IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -半導体装置 図1
  • -半導体装置 図2
  • -半導体装置 図3
  • -半導体装置 図4
  • -半導体装置 図5
  • -半導体装置 図6
  • -半導体装置 図7
  • -半導体装置 図8
  • -半導体装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-01-05
(45)【発行日】2026-01-14
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H10D 30/66 20250101AFI20260106BHJP
   H10D 12/00 20250101ALI20260106BHJP
【FI】
H10D30/66 103Q
H10D30/66 101F
H10D30/66 103S
H10D30/66 102E
H10D30/66 101L
H10D30/66 101C
H10D30/66 201A
H10D12/00 101P
H10D12/00 101A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022150351
(22)【出願日】2022-09-21
(65)【公開番号】P2023075028
(43)【公開日】2023-05-30
【審査請求日】2025-01-09
(31)【優先権主張番号】17/529,863
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長田 尚
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-005483(JP,A)
【文献】特開2007-294668(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0269296(US,A1)
【文献】特開2014-216352(JP,A)
【文献】国際公開第2015/080162(WO,A1)
【文献】特開2020-107707(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10D 30/66
H10D 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板に形成される複数のIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)と、
ゲート電極と、
前記複数のIGBTのゲートに接続される複数のゲート配線と、
前記ゲート電極および前記複数のゲート配線に接続されるゲート抵抗と、を備え、
前記ゲート抵抗は、
抵抗素子と、
前記ゲート電極および前記抵抗素子を接続する第1のコンタクトと、
前記抵抗素子および前記複数のゲート配線を接続する、前記複数のゲート配線のそれぞれに対応した複数の第2のコンタクトと、を備え、
前記複数の第2のコンタクトのそれぞれは、前記第1のコンタクトと異なる距離で形成され
前記複数のゲート配線は、
第1のゲート配線と、
前記第1のゲート配線よりも長い第2のゲート配線と、を有し、
前記複数の第2のコンタクトは、
前記第1のゲート配線と接続される第3のコンタクトと、
前記第2のゲート配線と接続される第4のコンタクトと、を有し、
前記第1のコンタクトと前記第3のコンタクトとの距離は、前記第1のコンタクトと前記第4のコンタクトとの距離よりも長い、半導体装置。
【請求項2】
前記半導体基板は、表面から見て第1の領域および第2の領域を有し、
前記複数のIGBTは、前記第1の領域および前記第2の領域のそれぞれに形成されるIGBTであり、
前記第1のゲート配線は、前記第1の領域に形成されるIGBTのゲートに接続され、
前記第2のゲート配線は、前記第2の領域に形成されるIGBTのゲートに接続される、請求項に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の領域と前記ゲート電極との距離は、前記第2の領域と前記ゲート電極との距離よりも短い、請求項に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記抵抗素子は、ポリシリコンを含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記複数のIGBTのゲートは、トレンチゲートである、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
半導体基板と、
前記半導体基板に形成される複数のIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)と、
ゲート電極と、
前記複数のIGBTのゲートに接続される複数のゲート配線と、
前記ゲート電極および前記複数のゲート配線に接続されるゲート抵抗と、を備え、
前記ゲート抵抗は、
抵抗素子と、
前記ゲート電極および前記抵抗素子を接続する第1のコンタクトと、
前記抵抗素子および前記複数のゲート配線を接続する、前記複数のゲート配線のそれぞれに対応した複数の第2のコンタクトと、を備え、
前記複数の第2のコンタクトのそれぞれは、前記第1のコンタクトと異なる距離で形成され、
前記複数のIGBTのゲートは、トレンチゲートであり、
前記複数のIGBTのそれぞれのトレンチゲートは、第1のトレンチゲートおよび第2のトレンチゲートで構成され、
前記第1のトレンチゲートは、前記第2のトレンチゲートよりも前記半導体基板の表面側に形成され、
前記第2のトレンチゲートは、前記第1のトレンチゲートの下側に形成され、
前記複数のゲート配線は、
前記第1のトレンチゲートに接続される第1のゲート配線と、
前記第2のトレンチゲートに接続される第2のゲート配線と、を有し、
前記複数の第2のコンタクトは、
前記第1のゲート配線と接続される第3のコンタクトと、
前記第2のゲート配線と接続される第4のコンタクトと、を有し、
前記第1のコンタクトと前記第3のコンタクトとの距離は、前記第1のコンタクトと前記第4のコンタクトとの距離よりも短い、半導体装置。
【請求項7】
前記第1のゲート配線は、
前記複数のIGBTのうちの第1のIGBTの前記第1のトレンチゲートに接続される第3のゲート配線と、
前記複数のIGBTのうちの第2のIGBTの前記第1のトレンチゲートに接続され、前記第3のゲート配線よりも長い第4のゲート配線と、を有し、
前記第3のコンタクトは、
前記第3のゲート配線と接続される第5のコンタクトと、
前記第4のゲート配線に接続される第6のコンタクトと、を有し
前記第1のコンタクトと前記第5のコンタクトとの距離は、前記第1のコンタクトと前記第6のコンタクトとの距離よりも長い、請求項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体基板は、表面から見て第1の領域および第2の領域を有し、
前記第1のIGBTは前記第1の領域に形成され、前記第2のIGBTは前記第2の領域に形成される、請求項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1の領域と前記ゲート電極との距離は、前記第2の領域と前記ゲート電極との距離よりも短い、請求項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置に関し、特にIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を備えた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大電力を扱う電力用パワーモジュールの中には、複数のIGBT搭載チップを並列接続して構成されるものがある。このパワーモジュールでは、複数のIGBTが一斉に動作するため、スイッチング動作安定化のためのゲート抵抗が内蔵される。
【0003】
特許文献1には、ストライプ形状を有するゲート抵抗(ポリシリコン)を形成する技術が開示されている。これにより、チップ面積の増大を抑制することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-92214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術により、ゲート抵抗部分の面積は縮小可能である。また、ストライプ形状を調整することにより、1つのIGBTチップ全体のゲート抵抗値を調整することが可能である。しかしながら、特許文献1には、IGBTチップ内に存在する複数のIGBTそれぞれのゲート抵抗値を調整することに関する記載はない。
【0006】
一般的にIGBTチップは、その表面の大部分を占める領域にエミッタパッドが形成され、ゲートパッドはその周囲部分に形成される。IGBTチップ内には複数のIGBTが形成されていると言える。複数のIGBTそれぞれのゲートには、ゲートパッド(ゲート電極)から、ゲート抵抗とゲート配線経由でゲート電位が与えられる。ここで、例えば、ゲートパッド(または、特許文献1のように形成したポリシリコンのゲート抵抗)の近傍にあるIGBTと、ゲートパッドから遠くにあるIGBTとでは、ゲート配線長に起因して、ゲート抵抗値が異なる。すなわち、IGBTチップ内の複数のIGBTそれぞれのゲート抵抗値は、ばらつくことになる。IGBTチップ内の複数のIGBTそれぞれのゲート抵抗値がばらつくと、IGBTそれぞれのスイッチング(ターンオン/ターンオフ)にばらつきが生じる。複数のIGBTのスイッチングのばらつきは、IGBTチップの破壊耐量の低下や、スイッチング損失増大を招く。
【0007】
ゲート抵抗値のばらつきは、IGBTチップのサイズに比例すると言える。大電力用(高耐圧、大電流)のIGBTチップでは、チップサイズが大きくなるため、上述した課題が更に問題となる。本課題の解決が求められる。
【0008】
その他の課題および新規な特徴は、本明細書および図面の記載から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施の形態に係る半導体装置は、半導体基板と、半導体基板に形成されるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)と、ゲート電極と、IGBTのゲートに接続される複数のゲート配線と、ゲート電極と複数のゲート配線に接続されるゲート抵抗と、を備え、ゲート抵抗は、抵抗素子と、ゲート電極と抵抗素子を接続する第1のコンタクトと、抵抗素子と複数のゲート配線を接続する、複数のゲート配線のそれぞれに対応した複数の第2のコンタクトと、を備え、複数の第2のコンタクトのそれぞれは、第1のコンタクトと異なる距離で形成される。
【発明の効果】
【0010】
一実施の形態に係る半導体装置では、半導体装置内の複数のIGBTの動作の安定化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は実施の形態1に係る半導体装置の平面図である。
図2図2は実施の形態1に係る半導体装置の平面図である。
図3図3は実施の形態1に係る半導体装置の断面図である。
図4図4は実施の形態1に係る半導体装置の断面図である。
図5図5は実施の形態1に係る半導体装置の断面図である。
図6図6は実施の形態2に係る半導体装置の断面図である。
図7図7は実施の形態2に係る半導体装置の動作を説明するための図である。
図8図8は実施の形態2に係る半導体装置の平面図である。
図9図9は実施の形態2に係る半導体装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、一実施の形態に係る半導体装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、明細書および図面において、同一の構成要件または対応する構成要件には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面では、説明の便宜上、構成を省略または簡略化している場合もある。また、各実施の形態の少なくとも一部は、互いに任意に組み合わされてもよい。
【0013】
[実施の形態1]
(半導体装置の構成)
図1は、本実施の形態1に係る半導体装置である半導体(IGBT)チップ100の平面図である。図1では、理解を簡単にするために絶縁膜を透過にした状態としている。図1で示される通り、半導体チップ100の表面の大部分はエミッタパッド8~11(エミッタ電極の保護膜で覆われていない部分)で覆われている。ゲートパッド1およびゲート電極2は、半導体チップ100の左隅に形成されている。また、半導体チップ100の裏面にはコレクタ電極12が形成されている。ゲートパッド1にはゲート電位が供給され、エミッタパッド8~11にはエミッタ電位が供給される。ゲート配線4~7は、ゲート抵抗3を介してゲート電極2(ゲートパッド1)に接続される。
【0014】
図2は、ゲート抵抗3の拡大図である。また、図3は、図2のB-B’線に沿った断面図である。図3で示される通り、ゲート抵抗3は、ゲート電極2とゲート配線4~7の下に形成される抵抗素子15と、コンタクト16~20で構成される。ゲート電極2とゲート配線4~7は、例えばアルミニウム(Al)で形成される。抵抗素子15は、例えばポリシリコン(Poly-Si)で形成される。なお、13は保護膜、14は層間絶縁膜(SiO)である。
【0015】
コンタクト16(第1のコンタクト)はゲート電極2と抵抗素子15を接続する。コンタクト17~20(第2のコンタクト)は、それぞれゲート配線4~7と抵抗素子15を接続する。ここで、抵抗素子15によって、ゲート配線4~7に寄与する抵抗値をそれぞれR1~R4とする。図3から明らかなように、ゲート電極2からの距離に応じて、R1<R2<R3<R4となる。
【0016】
次に、半導体チップ100に形成されるIGBTについて、図4、5を用いて説明する。図4は、図1の領域Aの拡大図である。図5は、図4のC-C’線に沿った断面図である。図4、5は、半導体チップ100に形成されるIGBTの一例を示すものである。ここでは、IE型のIGBTの一種であるGE-S型(GE型のシュリンク構造)のIGBTを示している。
【0017】
図4、5で示される通り、半導体チップ100は、半導体基板60に、エミッタ電極10、コレクタ電極12、p+型のコレクタ層46、n+型のフィールドストップ層47およびn-型のドリフト層48が形成される。半導体チップ100は、更に、ゲート電位が供給されるゲート電位トレンチ電極(ゲート電位のトレンチゲートとも呼ぶ)41、および、エミッタ電位が供給されるエミッタ電位トレンチ電極(エミッタ電位のトレンチゲートとも呼ぶ)42を有する。ゲート電位トレンチ電極41とエミッタ電位トレンチ電極42との間には、高濃度n+型のホールバリア層45が形成される。ゲート電位トレンチ電極41、エミッタ電位トレンチ電極42およびホールバリア層45で形成される領域がアクティブセル領域である。2つのアクティブセル領域の間には、p型のフローティング層44(ノンアクティブセル領域)およびp型のボディ層40が形成される。
【0018】
エミッタ電位トレンチ電極42には、エミッタ電極10がコンタクト43を介して接続される。エミッタ電極10は、コンタクト43とボディコンタクトとを介してp+型のボディ層51に接続される。ゲート電位トレンチ電極41とエミッタ電極10のコンタクト43との間には、n+型のエミッタ層52およびp+型のベース層53が形成される。なお、図5の符号49はゲート絶縁膜であり、符号50は層間絶縁膜である。
【0019】
以上説明したIGBTは、エミッタ電極8、9、10、11の下に形成される。
【0020】
再び図1に戻って、本実施の形態1の半導体チップ100について説明する。ゲート配線4は、エミッタ電極8の下に形成されるIGBTのゲート電位トレンチ電極41に接続される。ゲート配線5は、エミッタ電極9の下に形成されるIGBTのゲート電位トレンチ電極41に接続される。ゲート配線6は、エミッタ電極10の下に形成されるIGBTのゲート電位トレンチ電極41に接続される。ゲート配線7は、エミッタ電極11の下に形成されるIGBTのゲート電位トレンチ電極41に接続される。
【0021】
図1から明らかなように、エミッタ電極8、9、10、11の順に、ゲートパッド1からの距離が遠い。そして、ゲート配線4、5、6、7の順に配線長が長い。言い換えると、各ゲート配線の抵抗値は、ゲート配線4>ゲート配線5>ゲート配線6>ゲート配線7となる。各ゲート配線とゲートパッド1(ゲート電極2)との間には、上述したゲート抵抗3が接続される。すなわち、エミッタ電極8~11の下に形成されるIGBTのゲート抵抗は、それぞれ、ゲート配線4の抵抗値+R1、ゲート配線5の抵抗値+R2、ゲート配線6の抵抗値+R3、ゲート配線7の抵抗値+R4となる。上述した通り、R1<R2<R3<R4であることから、製造時にゲート抵抗3を調整することにより、ゲート配線4の抵抗値+R1≒ゲート配線5の抵抗値+R2≒ゲート配線6の抵抗値+R3≒ゲート配線7の抵抗値+R4とすることが可能となる。
(効果)
【0022】
以上の様に、本実施の形態1に係るIGBTチップ100では、IGBTのゲートに接続される複数のゲート配線と、ゲート配線それぞれに抵抗値の異なるゲート抵抗を接続している。これにより、ゲート配線のばらつきに起因するチップ内のIGBT動作のばらつきを抑制することが可能となる。
【0023】
なお、本実施の形態1はGE-S型のIGBTで説明したが、これに限られない。他の型(例:GG、EGE、GGEEなど)のIGBTでもよいし、トレンチゲートを有しないプレーナゲート構造のIGBTでもよい。
【0024】
[実施の形態2]
(半導体装置の構成)
図6は、実施の形態2に係るIGBTの構造を示す図である。実施の形態1と同様に、図6は、図4のC-C’線に沿った断面図である。実施の形態1との違いは、ゲート電位トレンチ電極である。実施の形態1のゲート電位トレンチ電極41は、本実施の形態2では、2つのゲート電位トレンチ電極41a、41bで構成される。
【0025】
図7を用いて、2つのゲート電位トレンチ電極41a、41bの意味を説明する。図7は、複数のIGBTを並列に接続した際に生じる共振現象を説明するための図である。図7で示される通り、複数(図7では2つ)のIGBTを並列接続すると、寄生容量(C1、C2)によりループ回路(破線)が形成される。ループ回路には、寄生インダクタンス(L1、L2)も含まれる。寄生容量および寄生インダクタンスでループ回路が形成されると、共振現象が現れる。図7の下図は、共振現象を抑制するためのダンピング抵抗Rをループ回路に挿入した場合の等価回路である。等価回路における共振周波数fと共振条件Qは、図7に示される通りである。
【0026】
共振現象が発生すると半導体装置(IGBTチップ)100の動作が不安定となるため、共振現象は抑制することが望ましい。共振条件Qを参照すると、ダンピング抵抗Rを大きくすることで共振現象が抑制できることがわかる。IGBTの場合は、ゲート抵抗がダンピング抵抗Rとして機能するため、ゲート抵抗を大きくすることで共振現象を抑制することができる。しかしながら、ゲート抵抗を単純に大きくしてしまうと、IGBTのスイッチング動作が遅くなる。つまり、共振現象の抑制とスイッチング損失の低減の両立を考慮して、ゲート抵抗を決める必要がある。そこで本実施の形態2では、ゲート電位トレンチ電極を2つに分割することでこの両立を実現する。
【0027】
本実施の形態2では、IGBTは2つのゲート電位トレンチ電極41a、41bを有する。上側にあるゲート電位トレンチ電極41aは、ゲート電位トレンチ電極41bと比べて、IGBTのスイッチング動作に対する寄与度が大きいため、ゲート電位トレンチ電極41aには、小さなゲート抵抗を接続する。ゲート電位トレンチ電極41bは、ダンピング抵抗としての寄与度が大きいため、ゲート電位トレンチ電極41bには、大きなゲート抵抗を接続する。このようにすることで、共振現象の抑制とスイッチング損失の低減の両立が可能となる。
【0028】
ゲート電位トレンチ電極41a、41bに接続するゲート抵抗は、実施の形態1で説明したゲート抵抗3と同様の構造を利用することで実現可能である。図8、9は一例である。ゲート抵抗3aには、図1の構造に加え、抵抗R4よりも更に大きな抵抗値を持つ抵抗R5が設けられる。抵抗R5は、ゲートパッド1(ゲート電極2)とゲート配線54に接続される。ゲート配線54は、エミッタパッド8~11の下に形成されるIGBTのゲート電位トレンチ電極41aに接続される。ゲート電位トレンチ電極41bに接続されるゲート抵抗およびゲート配線は、実施の形態1のゲート電位トレンチ電極41と同様である。
【0029】
ゲート電位トレンチ電極41aのゲート抵抗のばらつきが問題になる場合は、実施の形態1と同様に、抵抗R5およびゲート配線54をゲートパッド1からの距離に応じて複数設けることで、ゲート抵抗のばらつきを抑制することが可能である。
【0030】
なお、本実施の形態2は、共振現象の対策として有効であるが、他の効果もある。トレンチゲート型のIGBTにおいて、トレンチゲートにホットホールが注入される不具合現象が確認されている。IGBTがターンオフするとき、トレンチゲート底部近傍でダイナミックアバランシェが発生し、かつ、Vceが高電圧となる(結果として、ホットホールが発生する)。この状態でターンオフが完了し、トレンチゲートの電圧がマイナスになると、トレンチゲート底部近傍に発生したホットホールがトレンチゲートに注入されてしまう。本実施の形態2では、ゲート電位トレンチ電極41aと比べ、ゲート電位トレンチ電極41b(トレンチゲート底部)のゲート抵抗が大きい。すなわち、ゲート電位トレンチ電極41aの動作タイミングとゲート電位トレンチ電極41bの動作タイミングとをずらすことが可能となる(ゲート電位トレンチ電極41bの動作の方が遅くなる)。ホットホールの発生とトレンチゲート底部の電圧がマイナスになるタイミングをずらすことができるため、上述した不具合現象を抑制することが可能になる。
【0031】
(効果)
以上の様に、本実施の形態2に係る半導体チップ100aでは、IGBTのゲートに接続される複数のゲート配線と、ゲート配線それぞれに抵抗値の異なるゲート抵抗とを接続している。また、IGBTのゲート電位トレンチ電極を2つに分割し、それぞれに抵抗値の異なるゲート抵抗を接続している。これにより、実施の形態1の効果に加え、共振現象の抑制とスイッチング損失の低減の両立が可能となる。更には、トレンチゲートへのホットホール注入の不具合を抑制することができる。
【0032】
なお、本実施の形態2はGE-S型のIGBTで説明したが、これに限られない。トレンチゲートを有する他の型のIGBTでもよい。
【0033】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更され得る。
【符号の説明】
【0034】
100、100a 半導体チップ(半導体装置)
1 ゲートパッド
2 ゲート電極
3、3a ゲート抵抗
4、5、6、7、54 ゲート配線
8、9、10、11 エミッタパッド(エミッタ電極)
12 コレクタ電極
13 保護膜
14 層間絶縁膜
15 抵抗素子
16、17、18、19、20 コンタクト
40 p型のボディ層
41、41a、41b ゲート電位トレンチ電極
42 エミッタ電位トレンチ電極
43 コンタクト
44 p型のフローティング層
45 n+型のホールバリア層
46 p+型のコレクタ層
47 n+型のフィールドストップ層
48 n-型のドリフト層
49 ゲート酸化膜
50 層間絶縁膜
51 p+型のボディ層
52 n+型のエミッタ層
53 p+型のベース層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9