(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-01-29
(45)【発行日】2026-02-06
(54)【発明の名称】PD-L1検出用抗PD-L1抗体
(51)【国際特許分類】
C07K 16/30 20060101AFI20260130BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20260130BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20260130BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20260130BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20260130BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20260130BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20260130BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20260130BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20260130BHJP
【FI】
C07K16/30 ZNA
C07K16/28
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12P21/08
(21)【出願番号】P 2024544183
(86)(22)【出願日】2023-08-24
(86)【国際出願番号】 JP2023030546
(87)【国際公開番号】W WO2024048418
(87)【国際公開日】2024-03-07
【審査請求日】2024-12-11
(31)【優先権主張番号】P 2022135595
(32)【優先日】2022-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
(74)【代理人】
【識別番号】100098121
【氏名又は名称】間山 世津子
(74)【代理人】
【識別番号】100107870
【氏名又は名称】野村 健一
(72)【発明者】
【氏名】今内 覚
(72)【発明者】
【氏名】前川 直也
(72)【発明者】
【氏名】岡川 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】大橋 和彦
(72)【発明者】
【氏名】村田 史郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 定彦
【審査官】布川 莉奈
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-518366(JP,A)
【文献】再公表特許第2018/034225(JP,A1)
【文献】特表2021-517472(JP,A)
【文献】FOLKL, A. et al.,Veterinary Immunology and Immunopathology,2010年,Vol.134,p.107-114
【文献】Cancers,2020年,Vol.12, No.6,1386
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00- 19/66
C12N 1/00- 15/00
C12P 21/00- 21/08
G01N 33/00- 33/98
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) ESVDSYGNSF(配列番号1)のアミノ酸配列を有するCDR1、RASのアミノ酸配列を有するCDR2及びQQSNEDPRT(配列番号2)のアミノ酸配列を有するCDR3を有するL鎖と、(b) GFTFSSYG(配列番号3)のアミノ酸配列を有するCDR1、ISNGGTYT(配列番号4)のアミノ酸配列を有するCDR2及びARLGYGSLNWYFDV(配列番号5)のアミノ酸配列を有するCDR3を有するH鎖とを含
み、
ネコPD-L1に特異的に結合できる抗PD-L1抗体。
【請求項2】
マウスに由来する請求項1記載の抗体。
【請求項3】
マウス抗ネコPD-L1抗体である請求項2記載の抗体。
【請求項4】
L鎖可変領域が配列番号6のアミノ酸配列を有し、H鎖可変領域が配列番号7のアミノ酸配列を有する、請求項3記載の抗体。
【請求項5】
L鎖定常領域が、Kappa鎖の定常領域のアミノ酸配列を有する請求項1記載の抗体。
【請求項6】
H鎖定常領域が、IgG1の定常領域のアミノ酸配列を有する請求項1記載の抗体。
【請求項7】
L鎖定常領域が配列番号8のアミノ酸配列を有し、H鎖定常領域が配列番号9のアミノ酸配列を有する請求項5又は6記載の抗体。
【請求項8】
L鎖2本とH鎖2本の4本鎖構造を持つ請求項1記載の抗体。
【請求項9】
請求項1記載の抗体を有効成分として含む、PD-L1を検出するための組成物。
【請求項10】
がん及び/又は感染症の診断に用いられる請求項9記載の組成物。
【請求項11】
がん及び/又は感染症が、腫瘍性疾患、白血病、猫白血病ウイルス感染症、猫免疫不全ウイルス感染症、猫汎白血球減少症(猫パルボウイルス感染症)、猫伝染性腹膜炎/猫腸内コロナウイルス感染症、猫カリシウイルス病、猫ウイルス性鼻気管炎(猫ヘルペスウイルス感染症)、猫フォーミーウイルス感染症、ポックスウイルス病、ボルナ病、オーエスキー病、重症熱性血小板減少症候群、猫モルビリウイルス感染症、カンピロバクター腸炎、サルモネラ感染症、ボルデテラ症、パスツレラ症、破傷風、野兎病、非定型マイコバクテリウム感染症、猫ヘモプラズマ感染症、コクシエラ症、クラミジア病、クリプトコッカス症、皮膚糸状菌症、ヒストプラズマ症、カンジダ症、アスペルギルス症、ブラストミセス症、コクシジオイデス症、スポロトリコーシス、プロトテカ症、マラセチア症、ニューモシスティス・カリニ肺炎、トキソプラズマ症、ジアルジア症、トリコモナス症、アメーバ症、バランチジウム症、バベシア症、クリプトスポリジウム症、腸管内コクシジウム病、トリパノソーマ病、エンセファリトゾーン症、サイトークゾーン症からなる群より選択される請求項10記載の組成物。
【請求項12】
抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体を用いた治療に適した被験動物を選定するために用いられる請求項9記載の組成物。
【請求項13】
請求項1記載の抗PD-L1抗体をコードするDNA。
【請求項14】
請求項13記載のDNAを含むベクター。
【請求項15】
請求項14記載のベクターにより形質転換された宿主細胞。
【請求項16】
請求項15記載の宿主細胞を培養し、培養物から抗PD-L1抗体を採取することを含む、抗体の製造方法。
【請求項17】
ESVDSYGNSF(配列番号1)のアミノ酸配列を有するCDR1、RASのアミノ酸配列を有するCDR2及びQQSNEDPRT(配列番号2)のアミノ酸配列を有するCDR3を有するL鎖をコードするDNAを組み込んだベクターと、GFTFSSYG(配列番号3)のアミノ酸配列を有するCDR1、ISNGGTYT(配列番号4)のアミノ酸配列を有するCDR2及びARLGYGSLNWYFDV(配列番号5)のアミノ酸配列を有するCDR3を有するH鎖をコードするDNAを組み込んだベクターとにより形質転換された宿主細胞
であって、L鎖及びH鎖のCDR1、CDR2及びCDR3がネコPD-L1に特異的に結合できる前記宿主細胞。
【請求項18】
請求項17記載の宿主細胞を培養し、培養物から抗PD-L1抗体を採取することを含む、抗体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PD-L1検出用抗PD-L1抗体に関する。
【背景技術】
【0002】
ネコの腫瘍に対して、既存の治療法では対処しきれない場合も多いことから、新規治療法の開発が望まれている。ヒト医療では腫瘍に対して免疫抑制因子である programmed death ligand 1 (PD-L1)を標的とした治療法が臨床応用されている。すなわち、PD-L1とその受容体programmed death 1 (PD-1) の相互作用は腫瘍及び感染症が免疫応答による排除を回避する主要な分子機構の一つであり、これらの分子に特異的に結合しPD-1/PD-L1相互作用を阻害する抗体(抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体)は抗腫瘍効果及び抗病原体効果を発揮することが報告されている(非特許文献1~5)。しかし、ネコにおいてそのような研究動向は報告されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Bramer J, Reckamp K, et al: Nivolumab versus Docetaxel in Advanced Nonsquamous Non-Small-Cell Lung Cancer. N Engl J Med, 373:1627-1639, 2015.
【文献】Hamanishi J, Mandai M, Ikeda T, et al: Safety and Antitumor Activity of Anti-PD-1 Antibody, Nivolumab, in Patients With Platinum-Resistant Ovarian Cancer. J Clin Oncol, 33:4015-4022, 2015.
【文献】Motzer RJ, Escudier B, McDermott DF, et al: Nivolumab versus Everolimus in Advanced Renal-Cell Carcinoma. N Engl J Med, 373:1803-1813, 2015.
【文献】Barber DL, Wherry EJ, Masopust D, et al: Restoring function in exhausted CD8 T cells during chronic viral infection. Nature, 439:682-687, 2006.
【文献】Velu V, Titanji K, Zhu B, et al: Enhancing SIV-specific immunity in vivo by PD-1 blockade. Nature 458:206-210, 2009.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、PD-1/PD-L1を標的としたネコの腫瘍に対する新規治療法のために腫瘍のPD-L1を検出可能な診断用抗体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、PD-1/PD-L1を標的としたネコの腫瘍に対する新規治療法のために腫瘍のPD-L1を検出可能な診断用抗体を樹立した。すなわち、組換えネコPD-L1を作製し、ネコPD-L1に対するマウスモノクローナル抗体を樹立した。本抗体を用いた免疫組織化学染色法によりネコの腫瘍組織におけるPD-L1発現解析を行ったところ、乳腺腺癌などの腫瘍で高い陽性率を示した。本発明は、これらの知見により完成されたものである。
【0006】
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)(a) ESVDSYGNSF(配列番号1)のアミノ酸配列を有するCDR1、RASのアミノ酸配列を有するCDR2及びQQSNEDPRT(配列番号2)のアミノ酸配列を有するCDR3を有するL鎖と、(b) GFTFSSYG(配列番号3)のアミノ酸配列を有するCDR1、ISNGGTYT(配列番号4)のアミノ酸配列を有するCDR2及びARLGYGSLNWYFDV(配列番号5)のアミノ酸配列を有するCDR3を有するH鎖とを含む、抗PD-L1抗体。
(2)マウスに由来する(1)記載の抗体。
(3)マウス抗ネコPD-L1抗体である(2)記載の抗体。
(4)L鎖可変領域が配列番号6のアミノ酸配列を有し、H鎖可変領域が配列番号7のアミノ酸配列を有する、(3)記載の抗体。
(5)L鎖定常領域が、Kappa鎖の定常領域のアミノ酸配列を有する(1)~(4)のいずれかに記載の抗体。
(6)H鎖定常領域が、IgG1の定常領域のアミノ酸配列を有する(1)~(5)のいずれかに記載の抗体。
(7)L鎖定常領域が配列番号8のアミノ酸配列を有し、H鎖定常領域が配列番号9のアミノ酸配列を有する(5)又は(6)記載の抗体。
(8)L鎖2本とH鎖2本の4本鎖構造を持つ(1)~(7)のいずれかに記載の抗体。
(9)(1)~(8)のいずれかに記載の抗体を有効成分として含む、PD-L1を検出するための組成物。
(10)がん及び/又は感染症の診断に用いられる(9)記載の組成物。
(11)がん及び/又は感染症が、腫瘍性疾患、白血病、猫白血病ウイルス感染症、猫免疫不全ウイルス感染症、猫汎白血球減少症(猫パルボウイルス感染症)、猫伝染性腹膜炎/猫腸内コロナウイルス感染症、猫カリシウイルス病、猫ウイルス性鼻気管炎(猫ヘルペスウイルス感染症)、猫フォーミーウイルス感染症、ポックスウイルス病、ボルナ病、オーエスキー病、重症熱性血小板減少症候群、猫モルビリウイルス感染症、カンピロバクター腸炎、サルモネラ感染症、ボルデテラ症、パスツレラ症、破傷風、野兎病、非定型マイコバクテリウム感染症、猫ヘモプラズマ感染症、コクシエラ症、クラミジア病、クリプトコッカス症、皮膚糸状菌症、ヒストプラズマ症、カンジダ症、アスペルギルス症、ブラストミセス症、コクシジオイデス症、スポロトリコーシス、プロトテカ症、マラセチア症、ニューモシスティス・カリニ肺炎、トキソプラズマ症、ジアルジア症、トリコモナス症、アメーバ症、バランチジウム症、バベシア症、クリプトスポリジウム症、腸管内コクシジウム病、トリパノソーマ病、エンセファリトゾーン症、サイトークゾーン症からなる群より選択される(10)記載の組成物。
(12)抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体を用いた治療に適した被験動物を選定するために用いられる(9)記載の組成物。
(13)(1)記載の抗PD-L1抗体をコードするDNA。
(14)(13)記載のDNAを含むベクター。
(15)(14)記載のベクターにより形質転換された宿主細胞。
(16)(15)記載の宿主細胞を培養し、培養物から抗PD-L1抗体を採取することを含む、抗体の製造方法。
(17)ESVDSYGNSF(配列番号1)のアミノ酸配列を有するCDR1、RASのアミノ酸配列を有するCDR2及びQQSNEDPRT(配列番号2)のアミノ酸配列を有するCDR3を有するL鎖をコードするDNAを組み込んだベクターと、GFTFSSYG(配列番号3)のアミノ酸配列を有するCDR1、ISNGGTYT(配列番号4)のアミノ酸配列を有するCDR2及びARLGYGSLNWYFDV(配列番号5)のアミノ酸配列を有するCDR3を有するH鎖をコードするDNAを組み込んだベクターとにより形質転換された宿主細胞。
(18)(17)記載の宿主細胞を培養し、培養物から抗PD-L1抗体を採取することを含む、抗体の製造方法。
(19)以下の(a)又は(b)のタンパク質。
(a)配列番号19のアミノ酸配列からなるタンパク質。
(b)配列番号19のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸からなり、かつPD-L1の機能を有するタンパク質。
(20)(19)記載のタンパク質をコードするDNA。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、ネコ乳腺腺癌などの腫瘍細胞を染色可能な新規抗PD-L1抗体が得られた。本発明により、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体による免疫療法を適用可能な患者かどうかを診断することが可能となる。
本明細書は、本願の優先権の基礎である日本国特許出願、特願2022-135595の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】ネコPD-L1遺伝子の同定。ネコPD-L1遺伝子を同定した。(a) ネコPD-L1とイヌ、ウシ、ヒト、マウス及びラットPD-L1との予想アミノ酸配列の比較解析を行った。(b) 種々の動物のPD-L1予想アミノ酸配列の系統樹解析を行った。GenBank accession numberは慣用名の右括弧内に記載した。スケールバーはbranch lengthを示す。
【
図2】PD-1-Ig、PD-L1-Igの作製。PD-1-Ig、PD-L1-Igを精製し、SDS-PAGE後にCBB染色を行った。(a) 非還元条件及び (b) 還元条件における泳動像を示した。
【
図3】CL1Mab-7のPD-L1に対する結合試験。CL1Mab-7のPD-L1発現CHO-DG44細胞に対する結合をフローサイトメトリー法にて測定した。EGFPはEGFP発現CHO-CG44細胞、PD-L1-EGFPはPD-L1-EGFP発現CHO-DG44細胞を示した。縦軸は細胞数、横軸は蛍光強度 (抗体結合量) を示した。
【
図4】ネコマクロファージ由来細胞株 (Fcwf-4) におけるPD-L1発現解析。フローサイトメトリー解析において、Fcwf-4は無刺激条件下でPD-L1を発現しており、その発現はIFN-γ刺激条件下で亢進した。
【
図5】ネコ乳腺腺癌由来細胞株 (FKNp、FMCp、FMCm、FYMp、FONp、及びFONm) におけるPD-L1発現解析。フローサイトメトリー解析において、FKNp、FMCm、FYMp、FONp、及びFONmは無刺激条件下でPD-L1を発現しており、その発現はIFN-γ刺激条件下で亢進した。FMCpでは、PD-L1の発現が認められなかった。
【
図6】ネコ腫瘍組織におけるPD-L1の発現解析。乳腺腺癌、扁平上皮癌、線維肉腫、及び腎細胞癌における代表的な染色陽性像を示した。陰性対照としてマウスIgG1で染色した扁平上皮癌の代表的な染色像を示した。
【
図7a】マウス抗ネコPD-L1モノクローナル抗体(クローン名CL1Mab-7)の軽鎖全長の塩基配列とアミノ酸配列を示す。
【
図7b】マウス抗ネコPD-L1モノクローナル抗体(クローン名CL1Mab-7)の重鎖全長の塩基配列とアミノ酸配列を示す。
【
図8】組換えマウス抗ネコPD-L1抗体rCL1Mab-7のSDS-PAGE像。組換えマウス抗ネコPD-L1抗体rCL1Mab-7はハイブリドーマ由来マウス抗ネコPD-L1抗体CL1Mab-7と同様の泳動パターンを示し、目的以外のバンドは視認されなかった。
【
図9】ネコPD-L1発現CHO-DG44細胞に対する組換えマウス抗ネコPD-L1抗体rCL1Mab-7の結合。フローサイトメトリー解析において、組換えマウス抗ネコPD-L1抗体rCL1Mab-7はハイブリドーマ由来マウス抗ネコPD-L1抗体CL1Mab-7と同程度ネコPD-L1発現CHO-DG44細胞に結合した。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明は、(a) ESVDSYGNSF(配列番号1)のアミノ酸配列を有するCDR1、RASのアミノ酸配列を有するCDR2及びQQSNEDPRT(配列番号2)のアミノ酸配列を有するCDR3を有するL鎖(軽鎖)と、(b) GFTFSSYG(配列番号3)のアミノ酸配列を有するCDR1、ISNGGTYT(配列番号4)のアミノ酸配列を有するCDR2及びARLGYGSLNWYFDV(配列番号5)のアミノ酸配列を有するCDR3を有するH鎖(重鎖)とを含む、抗PD-L1抗体を提供する。
【0011】
本発明者らが樹立したマウス抗ネコPD-L1モノクローナル抗体(クローン名CL1Mab-7) のL鎖可変領域におけるCDR1~3は、ぞれぞれ、ESVDSYGNSF(配列番号1)のアミノ酸配列からなる領域、RASのアミノ酸配列からなる領域、QQSNEDPRT(配列番号2)のアミノ酸配列からなる領域である(
図7a参照)。
【0012】
また、マウス抗ネコPD-L1モノクローナル抗体(クローン名CL1Mab-7)のH鎖可変領域におけるCDR1~3は、ぞれぞれ、GFTFSSYG(配列番号3)のアミノ酸配列からなる領域、ISNGGTYT(配列番号4)のアミノ酸配列からなる領域、ARLGYGSLNWYFDV(配列番号5)のアミノ酸配列からなる領域である(
図7b参照)。
【0013】
ESVDSYGNSF(配列番号1)のアミノ酸配列、RASのアミノ酸配列及びQQSNEDPRT(配列番号2)のアミノ酸配列、並びに、GFTFSSYG(配列番号3)のアミノ酸配列、ISNGGTYT(配列番号4)のアミノ酸配列及びARLGYGSLNWYFDV(配列番号5)のアミノ酸配列においては、1個、2個、3個、4個又は5個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されてもよく、これらの変異が導入されても、PD-L1抗体のL鎖可変領域のCDR又はH鎖可変領域のCDRとしての機能を有しうる。
【0014】
本明細書において、抗体とは、全長抗体の他、Fab、F(ab)’2、ScFv、Diabody、VH、VL、Sc(Fv)2、Bispecific sc(Fv)2、Minibody、ScFv-Fc monomer、ScFv-Fc dimerなどの低分子化されたものも含む概念である。
【0015】
本発明の抗PD-L1抗体は、マウスに由来するものであるとよく、例えば、マウス抗ネコPD-L1モノクローナル抗体であるとよい。
【0016】
マウス抗ネコPD-L1モノクローナル抗体(クローン名CL1Mab-7)のL鎖可変領域のアミノ酸配列及びH鎖可変領域のアミノ酸配列を、それぞれ、配列番号6及び7に示すが、配列番号6及び7のアミノ酸配列においては、1若しくは複数個(例えば、5個以下、多くても10個程度)のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されてもよく、これらの変異が導入されても、PD-L1抗体のL鎖可変領域又はH鎖可変領域としての機能を有しうる。本発明の抗PD-L1抗体は、L鎖可変領域が配列番号6のアミノ酸配列を有し、H鎖可変領域が配列番号7のアミノ酸配列を有するとよい。
【0017】
抗体のL鎖には、Kappa鎖とLambda鎖があり、本発明の抗PD-L1抗体において、L鎖定常領域は、Kappa鎖又はLambda鎖のどちらの鎖の定常領域のアミノ酸配列を有するものであってもよいが、存在比率は、ヒツジ、ネコ、イヌ、ウマではLambda鎖(ラムダ鎖)の方が高く、マウス、ラット、ヒト、ブタではKappa鎖(カッパ鎖)の方が高い。マウス抗ネコPD-L1モノクローナル抗体(クローン名CL1Mab-7)はマウス由来のIgG1であり、L鎖定常領域が、Kappa鎖の定常領域のアミノ酸配列を有する。本発明の抗PD-L1抗体は、L鎖定常領域が、Kappa鎖の定常領域のアミノ酸配列を有するとよい。
【0018】
本発明の抗PD-L1抗体のH鎖定常領域は、マウスIgG1のH鎖定常領域のアミノ酸配列を有するとよい。H鎖は、定常領域の違いにより、γ鎖、μ鎖、α鎖、δ鎖、ε鎖に分けられ、この違いによりそれぞれIgG、IgM、IgA、IgD、IgEの5種類のクラス(アイソタイプ)の免疫グロブリンが形成される。
【0019】
免疫グロブリンG(IgG)はヒト免疫グロブリンの70-75%を占め、血漿中に最も多い単量体の抗体である。軽鎖2本と重鎖2本の4本鎖構造をもつ。ヒトIgG1、IgG2、IgG4は分子量は約146,000であるが、ヒトIgG3はFab領域とFc領域をつなぐヒンジ部が長く、分子量も170,000と大きい。ヒトIgG1はヒトIgGの65%程度、ヒトIgG2は25%程度、ヒトIgG3は7%程度、ヒトIgG4は3%程度を占める。血管内外に平均して分布する。ヒトIgG1は、エフェクター細胞表面のFcレセプターや補体因子に強い親和性を有するので、抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)を誘導し、また、補体を活性化して補体依存性細胞傷害活性(CDC)を誘導する。ヒトIgG2とヒトIgG4は、Fcレセプターや補体因子への親和性が低いことから、ADCC活性及びCDC活性が低い。
【0020】
免疫グロブリンM(IgM)はヒト免疫グロブリンの約10%を占める、基本の4本鎖構造が5つ結合した五量体の抗体である。分子量は970,000。通常血中のみに存在し、感染微生物に対して最初に産生され、初期免疫を司る免疫グロブリンである。
【0021】
免疫グロブリンA(IgA)はヒト免疫グロブリンの10-15%を占める。分子量は160,000。分泌型IgAは2つのIgAが結合した二量体の抗体になっている。IgA1は血清、鼻汁、唾液、母乳中に存在し、腸液にはIgA2が多く存在する。
【0022】
免疫グロブリンD(IgD)はヒト免疫グロブリンの1%以下の単量体の抗体である。B細胞表面に存在し、抗体産生の誘導に関与する。
【0023】
免疫グロブリンE(IgE)はヒト免疫グロブリンの0.001%以下と極微量しか存在しない単量体の抗体である。寄生虫に対する免疫反応に関与していると考えられるが、寄生虫の稀な先進国においては、特に気管支喘息やアレルギーに大きく関与している。
【0024】
マウスでは、IgGのH鎖として、IgG1, IgG2a, IgG2b, IgG2c及びIgG3の配列が同定されている。マウス抗ネコPD-L1モノクローナル抗体(クローン名CL1Mab-7)は、IgG1のH鎖定常領域のアミノ酸配列を有する。
【0025】
本発明の抗体において、L鎖定常領域が、Kappa鎖の定常領域のアミノ酸配列を有し、H鎖定常領域がIgG1のH鎖定常領域のアミノ酸配列を有する抗PD-L1抗体がより好ましい。
【0026】
本発明者らが同定したマウス抗ネコPD-L1モノクローナル抗体(クローン名CL1Mab-7)のL鎖可変領域のアミノ酸配列と塩基配列を、それぞれ、配列番号6及び12に示す。
【0027】
本発明者らが同定したマウス抗ネコPD-L1モノクローナル抗体(クローン名CL1Mab-7)のH鎖可変領域のアミノ酸配列と塩基配列を、それぞれ、配列番号7及び13に示す。
【0028】
本発明者らが同定したマウス抗ネコPD-L1モノクローナル抗体(クローン名CL1Mab-7)のL鎖定常領域(Kappa鎖)のアミノ酸配列と塩基配列を、それぞれ、配列番号8及び14に示す。これらの配列は、GenBankにAAB53776.1の登録番号で登録されている配列、GenBankにU56411.1の登録番号で登録されている配列と同じである。
【0029】
本発明者らが同定したマウス抗ネコPD-L1モノクローナル抗体(クローン名CL1Mab-7)のH鎖定常領域(IgG1)のアミノ酸配列と塩基配列を、それぞれ、配列番号9及び15に示す。これらの配列は、GenBankにABQ85914.1の登録番号で登録されている配列、GenBankにEF392839.1の登録番号で登録されている配列と同じである。
【0030】
本発明の抗PD-L1抗体は、L鎖定常領域が配列番号8のアミノ酸配列を有し、H鎖定常領域が配列番号9のアミノ酸配列を有するとよい。
【0031】
本発明者らが同定したマウス抗ネコPD-L1モノクローナル抗体(クローン名CL1Mab-7)のL鎖全長のアミノ酸配列と塩基配列を、それぞれ、配列番号10及び16に示す。
【0032】
本発明者らが同定したマウス抗ネコPD-L1モノクローナル抗体(クローン名CL1Mab-7)のH鎖全長のアミノ酸配列と塩基配列を、それぞれ、配列番号11及び17に示す。
【0033】
本発明の抗PD-L1抗体は、L鎖が配列番号10のアミノ酸配列を有し、H鎖が配列番号11のアミノ酸配列を有するとよい。
【0034】
本発明の抗PD-L1抗体は、L鎖2本とH鎖2本の4本鎖構造を持つとよい。
【0035】
本発明の抗PD-L1抗体は、以下のようにして製造することができる。本発明の抗PD-L1抗体の軽鎖配列(可変領域配列と定常領域配列)と重鎖配列(可変領域配列と定常領域配列)を含む人工遺伝子を合成し、その人工遺伝子をベクター(例えば、プラスミド)に挿入後、宿主細胞(例えば、CHO細胞などの哺乳類細胞)に導入し、該宿主細胞を培養することにより、培養物から抗体を採取する。人工遺伝子の合成にあたっては、塩基配列のコドンを最適化してもよい。
【0036】
本発明は、(a) ESVDSYGNSF(配列番号1)のアミノ酸配列を有するCDR1、RASのアミノ酸配列を有するCDR2及びQQSNEDPRT(配列番号2)のアミノ酸配列を有するCDR3を有するL鎖と、(b) GFTFSSYG(配列番号3)のアミノ酸配列を有するCDR1、ISNGGTYT(配列番号4)のアミノ酸配列を有するCDR2及びARLGYGSLNWYFDV(配列番号5)のアミノ酸配列を有するCDR3を有するH鎖とを含む、抗PD-L1抗体をコードするDNAを提供する。本発明のDNAは、市販の合成機を用いて合成することができる。このDNAには、制限酵素認識部位、KOZAK配列、ポリA付加シグナル配列、プロモーター配列、イントロン配列などを付加してもよい。
【0037】
また、本発明は、前記の抗PD-L1抗体をコードするDNAを含むベクターも提供する。
【0038】
ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミド(例、pBR322,pBR325,pUC12,pUC13)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB110,pTP5,pC194)、酵母由来プラスミド(例、pSH19,pSH15)、λファージなどのバクテリオファージ、レトロウイルス,ワクシニアウイルスなどの動物ウイルス、バキュロウイルスなどの昆虫病原ウイルスなどを用いることができる。後述の実施例では、発現ベクターpCXN2.1 (+) (順天堂大学 横溝 岳彦 先生より分与(Niwa et al., Gene. 1991;108(2):193-199.)を用いた。
【0039】
ベクターには、プロモーター、エンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、イントロン配列、選択マーカー、SV40複製オリジンなどを付加してもよい。
【0040】
さらに、本発明は、前記ベクターにより形質転換された宿主細胞も提供する。この宿主細胞を培養し、培養物から抗体を採取することにより、抗PD-L1抗体を製造することができる。よって、本発明は、前記宿主細胞を培養し、培養物から抗PD-L1抗体を採取することを含む、抗体の製造方法も提供する。本発明の抗体の製造方法において、L鎖をコードするDNAとH鎖をコードするDNAを含むDNAを組み込んだベクターを宿主細胞にトランスフェクションしてもよいし、L鎖をコードするDNAを組み込んだベクターとH鎖をコードするDNAを組み込んだベクターを宿主細胞にコトランスフェクションしてもよい。後述の実施例2では、L鎖をコードするDNAを組み込んだベクターとH鎖をコードするDNAを組み込んだベクターを宿主細胞(Expi293F細胞 (Life Technologies社))にコトランスフェクションし、抗PD-L1抗体を産生させた。
【0041】
本発明は、ESVDSYGNSF(配列番号1)のアミノ酸配列を有するCDR1、RASのアミノ酸配列を有するCDR2及びQQSNEDPRT(配列番号2)のアミノ酸配列を有するCDR3を有するL鎖をコードするDNAを組み込んだベクターと、GFTFSSYG(配列番号3)のアミノ酸配列を有するCDR1、ISNGGTYT(配列番号4)のアミノ酸配列を有するCDR2及びARLGYGSLNWYFDV(配列番号5)のアミノ酸配列を有するCDR3を有するH鎖をコードするDNAを組み込んだベクターとにより形質転換された宿主細胞も提供する。また、本発明は、前記宿主細胞を培養し、培養物から抗PD-L1抗体を採取することを含む、抗体の製造方法も提供する。
【0042】
宿主細胞としては、細菌細胞(例えば、エシェリヒア属菌、バチルス属菌、枯草菌など)、真菌細胞(例えば、酵母、アスペルギルスなど)、昆虫細胞(例えば、S2細胞、Sf細胞など)、動物細胞(例えば、CHO細胞、COS細胞、HeLa細胞、C127細胞、3T3細胞、BHK細胞、HEK293細胞など)、植物細胞などを例示することができる。このうち、ジヒドロ葉酸還元酵素欠損細胞であるCHO-DG44細胞(CHO-DG44(dhfr-/-))が好ましい。後述の実施例2では、Expi293F細胞 (Life Technologies社)を用いた。
【0043】
組換えベクターを宿主に導入するには、Molecular Cloning 2nd Edition, J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989に記載の方法(例えば、リン酸カルシウム法、DEAE-デキストラン法、トランスフェクション法、マイクロインジェクション法、リポフェクション法、エレクロトポレーション法、形質導入法、スクレープローディング法、ショットガン法など)又は感染により行うことができる。
【0044】
形質転換体を培地で培養し、培養物から本発明の抗PD-L1抗体を採取することができる。抗体が培地に分泌される場合には、培地を回収し、その培地から抗体を分離し、精製すればよい。抗体が形質転換された細胞内に産生される場合には、その細胞を溶解し、その溶解物から抗体を分離し、精製すればよい。
【0045】
培地としては、OptiCHO培地、Dynamis培地、CD CHO培地、ActiCHO培地、FortiCHO培地、Ex-Cell CD CHO培地、BalanCD CHO培地、ProCHO 5培地、Cellvento CHO-100培地などを例示することができる。後述の実施例2では、Expi293 Expression Medium (Life Technologies社)を用いた。
【0046】
培地のpHは培養する細胞により異なるが、一般的にはpH6.8~7.6、多くの場合pH7.0~7.4が適当である。
【0047】
培養する細胞がCHO細胞である場合、CHO細胞の培養は当業者に公知の方法を用いて行うことができる。例えば、通常、気相のCO2濃度が0-40%、好ましくは、2-10%の雰囲気下、30-39℃、好ましくは37℃程度で、培養することが可能である。
【0048】
適当な培養期間は、通常1日~3か月であり、好ましくは1日~3週間である。
【0049】
抗体の分離及び精製は、公知の方法により行うことができる。公知の分離、精製法としては、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度の差を利用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、及びSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法、アフィニティークロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法などが用いられる。
【0050】
本発明の抗PD-L1抗体は、ハイブリドーマの培養により、製造することもできる。ハイブリドーマは、既報(Ikebuchi et al., Immunology. 2014;142(4):551-561.)に記載の方法で作製することができる。マウス抗ネコPD-L1モノクローナル抗体(クローン名CL1Mab-7)を産生するハイブリドーマは、本発明者らの研究室(北海道大学大学院獣医学研究院 病原制御学講座 感染症学教室)に保管されている。
【0051】
本発明の抗PD-L1抗体は、PD-L1の検出に利用することができる。よって、本発明は、上記の抗PD-L1抗体を有効成分として含む、PD-L1を検出するための組成物を提供する。
【0052】
PD-L1の検出は、例えば免疫組織化学染色法、免疫細胞化学染色法、フローサイトメトリー法、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、ウェスタンブロット法などで行うことができる。
【0053】
検体としては、生体から採取された組織や体液(例えば、血液(全血、血漿、血清の他、赤血球、白血球、リンパ球などの特定の細胞)、尿、唾液等)などの試料、細胞培養液、培養細胞(株化された細胞、初代培養細胞、継代された細胞など)などを例示することができる。検体の由来は、ラット、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ネコ、ヒト、ウマ、ウシ、水牛、ヤク、ウサギ、マウス、ハムスター、モルモットなどを挙げることができるが、ネコが好ましい。
【0054】
本発明の抗PD-L1抗体は、放射性同位元素、酵素、発光物質、蛍光物質、ビオチンなどで標識されてもよい。また、ターゲット分子(PD-L1)に特異的に結合する一次抗体(本発明の抗PD-L1抗体)の反応後、この一次抗体に結合する二次抗体を反応させて、ターゲット分子の検出を行う場合には、二次抗体を標識するとよい。
【0055】
PD-L1は、がん細胞や感染細胞に強く発現しているので、本発明の組成物は、がん及び/又は感染症の診断に用いることができる。通常、PD-L1と抗PD-L1抗体の結合体の量(濃度)に基づいて、検体中のPD-L1の量(濃度)が決定される。検体中のPD-L1の量(濃度)が、陰性コントロール(例えば、正常な周囲組織(結合組織や血管など))と比較して高ければ、がん及び/又は感染症であると診断されうる。あるいは、検体中にPD-L1が検出されれば、がん及び/又は感染症であると診断されうる。
【0056】
がん及び/又は感染症としては、がん細胞にPD-L1を発現しているがん、細菌やウイルスなどの病原体が感染した細胞がPD-L1を発現する感染症であるとよく、腫瘍性疾患、白血病、猫白血病ウイルス感染症、猫免疫不全ウイルス感染症、猫汎白血球減少症(猫パルボウイルス感染症)、猫伝染性腹膜炎/猫腸内コロナウイルス感染症、猫カリシウイルス病、猫ウイルス性鼻気管炎(猫ヘルペスウイルス感染症)、猫フォーミーウイルス感染症、ポックスウイルス病、ボルナ病、オーエスキー病、重症熱性血小板減少症候群、猫モルビリウイルス感染症、カンピロバクター腸炎、サルモネラ感染症、ボルデテラ症、パスツレラ症、破傷風、野兎病、非定型マイコバクテリウム感染症、猫ヘモプラズマ感染症、コクシエラ症、クラミジア病、クリプトコッカス症、皮膚糸状菌症、ヒストプラズマ症、カンジダ症、アスペルギルス症、ブラストミセス症、コクシジオイデス症、スポロトリコーシス、プロトテカ症、マラセチア症、ニューモシスティス・カリニ肺炎、トキソプラズマ症、ジアルジア症、トリコモナス症、アメーバ症、バランチジウム症、バベシア症、クリプトスポリジウム症、腸管内コクシジウム病、トリパノソーマ病、エンセファリトゾーン症、サイトークゾーン症などを例示することができる。
【0057】
本発明の組成物により、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体を用いた治療に適した被験動物を選定することができる。例えば、治療の候補動物は、以下の2点:
1.病理検査でがん(例えば、乳腺腺癌、扁平上皮癌、線維肉腫、腎細胞癌など)又は感染症と診断された症例
2.抗PD-L1抗体で陽性を示した症例
を満たしているものとするとよい。陰性コントロールは、正常な周囲組織(結合組織や血管など)とし、陽性コントロールは、がん(例えば、乳腺腺癌、扁平上皮癌、線維肉腫、腎細胞癌など)又は感染症の症例とするとよい。基本的には、腫瘍のほぼ全領域が免疫組織化学染色で陽性になるものを治験の対象とするとよい。
【0058】
被験動物は、ラット、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ネコ、ヒト、ウマ、ウシ、水牛、ヤク、ウサギ、マウス、ハムスター、モルモットなどを挙げることができるが、ネコが好ましい。
【0059】
本発明の組成物は、さらに、標識を検出するための試薬、希釈液、洗浄液、診断・選定基準を記載した使用説明書などを含んでもよい。
【0060】
本発明は、ネコPD-L1とその遺伝子も提供する。ネコPD-L1遺伝子 ORFの全長は876 bpであり、291個のアミノ酸からなるネコPD-L1をコードする。ネコPD-L1の塩基配列及びアミノ酸配列をそれぞれ配列番号18及び19に示す。本発明のネコPD-L1は、配列番号19のアミノ酸配列からなるとよい。本発明のネコPD-L1遺伝子は、配列番号19のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする。PD-L1の機能を有する限り、配列番号19のアミノ酸配列においては、1若しくは数個(例えば、1個、2個、3個、4個、5個などの5個以下、多くても10個程度)のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されてもよい。PD-L1の機能とは、T細胞上のPD-1に結合すると、T細胞の活性を抑制させる免疫抑制機能である。がん細胞や感染細胞などは、がん細胞や感染細胞に発現しているPD-L1がT細胞に結合することにより、免疫細胞の攻撃をまぬがれる。また、PD-L1は抗原としての機能も有する。
【0061】
本発明のネコPD-L1をコードするDNAは、例えば、以下のようにして製造することができる。ネコ末梢血単核球(PBMC)からmRNAを抽出し、逆転写酵素及びオリゴdTプライマーを用いてcDNAを合成する。合成したcDNAを鋳型に、PCR法によりネコPD-L1遺伝子を増幅する。増幅されたPCR産物(ネコPD-L1をコードするDNA)を適当な発現ベクターに組み込んだ後、適当な宿主に導入し、組換え蛋白質として生産させることにより、ネコPD-L1を製造することができる(例えば、西郷薫、佐野弓子共訳、CURRENT PROTOCOLSコンパクト版、分子生物学実験プロトコール、I、II、III、丸善株式会社:原著、Ausubel,F.M.等, Short Protocols in Molecular Biology, Third Edition, John Wiley & Sons, Inc., New Yorkを参照のこと)。
【実施例】
【0062】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
1. 序論
免疫抑制受容体PD-1とそのリガンドPD-L1は過剰な免疫応答を抑制し、免疫寛容に深く関わる因子として京都大学 本庶 佑 氏らによって同定された。各種動物の感染症や腫瘍疾患における免疫抑制に関与していることも近年明らかとされているが、ネコにおけるPD-1/PD-L1経路に関する知見は乏しい。本実施例では、マウスを免疫することにより抗ネコPD-L1モノクローナル抗体を作製し、ネコのPD-L1を検出可能なクローン(CL1Mab-7)を選別した。また、ネコの乳腺腺癌、扁平上皮癌、線維肉腫、及び腎細胞癌においてマウス抗ネコPD-L1モノクローナル抗体CL1Mab-7がPD-L1の検出に有用であるかを免疫組織化学染色法により検討した。
【0063】
2. 材料と方法
2.1. RNAの調整と逆転写反応によるcDNA合成
ネコ (雑種) の精巣組織及び末梢血単核球 (PBMC) から、TRI reagent (Molecular Research Center社) を用いて全細胞RNAを抽出し、NanoDrop8000 (Thermo Scientific社) により濃度を計測した。実験に供するまでRNA試料は-80°Cに保存した。全細胞RNA 1 μgを用いて、DNase I Reaction buffer、1 U DNaseI (Invitrogen社) を加え、超純水により計10 μlとして、室温で15分から1時間のDNaseI処理を行った。次に25 mM エチレンジアミン四酢酸 (EDTA) を混和し、65°Cで10分間処理した。これに200 pmol oligo-dTプライマー(16 mer、北海道システムサイエンス社)を添加し、65°Cで5分間処理した後、逆転写反応液 {Reverse Transcriptase M-MLV Buffer (Takara社) 、10 mM dNTPs、10 U RNase inhibitor (Promega社) 、50 U RT-M-MLV (Takara社) } を加え、最終容量20 μlとして、42°C 60分間及び70°C 10分間で逆転写反応を行い、一本鎖cDNAを合成した。
【0064】
2.2. PD-L1遺伝子の同定
ネコPD-L1 cDNA全長を決定するために、まずThe National Center for Biotechnology Information (NCBI) に既に登録されている部分的なネコPD-L1の塩基配列 (GenBank accession number: EU246348) を基にプライマー(fePD-L1_5´GSP1: 5´-CTA GAA TCA TGA AGT GA-3´(配列番号20)及びfePD-L1_3´GSP1: 5´-GCT GCT TGA TTG GCT ATG GC-3´(配列番号21))を設計した。ネコ精巣組織由来RNAを材料として5´ RACE System for Rapid Amplification of cDNA Ends 及び3´ RACE System for Rapid Amplification of cDNA Ends (Invitrogen社) を用いた5´及び3´RACEを行い、ネコPD-L1 cDNAの塩基配列を決定した。
【0065】
2.3. PD-1-Ig及びPD-L1-Igの作製
(a) PD-1-Ig及びPD-L1-Ig発現プラスミドの作製
ネコPD-1又はPD-L1の細胞外領域とウサギIgGのFc領域から構成された組換え可溶性融合タンパク質、すなわちPD-1-Ig及びPD-L1-Igの発現プラスミドを作製するために、まずネコPD-1 (GenBank accession number: EU295528.2) 及びPD-L1の予想アミノ酸配列におけるシグナルペプチド (SignalP, http://www.cbs.dtu.dk/services/SignalP/) 及び膜貫通領域 (TMHMM, http://www.cbs.dtu.dk/services/TMHMM-2.0/) を解析ツールを用いて予測した。コンカナバリンA (ConA; Sigma社) 5 μg/mlを添加して10時間培養し、材料と方法2.1に記載の方法にしたがって合成したネコPBMC由来cDNA を鋳型として、open reading frame (ORF) 全長を増幅するプライマー(fePD-1_ORF_F: 5´-ATG GGG ACC CCA CGG GC-3´(配列番号22)及びfePD-1_ORF_R: 5´-CAT GTG TGG AGG TGC AGA GCA G-3´(配列番号23)又はfePD-L1_ORF_F : 5´-CTC CCC GCC GGC AGA AAA-3´(配列番号24)及びfePD-L1_ORF_R: 5´-CTG GTC ATG CTT ACC CCT GAC G-3´(配列番号25)) を用いてPCRを行い、pGEM-T Easy vector (Promega社) にクローニングを行った。目的遺伝子配列を含むプラスミドをFastGene Plasmid Miniキット (日本ジェネティクス社) を用いて抽出したのち、該プラスミドを鋳型として、予想細胞外領域を増幅するように5´末端側に制限酵素NheI (フォワード側) 又はEcoRV (リバース側) 認識部位を付加したプライマー(fePD-1-Ig_F: 5´-CGC GGC TAG CAT GGG GAC CCC ACG GGC GC-3´(配列番号26)及びfePD-L1-Ig_F: 5´-CGC GGC TAG CAT GAG GAT ATT TAG TGT CT-3´(配列番号27)又はfePD-1-Ig_R: 5´CGC GGA TAT CCA GCC CCT GGC CTT GGC CG-3´(配列番号28)及びfePD-L1-Ig_R: 5´-CGC GGA TAT CCC TCT CAT TTG CTG GAA CC-3´(配列番号29))を用いてPCR を行った。得られたPCR 産物をNheI (Takara社) 及びEcoRV (Takara社) により処理した後、FastGene Gel/PCR Extraction Kit (日本ジェネティクス社) を用いて精製し、同様の制限酵素処理を行ったpCXN2.1-Rabbit IgG Fc vector (Niwa et al., Gene. 1991;108(2):193-199; Zettlmeissl et al., DNA Cell Biol. 1990;9(5):347-353.; 順天堂大学 横溝 岳彦 先生より分与; マルチクローニングサイト下流にRabbit IgG Fc領域をコードする遺伝子配列を含むよう当研究室で改変) を用いて、クローニングを行った。発現プラスミドはFastGene Xpress Plasmid PLUS Kit (日本ジェネティクス社) によって精製し、実験に供するまで -30°Cにて保存した。以降、作製した発現プラスミドをpCXN2.1-PD-1-Ig及びpCXN2.1-PD-L1-Igと表記した。
(b) Expi293F細胞によるPD-Ig及びPD-L1-Igの発現と精製
7.5 × 107 個のExpi293F細胞(Life Technologies社)を25.5 mLのExpi293 Expression Medium(Life Technologies社)で懸濁し、125 cm3フラスコ (Corning社) で培養した。30 μgのpCXN2.1-PD-1-Ig又はpCXN2.1-PD-L1-Igを、ExpiFectamine 293 Transfection Kit (Life Technologies社) を用いて細胞に遺伝子導入し、目的のタンパク質を発現させた。得られた培養上清から、Ab-Capcher ExTra (ProteNova社) を用いて、PD-1-Ig及びPD-L1-Igを精製した。精製後、PD midiTrap G-25 (GE Healthcare社) により溶媒をリン酸緩衝生理食塩水 (Phosphate buffered saline, PBS) (pH 7.2; 富士フイルム和光純薬社) に置換し、実験に供するまで4°C又は30°Cにて保存した。タンパク質の濃度はPierce BCA Protein Assay Kit (Thermo Fisher Scientific社) により定量した。
【0066】
2.4. ネコPD-L1発現CHO-DG44細胞の作製
ネコPD-L1全長とenhanced green fluorescent protein (EGFP) を融合した組換えタンパク質の発現プラスミドを作製するため、作製したネコPD-L1 ORF全長配列を含むpGEM-T easyベクターを鋳型に、5´末端側に制限酵素BglII (フォワード側) 又はEcoRI (リバース側) 認識部位を付加したプライマー (fePD-L1-EGFP_F: 5´-GAA GAT CTA TGA GGA TAT TTA GTG TCT T-3´(配列番号30)又はfePD-L1-EGFP_R: 5´-CGG AAT TCC GTC TCC TCA AAT TGT AGA T-3´(配列番号31)) を用いてPCR を行った。得られたPCR 産物をBglII (Takara社) 及びEcoRI (Takara社) により処理した後、FastGene Gel/PCR Extraction Kit (日本ジェネティクス社) を用いて精製し、同様の制限酵素処理を行ったpEGFP-N2 vector (Clontech社) へクローニングを行った。得られた目的の発現プラスミドはFastGene Xpress Plasmid PLUS Kit (日本ジェネティクス社) によって精製し、実験に供するまで-30°Cにて保存した。 続いて4 × 106 個のCHO-DG44 細胞(Life Technologies社)に2.5 μg の発現プラスミドをLipofectamine LTX (Invitrogen社) を用いて導入した。48 時間後、G418 (Enzo Life Science社) 800 μg/ml、GlutaMAX supplement (Life technologies 社) 20 ml/l、10% Pluronic F-68 (Life technologies 社) 18 ml/l を含むCD-DG44 培地 (Life technologies 社) へ培地交換し、限界希釈法を用いて平底96穴プレート (Corning社) へ細胞を播種し安定発現クローンを多数取得した。FACS Verse (Becton, Dickinson and Company社) を用いてフローサイトメトリー解析を行い、PD-L1-EGFPの発現が高いクローンを選出して以後の実験に用いた。
【0067】
2.5. マウス抗ネコPD-L1 抗体の樹立
(a) マウス抗ネコPD-L1モノクローナル抗体 (CL1Mab-7) の作製
作製したネコPD-L1-Ig 100 μgをImject Alum (Thermo Fisher Scientific社) とともに4週齢の雌BALB/cマウス (日本クレア社) に腹腔内投与した。2回の追加免疫後、脾臓を採取し、PEG1500 (Roche Diagnostics社) を用いてマウスミエローマ細胞 (P3U1細胞、ATCC社) と融合させることでハイブリドーマプールを樹立した。得られたハイブリドーマプールから、限界希釈法によりクローニングを行い、その培養上清からProtein G Sepharose 4 Fast Flow (GE Healthcare社) を用いてモノクローナル抗体 (CL1Mab-7) を精製した。得られたモノクローナル抗体のアイソタイプはアイソタイプ特異的二次抗体 (SouthernBiotech社) を用いて決定した。
(b) マウス抗ネコPD-L1 抗体 (CL1Mab-7) のPD-L1に対する結合能の検討
CL1Mab-7のPD-L1に対する結合能をフローサイトメトリー法により検討した。2 × 105 個のPD-L1-EGFP発現CHO-DG44細胞及びpEGFP-N2 vector(Clontech社)を使用して同様に樹立したEGFP発現CHO-DG44細胞に対し、10% ヤギ血清 (Gibco社) 加PBS (富士フイルム和光純薬社) を200 μl加え、室温で15分間ブロッキングを行った。洗浄後、1 μg/mL のCL1Mab-7を50 μlずつプレートに加えて室温で30分間反応させた。洗浄後、二次抗体としてAlexa Fluor 647標識抗マウスIgG (H+L) ヤギF(ab')2 (Thermo Fisher Scientific社) を室温で30分間反応させた。解析にはFACS Verse (Becton, Dickinson and Company社) を用いた。なお、すべての洗浄操作及び抗体の希釈には、1% ウシ血清アルブミン (Bovine Serum Albmin ; BSA, Sigma社) 加PBS (富士フイルム和光純薬社) を使用した。
【0068】
2.6. フローサイトメトリーによるネコPD-L1発現解析
無刺激条件下又はネコIFN-γ刺激条件下 (Kingfisher Biotech社、終濃度 100 ng/mL) で24時間培養したネコマクロファージ由来細胞株Fcwf-4 [Fcwf] (ATCC CRL-2787) 及び乳腺腺癌由来細胞株 (FKNp、FMCp、FMCm、FYMp、FONp、及びFONm; Uyama et al., J Vet Med Sci. 2005;67(12):1273-1276.; 東京大学 中川 貴之 先生より分与) を2 × 105 個分取し、10% ヤギ血清 (Gibco社) 加PBS (富士フイルム和光純薬社) を200 μl加え、25°Cで20分間ブロッキングを行った。洗浄後、10 μg/mL のCL1Mab-7を50 μlずつプレートに加えて25°Cで30分間反応させた。洗浄後、二次抗体としてAlexa Fluor 647標識抗マウスIgG (H+L) ヤギF(ab')2 (Thermo Fisher Scientific社) を25°Cで30分間反応させた。解析にはFACS Lyric (Becton, Dickinson and Company社) を用いた。なお、すべての洗浄操作及び抗体の希釈には、1% BSA (Sigma社) 加PBSを使用した。
【0069】
2.7. 免疫組織化学染色によるネコ腫瘍組織におけるPD-L1発現解析
ネコ乳腺腺癌 (n = 5)、扁平上皮癌 (n = 5)、線維肉腫 (n = 5) 、及び腎細胞癌 (n = 2) の10% 中性緩衝ホルマリン固定パラフィン包埋切片を4 μmに薄切し、pH 9.0 Tris-EDTA (Agilent Technologies社) 中で700 W 、5分のマイクロウェーブ処理を2回行い、抗原賦活化を行った。3% 過酸化水素加メタノールにて内因性ペルオキシダーゼをブロックしたのち、1次抗体として終濃度10 μg/mlのCL1Mab-7を室温で30分間反応させた。陰性対照抗体にはマウス IgG1アイソタイプ抗体 (クローン名 : MG1-45, BioLegend社) を使用した。2次抗体には、ヒストファインMAX-PO (Multi) (ニチレイ社) を用いた。発色はジアミノベンチジン (3,3'-Diaminobenzidine Tetrahydrochloride; DAB, ニチレイ社) を用いて行い、ヘマトキシリンにて対比染色を実施した。光学顕微鏡における観察で、腫瘍細胞に染色像が認められた場合を陽性と判定した。
【0070】
3. 結果
3.1. ネコPD-L1遺伝子の同定
これまでにネコPD-1遺伝子については同定されていたが、ネコPD-L1遺伝子については部分的な配列しか報告されていなかった (Folkl et al., Vet Immunol Immunopathol. 2010;134(1-2):107-114.)。そこで、ネコPD-L1遺伝子全長の同定を行った。ネコ精巣組織由来cDNAを鋳型に、PCR法によりネコPD-L1遺伝子の増幅を行い、その塩基配列を同定した。ネコPD-L1遺伝子 ORFの全長は876 bpであった(配列番号18)。
【0071】
現在までにGenBankに登録されているイヌ、ウシ、ヒト、マウス及びラットのPD-L1遺伝子と比較した結果、ネコPD-L1は予想アミノ酸配列においてイヌと83%、ウシと77%、ヒトと73%、マウスと67%及びラットと67%の相同性を示した (
図1a) 。各動物種PD-L1の予想アミノ酸配列を使用して系統樹解析を行ったところ、ネコPD-L1はイヌPD-L1と最も近縁であり、マウス及びラットPD-L1とは比較的疎遠であった (
図1b) 。
【0072】
3.2. PD-1-Ig及びPD-L1-Igの作製
PD-1-Ig及びPD-L1-Igを作製するために、ネコのPD-1及びPD-L1遺伝子の予想アミノ酸配列におけるシグナルペプチド、細胞外領域、膜貫通領域及び細胞内領域を予測した (表1) 。PD-1及びPD-L1のシグナルペプチドと細胞外領域をコードする遺伝子配列をpCXN2.1-Rabbit IgG Fc vectorに組込み、PD-1-Ig 発現プラスミド (pCXN2.1-PD-1-Ig) 及びPD-L1-Ig発現プラスミド (pCXN2.1-PD-L1-Ig) を作製した。作製した各プラスミドをExpi293F細胞に導入して培養上清を得た。精製後の各組換えタンパク質をSDS-PAGEにより解析した (
図2) 。還元条件におけるPD-1-Ig及びPD-L1-Igの分子量は、分子量マーカーとの比較によりそれぞれおよそ55 kDa、60 kDaであった。この値は予想アミノ酸配列により計算される予想分子量 (42 kDa、50 kDa) に比べて高い値であった。これは哺乳動物細胞を用いて発現させた際に糖鎖付加など翻訳後修飾の影響を受けたためであると考えられた。また非還元条件ではどちらも約2倍の分子量 (およそ150 kDa) であったため、PD-1-Ig及びPD-L1-Igは付加したウサギIgG Fc領域においてジスルフィド結合を形成し、二量体として存在していると考えられた。
【0073】
【0074】
3.3. マウス抗ネコPD-L1抗体 CL1Mab-7の樹立
作製したネコPD-L1-Igをマウスに免疫し、脾臓リンパ球からハイブリドーマを作製することでマウス抗ネコPD-L1モノクローナル抗体を複数クローン得た (クローン名CL1Mab-6、CL1Mab-7、CL1Mab-8、CL1Mab-9、及びCL1Mab-10)。これらのクローンはマウスIgG1サブクラスで軽鎖はκであった。ネコ腎細胞癌を用いて免疫組織化学染色法における各クローンの反応性を予備的に検討したところ、CL1Mab-7が最も良好な染色性を示したため、以後の実験ではCL1Mab-7を用いた。次にCL1Mab-7のネコPD-L1に対する結合をフローサイトメトリー法により検討した。CL1Mab-7はPD-L1-EGFP発現CHO-DG44細胞に結合した一方で、陰性対照細胞であるEGFP発現CHO-DG44細胞へは結合せず、ネコPD-L1に特異的に結合することが明らかとなった (
図3) 。
【0075】
3.4. ネコマクロファージ由来細胞株におけるPD-L1発現解析
ネコマクロファージ由来細胞株Fcwf-4におけるPD-L1発現をCL1Mab-7を用いたフローサイトメトリー法により検討した。CL1Mab-7は無刺激条件下で培養したFcwf-4に結合し、さらにその結合量はIFN-γ刺激条件下で培養した細胞でより高かった(
図4)。このことから、Fcwf-4ではPD-L1が発現しており、その発現はIFN-γ刺激により亢進することが明らかとなった。
【0076】
3.5. ネコ乳腺腺癌由来細胞株におけるPD-L1発現解析
同様に、ネコ乳腺腺癌由来細胞株FKNp、FMCp、FMCm、FYMp、FONp、及びFONmにおけるPD-L1発現をCL1Mab-7を用いたフローサイトメトリー法により検討した。FKNp、FMCm、FYMp、FONp、及びFONmにおいて、CL1Mab-7は無刺激条件下で培養した細胞に結合し、さらにその結合量はIFN-γ刺激条件下で培養した細胞でより高かった。FMCpでは、両条件下においてCL1Mab-7の結合は認められなかった(
図5)。このことから、FMCpを除くネコ乳腺腺癌由来細胞株ではPD-L1が発現しており、その発現はIFN-γ刺激により亢進することが明らかとなった。
【0077】
3.6. 免疫組織化学染色によるネコ腫瘍組織におけるPD-L1発現解析
乳腺腺癌 (n = 5)、扁平上皮癌 (n = 5)、線維肉腫 (n = 5)、及び腎細胞癌 (n = 2) の4種のネコ悪性腫瘍について、樹立したマウス抗ネコPD-L1モノクローナル抗体CL1Mab-7を使用して免疫組織化学染色法によりPD-L1の発現を解析した。切片上で腫瘍細胞に染色像が認められた場合を陽性とし、各腫瘍種における陽性率を算出した。その結果、PD-L1発現の陽性検体率 (陽性率) は、乳腺腺癌おいて80% (5検体中4検体) 、扁平上皮癌おいて100% (5検体中5検体) 、線維肉腫おいて100% (5検体中5検体) 、腎細胞癌において100% (2検体中2検体) であった (表2、
図6) 。
【0078】
4. 結論
以上より、マウス抗ネコPD-L1モノクローナル抗体 CL1Mab-7はネコPD-L1に特異的に結合し、フローサイトメトリー法及び免疫組織化学染色法によるネコPD-L1の検出に有用であることが明らかとなった。
【0079】
【0080】
〔実施例2〕
1. 序論
モノクローナル抗体はハイブリドーマを培養し、その培養上清から抗体を精製することにより産生できる。また、その抗体の軽鎖及び重鎖遺伝子配列が同定された場合は、その遺伝子配列を発現させるベクターを培養細胞にトランスフェクションすることによって抗体の発現細胞を作製し、ハイブリドーマの代替とすることができる。本実施例では、発現ベクターと哺乳類細胞を用いたタンパク質の発現系により組換えマウス抗ネコPD-L1抗体rCL1Mab-7を産生した。
【0081】
2. 材料及び方法
2.1 マウス抗ネコPD-L1抗体CL1Mab-7の軽鎖及び重鎖可変領域遺伝子配列の同定
マウス抗ネコPD-L1抗体CL1Mab-7を産生するハイブリドーマより抗体軽鎖及び重鎖可変領域遺伝子を5′RACE法により同定した。NCBI IGBLAST (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/igblast/) を用いて、マウス抗ネコPD-L1抗体CL1Mab-7の相補性決定領域 (CDR) を決定した(
図7a, b)。抗体軽鎖及び重鎖可変領域遺伝子の塩基配列をそれぞれ配列番号12及び13に示す。また、抗体軽鎖及び重鎖可変領域遺伝子のアミノ酸配列をそれぞれ配列番号6及び7に示す。
(1) CL1Mab-7のL鎖CDR1, 2, 3のアミノ酸配列
<CDR1> ESVDSYGNSF(配列番号1)
<CDR2> RAS
<CDR3> QQSNEDPRT(配列番号2)
(2) CL1Mab-7のH鎖CDR1, 2, 3のアミノ酸配列
<CDR1> GFTFSSYG(配列番号3)
<CDR2> ISNGGTYT(配列番号4)
<CDR3> ARLGYGSLNWYFDV(配列番号5)
【0082】
2.2 マウス抗ネコPD-L1抗体CL1Mab-7発現ベクターの作製
同定したマウス抗ネコPD-L1抗体CL1Mab-7の軽鎖及び重鎖可変領域の遺伝子配列をもとに、NheI制限酵素認識配列を付加したフォワードプライマー CL1Mab-7_LC_FW (5′-CGC GGC TAG CAT GGA GAC AGA CAC ACT CCT-3′(配列番号32)) 及びCL1Mab-7_HC_FW (5′-CGC GGC TAG CAT GAA CTT CGG GCT CAG CTT-3′(配列番号33)) と、EcoRV又はKpnI制限酵素認識配列を付加したリバースプライマーCL1Mab-7_LC_RV (5′- CGC GGA TAT CCT AAC ACT CAT TCC TGT TGA -3′(配列番号34)) 及びCL1Mab-7_HC_RV (5′- CGG GGT ACC TCA TTT ACC AGG AGA GTG GG -3′(配列番号35)) を設計した。マウス抗ネコPD-L1抗体CL1Mab-7を産生するハイブリドーマより作製したcDNAを用いてPCR法によりマウス抗ネコPD-L1抗体CL1Mab-7の軽鎖及び重鎖遺伝子を増幅し、発現ベクターpCXN2.1 (+) (Niwa et al., Gene. 1991;108(2):193-199.; 順天堂大学 横溝 岳彦 先生より分与) のマルチクローニングサイトへ制限酵素認識配列を利用して組込むことでマウス抗ネコPD-L1抗体CL1Mab-7軽鎖及びマウス抗ネコPD-L1抗体CL1Mab-7重鎖の発現ベクターを作製した。発現プラスミドはFastGene Xpress Plasmid PLUS Kit (日本ジェネティクス社) によって精製し、実験に供するまで-30℃にて保存した。
【0083】
2.3組換えマウス抗ネコPD-L1抗体rCL1Mab-7の発現と精製
2.2で作製したマウス抗ネコPD-L1抗体CL1Mab-7軽鎖発現pCXN2.1 (+) ベクターと重鎖発現pCXN2.1 (+) ベクターをExpiFectamine 293 Transfection Kit (Life Technologies社) を用いてExpi293F細胞 (Life Technologies社) に遺伝子導入し、目的のタンパク質を発現させた。得られた培養上清から、Ab-Capcher ExTra (ProteNova社) を用いて組換えマウス抗ネコPD-L1抗体rCL1Mab-7を精製した。PD midiTrap G-25 (GE Healthcare社) により緩衝液をPBS (pH 7.2, 富士フイルム和光純薬社) に置換したのち、Amicon Ultra-0.5 Centrifugal Filter Unit (Merck Millipore社) を用いて濃縮を行った。NanoDrop8000 分光光度計 (Thermo Fisher Scientific社) を用いて280 nmにおける吸光度を測定し、精製タンパク質の濃度測定を行った。
【0084】
2.4 ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動 (SDS-PAGE)
実施例1の材料と方法2.5に記載の方法に従って精製したハイブリドーマ培養上清由来のマウス抗ネコPD-L1抗体CL1Mab-7と、2.3で作製した組換えマウス抗ネコPD-L1抗体rCL1Mab-7について各5 μgを分取し、2-メルカプトエタノールを添加した2 × Laemmli Sample Buffer (BIO-RAD社) を等量加えて96°Cで5分間処理した (還元条件) 。また、2-メルカプトエタノールを含まない試料溶液も調製した (非還元条件) 。その後、ポリアクリルアミドゲル (SuperSep Ace, 5-20%, 13well ; 富士フイルム和光純薬社) を用いた電気泳動により試料タンパク質を分離した。分子量マーカーとして、Precision Plus Protein Dual Color Standards (Bio-Rad社) を用いた。電気泳動後のゲルはQuick-CBB kit (富士フイルム和光純薬社) で染色後、加熱した蒸留水中で振盪を行って脱色した。
【0085】
2.5 組換えマウス抗ネコPD-L1抗体rCL1Mab-7のPD-L1に対する結合能の検討
ハイブリドーマ由来マウス抗ネコPD-L1抗体CL1Mab-7及び組換えマウス抗ネコPD-L1抗体rCL1Mab-7のPD-L1に対する結合能をフローサイトメトリー法により検討した。実施例1の材料と方法2.4に記載の方法に従って作製した2 × 105 個のPD-L1-EGFP発現CHO-DG44細胞を10% ヤギ血清 (Gibco社) 加PBS で懸濁し、室温で15分間ブロッキングを行った。洗浄後、10 μg/mlに希釈したハイブリドーマ由来マウス抗ネコPD-L1抗体CL1Mab-7及び組換えマウス抗ネコPD-L1抗体rCL1Mab-7を室温で30分間反応させた。陰性対照にはマウスIgG1 κ アイソタイプコントロール (SouthernBiotech社) を使用した。洗浄後、2次抗体としてAlexa Fluor 647標識抗マウスIgG (H+L) ヤギF(ab')2 (Thermo Fisher Scientific社) を室温で30分間反応させた。解析にはFACS Lyric (Becton, Dickinson and Company社) を用いた。なお、すべての洗浄操作及び抗体の希釈には、1% ウシ血清アルブミン (Sigma社) 加PBSを使用した。
【0086】
3. 結果
3.1 組換えマウス抗ネコPD-L1抗体rCL1Mab-7の作製
マウス抗ネコPD-L1抗体CL1Mab-7を産生するハイブリドーマより抗体軽鎖及び重鎖遺伝子配列を同定し、それぞれの発現ベクターを作製した。哺乳類細胞による一過性発現系を用いて組換えマウス抗ネコPD-L1抗体rCL1Mab-7を発現し、発現細胞の培養上清からプロテインA誘導体を用いたアフィニティークロマトグラフィーにより精製抗体を取得した。ハイブリドーマ由来マウス抗ネコPD-L1抗体CL1Mab-7及び組換えマウス抗ネコPD-L1抗体rCL1Mab-7をSDS-PAGEにより解析したところ、どちらの抗体も非還元条件では150-250 kDaの位置にヘテロ4量体と考えられるバンドが認められ、還元条件ではおよそ 50 kDaの位置に重鎖、25 kDaの位置に軽鎖と考えられるバンドが認められた (
図8)。マウス抗ネコPD-L1抗体CL1Mab-7の軽鎖全長の塩基配列とアミノ酸配列をそれぞれ配列番号16及び10に示す。マウス抗ネコPD-L1抗体CL1Mab-7の重鎖全長の塩基配列とアミノ酸配列をそれぞれ配列番号17及び11に示す。
【0087】
3.2 ネコPD-L1発現CHO-DG44細胞に対する組換えマウス抗ネコPD-L1抗体rCL1Mab-7の結合
組換えマウス抗ネコPD-L1抗体rCL1Mab-7のネコPD-L1に対する結合能を検討する目的で、ネコPD-L1発現CHO-DG44細胞を用いたフローサイトメトリー解析を行った。ハイブリドーマ由来マウス抗ネコPD-L1抗体CL1Mab-7及び組換えマウス抗ネコPD-L1抗体rCL1Mab-7は、どちらもネコPD-L1発現CHO-DG44細胞に結合した(
図9)。
【0088】
4. 結論
以上より、組換えマウス抗ネコPD-L1抗体rCL1Mab-7はハイブリドーマ由来マウス抗ネコPD-L1抗体CL1Mab-7と同等の分子構造、精製度及びネコPD-L1に対する結合能を持つことが示唆され、組換えマウス抗ネコPD-L1抗体rCL1Mab-7はハイブリドーマ由来マウス抗ネコPD-L1抗体CL1Mab-7の代替として利用可能であることが明らかとなった。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の抗PD-L1抗体は、がん及び/又は感染症の診断に利用できる。また、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体を用いた治療に適した被験動物の選定に利用できる。
【配列表フリーテキスト】
【0090】
(1) CL1Mab-7のL鎖CDR1, 2, 3のアミノ酸配列
<CDR1> ESVDSYGNSF(配列番号1)
<CDR2> RAS
<CDR3> QQSNEDPRT(配列番号2)
(2) CL1Mab-7のH鎖CDR1, 2, 3のアミノ酸配列
<CDR1> GFTFSSYG(配列番号3)
<CDR2> ISNGGTYT(配列番号4)
<CDR3> ARLGYGSLNWYFDV(配列番号5)
(3) CL1Mab-7のL鎖可変領域のアミノ酸配列と塩基配列
<アミノ酸配列>
METDTLLLWVLLLWVPGSTGDIVLTQSPASLAVSLGQRATISCRASESVDSYGNSFMNWYQQKPGQPPKLLIYRASNLESGIPARFSGSGSRTDFTLTINPVEADDVATYYCQQSNEDPRTFGGGTKLEIK(配列番号6)
<塩基配列>
ATGGAGACAGACACACTCCTGCTATGGGTGCTGCTGCTCTGGGTTCCAGGTTCCACAGGTGACATTGTGCTGACCCAATCTCCAGCTTCTTTGGCTGTGTCTCTAGGGCAGAGGGCCACCATATCCTGCAGAGCCAGTGAAAGTGTTGATAGTTATGGCAATAGTTTTATGAATTGGTACCAGCAGAAACCAGGACAGCCACCCAAACTCCTCATCTATCGTGCATCCAACCTAGAATCTGGGATCCCTGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTAGGACAGACTTCACCCTCACCATTAATCCTGTGGAGGCTGATGATGTTGCAACCTATTACTGTCAGCAAAGTAATGAGGATCCTCGGACGTTCGGTGGAGGCACCAAGCTGGAAATCAAA(配列番号12)
(4) CL1Mab-7のH鎖可変領域のアミノ酸配列と塩基配列
<アミノ酸配列>
MNFGLSLIFLVLILKGVQCEVKLVESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSSYGMSWVRQTPEKRLEWVASISNGGTYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNNLYLQMSSLRSEDTALYYCARLGYGSLNWYFDVWGAGTTVTVSS(配列番号7)
<塩基配列>
ATGAACTTCGGGCTCAGCTTGATTTTCCTTGTCCTAATTTTAAAAGGTGTCCAGTGTGAAGTGAAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTAGTGAAGCCTGGAGGGTCCCTGAAACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACTTTCAGTAGCTATGGCATGTCTTGGGTTCGCCAGACTCCGGAGAAGAGGCTGGAATGGGTCGCAAGCATCAGTAATGGTGGTACTTACACCTACTATCCAGACAGTGTGAAGGGGCGATTCACCATCTCCAGAGACAATGCCAAGAACAACCTGTACCTGCAAATGAGCAGTCTGAGGTCTGAGGACACGGCCTTGTATTACTGTGCAAGACTAGGATACGGTAGCCTTAACTGGTACTTCGATGTCTGGGGCGCAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号13)
(5) CL1Mab-7のL鎖定常領域のアミノ酸配列と塩基配列
<アミノ酸配列>
RADAAPTVSIFPPSSEQLTSGGASVVCFLNNFYPKDINVKWKIDGSERQNGVLNSWTDQDSKDSTYSMSSTLTLTKDEYERHNSYTCEATHKTSTSPIVKSFNRNEC(配列番号8)
<塩基配列>
CGGGCTGATGCTGCACCAACTGTATCCATCTTCCCACCATCCAGTGAGCAGTTAACATCTGGAGGTGCCTCAGTCGTGTGCTTCTTGAACAACTTCTACCCCAAAGACATCAATGTCAAGTGGAAGATTGATGGCAGTGAACGACAAAATGGCGTCCTGAACAGTTGGACTGATCAGGACAGCAAAGACAGCACCTACAGCATGAGCAGCACCCTCACGTTGACCAAGGACGAGTATGAACGACATAACAGCTATACCTGTGAGGCCACTCACAAGACATCAACTTCACCCATTGTCAAGAGCTTCAACAGGAATGAGTGTTAG(配列番号14)
(6) CL1Mab-7のH鎖定常領域のアミノ酸配列と塩基配列
<アミノ酸配列>
AKTTPPSVYPLAPGSAAQTNSMVTLGCLVKGYFPEPVTVTWNSGSLSSGVHTFPAVLQSDLYTLSSSVTVPSSTWPSETVTCNVAHPASSTKVDKKIVPRDCGCKPCICTVPEVSSVFIFPPKPKDVLTITLTPKVTCVVVDISKDDPEVQFSWFVDDVEVHTAQTQPREEQFNSTFRSVSELPIMHQDWLNGKEFKCRVNSAAFPAPIEKTISKTKGRPKAPQVYTIPPPKEQMAKDKVSLTCMITDFFPEDITVEWQWNGQPAENYKNTQPIMDTDGSYFVYSKLNVQKSNWEAGNTFTCSVLHEGLHNHHTEKSLSHSPGK(配列番号9)
<塩基配列>
GCCAAAACGACACCCCCATCTGTCTATCCACTGGCCCCTGGATCTGCTGCCCAAACTAACTCCATGGTGACCCTGGGATGCCTGGTCAAGGGCTATTTCCCTGAGCCAGTGACAGTGACCTGGAACTCTGGATCCCTGTCCAGCGGTGTGCACACCTTCCCAGCTGTCCTGCAGTCTGACCTCTACACTCTGAGCAGCTCAGTGACTGTCCCCTCCAGCACCTGGCCCAGCGAGACCGTCACCTGCAACGTTGCCCACCCGGCCAGCAGCACCAAGGTGGACAAGAAAATTGTGCCCAGGGATTGTGGTTGTAAGCCTTGCATATGTACAGTCCCAGAAGTATCATCTGTCTTCATCTTCCCCCCAAAGCCCAAGGATGTGCTCACCATTACTCTGACTCCTAAGGTCACGTGTGTTGTGGTAGACATCAGCAAGGATGATCCCGAGGTCCAGTTCAGCTGGTTTGTAGATGATGTGGAGGTGCACACAGCTCAGACGCAACCCCGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACTTTCCGCTCAGTCAGTGAACTTCCCATCATGCACCAGGACTGGCTCAATGGCAAGGAGTTCAAATGCAGGGTCAACAGTGCAGCTTTCCCTGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAACCAAAGGCAGACCGAAGGCTCCACAGGTGTACACCATTCCACCTCCCAAGGAGCAGATGGCCAAGGATAAAGTCAGTCTGACCTGCATGATAACAGACTTCTTCCCTGAAGACATTACTGTGGAGTGGCAGTGGAATGGGCAGCCAGCGGAGAACTACAAGAACACTCAGCCCATCATGGACACAGATGGCTCTTACTTCGTCTACAGCAAGCTCAATGTGCAGAAGAGCAACTGGGAGGCAGGAAATACTTTCACCTGCTCTGTGTTACATGAGGGCCTGCACAACCACCATACTGAGAAGAGCCTCTCCCACTCTCCTGGTAAATGA(配列番号15)
(7) CL1Mab-7軽鎖全長の塩基配列とアミノ酸配列
<塩基配列>
ATGGAGACAGACACACTCCTGCTATGGGTGCTGCTGCTCTGGGTTCCAGGTTCCACAGGTGACATTGTGCTGACCCAATCTCCAGCTTCTTTGGCTGTGTCTCTAGGGCAGAGGGCCACCATATCCTGCAGAGCCAGTGAAAGTGTTGATAGTTATGGCAATAGTTTTATGAATTGGTACCAGCAGAAACCAGGACAGCCACCCAAACTCCTCATCTATCGTGCATCCAACCTAGAATCTGGGATCCCTGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTAGGACAGACTTCACCCTCACCATTAATCCTGTGGAGGCTGATGATGTTGCAACCTATTACTGTCAGCAAAGTAATGAGGATCCTCGGACGTTCGGTGGAGGCACCAAGCTGGAAATCAAACGGGCTGATGCTGCACCAACTGTATCCATCTTCCCACCATCCAGTGAGCAGTTAACATCTGGAGGTGCCTCAGTCGTGTGCTTCTTGAACAACTTCTACCCCAAAGACATCAATGTCAAGTGGAAGATTGATGGCAGTGAACGACAAAATGGCGTCCTGAACAGTTGGACTGATCAGGACAGCAAAGACAGCACCTACAGCATGAGCAGCACCCTCACGTTGACCAAGGACGAGTATGAACGACATAACAGCTATACCTGTGAGGCCACTCACAAGACATCAACTTCACCCATTGTCAAGAGCTTCAACAGGAATGAGTGTTAG(配列番号16)
<アミノ酸配列>
METDTLLLWVLLLWVPGSTGDIVLTQSPASLAVSLGQRATISCRASESVDSYGNSFMNWYQQKPGQPPKLLIYRASNLESGIPARFSGSGSRTDFTLTINPVEADDVATYYCQQSNEDPRTFGGGTKLEIKRADAAPTVSIFPPSSEQLTSGGASVVCFLNNFYPKDINVKWKIDGSERQNGVLNSWTDQDSKDSTYSMSSTLTLTKDEYERHNSYTCEATHKTSTSPIVKSFNRNEC(配列番号10)
(8) CL1Mab-7重鎖全長の塩基配列とアミノ酸配列
<塩基配列>
ATGAACTTCGGGCTCAGCTTGATTTTCCTTGTCCTAATTTTAAAAGGTGTCCAGTGTGAAGTGAAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTAGTGAAGCCTGGAGGGTCCCTGAAACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACTTTCAGTAGCTATGGCATGTCTTGGGTTCGCCAGACTCCGGAGAAGAGGCTGGAATGGGTCGCAAGCATCAGTAATGGTGGTACTTACACCTACTATCCAGACAGTGTGAAGGGGCGATTCACCATCTCCAGAGACAATGCCAAGAACAACCTGTACCTGCAAATGAGCAGTCTGAGGTCTGAGGACACGGCCTTGTATTACTGTGCAAGACTAGGATACGGTAGCCTTAACTGGTACTTCGATGTCTGGGGCGCAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCCAAAACGACACCCCCATCTGTCTATCCACTGGCCCCTGGATCTGCTGCCCAAACTAACTCCATGGTGACCCTGGGATGCCTGGTCAAGGGCTATTTCCCTGAGCCAGTGACAGTGACCTGGAACTCTGGATCCCTGTCCAGCGGTGTGCACACCTTCCCAGCTGTCCTGCAGTCTGACCTCTACACTCTGAGCAGCTCAGTGACTGTCCCCTCCAGCACCTGGCCCAGCGAGACCGTCACCTGCAACGTTGCCCACCCGGCCAGCAGCACCAAGGTGGACAAGAAAATTGTGCCCAGGGATTGTGGTTGTAAGCCTTGCATATGTACAGTCCCAGAAGTATCATCTGTCTTCATCTTCCCCCCAAAGCCCAAGGATGTGCTCACCATTACTCTGACTCCTAAGGTCACGTGTGTTGTGGTAGACATCAGCAAGGATGATCCCGAGGTCCAGTTCAGCTGGTTTGTAGATGATGTGGAGGTGCACACAGCTCAGACGCAACCCCGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACTTTCCGCTCAGTCAGTGAACTTCCCATCATGCACCAGGACTGGCTCAATGGCAAGGAGTTCAAATGCAGGGTCAACAGTGCAGCTTTCCCTGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAACCAAAGGCAGACCGAAGGCTCCACAGGTGTACACCATTCCACCTCCCAAGGAGCAGATGGCCAAGGATAAAGTCAGTCTGACCTGCATGATAACAGACTTCTTCCCTGAAGACATTACTGTGGAGTGGCAGTGGAATGGGCAGCCAGCGGAGAACTACAAGAACACTCAGCCCATCATGGACACAGATGGCTCTTACTTCGTCTACAGCAAGCTCAATGTGCAGAAGAGCAACTGGGAGGCAGGAAATACTTTCACCTGCTCTGTGTTACATGAGGGCCTGCACAACCACCATACTGAGAAGAGCCTCTCCCACTCTCCTGGTAAATGA(配列番号17)
<アミノ酸配列>
MNFGLSLIFLVLILKGVQCEVKLVESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSSYGMSWVRQTPEKRLEWVASISNGGTYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNNLYLQMSSLRSEDTALYYCARLGYGSLNWYFDVWGAGTTVTVSSAKTTPPSVYPLAPGSAAQTNSMVTLGCLVKGYFPEPVTVTWNSGSLSSGVHTFPAVLQSDLYTLSSSVTVPSSTWPSETVTCNVAHPASSTKVDKKIVPRDCGCKPCICTVPEVSSVFIFPPKPKDVLTITLTPKVTCVVVDISKDDPEVQFSWFVDDVEVHTAQTQPREEQFNSTFRSVSELPIMHQDWLNGKEFKCRVNSAAFPAPIEKTISKTKGRPKAPQVYTIPPPKEQMAKDKVSLTCMITDFFPEDITVEWQWNGQPAENYKNTQPIMDTDGSYFVYSKLNVQKSNWEAGNTFTCSVLHEGLHNHHTEKSLSHSPGK(配列番号11)
(9) ネコPD-L1の塩基配列とアミノ酸配列
<塩基配列>
ATGAGGATATTTAGTGTCTTTGCATTCATGGCCTACTGTCATTTGCTGAAAGCGTTTACGATCACAGTGTCCAAGGACCTGTATGTGGTAGAGTACGGCAGCAATGTGACAATGGAGTGCAGATTCCCCGTAGAAGAACAATTAGACCTGGTTTCACTGATCGTCTACTGGGAAATGGAGGATAAGAAAATCATTCAGTTTGTGCAAGGGAAGGAAGACCTGAAAGTTCAGCACAGAAGCTACAGTCAGAGGGCCCAGCTGTTGAAGGACCAGCTCTTCCTGGGGAAGGCCGCGCTTCAGATCACAAACGTGACCCTGGAGGATGCCGGGGTTTACTGCTGCTTGATTGGCTATGGCGGTGCTGACTATAAGCGGATTACTTTGAAAGTTCATGCCCCATATCGAAAAATCAACCAAAGAATTTCTGTGGATCCTGTCACCTCTGAACATGAACTAATGTGTCAGGCTGAGGGTTACCCAACCGCTGAAGTCATCTGGACAAACAGTGCCCATCAAGTCCTGAATGGCAAAACCATCATCTCTGTTTCCAATATGGAGACAAAGCTTTTCAATGTGACCAGCACGCTGAGAATCAACACAACGGCTAACGAGATTTTCTACTGCACTTTTCTTCAAAGATCAAGTCCCGAGGGAAACAGTACTGCTGAGTTGGTCATCCCAGAACCATTTCTGGTTCCAGCAAATGAGAGGACTCACTTCATGATTCTAGGAGCCATCCTGTTGTTTCTTGTCGTGGTCCCGGCTGTCACTTTCTGTCTGAAGAAACGAGATGTACGAACGATGGATGTGGAAAAATGTGACACCGCAGATATGAACTCAAAGAAGCAAAATGATCTACAATTTGAGGAGACGTAA(配列番号18)
<アミノ酸配列>
MRIFSVFAFMAYCHLLKAFTITVSKDLYVVEYGSNVTMECRFPVEEQLDLVSLIVYWEMEDKKIIQFVQGKEDLKVQHRSYSQRAQLLKDQLFLGKAALQITNVTLEDAGVYCCLIGYGGADYKRITLKVHAPYRKINQRISVDPVTSEHELMCQAEGYPTAEVIWTNSAHQVLNGKTIISVSNMETKLFNVTSTLRINTTANEIFYCTFLQRSSPEGNSTAELVIPEPFLVPANERTHFMILGAILLFLVVVPAVTFCLKKRDVRTMDVEKCDTADMNSKKQNDLQFEET(配列番号19)
配列番号20~35:実施例で用いたプライマーの塩基配列を示す。
【配列表】