(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-01-07
(45)【発行日】2026-01-16
(54)【発明の名称】基板処理方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20260108BHJP
G03F 1/82 20120101ALI20260108BHJP
【FI】
H01L21/304 647Z
H01L21/304 646
H01L21/304 643A
G03F1/82
(21)【出願番号】P 2022150551
(22)【出願日】2022-09-21
【審査請求日】2025-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】田邊 万奈
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 華織
(72)【発明者】
【氏名】高居 康介
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-150203(JP,A)
【文献】特表2014-523636(JP,A)
【文献】特開2017-174966(JP,A)
【文献】特開2005-307311(JP,A)
【文献】特開2008-60284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
G03F 1/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
最表面に第一の膜が設けられた第一の領域と、最表面に前記第一の膜と材料が異なる第二の膜が設けられた第二の領域とを有する基板上に液膜を形成し、
前記液膜を凝固させることで凝固膜を形成し、
前記第二の領域上の前記凝固膜よりも先に前記第一の領域上の凝固膜を融解させることを含む、基板処理方法。
【請求項2】
前記第一の領域は、前記第二の領域の外周に位置する、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記第一の領域上の凝固膜の融解は、前記第一の領域上の凝固膜に、前記第一の領域上の凝固膜の融点以上の温度を有する気体および液体の少なくとも一方を供給することを含む、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記第一の領域上の凝固膜への前記気体および液体の少なくとも一方の供給は、予め取得された前記第一の領域の位置に基づいて行う、請求項3に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記第一の領域上の凝固膜の融解は、前記第一の領域に、前記第一の膜に吸収される波長の光を照射することを含む、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記第一の膜に吸収される波長の光は、赤外光である、請求項5に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記第一の膜は、前記第二の膜よりも前記第一の膜に吸収される波長の光の吸収率が高い、請求項5に記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記第一の膜は、前記凝固膜よりも前記第一の膜に吸収される波長の光の吸収率が高い、請求項5に記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記第一の膜に吸収される波長の光の照射は、前記第一の膜に吸収される波長の光の光源と、前記基板との間に、前記第二の膜および前記凝固膜の少なくとも一方と同じ材料を含むフィルタを配置した状態で行う、請求項5に記載の基板処理方法。
【請求項10】
イオナイザを用いて、前記第一の領域上の凝固膜の融解よって露出された前記第一の膜を除電することを更に含む、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項11】
接地線を用いて、前記第一の領域上の凝固膜の融解によって露出された前記第一の膜を除電することを更に含む、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記第一の膜の除電は、予め取得された前記第一の領域の位置に基づいて、前記第一の膜に前記接地線を接触させることを含む、請求項11に記載の基板処置方法。
【請求項13】
最表面に第一の膜が設けられた第一の領域と、最表面に前記第一の膜と材料が異なる第二の膜が設けられた第二の領域と、を有する基板を保持する保持部と、
前記基板上に液膜を形成する液膜形成部と、
前記液膜を凝固させることで凝固膜を形成する凝固膜形成部と、
前記第二の領域上の前記凝固膜よりも先に前記第一の領域上の凝固膜を融解させる融解部と、
を備える、基板処理装置。
【請求項14】
前記融解部は、前記第一の領域上の凝固膜に、前記第一の領域上の凝固膜の融点以上の温度を有する気体および液体の少なくとも一方を供給するノズルを有し、
前記基板処理装置は、
前記基板のレイアウト情報を取得するレイアウト情報取得部と、
前記取得されたレイアウト情報に基づいて前記ノズルによる前記気体および液体の少なくとも一方の供給を制御する制御部と、
を更に備える、請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記第一の領域上の凝固膜の融解よって露出された前記第一の膜に接触することで前記第一の膜を除電する除電部を更に備える、請求項14に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記融解部は、前記第一の領域上に、前記第一の膜に吸収される波長の光を照射する照射部を有する、請求項13に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、基板処理方法および基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトマスク用の基板上に供給された洗浄液を凍結させて基板上から異物を除去する凍結洗浄では、基板が部分的に酸化される欠陥が発生することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板の欠陥を低減することが可能な基板処理方法および基板処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態によれば、基板処理方法は、最表面に第一の膜が設けられた第一の領域と、最表面に前記第一の膜と材料が異なる第二の膜が設けられた第二の領域と、を有する基板上に液膜を形成することを含む。前記方法はさらに、前記液膜を凝固させることで凝固膜を形成することを含む。前記方法はさらに、前記第二の領域上の前記凝固膜よりも先に前記第一の領域上の凝固膜を融解させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態による基板処理装置の一例を示す図である。
【
図2】第1実施形態による基板処理装置で処理される基板の一例を示す平面図である。
【
図3】第1実施形態による基板処理装置で処理される基板の一例を示す断面図である。
【
図4】第1実施形態による基板処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図5】第1実施形態による基板処理装置の動作例を示すタイミングチャートである。
【
図6】第1実施形態による基板処理装置の動作例を示す断面図である。
【
図7】第1実施形態による基板処理装置の動作例を示す平面図である。
【
図8】
図6に続く、第1実施形態による基板処理装置の動作例を示す断面図である。
【
図9】第1実施形態の第1変形例による基板処理装置の動作例を示す断面図である。
【
図10】第1実施形態の第2変形例による基板処理装置を示す図である。
【
図11】第1実施形態の第2変形例による基板処理装置1の一部を示す平面図である。
【
図12】第1実施形態の第2変形例による基板処理装置の動作を示すタイミングチャートである。
【
図13】第1実施形態の第2変形例による基板処理装置の動作例を示す断面図である。
【
図14】第2実施形態による基板処理装置の一例を示す図である。
【
図15】第2実施形態による基板処理装置の動作例を示すタイミングチャートである。
【
図16】第2実施形態による基板処理装置の動作例を示す図である。
【
図17】第2実施形態の第1変形例による基板処理装置を示す図である。
【
図18】第2実施形態の第1変形例による基板処理装置の動作を示すタイミングチャートである。
【
図19】第2実施形態の第2変形例による基板処理装置を示す図である。
【
図20】第2実施形態の第2変形例による基板処理装置の動作を示すタイミングチャートである。
【
図21】第2実施形態の第3変形例による基板処理装置の動作を示すタイミングチャートである。
【
図22】第2実施形態の第4変形例による基板処理装置を示す図である。
【
図23】第2実施形態の第4変形例による基板処理装置の動作を示すタイミングチャートである。
【
図24】第2実施形態の第5変形例による基板処理装置の動作を示すタイミングチャートである。
【
図25】第3実施形態による基板処理装置の一例を示す図である。
【
図26】第3実施形態による基板処理装置の一部を示す平面図である。
【
図27】第3実施形態の第1変形例による基板処理装置を示す図である。
【
図28】第3実施形態の第1変形例による基板処理装置の動作を説明するための説明図である。
【
図29】第3実施形態の第2変形例による基板処理装置の一部を平面図である。
【
図30】第3実施形態の第3変形例による基板処理装置を示すブロック図である。
【
図31】第3実施形態の第4変形例による基板処理装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による基板処理装置1の一例を示す図である。なお、本明細書においては、鉛直方向をZ軸方向、水平方向に沿った方向をX軸方向、水平方向に沿ってX軸方向に直交する方向をY軸方向と定義する。また、本明細書において、上方とは、Z軸正方向のことをいい、下方とは、Z軸負方向のことをいう。基板処理装置1は、フォトマスク用の基板2上に供給された洗浄液を凍結させて基板2上から異物を除去する凍結洗浄が可能に構成されている。具体的には、
図1に示すように、基板処理装置1は、ステージ101と、処理液ノズル103と、処理液供給部105と、冷却ガス供給部107と、処理液ノズル移動装置108と、回転駆動部109と、レイアウト情報取得部111と、制御部113と、温度センサ117と、カップ119と、筐体121とを備える。
【0009】
ここで、基板処理装置1について詳述する前に、基板2について説明する。
図2は、第1実施形態による基板処理装置1で処理される基板2の一例を示す平面図である。
図3は、第1実施形態による基板処理装置1で処理される基板2の一例を示す断面図である。
図3は、
図2のIII-III断面図である。なお、
図2および
図3に示される例において、基板2は、透過光の強度を減衰させつつ位相を180°反転させる位相シフトを利用してパターン解像力を向上させるハーフトーン型位相シフトマスク用の基板である。基板2は、ハーフトーン型位相シフトマスク以外のフォトマスク用の基板であってもよい。
【0010】
図2および
図3に示すように、基板2は、最表面に遮光膜203が設けられた第1基板領域21と、最表面に遮光膜203と材料が異なるハーフトーン膜202が設けられた第2基板領域22とを有する。
図2に示される例において、第1基板領域21は、基板2のうち、外周側(すなわち、周辺側)の領域である。第2基板領域22は、基板2のうち、中央側の領域である。より詳しくは、
図2に示される例において、第2基板領域22は、平面視において矩形状を有する領域である。第1基板領域21は、第2基板領域22を包囲し、平面視において矩形枠状を有する領域である。
【0011】
より具体的には、基板2は、石英基板201と、ハーフトーン膜202と、遮光膜203とを有する。石英基板201は、平面視において矩形状を有する。石英基板201は、石英(Qz)を含有する。ハーフトーン膜202は、石英基板201の表面(すなわち、上面)に形成されている。ハーフトーン膜202は、例えば、少なくともシリコン(Si)を含有し、さらにモリブデン(Mo)または窒素(N)を含有してもよい。ハーフトーン膜202は、例えば、モリブデンシリサイド(MoSi)を含有する。ハーフトーン膜202は、ハーフトーン膜202が無く石英基板201が露出した箇所に対して、透過する光の位相を180°反転させる。第2基板領域22内のハーフトーン膜202は、ダイシングライン2021を介して複数の領域に区画されており、例えば、区画毎に異なるパターン(図示せず)が形成されていてもよいし、区画毎に同様なパターンが形成されていてもよい。遮光膜203は、例えば、第1基板領域21内のハーフトーン膜202の表面に形成されている。遮光膜203は、例えば、第2基板領域22内のハーフトーン膜202の表面には形成されていない。その場合、第1基板領域21は、最表面に遮光膜203を有し、第2基板領域22は、最表面にハーフトーン膜202を有する。遮光膜203は、平面視において矩形枠形状を有する。遮光膜203は、クロム(Cr)を含有する。遮光膜203は、光を遮光する。なお、第1基板領域21は、最表面において遮光膜203の一部に遮光膜203よりも大幅に少ない面積比で遮光膜203以外の膜(例えば、アライメントマークなど)が含まれた領域であってもよい。
【0012】
次に、基板処理装置1について詳述する。
図1に示すように、ステージ101は、筐体121内に配置されており、基板2を載置可能である。なお、
図1において、基板2は簡略化されて図示されている。ステージ101は、載置された基板2を保持する。
【0013】
より具体的には、
図1に示すように、ステージ101は、円板状に形成され、水平な表面を有する。ステージ101の表面の外周縁には、矩形状の基板2の四隅に対応するように4つの基板支持ピン102が配置されている。基板支持ピン102は、基板2の四隅を支持することで、基板2をステージ101上において水平に支持する。遮光膜203を効率的に除電できるように、基板支持ピン102は、導電性を有する。基板支持ピン102は、例えば、導電性PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)によって形成されていてもよい。
【0014】
さらに具体的には、ステージ101は、鉛直方向(Z軸方向)に延びる回転軸104の上端に、回転軸104と同心状に固定されている。ステージ101は、回転軸104を中心に、例えば、
図1の矢印Aに示す回転方向に回転することができる。回転軸104には、回転駆動部109が接続されている。回転駆動部109は、例えば、モータ等のアクチュエータを有する。回転駆動部109は、制御部113による制御の下で、回転軸104および回転軸104上のステージ101を回転駆動する。ステージ101を回転駆動することで、後述する基板2の最表面上への洗浄液の液膜の形成を促進することができる。
【0015】
図1に示すように、ステージ101の周囲には、ステージ101と同心の略筒状のカップ119が設けられている。カップ119の上端部は、基板2の表面よりも高い位置にある。カップ119は、凍結洗浄の際に、基板2の表面上の洗浄液がステージ101の回転によって周囲に飛散することを防止する。
【0016】
処理液ノズル103は、基板2上(すなわち、基板2の最表面上)に処理液の液膜を形成するように構成されている。処理液は、例えば、純水である。具体的には、処理液ノズル103は、供給管106を介して処理液供給部105に接続されている。処理液供給部105は、供給管106を通して処理液ノズル103に処理液を供給する。処理液供給部105は、例えば、処理液を貯留する貯留タンクと、貯留タンクから処理液ノズル103に処理液を供給するポンプと、供給される処理液の流量を調整するバルブとを有する。制御部113は、処理液供給部105によって供給される処理液の流量を制御する。処理液ノズル103は、処理液供給部105によって供給された処理液を基板2上に吐出することで、基板2上に処理液の液膜を形成する。
【0017】
処理液ノズル103には、処理液ノズル移動装置108が接続されている。処理液ノズル移動装置108は、例えば、制御部113による制御の下で、処理液ノズル103を待機位置から液膜形成のための処理液の吐出位置(以下、第2吐出位置と呼ぶ)まで移動させる。第2吐出位置は、例えば、第2基板領域22内の基板2の回転中心に面する位置である。基板2の回転中心に面する位置で処理液を吐出させることで、基板2の回転にともなう液膜の形成をさらに促進することができる。処理液ノズル移動装置108は、例えば、処理液ノズル103に接続されたアームと、アームに接続されたモータ等の駆動源とを有していてもよい。
【0018】
冷却ガス供給部107は、基板2上に形成された処理液の液膜を凝固させることで凝固膜を形成するように構成されている。凝固膜は、例えば、純水を凍結させた氷である。具体的には、冷却ガス供給部107は、回転軸104の中央部を鉛直方向に貫通して設けられた冷却ガスノズル1041を通して、基板2の裏面に冷却ガスを供給する。冷却ガスは、例えば、窒素(N2)ガスである。冷却ガス供給部107は、例えば、液化された冷却ガスを貯留する貯留タンクと、貯留タンクから冷却ガスノズル1041に供給される冷却ガスの流量を調整するバルブとを有する。制御部113は、冷却ガス供給部107によって供給される冷却ガスの流量を制御する。例えば、制御部113は、処理液ノズル103に設けられた温度センサ117による基板2の温度の測定結果に基づいて、凝固膜が形成されるまで冷却ガスの供給を継続させる。冷却ガスノズル1041は、冷却ガス供給部107から供給された冷却ガスを基板2の裏面に吐出することで、基板2上に形成された処理液の液膜を凝固させて凝固膜を形成する。凝固膜を形成することで、基板2の表面に付着された異物を処理液の液相から固相への変化による体積膨張によって表面から浮き上がらせる(離間させる)ことができる。異物を浮き上がらせることで、凝固膜204の融解後に異物を基板2から効果的に除去することができる。また、このような凍結洗浄を行うことで、ハーフトーン膜202に形成されたパターンの臨界寸法(CD)が小さい場合においても、パターンの倒壊および光学特性の変動を妨げながら適切に異物を除去することができる。
【0019】
処理液ノズル103は、第2基板領域22上の凝固膜よりも先に第1基板領域21上の凝固膜を融解(または、供給された処理液への溶解)させるように構成されている。具体的には、基板2上に凝固膜が形成された後に、処理液ノズル移動装置108は、制御部113の制御の下で、処理液ノズル103を第1基板領域21に面する吐出位置(以下、第1吐出位置と呼ぶ)まで移動させる。処理液ノズル103は、処理液供給部105から供給された処理液を第1吐出位置から第1基板領域21上に吐出することで、第1基板領域21上の凝固膜を融解させる。ステージ101を回転させながら第1基板領域21上の凝固膜を融解させることで、融解した凝固膜および処理液は、異物および遮光膜203の表面に帯電した電荷とともに、基板2の外側に掃き出される。これにより、第1基板領域21の異物を除去することができるとともに遮光膜203を除電することができる。基板支持ピン102が導電性を有することで、より効果的に遮光膜203を除電することができる。より詳細には後述するが、遮光膜203を除電することで、凝固膜の形成時に生じた第1基板領域21の遮光膜203と第2基板領域22のハーフトーン膜202との間の電位差を低減することができる。電位差を低減することで、ハーフトーン膜202の最表面が部分的に酸化することによる白もや状の欠陥の発生を低減することができる。白もや状の欠陥は、ハーフトーン膜202の最表面における他の部分と比較して反射光量が異なり、例えば、反射光量が低下している。
【0020】
第1基板領域21上の凝固膜が融解した後に、処理液ノズル移動装置108は、制御部113の制御の下で、処理液ノズル103を第2吐出位置まで再び移動させる。処理液ノズル103は、処理液供給部105から供給された処理液を第2吐出位置から第2基板領域22上に吐出することで、第2基板領域22上の凝固膜を融解させる。ステージ101を回転させながら第2基板領域22上の凝固膜を融解させることで、凝固膜により基板から浮き上がった異物は、凝固膜が融解した融解液及び供給された処理液とともに、基板2の外側に掃き出される。これにより、第2基板領域22の異物を除去することができる。
【0021】
レイアウト情報取得部111は、基板2のレイアウト情報を取得する。例えば、レイアウト情報取得部111は、入力インタフェースを介したユーザの入力操作によって入力されたレイアウト情報を取得する。制御部113は、レイアウト情報取得部111によって取得されたレイアウト情報に基づいて、処理液ノズル103による洗浄の供給を制御する。具体的には、制御部113は、レイアウト情報に基づいて、第1基板領域21の位置(すなわち、座標)を取得する。制御部113は、第1基板領域21上の凝固膜を融解させるときに、取得された第1基板領域21の位置に基づいて、第1基板領域21に面する第1吐出位置まで処理液ノズル103を移動するように処理液ノズル移動装置108を制御する。レイアウト情報に基づくことで、第1基板領域21上の凝固膜を簡便かつ適切に融解させることができる。レイアウト情報取得部111および制御部113は、例えば、メモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサで構成することができる。
【0022】
次に、
図4~
図8を用いて、第1実施形態の基板処理方法の一例としての基板処理装置1の動作例を説明する。ここで、
図4は、第1実施形態による基板処理装置1の動作例を示すフローチャートである。
図5は、第1実施形態による基板処理装置1の動作例を示すタイミングチャートである。
図6は、第1実施形態による基板処理装置1の動作例を示す断面図である。
図7は、第1実施形態による基板処理装置1の動作例を示す平面図である。
図8は、
図6に続く、第1実施形態による基板処理装置1の動作例を示す断面図である。
【0023】
先ず、基板処理装置1は、
図4に示すように、基板2上に処理液の液膜を形成する予備冷却工程を実施する(ステップS1)。
図5に示すように、予備冷却工程において、制御部113は、処理液供給部105に処理液の供給を実行(ON)させ、処理液供給部105により供給された処理液を、第2吐出位置に配置された処理液ノズル103から基板2上に吐出させる。このとき、制御部113は、回転駆動部109にステージ101を回転させる。また、
図5に示すように、予備冷却工程において、制御部113は、冷却ガス供給部107に冷却ガスの供給を実行(ON)させ、冷却ガス供給部107により供給された冷却ガスを、冷却ガスノズル1041から基板2の裏面に吐出させる。これにより、基板2上に処理液の液膜が形成され、かつ、形成された液膜が冷却される。
【0024】
予備冷却工程を実施した後、
図4に示すように、基板処理装置1は、処理液の液膜を凝固させる凍結工程を実施する(ステップS2)。
図5に示すように、凍結工程において、制御部113は、処理液供給部105に処理液の供給を停止(OFF)させる。また、
図5に示すように、凍結工程において、制御部113は、冷却ガス供給部107に冷却ガスの供給を継続(ON)させる。凍結工程を実施することで、
図6に示すように、基板2上に、処理液の液膜を凝固させた凝固膜204(すなわち、氷膜)が形成される。
【0025】
凍結工程を実施した後、
図4に示すように、基板処理装置1は、基板2の遮光膜203を除電する基板除電工程を実施する(ステップS3)。
図7に示すように、基板除電工程において、制御部113は、処理液ノズル移動装置108に、
図7の矢印Bに示される第1基板領域21の回転軌道上の第1吐出位置まで処理液ノズル103を移動させる。そして、
図5に示すように、制御部113は、処理液供給部105に処理液の供給を実行(ON)させ、処理液供給部105により供給された処理液を、第1吐出位置に配置された処理液ノズル103から第1基板領域21上の凝固膜204に吐出させる。このとき、制御部113は、
図8の矢印Aに示すように、回転駆動部109にステージ101を回転させる。また、制御部113は、
図5に示すように、冷却ガス供給部107に、冷却ガスの供給を停止(OFF)させる。基板除電工程を実施することで、
図8に示すように、第2基板領域22上の凝固膜204を凝固させたまま第1基板領域21上の凝固膜204が融解して融解液205となる。融解液205および供給された処理液を含む混合液は、第1基板領域21内の異物とともに遮光膜203に帯電した電荷を含む。異物および電荷を含む混合液は、ステージ101の回転によって発生した回転力によって基板2の外部に掃き出される。これにより、第1基板領域21内の異物を除去するとともに遮光膜203を除電することができる。
【0026】
基板除電工程を実施した後、
図4に示すように、基板処理装置1は、第2基板領域22上の凝固膜204を解凍する解凍工程を実施する(ステップS5)。解凍工程において、制御部113は、処理液ノズル移動装置108に、基板2の回転中心に面する第2吐出位置まで処理液ノズル103を移動させる。そして、
図5に示すように、制御部113は、処理液供給部105に処理液の供給を実行(ON)させ、処理液供給部105により供給された処理液を、第2吐出位置に配置された処理液ノズル103から第2基板領域22上の凝固膜204に吐出させる。このとき、制御部113は、回転駆動部109にステージ101を回転させる。また、制御部113は、
図5に示すように、冷却ガス供給部107に、冷却ガスの供給停止(OFF)を継続させる。解凍工程における処理液の供給時間は、例えば、基板除電工程における処理液の供給時間よりも長い。解凍工程を実施することで、第2基板領域22上の凝固膜204が融解して融解液となる。融解液および供給された処理液を含む混合液は、第2基板領域22内の異物を含む。異物を含む混合液は、ステージ101の回転によって発生した回転力によって基板2の外部に掃き出される。これにより、第2基板領域22内の異物を除去することができる。
【0027】
解凍工程を実施した後、
図4に示すように、基板処理装置1は、基板2を乾燥する乾燥工程を実施する(ステップS5)。
図5に示すように、乾燥工程において、制御部113は、処理液供給部105に処理液の供給を停止(OFF)させ、冷却ガス供給部107に、冷却ガスの供給停止(OFF)を継続させる。また、乾燥工程において、制御部113は、回転駆動部109にステージ101を他の工程よりも高速に回転させる。ステージ101を高速に回転させることで、基板2を迅速に乾燥させることができる。
【0028】
ここで、凍結工程の際に、基板2上に形成された処理液の液膜は、基板2の中央部の下方に配置された冷却ガスノズル1041からの冷却ガスの吐出によって、基板2の中央部から外周へ向かって凝固膜204(氷膜)へと変化する。一般的に、液体が凍結する際、正負イオンの移動度の差によって帯電現象が生じる。水の場合、分極によって水分子の外側が+に、内側が-に帯電した状態で凍結が完了する。凝固膜204の形成が基板2の中央側から外周側に向かって進行することで、部分的に電子の移動が生じ、中央側のハーフトーン膜202と外周側の遮光膜203との間に電位差が生じる。そして、電位差が生じた状態で、凝固膜204の形成が完了する。もし、第1基板領域21上(すなわち、遮光膜203上)の凝固膜204と、第2基板領域22上(すなわち、ハーフトーン膜202上)の凝固膜204とを同時に融解させた場合、遮光膜203とハーフトーン膜202との電位差によって、ハーフトーン膜202が部分的に酸化される虞がある。ハーフトーン膜202が異常酸化されることで、白もや状の欠陥が発生してしまう。
【0029】
これに対して、第1実施形態によれば、上述のように、第2基板領域22上の凝固膜204よりも先に第1基板領域21上の凝固膜204を融解させる。これにより、第1基板領域21に位置する遮光膜203を除電して電位差を低減した後に、第2基板領域22上の凝固膜204を融解させることができるので、第2基板領域22に位置するハーフトーン膜202の部分的な酸化による欠陥を低減することができる。
【0030】
また、第1実施形態によれば、レイアウト情報に基づいて予め取得された第1基板領域21の位置に基づいて、第1基板領域21上の凝固膜204に、第1基板領域21上の凝固膜204の融点以上の温度を有する処理液を供給することができる。これにより、ハーフトーン膜202の部分的な酸化による欠陥を簡便かつ確実に低減させることができる。
【0031】
なお、これまでは、基板2の外周に配置された遮光膜203を効果的に除電できる例について説明したが、基板2の中央側に配置された遮光膜を除電するために第1実施形態を適用してもよい。また、処理液ノズル103を移動させる処理液ノズル移動装置108を設ける代わりに、第1吐出位置で処理液を吐出するノズルと、第2吐出位置で処理液を吐出するノズルとを個別に設けてもよい。
【0032】
(第1実施形態の第1変形例)
次に、基板除電工程において基板2の冷却を継続する第1実施形態の第1変形例について、上述した例との差異を中心に説明する。
図9は、第1実施形態の第1変形例による基板処理装置1の動作例を示す断面図である。
【0033】
図5および
図8では、基板除電工程において基板2への冷却ガスの供給を停止する例について説明した。これに対して、
図9に示すように、基板処理装置1は、基板除電工程において、冷却ガスノズル1041による基板2への冷却ガスの供給を継続させてもよい。
【0034】
第1実施形態の第1変形例によれば、基板除電工程中に、第2基板領域22上の凝固膜204の融解を妨げることができるので、ハーフトーン膜202の部分的な酸化による欠陥をより効果的に低減させることができる。
【0035】
(第1実施形態の第2変形例)
次に、第1基板領域21上の凝固膜204を加熱ガスで融解させる第1実施形態の第2変形例について、上述した例との差異を中心に説明する。
【0036】
図10は、第1実施形態の第2変形例による基板処理装置1を示す図である。第1実施形態の第2変形例による基板処理装置1は、
図1の構成に加えて、更に、加熱ガスノズル123と、加熱ガス供給部125とを有する。
【0037】
加熱ガスノズル123は、第1基板領域21上の凝固膜204に、凝固膜204の融点以上の温度を有する加熱ガスを供給するように構成されている。加熱ガスは、例えば、窒素ガスである。
図11は、第1実施形態の第2変形例による基板処理装置1の一部を示す平面図である。
図11に示すように、加熱ガスノズル123は、基板2の第1基板領域21の回転軌道B上に配置されている。なお、加熱ガスノズル123は、図示しない移動装置によって回転軌道B上まで移動されてもよい。加熱ガスノズル123は、加熱ガス供給部125に接続されている。加熱ガス供給部125は、加熱ガスノズル123に加熱ガスを供給する。加熱ガス供給部125は、例えば、液化された加熱ガスを貯留する貯留タンクと、貯留タンクから加熱ガスノズル123に供給される加熱ガスの流量を調整するバルブとを有する。制御部113は、加熱ガス供給部125によって供給される加熱ガスの流量を制御する。加熱ガスノズル123は、加熱ガス供給部125から供給された加熱ガスを第1基板領域21上の凝固膜204に吐出することで、第1基板領域21の凝固膜204を融解させる。
【0038】
図12は、第1実施形態の第2変形例による基板処理装置1の動作を示すタイミングチャートである。
図13は、第1実施形態の第2変形例による基板処理装置の動作例を示す断面図である。
図12に示すように、第1実施形態の第2変形例において、制御部113は、基板除電工程において、処理液供給部105に処理液の供給を実行(ON)させ、加熱ガス供給部125に加熱ガスの供給を実行(ON)させる。これにより、
図13に示すように、処理液供給部105により供給された処理液が処理液ノズル103から第1基板領域21上の凝固膜204に吐出され、また、加熱ガス供給部125により供給された加熱ガスが加熱ガスノズル123から第1基板領域21上の凝固膜204に吐出される。なお、
図12においては、基板除電工程において冷却ガスの供給を停止(OFF)させている。基板除電工程において冷却ガスの供給を停止することに限定されず、
図13に示すように、基板除電工程において冷却ガスの供給を継続させてもよい。
【0039】
第1実施形態の第2変形例によれば、加熱ガスによって第1基板領域21上の凝固膜204の融解を促進することができるので、処理液の供給により第1基板領域21上の凝固膜204を融解させる場合と比較して基板2の処理時間を短縮させることができる。なお、第1基板領域21上の凝固膜204の融解は、加熱ガスの供給のみで実施してもよい。また、加熱ガスノズル123を第2基板領域22上の凝固膜204に面する位置まで移動可能に構成すれば、加熱ガスを第2基板領域22上の凝固膜204の融解にも利用することができる。
【0040】
(第2実施形態)
次に、接地線を用いて基板2を除電する第2実施形態について、第1実施形態の第2変形例との差異を中心に説明する。
図14は、第2実施形態による基板処理装置1の一例を示す図である。
【0041】
図14に示すように、第2実施形態による基板処理装置1は、
図10の構成に加えて、更に、接地線127と、加熱ガスノズル移動装置129とを備える。接地線127は、加熱ガスノズル123に設けられている。接地線127は、接地電位に接続されている。加熱ガスノズル移動装置129は、制御部113による制御の下で、加熱ガスノズル123とともに接地線127を移動する。加熱ガスノズル移動装置129の具体的な構成は、処理液ノズル移動装置108と同様であってもよい。
【0042】
図15は、第2実施形態による基板処理装置1の動作例を示すタイミングチャートである。
図16は、第2実施形態による基板処理装置1の動作例を示す図である。
図15に示すように、第2実施形態において、基板処理装置1は、基板除電工程において、接地線127を遮光膜203に接触させて遮光膜203を除電する接触除電を行う。より具体的には、基板除電工程において、制御部113は、加熱ガスノズル移動装置129に、第1基板領域21上の凝固膜204に面する位置まで加熱ガスノズル123を移動させる。そして、制御部113は、加熱ガス供給部125に加熱ガスの供給を実行(ON)させる。これにより、加熱ガス供給部125により供給された加熱ガスが加熱ガスノズル123から第1基板領域21上の凝固膜204に吐出される。加熱ガスによる第1基板領域21上の凝固膜204の融解が進行するのにともなって、加熱ガスノズル移動装置129は、加熱ガスノズル123を徐々に降下させる。加熱ガスノズル123を降下させる速度は、凝固膜204の融解速度に応じて予め設定された速度であってもよい。そして、
図16に示すように、加熱ガスノズル123に設けられた接地線127が第1基板領域21内の基板2の表面(すなわち、遮光膜203)に接触する移動量で移動したときに、加熱ガスノズル移動装置129は、加熱ガスノズル123の降下を停止させる。遮光膜203に接地線127が接触することで、遮光膜203に帯電した電荷は、接地線127を介して接地電位に流れる。これにより、遮光膜203が除電される。
【0043】
なお、ステージ101を回転させながら接地線127を遮光膜203に接触させると、接地線127で遮光膜203に傷が付く虞がある。遮光膜203に傷が付かないように、制御部113は、接地線127が遮光膜203に接触しているときは、ステージ101の回転を停止させる。
【0044】
第2実施形態によれば、接地線127を用いることで遮光膜203を迅速に除電することができる。これにより、基板2の処理時間を短縮させることができる。
【0045】
(第2実施形態の第1変形例)
次に、イオナイザで基板2を除電する第2実施形態の第1変形例について、
図14の構成との差異を中心に説明する。
図17は、第2実施形態の第1変形例による基板処理装置1を示す図である。
【0046】
図17に示すように、第2実施形態の第1変形例による基板処理装置1は、
図14の異なり、接地線127の代わりにイオナイザ131を備える。イオナイザ131は、例えば、電離作用を有する軟X線を照射することで照射範囲内にイオンを発生させ、発生したイオンによって基板2から静電気を除去する装置である。制御部113は、イオナイザ131の駆動を制御する。
【0047】
図18は、第2実施形態の第1変形例による基板処理装置1の動作を示すタイミングチャートである。
図18に示すように、第2実施形態の第1変形例において、制御部113は、予備冷却工程、凍結工程、基板除電工程、解凍工程、および乾燥工程の全工程において、イオナイザ131を駆動(ON)させる。これにより、基板除電工程において、加熱ガスによる第1基板領域21上の凝固膜204の融解によって露出した遮光膜203を、イオナイザ131で発生させたイオンによって除電することができる。また、基板除電工程以外においても、基板2上に帯電した電荷を除電することができる。
【0048】
第2実施形態の第1変形例によれば、イオナイザ131を用いることで遮光膜203を非接触で除電することができる。
【0049】
(第2実施形態の第2変形例)
次に、接地線127およびイオナイザ131の双方で基板2を除電する第2実施形態の第1変形例について説明する。
図19は、第2実施形態の第2変形例による基板処理装置1を示す図である。
図19に示すように、第2実施形態の第2変形例による基板処理装置1は、
図17の構成に加えて、更に、接地線127を備え、接地線127とイオナイザ131との双方を用いて遮光膜203を除電する。なお、接地線127を用いた遮光膜203の除電動作は、
図16に示される例と同様である。
【0050】
図20は、第2実施形態の第2変形例による基板処理装置1の動作を示すタイミングチャートである。
図18では、イオナイザ131を全工程において駆動する例について説明した。これに対して、
図20に示すように、第2実施形態の第2変形例では、イオナイザ131の駆動に加えて、接地線127を用いて遮光膜203を除電する。なお、
図20においては、イオナイザ131のタイミングチャートの図示を省略している。また、
図20に示される例では、凍結工程においてステージ101を回転させる。また、
図20に示される基板除電工程の期間は、
図15および
図18に示される基板除電工程の期間よりも短縮させることが可能である。第2実施形態の第2変形例では、イオナイザ131に加えて接地線127を用いて遮光膜203を除電することができるので、遮光膜203を迅速かつ適切に除電することができる。
【0051】
(第2実施形態の第3変形例)
図21は、第2実施形態の第3変形例による基板処理装置1の動作を示すタイミングチャートである。
図21に示すように、
図20に対して、凍結工程においてステージ101を停止させてもよい。凍結工程においてステージ101を停止させることで、凝固膜204の形成時における電荷の移動を低減することができる。これにより、欠陥の原因となる遮光膜203の帯電を低減することができる。
【0052】
(第2実施形態の第4変形例)
次に、接地線127がステージ101とともに回転する第2実施形態の第4変形例について、
図19の構成との差異を中心に説明する。
【0053】
図22は、第2実施形態の第4変形例による基板処理装置1を示す図である。
図22に示すように、第2実施形態の第4変形例による基板処理装置1は、
図19の構成に対して、接地線127がステージ101上に設けられている点が異なる。
図22に示される例において、接地線127は、基板支持ピン102の外側に設けられている。接地線127は、ステージ101とともに回転可能である。処理液による接地線127の劣化を低減するため、接地線127は、部分的に防水カバー133で保護されていてもよい。接地線127は、基板2の最表面に常時接触する構成であってもよい。あるいは、接地線127は、図示しない移動装置によって、遮光膜203が露出されるまでは基板2の最表面から退避される構成であってもよい。
【0054】
図23は、第2実施形態の第4変形例による基板処理装置1の動作を示すタイミングチャートである。
図23に示すように、第2実施形態の第4変形例において、制御部113は、基板除電工程においてステージ101を回転させる。接地線127は、ステージ101およびステージ101上の基板2とともに回転するので、接地線127によって基板2の遮光膜203に傷が付くことを妨げることができる。なお、
図23に示される例において、制御部113は、凍結工程においてもステージ101を回転させる。
【0055】
第2実施形態の第4変形例によれば、
図19の構成と同様に、接地線127とイオナイザ131との双方によって遮光膜203を効率的に除電することができる。
【0056】
(第2実施形態の第5変形例)
図24は、第2実施形態の第5変形例による基板処理装置1の動作を示すタイミングチャートである。
図24に示すように、
図23に対して、凍結工程においてステージ101の回転を停止させてもよい。凍結工程においてステージ101を停止させることで、欠陥の原因となる遮光膜203の帯電を低減することができる。
【0057】
(第3実施形態)
次に、光の照射によって凝固膜204を融解させる第3実施形態について、第1実施形態および第2実施形態との差異を中心に説明する。
図25は、第3実施形態による基板処理装置1の一例を示す図である。
図26は、第3実施形態による基板処理装置1の一部を示す平面図である。
【0058】
図25および
図26に示すように、第3実施形態による基板処理装置1は、ランプ135を備える。ランプ135は、例えば、ハロゲンランプである。ランプ135は、第1基板領域21上に、遮光膜203に吸収される波長の光を照射することで、第1基板領域21上の凝固膜204を融解させる。ランプ135は、例えば、約700~2000nmの範囲内の波長を有する光を照射する。ランプ135から照射される光は、赤外光であってもよい。
図25および
図26に示される例において、ランプ135は、X軸方向に沿って基板2を跨ぐ(すなわち、横断する)長さにわたって棒状に形成されている。
【0059】
制御部113は、ランプ135による光の照射を制御する。例えば、制御部113は、ランプ135に約700~2000nmの範囲内の波長を有するパルス状の光を所定の時間間隔で複数回照射させてもよい。
【0060】
ランプ135によって照射された光は、第1基板領域21に配置された遮光膜203に吸収されて遮光膜203を加熱する。遮光膜203が加熱されることで、遮光膜203に接する第1基板領域21上の凝固膜204は融解する。一方、ランプ135によって照射された光は、第2基板領域22に配置されたハーフトーン膜202に殆ど吸収されず、ハーフトーン膜202を殆ど加熱しない。ハーフトーン膜202が殆ど加熱されないことで、ハーフトーン膜202に接する第2基板領域22上の凝固膜204は殆ど融解しない。なお、第2基板領域22上の凝固膜204は、イオナイザ131を用いた基板除電工程の完了後に、処理液ノズル103から吐出される処理液により融解する。なお、ランプ135を用いて第1基板領域21上の凝固膜204を融解させるときに、処理液供給ノズル103は、上述した処理液ノズル移動装置108によって退避位置まで退避されていてもよい。
【0061】
第1実施形態および第2実施形態と同様に、第3実施形態においても、第2基板領域22上の凝固膜204よりも先に第1基板領域21上の凝固膜204を融解させることができる。これにより、第2基板領域22に位置するハーフトーン膜202の部分的な酸化による欠陥の発生を低減することができる。
【0062】
(第3実施形態の第1変形例)
次に、遮光膜203以外の基板2における光の吸収を妨げる第3実施形態の第1変形例について、
図25の構成との差異を中心に説明する。
図27は、第3実施形態の第1変形例による基板処理装置1を示す図である。
【0063】
図27に示すように、第3実施形態の第1変形例による基板処理装置1は、
図25の構成に加えて、更に、フィルタ137を備える。
図27に示される例において、フィルタ137は、板状を有する。フィルタ137は、ランプ135と基板2との間に配置されている。また、ランプ135は、波長の幅を持った光を基板2に照射する。
【0064】
フィルタ137は、吸収する光の波長が、石英基板201、ハーフトーン膜202、および凝固膜204の少なくとも1つと同じである材質で構成されている。例えば、フィルタ137は、石英基板201と同じ材料で構成された層と、ハーフトーン膜202と同じ材料で構成された層と、凝固膜204と同じ若しくは吸収波長が近い材料で構成された層とを積層した積層構造であってもよい。
【0065】
図28は、第3実施形態の第1変形例による基板処理装置1の動作を説明するための説明図である。
図28に示すように、第3実施形態の第1変形例においては、ランプ135から照射された光のうち、石英基板201による吸収率が高い光L2、ハーフトーン膜202による吸収率が高い光L3、および、凝固膜204による吸収率が高い光L4は、フィルタ137に吸収される。すなわち、これらの光L2~L4はフィルタ137の透過光量が低減されて、基板2への照射光量が低減される。一方、遮光膜203による吸収率が高い光L1は、フィルタ137で殆ど吸収されず、フィルタ137を透過して基板2に照射される。したがって、第1基板領域21に配置された遮光膜203においては、光L1が吸収され、第2基板領域22の配置されたハーフトーン膜202、石英基板201および凝固膜204においては、光の吸収量が低減される。
【0066】
したがって、第3実施形態の第1変形例によれば、遮光膜203以外の部分での光の吸収を阻害することで、より確実に、第2基板領域22上の凝固膜204よりも先に第1基板領域21上の凝固膜204を融解させることができる。これにより、第2基板領域22に位置するハーフトーン膜202の部分的な酸化による欠陥の発生をより効果的に低減することができる。
【0067】
(第3実施形態の第2変形例)
図29は、第3実施形態の第2変形例による基板処理装置1の一部を平面図である。
図26では、ランプ135が基板2を跨ぐ長さに形成された例について説明した。これに対して、
図29に示すように、ランプ135は、基板2の第1基板領域21の一部を覆うように形成されていてもよい。すなわち、ランプ135は、第1基板領域21の回転軌道上に配置されていてもよい。第3実施形態の第2変形例によれば、ランプ135を小型化してコストを低減させることができる。
【0068】
(第3実施形態の第3変形例)
図30は、第3実施形態の第3変形例による基板処理装置1を示すブロック図である。これまでは、1つのチャンバ内で凍結洗浄の各工程を実施する例について説明した。これに対して、
図30に示すように、複数のチャンバ内で凍結洗浄の各工程を分割して実施してもよい。
図30に示される例において、基板処理装置1は、親水化ユニット1001と、凍結リンス乾燥ユニット1002と、赤外線ユニット1003とを備える。なお、親水化ユニット1001と、凍結リンス乾燥ユニット1002と、赤外線ユニット1003との間には、各ユニット間で基板2を受け渡すための図示しない基板搬送機構が設けられている。
【0069】
親水化ユニット1001は、上述した予備冷却工程の前に、基板2の表面に紫外光を照射することで、処理液による基板2の濡れ性を向上させる。
【0070】
凍結リンス乾燥ユニット1002は、予備冷却工程、凍結工程、解凍工程(リンス工程)および乾燥工程を実施する。
【0071】
赤外線ユニット1003は、上述した基板除電工程を実施する。すなわち、凍結工程で液膜が凍結された基板2は、凍結されたまま赤外線ユニット1003に搬送される。そして、赤外線ユニット1003において第1基板領域21上の凝固膜204が解凍(一部解凍)されて除電された基板2は、解凍工程のために凍結リンス乾燥ユニット1002に搬送される。なお、基板除電工程における第1基板領域21上の凝固膜204の融解は、赤外線照射によって行われる。
【0072】
第3実施形態の第3変形例によれば、複数のチャンバで凍結洗浄の各工程を実施することで、各工程の設計の自由度を向上させることができる。
【0073】
(第3実施形態の第4変形例)
図31は、第3実施形態の第4変形例による基板処理装置1を示す図である。これまでは、基板2の上方に配置されたランプ135から基板2に赤外線を照射することで、第1基板領域21上の凝固膜204を融解させる例について説明した。これに対して、
図31に示すように、赤外線ユニット1003では、ランプ135が基板2の下方に配置されていてもよい。
【0074】
なお、本実施形態は、上述した基板2の除電に限定されず、石英ガラスのような絶縁物上に、導電性の枠状の金属膜と、当該金属膜の内側に島状に配置された金属膜と異なる材質の膜とを備えた基板において、金属膜を除電するために用いられてもよい。
【0075】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0076】
2:基板、21:第1基板領域、22:第2基板領域、202:ハーフトーン膜、203:遮光膜、204:凝固膜