(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-01-07
(45)【発行日】2026-01-16
(54)【発明の名称】電動制動装置
(51)【国際特許分類】
B60T 13/138 20060101AFI20260108BHJP
B60T 8/42 20060101ALI20260108BHJP
【FI】
B60T13/138 A
B60T8/42
(21)【出願番号】P 2021178951
(22)【出願日】2021-11-01
【審査請求日】2024-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大竹 毅
(72)【発明者】
【氏名】高橋 淳
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-178106(JP,A)
【文献】特表平09-512511(JP,A)
【文献】特表2013-532604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/12-8/1769
8/32-8/96
13/00-13/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータの回転運動をシリンダ内のピストンを駆動する直線運動に変換する複数の電動シリンダ装置と、前記電気モータを制御する回路基板と、を備え、前記電動シリンダ装置の作動により、車両に付与する制動力を調整する電動制動装置であって、
前記複数の電動シリンダ装置は、互いの前記ピストンの軸線を平行にして、前記ピストンの径方向である整列方向に隣り合って配置されており、
前記回路基板は、当該回路基板の板面を前記ピストンの軸線に対して平行に、長手方向を前記整列方向に向けた姿勢で、前記複数の電動シリンダ装置と隣り合って配置されている
電動制動装置。
【請求項2】
前記電気モータは、前記ピストンの軸線に沿う方向に前記電気モータの軸線が延びる姿勢で配置されている
請求項1に記載の電動制動装置。
【請求項3】
前記電気モータは、前記電気モータの軸線が前記ピストンの軸線と交差する姿勢で配置されている
請求項1に記載の電動制動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイールシリンダへのブレーキ液の供給によって車輪で制動力を発生させる電動制動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の電動制動装置は、複数のホイールシリンダへのブレーキ液の給排を行う電動シリンダ装置と、電動シリンダ装置を支持する筐体と、筐体に取り付けられている基板ケースと、基板ケース内に収容されている回路基板とを備えている。当該電動制動装置では、電動シリンダ装置の動力源である電気モータのハウジングと基板ケースとの間に筐体が配置されている。また、電動シリンダ装置のシリンダは、筐体から基板ケース内まで突出している。そのため、回路基板は、シリンダのうちの基板ケース内に突出している部分との接触を避けるように設計されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の電動制動装置にあっては、シリンダの一部が基板ケース内に位置している。そのため、シリンダと回路基板との接触を避けるように回路基板を設計しなければならず、回路基板を設計する上での制約が多くなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための電動制動装置は、電気モータの回転運動をシリンダ内のピストンを駆動する直線運動に変換する複数の電動シリンダ装置と、前記電気モータを制御する回路基板と、を備え、前記電動シリンダ装置の作動により、車両に付与する制動力を調整する装置である。この電動制動装置において、前記複数の電動シリンダ装置は、互いの前記ピストンの軸線を平行にして、前記ピストンの径方向である整列方向に隣り合って配置されている。前記回路基板は、当該回路基板の板面を前記ピストンの軸線に対して平行に、長手方向を前記整列方向に向けた姿勢で、前記複数の電動シリンダ装置と隣り合って配置されている。
【0006】
なお、「互いのピストンの軸線を平行」とは、互いのピストンの軸線が実質的に平行であればよく、製造誤差や組み立て誤差などによって僅かにずれているものも含んでいる。
上記構成では、回路基板は、複数の電動シリンダ装置と隣り合って配置されている。そのため、シリンダの大きさや形状を考慮せずに回路基板を設計できる。したがって、回路基板を設計する上での制約を少なくできる。
【0007】
また、複数の電動シリンダ装置は整列方向に並んだ態様で筐体に支持されているため、電動制動装置の整列方向における寸法は大きくなりやすい。そこで、回路基板の長手方向を整列方向に向けた姿勢で、回路基板が筐体に対して配置されている。これにより、電動制動装置の大型化の抑制が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態の電動制動装置の断面と、車輪に対して設けられている摩擦ブレーキの概略構成とを示す図である。
【
図3】
図3は、同電動制動装置の分解斜視図である。
【
図4】
図4は、同電動制動装置の一部を破断した平面図である。
【
図5】
図5は、同電動制動装置において、複数のシリンダの軸線と回路基板との位置関係を示す模式図である。
【
図6】
図6は、変更例の電動制動装置を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、電動制動装置を、車両が備える電動制動装置に具体化した一実施形態を
図1~
図5に従って説明する。
図1には、本実施形態の電動制動装置30と、複数の車輪11と、複数の摩擦ブレーキ20とが図示されている。1つの車輪11に対して1つの摩擦ブレーキ20が設けられている。
【0010】
<摩擦ブレーキ20>
摩擦ブレーキ20は、車輪11と一体に回転する被摩擦部21と、摩擦部22と、ホイールシリンダ23とを備えている。ホイールシリンダ23にブレーキ液が供給されてホイールシリンダ23内の液圧が高くなると、摩擦部22が被摩擦部21に押し付けられる。これにより、車輪11で制動力が発生する。
【0011】
<電動制動装置30>
図2は電動制動装置30を示す斜視図である。
図2には、互いに直交する第1軸X、第2軸Y及び第3軸Zが図示されている。第1軸Xに沿う2つの方向のうち、一方を第1X軸方向X1といい、他方を第2X軸方向X2という。第2軸Yに沿う2つの方向のうち、一方を第1Y軸方向Y1といい、他方を第2Y軸方向Y2という。第3軸Zに沿う2つの方向のうち、一方を第1Z軸方向Z1といい、他方を第2Z軸方向Z2という。なお、本実施形態において、「軸に沿う方向」とは、軸の延びる方向と実質的に同じであればよく、製造誤差や組み立て誤差などによって僅かにずれているものも含んでいる。
【0012】
図1及び
図2に示すように、電動制動装置30は電動シリンダユニット300を有している。電動シリンダユニット300は、筐体31と、複数の電動シリンダ装置と、基板ケース40と、回路基板45とを備えている。そして、電動シリンダユニット300は、電動シリンダ装置50A,50Bの作動により、車両に付与する制動力を調整する。なお、本実施形態では2つの電動シリンダ装置50A,50Bが設けられている。
【0013】
<<筐体31>>
図1及び
図3に示すように、筐体31は2つの電動シリンダ装置50A,50Bを支持している。筐体31には、筐体31を第1軸Xに沿う方向に貫通する挿通孔32が設けられている。筐体31には電動シリンダ装置50A,50Bと同数の挿通孔32が設けられている。2つの挿通孔32は、第3軸Zに沿う方向に並んでいる。筐体31は、挿通孔32内に電動シリンダ装置50A,50Bの一部分を収容した態様で2つの電動シリンダ装置50A,50Bを支持している。
【0014】
なお、筐体31は、ブレーキシステムを満たすための他の要素部品も支持している。他の要素部品の例としては、ソレノイドアクチュエータ、圧力センサなど、回路基板45と接続される部品が挙げられる。さらに、筐体31は各部品間を繋ぐ液路としての機能も有している。例えば、筐体31には、ホイールシリンダ23へ配管を繋ぐための油口や、電動シリンダ装置50A,50Bと前述のソレノイドアクチュエータや圧力センサなどを繋ぐ液路が設けられている。
【0015】
筐体31は、当該筐体31に挿通孔32を設けることによって開口が形成された2つの側面33,34を有している。2つの側面33,34のうち、第1X軸方向X1に位置する側面を支持側面33といい、第2X軸方向X2に位置する側面を突出側面34という。支持側面33及び突出側面34は、例えば、第1軸Xと直交する平面である。なお、筐体31の側面のうち、支持側面33の第1Y軸方向Y1の端と、突出側面34の第1Y軸方向Y1の端とを接続する側面を、基板対向側面35という。前述のソレノイドアクチュエータ及び圧力センサは、基板対向側面35に配置され、基板ケース40内に設けられている回路基板45と電気的に接続される。
【0016】
<<電動シリンダ装置50A,50B>>
図1に示すように、電動シリンダ装置50A,50Bは、動力源である電気モータ60と、回転伝達機構70と、直動変換機構80と、シリンダ51と、ピストン56とを備えている。電動シリンダ装置50A,50Bは、電気モータ60の駆動に応じたシリンダ51内でのピストン56の直線運動によってホイールシリンダ23へのブレーキ液の給排を行う。すなわち、電動シリンダ装置50A,50Bは、電気モータ60の回転運動をシリンダ51内でのピストン56を駆動する直線運動に変換する。
【0017】
シリンダ51は、挿通孔32に挿通された状態で筐体31に支持されている。そのため、シリンダ51の軸線51aは、挿通孔32の軸線と同じ方向に延びている。すなわち、シリンダ51の軸線51aは、第1軸Xに沿う方向に延びている。
【0018】
シリンダ51は、筒状をなす本体部52と、本体部52の第2X軸方向X2の端を閉塞する底壁53と、本体部52の第1X軸方向X1の端に接続されているフランジ54とを有している。フランジ54は、筐体31の支持側面33に面接触している。そして例えば、
図4に示すようにフランジ54は筐体31にボルト締結されている。
【0019】
図1及び
図2に示すように、本体部52は挿通孔32内を挿通している。そして、本体部52のうち、第2X軸方向X2の端部である先端部が、筐体31から第2X軸方向X2に突出している。
【0020】
上述したように2つの挿通孔32が第3軸Zに沿う方向に並んでいるため、2つの電動シリンダ装置50A,50Bは第3軸Zに沿う方向に並んでいる。2つの電動シリンダ装置50A,50Bのうち、1つの電動シリンダ装置(例えば、電動シリンダ装置50A)を「第1電動シリンダ装置」とし、残りの電動シリンダ装置(例えば、電動シリンダ装置50B)を第2電動シリンダ装置とする。このとき、第3軸Zに沿う方向は、第1電動シリンダ装置である電動シリンダ装置50Aのシリンダ51の径方向の一例となる。つまり、第3軸Zに沿う方向が、複数の電動シリンダ装置50A,50Bの「整列方向」に相当する。したがって、本実施形態では、2つの電動シリンダ装置50A,50Bは、上記の整列方向に並んだ態様で筐体31に支持されている。
【0021】
さらに、第1電動シリンダ装置である電動シリンダ装置50Aにおいては、シリンダ51の軸線51aが第1軸Xに沿う方向に延びている。同様に、第2電動シリンダ装置である電動シリンダ装置50Bにおいても、シリンダ51の軸線51aが第1軸Xに沿う方向に延びている。つまり、複数の電動シリンダ装置50A,50Bは、互いのシリンダ51の軸線51aを平行にしてそれぞれ配置されている。
【0022】
ここで、シリンダ51の軸線51aはピストン56の軸線でもある。また、シリンダ51の径方向はピストン56の径方向でもある。そのため、本実施形態では、複数の電動シリンダ装置50A,50Bは、互いのピストン56の軸線を平行にして、ピストン56の径方向である整列方向に隣り合って配置されていると云える。
【0023】
なお、電動シリンダユニット300を分解する場合、フランジ54と筐体31との固定を解除することによって、シリンダ51を筐体31から取り外すことができる。すなわち、2つの電動シリンダ装置50A,50Bは、シリンダ51を筐体31に対して第1X軸方向X1に相対移動させることによって筐体31から取り外し可能な態様で筐体31に支持されている。すなわち、本実施形態では、第1X軸方向X1が、筐体31から電動シリンダ装置50A,50Bを取り外す際に電動シリンダ装置50A,50Bを筐体31に対して相対移動させる「取り外し方向」に対応する。
【0024】
ピストン56は、シリンダ51内でシリンダ51の軸線51aの延びる方向に進退移動する。すなわち、ピストン56は、第1X軸方向X1及び第2X軸方向X2に移動可能である。ピストン56が第2X軸方向X2に移動すると、シリンダ51内からホイールシリンダ23に向けてブレーキ液が供給される。一方、ピストン56が第1X軸方向X1に移動すると、ホイールシリンダ23からシリンダ51に向けてブレーキ液が排出される。
【0025】
電気モータ60は、モータハウジング61と、ステータ62と、ロータ63と、ロータ63と一体に回転する出力軸64とを有している。モータハウジング61は、筐体31よりも第1X軸方向X1に配置されている。具体的には、モータハウジング61は、フランジ54上に載置された態様でシリンダ51に固定されている。こうしたモータハウジング61内にステータ62及びロータ63が収容されている。出力軸64は、モータハウジング61外に突出している。出力軸64は第1軸Xに沿う方向に延びている。そのため、シリンダ51の軸線51aに沿う方向に電気モータ60の軸線が延びている。具体的には、電気モータ60が、シリンダ51と同軸配置されている。本実施形態では、出力軸64は、モータハウジング61から第2X軸方向X2に突出している。
【0026】
なお、モータハウジング61内には、ロータ63の回転角を検出するモータ角センサ66が設けられている。例えば、モータ角センサ66はレゾルバである。こうしたモータ角センサ66は、ロータ63の回転に応じた信号である検出信号を回路基板45に出力する。
【0027】
図3及び
図4に示すように、本実施形態では、電気モータ60は、モータハウジング61から径方向外側に延出する延出部67を備えている。具体的には、延出部67は、モータハウジング61から第1Y軸方向Y1に向けて延出している。延出部67には、第2X軸方向X2、すなわち基板ケース40に向けて突出する雄コネクタ68が設けられている。雄コネクタ68には、電気モータ60に電気的に接続されている受電用端子、及び、モータ角センサ66の信号線が電気的に接続される端子であるセンサ用端子が設けられている。
【0028】
回転伝達機構70は、電気モータ60の回転運動を直動変換機構80に伝達する。具体的には、回転伝達機構70は、電気モータ60の回転運動を減速して直動変換機構80に伝達する減速機構である。例えば
図1に示すように、回転伝達機構70は、サンギア71、リングギア72及び複数のピニオンギア73を有している。複数のピニオンギア73は、サンギア71及びリングギア72の双方と噛み合っているとともに、自転及び公転が可能である。サンギア71に電気モータ60の出力軸64が連結されているため、サンギア71は出力軸64と一体回転する。複数のピニオンギア73は、出力ピン74を介して直動変換機構80に接続されている。
【0029】
直動変換機構80は、回転伝達機構70から伝達された回転運動を直線運動に変換してピストン56に出力する。直動変換機構80は、例えば、ボールねじ機構又は送りねじ機構である。こうした直動変換機構80は、複数の出力ピン74が接続されている回転部81と、直動部82とを有している。複数の出力ピン74から回転運動が回転部81に伝達されると、回転部81が回転するとともに、回転部81の回転方向に応じた方向に直動部82が直線移動する。直動部82が第2X軸方向X2に移動すると、直動部82に押されてピストン56が第2X軸方向X2に移動する。一方、直動部82が第1X軸方向X1に移動すると、直動部82がピストン56を第2X軸方向X2に引き、さらにシリンダ51内の液圧によって助勢されてピストン56が第1X軸方向X1に移動する。本実施形態では、回転部81としてねじが採用されており、ねじの径方向外側に配置されているナットが直動部82として採用されている。
【0030】
<<基板ケース40及び回路基板45>>
図1及び
図2に示すように、基板ケース40は概ね直方体状をなしており、その内部に回路基板45が収容されている。基板ケース40は筐体31に固定されている。第1軸Xに沿う方向は、電動シリンダ装置50A,50Bのシリンダ51の軸線51aの延びる方向でもあり、第3軸Zに沿う方向は上記整列方向である。そのため、基板ケース40は、第1軸X及び第3軸Zの双方と直交する第2軸Yに沿う方向で筐体31と隣り合っているといえる。言い換えると、
図3及び
図4に示すように、基板ケース40は、基板対向側面35に対向する姿勢で筐体31に固定されている。このとき、基板ケース40の第3軸Zに沿う方向における寸法は、基板ケース40の第1軸Xに沿う方向における寸法及び基板ケース40の第2軸Yに沿う方向における寸法の何れよりも大きい。基板ケース40の第1軸Xに沿う方向における寸法は、基板ケース40の第2軸Yに沿う方向における寸法よりも大きい。
【0031】
基板ケース40の第1Z軸方向Z1における寸法は、筐体31の第1Z軸方向Z1における寸法よりも大きい。そして、基板ケース40の第1Z軸方向Z1における端部には、電源コネクタ41が配置されている。電源コネクタ41は、基板ケース40から第2Y軸方向Y2に突出しているとともに、筐体31よりも第1Z軸方向Z1に位置している。そして、回路基板45には、電源コネクタ41を介して車載の電源から電力が供給される。
【0032】
基板ケース40の側面のうち、電気モータ60の延出部67に対向する位置には、雌コネクタ42が設けられている。本実施形態では、2つの電気モータ60が設けられているため、2つの雌コネクタ42が第3軸Zに沿う方向に並んでいる。雌コネクタ42には、対応する雄コネクタ68が嵌合される。すなわち、雄コネクタ68が第2X軸方向X2に移動すると、雄コネクタ68が雌コネクタ42に嵌合される。一方、雄コネクタ68が雌コネクタ42に嵌合している状態で雄コネクタ68が第1X軸方向X1に移動すると、雄コネクタ68と雌コネクタ42との嵌合が解除される。
【0033】
雌コネクタ42には、回路基板45に電気的に接続されている送電用端子及びセンサ信号受信用端子が設けられている。雄コネクタ68が雌コネクタ42に嵌合されている場合、送電用端子が上記受電用端子に接続されるとともに、センサ信号受信用端子が上記センサ用端子に接続される。一方、雄コネクタ68が雌コネクタ42に対して第1X軸方向X1に相対移動して雄コネクタ68と雌コネクタ42との嵌合が解除されると、送電用端子と受電用端子との接続が解除されるとともに、センサ信号受信用端子とセンサ用端子との接続が解除される。
【0034】
回路基板45には複数の電気モータ60を制御する制御部が実装されている。
図1及び
図5に示すように、こうした回路基板45は矩形板状をなしている。すなわち、回路基板45の周縁は、第3軸Zに沿う方向に延びる2つの第1縁部45aと、第1軸Xに沿う方向に延びる2つの第2縁部45bとを有している。2つの第1縁部45aは平行であり、2つの第2縁部45bは平行である。2つの第1縁部45aのうちの少なくとも1つの第1縁部45aの長さは、2つの第2縁部45bの何れの長さよりも長い。したがって、
図1及び
図4に示すように、回路基板45は、その板面451の長手方向が第3軸Zに沿う方向に延びるとともに、その板面451の短手方向が第1軸Xに沿う方向に延びる姿勢で配置されている。
【0035】
図5には、2つのシリンダ51の軸線51aと、回路基板45との位置関係が模式的に図示されている。
図5に示すように、2つのシリンダ51の軸線51aは、第1軸Xに沿う方向に延びている。また、回路基板45の板面451は、第1軸X及び第3軸Zの双方と平行であり、且つ第2軸Yと直交する。すなわち、回路基板45は、その板面451をシリンダ51の軸線51aに対して平行に向けた姿勢で配置されている。
【0036】
<本実施形態における作用及び効果>
(1)本実施形態では、基板ケース40は、第2軸Yに沿う方向で筐体31と隣り合う態様で筐体31に取り付けられている。そのため、複数の電動シリンダ装置50A,50Bのシリンダ51が基板ケース40内に位置することはない。このような基板ケース40内に回路基板45を収容するため、シリンダ51の位置を考慮することなく回路基板45の形状を設計できる。したがって、回路基板45を設計する上での制約を少なくできる。
【0037】
また、複数の電動シリンダ装置50A,50Bは第3軸Zに沿う方向に並んだ態様で筐体31に支持されている。そのため、電動制動装置30の第3軸Zに沿う方向における寸法は大きくなりやすい。そこで、回路基板45の長手方向を第3軸Zに沿う方向に向けた姿勢で、基板ケース40が筐体31に取り付けられている。これにより、電動制動装置30の大型化の抑制が可能となる。
【0038】
(2)電動シリンダ装置50A,50Bにあっては、シリンダ51の軸線51aに沿う方向に電気モータ60の軸線が延びるように電気モータ60が配置されている。さらに、電動シリンダ装置50A,50Bよりも第1X軸方向X1に別の部材が配置されていることもない。そのため、電動シリンダ装置50A,50Bを第1X軸方向X1に筐体31に対して相対移動させやすい。つまり、電動シリンダ装置50A,50Bを筐体31から取り外しやすい。したがって、電動シリンダ装置50A,50Bを交換する作業を容易に行うことが可能となる。また、電動シリンダ装置50A,50Bから電気モータ60を取り外す作業も行いやすい。
【0039】
(3)電動制動装置30を搭載する車両の種類によってホイールシリンダ23の容量が異なる。大容量のホイールシリンダ23が設けられている車両用の電動制動装置30には、容積の比較的大きいシリンダを備える電動シリンダ装置を設けることになる。一方、小容量のホイールシリンダ23が設けられている車両用の電動制動装置30には、容積の比較的小さいシリンダを備える電動シリンダ装置を設けることになる。
【0040】
容積の比較的大きいシリンダを備える電動シリンダ装置を、大容量電動シリンダ装置とする。容積の比較的小さいシリンダを備える電動シリンダ装置を、小容量電動シリンダ装置とする。このとき、大容量電動シリンダ装置と小容量電動シリンダ装置とで同じ筐体31を利用する場合を考える。この場合、大容量電動シリンダ装置のシリンダを大容量化するためには、大容量電動シリンダ装置のシリンダの軸線方向における寸法を、小容量電動シリンダ装置のシリンダの軸線方向における寸法よりも大きくすることになる。
【0041】
本実施形態では、筐体31よりも第2X軸方向X2には別の部材が配置されていない。そのため、第1軸Xに沿う方向における寸法の異なるシリンダを筐体31に取り付けることができる。
【0042】
<変更例>
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0043】
・電動シリンダ装置は、電気モータ60の軸線がシリンダ51の軸線51aに対してずれたものであってもよい。この場合、シリンダ51の軸線51aに沿う方向に電気モータ60の軸線が延びていてもよい。さらに、電気モータ60は、シリンダ51の軸線51aの方向にシリンダ51と重なるように配置されていてもよい。この場合、シリンダ51の軸線51aの方向において電動制動装置30を小さくすることができる。また、電気モータ60の軸線がシリンダ51の軸線51aに対して交差してもよい。
【0044】
図6に示す電動制動装置30Aは、電気モータ60の軸線60aがシリンダ51の軸線51aに対して交差する複数の電動シリンダ装置150A,150Bを備えている。電動シリンダ装置150A,150Bでは、電気モータ60の軸線60aがシリンダ51の軸線51aに対して直交している。
【0045】
・筐体31は、シリンダ51の先端部も内部に収容できる構成であってもよい。
・電動制動装置は、所定の整列方向に3つ以上の電動シリンダ装置を並べたものであってもよい。この場合、電動制動装置は、複数の第2電動シリンダ装置を備えることになる。
【0046】
・上記実施形態では、筐体31に対して電動シリンダ装置50A,50Bを第1X軸方向X1に相対移動させることによって筐体31から電動シリンダ装置50A,50Bを取り外すことができる。しかし、筐体31から電動シリンダ装置50A,50Bを取り外す際における電動シリンダ装置50A,50Bの相対移動の方向は、第1X軸方向X1とは異なる方向であってもよい。例えば、筐体を基準として第2Y軸方向Y2に電動シリンダ装置50A,50Bを相対移動させることによって筐体から電動シリンダ装置50A,50Bを取り外すことができるように筐体を構成してもよい。
【0047】
・回路基板45の形状は、上記実施形態で説明した形状に限らない。すなわち、回路基板45は、互いに平行な2つの第1縁部45aと、第1縁部45aと直交する方向に延びる2つの第2縁部45bとを有するとともに、第1縁部45aが第2縁部45bよりも長いのであれば、矩形板状でなくてもよい。
【符号の説明】
【0048】
11…車輪
23…ホイールシリンダ
30,30A…電動制動装置
300…電動シリンダユニット
31…筐体
40…基板ケース
45…回路基板
451…板面
50A,50B,150A,150B…電動シリンダ装置
51…シリンダ
51a…軸線
56…ピストン
60…電気モータ
60a…軸線