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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-01-23
(45)【発行日】2026-02-02
(54)【発明の名称】ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/16 20060101AFI20260126BHJP
【FI】
C08J9/16 CES
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023511335
(86)(22)【出願日】2022-03-29
(86)【国際出願番号】 JP2022015294
(87)【国際公開番号】W WO2022210646
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2025-01-23
(31)【優先権主張番号】P 2021055661
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】大谷 俊介
(72)【発明者】
【氏名】合田 高之
【審査官】芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-256460(JP,A)
【文献】国際公開第2014/084165(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0151611(US,A1)
【文献】国際公開第2021/172016(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/231526(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00-9/42
B29C 44/00-44/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(A)および分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂(B)を含む樹脂組成物を押出発泡してなり、
前記分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂(B)は、重量平均分子量が50万以上であり、かつ曲げ弾性率が950MPa以上である、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子。
【請求項2】
前記ポリプロピレン系樹脂(B)の引張弾性率は900MPa以上である、請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子。
【請求項3】
前記ポリプロピレン系樹脂(B)の荷重たわみ温度は82℃以上である、請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子。
【請求項4】
前記ポリプロピレン系樹脂(A)の200℃における溶融張力は1.00cN以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子。
【請求項5】
前記ポリプロピレン系樹脂(A)の融点は125℃~170℃である、請求項1~4のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子。
【請求項6】
前記ポリプロピレン系樹脂(A)の230℃におけるMFRは、0.50g/10分~20.00g/10分である、請求項1~5のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子。
【請求項7】
前記ポリプロピレン系樹脂(B)の融点は125℃~170℃である、請求項1~6のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子。
【請求項8】
前記ポリプロピレン系樹脂(B)の230℃におけるMFRは、0.20g/10分~20.00g/10分である、請求項1~7のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子。
【請求項9】
前記樹脂組成物中の前記ポリプロピレン系樹脂(A)と前記ポリプロピレン系樹脂(B)との重量比率(前記ポリプロピレン系樹脂(A)の重量:前記ポリプロピレン系樹脂(B)の重量)は、20:80~80:20である、請求項1~8のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子。
【請求項10】
前記ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の連続気泡率は、44.0%以下である請求項1~9のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子。
【請求項11】
前記ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の発泡倍率は、3倍~24倍である請求項1~10のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を成形してなるポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
【請求項13】
分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(A)および分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂(B)を含む樹脂組成物と発泡剤とを製造装置内で溶融混練する第一の工程、および
前記第一の工程で得られた溶融混練物を、ダイを通して前記製造装置の内圧よりも低圧である領域に吐出する第二の工程、を含み、
前記分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂(B)は、重量平均分子量が50万以上であり、かつ曲げ弾性率が950MPa以上である、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
【請求項14】
前記ポリプロピレン系樹脂(B)の引張弾性率は900MPa以上である、請求項13に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
【請求項15】
前記ポリプロピレン系樹脂(B)の荷重たわみ温度は82℃以上である、請求項13または14に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を用いて得られるポリプロピレン系樹脂発泡成形体は、発泡成形体の長所である形状の任意性、緩衝性、軽量性、および断熱性などの特徴を有する。
【0003】
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法としては、不連続プロセスであるバッチ発泡法、および連続プロセスである押出発泡法等が挙げられる。押出発泡法は、効率面および環境面等において多くの利点を有する。
【0004】
押出発泡法にてポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得る技術として、特許文献1および2に記載の技術が挙げられる。
【0005】
特許文献1には、Z平均分子量Mzが少なくとも2.0×10以上で、Mz/Mw(重量平均分子量)が3.0以上で、かつ高分子領域に分岐ポリマーを含むことを示すカーブの張りだしがあるキャメル型の分子量分布カーブを有するポリプロピレン系樹脂を主成分とする基材樹脂、架橋助剤および発泡剤を押出機中で溶融混練し、押出機より押出発泡させ、切断して得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子、が開示されている。
【0006】
特許文献2には、ポリプロピレン系樹脂(A)の特定量と、電子線照射によって得られた架橋ポリプロピレン(B)の特定量とからなり、かつ以下の(a)及び(b)の要件を満たすポリプロピレン系樹脂組成物、が開示されている:(a)230℃、2160g荷重におけるメルトフローレート(MFR)が0.5~10g/10分である、(b)ゲル分率が0.05~20%である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】日本国公開特許公報特開平9-249763号公報
【文献】日本国公開特許公報特開2000-159950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の従来技術は、低い連続気泡率を有し、かつ安価に得られるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子、という観点からは、十分なものでなく、さらなる改善の余地があった。
【0009】
本発明の一実施形態は、前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、低い連続気泡率を有し、かつ安価に得られる新規のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子、を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子は、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(A)および分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂(B)を含む樹脂組成物を押出発泡してなり、前記分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂(B)は、重量平均分子量が50万以上であり、かつ曲げ弾性率が950MPa以上である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、低い連続気泡率を有し、かつ安価に得られるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。また、異なる実施形態または実施例にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせて得られる実施形態または実施例についても、本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。なお、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意図する。
【0013】
また、本明細書において特記しない限り、構造単位として、X単量体に由来する構造単位と、X単量体に由来する構造単位と、・・・およびX単量体(nは3以上の整数)とを含む共重合体を、「X/X/・・・/X共重合体」とも称する。X/X/・・・/X共重合体としては、明示されている場合を除き、重合様式は特に限定されず、ランダム共重合体であってもよく、交互共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよく、グラフト共重合体であってもよい。
【0014】
〔1.本発明の一実施形態の技術的思想〕
押出発泡法にてポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を製造する場合、完全溶融状態の樹脂組成物を発泡する必要がある。それ故、分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂(線状ポリプロピレン系樹脂)を用いて押出発泡法にてポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を製造する場合、発泡時の樹脂組成物の粘度が低く、樹脂組成物が発泡力に耐えられないため、セル(気泡)が破泡し得る。そして、得られる押出発泡粒子の連続気泡率が高いため、成形時に押出発泡粒子が収縮し、良品の発泡成形体が得られない場合がある。この問題を解決するための技術として、例えば特許文献1および2に記載のように、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂を使用する方法が提案されている。分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂と比較して、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂は、ひずみ硬化性を有し得るため、連続気泡率が比較的低い押出発泡粒子を提供することができる。
【0015】
分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂は、例えば、分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂に分岐構造を導入する変性処理により得られる。しかしながら、かかる変性処理は原料費および加工賃が高く、それ故、分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂と比較して、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂は高価となる。そのため、市場のニーズとして、低い連続気泡率を有し、かつ安価に得られるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の開発が求められている。
【0016】
そこで、本発明者らは、低い連続気泡率を有し、かつ安価に得られるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を提供するため、鋭意検討を行った。その結果、本発明者らは、驚くべきことに、以下の(1)および(2)の新規知見を独自に見出した:
(1)分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(A)とともに、分岐構造が導入されておらず、かつ重量平均分子量および曲げ弾性率が特定の範囲内であるポリプロピレン系樹脂(B)を使用する。これにより、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(A)のみを使用して得られるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子と同程度の連続気泡率を有するポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を得ることができる;および
(2)原料である分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(A)の一部を、分岐構造が導入されておらず、かつ重量平均分子量および曲げ弾性率が特定の範囲内であるポリプロピレン系樹脂(B)と置き換えることができる。そのため、得られるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子は、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(A)のみを使用して得られるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子と比較して、安価である。
【0017】
〔2.ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子〕
本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子は、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(A)および分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂(B)を含む樹脂組成物を押出発泡してなる。前記分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂(B)は、重量平均分子量が50万以上であり、かつ曲げ弾性率が950MPa以上である。
【0018】
ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子は、当該ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を成形(例えば、型内発泡成形)することにより、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体とすることができる。本明細書において、「ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子」を「押出発泡粒子」と称する場合があり、「本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子」を「本押出発泡粒子」と称する場合があり、「ポリプロピレン系樹脂発泡成形体」を「発泡成形体」と称する場合があり、「本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡成形体」を「本発泡成形体」と称する場合がある。
【0019】
本押出発泡粒子は、上述した構成を有するため、低い連続気泡率を有し、かつ安価に得られるという利点を有する。
【0020】
(2-1.樹脂組成物)
樹脂組成物は、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(A)および分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂(B)を含み、さらに任意で気泡核形成剤等の添加剤を含み得る。
【0021】
本明細書において、「分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂」とは、(a)分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂の分子同士を分子間で一部架橋させたポリプロピレン系樹脂、および(b)分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂に対して、(ポリ)プロピレン以外のジエン化合物等を分岐鎖として導入したポリプロピレン系樹脂を意図する。本明細書において、「分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂」を「線状ポリプロピレン系樹脂」と称する場合があり、「分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂」を「分岐状ポリプロピレン系樹脂」と称する場合があり、「線状ポリプロピレン系樹脂」および「分岐状ポリプロピレン系樹脂」をまとめて「ポリプロピレン系樹脂」と称する場合がある。線状ポリプロピレン系樹脂は、分岐状ポリプロピレン系樹脂の原料ともいえる。
【0022】
本明細書において、ポリプロピレン系樹脂とは、樹脂に含まれる全構造単位100モル%中、プロピレン単量体に由来する構造単位を50モル%以上含む樹脂を意図する。本明細書において、「プロピレン単量体に由来する構造単位」を「プロピレン単位」と称する場合もある。
【0023】
(分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(A))
分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(A)(分岐状ポリプロピレン系樹脂(A))は、線状ポリプロピレン系樹脂に分岐構造を導入することによって得ることができる。分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)において、原料である線状ポリプロピレン系樹脂に由来する構造を「主鎖」とも称する。
【0024】
分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の主鎖は、(a)プロピレンの単独重合体であってもよく、(b)プロピレンとプロピレン以外の単量体とのブロック共重合体、交互共重合体、ランダム共重合体もしくはグラフト共重合体であってもよく、または(c)これらの2種以上の混合物であってもよい。
【0025】
分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の主鎖は、プロピレン単位に加えて、プロピレン単量体以外の単量体に由来する構造単位を1単位以上有していてもよく、1種以上有していてもよい。「プロピレン単量体以外の単量体」を「コモノマー」と称する場合もあり、分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の主鎖に含まれる「プロピレン単量体以外の単量体に由来する構造単位」を「コモノマー単位」と称する場合もある。分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の原料として、プロピレンとコモノマーとを使用して得られた線状ポリプロピレン系樹脂を使用することにより、プロピレン単位とコモノマー単位とを有する分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)を得ることができる。
【0026】
コモノマーとしては、以下のような単量体が挙げられる:(a)エチレン、1-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3,4-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、3-メチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンなどの炭素数2または4~12のα-オレフィン、(b)シクロペンテン、ノルボルネン、テトラシクロ[6,2,11,8,13,6]-4-ドデセンなどの環状オレフィン、(c)5-メチレン-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、1,4-ヘキサジエン、メチル-1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエンなどのジエン、並びに(d)塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、マレイン酸、無水マレイン酸、スチレン系単量体、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどのビニル系単量体、など。
【0027】
アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピルおよびアクリル酸グリシジルなどが挙げられる。
【0028】
メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピルおよびメタクリル酸グリシジルなどが挙げられる。
【0029】
スチレン系単量体としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、アルファメチルスチレン、パラメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、t-ブチルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレンおよびトリクロロスチレンなどが挙げられる。
【0030】
分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の主鎖は、コモノマー単位として、炭素数2または4~12のα-オレフィンに由来する構造単位を有することが好ましく、エチレン、1-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3,4-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、3-メチル-1-ヘキセン、1-オクテンおよび/または1-デセンなどに由来する構造単位を有することがより好ましく、エチレン、1-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセンおよび/または4-メチル-1-ペンテンに由来する構造単位を有することがより好ましく、エチレン、1-ブテン、イソブテンおよび/または1-ペンテンに由来する構造単位を有することがよりさらに好ましく、エチレンおよび/または1-ブテンに由来する構造単位を有することがより特に好ましい。当該構成によると、分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)が、(a)高い溶融張力および低いゲル分率を有するという利点、並びに(b)成形性に優れるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を提供できるという利点を有する。
【0031】
分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の主鎖は、プロピレン単独重合体、ポリプロピレン系ブロック共重合体、ポリプロピレン系交互共重合体および/またはポリプロピレン系ランダム共重合体であることが好ましく、プロピレン単独重合体および/またはポリプロピレン系ランダム共重合体であることがより好ましい。ポリプロピレン系ランダム共重合体としては、プロピレン単位と、コモノマー単位としてエチレン単位を含む共重合体(プロピレン/エチレンランダム共重合体)であることが好ましい。ポリプロピレン系ランダム共重合体100重量%中に含まれるエチレン単位の量(エチレン含量)は、0~5.5重量%であることが好ましく、0~4.0重量%であることがより好ましく、0~3.0重量%がさらに好ましい。これらの構成によると、分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)が、(a)高い溶融張力および低いゲル分率を有するという利点、並びに(b)成形性に優れるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を提供できるという利点を有する。
【0032】
分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)は、当該分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)に含まれる全構造単位100モル%中、プロピレン単位を90モル%以上含むことが好ましく、93モル%以上含むことがより好ましく、94モル%以上含むことがさらに好ましく、95モル%以上含むことが特に好ましい。当該構成によると、分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)が高い溶融張力および低いゲル分率を有するという利点を有する。
【0033】
(溶融張力(メルトテンション))
分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の溶融張力は、線状ポリプロピレン系樹脂の溶融張力と比較して高くなり得る。本明細書において、「分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の溶融張力」は、分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の200℃における溶融張力を意図する。分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の溶融張力は、特に限定されないが、1.00cN以上であることが好ましく、1.00cN~15.00cNであることがより好ましく、3.00cN~15.00cNであることがより好ましく、6.00cN~15.00cNであることがさらに好ましく、6.00cN~12.00cNであることが特に好ましい。分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の溶融張力が1.00cN以上である場合、分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)および発泡剤を含む組成物を完全溶融させて発泡するとき、組成物の張力が十分に高くなり、得られる押出発泡粒子におけるセルの破泡を防ぐことができる。その結果、(a)得られる押出発泡粒子が成形性に優れるという利点、および(b)当該押出発泡粒子は耐破断性に優れる発泡成形体を提供できるという利点、を有する。分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の溶融張力が15.00cN以下である場合、押出発泡工程において、樹脂圧力(溶融混練物が、製造装置に設置された圧力計を押す力)が高くなりすぎず、吐出量を比較的高くすることができる。その結果、生産性が良く押出発泡粒子を得ることができるという利点を有する。
【0034】
本明細書において、分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の溶融張力は、キャピログラフ1D(日本 株式会社東洋精機製作所製)を用いて測定する。具体的には、以下(1)~(5)の通りである:(1)試験温度(200℃)に加熱された径9.55mmのバレルに測定用の試料樹脂(分岐状ポリプロピレン系樹脂(A))を充填する;(2)次いで、試料樹脂を10分間、試験温度(200℃)に加熱されたバレル内で加熱する;(3)次いで、キャピラリーダイ(口径1.0mm、長さ10mm)から、一定に保持したピストン降下速度(10mm/分)にて、試料樹脂を紐状に出しながら、この紐状物を前記キャピラリーダイの下方350mmに位置する張力検出のプーリーに通過させた後、巻取りロールを用いる巻取りを開始する;(4)紐状物の引き取りが安定した後、紐状物の巻取り速度を初速1.0m/分から、4分間で200m/分の速度に達するまで一定の割合で増加させる;(5)紐状物が破断したときのロードセル付きプーリーにかかる荷重を溶融張力として測定する。
【0035】
(分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の融点)
分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の融点は特に限定されないが、例えば、125℃~170℃であることが好ましく、130℃~170℃であることがより好ましく、135℃~170℃であることがより好ましく、140℃~165℃であることがより好ましく、140℃~160℃であることがさらに好ましく、145℃~155℃であることが特に好ましい。分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の融点は150℃以下であってもよい。分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の融点が上述した範囲内である場合、押出発泡粒子が低い連続気泡率を有するという利点を有する。また、分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の融点が、(a)125℃以上である場合、発泡成形体の寸法安定性が低下する虞がなく、発泡成形体の耐熱性が不十分となる虞がなく、かつ発泡成形体の圧縮強度が高くなる傾向があるという利点を有し、(b)170℃以下である場合、押出発泡粒子を比較的低い蒸気圧で成形することが可能となるため、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子用の汎用成形機を使用して押出発泡粒子を成形できるという利点を有する。
【0036】
本明細書において、分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の融点は、示差走査熱量計法(以降、「DSC法」と称する)により測定して求められる値である。具体的な操作手順は以下の通りである:(1)分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)5mg~6mgの温度を10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温することにより当該分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)を融解させる;(2)その後、融解された分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の温度を10℃/分の降温速度で220℃から40℃まで降温することにより当該分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)を結晶化させる;(3)その後、さらに、結晶化された分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の温度を10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温する。2回目の昇温時(すなわち(3)のとき)に得られる当該分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)のDSC曲線のピーク(融解ピーク)の温度を当該分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の融点として求めることができる。なお、上述の方法により、2回目の昇温時に得られる、分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)のDSC曲線において、ピーク(融解ピーク)が複数存在する場合、融解熱量が最大のピーク(融解ピーク)の温度を、分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の融点とする。示差走査熱量計としては、例えば、セイコーインスツルメンツ(株)製、DSC6200型を用いることができる。
【0037】
(分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)のMFR)
分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)のメルトフローレート(Melt Flow Rate;MFR)は、特に限定されない。本明細書において、「分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)のMFR」は、分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の230℃におけるMFRを意図する。分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の230℃におけるMFRは、例えば、0.50g/10分~20.00g/10分であることが好ましく、1.00g/10分~15.00g/10分であることがより好ましく、2.00g/10分~12.00g/10分であることがより好ましく、2.00g/10分~10.00g/10分であることがより好ましく、2.50g/10分~8.00g/10分であることがより好ましく、2.50g/10分~7.00g/10分であることがさらに好ましく、2.50g/10分~6.00g/10分であることが特に好ましい。分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の230℃におけるMFRは、3.00g/10分以上であってもよく、3.50g/10分以上であってもよく、4.00g/10分以上であってもよく、4.50g/10分以上であってもよく、5.00g/10分以上であってもよい。分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)のMFRが上述した範囲内である場合、(a)押出発泡粒子が低い連続気泡率を有するという利点、(b)押出発泡粒子が成形性に優れるという利点、および(b)当該押出発泡粒子は耐破断性に優れる発泡成形体を提供できるという利点、を有する。分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)のMFRが、(a)0.5g/10分以上である場合、当該分岐状ポリプロピレン系樹脂から得られる押出発泡粒子は、変形が少なく、表面性が良好(美麗)である発泡成形体を提供できるという利点を有し、(b)20.0g/10分以下である場合、当該分岐状ポリプロピレン系樹脂から得られる押出発泡粒子を含む組成物は、押出発泡時、発泡性が良好になるという利点を有する。
【0038】
本明細書において、分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)のMFRは、ISO 1133に従い、温度230℃および荷重2.16kgの条件で測定して求められる値である。
【0039】
(分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の調製方法)
分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)は、線状ポリプロピレン系樹脂に分岐構造を導入することによって得ることができる。線状ポリプロピレン系樹脂に分岐構造を導入する方法としては、特に限定されないが、例えば、(a1)線状ポリプロピレン系樹脂に放射線を照射する方法、および(a2)線状ポリプロピレン系樹脂と共役ジエン化合物とラジカル重合開始剤とを含む混合物を溶融混練する方法などが挙げられる。
【0040】
前記(a1)の方法の具体的な方法としては、例えば特表2002-542360に記載の方法が挙げられる。
【0041】
前記(a2)の方法についてさらに説明する。前記(a2)の方法では、例えば、以下(i)~(iv)を順に行い、分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)を得ることができる:(i)線状ポリプロピレン系樹脂と共役ジエン化合物とラジカル重合開始剤とを含む混合物を、ダイを備える装置で溶融混練する;(ii)得られた溶融混練物をダイから押出す;(iii)押出された溶融混練物(ストランドとも称される。)を冷却する;および(iv)ストランドの冷却と同時にまた、冷却後に、ストランドを細断する。前記(a2)の方法の具体的な方法としては、例えばWO2020/004429に記載の方法が挙げられる。
【0042】
前記(a2)の方法は、(i)線状ポリプロピレン系樹脂に分岐構造を安定して導入でき、かつ分岐構造の導入の再現性が高いという利点、および/または(ii)複雑な設備を必要とせず、かつ高い生産性で分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)を得ることができるという利点を有する。それ故、本発明の一実施形態において、分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)は、上述の(a2)の方法によって得られる分岐状ポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。換言すれば、本発明の一実施形態において、分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)は、線状ポリプロピレン系樹脂と共役ジエン化合物とラジカル重合開始剤とを含む混合物を溶融混練して得られる分岐状ポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。
【0043】
(分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂(B))
分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂(B)は、線状ポリプロピレン系樹脂(B)ともいえる。分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂(B)(線状ポリプロピレン系樹脂(B))は、上述した分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の主鎖と同じ構成を有していてもよい。例えば、線状ポリプロピレン系樹脂(B)は、(a)プロピレンの単独重合体であってもよく、(b)プロピレンとプロピレン以外の単量体とのブロック共重合体、交互共重合体、ランダム共重合体もしくはグラフト共重合体であってもよく、または(c)これらの2種以上の混合物であってもよい。
【0044】
線状ポリプロピレン系樹脂(B)は、プロピレン単位に加えて、コモノマー単位を有していてもよい。コモノマーとしては、前記(分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(A))の項に記載のコモノマーが挙げられる。線状ポリプロピレン系樹脂(B)は、コモノマー単位として、炭素数2または4~12のα-オレフィンに由来する構造単位を有することが好ましく、エチレン、1-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3,4-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、3-メチル-1-ヘキセン、1-オクテンおよび/または1-デセンなどに由来する構造単位を有することがより好ましく、エチレン、1-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセンおよび/または4-メチル-1-ペンテンに由来する構造単位を有することがより好ましく、エチレン、1-ブテン、イソブテンおよび/または1-ペンテンに由来する構造単位を有することがよりさらに好ましく、エチレンおよび/または1-ブテンに由来する構造単位を有することがより特に好ましい。当該構成によると、成形性に優れるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を提供できるという利点を有する。
【0045】
線状ポリプロピレン系樹脂(B)は、プロピレン単独重合体、ポリプロピレン系ブロック共重合体、ポリプロピレン系交互共重合体および/またはポリプロピレン系ランダム共重合体であることが好ましく、プロピレン単独重合体および/またはポリプロピレン系ランダム共重合体であることがより好ましい。ポリプロピレン系ランダム共重合体としては、プロピレン単位と、コモノマー単位としてエチレン単位を含む共重合体(プロピレン/エチレンランダム共重合体)であることが好ましく、エチレン単位を0.5~5.0重量%含有する共重合体(プロピレン/エチレンランダム共重合体)であることがより好ましい。ポリプロピレン系ランダム共重合体としては、例えば、共重合体100重量%中エチレン単位を0.5~5.0重量%含有するプロピレン/エチレンランダム共重合体であることがさらに好ましい。これらの構成によると、成形性に優れる押出発泡粒子を提供できるという利点を有する。
【0046】
線状ポリプロピレン系樹脂(B)は、当該線状ポリプロピレン系樹脂(B)に含まれる全構造単位100モル%中、プロピレン単位を90モル%以上含むことが好ましく、93モル%以上含むことがより好ましく、94モル%以上含むことがさらに好ましく、95モル%以上含むことが特に好ましい。
【0047】
(線状ポリプロピレン系樹脂(B)の重量平均分子量)
線状ポリプロピレン系樹脂(B)の重量平均分子量は、500000以上であり、520000以上であることが好ましく、550000以上であることがより好ましく、570000以上であることがより好ましく、590000以上であることがより好ましく、610000以上であることがさらに好ましく、630000以上であることが特に好ましい。線状ポリプロピレン系樹脂(B)の重量平均分子量が500000以上である場合、線状ポリプロピレン系樹脂(B)が分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)と絡み合うことにより、(i)分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の歪硬化性を損ねることがなく、かつ(ii)低い連続気泡率を有する押出発泡粒子を提供できるという利点を有する。線状ポリプロピレン系樹脂(B)の重量平均分子量の上限値は特に限定されないが、例えば、1000000以下であることが好ましく、900000以下であることがより好ましく、850000以下であることがより好ましく、800000以下であることがより好ましく、750000以下であることがさらに好ましく、700000以下であることが特に好ましい。線状ポリプロピレン系樹脂(B)の重量平均分子量が1000000以下である場合、分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)と線状ポリプロピレン系樹脂(B)を含む樹脂組成物の粘度が高くなりすぎることがないため、生産性が良く押出発泡粒子を得ることができるという利点を有する。
【0048】
本明細書において、線状ポリプロピレン系樹脂(B)の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel permeation chromatography、GPC)の方法により得られた値とする。GPCに用いる装置としては、例えば、Viscotek Triple HT-GPC model-SG system(Malvern Instruments製)が挙げられる。具体的な測定方法は以下の通りである;(1)線状ポリプロピレン系樹脂(B)を溶離液(オルトジクロロベンゼン(0.05%ブチル化ヒドロキシトルエン含有))に溶解し、線状ポリプロピレン系樹脂(B)を0.1%(重量/重量)含む試料溶液を作製する;(2)流量0.3ml/min、温度140℃の条件で200μlの試料溶液をカラム(Waters(株)製 HR,3,4、6E)に通し、GPC測定を行う。ここで、標準試料にポリスチレンを用い、比較換算により線状ポリプロピレン系樹脂(B)の重量平均分子量を求める。検出は示差屈折率計を用いたリファレンスフロー方式で実施する。
【0049】
(線状ポリプロピレン系樹脂(B)の曲げ弾性率)
線状ポリプロピレン系樹脂(B)の曲げ弾性率は、950MPa以上であり、980MPa以上であることが好ましく、1000MPa以上であることがより好ましく、1030MPa以上であることがさらに好ましく、1050MPa以上であることが特に好ましい。線状ポリプロピレン系樹脂(B)の曲げ弾性率が950MPa以上である場合、得られる発泡成形体の圧縮強度が高いという利点を有する。線状ポリプロピレン系樹脂(B)の曲げ弾性率の上限値は特に限定されないが、例えば、1400MPa以下であることが好ましく、1350MPa以下であることがより好ましく、1300MPa以下であることがより好ましく、1250MPa以下であることがより好ましく、1200MPa以下であることがより好ましく、1150MPa以下であることがさらに好ましく、1100MPa以下であることが特に好ましい。線状ポリプロピレン系樹脂(B)の曲げ弾性率が1400MPa以下である場合、得られる発泡成形体が割れにくいという利点を有する。
【0050】
本明細書において、線状ポリプロピレン系樹脂(B)の曲げ弾性率は、JIS K 7171に従った方法により得られた値とする。
【0051】
(線状ポリプロピレン(B)の引張弾性率)
線状ポリプロピレン系樹脂(B)の引張弾性率は、特に限定されないが、900MPa以上であることが好ましく、925MPa以上であることがより好ましく、950MPa以上であることがより好ましく、975MPa以上であることがより好ましく、1000MPa以上であることがさらに好ましく、1025MPa以上であることが特に好ましい。線状ポリプロピレン系樹脂(B)の引張弾性率が900MPa以上である場合、得られる発泡成形体の引張強度が強いという利点を有する。線状ポリプロピレン系樹脂(B)の引張弾性率の上限値は特に限定されないが、例えば、1300MPa以下であることが好ましく、1250MPa以下であることがより好ましく、1200MPa以下であることがより好ましく、1150MPa以下であることがさらに好ましく、1100MPa以下であることが特に好ましい。線状ポリプロピレン系樹脂(B)の引張弾性率が1300MPa以下である場合、得られる発泡成形体が割れにくいという利点を有する。
【0052】
本明細書において、線状ポリプロピレン系樹脂(B)の引張弾性率は、JIS K 7161に従った方法により得られた値とする。
【0053】
(線状ポリプロピレン(B)の荷重たわみ温度)
線状ポリプロピレン系樹脂(B)の荷重たわみ温度は、特に限定されないが、82℃以上であることが好ましく、84℃以上であることがより好ましく、86℃以上であることがより好ましく、88℃以上であることがさらに好ましく、90℃以上であることが特に好ましい。線状ポリプロピレン系樹脂(B)の荷重たわみ温度が82℃以上である場合、得られる発泡成形体が高温の環境下においても高い圧縮強度を維持できるという利点を有する。線状ポリプロピレン系樹脂(B)の荷重たわみ温度の上限値は特に限定されないが、例えば、125℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましく、115℃以下であることがより好ましく、110℃以下であることがより好ましく、105℃以下であることがより好ましく、100℃以下であることがさらに好ましく、95℃以下であることが特に好ましい。線状ポリプロピレン系樹脂(B)の荷重たわみ温度が125℃以下である場合、得られる発泡成形体が割れにくいという利点を有する。
【0054】
本明細書において、線状ポリプロピレン系樹脂(B)の荷重たわみ温度はJIS K 7191に従った方法により得られた値とする。
【0055】
線状ポリプロピレン系樹脂(B)の融点は特に限定されないが、例えば、125℃~170℃であることが好ましく、130℃~170℃であることがより好ましく、135℃~170℃であることがより好ましく、140℃~165℃であることがより好ましく、140℃~160℃であることがより好ましく、140℃~155℃であることがより好ましく、140℃~150℃であることがさらに好ましく、143℃~150℃であることが特に好ましい。線状ポリプロピレン系樹脂(B)の融点が上述した範囲内である場合、押出発泡粒子が低い連続気泡率を有するという利点を有する。また、線状ポリプロピレン系樹脂(B)の融点が、(a)125℃以上である場合、発泡成形体の寸法安定性が低下する虞がなく、発泡成形体の耐熱性が不十分となる虞がなく、かつ発泡成形体の圧縮強度が高くなる傾向があるという利点を有し、(b)170℃以下である場合、押出発泡粒子を比較的低い蒸気圧で成形することが可能となるため、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子用の汎用成形機を使用して押出発泡粒子を成形できるという利点を有する。
【0056】
本明細書において、線状ポリプロピレン系樹脂(B)の融点は、DSC法により測定して求められる値である。線状ポリプロピレン系樹脂(B)のDSC法の具体的な操作手順は、分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)を線状ポリプロピレン系樹脂(B)に代える以外は、上述した分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)のDSC法の操作手順と同じである。2回目の昇温時(すなわち(3)のとき)に得られる線状ポリプロピレン系樹脂(B)のDSC曲線のピーク(融解ピーク)の温度を当該線状ポリプロピレン系樹脂(B)の融点として求めることができる。なお、上述の方法により、2回目の昇温時に得られる、線状ポリプロピレン系樹脂(B)のDSC曲線において、ピーク(融解ピーク)が複数存在する場合、融解熱量が最大のピーク(融解ピーク)の温度を、線状ポリプロピレン系樹脂(B)の融点とする。
【0057】
線状ポリプロピレン系樹脂(B)のMFRは、特に限定されない。本明細書において、「線状ポリプロピレン系樹脂(B)のMFR」は、線状ポリプロピレン系樹脂(B)の230℃におけるMFRを意図する。線状ポリプロピレン系樹脂(B)の230℃におけるMFRは、例えば、0.20g/10分~20.00g/10分であることが好ましく、0.20g/10分~15.00g/10分であることがより好ましく、0.20g/10分~12.00g/10分であることがさらに好ましく、0.20g/10分~10.00g/10分であることがより好ましく、0.20g/10分~8.00g/10分であることがより好ましく、0.20g/10分~6.00g/10分であることがより好ましく、0.20g/10分~4.00g/10分であることがより好ましく、0.20g/10分~2.00g/10分であることがより好ましく、0.20g/10分~1.50g/10分であることがさらに好ましく、0.20g/10分~1.00g/10分であることが特に好ましい。線状ポリプロピレン系樹脂(B)のMFRが上述した範囲内である場合、表面性が良好(美麗)である発泡成形体を得ることができるという利点を有する。
【0058】
ここで、「分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の230℃におけるMFR」を「MFR(A)」とし、「線状ポリプロピレン系樹脂(B)の230℃におけるMFR」を「MFR(B)」とする。MFR(B)は、MFR(A)よりも低いことが好ましい。MFR(A)とMFR(B)との差(MFR(A)の値からMFR(B)の値を引いて得られる値)は0.50g/10分以上であることが好ましく、1.00g/10分以上であることがより好ましく、1.50g/10分以上であることがより好ましく、2.00g/10分以上であることがさらに好ましく、2.30g/10分以上であることが特に好ましい。MFR(A)とMFR(B)との前記差は、2.50g/10分以上であってもよく、2.80g/10分以上であってもよく、3.00g/10分以上であってもよく、3.30g/10分以上であってもよく、3.50g/10分以上であってもよく、3.80g/10分以上であってもよく、4.00g/10分以上であってもよく、4.30g/10分以上であってもよく、4.50g/10分以上であってもよく、4.80g/10分以上であってもよい。当該構成によると、線状ポリプロピレン系樹脂(B)が分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)と絡み合うことにより、分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の歪硬化性を損ねにくいという利点を有する。
【0059】
本明細書において、線状ポリプロピレン系樹脂(B)のMFRは、ISO 1133に従い、温度230℃および荷重2.16kgの条件で測定して求められる値である。
【0060】
樹脂組成物中の分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)と線状ポリプロピレン系樹脂(B)との重量比率(分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の重量:線状ポリプロピレン系樹脂(B)の重量)は、特に限定されないが、20:80~80:20が好ましく、30:70~70:30がより好ましく40:60~60:40がさらに好ましく、45:55~55:45が特に好ましい。前記範囲内であると、分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の特徴である歪硬化性を失わず、かつ安価にポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を得ることができる。また、樹脂組成物中の分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の比率が少ないほど、換言すれば線状ポリプロピレン系樹脂(B)の比率が多いほど安価にポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を得ることができる。
【0061】
(その他の樹脂およびゴム)
樹脂組成物は、本発明の一実施形態に係る効果を損なわない範囲で、分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)および線状ポリプロピレン系樹脂(B)以外の樹脂(「その他の樹脂」と称する場合がある。)および/またはゴムをさらに含んでいてもよい。その他の樹脂およびゴムを総称して「その他の樹脂等」と称する場合もある。分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)および線状ポリプロピレン系樹脂(B)以外のその他の樹脂としては、(a)線状のポリプロピレン系樹脂(B)以外の線状のポリプロピレン系樹脂(例えば、重量平均分子量が50万未満である、もしくは曲げ弾性率が950MPa未満である線状ポリプロピレン系樹脂)、(b)高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、およびエチレン/メタアクリル酸共重合体などのエチレン系樹脂、並びに(c)ポリスチレン、スチレン/無水マレイン酸共重合体、およびスチレン/エチレン共重合体などのスチレン系樹脂、などが挙げられる。前記ゴムとしては、エチレン/プロピレンゴム、エチレン/ブテンゴム、エチレン/ヘキセンゴム、エチレン/オクテンゴムなどのオレフィン系ゴムが挙げられる。樹脂組成物における、その他の樹脂およびゴムの合計含有量は特に限定されない。樹脂組成物における、その他の樹脂およびゴムの合計含有量は、例えば、分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)および線状ポリプロピレン系樹脂(B)の合計100重量部に対して、1重量部~10重量部であることが好ましく、2重量部~5重量部であることがさらに好ましい。
【0062】
(気泡核形成剤)
樹脂組成物は、気泡核形成剤を含んでいてもよい。換言すれば、本押出発泡粒子の製造において気泡核形成剤を使用してもよい。気泡核形成剤を使用することにより、得られるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の気泡数および気泡の形状をコントロールすることができる。
【0063】
気泡核形成剤としては、重炭酸ソーダ-クエン酸混合物、クエン酸モノナトリウム塩、タルク、および炭酸カルシウムなどを挙げることができる。これら気泡核形成剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0064】
樹脂組成物における気泡核形成剤の含有量、換言すれば押出発泡粒子の製造における気泡核形成剤の使用量、は特に限定されない。気泡核形成剤の含有量は、例えば、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.01重量部~5.00重量部であることが好ましく、0.01重量部~3.50重量部であることがより好ましく、0.01重量部~1.00重量部であることがさらに好ましく、0.01重量部~0.50重量部であることが特に好ましい。当該構成によると、押出発泡粒子の平均気泡径および気泡の形状が均一になり、その結果、押出発泡時の発泡性が安定しやすい傾向があるという利点を有する。
【0065】
(その他成分)
樹脂組成物は、必要に応じてその他成分として、(a)酸化防止剤、金属不活性剤、燐系加工安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、蛍光増白剤、金属石鹸、および制酸吸着剤などの安定剤、並びに/または、(b)架橋剤、連鎖移動剤、滑剤、可塑剤、充填材、強化材、難燃剤、着色剤、含水剤、および帯電防止剤などの添加剤、をさらに含んでいてもよい。これらその他成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。樹脂組成物におけるその他成分の合計含有量は特に限定されない。樹脂組成物におけるその他成分の合計含有量は、例えば、分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)および線状ポリプロピレン系樹脂(B)の合計100重量部に対して、0.01重量部~50.00重量部が好ましく、0.05重量部~30.00重量部であることがさらに好ましい。
【0066】
(ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の連続気泡率)
本押出発泡粒子は、連続気泡率が低いほど好ましい。本押出発泡粒子は、連続気泡率が44.0%以下であることが好ましく、42.0%以下であることがより好ましく、40.0%以下であることがより好ましく、38.0%以下であることがより好ましく、36.0%以下であることがさらに好ましく、34.0%以下であることが特に好ましい。本ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の連続気泡率の下限値は特に限定されず、例えば0.0%以上である。押出発泡粒子の連続気泡率が上述した範囲内である場合、(a)押出発泡粒子の成形時に、セル(気泡)が破泡して収縮することがほとんどないため、当該押出発泡粒子が成形性に優れるという利点、および(b)当該押出発泡粒子を用いて得られた発泡成形体において、形状の任意性、緩衝性、軽量性、圧縮強度および断熱性などの特徴がより発揮されるという利点を有する。
【0067】
本明細書において、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の連続気泡率は、空気比較式比重計[東京サイエンス(株)製、モデル1000]を用いて、ASTM D2856-87の手順C(PROCEDURE C)に記載の方法に従って、測定して求められる値である。押出発泡粒子の連続気泡率は、具体的には、以下(1)~(3)を順に実施して算出される:(1)空気比較式比重計を用いて押出発泡粒子の体積Vc(cm)を測定する;(2)次いで、Vcを測定後の押出発泡粒子の全量を、メスシリンダーに入っているエタノール中に沈める;(3)その後、メスシリンダーにおけるエタノールの位置の上昇量から、押出発泡粒子の見かけ上の体積Va(cm)を求める;(4)以下の式により、押出発泡粒子の連続気泡率を算出する:連続気泡率(%)=((Va-Vc)×100)/Va。なお、体積Vaの測定の方法は水没法とも称される。
【0068】
(ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の発泡倍率)
本押出発泡粒子の発泡倍率は、3倍~40倍であることが好ましく、3倍~35倍であることがより好ましく、3倍~30倍であることがより好ましく、3倍~28倍であることがより好ましく、3倍~28倍であることがさらに好ましく、3倍~25倍であることが特に好ましい。前記構成によると、当該押出発泡粒子を用いて得られたポリプロピレン系樹脂発泡成形体において、形状の任意性、緩衝性、軽量性、および断熱性などの特徴がより発揮される、という利点を有する。
【0069】
本明細書において、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の発泡倍率は、以下の方法によって算出される:(1)押出発泡粒子の重量w(g)を測定する;(2)次に、重量の測定に用いた押出発泡粒子を、メスシリンダー中に入っているエタノール中に沈め、メスシリンダーの液面位置の上昇分に基づき押出発泡粒子の体積v(cm)を測定する;(3)重量w(g)を体積v(cm)で除し、押出発泡粒子の密度ρを算出する;(4)押出発泡粒子の基材樹脂の密度ρを押出発泡粒子の密度ρで除し(ρ/ρ)、得られた値を発泡倍率とする。本明細書において、基材樹脂とは、押出発泡粒子を実質的に構成している樹脂成分であるともいえる。基材樹脂の密度ρとしては、一般的なポリプロピレン系樹脂の密度0.9g/cmを採用することができる。
【0070】
(ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法)
本押出発泡粒子の製造方法としては、特に限定されず、公知の押出発泡方法を採用できる。本押出発泡粒子の製造方法の一態様としては、例えば、以下のような態様が挙げられる:分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(A)および分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂(B)を含む樹脂組成物と発泡剤とを製造装置内で溶融混練する第一の工程、および第一の工程で得られた溶融混練物を、ダイを通して前記製造装置の内圧よりも低圧である領域に吐出する第二の工程、を含み、前記分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂(B)は、重量平均分子量が50万以上であり、かつ曲げ弾性率が950MPa以上である、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
【0071】
本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法は、前述した構成であるため、低い連続気泡率を有する押出発泡粒子を、安価に提供することができる。
【0072】
(第一の工程)
第一の工程について、具体的に説明する。第一の工程の具体例としては、製造装置にて、分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)と線状ポリプロピレン系樹脂(B)と発泡剤とを含む樹脂組成物を溶融させて、樹脂組成物に発泡剤を溶解させる工程が挙げられる。第一の工程は、樹脂組成物と発泡剤とを含む溶融混練物を調製する工程ともいえる。
【0073】
(発泡剤)
本押出発泡粒子の製造方法において使用可能な発泡剤としては、押出発泡で使用される一般的に使用される発泡剤であれば特に限定されない。前記発泡剤としては、例えば、(a)(a-1)プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;(a-2)シクロペンタン、シクロブタン等の脂環式炭化水素類;(a-3)ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル類;(a-4)メタノール、エタノール等のアルコール類;(a-5)空気、窒素、炭酸ガス等の無機ガス;並びに(a-6)水などの物理系発泡剤、並びに、(b)重炭酸ナトリウム、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどの熱分解型発泡剤を含む化学系発泡剤、などが挙げられる。
【0074】
本製造方法において、生産コストおよび環境負荷が小さいことから、発泡剤としては、無機ガスおよび水が好ましく、炭酸ガスがより好ましい。
【0075】
発泡剤の使用量は、特に限定されず、発泡剤の種類に応じて、および/または、目標とするポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の発泡倍率に応じて適宜調整すればよい。一例として、発泡剤の使用量は、樹脂混合物の重量100.00重量部に対して、0.50重量部~7.00重量部であってもよく、0.50重量部~6.00重量部であってもよく、0.50重量部~5.00重量部であってもよく、0.50重量部~4.00重量部であってもよく、0.50重量部~3.00重量部であってもよい。
【0076】
第一の工程において、必要に応じて、気泡核形成剤、安定剤(例えば、酸化防止剤、金属不活性剤、燐系加工安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、蛍光増白剤、金属石鹸、および制酸吸着剤など)および添加剤(例えば、無機着色剤、有機着色剤、架橋剤、連鎖移動剤、滑剤、可塑剤、充填材、強化材、顔料、染料、難燃剤、含水剤、および帯電防止剤など)などをさらに使用してもよい。
【0077】
第一の工程において、樹脂組成物および発泡剤、並びに、任意で使用され得るその他の成分は、製造装置に供給される前に混合されていてもよく、製造装置内で混合されてもよい。換言すれば、前記第一の工程において、樹脂組成物が製造装置に供給されてもよく、製造装置内で樹脂組成物が調製(完成)されてもよい。前記第一の工程において、(i)樹脂組成物および発泡剤、並びに、任意で使用され得るその他の成分を混合する方法および順序、または(ii)樹脂組成物および発泡剤、並びに、任意で使用され得るその他の成分を製造装置へ供給する方法および順序、は特に限定されない。
【0078】
第一の工程で得られた溶融混練物を低圧領域に押出す前に、溶融混練物を冷却してもよい。
【0079】
(第二の工程)
第二の工程は、第一の工程で得られた溶融混練物を、ダイを通して製造装置の内圧よりも低圧である領域に押出し、押し出された溶融混練物を細断する工程である。第二の工程により、押出発泡粒子が得られる。そのため、第二の工程は、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を造粒する造粒工程ともいえる。
【0080】
第二工程において、第一工程で得られた溶融混練物を押出す領域は、製造装置の内圧よりも低圧である限り特に限定されない。例えば、第二工程において、第一工程で得られた溶融混練物は、気相中に押出されてもよく、液相中に押出されてもよい。
【0081】
第二工程において製造装置の内圧よりも低圧である領域に押出された溶融混練物は、直ちに発泡し始める。第二工程では、発泡中の溶融混練物を細断してもよく、発泡し終えた溶融混練物を細断してもよい。発泡中の溶融混練物を細断する場合、細断された溶融混練物は、押出された先の領域中で発泡を完了し得る。
【0082】
第一工程で得られた溶融混練物を押出す領域および押出された溶融混練物の細断方法によって、第二工程(造粒工程)は、コールドカット法およびダイフェースカット法の2つに大別され得る。コールドカット法としては、ダイから押出された発泡剤を含有する溶融混練物を発泡させ、冷却しながらストランド状の発泡体を引き取った後に細断する方法(ストランドカット法)が挙げられる。ダイフェースカット法はダイの孔から押出された溶融混練物をダイの表面に接触しながら又は僅かに隙間を確保しながら回転するカッターで切断する方法である。
【0083】
ダイフェースカット法は、さらに冷却方法の違いから次の3方式に分けられる。すなわち、アンダーウォーターカット(以下、UWCと称する場合もある)法、ウォーターリングカット(以下、WRCと称する場合もある)法、およびホットカット(以下、HCと称する場合もある)法である。UWC法は、ダイ先端に取り付けたチャンバー内に所定圧力に調整された冷却水をダイの樹脂吐出面に接するように充満し、ダイの孔から押出された溶融混練物を水中で切断する方法である。また、WRC法は、ダイに連結された冷却ドラムの内周面に沿って冷却水が流れる冷却ドラムをダイから下流側に配置し、空気中にて前記カッターで切断された溶融混練物が発泡しながら、もしくは発泡後に前記冷却水中で冷却される方法である。HC法は、空気中にて溶融混練物をカッターで切断し、切断された溶融混練物が発泡しながら、もしくは発泡後に、空気中にて冷却される方法である。前記HC法としては、水及び空気の混合ミストを噴霧する工程をさらに含むミストカット法も挙げられる。
【0084】
〔3.ポリプロピレン系樹脂発泡成形体〕
本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡成形体は、〔2.ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子〕の項に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を成形してなる。
【0085】
以下に詳説した事項以外(例えば基材樹脂および連続気泡率など)は、適宜、〔2.ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子〕の項の記載を援用する。
【0086】
押出発泡粒子の成形方法は特に限定されないが、例えば、駆動し得ない固定型と駆動し得る移動型とを備える金型を使用する、型内発泡成形が挙げられる。型内発泡成形方法としては特に限定されず、公知の方法を採用できる。
【0087】
〔4.ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子およびポリプロピレン系樹脂発泡成形体の用途〕
本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子、およびポリプロピレン系樹脂発泡成形体は、自動車内装部材、緩衝材、包装材、および断熱材等の分野等において好適に利用できる。
【0088】
本発明の一実施形態は、以下のような構成であってもよい。
〔1〕分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(A)および分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂(B)を含む樹脂組成物を押出発泡してなり、前記分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂(B)は、重量平均分子量が50万以上100万以下であり、かつ曲げ弾性率が950MPa以上1400MPa以下である。
〔2〕前記ポリプロピレン系樹脂(B)の引張弾性率は900MPa以上1300MPa以下である、〔1〕に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子。
〔3〕前記ポリプロピレン系樹脂(B)の荷重たわみ温度は82℃以上125℃以下である、〔1〕または〔2〕に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子。
〔4〕前記ポリプロピレン系樹脂(A)の200℃における溶融張力は1.00cN以上15.00cN以下である、〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子。
〔5〕前記ポリプロピレン系樹脂(A)の融点は125℃~170℃である、〔1〕~〔4〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子。
〔6〕前記ポリプロピレン系樹脂(A)の230℃におけるMFRは、0.50g/10分~20.00g/10分である、〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子。
〔7〕前記ポリプロピレン系樹脂(B)の融点は125℃~170℃である、〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子。
〔8〕前記ポリプロピレン系樹脂(B)の230℃におけるMFRは、0.20g/10分~20.00g/10分である、〔1〕~〔7〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子。
〔9〕前記樹脂組成物中の前記ポリプロピレン系樹脂(A)と前記ポリプロピレン系樹脂(B)との重量比率(前記ポリプロピレン系樹脂(A)の重量:前記ポリプロピレン系樹脂(B)の重量)は、20:80~80:20である、〔1〕~〔8〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子。
〔10〕前記ポリプロピレン系樹脂(A)の主鎖は、プロピレン単独重合体、ポリプロピレン系ブロック共重合体およびポリプロピレン系ランダム共重合体からなる群から選ばれる1つ以上である、〔1〕~〔9〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子。
〔11〕前記ポリプロピレン系樹脂(A)は、分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂と共役ジエン化合物とラジカル重合開始剤とを含む混合物を溶融混練して得られる、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂である、〔1〕~〔10〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子。
〔12〕前記ポリプロピレン系樹脂(B)は、プロピレン単独重合体、ポリプロピレン系ブロック共重合体およびポリプロピレン系ランダム共重合体からなる群から選ばれる1つ以上である、〔1〕~〔11〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子。
〔13〕前記ポリプロピレン系樹脂(A)の230℃におけるMFRをMFR(A)とし、前記ポリプロピレン系樹脂(B)の230℃におけるMFRをMFR(B)とした場合に、MFR(A)とMFR(B)との差(MFR(A)の値からMFR(B)の値を引いて得られる値)は0.50g/10分以上である、〔1〕~〔12〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子。
〔14〕前記ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の連続気泡率は、44.0%以下である〔1〕~〔13〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子。
〔15〕前記ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の発泡倍率は、3倍~24倍である〔1〕~〔14〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子。
〔16〕〔1〕~〔15〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を成形してなるポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
〔17〕分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(A)および分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂(B)を含む樹脂組成物と発泡剤とを製造装置内で溶融混練する第一の工程、および前記第一の工程で得られた溶融混練物を、ダイを通して前記製造装置の内圧よりも低圧である領域に吐出する第二の工程、を含み、前記分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂(B)は、重量平均分子量が50万以上であり、かつ曲げ弾性率が950MPa以上である、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
〔18〕前記ポリプロピレン系樹脂(B)の引張弾性率は900MPa以上である、〔17〕に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
〔19〕前記ポリプロピレン系樹脂(B)の荷重たわみ温度は82℃以上である、〔17〕または〔18〕に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
〔20〕前記ポリプロピレン系樹脂(A)の200℃における溶融張力は1.00cN以上である、〔17〕~〔19〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
〔21〕前記ポリプロピレン系樹脂(A)の融点は125℃~170℃である、〔17〕~〔20〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
〔22〕前記ポリプロピレン系樹脂(A)の230℃におけるMFRは、0.50g/10分~20.00g/10分である、〔17〕~〔21〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
〔23〕前記ポリプロピレン系樹脂(B)の融点は125℃~170℃である、〔17〕~〔22〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
〔24〕前記ポリプロピレン系樹脂(B)の230℃におけるMFRは、0.20g/10分~20.00g/10分である、〔17〕~〔23〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
〔25〕前記樹脂組成物中の前記ポリプロピレン系樹脂(A)と前記ポリプロピレン系樹脂(B)との重量比率(前記ポリプロピレン系樹脂(A)の重量:前記ポリプロピレン系樹脂(B)の重量)は、20:80~80:20である、〔17〕~〔24〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
〔26〕前記発泡剤が炭酸ガスである、〔17〕~〔25〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
〔27〕前記ポリプロピレン系樹脂(A)の主鎖は、プロピレン単独重合体、ポリプロピレン系ブロック共重合体およびポリプロピレン系ランダム共重合体からなる群から選ばれる1つ以上である、〔17〕~〔26〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
〔28〕前記ポリプロピレン系樹脂(A)は、分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂と共役ジエン化合物とラジカル重合開始剤とを含む混合物を溶融混練して得られる、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂である、〔17〕~〔27〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
〔29〕前記ポリプロピレン系樹脂(B)は、プロピレン単独重合体、ポリプロピレン系ブロック共重合体およびポリプロピレン系ランダム共重合体からなる群から選ばれる1つ以上である、〔17〕~〔28〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
〔30〕前記ポリプロピレン系樹脂(A)の230℃におけるMFRをMFR(A)とし、前記ポリプロピレン系樹脂(B)の230℃におけるMFRをMFR(B)とした場合に、MFR(A)とMFR(B)との差(MFR(A)の値からMFR(B)の値を引いて得られる値)は0.50g/10分以上である、〔17〕~〔29〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
〔31〕前記ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の連続気泡率は、44.0%以下である〔17〕~〔30〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
〔32〕前記ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の発泡倍率は、3倍~24倍である〔17〕~〔31〕のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
【実施例
【0089】
以下、実施例および比較例によって本発明の一実施形態をより詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0090】
(試験方法)
実施例および比較例において、各種物性の測定および評価に用いられた試験方法は以下の通りである。
【0091】
[融点(℃)]
分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)および線状ポリプロピレン系樹脂(B)の融点は、分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)および線状ポリプロピレン系樹脂(B)のそれぞれを試料として、示差走査熱量計法により測定して求めた。示差走査熱量計としては、セイコーインスツルメンツ(株)製、DSC6200型を用いた。示差走査熱量計法による試料(分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)または線状ポリプロピレン系樹脂(B))の融点の測定方法は、以下の通りであった:(1)試料の温度を10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温することにより当該試料を融解させた;(2)その後、得られた試料の温度を10℃/分の降温速度で220℃から40℃まで降温することにより当該試料を結晶化させた;(3)その後、さらに、結晶化された試料の温度を10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温した。2回目の昇温時(すなわち(3)のとき)に得られる当該試料のDSC曲線のピーク(融解ピーク)の温度を、当該試料(分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)または線状ポリプロピレン系樹脂(B))の融点とした。結果を表1に記載した。
【0092】
[MFR(g/10分)]
分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)および線状ポリプロピレン系樹脂(B)のMFRは、分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)および線状ポリプロピレン系樹脂(B)のそれぞれを試料として、ISO 1133(1997)記載のB法の規定に準拠して測定して求めた。装置としてはメルトインデクサーS-01(東洋精機製作所製)を用い、温度230℃および荷重2.16kgの条件下で測定を行った。また、試料(分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)または線状ポリプロピレン系樹脂(B))のMFRは、メルトインデクサーS-01のピストンが一定時間内に移動する距離を測定し、得られた距離と測定温度における前記試料の密度から、10分間にオリフィスから押し出される前記試料の重量に換算した値とした。なお、前記一定時間とは、メルトフローレートが0.1g/10分を超え、1.0g/10分以下の場合は120秒間、1.0g/10分を超え、3.5g/10分以下の場合は、60秒間、3.5g/10分を超え、30.0g/10分以下の場合は30秒間とした。
【0093】
[溶融張力(cN)]
分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)の溶融張力を、キャピログラフ1D(日本 株式会社東洋精機製作所製)を用いて測定した。具体的には、以下(1)~(5)の通りであった:(1)200℃に加熱された径9.55mmのバレルに分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)を充填した;(2)次いで、分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)を10分間、200℃に加熱されたバレル内で加熱した;(3)次いで、キャピラリーダイ(口径1.0mm、長さ10mm)から、一定に保持したピストン降下速度(10mm/分)にて、分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)を紐状に出しながら、この紐状物を前記キャピラリーダイの下方350mmに位置する張力検出のプーリーに通過させた後、巻取りロールを用いる巻取りを開始した;(4)紐状物の引き取りが安定した後、紐状物の巻取り速度を初速1.0m/分から、4分間で200m/分の速度に達するまで一定の割合で増加させた;(5)紐状物が破断したときのロードセル付きプーリーにかかる荷重を溶融張力として測定した。
【0094】
[重量平均分子量(Mw)]
線状ポリプロピレン系樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel permeation chromatography、GPC)の方法により求めた。GPCに用いる装置としては、Viscotek Triple HT-GPC model-SG system(Malvern Instruments製)を使用した。具体的な測定方法は以下の通りであった;(1)線状ポリプロピレン系樹脂(B)を溶離液(オルトジクロロベンゼン(0.05%ブチル化ヒドロキシトルエン含有))に溶解し、線状ポリプロピレン系樹脂(B)を0.1%(重量/重量)含む試料溶液を作製した;(2)流量0.3ml/min、温度140℃の条件で200μlの試料溶液をカラム(Waters(株)製 HR,3,4、6E)に通し、GPC測定を行った。ここで、標準試料にポリスチレンを用い、比較換算により線状ポリプロピレン系樹脂(B)の重量平均分子量を求めた。検出は示差屈折率計を用いたリファレンスフロー方式で実施した。
【0095】
[曲げ弾性率(MPa)]
線状ポリプロピレン系樹脂(B)の曲げ弾性率(MPa)は、JIS K 7171に従った方法により測定した。
【0096】
[引張弾性率(MPa)]
線状ポリプロピレン系樹脂(B)の引張弾性率(MPa)は、JIS K 7161に従った方法により測定した。
【0097】
[荷重たわみ温度(℃)]
線状ポリプロピレン系樹脂(B)の荷重たわみ温度(℃)は、JIS K 7191に従った方法により測定した。
【0098】
[連続気泡率]
ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の連続気泡率は、空気比較式比重計[東京サイエンス(株)製、モデル1000]を用いて、ASTM D2856-87の手順C(PROCEDURE C)に記載の方法に従って、測定して求めた。より具体的には、押出発泡粒子の連続気泡率は、以下(1)~(3)を順に実施して算出した:(1)空気比較式比重計を用いて押出発泡粒子の体積Vc(cm)を測定した;(2)次いで、Vcを測定後の押出発泡粒子の全量を、メスシリンダーに入っているエタノール中に沈めた;(3)その後、メスシリンダーにおけるエタノールの位置の上昇量から、押出発泡粒子の見かけ上の体積Va(cm)を求めた;(4)以下の式により、押出発泡粒子の連続気泡率を算出した:
連続気泡率(%)=((Va-Vc)×100)/Va。
【0099】
[発泡倍率]
以下の方法によって、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の発泡倍率を算出した:(1)押出発泡粒子の重量w(g)を測定した;(2)次に、重量の測定に用いた押出発泡粒子を、メスシリンダー中に入っているエタノール中に沈め、メスシリンダーの液面位置の上昇分に基づき押出発泡粒子の体積v(cm)を測定した;(3)重量w(g)を体積v(cm)で除し、押出発泡粒子の密度ρを算出した;(4)押出発泡粒子の基材樹脂の密度ρを押出発泡粒子の密度ρで除し(ρ/ρ)、発泡倍率とした。基材樹脂の密度ρとしては、一般的なポリプロピレン系樹脂の密度0.9g/cmを採用した。
【0100】
(材料)
実施例および比較例では、以下の材料を使用した。
【0101】
(分岐状ポリプロピレン系樹脂(A))
以下の製造例に基づき製造された分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)(PP-A1)を使用した。PP-A1の物性を上述の方法により測定した。その結果を表1に示す。
【0102】
(線状ポリプロピレン系樹脂(B))
PP-B1;プライムポリマー社製ランダムポリプロピレン(B221WC)
PP-B2;サンアロマー社製ランダムポリプロピレン(PB222A)
PP-B3;日本ポリプロ社製ランダムポリプロピレン(EG8B)
PP-B4;プライムポリマー社製ランダムポリプロピレン(E222)
PP-B5;プライムポリマー製ランダムポリプロピレン(B241)。
PP-B1~PP-B5は、共重合体100重量%中エチレン単位を0.5~5.0重量%含有するプロピレン/エチレンランダム共重合体であった。
各樹脂の物性を上述の方法により測定した。その結果を表1に示す。
【0103】
(気泡核調整剤)
タルク(林化成製PK-S)。
【0104】
(製造例1;分岐状ポリプロピレン系樹脂(PP-A1)の製造)
原料樹脂として、線状ポリプロピレン系樹脂であるプライムポリマー社製プロピレン/エチレンランダム共重合体(エチレン含量2.0%、MFR7.0g/10分、融点:144℃)を使用した。ラジカル重合開始剤として、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(日油製、パーブチル(登録商標)I)と2,2-ジ-t-ブチルパーオキシブタン(化薬アグゾ製、トリゴノックスD-T50)とを重量比で2:1で混合して得られた混合物(ラジカル重合開始剤混合物)を使用した。前記線状ポリプロピレン系樹脂100重量部と、前記ラジカル重合開始剤混合物0.7重量部との混合物を、ホッパーから70kg/時で45mmφ二軸押出機(L/D=40)に供給した。次いで、押出機内の原料を、シリンダ温度220℃、回転数230rpmで溶融混練するとともに、押出機途中に設けた圧入部より、単量体として共役ジエンであるイソプレンを、線状ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、0.38重量部となる比率で、定量ポンプを用いて供給し、押出機内で混合物を調製した(完成させた)。次いで、押出機内の混合物をさらに溶融混練し、上記混合物の溶融混練物、すなわち分岐状ポリプロピレン系樹脂を得た。その後、分岐状ポリプロピレン系樹脂(溶融混練物)を装置に備えられたダイを通してストランド状に吐出した。次いで、吐出されたストランド状の分岐状ポリプロピレン系樹脂(PP-A1)を、冷却および細断して分岐状ポリプロピレン系樹脂のペレットを得た。
【0105】
(製造例2;分岐状ポリプロピレン系樹脂(PP-A2)の製造)
原料樹脂として、線状ポリプロピレン系樹脂であるBorouge社製プロピレン/エチレンランダム共重合体(エチレン含量1.9%、MFR8.0g/10分、融点:150℃)を使用した。ラジカル重合開始剤としては、製造例1(PP-A1の製造)で使用したラジカル重合開始剤混合物を使用した。前記線状ポリプロピレン系樹脂100重量部と、前記ラジカル重合開始剤混合物0.7重量部との混合物を、ホッパーから70kg/時で45mmφ二軸押出機(L/D=40)に供給した。次いで、押出機内の原料を、シリンダ温度220℃、回転数230rpmで溶融混練するとともに、押出機途中に設けた圧入部より、単量体として共役ジエンであるイソプレンを、線状ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、0.39重量部となる比率で、定量ポンプを用いて供給し、押出機内で混合物を調製した(完成させた)。次いで、押出機内の混合物をさらに溶融混練し、上記混合物の溶融混練物、すなわち分岐状ポリプロピレン系樹脂を得た。その後、分岐状ポリプロピレン系樹脂を装置に備えられたダイを通してストランド状に吐出した。次いで、吐出されたストランド状の分岐状ポリプロピレン系樹脂を、冷却および細断して分岐状ポリプロピレン系樹脂のペレットを得た。
【0106】
【表1】
【0107】
(実施例1)
(第一の工程)
分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)(PP-A1)50重量部と、線状ポリプロピレン系樹脂(B)(PP-B1)50重量部と、タルク(林化成製PK-S)0.02重量部とを混合して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、ホッパーから1.0kg/時で15mmφの二軸押出機(L/D=30)に供給した。次いで、押出機内の樹脂組成物を、シリンダ温度180℃、回転数80rpmで溶融混練した。かかる溶融混練とともに、押出機途中に設けた圧入部より、発泡剤である炭酸ガスを、分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)および線状ポリプロピレン系樹脂(B)の合計100重量部に対し6.25重量部の比率で、定量ポンプを用いて供給した。次いで、発泡剤を含む樹脂組成物をさらに溶融混練し、樹脂組成物の溶融混練物を得た。
【0108】
さらに、樹脂組成物の溶融混練物を、二軸押出機先端に接続され、表2に記載の温度に設定されたメルトクーラーを通過させて冷却した。その後、メルトクーラーの先端に装着された直径0.7mmの細孔2穴が配されたダイ(表2に記載の温度に設定した)より、当該溶融混練物を大気圧下に押出して発泡させて得たストランド状の発泡体を剃刀で5mm幅に切断することにより、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得た。
【0109】
得られた押出発泡粒子について、前記した方法により、連続気泡率を評価した。結果を表2に示す。
【0110】
(実施例2および比較例1~3)
実施例1において、(a)線状ポリプロピレン系樹脂(B)として、PP-B1に代えて表2に示された樹脂を使用し、かつ(b)メルトクーラーおよびダイ(ダイス)の温度を表2に示された温度に変更した以外は、実施例1と同じ方法により、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を得た。
【0111】
(比較例4)
実施例1において、(a)分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)(PP-A2)のみを使用し、線状ポリプロピレン系樹脂(B)を使用せず、かつ(b)メルトクーラーおよびダイ(ダイス)の温度を表2に示された温度に変更した以外は、実施例1と同じ方法により、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を得た。
【0112】
【表2】
【0113】
実施例1および2の押出発泡粒子は、ポリプロピレン系樹脂として、分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)に加えて、本願の一実施形態の範囲内の構成を有する線状ポリプロピレン系樹脂(B)を使用して得られたものである。一方、比較例4の押出発泡粒子は、ポリプロピレン系樹脂として、分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)のみを使用して得られたものである。表2により、実施例1および2の押出発泡粒子は、比較例4の押出発泡粒子と同程度の、すなわち低い連続気泡率を有することが分かる。
【0114】
比較例1~3の押出発泡粒子は、ポリプロピレン系樹脂として、分岐状ポリプロピレン系樹脂(A)に加えて、本願の一実施形態の範囲外の構成を有する線状ポリプロピレン系樹脂(B)を使用して得られたものである。表2により、比較例1~3の押出発泡粒子は、比較例4の押出発泡粒子と比較して、顕著に高い連続気泡率を有することが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明の一実施形態によれば、耐破断性に優れるポリプロピレン系樹脂発泡成形体を提供し得るポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を提供することができる。そのため、本発明の一実施形態は、自動車内装部材、緩衝材、包装材、および断熱材等の分野等において好適に利用できる。