(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-01-14
(45)【発行日】2026-01-22
(54)【発明の名称】リグナン類化合物と精油と油脂とを含有する組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 5/00 20160101AFI20260115BHJP
A23D 9/00 20060101ALI20260115BHJP
A61K 31/385 20060101ALI20260115BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20260115BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20260115BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20260115BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20260115BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20260115BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20260115BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20260115BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20260115BHJP
A61K 8/11 20060101ALI20260115BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20260115BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20260115BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20260115BHJP
【FI】
A23L5/00 K
A23L5/00 L
A23D9/00 516
A61K31/385
A61P1/16
A61P3/06
A61P9/12
A61P35/00
A61P37/04
A61K9/48
A61K47/44
A61K47/14
A61K8/11
A61K8/49
A61K8/37
A61K8/92
A23L5/00 C
(21)【出願番号】P 2021063237
(22)【出願日】2021-04-02
【審査請求日】2024-04-01
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000125347
【氏名又は名称】学校法人近畿大学
(73)【特許権者】
【識別番号】390019460
【氏名又は名称】稲畑香料株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】315001213
【氏名又は名称】三生医薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】財満 信宏
(72)【発明者】
【氏名】松村 晋一
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 百合
(72)【発明者】
【氏名】小林 崇典
(72)【発明者】
【氏名】山田 和哉
【審査官】鉢呂 健
(56)【参考文献】
【文献】特開平3-224443(JP,A)
【文献】登録実用新案第3187672(JP,U)
【文献】登録実用新案第3147476(JP,U)
【文献】特開2014-141484(JP,A)
【文献】特開2006-306864(JP,A)
【文献】国際公開第2015/093484(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/003363(WO,A1)
【文献】特開2016-121112(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0255138(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リグナン類化合物と、
精油と、
油脂とを、含有する組成物であって、
前記リグナン類化合物は、セサミン及びセサモリンであり、
前記油脂が、長鎖脂肪酸トリグリセリド及び/又は中鎖脂肪酸トリグリセリドであり、
前記精油が、クローブオイル、カッシャオイル、ターメリックオイル、及びバジルオイルからなる群から選択される1種以上であり、
かつ
前記リグナン類化合物の量は、前記組成物の全量を100質量%としたとき、5質量%以上であ
り、
ここで、前記精油がバジルオイル、前記油脂が長鎖脂肪酸トリグリセリド及び中鎖脂肪酸トリグリセリドであるとき、前記組成物中の前記精油:油脂の比率は70:20~60:30であり、
前記精油がバジルオイル、前記油脂が長鎖脂肪酸トリグリセリドであるとき、前記組成物中の前記精油:油脂の比率は80:10~60:30である、
組成物。
【請求項2】
前記リグナン類化合物の量は、前記組成物の全量を100質量%としたとき、7質量%以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
リグナン類化合物と、
精油と、
油脂とを、含有する組成物であって、
前記リグナン類化合物は、セサミン及びセサモリンであり、
前記油脂が、長鎖脂肪酸トリグリセリド及び/又は中鎖脂肪酸トリグリセリドであり、
前記精油が、スペアミントオイルであり、
前記油脂が長鎖脂肪酸トリグリセリド及び中鎖脂肪酸トリグリセリドであるとき、前記組成物中の前記精油:油脂の比率は70:20~60:30であり、 前記油脂が長鎖脂肪酸トリグリセリドであるとき、前記組成物中の前記精油:油脂の比率は80:10~
70:
20であり、かつ
前記リグナン類化合物の量は、前記組成物の全量を100質量%としたとき、7質量%以上である、
組成物。
【請求項4】
リグナン類化合物と、
精油と、
油脂とを、含有する組成物であって、
前記リグナン類化合物は、セサミン及びセサモリンであり、
前記油脂が、長鎖脂肪酸トリグリセリド及び/又は中鎖脂肪酸トリグリセリドであり、
前記精油が、スターアニスオイルであり、
前記油脂が長鎖脂肪酸トリグリセリド及び中鎖脂肪酸トリグリセリドであるとき、前記組成物中の前記精油:油脂の比率は80:10であり、前記油脂が長鎖脂肪酸トリグリセリドであるとき、前記組成物中の前記精油:油脂の比率は80:10~60:30であり、かつ
前記リグナン類化合物の量は、前記組成物の全量を100質量%としたとき、7質量%以上である、
組成物。
【請求項5】
リグナン類化合物と、
精油と、
油脂とを、含有する組成物であって、
前記リグナン類化合物は、セサミン及びセサモリンであり、
前記油脂が、長鎖脂肪酸トリグリセリド及び/又は中鎖脂肪酸トリグリセリドであり、
前記精油が、ディルシードオイルであり、
前記油脂が長鎖脂肪酸トリグリセリド及び中鎖脂肪酸トリグリセリドであるとき、前記組成物中の前記精油:油脂の比率は80:10、60:30であり、前記油脂が長鎖脂肪酸トリグリセリドであるとき、前記組成物中の前記精油:油脂の比率は80:10~70:20であり、かつ
前記リグナン類化合物の量は、前記組成物の全量を100質量%としたとき、7質量%以上である、
組成物。
【請求項6】
リグナン類化合物と、
精油と、
油脂とを、含有する組成物であって、
前記リグナン類化合物は、セサミン及びセサモリンであり、
前記油脂が、長鎖脂肪酸トリグリセリド及び/又は中鎖脂肪酸トリグリセリドであり、
前記精油が、カッシャオイル及びハルウコンオイルであり、
前記組成物中の前記精油:油脂の比率は70:2
0であ
り、かつ
前記リグナン類化合物の量は、前記組成物の全量を100質量%としたとき、7質量%以上である、
組成物。
【請求項7】
前記油脂は、前記油脂の全量を100%としたとき、長鎖脂肪酸トリグリセリドを75%以上、中鎖脂肪酸トリグリセリドを25%以下含む請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記長鎖脂肪酸トリグリセリドは、魚油、ゴマ油、小麦胚芽油、大豆油、オリーブ油、及びサフラワー油からなる群から選択される少なくとも1種であり、前記中鎖脂肪酸トリグリセリドは、ココナッツオイル及びパームオイルからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物を含有する食品。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物と、
前記組成物を収容するシェルと、
を備えるカプセル。
【請求項11】
前記精油と前記油脂を混合した混合物を調製し、
前記混合物に前記リグナン類化合物を溶解させる、
請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リグナン類化合物と精油、油脂混合物とを配合することにより、製造の際に生じる沈殿を減少し、さらに溶解安定性を向上させた組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
セサミン等のリグナン類化合物を溶解することができる食用油脂は中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)が広く知られている。例えば、特許文献1には、中鎖脂肪酸トリグリセリドを溶媒として用いるなら、配合(重量)比は、リグナン類化合物:溶剤=1:15~100程度であれば、リグナン類化合物は十分溶解することが記載されているが、組成物の透明性を保てるリグナン類化合物の濃度は組成物の1~2.5%程度であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記先行技術と比較し、精油を用いることで、透明性を維持しつつ組成物中のリグナン類化合物の溶解性を高めることができたが、リグナン類化合物を溶解し溶液を調製した後に澱状の沈殿が発生した。そのため、溶液調製後にメンブレンフィルター等で溶液を濾過して、多くの沈殿物を除去する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、リグナン類化合物と、精油と、油脂とを含有することで、組成物中、例えばカプセル内容液中のリグナン類化合物の高い濃度とカプセルの透明性を保持しながら、カプセル内容液中の澱状沈殿の発生を抑えることができることを見出した。
【0006】
すなわち、本発明は、下記の通りである。
(1)リグナン類化合物と、精油と、油脂とを、含有する組成物。
(2)リグナン類化合物は、組成物の全量を100質量%としたとき、7質量%以上含む(1)に記載の組成物。
(3)前記リグナン類化合物は、セサミンおよびセサモリンを含む(1)又は(2)に記載の組成物。
(4)前記精油が、フェニルプロパノイド、ビサボラン型セスキテルペンケトン及びメンタン型ケトンからなる群から選択される1種以上である、(1)~(3)のいずれかに記載の組成物。
(5)前記精油がクローブオイル、カッシャオイル、ターメリックオイル、スペアミントオイル、ディルシードオイル、ダバナオイル、タラゴンオイル、タイムオイル、バジルオイル、フェンネルオイル、スターアニスオイル、ハルウコンオイル、及びセージオイルからなる群から選択される1種以上である、(1)~(4)のいずれかに記載の組成物。
(6)前記油脂が、長鎖脂肪酸トリグリセリドおよび/又は中鎖脂肪酸トリグリセリドである、(1)~(5)のいずれかに記載の組成物。
(7)前記油脂は、前記油脂の全量を100%としたとき、長鎖脂肪酸トリグリセリドを75%以上、中鎖脂肪酸トリグリセリドを25%以下含む(1)~(6)のいずれかに記載の組成物。
(8)前記油脂は、魚油、ゴマ油、小麦胚芽油、大豆油、オリーブ油、サフラワー油、ココナッツオイル及びパームオイルからなる群から選択される少なくとも1種である、(1)~(7)のいずれかに記載の組成物。
(9)(1)~(8)のいずれかに記載の組成物を含有する食品。
(10)(1)~(9)のいずれかに記載の組成物と、前記組成物を収容するシェルと、を備えるカプセル。
(11)精油と油脂を混合した混合物を調製し、前記混合物にリグナン類化合物を溶解させる、リグナン類化合物含有組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、澱状の沈殿を減少させることができ、濾過の手間を減らす製造上の利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0009】
<リグナン類化合物>
本発明においては、リグナン類化合物とはフェニルプロパノイドの一種であり、植物由来ジベンジルブタン骨格に由来するポリフェノール化合物である。リグナン類化合物はアカゴマ(亜麻仁)やゴマ、アブラナ属野菜から抽出され、場合によっては精製されたものを用いることができる。例としてセサミノール、ピノレジノール、シリンガレシノール、セサミン、セサモリン、ラリシレシノール、セコイソラリシレシノール、マタイレシノール、ヒドロキシマタイレシノールが挙げられる。これらを単独で又は2種以上組み合わせて含んでいてもよい。
【0010】
上述のように、リグナン類化合物は、コレステロール低下作用、抗高血圧作用、抗酸化作用、肝臓保護作用、肝臓がん予防作用、乳がん発生抑制作用、免疫賦活作用などが報告されている。現在販売されている多くのセサミン含有ソフトカプセルは、1日のセサミン摂取量を10~15mgと設定している。実際、セサミンを10mgとビタミンEを配合するソフトカプセルを、疲労を強く感じる人に8週間継続摂取したところ、疲労、美容、睡眠に関して有意な改善が認められ、LDL oxidation lag timeが高まり血中の抗酸化性が高まるとの報告がある。(Glob. J. Health Sci.,2015;7:1-10)。
【0011】
リグナン類化合物の量は、特に限定されず、剤形、摂取の形態、摂取(投与)量等に応じて適宜選択できる。例えば、リグナン類化合物の量は、組成物全体の量を100質量%としたとき、好ましくは7質量%以上、10質量%以上、12質量%以上、好ましくは40質量%以下、30質量%以下、25質量%以下で含有することができる。
【0012】
<セサミン>
セサミンはゴマ油やサンショウに多く含有するリグナン類化合物であり、次に示す構造式を持つ。
【化1】
セサミンの構造式
【0013】
<セサモリン>
セサモリンはセサミンと同様にゴマ油やサンショウに多く含有するリグナン類化合物であり、次に示す構造式を持つ。
【化2】
セサモリンの構造式
【0014】
<ゴマ抽出物>
本発明の組成物に用いるリグナン類化合物は、セサミンを含有し、ゴマ油等の食品由来の素材から抽出及び/又は精製により得られるセサミン類濃縮物、例えばゴマ抽出物を用いるのが好ましい。セサミンは、ゴマ油等から得られるものの他、更に追加して添加することができる。本発明の組成物は、セサモリンを含有することが好ましい。セサモリンは、ゴマ油等から得られるものの他、更に追加して添加することができる。
ゴマ種子におけるセサミン、セサモリン濃度は既報(Bull. Natl. Inst. Crop Sci., 2008;9:27-61)に記載されている。当該文献より引用すると、ゴマ種子に含まれるセサミン:セサモリン濃度比は品種によって異なる。例えば、ゴマ抽出物AKY-2885(稲畑香料株式会社)におけるセサミン・セサモリン濃度は、セサミン39.7%、セサモリン46.5%である。
【0015】
<精油>
本発明において、リグナン類化合物は精油及び油脂に溶解して使用することができる。
精油は、フェニルプロパノイド、ビサボラン型セスキテルペンケトンおよびメンタン型ケトンの内の少なくともいずれか1種以上であることが好ましい。
フェニルプロパノイドは、フェニルアラニンを起源とする1-フェニルプロパンが複数縮合した化合物やそれらの誘導体である。例としてクマル酸、ケイ皮酸、コーヒー酸、オイゲノール、アネトール、エストラゴール、チモール、アピオール、シナピルアルコール、フェルラ酸、セサミン等リグナン類化合物が挙げられる。それらを豊富に含有する精油としてカッシャオイル、クローブリーフオイル、クローブバッドオイル、アニスオイル、フェンネルオイル、タラゴンオイル、タイムオイル、パセリシードオイル、バジルオイル、トウシキミ(スターアニス)オイルが挙げられる。
ビサボラン型セスキテルペンケトンはイソプレン三分子が縮合した単環式セスキテルペンの一部である。単環式セスキテルペンは環の形状と官能基の位置によってビサボラン型、ゲルマクラン型、エレマン型、フムラン型に分類されるが、ビサボラン型骨格は六員環を一つ有し、その環より2,6-ジメチルヘキシル基を有する。そのビサボラン型セスキテルペンのうちカルボニル基を有する化合物がビサボラン型セスキテルペンケトンである。例として、α-ビサボレン、β-ビサボレン、γ-ビサボレン、α-クルクメン、β-クルクメン、ジンギベレン、β-セスキフェランドレン、α-ターメロン、β-ターメロン、AR-ターメロン、β-アトラントン、キサントリゾールが挙げられる。それらを豊富に含有する精油としてターメリックオイル、クミンシードオイル、ショウガオイル、ハルウコンオイル、ガジュツオイル、クスリウコンオイル、ムラサキガジュツオイル、オオウコンオイル、マンゴーガジュツオイル、マンゴージンジャーオイル、ポンツクショウガオイル、オオヤマショウガオイル、ニガショウガオイル、ナンキョウオイル、リョウキョウオイル、バンウコンオイルが挙げられる。
メンタン型ケトンは、イソプレン二分子が縮合した単環式モノテルペンの一部である。メンタンは六員環のパラ位にメチル基とイソプロピル基を有する分子であり、メンタン型ケトンはメンタン骨格を分子構造の一部に持ち、さらにケトン基を少なくとも1個持つ化合物群である。例として、カルボン、ジヒドロカルボン、ツヨノン、α-ツヨン、β-ツヨン、カンファ―、ピペリトン、ピペリテノン、プレゴンが挙げられる。それらを豊富に含有する精油としてペパーミントオイル、スペアミントオイル、ペニーロイヤルミントオイル、ウォーターミントオイル、コーンミントオイル、アジアンミントオイル、オーストラリアミントオイル、ニホンハッカオイル、ベルガモットミントオイル、マルバハッカオイル、ジンジャーミントオイル、セージオイル、ユーカリディベスオイルが挙げられる。
この中でも、カッシャオイル、クローブオイル、ターメリックオイル、クミンシードオイル、スペアミントオイル、ディルシードオイル、ダバナオイル、タラゴンオイル、タイムオイル、バジルオイル、フェンネルオイル、スターアニスオイル、セージオイルが好ましく、カッシャオイル、クローブオイル、スペアミントオイル、ディルシードオイル、タイムオイル、バジルオイル、フェンネルオイル、スターアニスオイル、セージオイルが特に好ましい。
これらを単独で又は2種以上組み合わせて含んでいてもよい。
【0016】
本発明の組成物において用いることができるカッシャオイル、クローブオイル、ターメリックオイル、クミンシードオイル、スペアミントオイル、ディルシードオイル、ダバナオイル、タラゴンオイル、タイムオイル、バジルオイル、フェンネルオイル、スターアニスオイル、セージオイルは、その由来や形態、製造方法等によって、何ら制限されるものではない。
【0017】
例えば、カッシャオイルはCinnamomum cassiaの樹皮や葉を水蒸気蒸留して得られるが、同種の植物の異なる部位やニッケイ属の近種の植物から得られるオイルも含まれる。
クローブオイルはSyzygium aromaticumの葉や蕾を水蒸気蒸留して得られるが、同種の植物の異なる部位やフトモモ属の近種の植物から得られるオイルも含まれる。
ターメリックオイルはCurcuma longaの地下茎を水蒸気蒸留して得られるが、同種の植物の異なる部位やショウガ科やウコン属の近種の植物から得られるオイルも含まれる。
クミンシードオイルはCuminum cyminumの種を水蒸気蒸留して得られるが、同種の植物の異なる部位やクミン属の近種の植物から得られるオイルも含まれる。
スペアミントオイルはMentha spicataの葉を水蒸気蒸留して得られるが、同種の植物の異なる部位から得られるオイルも含まれる。
ディルシードオイルはAnethum graveolensの種子を水蒸気蒸留して得られるが、同種の植物の異なる部位から得られるオイルも含まれる。
ダバナオイルはArtemisia pallensの植物全体を水蒸気蒸留して得られるが、同種の植物の異なる部位から得られるオイルも含まれる。
タラゴンオイルはArtemisia dracunculusの葉を水蒸気蒸留して得られるが、同種の植物の異なる部位から得られるオイルも含まれる。
タイムオイルは、Thymusの植物全体を水蒸気蒸留して得られるが、同種の植物の異なる部位から得られるオイルも含まれる。
バジルオイルは、Ocimum basilicumの植物全体を水蒸気蒸留して得られるが、同種の植物の異なる部位から得られるオイルも含まれる。
フェンネルオイルはFoeniculum vulgareの種子を水蒸気蒸留して得られるが、同種の植物の異なる部位から得られるオイルも含まれる。
スターアニスオイルはIllicium verumの果実を水蒸気蒸留して得られるが、同種の植物の異なる部位から得られるオイルも含まれる。
セージオイルはSalvia officinalis Linnaeusの植物全体を水蒸気蒸留して得られるが、同種の植物の異なる部位から得られるオイルも含まれる。
【0018】
精油は一般的に植物の葉や茎、根、果実、種子、花を水蒸気蒸留して得られる親油性の組成物だが、本発明の組成物において用いるオイルは圧搾や抽出法を用いて得てもよい。
また、抽出物を乾燥精製してアブソリュートにし、それを再び油に溶解してもよい。精油の産地は例としてインド産、インドネシア産、中華人民共和国産、フランス産、スペイン産が挙げられるが、他の国が産地であるものを用いてもよい。さらに、上記精油に含まれているフェニルプロパノイド、ビサボラン型セスキテルペンケトンおよびはメンタン型ケトンの内の少なくともいずれかを抽出精製したもの、又は合成した化合物を配合する合成精油を用いてもよい。
【0019】
精油は揮発性の油性化合物の混合物であり、沸点は150℃と300℃の間である。精油には下記中鎖脂肪酸トリグリセリドや長鎖脂肪酸トリグリセリドのような脂肪酸トリグリセリドといった分子は含有されず、フェニルプロパノイド、ビサボラン型セスキテルペンケトンおよびメンタン型ケトンといった分子が含有する。また、上記化合物群に限らず、テルペン類、例としてα-ピネン、β-ピネン、リモネン、β-カリオフィレン、またアルコール類、例としてリナロール、ゲラニオール、ヘキサノールを主成分として含む精油を含有してもよい。精油としては、ブラックペッパー(黒コショウ)オイル、オレンジオイル、ベルガモットオイル、ゼラニウムオイルを含有してもよい。
【0020】
精油の量は、特に限定されず、剤形、摂取の形態、摂取(投与)量等に応じて適宜選択できる。例えば、精油の量は、組成物全体の量を100質量%としたとき、好ましくは10質量%以上、40質量%以上、60質量%以上、好ましくは90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下で含有することができる。
【0021】
<油脂>
本発明において、油脂には、中鎖脂肪酸トリグリセリド、長鎖脂肪酸トリグリセリドを含むことができる。
【0022】
<中鎖脂肪酸トリグリセリド>
中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)とは、炭素数5~12の脂肪酸(中鎖脂肪酸)3分子がグリセリンとエステル結合を構成する油脂である。具体的には、吉草酸、カプロン酸、ヘプチル酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸等からなる脂肪酸を含む脂肪酸トリグリセリドを指す。上記の脂肪酸は飽和脂肪酸だが、構成する脂肪酸は不飽和脂肪酸でも良い。MCTはココナッツオイルでもよく、パームオイルでもよい。
MCTはココナッツ又はパームを圧搾して得られる不揮発性の油性化合物の混合物であり、沸点は150℃と170℃の間である。
【0023】
<長鎖脂肪酸トリグリセリド>
長鎖脂肪酸トリグリセリド(LCT)とは、炭素数13以上の脂肪酸(長鎖脂肪酸) 3分子がグリセリンとエステル結合を構成する油脂である。具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸等からなる脂肪酸を含む脂肪酸トリグリセリドを指す。上記の脂肪酸は飽和脂肪酸だが、構成する脂肪酸はパルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸でも良い。LCTはゴマ油、黒ゴマ油、白ゴマ油、サラダ油、オリーブ油、エゴマ油、亜麻仁油、魚油、小麦胚芽油、大豆油、サフラワー油でもよい。
LCTはゴマ、黒ゴマ、白ゴマ、油菜、綿実、サフラワー、ひまわり、トウモロコシ、コメ、米糠、米胚芽、ブドウ種子、オリーブ、エゴマ、亜麻仁、魚、小麦胚芽、大豆などを圧搾して得られる不揮発性の油性化合物の混合物であり、沸点は250℃と500℃の間である。
【0024】
油脂の量は、特に限定されず、剤形、摂取の形態、摂取(投与)量等に応じて適宜選択できる。例えば、油脂の量は、組成物全体の量を100質量%としたとき、好ましくは5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、好ましくは50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下で含有することができる。
【0025】
<組成物の製造方法>
本発明のリグナン類化合物含有組成物の製造方法は、精油と油脂を混合した混合物を調製し、前記混合物にリグナン類化合物を溶解させる。
精油と油脂(長鎖脂肪酸トリグリセリド、中鎖脂肪酸トリグリセリド)を混合した後、リグナン類化合物を追加混合し、好ましくは75~100℃、5~15分、より好ましくは85℃、10分間で加熱しながら溶解させる。その後、溶液を水で室温まで冷却し、一晩静置した後、静置後のサンプルについて15℃、10000rpmで5分間遠心分離する。得られた上清と沈殿を分離し、沈殿の質量を測定した。沈殿は澱状のものと結晶状のものに分けて記録する。
【0026】
<澱状沈殿>
リグナン類化合物を溶媒(精油又は油脂等)に加温溶解させたのちに冷却した場合、リグナン類化合物に含まれている化合物の溶解度が低い溶媒を用いていると沈殿が生じる。ゴマ抽出物の場合は2種類の沈殿が生じ、一方は粒径0.1mm以上の白色結晶状沈殿である。これはセサミン、セサモリンである。他方は粒径0.1mm未満の褐色の沈殿であり、これが澱状沈殿である。澱状沈殿はゴマ抽出物に含まれるセサミン、セサモリン以外の非結晶性不純物である。
【0027】
<濾過工程>
澱状沈殿物は、遠心分離によって除去することができるが、10kg以上のスケールでは遠心分離法を用いるのが困難であるため、メンブレンフィルターを用いた加圧濾過によって除去することができる。溶液質量に対して澱状沈殿が増加すると、メンブレンフィルターが目詰まりするため濾過時間が増加する。従って、澱状沈殿を減らすことで濾過の時間が短くなり、製造上の利点がある。
【0028】
本発明の組成物は、上記製造方法に記載したように、精油と油脂(長鎖脂肪酸トリグリセリド、中鎖脂肪酸トリグリセリド)を混合した後、リグナン類化合物を追加混合して調製することで澱状沈殿の発生を抑えることができる。
油脂は、長鎖脂肪酸トリグリセリド、中鎖脂肪酸トリグリセリドを単独又は組み合わせて用いることができ、長鎖脂肪酸トリグリセリドと中鎖脂肪酸トリグリセリドとを組み合わせる場合は、油脂の全量を100%としたとき長鎖脂肪酸トリグリセリドを75%以上、中鎖脂肪酸トリグリセリドを25%以下とすることが好ましく、より好ましくは長鎖脂肪酸トリグリセリドを80%以上、中鎖脂肪酸トリグリセリドを20%以下である。
【0029】
本発明の組成物は、食品(機能性食品、健康補助食品、栄養機能食品、特別用途食品、特定保健用食品、栄養補助食品、食事療法用食品、健康食品、サプリメント等)の他に、飲料、医薬品、医薬部外品、化粧品等の形態で提供することが好適である。本発明は、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、ドリンク剤(溶液剤及び懸濁液剤が含まれる)等の健康食品の形態で提供することも、清涼飲料、茶飲料、ヨーグルトや乳酸菌飲料等の乳製品、調味料、加工食品、デザート類、菓子(例えば、ガム、キャンディ、ゼリー)等の形態で提供することも可能であるが、これらに限定されない。
【0030】
<飲食品>
本発明を飲食品として提供する場合、飲食品としては、特に制限されないが、例えば、カプセル剤、飲料、食品(加工食品)、菓子等が挙げられる。
飲食品は、保健機能食品(例えば、特定保健用食品や栄養機能食品等)であってもよく、サプリメント、飼料、食品添加物等であってもよい。
カプセル剤としては、特に制限されないが、シームレスカプセル、ソフトカプセル等の前記例示のカプセル等が挙げられる。カプセル剤の皮膜もまた、その他、カプセル剤において、カプセルの態様(皮膜等)もまた、後述例示のものが挙げられる。
飲食品において、組成物(セサミンを精油・油脂混合物に溶解した組成物)の使用態様としては、特に限定されず、飲食品の態様によって選択してもよい。例えば、前記のようにカプセル剤とする場合には、カプセル剤(例えば、カプセルのコア及び/又は皮膜)に組成物を含有させてもよく、飲食品に組成物を添加(配合)しても(組成物を飲食品用添加剤として用いて)よい。
このように組成物を添加する場合、飲食品としては、特に限定されないが、例えば、食品、例えば、麺類(そば、うどん、中華麺、即席麺など)、菓子類、パン類、水産又は畜産加工食品(かまぼこ、ハム、ソーセージなど)、乳製品(加工乳、発酵乳など)、油脂および油脂加工食品(サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシングなど)、調味料(ソース、たれなど)、レトルト食品(カレー、シチュー、丼、お粥、雑炊など)、冷菓(アイスクリーム、シャーベットなど)、揚げ物など、飲料(茶飲料、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料など)などが挙げられる。
【0031】
本発明の組成物は、その効果を損なわない限り、任意の所望成分を配合してもよい。例えば、ビタミンD、ビタミンEなどのビタミン類、DHA、EPA等の油脂類、ミネラル類、ホルモン、栄養成分、香料などの生理活性成分を含有することができる。所望の機能、形態、用途、適用対象等に応じて選択して他の成分を含有してもよく、特に限定されないが、例えば、担体、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング剤、着色剤、香料、安定化剤、乳化剤、界面活性剤、吸収促進剤、ゲル化剤、pH調製剤、防腐剤、抗酸化剤、清涼化剤、生理活性物質、生物活性物質、微生物類、飲食物、植物、甘味料、酸味料、調味料、強壮剤等を適宜配合することができる。他の成分は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0032】
本発明の組成物をカプセルで用いる場合、組成物を収容するシェル(皮膜)を備えるカプセルは、ソフトカプセル、ハードカプセル等であってもよく、シームレスカプセル等であってもよい。
「ソフトカプセル剤」には、ロータリーダイを利用して二枚の皮膜シートの間に内容物をそのまま充填しながら成形し打ち抜く方式で製造されるロータリーダイ式ソフトカプセルや、二重ノズルを用いた滴下方式等で製造されるシームレスカプセルが含まれる。
カプセル剤としては、ハードカプセル剤もあり、ゼラチンで構成する場合もあるが、後述する配合剤は液状でカプセルに被包することが多いことから、特にソフトカプセル剤への適用が想定されている。
【0033】
<カプセル皮膜>
本発明の皮膜基剤はゼラチン又は植物由来多糖類であり、これらの化合物が膜組成に占める含有量が通常は最も多いので、カプセル皮膜はゼラチン系又は植物系と言える。
ゼラチンは、牛、羊、豚、鶏、あるいは魚等の皮、骨、腱などの主タンパク成分であるコラーゲンを由来原料としたものであり、牛骨、牛皮又は豚皮を原料としたゼラチンが工業原料として入手し易くなっているが、由来は特に限定されない。
また、ゼラチンは、上記した原料を、酸やアルカリで処理したのち温水で抽出することにより得られるコラーゲンの変性体であり、処理の仕方には酸処理とアルカリ処理があるが、本発明では処理方法も特には限定されない。
植物性カプセルの皮膜は、通常、皮膜形成成分(造膜性基剤、皮膜形成剤)を含んでいてよい。皮膜形成成分としては、特に限定されず、カプセルの用途等に応じて適宜選択でき、例えば、多糖類(又はその誘導体){例えば、海草由来多糖類[例えば、寒天、カラギーナン、アルギン酸又はその塩(例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩など)、鉄塩、スズ塩などの金属塩)、ファーセレラン、カードランなど]、樹脂由来多糖類(例えば、ガティガム、アラビアガムなど)、微生物由来多糖類(例えば、プルラン、ウェランガム、キサンタンガム、ジェランガムなど)、植物由来多糖類(例えば、トラガントガム、ペクチン、グルコマンナン、デンプン、ポリデキストロース、デキストリン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、難消化性デキストリンなど)、種子由来多糖類[例えば、グアーガム又はその誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルグアーガム、カチオン化グアーガム、グアーガム分解物(グアーガム酵素分解物など)など)、タラガム、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、サイリウムシードガム、アマシードガムなど]、発酵多糖類(例えば、ダイユータンガムなど)、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、キトサンなど、合成樹脂(ポリビニルアルコールなど)、タンパク質(例えば、カゼイン、ゼインなど)、糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、パラチニット、キシリトール、マンニトール、ガラクチトール、エリスリトール)などが挙げられる。
皮膜形成成分は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0034】
なお、皮膜形成成分は、親水性コロイドを形成可能であってもよく、その種類によっては、可塑剤、甘味料、食物繊維、増量剤などとして機能してもよい。なお、皮膜形成成分は、市販品を使用してもよい。
【0035】
皮膜は、可塑剤、着色剤、甘味料、香料、酸化防止剤、防腐剤等を含んでいてもよい。
例えば、皮膜は、皮膜強度の調整等のため、可塑剤を含んでいてもよい。可塑剤としては、例えば、多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの(ポリ)アルキレングリコール;グリセリンなどの3以上のヒドロキシル基を有するポリオール)、糖類(例えば、単糖類(例えば、ブドウ糖、果糖、グルコース、ガラクトースなど)、二糖類(例えば、ショ糖、麦芽糖、トレハロース、カップリングシュガーなど)、オリゴ糖(例えば、マルトオリゴ糖など)など)、糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、パラチニット、キシリトール、マンニトール、ガラクチトール、エリスリトールなどの前記例示の糖アルコール)、多糖類又はその誘導体(例えば、デンプン、デンプン誘導体(例えば、ポリデキストロース、デキストリン、マルトデキストリン、難消化性デキストリン、シクロデキストリン(α、β、又はγ)など)、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)など)、ポリビニルアルコール、トリアセチンなどが挙げられる。可塑剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
なお、糖アルコール、デンプン、デンプン誘導体などは、前記のように、皮膜形成成分として使用することもできる。
【0036】
コアを有するカプセルにおいて、コアは、固体状、液状等であってもよい。なお、液状には、コロイド状、エマルション状、ジュレ状なども含まれる。
コアは、前記のように本発明の組成物以外を含んでいてもよく、他の成分を含んでいてもよい。
なお、コアは、通常、皮膜(又は皮膜と接触する部分)に対して非溶解性(非浸食性)であってもよい。
【0037】
<透明性評価>
本発明の組成物を用いると、セサミン等のリグナン類化合物(特にゴマ抽出物)を高濃度で溶解し、かつ透明な溶液を維持したまま、沈殿の発生を減らすことができる。透明性の評価は全光線透過法、曇り度(ヘイズ)法、透視時計を用いる透視度法等、又は濁度より透過度を評価する手法を用いてもよい。リグナン類化合物を含む組成物を透明皮膜のソフトカプセルに充填する場合、内容液が沈殿の発生もなく透明であれば外見が美しくなり、消費者への訴求が向上するという利点があるため、本発明において透明性は重要な要素である。
【実施例】
【0038】
以下、実施例に沿ってさらに説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0039】
1.溶解性試験
【0040】
<実験材料の調製>
ゴマ抽出物は、稲畑香料株式会社より購入したAKY-2885(商品名) (セサミン40%、セサモリン47%配合)を購入し、実験に用いた。
クローブオイルは、稲畑香料株式会社より、Eugenia caryophyllata Thunbergの葉の水蒸気蒸留品(商品名:AKY-2608)を購入し、実験に用いた。
ターメリックオイルは、稲畑香料株式会社より、C.longaの地下茎の水蒸気蒸留品(商品名:AKY-1953)を購入し、実験に用いた。
カッシャオイルは、稲畑香料株式会社よりCinnamomum cassiaの葉の水蒸気蒸留品(商品名:AKY-2609)を購入し、実験に用いた。
スペアミントオイルは、稲畑香料株式会社よりMentha spicataの葉の水蒸気蒸留品(商品名:KY-2238)を購入し、実験に用いた。
ディルシードオイルは、稲畑香料株式会社よりAnethum graveolensの種子の水蒸気蒸留品(商品名:AKY-2772)を購入し、実験に用いた。
バジルオイルは、稲畑香料株式会社よりOcimum basilicumの植物全体の水蒸気蒸留品(商品名:AKY-2780)を購入し、実験に用いた。
スターアニスオイルは、稲畑香料株式会社よりIllicium verumの果実の水蒸気蒸留品(商品名:KY-2782)を購入し、実験に用いた。
MCTは英和トレーディング社(日本、東京)よりElaeis guineensisの果実圧搾品(商品名:MCT 70/30)を購入し、実験に用いた。
ゴマ油は竹本油脂株式会社より購入した太白胡麻油(商品名)を用いた。
小麦胚芽油はサミット製油株式会社より購入した食用小麦はい芽油サミット製油(商品名)を用いた。
大豆油はJオイルミルズ株式会社より購入したJ大豆白絞油Jオイルミルズ(商品名)を用いた。
オリーブ油はDCOOP社より購入したオリーブ油リファインドDCOOP(商品名)を用いた。
サラダ油は日清オイリオ株式会社より購入したサフラワーサラダ油日清オイリオ(商品名)を用いた。
精製魚油はタマ生化学株式会社より購入したDHA-46(商品名)とEPA-18(商品名)を1:1で混合したものを用いた。
ハルウコンオイル(商品名:AKY-2607)は、稲畑香料株式会社よりC. aromaticaの地下茎の水蒸気蒸留品を購入し、実験に用いた。
【0041】
<サンプルの調製>
以下の表1~18に示す組成比(単位は質量%)で、ゴマ抽出物 AKY-2885(セサミン40%、セサモリン47%配合)を精油と油脂(長鎖脂肪酸トリグリセリド、中鎖脂肪酸トリグリセリド)の混合物に混合し、85℃、10分間で加熱しながら溶解させた。その後、溶液を水で室温まで冷却し、一晩静置した後、静置後のサンプルについて15℃、10000rpmで5分間、多目的遠心機CAX-371(株式会社トミー精工)を用いて遠心分離した。得られた上清と沈殿を分離し、沈殿の質量を測定した。沈殿は澱状のものと結晶状のものに分けて記録した。
【0042】
<濾過工程>
得られたサンプルの沈殿は遠心分離によって除去した。
【0043】
<溶解性試験の評価方法>
澱状沈殿割合は、遠心分離後に生じた澱状沈殿の質量(g)を、溶解させたゴマ抽出物の質量(g)で割ることにより得られる割合である。
評価は以下の通り行った。
評価1:精油に対する油脂の割合を上昇させた場合の評価
すなわち、精油:油脂の比率が90:0の場合の沈殿量に対して精油:油脂の比率が80:10、70:20、60:30とした場合、澱状沈殿割合の数値が5%以上減少した場合は◎、0%以上5%未満減少した場合は〇、0%より多く10%未満増加した場合は△、10%以上増加した場合は×とした。
【0044】
<セサミン・セサモリン濃度の測定>
上記遠心分離後のすべてのサンプルの上清に含まれるセサミン、セサモリン濃度(質量%)をUPLC-MSシステム(LCMS-8050、株式会社島津製作所)により定量した。
UPLC-MSシステム(LCMS-8050、株式会社島津製作所)を用いたセサミン分析は以下の条件で行った。カラムはShim-pack XR-ODSII (2.0mmI.D×75mm,particle size;2.2μm、株式会社島津製作所)を用いた。流速は0.2mL/分とした。移動相はメタノール:5mM酢酸アンモニウム水溶液、4:1の混合溶液を用いた。保持時間は2.25分であった。注入溶液量は1μLとした。ESI-MS測定は以下の条件で行った。ドリフト電圧は2.5kVとした。イオン化モードはポジティブモードとした。イオン源温度は100℃とした。脱溶媒ガス流量は10L/分、脱溶媒温度は100℃とした。衝突誘起解離ガスは270kPaのアルゴンガスを用い、衝突エネルギーは11eVとした。化合物の同定には多重反応モニタリングを用い、[M+NH4]+=m/z372.20から[M+NH4-C7H5O2-H2O]+=m/z372.20への遷移を追跡した。セサモリン分析は、以下に記載する箇所以外は上記のセサミン分析法と同じ手法を用いた。移動相はメタノール:5 mM酢酸アンモニウム水溶液、4:1から1:0まで2.5分で線形的に濃度を変化させ、その後2.51分で4:1まで戻した。保持時間は2.55分であった。ESIの導入はMS/MSを用いた。ドリフト電圧は4.0kVとした。イオン源温度は225℃、脱溶媒温度は150℃とした。アルゴンガスの衝突エネルギーは27eVとした。化合物の同定には多重反応モニタリングを用い、[M+NH4]+=m/z388.20から[M-C12H12O5+H]+=m/z135.00への遷移を追跡した。
結果を表1~表18に示す。
【0045】
<透明性評価試験>
溶解性試験で調製したサンプルを紫外・可視分光光度計(HITACHI U-3900 Spectrophotometer)を用いた紫外・可視吸光度測定を行い、バイアル瓶中の溶液及び溶媒の透明度を定量した。濁度は750nmの透過度を用いて評価した。ベースラインは、ガラスセルの透過度とした。
結果を表1~表18に示す。
【0046】
例1
【表1】
表1の通り、サンプル41と比較して油脂を加えた場合、9.3質量%以上の高いリグナン類化合物(セサミン及びセサモリン)濃度、特に6.8質量%以上の高いセサミン濃度、及び750nm透過度95%以上の高い透明性(透過度)を維持しつつ、澱状沈殿割合は3~14%減少し、沈殿を減少させる効果があることが分かった。従って、濾過工程を簡略化できるため、製造上メリットとなる。
【0047】
例2
【表2】
表2の通り、サンプル41と比較して油脂を加えた場合、8.1質量%以上の高いリグナン類化合物(セサミン及びセサモリン)濃度、特に5.9質量%以上の高いセサミン濃度、及び750nm透過度95%以上の高い透明性(透過度)を維持しつつ、澱状沈殿割合は7~20%減少し、沈殿を減少させる効果があることが分かった。従って、濾過工程を簡略化できるため、製造上メリットとなる。
【0048】
例3
【表3】
表3の通り、サンプル41と比較して油脂を加えた場合、8.6質量%以上の高いリグナン類化合物(セサミン及びセサモリン)濃度、特に6.2質量%以上の高いセサミン濃度、及び750nm透過度95%以上の高い透明性(透過度)を維持しつつ、澱状沈殿割合は4~17%減少し、沈殿を減少させる効果があることが分かった。従って、濾過工程を簡略化できるため、製造上メリットとなる。
【0049】
例4
【表4】
表4の通り、サンプル41と比較して油脂を加えた場合、7.9質量%以上の高いリグナン類化合物(セサミン及びセサモリン)濃度、特に5.7質量%以上の高いセサミン濃度、及び750nm透過度95%以上の高い透明性(透過度)を維持しつつ、澱状沈殿割合は3~26%減少し、沈殿を減少させる効果があることが分かった。従って、濾過工程を簡略化できるため、製造上メリットとなる。
【0050】
例5
【表5】
表5の通り、サンプル41と比較して油脂を加えた場合、8.8質量%以上の高いリグナン類化合物(セサミン及びセサモリン)濃度、特に6.4質量%以上の高いセサミン濃度、及び750nm透過度95%以上の高い透明性(透過度)を維持しつつ、澱状沈殿割合は9~30%減少し、沈殿を減少させる効果があることが分かった。従って、濾過工程を簡略化できるため、製造上メリットとなる。
【0051】
例6
【表6】
表6の通り、サンプル66と比較して油脂を加えた場合、9.1質量%以上の高いリグナン類化合物(セサミン及びセサモリン)濃度、特に6.6質量%以上の高いセサミン濃度、及び750nm透過度95%以上の高い透明性(透過度)を維持しつつ、澱状沈殿割合は33~43%減少し、沈殿を減少させる効果があることが分かった。従って、濾過工程を簡略化できるため、製造上メリットとなる。
【0052】
例7
【表7】
表7の通り、サンプル66と比較して油脂を加えた場合、9.1質量%以上の高いリグナン類化合物(セサミン及びセサモリン)濃度、特に6.6質量%以上の高いセサミン濃度、及び750nm透過度95%以上の高い透明性(透過度)を維持しつつ、澱状沈殿割合は26~43%減少し、沈殿を減少させる効果があることが分かった。従って、濾過工程を簡略化できるため、製造上メリットとなる。
【0053】
例8
【表8】
表8の通り、サンプル66と比較して油脂を加えた場合、8.9質量%以上の高いリグナン類化合物(セサミン及びセサモリン)濃度、特に6.5質量%以上の高いセサミン濃度、及び750nm透過度95%以上の高い透明性(透過度)を維持しつつ、澱状沈殿割合は20~30%減少し、沈殿を減少させる効果があることが分かった。従って、濾過工程を簡略化できるため、製造上メリットとなる。
【0054】
例9
【表9】
表9の通り、サンプル66と比較して油脂を加えた場合、9.1質量%以上の高いリグナン類化合物(セサミン及びセサモリン)濃度、特に6.6質量%以上の高いセサミン濃度、及び750nm透過度95%以上の高い透明性(透過度)を維持しつつ、澱状沈殿割合は22~34%減少し、沈殿を減少させる効果があることが分かった。従って、濾過工程を簡略化できるため、製造上メリットとなる。
【0055】
例10
【表10】
表10の通り、サンプル66と比較して油脂を加えた場合、8.1質量%以上の高いリグナン類化合物(セサミン及びセサモリン)濃度、特に5.9質量%以上の高いセサミン濃度、及び750nm透過度95%以上の高い透明性(透過度)を維持しつつ、澱状沈殿割合は21~39%減少し、沈殿を減少させる効果があることが分かった。従って、濾過工程を簡略化できるため、製造上メリットとなる。
【0056】
例11
【表11】
表11の通り、サンプル104と比較して油脂を加えた場合、5.0質量%以上の高いリグナン類化合物(セサミン及びセサモリン)濃度、特に2.5質量%以上の高いセサミン濃度、及び750nm透過度95%以上の高い透明性(透過度)を維持しつつ、澱状沈殿割合は7~22%減少し、沈殿を減少させる効果があることが分かった。従って、濾過工程を簡略化できるため、製造上メリットとなる。
【0057】
例12
【表12】
表12の通り、サンプル111と比較して油脂を加えたサンプル113、114、115、116において、8.2質量%以上の高いリグナン類化合物(セサミン及びセサモリン)濃度、特に5.7質量%以上の高いセサミン濃度、及び750nm透過度95%以上の高い透明性(透過度)を維持しつつ、澱状沈殿割合は2~9%減少し、沈殿を減少させる効果があることが分かった。従って、濾過工程を簡略化できるため、製造上メリットとなる。
【0058】
例13
【表13】
表13の通り、サンプル125と比較して油脂を加えたサンプル126、129、130、131において、6.1質量%以上の高いリグナン類化合物(セサミン及びセサモリン)濃度、特に3.7質量%以上の高いセサミン濃度、及び750nm透過度95%以上の高い透明性(透過度)を維持しつつ、澱状沈殿割合は2~7%減少し、沈殿を減少させる効果があることが分かった。従って、濾過工程を簡略化できるため、製造上メリットとなる。
【0059】
例14
【表14】
表14の通り、サンプル132と比較して油脂を加えた場合、6.0質量%以上の高いリグナン類化合物(セサミン及びセサモリン)濃度、特に3.4質量%以上の高いセサミン濃度、及び750nm透過度95%以上の高い透明性(透過度)を維持しつつ、澱状沈殿割合は0~19%減少し、沈殿を減少させる効果があることが分かった。従って、濾過工程を簡略化できるため、製造上メリットとなる。
【0060】
例15
【表15】
表15の通り、サンプル139と比較して油脂を加えたサンプル140、142、143、144において、6.3質量%以上の高いリグナン類化合物(セサミン及びセサモリン)濃度、特に3.8質量%以上の高いセサミン濃度、及び750nm透過度95%以上の高い透明性(透過度)を維持しつつ、澱状沈殿割合は6~11%減少し、沈殿を減少させる効果があることが分かった。従って、濾過工程を簡略化できるため、製造上メリットとなる。
【0061】
例16
【表16】
表16の通り、サンプル22と比較して油脂を加えたサンプル24、27において、9.0質量%以上の高いリグナン類化合物(セサミン及びセサモリン)濃度、特に6.5質量%以上の高いセサミン濃度、及び750nm透過度95%以上の高い透明性(透過度)を維持しつつ、澱状沈殿割合は3~6%減少し、沈殿を減少させる効果があることが分かった。従って、濾過工程を簡略化できるため、製造上メリットとなる。
【0062】
例17
【表17】
表17の通り、サンプル41と比較して油脂を加えた場合、9.0質量%以上の高いリグナン類化合物(セサミン及びセサモリン)濃度、特に6.6質量%以上の高いセサミン濃度、及び750nm透過度95%以上の高い透明性(透過度)を維持しつつ、澱状沈殿割合は14~18%減少し、沈殿を減少させる効果があることが分かった。従って、濾過工程を簡略化できるため、製造上メリットとなる。
【0063】
例18
【表18】
表18の通り、サンプル66と比較して油脂を加えた場合、9.1質量%以上の高いリグナン類化合物(セサミン及びセサモリン)濃度、特に6.6質量%以上の高いセサミン濃度、及び750nm透過度95%以上の高い透明性(透過度)を維持しつつ、澱状沈殿割合は16~22%減少し、沈殿を減少させる効果があることが分かった。従って、濾過工程を簡略化できるため、製造上メリットとなる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
上述の本発明に係る組成物は、カプセル皮膜であるシェル内に、当該組成物を充填することにより、カプセルを提供することができる。
また、本発明に係る組成物は、例えば、濃縮液状、ゲル状、ゼリー状、スラリー状等の液状の食品に含有させることもできるし、粉末状、顆粒状、錠状、棒状、板状、ブロック状等の固形状の食品に含有させることもできる。