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7797309基準器設置用治具、工作機械における基準器の測定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-12-26
(45)【発行日】2026-01-13
(54)【発明の名称】基準器設置用治具、工作機械における基準器の測定方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/00 20060101AFI20260105BHJP
   B23B 25/06 20060101ALI20260105BHJP
   G01B 3/30 20060101ALI20260105BHJP
   B23Q 3/18 20060101ALI20260105BHJP
【FI】
B23Q17/00 A
B23B25/06
G01B3/30
B23Q3/18 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022086271
(22)【出願日】2022-05-26
(65)【公開番号】P2023173786
(43)【公開日】2023-12-07
【審査請求日】2024-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000149066
【氏名又は名称】オークマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】小島 拓也
(72)【発明者】
【氏名】松下 哲也
(72)【発明者】
【氏名】近藤 康功
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-133791(JP,A)
【文献】特開2005-081444(JP,A)
【文献】実開昭63-081201(JP,U)
【文献】特開2017-159376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 17/00 - 17/22
B23Q 3/18
B23Q 5/54
B23B 25/06
G01B 3/00 - 7/34
G01B 21/00
G05B 19/401
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2軸以上の並進軸と、複数の溝又はタップ穴が施されたテーブルと、工具を保持可能な主軸頭とを有し、前記主軸頭に保持された工具が、前記並進軸により、前記テーブル上に設置された被工作物に対して並進2自由度以上の相対運動が可能である工作機械において、前記テーブル上の所定の方向に設置した基準器を前記主軸頭に取り付けたセンサを用いて測定する際に、前記基準器を前記テーブル上の所定の方向に設置するための基準器設置用治具であって、
3つ以上の穴を設けたプレートと、
前記穴に挿入可能な複数の棒材と、を含み、
任意の2つの前記穴を結ぶ第1の直線と、前記所定の方向の基準となる前記プレートの側面とがなす角度、又は、前記第1の直線と、前記2つの穴の何れか一方或いは両方と異なる2つの前記穴を結ぶ第2の直線とがなす角度が、前記テーブルの前記溝が延びる方向の直線又は2つの前記タップ穴を結ぶ直線と、前記所定の方向とがなす角度に等しくなるように、複数の前記穴にそれぞれ挿入した複数の前記棒材を、任意の1本の前記溝又は任意の前記タップ穴に挿入することで、前記テーブル上で前記プレートの前記基準となる側面又は前記複数の棒材を結ぶ直線が前記所定の方向と平行となるように前記プレートを位置決めでき、
前記基準器を、前記テーブル上に位置決めした前記プレートの前記基準となる側面又は前記複数の棒材に直接当接、或いは他の補助治具を介して間接的に当接させることで、前記所定の方向に設置することが可能となることを特徴とする基準器設置用治具。
【請求項2】
2軸以上の並進軸と、複数の溝又はタップ穴が施されたテーブルと、工具を保持可能な主軸頭とを有し、前記主軸頭に保持された工具が、前記並進軸により、前記テーブル上に設置された被工作物に対して並進2自由度以上の相対運動が可能である工作機械において、前記テーブル上で所定の方向に基準器を設置し、前記主軸頭に取り付けたセンサを用いて前記基準器を測定する方法であって、
前記テーブル上に、請求項に記載の基準器設置用治具を、前記プレートの前記基準となる側面又は前記複数の棒材を結ぶ直線が前記所定の方向となるように位置決めし、
前記基準器を、前記基準となる側面又は前記複数の棒材に直接当接、或いは他の補助治具を介して間接的に当接させて前記所定の方向に設置して、
前記センサを用いて前記基準器を測定することを特徴とする工作機械における基準器の測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、工作機械の運動誤差の計測に用いる基準器を、テーブル上の所定の方向に設置するための基準器設置用治具と、工作機械において基準器を測定する方法とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1は、3つの並進軸を有する工作機械Mの模式図である。
主軸頭2は、並進軸であり互いに直交するX・Y軸によって並進2自由度の運動が可能である。また、主軸頭2は、X・Y軸に直交するZ軸により並進1自由度の運動が可能である。したがって、ベッド1上のテーブル3に対して主軸頭2は並進3自由度を有する。各軸は、数値制御装置により制御されるサーボモータにより駆動され、被工作物Wをテーブル3に固定し、主軸頭2の主軸に工具を装着して回転させ、被工作物Wを任意の形状に加工する。
工作機械には、位置決め誤差・真直度・直角度といった運動誤差がある。これらの運動誤差は、被工作物の加工精度や計測精度に影響を及ぼす。工作機械の運動誤差を測定するために、図2のように精度の基準となる基準器12をテーブル3上に所定の方向に向けて設置し、主軸頭2に取り付けたタッチプローブ11や変位センサを用いて、基準器12に設けられたターゲット球(P1~P5)の相対位置を測定する方法などが用いられる。その際、タッチプローブ11を用いて基準器12の設置方向を測定し、その結果をもとに基準器12のターゲット球の理想的な位置を計算し、その理想的な位置と測定されたターゲット球の位置とを比較することで、工作機械の運動誤差を測定することができる。
【0003】
特許文献1には、工作機械の運動誤差の測定において、複数の球を固定したゲージ(基準器)を用いて、ゲージの球間距離を測定して誤差を評価する方法が開示されている。このゲージは、土台と、土台に取り付けられて複数の球体を有するアームとを備え、アームが水平方向及び/又は垂直方向へ任意の角度回転できるようになっている。
また、非特許文献1には、被工作物をテーブル上の所定の方向に設置するマシンバイスが開示されている。このマシンバイスの底面には、ガイドブロックが設けられており、ガイドブロックをテーブルの溝に嵌合させることで、マシンバイスを所定の方向に設置可能となっている。よって、基準器の底面にガイドブロックを設けて、同様にテーブルの溝を利用して基準器を設置することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6960893号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】「マシンバイス」株式会社ナベヤ、[令和4年4月28日検索]、インターネット<URL:https://www.nabeya.co.jp/search.php?grp=J>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のゲージは複雑な機構を有しており、製造コストが高くなってしまうだけでなく、重量があるためテーブルへの設置や持ち運びの際に不便である。
一方、非特許文献1に開示のガイドブロックを用いる場合、基準器の底面にガイドブロックを所定の方向に取り付けるためのタップ穴およびガイド溝が必要となり、既製品に対して追加加工が必要になってしまう。しかし、追加加工をすると基準器の精度が変化してしまう可能性がある。また、テーブルに溝がない場合には用いることができない。
【0007】
そこで、本開示は、工作機械の運動誤差の測定に用いる基準器がテーブル上の所定の方向へ簡単に設置可能となる基準器設置用治具と、工作機械における基準器の測定方法とを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の第1の構成は、2軸以上の並進軸と、複数の溝又はタップ穴が施されたテーブルと、工具を保持可能な主軸頭とを有し、前記主軸頭に保持された工具が、前記並進軸により、前記テーブル上に設置された被工作物に対して並進2自由度以上の相対運動が可能である工作機械において、前記テーブル上の所定の方向に設置した基準器を前記主軸頭に取り付けたセンサを用いて測定する際に、前記基準器を前記テーブル上の所定の方向に設置するための基準器設置用治具であって、
3つ以上の穴を設けたプレートと、
前記穴に挿入可能な複数の棒材と、を含み、
任意の2つの前記穴を結ぶ第1の直線と、前記所定の方向の基準となる前記プレートの側面とがなす角度、又は、前記第1の直線と、前記2つの穴の何れか一方或いは両方と異なる2つの前記穴を結ぶ第2の直線とがなす角度が、前記テーブルの前記溝が延びる方向の直線又は2つの前記タップ穴を結ぶ直線と、前記所定の方向とがなす角度に等しくなるように、複数の前記穴にそれぞれ挿入した複数の前記棒材を、任意の1本の前記溝又は任意の前記タップ穴に挿入することで、前記テーブル上で前記プレートの前記基準となる側面又は前記複数の棒材を結ぶ直線が前記所定の方向と平行となるように前記プレートを位置決めでき、
前記基準器を、前記テーブル上に位置決めした前記プレートの前記基準となる側面又は前記複数の棒材に直接当接、或いは他の補助治具を介して間接的に当接させることで、前記所定の方向に設置することが可能となることを特徴とする。
上記目的を達成するために、本開示の第2の構成は、2軸以上の並進軸と、複数の溝又はタップ穴が施されたテーブルと、工具を保持可能な主軸頭とを有し、前記主軸頭に保持された工具が、前記並進軸により、前記テーブル上に設置された被工作物に対して並進2自由度以上の相対運動が可能である工作機械において、前記テーブル上で所定の方向に基準器を設置し、前記主軸頭に取り付けたセンサを用いて前記基準器を測定する方法であって、
前記テーブル上に、第1の構成に記載の基準器設置用治具を、前記プレートの前記基準となる側面又は前記複数の棒材を結ぶ直線が前記所定の方向となるように位置決めし、
前記基準器を、前記基準となる側面又は前記複数の棒材に直接当接、或いは他の補助治具を介して間接的に当接させて前記所定の方向に設置して、
前記センサを用いて前記基準器を測定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、工作機械の運動誤差の測定において、基準器を所定の方向へ簡単に設置可能となる基準器設置用治具を、軽量かつ安価に提供することができる。また、基準器に部品を取り付ける必要がないため、既製品の基準器に対しても用いることができる。さらに、テーブルに溝が無くても、タップ穴を用いて基準器を所定の方向に設置して測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】X軸、Y軸、Z軸の並進軸を有する工作機械の模式図である。
図2】タッチプローブとテーブル上に設置された基準器の模式図である。
図3】形態1の基準器設置用治具の一例である。
図4】形態1の基準器設置用治具の他の一例である。
図5】形態1の基準器設置用治具を用いてテーブルの溝に沿った方向に基準器を設置した模式図である。
図6】形態1の基準器設置用治具を用いてテーブルの溝に対して垂直な方向に基準器を設置した模式図である。
図7】形態1の基準器設置用治具を用いてテーブルの溝に対して45°方向に基準器を設置した模式図である。
図8】形態2の基準器設置用治具の他の一例である。
図9】形態2の基準器設置用治具及び補助治具を用いてテーブルの溝に対して垂直な方向に基準器を設置した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[形態1]
まず、第1の構成に係る基準器設置用治具の一例を説明する。図3に示すように、基準器設置用治具(以下単に「治具」という。)20は、各角部に4つの穴22,22・・が貫通形成された平面視正方形状のプレート21と、2本の棒材23,23から構成される。治具20では、プレート21の各側面と、4つの穴22のうちの2つの穴22,22を結んだ直線とがなす角度が、0°、45°、90°の何れかとなっている。棒材23は穴22に挿入することができる。なお、穴22は貫通穴に限らず、止め穴やタップ穴でもよく、棒材を挿入できればよい。さらに、プレート21は四角に限らず、図4のように三角形や5つ以上の角をもつ多角形でもよい。
【0012】
ここでは、基準器12を、所定の方向であるX軸方向と、Y軸方向と、X軸に対する45°方向とにそれぞれ設置して計測を行う。以下、図5図7を用いて、治具20を用いて基準器12を所定の方向に設置して測定する第2の構成に係る方法を説明する。
図5は、治具20を用いて、上面に複数のターゲット球P1,P2・・を等間隔で備えてなる基準器12をX軸方向に設置した状態を示している。工作機械Mのテーブル3の上面には、複数の溝4(図5では1つのみ示す)がX軸方向に設けられている。
本例では、まず、プレート21に設けられた2つの穴22,22に2本の棒材23,23を挿入する。図5では穴22が貫通穴となっているが、穴22が止め穴やタップ穴の場合は、プレート21の下側から棒材23を差し込むようにする。この時使用する穴22,22は、プレート21の一対の平行な側面21a,21aと平行な方向に並んでいる2つとする。
次に、プレート21から下方へ突出する棒材23,23を溝4に差し込む。すると、当該側面21aが溝4に対して平行となるようにプレート21が位置決めされる。よって、設置したプレート21の何れか一方の側面21aに基準器12の長手側面を押し当てることで、基準器12をX軸方向に設置することができる。
【0013】
治具20では、2つの穴22,22を結ぶ第1の直線L1と、プレート21の側面21aとがなす角度(ここでは0°)が、テーブル3の溝4方向の直線Lと、所定の方向であるX軸方向とがなす角度(ここでは0°)と等しくなっている。
よって、穴22,22に挿入された棒材23,23を溝4に挿入すると、これと平行な側面21aはX軸方向と平行となる。従って、側面21aに押し当てた基準器12もX軸方向に設置されることになる。
【0014】
続けて、設置した基準器12上の2つのターゲット球P1,P2の位置をタッチプローブ11で測定する方法について説明する。タッチプローブ11は、本開示のセンサの一例である。
基準器12は、およそX軸方向に設置されており、ターゲット球P1,P2の相対的なX,Y,Z軸位置が既知である。このため、タッチプローブ11を用いて自動でターゲット球P1,P2を測定可能である。なお、ターゲット球P1,P2の位置はタッチプローブ11で測定できる範囲に収まっていればよく、治具20を設置する位置や傾き、および治具20の寸法や幾何精度は、高精度である必要はない。
タッチプローブ11を用いてターゲット球P1,P2の位置を測定することで、ターゲット球P1,P2の相対位置の測定値Xm2,Ym2,Zm2が得られる。基準器12をX軸方向に設置した際のターゲット球P1とP2とのX,Y,Z方向の相対位置をXc2,Yc2,Zc2とすると、誤差値δx2,δy2,δz2は、以下の式で求められる。
δx2=Xm2-Xc2
δy2=Ym2-Yc2
δz2=Zm2-Zc2
【0015】
設置方向のY,Z方向への傾き誤差ay,azは、以下のようにして求められる。
ay=δy2/Xc2
az=δz2/Xc2
【0016】
基準器12の傾き誤差ay,azを考慮することで、ターゲット球Pi(i=3~5)のP1との相対位置Xci’,Yci’,Zci’は、以下のように計算される。
Xci’=Xci
Yci’=Yci+ay*Xci
Zci’=Zci+az*Xci
ここで、Xci,Yci,Zciは、傾き誤差分を修正する前のターゲット球Pi(i=3~5)のP1との相対位置である。
求められた傾き誤差分を修正した相対位置Xci’,Yci’,Zci’をもとに各軸の指令値を決定することで各ターゲット球Piを測定することができる。また、各軸の指令値と測定値とを比較することで運動誤差を計測することができる。
【0017】
図6は、治具20を用いて、基準器12をY軸方向に設置した状態を示している。X軸方向への設置と同様に、プレート21に設けられた2つの穴22,22に2本の棒材23,23を挿入する。ここで使用する穴22,22は、プレート21の側面21aと垂直な方向に並んでいる。
次に、挿入した棒材23,23を溝4に差し込むことで、側面21aが溝4に対して垂直となるようにプレート21を位置決めできる。よって、位置決めしたプレート21の何れか一方の側面21aに基準器12の長手側面を押し当てることで、基準器12をY軸方向に設置できる。
治具20では、2つの穴22,22を結ぶ第1の直線L1と、プレート21の側面21aとがなす角度(ここでは90°)が、テーブル3の溝4が延びる方向の直線Lと、所定の方向であるY軸方向とがなす角度(ここでは90°)と等しくなっている。
よって、第1の直線L1方向に並ぶ穴22,22に挿入された棒材23,23を溝4に挿入すると、これと垂直な側面21aはY軸方向と平行となる。従って、側面21aに押し当てた基準器12もY軸方向に設置されることになる。
設置した基準器12をX軸方向への設置時と同様に、ターゲット球の位置を傾き誤差分だけ修正して測定することで、運動誤差を測定することができる。
【0018】
図7は、治具20を用いて、基準器12をX軸に対して45°方向に設置した状態を示している。まず、プレート21に設けられた2つの穴22,22に2本の棒材23,23を挿入する。この時使用する穴22,22は、プレート21の側面21aに対して45°の方向(対角線方向)に並んでいる。
次に、挿入した棒材23,23を溝4に差し込むことで、側面21aが溝4に対して45°方向となるようにプレート21を位置決めできる。よって、位置決めしたプレート21の何れか一方の側面21aに基準器12の長手側面を押し当てることで、基準器12をX軸に対して45°方向に設置できる。
治具20では、2つの穴22,22を結ぶ第1の直線L1と、プレート21の側面21aとがなす角度(ここでは45°)が、テーブル3の溝4方向の直線Lと、所定の方向であるX軸に対する45°方向とがなす角度(ここでは45°)と等しくなっている。
よって、第1の直線L1方向に並ぶ穴22,22に挿入された棒材23,23を溝4に挿入すると、側面21aはX軸に対する45°方向と平行となる。従って、側面21aに押し当てた基準器12もX軸に対する45°方向に設置されることになる。
設置した基準器12をX軸方向への設置時と同様に、ターゲット球の位置を傾き誤差分だけ修正して測定することで、運動誤差を測定することができる。
【0019】
上記形態1の治具20は、複数の穴22を設けたプレート21と、穴22に挿入可能な複数の棒材23と、を含み、任意の複数の穴22にそれぞれ挿入した複数の棒材23を、任意の溝4に挿入することで、テーブル3上でプレート21の任意の側面21aが所定の方向と平行となる。
また、上記形態1の基準器12の測定方法は、テーブル3上に、治具20を、プレート21の任意の側面21aが所定の方向となるように位置決めし、基準器12を、プレート21の側面21aに直接当接させて所定の方向に設置して、タッチプローブ11を用いて基準器12を測定する手順となる。
この構成によれば、工作機械の運動誤差の測定に用いる基準器12がテーブル3上の所定の方向へ簡単に設置可能となる。また、基準器12に部品を取り付ける必要がないため、軽量且つ安価な構成となり、既製品の基準器12に対しても用いることができる。
【0020】
[形態2]
上記形態1では、治具20に基準器12を直接当接させて設置しているが、他の治具も用いて治具20により間接的に基準器12を設置することもできる。以下、その形態を説明する。なお、形態1と同じ構成部には同じ符号を付して重複する説明は省略する。
治具20は、図8に示すように、4つの穴22,22・・が設けられたプレート21と、3本の棒材23,23・・とから構成される。また、治具20では、基準となる2つの穴22,22を結んだ直線と、同じ穴22の1つと他の穴22とを結んだ直線或いは他の2つの穴22,22を結んだ直線と、がなす角度は、0°、45°、90°の何れかとなっている。各棒材23は各穴22に挿入することができる。
図9は、他の治具である補助治具13を介して、基準器12をY軸方向に設置した状態を示している。まず、プレート21の側面21aと平行に並ぶ2つの穴22,22(区別するために「22A」と表記する。)に2本の棒材23,23(区別するために「23A」と表記する。)を貫通させる。次に、貫通させた棒材23A,23Aを溝4に差し込む。最後に、溝4に対して垂直な方向に並んだ穴22(区別するために「22B」と表記する。)に上方から棒材23(区別するために「23B」と表記する。)を差込み、垂直方向に並ぶ2本の棒材23A,23Bに補助治具13を押し当てることで、補助治具13上へ平行に固定された基準器12を、溝4と垂直な方向に設置することができる。
【0021】
補助治具13は、プレート21よりも厚みの大きい下段部13aと、下段部13aよりも幅の大きい上段部13bとを有する帯板状で、上段部13bの上面に基準器12が平行に位置決め可能となっている。この位置決めは、上段部13bの上面に基準器12が嵌合する溝を長手方向に形成すれば容易に行える。
こうして基準器12を位置決めした上段部13bの長手方向の側面を、Y軸方向に並ぶ棒材23A,23Bに当接させれば、補助治具13がY軸方向に固定される。よって、補助治具13上の基準器12もY軸方向に設置されることになる。
治具20は、2つの穴22A,22Aを結ぶ第1の直線L1と、2つの穴22A,22Aと一方が異なる2つの穴22A,22Bを結ぶ第2の直線L2とがなす角度(ここでは90°)が、テーブル3の溝方向の直線LとY軸方向とがなす角度(ここでは90°)と等しくなっている。
よって、第1の直線L1方向に並ぶ穴22A,22Aに挿入された棒材23A,23Aを溝4に挿入すると、第2の直線L2方向に並ぶ棒材23A,23BはY軸方向と平行となる。従って、第2の直線L2方向に並ぶ棒材23A,23Bに押し当てた補助治具13もY軸方向に設置されることになる。
続けて、形態1と同様の方法で、設置した基準器12のターゲット球の位置をタッチプローブ11で測定することで、運動誤差を測定できる。
【0022】
上記形態2の治具20も、複数の穴22A,22Bを設けたプレート21と、穴22に挿入可能な複数の棒材23A,23Bと、を含み、任意の複数の穴22A,22Aにそれぞれ挿入した複数の棒材23A,23Aを、任意の溝4に挿入することで、テーブル3上で棒材23A,23Bを結ぶ第2の直線L2が所定の方向と平行となる。
また、上記形態2の基準器12の測定方法は、テーブル3上に、治具20を、棒材23A,23Bを結ぶ第2の直線L2が所定の方向となるように位置決めし、棒材23A,23Bに基準器12を、補助治具13を介して間接的に当接させて所定の方向に設置して、タッチプローブ11を用いて基準器12を測定する手順となる。
この構成によれば、工作機械の運動誤差の測定に用いる基準器12がテーブル3上の所定の方向へ簡単に設置可能となる。また、基準器12に部品を取り付ける必要がないため、軽量且つ安価な構成となり、既製品の基準器に対しても用いることができる。
なお、補助治具は、上記形態に限らず、例えば棒材でなくプレートの側面に当接させてもよい。治具との結合構造も適宜変更できる。
【0023】
以下、各形態に共通する変更例を説明する。
治具の棒材は、テーブルに設けた溝に挿入させているが、テーブル上に溝でなく複数のタップ穴が形成されている場合は、棒材をタップ穴に挿入或いは螺合させることで治具を位置決めしてもよい。このようにタップ穴を利用すれば、テーブルに溝が無くても基準器を所定の方向に設置して測定することができる。
プレートに設ける穴(止め穴やタップ穴も含む)の数や位置は上記各形態に限定せず、適宜変更可能である。穴の形状も円形に限らず、四角形や多角形等の他の形状も採用できる。棒材の形状も穴の形状に合わせて適宜変更可能である。
基準器自体の構造も上記形態に限らない。ターゲット球の数の増減や配置の変更が可能であるのは勿論、ターゲット球以外の被測定部を有する基準器も採用可能である。センサもタッチプローブ以外に変位センサ等が採用できる。
【符号の説明】
【0024】
1・・ベッド、2・・主軸頭、3・・テーブル、4・・溝、11・・タッチプローブ、12・・基準器、13・・補助治具、20・・基準器設置用治具、21・・プレート、21a・・側面、22・・穴、23・・棒材、M・・工作機械、W・・被工作物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9