(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-01-29
(45)【発行日】2026-02-06
(54)【発明の名称】突起付きH形鋼の継手構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/58 20060101AFI20260130BHJP
F16B 7/18 20060101ALI20260130BHJP
E04C 3/06 20060101ALI20260130BHJP
E02D 5/08 20060101ALI20260130BHJP
E04B 1/24 20060101ALI20260130BHJP
【FI】
E04B1/58 503G
F16B7/18 A
E04C3/06
E02D5/08
E04B1/24 P
E04B1/24 Q
(21)【出願番号】P 2022066214
(22)【出願日】2022-04-13
【審査請求日】2025-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104927
【氏名又は名称】和泉 久志
(72)【発明者】
【氏名】浅野 均
(72)【発明者】
【氏名】田中 徹
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝
(72)【発明者】
【氏名】守屋 健一
(72)【発明者】
【氏名】大橋 英紀
(72)【発明者】
【氏名】大河内 孝彦
(72)【発明者】
【氏名】北原 慎也
【審査官】沖原 有里奈
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-096307(JP,U)
【文献】特開2007-120096(JP,A)
【文献】実開昭58-132294(JP,U)
【文献】特開平6-269977(JP,A)
【文献】米国特許第04733986(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/38-1/61
F16B 7/00-7/22
E04C 3/00-3/46
E02D 5/00-5/20
E04B 1/00-1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともフランジの外面に所定の凹凸パターンで突起が形成された突起付きH形鋼を長手通しで連結するための継手構造であって、
前記突起付きH形鋼は縞H形鋼とされ、前記突起の凹凸パターンは、幅方向に所定の間隔を空けて部材長手方向に沿う突条が形成されるとともに、長手方向に間隔を空けて部材幅方向に沿う突条が形成され、前記部材長手方向に沿う突条と前記部材幅方向に沿う突条とによって囲まれた領域に正方形状の凹部が形成された正格子枠状の凹凸パターンとされ、
前記突起付きH形鋼同士の接合端部に跨がるようにフランジの外面及び内面にそれぞれ、外面側添接板及び内面側添接板を配設するとともに、前記外面側添接板のフランジ外面への合わせ面には、フランジ側の凹部に当接する凸部とフランジ側の凸部に当接する凹部とを有する凹凸パターンで突起が形成されており、
前記外面側添接板、フランジ及び内面側添接板が一体的に複数の高力ボルトとナットで締結され
るとともに、前記高力ボルトの配置位置は前記フランジの凹部内の中間位置としていることを特徴とする突起付きH形鋼の継手構造。
【請求項2】
前記外面側添接板のフランジ外面への合わせ面には、前記フランジの外面の凹凸パターンに対して整合する真逆の凹凸パターンで突起が形成されている請求項1記載の突起付きH形鋼の継手構造。
【請求項3】
前記フランジの外面に形成された突起の凹凸パターンは、凹部と凸部との境界部分にすり付け用傾斜面が形成された凹凸形状とされ、前記外面側添接板のフランジ外面への合わせ面には、前記すり付け用傾斜面に対応する部分を除いた範囲で、フランジ側の凹部に当接する凸部とフランジ側の凸部に当接する凹部とを有する凹凸パターンで突起が形成されている請求項1記載の突起付きH形鋼の継手構造。
【請求項4】
前記フランジの内面は突起を有しない平坦面とされるとともに、前記内面側添接板のフランジ内面への合わせ面も突起を有しない平坦面とされている請求項1記載の突起付きH形鋼の継手構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フランジの外面に所定の凹凸パターンで突起が形成された突起付きH形鋼を連結するための継手構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、鋼コンクリート合成構造において、芯材としてH形鋼を用いるときに、その周囲のコンクリートとの付着性能を高めるため、H形鋼の表面に突起を設けたものが知られている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、フランジ外面およびウェブ両面に複数の突起が設けられている突起付H形鋼が開示され、下記特許文献2には、フランジの内面側に複数の突起を有するH形鋼が開示され、更に下記特許文献3にはフランジの外面側に複数の突起を有するH形鋼が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-4494号公報
【文献】特開2004-300913号公報
【文献】特開2004-278048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1~3に記載されたH形鋼は、フランジ外面やウェブ両面或いはフランジ内面に複数の突起が設けられているため、H形鋼に形成された突起とコンクリートとのせん断強度の増強によって、鋼材とコンクリートとの間において充分な付着力が得られるようになる。
【0006】
従来よりH形鋼同士を連結する接合構造としては、フランジ及び/又はウェブの各両面に添接板を設け、これら添接板及びH形鋼を一体的に高力ボルト及びナットで締結する構造が用いられるが、H形鋼として突起付きのものを用いた場合には、添接板とH形鋼との接触が突起の先端面部分のみとなるため、H形鋼と添接板との摩擦力が小さくなる問題があった。このため、(1)添接板を取り付ける範囲の突起を削除してH形鋼の外面を平坦にするか、(2)通常よりも添接板を大きくし、添接板と突起先端との接触面積を増大するとともに、高力ボルトの数を増加して締め付け力を増大するなどの対策を講じることによって、摩擦力を増大させるのが一般的であった。
【0007】
ところが、上記(1)の対策では、突起を削除するためのH形鋼の加工に手間がかかる問題があり、上記(2)の対策では、締め付ける高力ボルトの数が多くなり、現場での作業に手間がかかる問題があった。
【0008】
そこで本発明の課題は、少なくともフランジの外面に所定の凹凸パターンで突起が形成された突起付きH形鋼を連結するに当たり、突起を除去する加工手間やボルト数の増加などの問題を解消した継手構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、少なくともフランジの外面に所定の凹凸パターンで突起が形成された突起付きH形鋼を長手通しで連結するための継手構造であって、
前記突起付きH形鋼は縞H形鋼とされ、前記突起の凹凸パターンは、幅方向に所定の間隔を空けて部材長手方向に沿う突条が形成されるとともに、長手方向に間隔を空けて部材幅方向に沿う突条が形成され、前記部材長手方向に沿う突条と前記部材幅方向に沿う突条とによって囲まれた領域に正方形状の凹部が形成された正格子枠状の凹凸パターンとされ、
前記突起付きH形鋼同士の接合端部に跨がるようにフランジの外面及び内面にそれぞれ、外面側添接板及び内面側添接板を配設するとともに、前記外面側添接板のフランジ外面への合わせ面には、フランジ側の凹部に当接する凸部とフランジ側の凸部に当接する凹部とを有する凹凸パターンで突起が形成されており、
前記外面側添接板、フランジ及び内面側添接板が一体的に複数の高力ボルトとナットで締結されるとともに、前記高力ボルトの配置位置は前記フランジの凹部内の中間位置としていることを特徴とする突起付きH形鋼の継手構造が提供される。
【0010】
上記請求項1記載の発明では、突起付きH形鋼として、市場で販売されている各種の突起付きH形鋼の内、「縞H形鋼」と呼ばれる突起付きH形鋼を用いるようにしている。縞H形鋼は、主に路面覆工板として用いられ、フランジの外面に滑り止め用の複数の突起が設けられたものである。この縞H形鋼のフランジ外面には、予め所定の凹凸パターンで突起が形成されているため、突起を設けるための加工を別途施すことなく、鋼材とコンクリートとの付着性能が向上できるようになる。縞H形鋼のフランジ外面の突起の凹凸パターンは、幅方向に所定の間隔を空けて部材長手方向に沿う突条が形成されるとともに、長手方向に間隔を空けて部材幅方向に沿う突条が形成され、前記部材長手方向に沿う突条と前記部材幅方向に沿う突条とによって囲まれた領域に正方形状の凹部が形成された正格子枠状の凹凸パターンを用いるようにしたものである。
【0011】
前記突起付きH形鋼を連結するに当たって、前記フランジ外面に配置する外面側添接板のフランジ外面への合わせ面に、フランジ側の凹部に当接する凸部とフランジ側の凸部に当接する凹部とを有する凹凸パターンで突起が形成されているものを使用するようにしている。従って、平坦の添接板を用いた場合には、摩擦力の働く箇所としてフランジ側凸部の先端面部分しか摩擦力が機能してなかったが、本発明の場合は、フランジ側の凹部に当接する凸部とフランジ側の凸部に当接する凹部とを有する凹凸パターンで突起が形成されているため、接触面積の増大を図ることができ、摩擦力をしっかりと効かせることができるようになる。従って、突起を削除するためのH形鋼への加工手間が無くなるとともに、ボルト数を増加したりする必要もなくなる。
【0012】
更に、前記外面側添接板、フランジ及び内面側添接板を一体的に複数の高力ボルトとナットで締結する際に、前記高力ボルトの配置位置は前記フランジの凹部内の中間位置としている。仮に、高力ボルトを突条と凹部とに跨がる範囲に配置した場合は、製作誤差等から生じる厚み差や剛性差などによって均一に締付けできないおそれがあるため好ましくない。
【0013】
請求項2に係る本発明として、前記外面側添接板のフランジ外面への合わせ面には、前記フランジの外面の凹凸パターンに対して整合する真逆の凹凸パターンで突起が形成されている請求項1記載の突起付きH形鋼の継手構造が提供される。
【0014】
上記請求項2記載の発明は、前記外面側添接板のフランジ外面への合わせ面に形成される突起の凹凸パターンの第1形態例を示したものである。この第1形態例は、100%の接触面積比率(接触面積/外面側添接板の平面積)を目指したものであり、前記フランジの外面の凹凸パターンと真逆の凹凸パターンで突起を形成することにより、外面側添接板の全面積を完全に密着させるようにした形態例である。
【0015】
請求項3に係る本発明として、前記フランジの外面に形成された突起の凹凸パターンは、凹部と凸部との境界部分にすり付け用傾斜面が形成された凹凸形状とされ、前記外面側添接板のフランジ外面への合わせ面には、前記すり付け用傾斜面に対応する部分を除いた範囲で、フランジ側の凹部に当接する凸部とフランジ側の凸部に当接する凹部とを有する凹凸パターンで突起が形成されている請求項1記載の突起付きH形鋼の継手構造が提供される。
【0016】
上記請求項3記載の発明は、前記外面側添接板のフランジ外面への合わせ面に形成される突起の凹凸パターンの第2形態例を示したものである。この第2形態例は、フランジの凹凸パターンの内、すり付け用傾斜面に対応する箇所では密着しない態様としたものである。具体的には、前記フランジの外面に形成された突起の凹凸パターンは、凹部と凸部との境界部分にすり付け用傾斜面が形成された凹凸形状とされる場合に、前記すり付け傾斜面までも密着させようとする場合は、すり付け用傾斜面に対応する部分の切削加工はより多くの加工手間を要するため、前記すり付け傾斜面に対応する部分は非密着とし、それ以外の範囲で凹凸同士を密着させるようにしたものである。このようなケースでも接触面積比率(接触面積/外面側添接板の平面積)としては、概ね80%~85%程度は確保することが可能である。
【0017】
請求項4に係る本発明として、前記フランジの内面は突起を有しない平坦面とされるとともに、前記内面側添接板のフランジ内面への合わせ面も突起を有しない平坦面とされている請求項1記載の突起付きH形鋼の継手構造が提供される。
【0018】
上記請求項4記載の発明は、フランジ内面の形状と内面側添接板の形状とを具体的に規定したものである。フランジの内面にも凹凸パターンで突起を設けるようにした突起付きH形鋼も市場に存在するが、本発明では添接板の加工手間などを考慮するとともに、コンクリートとの付着強度を考慮した結果、フランジの内面については突起を有しない平坦面とするとともに、前記内面側添接板のフランジ内面への合わせ面も突起を有しない平坦面とするのが望ましい。
【発明の効果】
【0019】
以上詳説のとおり本発明によれば、少なくともフランジの外面に所定の凹凸パターンで突起が形成された突起付きH形鋼を連結するに当たり、突起を除去する加工手間やボルト数の増加などの問題を解消することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】突起付きH形鋼2を芯材(引張り材)として用いた鋼コンクリート合成構造1を示す壁体の斜視図である。
【
図3】縞H形鋼2の凹凸部での横断面図(
図2のIII-III線矢視図)である。
【
図4】縞H形鋼2の突条部6bでの横断面図(
図2のIV-IV線矢視図)である。
【
図5】縞H形鋼2の連結要領を示す、(A)は分解縦断面図、(B)は連結状態縦断面図である。
【
図6】縞H形鋼2の連結要領を示す、(A)は分解横断面図、(B)は連結状態横断面図である。
【
図7】外面側添接板7を示す、(A)は平面図、(B)は横断面図(B-B線矢視図)である。
【
図8】外面側添接板7’の第2形態例を示す、(A)は平面図、(B)は横断面図(B-B線矢視図)である。
【
図9】外面側添接板7’をフランジ外面に設置した状態を示す要部横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0022】
鋼コンクリート合成構造1では、
図1に示されるように、芯材(引張り材)として、フランジの外面に所定の凹凸パターンで突起6が形成された突起付きH形鋼2、2…が用いられることがある。
【0023】
前記突起付きH形鋼2、2…は、同図に示されるように、主に引張り側領域に並列配置で複数配置される。すなわち、フランジ3、5が壁体の壁面に向かい合うように配置し、隣り合う縞H形鋼2、2同士でウェブ4、4が対向するように離隔して配置するのがよい。特に、突起付きH形鋼2、2…を用いることにより、突起とコンクリートとのせん断強度の増強によって、鋼材とコンクリートとの間において充分な付着力が得られるようになる。なお、
図1は鋼コンクリート合成構造による壁体であるが、他の鋼コンクリート合成構造にも適用可能であることは言うまでもない。なお、前記突起付きH形鋼2に加え、必要に応じて鉄筋などを配置してもよい。
【0024】
前記突起付きH形鋼2としては、複数種類のものが市場に提供されているが、本形態例では、特に「縞H形鋼」と呼ばれる突起付きH形鋼を用いた例について詳述する。前記縞H形鋼2は、従来から主に路面覆工板として用いられるものであり、上下フランジ3、5の外面に熱間圧延によって滑り止めのために所定の凹凸パターンで突起6が形成されたものである。フランジ3、5の外面以外、すなわちフランジ3、5の内面及びウェブ4の両面にはこのような突起が設けられず、平坦面となっている。
【0025】
前記突起6の凹凸パターンは、縞H形鋼の種類によって複数種の形態のものが存在し、いずれの形態のものを用いてもよいが、
図2に示されるように、縞H形鋼2の軸方向及び幅方向に沿う正格子枠状の凹凸パターンで突起6が形成されたものを用いるのが望ましい。前記正格子枠状とは、縞H形鋼2の軸方向及び幅方向に沿って直線的に延びる突条6a、6bからなる突起6をそれぞれ幅方向及び軸方向に離隔して複数配置したものである。具体的には、
図2に示されるように、幅方向に所定の間隔を空けて部材長手方向に沿う突条6a、6a…が複数、図示例では5条形成されるとともに、長手方向に所定の間隔を空けて部材幅方向に沿う突条6b、6b…が形成されている。前記突条6aと突条6bとによって囲まれた領域に形成される凹部6cは正方形状を成している。この正方形の凹部6cの周囲と突条6a、6bとの境界部分には、すり付け用傾斜面6dが形成されている。
【0026】
前記突起6の凹凸パターンとして正格子枠状のものを用いることにより、縞H形鋼2の軸方向及び幅方向に作用するせん断力に対して、より強固なコンクリート3との付着力が得られ、コンクリート3との付着性能が向上できる。
【0027】
前記突起6の高さ及び形状は、一般的に市販されているもので言えば、
図3に示されるように、前記突条6aの内、中間に位置する突条6aの幅寸法(B)が10mm、端部に位置する突条6aの幅寸法(D)が12mm、中間に位置する凹部6cの幅(A)が32mm、端部に位置する凹部6cの幅(C)が31.5mmである。また、すり付け用傾斜部6dの高さ(e)及び高さ(f)はそれぞれ2mmである。
【0028】
前記突起6は、フランジ3、5の外面の全面、すなわちフランジ3、5の外面の幅方向及び軸方向の全長に亘って形成されている。
【0029】
前記突起6は、フランジ3、5の外面のみに設けられ、フランジ3、5の内面には形成されない。つまり、既製の縞H形鋼2に形成されたフランジ3、5の外面の突起6以外に、フランジ3、5の内面に突起を設けられておらず、フランジ内面は平坦面となっている。
【0030】
鋼コンクリート合成構造1の芯材として、予めフランジ3、5の外面に所定の凹凸パターンの突起6が形成された縞H形鋼2を用いることにより、コンクリートとの付着性能を向上させるための突起を設ける加工を別途施す必要がなく、鋼材とコンクリートとの付着性能が向上できるようになる。また、前記縞H形鋼は、汎用品であるため安く入手することが可能である。
【0031】
〔継手構造〕
次いで、前記鋼コンクリート合成構造1に用いられる縞H形鋼2、2同士を部材長手方向に連結する継手構造について説明する。
【0032】
図5及び
図6に示されるように、縞H形鋼2、2同士を突き合わせた接合端部2aに跨るように、上下フランジ3,5の外面及び内面にそれぞれ、外面側添接板7及び内面側添接板8、8を配設する。前記外面側添接板7は、フランジ3、5の幅と同じ幅寸法とされる1枚の板材によって構成され、前記内面側添接板8、8はウエブ4を跨いでそれぞれの側に1枚ずつ計2枚の板材によって構成される。
【0033】
本発明では特に、突起6が形成された上下フランジ3,5の外面側に配置される外面側添接板7のフランジ外面への合わせ面には、
図7に示されるように、フランジ3、5側の凹部6cに当接する凸部11aとフランジ側の凸部6a、6bに当接する凹部11bとを有する凹凸パターンで突起11が形成されている。すなわち、フランジ3、5の外面に形成された突条6a、6bと、凹部6c、6c…と、すり付け用傾斜面6dのすべての部位において、フランジ3、5と外面側添接板7とが接触するように、前記フランジ3,5の外面の凹凸パターンに対して整合する真逆の凹凸パターンとなるように、正配列で形成された凸部11a、11a…と、凸部11aと凸部11aとの間に格子枠状に形成された凹部11b、11b…とによる凹凸パターンの突起11が形成されている。
【0034】
その結果、フランジ3、5の外面と外面側添接板7との接触面積比率(接触面積/外面側添接板の平面積)を理論的に100%にすることができるため高力ボルトの摩擦接合の摩擦力がしっかりと確保できるようになる。なお、仮に通常の平板状の外面側添接板を用いた場合は、縞H形鋼2のフランジ外面の突部6a、6bの先端面しか接触しないことになるため、概ね45%程度の接触面積比率しか確保できていない。
【0035】
前記外面側添接板7の凹凸パターンは、
図7に示されるように、長手方向及び幅方向に同一のパターンで形成されているため、縞H形鋼2の接合端部2aは、フランジ外面に形成された凹凸パターンが接合端部2a位置でも同じ凹凸パターンで連続するように、フランジ外面の凹部6cの中央点を横断する位置を端部とするか部材幅方向に沿う突条6bの幅中央点を横断する位置を端部とするのがよい。
【0036】
なお、例えば一方の縞H形鋼2において、フランジ外面の凹部6cの中央点から長手方向にずれた位置を端部とする場合は、他方の縞H形鋼2の側の凹部6cの中央点からのズレ量を調整して、接合端部2aを跨ぐ凹部6cの形状を他と同形状とすることによって同じ凹凸パターンで連続させることができる。
【0037】
前記外面側添接板7の凹凸パターンは、鋼板製造時に熱間圧延によって付与することが望ましいが、同一厚の鋼板から切削加工によって凹凸パターンを形成することも可能である。
【0038】
一方、前記内面側板材8、8としては、表裏面がそれぞれ平坦面の通常の鋼板が用いられる。
【0039】
前記縞H形鋼2、2の連結は、
図5及び
図6に示されるように、縞H形鋼2、2を端面を突き合わせるように長手通しで配置した状態で、フランジ3、5の外面側に外面側添接板7を凹凸同士が嵌合し合うように配置するとともに、フランジ3、5の内面側に内面側添接板8、8を配置し、外面側添接板7、フランジ3(5)、内面側添接板8を貫通して高力ボルト9、9…を設け、対面側でナット10を螺合して締結することにより一体化を図るようにする。ここで、前記高力ボルト9の配置位置は、フランジ3、5の凹部6c内の中間位置とするのが望ましい。仮に、突条6a、6bと凹部6cとに跨がる範囲に配置した場合は、製作誤差等から生じる厚み差や剛性差などによって均一に締付けできないおそれがあるため好ましくない。
【0040】
〔第2形態例〕
上記第1形態例は、フランジ3、5の外面と外面側添接板7との接触面積比率を100%とするために、前記外面側添接板7におけるフランジ外面への合わせ面は、前記フランジ3、5の外面の凹凸パターンに対して整合する真逆の凹凸パターンで突起11が形成されている構造とするものである。しかし、前記b外面側添接板7の凹凸パターンを切削加工によって製作する場合、特にフランジ3、5の凹部6cの周囲と突条6a、6bとの境界部分に形成されたすり付け用傾斜面6dに対応する傾斜面をも含めて切削加工で形成するにはかなり手間の掛かる作業となる。
【0041】
この加工手間を省力化するために、前記外面側添接板7のフランジ外面への合わせ面は、前記すり付け用傾斜面部分6dを除いた範囲で、フランジ側の凹部6cに当接する凸部12aとフランジ側の凸部6a、6bに当接する凹部12bとを有する凹凸パターンで突起12が形成されている形状とするものである。
【0042】
具体的には、
図8に示されるように、外面側添接板7’において、フランジ3(5)の突条6a、6bとすり付け用傾斜面6dとを含む範囲に対応する部分を凹部12b、12b…として形成し、フランジ3(5)の凹部6cに対して当接する凸部12a、12a…として凹凸を形成するものである。前記凸部12aの側面は基面に対して垂直に起立している形状、すなわち凸部12aは角柱状に突出する凸部となっている。
【0043】
図9に示されるように、前記外面側添接板7をフランジ3の外面に設置した状態では、すり付け用傾斜面6dの領域+α(余剰部分)の範囲ではフランジ3と外面側添接板7とは未接触の状態となり、フランジ3の突条6a、6bが外面側添接板7’の凹部12bに当接し、外面側添接板7’の凸部12aがフランジ3の凹部6cに当接する状態となっている。このようにフランジ3のすり付け用傾斜面6dを除いた範囲で、フランジ3と外面側添接板7’との凹凸同士を当接させるようにした場合でも、接触面積比率としては約80~85%程度は確保することができ、前記第1形態例には及ばないが、所要の摩擦力を確保することが可能になる。
【符号の説明】
【0044】
1…鋼コンクリート合成構造、2…縞H形鋼、3・5…フランジ、4…ウェブ、6…突起、7・7’…外面側添接板、11a・12a…凸部、11b・12b…凹部、8…内面側添接板、9…ボルト、10…ナット