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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-01-16
(45)【発行日】2026-01-26
(54)【発明の名称】粉末成分を含有する乳化組成物
(51)【国際特許分類】
   A23D 7/00 20060101AFI20260119BHJP
   A23D 9/013 20060101ALI20260119BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20260119BHJP
   A23L 5/42 20160101ALI20260119BHJP
   A23L 27/00 20160101ALI20260119BHJP
   A23L 29/00 20160101ALI20260119BHJP
   A23L 29/206 20160101ALI20260119BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20260119BHJP
【FI】
A23D7/00
A23D9/013
A23L5/00 L
A23L5/42
A23L27/00 C
A23L29/00
A23L29/206
A23L33/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020016982
(22)【出願日】2020-02-04
(65)【公開番号】P2021122217
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-01-20
【審判番号】
【審判請求日】2024-04-30
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度 国立研究開発法人科学技術振興機構 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム 産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000175283
【氏名又は名称】三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 祐也
(72)【発明者】
【氏名】松倉 琢磨
【合議体】
【審判長】天野 宏樹
【審判官】宮久保 博幸
【審判官】加藤 友也
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-521658(JP,A)
【文献】国際公開第2018/62554(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/147158(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/146181(WO,A1)
【文献】特開2007-151480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23D
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)重量平均分子量が0.02×10~1.1×10の低分子ガティガム、(B)油相成分及び水に溶解しない粉末成分、(C)油相成分、及び(D)水を含有し、
前記(A)成分の含有量が、組成物全量に対して、4.0質量%以上であり、添加用の乳化製剤である、乳化組成物。
【請求項2】
前記(B)成分が、0.005~9.9質量%である、請求項1に記載の乳化組成物。
【請求項3】
前記(B)成分が、ポリフェノール類、アスコルビン酸脂肪酸エステル、ステロール類、水不溶性多糖類、不溶性金属塩、無機塩類、及び有機高分子化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含有する、請求項1又は2に記載の乳化組成物。
【請求項4】
前記(C)成分が、油溶性香料、油溶性色素、油溶性生理活性物質、油溶性樹脂及び油性溶媒からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の乳化組成物。
【請求項5】
液体状、半固形状、粉末状、顆粒状、又は錠剤状である、請求項1~4のいずれか一項に記載の乳化組成物。
【請求項6】
(A)重量平均分子量が0.02×10~1.1×10の低分子ガティガム、(B)油相成分及び水に溶解しない粉末成分、(C)油相成分、及び(D)水を含有する混合物を調製する工程、並びに
前記混合物を乳化処理する工程
を含み、
前記(A)成分の含有量が、組成物全量に対して、4.0質量%以上であり、
添加用の乳化製剤である乳化組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末成分を含有する乳化組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乳化組成物の乳化性を向上させるために、これまでに種々の手段が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、ガティガムに比べて高い乳化性を有する低分子ガティガムを含有する乳化組成物が開示されている。特許文献2には、低分子ガティガムに加えて周期表第1族又は第2族に属する元素の塩を含有する乳化組成物が開示されている。さらに、特許文献3には、低分子ガティガムに加えて加工澱粉を含有する乳化組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2018/062554号
【文献】国際公開第2019/107574号
【文献】国際公開第2019/208539号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、乳化組成物の乳化性向上のためのさらなる手段が望まれていた。
【0006】
そこで本発明では、乳化性を向上すべく、乳化粒子の微細化を促進し、また粗大粒子の割合を減らすための新たな手段を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、重量平均分子量が0.02×10~1.1×10の低分子ガティガム、粉末成分、油相成分及び水を含有する乳化組成物では、乳化粒子の微細化が促進され、また粗大粒子の形成が抑制されることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
即ち、本発明は、以下の乳化組成物を提供する。
[1]
(A)重量平均分子量が0.02×10~1.1×10の低分子ガティガム、(B)粉末成分、(C)油相成分、及び(D)水を含有する、乳化組成物。
[2]
(B)粉末成分が、0.005~9.9質量%である、[1]に記載の乳化組成物。
[3]
(B)粉末成分が、ポリフェノール類、アスコルビン酸脂肪酸エステル、ステロール類、水不溶性多糖類、不溶性金属塩、無機塩類、及び有機高分子化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含有する、[1]又は[2]に記載の乳化組成物。
[4]
(C)油相成分が、油溶性香料、油溶性色素、油溶性生理活性物質、油溶性樹脂及び油性溶媒からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含有する、[1]~[3]のいずれか1に記載の乳化組成物。
[5]
液体状、半固形状、粉末状、顆粒状、又は錠剤状である、[1]~[4]のいずれか1に記載の乳化組成物。
【0009】
さらに、本発明は、以下の微粒子組成物を提供する。
[6]
(A)重量平均分子量が0.02×10~1.1×10の低分子ガティガム、(B)粉末成分、及び(C)油相成分を含有し、
前記(A)及び前記(B)成分が、前記(C)成分の外側に存在する、
微粒子組成物。
【0010】
さらに、本発明は、以下の水性組成物を提供する。
[7]
[1]~[5]のいずれか1に記載の乳化組成物又は[6]に記載の微粒子組成物を含有する、水性組成物。
【0011】
また、本発明は、以下の乳化組成物の製造方法を提供する。
[8]
(A)重量平均分子量が0.02×10~1.1×10の低分子ガティガム、(B)粉末成分、(C)油相成分、及び(D)水を含有する混合物を調製する工程、並びに
前記混合物を乳化処理する工程
を含む、乳化組成物の製造方法。
【0012】
さらに、本発明は、以下の剤を提供する。
[9]
(A)重量平均分子量が0.02×10~1.1×10の低分子ガティガム及び(B)粉末成分を含有する、剤。
【0013】
さらに、本発明は、以下の乳化粒子の微細化促進、粗大粒子の形成抑制、又は乳化安定性向上のための方法を提供する。
[10]
(A)重量平均分子量が0.02×10~1.1×10の低分子ガティガム及び(B)粉末成分を含有させることを含む、乳化粒子の微細化促進、粗大粒子の形成抑制、又は乳化安定性向上のための方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明の構成によれば、乳化粒子の粒子径をより小さくし、また粗大粒子の割合を減らすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[乳化組成物]
本発明の乳化組成物は、(A)重量平均分子量が0.02×10~1.1×10の低分子ガティガム、(B)粉末成分、(C)油相成分、及び(D)水を含有する。
【0016】
本発明の乳化組成物は、水中油型(O/W型)であっても、油中水型(W/O型)であってもよいが、好ましくは水中油型である。
【0017】
((A)低分子ガティガム)
本明細書中、「ガティガム」は、ガティノキ(Anogeissus latifolia Wallich)の樹液(分泌液)に由来する多糖類であり、通常、室温、又はそれ以上の温度条件下で、30質量%程度まで水に溶解する水溶性多糖類である。
本明細書中、低分子ガティガムは、ガティガムに包含される。
【0018】
本発明に用いられる(A)成分の低分子ガティガムの重量平均分子量は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、0.02×10~1.1×10であり、好ましくは0.025×10~1×10、より好ましくは0.029×10~0.95×10である。
【0019】
低分子ガティガムの分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量の比)(Mw/Mn)は、好ましくは1.1~13の範囲内、より好ましくは1.1~10の範囲内、更に好ましくは1.1~8の範囲内、より更に好ましくは1.1~6の範囲内、及び特に好ましくは1.1~4の範囲内である。
【0020】
低分子ガティガムの分子量、及びその分布は、以下の方法で測定される。
<分子量、及び分子量分布の測定方法>
分子量、及び分子量分布は、以下の条件のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析で測定される。
検出器:RI
移動相:100mM KSO
流量:1.0ml/min
温度:40℃
カラム:TSKgel GMPWXL 30cm (ガードPWXL)
インジェクション:100μl
プルランスタンダード:Shodex STANDARD P-82
【0021】
本発明に用いられる(A)成分の低分子ガティガムは、その8質量%水溶液(20℃)の粘度が、特に限定されないが、好ましくは4.5~70mPa・s、より好ましくは4.9~60mPa・sである。
ここで、低分子ガティガムの粘度は、100mlスクリュー瓶(内径:3.7cm)に、ガティガム試料の8質量%水溶液(20℃)の80gを入れ、以下の装置、及び条件で測定された粘度である。
<装置、及び条件>
B型粘度計(ブルックフィールド型粘度計):ローターNo.2
回転数:60rpm
測定温度:20℃
【0022】
上記の低分子ガティガムは、ガティガムを水の存在下で低分子化処理して得ることができる。低分子化処理の方法としては、特に限定されないが、例えば、加熱分解処理、酸分解処理、酵素分解処理が挙げられる。
【0023】
本発明に用いられる低分子ガティガムは、具体的には、例えば、WO2018/062554号公報、特開2019-182886号公報、又は特開2019-183144号公報に記載の製造方法によって製造することができる。
【0024】
(A)成分の含有量は、特に限定されないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、乳化組成物の全量に対して、好ましくは、0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、更により好ましくは2質量%以上、特に好ましくは4質量%以上である。
(A)成分の含有量は、特に限定されないが、乳化組成物の全量に対して、好ましくは、25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。
【0025】
((B)粉末成分)
本発明の(B)成分として用いられる粉末成分は、粉末状の固体であって、油相成分及び水に溶解しないものであれば特に限定されない。
ここで、「溶解しない」とは、それぞれの溶媒への20℃での溶解度が10g/L未満(好ましくは5g/L未満、より好ましくは1g/L未満)であることを意味する。
【0026】
粉末成分の形状は、特に限定されず、球状、略球状、立方体状、直方体状、錘状、柱状、不定形状等の種々の形状であり得るが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、球状又は略球状であることが好ましい。
【0027】
粉末成分としては、特に限定されないが、例えば、ポリフェノール類、アスコルビン酸脂肪酸エステル、ステロール類、水不溶性多糖類、不溶性金属塩、無機塩類、及び有機高分子化合物からなる群より選ばれる1種単独又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
【0028】
ポリフェノール類とは、分子内に2個以上のフェノール性水酸基を含む、ポリフェノール骨格を有する天然有機化合物である。このようなポリフェノール類としては、特に限定されないが、フラボノイド類、フェニルプロパノイド類(リグノイド類)(コーヒー酸、リグナン、ネオクロロゲン酸、クリプトクロロゲン酸、イソクロロゲン酸、トリカフェオイルキナ酸、ロスマリン酸等)、スチルベノイド(ピアセタンノール、ピノシルビン、レスベラトロール等)、クルクミン類、エラグ酸、タンニン、テアフラビン類(テアフラビン、テアルビジン等)、キサントフモール、ストリクチニン、フロレチン等、又はこれらの重合体が例示される。本発明に用いられるポリフェノール類は、それぞれの種類に分類されるアグリコンに糖がグリコシド結合した配糖体を包含する。本発明には、これらのポリフェノール類の化合物が1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0029】
本発明に用いられるポリフェノール類は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、配糖体を含むことが好ましい。
【0030】
フラボノイド類とは、2つのベンゼン環(C)を3個の炭素原子(C)でつないだC-C-Cのジフェニルプロパン構造を有する化合物であり、特に限定されないが、例えば、フラボノール類(ケルセチン、ミリセチン、ケンフェロール、ガランギン、ラムネチン等;ミリシトリン、クエルシトリン、イソクエルシトリン、ルチン、キサントラムニン等)、フラバノン類(ナリンゲニン、へスペレチン、フラバノン、フラバノノール、ピノセムブリン、ピノストロビン、リクイリチゲニン、ブチン、サクラネチン、イソサクラネチン等;ナリンギン、ヘスペリジン、リクイリチン、サクラニン、ポンシリン等)、フラボン類(アピゲニン、ルテオリン、フラボン、クリシン、コスモシイン、アカセチン、バイカレイン、ジオスメチン等;アピイン、トリンジン、ホルツネリン、バイカリン、スクテラリン、ジオスミン等)、カテキン類(カテキン、ガロカテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート等)、イソフラボン類(ダイジン、ゲニスチン、グリシチン等;ダイゼイン、ゲニステイン、グリシテイン等)、アントシアニジン類(シアニジン、デルフィニジン、ペラルゴニジン、プロアントシアニジン等;アントシアニン類)、カルコン類、ビフラボン(フクゲチン等)、ギンケチン、ビロベチン、ポリメトキシフラボン等を挙げることができる。なお、フラボノイド類の例示において括弧内の化合物名が「;」で隔てられている場合、「;」の前はアグリコン、「;」の後は配糖体である。
【0031】
本発明に用いられるポリフェノール類は、上記のポリフェノール骨格を有する化合物が2以上重合した重合体であっても、非重合体であってもよいが、製剤の色味を抑える観点から、非重合体が好ましい。重合体のポリフェノール類としては、特に限定されないが、例えばタンニンが挙げられる。
【0032】
本発明に用いられるポリフェノール類は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくはフラボノイド類であり、より好ましくはフラボノール類、フラバノン類、フラボン類、カテキン類、イソフラボン類、アントシアニジン類及びカルコン類より選ばれる1種又は2種以上の化合物であり、更に好ましくはフラボノール類、フラバノン類、及びフラボン類より選ばれる1種又は2種以上の化合物であり、更により好ましくはミリシトリン、ナリンギン、ヘスペリジン、及びアピインからなる群より選ばれる1種又は2種以上であり、特に好ましくはミリシトリンである。
【0033】
本発明に用いられるポリフェノール類の由来としては、特に限定されず、例えば植物抽出物又は植物搾汁液として、例えば、チャ(緑茶葉、紅茶葉、ウーロン茶葉等を含む)、甜茶、マテ、コーヒー豆、ヤマモモ、カカオ、ブルーベリー、クランベリー、赤ワイン、ローズマリー、杜仲葉、ラズベリー、大豆、リンゴ、ホップ、ブドウ、ザクロ、エンジュ、レッドクローバ、カシス、ライチ、キウイ、柑橘類、アムラ、マツ、月見草、グアバ、ミント、ユーカリ、黒米、黒大豆、ピーナツ、ソバ、さとうきび、フキ、赤ショウガ、バラ、シソ、大麦、オリーブ、アカショウマ、アオイ、カンゾウ、クローブ、セイヨウワサビ、セージ、セリ、ドクダミ、ナタネ、ヒマワリ、ピメンタ、イチョウ、コショウ、ホウセンカ、モリンガ、ユーカリ葉、リンドウ、サツマイモ等の抽出物が挙げられる。
【0034】
本明細書において、ポリフェノール類の総含有量は、(+)-カテキンを標準物質としてFolin-Ciocalteu法を用いて得られる(+)-カテキン換算値で表される。Folin-Ciocalteu法は、「Determination of substances characteristic of green and black tea -Part 1: Content of total polyphenols in tea - Colorimetric method using Folin-Ciocalteu reagent」(ISO 14502-1:2005) の方法に基づく。
【0035】
アスコルビン酸脂肪酸エステルは、特に限定されないが、その構成脂肪酸が炭素数12~18の脂肪酸であることが好ましく、パルミチン酸又はステアリン酸がより好ましい。本発明には、これらのアスコルビン酸脂肪酸エステルが1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0036】
ステロール類としては、特に限定されないが、例えば、ステロール(コレステロール、ジヒドロコレステロール、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、デスモステロール等の動物由来のステロール;スチグマステロール、シトステロール、カンペステロール、ブラシカステロール、及びこれらの混合物であるフィトステロール等の植物由来のステロール;エルゴステロール等の微生物由来のステロール);ステロール類縁体(γ-オリザノール、ウルソール酸、グリチルレチン酸等);並びにこれらのエステル化物からなる群より選ばれる1種単独又は2種以上の組み合わせが挙げられるが、中でもフィトステロールが好ましく、β-シトステロールがより好ましい。
【0037】
水不溶性多糖類としては、特に限定されないが、例えば、セルロース類(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等)、発酵セルロース、微結晶セルロース(MCC)、微小繊維状セルロース、ヘミセルロース、植物由来食物繊維(果実由来食物繊維(シトラスファイバー、アップルファイバー、グレープシードファイバー等)、小麦ファイバー、サトウキビファイバー、オート麦ファイバー、ビートファイバー、エンドウ豆ファイバー等)、キチン、水不溶性グルカンからなる群より選ばれる1種単独又は2種以上の粉末の組み合わせを挙げることができる。
【0038】
不溶性金属塩又は無機塩類としては、特に限定されないが、例えば、カルシウム塩(リン酸一水素カルシウム、リン酸三カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、貝殻焼成カルシウム、骨焼成カルシウム、サンゴ未焼成カルシウム、卵殻焼成カルシウム、酸化カルシウム等)、マグネシウム塩(炭酸マグネシウム、リン酸三マグネシウム、リン酸一水素マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム等)、鉄塩(ピロリン酸第一鉄、三酸化二鉄(三二酸化鉄)等)、食用色素とのアルミニウムレーキ(食用赤色3号、食用赤色40号、食用黄色4号、食用黄色5号等のアルミニウムレーキ)、二酸化ケイ素(シリカ、微粒二酸化ケイ素)、二酸化チタン、タルク等の食品に用いられる成分の粉末が挙げられる。
また、不溶性金属塩又は無機塩類としては、シリカ(疎水性シリカ)、カオリン、雲母、バーミキュライト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、フッ化アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等)、無機赤色系顔料(例えば、チタン酸鉄等)、無機紫色系顔料(例えば、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等)、無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等)、無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等)、パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス等)、金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等)、ジルコニウム、バリウム化合物、アルミニウムレーキ、ゲルマニウム、ホウ素化合物(ホウ砂、ホウ酸等)からなる群より選ばれる成分の粉末を用いることもできる。
本発明にはこれらの不溶性金属塩又は無機塩類の粉末を、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、本発明に用いられる不溶性金属塩又は無機塩類としては、リン酸三カルシウム、酸化マグネシウム及び粉末疎水性シリカからなる群より選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
【0039】
有機高分子化合物としては、特に限定されないが、例えば、ポリアミド樹脂(ナイロン)、ポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリ四弗化エチレン、シリコーン樹脂(ポリメチルシルセスキオキサン等)からなる群より選ばれる粉末が挙げられる。本発明には、これらの有機高分子化合物の粉末を、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、本発明に用いられる有機高分子化合物としては、ポリスチレンが好ましい。
【0040】
(B)成分の含有量は、特に限定されないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、乳化組成物の全量に対して、好ましくは、0.005質量%以上である。
また、(B)成分の含有量は、特に限定されないが、乳化組成物の全量に対して、例えば、9.9質量%以下、5質量%以下、2質量%以下、1質量%以下、0.5質量%以下、0.2質量%以下、又は0.1質量%以下である。
【0041】
(B)成分である粉末成分のD50粒子径は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは0.01~1.0μm、より好ましくは0.03~0.8μm、更に好ましくは0.04~0.8μm、特に好ましくは0.05~0.6μmである。
【0042】
本明細書において、粉末成分のD50粒子径は、粉末成分が分散可能な溶媒に、粉末成分を測定可能な濃度(例えば、溶媒100mL当たり粉末成分1g)まで懸濁希釈し、ボルテックスを用いて十分均一に分散させたものを、25℃においてレーザー回折式粒度分布計によって測定して得られる粒度分布から求められる。D50粒子径は、粒子の体積基準の頻度の累積が50%となる粒子径を表す。なお溶媒には、特に分散性に問題がない限り、水を用いるものとする。
【0043】
((C)油相成分)
本明細書中、「油相成分」とは、水への20℃での溶解度が1g/L未満(好ましくは0.5g/L未満)であり、液体のものを指す。油相成分は、乳化組成物の疎水性の液相(油相)を形成する。
【0044】
油相成分は、特に限定されないが、例えば、油溶性香料、油溶性色素、油溶性生理活性物質、油溶性樹脂及び油性溶媒からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含有する。
【0045】
本明細書中、「油溶性」は、n-ヘキサン、及び酢酸エチルの一方又は双方に対する20℃での溶解度が、10g/L以上(好ましくは50g/L)である性質を意味することができる。
【0046】
油溶性香料(脂溶性香料を含む。以下、同じ。)は、香気成分を含有する油溶性又は脂溶性の物質であればよく、その限りにおいて制限されない。好ましくは、飲食品に配合可能な可食性香料であるか、又は化粧料として人体に適用可能な香料である。
【0047】
油溶性香料の例としては、(1)動物性又は植物性の天然原料から、不揮発性溶剤による抽出、揮発性溶剤による抽出、超臨界抽出などの方法により得られる抽出物;(2)水蒸気蒸留又は圧搾法などにより得られる精油又は回収フレーバー等の天然香料;(3)化学的手法で合成された合成香料;及び(4)これらの香料を油脂又は溶媒に添加又は溶解させたものである香料ベースを挙げることができる。
前記「天然香料」の例としては、アブソリュート、エキストラクト、及びオレオレジン等の抽出物;コールドプレス等の精油;及びチンキと呼ばれるアルコール抽出物などが挙げられる。
【0048】
前記香料の具体例としては、(1)オレンジ油、レモン油、グレープフルーツ油、ライム油、及びマンダリン油等の柑橘系精油類;(2)ラベンダー油等の花精油又はアブソリュート類;ペパーミント油、スペアミント油、及びシナモン油等の精油類;(3)オールスパイス、アニスシード、バジル、ローレル、カルダモン、セロリ、クローブ、ガーリック、ジンジャー、マスタード、オニオン、パプリカ、パセリ、及びブラックペパー等のスパイス類の、精油又はオレオレジン類;リモネン、リナロール、ゲラニオール、メントール、オイゲノール、バニリン、ネロール、シトロネロール、シトラール、シンナミックアルデヒド、アネトール、ペリラアルデヒド、γ-ウンデカラクトン等の合成香料類;(4)コーヒー、カカオ、バニラ、及びローストピーナッツ等の豆由来の抽出油;(5)紅茶、緑茶、及びウーロン茶等のエキストラクト類;並びにその他合成香料化合物を挙げることができる。
これらの香料は1種単独で使用することもできるが、通常は2種以上を任意に組み合わせて調合香料として用いられる。
本明細書中、「香料」は、単一化合物からなる香料のみならず、調合香料をも含む概念として、定義される。
【0049】
油溶性色素(脂溶性色素を含む。以下、同じ。)は、着色成分を含有する油溶性又は脂溶性の物質であればよく、その限りにおいて制限されない。好ましくは、飲食品に配合可能な可食性色素であるか、又は化粧料として人体に適用可能な色素である。
【0050】
油溶性色素としては、パプリカ色素、アナトー色素(ノルビキシン、ビキシン等)、トマト色素、マリーゴールド色素、ウコン色素、ヘマトコッカス藻色素、デュナリエラカロチン、ニンジンカロチン、パーム油カロチン、α-カロチン、β-カロチン、アスタキサンチン、カンタキサンチン、リコピン、ルテイン、アポカロテナール、クルクミン、フコキサンチン、クリプトキサンチン、ゼアキサンチン、カプサンチン、カプソルビン、ノルビキシン、ビキシン、シフォナキサンチン、及びクロロフィル等を挙げることができる。これらの油溶性色素は、それぞれ単独で、又は2種以上を任意に組み合わせて用いることができる。
【0051】
油溶性生理活性物質(脂溶性生理活性物質を含む。以下、同じ。)は、生体に有用な油溶性又は脂溶性の物質であればよく、その限りにおいて制限されない。好ましくは、飲食品に配合可能な可食性物質であるか、又は化粧料として人体に適用可能な物質である。
【0052】
油溶性生理活性物質としては、(1)油溶性薬剤;(2)肝油、ビタミンA(例:レチノール)、ビタミンA油、ビタミンD(例:エルゴカルシフェロール、及びコレカルシフェロール)、ビタミンB酪酸エステル、アスコルビン酸脂肪酸エステル、ビタミンE(例:トコフェロール、及びトコトリエノール)、及びビタミンK(例:フィロキノン、及びメナキノン)等の脂溶性ビタミン類;(3)リモネン、リナロール、ネロール、シトロネロール、ゲラニオール、シトラール、l-メントール、オイゲノール、シンナミックアルデヒド、アネトール、ペリラアルデヒド、バニリン、及びγ-ウンデカラクトン等の植物精油類;(4)レスベラトロール、油溶性ポリフェノール、グリコシルセラミド、セサミン、ホスファチジルセリン、コエンザイムQ10、ユビキノール、及びα-リポ酸;(5)α-リノレン酸、エイコサペンタエン酸、及びドコサヘキサエン酸等のω-3系脂肪酸;(6)リノール酸、及びγ-リノレン酸等のω-6系脂肪酸;並びに(7)植物ステロール、及び動物ステロール等のステロイド等が挙げられる。中でも好ましい例は、脂溶性ビタミン;コエンザイムQ10;α-リポ酸;並びにα-リノレン酸、エイコサペンタエン酸、及びドコサヘキサエン酸等のΩ-3系脂肪酸;を包含する。
これらの油溶性生理活性物質は、それぞれ単独で、又は2種以上を任意に組み合わせて用いることができる。
【0053】
油溶性樹脂としては、特に限定されないが、エレミ樹脂、マスティック樹脂ロジン、ダンマル樹脂、エステルガム等が挙げられる。
【0054】
油性溶媒は、前記油溶性樹脂の溶媒として使用できるもの、具体的には前記油溶性樹脂と相溶可能であることが好ましい。
【0055】
油性溶媒は、好ましくは、飲食品に配合可能な可食性物質であるか、又は化粧料として人体に適用可能な物質である。
本明細書中、用語「油脂」は、技術常識に基づき通常の意味に理解でき、及び用語「油」及び用語「脂」は、文脈に従って、重複的若しくは一体的に、相互互換的に、又は補完的に、解釈され得る。「油脂」には、(1)狭義の油脂である、トリアシルグリセロール;(2)前記トリアシルグリセロール(1)と類似する性質を有し、及び一般に油と称される物質(例:ワックスエステル);並びに(3)これらを主成分として含有し、及び一般に油脂と称される物質を包含する。
本明細書中、油性溶媒としての「油脂」は、好ましくは、50℃(好ましくは20℃)において液体である油脂である。
【0056】
かかる油性溶媒としては、(1)植物性油脂類;(2)動物性油脂類;(3)ショ糖酢酸イソ酪酸エステル(SAIB)、グリセリン脂肪酸エステル、及びトリグリセリド[例:中鎖トリグリセリド(MCT)]などが挙げられる。当該例示は、重複し得る。
これらはそれぞれ単独で、又は2種以上を任意に組み合わせて用いることができる。
中でも本発明に用いられる油性溶媒としては、好ましくは、グリセリン脂肪酸エステル、トリグリセリド、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、及び植物性油脂類からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含有し、より好ましくは、グリセリン脂肪酸エステル及びトリグリセリド(より好ましくは中鎖トリグリセリド)からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含有する。
【0057】
植物性油脂類には、植物に由来する油脂であれば特に限定されず、例えば、菜種油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ホホバ油、ヤシ油、サフラワー油、コーン油、米油、ゴマ油、アマニ油、綿実油、及びシソ油等のこれらの油脂を精製したものや、水素添加やエステル交換等で加工したもの、及びこれらを乳化剤や粉末基材などで加工した液状や粉末状の乳化物、例えば、植物性脂肪コーヒーホワイトナー、植物性脂肪ホイップクリーム、植物性脂肪クリーム等も含まれる。
【0058】
動物性油脂類としては、動物に由来する油脂であれば特に制限されず、例えば、ウシ、ヤギ等の哺乳動物から採取される乳成分に含まれる乳脂肪を好適に使用できる。乳脂肪を含有するものとしては、例えば、生乳、牛乳、山羊乳、濃縮乳、加糖練乳、無糖練乳、全脂粉乳、クリーム、発酵乳、バター、加工乳、チーズ等が挙げられる。動物性油脂類には、さらに牛脂、豚脂(ラード)、魚油等が包含される。動物性油脂類には、動物性油脂をアミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ等の酵素で改質したものが包含される。
【0059】
中鎖トリグリセリド(MCT)とは、炭素数6~12程度、好ましくは炭素数6~10、より好ましくは炭素数8~10の中鎖脂肪酸からなるトリアシルグリセロールをいう。中鎖トリグリセリド(MCT)として、一般に市販されているものを制限なく使用することができる。
その具体例は、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、カプリル酸、及びカプリン酸混合トリグリセリド等、並びにこれらの混合物を包含する。
【0060】
前記グリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、平均重合度3~10のポリグリセリンに、炭素数2~10の飽和脂肪酸の5~8分子がエステル結合している、ポリグリセリン脂肪酸エステルを挙げることができる。
当該グリセリン脂肪酸エステルにおける、ポリグリセリンの好ましい平均重合度は3~6であることができる。
前記飽和脂肪酸は、特に限定されないが、好ましくは炭素数6~10の飽和脂肪酸、より好ましくは炭素数8~10の飽和脂肪酸である。
前記グリセリン脂肪酸エステルは、1種単独、又は2種以上の混合物であることができる。
【0061】
当該グリセリン脂肪酸エステルとしては、一般に市販されているものを制限なく使用することができ、例えば日清オイリオグループ社製の「サラコスHG-8」などを例示することができる。
【0062】
(C)成分の含有量は、特に限定されないが、乳化組成物の全量に対して、その上限は、例えば、90質量%、80質量%、70質量%、60質量%、50質量%、40質量%、30質量%、20質量%、又は10質量%であることができ;その下限は、1質量%、10質量%、20質量%、30質量%、40質量%、50質量%、60質量%、70質量%、80質量%、又は90質量%であることができ;及び例えば1~99質量%の範囲内、又は1~90質量%の範囲内であることができる。
【0063】
((D)水)
本発明の乳化組成物は、水を含有する。当該水は、乳化組成物の水相を構成する水(純水、イオン交換水、水道水を含む)、又は水溶液であり得る。
【0064】
(各成分の比)
本発明において、(A)成分1質量部に対する(B)成分の含有量は、好ましくは0.0001~100質量部、より好ましくは0.0002~1質量部、更に好ましくは0.0003~0.025質量部である。
【0065】
(その他成分)
本発明の乳化組成物には、必要に応じて、レシチンを添加することもできる。レシチンは油相成分に混合して用いられることが好ましい。レシチンの添加によって、本発明の効果をより向上させることができる。
【0066】
レシチンは、リン脂質を主成分として含有する脂溶性成分である。
当該レシチンの由来は、特に制限されず、当該レシチンは、油糧種子(例:大豆、菜種、及びヒマワリ)等の植物由来のレシチンであってもよく、又は卵黄などの動物由来のレシチンであってもよい。本発明で用いることができるレシチンは、好ましくは、飲食品に添加可能な可食性レシチンであるか、又は化粧料として人体に適用可能なレシチンである。
本発明で用いることができるレシチンは、分別レシチン、酵素分解レシチン、及び酵素処理レシチン等の加工レシチンを包含する。
【0067】
当該加工レシチン等のレシチンは、商業的に入手することができる。その一例として、辻製油株式会社製のSLP-ホワイト(商品名)を挙げることができる。
【0068】
当該レシチンは、好ましくは、(C)油相成分の100質量%に対して、0.5~50質量%、好ましくは2~30質量%、より好ましくは4~20質量%の割合で使用される。
当該レシチンは、好ましくは、前記乳化組成物の全量に対して、0.01~10質量%、好ましくは0.05~5質量%、及びより好ましくは0.1~2質量%の割合で含有される。
【0069】
また、本発明の乳化組成物には、水溶性素材を含有させることができる。水溶性素材の例は、特に限定されないが、例えば水溶性のビタミン類(例:ビタミンC)、増粘多糖類、抗酸化剤、キレート剤、pH調整剤、賦形剤(例:デキストリン)、及びアルコールを包含する。水溶性素材は水に添加されることが好ましい。
【0070】
前記アルコールの例は、特に限定されないが、例えばグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール(D-ソルビトール)、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、キシロース、グルコース、ラクトース、マンノース、オリゴトース、果糖ブドウ糖液糖、及びシュクロース等の多価アルコールが挙げられる。中でも多価アルコールは、本発明の乳化組成物の香味を良好とし、保存性を高める観点から好ましい。
当該水溶性素材は、1種、又は2種以上の組み合わせであることができる。
【0071】
本発明の乳化組成物の多価アルコールの含有量は、特に限定されず、乳化組成物の形態に応じて適宜調整され得る。例えば、食品用乳化製剤の形態では、多価アルコールの総含有量は、乳化組成物の全量に対して、好ましくは1~99質量%、より好ましくは3~80質量%、更に好ましくは5~60質量%である。
また、多価アルコールとしてグリセリンを用いる場合、グリセリンの含有量は本発明の乳化組成物の全量に対して、特に限定されないが、例えば5~80質量%、好ましくは10~70質量%、より好ましくは15~60質量%、更に好ましくは20~55質量%である。
【0072】
本発明の乳化組成物には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、(A)~(D)成分、レシチン及び多価アルコール以外に、栄養成分(アミノ酸類、ビタミン類、ミネラル等);アルコール;酒類;塩類;呈味成分(塩味、うま味等を含む);果汁(濃縮物を含む);果肉;野菜;野菜汁(濃縮物を含む);ピューレ;エキス;甘味料(果糖ぶどう糖液糖、グルコース、スクロース、フルクトース、ガラクトース、マルトース、マンノース、ラクトース、ハチミツ、水飴等);糖アルコール(ソルビトール、キシリトール、マルチトール、還元パラチノース、ラクチトール等);高甘味度甘味料(スクラロース、アセスルファムK、アスパルテーム、ネオテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム、ソーマチン、ステビア、グリチルリチン、モネリン、アリテーム、グリチルリチン酸二ナトリウム等);苦味料(イソ-α酸、ローホップ、ヘキサホップ、テトラホップ等);酸味料;香料;着色料(ベニバナ黄色素、カラメル色素、クチナシ色素、果汁色素、野菜色素、合成色素等);食品添加物(食物繊維、賦形剤、pH調整剤、保存料、酸化防止剤(ビタミンC、ビタミンE、抽出トコフェロール等)、増粘剤、安定化剤、糊料等);医薬品、医薬部外品又は化粧品の有効成分又は添加剤、等を1種以上含有することができる。
【0073】
(物性)
本明細書において、乳化組成物のD50粒子径は、25℃において、レーザー回折式粒度分布計によって測定される乳化組成物の粒度分布において、粒子の体積基準の頻度の累積が50%となる粒子径を表す。乳化組成物がそのままでは粒度分布測定に適さない場合は、溶媒によって希釈して、均一に分散させて用いる。例えば、乳化物を10質量%含有するように溶媒で希釈を行い、ボルテックスで十分に懸濁してから粒度分布の測定を行う。なお、本発明の乳化組成物が、水中油型の乳化組成物である場合、溶媒には水を用いるものとする。
【0074】
本明細書において、特定粒子径以上の粒子の含有率とは、25℃において、乳化組成物の粒度分布をレーザー回折式粒度分布計によって測定される、特定粒子径以上の粒子の体積基準の頻度の累積を表す。乳化組成物がそのままでは粒度分布計での測定に適さない濃度である場合は、溶媒によって希釈を行う。なお、発明の乳化組成物が、水中油型の乳化組成物である場合、溶媒には水を用いるものとする。
【0075】
本発明の乳化組成物の粗大粒子(粒子径1.3μm以上の粒子)の含有率は、好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下、更に好ましくは1%以下、更により好ましくは0.5%以下である。
【0076】
本発明の乳化組成物の粒子径0.699μm以上の粒子の含有率は、好ましくは5%以下、より好ましくは4%以下、更に好ましくは3%以下、更により好ましくは2%以下である。
【0077】
(用途)
本発明の乳化組成物は、特に限定されないが、添加用の乳化製剤として、着色(濁り、曇りの付与を含む)、着香、栄養付与若しくは強化、又は風味付与若しくは改変等の用途に適用することができる。
【0078】
本発明の乳化組成物は、飲食品(飲料及び食品)、香粧品、医薬品、医薬部外品、日用品等の製造に用いることができる。中でも飲食品又は化粧品の製造に用いられることが好ましく、粗大粒子が美観、嗜好性及び安定性に与える影響を低減する観点から、飲料の製造に用いられることがより好ましい。
【0079】
本発明の乳化組成物を用いた飲料の製造には、工業的な飲料製造の他に、サーバーやカップベンダー(カップ式自動販売機)によって、あるいは消費者又は飲食品の提供者によって、本発明の乳化組成物が水、シロップ、炭酸水、アルコール類等又はこれらの混合物により希釈することが含まれる。
【0080】
本発明において、食品としては、特に限定されず、例えば、ゼリー、プリン、ババロア、ケーキ、クッキー、マカロン等のパティスリー;アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓等の冷菓;ヨーグルト、クリーム、バター、バターオイル、チーズ、濃縮ホエイ、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、たんぱく質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、調製液状乳等の乳製品;調理食品(シチュー、パスタクリームコロッケ等);ソース、ドレッシング等の調味料等を挙げることができる。
【0081】
本発明において、飲料は、特に限定されず、例えば、清涼飲料、アルコール飲料、液剤、ドリンク剤等が挙げられる。
【0082】
本明細書において、清涼飲料とは、特に限定されないが、例えば茶系飲料(緑茶、紅茶、烏龍茶、ほうじ茶、杜仲茶、麦茶、プーアール茶、玄米茶、ジャスミン茶、そば茶、雑穀茶、ルイボスティー、マテ茶等)、コーヒー飲料、果汁飲料、野菜飲料、野菜入り混合果汁飲料、果肉飲料、炭酸飲料、麦芽飲料、乳酸菌飲料、スポーツ飲料、ゼリー飲料、ココア飲料、チョコドリンク、乳性飲料、エネルギー飲料、健康飲料(薬系ドリンク、健康サポート飲料、機能性清涼飲料、スポーツドリンク、ビネガードリンク、麦芽ドリンク等)、植物性飲料(米、豆乳、アーモンドを主原料とする穀物飲料等)、甘酒、しるこ、スープ飲料、粉末スープ飲料等の、アルコール度数1度未満の飲料を指す。
【0083】
本明細書において、アルコール飲料は、飲料中のアルコール度数が1度以上の飲料であり、例えば、酒税法上の「酒」を指すアルコール飲料が挙げられる。具体的には、清酒類(清酒、合成清酒)、焼酎、ビール、果実酒類(果実酒、梅酒等の甘味果実酒)、ウイスキー類(ウイスキー、ブランデー)、スピリッツ類(スピリッツ)、リキュール類、発泡酒、その他の醸造酒(マッコリ等)、雑酒(粉末酒、その他の雑酒)等を挙げることができる。
【0084】
本発明において、香粧品としては、特に限定されないが、例えば、香水等のフレグランス製品、基礎化粧品(洗顔クリーム、バニシングクリーム、クレンジングクリーム、コールドクリーム、マッサージクリーム、乳液、化粧水、美容液、パック、メイク落とし等)、仕上げ化粧品(ファンデーション、タルカムパウダー、口紅、リップクリーム、頬紅、アイライナー、マスカラ、アイシャドウ、眉墨、アイパック、ネイルエナメル、エナメルリムバー等)、頭髪化粧品(ポマード、ブリランチン、セットローション、ヘアーステック、ヘアーソリッド、ヘアーオイル、ヘアートリートメント、ヘアークリーム、ヘアートニック、ヘアーリキッド、ヘアースプレー、ヘアワックス、バンドリン、養毛料、染毛料等)、日焼け化粧品(サンタン製品、サンスクリーン製品等)、ハンドクリーム、オーラルケア用品(洗口液、歯磨き等);ボディケア用品(固形石鹸、ハンドソープ、ボディソープ、シャンプー、リンス、コンディショナー等)等が挙げられる。
【0085】
本発明において、医薬品としては、特に限定されないが、例えば、錠剤(たとえば、糖衣錠)、顆粒剤、液剤、カプセル剤、トローチ剤、及びうがい薬等の経口医薬品、ハップ剤、軟膏剤等の皮膚外用剤等が挙げられる。
【0086】
本発明において、医薬部外品としては、特に限定されないが、例えば、口中清涼剤、腋臭防止剤、てんか粉、育毛剤(養毛剤)、除毛剤、染毛剤(染毛、脱色又は脱染に用いるものを含む)、パーマネント・ウェーブ用剤、衛生綿類(生理処理用ナプキン、脱脂綿、ガーゼ等)、浴用剤、薬用化粧品(シャンプー、リンス、化粧水、クリーム、乳液、ハンドクリーム、化粧用油、ひげそり用剤、日やけ止め剤、パック、薬用せっけん等)、薬用歯磨き類(洗口剤等を含む)、忌避剤、殺虫剤、殺そ剤、ソフトコンタクトレンズ用消毒剤、のど清涼剤、健胃清涼剤、ビタミン剤、カルシウム剤、ビタミン含有保健剤等が挙げられる。
【0087】
本発明において、日用品としては、特に限定されないが、例えば、アロマ用品(芳香剤、消臭剤、フレグランスオイル等);衣類用洗剤、台所用洗剤、トイレ用洗剤、浴室用洗剤、柔軟剤、衣類仕上げ剤等の洗剤類;ワックス類;クレンザー類;;入浴剤;オーラルケア用品(歯ブラシ、歯間清掃具等);ペーパー類(ティッシュペーパー、トイレットペーパー、ウェットティッシュ、紙おむつ等);その他匂い付きグッズ、等が挙げられる。
【0088】
(形態)
本発明の乳化組成物は、通常、液体状(溶液、乳化液、分散液を含む)又は半固形状(ペースト状やクリーム状を含む)の形状を有する。また本発明の乳化組成物を一旦、水性溶媒に分散又は溶解した後に、水性溶媒を蒸留又は乾燥等の定法に従って、減少又は除去することによって調製されるものを挙げることができる。このような方法により調製される乳化組成物は、ペースト状などの半固形状、又は粉末状や顆粒状などの固形状でありうる。
【0089】
さらに、本発明の乳化組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、ソフトカプセル、ハードカプセル等のカプセルに封入されていてもよい。あるいは、本発明の乳化組成物は、錠剤状のものであってもよい。そのような錠剤状の乳化組成物は、上記の固形状の乳化組成物をそのまま又は賦形剤を添加した後で、圧縮して得られる。
【0090】
[乳化組成物の製造方法]
本発明の乳化組成物の製造方法は、(A)重量平均分子量が0.02×10~1.1×10の低分子ガティガム、(B)粉末成分、(C)油相成分、及び(D)水を含有する混合物を調製する工程、並びに前記混合物を乳化処理する工程を含む。
【0091】
(A)~(D)成分の例及び乳化組成物全量に対する含有量は、上記の[乳化組成物]の項に記載したものと同じである。
【0092】
(混合物を調製する工程)
(A)~(D)成分を含有する混合物を調製する工程において、各成分の混合の順序は任意であることができる。
(A)~(D)成分を含有する混合物を調製する工程は、低分子ガティガム及び水を含有する混合物を準備する工程を含むことが好ましい。
(A)~(D)成分を含有する混合物を調製する工程は、粉末成分及び油相成分を含有する混合物を準備する工程を含むことが好ましい。
【0093】
(乳化処理)
乳化処理は、公知又は慣用の混合方法を採用して実施すればよい。その例は、例えば、ホモジナイザー(例:高圧ホモジナイザー(ゴーリン式等)、ホモディスパー、ホモミキサー、ポリトロン式撹拌機、コロイドミル、ナノマイザー、マイクロフルイタイザー等)、プロペラ付撹拌機、又はパドル式撹拌機等の混合機を使用する方法を包含する。
【0094】
乳化処理の条件は特に制限されないが、一例として、高圧ホモジナイザー、ナノマイザー、マイクロフルイタイザー等を用いる場合の好ましい圧力条件(圧力)は5MPa以上であり、より好ましくは10MPa以上、更に好ましくは15MPa以上である。圧力の上限は特に制限されないが、例えば、200MPaである。
【0095】
また、プロペラ付撹拌機、ホモミキサー、ホモディスパー等を用いる場合の好ましい回転条件(回転数)は500rpm以上であり、より好ましくは800rpm以上、更に好ましくは2000rpm以上、更により好ましくは5000rpm以上である。回転数の上限は特に制限されないが、例えば12000rpmである。
【0096】
(その他工程)
本発明の乳化組成物の製造工程には、製造する組成物の形態に応じて、さらに水による希釈工程、加熱殺菌工程、乾燥工程(噴霧乾燥法、凍結乾燥法、共沸溶媒の使用、及び水除去剤の使用等の慣用の水除去方法等)、カプセル充填工程、圧縮工程、容器充填工程等を含んでいてもよい。
【0097】
[微粒子組成物]
本発明の微粒子組成物は、(A)重量平均分子量が0.02×10~1.1×10の低分子ガティガム、(B)粉末成分、及び(C)油相成分を含有し、
前記(A)及び前記(B)成分が、前記(C)成分の外側に存在する。
即ち、本発明の微粒子組成物は、少なくとも(C)成分が内相、少なくとも(A)成分及び(B)成分が外相を構成する。
【0098】
(A)~(C)成分は、上記の[乳化組成物]の項に記載したものと同じである。
【0099】
本発明の微粒子組成物において、(A)成分及び(B)成分を含有する外相が、(C)成分を被覆することが好ましい。
【0100】
本発明の微粒子組成物は、上記の本発明の乳化組成物から水を除去した組成物であり得る。
水の除去には、凍結乾燥、スプレードライ等の慣用の方法を用いることができる。
【0101】
当該微粒子組成物の詳細は、上記の本発明の乳化組成物の説明及び技術常識に基づいて理解することができる。
[水性組成物]
【0102】
本発明の水性組成物は、上記の本発明の乳化組成物、又は上記の本発明の微粒子組成物を含有する。
水性組成物としては、特に限定されないが、例えば、飲食品、香粧品、医薬品、医薬部外品、日用品、又はこれらの半製品若しくは中間製品が挙げられる。これらの具体例は、上記[乳化組成物]項の用途の項に記載したものが挙げられる。
【0103】
本発明の水性組成物における、本発明の乳化組成物の含有量は、その用途、形態等によって適宜設定され得るが、例えば、0.001質量%以上、0.01質量%以上であり、また5質量%以下、1質量%以下とすることができる。
【0104】
[低分子ガティガム及び粉末成分を含有する剤]
本発明の剤は、(A)重量平均分子量が0.02×10~1.1×10の低分子ガティガム及び(B)粉末成分を含有する。
【0105】
((A)成分、(B)成分)
(A)成分の低分子ガティガム及び(B)成分の粉末成分の具体例は上記の[乳化組成物]の項に記載したものと同じである。
【0106】
本発明において、(A)成分1質量部に対する(B)成分の含有量は、好ましくは0.0001~100質量部、より好ましくは0.0002~1質量部、更に好ましくは0.0003~0.025質量部である。
【0107】
(その他成分)
本発明の剤には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、(A)成分及び(B)成分以外に、栄養成分;アルコール;酒類;塩類;呈味成分;果汁;果肉;野菜;野菜汁;ピューレ;エキス;甘味料;糖アルコール;高甘味度甘味料;苦味料;酸味料;香料;着色料;食品添加物;医薬品、医薬部外品又は化粧品の有効成分又は添加剤、等を1種以上含有することができる。これらの成分の具体例は、[乳化組成物]の項のその他成分に記載したものが挙げられる。
【0108】
(用途)
本発明の剤の用途は、特に限定されないが、好ましくは乳化粒子の微細化促進、粗大粒子の形成抑制、又は、乳化安定性向上の用途で使用される。
【0109】
本明細書において、乳化粒子の微細化促進とは、レーザー回折式粒度分布計によって測定される乳化粒子の粒子径をより小さくすることを表す。
本明細書において、粗大粒子とは、レーザー回折式粒度分布計によって測定される粒子径が1.3μm以上の粒子を表す。また、本明細書において、粗大粒子の形成抑制とは、粒子径が1.3μm以上の粒子の割合が減少することを表す。
【0110】
本発明の剤は、乳化粒子の微細化促進又は粗大粒子の形成抑制により、いわゆる「乳化性」を向上させる。そのため、本発明の剤は、乳化性向上用途にも適する。
【0111】
本明細書において、乳化安定性の向上とは、乳化粒子の粒子径が経時的に増大することを抑え、乳化粒子が、水中油型の場合には水相中、油中水型の場合は油相中、に浮遊した状態を維持する時間が増加することを表す。
【0112】
本発明の剤は、油性成分を含有する乳化組成物全般に用いることができるが、中でも上記の[乳化組成物]の項に記載された乳化組成物の調製に用いられることが好ましい。
【0113】
(使用方法)
本発明の剤を乳化組成物の調製に用いる場合は、その乳化組成物の調製の際の配合量及び工程については、上記の[乳化組成物]及び[乳化組成物の製造方法]に記載に準じる。
【実施例
【0114】
以下に、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明する。ただし、これらの例は本発明を制限するものではない。なお、実施例中の「部」「%」は、それぞれ「質量部」「質量%」を意味する。また、文中「*」印は、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製であることを示し、文中「※」印は、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを示す。
【0115】
[材料及び方法]
実施例では、以下の材料、装置、及び測定方法を採用した。
【0116】
(1)材料
(1-1)ガティガム
低分子ガティガムは、ガティガムであるGATIFOLIA RD(*)をオートクレーブ処理で分解して調製した。具体的には、表1の組成の混合物を、90℃達温にて溶解させた。そして、オートクレーブを用いて表1に記載した処理温度及び処理時間で加熱分解処理を行って、各低分子ガティガム8質量%溶液を調製した(溶液2~10)。溶液1は、ガティガムを8質量%含有する水溶液であり、加熱処理は行っていない。得られたガティガムの8質量%溶液の粘度及び重量平均分子量を後述の方法によって測定した結果を、同じ表1に記載した。
【0117】
【表1】
【0118】
(1-2)(B)粉末成分
(B)粉末成分として、ミリシトリン(東京化成工業(株)製)、V.C.パルミテート(L-アスコルビン酸パルミチン酸エステル、富士フイルム和光純薬(株)製)、フィトステロール(β-シトステロール、富士フイルム和光純薬(株)製)、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(東京化成工業(株)製)、リン酸三カルシウム、酸化マグネシウム、粉末疎水性シリカ(ワコーゲルC-300)(以上、富士フイルム和光純薬(株)製)、粉末ポリスチレン(Latex beads, polystyrene 0.1μm mean particle size、シグマアルドリッチ製)を用いた。使用したこれらの成分は、いずれも油相成分及び水に溶解しない粉末の形態のものである。
【0119】
(2)装置及び分析方法
(2-1)ガティガムの分子量、及び分子量分布の測定方法
ガティガムの分子量(重量平均分子量)、及び分子量分布は、以下の条件のGPC分析で測定した。
検出器:RI
移動相:100mM KSO
流量:1.0ml/min
温度:40℃
カラム:TSKgel GMPWXL 30cm (ガードPWXL)
インジェクション:100μl
プルランスタンダード:Shodex STANDARD P-82
【0120】
(2-2)粒度分布及びD50粒子径の測定
各試験例で調製した乳化液について、当該乳化液が含有する乳化粒子の粒子径を、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(LA-960、(株)堀場製作所製)を用いて測定した。測定サンプルとして、各試験例で調製した乳化液をイオン交換水で10倍希釈したものを用いた。そして、25℃にて、D50粒子径(体積基準)及び粒子径が0.699μm以上の粒子の体積基準の累積頻度(0.699μm↑と記載する。単位は%)を算出した。
【0121】
(2-3)液体の粘度測定方法 100mlスクリュー瓶(内径:3.7cm)に、液体80gを入れ、以下の装置、及び条件で粘度を測定する。
<装置、及び条件>
B型粘度計(ブルックフィールド型粘度計VISCOMETER-BM型((株)トキメック製)):ローターNo.2
回転数:60rpm
測定温度:20℃
【0122】
[試験例1.低分子ガティガムと種々の粉末成分を含有する乳化組成物の調製]
以下の手順で、表2の処方の乳化組成物を調製した。実施例1-1~17は、低分子ガティガムに加えて、粉末成分として、No.3~10のいずれかを含有する。
(1)まず、油溶性香料、レシチン及び粉末成分の混合物(混合物A)と、低分子ガティガム、水及びグリセリンの混合物(混合物B)を攪拌により調製した。混合物Bに、混合物Aを加えて攪拌混合した。
(2)(1)で得られた混合物を、高圧ホモジナイザーを用いて、室温で40MPa×4回の条件で処理を行い、乳化組成物を調製した。
【0123】
得られた乳化組成物の粒度分布から、D50粒子径と0.699μm↑を算出した。その結果を表2に記載した。各実施例は、粉末成分を含有しない比較例1-1に比べてD50粒子径が小さいことから、低分子ガティガムに加えて粉末成分を含有することで、乳化粒子の微細化が促進されていることが明らかとなった。また比較例1-1では粒子径0.699μm以上の粒子が観察されたのに対し、各実施例では、このような粗大粒子の形成が抑制されていた。これらの結果から、低分子ガティガムと粉末成分を含有することで、乳化組成物の乳化性が向上することが示された。
【0124】
また、実施例1-1、2から低分子ガティガムを除いた処方である比較例1-2、3では、D50粒子径が20μm以上と極めて大きくなり、全てが粒子径0.699μm以上の乳化粒子であった。従って、粉末成分に低分子ガティガム組み合わせることによって初めて、粉末成分単独では得られなかった乳化粒子の微細化促進効果、粗大粒子の形成抑制効果及び乳化性の向上の効果が奏されることが判明した。
【0125】
【表2】
【0126】
[試験例2.ガティガムの分子量の検討]
以下の手順で、表3の処方に従って、試験例1と同じ手順・条件で混合物A・Bを調製して混合、乳化して、重量平均分子量が異なるガティガムと粉末成分を含有する乳化組成物を調製した。
【0127】
得られた乳化組成物の粒度分布から、D50粒子径と0.699μm↑を算出した。その結果を表3に記載した。重量平均分子量が0.02×10~1.1×10の範囲内である低分子ガティガムを用いた実施例2-1~8は、当該範囲外の重量平均分子量のガティガムを用いた比較例2-1、2と比べて顕著にD50粒子径が小さく、粗大粒子の形成も抑制され、高い乳化性を有することが明らかとなった。
【0128】
【表3】
【0129】
[試験例3.油相成分の検討]
表4の処方に従って、油相成分としてレモン香料、コーヒー香料、コエンザイムQ10(CoQ10)、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)を含有する乳化組成物を調製した。試験例1と同じ手順・条件で混合物A・Bを調製して混合、乳化して、油相成分が異なる、低分子ガティガムと粉末成分を含有する乳化組成物を調製した。
【0130】
得られた乳化組成物の粒度分布から、D50粒子径と0.699μm↑を算出した。その結果を表4に記載した。各実施例は、対応する粉末成分を含有しない比較例と比べて、顕著にD50粒子径が小さく、粒子径0.699μm以上の乳化粒子の割合が減少していた。従って、多様な油相成分に対して、低分子ガティガムと粉末成分の組み合わせが、乳化粒子の微細化促進及び粗大粒子の形成抑制を通じて、乳化性を向上させることが明らかとなった。
【0131】
また、比較例3-4と実施例3-4の結果から、レシチンがない場合でも、上記の乳化性の向上効果が得られることが明らかとなった。
【0132】
【表4】
【0133】
[試験例4.乳化組成物の保存安定性の検証]
表5の処方に従って、試験例1と同じ手順・条件で混合物A・Bを調製して混合、乳化して、低分子ガティガムと粉末成分を含有する乳化組成物を調製した。得られた乳化組成物を、60℃で1週間又は40℃で2ヶ月の保存試験を行った。
【0134】
調製直後及び各保存試験後の乳化組成物の粒度分布を測定し、D50粒子径と0.699μm↑を算出した。その結果を表5に記載した。比較例4-1の乳化組成物は、保存によって乳化粒子の粗大化が進行し、保存安定性が低かった。一方、実施例4-1及び4-2の乳化組成物はD50粒子径の変化はほとんどなく、粒子径0.699μm以上の粗大粒子の形成も見られなかった。以上のように、低分子ガティガムと粉末成分を含有することによって、乳化組成物の保存安定性が向上することが明らかとなった。
【0135】
【表5】