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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-01-05
(45)【発行日】2026-01-14
(54)【発明の名称】ステータ、およびモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/46 20060101AFI20260106BHJP
   H02K 1/00 20060101ALI20260106BHJP
   H02K 9/22 20060101ALI20260106BHJP
【FI】
H02K3/46 B
H02K1/00 Z
H02K9/22 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021182017
(22)【出願日】2021-11-08
(65)【公開番号】P2023069847
(43)【公開日】2023-05-18
【審査請求日】2024-10-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】志直 卓典
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-093081(JP,A)
【文献】特開2015-023694(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03846319(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/46
H02K 1/00
H02K 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に延びる中心軸を中心とする環状のコアバックと、前記コアバックから径方向に延びるティースと、を含むステータコアと、
前記ティースに少なくとも配置されるインシュレータと、
前記インシュレータの周りに配置される巻線と、
前記インシュレータと前記ティースとの間に少なくとも配置される介在部材と、
を有し、
前記インシュレータと前記ステータコアとの隙間の外部に配置される前記介在部材の重量をW2として、W2=0であり、
前記介在部材は、放熱グリスまたは接着剤であり、
前記インシュレータは、上下方向に対向する第1インシュレータおよび第2インシュレータを有し、
前記第1インシュレータは、前記ティースの周方向一方側側面を覆う第1側面カバー部と、前記ティースの周方向他方側側面を覆う第2側面カバー部と、を有し、
前記介在部材は、前記ティースの周方向一方側側面と前記第1側面カバー部との間、および前記ティースの周方向他方側側面と前記第2側面カバー部との間に少なくとも配置され、
前記ティースは、周方向一方側に張り出す第1張り出し部と、周方向他方側に張り出す第2張り出し部と、を有し、
前記第1インシュレータは、前記第1張り出し部を径方向に覆う第1張り出しカバー部と、前記第2張り出し部を径方向に覆う第2張り出しカバー部と、を有し、
前記介在部材は、前記第1張り出し部と前記第1張り出しカバー部との隙間に配置される部分と、前記第2張り出し部と前記第2張り出しカバー部との隙間に配置される部分と、を含む、ステータ。
【請求項2】
前記第2インシュレータは、前記ティースの周方向一方側側面を覆う第3側面カバー部と、前記ティースの周方向他方側側面を覆う第4側面カバー部と、を有し、
前記介在部材は、前記第1側面カバー部と前記第3側面カバー部との隙間、および前記第2側面カバー部と前記第4側面カバー部との隙間に配置される、請求項に記載のステータ。
【請求項3】
上下に延びる中心軸を中心とする環状のコアバックと、前記コアバックから径方向に延びるティースと、を含むステータコアと、
前記ティースに少なくとも配置されるインシュレータと、
前記インシュレータの周りに配置される巻線と、
前記インシュレータと前記ティースとの間に少なくとも配置される介在部材と、
を有し、
前記インシュレータと前記ステータコアとの隙間に配置される前記介在部材の重量をW1とし、前記隙間の外部に配置される前記介在部材の重量をW2とすると、
W1≧W2×0.1を満たし、
前記インシュレータは、上下方向に対向する第1インシュレータおよび第2インシュレータを有し、
前記第1インシュレータは、前記ティースの周方向一方側側面を覆う第1側面カバー部と、前記ティースの周方向他方側側面を覆う第2側面カバー部と、を有し、
膨張シートである前記介在部材は、前記ティースの周方向一方側側面と前記第1側面カバー部との間と、前記ティースの周方向他方側側面と前記第2側面カバー部とのうち一方のみに配置される、ステータ。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載のステータと、
前記ステータと径方向に対向するロータと、
を有する、モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ステータ、およびモータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ティースを有するステータとロータとを備えたモータにおいて、ティースに装着されてティースを覆う絶縁部材であるインシュレータを設けることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-145419号公報
【文献】特開2011-166977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、インシュレータの取付性などの関係から、ティースとインシュレータとの間には隙間があり、当該隙間は空気層となっていた。インシュレータに巻き回される巻線に電流が流れて巻線が発熱した場合、巻線から発生した熱がインシュレータ、および空気層を介してティースに伝導するため、放熱性能に改善の余地があった。なお、特許文献2では、ステータ全体を樹脂で覆うため、コストが増加する虞があった。
【0005】
上記状況に鑑み、本開示は、巻線から発生した熱の放熱性能を向上させることができるステータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の例示的なステータは、上下に延びる中心軸を中心とする環状のコアバックと、前記コアバックから径方向に延びるティースと、を含むステータコアと、前記ティースに少なくとも配置されるインシュレータと、前記インシュレータの周りに配置される巻線と、前記インシュレータと前記ティースとの間に少なくとも配置される介在部材と、を有し、前記インシュレータと前記ステータコアとの隙間に配置される前記介在部材の重量をW1とし、前記隙間の外部に配置される前記介在部材の重量をW2とすると、W1≧W2×0.1を満たす。
【発明の効果】
【0007】
本開示の例示的なステータによれば、巻線から発生した熱の放熱性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の実施形態に係る電動バイクの構成を示す概略図である。
図2図2は、モータの縦断面図である。
図3図3は、モータの上面断面図である。
図4図4は、第1インシュレータおよび第2インシュレータの斜視図である。
図5図5は、ステータの要部拡大平面断面図である。
図6図6は、介在部材を固定した第1インシュレータを示す斜視図である。
図7図7は、ステータの要部拡大平面断面図である(介在部材の膨張前)。
図8図8は、ステータの要部拡大平面断面図である(介在部材の膨張後)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の例示的な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本明細書では、本開示の実施形態に係るモータ100を有する電動バイク200の説明に際して、電動バイク200を運転する運転者を基準として前後の表現を用いる。また、モータおよびステータの説明に際して、モータ100の中心軸Jの延びる方向を「上下方向」と呼び、図面において、上方をZ1、下方をZ2として示す。また、中心軸Jを中心とする径方向および周方向を単に「径方向」および「周方向」と呼ぶことにする。図面において、周方向一方側をθ1、周方向他方側をθ2として示す。なお、上記で定義される方向は、モータ100を機器に搭載する場合の方向を限定しない。
【0010】
<1.電動バイク>
図1は、本開示の実施形態に係る電動バイク200の構成を示す概略図である。電動バイク200は、運転者が座る座部201aを有するバイク本体部201を有する。バイク本体部201の前方には、前輪202が配置される。バイク本体部201の後方には、後輪203が配置される。バイク本体部201は、前輪202および後輪203を利用して、地面に対して移動可能に設けられる。
【0011】
座部201aに座る運転者は、前方に配置されるハンドル204を握って電動バイク200の進行方向を操作する。バイク本体部201における後部は、図1では図示しないモータ100(後述)および減速機を有する。モータ100により生じる駆動力は、減速機を介して後輪203に伝えられる。ハンドル204には、不図示のスロットルが設けられている。電動バイク200においては、運転者によるスロットルの操作に応じて、モータ100の駆動が制御される。
【0012】
なお、本実施形態では、モータ100により後輪203を駆動する構成としたが、前輪202をモータ100により駆動する構成としてもよい。また、本開示のモータは、電動バイクに限らず、他の移動体に適用されてもよい。移動体には、例えば、自動車、二輪車、船舶、航空機が含まれてよい。また、本開示のモータは、移動体に限らず、家電に適用されてもよい。
【0013】
<2.モータ>
図2は、モータ100の縦断面図である。図2は、中心軸Jを含む平面で切断した場合の断面図である。図2に示すように、モータ100は、ステータ1と、ロータ2と、シャフト3と、第1軸受部4と、第2軸受部5と、オイルシール6と、ハウジング7と、ホルダ8と、カバー9と、を有する。
【0014】
ハウジング7は、中心軸Jを中心として上下方向に延びる有底円筒状である。ハウジング7は、上方に底部71を有する。底部71は、径方向中央において上下方向に貫通する貫通孔を有する。底部71の径方向中央には、下方へ突出する軸受保持部71Aが設けられる。軸受保持部71Aは、中心軸Jを中心として上下方向に延びる円筒を2つ上下方向に配置して形成される。下方の円筒の内径は、上方の円筒の内径よりも大きい。後述する第1軸受部4は、下方の円筒に収容される。
【0015】
ステータ1は、中心軸Jを中心とする円環状である。ステータ1の径方向外周面は、ハウジング7の内壁面7Aに固定される。より具体的には、ステータ1に含まれるステータコア11の径方向外周面がハウジング7の内壁面7Aに固定される。なお、ステータ1の詳細については後述する。
【0016】
ロータ2は、ロータコア21と、マグネット22と、第1プレート23と、第2プレート24と、を有し、ステータコア11の径方向内方に配置される。ロータコア21は、上下方向に電磁鋼板を積層されて形成される。マグネット22は、上下方向に延びる平板状であり、ロータコア21の内部に収容されて周方向に複数配置される(後述の図3参照)。第1プレート23は、ロータコア21の上面に固定される。第2プレート24は、ロータコア21の下面に固定される。なお、第1プレート23および第2プレート24は、金属または樹脂などにより形成される。
【0017】
シャフト3は、上下方向に延びる柱状であり、第1プレート23、ロータコア21、および第2プレート24を上下方向に貫通してロータ2に固定される。
【0018】
第1軸受部4は、ボール軸受であり、軸受保持部71Aにより保持される。ホルダ8は、ハウジング7の下端部に固定される。ホルダ8は、上端部において軸受保持部81を有する。軸受保持部81は、中心軸Jを中心として上下方向に延びる円筒状である。第2軸受部5は、ボール軸受であり、軸受保持部81により保持される。シャフト3は、第1軸受部4および第2軸受部5により中心軸J周りに回転可能に支持される。オイルシール6は、中心軸Jを中心とする円環状であり、シャフト3と軸受保持部71Aとの間に配置される。オイルシール6は、第1軸受部4より上方に配置される。カバー9は、中心軸Jを中心とする円盤状であり、ホルダ8の下面に固定される。
【0019】
ロータ2は、ステータ1に駆動電流が供給されることにより発生する周方向のトルクによって、中心軸Jを中心として回転する。シャフト3は、ロータ2とともに回転し、駆動力を図示しない減速機に伝える。
【0020】
なお、本実施形態のモータ100は、ロータ2がステータ1の径方向内方に配置される、いわゆるインナーロータ型のモータである。ただし、本開示の技術は、インナーロータ型のモータに限らず、ロータがステータの径方向外方に配置される、いわゆるアウターロータ型のモータにも適用可能である。すなわち、本開示のモータは、ステータと、ステータと径方向に対向するロータと、を有する。
【0021】
<3.ステータ>
ステータ1は、インシュレータ10と、ステータコア11と、巻線14と、を有する。ここで、図3は、モータ100の上面断面図である。図3は、中心軸Jに垂直な平面で切断した場合の上方から視た断面図である。
【0022】
ステータコア11は、コアバック111と、ティース112と、を有する。コアバック111は、中心軸Jを中心とする円環状である。ティース112は、コアバック111の径方向内周面から径方向内方へ突出する。ティース112は、周方向に複数配置される。すなわち、ステータ1は、上下に延びる中心軸Jを中心とする環状のコアバック111と、コアバック111から径方向に延びるティース112と、を含むステータコア11を有する。
【0023】
より具体的には、ティース112は、延伸部112Aと、アンブレラ部112Bと、を有する。延伸部112Aは、コアバック111の径方向内周面から径方向内方へ延びる。アンブレラ部112Bは、延伸部112Aの径方向内端から周方向両側に延びる。アンブレラ部112Bは、中心軸Jに直交する延伸部112Aの中心線に対して周方向に対称に形成されている。アンブレラ部112Bは、延伸部112Aより周方向一方側に張り出す張出し部T1と、延伸部112Aより周方向他方側に張り出す張出し部T2と、を有する。
【0024】
インシュレータ10は、上下方向に対向する第1インシュレータ12および第2インシュレータ13を有する。第1インシュレータ12は、第2インシュレータ13よりも上方に配置される。第1インシュレータ12は、ティース112に装着され、ティース112における上部およびコアバック111における上部を覆う。第2インシュレータ13は、第1インシュレータ12の下方においてティース112に装着され、ティース112における下部およびコアバック111における下部を覆う。すなわち、ステータ1は、ティース112に少なくとも配置されるインシュレータ10を有する。第1インシュレータ12および第2インシュレータ13は、樹脂等の絶縁材により形成される。第1インシュレータ12および第2インシュレータ13は、複数のティース112ごとに設けられる。
【0025】
図4は、第1インシュレータ12および第2インシュレータ13(すなわち、インシュレータ10)の斜視図である。なお、図4は、第1インシュレータ12および第2インシュレータ13をティース112(図4で図示せず)に装着した状態を示す図である。
【0026】
第1インシュレータ12は、上面カバー部121と、第1側面カバー部122と、第2側面カバー部123と、第1張出しカバー部124と、第2張出しカバー部125と、第1コアバックカバー部126と、第2コアバックカバー部127と、を有する。
【0027】
上面カバー部121は、延伸部112Aの上面を上方から覆う。第1側面カバー部122は、延伸部112Aの周方向一方側側面を周方向一方側から覆う。第2側面カバー部123は、延伸部112Aの周方向他方側側面を周方向他方側から覆う。第1張出しカバー部124は、張出し部T1の径方向外面を径方向外方から覆う。第2張出しカバー部125は、張出し部T2の径方向外面を径方向外方から覆う。第1コアバックカバー部126は、延伸部112Aの周方向一方側において、コアバック111の径方向内周面を径方向内方から覆う。第2コアバックカバー部127は、延伸部112Aの周方向他方側において、コアバック111の径方向内周面を径方向内方から覆う。
【0028】
すなわち、第1インシュレータ12は、ティース112の周方向一方側側面を覆う第1側面カバー部122と、ティース112の周方向他方側側面を覆う第2側面カバー部123と、を有する。
【0029】
第2インシュレータ13は、下面カバー部131と、第3側面カバー部132と、第4側面カバー部133と、第3張出しカバー部134と、第4張出しカバー部135と、第3コアバックカバー部136と、第4コアバックカバー部137と、を有する。
【0030】
下面カバー部131は、延伸部112Aの下面を下方から覆う。第3側面カバー部132は、延伸部112Aの周方向一方側側面を周方向一方側から覆う。第4側面カバー部133は、延伸部112Aの周方向他方側側面を周方向他方側から覆う。第3張出しカバー部134は、張出し部T1の径方向外面を径方向外方から覆う。第4張出しカバー部135は、張出し部T2の径方向外面を径方向外方から覆う。第3コアバックカバー部136は、延伸部112Aの周方向一方側において、コアバック111の径方向内周面を径方向内方から覆う。第4コアバックカバー部137は、延伸部112Aの周方向他方側において、コアバック111の径方向内周面を径方向内方から覆う。
【0031】
すなわち、第2インシュレータ13は、ティース112の周方向一方側側面を覆う第3側面カバー部132と、ティース112の周方向他方側側面を覆う第4側面カバー部133と、を有する。
【0032】
巻線14(図3参照)は、ティース112に装着された第1インシュレータ12および第2インシュレータ13の外側に導線を巻き回されて形成される。具体的には、巻線14は、上面カバー部121、第1側面カバー部122、第3側面カバー部132、下面カバー部131、第4側面カバー部133、および第2側面カバー部123の周りに配置される。巻線14は、集中巻きにより形成される。すなわち、ステータ1は、インシュレータ10の周りに配置される巻線14を有する。第1インシュレータ12および第2インシュレータ13は、ステータコア11と巻線14との間の絶縁を確保する。
【0033】
<4.介在部材>
本開示のステータ1においては、ステータコア11とインシュレータ12,13との隙間に介在部材を配置させる。以下では、介在部材について詳細に説明する。なお、介在部材は、空気などの気体を除く。
【0034】
<4-1.第1実施形態>
ここでは、介在部材として、放熱グリスを用いた場合の実施形態について説明する。図5は、ステータ1における1つのティース112について拡大した要部拡大上面断面図である。図5は、図3を一部拡大した図に相当する。
【0035】
ステータ1の製造工程において、例えば、延伸部112Aの上面にあらかじめ放熱グリスである介在部材15を塗布しておく。そして、第1インシュレータ12をティース112に上方からかぶせる。このとき、第1インシュレータ12を下方へ押し込むと、塗布された介在部材15の一部が延伸部112Aの周方向一方側側面と第1インシュレータ12の第1側面カバー部122との隙間に流れ込むことで、介在部材15の第1部分151が当該隙間に配置される。また、塗布された介在部材15の一部が延伸部112Aの周方向他方側側面と第1インシュレータ12の第2側面カバー部123との隙間に流れ込むことで、介在部材15の第2部分152が当該隙間に配置される。
【0036】
また、塗布された介在部材15の一部がコアバック111の径方向内周面と第1インシュレータ12の第1コアバックカバー部126との隙間に流れ込むことで、介在部材15の第3部分153が当該隙間に配置される。また、塗布された介在部材15の一部がコアバック111の径方向内周面と第1インシュレータ12の第2コアバックカバー部127との隙間に流れ込むことで、介在部材15の第4部分154が当該隙間に配置される。
【0037】
また、塗布された介在部材15の一部が張出し部T1の径方向外面と第1インシュレータ12の第1張出しカバー部124との隙間に流れ込むことで、介在部材15の第5部分155が当該隙間に配置される。また、塗布された介在部材15の一部が張出し部T2の径方向外面と第1インシュレータ12の第2張出しカバー部125との隙間に流れ込むことで、介在部材15の第6部分156が当該隙間に配置される。
【0038】
なお、塗布された介在部材15の一部は、延伸部112Aの上面に残留する。また、介在部材15における第3から第6部分は、必ずしも配置されなくてもよい。
【0039】
また、第2インシュレータ13をティース112に装着する場合、例えば延伸部112Aの下面に介在部材15をあらかじめ塗布しておき、第2インシュレータ13をティース112に下方からかぶせることで、第1インシュレータ12の場合と同様に第2インシュレータ13とステータコア11との間に介在部材15を配置させることができる。
【0040】
このように、本開示のステータ1は、インシュレータ10とティース112との間に少なくとも配置される介在部材15を有する。これにより、巻線14に駆動電流が流れることで巻線14に発生する熱がインシュレータ10および介在部材15を介してティース112に伝導されるため、インシュレータ10とティース112との間に空気層が配置される場合よりも放熱性能を向上させることができる。ひいては、モータ100の性能を向上させることができる。
【0041】
また、第1インシュレータ12および第2インシュレータ13をティース112に装着する場合、塗布された介在部材15が、第1側面カバー部122と第3側面カバー部132との隙間S1(図4)、第2側面カバー部123と第4側面カバー部133との隙間S2(図4)などから漏れ出て配置される場合がある。そのような場合でも、介在部材15のうち主たる部分は、インシュレータ10とステータコア11との隙間に配置される。
【0042】
より具体的には、インシュレータ10とステータコア11との隙間に配置される介在部材15の重量をW1とし、上記隙間の外部に配置される介在部材15の重量をW2とすると、
W1≧W2×0.1を満たす。
【0043】
なお、上記隙間の外部に介在部材15が配置されない場合(W2=0)も、上記条件式は満たされる。
【0044】
また、本実施形態では、介在部材15は、放熱グリスである。これにより、後述する第2実施形態のように介在部材15として接着剤を用いるよりも、コストを抑えつつ、放熱性能を向上させることができる。
【0045】
また、介在部材15は、ティース112の周方向一方側側面と第1側面カバー部122との間、およびティース112の周方向他方側側面と第2側面カバー部123との間に少なくとも配置される。これにより、周方向一方側および周方向他方側の両方の介在部材15を介して放熱されるため、放熱性能を向上させることができる。なお、上記のような介在部材15の塗布方法により、上記のような周方向一方側および周方向他方側の両方に介在部材15を配置させることが容易となる。ただし、介在部材15の塗布方法は、上記の方法に限らない。
【0046】
介在部材15が延伸部112Aの周方向一方側側面と第1側面カバー部122との隙間を下方へ流れて、第1側面カバー部122の下端に達した場合と、介在部材15が延伸部112Aの周方向一方側側面と第3側面カバー部132との隙間を上方へ流れて、第3側面カバー部132の上端に達した場合の少なくとも一方の場合、介在部材15は、第1側面カバー部122と第3側面カバー部132との隙間S1(図4参照)に配置される。
【0047】
また、介在部材15が延伸部112Aの周方向他方側側面と第2側面カバー部123との隙間を下方へ流れて、第2側面カバー部123の下端に達した場合と、介在部材15が延伸部112Aの周方向他方側側面と第4側面カバー部133との隙間を上方へ流れて、第4側面カバー部133の上端に達した場合の少なくとも一方の場合、介在部材15は、第2側面カバー部123と第4側面カバー部133との隙間S2(図4参照)に配置される。
【0048】
これにより、ステータ1の製造工程において、ティース112の周方向一方側側面と第1側面カバー部122との間と、ティース112の周方向一方側側面と第3側面カバー部132との間の少なくとも一方に、介在部材15が十分に配置されていること、および、ティース112の周方向他方側側面と第2側面カバー部123との間と、ティース112の周方向他方側側面と第4側面カバー部133との間の少なくとも一方に、介在部材15が十分に配置されていることを作業者が容易に確認することができる。
【0049】
<4-2.第2実施形態>
本実施形態は、第1実施形態における介在部材15として、接着剤を用いる。介在部材15の塗布方法および配置形態については、第1実施形態と同様である。すなわち、本実施形態のステータ1においては、介在部材15は、接着剤である。これにより、放熱性能を向上させることができる。
【0050】
<4-3.第3実施形態>
本実施形態では、ステータ1の製造工程において、図6に示すように第1インシュレータ12の第1側面カバー部122の周方向他方側面に膨張シートとしての介在部材16を固定する。膨張シートは、内部に熱により膨張可能な材料を含むシートである。膨張シートに粘着性を有する材料を用いることで、膨張シートを第1側面カバー部122に貼り付けることができる。なお、膨張シートを両面テープにより第1側面カバー部122に貼り付けてもよい。
【0051】
図7は、本実施形態のステータ1の要部拡大上面断面図である。上記のように介在部材16を固定した第1インシュレータ12をティース112に装着することで、図7に示すように、介在部材16は、延伸部112Aの周方向一方側側面と第1インシュレータ12の第1側面カバー部122との間に配置される。
【0052】
駆動電流により巻線14が発熱した場合、図7に示すように膨張シートである介在部材16が膨張し、第1インシュレータ12が周方向一方側へ移動する。これにより、図7に示すように第1インシュレータ12の第2側面カバー部123が周方向一方側へ移動し、図8に示すように第2側面カバー部123が延伸部112Aの周方向他方側側面に直接的に接触する。従って、巻線14で発生した熱の第2側面カバー部123を介した熱伝導性が向上し、放熱性能を向上させることができる。また、介在部材16は空気層よりも熱伝導率が高いため、第1側面カバー部122を介した熱伝導性が向上される。また、介在部材16の厚みを厚くした場合、介在部材16は、第1インシュレータ12を補強する効果も奏する。さらに、第1、第2実施形態のように介在部材を塗布する作業よりも本実施形態での介在部材16を第1インシュレータ12に固定する作業のほうが作業効率が高い。
【0053】
なお、介在部材16は、第1インシュレータ12の第2側面カバー部123の周方向一方側面に固定してもよい。
【0054】
すなわち、膨張シートである介在部材16は、ティース112の周方向一方側側面と第1側面カバー部122との間と、ティース112の周方向他方側側面と第2側面カバー部123とのうち一方に配置される。膨張シートが膨張することにより、第1インシュレータ12が介在部材16側に周方向に移動し、介在部材16側と反対側において第1インシュレータ12とティース112が直接的に接触し、熱伝導率を高めることができる。また、膨張シートは、空気層よりも熱伝導率が高い。従って、放熱性能を向上させることができる。また、介在部材16は、ティース112の周方向一方側と周方向他方側のうち一方に配置すればよいため、部品点数を少なくし、作業性を向上させることができる。
【0055】
なお、第2インシュレータ13にも第1インシュレータ12と同様に、膨張シートである介在部材が固定される。また、本実施形態であっても、先述した介在部材の重量に関する条件式は満たされる。
【0056】
<5.その他>
以上、本開示の実施形態を説明した。なお、本開示の範囲は上述の実施形態に限定されない。本開示は、発明の主旨を逸脱しない範囲で上述の実施形態に種々の変更を加えて実施することができる。また、上述の実施形態で説明した事項は、矛盾を生じない範囲で適宜任意に組み合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本開示の技術は、例えば電動バイクおよび自動車等の車両、船舶、航空機、ロボット、家電等に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 ステータ
2 ロータ
3 シャフト
4 第1軸受部
5 第2軸受部
6 オイルシール
7 ハウジング
8 ホルダ
9 カバー
10 インシュレータ
11 ステータコア
12 第1インシュレータ
13 第2インシュレータ
14 巻線
15 介在部材
16 介在部材
21 ロータコア
22 マグネット
23 第1プレート
24 第2プレート
71 底部
71A 軸受保持部
81 軸受保持部
100 モータ
111 コアバック
112 ティース
112A 延伸部
112B アンブレラ部
121 上面カバー部
122 第1側面カバー部
123 第2側面カバー部
124 第1張出しカバー部
125 第2張出しカバー部
126 第1コアバックカバー部
127 第2コアバックカバー部
131 下面カバー部
132 第3側面カバー部
133 第4側面カバー部
134 第3張出しカバー部
135 第4張出しカバー部
136 第3コアバックカバー部
137 第4コアバックカバー部
151 第1部分
152 第2部分
153 第3部分
154 第4部分
155 第5部分
156 第6部分
200 電動バイク
201 バイク本体部
201a 座部
202 前輪
203 後輪
204 ハンドル
J 中心軸
S1,S2 隙間
T1,T2 張出し部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8