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  • -ザラツキ低減材および低減方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-01-07
(45)【発行日】2026-01-16
(54)【発明の名称】ザラツキ低減材および低減方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 11/60 20250101AFI20260108BHJP
   A23J 3/14 20060101ALI20260108BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20260108BHJP
   A23L 2/66 20060101ALI20260108BHJP
   A23L 2/39 20060101ALI20260108BHJP
   A23L 2/38 20210101ALI20260108BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20260108BHJP
   A23L 21/00 20160101ALI20260108BHJP
   A23L 29/269 20160101ALI20260108BHJP
【FI】
A23L11/60
A23J3/14
A23L2/00 B
A23L2/00 J
A23L2/00 Q
A23L2/38 D
A23L2/39
A23L2/52
A23L21/00
A23L29/269
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021208838
(22)【出願日】2021-12-23
(65)【公開番号】P2023093797
(43)【公開日】2023-07-05
【審査請求日】2024-07-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000236768
【氏名又は名称】不二製油株式会社
(72)【発明者】
【氏名】黄 苡慈
(72)【発明者】
【氏名】木村 友和
(72)【発明者】
【氏名】馬場 俊充
【審査官】吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/014742(WO,A1)
【文献】特開2002-281895(JP,A)
【文献】特開2018-000170(JP,A)
【文献】特開2017-012112(JP,A)
【文献】国際公開第2022/025132(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A23C
A23F
A23J
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
豆類蛋白質粒子に由来するザラツキを有した飲料またはゼリー飲食品に用いる、サクシノグリカンを有効成分とするザラツキ低減材。
【請求項2】
豆類蛋白質粒子に由来するザラツキを有した飲料またはゼリー飲食品に対して、サクシノグリカンを添加するザラツキ低減方法。
【請求項3】
飲料またはゼリー飲食品が、製造時に均質化装置による均質化を行わないものである、請求項2に記載のザラツキ低減方法。
【請求項4】
サクシノグリカン非共存下でザラツキを呈する豆類蛋白質粒子とサクシノグリカンを含有する、飲料またはゼリー飲食
【請求項5】
飲料またはゼリー飲食品の蛋白質100質量部に対してサクシノグリカンを1~30質量部含むものである、請求項4に記載の飲料またはゼリー飲食
【請求項6】
飲料またはゼリー飲食品100質量部中に、サクシノグリカンを0.05~1質量部含むものである、請求項4に記載の飲料またはゼリー飲食
【請求項7】
請求項4に記載の豆類蛋白粒子について、試料である蛋白粒子を水に分散させ、必要により実際に使用するpHに調整して測定する環境に於いて、レーザー粒度分布計による、蛋白質粒子中の20μm以上の粒子が5容量%以上である、請求項4乃至6の何れか1項に記載の飲料またはゼリー飲食
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料またはゼリー飲食物の蛋白質粒子に由来するザラツキを低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
大豆,エンドウ,緑豆等の蛋白質を含有する飲料やゼリー飲食品は、その粒子に由来するザラツキを有する場合がある。通常は製造工程中にホモジナイザー等の均質化装置を用いることで、蛋白質粒子が破砕され、ザラツキを低減することができる。しかし、均質化装置を有しない生産設備の場合や、水溶解時に弱い攪拌しか行えない粉末飲料に於いては、大きな問題となっている。
ゼリーも同様で、ストローで飲むゼリー飲料やカップに充填したゼリー食品等のゼリー飲食品のうち、蛋白質を含んだゼリー飲食品の場合、均質化が十分でないとザラツキが生じることがある。
ザラツキを低減するには、ザラツキの原因となる粒子を物理的に破砕する方法が一般的であり、米糠の破砕(特許文献1)、大豆蛋白の粉体を更に破砕(特許文献2)といった方法が開示されている。また、分岐構造を有する3~4糖類を添加する方法も(特許文献3)開示されている。
【0003】
サクシノグリカンはアグロバクテリウムツメファシエンスが生産するアニオン性のバイオポリマーであり、低濃度で効果的に粘性が付与できる素材である。近年は食品にも使用が進んでおり、その性質はキサンタンガムと同様とされ(非特許文献1)、粘性を用いた安定剤として利用されている。また、サクシノグリカンをスムージー様飲料に用いることで、繊維に起因するざらつき感を得る方法も開示されている。(特許文献4)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-064561
【文献】特開2000-270783
【文献】特開2006-280310
【文献】特開2021-158951
【非特許文献】
【0005】
【文献】月刊フードケミカル(食品化学新聞社)31~32,No.3,2020
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
粒子を物理的に破砕するには、予め十分に破砕した材料や、製造時に専用の破砕機器が必要となる。また従来の添加物でザラツキを低減する場合は、添加物の大量の使用が必要となり、味や物性に影響が出る。本発明の目的は、蛋白質粒子に由来するザラツキを有した飲料またはゼリー飲食品に対して、中でも、強い攪拌が難しいことで特にザラツキ低減が困難とされている粉末飲料を含めて、風味や物性への影響を極力抑えた中で、ザラツキを効率的に低減する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題に対して鋭意研究を重ねた結果、サクシノグリカンを利用することで、これら蛋白質粒子に由来するザラツキを効率的に低減できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
即ち、本発明は
(1)蛋白質粒子に由来するザラツキを有した飲料またはゼリー飲食品に用いる、サクシノグリカンを有効成分とするザラツキ低減材。
(2)蛋白質粒子に由来するザラツキを有した飲料またはゼリー飲食品に対して、サクシノグリカンを添加するザラツキ低減方法。
(3)サクシノグリカン非共存下でザラツキを呈する蛋白質粒子とサクシノグリカンを含有する、飲料またはゼリー飲食物。
(4)蛋白質100質量部に対してサクシノグリカンを1~30質量部含むものである、(3)に記載の飲料またはゼリー飲食物。
(5)飲食物100質量部中に、サクシノグリカンを0.05~1質量部含むものである、(3)に記載の飲料またはゼリー飲食物。
(6)レーザー粒度分布計による、蛋白質粒子中の20μm以上の粒子が5容量%以上である、(3)乃至(5)に記載の飲料またはゼリー飲食物。
に関するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、飲料やゼリー飲食物に対してザラツキを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】各種蛋白粒子についての、レーザー粒度分布計による体積基準の粒度分布の図である。
図2】ゼリー飲料の調製工程の図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(蛋白質粒子)
本発明の蛋白質粒子とは、蛋白質を多く含む水に不溶性の粒子である。不溶性とはすなわち、後述するレーザー粒度分布計で粒径が測定できるものである。好ましくは、後述する沈殿率の測定によりDry沈殿率として30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上のものをいう。沈殿が少なく可溶性成分が多いものは、溶解液の粘度が上がり食感が悪くなる上に、分散性も悪く、飲料として適切でない場合がある。
また、蛋白質を多く含むとは、粗蛋白含量すなわちCP(Crude Protein)として25質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることが更に好ましく、70質量%以上であることが最も好ましい。CPが高い方が本発明によるザラツキ低減効果が強い。尚、粗蛋白含量は、ケルダール法により分析される窒素量に6.25の窒素換算係数を乗じて求めるものとする。
(蛋白質)
本発明に於ける蛋白質粒子を構成する蛋白質の種類としては、植物性蛋白質が好ましく、大麦,燕麦,小麦,コーン等の穀類、大豆,エンドウ豆,緑豆,ひよこ豆,小豆,ルピン等の豆類の蛋白質、また種子以外にも茶葉等も例示できる。豆類蛋白質が好ましく、大豆蛋白質が最も好ましい。また、乳蛋白を始めとする動物性蛋白質は、粒子径が小さい上にザラツキも感じにくい場合がある。
【0012】
これら蛋白質は原料をそのまま、あるいは蛋白質に富む成分を分画や濃縮して使用することができる。そのままとは、水に分散できる程度にまで原料を破砕したものである。
分画や濃縮とは油脂,糖質および/または繊維を主とする画分と、蛋白質を主とする画分を、物理的または化学的に分離したものである。穀類の場合を小麦で例示すれば、蛋白成分として分画したグルテンが、豆類の場合を大豆で例示すれば、大豆を破砕した大豆粉,焙煎大豆を破砕したきな粉,脱脂大豆,濃縮大豆蛋白,分離大豆蛋白等が挙げられる。
【0013】
これらの蛋白質は更に、使用する環境における溶解性を低下させたものが好ましい。溶解性を低下させることにより溶液の粘度が低下し、飲料としての食感が向上すると共に、例えば粉体の水への分散も高まる。溶解性を低下させる手段としては、加熱,金属塩の添加,pHの変更等の処理およびその組み合わせが挙げられ、使用する環境により適宜選択する。
本発明の用途の場合を分離大豆蛋白で例示すれば、分離大豆蛋白の水溶液に対して、2価金属の添加や加熱によってpH6~8程度の中性域での溶解性を低下させ、あるいは、pH3~6、好ましくは3.5~5.5の弱酸性として溶解性を低下させた分離大豆蛋白等に、シェアを加えて分散させ、加熱殺菌と噴霧乾燥を行った分離大豆蛋白粉末等が挙げられる。
【0014】
(ザラツキ)
ザラツキとは、上記の蛋白質粒子の、後述するサクシノグリカン非共存下の水分散液を飲んだ際に、ざらざらとした不快な食感を呈することを指す。蛋白質粒子によるザラツキは、粒子径に依存するところが大きい。本発明に於いては、飲料やゼリー飲食品として使用するpH環境に於いて、後述する粒度分布計の測定値として、20μmの粒子が体積基準で5%以上あるとザラツキとして認識し易く、10%以上あると、更にザラツキを大きく感じ易い。
また、100μm以上の粒子が体積基準で10%以上あると、本発明によるザラツキの低減効果は弱くなり、50%以上あると更に弱くなる傾向にある。
粒度分布は、試料である蛋白粒子を水に分散させ、必要により実際に使用するpHに調整して測定する。測定はレーザー粒度分布計(株式会社島津製作所製・SALD-2300)により行い、体積基準で各直径の粒子の頻度を集計する。
【0015】
(粘度)
粘度は、試料溶液について、B型回転粘度計(東機産業(株)製)を用い、20℃の条件で測定したときの粘度を用いる。
【0016】
(蛋白粒子沈殿率)
沈殿率は、試料である各蛋白質粒子を5質量%になる様に冷水に分散し、DCスターラーで350rpmで15分間攪拌した後に、50mlの遠心管に20gを分注し、2,000rpmで20分間遠心分離を行う。上清を捨て、上下を逆にした遠心管をろ紙上に静置し20分後に秤量することで含水物としての沈殿量を測定する。その後に沈殿を回収し105℃で乾燥させることで、乾燥量を測定する。試料溶液と含水沈殿の比をWet沈殿率、試料溶液中の固形分と沈殿乾燥物の比をDry沈殿率とする。
【0017】
(サクシノグリカン)
サクシノグリカンとは、微生物に由来する多糖類の一種であり、ガラクトース及びグルコースから誘導される糖残基に加え、コハク酸及びピルビン酸並びに随意成分としての酢酸、又はこれらの酸の塩から誘導される残基を含む微生物に由来する多糖類を意味する。より具体的にはサクシノグリカンは、平均分子量が約600万の以下の構造式を有するガラクトース残基:1,グルコース残基:7,コハク酸残基:0.8及びピルビン酸残基:1に、随意成分である酢酸残基を含む水溶性高分子である。
本発明に於いては、前述した蛋白質粒子を含む、蛋白質100質量部に対して、サクシノグリカンを1質量部以上が好ましく、2質量部以上が更に好ましく、4質量部以上が更に好ましく、6質量部以上が最も好ましい。また30質量部以下が好ましく、20質量部以下が更に好ましく、10質量部以下が最も好ましい。これにより、ザラツキを効率的に低減することができる。また飲料中またはゼリー飲食物中の濃度は蛋白質粒子との相対量によっても変化するが、高すぎない方が好ましく、飲料またはゼリー飲食物100質量部中に0.05~1質量部が好ましく、0.1~0.5質量部が更に好ましく、0.2~0.4質量部が最も好ましい。これにより、適切な飲料粘度と効果を得ることができる。
【0018】
(飲料)
本発明に於ける飲料とは、蛋白質粒子を含む飲料であり、プロテイン飲料,キナコ飲料,粉茶を含むお茶,アーモンド飲料,玄米飲料、ミドリムシ飲料、味噌汁、等が例示できる。これら飲料100質量部中に蛋白質として1~10質量部の蛋白質粒子を含有する、弱酸性乃至中性の飲料が、本発明の対象として好ましい。1質量部よりも少ないと、本発明を使用しなくてもザラツキは少なく、10質量部より多いと、本発明でもザラツキの低減が難しい場合があると共に、粘度も高くなる。
本発明は、原料を水に対して混合後に均質化装置による均質化を行わない製造工程による場合に、特に有効である。
【0019】
(粉末飲料)
本発明に於ける飲料は粉末飲料を含む。粉末飲料とは、水に分散溶解するだけで飲料となる粉末組成物のことであって、乾燥粉末として流通可能な形態のものである。前段の飲料を凍結乾燥や噴霧乾燥等の手段にて乾燥して調製することができる。また飲料として調製することなく、個々の乾燥原料を直接粉体混合により調製することもできる。粉体混合は乾燥工程を伴わないために、風味の維持やエネルギー効率を向上させることができる
これら粉末飲料は、予め設定された量の水に対して、手攪拌等の比較的弱いせん断力で分散させるために、蛋白質粒子が分散し難く、よりザラツキを感じ易くなるところ、本発明を実施すれば、ザラツキを低減した粉末飲料を得ることができる。
本発明に於ける粉末飲料は、粉末組成物100質量部中に蛋白質を1~30質量部含むものが好ましく、5~20質量部を含むものが更に好ましい。
【0020】
(ゼリー飲食品)
本発明に於けるゼリー飲食品とは、前述した飲料や同等の組成物にゲル化剤を添加することで、保形性を有したものである。ゲル化剤としては、寒天,カラギーナン,ジェランガム,ゼラチン,澱粉類,卵白,全卵,ペクチン,キサンタンガム,ローカストビーンガム等を挙げることができるが、植物や菌類に由来するゲル化剤が好ましく、寒天が特に好ましい。
ゲル化剤の濃度および種類により、流動性を有した弱いゲルを形成させることも可能である。本発明に於いては、摂食時の温度で、流動性を有しストロー等で摂取が可能なゼリーをゼリー飲料と定義し、流動性を有しないゼリーをゼリー食品と定義し、どちらも本発明の実施形態とする。
蛋白質粒子によりザラツキを感じるゼリー飲食品に対しても、サクシノグリカンの添加により、ザラツキが効率的に低減できる。また均質化装置による均質化を行わない製造工程による場合には、本発明は特に有効である。
本発明のゼリー飲食品は、ゼリー飲食品100質量部中に蛋白質として1~10質量部の蛋白質粒子を含有する、弱酸性乃至中性のゼリー飲食品が例示できる。1質量部よりも少ないと、本発明を使用しなくてもザラツキは少なく、10質量部より多いと、本発明でもザラツキの低減が難しい場合がある。
【0021】
以上に記載した飲料、ゼリー飲食品は何れも、それぞれの飲食品の中にザラツキを有する蛋白質粒子とサクシノグリカンが配合されているが、これ以外にも、ペプチド,アミノ酸,他の蛋白質、砂糖,果糖,乳糖等の少糖類、デキストリン、各種の澱粉、糖アルコール類その他の甘味料、油脂類、高分子多糖類等の安定剤、乳化剤、pH調整剤や調味料、香料、色素、栄養健康効果を有する他の物質等を添加することができる。
【実施例
【0022】
以下に実施例を記載することで本発明を説明する。尚、特に指示のない限りは、%または部の表記は、それぞれ質量%、質量部を意味するものとする。
【0023】
○実施例1(飲料中のサクシノグリカン添加量)
サクシノグリカンの添加量に対する、ザラツキ低減の効果を確認した。分離大豆蛋白(不二製油製・フジプロR)を酸性環境で噴霧乾燥した酸性大豆蛋白を用いて、以下の検討を行った。すなわち、酸性大豆蛋白6.5質量部、グラニュー糖5.0質量部に対して、サクシノグリカン(DSP五協フード&ケミカル社・サクシノグルカンJ)を、それぞれ無添加(T1)、0.1質量部(T2)、0.2質量部(T3)、0.3質量部(T4)を加え、イオン交換水で全量を100質量部としたのちに、プロテインシェイカーで振とう溶解させた。尚、以下の実施例2以降に用いた酸性大豆蛋白およびサクシノグリカンも、実施例1と同じ物を使用している。
粘度およびpHを測定した後、飲料のザラツキを評価した。評価は5名のパネラーを用い、その平均により決定した。ザラツキの程度は0~4の五段階とし、「0:ザラツキ無し、1:僅かにざらつく、2:ザラツキあるが許容範囲、3:ザラツキあり、4:ザラツキ酷く飲食不可」とした。
【0024】
表1(飲料中のサクシノグリカン添加量)
※表中、蛋白質100質量部に対するサクシノグリカンの量(質量部)を、(サクシノグリカン/蛋白)で示した。
【0025】
結果を表1に示す。酸性大豆蛋白100質量部に対して1.5質量部添加したT2および、3.1質量部添加したT3は許容範囲、4.6質量部添加したT4は僅かにざらつくだけだった。一方、サクシノグリカンを水溶液中に0.3質量部含有するT4は、粘度が若干高くなった。
【0026】
○実施例2(飲料中の蛋白質添加量)
サクシノグリカンの添加系に於ける、蛋白質量に対する、ザラツキ低減の効果を確認した。グラニュー糖5.0質量部、サクシノグリカン0.3質量部に対して、酸性大豆蛋白を、それぞれ3.9質量部(T5)、6.5質量部(T6)、9.1質量部(T7)を加え、イオン交換水で全量を100質量部とした。実施例1と同様に調製と評価を行った。
【0027】
表2(飲料中の蛋白質添加量)
【0028】
結果を表2に示す。酸性大豆蛋白100質量部に対してサクシノグルカンを7.7質量部添加したT5はほぼザラツキなし、4.6質量部添加したT6は僅かにざらつく、3.3質量%添加したT7は許容範囲、となった。一方で、蛋白質量の多いT6、T7はやや増粘傾向にあった。実施例1および2から、蛋白質100質量部に対しサクシノグリカンは1.5質量部の添加でも効果が認められ、4.6質量部以上の添加で特に効果的だった。
【0029】
○実施例3(他多糖類添加量)
サクシノグリカンと類似の多糖類によるザラツキ低減の効果を確認した。酸性大豆蛋白6.5質量部、グラニュー糖5.0質量部に対して、サクシノグリカンの無添加(T8)、0.2質量部(T9)、キサンタンガム(DSP五協フード&ケミカル社製・モナートガムHP)0.2質量部(T10)、プルラン(林原社製)0.5質量部(T11)、カラギナン(三栄源エフ・エフ・アイ社製・カラギナンCSL-2(F))0.2質量部(T12)、難消化性デキストリン(松谷化学工業社製・ファイバーソル2)0.5質量部(T13)を加え、イオン交換水で全量を100質量部とした。実施例1と同様に評価を行った。
【0030】
表3(他多糖類添加量)
【0031】
結果を表3に示す。T10~T13の各種の多糖類の、酸性大豆蛋白に対するザラツキ低減効果は、サクシノグリカン(T9)に劣るものだった。
【0032】
○実施例4(各種蛋白粒子の物性確認)
種々の植物蛋白質粒子について、上述した方法にて、沈殿率、粒度および粘度の測定を行った。試料は、抹茶((株)あいや製・抹茶FJ-CA),酸性大豆蛋白(不二製油製)、緑豆たん白(天津不二蛋白有限公司製・Glucodia),エンドウたん白(Emsland社製・Empro E86F30),中性大豆蛋白,きな粉(幸田商店製)を用いた。また、同じ試料にて、表5の配合で飲料を試作し、ザラツキを確認した。尚、中性大豆蛋白は、分離大豆蛋白(不二製油製・フジプロR)に中性域での溶解性低減処理を行った上で噴霧乾燥したものである。
ヨーグルトについては、明治製・ブルガリアヨーグルトLB81プレーンを用いて、同様の条件にて粒度を測定した。また、そのまま摂取したが、ザラツキは認識できなかった。
【0033】
表4(各種蛋白粒子の物性)
【0034】
表5(各種蛋白質粒子のザラツキ)
【0035】
表5のサクシノグリカンを添加しない場合を見ると、T14(抹茶)のみザラツキが認められなかった。他のT15~T19については、ザラツキが認められた。図1に示す粒度分布及び表5の結果から、直径20μmを超える粒子が体積基準で5%、場合により10%を超えると、ザラツキが認められると推察された。
一方、表5のT15~T19の全ての蛋白質粒子で、サクシノグリカンの添加によるザラツキの低減が確認できた。その効果は蛋白質粒径により変化し、直径100μmを超える粒子が体積基準で10%、場合により20%を超えると、更には50%を超えると、サクシノグリカンによるザラツキ低減効果は、やや低下することが確認された。
【0036】
○実施例5(粉末飲料の調製)
酸性大豆蛋白3.9質量部、グラニュー糖5質量部、およびサクシノグリカン0.3質量部を粉体で混合し、粉末飲料Aを調製した。粉末飲料Aの15gをカップに入れ、水150gを注いでスプーンにて攪拌したところ、ザラツキを感じない飲料となった。
【0037】
○実施例6(ゼリー飲料での効果)
表6の配合で図2のフローに従って、酸性大豆蛋白(不二製油製)と寒天(伊那寒天食品工業製・カリコリカン)を用いたゼリー飲料を調製した。無添加のT20ではザラツキが感じられたが、サクシノグルカンを添加することで、効果的に抑えることができた
【0038】
表6(ゼリー飲料の配合と評価)
【0039】
○実施例7(ゼリー食品の調製)
酸性大豆蛋白5質量部、グラニュー糖5質量部およびサクシノグリカン0.3質量部を水45質量部に溶解させた。寒天0.3質量部を水15質量部に溶解させた。2液を攪拌分散し、イオン交換水で全量を100質量部とし、100ml容のカップに注いで冷却することで、ゼリー食品を調製した。食感を確認したところ、ザラツキを感じないものだった。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によれば、蛋白質粒子を含む飲料やゼリー飲食品に於いて、そのザラツキを効果的に低減することができ、これら飲食品の更なる普及に寄与することができる。
図1
図2