(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-01-23
(45)【発行日】2026-02-02
(54)【発明の名称】椅子
(51)【国際特許分類】
A47C 9/00 20060101AFI20260126BHJP
A47C 9/02 20060101ALI20260126BHJP
A47C 7/62 20060101ALI20260126BHJP
【FI】
A47C9/00 Z
A47C9/02
A47C7/62 Z
(21)【出願番号】P 2022078794
(22)【出願日】2022-05-12
【審査請求日】2025-03-18
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 掲載物名:「2021年台湾留学生デザインコンペ」のウェブサイト、ウェブサイトの掲載日:令和3年12月、ウェブサイトのアドレス: https://www.tisdc.org/en/show/2021
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 刊行物名:臺灣國際學生創意設計大賽 Taiwan International Student Design Competition 2021TISDC Regerate,第129、450~455頁、発行者名:教育部、発行日:令和3年12月
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示会名、開催場所:2021實踐大學工業産品設計學系畢業展,[實踐工設校内展區]實踐大學N棟B2,令和3年5月14日~5月15日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 刊行物名:Industrial Design Portfolio 2018-2021,第3~10,22,23頁、発行者名:張 集竣、発行日:令和4年1月11日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 掲載物名:「HARBOR-2021實踐大學工業産品設計學系畢業展/線上直播展Part3」のウェブサイト、ウェブサイトの掲載日:令和3年5月25日、ウェブサイトのアドレス: https://youtu.be/Tpr-udWDksk?t=4276
(73)【特許権者】
【識別番号】599083411
【氏名又は名称】株式会社 MTG
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】弁理士法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 集竣
【審査官】白土 博之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0060699(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0028776(KR,A)
【文献】登録実用新案第3208290(JP,U)
【文献】意匠登録第1539016(JP,S)
【文献】登録実用新案第3224478(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0255925(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111109917(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 9/00-16/04
A47C 7/00-7/74
A63B 1/00-26/00
B62M 1/00-29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部と、
収容空間を有し、前記座部を支持する脚部と、
一対のペダルを回転可能に備えるペダリングユニットと、
前記ペダリングユニットを、前記脚部における前記収容空間内の収容位置と、前記収容空間の外部の突出位置と
の第1の方向で移動させる移動機構と、
を備え
、
前記ペダリングユニットは、内周面に全周にわたって溝が形成された環状のフレームと、前記溝内に回転可能に配置されたホイールと、を有し、
前記一対のペダルは、前記ホイールの軸方向に延びる第1の姿勢と、前記ホイールの径方向内側に位置し、かつ、前記径方向視において、前記ペダルと前記ホイールとが重なる第2の姿勢と、に変位可能に前記ホイールに設けられ、
前記一対のペダルのそれぞれには、前記ホイールの内周面に配置され、前記ペダルを前記第1の姿勢と前記第2の姿勢とに変位可能なペダル連結部を有し、
前記移動機構は、前記脚部に対して前記第1の方向に移動可能に設けられた第1のスライド部と、前記ペダリングユニットを支持し、前記第1のスライド部に対して前記第1の方向に移動可能に設けられた第2のスライド部と、を有し、前記ペダリングユニットを前記収容位置から前記突出位置に案内する、
椅子。
【請求項2】
請求項1に記載の椅子であって、
前記第1のスライド部は、更に把持部を有し、
前記把持部は、前記第1のスライド部を、前記第1の方向に移動可能に設けられている、
椅子。
【請求項3】
請求項1
または請求項2に記載の椅子であって、
前記第2のスライド部を移動可能に支持し、前記第1のスライド部に連結された第2のガイド部を有し、
前記第2の姿勢において、前記一対のペダルを有する前記ホイールの軸方向の幅が、前記第2のガイド部のガイド孔の幅よりも小さい、
椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
自宅やオフィス等、様々な場所で椅子が使用されている(例えば、特許文献1参照)。椅子に長時間座っていると、筋肉の代謝や血行が低下し、健康に害を及ぼすおそれがある。このため、適度な運動を行うことが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、椅子から降りて運動をするのは面倒であり、また、椅子の周囲に運動を行うことができるスペースが十分にないこともある。このため、椅子に長時間座っていることが多い使用者は運動不足になりがちであるという課題がある。
【0005】
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本明細書に開示される椅子は、座部と、収容空間を有し、前記座部を支持する脚部と、一対のペダルを回転可能に備えるペダリングユニットと、前記ペダリングユニットを、前記脚部における前記収容空間内の収容位置と、前記収容空間の外部の突出位置との間で移動させる移動機構と、を備える。本椅子では、移動機構によって、ペダリングユニットが、脚部の収容空間内の収容位置と、収容空間の外部の突出位置との間で移動可能とされている。このため、ペダリングユニットを突出位置に配置させることにより、ペダリング運動を行うことができる。一方、ペダリング運動を行わないときには、ペダリングユニットを収容位置に配置させることにより、例えば座部に着座している使用者の足にペダリングユニットが干渉することを抑制することができる。
【0008】
(2)上記椅子において、前記ペダリングユニットは、さらに、ホイールと、前記ホイールを回転可能に支持するホイール支持部と、を有し、前記一対のペダルは、前記ホイールの軸方向に延びる第1の姿勢と、前記ホイールの径方向内側に位置する第2の姿勢とに変位可能に前記ホイールに設けられている構成としてもよい。本椅子では、一対のペダルは、ペダリング運動が可能な第1の姿勢と、ホイールの径方向内側に位置する第2の姿勢とに変位可能とされている。例えば、一対のペダルが第1の姿勢から変位不能な構成に比べて、例えばペダリングユニットの移動過程でペダルが脚部等に干渉することを抑制することができる。
【0009】
(3)上記椅子において、前記移動機構は、前記脚部に対して前記突出位置に向かって移動可能に設けられた第1のスライド部と、前記ペダリングユニットを支持し、前記第1のスライド部に対して前記突出位置に向かって移動可能に設けられた第2のスライド部と、を有する構成としてもよい。本椅子では、第1のスライド部と第2のスライド部との2段の移動機構によって、ペダリングユニットが収容位置と突出位置との間で移動可能とされている。これにより、1段の移動機構を採用した構成に比べて、ペダリングユニットが収容位置に配置されたときの移動機構の小型化を図りつつ、ペダリングユニットの収容位置から突出位置までのストロークを長く確保することができる。
【0010】
(4)上記椅子において、前記ペダリングユニットは、内周面に全周にわたって溝が形成された環状のフレームと、前記フレームと同軸上に位置し、かつ、前記フレームの前記溝内に回転可能に配置されたホイールと、を有する構成としてもよい。本椅子によれば、ホイールが環状のフレームの溝内で回転可能に配置されている。このため、回転するホイールが外部に露出することを抑制することができる。
【0011】
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、椅子およびその製造方法等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態における椅子100の構成を概略的に示す説明図
【
図2】実施形態における椅子100の構成を概略的に示す説明図
【
図3】実施形態における椅子100の構成を概略的に示す説明図
【
図4】実施形態における椅子100の構成を概略的に示す説明図
【
図5】実施形態における椅子100の構成を概略的に示す説明図
【
図6】実施形態における椅子100の構成を概略的に示す説明図
【
図7】実施形態におけるペダリングユニット60の構成を概略的に示す説明図
【
図8】実施形態における椅子100の使用例を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
A.実施形態:
A-1.椅子100の構成:
図1から
図6は、本実施形態における椅子100の構成を概略的に示す説明図である。
図1は、椅子100の正面構成を示しており、
図2は、椅子100の背面構成を示しており、
図3は、椅子100の側面(右側面)構成を示している。なお、椅子100の左側面構成は、椅子100の右側面構成と同じであるため、椅子100の左側面構成を示す図面は省略する。
図4は、椅子100の上面構成を示しており、
図5は、椅子100の下面構成を示しており、
図6は、椅子100を斜め下側から見た斜視図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。Z軸正方向は上方向であり、Z軸負方向は下方向であり、X軸正方向は左方向であり、X軸負方向は右方向であり、Y軸正方向は前方向であり、Y軸負方向は後方向である。
【0014】
椅子100は、いわゆるワークチェアであり、例えば自宅、オフィス、店舗、ホテル、公共施設等に設置されて使用される。椅子100の座面までの高さは、例えば700mm以上、800mm以下(より具体的には750mm程度)であり、椅子100の左右方向の幅は、例えば530mm以上、630mm以下(より具体的には580mm程度)であり、椅子100の前後方向の奥行きは、例えば500mm以上、600mm以下(より具体的には550mm程度)である。
【0015】
椅子100は、座部10と、脚部20と、背部30と、肘掛け部40と、支持部材50と、ペダリングユニット60と、移動機構70とを備える。
【0016】
A-1-1.椅子100の基本構成:
座部10は、座面11を有し、主として着座者の臀部を支持する部分である。座部10は、例えばクッション材(図示しない)の上面を、革製等のカバーで覆った構成である。
【0017】
脚部20は、座部10を支持する部材である。具体的には、脚部20は、上部フレーム202と、下部フレーム204と、複数本の脚206とを有する。脚部20は、例えば金属(例えば、スチールやステンレス等)により形成されており、上部フレーム202と下部フレーム204と脚206とが一体に形成されている。
【0018】
上部フレーム202は、脚部20の上部に位置し、平板状の形状を有している。上部フレーム202の上面に座部10が配置されている。上部フレーム202の左右の側面側のそれぞれには、第1のガイド部201が下方に突出するように形成されている(
図3および
図6参照)。各第1のガイド部201には、前後方向に延びる第1のガイド孔203が貫通形成されている。上部フレーム202の下面には、前後方向に延びる第1のスライド溝205が形成されている(
図5および
図6参照)。なお、座部10および上部フレーム202の左右側部分のそれぞれには、座部10と上部フレーム202とを上下方向に貫通する貫通孔207が形成されている(
図4および
図5参照)。例えば後述するペダリング運動を行う際に上半身を安定に保つため、着座者は、左右一対の貫通孔207に両手を入れて上部フレーム202を把持することができる。
【0019】
下部フレーム204は、脚部20の下部に位置し、椅子100が配置される床面(図示しない)に接触する部分である。下部フレーム204の上下方向視の形状は、前側部分が開口した略環状である(
図5参照)。
【0020】
複数本(3本以上 本実施形態では例えば4本)の脚206は、上部フレーム202と下部フレーム204とをつないでいる。右側の2本の脚206の上端は、上部フレーム202の右側部において前後方向に互いに異なる位置に接合されている。左側の2本の脚206の上端は、上部フレーム202の左側部において前後方向に互いに異なる位置に接合されている。4本の脚206の下端は、下部フレーム204において周方向に互いに異なる位置に接合されている。複数本の脚206は、上部フレーム202と下部フレーム204との間の空間内において、互いに離間しており、これにより、脚部20に収容空間Sが形成されている。要するに、脚部20には、複数本の脚206に囲まれるように収容空間Sが形成されている。なお、複数本の脚206は、上下方向の中央部分が互いに最も接近しており、その中央部分から上側部分が上部フレーム202の左右側部に向かって放射状に延びており、中央部分から下側部分が下部フレーム204に向かって放射状に延びている(
図1および
図2参照)。また、脚部20には、複数本の脚206の中央部分をつなぎつつ、前側が開口した補強部208が設けられている。
【0021】
背部30は、背もたれ面31を有し、主として着座者の背中を支持する部分である。背部30は、例えば芯材(図示しない)の前面にクッション材が配置された複合体の全体を、革製等のカバーで覆った構成である。肘掛け部40は、背部30の左右両側にそれぞれ配置されており、着座者が肘を掛けることができる部分である。
【0022】
図2および
図3に示すように、支持部材50は、例えば金属(例えば、スチールやステンレス等)により形成されており、一対の第1の支持フレーム52と、一対の第2の支持フレーム54と、一対の第3の支持フレーム56とを有している。一対の第1の支持フレーム52は、上部フレーム202の後端部から湾曲しつつ、背部30の後面まで延びて接合されている。一対の第2の支持フレーム54は、第1の支持フレーム52の途中から背部30の後面に向かって延びて接合されている。一対の第3の支持フレーム56は、第1の支持フレーム52の途中から左右方向に突出するように延びており、各第3の支持フレーム56の先端に肘掛け部40が接合されている。
【0023】
A-1-2.ペダリングユニット60の構成:
図7は、実施形態におけるペダリングユニット60の構成を概略的に示す説明図である。
図7には、ペダリングユニット60のうち、ペダル66付近の構成が拡大して示されている。ペダリングユニット60は、一対のペダル66(
図3、
図6および
図7参照)を所定の軸(後述する
図8(B)の中心軸P)を中心に円周状に回転可能に備えている。具体的には、ペダリングユニット60は、さらに、ホイール62と、ホイールカバー64とを有している。ホイールカバー64は、特許請求の範囲におけるホイール支持部およびフレームの一例である。
【0024】
ホイールカバー64は、環状のフレームであり、例えば金属(例えば、スチールやステンレス等)により形成されている。ホイールカバー64の内周面には、ホイールカバー64の全周にわたって溝63が形成されている(
図7参照)。ホイール62は、環状のホイール部材であり、例えば金属(例えば、スチールやステンレス等)により形成されている。ホイール62は、ホイールカバー64と同軸上に配置されるとともに、ホイールカバー64の溝63内に回転可能に配置されている。すなわち、ホイール62の外周面は、全周にわたってホイールカバー64に覆われている。なお、ホイールカバー64に対するホイール62の回転の円滑性を向上させるため、例えば潤滑油やベアリング等をホイール62の外周面とホイールカバー64の溝63との間に設けることが好ましい。
【0025】
一対のペダル66は、ホイール62のうち、ホイール62の中心軸Pに対して点対称の位置に設けられている(
図6および後述の
図8(B)参照)。各ペダル66は、ホイール62の中心軸Pに沿った方向(X軸方向)にホイール62から突出する第1の姿勢(
図7(B)参照)と、ホイール62の径方向内側に位置し、ホイール62内に収容される第2の姿勢(
図7(A)参照)とに変位可能にホイール62に設けられている。一対のペダル66の第1の姿勢における突出方向は互いに逆向きである。すなわち、一方のペダル66の第1の姿勢は、ホイール62から右側に突出する姿勢であり、他方のペダル66の第1の姿勢は、ホイール62から左側に突出する姿勢である。
【0026】
具体的には、
図7に示すように、ペダル66は、ペダル本体67と、ペダル連結部68と、ロック部69とを有している。
【0027】
ペダル本体67は、略円柱状の部材であり、ペダル軸部67Aと、ペダル筒部67Bとを有している。ペダル軸部67Aは、円柱状の部材であり、例えば金属(例えば、スチールやステンレス等)により形成されている。
【0028】
ペダル筒部67Bは、略円筒状の部材であり、ペダル軸部67Aが挿入され、ペダル軸部67Aを中心に回転可能に設けられる。ペダル筒部67Bの外周面には、ペダル筒部67Bの軸方向に延びる平坦状の脚踏み部分67Cが形成されている。
【0029】
ペダル連結部68は、可動部68Aと、固定部68Bとを有している。固定部68Bは、ホイール62の内周面に固定されている。可動部68Aは、一対のアーム68Cを有している。一対のアーム68Cの先端部が、固定部68Bに対して、ホイール62の径方向と軸方向との両方に直交する方向の軸Qを中心に回転可能に設けられている。ペダル本体67のペダル軸部67Aの基端は、可動部68Aの先端に固定されている。これにより、ペダル66は、第1の姿勢(ペダル本体67がホイール62の中心軸Pに沿った姿勢
図7(B)参照)と、第2の姿勢(ペダル本体67がホイール62の径方向に沿った姿勢
図7(A)参照)とに変位可能とされている。
【0030】
ロック部69は、ペダル66を第1の姿勢にロックするための部材である。具体的には、ロック部69は、固定部68Bの先端面に、ホイール62の径方向の軸Rを中心に回転可能に設けられている。ロック部69の外周部分は、ロック部分69Aと非ロック部分69Bとを有している。ロック部分69Aと軸Rとの離間距離は、アーム68Cと軸Rとの離間距離も長く、非ロック部分69Bと軸Rとの離間距離は、アーム68Cと軸Rとの離間距離も短い。このため、非ロック部分69Bが一対のアーム68Cの間に位置しているときには、固定部68Bに対して可動部68Aを回転させて、ペダル66を第1の姿勢と第2の姿勢(
図7(A)参照)とにすることが可能である。一方、ペダル66が第1の姿勢のときに、ロック部分69Aが一対のアーム68Cの間に位置するようにロック部69を回転させると、ロック部分69Aがアーム68Cに接触することにより、ペダル66が第1の姿勢にロックされる(
図7(B)参照)。
【0031】
なお、
図7(A)に示すように、一対のペダル66が第2の姿勢であるとき、一対のペダル本体67同士の平坦状の先端面が互いに面接触する。これにより、一対のペダル66が第2の姿勢であるときに、一対のペダル本体67同士が離間している構成に比べて、一対のペダル本体67が揺動することを抑制することができる。
【0032】
A-1-3.移動機構70の構成:
図6に示すように、移動機構70は、スライド部72と、一対の把持部74と、一対のアーム部76と、第2のガイド部78と、ガイド連結部80とを備えている。スライド部72は、前後方向に延びた平板状であり、上部フレーム202の第1のスライド溝205内に前後方向に移動可能に配置されている。一対のアーム部76は、スライド部72の左右両側面のそれぞれから左右方向に突出するように延びている。各アーム部76は、第1のガイド部201の第1のガイド孔203を貫通して、アーム部76の先端部に把持部74が設けられている。把持部74の上下方向の幅は、第1のガイド孔203の上下方向の開口幅よりも広い。このため、アーム部76は、把持部74によって第1のガイド孔203からの抜けが抑制されつつ、第1のガイド孔203に沿って前後方向に移動可能とされている。このような構成により、着座者は、座部10に着座したまま、座部10の左右に位置する一対の把持部74を把持して前後方向に移動させることにより、スライド部72を第1のスライド溝205内において前後方向に移動させることができる。
【0033】
第2のガイド部78は、スライド部72の下方に位置し、ガイド連結部80を介して、スライド部72に連結されている(
図2および
図3も参照)。第2のガイド部78は、ペダリングユニット60を前後方向に移動可能に支持する部材である。第2のガイド部78は、第2のガイド孔79を有している。第2のガイド孔79は、上下方向に貫通し、前後方向に延び、かつ、前方に開口している。ペダリングユニット60(ホイールカバー64)は、この第2のガイド孔79内において前後方向に移動可能に配置されている。
図1から
図6では、一対のペダル66が第2の姿勢である状態で、ペダリングユニット60が第2のガイド孔79内に配置された状態になっている。ペダリングユニット60を前方に移動させると、ホイールカバー64が、第2のガイド孔79の先端部分に保持固定される(後述の
図8(B)参照)。スライド部72は、特許請求の範囲における第1のスライド部の一例であり、ホイールカバー64は、特許請求の範囲における第2のスライド部の一例である。
【0034】
A-2.椅子100の使用例:
図8は、実施形態における椅子100の使用状態を示す説明図である。
図8(A)には、ペダリングユニット60が脚部20の収容空間S内に位置する収容位置に配置された状態が示されている。この状態では、ペダリングユニット60は、座部10の下方に配置されているため、着座者Uは、ペダリングユニット60の存在を気にすることなく、落ち着いて椅子100に着座してデスクワーク等を行うことができる。また、ペダリングユニット60は、軸部材を備えず、ホイール62とホイールカバー64とで構成されたホイールタイプである。また、一対のペダル66は、ホイール62の内周側に収容された第2の姿勢であるため、前後方向視でホイール62に隠れている(
図1および
図2参照)。このため、環状のペダリングユニット60が、外観上、脚部20の脚206と一体化されており、デザイン性の極めて高い脚部20(椅子100)が実現されている。
【0035】
図8(B)には、ペダリングユニット60が脚部20の収容空間Sから前方に突出した突出位置に配置された状態が示されている。着座者Uは、
図8(A)の状態から、着座したまま、一対の把持部74(
図1等参照)を把持して前方向に押し出すと、移動機構70によって、ペダリングユニット60が前方に移動する。そして、ペダリングユニット60を第2のガイド部78から前方に移動させる。次に、一対のペダル66を第2の姿勢から第1の姿勢に変位させる。これにより、着座者Uは、着座したまま、ホイール62から左右方向に突出した一対のペダル66の脚踏み部分67Cに足を乗せてペダリング運動を行うことができる。
【0036】
A-3.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態に係る椅子100では、移動機構70によって、ペダリングユニット60が、脚部20の収容空間S内の収容位置(
図8(A)参照)と、収容空間Sの外部の突出位置(
図8(B)参照)との間で移動可能とされている。このため、着座者Uは、ペダリングユニット60を突出位置に配置させることにより、ペダリング運動を行うことができる。一方、ペダリング運動を行わないときには、ペダリングユニット60を収容位置に配置させることにより、例えば着座者Uの足にペダリングユニット60が干渉することを抑制することができる。
【0037】
本実施形態では、一対のペダル66は、ペダリング運動が可能な第1の姿勢(
図7(B)参照)と、ホイール62の径方向内側に位置する第2の姿勢(
図7(A)参照)とに変位可能とされている。このため、一対のペダル66が第1の姿勢から変位不能な構成に比べて、例えばペダリングユニット60の移動過程でペダル66が脚部20等に干渉することを抑制することができる。
【0038】
本実施形態では、2段の移動機構70によって、ペダリングユニット60が収容位置と突出位置との間で移動可能とされている。これにより、1段の移動機構を採用した構成に比べて、ペダリングユニット60が収容位置に配置されたときの移動機構の小型化を図りつつ、ペダリングユニット60の収容位置から突出位置までのストロークを長く確保することができる。また、2段階の移動機構70では、使用者が着座状態でペダリングユニット60を無理なく引き出すことができる。
【0039】
本実施形態では、ホイール62がホイールカバー64の溝内で回転可能に配置されている。このため、回転するホイール62が外部に露出することを抑制することができる。また、ペダリングユニット60は、軸部材が不要なシンプルな外観であるため、ペダリングユニット60の存在が椅子100のデザイン性に悪影響を与えることを抑制することができる。
【0040】
本実施形態では、把持部74が座部10の側面側に移動可能に配置されており、移動機構70は、把持部74の移動操作に連動して、ペダリングユニット60を収容位置と突出位置との間で移動させる構成である(
図8等参照)。このため、使用者は、着座したまま、把持部74を把持して移動操作を行うことにより、ペダリングユニット60を収容位置から引き出すことができる。また、把持部74の移動操作の方向(前後方向)は、ペダリングユニット60の移動方向と同じであるため、使用者から把持部74への力がペダリングユニット60の移動に効率よく反映されるため、ペダリングユニット60の移動を円滑に行うことができる。しかも、把持部74は、座部10の左右両方の側面側のそれぞれに配置されている。このため、使用者は、左右のバランスがとれた着座姿勢で把持部74の移動操作を行うことができる。
【0041】
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0042】
上記実施形態における椅子100の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態の椅子100における各部の形状や寸法、形成材料、製造方法は、あくまで一例であり、種々変形可能である。また、上記実施形態では、椅子100が座部10と背部30と肘掛け部40とを備えるが、椅子100が背部30や肘掛け部40を備えなくてもよい。
【0043】
上記実施形態では、脚部20は、複数本の脚206に囲まれるように収容空間Sが形成され、複数方向から収容空間S内を視認可能な意匠性の高いデザインであった。但し、脚部20は、例えば、前端側が開口した周壁によって収容空間が形成されたデザインでもよい。
【0044】
上記実施形態において、ペダリングユニット60は、ペダル66が常に第1の姿勢である構成でもよい。また、上記実施形態では、ペダリングユニットとして、ホイールタイプのペダリングユニット60を例示したが、例えば、回転軸を中心に回転可能に設けられたクランクの先端部にペダル本体が設けられたタイプでもよい。
【0045】
上記実施形態において、移動機構70は、2段階のスライド機構によってペダリングユニット60を収容位置と突出位置との間で移動させる構成であったが、1段階、あるいは、3段階以上の移動機構によってペダリングユニット60を収容位置と突出位置との間で移動させる構成でもよい。
【0046】
上記実施形態では、脚部20の収容空間Sの上部(上部フレーム202の下面)に配置された移動機構70を例示したが、移動機構は、収容空間Sの上下方向の中央部(例えば補強部208)や、収容空間Sの下部(下部フレーム204側)に配置された構成でもよい。なお、移動機構は、ペダリングユニットを保持するスライド部と、そのスライド部を前後方向に移動可能に支持するガイド部とを少なくとも備えていればよい。
【0047】
上記実施形態では、把持部74の移動操作の方向は、前後方向であったが、これに限らず、例えば、他の直線方向(上下方向、斜め方向)でもよく、さらには、回転方向でもよい。後者の場合、把持部74の回転操作に連動して、ペダリングユニットが移動する構成である。
【符号の説明】
【0048】
10:座部 11:座面 20:脚部 30:背部 31:背もたれ面 40:肘掛け部 50:支持部材 52:第1の支持フレーム 54:第2の支持フレーム 56:第3の支持フレーム 60:ペダリングユニット 62:ホイール 63:溝 64:ホイールカバー 66:ペダル 67:ペダル本体 67A:ペダル軸部 67B:ペダル筒部 67C:脚踏み部分 68:ペダル連結部 68A:可動部 68B:固定部 68C:アーム 69:ロック部 69A:ロック部分 69B:非ロック部分 70:移動機構 72:スライド部 74:把持部 76:アーム部 78:第2のガイド部 79:第2のガイド孔 80:ガイド連結部 100:椅子 201:第1のガイド部 202:上部フレーム 203:第1のガイド孔 204:下部フレーム 205:第1のスライド溝 206:脚 207:貫通孔 208:補強部 P:中心軸 Q,R:軸 S:収容空間 U:着座者