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7808055ポリプロピレン系樹脂発泡粒子およびポリプロピレン系樹脂発泡成形体
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  • -ポリプロピレン系樹脂発泡粒子およびポリプロピレン系樹脂発泡成形体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-01-20
(45)【発行日】2026-01-28
(54)【発明の名称】ポリプロピレン系樹脂発泡粒子およびポリプロピレン系樹脂発泡成形体
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/16 20060101AFI20260121BHJP
【FI】
C08J9/16 CES
C08J9/16 CET
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022574033
(86)(22)【出願日】2021-12-28
(86)【国際出願番号】 JP2021048735
(87)【国際公開番号】W WO2022149538
(87)【国際公開日】2022-07-14
【審査請求日】2024-10-22
(31)【優先権主張番号】P 2021002388
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】松宮 豊
【審査官】須藤 英輝
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-506105(JP,A)
【文献】特開2016-044199(JP,A)
【文献】国際公開第2018/016399(WO,A1)
【文献】特公昭48-024500(JP,B1)
【文献】特開2010-254930(JP,A)
【文献】特開2011-058008(JP,A)
【文献】特表2013-542302(JP,A)
【文献】特開2005-068289(JP,A)
【文献】特開平10-087926(JP,A)
【文献】特表2011-529105(JP,A)
【文献】特開2001-302837(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0112081(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00-9/42
C08K 3/00-13/08
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン系樹脂100重量部と、
アクリロニトリル単位およびスチレン系単位を含む共重合体5重量部~60重量部と、
水添スチレン系共重合体3.0重量部~30.0重量部と、を含む、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【請求項2】
前記スチレン系単位はα-メチルスチレン単位である、請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【請求項3】
前記水添スチレン系共重合体は、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン共重合体(SEBS)である、請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【請求項4】
前記水添スチレン系共重合体のスチレン単位含有量は、当該水添スチレン系共重合体100重量%中、15重量%~80重量%である請求項1~3のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【請求項5】
前記アクリロニトリル単位およびスチレン系単位を含む共重合体のガラス転移温度は95℃~140℃である、請求項1~4のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を成形してなるポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
【請求項7】
ポリプロピレン系樹脂粒子を発泡させる発泡工程を有し、
前記ポリプロピレン系樹脂粒子は、
ポリプロピレン系樹脂100重量部と、
アクリロニトリル単位およびスチレン系単位を含む共重合体5重量部~60重量部と、
水添スチレン系共重合体3重量部~30重量部と、を含む、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【請求項8】
前記スチレン系単位はα-メチルスチレン単位である、請求項7に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【請求項9】
前記水添スチレン系共重合体は、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン共重合体(SEBS)である、請求項7または8に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【請求項10】
前記水添スチレン系共重合体のスチレン単位含有量は、当該水添スチレン系共重合体100重量%中、15重量%~80重量%である請求項7~9のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【請求項11】
前記アクリロニトリル単位およびスチレン系単位を含む共重合体のガラス転移温度は95℃~140℃である、請求項7~10のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【請求項12】
請求項1~5のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子、または、請求項7~11のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法により得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子を型内発泡成形する工程を含む、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子およびポリプロピレン系樹脂発泡成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレン系樹脂発泡成形体は、自動車内装部材、自動車バンパー用芯材をはじめ、断熱材、緩衝包装材、通い箱など様々な用途に用いられている。
【0003】
ところで、ポリプロピレン系樹脂は結晶性熱可塑性樹脂であるため、ポリスチレン等の非結晶性熱可塑性樹脂と比較して、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を成形して得られるポリプロピレン系樹脂発泡成形体の、成形後の収縮が大きい。それ故、特に、金属などの他素材を一体成形する場合(インサート成形する場合)、成形後にポリプロピレン系樹脂発泡成形体が収縮することにより、金属部材が変形する場合がある。すなわち、従来技術では、金属などの他素材を一体成形する場合、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の寸法および/または形状を制御することが困難であった。
【0004】
ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の成形後の収縮を制御する方法として、非晶性熱可塑性樹脂をポリプロピレン系樹脂に混合して用いる方法が知られている。
【0005】
例えば、特許文献1には、ポリプロピレン系樹脂と非晶性熱可塑性樹脂と相溶化剤とを混合して用いる技術が開示されている。
【0006】
特許文献2には、ポリプロピレン系樹脂にポリスチレン系樹脂とビニル芳香族化合物を主体とする重合体とを混合して用いる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】日本国公開特許公報2001-302837号
【文献】日本国公開特許公報平6-100740号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のような状況に鑑み、本発明の一実施形態の目的は、(a)成形後の収縮および変形がほとんどないポリプロピレン系樹脂発泡成形体を提供でき、かつ(b)発泡性に優れる、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、ポリプロピレン系樹脂100重量部と、アクリロニトリル単位およびスチレン系単位を含む共重合体5重量部~60重量部と、水添スチレン系共重合体3.0重量部~30.0重量部と、を含む。
【0011】
また、本発明の一実施形形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法は、ポリプロピレン系樹脂粒子を発泡させる発泡工程を有し、前記ポリプロピレン系樹脂粒子は、ポリプロピレン系樹脂100重量部と、アクリロニトリル単位およびスチレン系単位を含む共重合体5重量部~60重量部と、水添スチレン系共重合体3.0重量部~30.0重量部と、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一実施形態によれば、(a)成形後の収縮および変形がほとんどないポリプロピレン系樹脂発泡成形体を提供でき、かつ(b)発泡性に優れる、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、変形量の評価に使用する発泡成形体100の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。また、異なる実施形態または実施例にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせて得られる実施形態または実施例についても、本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。なお、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意図する。
【0015】
また、本明細書において特記しない限り、構造単位として、X単量体に由来する構造単位と、X単量体に由来する構造単位と、・・・およびX単量体(nは2以上の整数)とを含む共重合体を、「X/X/・・・/X共重合体」とも称する。X/X/・・・/X共重合体としては、明示されている場合を除き、重合様式は特に限定されず、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよく、グラフト共重合体であってもよい。
【0016】
また、本明細書において、重合体または共重合体に含まれる、X単量体に由来する構成単位を「X単位」と称する場合がある。
【0017】
〔1.ポリプロピレン系樹脂発泡粒子〕
本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、ポリプロピレン系樹脂100重量部と、アクリロニトリル単位およびスチレン系単位を含む共重合体5重量部~60重量部と、水添スチレン系共重合体3.0重量部~30.0重量部と、を含む。
【0018】
本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、公知の方法で成形することにより、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を提供できる。
【0019】
本明細書において、「ポリプロピレン系樹脂発泡粒子」を「発泡粒子」と称する場合があり、「本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡粒子」を「本発泡粒子」と称する場合があり、「ポリプロピレン系樹脂発泡成形体」を「発泡成形体」と称する場合がある。
【0020】
本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、前記構成を有するため、(a)成形後の収縮および変形がほとんどないポリプロピレン系樹脂発泡成形体を提供でき、かつ(b)発泡性に優れる、という利点を有する。本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、従来品と比較して、成形後の収縮および変形が低減されたポリプロピレン系樹脂発泡成形体を提供できる、ともいえる。本明細書中において、成形後の発泡成形体の収縮が低減されることを、収縮性に優れるともいう。
【0021】
本明細書において、ポリプロピレン系樹脂とは、樹脂に含まれる全構造単位100モル%中、プロピレン単量体に由来する構造単位を75モル%以上含む樹脂を意図する。本明細書において、「プロピレン単量体に由来する構造単位」を「プロピレン単位」と称する場合もある。
【0022】
(ポリプロピレン系樹脂)
ポリプロピレン系樹脂は、(a)プロピレンの単独重合体であってもよく、(b)プロピレンとプロピレン以外の単量体とのブロック共重合体、ランダム共重合体もしくはグラフト共重合体であってもよく、または(c)これらの2種以上の混合物であってもよい。
【0023】
ポリプロピレン系樹脂は、プロピレン単位に加えて、プロピレン単量体以外の単量体に由来する構造単位を1単位以上有していてもよく、1種以上有していてもよい。ポリプロピレン系樹脂の製造で使用される「プロピレン単量体以外の単量体」を「コモノマー」と称する場合もある。ポリプロピレン系樹脂に含まれる「プロピレン単量体以外の単量体に由来する構造単位」を「コモノマー単位」と称する場合もある。
【0024】
コモノマーとしては、エチレン、1-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3,4-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、3-メチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンなどの炭素数2または4~12のα-オレフィンが挙げられる。
【0025】
ポリプロピレン系樹脂の具体例としては、ポリプロピレン単独重合体、エチレン/プロピレンランダム共重合体、1-ブテン/プロピレンランダム共重合体、1-ブテン/エチレン/プロピレンランダム共重合体、エチレン/プロピレンブロック共重合体、1-ブテン/プロピレンブロック共重体、プロピレン/塩素化ビニル共重合体、プロピレン/無水マレイン酸共重合体、スチレン改質ポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。ポリプロピレン系樹脂として、これらの1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのなかでも、エチレン/プロピレンランダム共重合体、1-ブテン/エチレン/プロピレンランダム共重合体が、得られる発泡粒子が良好な発泡性を有する点、および、本成形体が良好な成形性を有する点、から好適である。なお、前記1-ブテンは、ブテン-1と同義である。
【0026】
ポリプロピレン系樹脂として、エチレン/プロピレンランダム共重合体または1-ブテン/エチレン/プロピレンランダム共重合体を用いる場合(場合Aとする)を考える。場合Aにて、エチレン/プロピレンランダム共重合体または1-ブテン/エチレン/プロピレンランダム共重合体におけるエチレン含有率は、各共重合体100重量%中、0.2重量%~10.0重量%が好ましい。エチレン含有率とは、エチレンに由来する構成単位(エチレン単位)の含有率ともいえる。エチレン/プロピレンランダム共重合体または1-ブテン/エチレン/プロピレンランダム共重合体中のエチレン単位の含有率が、(i)0.2重量%以上である場合、本発泡粒子の製造における発泡粒子の発泡性、および/または得られる発泡粒子の成形性が良好となる傾向があり、(ii)10.0重量%以下である場合、本発泡粒子から得られる発泡成形体の機械的物性が低下する虞がない。
【0027】
また、場合Aにて、1-ブテン/エチレン/プロピレンランダム共重合体における1-ブテン含有率は、共重合体100重量%中、0.2重量%~10.0重量%が好ましい。1-ブテン含有率とは、1-ブテンに由来する構成単位(1-ブテン単位)の含有率ともいえる。1-ブテン/エチレン/プロピレンランダム共重合体中の1-ブテン単位の含有率が、(i)0.2重量%以上である場合、本発泡粒子の製造における発泡粒子の発泡性、および/または得られる発泡粒子の成形性が良好となる傾向があり、(ii)10.0重量%以下である場合、本発泡粒子から得られる発泡成形体の機械的物性が低下する虞がない。
【0028】
また、場合Aにて、1-ブテン/エチレン/プロピレンランダム共重合体におけるエチレン単位および1-ブテン単位の合計含有率としては、1-ブテン/エチレン/プロピレンランダム共重合体100重量%中、0.5重量%~10.0重量%が好ましい。1-ブテン/エチレン/プロピレンランダム共重合体中のエチレン単位および1-ブテン単位の合計含有率が、(i)0.5重量%以上である場合、本発泡粒子の製造における発泡粒子の発泡性、および/または得られる発泡粒子の成形性が良好となる傾向があり、(ii)10.0重量%以下である場合、本発泡粒子から得られる発泡成形体の機械的物性が低下する虞がない。
【0029】
ポリプロピレン系樹脂の融点としては、135.0℃~160.0℃が好ましく、138.0℃~158.0℃がより好ましく、140.0℃~156.0℃がより好ましく、143.0℃~154.0℃がより好ましく、145.0℃~152.0℃がさらに好ましく、148.0℃~150.0℃が特に好ましい。ポリプロピレン系樹脂の融点が、(i)135.0℃以上である場合、本発泡粒子から得られる発泡成形体は優れた耐熱性を有し、(ii)160.0℃以下である場合、本発泡粒子の製造において発泡粒子の発泡倍率を高めることが容易になる。
【0030】
本明細書において、ポリプロピレン系樹脂の融点は、示差走査熱量計法(以降、「DSC法」と称する)により測定して求められる値である。具体的な操作手順は以下の通りである:(1)ポリプロピレン系樹脂5mg~6mgの温度を10.0℃/分の昇温速度で40.0℃から220.0℃まで昇温することにより当該ポリプロピレン系樹脂を融解させる;(2)その後、融解されたポリプロピレン系樹脂の温度を10.0℃/分の降温速度で220.0℃から40.0℃まで降温することにより当該ポリプロピレン系樹脂を結晶化させる;(3)その後、さらに、結晶化されたポリプロピレン系樹脂の温度を10℃/分の昇温速度で40.0℃から220.0℃まで昇温する。2回目の昇温時(すなわち(3)のとき)に得られる当該ポリプロピレン系樹脂のDSC曲線のピーク(融解ピーク)の温度を当該ポリプロピレン系樹脂の融点として求めることができる。なお、上述の方法により、2回目の昇温時に得られる、ポリプロピレン系樹脂のDSC曲線において、ピーク(融解ピーク)が複数存在する場合、融解熱量が最大のピーク(融解ピーク)の温度を、ポリプロピレン系樹脂の融点とする。示差走査熱量計としては、例えば、セイコーインスツルメンツ(株)製、DSC6200型を用いることができる。
【0031】
ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、特に制限は無いが、3.0g/10分~30.0g/10分が好ましく、4.0g/10分~20.0g/10分がより好ましく、5.0g/10分~15.0g/10分がさらに好ましく、6.0g/10分~13.0g/10分が特に好ましい。なお、MFRは「メルトインデックス(MI)」と称する場合もある。
【0032】
ポリプロピレン系樹脂のMFRが3g/10分以上である場合、本発泡粒子の製造において発泡粒子の発泡倍率を高めることが容易になる傾向がある。ポリプロピレン系樹脂のMFRが30g/10分以下である場合、得られる発泡粒子の気泡が連通化する虞がなく、その結果、(i)本発泡粒子から得られる発泡成形体の圧縮強度が良好となる傾向、または、(ii)当該発泡成形体の表面性が良好となる傾向がある。
【0033】
本明細書において、ポリプロピレン系樹脂のMFRの値は、JIS K7210:1999に記載のMFR測定器を用い、以下の条件下で測定して得られた値である:オリフィスの直径が2.0959±0.005mmφ、オリフィスの長さが8.000±0.025mm、荷重が2.16kgf、かつ温度が230℃(230±0.2℃)。
【0034】
ポリプロピレン系樹脂は公知の方法で得ることができる。ポリプロピレン系樹脂を合成するときの重合触媒としては、特に制限はなく、例えば、チーグラー系触媒およびメタロセン触媒などを用いることができる。
【0035】
(アクリロニトリル単位およびスチレン系単位を含む共重合体)
本発泡粒子はアクリロニトリル単位およびスチレン系単位を含む共重合体を、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、5重量部~60重量部含む。本発泡粒子は上記構成を有することにより、発泡性に優れる発泡粒子が得られ、かつ従来品と比較して成形後の収縮および変形がより低減された発泡成形体が得られるという利点を有する。本明細書において、「アクリロニトリル単位およびスチレン系単位を含む共重合体」を「AS共重合体」と称する場合がある。なお、AS共重合体は非晶性樹脂である。
【0036】
本明細書において、AS共重合体とは、AS共重合体に含まれる全構造単位100モル%中、アクリロニトリル単位またはスチレン系単位に由来する構造単位を、合計で、少なくとも50モル%以上含む共重合体を意図する。AS共重合体は、少なくともアクリロニトリル単位とスチレン系単位とを含む構成単位を50モル%以上含む共重合体である限り特に限定されず、例えば、(a)ブロック共重合体、ランダム共重合体もしくはグラフト共重合体であってもよく、または(b)これらの2種以上の混合物であってもよい。
【0037】
AS共重合体が含むスチレン系単位は、スチレン系単量体に由来する構成単位である。当該スチレン系単量体としては、例えば、(a)スチレン、並びに、(b)α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、m-メチルスチレン、о-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-エチルスチレン、m-エチルスチレン、о-エチルスチレン、t-ブチルスチレン、およびクロルスチレン等のスチレン系誘導体、が挙げられる。これらスチレン系単量体は、1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。すなわち、AS共重合体が含むスチレン系単位は、1種であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0038】
AS共重合体が含むスチレン系単位は、α-メチルスチレン単位を含むことが好ましい。AS共重合体が含むスチレン系単位におけるα-メチルスチレン単位の量は、AS共重合体が含むスチレン系単位100重量%中、70重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上であることがさらに好ましく、95重量%以上であることが特に好ましく、100重量%であることが最も好ましい。すなわち、AS共重合体が含むスチレン系単位は、α-メチルスチレン単位であることが最も好ましい。AS共重合体が含むスチレン系単位におけるα-メチルスチレン単位の量が多いほど、得られる発泡粒子は、(a)成形後の収縮および変形がほとんどないポリプロピレン系樹脂発泡成形体を提供でき、かつ(b)発泡性に優れる、という利点を有する。
【0039】
AS共重合体が含むスチレン系単位の量(以下、「スチレン系含有量」と称する場合がある。)は、AS共重合体100重量%中、20重量%~95重量%であることが好ましく、50重量%~90重量%であることがより好ましく、55重量%~85重量%であることがさらに好ましく、60重量%~80重量%であることがよりさらに好ましく、65重量%~75重量%であることが特に好ましい。当該構成によると、生産性が良く、かつ耐熱性に優れたAS共重合体が得られるという利点を有する。
【0040】
AS共重合体が含むスチレン系単位としてのα-メチルスチレン単位の量(以下、「α-メチルスチレン含有量」と称する場合がある。)は、AS共重合体100重量%中、20重量%~95重量%であることが好ましく、50重量%~90重量%であることがより好ましく、55重量%~85重量%であることがさらに好ましく、60重量%~80重量%であることがよりさらに好ましく、65重量%~75重量%であることが特に好ましい。当該構成によると、生産性が良く、かつ耐熱性に優れたAS共重合体が得られるという利点を有する。
【0041】
AS共重合体は、アクリロニトリル単位およびスチレン系単位以外の構成単位(以下、「AS以外の構成単位」と称する場合がある。)を有していてもよい。AS以外の構成単位としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル;エチレン、プロピレン等のオレフィン;無水マレイン酸;塩化ビニル;塩化ビニリデン;および、アクリロニトリル単位および/またはスチレン系単位と共重合可能な上述した単量体以外の単量体などが挙げられる。AS共重合体の耐熱性が良好となることから、AS共重合体が含むAS以外の構成単位の量は、AS共重合体100重量%中、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、1重量%以下がさらに好ましく、0重量%が特に好ましい。すなわち、AS共重合体は、アクリロニトリル単位およびスチレン系単位から構成される共重合体であることが特に好ましい。
【0042】
AS共重合体の具体例としては、アクリロニトリル/スチレン共重合体、アクリロニトリル/α-メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル/p-メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル/m-メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル/о-メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル/2,4-ジメチルスチレン共重合体、アクリロニトリル/p-エチルスチレン共重合体、アクリロニトリル/m-エチルスチレン共重合体、アクリロニトリル/о-エチルスチレン共重合体、アクリロニトリル/t-ブチルスチレン共重合体、およびアクリロニトリル/クロルスチレン共重合体等が挙げられる。発泡性に優れる発泡粒子が得られるという利点があることから、上述した共重合体の中でも、アクリロニトリル/α-メチルスチレン共重合体が好ましい。これらのAS共重合体は1種類のみを用いてもよく、また2種以上組合せて用いてもよい。
【0043】
AS共重合体のガラス転移温度(「Tg」と称する場合がある。)としては、特に限定されないが、95℃~140℃が好ましく、100℃~135℃がより好ましく、103℃~130℃がさらに好ましく、105℃~125℃が特に好ましい。AS共重合体のTgが、(i)95℃以上である場合、耐熱性に優れる発泡粒子、および発泡成形体を得ることができるという利点を有し、(ii)140℃以下である場合、連続気泡率の低い発泡粒子が得ることができる。
【0044】
本明細書において、AS共重合体のTgは、示差走査熱量計[セイコーインスツルメンツ(株)製、DSC6200型]を用いて、JIS-K-7121に準拠して測定して得られる値である。具体的な操作手順は以下の(1)~(5)の通りである:(1)AS共重合体5mgを量り取る;(2)窒素雰囲気下において、当該AS共重合体の温度を、10℃/minで室温から250℃まで昇温する;(3)昇温したAS共重合体の温度を10℃/minで250℃から室温まで降温する;(4)再び、当該AS共重合体の温度を、10℃/minで室温から250℃まで昇温する;(5)2回目の昇温時(すなわち(4)のとき)に得られるAS共重合体のDSC曲線のピーク(融解ピーク)の温度を当該AS共重合体のTgとする。
【0045】
AS共重合体のMFRは、特に制限は無いが、2.0g/10分~15.0g/10分が好ましく、3.0g/10分~12.0g/10分がより好ましく、4.0g/10分~10.0g/10分がさらに好ましい。AS共重合体のMFRが2.0g/10分~15.0g/分である場合、AS共重合体は、ポリプロピレン系樹脂との相溶性に優れ、得られる樹脂粒子を発泡させたときの連泡化を低減できる。その結果、連続気泡率の低い発泡粒子が得られるという利点を有する。
【0046】
本明細書において、AS共重合体のMFRの値は、JIS K7210:1999に記載のMFR測定器を用い、以下の条件下で測定して得られた値である:オリフィスの直径が2.0959±0.005mmφ、オリフィスの長さが8.000±0.025mm、荷重が2.16kgf、かつ温度が230℃(230±0.2℃)。
【0047】
本発泡粒子における、AS共重合体の含有量は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、5重量部~60重量部であり、5重量部~50重量部がより好ましく、8重量部~50重量部がより好ましく、10重量部~40重量部がより好ましく、13重量部~40重量部がより好ましく、15重量部~35重量部がさらに好ましく、20重量部~30重量部が特に好ましい。AS共重合体の含有量が、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、(a)5重量部以上である場合には発泡性に優れる発泡粒子が得られ、かつ従来品と比較して成形後の収縮および変形がより低減された発泡成形体が得られるという利点を有し、(b)60重量部以下である場合には、連続気泡率が低く、かつ発泡性に優れる発泡粒子が得られるという利点を有する。
【0048】
(水添スチレン系共重合体)
本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、水添スチレン系共重合体3.0重量部~30.0重量部を含む。本発明の一実施形態において、水添スチレン系共重合体は、ポリプロピレン系樹脂と、AS共重合体との相溶化効果を有する。換言すれば、水添スチレン系共重合体は、相溶化剤として機能し得る。本発泡粒子は水添スチレン系共重合体を上述した範囲内で含むことにより、発泡性に優れる発泡粒子が得られ、かつ従来品と比較して成形後の収縮および変形がより低減された発泡成形体が得られるという利点を有する。
【0049】
本明細書において、「水添スチレン系共重合体」とは、スチレン単位のみから構成されるスチレンブロックと共役ジエン系単位のみからなる共役ジエン系ブロックとを含むブロック共重合体(以下、共重合体Xとも称する。)を水素添加して得られる共重合体である。本明細書において「水素添加」を「水添」と称する場合がある。より具体的に、「水添スチレン系共重合体」とは、共重合体Xの共役ジエン系単位中の炭素-炭素二重結合の少なくとも一部が飽和されるように、共重合体Xを水素添加して得られる共重合体を意図する。
【0050】
共重合体Xに含まれる共役ジエン系単位としては、ブタジエン単位、イソプレン単位、1,3-ペンタジエン単位、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン単位、3-メチル-1,3-オクタジエン単位、または4-エチル-1,3-ヘキサジエン単位等が挙げられるが、特に限定されない。
【0051】
水添スチレン系共重合体の製造において、共重合体Xの共役ジエン系単位中の炭素-炭素二重結合は、少なくともその一部が飽和されていればよく、そのすべてが飽和されている必要はない。換言すれば、水添スチレン系共重合体は、水添スチレン系共重合体の製造に使用した共重合体Xが含んでいる共役ジエン系単位を含んでいてもよい。より具体的には、共重合体Xが共役ジエン系単位としてブタジエン単位を含む場合、当該共重合体Xを水添してなる水添スチレン系共重合体は、(a)水素が付加されなかったブタジエン単位を含んでいてもよく、(b-1)水素がブタジエン単位の炭素-炭素二重結合に1,2付加重合されてなるブチレン単位を含んでいてもよく、(b-2)水素がブタジエン単位の炭素-炭素二重結合に1,4付加重合されてなるエチレン単位を含んでいてもよい。
【0052】
水添スチレン系共重合体において、製造に使用した共重合体Xの共役ジエン系単位全量のうち、炭素-炭素二重結合に水素が添加されている共役ジエン系単位の割合(以下、「水素添加率」と称する場合がある)は、50%以上であることが好ましく、70%~100%であることがより好ましく、80%~100%であることがさらに好ましい。水添スチレン系共重合体の水素添加率が上記の範囲である場合、ポリプロピレン系樹脂と、AS共重合体との界面に、水添スチレン系共重合体が存在しやすくなり、水添スチレン系共重合体の相溶化効果が向上する傾向がある。水添スチレン系共重合体の水素添加率は、100%であってもよい。
【0053】
水添スチレン系共重合体の具体例としては、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン/エチレン/プロピレン/スチレンブロック共重合体(SEPS)などが挙げられる。SEBSは、(a)スチレン単位のみから構成されるスチレンブロック、(b)ブタジエン単位のみから構成されるブタジエンブロックおよび(c)スチレン単位のみから構成されるスチレンブロック、がこの順で結合してなる共重合体(共重合体X)を水素添加して得られる共重合体である。より具体的に、SEBSは、(a)スチレン単位のみから構成されるスチレンブロック、(b)(b-1)1,2付加重合されたブタジエン単位を水添してなるブチレン単位と、(b-2)1,4付加重合されたブタジエン単位を水添してなるエチレン単位と、がランダムに結合しているブロック、および(c)前記スチレンブロックが、この順で結合してなる共重合体である。SEBSにおける、ブチレン単位とエチレン単位とがランダムに結合しているブロックは、ブタジエン単位を含んでいてもよい。SEPSは、(a)スチレン単位のみから構成されるスチレンブロック、(b)イソプレン単位のみから構成されるイソプレンブロックおよび(c)スチレン単位のみから構成されるスチレンブロック、がこの順で結合してなる共重合体(共重合体X)を水素添加して得られる共重合体である。より具体的に、SEPSは、(a)スチレン単位のみから構成されるスチレンブロック、(b)イソプレン単位を水添してなる、エチレン単位およびプロピレン単位がランダムに結合しているブロック、および(c)前記スチレンブロックが、この順で結合してなる共重合体である。これらの中でも比較的強度が高いという利点があることから、水添スチレン系共重合体はSEBSを含むことが好ましく、SEBSであることが特に好ましい。
【0054】
水添スチレン系共重合体のスチレン単位含有量(以下、「スチレン含有量」と称する場合がある。)は、当該水添スチレン系共重合体100重量%中、5重量%~90重量%であることが好ましく、10重量%~85重量%であることが好ましく、15重量%~80重量%であることがより好ましく、25重量%~55重量%であることがより好ましい。当該構成によると、ポリプロピレン系樹脂とAS共重合体との相溶性を高めることができるという利点を有する。特に、水添スチレン系共重合体のスチレン単位含有量が当該水添スチレン系共重合体100重量%中、15重量%以上である場合、従来品と比較して成形後の収縮および変形がより低減された発泡成形体が得られる傾向がある。
【0055】
本発泡粒子における、水添スチレン系共重合体の含有量は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、3.0重量部~30.0重量部であり、4.0重量部~25.0重量部が好ましく、5.0重量部~20.0重量部がより好ましく、5.0重量部~15.0重量部がさらに好ましく、5.0重量部~10.0重量部が特に好ましい。水添スチレン系共重合体の含有量が、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して3.0重量部以上である場合、水添スチレン系共重合体によるポリプロピレン系樹脂とAS共重合体との相溶化効果が十分に発揮されるという利点を有する。水添スチレン系共重合体の含有量が、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して30.0重量部以下である場合、(a)発泡性に優れる発泡粒子が得られ、(b)発泡粒子を成形してなる発泡成形体の剛性が十分となり、かつ(c)従来品と比較して成形後の収縮および変形がより低減された発泡成形体が得られるという利点を有する。
【0056】
(その他の樹脂等)
本発泡粒子は、本発明の一実施形態に係る効果を損なわない範囲で、樹脂成分として、ポリプロピレン系樹脂、AS共重合体および水添スチレン系共重合体以外の樹脂(その他の樹脂等、と称する場合がある。)をさらに含んでいてもよい。前記その他の樹脂等としては、(a)高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、およびエチレン/メタアクリル酸共重合体などのエチレン系樹脂、(b)ポリスチレン、スチレン/無水マレイン酸共重合体、およびスチレン/エチレン共重合体などのスチレン系樹脂、(c)ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテルなどのポリフェニレンエーテル系樹脂、(d)プロピレン/α-オレフィン系ワックスなどのポリオレフィン系ワックス、並びに(e)エチレン/プロピレンゴム、エチレン/ブテンゴム、エチレン/ヘキセンゴム、エチレン/オクテンゴムなどのオレフィン系ゴム、などが挙げられる。なお、スチレン系樹脂およびポリフェニレンエーテル系樹脂は非晶性樹脂である。
【0057】
本発泡粒子における、その他樹脂等の含有量は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0重量部より多く50重量部以下が好ましく、0重量部より多く30重量部以下がより好ましい。また、本発泡粒子は、その他樹脂等を含まなくともよい。すなわち、本発泡粒子における、その他樹脂等の含有量は0重量部であってもよい。
【0058】
(添加剤)
本発泡粒子は、ポリプロピレン系樹脂、AS共重合体および水添スチレン系共重合体を含む樹脂成分の他に、さらに任意で添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、着色剤、吸水性物質、発泡核剤、帯電防止剤、難燃剤、酸化防止剤、光安定剤、結晶核剤、導電剤、滑剤等が挙げられる。このような添加剤は、本発泡粒子の製造において、樹脂粒子の製造中に使用して樹脂粒子へ含有させてもよく、後述する発泡工程において分散液へ直接添加してもよい。
【0059】
吸水性物質は、本発泡粒子の製造において、樹脂粒子中の含浸水分量を増加させることを目的として、使用される物質である。本発泡粒子を製造するときに吸水性物質を使用することにより、樹脂粒子に発泡性を付与することができる。吸水性物質による樹脂粒子への発泡性付与効果は、発泡剤として水を用いる場合に特に顕著になる。
【0060】
本発明の一実施形態で用いられ得る吸水性物質としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、C12~C18の脂肪族アルコール類(例えば、ペンタエリスリトール、セチルアルコール、ステアリルアルコール)、メラミン、イソシアヌル酸、メラミン-イソシアヌル酸縮合物、ホウ酸亜鉛等が挙げられる。これら吸水性物質の1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。また、2種類以上の吸水性物質を混合して使用する場合、目的に応じて、混合比率を適宜調整してもよい。
【0061】
グリセリンおよびポリエチレングリコールは、(a)発泡粒子の平均気泡径の微細化を促進することなく、(b)ポリプロピレン系樹脂との親和性も良好である。それ故、上述した吸水性物質の中でも、グリセリンおよび/またはポリエチレングリコールが好ましい。
【0062】
本発泡粒子の製造における吸水性物質の使用量、換言すれば本発泡粒子における吸水性物質の含有量について説明する。本発泡粒子における、ポリプロピレン系樹脂、AS共重合体および水添スチレン系共重合体の合計量100重量部に対する吸水性物質の含有量は、0.01重量部~1.00重量部であることが好ましく、0.05重量部~0.70重量部であることがより好ましく、0.10重量部~0.60重量部であることがさらに好ましい。吸水性物質の前記含有量が、(i)0.01重量部以上である場合、吸水性物質による発泡性付与効果を十分に得ることができ、(ii)1.00重量部以下である場合、得られる発泡粒子が収縮する虞がない。
【0063】
発泡核剤は、本発泡粒子の製造において使用され得、樹脂粒子が発泡するときに発泡核となり得る物質である。本発泡粒子の製造において、発泡核剤を使用することが好ましく、換言すれば、本発泡粒子は発泡核剤を含むことが好ましい。
【0064】
本発明の一実施形態で用いられ得る発泡核剤としては、例えば、シリカ(二酸化ケイ素)、ケイ酸塩、アルミナ、珪藻土、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、長石アパタイト、硫酸バリウム等が挙げられる。ケイ酸塩としては、例えば、タルク、ケイ酸マグネシウム、カオリン、ハロイサイト、デッカイト、ケイ酸アルミニウム、ゼオライトなどが挙げられる。なお、これら発泡核剤の1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。また、2種類以上の発泡核剤を混合して使用する場合、目的に応じて、混合比率を適宜調整してもよい。
【0065】
本発泡粒子の製造における発泡核剤の使用量、換言すれば本発泡粒子における発泡核剤の含有量について説明する。本発泡粒子における発泡核剤の含有量は、平均気泡径の均一性の観点から、ポリプロピレン系樹脂、AS共重合体および水添スチレン系共重合体の合計量100重量部に対して、0.005重量部~2.000重量部が好ましく、0.010重量部~1.000重量部がより好ましく、0.030重量部~0.500重量部がさらに好ましい。
【0066】
本発泡粒子の製造における添加剤の合計使用量、換言すれば本発泡粒子における各添加剤の合計の含有量は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0重量部より多く10重量部以下が好ましく、0重量部より多く5重量部以下がより好ましい。また、本発泡粒子は、各添加剤を含まなくともよい。すなわち、本発泡粒子における、各添加剤の含有量は0重量部であってもよい。
【0067】
<物性>
以下、本発泡粒子の物性について説明する。
【0068】
(発泡粒子の発泡倍率)
本発泡粒子は、発泡倍率が15.0倍~50.0倍であることが好ましく、15.0倍~40.0倍であることがより好ましく、15.0倍~25.0倍であることがさらに好ましく、15.0倍~20.0倍であることが特に好ましい。発泡粒子の発泡倍率が(i)15.0倍以上であれば、軽量な発泡成形体を、生産効率よく得ることができ、(ii)50.0倍以下であれば、得られる発泡成形体の強度が不足する虞がない。本明細書において、「発泡性に優れる」発泡粒子とは、樹脂粒子を直接発泡してなる発泡粒子(後述する1段発泡粒子)の発泡倍率が15.0倍以上である発泡粒子を意図する。
【0069】
本明細書において、発泡粒子の発泡倍率は、以下(1)~(6)の方法によって算出される:(1)一定量の発泡粒子の重量Giを0.001gの単位まで正確に測定する(小数点以下4桁目を四捨五入);(2)次に、重量Giの測定に用いた発泡粒子の全量を、メスシリンダー内に収容された23℃、100mLのエタノール中に浸漬させる;(3)メスシリンダーの液面位置の上昇分に基づき当該発泡粒子の体積yi(cm)を測定する;(4)発泡粒子の重量Gi(g)を当該発泡粒子の体積yi(cm)で除し、これをg/L単位に換算することにより発泡粒子の見かけ密度di(g/L)算出する;(5)発泡粒子の代わりに発泡粒子の製造に使用した樹脂粒子を用いて(1)~(4)と同様の操作を行うことにより、樹脂粒子の密度ds(g/L)を算出する;(6)以下の式によって発泡粒子の発泡倍率を算出する:
発泡倍率Ki=ds/di。
【0070】
(発泡粒子のDSC比)
本発泡粒子は、後述の示差走査熱量測定で得られるDSC曲線において融解ピークを少なくとも2つ有することが好ましい。当該融解ピークのうち、高温側の融解ピークから求められる融解熱量を「高温側融解熱量」とし、低温側の融解ピークから求められる融解熱量を「低温側融解熱量」とする。また、融解ピークが3つ以上である場合には、最も高温の融解ピークから求められる融解熱量を「高温側融解熱量」し、それ以外の融解ピークから求められる融解熱量を「低温側融解熱量」とする。
【0071】
本発泡粒子のDSC比は、特に限定されないが、10.0%~50.0%であることが好ましく、20.0%~40.0%であることがより好ましく、22.0%~30.0%であることがさらに好ましい。発泡粒子のDSC比が10.0%以上である場合、発泡粒子を成形して得られる発泡成形体が十分な強度を有するという利点を有する。一方、発泡粒子のDSC比が40%以下である場合、発泡粒子を比較的低い成形温度で成形することができるという利点を有する。
【0072】
本明細書において、DSC比とは、本発泡粒子のDSC曲線から算出される、全融解熱量に対する高温側融解熱量の割合、を意図する。本明細書において、DSC曲線は、示差走査熱量計(例えばセイコーインスツルメンツ社製DSC6200型)を用いて得られる。より具体的に、本明細書において、示差走査熱量計(例えばセイコーインスツルメンツ社製DSC6200型)を用いる発泡粒子のDSC比の測定(算出)方法は次の(1)~(5)の通りである:(1)発泡粒子5mg~6mgを量り取る;(2)発泡粒子の温度を10℃/分の昇温速度にて40℃から220℃まで昇温して、発泡粒子を融解する;(3)前記(2)の過程で得られる発泡粒子のDSC曲線において、(a)最も高温の融解ピークと当該融解ピークの隣(低温側)の融解ピークとの間の極大点と、融解開始前の温度を表す点とを直線で結び、かつ(b)前記極大点と融解終了後の温度を表す点とを直線で結ぶ;(4)(a)(a-1)前記極大点と融解終了後の温度を表す点とを結ぶ線分と、(a-2)DSC曲線と、に囲まれる高温側の領域から算出される熱量を高温側融解熱量とし、(b)(b-1)前記極大点と融解開始前の温度を表す点とを結ぶ線分と、(b-2)DSC曲線と、に囲まれる低温側の領域から算出される熱量を低温側融解熱量とし、(c)高温側融解熱量と、低温側融解熱量との和を全融解熱量(=高温側融解熱量+低温側融解熱量)とする;(5)以下の式からDSC比を算出する:
DSC比(%)=(高温側融解熱量/全融解熱量)×100。
【0073】
本発泡粒子のDSC比は、発泡粒子に含まれる融点の高い結晶量の目安となる値でもある。すなわち、発泡粒子のDSC比が10.0%~50.0%であることは、当該発泡粒子が融点の高い結晶を比較的多く含むことを示す。また、発泡粒子のDSC比は、樹脂粒子を発泡させる際、および発泡粒子を膨脹させる際の、樹脂粒子および発泡粒子の粘弾性に大きく関与する。すなわち、発泡粒子のDSC比が10.0%~50.0%である場合、樹脂粒子を発泡する際、および発泡粒子を成形する際に、樹脂粒子および発泡粒子が、それぞれ、優れた発泡性および膨脹性を発揮できる。その結果、発泡粒子は、低い成形圧力で内部融着性に優れるとともに圧縮強度等の機械的強度に優れた発泡成形体を得ることができるという利点を有する。
【0074】
本発泡粒子において、DSC比を所定の範囲に制御する方法としては、本発泡粒子の製造時の条件(特に、発泡温度、発泡圧力、保持時間、および分散液を放出する領域(空間)の温度等)を調整する方法等が挙げられる。調整が容易である点から、DSC比を所定の範囲に制御する方法としては、発泡温度、発泡圧力および/または保持時間を調整する方法が好ましい。
【0075】
例えば、発泡温度を高くすると、得られる発泡粒子のDSC比は小さくなる傾向があり、逆に発泡温度を低くすると、得られる発泡粒子のDSC比は大きくなる傾向がある。これは発泡温度によって、発泡粒子に含まれる融解していない結晶の量が変化するためである。また発泡圧力を高くすると、得られる発泡粒子のDSC比は小さくなる傾向があり、逆に発泡圧力を低くすると、得られる発泡粒子のDSC比は大きくなる傾向がある。これは発泡圧力によって、可塑化の度合いが変化し、それによって発泡粒子に含まれる融解していない結晶の量が変化するためである。また、保持時間を長くするほど、得られる発泡粒子のDSC比は大きくなる傾向がある。これは保持時間によって、発泡粒子に含まれる融解していない結晶の成長量が変化するためである。
【0076】
(連続気泡率)
本発泡粒子の連続気泡率は、低いほど好ましい。本発泡粒子の連続気泡率は、15.0%以下であることが好ましく、10.0%以下であることがより好ましく、9.0%以下であることがより好ましく、8.0%以下であることがより好ましく、7.0%以下であることがより好ましく、6.0%以下であることがより好ましく、5.0%以下であることがより好ましく、4.0%以下であることがさらに好ましく、3.0%以下であることが特に好ましい。本発泡粒子の連続気泡率の下限値は特に限定されず、例えば0.0%以上である。当該構成によると、(a)発泡粒子の成形時に、セルが破泡して収縮することがほとんどないため、当該発泡粒子が成形性に優れるという利点、および(b)当該発泡粒子を用いて得られた発泡成形体において、形状の任意性、緩衝性、軽量性、圧縮強度および断熱性などの特徴がより発揮されるという利点を有する。本発泡粒子の連続気泡率は、例えば、AS共重合体の使用量等により制御することができる。
【0077】
本明細書において、発泡粒子の連続気泡率は、空気比較式比重計[東京サイエンス(株)製、モデル1000]を用いて、ASTM D2856-87の手順C(PROSEDURE C)に記載の方法に従って、測定して求められる値である。発泡粒子の連続気泡率は、具体的には、以下(1)~(4)を順に実施して算出される:(1)空気比較式比重計を用いて発泡粒子の体積Vc(cm)を測定する;(2)次いで、Vcを測定後の発泡粒子の全量を、メスシリンダーに入っているエタノール中に沈める;(3)その後、メスシリンダーにおけるエタノールの位置の上昇量から、発泡粒子の見かけ上の体積Va(cm)を求める;(4)以下の式により、発泡粒子の連続気泡率を算出する:連続気泡率(%)=((Va-Vc)×100)/Va。なお、上記のような体積Vaの測定の方法は水没法とも称される。
【0078】
<ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法>
本発泡粒子の製造方法としては、特に限定されず、公知の製造方法を適宜使用することができる。本発泡粒子の製造方法としては、ポリプロピレン系樹脂粒子を発泡させる発泡工程を有し、前記ポリプロピレン系樹脂粒子は、ポリプロピレン系樹脂100重量部と、アクリロニトリル単位およびスチレン系単位を含む共重合体5重量部~60重量部と、水添スチレン系共重合体3重量部~30重量部と、を含む方法であることが好ましい。以下に、本発泡粒子の製造方法の一態様について詳説するが、以下に詳説した事項以外は、適宜、上述の記載(例えば<成分>の項の記載)を援用する。なお、本発泡粒子の製造方法は以下の製造方法に限定されるものではない。
【0079】
(造粒工程)
本発泡粒子を製造するに際しては、まず、ポリプロピレン系樹脂粒子を製造する工程(造粒工程)が行われ得る。本明細書において、「ポリプロピレン系樹脂粒子」を「樹脂粒子」と称する場合がある。造粒工程は、ポリプロピレン系樹脂100重量部と、アクリロニトリル単位およびスチレン系単位を含む共重合体5重量部~60重量部と、水添スチレン系共重合体3重量部~30重量部と、を含む樹脂粒子を製造する工程であるとも言える。
【0080】
樹脂粒子を製造する方法としては、押出機を用いる方法が挙げられる。具体的には、例えば、以下の(1)~(5)の方法によって、樹脂粒子を作製することができる:(1)ポリプロピレン系樹脂、AS共重合体および水添スチレン系共重合体、並びに必要に応じて、その他の樹脂および添加剤からなる群より選択される1つ以上をブレンドしてブレンド物を作製する;(2)当該ブレンド物を押出機に投入し、当該ブレンド物を溶融混練して、ポリプロピレン系樹脂組成物を調製する;(3)当該ポリプロピレン系樹脂組成物を押出機が備えるダイより押出す;(4)押出されたポリプロピレン系樹脂組成物を水中に通す等により冷却することによって固化する;(5)その後、固化されたポリプロピレン系樹脂組成物をカッターにて、円柱状、楕円状、球状、立方体状、直方体状等のような所望の形状に細断する。あるいは、(3)にて、溶融混練されたポリプロピレン系樹脂組成物を押出機が備えるダイより直接水中に押出し、押出直後にポリプロピレン系樹脂組成物を粒子形状に裁断し、冷却し、固化しても良い。このように、ブレンド物を溶融混練することにより、より均一な樹脂粒子を得ることができる。
【0081】
以上のようにして得られる樹脂粒子の一粒あたりの重量としては、0.5mg/粒~3.0mg/粒が好ましく、0.7mg/粒~2.5mg/粒がより好ましい。樹脂粒子の一粒あたりの重量が0.5mg/粒以上である場合、樹脂粒子のハンドリング性が向上する傾向があり、3.0mg/粒以下である場合、型内発泡成形工程において金型充填性が向上する傾向がある。
【0082】
造粒工程に供される(ブレンドおよび溶融混練される)ポリプロピレン系樹脂、AS共重合体および水添スチレン系共重合体、並びに、その他の樹脂および添加剤の量が、製造される樹脂粒子における、前記の各成分の含有量となる。したがって、造粒工程は、少なくとも、ポリプロピレン系樹脂100重量部と、アクリロニトリル単位およびスチレン系単位を含む共重合体5重量部~60重量部と、水添スチレン系共重合体3重量部~30重量部と、をブレンドし、当該ブレンド物を溶融混練する工程を含むことが好ましい。
【0083】
(発泡工程)
本発泡粒子の製造方法における発泡工程の態様としては、樹脂粒子を発泡させることができる限り、特に限定されない。本発明の一実施形態において、発泡工程は、
(a)樹脂粒子と、水系分散媒と、発泡剤と、必要に応じて分散剤および/または分散助剤とを容器中に分散させる分散工程と、
(b)容器内温度を一定温度まで昇温し、かつ容器内圧力を一定圧力まで昇圧する昇温-昇圧工程と、
(c)容器内温度および圧力を一定温度かつ一定圧力で保持する保持工程と、
(d)容器の一端を解放し、容器内の分散液を、発泡圧力(すなわち、容器内圧力)よりも低圧の領域(空間)に放出する放出工程と、を含むことが好ましい。
【0084】
なお、このように、樹脂粒子から発泡粒子を製造する工程を「1段発泡工程」と呼び、得られた発泡粒子を「1段発泡粒子」と呼ぶ。
【0085】
発泡工程に供される樹脂粒子の含む、ポリプロピレン系樹脂、AS共重合体および水添スチレン系共重合体の量が、得られる発泡粒子における、ポリプロピレン系樹脂、AS共重合体および水添スチレン系共重合体の量となる。したがって、本発泡粒子の製造方法における発泡工程は、ポリプロピレン系樹脂100重量部と、アクリロニトリル単位およびスチレン系単位を含む共重合体5重量部~60重量部と、水添スチレン系共重合体3重量部~30重量部と、を含む樹脂粒子を発泡させる工程であることが好ましい。
【0086】
(分散工程)
分散工程は、例えば、水系分散媒中に樹脂粒子と発泡剤と、必要に応じて分散剤および/または分散助剤とが分散している分散液を調製する工程ともいえる。
【0087】
分散工程で使用する容器としては特に限定されないが、後述する発泡温度および発泡圧力に耐えられる容器であることが好ましい。容器としては、例えば、耐圧容器であることが好ましく、オートクレーブ型の耐圧容器であることがより好ましい。
【0088】
水系分散媒としては、樹脂粒子、発泡剤等を均一に分散できるものであればよく、特に限定されない。水系分散媒としては、例えば、(a)メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等を水に添加して得られた分散媒、(b)水道水および工業用水などの水、などが挙げられる。発泡粒子の安定した生産が可能な点から、水系分散媒としては、RO水(逆浸透膜法により精製された水)、蒸留水、脱イオン水(イオン交換樹脂により精製された水)等の純水および超純水等を用いることが好ましい。
【0089】
水系分散媒の使用量は、特に限定されないが、樹脂粒子100重量部に対して、100重量部~400重量部が好ましい。水系分散媒の使用量が(a)100重量部以上である場合、分散液の安定性が低下する虞がなく(換言すれば、樹脂粒子の分散が良好となり)、(b)400重量部以下である場合、発泡粒子の生産性が低下する虞がない。
【0090】
発泡剤としては、(a)(a-1)窒素、二酸化炭素、空気(酸素、窒素、二酸化炭素の混合物)等の無機ガス、および(a-2)水、などの無機系発泡剤;並びに(b)(b-1)プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン等の炭素数3~5の飽和炭化水素、(b-2)ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、およびメチルエチルエーテル等のエーテル、(b-3)モノクロルメタン、ジクロロメタン、ジクロロジフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素、などの有機系発泡剤;等が挙げられる。発泡剤としては、上述した無機系発泡剤および有機系発泡剤からなる群より選ばれる少なくとも1種類以上を用いることができる。2種類以上の発泡剤を混合して使用する場合、目的に応じて、混合比率を適宜調整してもよい。環境負荷および発泡力の観点から、発泡剤としては上述した中でも無機系発泡剤が好ましい。また、適度に可塑化効果が高く、本発泡粒子の製造における発泡粒子の発泡性を向上させやすい点から、無機系発泡剤の中でも二酸化炭素が好ましい。
【0091】
発泡剤の使用量は、特に限定されず、(a)発泡剤の種類、および/または(b)発泡粒子の所望の発泡倍率、に応じて適宣使用すれば良い。発泡剤の使用量は、例えば、樹脂粒子100重量部に対して、1重量部~10000重量部が好ましく、1重量部~5000重量部がより好ましく、1重量部~1000重量部がさらに好ましい。発泡剤の使用量が樹脂粒子100重量部に対して1重量部以上である場合、密度の好適な発泡粒子を得ることができる。一方、発泡剤の使用量が樹脂粒子100重量部に対して10000重量部以下である場合、発泡剤の使用量に応じた効果が得られるため、経済的な無駄が生じない。発泡剤の使用量は、例えば、樹脂粒子100重量部に対して、1重量部~100重量部であってもよく、1重量部~10重量部であってもよい。
【0092】
発泡剤として水を用いる場合、容器中の分散液中の水を発泡剤として利用できる。具体的には、発泡剤として分散液中の水を用いる場合、予め樹脂粒子に吸水性物質を含有させておくことが好ましい。これにより、樹脂粒子が容器中の分散液の水を吸収し易くなり、その結果、水を発泡剤として利用し易くなる。
【0093】
本発泡粒子の製造方法では、分散剤を使用することが好ましい。分散剤を使用することにより、樹脂粒子同士の合着(ブロッキングと称する場合がある。)を低減でき、安定的に発泡粒子を製造できるという利点を有する。分散剤としては、例えば、第三リン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、タルク、クレイ、酸化アルミニウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム等の無機物が挙げられる。これら分散剤の1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。また、2種類以上の分散剤を混合して使用する場合、目的に応じて、混合比率を適宜調整してもよい。
【0094】
本発明の一実施形態で用いられる分散液中の分散剤の使用量は、樹脂粒子100重量部に対して、0.01重量部~3.00重量部が好ましく、0.05重量部~2.00重量部がより好ましく、0.10重量部~1.00重量部がさらに好ましい。分散剤の使用量が、(a)0.01重量部以上である場合、樹脂粒子の分散不良を引き起こす虞がなく、(b)3.00重量部以下である場合、得られる発泡粒子を用いる型内発泡成形時において、発泡粒子同士の融着不良を引き起こす虞がない。
【0095】
本発泡粒子の製造方法では、(a)樹脂粒子同士の合着低減効果を向上させるために、および/または(b)容器内での分散液の安定性を高めるために、分散助剤を使用することが好ましい。分散助剤としては、例えば、アニオン界面活性剤が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。これら分散助剤の1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。また、2種類以上の分散助剤を混合して使用する場合、目的に応じて、混合比率を適宜調整してもよい。
【0096】
本発明の一実施形態で用いられる分散液中の分散助剤の使用量は、樹脂粒子100重量部に対して、0.001重量部~0.500重量部であることが好ましく、0.001重量部~0.200重量部であることがより好ましく、0.010重量部~0.200重量部であることがさらに好ましい。分散助剤の使用量が前記範囲内である場合、樹脂粒子の分散不良を引き起こす虞がない。
【0097】
分散液の安定性が低下すると、容器中で複数の樹脂粒子同士が合着する場合、または塊となる場合がある。その結果、(i)合着した発泡粒子が得られたり、(ii)容器中に樹脂粒子の塊が残存して発泡粒子が製造できなかったり、あるいは(iii)発泡粒子の生産性が低下したりする場合がある。
【0098】
(昇温-昇圧工程および保持工程)
昇温-昇圧工程は、分散工程後に実施されることが好ましく、保持工程は、昇温-昇圧工程後に実施されることが好ましい。本明細書において、昇温-昇圧工程および保持工程における(a)一定温度を発泡温度と称する場合があり、(b)一定圧力を発泡圧力と称する場合がある。
【0099】
発泡温度は、ポリプロピレン系樹脂、AS共重合体および水添スチレン系共重合体の種類、発泡剤の種類、所望の発泡粒子の見掛け密度等によって異なるので、一概には規定できない。発泡温度は、(i)(a)ポリプロピレン系樹脂、AS共重合体および水添スチレン系共重合体の混合物、(b)ポリプロピレン系樹脂組成物、または(c)樹脂粒子の融点-20.0℃~融点+10.0℃であることが好ましく、(ii)(a)ポリプロピレン系樹脂、AS共重合体および水添スチレン系共重合体の混合物、(b)ポリプロピレン系樹脂組成物、または(c)樹脂粒子の融点-15.0℃~融点+8.0℃であることがより好ましく、(iii)(a)ポリプロピレン系樹脂、AS共重合体および水添スチレン系共重合体の混合物、(b)ポリプロピレン系樹脂組成物、または(c)樹脂粒子の融点-10.0℃~融点+6.0℃であることがさらに好ましい。
【0100】
発泡圧力は、1.0MPa(ゲージ圧)~10.0MPa(ゲージ圧)が好ましく、2.0MPa(ゲージ圧)~5.0MPa(ゲージ圧)がより好ましく、2.5MPa(ゲージ圧)~3.5MPa(ゲージ圧)がより好ましい。発泡圧力が1.0MPa(ゲージ圧)以上であれば、密度の好適な発泡粒子を得ることができる。
【0101】
保持工程において、容器内の分散液を発泡温度および発泡圧力付近で保持する時間(保持時間)は、特に限定されない。保持時間は、10分間~60分間が好ましく、12分間~55分間がより好ましく、15分間~50分間がさらに好ましい。保持時間が10分間以上である場合、融解していない結晶(ポリプロピレン系樹脂の結晶)が十分な量存在し、その結果、得られる発泡粒子の収縮および/または連続気泡率の上昇を低減できるという利点を有する。一方、保持時間が60分間以下である場合、融解していない結晶が過剰な量存在しないため、発泡粒子を低い成形温度で成形することができるという利点を有する。
【0102】
(放出工程)
放出工程は、(a)保持工程を実施しない場合には昇温-昇圧工程後、(b)保持工程後を実施する場合には保持工程後、に実施されることが好ましい。放出工程により、樹脂粒子を発泡させることができ、結果として発泡粒子が得られる。
【0103】
放出工程において、「発泡圧力よりも低圧の領域」は、「発泡圧力よりも低い圧力下の領域」または「発泡圧力よりも低い圧力下の空間」を意図し、「発泡圧力よりも低圧の雰囲気下」ともいえる。発泡圧力よりも低圧の領域は、発泡圧力よりも低圧であれば特に限定されず、例えば、大気圧下の領域であってもよい。
【0104】
放出工程において、発泡圧力よりも低圧の領域に分散液を放出するとき、分散液の流量調整、得られる発泡粒子の発泡倍率のバラツキ低減等の目的で、直径1mm~5mmの開口オリフィスを通して分散液を放出することもできる。また、発泡性を向上させる目的で、前記低圧の領域(空間)を飽和水蒸気で満たしても良い。
【0105】
(2段発泡工程)
ところで、発泡倍率の高い発泡粒子を得る為には、1段発泡工程において無機系発泡剤の使用量を多量にするという方法(以下、方法1とする)がある。さらに、方法1以外の方法として、1段発泡工程で比較的低倍率(発泡倍率2.0倍~35.0倍程度)の発泡粒子(1段発泡粒子)を得た後、得られた1段発泡粒子を再度発泡させることで発泡倍率を高くする方法(以下、方法2とする)、も採用可能である。
【0106】
前記方法2としては、例えば、次の(a1)~(a3)を順に含む方法があげられる:(a1)1段発泡工程において発泡倍率2.0倍~35.0倍の1段発泡粒子を製造する;(a2)当該1段発泡粒子を耐圧容器内に入れ、窒素、空気、二酸化炭素等で0.2MPa(ゲージ圧)~0.6MPa(ゲージ圧)で加圧処理することにより1段発泡粒子内の圧力(以下、「内圧」と称す場合がある)を常圧よりも高くする;(a3)その後、内圧を高めた1段発泡粒子を水蒸気等で加熱してさらに発泡させる方法。方法2のように、1段発泡粒子の発泡倍率を高める工程を「2段発泡工程」と呼び、方法2の方法によって得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子を「2段発泡粒子」と呼ぶ。
【0107】
2段発泡工程の前記(a3)において、1段発泡粒子を加熱するための水蒸気の圧力は、2段発泡粒子の発泡倍率を考慮した上で、0.03MPa(ゲージ圧)~0.20MPa(ゲージ圧)に調整することが好ましい。2段発泡工程における水蒸気の圧力が0.03MPa(ゲージ圧)以上である場合、発泡倍率が向上し易い傾向があり、0.20MPa(ゲージ圧)以下である場合、得られる2段発泡粒子同士が合着する可能性が低下する。なお、2段発泡粒子同士が合着した場合、得られる2段発泡粒子をその後の型内発泡成形に供することができなくなる場合がある。
【0108】
1段発泡粒子に窒素、空気、二酸化炭素等を含浸させて得られる1段発泡粒子の内圧は、2段発泡粒子の発泡倍率および2段発泡工程の水蒸気圧力を考慮して適宜変化させることが望ましい。1段発泡粒子の内圧は、0.15MPa(絶対圧)~0.60MPa(絶対圧)が好ましく、0.20MPa(絶対圧)~0.60MPa(絶対圧)がより好ましく、0.30MPa(絶対圧)~0.60MPa(絶対圧)がさらに好ましい。1段発泡粒子の内圧が0.15MPa(絶対圧)以上である場合、発泡倍率を向上させるために高い圧力の水蒸気を必要としないため、2段発泡粒子が合着する可能性が低下する。1段発泡粒子の内圧が0.60MPa(絶対圧)以下である場合、2段発泡粒子が連泡化する可能性が低下する。その結果、最終的に得られる型内発泡成形体の圧縮強度等の剛性が低下する可能性が低下する。なお、「連泡化」は、「気泡の連通化」ともいえる。
【0109】
〔2.ポリプロピレン系樹脂発泡成形体〕
本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡成形体は、〔1.ポリプロピレン系樹脂発泡粒子〕の項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を成形してなる発泡成形体である。本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡成形体は、〔1.ポリプロピレン系樹脂発泡粒子〕の項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を含む、ともいえる。また、本発泡成形体は、本発泡粒子の製造方法(例えば、前記<ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法>の項に記載の製造方法)により得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子を成形してなる発泡成形体であるともいえ、本発泡粒子の製造方法により得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子を含む発泡成形体であるともいえる。また、本発泡成形体は、前記〔1.ポリプロピレン系樹脂発泡粒子〕の項に記載の本発泡粒子を成形してなる発泡成形体であるともいえ、本発泡粒子を含む発泡成形体であるともいえる。
【0110】
本明細書において、「本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡成形体」を「本発泡成形体」と称する場合がある。
【0111】
本発泡成形体は、上述の構成を有するために、成形後の収縮および変形がほとんどないという利点を有する。
【0112】
(収縮率)
本明細書において、発泡成形体に関して「成形後の収縮がほとんどない」とは、以下の(1)~(3)の方法によって測定して求められる収縮率が小さいことを意図する:(1)寸法が既知である金型(例えば、長手方向369mm×短手方向319mm×厚み方向50mm)を用いて、発泡粒子を型内発泡成形する。ここで、金型の長手方向の長さをL0とする;(2)得られる発泡成形体の長手方向の長さL1を測定する。;(3)下記式に従って収縮率(%)を算出する:
収縮率(%)=((L1-L0)×100)/L0。
【0113】
本発泡成形体は、収縮率が1.2%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがより好ましく、0.8%以下であることがさらに好ましく、0.6%以下であることが特に好ましい。収縮率が1.2%以下である発泡成形体は、製造によって得られる発泡成形体に寸法上のばらつきが生じ難いことを意図し、寸法安定性が良好であるといえる。寸法安定性が良好である発泡成形体を提供し得る発泡粒子、および当該発泡成形体は、金属などの他の素材と一体成型されるインサート成形の分野において、好適に利用できるという利点を有する。
【0114】
(変形量)
以下に、図1を参照して、本発泡成形体の変形量について、説明する。図1は、変形量の評価に使用する発泡成形体100の概略図である。発泡成形体100は、金型中央部に仕切板を有する金型(長手方向350mm×短手方向320mm×厚さ方向(移動型の駆動方向)180mm)を用いて製造される。図1中、X方向は発泡成形体100の厚さ方向とも言え、また、移動型の駆動方向とも言える。Y方向は発泡成形体100の長手方向とも言え、X方向に対して垂直に交わる方向である。Z方向は発泡成形体100の短手方向とも言え、X方向およびY方向のそれぞれと垂直に交わる方向である。図1に示すように、発泡成形体100において、長手方向の2つの両端部のZ方向の寸法(長さ)を、それぞれ、K1、K2とし、長手方向の中央部のZ方向の寸法をK3とする。
【0115】
本明細書において、発泡成形体に関して「変形がほとんどない」とは、以下の(1)~(3)の方法によって測定して求められる変形量が小さいことを意図する:(1)長手方向(Y方向)350mm、短手方向(Z方向)320mmおよび厚さ方向(X方向)180mmの寸法(長さ)を有し、かつ金型中央部に仕切板を有する金型を用いて、発泡粒子を型内発泡成形する;(2)得られた発泡成形体(発泡成形体100)の長手方向の2つの両端部のZ方向の寸法(mm)(K1、K2)と長手方向の中央部のZ方向の寸法(mm)(K3)を測定する;(3)下記式に従って変形量を算出する:
変形量(mm)={(K1+K2)/2}-K3。
【0116】
本発泡成形体は、変形量が14.0mm以下であることが好ましく、13.0mm以下であることがより好ましく、12.0mm以下であることがより好ましく、11.0mm以下であることがより好ましく、10.0mm以下であることがより好ましく、9.0mm以下であることがより好ましく、8.0mm以下であることがより好ましく、7.0mm以下であることがより好ましく、6.0mm以下であることがさらに好ましく、5.0mm以下であることが特に好ましい。変形量が14.0mm以下である発泡成形体は、製造によって得られる発泡成形体に寸法上のばらつきが生じ難いことを意図し、寸法安定性が良好であるといえる。
【0117】
<発泡成形体の製造方法>
本発泡成形体の製造方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。本発泡成形体の製造方法としては、前記〔1.ポリプロピレン系樹脂発泡粒子〕の項に記載の本発泡粒子、または、前記<ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法>の項に記載の製造方法により得られた発泡粒子を型内発泡成形する工程を含むことが好ましい。本発泡成形体の製造方法の具体的態様としては、例えば以下(b1)~(b6)を順に含む製造方法(型内発泡成形法)が挙げられるが、かかる製造方法に限定されるものではない:
(b1)駆動し得ない固定型と駆動可能な移動型とから構成される金型を型内発泡成形機に搭載する。ここで、固定型および移動型は、固定型に向かって移動型を駆動させる(当該操作を「型閉じ」と称する場合がある)ことにより、固定型および移動型の内部に形成可能である;
(b2)固定型と移動型とが完全に型閉じされないように、わずかな隙間(クラッキングとも称する)が形成されるように、固定型に向かって移動型を駆動させる;
(b3)固定型および移動型の内部に形成された成形空間内に、例えば充填機を通して、発泡粒子を充填する;
(b4)固定型と移動型とが完全に型閉じするように移動型を駆動させる(すなわち、完全に型閉じする);
(b5)金型を水蒸気で予熱した後、金型を水蒸気で一方加熱および逆一方加熱し、さらに金型を水蒸気で両面加熱することにより、型内発泡成形を行う;
(b6)型内発泡成形物を金型から取り出し、乾燥(例えば、75℃で乾燥)することで、発泡成形体を得る。
【0118】
前記(b3)において、発泡粒子を成形空間に充填する方法として、以下(b3-1)~(b3-4)の方法を挙げることができる:
(b3-1)発泡粒子(上述の2段発泡粒子を含む、以下同じ)を容器内で無機ガスで加圧処理して、当該発泡粒子内に無機ガスを含浸させ、所定の発泡粒子内圧を付与した後、当該発泡粒子を成形空間に充填する方法;
(b3-2)発泡粒子を成形空間に充填した後、当該金型内の体積を10%~75%減ずるように圧縮する方法;
(b3-3)発泡粒子をガス圧力で圧縮して成形空間に充填する方法;
(b3-4)特に前処理することなく、発泡粒子を成形空間に充填する方法。
【0119】
本発泡成形体の製造方法のうち前記(b3-1)法での無機ガスとしては、空気、窒素、酸素、二酸化炭素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等からなる群より選ばれる少なくとも1種を使用できる。これら無機ガスの中でも、空気および/または二酸化炭素が好ましい。
【0120】
本発泡成形体の製造方法のうち前記(b3-1)法での発泡粒子内圧は0.10MPa(絶対圧)~0.30MPa(絶対圧)が好ましく、0.11MPa(絶対圧)~0.25MPa(絶対圧)が好ましい。
【0121】
本発泡成形体の製造方法のうち(b3-1)法での無機ガスを発泡粒子に含浸させる際の容器内の温度としては、10℃~90℃が好ましく、40℃~90℃がより好ましい。
【0122】
前記(b3-2)および(b3-3)の方法では、続く(b5)の工程において、発泡粒子を融着させるために、ガス圧力で圧縮された発泡粒子の回復力を利用している。
【0123】
本発明の一実施形態は、以下の様な構成であってもよい。
【0124】
〔1〕ポリプロピレン系樹脂100重量部と、アクリロニトリル単位およびスチレン系単位を含む共重合体5重量部~60重量部と、水添スチレン系共重合体3.0重量部~30.0重量部と、を含む、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【0125】
〔2〕前記スチレン系単位はα-メチルスチレン単位である、〔1〕に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【0126】
〔3〕前記水添スチレン系共重合体は、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン共重合体(SEBS)である、〔1〕または〔2〕に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【0127】
〔4〕前記水添スチレン系共重合体のスチレン単位含有量は、当該水添スチレン系共重合体100重量%中、15重量%~80重量%である、〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【0128】
〔5〕前記アクリロニトリル単位およびスチレン系単位を含む共重合体のガラス転移温度は95℃~140℃である、〔1〕~〔4〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【0129】
〔6〕〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を成形してなるポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
【0130】
〔7〕ポリプロピレン系樹脂粒子を発泡させる発泡工程を有し、前記ポリプロピレン系樹脂粒子は、ポリプロピレン系樹脂100重量部と、アクリロニトリル単位およびスチレン系単位を含む共重合体5重量部~60重量部と、水添スチレン系共重合体3.0重量部~30.0重量部と、を含む、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【0131】
〔8〕前記スチレン系単位はα-メチルスチレン単位である、〔7〕に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【0132】
〔9〕前記水添スチレン系共重合体は、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン共重合体(SEBS)である、〔7〕または〔8〕に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【0133】
〔10〕前記水添スチレン系共重合体のスチレン単位含有量は、当該水添スチレン系共重合体100重量%中、15重量%~80重量%である〔7〕~〔9〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【0134】
〔11〕前記アクリロニトリル単位およびスチレン系単位を含む共重合体のガラス転移温度は95℃~140℃である、〔7〕~〔10〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【0135】
〔12〕〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子、または、〔7〕~〔11〕のいずれか1つに記載の方法により得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子を成形する工程を含む、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法。
【実施例
【0136】
以下、実施例および比較例をあげて、本発明の一実施形態をより詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0137】
〔材料〕
以下に、実施例および比較例で使用した材料について説明する。
【0138】
<樹脂成分>
(ポリプロピレン系樹脂)
ポリプロピレン系樹脂:1-ブテン/エチレン/プロピレンランダム共重合体[融点149℃、1-ブテン含有率3.8重量%、エチレン含有率0.5重量%、MFR=10g/10分]
(AS共重合体)
AS共重合体1:アクリロニトリル/α-メチルスチレン共重合体[Tg121℃、α-メチルスチレン含有量70重量%(スチレン系含有量70重量%)、MFR=4.9g/10分]
AS共重合体2:アクリロニトリル/スチレン共重合体[Tg108℃、スチレン含有量75重量%(スチレン系含有量75重量%)、MFR=6.1g/10分]
AS共重合体3:アクリロニトリル/スチレン共重合体[Tg115℃、スチレン含有量50重量%(スチレン系含有量50重量%)、MFR=8.1g/10分]
(水添スチレン系共重合体)
水添スチレン系共重合体1:SEBS(スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン共重合体、JSR社製Dynaron9901P)[スチレン含有量53%]
水添スチレン系共重合体2:SEBS(スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン共重合体、JSR社製Dynaron8300P)[スチレン含有量9%]
(その他の樹脂)
(非晶性樹脂)
非晶性樹脂1:ポリスチレン[Tg101℃、MFR=7.0]
非晶性樹脂2:ポリフェニレンエーテルおよびポリスチレンの混合物[Tg120℃、MFR=1.8g/10分]
(相溶化剤)
相溶化剤:ポリプロピレン/(アクリロニトリル/スチレン)グラフト共重合体[主鎖:ポリプロピレン、側鎖:アクリロニトリル/スチレン共重合体、ポリプロピレン:アクリロニトリル/スチレン共重合体=70(モル%):30(モル%)](日油社製ModiperA3400)
<添加剤>
(吸水性物質)
グリセリン(ライオン株式会社製、精製グリセリンD)
(発泡核剤)
タルク(林化成株式会社製、タルカンパウダー(登録商標)PK-S)
〔測定方法〕
各種項目の測定および評価は以下の様に実施した。
【0139】
(ポリプロピレン系樹脂の融点)
ポリプロピレン系樹脂の融点は、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ(株)製、DSC6200型)を用いたDSC法により測定して求められる値とした。具体的な操作手順は以下(1)~(4)の通りであった:(1)ポリプロピレン系樹脂5mg~6mgの温度を10.0℃/分の昇温速度で40.0℃から220.0℃まで昇温することにより、当該ポリプロピレン系樹脂を融解させた;(2)その後、融解されたポリプロピレン系樹脂の温度を10.0℃/分の降温速度で220.0℃から40.0℃まで降温することにより当該ポリプロピレン系樹脂を結晶化させた;(3)その後、さらに、結晶化されたポリプロピレン系樹脂の温度を10.0℃/分の昇温速度で40.0℃から220.0℃まで昇温した;(4)2回目の昇温時(すなわち(3)のとき)に得られる当該ポリプロピレン系樹脂のDSC曲線のピーク(融解ピーク)の温度を当該ポリプロピレン系樹脂の融点とした。なお、上述の方法により、2回目の昇温時に得られる、ポリプロピレン系樹脂のDSC曲線において、ピーク(融解ピーク)が複数存在する場合、融解熱量が最大のピーク(融解ピーク)の温度を、当該ポリプロピレン系樹脂の融点とした。
【0140】
(AS共重合体のガラス転移温度(Tg))
AS共重合体のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計[セイコーインスツルメンツ(株)製、DSC6200型]を用いて、JIS-K-7121に準拠して、以下の(1)~(5)の方法によって測定した:(1)AS共重合体5mgを量り取った;(2)窒素雰囲気下において、当該AS共重合体の温度を、10℃/minで室温から250℃まで昇温した;(3)昇温したAS共重合体の温度を10℃/minで250℃から室温まで降温した;(4)再び、当該AS共重合体の温度を、10℃/minで室温から250℃まで昇温した;(5)2回目の昇温時(すなわち(4)のとき)に得られるAS共重合体のDSC曲線のピーク(融解ピーク)の温度を当該AS共重合体のTgとした。
【0141】
(ポリプロピレン系樹脂およびAS共重合体のMFR)
ポリプロピレン系樹脂またはAS共重合体のMFRは、JIS K7210:1999に記載のMFR測定器を用い、以下の条件下で測定して得られた値とした:オリフィスの直径が2.0959±0.005mmφ、オリフィスの長さが8.000±0.025mm、荷重が2.16kgf、かつ温度が230℃(230±0.2℃)。
【0142】
(発泡粒子の発泡倍率(1段発泡粒子、2段発泡粒子))
発泡粒子の発泡倍率の測定方法は以下の(1)~(6)の通りであった:(1)一定量の発泡粒子(1段発泡粒子または2段発泡粒子)の重量Giを0.001gの単位まで正確に測定した(小数点以下4桁目を四捨五入);(2)次に、重量Giの測定に用いた発泡粒子の全量をメスシリンダー内に収容された23℃、100mLの水中に浸漬させた;(3)メスシリンダーの液面位置の上昇分に基づき当該発泡粒子の体積yi(cm)を測定した;(4)発泡粒子の重量Gi(g)を当該発泡粒子の体積yi(cm)で除し、これをg/L単位に換算することにより発泡粒子の見かけ密度di(g/L)算出した;(5)発泡粒子の代わりに発泡粒子の製造に使用した樹脂粒子を用いて(1)~(4)と同様の操作を行うことにより、樹脂粒子の密度ds(g/L)を算出した;(6)以下の式によって発泡粒子の発泡倍率を算出した:
発泡倍率Ki=ds/di。
【0143】
(発泡性)
同一の条件で1段発泡工程を行って得られる1段発泡粒子の発泡倍率によって、発泡粒子の発泡性を評価した。評価基準は下記の通りである。
〇(良好):1段発泡粒子の発泡倍率が15.0倍以上である。
×(不良):1段発泡粒子の発泡倍率が15.0倍未満である。
【0144】
ここで、発泡粒子の発泡倍率は、発泡粒子のDSC比の影響をうける。例えば、発泡粒子のDSC比が低くなるように発泡温度等を調整して発泡粒子を製造する場合、高い発泡倍率の発泡粒子が得られる傾向がある。それゆえ、異なる発泡粒子の発泡倍率を比較する場合は、発泡粒子のDSC比の影響を考慮して発泡倍率を比較する必要がある。すなわち、異なる発泡粒子間で発泡倍率を比較する場合、DSC比が近い値になるように発泡粒子を製造することにより、発泡粒子の発泡倍率を比較的正確に比較することができる。
【0145】
(発泡粒子のDSC比)
発泡粒子のDSC比の測定(算出)では、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ社製DSC6200型)を使用した。示差走査熱量計を用いた発泡粒子のDSC比の測定(算出)方法は次の(1)~(5)の通りであった:(1)発泡粒子5mg~6mgを量り取った;(2)発泡粒子の温度を10℃/分の昇温速度にて40℃から220℃まで昇温して、発泡粒子を融解した;(3)前記(2)の過程で得られた発泡粒子のDSC曲線において、(a)最も高温の融解ピークと当該融解ピークの隣(低温側)の融解ピークとの間の極大点と、融解開始前の温度を表す点とを直線で結び、かつ(b)前記極大点と融解終了後の温度を表す点とを直線で結んだ;(4)(a)(a-1)前記極大点と融解終了後の温度を表す点とを結ぶ線分と、(a-2)DSC曲線と、に囲まれる高温側の領域から算出される熱量を高温側融解熱量とし、(b)(b-1)前記極大点と融解開始前の温度を表す点とを結ぶ線分と、(b-2)DSC曲線と、に囲まれる低温側の領域から算出される熱量を低温側融解熱量とし、(c)高温側融解熱量と、低温側融解熱量との和を全融解熱量(=高温側融解熱量+低温側融解熱量)とした;(5)以下の式からDSC比を算出した:
DSC比(%)=(高温側融解熱量/全融解熱量)×100。
【0146】
(発泡粒子の連続気泡率)
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の連続気泡率は、空気比較式比重計[東京サイエンス(株)製、モデル1000]を用いて、ASTM D2856-87の手順C(PROSEDURE C)に記載の方法に従って、測定して求めた。より具体的には、発泡粒子の連続気泡率は、以下(1)~(4)を順に実施して算出した:(1)空気比較式比重計を用いて発泡粒子の体積Vc(cm)を測定した;(2)次いで、Vcを測定後の発泡粒子の全量を、メスシリンダーに入っているエタノール中に沈めた;(3)その後、メスシリンダーにおけるエタノールの位置の上昇量から、発泡粒子の見かけ上の体積Va(cm)を求めた;(4)以下の式により、発泡粒子の連続気泡率を算出した:
連続気泡率(%)=((Va-Vc)×100)/Va。
【0147】
(発泡成形体の収縮率)
発泡成形体の収縮率の測定方法は以下の(1)~(3)のとおりであった:(1)寸法が既知である金型(例えば、長手方向369mm×短手方向319mm×厚み方向50mm)を用いて、発泡粒子を型内発泡成形した。ここで、金型の長手方向の長さをL0とした;(2)得られる発泡成形体の長手方向の長さL1を測定した;(3)下記式に従って収縮率(%)を算出した:
収縮率(%)=((L1-L0)×100)/L0
なお、収縮率の測定に使用した金型を、収縮率評価用金型と称する場合がある。
【0148】
(発泡成形体の変形量)
発泡成形体の変形量の測定方法は以下の(1)~(3)のとおりであった:(1)長手方向(Y方向)350mm、短手方向(Z方向)320mmおよび厚さ方向(X方向)180mmの寸法(長さ)を有し、かつ金型中央部に仕切板を有する金型を用いて、発泡粒子を型内発泡成形した;(2)得られた発泡成形体(発泡成形体100)の長手方向の2つの両端部のZ方向の寸法(mm)(K1、K2)と長手方向の中央部のZ方向の寸法(mm)(K3)を測定した;(3)下記式に従って変形量を算出した:
変形量(mm)={(K1+K2)/2}-K3。
なお、変形量の測定に使用した金型を、変形量評価用金型と称する場合がある。
【0149】
〔実施例1〕
(ポリプロピレン系樹脂粒子の作製)
ポリプロピレン系樹脂100重量部(10kg)と、AS共重合体1を12重量部(1.2kg)と、水添スチレン系共重合体1を7.0重量部(700g)と、発泡核剤としてタルク0.050重量部(5g)と、吸水性物質としてグリセリン0.2重量部(20g)とをドライブレンドした。
【0150】
得られたブレンド物を二軸押出機[東芝機械(株)製、TEM26-SX]に投入し、樹脂温度250℃で溶融混練した。溶融混練されたポリプロピレン系樹脂組成物を、押出機の先端に取り付けられた円形の孔を有するダイを通してストランド状に押出した。押出されたポリプロピレン系樹脂組成物を、水冷し、その後、カッターで切断し、円柱状の樹脂粒子(1.2mg/粒)を得た。
【0151】
(ポリプロピレン系樹脂発泡粒子(1段発泡粒子)の作製)
得られた樹脂粒子100重量部と、純水200重量部と、難水溶性無機化合物としてカオリン(エンゲルハード社製ASP-170)0.2重量部と、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.03重量部と、を耐圧密閉容器に投入した。その後、耐圧密閉容器内の原料を攪拌しながら発泡剤として二酸化炭素6.7重量部を前記耐圧密閉容器内に導入し、分散液を調製した。次いで、耐圧密閉容器内の温度を151.0℃の発泡温度に加熱した。その後、耐圧密閉容器内に二酸化炭素を追加圧入し、耐圧密閉容器内を3.2MPa(ゲージ圧)の発泡圧力まで昇圧した(昇温-昇圧工程)。次いで、耐圧密閉容器内を前記発泡温度、発泡圧力で30分間保持した後(保持工程)、密閉容器下部のバルブを開いて、分散液を、口径3.6mmのオリフィスを通じて、大気圧下の発泡筒に放出して発泡粒子(1段発泡粒子)を得た。この際、分散液の放出中は耐圧密閉容器内の圧力が発泡圧力から低下しないように、二酸化炭素を耐圧密閉容器内に追加圧入して、耐圧密閉容器内の圧力を3.2MPa(ゲージ圧)に保持した。得られた発泡粒子について、発泡倍率、発泡性、DSC比および連続気泡率を測定した、結果を表1に示す。
【0152】
(ポリプロピレン系樹脂発泡粒子(2段発泡粒子)の作製)
得られた1段発泡粒子を60℃にて6時間乾燥させた後、耐圧密閉容器内に投入した。耐圧密閉容器内に空気を導入し、耐圧密閉容器内の1段発泡粒子に加圧空気を含浸させて、0.24MP(絶対圧)の発泡粒子内圧(絶対圧)を1段発泡粒子に付与した。空気を含侵させた(発泡粒子内圧を付与した)1段発泡粒子約20Lを発泡機内へ投入した。次いで、30秒間、0.06MPa(ゲージ圧)の水蒸気で、発泡機内の1段発泡粒子を加熱することで、1段発泡粒子をさらに発泡(2段発泡)させ、発泡粒子(2段発泡粒子)を得た。
【0153】
(ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の作製)
得られた発泡粒子(2段発泡粒子)を耐圧密閉容器内に投入した。耐圧密閉容器内に空気を導入し、耐圧密閉容器内の2段発泡粒子に加圧空気を含浸させて、0.20MP(絶対圧)の発泡粒子内圧(絶対圧)を2段発泡粒子に付与した。空気を含侵させた2段発泡粒子を、成形機(ダイセン株式会社製ポリプロピレン型内発泡成形機)と、収縮率評価用金型および変形量評価用金型とを用いて、0.30MPa(ゲージ圧)の水蒸気で加熱成形することにより、発泡成形体を得た。得られた各発泡成形体を室温で1時間放置した後、75℃の恒温室内で12時間養生乾燥を行い、再び室温で4時間放置した。その後、上述の方法により、得られた発泡成形体の収縮率および変形量を評価した。結果を表1に示す。
【0154】
(実施例2~7、比較例1~9)
各材料の種類、各材料の量、および/または各製造条件を表1に記載のように変更したこと以外は実施例1と同じ方法によって発泡粒子、および発泡成形体を得た。得られた発泡粒子および発泡成形体について、各物性を測定および評価した。結果を表1に示す。
【0155】
【表1】
実施例および比較例を通して、発泡粒子のDSC比に大きな差はない。従って、実施例および比較例を通して、発泡粒子の発泡倍率を比較的正確に比較することができる。
【0156】
〔まとめ〕
表1より以下のことが明らかにわかる:
(1)実施例1~7と比較例1との比較より、ポリプロピレン系樹脂のみを単独で使用した場合、発泡成形体の変形量が多く、発泡成形体の収縮の低減が不十分であることがわかる。
【0157】
(2)実施例1~7と比較例2との比較より、AS共重合体に代えて非晶性樹脂であるポリスチレンを使用した場合、発泡粒子の発泡性が低いことがわかる。
【0158】
(3)実施例1~7と比較例3との比較より、AS共重合体に代えて非晶性樹脂としてポリフェニレンエーテルおよびポリスチレンの混合物を使用した場合、発泡粒子の発泡性が低く、得られる発泡成形体の収縮の低減も不十分であることがわかる。
【0159】
(4)実施例1~7と比較例4との比較より、AS共重合体の使用量が本願の範囲より多い場合、発泡粒子の発泡性および連続気泡率が不良となる(低くなる)ことが分かる。
【0160】
(5)実施例1~7と比較例5との比較より、水添スチレン系共重合体を使用しなかった場合、得られる発泡成形体の収縮の低減が不十分であることがわかる。
【0161】
(6)実施例1~7と比較例6との比較より、水添スチレン系共重合体の使用量が本願の範囲より多い場合、発泡粒子の発泡性が低く、得られる発泡成形体の収縮の低減も不十分であることがわかる。
【0162】
(7)実施例1~7と比較例7との比較より、水添スチレン系共重合体に変えて水添ではないスチレン系共重合体を使用した場合、得られる発泡成形体の収縮の低減が不十分であることがわかる。
【0163】
(8)実施例1~7と比較例8との比較より、AS共重合体の使用量が本願の範囲より少ない場合、得られる発泡成形体の収縮の低減が不十分であることがわかる。
【0164】
(9)実施例1~7と比較例9との比較より、水添スチレン系共重合体の使用量が本願の範囲より少ない場合、得られる発泡成形体の収縮の低減が不十分であることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0165】
本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、発泡性に優れ、かつ成形後の収縮および変形がほとんどないポリプロピレン系樹脂発泡成形体を提供できる。ポリプロピレン系樹脂発泡成形体は、緩衝包装材、物流資材、断熱材、土木建築部材、自動車部材など様々な用途に好適に用いることが可能である。

図1