(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-01-07
(45)【発行日】2026-01-16
(54)【発明の名称】レーザ装置、光路調整方法、及び電子デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01S 3/086 20060101AFI20260108BHJP
H01S 3/083 20060101ALI20260108BHJP
H01S 3/00 20060101ALI20260108BHJP
【FI】
H01S3/086
H01S3/083
H01S3/00 B
(21)【出願番号】P 2023579899
(86)(22)【出願日】2022-02-08
(86)【国際出願番号】 JP2022004940
(87)【国際公開番号】W WO2023152805
(87)【国際公開日】2023-08-17
【審査請求日】2025-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】300073919
【氏名又は名称】ギガフォトン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】淵向 篤
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 徹
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-135075(JP,A)
【文献】特開平11-274614(JP,A)
【文献】特開2008-277618(JP,A)
【文献】国際公開第2018/134971(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/186696(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/086
H01S 3/083
H01S 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射する発振器と、
前記レーザ光を一対の放電電極を含むチャンバ内で増幅する増幅器と、
前記チャンバを挟んで対向する位置に配置されて、前記一対の放電電極の間で交差する第1光路及び第2光路を含むリング共振器を構成するフロント側光学系及びリア側光学系と、
前記フロント側光学系と前記チャンバとの間の前記第1光路及び前記第2光路を観察するためのフロント側観察装置と、
前記リア側光学系と前記チャンバとの間の前記第1光路及び前記第2光路を観察するためのリア側観察装置と、
を備え、
前記第1光路は、前記フロント側光学系が、前記発振器から入射する前記レーザ光を前記リア側光学系に向けて出射する光路であり、
前記第2光路は、前記リア側光学系が、前記第1光路を介して入射する前記レーザ光を前記フロント側光学系に向けて出射する光路である、
レーザ装置
であって、
前記フロント側観察装置は、
前記第1光路に配置されるフロント側第1ミラーと、
前記第2光路に配置されるフロント側第2ミラーと、
前記フロント側第1ミラー及び前記フロント側第2ミラーから前記レーザ光の反射光が入射するフロント側スクリーンと、
前記フロント側スクリーンを撮像するフロント側カメラと、
を含み、
前記リア側観察装置は、
前記第1光路に配置されるリア側第1ミラーと、
前記第2光路に配置されるリア側第2ミラーと、
前記リア側第1ミラー及び前記リア側第2ミラーから前記レーザ光の反射光が入射するリア側スクリーンと、
前記リア側スクリーンを撮像するリア側カメラと、
を含む
レーザ装置。
【請求項2】
請求項
1に記載のレーザ装置であって、
前記フロント側第1ミラー及び前記フロント側第2ミラーは、前記フロント側光学系と前記チャンバとの間の前記第1光路及び前記第2光路から退避可能であり、
前記リア側第1ミラー及び前記リア側第2ミラーは、前記リア側光学系と前記チャンバとの間の前記第1光路及び前記第2光路から退避可能である。
【請求項3】
請求項
2に記載のレーザ装置であって、
前記フロント側第1ミラー及び前記リア側第1ミラーは、前記第1光路に沿って入射する前記レーザ光を部分反射する部分反射ミラーであり、
前記フロント側第2ミラー及び前記リア側第2ミラーは、前記第2光路に沿って入射する前記レーザ光を高反射する高反射ミラーである。
【請求項4】
請求項
1に記載のレーザ装置であって、
前記フロント側スクリーン及び前記リア側スクリーンは、蛍光板である。
【請求項5】
請求項
2に記載のレーザ装置であって、
前記フロント側カメラは、前記フロント側スクリーンに生じる一対の輝点を撮像し、
前記リア側カメラは、前記リア側スクリーンに生じる一対の輝点を撮像する。
【請求項6】
請求項1に記載のレーザ装置であって、
前記リア側光学系は、前記第1光路を介して入射する前記レーザ光を反射する第1高反射ミラーと、前記第1高反射ミラーにより反射された前記レーザ光を反射して前記第2光路に沿って進行させる第2高反射ミラーとを含む。
【請求項7】
請求項
6に記載のレーザ装置であって、
前記第1光路及び前記第2光路は、前記一対の放電電極による放電方向に直交する面に含まれ、
前記リア側光学系は、前記第1高反射ミラーと前記第2高反射ミラーとを、前記一対の放電電極の長手方向と前記放電方向とに直交する方向に移動させる位置調整ステージを含む。
【請求項8】
請求項
7に記載のレーザ装置であって、
前記リア側光学系は、前記第2高反射ミラーの姿勢を変更する第1アクチュエータを含む。
【請求項9】
請求項1に記載のレーザ装置であって、
前記発振器と前記増幅器との間における前記レーザ光の光路上に配置され、前記増幅器に入射する前記レーザ光の光路を調整するビームステアリング装置を更に備える。
【請求項10】
請求項
9に記載のレーザ装置であって、
前記ビームステアリング装置は、少なくとも2枚のミラーを含み、前記増幅器に入射する前記レーザ光の光路の位置及び角度を調整することを可能とする。
【請求項11】
請求項1に記載のレーザ装置であって、
前記増幅器から出射される前記レーザ光の光路を観察するためのビームプロファイラを更に備える。
【請求項12】
請求項1に記載のレーザ装置であって、
前記フロント側光学系は、出力結合ミラーと、第3高反射ミラーと、第4高反射ミラーとを含み、
前記出力結合ミラーは、前記発振器から入射する前記レーザ光を透過させて前記第1光路に沿って進行させる。
【請求項13】
請求項
12に記載のレーザ装置であって、
前記第3高反射ミラーは、前記第2光路を進行して前記フロント側光学系に入射する前記レーザ光を前記第4高反射ミラーに向けて反射し、
前記第4高反射ミラーは、前記第3高反射ミラーから入射する前記レーザ光を前記出力結合ミラーに向けて反射し、
前記出力結合ミラーは、前記第4高反射ミラーから入射する前記レーザ光の一部を透過させて前記フロント側光学系から出射し、かつ一部を反射して前記第1光路に沿って進行させる。
【請求項14】
請求項
13に記載のレーザ装置であって、
前記フロント側光学系は、前記第3高反射ミラーの姿勢を変更する第2アクチュエータと、前記第4高反射ミラーの姿勢を変更する第3アクチュエータとを含む。
【請求項15】
請求項1に記載のレーザ装置であって、
前記チャンバには、
前記一対の放電電極と前記フロント側光学系との間に配置され、前記第1光路及び前記第2光路が通過する第1ウィンドウと、
前記一対の放電電極と前記リア側光学系との間に配置され、前記第1光路及び前記第2光路が通過する第2ウィンドウと、
が設けられ、
前記チャンバの内部において、前記
一対の放電電極と前記
第1ウィンドウの間と、前記
一対の放電電極と前記
第2ウィンドウとの間とに、それぞれ前記第1光路及び前記第2光路が通過するスリットを有するスリット部材が設けられている。
【請求項16】
請求項1に記載のレーザ装置であって、
前記発振器は、固体レーザ装置である。
【請求項17】
レーザ光を出射する発振器と、
前記レーザ光を一対の放電電極を含むチャンバ内で増幅する増幅器と、
前記チャンバを挟んで対向する位置に配置されて、前記一対の放電電極の間で交差する第1光路及び第2光路を含むリング共振器を構成するフロント側光学系及びリア側光学系と、
前記フロント側光学系と前記チャンバとの間の前記第1光路及び前記第2光路を観察するためのフロント側観察装置と、
前記リア側光学系と前記チャンバとの間の前記第1光路及び前記第2光路を観察するためのリア側観察装置と、
を備え、
前記第1光路は、前記フロント側光学系が、前記発振器から入射する前記レーザ光を前記リア側光学系に向けて出射する光路であり、
前記第2光路は、前記リア側光学系が、前記第1光路を介して入射する前記レーザ光を前記フロント側光学系に向けて出射する光路である、
レーザ装置の光路調整方法であって、
前記リア側観察装置を用いて前記第1光路及び前記第2光路を観察することにより、前記リア側光学系を調整すること、
前記フロント側観察装置を用いて前記第1光路及び前記第2光路を観察することにより、前記リア側光学系を調整すること、
前記増幅器から出射された前記レーザ光の光路を観察することにより、前記フロント側光学系を調整すること、
を含む光路調整方法。
【請求項18】
請求項
17に記載の光路調整方法であって、
前記フロント側観察装置と前記リア側観察装置を用いて前記第1光路及び前記第2光路を観察することにより、前記発振器と前記増幅器との間における前記レーザ光の光路上に配置されたビームステアリング装置を調整することを含む。
【請求項19】
電子デバイスの製造方法であって、
レーザ光を出射する発振器と、
前記レーザ光を一対の放電電極を含むチャンバ内で増幅する増幅器と、
前記チャンバを挟んで対向する位置に配置されて、前記一対の放電電極の間で交差する第1光路及び第2光路を含むリング共振器を構成するフロント側光学系及びリア側光学系と、
前記フロント側光学系と前記チャンバとの間の前記第1光路及び前記第2光路を観察するためのフロント側観察装置と、
前記リア側光学系と前記チャンバとの間の前記第1光路及び前記第2光路を観察するためのリア側観察装置と、
を備え、
前記第1光路は、前記フロント側光学系が、前記発振器から入射する前記レーザ光を前記リア側光学系に向けて出射する光路であり、
前記第2光路は、前記リア側光学系が、前記第1光路を介して入射する前記レーザ光を前記フロント側光学系に向けて出射する光路である
レーザ装置
であって、
前記フロント側観察装置は、
前記第1光路に配置されるフロント側第1ミラーと、
前記第2光路に配置されるフロント側第2ミラーと、
前記フロント側第1ミラー及び前記フロント側第2ミラーから前記レーザ光の反射光が入射するフロント側スクリーンと、
前記フロント側スクリーンを撮像するフロント側カメラと、
を含み、
前記リア側観察装置は、
前記第1光路に配置されるリア側第1ミラーと、
前記第2光路に配置されるリア側第2ミラーと、
前記リア側第1ミラー及び前記リア側第2ミラーから前記レーザ光の反射光が入射するリア側スクリーンと、
前記リア側スクリーンを撮像するリア側カメラと、
を含む
レーザ装置によって前記レーザ光を生成し、
前記レーザ光を露光装置に出力し、
電子デバイスを製造するために、前記露光装置内で感光基板に前記レーザ光を露光することを含む、
電子デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザ装置、光路調整方法、及び電子デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体露光装置においては、半導体集積回路の微細化及び高集積化につれて、解像力の向上が要請されている。このため、露光用光源から放出される光の短波長化が進められている。例えば、露光用のガスレーザ装置としては、波長約248nmのレーザ光を出力するKrFエキシマレーザ装置、ならびに波長約193nmのレーザ光を出力するArFエキシマレーザ装置が用いられる。
【0003】
KrFエキシマレーザ装置及びArFエキシマレーザ装置の自然発振光のスペクトル線幅は、350~400pmと広い。そのため、KrF及びArFレーザ光のような紫外線を透過する材料で投影レンズを構成すると、色収差が発生してしまう場合がある。その結果、解像力が低下し得る。そこで、ガスレーザ装置から出力されるレーザ光のスペクトル線幅を、色収差が無視できる程度となるまで狭帯域化する必要がある。そのため、ガスレーザ装置のレーザ共振器内には、スペクトル線幅を狭帯域化するために、狭帯域化素子(エタロンやグレーティング等)を含む狭帯域化モジュール(Line Narrowing Module:LNM)が備えられる場合がある。以下では、スペクトル線幅が狭帯域化されるガスレーザ装置を狭帯域化ガスレーザ装置という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【概要】
【0005】
本開示の1つの観点に係るレーザ装置は、レーザ光を出射する発振器と、レーザ光を一対の放電電極を含むチャンバ内で増幅する増幅器と、チャンバを挟んで対向する位置に配置されて、一対の放電電極の間で交差する第1光路及び第2光路を含むリング共振器を構成するフロント側光学系及びリア側光学系と、フロント側光学系とチャンバとの間の第1光路及び第2光路を観察するためのフロント側観察装置と、リア側光学系とチャンバとの間の第1光路及び第2光路を観察するためのリア側観察装置と、を備え、第1光路は、フロント側光学系が、発振器から入射するレーザ光をリア側光学系に向けて出射する光路であり、第2光路は、リア側光学系が、第1光路を介して入射するレーザ光をフロント側光学系に向けて出射する光路である。
【0006】
本開示の1つの観点に係る光路調整方法は、レーザ光を出射する発振器と、レーザ光を一対の放電電極を含むチャンバ内で増幅する増幅器と、チャンバを挟んで対向する位置に配置されて、一対の放電電極の間で交差する第1光路及び第2光路を含むリング共振器を構成するフロント側光学系及びリア側光学系と、フロント側光学系とチャンバとの間の第1光路及び第2光路を観察するためのフロント側観察装置と、リア側光学系とチャンバとの間の第1光路及び第2光路を観察するためのリア側観察装置と、を備え、第1光路は、フロント側光学系が、発振器から入射するレーザ光をリア側光学系に向けて出射する光路であり、第2光路は、リア側光学系が、第1光路を介して入射するレーザ光をフロント側光学系に向けて出射する光路である、レーザ装置の光路調整方法であって、リア側観察装置を用いて第1光路及び第2光路を観察することにより、リア側光学系を調整すること、フロント側観察装置を用いて第1光路及び第2光路を観察することにより、リア側光学系を調整すること、増幅器から出射されたレーザ光の光路を観察することにより、フロント側光学系を調整することを含む。
【0007】
本開示の1つの観点に係る電子デバイスの製造方法は、電子デバイスの製造方法であって、レーザ光を出射する発振器と、レーザ光を一対の放電電極を含むチャンバ内で増幅する増幅器と、チャンバを挟んで対向する位置に配置されて、一対の放電電極の間で交差する第1光路及び第2光路を含むリング共振器を構成するフロント側光学系及びリア側光学系と、フロント側光学系とチャンバとの間の第1光路及び第2光路を観察するためのフロント側観察装置と、リア側光学系とチャンバとの間の第1光路及び第2光路を観察するためのリア側観察装置と、を備え、第1光路は、フロント側光学系が、発振器から入射するレーザ光をリア側光学系に向けて出射する光路であり、第2光路は、リア側光学系が、第1光路を介して入射するレーザ光をフロント側光学系に向けて出射する光路である、レーザ装置によってレーザ光を生成し、レーザ光を露光装置に出力し、電子デバイスを製造するために、露光装置内で感光基板にレーザ光を露光することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
【
図1】
図1は、比較例に係るレーザ装置の構成例を概略的に示す上面図である。
【
図2】
図2は、比較例に係るマスターオシレータの構成例を概略的に示す側面図である。
【
図3】
図3は、比較例に係る光路調整の初期状態を概略的に示す上面図である。
【
図4】
図4は、ビームプロファイラにより観察されるビームプロファイルを概略的に示す図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係るレーザ装置の構成例を概略的に示す上面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係るパワーオシレータの構成例を概略的に示す側面図である。
【
図7】
図7は、フロント側観察装置の構成例を概略的に示す斜視図である。
【
図8】
図8は、リア側観察装置の構成例を概略的に示す斜視図である。
【
図9】
図9は、リア側光学系に設けられた位置調整ステージの作用を説明する図である。
【
図10】
図10は、リア側光学系に設けられたアクチュエータの作用を説明する図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態における光路調整の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係るレーザ装置の構成例を概略的に示す上面図である。
【
図13】
図13は、変形例に係るMOビームステアリングユニットの構成を概略的に示す斜視図である。
【
図14】
図14は、変形例に係るマスターオシレータの構成を概略的に示す図である。
【
図15】
図15は、露光装置の構成例を概略的に示す図である。
【実施形態】
【0009】
<内容>
1.比較例
1.1 構成
1.2 動作
1.3 光路調整
1.4 課題
2.第1実施形態
2.1 構成
2.2 動作
2.3 光路調整
2.4 効果
3.第2実施形態
3.1 構成
3.2 動作
3.3 光路調整
3.4 効果
4.MOビームステアリングユニットの変形例
5.マスターオシレータの変形例
5.1 構成
5.2 動作
5.3 その他
6.フロント側観察装置及びリア側観察装置の変形例
7.電子デバイスの製造方法
【0010】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。以下に説明される実施形態は、本開示のいくつかの例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本開示の構成及び動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0011】
1.比較例
本開示の比較例とは、出願人のみによって知られていると出願人が認識している形態であって、出願人が自認している公知例ではない。
【0012】
1.1 構成
図1は、比較例に係るレーザ装置2の構成例を概略的に示す。
図1において、レーザ装置2の高さ方向をV軸方向、長さ方向をZ軸方向、奥行き方向をH軸方向とする。V軸方向は、重力方向と平行であってよく、重力方向と逆方向を「+V軸方向」とする。また、レーザ装置2から出射されるレーザ光Lpの出射方向を「+Z軸方向」とする。また、
図1の紙面の手前に向かう方向を「+V軸方向」とする。
【0013】
レーザ装置2は、マスターオシレータ(Master Oscillator:MO)10と、MOビームステアリングユニット20と、パワーオシレータ(Power Oscillator:PO)30とを含む。なお、マスターオシレータ10は、本開示の技術に係る「発振器」の一例である。MOビームステアリングユニット20は、本開示の技術に係る「ビームステアリング装置」の一例である。パワーオシレータ30は、本開示の技術に係る「増幅器」の一例である。
【0014】
MOビームステアリングユニット20は、マスターオシレータ10とパワーオシレータ30との間におけるレーザ光Lpの光路上に配置されており、パワーオシレータ30に入射するレーザ光Lpの光路の位置及び角度を調整することを可能とする。
【0015】
MOビームステアリングユニット20は、2枚の高反射ミラー21a,21bを含む。高反射ミラー21a,21bは、マスターオシレータ10から出射されたレーザ光Lpがパワーオシレータ30に入射するように配置されている。マスターオシレータ10から出射されるレーザ光Lpは、パルスレーザ光である。高反射ミラー21a,21bには、それぞれ姿勢を変更するための図示しないアクチュエータが取り付けられている。例えば、アクチュエータは、左右及び上下方向へのあおり調整を可能とする。
【0016】
本開示における高反射ミラーは、例えば、合成石英又はフッ化カルシウム(CaF2)により形成された基板の表面に高反射膜が形成された平面ミラーである。高反射膜は、誘電体多層膜、例えば、フッ化物を含む膜である。
【0017】
パワーオシレータ30は、チャンバ32と、フロント側光学系35と、リア側光学系36とを含む。フロント側光学系35は、MOビームステアリングユニット20からパワーオシレータ30にレーザ光Lpが入射する光入射側に配置されている。リア側光学系36は、チャンバ32を挟んでフロント側光学系35と対向する位置に配置されている。
【0018】
チャンバ32は、リング共振器の光路上に配置されている。チャンバ32には、レーザガスが充填されている。レーザガスは、例えば、レアガスとしてArガス又はKrガス、ハロゲンガスとしてF2ガス、バッファガスとしてNeガスを含んでいてもよい。
【0019】
チャンバ32は、一対の放電電極33a,33bと、レーザ光Lpが透過する2枚のウィンドウ34a,34bとを含む。一対の放電電極33a,33bは、V軸方向に対向するように配置されている。
【0020】
ウィンドウ34a,34bは、レーザ光Lpの入射角がブリュースター角に近い角度となるように配置されている。また、ウィンドウ34a,34bは、レーザ光Lpの偏光状態がP偏光となるように配置されている。
【0021】
チャンバ32の内部には、スリット37aを有するスリット部材37と、スリット38aを有するスリット部材38とが設けられている。スリット部材37は、一対の放電電極33a,33bとウィンドウ34aとの間において、レーザ光Lpがスリット37aを通過するように配置されている。スリット部材38は、一対の放電電極33a,33bとウィンドウ34bとの間において、レーザ光Lpがスリット38aを通過するように配置されている。スリット部材37,38は、迷光を抑制し、かつ放電空間で生じるダストがウィンドウ34a,34bに付着することを抑制する。
【0022】
フロント側光学系35は、出力結合ミラー40と高反射ミラー41とを含む。出力結合ミラー40は、MOビームステアリングユニット20から入射するレーザ光Lpの光路上に、レーザ光Lpが所定の入射角で入射するように配置されている。
【0023】
出力結合ミラー40は、例えば、反射率が10%~30%の範囲内の部分反射ミラーである。出力結合ミラー40は、対向する第1面40a及び第2面40bを有する。第1面40a及び第2面40bは、一対の放電電極33a,33bの放電方向であるV軸方向に平行である。
【0024】
出力結合ミラー40は、MOビームステアリングユニット20から第1面40aに入射するレーザ光Lpを透過させ、かつ一部を反射する。また、出力結合ミラー40は、高反射ミラー41から第2面40bに入射するレーザ光Lpの一部を透過させ、かつ一部を反射する。出力結合ミラー40を透過した上記レーザ光Lpの一部は、フロント側光学系35からパワーオシレータ30の外部に出射される。出力結合ミラー40の第2面40bで反射したレーザ光Lpの一部は、チャンバ32に入射する。
【0025】
高反射ミラー41は、高反射膜が形成された高反射面41aを有する。出力結合ミラー40と高反射ミラー41とは、第2面40bと高反射面41aとが所定の角度をなして対向するように配置されている。高反射ミラー41は、リア側光学系36からチャンバ32を介して入射するレーザ光Lpを、高反射面41aで出力結合ミラー40の第2面40bに向けて反射する。
【0026】
高反射ミラー41及び出力結合ミラー40には、それぞれ姿勢を変更するためのアクチュエータ42,43が取り付けられている。例えば、アクチュエータ42,43は、左右及び上下方向のあおり調整を可能とする。
【0027】
リア側光学系36は、第1高反射ミラー50と第2高反射ミラー51とを含む。第1高反射ミラー50は、高反射膜が形成された高反射面50aを有する。第2高反射ミラー51は、高反射膜が形成された高反射面51aを有する。高反射面50a及び高反射面51aは、V軸方向に平行である。第1高反射ミラー50と第2高反射ミラー51とは、高反射面50aと高反射面51aとが所定の角度をなして対向するように配置されている。
【0028】
第1高反射ミラー50は、フロント側光学系35からチャンバ32を介して入射するレーザ光Lpを、高反射面50aで第2高反射ミラー51に向けて反射する。第2高反射ミラー51は、第1高反射ミラー50から入射するレーザ光Lpを、高反射面51aでチャンバ32に向けて反射する。
【0029】
フロント側光学系35とリア側光学系36とにより、一対の放電電極33a,33bの間で交差する第1光路P1及び第2光路P2を含むリング共振器が構成される。第1光路P1と第2光路P2とは、一対の放電電極33a,33bの間の放電空間内で近接している。
【0030】
第1光路P1は、出力結合ミラー40と第1高反射ミラー50とによって構成される。第2光路P2は、第2高反射ミラー51と高反射ミラー41とによって構成される。第1光路P1は、フロント側光学系35が、マスターオシレータ10から入射するレーザ光Lpをリア側光学系36に向けて出射する光路である。第2光路P2は、リア側光学系36が、第1光路P1を介して入射するレーザ光Lpをフロント側光学系35に向けて出射する光路である。
【0031】
すなわち、第1光路P1は、フロント側光学系35からチャンバ32を介してリア側光学系36に至る往路である。第2光路P2は、リア側光学系36からチャンバ32を介してフロント側光学系35に至る復路である。また、第1光路P1と第2光路P2とは、一対の放電電極33a,33bによる放電方向であるV軸方向に直交する面に含まれる。
【0032】
パワーオシレータ30から出射されるレーザ光Lpの光路には、レーザ光Lpのビームプロファイルを観察するためのビームプロファイラ60が設けられている。例えば、ビームプロファイラ60は、レーザ光Lpのビームプロファイルを撮像する紫外線カメラにより構成されている。ビームプロファイラ60は、レーザ光Lpの光路から退避可能に構成されている。なお、ビームプロファイラ60は、パワーオシレータ30に着脱可能であってもよい。また、ビームプロファイラ60は、紫外線カメラに代えて、レーザ光Lpを可視光に変換する蛍光板と、蛍光板を撮像する可視光カメラとを含むものであってもよい。
【0033】
図2は、比較例に係るマスターオシレータ10の構成例を概略的に示す。マスターオシレータ10は、狭帯域化モジュール11と、チャンバ14と、出力結合ミラー(Output Coupler:OC)17とを含む。
【0034】
狭帯域化モジュール11は、スペクトル線幅を狭帯域化するためのプリズムビームエキスパンダ12と、グレーティング13とを含む。プリズムビームエキスパンダ12とグレーティング13とは、入射角度と回折角度とが一致するようにリトロー配置されている。
【0035】
出力結合ミラー17は、例えば、反射率が40%~60%の範囲内の反射ミラーである。出力結合ミラー17と狭帯域化モジュール11とは、光共振器を構成する。
【0036】
チャンバ14は、光共振器の光路上に配置されている。チャンバ14は、一対の放電電極15a,15bと、レーザ光Lpが透過する2枚のウィンドウ16a,16bとを含む。チャンバ14には、レーザガスが充填されている。
【0037】
ウィンドウ16a,16bは、レーザ光Lpの入射角がブリュースター角に近い角度となるように配置されている。また、ウィンドウ16a,16bは、レーザ光Lpの偏光状態がP偏光となるように配置されている。
【0038】
1.2 動作
マスターオシレータ10のチャンバ14において放電が発生すると、レーザガスが励起され、出力結合ミラー17と狭帯域化モジュール11とで構成される光共振器によって狭帯域化されたレーザ光Lpが出力結合ミラー17から出射される。このレーザ光Lpは、MOビームステアリングユニット20を介して、パワーオシレータ30のフロント側光学系35にシード光として入射する。
【0039】
フロント側光学系35に入射したレーザ光Lpは、出力結合ミラー40を透過してリング共振器の内部に入射する。出力結合ミラー40を透過したレーザ光Lpは、第1光路P1に沿って進行してチャンバ32に入射する。チャンバ32にレーザ光Lpが入射するタイミングに同期して、放電空間において放電が発生する。その結果、レーザガスが励起されてレーザ光Lpが増幅される。増幅されたレーザ光Lpは、チャンバ32から出射されて第1光路P1に沿って進行した後、リア側光学系36に入射する。
【0040】
リア側光学系36に入射したレーザ光Lpは、第1高反射ミラー50と第2高反射ミラー51とで反射されることにより進行方向が折り返されて、リア側光学系36から出射される。リア側光学系36から出射されたレーザ光Lpは、第2光路P2に沿って進行してチャンバ32に入射する。チャンバ32に入射したレーザ光Lpは、放電空間で再び増幅されてチャンバ32から出射される。チャンバ32から出射されたレーザ光Lpは、第2光路P2に沿って進行した後、フロント側光学系35に入射する。
【0041】
フロント側光学系35に入射したレーザ光Lpは、高反射ミラー41で出力結合ミラー40に向けて反射される。出力結合ミラー40に入射したレーザ光Lpの一部は、出力結合ミラー40を透過して、フロント側光学系35からパワーオシレータ30の外部へ出射される。
【0042】
また、出力結合ミラー40に入射したレーザ光Lpの残りの一部は、出力結合ミラー40で反射されることによりフロント側光学系35からチャンバ32に向けて出射される。すなわち、レーザ光Lpの残りの一部は、フロント側光学系35で進行方向が折り返される。進行方向が折り返されたレーザ光Lpは、再び第1光路P1に沿って進行してチャンバ32に入射する。このように、レーザ光Lpの一部は、第1光路P1及び第2光路P2を含むリング共振器を繰り返し周回する。レーザ光Lpが一回の放電時間内に放電空間を複数回通過することにより増幅発振する。
【0043】
パワーオシレータ30から出射されたレーザ光Lpは、ビームプロファイラ60が配置される光路を進行してレーザ装置2から出力される。なお、レーザ装置2の動作時には、ビームプロファイラ60は、パワーオシレータ30aから出射されるレーザ光Lpの光路から退避している。
【0044】
1.3 光路調整
次に、比較例に係るレーザ装置2を動作させる前の準備段階で行われる光路調整について説明する。
【0045】
図3は、比較例に係る光路調整の初期状態を概略的に示す。まず、作業者は、準備段階において、レーザ装置2からパワーオシレータ30を取り外す。次に、作業者は、MOビームステアリングユニット20から出射されると想定されるレーザ光Lpの光路上に、調整用の一対のスリット部材71,72を一定間隔離して配置する。スリット部材71,72には、スリット71a,72aがそれぞれ形成されている。
【0046】
次に、作業者は、マスターオシレータ10を動作させてレーザ光Lpを出射させる。作業者は、MOビームステアリングユニット20から出射されたレーザ光Lpがスリット71a,72aをそれぞれ通過するように、MOビームステアリングユニット20の高反射ミラー21a,21bの姿勢を調整する。これにより、MOビームステアリングユニット20から出射されるレーザ光Lpの光路調整が完了する。
【0047】
作業者は、マスターオシレータ10の動作を停止させた状態で、レーザ装置2からスリット71a,72aを撤去し、レーザ装置2にパワーオシレータ30を取り付ける。そして、作業者は、マスターオシレータ10及びパワーオシレータ30を動作させた状態で、ビームプロファイラ60によりビームプロファイルを観察しながらアクチュエータ42,43,52,53を操作して出力結合ミラー40及び高反射ミラー41,50,51の姿勢を調整する。なお、本開示におけるアクチュエータは、例えば、2軸のアクチュエータ付きミラーホルダである。
【0048】
図4は、ビームプロファイラ60により観察されるビームプロファイルを概略的に示す。
図4において、Lp0は、MOビームステアリングユニット20から出力結合ミラー40に入射し、第1面40aで部分的に反射されることによりパワーオシレータ30から出射されるレーザ光Lpを表している。Lp1は、リング共振器を1回周回してパワーオシレータ30から出射されるレーザ光Lpを表している。Lp2は、リング共振器を2回周回してパワーオシレータ30から出射されるレーザ光Lpを表している。Lp3は、リング共振器を3回周回してパワーオシレータ30から出射されるレーザ光Lpを表している。
【0049】
なお、本開示では、説明の簡略化のために、パワーオシレータ30に1パルス分のレーザ光Lpが入射することに応じて、パワーオシレータ30から周回数の異なる4つのレーザ光Lp0~Lp3が出射されるとする。また、4つのレーザ光Lp0~Lp3を区別する必要がない場合には、単にレーザ光Lpという。
【0050】
ビームプロファイラ60によりレーザ光Lp0~Lp3のビームプロファイルBP0~BP3がそれぞれ観察される。作業者は、ビームプロファイルBP0~BP3の重なり度合いを観察しながら、ビームプロファイルBP0~BP3が完全に重なるように出力結合ミラー40及び高反射ミラー41,50,51の姿勢を調整する。これにより、リング共振器に含まれる第1光路P1及び第2光路P2の調整が完了する。
【0051】
1.4 課題
パワーオシレータ30は、交差する第1光路P1及び第2光路P2と、放電空間との相対的な位置関係に応じてレーザ光Lpの増幅効率が変化する。このため、第1光路P1と第2光路P2とは、できるだけ近接していることが望ましい。
【0052】
一方で、フロント側光学系35及びリア側光学系36でレーザ光Lpの進行方向を折り返すためには、第1光路P1及び第2光路P2の両端で両者が一定以上離れている必要がある。このためには、フロント側光学系35とリア側光学系36との間隔に対応する共振器長を長くする必要がある。このようにパワーオシレータ30は、共振器長が長いので、増幅効率を低下させずに光路調整を行うには、高い調整精度が求められる。
【0053】
また、リング共振器では、チャンバ32内に配置されたスリット部材37,38でレーザ光Lpのケラレが発生しないように、第1光路P1及び第2光路P2がスリット37a,38aを精度よく通過する必要がある。この観点からも、光路調整には、高い調整精度が求められる。
【0054】
しかしながら、比較例に係る光路調整方法において、ビームプロファイルBP0~BP3が重なるように光路調整を行うだけでは、作業者は、チャンバ32内における第1光路P1及び第2光路P2が最適であるか否かを正確に把握することはできない。このため、作業者は、ビームプロファイルBP0~BP3が完全に重なるように光路調整を行う際に、出力結合ミラー40及び高反射ミラー41,50,51のうちのいずれのミラーの姿勢を調整すべきか判断することが困難である。調整するミラーによっては、ビームプロファイルBP0~BP3を完全に重ねることができたとしても、スリット37a,38aによるレーザ光Lpのケラレが発生して、パワーオシレータ30から出射されるレーザ光Lpのエネルギが低下する場合がある。
【0055】
また、比較例に係る光路調整方法では、レーザ装置2からパワーオシレータ30を取り外して光路調整を行う必要があるため、光路調整に長い時間が掛かる。
【0056】
以上のように、リング共振器を含むパワーオシレータ30を備えるレーザ装置2では、増幅効率を低下させずに光路調整を正確に行うことを可能とし、かつ光路調整に掛かる時間を短縮することが求められる。
【0057】
2.第1実施形態
2.1 構成
図5は、本開示の第1実施形態に係るレーザ装置2aの構成例を概略的に示す。
図6は、第1実施形態に係るパワーオシレータ30aの構成例を概略的に示す。
図5は、レーザ装置2aをV軸方向から見た図である。
図6は、パワーオシレータ30aをH軸方向から見た図である。レーザ装置2aは、パワーオシレータ30aの構成のみが、比較例に係るレーザ装置2の構成と異なる。
【0058】
図5において、パワーオシレータ30aには、チャンバ32、フロント側光学系35a、及びリア側光学系36aに加えて、フロント側観察装置80及びリア側観察装置90が設けられている。フロント側観察装置80は、フロント側光学系35aとチャンバ32との間の第1光路P1及び第2光路P2の観察を可能とする。リア側観察装置90は、リア側光学系36aとチャンバ32との間の第1光路P1及び第2光路P2の観察を可能とする。
【0059】
フロント側観察装置80は、フロント側ミラーユニット81とフロント側ビームプロファイラ82とを含む。フロント側ミラーユニット81は、フロント側第1ミラー83とフロント側第2ミラー84とを含む。フロント側第1ミラー83は、第1光路P1に配置され、第1光路P1に沿って入射するレーザ光Lpを部分反射する部分反射ミラーである。フロント側第2ミラー84は、第2光路P2に配置され、第2光路P2に沿って入射するレーザ光Lpを高反射する高反射ミラーである。例えば、フロント側第1ミラー83は、入射したレーザ光Lpのうち約50%を反射して残りを透過させるハーフミラーである。フロント側ミラーユニット81は、図示しない移動ステージに配置されており、第1光路P1及び第2光路P2から退避可能に構成されている。
【0060】
リア側観察装置90は、リア側ミラーユニット91とリア側ビームプロファイラ92とを含む。リア側ミラーユニット91は、リア側第1ミラー93とリア側第2ミラー94とを含む。リア側第1ミラー93は、第1光路P1に配置され、第1光路P1に沿って入射するレーザ光Lpを部分反射する部分反射ミラーである。リア側第2ミラー94は、第2光路P2に配置され、第2光路P2に沿って入射するレーザ光Lpを高反射する高反射ミラーである。例えば、リア側第1ミラー93は、入射したレーザ光Lpのうち約50%を反射して残りを透過させるハーフミラーである。リア側ミラーユニット91は、図示しない移動ステージに配置されており、第1光路P1及び第2光路P2から退避可能に構成されている。
【0061】
フロント側ミラーユニット81及びリア側ミラーユニット91が配置される各移動ステージは、リニアステージであってもよいし、回転ステージであってもよい。
【0062】
図6において、フロント側第1ミラー83は、第1光路P1を進行するレーザ光Lpが45°の入射角で入射し、かつ入射したレーザ光Lpの一部をV軸方向に反射するように配置されている。フロント側第2ミラー84は、第2光路P2を進行するレーザ光Lpが45°の入射角で入射し、かつ入射したレーザ光LpをV軸方向に高反射するように配置されている。
【0063】
リア側第1ミラー93は、第1光路P1を進行するレーザ光Lpが45°の入射角で入射し、かつ入射したレーザ光Lpの一部をV軸方向に反射するように配置されている。リア側第2ミラー94は、第2光路P2を進行するレーザ光Lpが45°の入射角で入射し、かつ入射したレーザ光LpをV軸方向に高反射するように配置されている。
【0064】
フロント側ビームプロファイラ82は、フロント側スクリーン82aとフロント側カメラ82bとを含む。フロント側スクリーン82aは、紫外線領域の光を可視光に変換する蛍光板である。蛍光板として、例えばルミラス等の機能性蛍光ガラスを用いることができる。フロント側スクリーン82aは、フロント側第1ミラー83及びフロント側第2ミラー84からの反射光がそれぞれ垂直入射するように配置されている。フロント側カメラ82bは、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)型、CCD(Charge-Coupled Device)型等のイメージセンサを有する可視光カメラであり、反射光がフロント側スクリーン82aに入射することにより発生する一対の輝点を撮像する。
【0065】
リア側ビームプロファイラ92は、リア側スクリーン92aとリア側カメラ92bとを含む。リア側スクリーン92aは、紫外線領域の光を可視光に変換する蛍光板である。蛍光板として、例えばルミラス等の機能性蛍光ガラスを用いることができる。リア側スクリーン92aは、リア側第1ミラー93及びリア側第2ミラー94からの反射光がそれぞれ垂直入射するように配置されている。リア側カメラ92bは、CMOS型、CCD型等のイメージセンサを有する可視光カメラであり、反射光がリア側スクリーン92aに入射することにより発生する一対の輝点を撮像する。
【0066】
フロント側ビームプロファイラ82及びリア側ビームプロファイラ92は、フロント側ミラーユニット81及びリア側ミラーユニット91とは異なり、チャンバ32に固設されている。
【0067】
フロント側ビームプロファイラ82及びリア側ビームプロファイラ92の各々で撮像された画像を画像処理する画像処理装置と、画像処理された画像を表示するディスプレイとが設けられていてもよい。また、フロント側スクリーン82a及びリア側スクリーン92aの各々における一対の輝点の位置及び間隔を画像処理により測定し、測定結果をディスプレイに表示することが好ましい。
【0068】
第1実施形態では、フロント側光学系35aに含まれる出力結合ミラー40と高反射ミラー41のうち、高反射ミラー41のみにアクチュエータ42が設けられている。また、リア側光学系36aに含まれる第1高反射ミラー50と第2高反射ミラー51とのうち、第2高反射ミラー51のみにアクチュエータ53が設けられている。なお、アクチュエータ53は、本開示の技術に係る「第1アクチュエータ」に対応する。
【0069】
第1実施形態では、リア側光学系36aに含まれる第1高反射ミラー50及び第2高反射ミラー51は、位置調整ステージ54上に配置されている。位置調整ステージ54は、第1高反射ミラー50及び第2高反射ミラー51を、一対の放電電極33a,33bの長手方向と放電方向とに直交する方向であるH軸方向に移動させる。
【0070】
図7は、フロント側観察装置80の構成例を概略的に示す。フロント側スクリーン82aは、Z軸方向及びH軸方向に平行に配置されている。フロント側カメラ82bは、フロント側スクリーン82aにおいて、フロント側第1ミラー83からの反射光により生じる輝点B1aと、フロント側第2ミラー84からの反射光により生じる輝点B1bとを撮像する。
【0071】
図8は、リア側観察装置90の構成例を概略的に示す。リア側スクリーン92aは、Z軸方向及びH軸方向に平行に配置されている。リア側カメラ92bは、リア側スクリーン92aにおいて、リア側第1ミラー93からの反射光により生じる輝点B2aと、リア側第2ミラー94からの反射光により生じる輝点B2bとを撮像する。
【0072】
図9は、
図5に示すリア側光学系36aに設けられた位置調整ステージ54の作用を説明する。位置調整ステージ54が第1高反射ミラー50及び第2高反射ミラー51をH軸方向に移動させることにより、第2光路P2がH軸方向に平行移動する。位置調整ステージ54が第1高反射ミラー50及び第2高反射ミラー51を距離d移動させると、第2光路P2は距離2d移動する。このように、位置調整ステージ54により第2光路P2の位置を調整することができる。
【0073】
図10は、
図5に示すリア側光学系36aに設けられたアクチュエータ53の作用を説明する。アクチュエータ53が第2高反射ミラー51の姿勢を変更すると、第2光路P2の角度が変化する。アクチュエータ53が第2高反射ミラー51をV軸周りに角度θ回転させると、第2光路P2はV軸周りに角度2θ回転する。このように、アクチュエータ53により第2光路P2の角度を調整することができる。
【0074】
2.2 動作
第1実施形態に係るレーザ装置2aの動作は、比較例に係るレーザ装置2と同様である。レーザ装置2aの動作時には、フロント側ミラーユニット81及びリア側ミラーユニット91は、第1光路P1及び第2光路P2から退避しており、ビームプロファイラ60は、パワーオシレータ30aから出射されるレーザ光Lpの光路から退避している。
【0075】
2.3 光路調整
次に、第1実施形態に係るレーザ装置2aを動作させる前の準備段階で行われる光路調整について説明する。
【0076】
図11は、第1実施形態に係る光路調整の手順の一例を示す。第1実施形態における光路調整では、比較例のようにレーザ装置2aからパワーオシレータ30aを取り外した状態で一対のスリット部材71,72を用いた調整を行う必要はない。
【0077】
まず、作業者は、パワーオシレータ30aがレーザ装置2aに取り付けられた状態で、マスターオシレータ10を動作させてレーザ光Lpを出射させる(ステップS10)。このとき、フロント側ミラーユニット81及びリア側ミラーユニット91は、第1光路P1及び第2光路P2から退避している。ビームプロファイラ60は、パワーオシレータ30aから出射されるレーザ光Lpの光路に挿入されている。
【0078】
作業者は、フロント側ミラーユニット81を第1光路P1及び第2光路P2に挿入する(ステップS11)。
【0079】
作業者は、フロント側観察装置80を用いて輝点B1a,B1bを観察しながらMOビームステアリングユニット20を調整する(ステップS12)。例えば、作業者は、輝点B1a,B1bが規定の位置となるように、高反射ミラー21a,21bの姿勢を変更することにより、第1光路P1及び第2光路P2の位置及び角度を調整する。ここで、規定の位置とは、第1光路P1及び第2光路P2が放電空間を通過し、かつスリット37a,38aを通過する適正状態である場合に観察される輝点B1a,B1bの位置である。作業者は、ディスプレイ又はフロント側スクリーン82a上で規定の位置を示す一対のマーカ等に輝点B1a,B1bが一致するようにMOビームステアリングユニット20を調整する。
【0080】
次に、作業者は、リア側ミラーユニット91を第1光路P1及び第2光路P2に挿入する(ステップS13)。これにより、フロント側ミラーユニット81及びリア側ミラーユニット91が第1光路P1及び第2光路P2に挿入された状態となる。フロント側ミラーユニット81のフロント側第1ミラー83を透過したレーザ光Lpは、第1光路P1を進行してリア側ミラーユニット91のリア側第1ミラー93に入射する。
【0081】
作業者は、リア側観察装置90を用いて輝点B2a,B2bを観察しながらMOビームステアリングユニット20を調整する(ステップS14)。例えば、作業者は、輝点B2a,B2bが規定の位置であるか否かを確認し、規定の位置でない場合には、ステップS12と同様に、高反射ミラー21a,21bの姿勢を変更することにより、第1光路P1及び第2光路P2の位置及び角度を調整する。ここで、規定の位置とは、第1光路P1及び第2光路P2が上記適正状態である場合に観察される輝点B2a,B2bの位置である。作業者は、ディスプレイ又はリア側スクリーン92a上で規定の位置を示す一対のマーカ等に輝点B2a,B2bが一致するようにMOビームステアリングユニット20を調整する。
【0082】
また、ステップS14において、作業者は、輝点B2a,B2bが円形であるか否かを確認する。スリット部材37,38によるレーザ光Lpのケラレが発生した場合に、輝点B2aの円形度が低下する。輝点B2a,B2bが円形でない場合には、高反射ミラー21a,21bの姿勢を変更することにより、第1光路P1及び第2光路P2の位置及び角度を調整する。
【0083】
さらに、作業者は、リア側観察装置90を用いて輝点B2a,B2bを観察しながらリア側光学系36aを調整する(ステップS15)。例えば、作業者は、輝点B2a,B2bの間隔D2(
図8参照)が規定の距離であるか否かを確認し、規定の距離でない場合には、位置調整ステージ54により第2光路P2を平行移動させることにより、間隔D2を規定の距離とする。ここで、規定の距離とは、第1光路P1及び第2光路P2が上記適正状態である場合に観察される輝点B2a,B2bの間隔である。
【0084】
次に、作業者は、リア側ミラーユニット91を第1光路P1及び第2光路P2から退避させる(ステップS16)。
【0085】
作業者は、フロント側観察装置80を用いて輝点B1a,B1bを観察しながらリア側光学系36aを調整する(ステップS17)。例えば、作業者は、輝点B1a,B1bの間隔D1(
図7参照)が規定の距離であるか否かを確認し、規定の距離でない場合には、アクチュエータ53で第2光路P2の角度を変更することにより、間隔D1を規定の距離とする。ここで、規定の距離とは、第1光路P1及び第2光路P2が上記適正状態である場合に観察される輝点B1a,B1bの間隔である。
【0086】
次に、作業者は、フロント側ミラーユニット81を第1光路P1及び第2光路P2から退避させる(ステップS18)。作業者は、パワーオシレータ30aを動作させる(ステップS19)。これにより、増幅されたレーザ光Lpがパワーオシレータ30aから出射される。
【0087】
そして、作業者は、ビームプロファイラ60を用いてビームプロファイルBP0~BP3(
図4参照)の重なりを調整する(ステップS20)。具体的には、作業者は、ビームプロファイルBP0~BP3の重なり度合いが最も大きくなるように、アクチュエータ42を用いて高反射ミラー41の姿勢を変更する。以上で光路調整が終了する。
【0088】
本開示の光路調整方法は、リア側観察装置90を用いて第1光路P1及び第2光路P2を観察することにより、リア側光学系36aを調整すること(ステップS15)、フロント側観察装置80を用いて第1光路P1及び第2光路P2を観察することにより、リア側光学系36aを調整すること(ステップS17)、パワーオシレータ30aから出射されたレーザ光Lpの光路を観察することにより、フロント側光学系35aを調整すること(ステップS20)を含む。
【0089】
また、本開示の光路調整方法は、フロント側観察装置80とリア側観察装置90を用いて第1光路P1及び第2光路P2を観察することにより、MOビームステアリングユニット20を調整すること(ステップS12及びS14)を含む。
【0090】
2.4 効果
本実施形態では、作業者は、フロント側観察装置80及びリア側観察装置90を用いて第1光路P1及び第2光路P2が最適であるか否かを正確に把握することができる。このため、増幅効率を低下させずに光路調整を正確に行うことができる。また、本実施形態では、比較例のようにパワーオシレータ30aをレーザ装置2aから取り外して光路調整を行う必要がないため、光路調整に掛かる時間を短縮することができる。
【0091】
3.第2実施形態
3.1 構成
次に、本開示の第2実施形態に係るレーザ装置2bについて説明する。なお、以下では、第1実施形態に係るレーザ装置2aの構成と異なる点を説明する。
【0092】
図12は、第2実施形態に係るレーザ装置2bの構成例を概略的に示す。レーザ装置2bは、パワーオシレータ30bの構成のみが、第1実施形態に係るレーザ装置2aの構成と異なる。パワーオシレータ30bは、フロント側光学系35bの構成が、第1実施形態に係るフロント側光学系35aの構成と異なる。パワーオシレータ30bの他の構成は、第1実施形態に係るパワーオシレータ30aの構成と同様である。
【0093】
フロント側光学系35bは、出力結合ミラー40と、第3高反射ミラー44と、第4高反射ミラー45とを含む。出力結合ミラー40の構成は、第1実施形態と同様である。第3高反射ミラー44は、第2光路P2を進行してフロント側光学系35bに入射するレーザ光Lpを、第4高反射ミラー45に向けて反射するように配置されている。第4高反射ミラー45は、第3高反射ミラー44から入射するレーザ光Lpを、出力結合ミラー40の第2面40bに向けて反射するように配置されている。
【0094】
出力結合ミラー40は、第4高反射ミラー45から第2面40bに入射するレーザ光Lpの一部を透過させ、かつ一部を反射して第1光路P1に沿って進行させる。
【0095】
第3高反射ミラー44及び第4高反射ミラー45には、それぞれ姿勢を変更するためのアクチュエータ46,47が取り付けられている。例えば、アクチュエータ46,47は、左右及び上下方向のあおり調整を可能とする。アクチュエータ46,47を用いて第3高反射ミラー44及び第4高反射ミラー45の姿勢を変更することにより、パワーオシレータ30bから出射されるレーザ光Lpの光路の位置及び角度を調整することができる。なお、アクチュエータ46は、本開示の技術に係る「第2アクチュエータ」に対応する。アクチュエータ47は、本開示の技術に係る「第3アクチュエータ」に対応する。
【0096】
第1実施形態では、リング共振器は、出力結合ミラー40、高反射ミラー41、第1高反射ミラー50、及び第2高反射ミラー51の4枚のミラーで構成されている。これに対して、第2実施形態では、リング共振器は、出力結合ミラー40、第1高反射ミラー50、第2高反射ミラー51、第3高反射ミラー44、及び第4高反射ミラー45の5枚のミラーで構成されている。
【0097】
3.2 動作
第2実施形態に係るレーザ装置2bの動作は、フロント側光学系35bに入射したレーザ光Lpが第3高反射ミラー44と第4高反射ミラー45とで反射された後に出力結合ミラー40に入射すること以外は、第1実施形態に係るレーザ装置2aの動作と同様である。
【0098】
本実施形態では、チャンバ32からフロント側光学系35bに入射したレーザ光Lpは、第3高反射ミラー44と第4高反射ミラー45とで反射されて出力結合ミラー40に入射する。出力結合ミラー40に入射したレーザ光Lpの一部は、出力結合ミラー40を透過してフロント側光学系35bからパワーオシレータ30bの外部へ出射される。また、出力結合ミラー40に入射したレーザ光Lpの残りの一部は、出力結合ミラー40で反射されることによりフロント側光学系35bからチャンバ32に向けて出射される。
【0099】
3.3 光路調整
第2実施形態に係る光路調整の手順は、基本的に第1実施形態と同様である。但し、本実施形態では、
図11に示すステップS20において、作業者は、ビームプロファイルBP0~BP3の重なり度合いが最も大きくなるように、アクチュエータ46,47を用いて第3高反射ミラー44及び第4高反射ミラー45の姿勢を変更する。
【0100】
3.4 効果
本実施形態では、リング共振器が5枚のミラーで構成されているので、レーザ光Lpは、リング共振器を1周回するたびにビームプロファイルがミラー反転する。すなわち、パワーオシレータ30bから出射されるレーザ光Lpのビームプロファイルが1周回ごとにミラー反転するので、レーザ光Lpの空間コヒーレンスが低下する。これにより、レーザ装置2bを露光用光源として使用した場合に、レチクル上でのスペックルが抑制される。
【0101】
また、リング共振器を構成する5枚のミラーに角度ずれが生じている場合であっても、レーザ光Lpのビームプロファイルが1周回ごとにミラー反転することにより、各ミラーの角度ずれ成分の累積が抑制されるという利点がある。
【0102】
また、本実施形態では、第3高反射ミラー44及び第4高反射ミラー45の2枚のミラーを用いてパワーオシレータ30bから出射されるレーザ光Lpの位置及び角度を調整することができる。したがって、本実施形態では、ビームプロファイルBP0~BP3の重なりをより精度よく調整することができる。
【0103】
4.MOビームステアリングユニットの変形例
次に、MOビームステアリングユニット20の変形例について説明する。第1及び第2実施形態に係るMOビームステアリングユニット20は、種々の変形が可能である。
【0104】
図13は、変形例に係るMOビームステアリングユニット20aの構成を概略的に示す。MOビームステアリングユニット20aは、3枚の高反射ミラー22a,22b,22c、及び位置調整ステージ23を含む。高反射ミラー22a,22bには、それぞれ姿勢を変更するための図示しないアクチュエータが取り付けられている。例えば、アクチュエータは、左右及び上下方向へのあおり調整を可能とする。
【0105】
高反射ミラー22cは、位置調整ステージ23上に配置されている。位置調整ステージ23は、高反射ミラー22cをH軸方向へ移動させる。
【0106】
高反射ミラー22aは、マスターオシレータ10から出射されたレーザ光Lpが入射する位置に配置されており、レーザ光LpをV軸方向に高反射する。高反射ミラー22bは、高反射ミラー22aにより高反射されたレーザ光Lpが入射する位置に配置されており、レーザ光LpをH軸方向に高反射する。高反射ミラー22cは、高反射ミラー22bにより高反射されたレーザ光Lpが入射する位置に配置されており、レーザ光LpをZ軸方向で、かつパワーオシレータに向けて高反射する。
【0107】
高反射ミラー22a,22bの姿勢をアクチュエータで変化させることにより、第1光路P1の角度を調整することができる。また、位置調整ステージ23で高反射ミラー22cを移動させることにより、第1光路P1の位置を調整することができる。
【0108】
第1及び第2実施形態のMOビームステアリングユニット20に代えて本変形例のMOビームステアリングユニット20aを用いることにより、
図11に示すステップS12及びS14において、第1光路P1の位置及び角度を精度よく調整することができる。
【0109】
本開示におけるMOビームステアリングユニットは、少なくとも2枚のミラーを含みパワーオシレータに入射するレーザ光Lpの光路の位置及び角度を調整することを可能とする装置であればよい。
【0110】
5.マスターオシレータの変形例
次に、マスターオシレータ10の変形例について説明する。第1及び第2実施形態では、レーザ装置2a,2bは、それぞれエキシマレーザ装置により構成されたマスターオシレータ10を含むが、マスターオシレータ10は種々の変形が可能である。
【0111】
5.1 構成
図14は、変形例に係るマスターオシレータ10aの構成を概略的に示す。マスターオシレータ10aは、固体レーザ装置であり、シード光を出力する半導体レーザ100と、シード光を増幅するチタンサファイヤ増幅器110と、波長変換システム120とを含む。
【0112】
半導体レーザ100は、シード光として、波長が773.6nmであるCW(Continuous Wave)レーザ光を出力する分布帰還型の半導体レーザである。半導体レーザ100の温度設定を変更することによって、発振波長を変化させることができる。
【0113】
チタンサファイヤ増幅器110は、チタンサファイヤ結晶111と、ポンピング用パルスレーザ112とを含む。チタンサファイヤ結晶111は、シード光の光路上に配置されている。ポンピング用パルスレーザ112は、YLFレーザの第2高調波光を出力するレーザ装置である。
【0114】
波長変換システム120は、第4高調波光を発生する波長変換システムであって、LBO(LiB3O5)結晶と、KBBF(KBe2BO3F2)結晶とを含んでいる。各結晶は、図示しない回転ステージ上に配置されており、各結晶に対するシード光の入射角度を変更できるように構成されている。
【0115】
5.2 動作
チタンサファイヤ増幅器110において、ポンピング用パルスレーザ112は、制御部(図示せず)から入力されたトリガ信号に基づいて、チタンサファイヤ結晶111に入力されるシード光としてのCWレーザ光をパルスレーザ光に変換して出力させる。チタンサファイヤ増幅器110から出力されたパルスレーザ光は、波長変換システム120に入力される。波長変換システム120は、入力された波長773.6nmのパルスレーザ光を、波長193.4nmのパルスレーザ光に波長変換し、レーザ光LpとしてMOビームステアリングユニットに向けて出射する。
【0116】
本変形例では、パワーオシレータは、ArFエキシマ増幅器であって、MOビームステアリングユニットから入力される波長193.4nmのレーザ光Lpを増幅する。
【0117】
5.3 その他
マスターオシレータ10aを、波長248.4nmのパルスレーザ光を出射する固体レーザ装置とし、パワーオシレータをKrFエキシマ増幅器としてもよい。この場合、半導体レーザ100は、波長が745.2nmであるCWレーザ光を出力し、チタンサファイヤ増幅器110は、半導体レーザ100から入力されたCWレーザ光をパルスレーザ光に変換して出力する。この場合、波長変換システム120は、第3高調波光を発生する波長変換システムであって、LBO結晶とCLBO(CsLiB6O10)結晶とを含む。波長変換システム120は、LBO結晶で第2高調波光を生成し、CLBO結晶で第3高調波光を生成することにより、波長248.4nmのパルスレーザ光をレーザ光Lpとして出射する。
【0118】
6.フロント側観察装置及びリア側観察装置の変形例
フロント側観察装置80は、フロント側ミラーユニット81が第1光路P1及び第2光路P2から退避可能な構成に限定されず、フロント側ミラーユニット81を第1光路P1及び第2光路P2に対して固設してもよい。同様に、リア側観察装置90は、リア側ミラーユニット91が第1光路P1及び第2光路P2から退避可能な構成に限定されず、リア側ミラーユニット91を第1光路P1及び第2光路P2に対して固設してもよい。すなわち、レーザ装置2a,2bの動作中にフロント側ミラーユニット81及びリア側ミラーユニット91が第1光路P1及び第2光路P2に配置されていてもよい。この場合、リング共振器をレーザ光Lpが周回するように、第2光路P2に配置されるフロント側第2ミラー84及びリア側第2ミラー94をそれぞれ部分反射ミラーとすればよい。また、この場合、フロント側第1ミラー83、フロント側第2ミラー84、リア側第1ミラー93、及びリア側第2ミラー94を、それぞれ反射率が1%以下の部分反射ミラーとすることが好ましい。
【0119】
7.電子デバイスの製造方法
図15は、露光装置200の構成例を概略的に示す。露光装置200は、照明光学系204と投影光学系206とを含む。照明光学系204は、例えば、レーザ装置2aから入射したレーザ光Lpによって、レチクルステージRT上に配置された図示しないレチクルのレチクルパターンを照明する。投影光学系206は、レチクルを透過したレーザ光Lpを、縮小投影してワークピーステーブルWT上に配置された図示しないワークピースに結像させる。ワークピースはフォトレジストが塗布された半導体ウエハ等の感光基板である。
【0120】
露光装置200は、レチクルステージRTとワークピーステーブルWTとを同期して平行移動させることにより、レチクルパターンを反映したレーザ光Lpをワークピースに露光する。以上のような露光工程によって半導体ウエハにレチクルパターンを転写後、複数の工程を経ることで半導体デバイスを製造できる。半導体デバイスは本開示における「電子デバイス」の一例である。
【0121】
なお、露光装置200にレーザ光Lpを出力するレーザ装置は、上記実施形態及び変形例に係るいずれのレーザ装置であってもよい。
【0122】
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図したものである。したがって、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の各実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
【0123】
本明細書及び添付の特許請求の範囲全体で使用される用語は、「限定的でない」用語と解釈されるべきである。例えば、「含む」又は「含まれる」という用語は、「含まれるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。また、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される修飾句「1つの」は、「少なくとも1つ」又は「1又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。