(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-01-15
(45)【発行日】2026-01-23
(54)【発明の名称】半導体用洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20260116BHJP
C11D 3/30 20060101ALI20260116BHJP
C11D 1/722 20060101ALI20260116BHJP
C11D 1/72 20060101ALI20260116BHJP
C11D 7/32 20060101ALI20260116BHJP
【FI】
H01L21/304 647A
H01L21/304 647Z
H01L21/304 622Q
C11D3/30
C11D1/722
C11D1/72
C11D7/32
(21)【出願番号】P 2024537729
(86)(22)【出願日】2023-07-25
(86)【国際出願番号】 JP2023027090
(87)【国際公開番号】W WO2024024759
(87)【国際公開日】2024-02-01
【審査請求日】2025-01-23
(31)【優先権主張番号】P 2022117727
(32)【優先日】2022-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】張替 尊子
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/168207(WO,A1)
【文献】特開2003-289060(JP,A)
【文献】特開2006-041494(JP,A)
【文献】特開2012-044118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
C11D 3/30
C11D 1/722
C11D 1/72
C11D 7/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボン酸系単量体に由来する構造単位を有する重合体とpH調整剤を含む半導体用洗浄剤組成物であって、該重合体の重量平均分子量は3100以上であり、
該pH調整剤が、金属水酸化物及びアミン化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物であり、pHが
9以上である、半導体用洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記アミン化合物が、下記一般式(1)で表される化合物及び下記一般式(2)
で表される化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含む、請求項1に記載の半導体用洗浄剤組成物。
【化1】
(式(1)中、R
1、R
2及びR
3は、同一又は異なって、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1~18の炭化水素基を表す。R
1、R
2及びR
3から選択される少なくとも2つは連結して環を形成していてもよい。)
【化2】
(式(2)中、R
4、R
5、R
6及びR
7は、同一又は異なって、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1~18の炭化水素基を表す。)
【請求項3】
下記一般式(3)で表される化合物及び/又は下記一般式(4)で表される化合物を含む、請求項1又は2に記載の半導体用洗浄剤組成物。
【化3】
(式(3)中、R
8、R
9及びR
10は、同一又は異なって、水素原子、又は、アルキル基を表す。R
11及びR
12は、同一又は異なって、アルキレン基を表す。x及びyは、同一又は異なって、0~50の整数を表す。(x+y)は1以上の整数である。)
【化4】
(式(4)中、R
13、R
14、R
15及びR
16は、同一又は異なって、水素原子、又は、アルキル基を表す。R
17、R
18、R
19、R
20及びR
21は、同一又は異なって、アルキレン基、又は、アルキニレン基を表す。x及びyは、同一又は異なって、0~50の整数を表す。(x+y)は1以上の整数である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体用洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造プロセスにおけるウエハ表面を平坦化する工程として、CMP(Chemical-Mechanical-Planarization/Polishing、化学機械研磨)工程が知られている。CMP工程後には、ウエハ表面に砥粒や研磨屑などの金属残渣等が残存するため、それらを除去するための洗浄がおこなわれる。このようなCMP工程用の洗浄剤は、これまでに種々知られている。例えば特許文献1には、CMP工程後に洗浄する洗浄用組成物として、特定の水溶性ポリマーと塩を形成するアンモニウムを含む洗浄用組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のCMP工程用の洗浄剤では、CMP工程後のウエハに残存する金属残渣の除去については未だ不十分であり、改善の余地があった。特に、セリア(酸化セリウム:CeO2)粒子を含む研磨剤を用いた場合、従来の洗浄剤ではセリア粒子の除去能力が不足しており、ウエハ上に残存するセリア粒子を十分に除去することができず、残留した成分が基板表面に固着してしまう等の問題があった。
【0005】
本発明は、上記現状に鑑みて、基板上に残存する金属残渣であるセリア粒子に対し、高い除去性を発現する、半導体用洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決すべく、半導体用洗浄剤組成物について種々検討したところ、特定の重合体とpH調整剤を含み、pHが7以上である洗浄剤組成物とすることにより、セリア粒子を含めた金属残渣に対して高い除去性を発現することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、下記[1]~[3]に記載のものである。
[1]カルボン酸系単量体に由来する構造単位を有する重合体とpH調整剤を含む半導体用洗浄剤組成物であって、該重合体の重量平均分子量は3100以上であり、該pH調整剤が、金属水酸化物及びアミン化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物であり、pHが7以上である、半導体用洗浄剤組成物。
[2]前記アミン化合物が、下記一般式(1)で表される化合物及び下記一般式(2)で表される化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含む、上記[1]に記載の半導体用洗浄剤組成物。
【0008】
【化1】
(式(1)中、R
1、R
2及びR
3は、同一又は異なって、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1~18の炭化水素基を表す。R
1、R
2及びR
3から選択される少なくとも2つは連結して環を形成していてもよい。)
【0009】
【化2】
(式(2)中、R
4、R
5、R
6及びR
7は、同一又は異なって、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1~18の炭化水素基を表す。)
[3]下記一般式(3)で表される化合物及び/又は下記一般式(4)で表される化合物を含む、上記[1]又は[2]に記載の半導体用洗浄剤組成物。
【0010】
【化3】
(式(3)中、R
8、R
9及びR
10は、同一又は異なって、水素原子、又は、アルキル基を表す。R
11及びR
12は、同一又は異なって、アルキレン基を表す。x及びyは、同一又は異なって、0~50の整数を表す。(x+y)は1以上の整数である。)
【0011】
【化4】
(式(4)中、R
13、R
14、R
15及びR
16は、同一又は異なって、水素原子、又は、アルキル基を表す。R
17、R
18、R
19、R
20及びR
21は、同一又は異なって、アルキレン基、又は、アルキニレン基を表す。x及びyは、同一又は異なって、0~50の整数を表す。(x+y)は1以上の整数である。)
【発明の効果】
【0012】
本開示の半導体用洗浄剤組成物は、基板上に残存する金属残渣のセリア粒子に対し、高い除去性を発現することできる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
【0014】
[半導体用洗浄剤組成物]
<重合体>
本開示の半導体用洗浄剤組成物は、カルボン酸系単量体に由来する構造単位(A)を有する重合体を含む。
【0015】
(カルボン酸系単量体に由来する構造単位(A))
本開示の半導体用洗浄剤組成物には、カルボン酸系単量体に由来する構造単位(A)を有する重合体を含む。本開示において、上記カルボン酸系単量体とは、カルボキシ基含有単量体及び/又はその塩を意味する。上記重合体は、カルボキシ基含有単量体及び/又はその塩に由来する構造単位を有することが好ましい。
本開示において、例えば、「カルボキシ基含有単量体に由来する構造単位(A)」とは、カルボキシ基含有単量体に含まれる少なくとも1つの炭素-炭素二重結合が、炭素-炭素単結合に置き換わった構造を有する構造単位を表す。例えばカルボキシ基含有単量体がアクリル酸、CH2=CHCOOH、であれば、アクリル酸に由来する構造単位は、-CH2-CH(-COOH)-、で表すことができる。なお、本開示において、カルボキシ基含有単量体に由来する構造単位は、実際にカルボキシ基含有単量体が重合して形成された構造単位には限定されず、カルボキシ基含有単量体に含まれる少なくとも1つの炭素-炭素二重結合が、炭素-炭素単結合に置き換わった構造を有する構造単位と同じ構造を有すれば、別の方法により形成された構造単位であっても、カルボキシ基含有単量体に由来する構造単位に含まれる。
【0016】
上記カルボキシ基含有単量体としては、重合性の不飽和結合(炭素-炭素二重結合)及びカルボキシ基を有している構造の単量体であれば特に限定はない。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α-ヒドロキシアクリル酸、α-ヒドロキシメチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、2-メチレングルタル酸等の不飽和カルボン酸系化合物の単量体が例示される。
【0017】
上記カルボキシ基含有単量体の塩としては、特に制限されないが、例えば、上記不飽和カルボン酸系化合物の金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩などが挙げられる。カルボン酸の塩として好ましくは、カルボン酸カリウム、カルボン酸ナトリウム、カルボン酸アンモニウム、又はカルボン酸の4級アミンである。
【0018】
これらカルボン酸系単量体は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
上記重合体において、上記カルボン酸系単量体に由来する構造単位の割合は、全構造単位100モル%に対して、10~100モル%であることが好ましい。より好ましくは、20~100モル%であり、更に好ましくは、40~100モル%である。
【0020】
(その他の単量体に由来する構造単位)
本開示の重合体は、上記カルボン酸系単量体に由来する構造単位(A)以外の単量体に由来する構造単位(以下、「その他の単量体に由来する構造単位」ともいう)を1種または2種以上含んでいても良い。
【0021】
上記その他の単量体に由来する構造単位は、上記カルボン酸系単量体以外のエチレン性不飽和単量体の炭素-炭素二重結合(C=C)が炭素-炭素単結合(C-C)に置き換わって、隣接する構造単位と結合を形成した構造単位である。ただし、このような構造単位に該当する構造であれば、実際に単量体の炭素-炭素二重結合が炭素-炭素単結合に置き換わって形成された構造でなくてもよい。
【0022】
上記その他の単量体としては、具体的には、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、α-ヒドロキシメチルエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸のアルキル基のエステルであるアルキル(メタ)アクリレート類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びその4級化物等のアミノ基含有アクリレート;(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド等のアミド基含有単量体類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;スチレン等の芳香族ビニル系単量体類;マレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド誘導体;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系単量体類;(メタ)アクロレイン等のアルデヒド基含有ビニル系単量体類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール、ビニルピロリドン等のその他の官能基含有単量体類;ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコール(メタ)アクリレート;エトキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ-トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ-ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;ビニルアルコール、(メタ)アリルアルコール、イソプレノール等の不飽和アルコールにアルキレンオキシドが1~300モル付加した構造を有する単量体等のポリアルキレングリコール鎖含有単量体;3-アリルオキシ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸等のスルホン酸基を有する単量体及びその塩等が挙げられる。
その他の単量体についても、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0023】
上記重合体における、上記その他の単量体に由来する構造単位の割合は、全構造単位100モル%に対して、0~90モル%であることが好ましく、より好ましくは0~80モル%であり、更に好ましくは0~60モル%である。種類や量を変更することで、半導体用洗浄剤組成物における重合体の溶解性や洗浄性能を適宜調整することが可能である。
【0024】
本開示の重合体の重量平均分子量は、3100以上である。上記重合体の重量平均分子量が3100以上であると、金属残渣の除去性をより一層向上させることができる。上記重合体の重量平均分子量は、より好ましくは4000以上であり、さらに好ましくは5000以上であり、最も好ましくは9000以上である。一方、50000以下であることが好ましく、24500以下であることがより好ましく、さらに好ましくは23000以下であり、よりさらに好ましくは20000以下である。すなわち、上記重合体の重量平均分子量は、好ましくは3100~50000であり、より好ましくは4000~24500であり、さらに好ましくは5000~23000であり、よりさらに好ましくは5000~20000であり、特に好ましくは9000~20000である。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定して求めることができ、具体的には、実施例に記載の方法で求めることができる。
【0025】
本開示の半導体用洗浄剤組成物に含まれる重合体の含有量は、半導体用洗浄剤組成物の総量に対し、0.01質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以上であり、さらに好ましくは0.3質量%以上であり、よりさらに好ましくは0.8質量%以上である。一方、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは8質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下である。すなわち、上記重合体の含有量は、半導体用洗浄剤組成物の総量に対し、好ましくは0.01~10質量%であり、より好ましくは0.1~8質量%であり、さらに好ましくは0.3~5質量%であり、よりさらに好ましくは0.8~5質量%である。
【0026】
[重合体の製造方法]
上記重合体を製造する方法は、上記カルボン酸系単量体に由来する構造単位(A)を有する重合体が製造されることになる限り特に制限されず、上記カルボン酸系単量体やその他の単量体を含む単量体成分を重合する方法が挙げられる。上記重合は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合のいずれの重合反応を用いるものであってもよい。また重合反応は光重合、熱重合のいずれであってもよい。
重合方法としては、特に限定されないが、例えば、重合開始剤を添加する方法、UVを照射する方法、熱を加える方法、光重合開始剤存在下に光を照射する方法等が挙げられる。上記重合工程では、重合開始剤を用いることが好ましい。
【0027】
上記重合開始剤としては、例えば、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(2,2’-アゾビス-2-アミジノプロパン二塩酸塩)、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス(1-イミノ-1-ピロリジノ-2-メチルプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾジイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ-t-ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物;アスコルビン酸と過酸化水素、過硫酸塩と金属塩等の、酸化剤と還元剤とを組み合わせてラジカルを発生させる酸化還元型開始剤等が好適である。これらの重合開始剤のうち、残存単量体が減少する傾向にあることから、過酸化水素、過硫酸塩、アゾ系化合物が好ましく、より好ましくは過硫酸塩である。
【0028】
これらの重合開始剤は、単独で使用されてもよく、2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。上記重合開始剤の使用量としては、単量体の使用量100gに対して、0.1g以上、30g以下であることが好ましく、0.2g以上、20g以下であることがより好ましく、0.25g以上、15g以下であることが更に好ましい。
【0029】
上記重合工程では、必要に応じて、重合体の分子量調整剤として連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤としては、具体的には、チオグリコール酸(メルカプト酢酸)、3-メルカプトプロピオン酸、2-メルカプトプロピオン酸(チオ乳酸)、4-メルカプトブタン酸、チオリンゴ酸及びこれらの塩等のメルカプトカルボン酸やメルカプトエタノール、チオグリセロール、2-メルカプトエタンスルホン酸等;四塩化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等のハロゲン化物;イソプロパノール、グリセリン等の第2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸、次亜リン酸塩及びこれらの水和物等;亜硫酸水素(塩)や亜硫酸水素(塩)を発生し得る化合物(重亜硫酸(塩)、ピロ亜硫酸(塩)、亜ジチオン酸(塩)、亜硫酸(塩)等);等が挙げられる。中でも亜硫酸水素(塩)、亜リン酸(塩)、メルカプトカルボン酸等のメルカプト基を有する化合物が好ましく、より好ましくは亜硫酸水素(塩)、亜リン酸(塩)である。
【0030】
連鎖移動剤の使用量としては、単量体(全単量体)の使用量100モル%に対して、0モル%以上、30モル%以下が好ましく、より好ましくは0モル%以上、25モル%以下であり、更に好ましくは0モル%以上、20モル%以下であり、最も好ましくは0モル%以上、10モル%以下である。
【0031】
上記重合工程は、溶媒中で行ってもよい。使用する重合溶媒としては、所望の重合反応が進行するのであれば、特に限定されないが、得られた重合体溶液をそのまま半導体用洗浄剤組成物の調製に使用しやすい点で、水、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶剤、N-メチルピロリドン等のアミド系溶剤等、ジメチルスルホキシド等の含硫黄系溶剤、δ-バレロラクトン等のラクトン系溶剤水溶性有機溶剤等が好ましく挙げられる。
【0032】
上記重合工程において、重合温度としては、40℃以上であることが好ましく、また、150℃以下であることが好ましい。より好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは55℃以上である。また、より好ましくは120℃以下であり、更に好ましくは110℃以下である。すなわち、重合温度は、より好ましくは50~120℃であり、更に好ましくは55~110℃である。
【0033】
上記重合工程において単量体成分の反応容器への投入方法は特に限定されず、全量を反応容器に初期に一括投入する方法;全量を反応容器に分割又は連続投入する方法;一部を反応容器に初期に投入し、残りを反応容器に分割又は連続投入する方法等が挙げられる。なお、上記重合開始剤を使用する場合、反応容器に初めから仕込んでもよく、反応容器へ滴下してもよく、また目的に応じてこれらを組み合わせてもよい。
【0034】
重合時間としては、特に制限されないが、好ましくは30~600分であり、より好ましくは30~500分であり、更に好ましくは30~400分である。
【0035】
上記重合体の製造方法は、上述した重合工程以外の他の工程を含んでいてもよい。上記他の工程としては、例えば、熟成工程、中和工程、希釈工程、乾燥工程、濃縮工程、精製工程等が挙げられる。これらの工程は、公知の方法により行うことができる。
【0036】
<pH調整剤>
本開示の半導体用洗浄剤組成物は、pH調整剤を含む。本開示の半導体用洗浄剤組成物に含まれるpH調整剤は、所望のpHに調整することができる化合物であれば特に限定されず、公知の酸性化合物又は塩基性化合物が挙げられる。中でも、洗浄性能という観点から塩基性化合物であることが好ましい。
【0037】
本開示の塩基性化合物は特に限定されないが、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物などの金属水酸化物;アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ土類金属炭酸水素塩などの金属炭酸水素塩;アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩などの金属炭酸塩;有機塩基性化合物が好ましく、特に好ましくは、金属水酸化物と有機塩基性化合物が挙げられる。
【0038】
本開示の金属水酸化物としては、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物である。具体的には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられる。
【0039】
本開示の有機塩基性化合物としてはアミン化合物が特に好ましく、特に制限されないが、具体的には、下記一般式(1)で表される化合物、及び、下記一般式(2)で表される化合物からなる群より選ばれる1種以上等が好ましい。
【0040】
【0041】
(式(1)中、R1、R2及びR3は、同一又は異なって、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1~18の炭化水素基を表す。R1、R2及びR3から選択される少なくとも2つは連結して環を形成していてもよい。)
【0042】
【0043】
(式(2)中、R4、R5、R6及びR7は、同一又は異なって、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1~18の炭化水素基を表す。)
【0044】
本開示のアミン化合物について、上記一般式(1)において、R1、R2及びR3で表される炭化水素基の炭素数は、1~12であることが好ましく、より好ましくは1~8であり、さらに好ましくは1~4である。
上記炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられるが、なかでも脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
【0045】
上記一般式(1)においてR1、R2及びR3で表されるアルキル基は、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。
【0046】
直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基等が挙げられる。
【0047】
分岐状のアルキル基としては、例えば、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、1-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、2-メチルブチル基、イソアミル基、1,2-ジメチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、tert-アミル基、1,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1-メチルペンチル基、1-メチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、2-エチル-2-メチルプロピル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、イソオクチル基、1-エチルヘキシル基、1-プロピルペンチル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルペンチル基等が挙げられる。
【0048】
環状のアルキル基としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基、シクロヘキサデシル基、シクロオクタデシル基等が挙げられる。
【0049】
上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。上記置換基としては特に限定されないが、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、エーテル基、シアノ基、チオール基、アミノ基などが挙げられる。好ましくは、水酸基、アルコキシ基であり、より好ましくは、水酸基である。
【0050】
上記炭化水素基が有する置換基の数は、特に限定されないが、pH調整能という点で、好ましくは0~6であり、より好ましくは0~3である。
【0051】
上記R1、R2及びR3から選択される少なくとも2つは連結して環を形成していてもよい。形成される環は、飽和であっても不飽和であってもよく、単環であっても多環であってもよい。また、環を構成する原子には、窒素原子が含まれていてもよい。上記環は、置換基を有していてもよい。上記環が有する置換基としては、上述した置換基やアルキル基等が挙げられる。
【0052】
本開示のアミン化合物について、上記一般式(1)で表される化合物としては、具体的には、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキルアミン;アニリン、トルイジン等の芳香族アミンや、ピロール、ピリジン、ピコリン、ルチジン、ジアザビシクロウンデセン等の含窒素複素環式化合物等の有機アミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、N-メチルエタノールアミン、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール等のアルカノールアミンなどが挙げられる。なかでも、アルカノールアミンが好ましい。
【0053】
本開示のアミン化合物について、上記一般式(2)において、R4、R5、R6及びR7で表される炭化水素基の炭素数は、1~18であることが好ましく、より好ましくは1~12であり、さらに好ましくは1~8であり、よりさらに好ましくは1~4である。
R4、R5、R6及びR7で表される炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられるが、なかでも脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
【0054】
上記一般式(2)においてR4、R5、R6及びR7で表されるアルキル基は、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。上記アルキル基としては、特に制限されないが、上述したR1、R2及びR3で表されるアルキル基と同様のものが挙げられる。
【0055】
上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。上記置換基としては特に限定されないが、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、エーテル基、シアノ基、チオール基などが挙げられる。好ましくは、水酸基、アルコキシ基であり、より好ましくは、水酸基である。
【0056】
上記一般式(2)においてR4、R5、R6及びR7で表される炭化水素基が有する置換基の数は、1以上であればよく、2以上であってもよく、1~3が好ましい。
【0057】
本開示のアミン化合物について、上記一般式(2)で表される化合物としては、具体的には、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化トリメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウム(コリン)、ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、メチルトリス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩が挙げられる。
【0058】
本開示の半導体用洗浄剤組成物は、pH調整剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本開示の半導体用洗浄剤組成物に含まれるpH調整剤は、半導体用洗浄剤組成物の総量に対し、0.1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.3質量%以上であり、さらに好ましくは0.5質量%以上である。一方、20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。
すなわち、上記pH調整剤の含有量は、半導体用洗浄剤組成物の総量に対し、好ましくは0.1~20質量%であり、より好ましくは0.3~15質量%であり、さらに好ましくは0.5~10質量%である。
【0059】
上記pH調整剤の含有量は、上記重合体100質量部に対して、好ましくは10~2000質量部であり、より好ましくは20~1800質量部であり、更に好ましくは25~1700質量部である。
【0060】
<その他成分>
本開示の半導体用洗浄剤組成物には、上述した成分以外の、その他成分を含んでいてもよい。その他成分としては、特に限定されないが、例えば、色移り防止剤、柔軟剤、香料、可溶化剤、蛍光剤、着色剤、起泡剤、泡安定剤、つや出し剤、殺菌剤、漂白剤、漂白助剤、酵素、染料、分散剤、溶媒等が挙げられる。
【0061】
本開示の半導体用洗浄剤組成物は、任意であるが、分散剤を含むことが好ましい。分散剤としては特に限定されないが、金属残渣の除去性がより一層向上する点で、ノニオン性分散剤を含むことが好ましい。
【0062】
ノニオン性分散剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリジメチルアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレングリコール、ポリグリセリン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルアルカノールアミド等が挙げられる。特に、ノニオン性分散剤として、下記一般式(3)、(4)で示される化合物及びN-ビニルピロリドンに代表されるN-ビニルラクタム系重合体を含むことが好ましく、下記一般式(3)で示される化合物、及び/又は、下記一般式(4)で示される化合物を含むことがより好ましい。
【0063】
【0064】
(式(3)中、R8、R9及びR10は、同一又は異なって、水素原子、又は、アルキル基を表す。R11及びR12は、同一又は異なって、アルキレン基を表す。x及びyは、同一又は異なって、0~50の整数を表す。(x+y)は1以上の整数である。)
【0065】
【0066】
(式(4)中、R13、R14、R15及びR16は、同一又は異なって、水素原子、又は、アルキル基を表す。R17、R18、R19、R20及びR21は、同一又は異なって、アルキレン基、又は、アルキニレン基を表す。x及びyは、同一又は異なって、0~50の整数を表す。(x+y)は1以上の整数である。)
【0067】
上記一般式(3)において、R8、R9及びR10で表されるアルキル基は、直鎖状であっても良く、分岐状であっても良い。上記一般式(3)のアルキル基の炭素数は、1以上であることが好ましく、より好ましくは2以上であり、さらに好ましくは3以上である。一方、20以下であることが好ましく、より好ましくは18以下であり、さらに好ましくは12以下である。すなわち、上記一般式(3)におけるR8、R9及びR10で表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1~20であり、より好ましくは2~18であり、さらに好ましくは3~12である。
【0068】
上記一般式(3)のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、ヘプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、2,2-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2,2,3-トリメチルブチル基、オクチル基、メチルヘプチル基、ジメチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、3-エチルヘキシル基、トリメチルペンチル基、3-エチル-2-メチルペンチル基、2-エチル-3-メチルペンチル基、2,2,3,3-テトラメチルブチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等の直鎖状又は分岐状のアルキル基等が挙げられる。
【0069】
上記一般式(3)において、R11及びR12で表されるアルキレン基は、直鎖状であっても良く、分岐状であってもよい。上記一般式(3)において、R11及びR12で表されるアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、2-プロピレン基、n-ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ネオペンチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、メチルメチレン基、メチルエチレン基、1-メチルペンチレン基、1,4-ジメチルブチレン基等が挙げられる。好ましくは、炭素数2~4のアルキレン基であり、さらに好ましくは、炭素数2~3のアルキレン基である。ウエハ表面への金属残渣の付着を低減する傾向にある。
【0070】
上記一般式(3)において、x及びyは、同一又は異なってもよく、0~50の数であり、好ましくは0~40であり、より好ましくは0~30であり、さらに好ましくは0~25であり、よりさらに好ましくは0~20である。
【0071】
上記一般式(3)において、xは、アルキレンオキシド(R11O)の平均付加モル数を表し、yは、アルキレンオキシド(R12O)の平均付加モル数を表す。x及びyは、いずれのアルキレンオキシドにおいて同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0072】
上記一般式(3)において、xは、0~30の数であることが好ましく、より好ましくは0~25であり、さらに好ましくは0~20である。yは、0~20の数であることが好ましく、より好ましくは0~15であり、さらに好ましくは、0~10である。ここで、x及びyは、1以上の整数であることが好ましい。親水性及び疎水性を制御し易い傾向にある。上記一般式(3)において、分子構造がコンパクトになり高い浸透性が発現しうる点で、R8、R9及びR10のうち2つ以上がアルキル基であることが好ましい。
【0073】
上記一般式(4)において、R13、R14、R15及びR16で表されるアルキル基は、上述したR8、R9及びR10で表されるアルキル基と同様のものが挙げられる。
【0074】
上記一般式(4)のアルキル基の炭素数は、1以上であることが好ましく、より好ましくは2以上である。一方、20以下であることが好ましく、より好ましくは18以下であり、さらに好ましくは12以下である。
【0075】
上記一般式(4)において、R17、R18、R19、R20及びR21で表されるアルキレン基は、上述したR11及びR12で表されるアルキレン基と同様のものが挙げられる。アルキレン基として好ましくは、炭素数が2~4であり、さらに好ましくは、炭素数2~3のアルキレン基である。
【0076】
上記一般式(4)において、R17、R18、R19、R20及びR21で表されるアルキニレン基としては、エチニレン基(-C≡C-)、プロピニレン基(-C≡C-CH2-)、1-ブチニレン基(-C≡C-CH2-CH2-)、2-ブチニレン基(-CH2-C≡C-CH2-)等が挙げられる。なかでも、炭素数2~6のアルキニレン基が好ましく、炭素数2~4のアルキニレン基がより好ましい。
【0077】
上記一般式(4)において、x及びyは、同一又は異なってもよく、0~50の数であり、好ましくは0~40であり、より好ましくは0~30であり、さらに好ましくは0~25であり、よりさらに好ましくは0~20である。
【0078】
上記一般式(4)において、xは、アルキレンオキシド(R17O)及び(R19O)の平均付加モル数を表し、yは、アルキレンオキシド(R18O)及び(R20O)の平均付加モル数を表す。x及びyは、いずれのアルキレンオキシドにおいて同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0079】
上記一般式(4)において、xは、1~30の数であることが好ましく、より好ましくは1~20であり、さらに好ましくは1~18である。yは、0~30の数あることが好ましく、より好ましくは0~20であり、さらに好ましくは、0~10である。ここで、x及びyは、1以上の整数であることが好ましい。
【0080】
本開示の半導体用洗浄剤組成物は、溶媒を含んでいてもよい。上記溶媒としては、水、低級アルコール、エーテル系溶剤、アミド系溶剤、含硫黄系溶剤、ラクトン系溶剤水溶性有機溶剤等が挙げられる。これらの溶媒は、上述した重合溶媒と同じものであってもよい。なかでも、上記溶媒は、水を含むことが好ましい。上記溶媒は、2種以上を含む混合液であってもよい。
【0081】
本開示の半導体用洗浄剤組成物に含まれる溶媒の含有量は、半導体用洗浄剤組成物の総量に対し、好ましくは0~30質量%であり、より好ましくは0~20質量%であり、さらに好ましくは0~10質量%である。
【0082】
本開示の半導体用洗浄剤組成物に含まれる溶媒以外のその他成分は、半導体用洗浄剤組成物の総量に対し、0.001質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.01質量%以上であり、さらに好ましくは0.02質量%以上である。一方、20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下である。すなわち、上記その他成分の含有量は、半導体用洗浄剤組成物の総量に対し、好ましくは0.001~20質量%であり、より好ましくは0.01~10質量%であり、さらに好ましくは0.02~5質量%である。
【0083】
本開示の半導体用洗浄剤組成物に含まれる重合体、pH調整剤、その他成分などの各成分の含有量とは、一又は複数の実施形態において、洗浄工程に使用される、すなわち、洗浄への使用を開始する時点(使用時又は洗浄時という場合もある)での半導体用洗浄剤組成物の各成分の含有量をいう。
【0084】
本開示の半導体用洗浄剤組成物は、分離や析出等を起こして保管安定性を損なわない範囲での量を減らした濃縮物として調製してもよい。半導体用洗浄剤組成物の濃縮タイプは、輸送コストの観点から5倍以上であることが好ましく、保存安定性の観点から100倍以下が好ましい。
【0085】
本開示の半導体用洗浄剤組成物の濃縮物は、使用時に各成分が上述した含有量(すなわち、洗浄時の含有量)になるよう水で希釈して使用することができる。さらに半導体用洗浄剤組成物の濃縮物は、使用時に各成分を別々に添加して使用することもできる。本開示において半導体用洗浄剤組成物の濃縮物の「使用時」又は「洗浄時」とは、半導体用洗浄剤組成物の濃縮物が希釈された状態をいう。
【0086】
本開示の半導体用洗浄剤組成物のpHは、7以上である。半導体用洗浄剤組成物のpHが7以上であると、金属残渣の除去性をより一層向上させることができる。上記pHは、金属残渣の除去性が向上できる点で、より好ましくは8以上であり、さらに好ましくは9以上であり、より更に好ましくは11以上である。一方、14以下であることが好ましく、より好ましくは、13.8以下であり、さらに好ましくは13.6以下である。上記pHは、好ましくは7~14であり、より好ましくは8~13.8であり、さらに好ましくは9~13.6であり、より更に好ましくは11~13.6である。
上記pHは、pHメーターを用いて、23℃で測定することにより求めることができる。
【0087】
[半導体用洗浄剤組成物の製造方法]
本開示の半導体用洗浄剤組成物を製造する方法は、特に限定されず、公知の方法を用いればよく、例えば、上述した各成分を、各種の混合機や分散機等を用いて混合分散する方法が挙げられる。混合分散は、特に限定されず、公知の方法により行えばよい。また、通常行われる他の工程を更に含んでいてもよい。
【0088】
[使用方法]
本開示の半導体用洗浄剤組成物は、半導体製造プロセスにおけるCMP工程後の洗浄工程において使用されることが好ましい。CMP工程後の半導体基板の表面には、金属配線や保護膜、絶縁膜等の研磨屑や有機残渣が残留している。また、CMP工程で用いた化学研磨剤が残留している場合がある。CMP工程後に、このような残渣が存在する基板表面を、本開示の半導体用洗浄剤組成物を用いて洗浄することにより、残渣を良好に除去することができる。
【0089】
上記金属配線、保護膜、絶縁膜としては、特に限定されず、半導体製造プロセスにおいて通常使用される公知の金属配線、保護膜、絶縁膜が挙げられる。
上記化学研磨剤としては、特に限定されず、CeO2、Fe2O3、SnO2、MnO、SiO2等の金属酸化物からなる砥粒のスラリー等、公知のものが挙げられる。
本開示の半導体用洗浄剤組成物は、上述した残渣を良好に除去することができるが、特にCeO2(セリア)の除去に優れる。
【0090】
本開示の半導体用洗浄剤組成物を用いてCMP工程後の基板表面を洗浄する方法としては、特に限定されず、公知の方法で行うことができ、例えば、CMP工程後の基板を半導体用洗浄剤組成物に浸漬して洗浄する方法や、スピン式やスプレー式で洗浄する方法等が挙げられる。
上記半導体用洗浄剤組成物の使用時の温度は、特に限定されないが、例えば、洗浄効率の観点で、20~90℃が好ましく、20~70℃がより好ましく、20~50℃がさらに好ましい。
【実施例】
【0091】
以下に、実施例を示すことにより本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは全て本発明の技術的範囲に包含される。なお、特に断りのない限り、「%」、「wt%」は「質量%」を意味するものとする。
【0092】
<重量平均分子量(Mw)の測定条件1>
装置:Waters Alliance e2695(RI:2414 PDA:2998)
カラム:Asahipak GF-7M HQ×2、Asahipak GF-1G 7B
溶離液:0.1M酢酸ナトリウム水溶液(pH 7.4)
流速:0.5mL/min
温度:40℃
検量線:American Polymer Standards Corporation製 Polyacrylic acid standard
【0093】
<重量平均分子量(Mw)の測定条件2>
装置:東ソー製 HLC-8320GPC
検出器:RI
カラム:東ソー製 TSK-GEL G3000PWXL
カラム温度:35℃
流速:0.5ml/min
検量線:創和科学社製 POLY SODIUM ACRYLATE STANDARD
溶離液:リン酸二水素ナトリウム12水和物/リン酸水素二ナトリウム2水和物(34.5g/46.2g)の混合物を純水にて5000gに希釈した溶液。
【0094】
[重合体の合成]
<合成例1>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量5LのSUS製反応容器に、イオン交換水1785gを仕込み、攪拌しながら沸点還流状態まで昇温した。次いで攪拌下、沸点還流状態の重合反応系中に、80%アクリル酸(以下AA)504g、15%過硫酸ナトリウム(以下NaPS)167gをそれぞれ別々のノズルより滴下した。各溶液の滴下時間は80%AAが180分、15%NaPSが185分、イオン交換水が170分であった。15%NaPS溶液滴下終了後、更に30分間、反応溶液を沸点還流状態に保持(熟成)し、重合を完結させた。このようにして重合体を含む重合体水溶液1を得た。得られた重合体の重量平均分子量は14100(測定条件1)であった。
【0095】
<合成例2>
還流冷却機、攪拌機(パドル翼)、温度計を備えた容量2.5リットルのSUS製セパラブルフラスコに、純水329.0gを仕込み(初期仕込)、攪拌下、沸点まで昇温した。次いで攪拌下、沸点還流状態の重合反応系中に80質量%アクリル酸水溶液(以下「80%AA」と称する)900.0g(すなわち10.0mol)を180分間、15質量%過硫酸ナトリウム水溶液(以下「15%NaPS」と称する)59.2gを195分間、45質量%次亜リン酸ナトリウム水溶液(以下「45%SHP」と称する)21.4gを18分間と更に続いて84.8gを162分間と2段階の供給速度で、それぞれ別々の供給経路を通じて先端ノズルより滴下した。それぞれの成分の滴下は、45%SHP以外は一定の滴下速度で連続的に行った。80%AAの滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を沸点還流状態に保持(熟成)して重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液に純水411.8gを投入して重合体水溶液2を得た。得られた重合体の重量平均分子量は4100(測定条件2)であった。
【0096】
<合成例3>
還流冷却機、攪拌機(パドル翼)、温度計を備えた容量5リットルのSUS製セパラブルフラスコに純水404g、モール塩0.0159gを仕込み、攪拌しながら90℃まで昇温した。
次いで攪拌下、80%AA 1040g、48%NaOH水溶液 48.1g、15%NaPS 144.8g、35%亜硫酸水素ナトリウム(以下SBS)171gをそれぞれ別々のノズルより添加した。
各溶液の滴下時間は80%AAおよび48%NaOH水溶液が180分、15%NaPSおよび35%SBS水溶液が185分であった。15%NaPSの滴下終了後30分熟成し、重合を完結して重合体水溶液3を得た。得られた重合体の重量平均分子量は5700(測定条件1)であった。
【0097】
<合成例4>
還流冷却器、攪拌機および温度計を備えた容量5リットルのSUS製セパラブルフラスコに、イオン交換水622gおよび無水マレイン酸414gを仕込み、攪拌下、さらに48wt%水酸化ナトリウム水溶液(以下、48%NaOHaqと称する)703.6gを徐々に添加した。その後、フラスコ内の水溶液を攪拌しながら常圧下で沸点まで昇温した。次に、攪拌下に、80wt%アクリル酸水溶液(以下、80%AAと称する)469g、35wt%過酸化水素水溶液(以下、35%H2O2と称する)106.6g、15wt%過硫酸ナトリウム水溶液(以下、15%NaPSと称する)131.1gおよびイオン交換水217gを、それぞれ別々のノズルより、80%AAは260分間、15%NaPSおよび35%H2O2は80%AAと同時に滴下を開始して260分間に渡って、イオン交換水は80%AAの滴下開始後150分経過してから、140分間に渡って滴下した。全ての滴下終了後、さらに20分間に渡って反応溶液を沸点還流状態に保持して重合を完結させた。このようにして、アクリル酸-マレイン酸共重合体(塩)を得た。その後、このアクリル酸-マレイン酸共重合体(塩)のpHを48wt%NaOH水溶液で7.5に調整した。得られた重合体の重量平均分子量は5600(測定条件1)であった。
【0098】
<合成例5>
還流冷却機、攪拌機(パドル翼)、温度計を備えた容量5リットルのSUS製セパラブルフラスコにイオン交換水1120gを仕込み、攪拌しながら沸点還流状態まで昇温した。次いで攪拌下、沸点還流状態の重合反応系中に、37%アクリル酸ナトリウム(以下SA)1480g、15%NaPS水溶液65g、イオン交換水157gをそれぞれ別々のノズルより滴下した。各溶液の滴下時間は37%SAが140分、15%NaPS、イオン交換水が145分であった。得られた重合体の重量平均分子量は3000(測定条件2)であった。
【0099】
<合成例6>
還流冷却器、攪拌機および温度計を備えた容量5リットルのSUS製セパラブルフラスコに、イオン交換水381gおよび無水マレイン酸242.6gを仕込み、攪拌下、さらに48wt%水酸化ナトリウム水溶液(以下、48%NaOHaqと称する)408.5gを徐々に添加した。その後、フラスコ内の水溶液を攪拌しながら常圧下で沸点まで昇温した。次に、攪拌下に、80wt%アクリル酸水溶液(以下、80%AAと称する)498g、35wt%過酸化水素水溶液(以下、35%H2O2と称する)122.4g、15wt%過硫酸ナトリウム水溶液(以下、15%NaPSと称する)157.3gおよびイオン交換水250gを、それぞれ別々のノズルより、80%AAおよび35%H2O2は240分間、15%NaPSは80%AAと同時に滴下を開始して250分間に渡って、イオン交換水は80%AAの滴下開始後110分経過してから、160分間にわたって滴下した。全ての滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を沸点還流状態に保持して重合を完結させた。このようにして、アクリル酸-マレイン酸共重合体(塩)を得た。その後、このアクリル酸-マレイン酸共重合体(塩)のpHをNaOH水溶液で8.5に調整した。得られた重合体の重量平均分子量は10700(測定条件1)であった。
【0100】
[実施例1~9、比較例1~2]
表1に示すように、水、重合体、その他添加剤としてノニオン性分散剤を混合し、所定のpHになるようにpH調整剤を添加し、洗浄剤組成物を調製した。なお、ノニオン性分散剤は、洗浄剤組成物の総量100質量%に対して0.25質量%となるように添加した。表1中のpHとなるように、水とpH調整剤を適宜添加し、洗浄剤を調製した。
【0101】
(汚染クーポン作成方法)
九州セミコンダクター社から購入したTEOS膜付ウエハを1.5cm角にカットした。
昭和電工マテリアルより購入したCeO2スラリー(昭和電工マテリアル社製HS0220)を100倍に希釈し、汚染溶液を作成した。カットしたウエハを汚染溶液に1分間浸漬させた。浸漬後、超純水を入れたPFAポットに30秒浸漬し、その後超純水で5分以上すすいだ。
上記ウエハを乾燥させ、汚染クーポンを作成した。
【0102】
(洗浄処理)
実施例毎に調製した洗浄剤組成物30mlをPFA容器に入れ、上述の汚染基板を洗浄剤組成物中に浸漬して、超音波装置(BRANSON社製S8500)を用いて2分間超音波照射(処理条件:出力40KHz)して洗浄を実施した。超音波処理後、超純水で5分間すすぎ洗いを行い、自然乾燥させて洗浄を実施した。
【0103】
(洗浄率算出方法)
洗浄前後のTEOS膜基板の表面分析をX線光電分光機で以下の条件にて行った。
装置:SHIMADZU社製AXIS-NOVA
測定条件/励起源:Al Kα 12mA 12kV、Pass Energy:160eV
Vision2 Processingソフトウエア(KRATOS ANALYTICAL社製)を用いてピーク面積比からCe元素の表面元素比率を定量した。洗浄を実施する前後の基板表面に存在するCe元素の差(%)で洗浄性能を判断した。なお、洗浄率は以下の式に従って算出した。
洗浄率(%)=(洗浄後基板のCe比率-洗浄前基板のCe比率)/洗浄前基板のCe比率×100
また、洗浄率(%)は以下の判断基準に従って洗浄度を判定した。
洗浄率(%)95%超100%以下:◎
90%超95%以下:○
90%以下:×
【0104】
【0105】
表1中の化合物は、以下の通りである。
MEA:モノエタノールアミン
AH212:ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド
ノニオン性分散剤(i):
【0106】
【0107】
(式中、R8:H、R9及びR10はいずれも炭素数1~12の直鎖アルキル基であり、R9とR10の炭素数の合計が11~13、R11:-C2H4-、R12:-CH2CH(CH3)-、x=12、y=3、xとyは平均付加モル数を表す。)を満たす複数の化合物の混合物。
【0108】
表1の結果から、実施例の洗浄剤組成物は、高いセリア粒子の除去性を持つことが明らかとなった。