(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-01-27
(45)【発行日】2026-02-04
(54)【発明の名称】大豆臭マスキング剤及びその使用
(51)【国際特許分類】
A23L 27/00 20160101AFI20260128BHJP
A23L 11/00 20250101ALI20260128BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20260128BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20260128BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20260128BHJP
A23L 2/38 20210101ALI20260128BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20260128BHJP
【FI】
A23L27/00 Z
A23L11/00 Z
A23L33/105
A23L33/10
A23L2/00 B
A23L2/38 J
A23L2/52
A23L11/00 E
(21)【出願番号】P 2021018026
(22)【出願日】2021-02-08
【審査請求日】2024-02-05
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000175283
【氏名又は名称】三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 駿介
(72)【発明者】
【氏名】今田 隆文
【審査官】佐久 敬
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-524047(JP,A)
【文献】調製豆乳 - キッコーマン豆乳,インターネット,[検索日 2025.01.24],2019年04月01日,<URL: https://web.archive.org/web/20190401085406/https://www.k-tounyu.jp/lineup/89/ >
【文献】調製豆乳 1000ml | マルサンアイ株式会社 | 豆乳と味噌メーカー,インターネット,[検索日 2025.01.24],2019年03月26日,<URL: https://web.archive.org/web/20190326074359/https://www.marusanai.co.jp/lineup/detail-63005/ >
【文献】九州産ふくゆたか大豆 調製豆乳-商品ラインナップ,インターネット,[検索日 2025.01.24],2016年09月02日,<URL: https://web.archive.org/web/20160902140323/https://www.fukuren.co.jp/lineup/drink/tounyu/83/ >
【文献】George A. Burdock,L-RHAMNOSE,Fenaroli's Handbook of Flavor Ingredients Six Edition,2010年,pp. 1792-1793,ISBN: 978-1-4200-9077-2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
Science Direct
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラムノースの大豆臭マスキング剤としての使用方法であって、
ラムノースを、大豆抽出
物を含む経口組成物に、0.05~5質量%の濃度
で、且つ大豆抽出物中の大豆イソフラボンアグリコン1質量部に対する割合が8~200質量部になるように用いる、前記使用方法。
【請求項2】
A)大豆抽出
物、並びに、
B)ラムノースを0.05~5質量%
であって、大豆抽出物中の大豆イソフラボンアグリコン1質量部に対して8~200質量部の割合で
含有する経口組成物。
【請求項3】
前記経口組成物が飲食品である、請求項
2に記載の経口組成物。
【請求項4】
前記経口組成物が飲料である、請求項2
又は3に記載の経口組成物。
【請求項5】
A)大豆抽出
物の大豆臭をマスキングする方法であって、
前記A)成分に、
B)ラムノースを、最終濃度が0.05~5質量%
であって、大豆抽出物中の大豆イソフラボンアグリコン1質量部に対して8~200質量部となる割合で
混合することを含む、大豆臭マスキング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大豆臭マスキング剤及び大豆臭をマスキングする方法に関する。また、本発明は、大豆抽出物及び/又は大豆胚軸発酵物と、ラムノースとを含有する経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
大豆は、タンパク質をはじめ、脂質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素を豊富に含む。しかしながら大豆には、大豆特有の臭い(大豆臭)があるため、当該欠点が製品開発における課題となっていた。
これまでには、例えば大豆に含まれるイソフラボンの代謝物であるエクオールの呈味改善などの検討が行われてきた(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-106905号公報
【文献】特開2017-200451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、大豆臭をマスキングする技術を提供することを課題とする。より詳細には、第1に、大豆臭マスキング剤を提供することを課題とする。第2に、大豆臭がマスキングされた経口組成物を提供することを課題とする。第3に、大豆臭をマスキングする方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねていたところ、ラムノースが、大豆臭をマスキングする効果を有することを見出した。本発明はかかる知見に基づいて、さらに研究を重ねて完成したものであり、下記の実施形態を有するものである。
【0006】
項1.
ラムノースを含有する大豆臭マスキング剤。
項2.
A)大豆抽出物及び/又は大豆胚軸発酵物、並びに、
B)ラムノース
を含有する経口組成物。
項3.
前記A)として大豆抽出物を含有する場合、
大豆抽出物に含まれる大豆イソフラボンアグリコン1質量部に対する、前記B)の含有量が0.1~300質量部であり、
前記A)として大豆胚軸発酵物を含有する場合、
大豆胚軸発酵物に含まれるエクオール1質量部に対する、前記B)の含有量が1~2000質量部である、
項2に記載の経口組成物。
項4.
前記B)の含有量が0.1質量%以上である、項2又は3に記載の経口組成物。
項5.
前記経口組成物が飲食品である、項2~4のいずれか一項に記載の経口組成物。
項6.
前記経口組成物が飲料である、項2~5のいずれか一項に記載の経口組成物。
項7.
A)大豆抽出物及び/又は大豆胚軸発酵物、並びに、
B)ラムノースを混合することを含む、大豆臭マスキング方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、大豆臭のマスキング剤及び大豆臭をマスキングする方法が提供される。また、本発明によれば、大豆臭がマスキングされた大豆抽出物及び/又は大豆胚軸発酵物を含有する経口組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明において、「大豆臭」とは、大豆抽出物及び/又は大豆胚軸発酵物を口に含んだとき、または飲み込んだときに、喉の奥から口腔内を通じて鼻腔内で感じる大豆特有の臭い(レトロネーザル)を意味する。但し、当該レトロネーザルと、鼻で直接感じる臭い(オルソネーザル)とが複合して感知される臭いであってもよい。より具体的には、「大豆臭」は、大豆の豆臭さ(本発明において「豆臭」と表記することがある)、及び大豆の青臭さ(本発明において「青臭さ」と表記することがある)が合わさった臭いである。
【0009】
本発明において、「大豆臭のマスキング」とは、大豆臭が消失する場合と、大豆臭が消失しないまでも減少する場合の両方が含まれる。具体的には、大豆臭のマスキングとしては、豆臭及び青臭さの両方が減少または消失していればよい。
【0010】
(1)大豆臭マスキング剤
本発明の大豆臭マスキング剤は、ラムノースを含有することを特徴とする。本明細書において、当該マスキング剤を「本発明のマスキング剤」と表記することがある。
【0011】
ラムノースは、天然物であっても合成物であってもよく、天然物から精製したものや商業的に入手可能なものなど、特に限定されない。また、ラムノースそのものであってもよく、例えば水和物などの溶媒和物であってもよい。溶媒和物としては、例えば、シグマ社のL-ラムノース一水和物などがあげられる。また、既存添加物自主規格に掲載されているように、ルチン抽出物などに含まれる配糖体、又は油脂を発酵し濃縮分離して得られたものを加水分解し、分離精製したものを使用することもできる。
【0012】
本発明のマスキング剤に含まれるラムノースの含有量は、特に制限されず、100質量%を限度として適宜設定することができる。
【0013】
本発明のマスキング剤は、ラムノースの他、さらに他の成分を含むことができる。当該他の成分としては、例えば、飲食品又は医薬品に配合可能な担体(基剤)や添加剤(例えば、賦形剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、抗酸化剤、保存剤、コーティング剤、着色料等)等が挙げられる。賦形剤としては、例えば、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖などのオリゴ糖類;デキストリン、セルロース、アラビアガム、およびでん粉(コーンスターチ等)などの多糖類、乳糖、ブドウ糖、果糖、砂糖、ショ糖、麦芽糖、水飴、蜂蜜、転化糖、シロップ、異性化糖(例えば、高果糖液糖、果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖果糖液糖など)などの糖類;ソルビトール、エリスリトール、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、キシリトール、還元パラチノースなどの糖アルコールを挙げることができる。
【0014】
本発明のマスキング剤の形態は、特に限定されない。例えば、液体状(例えば、溶液状、懸濁液状等)、ペースト状、又は固体状(例えば、粉末状、顆粒状等)等であってもよい。好ましくは固体状であり、より好ましくは粉末状である。
【0015】
本発明のマスキング剤は、大豆抽出物及び/又は大豆胚軸発酵物を含有する組成物に配合することによって、大豆臭をマスキングするために用いることができる。
【0016】
本発明のマスキング剤が対象とする大豆抽出物の原料、製法などは、特に限定されない。例えば、原料として、丸大豆、大豆胚芽(胚軸)、脱皮大豆、抽出大豆、分離大豆、脱脂大豆、大豆タンパク質、醤油油、醤油粕、たまり粕、味噌、豆味噌、納豆、発酵大豆、大豆絞り粕、大豆蒸煮液、又はこれらの組み合わせなどを挙げることができる。
大豆抽出物の抽出溶媒としては、例えば、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等)、エーテル類(例えば、アセトンなど)、水-アルコール混合液(例えば、水-エタノール混合液)などが挙げられ、好ましくは水及び/又はエタノールである。また、大豆抽出物は、必要に応じて精製したものを用いることもできる。商業的に入手可能なものとして、例えば、「フジフラボンP10」(フジッコ社製)、「イソフラボン-20」(タマ生化学社製)、「AglyMax-30」(ニチモウバイオティックス社製)、「アイソマックス-10」(常磐植物化学研究所社製)、「イソフラボンアグリコン30E」(キッコーマンバイオケミファ社製)などが挙げられる。
また、大豆抽出物としては、豆乳などであってもよい。
【0017】
本発明のマスキング剤が対象とする大豆抽出物としては、例えば、大豆イソフラボンを含むことが好ましい。本明細書において、「大豆イソフラボン」とは、大豆イソフラボンアグリコンに限らず、大豆イソフラボン配糖体、当該配糖体のアセチル化体、マロニル体などの大豆イソフラボンの誘導体をも包含する。大豆イソフラボンは、1種単独であってもよく又は2種以上の組み合わせであってもよい。大豆イソフラボンアグリコンとしては例えば、ゲニステイン、ダイゼイン、グリシテインなどを挙げることができ、大豆イソフラボン配糖体としては例えば、ゲニスチン、ダイジン、グリシチンなどを挙げることができる。また大豆抽出物は、エクオールなどの大豆イソフラボンの代謝物を含んでいてもよい。
【0018】
本発明のマスキング剤が対象とする大豆胚軸発酵物の製法などは、特に限定されない。例えば、特許第5946489号に開示されているような、適量の水を大豆胚軸に加えて水分含量を調整し、これに微生物(より好ましくは、エクオール産生微生物)を接種する方法などが挙げられる。また大豆胚軸発酵物は、エクオールなどの大豆イソフラボンの代謝物を含んでいてもよい。
【0019】
本発明のマスキング剤を、大豆抽出物及び/又は大豆胚軸発酵物を含有する組成物に配合する時期及びその方法は、特に制限されず、適宜選択することができる。
大豆抽出物及び/又は大豆胚軸発酵物を含有する組成物に対する本発明のマスキング剤の配合割合は、本発明のマスキング剤中のラムノースの含有量等に応じて、適宜設定することができる。
【0020】
本発明のマスキング剤を大豆抽出物を含有する組成物に配合する場合、本発明のマスキング剤の配合量は、大豆抽出物に含まれる大豆イソフラボンアグリコン1質量部に対して、ラムノースの配合量として、例えば、0.1~300質量部とすることができる。
当該範囲の下限は、例えば、0.1、0.3、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、50、60、70、又は80質量部であってもよく、これらの範囲の上限は、例えば、300、280、250、220、200、180、又は170質量部であってもよい。より具体的には、例えば、0.5~300質量部、0.5~200質量部、1~300質量部、1~250質量部、1~200質量部、3~300質量部、3~250質量部、3~200質量部、5~300質量部、5~250質量部、5~200質量部、7~300質量部、7~250質量部、7~200質量部、8~300質量部、8~250質量部、8~200質量部、10~300質量部、10~250質量部、10~200質量部、20~300質量部、20~250質量部、20~200質量部、30~300質量部、30~250質量部、30~200質量部、40~300質量部、40~250質量部、40~200質量部、60~300質量部、60~250質量部、60~200質量部、70~300質量部、70~250質量部、又は70~200質量部であってもよく、好ましくは4~250質量部、より好ましくは5~200質量部である。
【0021】
本発明のマスキング剤を大豆胚軸発酵物を含有する組成物に配合する場合、本発明のマスキング剤の配合量は、大豆胚軸発酵物に含まれるエクオール1質量部に対して、ラムノースの配合量として、例えば、1~2000質量部とすることができる。
当該範囲の下限は、例えば、1、5、10、20、50、又は100質量部であってもよく、当該範囲の上限は、例えば、2000、1800、1500、1000、800、600、500、又は400質量部であってもよい。
【0022】
また、本発明のマスキング剤を、大豆抽出物及び大豆胚軸発酵物を含有する組成物に配合する場合、本発明のマスキング剤の配合量は、ラムノースの配合量として、例えば、上述した大豆抽出物、及び大豆胚軸発酵物に対して例示される範囲の総量とすることができる。
【0023】
大豆臭のマスキングは、後述する実施例に示すように、大豆抽出物及び/又は大豆胚軸発酵物を含有する組成物に大豆臭マスキング剤を添加することにより得られた大豆抽出物及び/又は大豆胚軸発酵物含有組成物と、大豆臭マスキング剤を添加する前の大豆抽出物及び/又は大豆胚軸発酵物を含有する組成物との、大豆臭を比較することによって評価することができる。具体的には、大豆臭マスキング剤を添加することによって、大豆臭マスキング剤を添加する前の組成物と比較して、大豆臭が減少または消失していると感じられる場合には、当該大豆臭マスキング剤は、本発明のマスキング剤に該当すると判断される。
【0024】
(2)大豆抽出物及び/又は大豆胚軸発酵物を含有する経口組成物
本発明は、大豆抽出物及び/又は大豆胚軸発酵物、並びにラムノースを含有する経口組成物をも包含する。本明細書において、当該経口組成物を「本発明の経口組成物」と表記することがある。
【0025】
本発明の経口組成物に含まれるラムノースの含有量は、特に制限されず、例えば、0.01~30質量%とすることができる。当該範囲の下限は、例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.08、0.1、0.2、0.25、0.3、0.4、又は0.5質量%であってもよく、当該範囲の上限は、例えば、30、28、25、20、15、13、10、9、8、7、6、5、4、又は2質量%であってもよい。より具体的には、例えば、0.01~20質量%、0.01~10質量%、0.01~5質量%、0.01~3質量%、0.01~2質量%、0.03~10質量%、0.03~5質量%、0.03~3質量%、0.03~2質量%、0.05~20質量%、0.05~10質量%、0.05~5質量%、0.05~3質量%、0.05~2質量%、0.05~1.5質量%、0.08~30質量%、0.08~20質量%、0.08~10質量%、0.08~5質量%、0.08~3質量%、0.08~2質量%、0.08~1.5質量%、0.1~30質量%、0.1~20質量%、0.1~10質量%、0.1~5質量%、0.1~3質量%、0.1~2質量%、0.1~1.5質量%、0.2~20質量%、0.2~10質量%、0.2~5質量%、0.2~3質量%、0.2~2.5質量%、0.2~2質量%、0.2~1.5質量%、0.4~30質量%、0.4~20質量%、0.4~10質量%、0.4~5質量%、0.4~3質量%、0.4~2.5質量%、0.4~2質量%、又は0.4~1.5質量%であってもよく、好ましくは0.05~5質量%、より好ましくは0.05~3質量%、更に好ましくは0.05~2質量%である。
また、ラムノースは甘味を有することから、例えば、本発明の経口組成物に含まれるラムノースの含有量を0.1~0.5質量%とすることによって、本発明の経口組成物が、ラムノースによる甘味を呈することなく、大豆臭をマスキングすることもできる。
【0026】
また、本発明の経口組成物に含まれるラムノースの含有量は、1日摂取量として、例えば、10~2000mg、好ましくは50~1500mg、より好ましくは100~1000mgであることができる。
【0027】
本発明の経口組成物に含まれる大豆抽出物及び/又は大豆胚軸発酵物としては、上述した本発明のマスキング剤が対象とする大豆抽出物及び/又は大豆胚軸発酵物に関する記載を援用することができる。
また、大豆抽出物及び/又は大豆胚軸発酵物と、ラムノースとの含有質量比については、上述した「(1)大豆臭マスキング剤」について記載した、大豆抽出物及び/又は大豆胚軸発酵物を含有する組成物に対する本発明のマスキング剤の配合割合についての記載を援用することができる。
【0028】
本発明の経口組成物が大豆抽出物を含有する場合、当該組成物に含まれる大豆抽出物の含有量は、特に限定されず、例えば、大豆イソフラボンアグリコン換算で、0.001~99.9質量%、好ましくは0.01~50質量%、より好ましくは0.01~30質量%とすることができる。当該範囲の下限は、例えば、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、又は0.01質量%であってもよく、当該範囲の上限は、例えば、99.9、90、60、50、25、20、15、10、8、6、5、4、3、2、1、0.8、0.6、0.5、0.3、0.2、0.1、0.08、0.06、0.05、0.03、又は0.02質量%であってもよい。
【0029】
本発明の経口組成物が大豆胚軸発酵物を含有する場合、当該組成物に含まれる大豆胚軸発酵物の含有量は、特に限定されず、例えば、エクオール換算で、0.001~99.9質量%、好ましくは0.01~50質量%、より好ましくは0.01~30質量%とすることができる。当該範囲の下限は、例えば、0.001、0.005、0.01、0.1、0.2、0.5、又は1質量%であってもよく、当該範囲の上限は、例えば99.9、90、60、50、30、20、15、10、8、6、又は5質量%であってもよい。
【0030】
また、本発明の経口組成物が大豆抽出物を含有する場合、当該組成物に含まれる大豆抽出物の含有量は、大豆イソフラボンアグリコン換算で、例えば、1日摂取量として、1~75mg、1~60mg、1~50mg、又は1~40mgであることができ、好ましくは3~30mg、より好ましくは5~30mg、更に好ましくは10~30mg、より更に好ましくは20~30mgであることができる。
また、本発明の経口組成物が大豆胚軸発酵物を含有する場合、当該組成物に含まれる大豆胚軸発酵物の含有量は、エクオール換算で、例えば、1日摂取量として、0.1~20mgであることができ、好ましくは0.5~20mg、より好ましくは1~15mg、更に好ましくは1~10mgであることができる。
【0031】
本発明の経口組成物は、大豆抽出物及び/又は大豆胚軸発酵物、並びにラムノース(例えば、前述する本発明のマスキング剤)の他、さらに他の成分を含むことができる。当該他の成分としては、例えば、飲食品又は医薬品に配合可能な担体(基剤)や添加剤(例えば、賦形剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、抗酸化剤、保存剤、コーティング剤、着色料等)等が挙げられる。賦形剤としては、例えば、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖などのオリゴ糖類;デキストリン、セルロース、アラビアガム、およびでん粉(コーンスターチ等)などの多糖類、乳糖、ブドウ糖、果糖、砂糖、ショ糖、麦芽糖、水飴、蜂蜜、転化糖、シロップ、異性化糖(例えば、高果糖液糖、果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖果糖液糖など)などの糖類;ソルビトール、エリスリトール、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、キシリトール、還元パラチノースなどの糖アルコールを挙げることができる。
【0032】
本発明の経口組成物としては、例えば、飲食品、経口医薬品、経口医薬部外品等が挙げられる。中でも、飲食品が好ましく、飲料がより好ましい。飲料は、組成の大半が水分であることから、他の食品等と比較して、大豆臭をより感知しやすい傾向があるが、本発明によれば、大豆抽出物及び/又は大豆胚軸発酵物を含有する飲料に対しても優れた効果を奏する。
【0033】
ラムノース(例えば、前述する本発明のマスキング剤)は、本発明の経口組成物の製造過程の任意の段階で添加することができ、その添加時期及びその方法は特に限定されない。
【0034】
本発明の経口組成物は、大豆抽出物及び/又は大豆胚軸発酵物、並びにラムノース(例えば、前述する本発明のマスキング剤)を含有することによって、大豆臭がマスキングされていることを特徴とする。
【0035】
大豆臭のマスキングは、後述する実施例に示すように、大豆抽出物及び/又は大豆胚軸発酵物、並びにラムノースを含有する組成物と、ラムノースを含有しない以外は同じ組成の組成物との大豆臭を比較することによって評価することができる。具体的には、ラムノースを含有することによって、ラムノースを含有しない以外は同じ組成の組成物と比較して、大豆臭が減少または消失していると感じられる場合には、大豆臭がマスキングされていると判断される。
【0036】
(3)大豆臭マスキング方法
本発明は、大豆抽出物及び/又は大豆胚軸発酵物、並びにラムノースを混合することを含む、大豆臭マスキング方法をも包含する。本明細書において、当該方法を「本発明のマスキング方法」と表記することがある。
【0037】
本発明のマスキング方法が対象とする大豆抽出物及び/又は大豆胚軸発酵物としては、上述した本発明のマスキング剤が対象とする大豆抽出物及び/又は大豆胚軸発酵物に関する記載を援用することができる。
【0038】
大豆抽出物及び/又は大豆胚軸発酵物と、ラムノースの混合割合は、適宜設定することができる。また、大豆抽出物及び/又は大豆胚軸発酵物と、ラムノースとの混合割合については、上述した「(1)大豆臭マスキング剤」について記載した、大豆抽出物及び/又は大豆胚軸発酵物を含有する組成物に対する本発明のマスキング剤の配合割合についての記載を援用することができる。
【0039】
大豆抽出物及び/又は大豆胚軸発酵物、並びにラムノースを混合する方法は特に限定されず、適宜選択することができる。
【0040】
大豆臭がマスキングされているかどうかの判断は、上記に記載のとおり、大豆抽出物及び/又は大豆胚軸発酵物、並びにラムノースを混合した組成物と、ラムノースを混合しない以外は同じ組成の組成物との大豆臭を比較することによって評価することができる。
【0041】
なお、本明細書において「含む」とは、「本質的にからなる」と、「からなる」をも包含する(The term "comprising" includes "consisting essentially of” and "consisting of.")。また、本発明は、本明細書に説明した構成要件を任意に組み合わせた態様を全て包含する。
【0042】
また、上述した本発明の各実施形態について説明した各種特性(性質、構造、機能等)は、本発明に包含される主題を特定するにあたり、どのように組み合わせられてもよい。すなわち、本発明には、本明細書に記載される組み合わせ可能な各特性のあらゆる組み合わせからなる主題が全て包含される。
【実施例】
【0043】
本発明の内容を以下の実験例を用いて具体的に説明する。しかし、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。下記において、特に言及する場合を除いて、実験は大気圧及び常温条件下で行っている。また特に言及する場合を除いて、「%」は「質量%」を意味する。
【0044】
実験例1.ラムノースによる大豆臭マスキング効果の評価
大豆抽出物を、大豆イソフラボンアグリコンとして25mg/200mLとなるように、脱イオン水に溶解した。なお、大豆抽出物としては、フジフラボンP10(フジッコ株式会社製)を用いた。
これに表1に示す濃度(0.1~1.0%)になるように、ラムノースを溶解し、これを被験試料として、大豆抽出物に起因する豆臭及び青臭さに対するラムノースのマスキング効果を評価した。また比較対照のため、大豆抽出物水溶液についてラムノースを添加しない溶液(陽性コントロール)、及び脱イオン水(陰性コントロール)を用意した。
【0045】
調製した被験試料の豆臭及び青臭さを、パネル6名にて、以下の評価基準に従って評価した。なお、評価は、被験試料の豆臭及び青臭さを、陽性コントロール及び陰性コントロールのそれらと対比することで行った。
豆臭についての評価基準
大豆の豆臭さ(豆臭)についてパネル間で事前に確認し共通認識を持った上で試験を行った。ラムノースを含有しない大豆抽出物水溶液(陽性コントロール)と同程度の豆臭を感じる場合を「1点」、脱イオン水(陰性コントロール)と同じ場合を「5点」として、パネル間で摺り合わせて規定した5段階で豆臭を評価した。
青臭さについての評価基準
大豆の青臭さ(青臭さ)についてパネル間で事前に確認し共通認識を持った上で試験を行った。ラムノースを含有しない大豆抽出物水溶液(陽性コントロール)と同程度の青臭さを感じる場合を「1点」、脱イオン水(陰性コントロール)と同じ場合を「5点」として、パネル間で摺り合わせて規定した5段階で青臭さを評価した。
評価結果を表1にあわせて示す。なお、結果はパネルの平均値を示す。
【0046】
【0047】
表1に示す通り、大豆イソフラボンアグリコン1質量部に対して、ラムノースの配合量を8~80質量部とすることによって、豆臭、青臭さが低減することが確認された。ラムノースは、大豆臭をマスキングできることが分かった。
【0048】
実験例2.ラムノースによる大豆臭マスキング効果の評価
大豆抽出物を、大豆イソフラボンアグリコンとして12.5mg/200mLとなるように、脱イオン水に溶解した以外は、実験例1と同様の方法により被験試料を調製し、大豆臭マスキング効果について評価した。
評価結果を表2に示す。なお、結果はパネルの平均値を示す。
【0049】
【0050】
表2に示す通り、大豆イソフラボンアグリコン1質量部に対して、ラムノースの配合量を16~160質量部とすることによって、豆臭、青臭さが低減することが確認された。ラムノースは、大豆臭をマスキングできることが分かった。