(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-01-20
(45)【発行日】2026-01-28
(54)【発明の名称】転写用紙
(51)【国際特許分類】
B41M 5/52 20060101AFI20260121BHJP
D21H 19/82 20060101ALI20260121BHJP
D21H 19/36 20060101ALI20260121BHJP
【FI】
B41M5/52 110
D21H19/82
D21H19/36 Z
(21)【出願番号】P 2023022353
(22)【出願日】2023-02-16
【審査請求日】2025-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005980
【氏名又は名称】三菱製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 宏二
(72)【発明者】
【氏名】下之段 智
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-064186(JP,A)
【文献】特開2002-362009(JP,A)
【文献】国際公開第2014/123087(WO,A1)
【文献】特開2018-030342(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/52
D21H 19/82
D21H 19/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原紙と、前記原紙の少なくとも片面に対して1層又は2層以上の塗工層とを有し、原紙を基準に最外に位置する塗工層である最外塗工層が白色無機顔料及びバインダを含有し、
前記最外塗工層の前記白色無機顔料が、各種カオリンから選ばれる少なくとも一種と、重質炭酸カルシウム及びタルクから成る群から選ばれる一種又は二種以上とを含み、なおかつ前記白色無機顔料が体積基準の平均粒子径(直径、単位μm)が前記最外塗工層の平均層厚さ(単位μm)に対して110%以上200%以下である少なくとも一種を含有し、前記最外塗工層を有する側において測定される静摩擦係数が0.8以下かつ動摩擦係数が0.6以下である、転写捺染法に使用する転写用紙。
【請求項2】
前記最外塗工層が含有する総白色無機顔料量に対して、各種カオリンから選ばれる種と重質炭酸カルシウム及びタルクから成る群から選ばれる種との合計含有量が、90質量%以上を占める、請求項1に記載の転写捺染法に使用する転写用紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維材料等の被印刷物へ図柄を形成する捺染インクを用いる転写捺染法において、図柄を転写するために使用する転写用紙に関する。特に、昇華型捺染インクを使用する転写捺染法に好適な転写用紙に関する。
【背景技術】
【0002】
上記転写用紙の例としては、支持体上に少なくとも顔料と接着剤を含有するインク受理層を設け、前記インク受理層にシリコーン球状粉末を含有することを特徴とする昇華インク転写用インクジェット被記録媒体が公知である(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の昇華インク転写用インクジェット被記録媒体は、記録媒体とプリント媒体との転写時に発生する熱融着による貼り付きを防止する。
また、記録媒体の例としては、基材に、無機微粒子とバインダを含有するインク受容層を設け、前記無機微粒子の一部がインク受容層のバインダ層から突出してなり、無機微粒子がバインダの固形分100部に対して0.05部以上3部以下含まれることを特徴とする記録媒体が公知である(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2に記載の記録媒体は、画像特性、ブロッキング性、各種プリンタの搬送性、連続給紙性に優れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-256018号公報
【文献】特開平07-304249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
転写捺染法は、転写用紙に図柄を印刷して転写紙を得る工程と、転写紙の図柄を印刷した面と被印刷物とを対向して密着させる工程とを有する方法である。前記密着させる工程には、必要に応じて、加熱又は加熱加圧が含まれる。密着させる工程は、例えば、プレス機又は加熱ロール若しくは加熱ドラム等を用いて転写紙と被印刷物とを密着させ加熱又は加熱加圧する方法を挙げることができる。特に、転写捺染の工業では、生産性を上げるために、転写紙と被印刷物とを密着して搬送しながら加熱ロール又は加熱ドラム等を用いて挟む方法を採用する場合が多い。
【0005】
上記搬送において、搬送経路が直線を描く場合は問題化しないものの、搬送経路が曲線を描く場合、特に、搬送方向を反転させるようなU字型湾曲を有する場合は、転写紙と被印刷物との密着状態物の後端部において、搬送ロール間を通過する際にバタつく現象又は跳ねる現象、すなわち「後端部暴れ」が発生することがある。この現象は、後端部及び後端部付近に形成される被印刷物の画像に悪影響する。従来では、例えば、25回程度の転写捺染の実施において1回程度の明らかな後端部暴れが発生して、後工程で品質確認が必要になる等によって安定生産面で問題があった。
以上から、本発明の目的は、従来の転写用紙よりも後端部暴れを抑制した転写用紙を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、本発明の目的は、以下により達成される。
【0007】
[1]原紙と、前記原紙の少なくとも片面に対して1層又は2層以上の塗工層とを有し、原紙を基準に最外に位置する塗工層である最外塗工層が白色無機顔料及びバインダを含有し、なおかつ前記白色無機顔料が体積基準の平均粒子径(直径、単位μm)が前記最外塗工層の平均層厚さ(単位μm)に対して110%以上200%以下である少なくとも一種を含有し、前記最外塗工層を有する側において測定される静摩擦係数が0.8以下かつ動摩擦係数が0.6以下である、転写捺染法に使用する転写用紙。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、転写捺染法において、転写用紙に対して転写する図柄を印刷した転写紙と被印刷物との密着状態物が搬送時において密着状態物の後端暴れを従来よりも抑制した転写用紙を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明を詳細に説明する。
本明細書において、「転写用紙」とは、転写する図柄が印刷される前の白紙状態にある用紙を指す。「転写紙」とは、転写用紙に対して転写する図柄が印刷された状態にある用紙を指す。
【0010】
転写用紙は、原紙と、前記原紙の少なくとも片面に対して1層又は2層以上の塗工層とを有する。
原紙は、LBKP(Leaf Bleached Kraft Pulp)、NBKP(Needle Bleached Kraft Pulp)等の化学パルプ、GP(Groundwood Pulp)、PGW(Pressure GroundWood pulp)、RMP(Refiner Mechanical Pulp)、TMP(ThermoMechanical Pulp)、CTMP(ChemiThermoMechanical Pulp)、CMP(ChemiMechanical Pulp)、CGP(ChemiGroundwood Pulp)等の機械パルプ、及びDIP(DeInked Pulp)等の古紙パルプから選ばれる一種又は二種以上のパルプを分散したスラリーに、炭酸カルシウム、タルク、クレー、各種カオリン等の填料、さらに、バインダ、サイズ剤、定着剤、歩留まり剤、カチオン化剤、紙力剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤及び耐水化剤等の各種添加剤を必要に応じて配合した紙料を抄造して得られる抄造紙から成る。さらに原紙には、前記抄造紙にカレンダー処理、澱粉及びスチレンアクリル系樹脂等で表面サイズ処理若しくは表面処理等を施した上質紙が含まれる。さらに原紙には、表面サイズ処理若しくは表面処理を施した後にカレンダー処理した上質紙が含まれる。
【0011】
いくつかの実施態様において、上記抄造紙は、ISO534:2011「Paper and board-Determination of thickness, density and specific volume」に準拠して求められる密度が0.75g/cm3以上0.85g/cm3以下である。この理由は、転写紙と被印刷物とを密着が良化するからである。
【0012】
抄造は、紙料を酸性、中性又はアルカリ性に調整して、製紙分野で従来公知の抄紙機を用いて行う。抄紙機の例としては、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、コンビネーション抄紙機、円網抄紙機、ヤンキー抄紙機等を挙げることができる。
カレンダー処理は、製紙分野で従来公知のカレンダー処理装置を用いて行う。カレンダー処理装置の例としては、マシンカレンダー、ソフトニップカレンダー、スーパーカレンダー、多段カレンダー、マルチニップカレンダー等を挙げることができる。
【0013】
いくつかの実施態様において、上記パルプは、原紙のパルプに対してLBKP及びNBKPの合計が80質量%以上であって、濾水度380ml以上480ml以下の範囲であるLBKPが75質量%以上95質量%以下、並びに濾水度400ml以上480ml以下の範囲であるNBKPが5質量%以上25質量%以下である。これらの理由は、転写紙と被印刷物とを密着が良化するからである。
上記濾水度は、ISO5267-2:2001「Pulps-Determination of drainability-Part 2 Canadian Standard freeness method」に準じて求められるCSF濾水度である。
【0014】
上記塗工層において、原紙を基準にして最外に位置する塗工層を最外塗工層という。塗工層が1層の場合は該塗工層が最外塗工層になる。最外塗工層は、白色無機顔料とバインダとを少なくとも含有する。塗工層が2層以上である場合、原紙と最外塗工層との間に位置する塗工層は、塗工紙分野で従来公知の塗工層であって、白色無機顔料の有無、種類及び数量、並びにバインダの有無、種類及び数量、並びにその他従来公知の添加剤の有無及び数量を特に限定しない。
いくつかの実施態様において、転写用紙は、塗工層は1層である。この理由は、転写用紙の製造コストが有利になるからである。いくつかの実施態様において、転写用紙は、塗工層は最外塗工層を含めて2層である。この理由は、転写捺染時の密着状態物において転写紙から被印刷物側でなく反対方向へ捺染インクの移動を抑制することができるからである。
【0015】
いくつかの実施態様において、塗工層が最外塗工層を含めて2層である場合、原紙と最外塗工層との間に位置する塗工層は白色無機顔料及びバインダを含有する。この理由は、上記した反対方向へ捺染インクの移動をより抑制することができるからである。
白色無機顔料は、塗工紙分野で従来公知のものである。白色無機顔料は、例えば、カオリン、デラミネーテッドカオリン、焼成カオリン及びエンジニアードカオリン等の各種カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、サチンホワイト、リトポン、酸化チタン、酸化亜鉛、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、活性白土並びに珪藻土等を挙げることができる。バインダは、塗工紙分野で従来公知のものである。バインダは、例えば、澱粉、加工澱粉及び変性澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース等のセルロース類、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、プルラン、アラビアゴム、カラヤゴム及びアルブミン等の天然由来の樹脂又はその誘導体、種々ケン化度若しくは種々重合度のポリビニルアルコール及び各種変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、無水マレイン酸系樹脂、アクリル酸系樹脂、メタクリル酸系樹脂、アクリレート系樹脂、メタクリレート系樹脂、アクリレートブタジエン共重合体、スチレンブタジエン共重合体及びエチレン酢酸ビニル共重合体等の共重合系樹脂並びにこれらの各種共重合系樹脂のカルボキシ基等の官能基導入による官能基変性樹脂、メラミン樹脂及び尿素樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリウレタン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリビニルブチラール、並びにアルキッド系樹脂等を挙げることができる。原紙と最外塗工層との間に位置する塗工層は、必要に応じて塗工紙分野で従来公知の各種添加剤を含有することができる。添加剤の例としては、有機顔料、分散剤、界面活性剤、定着剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色剤、印刷適性向上剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、変性ポリアミン及び変性ポリアミドのようなカチオン性樹脂等を挙げることができる。
【0016】
いくつかの実施態様において、転写用紙は、塗工層が最外塗工層を含めて2層であって、原紙と最外塗工層との間に位置する塗工層が白色無機顔料及びバインダを含有し、前記白色無機顔料が各種カオリンから選ばれる少なくとも一種と重質炭酸カルシウムとを含む。この理由は、上記した反対方向へ捺染インクの移動をより抑制することができるから、及び転写捺染時の密着状態物において加熱する場合に捺染インクに含まれる溶媒が気化して透気し易いからである。
いくつかの実施態様において、塗工層が最外塗工層を含めて2層であって、原紙と最外塗工層との間に位置する塗工層は白色無機顔料及びバインダを含有し、前記バインダが澱粉類から選ばれる少なくとも一種及びポリビニルアルコール類から選ばれる少なくとも一種を含む。この理由は、上記した反対方向へ捺染インクの移動をより抑制することができるから、及び転写捺染時の密着状態物において加熱する場合に捺染インクに含まれる溶媒が気化して透気し易いからである。
少なくとも一つの実施態様において、塗工層が最外塗工層を含めて2層であって、原紙と最外塗工層との間に位置する塗工層は白色無機顔料及びバインダを含有し、前記白色無機顔料が各種カオリンから選ばれる少なくとも一種と重質炭酸カルシウムとを含み、なおかつ前記バインダが澱粉類から選ばれる少なくとも一種とポリビニルアルコール類から選ばれる少なくとも一種とを含む。この理由は、上記した反対方向へ捺染インクの移動をより抑制することができるから、及び転写捺染時の密着状態物において加熱する場合に捺染インクに含まれる溶媒が気化して透気し易いからである。
【0017】
いくつかの実施態様において、転写用紙は、本発明に係る最外塗工層を含めて塗工層を原紙の片面にのみ有する。この理由は、転写用紙の製造コストが有利になるからである。いくつかの実施態様において、転写用紙は、本発明に係る最外塗工層を含めて塗工層を原紙の両面に有する。この理由は、転写用紙の表裏に関係なく使用できるからである。いくつかの実施態様において、転写用紙は、本発明に係る最外塗工層が原紙の片面(便宜上「表面」とする)にのみ有する場合、例えば、紙のカールを防止する目的及び捺染インクの裏抜けを防止する等を目的として原紙の裏面に従来公知のバックコート層を有する。
【0018】
いくつかの実施態様において、転写用紙は、本発明に係る最外塗工層が原紙の片面にのみ有し、及び原紙の裏面に従来公知のバックコート層を有し、前記バックコート層が白色無機顔料及びバインダを含有し、前記白色無機顔料が各種カオリンから選ばれる少なくとも一種と重質炭酸カルシウムとを含む。この理由は、後端暴れをより抑制できるからである。
いくつかの実施態様において、転写用紙は、本発明に係る最外塗工層が原紙の片面にのみ有し、及び原紙の裏面に従来公知のバックコート層を有し、前記バックコート層が白色無機顔料及びバインダを含有し、前記バインダが澱粉類から選ばれる少なくとも一種とポリビニルアルコール類から選ばれる少なくとも一種とを含む。この理由は、後端暴れをより抑制できるからである。
少なくとも一つの実施態様において、転写用紙は、本発明に係る最外塗工層が原紙の片面にのみ有し、及び原紙の裏面に従来公知のバックコート層を有し、前記白色無機顔料が各種カオリンから選ばれる少なくとも一種と重質炭酸カルシウムとを含み、なおかつ前記バインダが澱粉類から選ばれる少なくとも一種とポリビニルアルコール類から選ばれる少なくとも一種とを含む。この理由は、後端暴れをより抑制できるからである。
【0019】
いくつかの実施態様において、転写用紙は、本発明に係る最外塗工層を含め塗工層が1層であって原紙の片面にのみ有し、及び原紙の裏面にバックコート層を有する。
少なくとも一つの実施態様において、転写用紙は、本発明に係る最外塗工層を含め塗工層が1層であって原紙の片面にのみ有し、及び原紙の裏面にバックコート層を有し、前記バックコート層が白色無機顔料及びバインダを含有し、前記白色無機顔料が各種カオリンから選ばれる少なくとも一種と重質炭酸カルシウムとを含み、なおかつ前記バインダが澱粉類から選ばれる少なくとも一種とポリビニルアルコール類から選ばれる少なくとも一種とを含む。
【0020】
いくつかの実施態様において、転写用紙は、塗工層が最外塗工層を含めて2層であって原紙の片面にのみ有し、原紙と最外塗工層との間に位置する塗工層が白色無機顔料及びバインダを含有し、前記白色無機顔料が各種カオリンから選ばれる少なくとも一種と重質炭酸カルシウムとを含み、なおかつ前記バインダが澱粉類から選ばれる少なくとも一種とポリビニルアルコール類から選ばれる少なくとも一種とを含み、並びに原紙の裏面にバックコート層を有する。
少なくとも一つの実施態様において、転写用紙は、塗工層が最外塗工層を含めて2層であって原紙の片面にのみ有し、原紙と最外塗工層との間に位置する塗工層が白色無機顔料及びバインダを含有し、前記白色無機顔料が各種カオリンから選ばれる少なくとも一種と重質炭酸カルシウムとを含み、なおかつ前記バインダが澱粉類から選ばれる少なくとも一種とポリビニルアルコール類から選ばれる少なくとも一種とを含み、並びに原紙の裏面にバックコート層を有し、前記バックコート層が白色無機顔料及びバインダを含有し、前記白色無機顔料が各種カオリンから選ばれる少なくとも一種と重質炭酸カルシウムとを含み、なおかつ前記バインダが澱粉類から選ばれる少なくとも一種とポリビニルアルコール類から選ばれる少なくとも一種とを含む。
【0021】
最外塗工層を含めて塗工層は、上記原紙又は塗工層に対して、従来公知の塗工装置及び乾燥装置を用いて塗工層塗工液を塗工及び乾燥することによって得ることができる。塗工層塗工液を塗工及び乾燥後に、塗工層には、カレンダー処理を施すことができる。
【0022】
従来公知の塗工装置の例としては、サイズプレス、ゲートロールコーター、フィルムトランスファーコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、エアナイフコーター、グラビアコーター、バーコーター、Eバーコーター、カーテンコーター等を挙げることができる。
従来公知の乾燥装置の例としては、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機、赤外線加熱ドライヤー、マイクロ波等を利用した乾燥機等の各種乾燥装置を挙げることができる。
【0023】
いくつかの実施態様において、塗工層の塗工量は、乾燥固形分量で原紙の片面あたり8g/m2以上25g/m2以下である。前記範囲は、原紙の片面当たりの最外塗工層を含めた総塗工層の塗工量である。少なくとも一つの実施態様において、最外塗工層を含めて塗工層が2層以上である場合に最外塗工層を含めて塗工層の総塗工量は、乾燥固形分量で原紙の片面あたり8g/m2以上25g/m2以下であり、最外塗工層の塗工量は、乾燥固形分量で原紙の片面あたり5g/m2以上22g/m2以下である。
これらの理由は、転写紙と被印刷物とを密着が良化するからである。
【0024】
最外塗工層は、白色無機顔料及びバインダを含有する。前記白色無機顔料は、塗工紙分野で従来公知のものである。白色無機顔料は、例えば、カオリン、デラミネーテッドカオリン、焼成カオリン及びエンジニアードカオリン等の各種カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、サチンホワイト、リトポン、酸化チタン、酸化亜鉛、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、活性白土並びに珪藻土等を挙げることができる。バインダは、塗工紙分野で従来公知のものである。前記バインダは、例えば、澱粉、加工澱粉及び変性澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース等のセルロース類、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、プルラン、アラビアゴム、カラヤゴム及びアルブミン等の天然由来の樹脂又はその誘導体、種々ケン化度若しくは各種重合度のポリビニルアルコール及び各種変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、無水マレイン酸系樹脂、アクリル酸系樹脂、メタクリル酸系樹脂、アクリレート系樹脂、メタクリレート系樹脂、アクリレートブタジエン共重合体、スチレンブタジエン共重合体及びエチレン酢酸ビニル共重合体等の共重合系樹脂並びにこれらの各種共重合系樹脂のカルボキシ基等の官能基導入による官能基変性樹脂、メラミン樹脂及び尿素樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリウレタン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリビニルブチラール、並びにアルキッド系樹脂等を挙げることができる。最外塗工層は、必要に応じて塗工紙分野で従来公知の各種添加剤を含有することができる。添加剤の例としては、有機顔料、分散剤、界面活性剤、定着剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色剤、印刷適性向上剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、変性ポリアミン及び変性ポリアミドのようなカチオン性樹脂等を挙げることができる。
【0025】
最外塗工層は、体積基準の平均粒子径(直径、単位μm)が最外塗工層の平均層厚さ(単位μm)に対して110%以上200%以下である少なくとも一種の白色無機顔料を含有する。転写用紙は、白色無機顔料の平均粒子径と最外塗工層の平均層厚さとにおける前記関係を満足することで、下記摩擦係数との相乗効果によって後端暴れを従来の程度よりも抑制することができる。前記関係を満足しない場合では、後端暴れを従来の程度よりも抑制することができない。いくつかの実施態様において、最外塗工層は、体積基準の平均粒子径(直径、単位μm)が最外塗工層の平均層厚さ(単位μm)に対して110%以上200%以下である少なくとも一種の白色無機顔料を含有し、最外塗工層において、最外塗工層の平均層厚さ(単位μm)に対して110%以上200%以下である体積基準の平均粒子径を有する白色無機顔料が最外塗工層中の白色無機顔料100質量部に対して5質量部以上25質量部以下である。この理由は、後端暴れをより抑制できるからである。
白色無機顔料の体積基準の平均粒子径は、体積基準の粒度分布曲線から求めることができる。白色無機顔料の体積基準の平均粒子径は、白色無機顔料が単粒子である場合は単粒子の平均粒子径及び白色無機顔料が凝集粒子を形成する場合は凝集粒子の平均粒子径を指す。体積基準の平均粒子径は、例えば、レーザー回折・散乱法の粒度分布測定装置を用いた測定で得られる体積基準の粒度分布曲線から求めることができる。粒度分布測定装置は、例えば、日機装社のMicrotrac MT3000IIを挙げることができる。
【0026】
最外塗工層の平均層厚さは、測定方法を特に限定しない。最外塗工層の平均層厚さは、例えば、ミクロトームを用いて切断した用紙の断面を電子顕微鏡で撮影し、得られた画像から実測して得ることができる。最外塗工層の平均層厚さは、得られた画像に認められる最外塗工層の任意の10か所以上を測定した平均値である。
【0027】
いくつかの実施態様において、最外塗工層は、最外塗工層の平均層厚さが4μm以上18μm以下である。少なくとも一つの実施態様において、最外塗工層は、最外塗工層の平均層厚さが8μm以上14μm以下である。いくつかの実施態様において、最外塗工層は、白色無機顔料が体積基準の平均粒子径(直径、単位μm)が最外塗工層の平均層厚さ(単位μm)に対して110%以上200%以下である少なくとも一種を含有し、最外塗工層の平均層厚さが4μm以上18μm以下である。少なくとも一つの実施態様において、最外塗工層は、白色無機顔料が体積基準の平均粒子径(直径、単位μm)が最外塗工層の平均層厚さ(単位μm)に対して110%以上200%以下である少なくとも一種を含有し、最外塗工層の平均層厚さが8μm以上14μm以下である。これらの理由は、後端暴れをより抑制できるからである。
最外塗工層の平均層厚さは、塗工層塗工液中の樹脂成分の濃度、塗工量、乾燥条件及びカレンダー処理有無及び処理条件によって調整することができる。
【0028】
いくつかの実施態様において、最外塗工層の白色無機顔料は、各種カオリンから選ばれる少なくとも一種と、重質炭酸カルシウム及びタルクから成る群から選ばれる一種又は二種以上とを含む。いくつかの実施態様において、最外塗工層は、最外塗工層が含む各種カオリンから選ばれる種の合計量(各種カオリン量)と重質炭酸カルシウム及びタルクから成る群から選ばれる種の合計量(重質炭酸カルシウム及びタルク量)との質量比が各種カオリン量:重質炭酸カルシウム及びタルク量=70:30~97:3である。いくつかの実施態様において、最外塗工層の白色無機顔料は、最外塗工層が含有する総白色無機顔料量に対して各種カオリンから選ばれる種と重質炭酸カルシウム及びタルクから成る群から選ばれる種との合計含有量が90質量%以上を占める。少なくとも一つの実施態様において、最外塗工層の白色無機顔料は、各種カオリンから選ばれる少なくとも一種と重質炭酸カルシウム及びタルクから成る群から選ばれる一種又は二種以上とを含み、最外塗工層が含む各種カオリンから選ばれる種の合計量(各種カオリン量)と重質炭酸カルシウム及びタルクから成る群から選ばれる種の合計量(重質炭酸カルシウム及びタルク量)との質量比が各種カオリン量:重質炭酸カルシウム及びタルク量=70:30~97:3であり、最外塗工層が含有する総白色無機顔料量に対して各種カオリンから選ばれる種と重質炭酸カルシウム及びタルクから成る群から選ばれる種との含有量が90質量%以上を占める。
これらの理由は、後端暴れをより抑制できるからである。
【0029】
いくつかの実施態様において、最外塗工層は、白色無機顔料が各種カオリンから選ばれる少なくとも一種と、重質炭酸カルシウム及びタルクから成る群から選ばれる一種又は二種以上とを含み、最外塗工層の平均層厚さに対して体積基準の平均粒子径が110%以上200%以下である白色無機顔料が重質炭酸カルシウム及び/又はタルクである。
いくつかの実施態様において、最外塗工層は、白色無機顔料が焼成カオリンと、重質炭酸カルシウム及びタルクから成る群から選ばれる一種又は二種以上とを含む。少なくとも一つの実施態様において、最外塗工層は、白色無機顔料が焼成カオリンと、重質炭酸カルシウム及びタルクから成る群から選ばれる一種又は二種以上とを含み、最外塗工層の平均層厚さに対して体積基準の平均粒子径が110%以上200%以下である白色無機顔料が重質炭酸カルシウム及び/又はタルクである。
これらの理由は、後端暴れを更により抑制できるからである。
【0030】
いくつかの実施態様において、最外塗工層は、バインダがカルボキシメチルセルロースと、ポリビニルアルコール類から選ばれる少なくとも一種とを含む。いくつかの実施態様において、最外塗工層は、バインダがカルボキシメチルセルロースと、ポリビニルアルコール類から選ばれる少なくとも一種とを含み、最外塗工層が含有するカルボキシメチルセルロース量とポリビニルアルコール類の合計量との質量比がカルボキシメチルセルロース量:ポリビニルアルコール類の合計量=35:65~55:45である。いくつかの実施態様において、最外塗工層は、バインダがカルボキシメチルセルロースと、ポリビニルアルコール類から選ばれる少なくとも一種とを含み、最外塗工層が含有する総バインダ量に対してカルボキシメチルセルロース及びポリビニルアルコール類の合計量が90質量%以上を占める。少なくとも一つの実施態様において、最外塗工層は、バインダがカルボキシメチルセルロースと、ポリビニルアルコール類から選ばれる少なくとも一種とを含み、最外塗工層が含有するカルボキシメチルセルロース量とポリビニルアルコール類の合計量との質量比がカルボキシメチルセルロース量:ポリビニルアルコール類の合計量=35:65~55:45であり、最外塗工層が含有する総バインダ量に対してカルボキシメチルセルロース及びポリビニルアルコール類の合計量が90質量%以上を占める。
これらの理由は、上記白色無機顔料との相乗効果により、後端暴れをより抑制できるからである。
【0031】
いくつかの実施態様において、最外塗工層は、白色無機顔料が焼成カオリンと、重質炭酸カルシウム及びタルクから成る群から選ばれる一種又は二種以上とを含み、なおかつバインダがカルボキシメチルセルロースと、ポリビニルアルコール類から選ばれる少なくとも一種とを含む。少なくとも一つの実施態様において、最外塗工層は、白色無機顔料が焼成カオリンと、重質炭酸カルシウム及びタルクから成る群から選ばれる一種又は二種以上を含み、最外塗工層の平均層厚さに対して体積基準の平均粒子径が110%以上200%以下である白色無機顔料が重質炭酸カルシウム及び/又はタルクであり、なおかつ最外塗工層のバインダがカルボキシメチルセルロースと、ポリビニルアルコール類から選ばれる少なくとも一種とを含む。
これらの理由は、後端暴れを更により抑制できるからである。
【0032】
カルボキシメチルセルロースは、セルロースエーテルの一種であり、従来公知のものであって特に限定されない。カルボキシメチルセルロースにはアルカリ金属塩が含まれる。カルボキシメチルセルロースは、例えば、パルプを原料としてモノクロル酢酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムを反応させて得ることができる(直接法)。また、直接法以外にアルセル法及び溶媒法によって得ることができる。カルボキシメチルセルロースは、使用するパルプの性状及び製造方法により様々な分子量又は重合度のものが製造可能である。一般的に、カルボキシメチルセルロースは、カルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩として工業的に生産及び販売される。カルボキシメチルセルロースは、多くは、カルボキシメチルセルロースナトリウム又はカルボキシメチルセルロースカリウムである。慣用的に、ナトリウムやカリウムの記載は省略する場合が多い。いくつかの実施態様において、カルボキシメチルセルロースはカルボキシメチルセルロースナトリウムである。この理由は、カルボキシメチルセルロースナトリウムが商業的に入手し易いからである。
【0033】
ポリビニルアルコール類とは、一般的なポリビニルアルコール及び各種変性のポリビニルアルコールを含む総称を指す。ポリビニルアルコール類は、従来公知の各種ケン化度及び各種重合度のポリビニルアルコール及び各種変性ポリビニルアルコールである。変性ポリビニルアルコールは、例えば、シリル基、カルボキシ基、アミノ基及びアセトアセチル基等種々の官能基を導入したポリビニルアルコール、並びにエチレン等の他単量体をランダム的、グラフト的若しくはブロック的に導入したポリビニルアルコール等を挙げることができる。
【0034】
最外塗工層は、転写捺染法で従来公知の各種助剤を含有することができる。助剤は、塗工層塗工液の各種物性を最適化する、又は昇華型捺染インク等の捺染インクが含む色材の染着性を向上させるため等に加えられるものである。助剤は、例えば、保湿剤、湿潤剤、pH調整剤、アルカリ剤、媒染剤、濃染化剤、脱気剤及び還元防止剤等を挙げることができる。
【0035】
転写用紙は、最外塗工層を有する側において測定される静摩擦係数が0.8以下かつ動摩擦係数が0.6以下である。前記摩擦係数は、ISO15359:1999「Paper and board - Determination of the static and kinetic coefficients of friction - Horizontal plane method」に準じて求められる静摩擦係数及び動摩擦係数である。転写用紙は、前記摩擦係数の範囲を満足することで、最外塗工層に関する白色無機顔料の平均粒子径と最外塗工層の平均層厚さとの上記関係との相乗効果によって後端暴れを従来の程度よりも抑制することができる。摩擦係数が前記範囲を満足しない場合では、後端暴れを従来の程度よりも抑制することができない。
【0036】
摩擦係数は、例えば、最外塗工層の平滑性、最外塗工層の塗工量、最外塗工層が含有する白色無機顔料の種類、含有量及び平均粒子径、塗工層成分及び密度の観点から制御できる。最外塗工層の塗工量が増すと摩擦係数は大きくなる。平滑性及び密度が増すと摩擦係数の値は小さくなる。最外塗工層の親水性が増すと摩擦係数の値は大きくなる。最外塗工層の成分として滑剤及び界面活性剤を含有すると摩擦係数の値は小さくなる。最外塗工層の成分として樹脂の含有量が増すと摩擦係数の値は大きくなる。最外塗工層の密度は、塗工層塗工液の塗工及び乾燥の条件によって幾分制御できる。例えば、最外塗工層の密度は、接触型塗工装置の使用及び乾燥速度を遅くすると大きくなる傾向を示す。
【0037】
転写紙は、昇華型捺染インク等の捺染インクを備える従来公知の各種印刷方法を用いて、転写用紙の最外塗工層を有する面側に図柄を印刷することによって得ることができる。
転写用紙に図柄を印刷する各種印刷方法は、従来公知の印刷方法であって、特に限定されない。印刷方法は、例えば、グラビア印刷方式、インクジェット印刷方式、電子写真印刷方式及びスクリーン印刷方式等を挙げることができる。少なくとも一つの実施態様において、転写用紙に図柄を印刷する印刷方式はインクジェット印刷方式である。この理由は、デジタルデータから高精細に印刷することができるからである。
【0038】
転写捺染法は、転写用紙に図柄を印刷して転写紙を得る工程と、転写紙の図柄を印刷した面と被印刷物とを対向して密着させる工程とを有する方法である。密着させる工程には、必要に応じて、加熱又は加熱加圧が含まれる。密着させる工程における加熱又は加熱加圧のそれぞれの条件は、転写捺染法で従来公知の条件である。密着させる工程は、例えば、プレス機、加熱ロール又は加熱ドラム等により転写紙を被印刷物に密着させ加熱又は加熱加圧する方法を挙げることができる。
少なくとも一つの実施態様において、転写捺染法に用いる捺染インクは昇華型捺染インクである。
【0039】
被印刷物は、繊維材料であって、特に限定されない。繊維材料は、天然繊維材料及び合成繊維材料のいずれでも構わない。天然繊維材料は、例えば、綿、麻、リヨセル、レーヨン、アセテート等のセルロース系繊維材料、絹、羊毛、獣毛等の蛋白質系繊維材料等を挙げることができる。合成繊維材料は、例えば、ポリアミド繊維(ナイロン)、ビニロン、ポリエスエル、ポリアクリル等を挙げることができる。少なくとも一つの実施態様において、昇華型捺染インクを用いる場合、繊維材料はポリエステルである。また、必要に応じて、染着促進に効果のある薬剤等で被印刷物を前処理してよい。
【実施例】
【0040】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されない。ここで「質量部」及び「質量%」は、乾燥固形分量あるいは実質成分量の各々「質量部」及び「質量%」を表す。塗工層の付与量は乾燥固形分量を表す。
【0041】
(原紙)
叩解によって濾水度を調整したLBKP(CSF濾水度430ml)870質量部及びNBKP(CSF濾水度450ml)130質量部の合計1000質量部を水に分散したパルプスラリーに、填料としてタルク25質量部及び軽質炭酸カルシウム50質量部、カチオン化澱粉10質量部、硫酸アルミニウム9質量部、アルキルケテンダイマー型サイズ剤0.7質量部を添加して、長網抄紙機で抄造して抄造紙を得た。得た抄造紙にマシンカレンダー処理をしてカレンダー処理抄造紙を得た。この様にして得た紙の密度は、0.81g/cm3であった。カレンダー処理抄造紙の両面に対してサイズプレスを用いて、酸化澱粉を片面あたりの塗工量が1g/m2になるように塗工して原紙を作製した。
【0042】
(最外塗工層の塗工層塗工液)
塗工層塗工液は、下記の内容により調製した。
白色無機顔料 種類及び質量部は表に記載
カルボキシメチルセルロース 7.5質量部
ポリビニルアルコール 10.5質量部
界面活性剤(ノニオン型) 適宜
変性ポリアミド系樹脂 1質量部
上記の内容で配合し、水で混合・分散して、濃度12質量%に調整した。
【0043】
(原紙と最外塗工層との間に設ける塗工層の塗工層塗工液)
塗工層塗工液は、下記の内容により調製した。
カオリン 80質量部
重質炭酸カルシウム 20質量部
澱粉類(リン酸エステル化澱粉) 40質量部
ポリビニルアルコール(ケン化度98%、平均重合度300) 10質量部
界面活性剤(ノニオン型) 0.1質量部
上記の内容で配合し、水で混合・分散して、濃度12質量%に調整した。
【0044】
(バックコート層の塗工層塗工液)
塗工層塗工液は、下記の内容により調製した。
カオリン 80質量部
重質炭酸カルシウム 20質量部
澱粉類(リン酸エステル化澱粉) 40質量部
ポリビニルアルコール(ケン化度98%、平均重合度300) 10質量部
界面活性剤(ノニオン型) 0.1質量部
上記の内容で配合し、水で混合・分散して、濃度12質量%に調整した。
【0045】
【0046】
最外塗工層に用いた白色無機顔料は以下である。
カオA :カオリン(平均粒子径1.8μm)
カオB :焼成カオリン(平均粒子径1.4μm)
タルク :タルク(平均粒子径13.7μm)
重カルA :重質炭酸カルシウム(平均粒子径9.0μm)
重カルB :重質炭酸カルシウム(平均粒子径10.8μm)
重カルC :重質炭酸カルシウム(平均粒子径15.4μm)
重カルD :重質炭酸カルシウム(平均粒子径19.3μm)
重カルE :重質炭酸カルシウム(平均粒子径21.3μm)
シリカ :非晶質シリカ(平均粒子径12.8μm)
【0047】
(白色顔料の平均粒子径)
これら白色無機顔料の平均粒子径は、体積基準として、レーザー回折・散乱法の粒度分布測定装置、日機装社のMicrotrac MT3000IIを用いた測定から得られた体積基準の粒度分布曲線から算出した。
【0048】
(転写用紙-1層型)
転写用紙を以下の手順にて作製した。
原紙の片面(便宜上「表面」とする)に対して、最外塗工層の塗工層塗工液をエアナイフコーターにて塗工及び熱風乾燥機にて乾燥した。乾燥後に表面に対して、カレンダー処理無し又は軽度のカレンダー処理を施した。最外塗工層の層厚さが所定の厚さになるように塗工量、乾燥条件及びカレンダー処理を調整した。次に、原紙の裏面に対して、バックコート層の塗工層塗工液をブレードコーターにて塗工及び熱風乾燥機にて乾燥した。塗工量は4~6g/m2の範囲になるようとした。以上により、原紙に対して最外塗工層及びバックコート層を有する転写用紙を得た。
【0049】
(転写用紙-2層型)
転写用紙を以下の手順にて作製した。
原紙の片面(便宜上「表面」とする)に対して、下塗り層の塗工層塗工液ブレードコーターにて塗工及び熱風乾燥器にて乾燥した。塗工量は、塗工量は4~6g/m2の範囲とした。次に、当該表面に対して、最外塗工層の塗工層塗工液をエアナイフコーターにて塗工及び熱風乾燥機にて乾燥した。乾燥後に表面に対して、カレンダー処理無し又は軽度のカレンダー処理を施した。最外塗工層の層厚さが所定の厚さになるように塗工量、乾燥条件及びカレンダー処理を調整した。最後に、原紙の裏面に対して、バックコート層の塗工層塗工液をブレードコーターにて塗工及び熱風乾燥機にて乾燥した。塗工量は4~6g/m2の範囲とした。以上により、原紙に対して下塗り層、最外塗工層及びバックコート層を有する転写用紙を得た。
【0050】
(最外塗工層の層厚さ)
最外塗工層の平均層厚さは、ミクロトームを用いて切断した転写用紙の断面を電子顕微鏡で撮影し、得られた画像から測定した。測定は、画像から任意の10か所とした。最外塗工層の平均膜厚さは、10か所の平均とした。最外塗工層の層厚さは表1に記載する。
【0051】
(摩擦係数)
得た転写用紙について、最外塗工層を有する側において測定される静摩擦係数及び動摩擦係数をISO15359:1999に準じて測定した。測定装置には、エー・アンド・デイ社のテンシロン1210型を用いた。摩擦係数の値は表1に記載する。
【0052】
(転写紙)
得られた転写用紙の最外塗工層を有する側に、昇華型捺染インクを使用したインクジェットプリンター(ミマキエンジニアリング社、JV2-130II)を用いて、昇華型捺染インク(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の各インク単色、並びにイエローとシアンとの混色であるグリーン、イエローとマゼンタとの混色であるレッド、シアンとマゼンタとの混色であるブルー及びイエローとシアンとマゼンタとの混色であるブラックから成る評価用図柄を印刷し、転写紙を得た。
【0053】
(転写捺染)
被印刷物として、白色ポリエステル布を用いた。3mの転写紙の塗工層を有する側の面と3mの白色ポリエステル布とを対向させて密着して、密着状態物を得た。前記密着状態物を、搬送経路にU字型湾曲部を有する、例えば、特開2015-16978号公報の
図3のような反転する搬送経路を有しながら駆動する対を成す2本のロール間で挟み搬送する機構であって、U字型湾曲部に真ん中に位置する対を成す直径約30cmのロールが内側に加熱金属ロールと外側にゴムロールとからなり、転写紙が当該金属ロールに接する向きとして対ロールによって転写紙と白色ポリエステル布とを加熱加圧する方法で転写捺染を実施した。金属ロールの温度は200℃、金属ロールの外周に接触しつつ搬送及び金属ロールと密着状態物との接触時間を35秒とした。
【0054】
(後端暴れの評価)
上記転写捺染の実施において、密着状態物の後端部が搬送経路において上記U字型部の加熱加圧を行う搬送ロール間を通過するところを目視で観察した。捺染転写は25回行った。観察の結果から「後端部暴れ」を下記の基準によって評価した。本発明において、転写用紙は、A、B又はCの評価であれば従来の転写用紙よりも後端部暴れを抑制したものとした。
A:実施で後端部暴れが概ね観察されなく、極めて良好。
B:25回中1回で微かな後端部暴れが観察されるものの、良好。
C:25回中1回超3回以下で微かな後端部暴れが観察されるものの、概ね良好。
D:25回中3回超で微かな後端部暴れが観察される、
又は25回中1回以上の明らかな後端部暴れが観察され、安定生産面で難あり。
【0055】
評価結果を表1に記載する。
【0056】
表1の評価結果から、本発明に該当する実施例1~8の転写用紙は、転写捺染法において後端暴れを従来よりも抑制できると分かる。一方、本発明の構成を満足しない比較例1~4の転写用紙は、転写捺染法において後端暴れを従来よりも抑制できないと分かる。