)、薬物送達媒体(例、リポソーム、ミクロスフェア、ペプチド、ポリエチレングリコール類)、薬物(例、カリケアマイシンやデュオカルマイシンなどミサイル療法に使用されているもの、シクロフォスファミド、メルファラン、イホスファミド又はトロホスファミドなどのナイトロジェンマスタード類似体、チオテパなどのエチレンイミン類、カルムスチンなどのニトロソ尿素、テモゾロミド又はダカルバジンなどのアルキル化剤、メトトレキセート又はラルチトレキセドなどの葉酸類似代謝拮抗剤、チオグアニン、クラドリビン又はフルダラビンなどのプリン類似体、フルオロウラシル、テガフール又はゲムシタビンなどのピリミジン類似体、ビンブラスチン、ビンクリスチン又はビンオレルビンなどのビンカアルカロイドおよびその類似体、エトポシド、タキサン、ドセタキセル又はパクリタキセルなどのポドフィロトキシン誘導体、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシンおよびミトキサントロンなどのアントラサイクリン類および類似体、ブレオマイシンおよびミトマイシンなどの他の細胞毒性抗生物質、シスプラチン、カルボプラチンおよびオキザリプラチンなどの白金化合物、ペントスタチン、ミルテフォシン、エストラムスチン、トポテカン、イリノテカンおよびビカルタミド)、毒素(例、リシン毒素、リア毒素およびベロ毒素)が挙げられる。これらの機能性分子は最終的に取り除かれる場合がある。更に、トロンビンやマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)、FactorXなどの酵素が認識して切断することができるペプチド、ヌクレアーゼや制限酵素が切断できるポリヌクレオチドであってもよい。
【0077】
本発明のアプタマー又は複合体は、例えば、医薬又は診断薬、検査薬、試薬として使用され得る。特に、肺高血圧症の治療用又は予防用の医薬、あるいは診断薬、検査薬、試薬として有用である。
【0078】
本発明の医薬は、医薬上許容される担体が配合されたものであり得る。医薬上許容される担体としては、例えば、ショ糖、デンプン、マンニット、ソルビット、乳糖、グルコース、セルロース、タルク、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等の賦形剤、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリプロピルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、ショ糖、デンプン等の結合剤、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ナトリウム-グリコール-スターチ、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウム等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、エアロジル、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム等の滑剤、クエン酸、メントール、グリシルリシン・アンモニウム塩、グリシン、オレンジ粉等の芳香剤、安息香酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン等の保存剤、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸等の安定剤、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸アルミニウム等の懸濁剤、界面活性剤等の分散剤、水、生理食塩水、オレンジジュース等の希釈剤、カカオ脂、ポリエチレングリコール、白灯油等のベースワックスなどが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0079】
経口投与に好適な製剤は、水、生理食塩水、オレンジジュースのような希釈液に有効量のリガンドを溶解させた液剤、有効量のリガンドを固体や顆粒として含んでいるカプセル剤、サッシェ剤又は錠剤、適当な分散媒中に有効量の有効成分を懸濁させた懸濁液剤、有効量の有効成分を溶解させた溶液を適当な分散媒中に分散させ乳化させた乳剤等である。
【0080】
また、本発明の医薬は必要により、味のマスキング、腸溶性あるいは持続性などの目的のため、自体公知の方法でコーティングすることができる。コーティングに用いられるコーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、ツイーン80、プルロニックF68、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、オイドラギット(ローム社製、ドイツ,メタアクリル酸・アクリル酸共重合体)および色素(例、ベンガラ、二酸化チタンなど)などが用いられる。当該医薬は、速放性製剤、徐放性製剤のいずれであってもよい。徐放性製剤の基材としては、例えば、リポソーム、アテロコラーゲン、ゼラチン、ヒドロキシアパタイト、PLGAなどが挙げられる。
【0081】
非経口的な投与(例えば、静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、局所投与、腹腔内投与、経鼻投与、経肺投与など)に好適な製剤としては、水性および非水性の等張な無菌の注射液剤があり、これには抗酸化剤、緩衝液、制菌剤、等張化剤等が含まれていてもよい。また、水性および非水性の無菌の懸濁液剤が挙げられ、これには懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、防腐剤等が含まれていてもよい。当該製剤は、アンプルやバイアルのように単位投与量あるいは複数回投与量ずつ容器に封入することができる。また、有効成分および医薬上許容される担体を凍結乾燥し、使用直前に適当な無菌の溶媒に溶解又は懸濁すればよい状態で保存することもできる。更に注射液剤以外にも、吸入剤、軟膏剤も可能である。吸入剤の場合、凍結乾燥状態の有効成分を微細化し適当な吸入デバイスを用いて吸入投与する。吸入剤には、更に必要に応じて従来使用されている界面活性剤、油、調味料、シクロデキストリン又はその誘導体等を適宜配合することができる。
【0082】
ここで界面活性剤としては、例えばオレイン酸、レシチン、ジエチレングリコールジオレエート、テトラヒドロフルフリルオレエート、エチルオレエート、イソプロピルミリステート、グリセリルトリオレエート、グリセリルモノラウレート、グリセリルモノオレエート、グリセリルモノステアレート、グリセリルモノリシノエート、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール400、セチルピリジニウムクロリド、ソルビタントリオレエート(商品名Span(スパン)85)、ソルビタンモノオレエート(商品名Span(スパン)80)、ソルビタンモノラウエート(商品名Span(スパン)20)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名HCO-60)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(商品名Tween(ツイーン)20)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(商品名Tween(ツイーン)80)、天然資源由来のレシチン(商品名Epiclon(エピクロン))、オレイルポリオキシエチレン(2)エーテル(商品名Brij(ブリジ)92)、ステアリルポリオキシエチレン(2)エーテル(商品名Brij(ブリジ)72)、ラウリルポリオキシエチレン(4)エーテル(商品名Brij(ブリジ)30)、オレイルポリオキシエチレン(2)エーテル(商品名Genapol(ゲナポル)0-020)、オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック共重合体(商品名Synperonic(シンペロニック))等が挙げられる。Span(スパン)、Tween(ツイーン)、Epiclon(エピクロン)、Brij(ブリジ)、Genapol(ゲナポル)およびSynperonic(シンペロニック)は商標である。
油としては、例えばトウモロコシ油、オリーブ油、綿実油、ヒマワリ油等が挙げられる。また、軟膏剤の場合、適当な医薬上許容される基剤(黄色ワセリン、白色ワセリン、パラフィン、プラスチベース、シリコーン、白色軟膏、ミツロウ、豚油、植物油、親水軟膏、親水ワセリン、精製ラノリン、加水ラノリン、吸水軟膏、親水プラスチベース、マクロゴール軟膏等)を用い、有効成分と混合し製剤化し使用する。
【0083】
吸入剤は常法に従って製造することができる。すなわち、上記本発明のアプタマー又は複合体を粉末又は液状にして、吸入噴射剤および/又は担体中に配合し、適当な吸入容器に充填することにより製造することができる。また上記本発明のアプタマー又は複合体が粉末の場合は通常の機械的粉末吸入器を、液状の場合はネブライザー等の吸入器をそれぞれ使用することもできる。ここで噴射剤としては従来公知のものを広く使用でき、フロン-11、フロン-12、フロン-21、フロン-22、フロン-113、フロン-114、フロン-123、フロン-142c、フロン-134a、フロン-227、フロン-C318、1,1,1,2-テトラフルオロエタン等のフロン系化合物、プロパン、イソブタン、n-ブタン等の炭化水素類、ジエチルエーテル等のエーテル類、窒素ガス、炭酸ガス等の圧縮ガス等を例示できる。
【0084】
本発明の医薬を上記疾患の予防および治療用医薬として用いる場合、本発明の医薬は病変部位に直接投与するだけでなく、上記した他の方法によっても投与することができる。
本発明のアプタマーは1本鎖の核酸であるため、相補配列を含むヌクレオチドの投与による解毒も可能であり、投与後の動態制御が困難な中和抗体より安全性の高い医薬品となる可能性が高い。これは、抗体医薬治療などで起こりうる、体内における抗体の長い滞留時間に起因する感染症の問題を鑑みても極めて有利な点と言える。特に本発明の医薬を上記疾患の予防又は治療用医薬として用いる場合、疾患の重篤性と副作用のリスクとを考えると、体内動態を制御しやすいアプタマーを利用する方がより高い安全性を有する医薬を得られることは明白である。
【0085】
本発明の医薬の投与量は、有効成分の種類・活性、病気の重篤度、投与対象となる動物種、投与対象の薬物受容性、体重、年齢等によって異なるが、通常、成人1日あたり有効成分量として約0.0001~約100mg/kg、例えば約0.0001~約10mg/kg、好ましくは約0.005~約1mg/kgであり得る。
【0086】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0087】
実施例1:ヒトIL-21に特異的に結合するRNAアプタマーの作製(1)
ヒトIL-21に特異的に結合するRNAアプタマーはSELEX法を用いて作製した。SELEXはEllingtonらの方法(Ellington and Szostak, Nature 346, 818-822, 1990)およびTuerkらの方法(Tuerk and Gold, Science 249, 505-510, 1990)を参考にして行った。標的物質としてヒトIL-21(PeproTech社製)ならびにマウスIL-21(PeproTech社製)を用いた。ヒトIL-21およびマウスIL-21をそれぞれ別々にNHS-activated Sepharose 4 Fast Flow(GEヘルスケア社製)の担体に固相化した。担体へのIL-21の固相化方法はGEヘルスケア社の仕様書に沿って行った。固相化量は、固相化前のIL-21溶液と固相化直後の上清をSDS-PAGEにより調べることで確認した。SDS-PAGEの結果、上清からはIL-21のバンドは検出されず、使用したIL-21のほぼ全てが固相化されたことが確認された。
最初のラウンドで用いたRNA(35N)は、化学合成によって得られたDNA鋳型をFwdプライマーを用いて2本鎖にし、T7 Transcription Kit(自社製)を用いて転写して得た。この方法によって得られたRNAはピリミジンヌクレオチドのリボースの2’位がフルオロ化されたものである。DNA鋳型としては、以下に示す35ヌクレオチドのランダム配列の両端にプライマー配列を持った長さ84ヌクレオチドのDNAを用いた。DNA鋳型とプライマーは化学合成によって作製した。
【0088】
DNA鋳型:5’-AGCGCAGAGCGTCTGNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNGAAGGTTCTTCTCCCTATAGTGAGTCGTATTAGG-3’(配列番号46)
プライマーFwd:5’-CCTAATACGACTCACTATAGGGAGAAGAACCTTC-3’(配列番号47)
プライマーRev:5’-AGCGCAGAGCGTCTG-3’(配列番号48)
【0089】
DNA鋳型(配列番号46)中のNの連続は任意の組み合わせの35個のヌクレオチド(35N:それぞれのNは、A,C,G又はTである)であり、得られるアプタマー独特の配列領域を生じる。プライマーFwdはT7 RNAポリメラーゼのプロモーター配列を含んでいる。
最初のラウンドではヒトIL-21とマウスIL-21がそれぞれ固相化してある担体を混合して使用し、その後は2ラウンドずつ交互に使用してSELEXを実施した。IL-21が固相化された担体にRNAプールを加え、20分間37℃でゆっくりと攪拌しながら保持した後、IL-21に結合しないRNAを取り除くために、溶液Aで樹脂を洗浄した。ここで、溶液Aは145mM 塩化ナトリウム、5.4mM 塩化カリウム、1.8mM 塩化カルシウム、0.8mM 塩化マグネシウム、20mM トリス(pH7.6)、0.05% Tween20の混合溶液である。IL-21に結合したRNAは、溶出液として6M Ureaを加えて85℃で2分間熱処理を行い、その上清から回収した。回収されたRNAは逆転写PCRで増幅し、T7 Transcription Kitで転写して次のラウンドのプールとして用いた。以上を1ラウンドとし、同様の作業を複数回繰り返し行った。5ラウンド以降は、樹脂へ弱く結合しているRNAも取り除くために、溶液A’(溶液Aの145mM 塩化ナトリウムを295mM 塩化ナトリウムに変更した溶液)で樹脂を洗浄した。SELEX終了後、次世代シーケンサーを用いて塩基配列の解析を行った。次世代シーケンサーには、Ion PGMTMシステム(Thermo社製)を用い、解析はThermo社の仕様書に沿って行った。
【0090】
SELEXを9ラウンド実施した後、次世代シーケンサーによって44,423のクローン配列を特定し、32,891種類の配列に収束していることを確認した。それらのクローンの一部の配列を配列番号1~2に示す。配列番号1で表される配列は182配列存在した。配列番号2で表される配列は69配列存在した。配列番号1と2に存在する共通配列をそれぞれの配列中に下線で示す。なお、各末端の15塩基はプライマー領域のため配列が共通している。
以下にそれぞれのヌクレオチド配列を示す。特に言及がなければ、以下に挙げられる個々の配列は5’から3’の方向で表すものとし、プリン塩基(AおよびG)は2’-OH体であり、ピリミジン塩基(UおよびC)は2’-フルオロ修飾体である。また両配列番号で表されるアプタマーの二次構造予測を
図1に示す。当該二次構造は、MFOLDプログラム(M. Zukker, Nucleic Acids Res. 31 (13), 3406-3415, 2003)を用いて予測した(
図4~6についても同様)。
【0091】
配列番号1:
GGGAGAAGAACCUUCAACACGCGACUACUCGUGAUUGCCCGUUCUGAGCCCAGACGCUCUGCGCU
配列番号2:
GGGAGAAGAACCUUCCACGACCGACUACUGUCAAUGGCCCGUUCUUUGCCCAGACGCUCUGCGCU
【0092】
配列番号1と2で表されるアプタマーのヒトIL-21に対する結合活性を表面プラズモン共鳴法により評価した。測定にはGEヘルスケア社製のBiacore T200を用いた。センサーチップにはCM基を導入したデキストランが固定化されているCM4チップを用いた。これに、リガンドであるヒトIL-21を1000RU程度固定化した。アナライトとなるRNAは溶液Aを用いて0.1μMに調製し、流速20μL/minで60秒間インジェクトした。ランニングバッファーにも溶液Aを用いた。
測定の結果、配列番号1と2で表されるアプタマーはヒトIL-21に結合することが判った。これらのアプタマーがヒトIL-21に結合する様子を示すセンサーグラムを
図2に示す。ネガティブコントロールとして用いたヌクレオチド配列(非ヒトIL-21アプタマー、51mer(GGGAAGCUCCGUCGAGCUUUCCUGCAUAAGCUGUAUUGCAGCCAGCAUUUA;配列番号49))はヒトIL-21との結合が認められなかった。以上のことから、配列番号1と2で表されるアプタマーが配列特異的にヒトIL-21に結合していることが示された。
【0093】
配列番号1で表されるアプタマーがヒトIL-21とその受容体IL-21Rとの結合を阻害するかどうか、表面プラズモン共鳴法により評価した。測定にはGEヘルスケア社製のBiacore T200を用いた。センサーチップにはCM基を導入したデキストランが固定化されているCM5チップを用いて、これにProtein A(Pierce社製)を1500RU程度固定化した。リガンドとなるヒトIL-21R/Fcキメラタンパク質(R&D systems社製)を溶液Aで0.1μMに調製し、流速10μL/minで60秒間インジェクトして、700RU程度固定化した。ここに0.02μMに調製したヒトIL-21を流速10μL/minで30秒間インジェクトすると、35RU程度の結合が見られる。この結合がアプタマーによって阻害されるかを評価するため、ヒトIL-21とアプタマーを混合した溶液を同条件でインジェクトした。該混合溶液は、溶液中のヒトIL-21濃度が0.02μM、アプタマー濃度が0.2μMとなるよう、溶液Aで調製した。ランニングバッファーにも溶液Aを用いた。
【0094】
測定により得られたセンサーグラムを
図3に示す。ヒトIL-21と配列番号1の混合溶液では受容体IL-21Rに対する結合が見られず、配列番号1で表されるアプタマーがヒトIL-21とIL-21Rとの結合を阻害することが示された。
【0095】
配列番号1と2で表されるアプタマーが、細胞評価系のような血液中の環境を模した条件でもヒトIL-21の機能を阻害するかどうか、下記の細胞評価系を用いて評価した。ヒトNK(ナチュラルキラー)様細胞株のNK92細胞(American Type Culture Collection社より購入)は、ヒトIL-21の刺激によりサイトカインの一種であるインターフェロン-γ(IFN-γ)を分泌する。NK92細胞を添付の仕様書に従って数日間培養した後、標準培地からIL-2(ロシュ社製)を抜いた培地を使用して細胞を継代した。これは、IL-2によるIFN-γ分泌を抑制するためである。
一晩培養した後、同様の培地を用いて試験用に1ウェルあたり2x104細胞ずつに播種した。そこに、ヒトIL-21のみ、もしくはヒトIL-21とアプタマーを混合した溶液を添加して、16時間培養した。ヒトIL-21の最終濃度は0.05nMとなるよう調製した。16時間後に培養上清を回収して、上清中に含まれるIFN-γをサンドウィッチELISA法により定量した。定量にはR&D systems社製またはDiaclone社製のELISA Kitを用いた。定量後、下記の式を用いて阻害率を算出した。
【0096】
阻害率(%)=(CIL-21-Capt)/(CIL-21-C0)x100
【0097】
ここで、CIL-21はヒトIL-21のみを添加した際の単位容量あたりのIFN-γ濃度であり、CaptはヒトIL-21とアプタマーの同時添加時のIFN-γ濃度、C0はヒトIL-21非添加時のIFN-γ濃度である。
【0098】
試験の結果、配列番号1と2で表されるアプタマーはいずれも、ヒトIL-21刺激によるNK92細胞からのIFN-γ分泌を阻害することが判った。ネガティブコントロールとして用いた72塩基のヌクレオチド配列(非ヒトIL-21アプタマー、72merGGGAAGCUCCGUCGAGCUUUCCUGCAUAAGCUGUAUUGCAGCCAGCAUUUAUUGUACGCCUGCGUAGCUCCU;(配列番号50))は阻害活性を示さなかった(阻害率-7.5%)。
【0099】
以上の配列番号1と2で表されるアプタマーの評価結果を、表1にまとめて示す。表1中、結合の“++”は、CM4チップへ固定化されたヒトIL-21に対するアプタマーの結合量(RU値)が100以上であることを表す。また、“n.d.”は未測定を表す。
【0100】
【0101】
配列番号1と2で表されるアプタマーは、ヒトIL-21に結合してその受容体IL-21Rとの作用を阻害する。その効果は細胞評価系のような血液中の環境を模した条件でも発揮され、ヒトIL-21を阻害する優れたアプタマーであることが示された。
【0102】
実施例2:アプタマーの短鎖化(1)
図1で得られた二次構造予測から、配列番号1で表されるアプタマーの短鎖化を行った。短鎖化により作製したアプタマーのヌクレオチド配列を以下に配列番号3~19として示す。各配列における下線は共通配列(5’末端側から順に、式(2)、式(1)および式(3)に対応する(配列番号6における下線は式(1)に対応する))を示す。
特に言及がなければ、以下に挙げる個々の配列は、5’から3’の方向に表すものとし、プリン塩基(AおよびG)は2’-OH体であり、ピリミジン塩基(UおよびC)は2’-フルオロ修飾体である。
【0103】
配列番号3(配列番号1で表される配列を、51ヌクレオチドの長さに短鎖化した配列):
GGGAGAAGAACCUUCAACACGCGACUACUCGUGAUUGCCCGUUCUGAGCCC
配列番号4(配列番号1で表される配列を、43ヌクレオチドの長さに短鎖化した配列):
GGAGAACCUUCAACACGCGACUACUCGUGAUUGCCCGUUCUCC
配列番号5(配列番号1で表される配列を、37ヌクレオチドの長さに短鎖化した配列):
GGACCUUCAACACGCGACUACUCGUGAUUGCCCGUCC
【0104】
配列番号6(配列番号1で表される配列を、27ヌクレオチドの長さに短鎖化した配列):
GGCAACACGCGACUACUCGUGAUUGCC
配列番号7(配列番号5で表される配列の3番目と35番目の塩基からなるAU塩基対を欠失させて、35ヌクレオチドの長さに短鎖化した配列):
GGCCUUCAACACGCGACUACUCGUGAUUGCCCGCC
配列番号8(配列番号7で表される配列の3番目と33番目の塩基からなるCG塩基対(共通配列中の塩基)をAU塩基対に置換した、35ヌクレオチドの配列):
GGACUUCAACACGCGACUACUCGUGAUUGCCCUCC
配列番号9(配列番号5で表される配列の5番目のC(共通配列中の塩基)を欠失させて、36ヌクレオチドの長さに短鎖化した配列):
GGACUUCAACACGCGACUACUCGUGAUUGCCCGUCC
配列番号10(配列番号5で表される配列の6番目のU(共通配列中の塩基)を欠失させて、36ヌクレオチドの長さに短鎖化した配列):
GGACCUCAACACGCGACUACUCGUGAUUGCCCGUCC
【0105】
配列番号11(配列番号5で表される配列の15番目のC(共通配列中の塩基)を欠失させて、36ヌクレオチドの長さに短鎖化した配列):
GGACCUUCAACACGGACUACUCGUGAUUGCCCGUCC
配列番号12(配列番号5で表される配列の16番目のG(共通配列中の塩基)を欠失させて、36ヌクレオチドの長さに短鎖化した配列):
GGACCUUCAACACGCACUACUCGUGAUUGCCCGUCC
配列番号13(配列番号5で表される配列の17番目のA(共通配列中の塩基)を欠失させて、36ヌクレオチドの長さに短鎖化した配列):
GGACCUUCAACACGCGCUACUCGUGAUUGCCCGUCC
配列番号14(配列番号5で表される配列の18番目のC(共通配列中の塩基)を欠失させて、36ヌクレオチドの長さに短鎖化した配列):
GGACCUUCAACACGCGAUACUCGUGAUUGCCCGUCC
配列番号15(配列番号5で表される配列の19番目のU(共通配列中の塩基)を欠失させて、36ヌクレオチドの長さに短鎖化した配列):
GGACCUUCAACACGCGACACUCGUGAUUGCCCGUCC
【0106】
配列番号16(配列番号5で表される配列の20番目のA(共通配列中の塩基)を欠失させて、36ヌクレオチドの長さに短鎖化した配列):
GGACCUUCAACACGCGACUCUCGUGAUUGCCCGUCC
配列番号17(配列番号5で表される配列の21番目のC(共通配列中の塩基)を欠失させて、36ヌクレオチドの長さに短鎖化した配列):
GGACCUUCAACACGCGACUAUCGUGAUUGCCCGUCC
配列番号18(配列番号5で表される配列の22番目のU(共通配列中の塩基)を欠失させて、36ヌクレオチドの長さに短鎖化した配列):
GGACCUUCAACACGCGACUACCGUGAUUGCCCGUCC
配列番号19(配列番号5で表される配列の31番目のC(共通配列中の塩基)を欠失させて、36ヌクレオチドの長さに短鎖化した配列):
GGACCUUCAACACGCGACUACUCGUGAUUGCCGUCC
【0107】
これらのアプタマーがヒトIL-21に結合してその機能を阻害するか、実施例1と同様の方法で評価した。アプタマーは、二本鎖DNAを鋳型として転写により得た。その結果を表2に示す。表中、Biacoreでの結合活性における“++”は結合量(RU値)が100以上、“+”は結合量が20以上で100未満、“-”は結合量が20未満であることを表す。阻害活性の“+”は細胞評価系における阻害率(%)において濃度10nMのアプタマーで20%以上阻害したことを示し、基準に満たないものを“-”で示す。また、“n.d.”は未測定を表す。
【0108】
【0109】
細胞評価系で阻害活性を示した配列番号3~5および7で表されるアプタマーの二次構造予測を
図4に示す。これらの結果から、配列番号1で表されるアプタマーから末端側を欠失させて37塩基まで短鎖化しても、活性を維持できることが判った。加えて、配列番号7で表されるアプタマーの結果から、配列番号5で表される37塩基のアプタマーからは3番目と35番目からなるAU塩基対の欠失により35塩基まで短鎖化可能であることが示された。
一方、配列番号8で表されるアプタマーの結果から、共通配列中の塩基同士からなるCG塩基対をAU塩基対に置換すると、活性が大幅に低下することが示された。さらに、共通配列中の塩基を一塩基ずつ欠失させた配列番号9~19で表されるアプタマーの結果から、共通配列部分は一塩基でも欠失すると阻害活性が大幅に低下することが示された。したがって、本実施例から共通配列部分の重要性が示された。
【0110】
実施例3:アプタマーの改変と末端修飾の検討(1)
配列番号4で表されるアプタマー(ピリミジンヌクレオチドのリボースの2’位はフルオロ化されている)のヌクレアーゼ耐性を高めるために、3’末端へidTを付加して、2’-O-メチル基を導入した改変体を作製した。改変を施した配列を配列番号4(1)~4(13)に示す。
また、アプタマーの5’末端への修飾が可能か調べるため、配列番号4と5および5をさらに短鎖化した配列の5’末端にPEGを付加した修飾体を作製した。これらを配列番号4(14)、5(1)、20、21に示す。
【0111】
以下に配列番号4(1)~4(14)、5(1)、20、21で表されるアプタマーそれぞれのヌクレオチド配列を修飾と共に示す。特に言及がなければ、以下に挙げられる個々の配列は、5’から3’の方向で表すものとし、大文字はRNAを示す。ヌクレオチドにおける括弧はリボースの2’位の修飾を示し、Fはフッ素原子、MはO-メチル基を示す。配列末端におけるidTはinverted-dTによる修飾を示し、PEGは40kDaの分岐型ポリエチレングリコールによる修飾を示す。また各配列における下線は共通配列(5’末端側から順に、式(2)、式(1)および式(3)に対応する)を示し、[ ]は2’-O-メチル修飾の導入など、その配列番号において修飾や変異を導入した塩基を示す。
【0112】
配列番号4(1)(配列番号4で表される配列の3’末端にidTを付加した配列):
GGAGAAC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)AAC(F)AC(F)GC(F)GAC(F)U(F)AC(F)U(F)C(F)GU(F)GAU(F)U(F)GC(F)C(F)C(F)GU(F)U(F)C(F)U(F)C(F)C(F)-idT
配列番号4(2)(配列番号4で表される配列の一か所に2’-O-メチル修飾を導入し、3’末端にidTを付加した配列):
GGAGAAC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)[A(M)]AC(F)AC(F)GC(F)GAC(F)U(F)AC(F)U(F)C(F)GU(F)GAU(F)U(F)GC(F)C(F)C(F)GU(F)U(F)C(F)U(F)C(F)C(F)-idT
配列番号4(3)(配列番号4で表される配列の一か所に2’-O-メチル修飾を導入し、3’末端にidTを付加した配列):
GGAGAAC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)A[A(M)]C(F)AC(F)GC(F)GAC(F)U(F)AC(F)U(F)C(F)GU(F)GAU(F)U(F)GC(F)C(F)C(F)GU(F)U(F)C(F)U(F)C(F)C(F)-idT
配列番号4(4)(配列番号4で表される配列の一か所に2’-O-メチル修飾を導入し、3’末端にidTを付加した配列):
GGAGAAC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)AAC(F)[A(M)]C(F)GC(F)GAC(F)U(F)AC(F)U(F)C(F)GU(F)GAU(F)U(F)GC(F)C(F)C(F)GU(F)U(F)C(F)U(F)C(F)C(F)-idT
配列番号4(5)(配列番号4で表される配列の一か所に2’-O-メチル修飾を導入し、3’末端にidTを付加した配列):
GGAGAAC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)AAC(F)AC(F)[G(M)]C(F)GAC(F)U(F)AC(F)U(F)C(F)GU(F)GAU(F)U(F)GC(F)C(F)C(F)GU(F)U(F)C(F)U(F)C(F)C(F)-idT
【0113】
配列番号4(6)(配列番号4で表される配列の一か所に2’-O-メチル修飾を導入し、3’末端にidTを付加した配列):
GGAGAAC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)AAC(F)AC(F)GC(F)[G(M)]AC(F)U(F)AC(F)U(F)C(F)GU(F)GAU(F)U(F)GC(F)C(F)C(F)GU(F)U(F)C(F)U(F)C(F)C(F)-idT
配列番号4(7)(配列番号4で表される配列の一か所に2’-O-メチル修飾を導入し、3’末端にidTを付加した配列):
GGAGAAC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)AAC(F)AC(F)GC(F)G[A(M)]C(F)U(F)AC(F)U(F)C(F)GU(F)GAU(F)U(F)GC(F)C(F)C(F)GU(F)U(F)C(F)U(F)C(F)C(F)-idT
配列番号4(8)(配列番号4で表される配列の一か所に2’-O-メチル修飾を導入し、3’末端にidTを付加した配列):
GGAGAAC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)AAC(F)AC(F)GC(F)GAC(F)U(F)[A(M)]C(F)U(F)C(F)GU(F)GAU(F)U(F)GC(F)C(F)C(F)GU(F)U(F)C(F)U(F)C(F)C(F)-idT
配列番号4(9)(配列番号4で表される配列の一か所に2’-O-メチル修飾を導入し、3’末端にidTを付加した配列):
GGAGAAC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)AAC(F)AC(F)GC(F)GAC(F)U(F)AC(F)U(F)C(F)[G(M)]U(F)GAU(F)U(F)GC(F)C(F)C(F)GU(F)U(F)C(F)U(F)C(F)C(F)-idT
配列番号4(10)(配列番号4で表される配列の一か所に2’-O-メチル修飾を導入し、3’末端にidTを付加した配列):
GGAGAAC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)AAC(F)AC(F)GC(F)GAC(F)U(F)AC(F)U(F)C(F)GU(F)[G(M)]AU(F)U(F)GC(F)C(F)C(F)GU(F)U(F)C(F)U(F)C(F)C(F)-idT
【0114】
配列番号4(11)(配列番号4で表される配列の一か所に2’-O-メチル修飾を導入し、3’末端にidTを付加した配列):
GGAGAAC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)AAC(F)AC(F)GC(F)GAC(F)U(F)AC(F)U(F)C(F)GU(F)G[A(M)]U(F)U(F)GC(F)C(F)C(F)GU(F)U(F)C(F)U(F)C(F)C(F)-idT
配列番号4(12)(配列番号4で表される配列の一か所に2’-O-メチル修飾を導入し、3’末端にidTを付加した配列):
GGAGAAC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)AAC(F)AC(F)GC(F)GAC(F)U(F)AC(F)U(F)C(F)GU(F)GAU(F)U(F)[G(M)]C(F)C(F)C(F)GU(F)U(F)C(F)U(F)C(F)C(F)-idT
配列番号4(13)(配列番号4で表される配列の一か所に2’-O-メチル修飾を導入し、3’末端にidTを付加した配列):
GGAGAAC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)AAC(F)AC(F)GC(F)GAC(F)U(F)AC(F)U(F)C(F)GU(F)GAU(F)U(F)GC(F)C(F)C(F)[G(M)]U(F)U(F)C(F)U(F)C(F)C(F)-idT
配列番号4(14)(配列番号4で表される配列の5’末端にPEG、3’末端にidTを付加した配列):
PEG-GGAGAAC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)AAC(F)AC(F)GC(F)GAC(F)U(F)AC(F)U(F)C(F)GU(F)GAU(F)U(F)GC(F)C(F)C(F)GU(F)U(F)C(F)U(F)C(F)C(F)-idT
【0115】
配列番号5(1)(配列番号5で表される配列の5’末端にPEG、3’末端にidTを付加した配列):
PEG-GGAC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)AAC(F)AC(F)GC(F)GAC(F)U(F)AC(F)U(F)C(F)GU(F)GAU(F)U(F)GC(F)C(F)C(F)GU(F)C(F)C(F)-idT
配列番号20(配列番号5で表される配列の各末端の塩基からなるGC塩基対を欠失させて短鎖化した35塩基に、5’末端へPEG、3’末端へidTを付加した配列):
PEG-GAC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)AAC(F)AC(F)GC(F)GAC(F)U(F)AC(F)U(F)C(F)GU(F)GAU(F)U(F)GC(F)C(F)C(F)GU(F)C(F)-idT
配列番号21(配列番号20で表される配列の各末端の塩基からなるGC塩基対を欠失させて短鎖化した33塩基に、5’末端へPEG、3’末端へidTを付加した配列):
PEG-AC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)AAC(F)AC(F)GC(F)GAC(F)U(F)AC(F)U(F)C(F)GU(F)GAU(F)U(F)GC(F)C(F)C(F)GU(F)-idT
【0116】
これらのアプタマーがヒトIL-21に結合してその機能を阻害するか、アプタマーを化学合成により作製し、実施例1と同様の方法で評価した。細胞評価系での阻害評価は核酸最終濃度1nMおよび0.2nMで実施した。その結果を表3に示す。表中、Biacoreでの結合活性における“++”は、CM4チップへ固定化されたヒトIL-21に対するアプタマーの結合量(RU値)が100以上であることを表す。阻害活性における“+”は1nMで40%以上阻害かつ0.2nMで15%以上阻害したことを示し、基準に満たないものを“-”で示す。表中、“n.d.”は未測定を表す。
【0117】
【0118】
これらの結果から、本発明のアプタマーの3’末端にidTを付加することが可能であることが示された。実施例2で行った配列番号4の転写品の阻害活性よりも本実施例での配列番号4(1)の合成品での阻害活性が高くなっており、これは化学合成によって目的とする核酸配列の純度が高まったことと、idTの付加によって3’エキソヌクレアーゼによる分解への耐性が向上したためと考えられる。
【0119】
またこれらの結果から、配列番号4(2)~(13)で表されるアプタマーの内、配列番号4(7)を除く全てのアプタマーがヒトIL-21に対する阻害活性を保持しており、様々な箇所の塩基に2’-O-メチル修飾を導入しても機能することも判った。配列番号4(3)や4(8)では配列番号4(1)で表されるアプタマーよりも阻害活性が向上した。
一方で、共通配列(CGACUACU:式(1))中の3番目のAを2’-O-メチル修飾した配列番号4(7)で表されるアプタマーは、阻害活性が低下した。
【0120】
配列番号4(14)、5(1)、20および21で表されるアプタマーの結果から、5’末端のPEG修飾が可能であることが示された。配列番号20と21で表されるアプタマーの結果から、配列番号5(1)から末端を1塩基対欠失させた35塩基では阻害活性が維持されており、末端を2塩基対欠失させた33塩基でも阻害活性を有していることが示された。
【0121】
実施例4:アプタマーの改変(2)
配列番号5で表されるアプタマー(ピリミジンヌクレオチドのリボースの2’位はフルオロ化されている)のヌクレアーゼ耐性を高めるために、2’-O-メチル基を導入した改変体を作製した。作製した改変体のヌクレオチド配列を、以下に配列番号5(2)~5(18)として修飾と共に示す。
また、配列を最適化するため、配列の一部を置換した改変体を作製した。配列置換により作製した改変体のヌクレオチド配列を、以下に配列番号22、23として修飾とともに示す。特に言及がなければ、以下に挙げられる個々の配列は、5’から3’の方向で表すものとし、大文字はRNAを示す。ヌクレオチドにおける括弧はリボースの2’位の修飾を示し、Fはフッ素原子、MはO-メチル基を示す。配列末端におけるidTはinverted-dTによる修飾を示す。また各配列における下線は共通配列(5’末端側から順に、式(2)、式(1)および式(3)に対応する)を示し、[ ]は2’-O-メチル修飾の導入など、その直近の配列番号に対して新たに修飾や変異を導入した塩基を示す。
【0122】
配列番号5(2)(配列番号5で表される配列の3’末端にidTを付加した配列):
GGAC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)AAC(F)AC(F)GC(F)GAC(F)U(F)AC(F)U(F)C(F)GU(F)GAU(F)U(F)GC(F)C(F)C(F)GU(F)C(F)C(F)-idT
配列番号5(3)(配列番号5で表される配列に、配列番号4(3)、(8)~(11)、(13)の2’-O-メチル修飾を反映させる様に修飾を導入し、3’末端にidTを付加した配列):
GGAC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)A[A(M)]C(F)AC(F)GC(F)GAC(F)U(F)[A(M)]C(F)U(F)C(F)[G(M)]U(F)[G(M)][A(M)]U(F)U(F)GC(F)C(F)C(F)[G(M)]U(F)C(F)C(F)-idT
【0123】
配列番号22(配列番号5(3)で表される配列の17番目のA(共通配列中の塩基)をGに置換した配列):
GGAC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)AA(M)C(F)AC(F)GC(F)G[G]C(F)U(F)A(M)C(F)U(F)C(F)G(M)U(F)G(M)A(M)U(F)U(F)GC(F)C(F)C(F)G(M)U(F)C(F)C(F)-idT
【0124】
配列番号5(4)(配列番号5(3)で表される配列に、配列番号4(4)の2’-O-メチル修飾を反映させる様に修飾を導入した配列):
GGAC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)AA(M)C(F)[A(M)]C(F)GC(F)GAC(F)U(F)A(M)C(F)U(F)C(F)G(M)U(F)G(M)A(M)U(F)U(F)GC(F)C(F)C(F)G(M)U(F)C(F)C(F)-idT
配列番号5(5)(配列番号5(4)で表される配列に、配列番号4(5)の2’-O-メチル修飾を反映させる様に修飾を導入した配列):
GGAC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)AA(M)C(F)A(M)C(F)[G(M)]C(F)GAC(F)U(F)A(M)C(F)U(F)C(F)G(M)U(F)G(M)A(M)U(F)U(F)GC(F)C(F)C(F)G(M)U(F)C(F)C(F)-idT
配列番号5(6)(配列番号5(5)で表される配列に、配列番号4(2)の2’-O-メチル修飾を反映させる様に修飾を導入した配列):
GGAC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)[A(M)]A(M)C(F)A(M)C(F)G(M)C(F)GAC(F)U(F)A(M)C(F)U(F)C(F)G(M)U(F)G(M)A(M)U(F)U(F)GC(F)C(F)C(F)G(M)U(F)C(F)C(F)-idT
配列番号5(7)(配列番号5(6)で表される配列に、配列番号4(12)の2’-O-メチル修飾を反映させる様に修飾を導入した配列):
GGAC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)A(M)A(M)C(F)A(M)C(F)G(M)C(F)GAC(F)U(F)A(M)C(F)U(F)C(F)G(M)U(F)G(M)A(M)U(F)U(F)[G(M)]C(F)C(F)C(F)G(M)U(F)C(F)C(F)-idT
配列番号5(8)(配列番号5(3)で表される配列の両末端3塩基ずつ(3塩基対)に2’-O-メチル修飾を導入した配列):
[G(M)][G(M)][A(M)]C(F)C(F)U(F)U(F)C(F)AA(M)C(F)AC(F)GC(F)GAC(F)U(F)A(M)C(F)U(F)C(F)G(M)U(F)G(M)A(M)U(F)U(F)GC(F)C(F)C(F)G(M)[U(M)][C(M)][C(M)]-idT
【0125】
配列番号23(配列番号5(8)で表される配列の2番目と36番目の塩基からなるGC塩基対をAU塩基対に置換した配列):
G(M)[A(M)]A(M)C(F)C(F)U(F)U(F)C(F)AA(M)C(F)AC(F)GC(F)GAC(F)U(F)A(M)C(F)U(F)C(F)G(M)U(F)G(M)A(M)U(F)U(F)GC(F)C(F)C(F)G(M)U(M)[U(M)]C(M)-idT
【0126】
配列番号5(9)(配列番号5で表される配列の一か所に2’-O-メチル修飾を導入し、3’末端にidTを付加した配列):
GGA[C(M)]C(F)U(F)U(F)C(F)AAC(F)AC(F)GC(F)GAC(F)U(F)AC(F)U(F)C(F)GU(F)GAU(F)U(F)GC(F)C(F)C(F)GU(F)C(F)C(F)-idT
配列番号5(10)(配列番号5で表される配列の二か所に2’-O-メチル修飾を導入し、3’末端にidTを付加した配列):
GGAC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)AA[C(M)]A[C(M)]GC(F)GAC(F)U(F)AC(F)U(F)C(F)GU(F)GAU(F)U(F)GC(F)C(F)C(F)GU(F)C(F)C(F)-idT
配列番号5(11)(配列番号5で表される配列の一か所に2’-O-メチル修飾を導入し、3’末端にidTを付加した配列):
GGAC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)AAC(F)AC(F)G[C(M)]GAC(F)U(F)AC(F)U(F)C(F)GU(F)GAU(F)U(F)GC(F)C(F)C(F)GU(F)C(F)C(F)-idT
配列番号5(12)(配列番号5で表される配列の一か所に2’-O-メチル修飾を導入し、3’末端にidTを付加した配列):
GGAC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)AAC(F)AC(F)GC(F)GA[C(M)]U(F)AC(F)U(F)C(F)GU(F)GAU(F)U(F)GC(F)C(F)C(F)GU(F)C(F)C(F)-idT
配列番号5(13)(配列番号5で表される配列の一か所に2’-O-メチル修飾を導入し、3’末端にidTを付加した配列):
GGAC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)AAC(F)AC(F)GC(F)GAC(F)[U(M)]AC(F)U(F)C(F)GU(F)GAU(F)U(F)GC(F)C(F)C(F)GU(F)C(F)C(F)-idT
配列番号5(14)(配列番号5で表される配列の一か所に2’-O-メチル修飾を導入し、3’末端にidTを付加した配列):
GGAC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)AAC(F)AC(F)GC(F)GAC(F)U(F)A[C(M)]U(F)C(F)GU(F)GAU(F)U(F)GC(F)C(F)C(F)GU(F)C(F)C(F)-idT
配列番号5(15)(配列番号5で表される配列の一か所に2’-O-メチル修飾を導入し、3’末端にidTを付加した配列):
GGAC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)AAC(F)AC(F)GC(F)GAC(F)U(F)AC(F)U(F)C(F)G[U(M)]GAU(F)U(F)GC(F)C(F)C(F)GU(F)C(F)C(F)-idT
配列番号5(16)(配列番号5で表される配列の二か所に2’-O-メチル修飾を導入し、3’末端にidTを付加した配列):
GGAC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)AAC(F)AC(F)GC(F)GAC(F)U(F)AC(F)U(F)C(F)GU(F)GA[U(M)][U(M)]GC(F)C(F)C(F)GU(F)C(F)C(F)-idT
配列番号5(17)(配列番号5で表される配列の二か所に2’-O-メチル修飾を導入し、3’末端にidTを付加した配列):
GGAC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)AAC(F)AC(F)GC(F)GAC(F)U(F)AC(F)U(F)C(F)GU(F)GAU(F)U(F)G[C(M)][C(M)]C(F)GU(F)C(F)C(F)-idT
配列番号5(18)(配列番号5で表される配列の一か所に2’-O-メチル修飾を導入し、3’末端にidTを付加した配列):
GGAC(F)C(F)U(F)U(F)C(F)AAC(F)AC(F)GC(F)GAC(F)U(F)AC(F)U(F)C(F)GU(F)GAU(F)U(F)GC(F)C(F)[C(M)]GU(F)C(F)C(F)-idT
【0127】
これらのアプタマーがヒトIL-21に結合してその機能を阻害するか、アプタマーを化学合成により作製し、実施例1と同様の方法で評価した。細胞評価系での阻害評価は核酸最終濃度1nMおよび0.2nMで実施した。その結果を表4に示す。表中、Biacoreでの結合の“++”は、CM4チップへ固定化されたヒトIL-21に対するアプタマーの結合量(RU値)が100以上であることを表す。阻害の“+”は1nMで40%以上阻害かつ0.2nMで15%以上阻害したことを示し、基準に満たないものを“-”で示す。表中、“n.d.”は未測定を表す。
【0128】
【0129】
配列番号5(3)~5(7)で表されるアプタマーの結果から、配列番号4で表されるアプタマーで一塩基ずつ導入した2’-O-メチル修飾は、組み合わせて導入してもアプタマーの阻害活性に影響がなく、むしろ活性が向上することが判った。新たに2’-O-メチル修飾を検討した箇所については、配列番号5(9)~5(10)および5(14)~5(17)で表されるアプタマーでは活性が維持又は向上することが示された。
一方で、配列番号5(11)~5(13)および5(18)で表されるアプタマーの阻害活性が低下した。実施例3の結果と合わせると、配列番号5で表されるアプタマーの15番目から19番目の塩基(CGACU)が2’-O-メチル修飾により活性低下していることになる。この配列は共通配列(CGACUACU:式(1))の一部であり、本実施例の結果からも、共通配列部分が阻害活性に重要であることが示された。
配列番号22で表されるアプタマーでは配列番号5の共通配列(CGACUACU:式(1))中の3番目のAをGに置換したが、この塩基置換は阻害活性に影響しないことが判った。また、この塩基置換によりアプタマーの二次構造予測が変化した。配列番号22で表されるアプタマーの二次構造予測を
図5に示す。配列番号23で表されるアプタマーの結果から、配列番号5で表される配列の2番目と36番目の塩基からなるGC塩基対をAU塩基対に置換しても活性に影響しないことが判った。
【0130】
実施例5:アプタマーの改変(3)
配列番号22で表されるアプタマーのヌクレアーゼ耐性を高めるために、2’-O-メチル基を導入した改変体、一部の塩基をRNAからDNAに置換した改変体を作製した。作製した改変体を配列番号22(1)~22(14)に示す。これらの内から配列番号22(2)については5’末端のPEG修飾を実施し、さらにその配列を2塩基短鎖化して同様の末端修飾を施した改変体も作製した。これらを配列番号22(15)、24に示す。
【0131】
以下に配列番号22(1)~22(15)、24で表されるアプタマーそれぞれのヌクレオチド配列を修飾と共に示す。特に言及がなければ、以下に挙げられる個々の配列は、5’から3’の方向で表すものとし、大文字はRNAを示し、小文字はDNAを示す。ヌクレオチドにおける括弧はリボースの2’位の修飾を示し、Fはフッ素原子、MはO-メチル基を示す。配列末端におけるidTはinverted-dTによる修飾を示し、PEGは40kDaの分岐型ポリエチレングリコールによる修飾を示す。また各配列における下線は共通配列(5’末端側から順に、式(2)、式(1)および式(3)に対応する)を示し、[ ]は2’-O-メチル修飾の導入など、その直近の配列番号に対して新たに修飾や変異を導入した塩基を示す。
【0132】
配列番号22(1)(配列番号22で表される配列に、配列番号5(7)、(8)、(12)、(16)、(18)、(20)の2’-O-メチル修飾を組み合わせて反映させる様に修飾を導入した配列):
[G(M)][G(M)][A(M)]C(F)C(F)U(F)U(F)C(F)[A(M)]A(M)[C(M)][A(M)][C(M)][G(M)]C(F)GGC(F)U(F)A(M)[C(M)]U(F)C(F)G(M)[U(M)]G(M)A(M)U(F)U(F)[G(M)][C(M)][C(M)]C(F)G(M)[U(M)][C(M)][C(M)]-idT
配列番号22(2)(配列番号22(1)で表される配列に、配列番号5(9)、(19)の2’-O-メチル修飾を反映させる様に修飾を導入した配列):
G(M)G(M)A(M)[C(M)]C(F)U(F)U(F)C(F)A(M)A(M)C(M)A(M)C(M)G(M)C(F)GGC(F)U(F)A(M)C(M)U(F)C(F)G(M)U(M)G(M)A(M)[U(M)][U(M)]G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)C(M)-idT
配列番号22(3)(配列番号22(1)で表される配列で2’位がフルオロ化されている内、一か所に2’-O-メチル修飾を導入した配列):
G(M)G(M)A(M)C(F)[C(M)]U(F)U(F)C(F)A(M)A(M)C(M)A(M)C(M)G(M)C(F)GGC(F)U(F)A(M)C(M)U(F)C(F)G(M)U(M)G(M)A(M)U(F)U(F)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)C(M)-idT
配列番号22(4)(配列番号22(1)で表される配列で2’位がフルオロ化されている塩基の内、一か所に2’-O-メチル修飾を導入した配列):
G(M)G(M)A(M)C(F)C(F)[U(M)]U(F)C(F)A(M)A(M)C(M)A(M)C(M)G(M)C(F)GGC(F)U(F)A(M)C(M)U(F)C(F)G(M)U(M)G(M)A(M)U(F)U(F)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)C(M)-idT
配列番号22(5)(配列番号22(1)で表される配列で2’位がフルオロ化されている塩基の内、一か所に2’-O-メチル修飾を導入した配列):
G(M)G(M)A(M)C(F)C(F)U(F)[U(M)]C(F)A(M)A(M)C(M)A(M)C(M)G(M)C(F)GGC(F)U(F)A(M)C(M)U(F)C(F)G(M)U(M)G(M)A(M)U(F)U(F)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)C(M)-idT
配列番号22(6)(配列番号22(1)で表される配列で2’位がフルオロ化されている塩基の内、一か所に2’-O-メチル修飾を導入した配列):
G(M)G(M)A(M)C(F)C(F)U(F)U(F)[C(M)]A(M)A(M)C(M)A(M)C(M)G(M)C(F)GGC(F)U(F)A(M)C(M)U(F)C(F)G(M)U(M)G(M)A(M)U(F)U(F)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)C(M)-idT
配列番号22(7)(配列番号22(1)で表される配列で2’位がフルオロ化されている塩基の内、一か所に2’-O-メチル修飾を導入した配列):
G(M)G(M)A(M)C(F)C(F)U(F)U(F)C(F)A(M)A(M)C(M)A(M)C(M)G(M)C(F)GGC(F)U(F)A(M)C(M)[U(M)]C(F)G(M)U(M)G(M)A(M)U(F)U(F)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)C(M)-idT
配列番号22(8)(配列番号22(1)で表される配列で2’位がフルオロ化されている塩基の内、一か所に2’-O-メチル修飾を導入した配列):
G(M)G(M)A(M)C(F)C(F)U(F)U(F)C(F)A(M)A(M)C(M)A(M)C(M)G(M)C(F)GGC(F)U(F)A(M)C(M)U(F)[C(M)]G(M)U(M)G(M)A(M)U(F)U(F)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)C(M)-idT
配列番号22(9)(配列番号22(2)で表される配列に、配列番号22(4)、(6)、(8)の2’-O-メチル修飾を組み合わせて反映させる様に修飾を導入した配列):
G(M)G(M)A(M)C(M)C(F)[U(M)]U(F)[C(M)]A(M)A(M)C(M)A(M)C(M)G(M)C(F)GGC(F)U(F)A(M)C(M)U(F)[C(M)]G(M)U(M)G(M)A(M)U(M)U(M)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)C(M)-idT
配列番号22(10)(配列番号22(9)で表される配列の未修飾のRNAの一ヶ所に、2’-O-メチル修飾を導入した配列):
G(M)G(M)A(M)C(M)C(F)U(M)U(F)C(M)A(M)A(M)C(M)A(M)C(M)G(M)C(F)[G(M)]GC(F)U(F)A(M)C(M)U(F)C(M)G(M)U(M)G(M)A(M)U(M)U(M)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)C(M)-idT
配列番号22(11)(配列番号22(10)で表される配列に、配列番号22(3)、(5)の2’-O-メチル修飾を組み合わせて反映させる様に修飾を導入した配列):
G(M)G(M)A(M)C(M)[C(M)]U(M)[U(M)]C(M)A(M)A(M)C(M)A(M)C(M)G(M)C(F)G(M)GC(F)U(F)A(M)C(M)U(F)C(M)G(M)U(M)G(M)A(M)U(M)U(M)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)C(M)-idT
配列番号22(12)(配列番号22(2)で表される配列中の未修飾のRNAの一ヶ所を、DNAに置換した配列):
G(M)G(M)A(M)C(M)C(F)U(F)U(F)C(F)A(M)A(M)C(M)A(M)C(M)G(M)C(F)[g]GC(F)U(F)A(M)C(M)U(F)C(F)G(M)U(M)G(M)A(M)U(M)U(M)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)C(M)-idT
配列番号22(13)(配列番号22(2)で表される配列中の未修飾のRNAの一ヶ所を、DNAに置換した配列):
G(M)G(M)A(M)C(M)C(F)U(F)U(F)C(F)A(M)A(M)C(M)A(M)C(M)G(M)C(F)G[g]C(F)U(F)A(M)C(M)U(F)C(F)G(M)U(M)G(M)A(M)U(M)U(M)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)C(M)-idT
配列番号22(14)(配列番号22(2)で表される配列中の未修飾のRNAの二ヶ所を、DNAに置換した配列):
G(M)G(M)A(M)C(M)C(F)U(F)U(F)C(F)A(M)A(M)C(M)A(M)C(M)G(M)C(F)[g][g]C(F)U(F)A(M)C(M)U(F)C(F)G(M)U(M)G(M)A(M)U(M)U(M)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)C(M)-idT
配列番号22(15)(配列番号22(2)で表される配列の5’末端へPEGを付加した配列):
PEG-G(M)G(M)A(M)C(M)C(F)U(F)U(F)C(F)A(M)A(M)C(M)A(M)C(M)G(M)C(F)GGC(F)U(F)A(M)C(M)U(F)C(F)G(M)U(M)G(M)A(M)U(M)U(M)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)C(M)-idT
配列番号24(配列番号22(15)で表される配列の、両末端を一塩基ずつ欠失させて35塩基に短鎖化し、同様の末端修飾を施した配列):
PEG-G(M)A(M)C(M)C(F)U(F)U(F)C(F)A(M)A(M)C(M)A(M)C(M)G(M)C(F)GGC(F)U(F)A(M)C(M)U(F)C(F)G(M)U(M)G(M)A(M)U(M)U(M)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)-idT
【0133】
これらのアプタマーがヒトIL-21に結合してその機能を阻害するか、アプタマーを化学合成により作製し、実施例1と同様の方法で評価した。細胞評価系での阻害評価は核酸最終濃度1nMおよび0.2nMで実施した。その結果を表5に示す。表中、Biacoreでの結合の“++”は、CM4チップへ固定化されたヒトIL-21に対するアプタマーの結合量(RU値)が100以上であることを表す。阻害の“+”は1nMで40%以上阻害かつ0.2nMで15%以上阻害したことを示し、基準に満たないものを“-”で示す。表中、“n.d.”は未測定を表す。
【0134】
【0135】
配列番号22(1)と22(2)で表されるアプタマーを評価した結果、実施例4で一塩基ずつ検討した2’-O-メチル修飾を組み合わせることで、さらに阻害活性が向上していた。配列番号22(7)で表されるアプタマーの結果から、共通配列(CGGCUACU:式(1))の8番目のUは2’-O-メチル修飾により活性が低下することが判った。
配列番号22(3)~22(6)で表されるアプタマーで修飾を検討した配列(CUUC(共通配列:式(2)の一部))については、一塩基ずつ修飾した際には活性に大きな影響はなかったが、配列番号22(11)で表されるアプタマーのように四塩基全てに修飾を導入するとIL-21への結合活性が消失することが判った。
【0136】
配列番号22(12)~22(14)で表されるアプタマーの結果から、共通配列(CGGCUACU:式(1))の2番目のGおよび3番目のGはDNAであっても機能することが判った。
配列番号22(15)で表されるアプタマーの結果から、5’末端にPEGを修飾しても活性に影響はなく、さらにこのアプタマーの末端を1塩基対短鎖化して35塩基にした配列番号24で表されるアプタマーも活性を維持していることが判った。
【0137】
実施例6:ヒトIL-21に特異的に結合するRNAアプタマーの作製(2)
ランダム配列とプライマー配列が実施例1で用いたものとは異なる鋳型を用いて、実施例1と同様のSELEXを行った。標的物質としてNHS-activated Sepharose 4 Fast Flow(GEヘルスケア社製)の担体に固相化したヒトIL-21(PeproTech社製)を用いた。使用した鋳型とプライマーの配列を以下に示す。DNA鋳型とプライマーは化学合成により作製した。鋳型DNAには配列番号4の配列を基に変異が導入されている。
【0138】
DNA鋳型:5’-GCAGAGCTCGTGCTC(A)(G)(A)(A)(C)(G)(G)(G)(C)(A)(A)(T)(C)(A)(C)(G)(A)(G)(T)(A)(G)(T)(C)(G)(C)(G)(T)(G)(T)(T)(G)(A)(A)(G)(G)(T)(T)(C)(T)TCTCACTGTGAGCCC-3’(配列番号51)
プライマーFwd:5’-TAATACGACTCACTATAGGGCTCACAGTGAGA-3’(配列番号52)
プライマーRev:5’-GCAGAGCTCGTGCTC-3’(配列番号53)
DNA鋳型(配列番号51)中の括弧は変異導入を表しており、括弧内に示されたヌクレオチドが76%、その他の3種類のヌクレオチドが各8%ずつ含まれるようにデザインされている。プライマーFwdはT7 RNAポリメラーゼのプロモーター配列を含んでいる。
【0139】
ヒトIL-21が固相化された担体にRNAプールを加え、20分間37℃でゆっくりと攪拌しながら保持した後、ヒトIL-21に結合しないRNAを取り除くために、溶液Aで樹脂を洗浄した。ここで溶液Aは145mM 塩化ナトリウム、5.4mM 塩化カリウム、1.8mM 塩化カルシウム、0.8mM 塩化マグネシウム、20mM トリス(pH7.6)、0.05% Tween20の混合溶液である。ヒトIL-21に結合したRNAは、超純水(ELGA水)を加えて90℃で2分間熱処理を行い、その上清から回収した。回収されたRNAは逆転写PCRで増幅し、T7 Transcription Kitで転写して次のラウンドのプールとして用いた。以上を1ラウンドとし、同様の作業を複数回繰り返し行った。4ラウンド以降は、樹脂へ弱く結合しているRNAも取り除くために、溶液A’(溶液Aの145mM 塩化ナトリウムを295mM 塩化ナトリウムに変更した溶液)で樹脂を洗浄した。SELEX終了後、次世代シーケンサーを用いて塩基配列の解析を行った。次世代シーケンサーには、Ion PGMTMシステム(Thermo社製)を用い、解析はThermo社の仕様書に沿って行った。
【0140】
SELEXを6ラウンド実施した後、次世代シーケンサーによって546,954のクローン配列を特定し、67,013種類の配列に収束していることを確認した。この時、元となった配列番号4の配列を含むクローンは2,765配列存在し、全体で14番目に多かった。解析したクローンの一部の配列を配列番号25~36に示す。なお、ここに示す配列はSELEXで取得した69塩基の配列を、配列番号5の配列と同様の構造になるように37塩基に短鎖化した配列である。各配列における下線は共通配列(5’末端側から順に、式(2)、式(1)および式(3)に対応する)を示す。また、これらのクローン配列の二次構造予測を
図6に示す。配列番号5と配列が異なる塩基を矢印(黒三角形)で示す。
【0141】
以下に配列番号25~36で表されるアプタマーそれぞれのヌクレオチド配列を示す。特に言及がなければ、以下に挙げられる個々の配列は、5’から3’の方向で表すものとし、プリン塩基(AおよびG)は2’-OH体であり、ピリミジン塩基(UおよびC)は2’-フルオロ修飾体である。
【0142】
配列番号25:
GGACCUUCAACACGCGAUUACUCGUGAUUGCCCGUCC
配列番号26:
GGACCUUCAACAAGCGAUUACUCUUGAUUGCACGUCC
配列番号27:
GGACCUUCAACCCGCGAUUACUCGGGAUUGCCCGUCC
配列番号28:
GGACCUUCAACCCGCGACUACUCGGGAUUGCCCGUCC
配列番号29:
GGCCCGCCAACACACGAUUACUUGUGAUUGUCCGGCC
配列番号30:
GGACCUUCAACACGCGAUUACUCGUGAUUGACCGUCC
【0143】
配列番号31:
GGACCUUCAACGCGCGACUACUCGCGAUUGCCCGUCC
配列番号32:
GGACCGCCAACACACGAUUACUUGUGAUUGCCCGUCC
配列番号33:
GGACCUUCAACCCGCGAUUACUCGGGAUUGCACGUCC
配列番号34:
GGACCGCCAACACACGACUACUUGUGAUUGUCCGUCC
配列番号35:
GGACCUUCAUCACGCGAUUACUCGUGAAUGCCCGUCC
配列番号36:
GGACCGCCAACAAACGAUUACUUUUGAUUGUCCGUCC
【0144】
これらのアプタマーがヒトIL-21に結合してその機能を阻害するか、実施例1と同様の方法で評価した。アプタマーは、二本鎖DNAを鋳型として転写により得た。細胞評価系での阻害評価は核酸最終濃度30nMおよび10nMで実施した。その結果を表6に示す。表中、Biacoreでの結合の“++”は、CM4チップへ固定化されたヒトIL-21に対するアプタマーの結合量(RU値)が100以上であることを表す。阻害の“+”は30nMで50%以上阻害かつ10nMで20%以上阻害したことを示し、基準に満たないものを“-”で示す。
【0145】
【0146】
配列番号25~36で表されるアプタマーは、配列番号30で表されるアプタマーを除いて、いずれもヒトIL-21の機能を強く阻害した。
図6に示したように、複数のクローンで同一の塩基置換が起こっていた箇所もあった。共通配列(CGACUACU:式(1))においては、4番目のCがUに置換しているクローンが複数存在した。また、共通配列(CCUUC:式(2))中の3番目のUと4番目のUが、それぞれGとCに置換しているクローンも複数存在した。同じく共通配列(GCCCG:式(3))中の2番目のCがUに、3番目のCがAに置換しているクローンも存在しており、式(2)部分と式(3)部分によって形成されるインターナルループにおいても、阻害活性を維持したまま塩基置換が可能な箇所があることが判った。ステム部分の塩基においては各クローンで様々な種類の塩基置換が起こっており、様々な組み合わせが許容されることが判った。
【0147】
実施例7:アプタマーの改変(4)
配列番号28で表されるアプタマーのヌクレアーゼ耐性を高めるために、2’-O-メチル基を導入した改変体を作製した。また、短鎖化した後、5’末端のPEG修飾も実施した。作製した改変体のヌクレオチド配列を、以下に配列番号37、38、38(1)として修飾と共に示す。特に言及がなければ、以下に挙げられる個々の配列は、5’から3’の方向で表すものとし、大文字はRNAを示す。ヌクレオチドにおける括弧はリボースの2’位の修飾を示し、Fはフッ素原子、MはO-メチル基を示す。配列末端におけるidTはinverted-dTによる修飾を示し、PEGは40kDaの分岐型ポリエチレングリコールによる修飾を示す。また各配列における下線は共通配列(5’末端側から順に、式(2)、式(1)および式(3)に対応する)を示し、[ ]は2’-O-メチル修飾の導入など、その直近の配列番号に対して新たに修飾や変異を導入した塩基を示す。
【0148】
配列番号37(配列番号28で表される配列の17番目のAをGに置換し、配列番号22(2)の2’位の修飾を反映させる様に2’-O-メチル修飾を導入して、3’末端にidTを付加した配列):
[G(M)][G(M)][A(M)][C(M)]C(F)U(F)U(F)C(F)[A(M)][A(M)][C(M)][C(M)][C(M)][G(M)]C(F)G[G]C(F)U(F)[A(M)][C(M)]U(F)C(F)[G(M)][G(M)][G(M)][A(M)][U(M)][U(M)][G(M)][C(M)][C(M)][C(F)][G(M)][U(M)][C(M)][C(M)]-idT
配列番号38(配列番号37で表される配列の両末端を一塩基ずつ欠失させて35ヌクレオチドの長さに短鎖化して、3’末端にidTを付加した配列):
G(M)A(M)C(M)C(F)U(F)U(F)C(F)A(M)A(M)C(M)C(M)C(M)G(M)C(F)GGC(F)U(F)A(M)C(M)U(F)C(F)G(M)G(M)G(M)A(M)U(M)U(M)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)-idT
配列番号38(1)(配列番号38で表される配列の5’末端にPEGを付加した配列):
PEG-G(M)A(M)C(M)C(F)U(F)U(F)C(F)A(M)A(M)C(M)C(M)C(M)G(M)C(F)GGC(F)U(F)A(M)C(M)U(F)C(F)G(M)G(M)G(M)A(M)U(M)U(M)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)-idT
【0149】
これらのアプタマーがヒトIL-21に結合してその機能を阻害するか、アプタマーを化学合成により作製し、実施例1と同様の方法で評価した。表中、Biacoreでの結合活性における“++”は、CM4チップへ固定化されたヒトIL-21に対するアプタマーの結合量(RU値)が100以上であることを表す。細胞評価系での阻害評価は核酸最終濃度1nMおよび0.2nMで実施した。また、細胞評価系において、IL-21刺激によるIFN-γ分泌が50%阻害される際のアプタマー濃度(IC50)を求めた。その結果を表7に示す。表中、“n.d.”は未測定を表す。
【0150】
【0151】
配列番号37で表されるアプタマーの結果から、配列番号28で表されるアプタマーは配列番号5で表されるアプタマーと同様に、17番目のAをGへ置換できることが示された。また、様々な箇所の塩基に2’-O-メチル修飾を導入しても活性に影響しないことが判った。配列番号38と38(1)で表されるアプタマーの結果から、35塩基に短鎖化しても活性が維持されており、5’末端へのPEG修飾も可能であった。
【0152】
実施例8:アプタマーの改変と末端修飾(5)
配列番号38で表されるアプタマーのヌクレアーゼ耐性を高めるために、一部の塩基をRNAからDNAに置換した改変体、ホスホロチオエートを導入した改変体を作製した。さらに、末端修飾についても検討するため、5’末端に脂肪酸を付加した配列を作製した。作製した改変体のヌクレオチド配列を、以下に配列番号38(2)~38(21)として修飾と共に示す。特に言及がなければ、以下に挙げられる個々の配列は、5’から3’の方向で表すものとし、大文字はRNAを示し、小文字はDNAを示す。ヌクレオチドにおける括弧はリボースの2’位の修飾を示し、Fはフッ素原子、MはO-メチル基を示す。配列末端におけるidTはinverted-dTによる修飾を示し、PEGは40kDaの分岐型ポリエチレングリコールによる修飾を示す。脂肪酸修飾として、Myrはミリスチン酸を示し、Palはパルミチン酸を示す。配列中におけるsはヌクレオチド同士を連結するリン酸基がホスホロチオエート化されたことを示す。また各配列における下線は共通配列(5’末端側から順に、式(2)、式(1)および式(3)に対応する)を示し、[ ]はDNAへの置換など、その直近の配列番号に対して新たに修飾や変異を導入した塩基を示す。
【0153】
配列番号38(2)(配列番号38で表される配列の2’位がフルオロ化されている塩基の内、一か所をDNAに置換した配列):
G(M)A(M)C(M)[c]U(F)U(F)C(F)A(M)A(M)C(M)C(M)C(M)G(M)C(F)GGC(F)U(F)A(M)C(M)U(F)C(F)G(M)G(M)G(M)A(M)U(M)U(M)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)-idT
配列番号38(3)(配列番号38で表される配列の2’位がフルオロ化されている塩基の内、一か所をDNAに置換した配列):
G(M)A(M)C(M)C(F)[u]U(F)C(F)A(M)A(M)C(M)C(M)C(M)G(M)C(F)GGC(F)U(F)A(M)C(M)U(F)C(F)G(M)G(M)G(M)A(M)U(M)U(M)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)-idT
配列番号38(4)(配列番号38で表される配列の2’位がフルオロ化されている塩基の内、一か所をDNAに置換した配列):
G(M)A(M)C(M)C(F)U(F)[u]C(F)A(M)A(M)C(M)C(M)C(M)G(M)C(F)GGC(F)U(F)A(M)C(M)U(F)C(F)G(M)G(M)G(M)A(M)U(M)U(M)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)-idT
配列番号38(5)(配列番号38で表される配列の2’位がフルオロ化されている塩基の内、一か所をDNAに置換した配列):
G(M)A(M)C(M)C(F)U(F)U(F)[c]A(M)A(M)C(M)C(M)C(M)G(M)C(F)GGC(F)U(F)A(M)C(M)U(F)C(F)G(M)G(M)G(M)A(M)U(M)U(M)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)-idT
【0154】
配列番号38(6)(配列番号38で表される配列の2’位がフルオロ化されている塩基の内、一か所をDNAに置換した配列):
G(M)A(M)C(M)C(F)U(F)U(F)C(F)A(M)A(M)C(M)C(M)C(M)G(M)[c]GGC(F)U(F)A(M)C(M)U(F)C(F)G(M)G(M)G(M)A(M)U(M)U(M)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)-idT
配列番号38(7)(配列番号38で表される配列の2’位がフルオロ化されている塩基の内、一か所をDNAに置換した配列):
G(M)A(M)C(M)C(F)U(F)U(F)C(F)A(M)A(M)C(M)C(M)C(M)G(M)C(F)GG[c]U(F)A(M)C(M)U(F)C(F)G(M)G(M)G(M)A(M)U(M)U(M)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)-idT
配列番号38(8)(配列番号38で表される配列の2’位がフルオロ化されている塩基の内、一か所をDNAに置換した配列):
G(M)A(M)C(M)C(F)U(F)U(F)C(F)A(M)A(M)C(M)C(M)C(M)G(M)C(F)GGC(F)[u]A(M)C(M)U(F)C(F)G(M)G(M)G(M)A(M)U(M)U(M)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)-idT
配列番号38(9)(配列番号38で表される配列の2’位がフルオロ化されている塩基の内、一か所をDNAに置換した配列):
G(M)A(M)C(M)C(F)U(F)U(F)C(F)A(M)A(M)C(M)C(M)C(M)G(M)C(F)GGC(F)U(F)A(M)C(M)[u]C(F)G(M)G(M)G(M)A(M)U(M)U(M)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)-idT
配列番号38(10)(配列番号38で表される配列の2’位がフルオロ化されている塩基の内、一か所をDNAに置換した配列):
G(M)A(M)C(M)C(F)U(F)U(F)C(F)A(M)A(M)C(M)C(M)C(M)G(M)C(F)GGC(F)U(F)A(M)C(M)U(F)[c]G(M)G(M)G(M)A(M)U(M)U(M)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)-idT
【0155】
配列番号38(11)(配列番号38で表される配列の2’位がフルオロ化されている塩基の内、一か所をDNAに置換した配列):
G(M)A(M)C(M)C(F)U(F)U(F)C(F)A(M)A(M)C(M)C(M)C(M)G(M)C(F)GGC(F)U(F)A(M)C(M)U(F)C(F)G(M)G(M)G(M)A(M)U(M)U(M)G(M)C(M)C(M)[c]G(M)U(M)C(M)-idT
配列番号38(12)(配列番号38で表される配列の2’位がフルオロ化されている全ての塩基をDNAに置換して、5’末端にPEGを付加した配列):
PEG-G(M)A(M)C(M)[c][u][u][c]A(M)A(M)C(M)C(M)C(M)G(M)[c]GG[c][u]A(M)C(M)[u][c]G(M)G(M)G(M)A(M)U(M)U(M)G(M)C(M)C(M)[c]G(M)U(M)C(M)-idT
配列番号38(13)(配列番号38(1)で表される配列の一か所にホスホロチオエート修飾を導入した配列):
PEG-G(M)A(M)C(M)C(F)U(F)U(F)C(F)A(M)A(M)C(M)C(M)C(M)G(M)[C(F)s]GGC(F)U(F)A(M)C(M)U(F)C(F)G(M)G(M)G(M)A(M)U(M)U(M)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)-idT
配列番号38(14)(配列番号38(1)で表される配列の一か所にホスホロチオエート修飾を導入した配列):
PEG-G(M)A(M)C(M)C(F)U(F)U(F)C(F)A(M)A(M)C(M)C(M)C(M)G(M)C(F)[Gs]GC(F)U(F)A(M)C(M)U(F)C(F)G(M)G(M)G(M)A(M)U(M)U(M)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)-idT
配列番号38(15)(配列番号38(1)で表される配列の一か所にホスホロチオエート修飾を導入した配列):
PEG-G(M)A(M)C(M)C(F)U(F)U(F)C(F)A(M)A(M)C(M)C(M)C(M)G(M)C(F)G[Gs]C(F)U(F)A(M)C(M)U(F)C(F)G(M)G(M)G(M)A(M)U(M)U(M)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)-idT
【0156】
配列番号38(16)(配列番号38(1)で表される配列の二か所にホスホロチオエート修飾を導入した配列):
PEG-G(M)A(M)C(M)C(F)U(F)U(F)C(F)A(M)A(M)C(M)C(M)C(M)G(M)[C(F)s][Gs]GC(F)U(F)A(M)C(M)U(F)C(F)G(M)G(M)G(M)A(M)U(M)U(M)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)-idT
配列番号38(17)(配列番号38(1)で表される配列の二か所にホスホロチオエート修飾を導入した配列):
PEG-G(M)A(M)C(M)C(F)U(F)U(F)C(F)A(M)A(M)C(M)C(M)C(M)G(M)[C(F)s]G[Gs]C(F)U(F)A(M)C(M)U(F)C(F)G(M)G(M)G(M)A(M)U(M)U(M)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)-idT
配列番号38(18)(配列番号38(1)で表される配列の二か所にホスホロチオエート修飾を導入した配列):
PEG-G(M)A(M)C(M)C(F)U(F)U(F)C(F)A(M)A(M)C(M)C(M)C(M)G(M)C(F)[Gs][Gs]C(F)U(F)A(M)C(M)U(F)C(F)G(M)G(M)G(M)A(M)U(M)U(M)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)-idT
配列番号38(19)(配列番号38(1)で表される配列の三か所にホスホロチオエート修飾を導入した配列):
PEG-G(M)A(M)C(M)C(F)U(F)U(F)C(F)A(M)A(M)C(M)C(M)C(M)G(M)[C(F)s][Gs][Gs]C(F)U(F)A(M)C(M)U(F)C(F)G(M)G(M)G(M)A(M)U(M)U(M)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)-idT
配列番号38(20)(配列番号38で表される配列の5’末端にMyrを付加した配列):
Myr-G(M)A(M)C(M)C(F)U(F)U(F)C(F)A(M)A(M)C(M)C(M)C(M)G(M)C(F)GGC(F)U(F)A(M)C(M)U(F)C(F)G(M)G(M)G(M)A(M)U(M)U(M)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)-idT
【0157】
配列番号38(21)(配列番号38で表される配列の5’末端にPalを付加した配列):
Pal-G(M)A(M)C(M)C(F)U(F)U(F)C(F)A(M)A(M)C(M)C(M)C(M)G(M)C(F)GGC(F)U(F)A(M)C(M)U(F)C(F)G(M)G(M)G(M)A(M)U(M)U(M)G(M)C(M)C(M)C(F)G(M)U(M)C(M)-idT
【0158】
これらのアプタマーがヒトIL-21に結合してその機能を阻害するか、アプタマーを化学合成により作製し、実施例1と同様の方法で評価した。細胞評価系での阻害評価は核酸最終濃度1nMおよび0.1nMで実施した。その結果を表8に示す。表中、Biacoreでの結合の“++”は、CM4チップへ固定化されたヒトIL-21に対するアプタマーの結合量(RU値)が100以上であることを表す。阻害の“+”は1nMで40%以上阻害かつ0.1nMで15%以上阻害したことを示し、基準に満たないものを“-”で示す。表中、“n.d.”は未測定を表す。
【0159】
【0160】
配列番号38(2)~38(11)で表されるアプタマーは、阻害活性の強弱はあるがいずれもヒトIL-21に対して阻害活性を示した。これらの結果から、配列番号38で表されるアプタマーの2’位がフルオロ化されている塩基の内、少なくとも一ヶ所をDNAに置換しても活性が保持できることが判った。ただし、配列番号38(12)で表されるアプタマーの結果から、全ての箇所をまとめてDNAに置換すると結合活性が消失する。配列番号38(13)~38(19)で表されるアプタマーはいずれも高い阻害活性を維持しており、今回検討した三ヶ所については、リン酸基がホスホロチオエート化されていても活性に影響がないことが判った。
配列番号38(20)と38(21)で表されるアプタマーの結果から、5’末端への修飾はPEGに限らず、脂肪酸などでも可能であることが判った。
【0161】
実施例9:アプタマーの塩基置換検討
これまでの実施例の結果から、ヒトIL-21の機能を阻害する上では共通配列部分の塩基配列が重要であるが、塩基置換可能な箇所が存在することも判った。そこで、配列番号5で表されるアプタマーの共通配列部分の一部を塩基置換した配列を作製した。作製した塩基置換体の一部のヌクレオチド配列を、以下に配列番号39~43として示す。特に言及がなければ、以下に挙げる個々の配列は、5’から3’の方向に表すものとし、プリン塩基(AおよびG)は2’-OH体であり、ピリミジン塩基(UおよびC)は2’-フルオロ修飾体である。また各配列における下線は共通配列(5’末端側から順に、式(2)、式(1)および式(3)に対応する)を示し、[ ]は配列番号5で表される配列からの塩基置換を示す。
【0162】
配列番号39(配列番号5で表される配列の6番目のUをGに置換した配列):
GGACC[G]UCAACACGCGACUACUCGUGAUUGCCCGUCC
配列番号40(配列番号5で表される配列の7番目のUをCに置換した配列):
GGACCU[C]CAACACGCGACUACUCGUGAUUGCCCGUCC
配列番号41(配列番号5で表される配列の19番目のUをGに置換した配列):
GGACCUUCAACACGCGAC[G]ACUCGUGAUUGCCCGUCC
配列番号42(配列番号5で表される配列の22番目のUをCに置換した配列):
GGACCUUCAACACGCGACUAC[C]CGUGAUUGCCCGUCC
配列番号43(配列番号5で表される配列の32番目のCをAに置換した配列):
GGACCUUCAACACGCGACUACUCGUGAUUGC[A]CGUCC
【0163】
これらのアプタマーがヒトIL-21に結合してその機能を阻害するか、実施例1と同様の方法で評価した。アプタマーは、二本鎖DNAを鋳型として転写により得た。細胞評価系での阻害評価は核酸最終濃度10nMで実施した。その結果を表9に示す。表中、Biacoreでの結合の“++”は、CM4チップへ固定化されたヒトIL-21に対するアプタマーの結合量(RU値)が100以上であることを表す。阻害の“+”は10nMで20%以上阻害したことを示し、基準に満たないものを“-”で示す。表中、“n.d.”は未測定を表す。
【0164】
【0165】
配列番号39~43で表されるアプタマーは、配列番号5で表されるアプタマーと同様に、いずれもヒトIL-21の機能を阻害した。
これらの結果から、共通配列(CGACUACU:式(1))の内、5番目のUはGに、8番目のUはCに、それぞれ置換可能であることが判った。同様に、式(2)部分(CCUUC)はCCGUCもしくはCCUCCでも可能であり、式(3)部分(GCCCG)はGCACGでも可能であることが判った。
【産業上の利用可能性】
【0166】
本発明のアプタマーは、肺高血圧症の治療用又は予防用の医薬、あるいは診断薬、検査薬、試薬として有用である。本出願は、日本で出願された特願2020-104831(出願日:令和2年6月17日)を基礎としており、その内容はすべて本明細書に包含されるものとする。
【配列表】