(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-01-14
(45)【発行日】2026-01-22
(54)【発明の名称】チップバリスタ
(51)【国際特許分類】
H01C 7/10 20060101AFI20260115BHJP
【FI】
H01C7/10
(21)【出願番号】P 2022004128
(22)【出願日】2022-01-14
【審査請求日】2024-08-27
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100129296
【氏名又は名称】青木 博昭
(72)【発明者】
【氏名】篠沢 恒樹
(72)【発明者】
【氏名】内田 雅幸
(72)【発明者】
【氏名】吉田 尚義
(72)【発明者】
【氏名】簗田 壮司
【審査官】相澤 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-125902(JP,A)
【文献】特開平07-235406(JP,A)
【文献】特開2023-095602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層構造を有し、積層方向に対して平行に延在するとともに互いに対向する第一面および第二面と、積層方向に対して平行に延在して前記第一面と前記第二面とを結ぶとともに互いに対向する第三面および第四面とを有する素体と、
前記素体の所定の層内において、前記第一面と前記第二面との対向方向に沿って前記第一面から延びる第一導体と、
前記素体の所定の層内において前記第一面と前記第二面との対向方向に沿って前記第二面から延びる第二導体と、
前記第三面から前記第四面に亘って延び、かつ、前記第三面と前記第四面との対向方向に対して交差する方向に延びて前記第一導体および前記第二導体のそれぞれと前記素体の積層方向において重なる重畳部を形成する交差部を有する第三導体と、
前記素体の前記第一面に設けられ、前記第一導体に接続された第一電極と、
前記素体の前記第二面に設けられ、前記第二導体に接続された第二電極と、
前記素体の前記第三面および前記第四面にそれぞれ設けられ、前記第三導体の端部に接続された一対の第三電極と
を備え、
前記第一導体と前記第一電極との接続箇所から前記第一導体と前記第三導体とが重なる前記重畳部までの距離をL1とし、前記第一面と前記第二面との対向方向に関する前記交差部の長さをW2としたときに、2L1>W2の関係を満たし、
前記第一導体と前記第一電極との接続箇所から前記第一導体と前記第三導体とが重なる前記重畳部までの距離をL1とし、前記第三導体と前記第三電極との接続箇所から、前記第三導体の形状に沿って、前記第一導体と前記第三導体とが重なる前記重畳部に至るまでの距離L2としたときに、L1/2≦L2≦2L1の関係を満たす
、チップバリスタ。
【請求項2】
前記素体の積層方向から見て、前記第三導体の外形に沿って、前記第三導体と前記第三電極との接続箇所から前記第一導体と前記第三導体とが重なる前記重畳部に至るまでの部分がL字状である、請求項
1に記載のチップバリスタ。
【請求項3】
前記素体の積層方向から見て、前記第三導体が、前記端部から前記交差部に向かって漸次幅が拡がる拡幅部を有する、請求項
1に記載のチップバリスタ。
【請求項4】
前記第一導体と前記第二導体とが前記素体の同一の層内に延在している、請求項1~
3のいずれか一項に記載のチップバリスタ。
【請求項5】
前記第一導体および前記第二導体の幅が、前記第三導体の前記交差部の幅と同じである、請求項1~
4のいずれか一項に記載のチップバリスタ。
【請求項6】
前記第一導体および前記第二導体の幅が、前記第三導体の前記交差部の幅と異なる、請求項1~
4のいずれか一項に記載のチップバリスタ。
【請求項7】
前記第三導体が、前記第三面と前記第四面との対向方向において前記交差部を挟むとともに、前記第三面および前記第四面からそれぞれ露出する一対の前記端部を含み、
前記第一面と前記第二面との対向方向に関し、前記第一導体は、前記第一面側に位置する前記第三導体の前記交差部と前記端部との境の位置より前記第一面側に設けられ、前記第二導体は、前記第二面側に位置する前記第三導体の前記交差部と前記端部との境の位置より前記第二面側に設けられている、請求項1~
6のいずれか一項に記載のチップバリスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップバリスタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、素体の内部にバリスタ構造が設けられたチップバリスタが知られている。下記の特許文献1および特許文献2には、積層構造を有する素体の内部に設けられた複数の導体と、複数の導体のそれぞれに接続されるように素体の表面に設けられた複数の電極とを備えた積層型チップバリスタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開2018/144987号
【文献】国際公開2021/095368号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したチップバリスタにおいては、積層方向において導体に挟まれた素体領域(機能領域)の寸法を調整することにより、バリスタ特性を調整することができる。発明者らは、バリスタ特性の調整について研究を重ね、バリスタ特性を容易に調整することができる技術を新たに見出した。
【0005】
本発明は、バリスタ特性を容易に調整することができるチップバリスタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係るチップバリスタは、積層構造を有し、積層方向に対して平行に延在するとともに互いに対向する第一面および第二面と、積層方向に対して平行に延在して第一面と第二面とを結ぶとともに互いに対向する第三面および第四面とを有する素体と、素体の所定の層内おいて、第一面と第二面との対向方向に沿って第一面から延びる第一導体と、素体の所定の層内において第一面と第二面との対向方向に沿って第二面から延びる第二導体と、第三面から第四面に亘って延び、かつ、第三面と第四面との対向方向に対して交差する方向に延びて第一導体および第二導体のそれぞれと素体の積層方向において重なる重畳部を形成する交差部を有する第三導体と、素体の第一面に設けられ、第一導体に接続された第一電極と、素体の第二面に設けられ、第二導体に接続された第二電極と、素体の第三面および第四面にそれぞれ設けられ、第三導体の端部に接続された一対の第三電極とを備える。
【0007】
上記チップバリスタにおいては、第三導体が交差部を有し、第三導体は交差部において第一導体および第二導体とそれぞれ重なる重畳部を形成している。そのため、第三導体の交差部の形状や寸法を調整することで、機能領域の寸法を容易に調整することができ、それにより、バリスタ特性を容易に調整することができる。
【0008】
他の形態に係るチップバリスタは、第一導体と第一電極との接続箇所から第一導体と第三導体とが重なる重畳部までの距離をL1とし、第三導体と第三電極との接続箇所から、第三導体の形状に沿って、第一導体と第三導体とが重なる重畳部に至るまでの距離L2としたときに、L1/2≦L2≦2L1の関係を満たす。
【0009】
他の形態に係るチップバリスタは、素体の積層方向から見て、第三導体が、端部から交差部に向かって漸次幅が拡がる拡幅部を有する。
【0010】
他の形態に係るチップバリスタは、第一導体と第二導体とが素体の同一の層内に延在している。
【0011】
他の形態に係るチップバリスタは、第一導体および第二導体の幅が、第三導体の交差部の幅と同じである。
【0012】
他の形態に係るチップバリスタは、第一導体および第二導体の幅が、第三導体の交差部の幅と異なる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、バリスタ特性を容易に調整することができるチップバリスタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態に係るチップバリスタを示す概略斜視図である。
【
図2】
図1に示した素体の内部の各導体を示した斜視図である。
【
図3】
図1に示した素体の内部の各導体を示した断面図である。
【
図6】異なる態様のチップバリスタを示した断面図である。
【
図7】異なる態様のチップバリスタを示した断面図である。
【
図8】異なる態様のチップバリスタを示した断面図である。
【
図9】異なる態様のチップバリスタを示した断面図である。
【
図10】異なる態様のチップバリスタを示した断面図である。
【
図11】異なる態様のチップバリスタを示した断面図である。
【
図12】異なる態様のチップバリスタを示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0016】
まず、
図1~
図3を参照して、実施形態に係るチップバリスタ1の構成について説明する。
【0017】
チップバリスタ1は、多端子型の積層チップバリスタであり、素体10と4つの端子電極20A~20Dとを備えて構成されている。チップバリスタ1は、略直方体形状の外形を有し、いわゆる1608サイズ(長手方向長さが1.6mm、短手方向長さが0.8mm、高さが0.8mm)である。
【0018】
素体10は、略直方体形状の外形を有する積層構造体である。素体10は、長手方向において互いに対向する長方形状の端面10a、10bと、端面10a、10bに直交する長方形状の4つの側面10c~10fとを有する。4つの側面10c~10fは、端面10a,10b間を連結するように延びている。端面10a、10bは、素体10の積層方向に対して平行に延在している。4つの側面10c~10fのうちの側面10c、10dは、素体10の積層方向に対して平行に延在しており、互いに対向している。4つの側面10c~10fのうちの側面10e、10fは、素体10の積層方向に対して直交するように延在しており、素体10の積層方向において互いに対向している。
【0019】
素体10は、バリスタ特性を発現する焼結体(半導体セラミック)からなる。素体10は、バリスタ特性を発現する焼結体からなる複数の層からなる積層構造体である。実際の素体10では、構成する各層は、その間の境界が視認できない程度に一体化されている。素体10は、ZnO(酸化亜鉛)を主成分として含むと共に、副成分としてCo、希土類金属元素、IIIb族元素(B、Al、Ga、In)、Si、Cr、Mo、アルカリ金属元素(K、Rb、Cs)及びアルカリ土類金属元素(Mg、Ca、Sr、Ba)などの金属単体やこれらの酸化物を含む。本実施形態において、素体10は、副成分としてCo、Pr、Cr、Ca、K、及びAlを含んでいる。素体10におけるZnOの含有量は、特に限定されないが、素体10を構成する全体の材料を100質量%とした場合に、通常、99.8~69.0質量%である。希土類金属元素(たとえば、Pr)は、バリスタ特性を発現させる物質として作用する。素体10における希土類金属元素の含有量は、たとえば0.01~10原子%程度に設定される。
【0020】
チップバリスタ1は、一対の第一導体30A、一対の第二導体30Bおよび第三導体30Cを素体10内に備える。第一導体30A、第二導体30Bおよび第三導体30Cは、導電材を含んでいる。各導体30A、30B、30Cに含まれる導電材としては、特に限定されないが、PdまたはAg-Pd合金からなることが好ましい。各導体30A、30B、30Cの厚み(積層方向長さ)は、たとえば0.1~10μm程度である。
【0021】
一対の第一導体30Aはいずれも、均一幅を有する帯状の形状を有し、素体10を構成する層内おいて、端面10a、10bの対向方向に沿って延在している。一対の第一導体30Aは、素体10の異なる層内に位置している。各第一導体30Aは、一方の端部30aが端面10a(第一面)に露出するとともに他方の端部30bが素体10内に位置している。一対の第一導体30Aは、素体10の積層方向から見て、寸法および形状が同じであり、完全に一致している。第一導体30Aの幅w1(側面10c、10dの対向方向に関する長さ)は、たとえば0.4mmである。
【0022】
一対の第二導体30Bはいずれも、均一幅を有する帯状の形状を有し、第一導体30Aが形成された層と同じ層内おいて、端面10a、10bの対向方向に沿って延在している。第二導体30Bは、一方の端部30aが端面10b(第二面)に露出するとともに他方の端部30bが素体10内に位置している。一対の第二導体30Bは、素体10の積層方向から見て、寸法および形状が同じであり、完全に一致している。第二導体30Bの幅は、第一導体30Aの幅w1と同じになるように設計されており、たとえば0.4mmである。
【0023】
第一導体30Aと第二導体30Bとは、素体10の積層方向から見て互いに位置合わせされており、端面10a、10bの対向方向に沿って互いに近づく向きに延びている。ただし、素体10内に位置する第一導体30Aの端部30bと第二導体30Bの端部30bとは、端面10a、10bの対向方向において離間しており、素体10の積層方向において重なっていない。
【0024】
第三導体30Cは、側面10c、10dの対向方向に沿って延びる形状を有し、側面10c(第三面)から側面10d(第四面)に亘って延びている。
図3に示すように、第三導体30Cは、一対の端部31および交差部32を有する。
【0025】
第三導体30Cの各端部31は、側面10c、10dの近傍に位置しており、側面10c、10dから露出している。各端部31は、均一な幅W1(端面10a、10bの対向方向に関する長さ)を有し、幅W1は一例として0.2mmである。
【0026】
第三導体30Cの交差部32は、両端部31の間であって第三導体30Cの中央に位置しており、側面10c、10dの対向方向に対して交差する方向に延びている。本実施形態では、第三導体30Cの交差部32は、側面10c、10dの対向方向に対して直交する方向に延びており、交差部32の幅W2(端面10a、10bの対向方向に関する長さ)は端部31の幅W1より広くなるように設計されている(W2>W1)。交差部32の幅W2は一例として0.6mmである。第三導体30Cは全体として、素体10の積層方向から見て十字状(クロス状)を呈する。本実施形態において、側面10c、10dの対向方向に関する交差部32の長さ(幅)w2は、第一導体30Aおよび第二導体30Bの幅w1と同じになるように設計されている。
【0027】
第三導体30Cの交差部32は、端面10a側に延びた先端部において第一導体30Aの端部30bと重なり、重畳部40Aを形成している。同様に、第三導体30Cの交差部32は、端面10b側に延びた先端部において第二導体30Bの端部30bと重なり、重畳部40Bを形成している。第三導体30Cは、一対の第一導体30Aとは重畳部40Aにおいてのみ重なり、一対の第二導体30Bとも重畳部40Bにおいてのみ重なる。
【0028】
図4および
図5に示すように、第三導体30Cは、一対の第一導体30Aの中間に位置する層内に延在している。そのため、素体10の積層方向に関し、第三導体30Cと一方の第一導体30Aとの離間距離は、第三導体30Cと他方の第一導体30Aとの離間距離と実質的に同一である。交差部32は、一対の第一導体30Aの端部30bそれぞれとの間に第一機能層42を形成する。第一機能層42は、交差部32の先端部32aと第一導体30Aの端部30bとで挟まれた素体部分である。第一機能層42は、たとえば20~50pF程度の静電容量を有する。同様に、素体10の積層方向に関し、第三導体30Cと一方の第二導体30Bとの離間距離は、第三導体30Cと他方の第二導体30Bとの離間距離と実質的に同一である。交差部32は、一対の第二導体30Bの端部30bそれぞれとの間に第二機能層44を形成する。第二機能層44は、交差部32の先端部32bと第二導体30Bの端部30bとで挟まれた素体部分である。第二機能層44は、たとえば20~50pF程度の静電容量を有する。本実施形態では、重畳部40Aと重畳部40Bは同じ重畳面積を有し、そのため、第一機能層42と第二機能層44とは実質的に同じ静電容量を有する。
【0029】
4つの端子電極20A~20Dの一つである第一電極20Aは、素体10の端面10a側に配置されている。第一電極20Aは、端面10aと、4つの側面10c~10fの端面10a寄りの部分と、を覆うように形成されている。第一電極20Aは、素体10の端面10aに露出した一対の第一導体30Aのそれぞれの一方の端部30aを覆うようにも形成されており、第一電極20Aは、一対の第一導体30Aのそれぞれと直接接続されている。
【0030】
第一導体30Aと第一電極20Aとの接続箇所から重畳部40Aまでの距離をL1とし、第三導体30Cと第三電極20C、20Dとの接続箇所から、第三導体30Cの形状(より具体的には、素体10の積層方向から見たときの外形)に沿って重畳部40Aに至るまでの距離L2としたときに、L1/2≦L2≦2L1の関係が満たされるように設計されている。本実施形態において、第二導体30Bと第二電極20Bとの接続箇所から重畳部40Bまでの距離は、第一導体30Aと第一電極20Aとの接続箇所から重畳部40Aまでの距離L1と同じである。また、本実施形態において、第三導体30Cと第三電極20C、20Dとの接続箇所から、第三導体30Cの形状に沿って重畳部40Bに至るまでの距離は、第三導体30Cの形状に沿って重畳部40Bに至るまでの距離L2と同じである。本実施形態において、距離L2は、第三導体30Cの外形に沿ったL字状部分の長さであり、2つの直線の長さの合計として求められる。
【0031】
4つの端子電極20A~20Dの一つである第二電極20Bは、素体10の端面10b側に配置されている。第二電極20Bは、端面10bと、4つの側面10c~10fの端面10b寄りの部分と、を覆うように形成されている。第二電極20Bは、素体10の端面10bに露出した一対の第二導体30Bのそれぞれの一方の端部30aを覆うようにも形成されており、第二電極20Bは、一対の第二導体30Bのそれぞれと直接接続されている。
【0032】
4つの端子電極20A~20Dのうちの第三電極20C、20Dは、対をなしており、素体10の側面10c側および側面10d側にそれぞれ配置されている。具体的には、第三電極20Cは、長方形状を有する側面10cの長辺の中間位置において積層方向に延びて側面10eと側面10fに回り込んでおり、第三電極20Dは、長方形状を有する側面10dの長辺の中間位置において積層方向に延びて、側面10eと側面10fに回り込んでいる。第三電極20C、20Dは、素体10の側面10c、10dに露出した第三導体30Cの両端部31をそれぞれ覆うようにも形成されており、第三電極20C、20Dは、第三導体30Cと直接接続されている。一対の第三電極20C、20Dと第三導体30Cとは対称的に配置されているため、均一な放電を実現することができる。
【0033】
各端子電極20A~20Dは、単層構造であっても複数層構造であってもよい。各端子電極20A~20Dは、たとえば焼付電極であり、導電性ペーストを素体10の表面に付与して焼き付けることにより形成される。導電性ペーストには、金属(たとえば、Pd、Cu、Ag、又はAg-Pd合金など)からなる粉末に、ガラス成分、有機バインダ、及び有機溶剤を混合したものが用いられている。このような焼付電極上に、めっき層を形成することもできる。めっき層は、Niめっき層と、当該Niめっき層上に形成されたSnめっき層とを含んでいてもよい。
【0034】
上述したチップバリスタ1においては、第三導体30Cが交差部32を有し、第三導体30Cは交差部32において第一導体30Aおよび第二導体30Bとそれぞれ重なる重畳部40A、40Bを形成している。そのため、第三導体30Cの交差部32の形状や寸法を調整することで、第一機能層42および第二機能層44の機能領域の寸法を容易に調整することができ、それにより、バリスタ特性を容易に調整することができる。
【0035】
また、チップバリスタ1は、第一導体30Aと第一電極20Aとの接続箇所から重畳部40Aまでの距離L1と、第三導体30Cと第三電極20C、20Dとの接続箇所から、第三導体30Cの形状に沿って重畳部40Aに至るまでの距離L2とが、L1/2≦L2≦2L1の関係を満たすため、バリスタ特性の対称性を高めることができる。さらに、距離L2が、第三導体30Cの外形に沿ったL字状部分の長さであり、2つの直線の長さの合計として求められるため、チップサイズを変えることなく導体設計をおこなうことができる。
【0036】
チップバリスタ1の各導体30A~30Cは様々な形状に変更可能であり、たとえば
図6~9に示した形状にすることができる。
【0037】
図6に示した態様は、側面10c、10dの対向方向に関する交差部32の長さw2が、第一導体30Aおよび第二導体30Bの幅w1と異なっており、長さw2が幅w1より狭くなっている点でのみ、上述したチップバリスタ1と異なる。
図6に示した態様では、第三導体30Cの交差部32と、側面10c、10dの対向方向における第一導体30Aおよび第二導体30Bとの間に、たとえば導体形成時に相対位置ズレが生じた場合であっても重畳部40A、40Bの重畳面積が変わらない。そのため、チップバリスタの製品ごとの特性ズレを抑制することができる。
【0038】
図7に示した態様は、側面10c、10dの対向方向に関する交差部32の長さw2が、第一導体30Aおよび第二導体30Bの幅w1と異なっており、長さw2が幅w1より広くなっている点でのみ、上述したチップバリスタ1と異なる。
図7に示した態様では、
図6に示した態様同様、第三導体30Cの交差部32と、側面10c、10dの対向方向における第一導体30Aおよび第二導体30Bとの間に、たとえば導体形成時に相対位置ズレが生じた場合であっても重畳部40A、40Bの重畳面積が変わらない。そのため、チップバリスタの製品ごとの特性ズレを抑制することができる。
【0039】
図8に示した態様は、側面10c、10dの対向方向に関する交差部32の長さw2が、交差部32の一方端32aと他方端32bにおいて互いに異なる点でのみ、上述したチップバリスタ1と異なる。
図8に示した態様では、第一導体30Aおよび第二導体30Bの寸法および形状を変えることなく、重畳部40A、40Bの重畳面積を変えることができ、それにより、第一導体30Aを経由する経路(チャンネル)と第二導体30Bを経由する経路とでバリスタ特性を異ならせることができる。
【0040】
図9に示した態様は、第三導体30Cの両端部31と交差部32との間に、端部31から交差部32に向かって漸次幅が拡がる部分である拡幅部33がそれぞれ介在している点でのみ、上述したチップバリスタ1と異なる。
図9に示した態様では、第三導体30Cが拡幅部33を有するため、端部31と交差部32との幅が異なる場合であっても、端部31と交差部32との境界における応力集中が抑制され、クラック等の欠陥が生じる事態が抑制される。
【0041】
チップバリスタ1の各導体30A~30Cの積層構造についても変更可能であり、たとえば
図10~12に示した積層構造にすることができる。
【0042】
図10に示した態様は、第一導体30Aが一層であり、第二導体30Bも一層であり、かつ、第一導体30Aと第二導体30Bとが同一の層内に延在している。
図11に示した態様は、第一導体30Aが一層であり、第二導体30Bも一層であり、かつ、第一導体30Aと第二導体30Bとが異なる層内に延在しており、第三導体30Cは第一導体30Aと第二導体30Bの中間に位置する層内に延在している。
図12に示した態様では、第一導体30Aが一層であり、第二導体30Bも一層であり、かつ、第三導体30Cが二層である。二層の第三導体30Cは、素体10の積層方向から見て、寸法および形状が同じであり、完全に一致している。また、第一導体30Aと第二導体30Bとは、二層の第三導体30Cの中間に位置する同一の層内に延在している。
【0043】
図6~
図12に示した態様のチップバリスタ1においても、第三導体30Cが交差部32を有し、第三導体30Cは交差部32において第一導体30Aおよび第二導体30Bとそれぞれ重なる重畳部40A、40Bを形成している。そのため、第三導体30Cの交差部32の形状や寸法を調整することで、第一機能層42および第二機能層44の機能領域の寸法を容易に調整することができ、それにより、バリスタ特性を容易に調整することができる。
【0044】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0045】
たとえば、距離L2は、第三導体30Cの形状に沿っていれば、3つ以上の直線の長さの合計であってもよい。第三導体の拡幅部は、斜辺を構成するように幅が漸次拡がっている態様であってもよく、曲線を構成するように幅が漸次拡がっている態様であってもよく、段を構成するように幅が段階的に拡がっている態様であってもよい。チップバリスタの外形寸法、素体の外形寸法等については適宜増減することができる。また、各導体および各端子電極の寸法についても、適宜増減することができる。さらに、素体、各導体および各端子電極を構成する材料は、チップバリスタに適用可能な公知の材料に、適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0046】
1…チップバリスタ、10…素体、20A…第一電極、20B…第二電極、20C、20D…第三電極、30A…第一導体、30B…第二導体、30C…第三導体、31…端部、32…交差部、33…拡幅部、40A、40B…重畳部、42…第一機能層、44…第二機能層。