(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-01-19
(45)【発行日】2026-01-27
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 13/08 20060101AFI20260120BHJP
【FI】
H01Q13/08
(21)【出願番号】P 2023508721
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 JP2022003304
(87)【国際公開番号】W WO2022201851
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2025-01-14
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000006758
【氏名又は名称】株式会社ヨコオ
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野崎 高志
(72)【発明者】
【氏名】寺下 典孝
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特公昭62-059922(JP,B1)
【文献】独国特許出願公開第10147921(DE,A1)
【文献】特開平01-231404(JP,A)
【文献】T. Simpson,"The theory of top-loaded antennas: Integral equations for the currents",IEEE Transactions on Antennas and Propagation,1971年,Vol. 19, No. 2,pp. 186 - 190,DOI: 10.1109/TAP.1971.1139900
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グランド部と、
前記グランド部に対向するとともに開放された開放端部を有する本体部と、前記本体部から前記グランド部の方向に延在し、給電点を有する給電部と、を有するアンテナと、
前記開放端部に対して間隔を空けて位置する第1端部を有する、前記アンテナのインピーダンス調整用の無給電素子と、
を備え
、
前記本体部は、平面視において、前記給電部から延伸する第1延伸部と、前記第1延伸部の前記給電部とは異なる部分から屈曲する第2延伸部と、を有する、アンテナ装置。
【請求項2】
前記給電点から前記アンテナを通じて前記開放端部に至るまでの長さは、第1周波数帯に対応する長さである、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記長さは、
前記第1周波数帯の波長の略4分の1である、
請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記本体部と、前記グランド部との距離は、前記第1周波数帯の波長より短い、請求項2または3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記無給電素子は、
前記アンテナの前記第1周波数帯
におけるインピーダンスのインダクタンス成分を増加させるように配置される、
請求項2から4の何れか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記アンテナに接続され、
前記アンテナの前記第1周波数帯
におけるインピーダンスのキャパシタンス成分を増加させるコンデンサをさらに備える、
請求項2から5のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記給電部は、
前記第1周波数帯より高い第2周波数帯に対応するよう、前記本体部との接続部分において、前記給電点の部分より大きな幅を持つ、
請求項2から6のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記アンテナは、
前記第1周波数帯及び前記第2周波数帯のいずれとも異なる第3周波数帯に対応するよう、前記本体部と前記グランド部とを接続する接続部を備える、
請求項7項に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記グランド部の垂直方向において、前記第1端部の前記グランド部からの第1距離は、前記開放端部の前記グランド部からの第2距離と同じである、
請求項1から8のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、統合アンテナが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている統合アンテナにおける第1電話用アンテナと第2電話用アンテナは、各々の対応する周波数帯域が限られており、広帯域の電波に対応可能になっていない。
【0005】
上記課題に鑑み、本発明の目的の一例は、広い周波数帯域の電波に対応可能なアンテナ装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、グランド部と、前記グランド部に対向するとともに開放された開放端部を有する本体部と、前記本体部から前記グランド部の方向に延在し、給電点を有する給電部と、を有するアンテナと、前記開放端部に対して間隔を空けて位置する第1端部を有する、前記アンテナのインピーダンス調整用の無給電素子とを備えるアンテナ装置である。
【0007】
本発明の一態様によれば、広い周波数帯域の電波に対応可能なアンテナ装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態のアンテナ装置1を(a)左後方、(b)右前方、(c)右後方から視た斜視図である。
【
図2】アンテナ2の概要図であり(a)アンテナ20の長さを対応周波数帯の電波長の2分の1の長さとした場合と(b)アンテナ20の長さを対応周波数帯の電波長の4分の1の長さとした場合を示す。
【
図3】(a)無給電素子30が無い場合と、(b)無給電素子30がある場合における、アンテナ10のインピーダンス特性を表すスミスチャートである。
【
図4】無給電素子30が無い場合における、アンテナ10のインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
【
図5】無給電素子30が有る場合における、アンテナ10のインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
【
図6】無給電素子30が有り、コンデンサがアンテナ10に直列に接続された場合における、アンテナ10のインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
【
図7】アンテナ装置1における、周波数に対するVSWRの関係を示すグラフである。
【
図8】(a)アンテナ装置1の一例を示す図と、(b)無給電素子30とアンテナ10との間隔を変化させた場合における、アンテナ10のインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
【
図9】(a)アンテナ装置1の一例を示す図と、(b)無給電素子30の前後長を変化させた場合における、アンテナ10のインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
【
図10】(a)アンテナ装置1の一例を示す図と、(b)無給電素子30の前後長を変化させた場合における、アンテナ10のインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
【
図11】(a)アンテナ装置1の一例を示す図と、(b)無給電素子30の幅を変化させた場合における、アンテナ10のインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
【
図12】(a)アンテナ装置1の一例を示す図と、(b)無給電素子30の幅を変化させた場合における、アンテナ10のインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
【
図13】(a)アンテナ装置1の一例を示す図と、(b)アンテナ10のインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
【
図14】(a)アンテナ装置1の一例を示す図と、(b)アンテナ10のインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
【
図15】(a)アンテナ装置1の一例を示す図と、(b)アンテナ10のインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
【
図16】第2実施形態におけるアンテナ装置100の分解斜視図である。
【
図17】第2実施形態におけるアンテナ装置100の斜視図であり、(a)左前方から視た場合と、(b)右前方から視た場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を説明する。各図面に示される同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。
==第1実施形態==
<<アンテナ装置1の概要>>
図1及び
図2を参照しつつ、本実施形態におけるアンテナ装置1の概要を説明する。
【0011】
アンテナ装置1は、不図示の車両(車輪の付いた乗物)で使用される車両用アンテナ装置である。本実施形態では、アンテナ装置1は、例えば、車両の上面(ルーフ、バックドア含む)や、上面の下方、または、インストルメントパネル内部に装着される。但し、アンテナ装置1は、車両のスポイラーや、オーバーヘッドコンソール等、ルーフやインストルメントパネル内部以外の車両の部位に位置しても良い。また、アンテナ装置1は、車両用以外のアンテナ装置であっても良い。
【0012】
アンテナ装置1は、アンテナ2と、グランド部3と、無給電素子30と、回路基板50と、保持部材60とを有する。アンテナ2は、各々が異なる周波数帯域に対応可能な2つのアンテナとして機能する。これらの2つのアンテナを、以下ではアンテナ10及びアンテナ20とする。加えて、アンテナ2は、第3のアンテナとして機能する給電部12(後述)を備える。
【0013】
以下の説明では、
図1に示すようにグランド部3からアンテナ2に向かう方向を上方向とし、その逆の方向を下方向とする。無給電素子30の上部(後述する第1延伸部31)が後述するエレメント11の第2延伸部11Bに向けて延びる方向を前方向とし、その逆の方向を後方向とする。また、上下方向及び前後方向に直交する方向を左右方向とする。
【0014】
なお、
図1に示されるように、前後方向を「X方向」と、左右方向を「Y方向」と、上下方向を「Z方向」と呼ぶことがある。後方向を+X方向、左方向を+Y方向、上方向を+Z方向と呼ぶことがある。また、左右方向を「横方向」又は「幅方向」と、上下方向を「縦方向」又は「高さ方向」と呼ぶことがある。
【0015】
なお、上述した方向等の定義については、特記した場合を除き、本明細書の他の実施形態においても共通である。
<グランド部3>
グランド部3は、アンテナ装置1が有するアンテナ2及び無給電素子30のグランドとして機能する。但し、グランド部3は、アンテナ2のうち、一部のアンテナのグランドとして機能しても良い。例えば、グランド部3は、アンテナ10のグランドとして機能し、別のグランド部が、アンテナ20のグランドとして機能しても良い。
【0016】
また、本実施形態では、グランド部3は、
図1に示されるように、一体の金属板(板金)として形成されている。但し、グランド部3は、複数の別体の金属板で構成されても良い。例えば、グランド部3は、アンテナ10が設けられる金属板と、アンテナ20が設けられる別の金属板とが、電気的に接続される構成であっても良い。
【0017】
なお、グランド部3は、アンテナ装置1が有するアンテナのグランドとして機能する部材であれば、板状以外で形成されても良い。また、グランド部3は、アンテナ装置1が有するアンテナのグランドとして機能すれば、金属製の部材と、金属製以外の部材とを自由に組み合わせて構成しても良い。例えば、グランド部3は、金属板と、樹脂製の絶縁体とを含む構成であっても良い。また、グランド部3は、プリント基板(PCB:Printed-Circuit Board)に導体パターンが形成された一枚の基板で構成されても良い。
【0018】
また、グランド部3は、
図1に示すように、上下方向視において、略四辺形の部材で形成されている。以下の説明において、「略四辺形」または「矩形」とは、例えば、正方形や長方形を含む、4つの辺からなる形状をいい、例えば、少なくとも一部の角が辺に対して斜めに切り欠かれていても良いし、少なくとも一部の角に曲線を含んでいても良い。さらに、「略四辺形」「矩形」の形状では、辺の一部に切り欠き(凹部)や出っ張り(凸部)が設けられていても良い。
<アンテナ10>
アンテナ10は、逆Lアンテナを基とした移動通信用の広帯域アンテナである(
図1、
図2参照)。本実施形態では、アンテナ10は、例えば、GSM、UMTS、LTE用の699MHz~894MHz帯(「第1周波数帯」に相当)の電波に対応している。但し、アンテナ10は、これに限られず、GSM、UMTS、LTE、5G用のうち、一部の(例えば、5G用のみ)周波数帯の電波に対応しても良い。
【0019】
また、アンテナ10は、GSM、UMTS、LTE用以外の周波数帯の電波に対応しても良い。アンテナ10は、例えば、テレマティクス、V2X(Vehicle to Everything:車車間通信、路車間通信)、Wi-Fi、Bluetooth等に使用される周波数帯の電波に対応するアンテナであっても良い。なお、Wi-Fi及びBluetoothは登録商標である。
【0020】
アンテナ10は、エレメント11と、給電部12とを有する。エレメント11は、給電部12とともにアンテナ10の対応する電波の周波数帯で共振するエレメントである。エレメント11は、
図1に示されるように、給電部12の上端部に接続されている。
【0021】
なお、「接続される」とは、物理的に接続されることに限定されず、「電気的に接続される」ことを含む。また、電気的接続とは、導体でつなぐことに限定されず、電子回路、電子部品等でつなぐことを含む。
【0022】
エレメント11は、水平に延びる板状の部材であり、保持部材60を介してグランド部3と対向し、上面視で前部においてL字型に屈曲した形状を備える。エレメント11は、第1延伸部11Aと、第2延伸部11Bとを有する。
【0023】
第1延伸部11Aは、給電部12から前方に延びるように形成される部位である。また、第1延伸部11Aは、グランド部3と上下方向に対向するように形成される。
【0024】
第2延伸部11Bは、第1延伸部11Aの前部から右方向に延びる部位である。本実施形態において、第1延伸部11Aと第2延伸部11Bとによって、エレメント11は上面視で右方向に屈曲した形状を形成する。第2延伸部11Bの端部11Cは開放端部を形成し、
図1に示すように、無給電素子30の前方向の端部と間隔を空けて、前後方向に対向する。なお、「端部」とは、
図1(a)に点線で示すように厳密な端を意味するものではなく、端を含む一定の領域を意味する。
【0025】
給電部12は、回路基板50から上方向に延びるように形成された平板上の部材である。給電部12の下端部には、回路基板50と電気的に接続された給電点12Aが設けられている。
【0026】
給電部12は、左右方向に視て下方向に円弧を形成した略半円形状を形成する。そのため、給電部12の上端部は、下端部よりも前後方向の長さ(以下、幅と呼ぶ場合がある)が長い。なお、給電部12の形状は半円形状に限らず、多角形状など別の形状として、給電部12の上端部の前後方向の長さを下端部よりも長くしてもよい。
【0027】
給電部12上端部の前後方向の長さ(左右方向に視た場合の給電部12の幅)を大きくとることにより、給電部12は、3.3~5GHz周波数帯(「第2周波数帯」に相当)に対応するアンテナとして機能する。
【0028】
給電点12Aから端部11Cに至るまでの、アンテナ10の形状に沿った長さは、699MHz~894MHz帯の電波(一例として、中心周波数、
図3の例では699MHz )の波長の略4分の1に等しい(
図2にて番号丸数字1の矢印で示す)。アンテナ10の長さを対応周波数帯の電波長の略4分の1とすることで、対応周波数帯におけるアンテナ10の感度を良好することができる。
【0029】
<アンテナ20>
アンテナ20は、折り曲げモノポールアンテナを基とした移動通信用の広帯域アンテナである(
図1、
図2参照)。本実施形態では、アンテナ20は、給電部12とともに2GHz帯(例えば、1710~2170MHz、「第3周波数帯」に相当)の電波に対応している。但し、アンテナ20は、これに限られず、2GHz帯のうち、一部の周波数帯の電波に対応しても良い。
【0030】
また、アンテナ20は、GSM、UMTS、LTE、5G用の周波数帯の電波に対応しても良い。アンテナ20は、例えば、テレマティクス、V2X(Vehicle to Everything:車車間通信、路車間通信)、Wi-Fi、Bluetooth等に使用される周波数帯の電波に対応するアンテナであっても良い。さらに、アンテナ20は、後述するように、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)による通信に対応しても良い。
【0031】
アンテナ20は、エレメント21を有し、給電部12をアンテナ10と共有する。
【0032】
エレメント21は、平板状の導電性部材であり、給電部12の上端部から後方向に延びるように形成される。エレメント21は、第1延伸部21Aと第2延伸部21Bとを有する。
【0033】
第1延伸部21Aは、給電部12の上端部から水平、かつ後方向に延びる部位である。第2延伸部21Bは、第1延伸部21Aの後端部から下方向に延びる部位である。第2延伸部21Bの下端部は、グランド部3にネジなどの接続具を用いて接続され、電気的にもグランド部3と接続される。なお、第2延伸部21Bとグランド部3との接続には、半田付けや溶着などの方法が用いられても良い。
【0034】
給電点12Aからグランド部3との接続部、すなわち給電点12Aから短絡端までのアンテナ20の形状に沿った長さは、2GHz帯の電波(一例として、中心周波数)の波長の略2分の1に等しい(
図2(a)にて番号丸数字3の矢印で示す)。アンテナ20の長さを対応周波数帯の電波長の2分の1とすることで、対応周波数帯におけるアンテナ20の感度を良好にすることができる。
【0035】
なお、
図2(b)に示すようにアンテナ20の端部を開放端とすることも可能である。この場合は、アンテナ20の長さを対応周波数帯の電波(一例として、中心周波数)の波長の略4分の1(
図2(b)にて番号丸数字3の矢印で示す)とすることで、対応周波数帯におけるアンテナ20の感度を良好にできる。なお、
図2(b)にて番号丸数字1の矢印で示す対応周波数帯の波長は
図2(a)と同様である。
【0036】
<無給電素子30>
無給電素子30は、グランド部3に機械的及び電気的に接続された平板状の導電性部材であり、アンテナ10のインピーダンスを調整する機能を有する。無給電素子30は、前後方向に延びる第1延伸部31と、第1延伸部31の後端部から下方向に延びる第2延伸部32とを備える(
図1、
図2参照)。
【0037】
第1延伸部31は、上面視で略矩形に形成された部位である。第1延伸部31は、前後方向に延び、保持部材60を介してグランド部3と上下方向に対向する。第1延伸部31のグランド部3からの距離(上下方向高さ)は、アンテナ10の対応周波数帯(699MHz~894MHz)の波長よりも短く、また、第1延伸部11A、第2延伸部11B及び第1延伸部21Aのグランド部3からの距離とほぼ等しい。
図1に示すように、第1延伸部31の前端部は、端部11Cと前後方向において対向する。
【0038】
なお、第1延伸部31のグランド部3からの距離(
図2(a)のD1)は第1延伸部11A及び第2延伸部11Bのグランド部3からの距離(
図2(a)のD2)と必ずしも等しくする必要はない。したがって、第1延伸部31の前端部が、第2延伸部11Bの端部よりも下方向または上方向に位置してもよい。
【0039】
第2延伸部32は、左右方向視で矩形に形成された部位であり、上下に延びて第1延伸部31の後端部とグランド部3とを接続する。第2延伸部32の下端部は、グランド部3にネジなどの接続具を用いて接続されるが、電気的にもグランド部3と接続される。この第1延伸部31の前端部から短絡端までの第1延伸部31と第2延伸部32の形状に沿った長さを
図2(a)、(b)の矢印丸数字2で示している。なお、第2延伸部32とグランド部3との接続には、半田付けや溶着などの方法が用いられても良い。
【0040】
なお、第1延伸部11A、第2延伸部11B及び第1延伸部21Aの延びる方向、また、第1延伸部31の延びる方向は、グランド部3の面に対して平行な方向に限られず、グランド部3の面に対して平行な方向から所定の角度で傾斜する方向でも良い。第1延伸部11A及び第2延伸部11B(エレメント11)並びに第1延伸部21Aは、本開示における「本体部」に相当する。
【0041】
<回路基板50>
回路基板50は、グランド部3の上面に取り付けられた矩形の部材であり、給電点12Aと電気的に接続される。回路基板50には、コンデンサ(不図示)が備えられ、給電点12Aを介してアンテナ10、20と直列に接続される。コンデンサの容量は、アンテナ10の特性に応じて適当に設定される。
【0042】
<保持部材60>
保持部材60は、樹脂等の絶縁体によって形成された部材であり、アンテナ10、20及び無給電素子30を支持する機能を有する。詳細には、保持部材60は、その上面にアンテナ10、20及び無給電素子30を載置し、アンテナ10、20及び無給電素子30の形状を維持する。また保持部材60は、第1延伸部11A、第2延伸部11B及び第1延伸部21Aを、グランド部3からの距離が一定となるように支持する。
【0043】
また、保持部材60は、アンテナ10のエレメント11の第1延伸部11Aと無給電素子30の第1延伸部31の各々と対向する平面上に上端がL字状の係止部61を2つずつ設けている。それら係止部61は、アンテナ10のエレメント11の第1延伸部11Aの孔部11Dと無給電素子30の第1延伸部31に形成された孔部31Aに挿入され、前後方向にスライドされることでエレメント11を保持する。このようにすることで、保持部材60に対するアンテナ10のエレメント11と無給電素子30との位置決めが容易となり、さらに、アンテナ10(20)のエレメント11(21)と無給電素子30との間隔が一定に保たれて安定したアンテナ性能を維持できる。
【0044】
なお、保持部材60の縁部付近にリブを設けて、当該保持部材60に対してアンテナ10(20)のエレメント11(21)や無給電素子30を位置決めするようにしてもよい。
【0045】
当然、このような係止部61や孔(切欠き)を設けず、一体成形や溶着・溶接、ネジ留めによりアンテナ10(20)のエレメント11(エレメント21)を保持部材60に固定して保持するようにしてもよい。なお、その場合、一体成形や溶着・溶接するための設備やネジ留めするための治具等が必要となる。一方、係止部61と孔(切欠き)により保持する場合、そのような設備や治具が不要となるため組立が容易に行えるという利点がある。
【0046】
<無給電素子30の配置>
以下に説明するように、アンテナ10のインピーダンス特性は、無給電素子30のサイズまたは位置によって調整される。
【0047】
無給電素子30が無い状態におけるアンテナ10のインピーダンス特性を
図3(a)及び
図4に示す。
図3(a)は、アンテナ10のインピーダンスを50Ω(オーム)で正規化したスミスチャート上に点線のグラフで示したものであり、グラフの始点と終点は、600MHzと1000MHzである。また、グラフ上の番号1、2のマーカは、アンテナ10の対応周波数帯の最小値(699MHz)と最大値(894MHz)に対応する。
図4は、
図3(a)のうち、アンテナ10の対応周波数帯における分布だけを実線として表示したものである。
【0048】
図示の様に、アンテナ10のインピーダンスは、スミスチャート上で等抵抗円(実線で図示)に沿うように分布している。本実施形態では無給電素子30を設置することにより、アンテナ10のインピーダンスを、スミスチャートの実数軸上方に分布するよう調整する。詳細は後述するが、インピーダンスマッチングを実施して、699MHzから894MHzにおいて一定のインピーダンス(例えば50オーム)に調整するには、インピーダンスがスミスチャート上で上半面に入っていることが好ましいためである。
【0049】
無給電素子30を設置した場合における、アンテナ10のインピーダンス特性を
図3(b)及び
図5に示す。
図3(b)には、インピーダンス特性(点線)と、VSWR(Voltage Standing Wave Ratio)3.5の分布(実線)が示される。インピーダンス特性の範囲、正規化の方法は
図3(a)と同じである。
図5は、
図3(b)のうち、アンテナ10の対応周波数帯における分布だけを表示したものである。図示の通り、アンテナ10のインピーダンスは、スミスチャートの実数軸の上方に大部分が分布する。
図4と
図5を比較すると、インピーダンスの分布形状が変化するとともに、
図4の点線矢印で示すように網掛範囲内またはその近傍に移動している。また、
図3(b)におけるインピーダンスの分布形状は
図3(a)と異なり、曲率の大きな円弧を形成し、スミスチャート上で一定の範囲内に収まっている。
【0050】
図6は、無給電素子30がある状態で、さらに3.5pFのコンデンサをアンテナ10に直列付加した場合の、アンテナ10のインピーダンス特性を示すスミスチャートである。コンデンサによってインピーダンスのキャパシタンス成分が増加し、
図3(b)に「直列C」の矢印で示す様に、インピーダンスのグラフは、下方にスライドする。この結果、
図3(b)及び
図6に示すように、インピーダンスは実数軸上の1.0値(50Ω)を中心にして、VSWR3.5付近で円弧状に分布し、一定の範囲内に収まっている。
【0051】
また、
図7で示すように、3.5pFのコンデンサを付加したアンテナ10のVSWRは、699MHz~894MHzの周波数帯において3.5以下に収まる。このように無給電素子30は、アンテナ10のインピーダンス特性の調整に寄与し、広帯域に亘って良好なVSWR特性を発揮する。なお、3.5
pFのコンデンサは、
図1(a)に示す回路基板50に設けられ、
図2における給電点12Aを介して、アンテナ10のインピーダンス特性の調整に寄与する電流が供給される。
【0052】
上述の様に無給電素子30は、その位置や形状によって、アンテナ10のインピーダンス特性を調整することが可能である。したがって、アンテナ10のインピーダンス特性を設計条件等に合ったものとするために、無給電素子30は、
図1などで示す位置及び形状以外にも様々な形状または位置を採ることが可能である。以下では、無給電素子30の位置及び形状とアンテナ10のインピーダンス特性との関係について説明する。
【0053】
(無給電素子30とアンテナ10との間隔)
一例として、無給電素子30とアンテナ10との間隔を変更することによって、アンテナ10のインピーダンス特性を調整することが可能である。第1延伸部31の前端部と第2延伸部11Bの端部との間隔に対するアンテナ10の構成と、そのアンテナ10(コンデンサ接続無し)のインピーダンスの関係を
図8に示す。
【0054】
図8(a)に示すアンテナ装置1のアンテナ10の構成では、第1延伸部31の前端部と第2延伸部11Bの端部との間隔(間隔d)は、1mm以上4mm以下の範囲で1mmずつ変更されている。無給電素子30の形状は維持したまま、前後にずらすことによって間隔dは変更されている。
【0055】
図8(b)のスミスチャートに示すように、間隔dを調整することによってアンテナ10のインピーダンスの分布が変化することが分かる。間隔dを拡げると、アンテナ10の無給電素子30との間の寄生容量が小さくなってインダクタ成分が大きくなり、広帯域にわたり、スミスチャートの上に移動する。このようにインピーダンスの分布を変化させることにより、インピーダンスをスミスチャート上で実数軸の上方、好ましくは、
図4の網掛部のような一定の範囲内に収まるように分布させることが可能となる。
【0056】
(無給電素子30の長さ)
また、一例として、無給電素子30の長さを変更することによって、アンテナ10のインピーダンス特性を調整することが可能である。
図9(a)及び
図10(a)では、第1延伸部31の前後方向の長さを示す構成、及びその第1延伸部31の長さに対するアンテナ10(コンデンサ接続無し)のインピーダンスの関係を示している。
図9( a) 及び
図10(a)において、第1延伸部31の長さLは、47mm以上82mm以下の範囲で、5mmずつ変更している。第1延伸部31の前端部と、端部11Cとの間隔は1mmとして維持した。なお、
図9(a) では、無給電素子30の第1延伸部31の前後方向の長さLは、それと対向するように配置されたアンテナ10の第1延伸部11Aの前後方向の長さより長くし、
図10(a )では、それと対向するように配置されたアンテナ10の第1延伸部11Aの前後方向の長さより短くしている。
【0057】
図9(b)及び
図10(b)のスミスチャートに示すように、第1延伸部31の前後方向の長さを調整することによってアンテナ10のインピーダンスの分布が変化することが分かる。このように、インピーダンスをスミスチャート上で実数軸の上方、好ましくは、
図4の網掛部のように一定の範囲近傍、または範囲内に収まるように分布させることが可能となる。
【0058】
(無給電素子30の幅)
無給電素子30の幅を変更することによっても、アンテナ10のインピーダンス特性を調整することが可能である。
図11(a)及び
図12(a)では、第1延伸部31の幅を示す構成、及びその幅、すなわち左右方向の長さに対するアンテナ10(コンデンサ接続無し)のインピーダンスの関係を示している。
図11(a)及び
図12(a)において、第1延伸部31の幅Wは、10mm以上30mm以下の範囲で、5mmずつ変更されている。第1延伸部31の前端部と、端部11Cとの間隔は1mmとし、前後方向の長さは67mmとした。
図11(a)では、無給電素子30の第1延伸部31の幅Wは、
図1で示す第1延伸部31の幅より狭くし、
図12(a)では、
図1で示す第1延伸部31の幅より広くしている。
【0059】
図11(b)及び
図12(b)のスミスチャートに示すように、第1延伸部31の幅を変えることによってアンテナ10のインピーダンスの分布が変化することが分かる。このように、インピーダンスをスミスチャート上で実数軸の上方、好ましくは、
図4の網掛部のように一定の範囲近傍、または範囲内に分布させることが可能となる。
【0060】
(無給電素子30のバリエーション)
上記考慮のもとで設計された無給電素子30の例を、第1延伸部31の幅、長さ、及び第2延伸部11Bの端部との間隔を示して、
図13~
図15に表す。各図に示す例のいずれにおいても、アンテナ10のインピーダンスは、概ねスミスチャートの実数軸上方に分布している。このように第1延伸部31の幅、長さ、及び端部11Cとの間隔には様々なバリエーションが存在し、インピーダンスの調整に寄与することが分かる。
【0061】
==第2実施形態==
第2実施形態によるアンテナ装置100を
図16及び
図17に示す。
【0062】
アンテナ装置100は、グランド部103と、アンテナ102(アンテナ110及びアンテナ120)と、無給電素子130と、回路基板150と、アンテナ102を保持する保持部材(不図示)と、これらの部材を上から覆う筐体101を備える。また、アンテナ装置100には、回路基板150上に載置された平板状のパッチアンテナ170(GNSS(Global Navigation Satellite System)に使用される)、折曲げられた棒状の2つのWi-Fi/Bluetoothアンテナ140(2.4/5GHz帯に対応)、及び、折り曲げられた板状の2つのSub6アンテナ175(6GHz未満の周波数帯に対応)が備わる。なお、Wi-Fi/Bluetoothアンテナ140は、棒状に限ることなく、板状や導体板を打ち抜いて形成する、または、PCB に導体パターンを形成するようにしてもよい。加えて、アンテナ装置100には、回路基板150から上方向に延びる棒状のV2Xモノポールアンテナ180、及び、無給電素子192と放射素子191とを有するV2Xアンテナ190が備わる。
【0063】
回路基板150に配置されたパッチアンテナ170は、回路基板150の略中央に配置されている。また、V2Xモノポールアンテナ180とV2Xアンテナ190の放射素子191は、パッチアンテナ170を挟んで、左右方向に当該パッチアンテナ170の略中心を通る線上に配置されている。そして、V2Xアンテナ190における放射素子191の前後方向の両側には無給電素子192が所定の間隔を空けて配置されている。
図16ではパッチアンテナ170に対して左方向側のV2Xアンテナ190のみに無給電素子を配置しているが、右方向側のV2Xモノポールアンテナ180に対して無給電素子を配置してもよい。
【0064】
なお、V2Xアンテナ190は前方向に指向特性を有し、V2Xモノポールアンテナ180は右方向に指向特性を有する。アンテナ装置100は、特に左方向のV2Xアンテナ190に無給電素子192を持たせることで、左方向への指向性の利得を向上させることができる。
【0065】
2つのWi-Fi/Bluetoothアンテナ140の各々は、パッチアンテナ170を挟んで左右方向に離れた位置において、当該パッチアンテナ170の略中心を通る線上に配置されている。さらに、2つのWi-Fi/Bluetoothアンテナ140の各々は、前後方向において、アンテナ120と無給電素子130との間に配置され、干渉を抑えた配置となると共に小型化がなされている。
【0066】
パッチアンテナ170は、2点給電方式や4点給電方式など、様々な給電方式による円偏波信号を受信可能とする衛星測位システムのアンテナに適用されるものである。パッチアンテナ構造としても積層型アンテナや多共振アンテナ、さらに無給電素子を付加するなど、衛星波信号に対応したアンテナであれば良い。
【0067】
アンテナ装置100は、アンテナ110と、アンテナ120と、無給電素子130と、保持部材(不図示)とを、左部と右部において、それぞれ1つずつ備える。これらの部材は、左右で略対称に配置される。以下では、左方向に配置されたアンテナ110、アンテナ120、及び無給電素子130について
図17を用いて主に説明する。右方向に配置されたアンテナ110、アンテナ120、及び無給電素子130は、左方向と同様の構成を持つため、説明を省略する。
【0068】
グランド部103は、水平に延びる矩形の部材であり、グランド部3と同様の機能を有する。すなわち、グランド部103は、アンテナ装置100が有するアンテナ110及びアンテナ120、無給電素子130のグランドとして機能する。グランド部103は、グランド部3と同様、アンテナ110と、アンテナ120との共通のグランドとして機能する。グランド部103は、
図16に示されるように、一体の金属板(板金)として形成されている。但し、グランド部103は、複数の別体の金属板で構成されても良い。
【0069】
アンテナ110は、アンテナ10と同様の機能を備えた、逆Lアンテナを基とした移動通信用の広帯域アンテナである。また、アンテナ110は、エレメント111と、給電部112とを有する。
【0070】
エレメント111は、水平に延びる板状の部材である。エレメント111は、給電部112から後方向に延びるように形成され、グランド部103と上下に対向する。エレメント111の後端部には、開放端である端部111Cが形成され、無給電素子130と前後方向に対向する。
【0071】
給電部112は、回路基板150上面から上方向に延びるように形成される。給電部112は下端部において回路基板150と接触し、さらに電気的に接続される給電点112Aを有する。なお、給電部112の上端部(エレメント111側)は、前後方向の幅が下端部(回路基板150側)よりも長い形状になっている。
【0072】
図17(b)に矢印(丸数字1)で示すように、給電点112Aから端部111Cまで、アンテナ110の形状に沿った長さは、699MHz~894MHz帯の電波の4分の1波長に等しい。アンテナ110の長さを対応周波数帯の波長の4分の1とすることで、対応周波数帯におけるアンテナ110の感度を良好にすることができる。
【0073】
アンテナ120は、折り曲げモノポールアンテナを基とした移動通信用の広帯域アンテナである。アンテナ120は、アンテナ20と同様に、2GHz帯(例えば、1710~2170MHz)の電波に対応している。また、アンテナ120は、GSM、UMTS、LTE、5G用の周波数帯の電波に対応しても良い。アンテナ120は、例えば、テレマティクス、V2X(Vehicle to Everything:車車間通信、路車間通信)、Wi-Fi、Bluetooth等に使用される周波数帯の電波に対応するアンテナであっても良い。
【0074】
アンテナ120は、エレメント121を有し、給電部112をアンテナ110と共有する。
【0075】
エレメント121は、平板状の導電性部材であり、給電部112の上端部から右方向に延びるように形成される(
図17(b))。エレメント121は、第1延伸部121Aと第2延伸部121Bとを有する。
【0076】
第1延伸部121Aは、給電部112の上端部から右方に延びる部位である。第2延伸部121Bは、第1延伸部121Aの右端部から下方に延びる部位である。第2延伸部121Bの下端部は、グランド部103に機械的及び電気的に接続される。なお、第2延伸部121Bとグランド部103との接続には、ネジなど接合具を介しての接合方法や、半田付けや溶着などの方法が用いられる。
【0077】
図17(b)に矢印(丸数字3)で示すように、給電点112Aから第2延伸部121Bの下端部まで、アンテナ120の形状に沿った電気長は、2GHz帯の電波(例えば、中心周波数の電波)の略2分の1波長に等しい。アンテナ120の電気長を対応周波数帯の電波の2分の1波長とすることで、対応周波数帯におけるアンテナ120の感度を良好にすることができる。
【0078】
無給電素子130は、グランド部103に機械的及び電気的に接続された平板状の導電性部材であり、無給電素子30と同様、アンテナ110のインピーダンスを調整する機能を有する(
図17(a))。無給電素子130は、左右方向及び前後方向に延びる第1延伸部131と、第1延伸部131の右端部から下方に延びる第2延伸部132とを備える。
【0079】
第1延伸部131は、上面視でL字に屈曲するように形成された部位である。第1延伸部131は、上下方向においてグランド部103と対向する。第1延伸部131のグランド部103からの高さは、エレメント111のグランド部103からの高さとほぼ等しい。
【0080】
第1延伸部131は、第2延伸部132の上端部から左方向に延び、左端部において前方に屈曲する。第1延伸部131の前端部は開放端を形成し、エレメント111の端部111Cと間隔を空けて対向する。
【0081】
第2延伸部132は、前後方向視で矩形に形成された部位であり、上下に延びて第1延伸部131の右端部とグランド部103とを接続する。第2延伸部132の下端部は、ネジなどの接続具を用いて機械的及び電気的にグランド部103と接続される。なお、第2延伸部132とグランド部103との接続には、ネジなど接合具を介しての接合方法や、半田付けや溶着などの方法が用いられる。
【0082】
回路基板150は、グランド部103の上方に配置された矩形の部材であり、給電点112Aと電気的に接続される。回路基板150には、コンデンサ(不図示)が備えられ、給電点112Aを介してアンテナ110、120と直列に接続される。
【0083】
上記のような構成においても、第1実施形態と同様に、アンテナ110のインピーダンス特性は、無給電素子130の形状に沿った長さ(
図17(a)において矢印丸数字2として示す)、幅またはアンテナ10との間隔によって調整される。このような調整によって無給電素子130が設計された結果、アンテナ110は、所望のインピーダンス特性を発揮する。加えて、アンテナ110は、回路基板150にあるコンデンサとの接続によって、対応周波数帯において良好なVSWR特性を発揮できる。
【0084】
<効果>
上記の各実施形態において、アンテナ装置1、100は、グランド部3、103と、アンテナ2、102と、無給電素子30、130とを有する。アンテナ2、102は、グランド部3、103に対向するとともに開放された開放端部を有するエレメント11、111(「本体部」に相当)と、エレメント11、111からグランド部3、103の方向に延在し、給電点12A、112Aを有する給電部12、112と、を有する。無給電素子30、130は、エレメント11、111の開放端部に対して間隔を空けて位置する第1端部を有し、アンテナ10、110のインピーダンス調整に用いられる。
【0085】
上記構成によれば、無給電素子30、130を設けることによってアンテナ10、110のインピーダンス特性を調整し、アンテナ10、110の性能を広帯域に亘って良好にできる。
【0086】
上記構成に加えて、給電点12A、112Aからアンテナ10、110を通じて開放端部に至るまでの長さは、アンテナ10、110の対応周波数帯に対応する長さである。
【0087】
このような構成とすることで、対応周波数帯の電波を良好に送受信できる。
【0088】
上記構成に加えて、エレメント11、111と、グランド部3、103との距離は、アンテナ10、110の対応周波数帯の波長より短い。
【0089】
上記のように構成することによって、アンテナ装置1、100を低背化し、すなわち上下高さを抑えて小型化することができる。小型化の実現には、無給電素子30、130が寄与している。詳細に述べると、
図3及び
図7に示すように、無給電素子30、130によってアンテナ10、110のインピーダンスが調整され、広帯域に亘ってVSWR特性を向上させることができる。そのため、上記実施形態ではエレメント11、111を低い位置に配置し、装置全体の小型化を実現している。小型化の実現により、アンテナ装置1、100は、狭い空間内に配置することができる。
【0090】
上記構成に加えて、無給電素子30、130は、対応周波数帯のインピーダンスのインダクタンス成分を増加させるように配置される。
【0091】
上記のように構成することにより、
図5のように、スミスチャート上の上方へインピーダンスを分布させ、コンデンサなどの素子を用いたインピーダンス調整(
図6)を容易にすることができる。対応周波数帯のインピーダンスがスミスチャート上において実数軸の上方に位置すれば、コンデンサを用いてコンダクタンス成分を増加させることによって、インピーダンスの分布をスミスチャート上で下方へスライドさせ、インピーダンス調整を容易にすることができる。
【0092】
上記各実施形態では、対応周波数帯のインピーダンスのキャパシタンス成分を増加させるコンデンサをアンテナ10、110に接続させることにより、インピーダンスがスミスチャート上で50Ωを中心とした一定の範囲内に収まるように調整される(
図6)。これにより、良好なVSWR特性を得ることができる。
【0093】
給電部12は、エレメント11との接続部分において、給電点12Aより大きな幅(前後長)を持つ。そのため、対応周波数帯より高い周波数帯に対応し、広い帯域に亘って高い性能を得られる。
【0094】
アンテナ2、102は、第1延伸部21A、121A(「本体部」に相当)とグランド部3、103とを接続する第2延伸部21B、121B(「接続部」に相当)を備える。
【0095】
この構成によりアンテナ2、102は、アンテナ10、110の対応周波数帯及び給電部12の対応周波数帯のいずれとも異なる周波数帯に対応するアンテナ20、120の機能を有する。
【0096】
第2延伸部11Bの端部のグランド部3からの上下方向における距離D2(「第1距離」に相当)は、第1延伸部31の前端部のグランド部3からの上下方向における距離D1(「第2距離」に相当)と同じである。また、エレメント111の前端部のグランド部103からの上下方向における距離は、第1延伸部131の前端部のグランド部103からの上下方向における距離と同じである。
【0097】
このようにエレメント11、111の端部と、これに対向する無給電素子130、130の端部を同じ高さに揃えて面一とすることにより、アンテナ装置1、100を低背化、すなわち上下方向高さを抑え、小型化することができる。
【符号の説明】
【0098】
1、100 アンテナ装置
2、102 アンテナ
3、103 グランド部
12、112 給電部
12A、112A 給電点
30、130 無給電素子
50 回路基板
60 保持部材