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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-01-21
(45)【発行日】2026-01-29
(54)【発明の名称】時計部品用の支持システム
(51)【国際特許分類】
   G04D 1/06 20060101AFI20260122BHJP
   B23Q 3/12 20060101ALI20260122BHJP
   B23Q 3/18 20060101ALI20260122BHJP
   B23B 31/02 20060101ALI20260122BHJP
   B23B 31/00 20060101ALI20260122BHJP
【FI】
G04D1/06
B23Q3/12 J
B23Q3/18 C
B23B31/02 610Z
B23B31/00 D
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020195614
(22)【出願日】2020-11-26
(65)【公開番号】P2021101182
(43)【公開日】2021-07-08
【審査請求日】2023-11-01
(31)【優先権主張番号】19212470.9
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599091346
【氏名又は名称】ロレックス・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】ROLEX SA
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アウザー, クロード
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-098544(JP,U)
【文献】特開昭61-103774(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01454691(EP,A1)
【文献】特開2011-005738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04D 1/00- 1/10
G04D 3/00- 3/08
B23Q 3/00- 3/154
B23Q 3/16- 3/18
B23B 31/00-33/00
G01N 3/00- 3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計部品(9)を支持する支持システム(1)であって、
前記支持システム(1)は、
前記支持システムの軸(A)に対する前記時計部品(9)を位置決めする位置決め装置(2)と
前記時計部品(9)を保持する保持装置(3)と、
を含み、
前記位置決め装置と前記保持装置は、独立である及びまたは別個であり、
前記位置決め装置(2)は、第1方向(28)である前記支持システム(1)の前記軸(A)に対して第1半径方向(28)に変位可能な、位置決め要素(21)を含む、
支持システム。
【請求項2】
前記位置決め装置(2)は、表面(23)を含み、前記位置決め要素(21)は、前記表面(23)との接触により変位可能である、
請求項1に記載の支持システム。
【請求項3】
時計部品(9)を支持する支持システム(1)であって、
前記支持システム(1)は、
前記支持システムの軸(A)に対する前記時計部品(9)を位置決めする位置決め装置(2)と
前記時計部品(9)を保持する保持装置(3)と、
を含み、
前記位置決め装置と前記保持装置は、独立である及びまたは別個であり、
前記位置決め装置(2)は、それぞれ異なる方向または自身の特定の方向に変位可能な、位置決め要素(21)を含み、
前記位置決め装置(2)は、表面(23)を含み、前記位置決め要素(21)は、前記表面(23)との接触により変位可能である、
支持システム。
【請求項4】
前記保持装置(3)は、第2方向に延長する軸(36)周りに回転で変位可能な保持要素(31)を含む
請求項1から3のいずれか一項に記載の支持システム。
【請求項5】
時計部品(9)を支持する支持システム(1)であって、
前記支持システム(1)は、
前記支持システムの軸(A)に対する前記時計部品(9)を位置決めする位置決め装置(2)と
前記時計部品(9)を保持する保持装置(3)と、
を含み、
前記位置決め装置と前記保持装置は、独立である及びまたは別個であり、
前記位置決め装置(2)は、それぞれ異なる方向または自身の特定の方向に変位可能な、位置決め要素(21)を含み、
前記保持装置(3)は、第2方向に延長する軸(36)周りに回転で変位可能な保持要素(31)を含む、
支持システム。
【請求項6】
前記位置決め要素(21)はローラ(21)である
請求項1から5のいずれか一項に記載の支持システム。
【請求項7】
時計部品(9)を支持する支持システム(1)であって、
前記支持システム(1)は、
前記支持システムの軸(A)に対する前記時計部品(9)を位置決めする位置決め装置(2)と
前記時計部品(9)を保持する保持装置(3)と、
を含み、
前記位置決め装置と前記保持装置は、独立である及びまたは別個であり、
前記位置決め装置(2)は、それぞれ異なる方向または自身の特定の方向に変位可能な、位置決め要素(21)を含み、
前記位置決め要素(21)はローラ(21)である、
支持システム。
【請求項8】
前記位置決め装置(2)は、空気圧または油圧で制御される
請求項1から7のいずれか一項に記載の支持システム。
【請求項9】
前記支持システムは、少なくとも3つの位置決め要素(21)を含む、及びまたは前記位置決め要素(21)は、前記支持システム(1)の前記軸(A)周りに均等に配置される
請求項1から8のいずれか一項に記載の支持システム。
【請求項10】
前記保持装置(3)は、空気圧及びまたは油圧で制御される
請求項1から9のいずれか一項に記載の支持システム。
【請求項11】
前記保持装置(3)は、少なくとも3つの保持要素を含む、及びまたは前記保持要素は、前記支持システム(1)の前記軸(A)周りに均等に配置される
請求項4または5に記載の支持システム。
【請求項12】
前記支持システム(1)は、第1部材(34)及び第2部材(35)を含み、前記第2部材(35)は、前記第1部材(34)に対して前記支持システム(1)の前記軸(A)に沿って摺動結合で搭載され、前記保持要素(31)は、前記第1部材上で旋回し、カム型システム(32、33)を介して、前記第2部材に機械的結合で搭載される、
請求項4、5、11のいずれか一項に記載の支持システム
【請求項13】
前記カム型システムは
前記保持要素と前記第2部材のそれぞれの楕円溝(32)であって、前記支持システム(1)の前記軸(A)と角度(α)を成す方向(321)に延長する溝と、
前記溝と協働し、前記第2部材と前記保持要素のそれぞれに設けられるピン(33)と、
を含む、
請求項12に記載の支持システム。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の支持システム(1)を制御するための制御システム(4)であって、
時計部品(9)用の位置決め装置(2)用の第1制御装置(42)と、
時計部品(9)用の保持装置(3)用の第2制御装置(43)と、
を含み、
前記第1及び第2制御装置は、独立である及びまたは異なる及びまたは別個である、
制御システム。
【請求項15】
前記第1制御装置(42)は、前記位置決め装置(2)が前記時計部品へ付与する位置決めの力用の第1制御要素を含む、及びまたは
前記第2制御装置(43)は、前記保持装置(3)が前記時計部品へ付与する保持の力用の第2制御要素を含む、
請求項14に記載の制御システム
【請求項16】
前記第1制御要素は、前記位置決め装置(2)が前記時計部品へ付与する位置決めの力を制御するために用いる第1力センサを含む、及びまたは、
前記第2制御要素は、前記保持装置(3)が前記時計部品へ付与する保持の力を制御するために用いる第2力センサ(73)を含む、
請求項15に記載の制御システム
【請求項17】
請求項1から13のいずれか一項に記載の支持システム(1)または請求項14から16のいずれか一項に記載の制御システム(4)を含む、支持設備(5)。
【請求項18】
請求項1から13のいずれか一項に記載の支持システム(1)を制御するための制御システム(4)、または、請求項14から16のいずれか一項に記載の制御システムの作動方法であって、
前記位置決め装置(2)が前記時計部品へ付与する位置決めの力の第1仕様を適用するステップであって、前記第1仕様は、前記時計部品(9)の寸法の変化または表形式の値に従いまたは経時的に直線状に変化する、ステップ、及びまたは、
前記保持装置(3)が前記時計部品へ付与する保持の力の第2仕様を適用するステップであって、前記第2仕様は、前記時計部品(9)の寸法の変化または表形式の値に従いまたは経時的に直線状に変化する、ステップ、及びまたは
前記保持装置(3)が前記時計部品へ付与する保持の力の第3仕様を適用するステップであって、前記第3仕様は、前記時計部品(9)の耐性検査の実施を可能にする、ステップ、
を含む、作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計部品用の支持システムに関する。本発明はまた、当該支持システム用の制御システムに関する。本発明はまた、当該支持システム及びまたは当該制御システムを含む、支持設備に関する。最後に、本発明は、当該制御システムの作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミック素材、ガラス、天然石、サファイヤ、真珠層、及び非晶質(ガラス状合金)は、脆性素材であり、素材の限界を超える応力がかかった場合、その破損はなんら事前の塑性変形なくしてもたらされる。塑性変形可能な金属とは異なり、これら素材は、圧迫がある領域に、特に例えば射出に関連して素材の欠陥が存在する領域に集中する場合に、破損する可能性が高い。このことは、激しい破損、または部品の破裂によって明らかになる。
【0003】
例えば小型時計ベゼルなどの、セラミック素材から生成された旋盤加工部品については、射出による製造方法は、ブランク内での不十分な同心性やバッチ内の寸法の所定のばらつきといったリスクを含む。このため、許容誤差に合致したワークピースを得るために、これらブランクに対して精密機械加工がおこなわれる。部品の最終寸法を得ることが意図される当該ステップにおいて、ワークピースを機械加工ユニットへ保持するために、位置に関して制御されるクランプにより適用される圧迫は、圧迫が局所的に集中する可能性があるため、ワークピースにおいて許可可能な最大圧迫が局所的に超過し、機械加工中の破損につながる可能性がある。
【0004】
リング、フランジや微細壁を有する他のワークピースを旋盤加工、圧延、または研磨するためには、従来のクランプマンドレルやプレートは、例えば、以下のような制限を有する。
- クランプの要素の動きにより適用される力に応じて、ワークピースはクランプ過程で変形または欠ける可能性がある。
- クランプ装置の干渉輪郭が、工具のアクセス可能性を制限し、把持を不可能とする可能性がある。
- 機械加工されるワークピースの形状の変化が、マンドレルによるワークピースの保持の喪失をもたらす可能性がある。
【0005】
こうした問題のいくつかを回避するための代替策が、数多く知られている。機械加工されるワークピースの種類や許容誤差などに応じて、様々な非常に特殊なクランプ装置が開発されてきた。
【0006】
例えば、機械加工されるワークピースは、内側及びまたは外側のどちらでもよく、センタリングを可能にする可動爪により主軸台の心棒に固定して接合されたマンドレルにより保持されてもよい。爪の位置決めは、位置または力で制御される。こうしたマンドレルは、ワークピース形状に特有であり、特定のワークピース形状のそれぞれについて再開発される必要がある。
【0007】
例えばチューブなどの、容易に変形可能なワークピースを保持するために開発された既知のマンドレルが存在する。爪型マンドレルの例が、特許文献1に開示される。爪と機械加工されるワークピースとの間のトルク伝達は、実質的に形状調節である。爪のクランプ力は、サーボモータにより制御される。サーボモータは、角度センサと、任意で力センサを含む。爪は、ワークピースの外側縁と接触しつつ機械加工されるワークピースを維持する(軸方向保持)。当該ワークピースが同心性に欠点を有する場合に、保持されたワークピースが塑性変形しない保証はできない。爪は、ワークピースの保持とセンタリングの両方を保証する。センタリングのために適用された力と、保持のために適用された力は、同一である。
【0008】
また、機械式クランプを有する既知の拘束マンドレルも存在する。拘束フィンガは回転可能に搭載され、機械加工されるワークピースが拘束され、マンドレルの支持面上に確保されることを可能にする。止め具が、機械加工されるワークピースの位置決めを可能にする。止め具は固定されており、ワークピースの形状の変動に対応できない。ワークピースのセンタリングは静的であり、ワークピースのあらゆる形状変化に対して力を順応させることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】独国特許出願公開第202005019887号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上述の欠点を克服し、従来技術から既知の支持システムを改善することを可能にする、時計部品用の支持システムを提供することである。特に、本発明は、時計部品の破損を防止し、時計部品の強度を確認する試験の実施を可能にする、支持システムを設計する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明にかかる支持システムは、請求項1に定義される。
【0012】
支持システムの様々な実施形態は、請求項2から13に定義される。
【0013】
本発明にかかる制御システムは、請求項14に定義される。
【0014】
制御システムの様々な実施形態は、請求項15から16に定義される。
【0015】
本発明にかかる支持設備は、請求項17に定義される。
【0016】
本発明にかかる制御システムの作動方法は、請求項18に定義される。
【0017】
添付の図面は、本発明にかかる支持設備の実施形態を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、支持設備の実施形態の概略図である。
図2図2は、時計部品用の保持構成にある支持システムの実施形態の、図6に示す平面A-Aに沿った断面図である。
図3図3は、時計部品用の保持構成にある支持システムの実施形態の、図6に示す平面B-Bに沿った断面図である。
図4図4は、時計部品用の解放構成にある支持システムの実施形態の、平面A-Aに沿った断面図である。
図5図5は、時計部品用の解放構成にある支持システムの実施形態の、平面B-Bに沿った断面図である。
図6図6は、時計部品用の解放構成にある支持システムの実施形態の、部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
支持設備5の一実施形態を、図1から6を参照して以下に説明する。
【0020】
支持設備5は、時計部品9の、特に回転により生成された表面91及びまたは軸A9を含む時計部品9の、正確な位置決めを確実にすることを意図する。
【0021】
時計部品は、例えば、環状形状を有する。特に、時計部品は、例えば10を超えるまたは15を超える、(軸A9で半径方向に測定する及びまたは軸A9に沿って測定する)大きな直径/厚さ比を有してもよい。時計部品は、例えば、小型時計胴、ベゼル、ベゼルリング、ベゼル装飾ディスク及びまたは表示ディスク、フランジ、文字盤、裏蓋、ケーシングリング、またはガラス部材であってもよい。
【0022】
このような位置決めは、時計部品の処理ステップ中に、時計部品を位置決めし維持するために必要である。「処理」の文言は、特に研削、修正、研磨、機械加工(切削工具、レーザ、放電加工)といった素材の除去、及びまたは特に表面被覆または表面化粧加工による素材の追加によって、時計部品を修正するあらゆる作業を意味するものと理解される。
【0023】
支持設備5は、好ましくは、支持システム1(または保持クランプの組)及びまたは支持システム1の制御システム4(またはクランピングポット)を含む。支持システム1と制御システム4は、特に外部寸法の修正または変更の間、時計部品9の保持を確実にするため、協働する。
【0024】
時計部品9用の支持システム1は、
- システムの軸Aに対する時計部品9用の位置決め装置2、特にセンタリング装置、及び
- 時計部品9用の保持装置3
を含み、位置決め装置2と保持装置3は独立である及びまたは異なる及びまたは別個である。
【0025】
位置決め装置2と保持装置3の独立及びまたは別個の性質の結果、位置決め装置2は、保持装置3が非稼働中に稼働可能である。換言すれば、保持装置3が時計部品9へ作用しない構成であるときに、位置決め装置2は、時計部品9を支持設備5に対して及びまたは支持システムに対して位置決めするために、時計部品9に、特に接触により、特に表面91への接触により、作用する構成であってもよい。
【0026】
しかしながら、位置決め装置2と保持装置3の独立及びまたは別個の性質は、保持装置3が稼働されているときに、位置決め装置2もまた稼働されてもよいというものである。
【0027】
同様に、位置決め装置2と保持装置3の独立及びまたは別個の性質は、保持装置3が停止されているときに、位置決め装置2もまた停止されてもよいというものである。
【0028】
好ましいものではないが、位置決め装置2は、保持装置3が稼働されているときに、停止されてもよい。
【0029】
位置決め装置2は、時計部品9を支持設備5及びまたは支持システム1へ位置決めする役割を果たす。換言すれば、位置決め装置2は、時計部品9が、支持設備5に接続される及びまたは支持システム1に接続される基準系に対して所定の位置にあることを確実にすることを可能にする。例えば、位置決め装置2は、時計部品9を支持システム1上で中心に置く、すなわち軸AとA9を整列させる役割を果たす。しかしながら、緩やかまたは弱い強度であっても、力が時計部品9に適用されると、位置決め装置2の作用にかかわらず、時計部品9は当該基準系に対して変位可能である。特に、どんな障害物であっても、支持設備5及びまたは支持システム1に関する、軸AまたはA9の方向の一方向への時計部品の変位と逆に作用することはできない。
【0030】
保持装置3は、時計部品9を支持設備5及びまたは支持システム1上へ保持するまたは固定する役割を果たす。換言すれば、保持装置は、時計部品9が、支持設備5に接続される及びまたは支持システム1に接続される基準系に対して、所定の位置に固定され静止されたままであることを確実にすることを可能にする。好ましくは、支持設備5及びまたは支持システム1に関する、軸AまたはA9の方向の一方向への時計部品9の変位と逆に作用するために、障害物が設けられる。
【0031】
相当な強度があり(例えば機械加工作業中に)時計部品9に付与される力は、位置決め装置の作用にも関わらず、当該基準系に関して時計部品9を変位させることができる。特に、保持装置3は、軸AまたはA9の方向の、支持設備5及びまたは支持システム1に関する時計部品9の変位の逆に作用する、障害物を提供する。
【0032】
このため、支持システム1は、時計部品9の位置決め、特にセンタリングと、時計部品9の当該位置への保持の両方を確実にする。
【0033】
支持システム1は、好ましくは、軸A周りに中心を取る、全般的に円筒形状を有する。支持システム1は、第1キャップ51と第2キャップ52とを含む、フレームを含む。第1キャップ51と第2キャップ52は、好ましくは、互いに固定接合されるように、搭載される。第1及び第2キャップは、ケーシングを形成する。
【0034】
位置決め装置2は、例えば、空気圧または油圧によって制御される。即ち制御システム4は、位置決め装置2の要素に作用する空気圧または油圧制御装置を含む。
【0035】
位置決め装置2は、第1方向28へ、特に支持システム1の軸Aに関して第1半径方向28に変位可能な、位置決め要素21、特にローラ21を含む。位置決め要素のそれぞれは、特定の方向28へ移動可能でありまたは変位される。特定の方向28は、位置決め要素のそれぞれについて異なってもよい。有利には、特定の方向28のそれぞれは、軸Aに関して半径方向である。有利には、特定の方向28は、軸A周りに一定の角度オフセット(2つの隣接する特定の方向間の角度オフセットα、α=360°/n、ここでnは位置決め要素21の数)で配列される。
【0036】
位置決め要素21、特にローラ21は、変形可能であってもなくてもよく、例えば、エラストマ素材の部分を含んでもよい。代替的にまたは追加的に、位置決め要素21、特にローラ21は、間隙を介することが可能であってもよい。位置決め要素21、特にローラ21は、好ましくは金属製である。位置決め要素21、特にローラ21は、位置決めされ維持される時計部品9へ半径方向力を付すように、配置または配列される。位置決め要素21、特にローラ21は、処理される時計部品9の接触面91にわたり力を配置可能にする形状を有してもよい。例えば、位置決め要素21、特にローラ21は、円錐形、円錐台状、または処理される時計部品9の形状に適合する。
【0037】
間隙を介することができるローラまたは横方向に変位可能なローラを有する位置決め装置2の場合、位置決め装置2は、表面23を、特に円錐台状表面23及びまたは支持システム1の軸Aに従って変位可能な表面を有する、センタリングヘッド22を含み、位置決め要素21は、当該表面23との接触により変位されることが可能になる。
【0038】
センタリングヘッド22は、従って円錐台状表面23は、主としてシリンダ25とピストン24とを含むアクチュエータの作用により、軸Aに沿って並進で変位される。ピストン24は、センタリングヘッド22に固定接合される。アクチュエータには、パイプ26、27、及び29を介して、液体が供給される。一方でシリンダ25は、支持システム1のフレームに固定接合される。従って、アクチュエータが作動されると、センタリングヘッド22は、フレームに対して軸Aに沿って並進で変位される。
【0039】
有利には、支持システムは、任意で、当該表面23に接触する位置決め要素21用の弾性戻り要素を含む。
【0040】
好ましくは、支持システムは、少なくとも3つの、特に3つ、4つ、5つ、または6つの位置決め要素21を含む。
【0041】
代替的にまたは追加的に、位置決め要素21は、支持システム1の軸A周りに均等に配置される。
【0042】
位置決め要素21は、止め具231とセンタリングヘッド22とキャップ51との間で位置決め要素21の保持を保証するのに適した開口を含むキャップ51を用いて、その場所に固定されてもよい。センタリングヘッド22が位置決め要素21を稼働させると、位置決め要素21は、位置決め機能を保証するために、傾斜及びまたは滑動及びまたは変形されることにより、処理される時計部品9に対して圧縮される。
【0043】
例えばエラストマ素材製の変形可能ローラを有する(図示しない)特定の変形例では、センタリングヘッドは、ローラの上部に対して移動して当接する上部を含んでもよい。センタリングヘッドは、円筒形であってもよい。
【0044】
時計部品9の位置決めを実行するため、時計部品9に対して位置決め要素21により半径方向力が付される。こうした半径方向力は、好ましくは、空気圧または油圧で制御される。
【0045】
図2及び図3に図示されるアクチュエータの稼働構成において、ピストン24を変位させ、センタリングヘッド22を第1キャップ51内に戻すために、液体がアクチュエータ内に導入される。これは、位置決め装置2の稼働を、即ち軸Aに対する外側への半径方向変位、及びまたは時計部品9へ作用するための位置決め要素21の変形をもたらす。このように、位置決め要素21は、アクチュエータにより制御される力により位置決めされるために、時計部品9の内面91と移動して接触する。当該構成は、部品の位置決めを可能にする。当該構成は、特に、時計部品9のセンタリングを可能にする。
【0046】
図4及び5に図示されるアクチュエータの停止構成において、ピストン24を変位させ、センタリングヘッド22を第1キャップ51から引き出すために、液体がアクチュエータ内に導入される。これは、位置決め装置2の停止を、すなわち位置決め要素21の解放をもたらす。
【0047】
ピストン24の一方と他方で流圧を変更することにより、センタリングヘッド22は変位され、位置決め要素21を多かれ少なかれ離すまたは圧縮することにより、位置決め要素21に作用する。このため、アクチュエータ内の圧力に比例する態様で、処理される時計部品9に半径方向力が付与される。
【0048】
例えば、保持装置3は、空気圧または油圧で制御される。即ち保持システムは、保持装置3の要素に作用する空気圧または油圧制御装置を含む。
【0049】
保持装置3は、好ましくは、第2方向に、特に支持システム1の軸Aに対して第2正放線方向に延長する軸36周りに回転変位可能な、保持要素31を、特にロッカ31を含む。 保持要素31は、例えば、第1部材34上に、軸36周りにピボット連結で搭載される。
【0050】
保持装置3は、例えば、少なくとも3つの、特に3つ、4つ、5つ、または6つの保持要素31を含む。
【0051】
代替的にまたは追加的に、保持要素31は、支持システム1の軸A周りに均等に配置される。
【0052】
好ましくは、第2部材35は、第1部材34に対して軸Aに沿って摺動結合で搭載され、保持要素31は第1部材34上で旋回され、第2部材35に対してカム型システム32、33を、特にデスモドロミックカム型システムを介して、機械的結合で搭載される。
【0053】
つる巻ばね39は、第1部材34と第2部材35の間で圧縮された態様で受け入れられる。このため、第1及び第2部材は、ばね39により、及び保持要素31により、互いに結合される。
【0054】
タイロッド53は、フレーム内で軸Aに沿って並進運動可能である。タイロッド53は、第2部材35へ、例えばネジ54により固定される。このため、タイロッド53は、ばね39の作用に対抗して第2部材35を第1部材34に向かって押すことにより、第2部材35の第1部材34に対する変位を可能にする。タイロッドはまた、第2部材35を第1部材34から離すためにまた保持要素31を稼働させるために引っ張ることにより、第2部材35の第1部材34に対する変位を可能にする。
【0055】
カム型システムは、例えば、
- 保持要素31と第2部材35のそれぞれの楕円溝32であって、支持システム1の軸Aと角度αを形成する方向321に延長する、溝と、
- 溝と協働し、第2部材35と保持要素31のそれぞれに設けられる、ピン33と、
を含む。
【0056】
特に図2及び図3の構成において、角度αは、例えば、10°から30°の間の値を有する。
【0057】
このため、支持システム1はまた、例えばロッカの端部に位置されるフランジフィンガまたは回転運動可能なフランジフィンガの形状の、処理されることが意図される、時計部品9のフランジ搭載が保証されることを可能にする保持手段31を含む。
【0058】
結論として、支持システム1は、処理される時計部品9を、センタリングされた態様で位置決めして維持し、処理される時計部品9の過大応力を防ぐために適切な力によって、処理作業中におけるその軸方向及び半径方向の保持を保証する。時計部品9の導入と取り出しは容易であり、支持システム1の様々な調節作業も容易である。既知の支持システムの頑強性は改善される。
【0059】
時計部品9は、ローラ21により位置決めまたはセンタリングされ、フィンガまたはフランジ31を用いて支持システム1に維持される。付与される力は、時計部品9がセンタリング装置2により変形されないことを保証する一方で、装置が時計部品9を処理作業中、特に機械加工作業中、完全に維持するように選択される。
【0060】
支持システム1は、例えば、バヨネット型システムにより制御システム上に組付けられる。
【0061】
図2及び図3に示す保持装置3の稼働構成において、タイロッド53は、第2部材35をばね39の影響下で第1部材34から離すよう動かすために、第2部材35を解放する。溝32内のピン33の作用は、保持要素31の軸36周りの回転と、保持要素31の時計部品9への押圧を引き起こす。このように、保持装置3が稼働される。当該位置において、処理される時計部品9は、支持システム1上に保持される。保持要素31は、半径方向力を時計部品9の表面91へ、及びまたは(軸Aに対する)半径方向力をキャップ51と接触する時計部品9の表面とは反対の時計部品9の上面へ付与する。
【0062】
タイロッド53へ付与される力は、ばねの力、処理される時計部品9の参照系、及び表形式値に従ってまたは支持システム1を含み処理作業を可能にする機械上で直接行われた寸法測定に基づき適合される。力は、有利には、圧縮及び牽引で制御される。これは、タイロッドのより緩やかな、即ちぎくしゃくした運動が少ない、直線運動を可能にする。
【0063】
図4及び図5における保持装置3の停止構成において、タイロッドは、ばね39を、第1部材34と第2部材35の間で圧縮するために稼働される。溝32内のピン33の作用は、時計部品9を解放するための、保持要素31の軸36周りの回転をもたらす。このように、保持装置3は停止される。当該構成において、時計部品9は、支持システム1上に位置されてもよく、支持システム1から除去されてもよい。
【0064】
図6に示す例において、位置決め及び保持力の良好な配置を保証するために、6つの位置決め要素21と6つの保持要素31が配置される。
【0065】
有利には、保持要素21の数は、位置決め要素31の数と同一である。
【0066】
有利には、位置決め要素21は、保持要素31の間に置かれる。
【0067】
制御システム4は、支持システム1の制御を可能にする。制御システム4は、
- 時計部品9用の位置決め装置2用の第1制御装置42と、
- 時計部品9用の保持装置3用の第2制御装置43と、
を含む。
【0068】
第1及び第2制御装置は、独立である及びまたは別個である。
【0069】
制御装置の独立及びまたは別個という性質の結果、位置決め装置2と保持装置3は、上述のように独立して稼働させることができる。
【0070】
第1制御装置42は、パイプ26、27、29に接続された、加圧流体供給機を含む。供給機は、アクチュエータがその作動方向の両方に稼働されることを可能にするための、流体の圧力用の制御要素と流体供給の伝達手段とを含む。
【0071】
第2制御装置43は、モータ63と伝達装置83、特にボールねじユニット83とを含む、電気機械アクチュエータを含む。伝達装置83は、モータ63をタイロッド53に接続可能にする。このため、モータ63は、伝達装置83を介して、タイロッド53の稼働を可能にする。
【0072】
有利にはモータ63とセンサ73の間に位置するボールねじユニット83は、モータ63の回転運動の、タイロッド53の併進運動への変換を最適化することを可能にする。モータ63の加速と減速は、このように、よりよく制御される態様で伝達され、保持力はガタつくような動作が少ないように伝達される。これは、制御の可逆性と、制御システムにより伝達される力のより良い制御の両方を保証する。制御システムの構成は、タイロッド53の直線運動の良好な制御を可能にする。タイロッドの位置、移動、速度、それに加速と減速を制御可能である。
【0073】
第1制御装置42は、位置決め装置2により付与される力用の第1制御要素を含む。位置決め装置2により付与される力用の第1制御要素は、位置決め装置2により付与される力を制御するために、第1力センサを、特に流体圧力センサを含んでもよい。
【0074】
第2制御装置43は、保持装置3により付与される力用の第2制御装置を含む。
【0075】
有利には、保持装置3により付与される力用の第2制御装置は、モータ63とタイロッド53との間に、第2力センサ73を含む。当該第2力センサ73は、保持装置3が付与する力の制御を可能にする。
【0076】
(例えば0から500Nの範囲の)第2力センサ73は、時計部品9に付与される圧迫を公差限界内に維持するように、タイロッド53に付与される力Fを測定するために、モータ63とタイロッド53との間に位置される。支持システム1の特定の形状は、最大許容圧迫が局所的に超過されることを避けるために、時計部品の形状に従って様々な支持場所にわたり、力の配置を可能にする。力Fは、圧縮と牽引の両方で制御可能である。
【0077】
力センサ73は、0から500N程度の力の測定を可能にし、圧縮と牽引で作用する。力センサ73は、圧電センサであってもよい。変形例として、センサ73は、フォースリミッタで、例えばタイロッド53の力を所定の値に、例えば250Nに、制限することを可能にするばねで、代替されてもよい。
【0078】
タイロッド53の併進運動は、時計部品9の保持要素の保持力の精密な制御を可能にする。
【0079】
このため、保持力は、タイロッド53に付与される力に従って制御される。代替的に、タイロッド53の位置の測定は、保持力の制御をより信頼あるものにするために、力の測定と関連付けられてもよい。
【0080】
制御システムは、実質的に円筒形状を有してもよい。例えば、制御システムは、機械加工旋盤において、支持システム1の回転及び並進運動の制御を可能にする。
【0081】
制御システムは、有利には、支持システム1上の位置決め機能を稼働するアクチュエータへの流体の提供を可能にする、回転継ぎ手を更に含む。
【0082】
支持システム1を制御するための制御システム4の作動方法の実施形態を、以下に説明する。
【0083】
方法は、
- 位置決め装置2が付与する力の第1仕様を付与するステップであって、第1仕様は、例えば、機械加工される部品の寸法の変化または表形式の値に従って、または経時的に直線的に、変更される、ステップ、及びまたは
- 保持装置3が付与する力の第2仕様を付与するステップであって、第2仕様は、例えば、機械加工される部品の寸法の変化または表形式の値に従って、または経時的に直線的に、変更される、ステップ、及びまたは
- 保持装置3が付与する力の第3仕様を付与するステップであって、第3仕様は、時計部品9の耐性検査の実施を可能にする、ステップ、
を含む。
これは、支持設備5が、試験を実施するためにも使用可能であるためである。位置決め装置2は、半径方向力を付与することによる試験を可能にしてもよい。保持装置3は、圧縮力を付与することによる試験を可能にしてもよい。時計部品が試験に耐えると、仕様に準拠する時計部品となる。そうでなければ、時計部品9の好ましい素材の脆弱性質を前提にすれば、時計部品9は破壊される。
【0084】
付与される位置決め力及びまたは保持力は、機械加工作業中の時計部品9の形状の変化を考慮し、時計部品9の素材の限界未満に留めるため、機械加工中に適応されることができる。このため、力は、例えば、機械加工する部品の寸法の変更または表形式の値に従って、変化してもよい。
【0085】
好ましくは、支持設備上への時計部品の位置決め中に、時計部品に付与される位置決め装置の力の強度は、第1力仕様目標に到達するまで、経時的に直線的に増加する。好ましくは、支持設備上への時計部品の位置決め中に時計部品に付与される保持装置の力の強度は、第2力仕様目標に到達するまで、経時的に直線的に増加する。このため、例えば、力は経時的に直線的に変化してもよい。
【0086】
換言すれば、本発明にかかる解決策は、クランピングポットにより力が制御される時計部品9用の保持装置3と関連付けられた空気圧式アクチュエータにより力が制御される時計部品用センタリング装置が設けられた一対のクランプを含む、回転により生成された形状を有する時計部品9を機械加工するための把持システムを含んでもよい。時計部品のセンタリングと保持は、時計部品の内部から実施されてもよい。代替的に、時計部品は、外部からセンタリングされ保持されてもよい。変形例として、センタリングは内部から行われ、保持は外部から行われてもよく、その反対も可能である。
【0087】
上述の解決策において、機械加工中の時計部品の破壊を防止する、初期の真円度及びまたは同心度が完全ではない時計部品の把持を可能にする、位置ではなく力が制御される時計部品用の把持装置が設けられる。
【0088】
有利には、一対の把持クランプの力の制御によって、先行する製造ステップの最後に過大な量の欠陥を含む時計部品を機械加工が開始する前に粉砕することにより、その場所での試験の実施を可能にする。
【0089】
上述の解決策の結果、加工される時計部品の寸法が何であれ、保持力はより良く制御され、棄却率(破壊及びまたは真円度欠陥)を減少させることを可能にする。一対のクランプのセンタリング手段それ自体も、処理ステップ後の同心度及びまたは真円度欠陥を有する時計部品の数の減少を可能にする。
【0090】
保持は、一対のクランプの要素の、位置制御ではなく、力の制御により実施される。これは、修正ステップ中のベゼルディスクの把持の改善を可能にする。上述の解決策は、修正ステップ中に、セラミック素材の時計部品のような、その形状が回転により生成される脆弱なワークピースを維持するのに特に適している。
【0091】
一対のクランプ(クランピングポットとアクチュエータ)の制御要素の特定の力の制御により、把持及び位置決め力を、厚みの関数として、または予め計算されたデータの表の値を用いて、または時計部品のその場所での測定により、圧迫を計算することにより、時計部品に過度の力をかけることが決してないように、時計部品の寸法の変更に従って適応させることができる。機械加工作業中に変更される時計部品の形状に対して、機械加工作業の進行中に応力を一定に保つように適用される力は、可変でもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 支持システム
2 位置決め装置
3 保持装置
4 制御システム
9 時計部品
21 位置決め要素
23 表面
31 保持要素
32 溝
33 ピン
34 第1部材
35 第2部材
42 第1制御装置
43 第2制御装置
53 タイロッド
63 モータ
73 第2力センサ
83 伝達装置
91 表面
図1
図2
図3
図4
図5
図6