(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-01-29
(45)【発行日】2026-02-06
(54)【発明の名称】光接続構造
(51)【国際特許分類】
G02B 6/38 20060101AFI20260130BHJP
G02B 6/40 20060101ALI20260130BHJP
【FI】
G02B6/38
G02B6/40
(21)【出願番号】P 2022557309
(86)(22)【出願日】2021-09-21
(86)【国際出願番号】 JP2021034659
(87)【国際公開番号】W WO2022085352
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2024-07-31
(31)【優先権主張番号】P 2020176542
(32)【優先日】2020-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000231936
【氏名又は名称】日本通信電材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140682
【氏名又は名称】妙摩 貞茂
(72)【発明者】
【氏名】上原 史也
(72)【発明者】
【氏名】矢加部 祥
(72)【発明者】
【氏名】指田 貴子
(72)【発明者】
【氏名】藤原 悠人
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 大
(72)【発明者】
【氏名】木村 元佳
(72)【発明者】
【氏名】井崎 学
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-203858(JP,A)
【文献】特表2015-513127(JP,A)
【文献】特開2000-131565(JP,A)
【文献】特開昭61-061111(JP,A)
【文献】特開2003-014983(JP,A)
【文献】特開2018-092125(JP,A)
【文献】特開2019-113713(JP,A)
【文献】特開2005-181737(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0377139(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/36-6/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いの光学端面同士が対向するように配置される一対のフェルールと、
互いに対向する前記一対のフェルールを保持するアダプタと、
前記アダプタに保持された前記一対のフェルール同士を互いに対向する方向に付勢する一対のバネと、を備え、
前記アダプタは、第1方向に沿った線を軸として前記一対のフェルールを半周以上にわたって囲む筒形状をなす筒状体を含み、
前記筒状体は、
前記第1方向に延在し前記フェルールの側面に係合するガイドと、
前記第1方向において一端から他端まで形成されたスリットと、を備え、
前記ガイドは、前記第1方向に延在し前記フェルールの側面に係合する第1ガイドと、前記第1方向に延在し前記フェルールの側面に係合する第2ガイドとを含み、
前記第1方向から見たとき、前記筒状体は実質的に矩形枠状を呈しており、
前記第1ガイド及び前記第2ガイドは、前記第1方向から見たときに前記筒状体の矩形の短辺を構成する一対の壁体にそれぞれ設けられており、
前記第1ガイド及び前記第2ガイドは、前記第1方向における前記筒状体の一端から他端まで形成されており、
前記第1ガイド及び前記第2ガイドは、前記第1方向における第1端部と前記第1端部とは反対の第2端部とを有し、前記第1端部から前記第2端部にわたって同じ形状を呈し、
それぞれの前記フェルールは、前記光学端面とは逆の端面である後端面において、前記第1方向に沿って突出する一対の突起を有し、
前記一対の突起は、前記後端面において、前記第1方向と交差する第2方向における両端部に設けられており、前記バネを保持している、光接続構造。
【請求項2】
前記筒状体は、樹脂によって形成されている、請求項1に記載の光接続構造。
【請求項3】
前記第1ガイド及び前記第2ガイドは、前記筒状体の内周面から内向きに突出している、請求項1又は2に記載の光接続構造。
【請求項4】
前記第1方向から見たとき、前記第1ガイド及び前記第2ガイドのそれぞれは、円弧形状を呈している、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光接続構造。
【請求項5】
前記一対のフェルールのそれぞれは、前記第1ガイド及び前記第2ガイドに係合する係合部を有する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光接続構造。
【請求項6】
前記一対のフェルールのそれぞれは、前記第2方向において、互いに対向する第1側面及び第2側面を備え、
前記係合部は、前記第1側面及び前記第2側面に形成された、前記第1方向に延在する溝である、請求項5に記載の光接続構造。
【請求項7】
前記溝の前記第1方向に交差する断面形状は、V字状である、請求項6に記載の光接続構造。
【請求項8】
前記第1ガイドと前記第2ガイドとが前記一対のフェルールを押圧する力は、前記一対のバネが前記一対のフェルールを付勢するバネ荷重よりも小さい、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の光接続構造。
【請求項9】
前記スリットは、外部からの荷重がかかっていない状態で前記第2方向における幅を有さない、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の光接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アダプタ及び光接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ガイドピンを用いて多芯の光ファイバ同士の位置合わせを行う技術を開示する。この技術では、フェルールに設けられた一対のガイドピン挿入孔に一対のガイドピンの一端がそれぞれ挿入され、接続相手のフェルールに設けられた一対のガイドピン挿入孔に一対のガイドピンの他端がそれぞれ挿入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した技術では、ガイドピン挿入孔に対するクリアランスが極力小さくなるように、高い寸法精度を有するガイドピンが用いられる。そのため、ガイドピンを複数回にわたって抜き差しすると、ガイドピン挿入孔が損傷し、位置決め精度が低下する虞がある。
【0005】
本開示は、簡易な構成で複数の光ファイバの位置決めを行うことができるアダプタ及び光接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係るアダプタは、互いに対向する一対のフェルールを保持する。アダプタは、第1方向に沿った線を軸として一対のフェルールを半周以上にわたって囲む筒形状をなす筒状体を含む。筒状体は、第1方向に延在しフェルールの側面に係合するガイドと、第1方向において一端から他端まで形成されたスリットと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によるアダプタ及び光接続構造によれば、簡易な構成で複数の光ファイバの位置決めを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一例に係る光接続構造を示す分解斜視図である。
【
図2】
図2は、一例のフェルールの断面形状を示す図である。
【
図3】
図3は、一例のアダプタの断面形状を示す図である。
【
図4】
図4は、アダプタに保持された状態のフェルールを模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、他の例に係る光接続構造を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、他の例の
アダプタの断面形状を示す図である。
【
図7】
図7は、他の例の
フェルールの断面形状を示す図である。
【
図8】
図8は、図
6のアダプタに図
7のフェルールが保持された状態を模式的に示す図である。
【
図9】
図9は、さらに他の光接続構造を説明するための模式図である。
【
図10】
図10は、さらに他の光接続構造を説明するための模式図である。
【
図11】
図11は、さらに他の光接続構造を説明するための模式図である。
【
図12】
図12は、さらに他の光接続構造を説明するための模式図である。
【
図13】
図13は、さらに他の光接続構造を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態の内容を列記して説明する。本開示の一実施形態に係るアダプタは、互いに対向する一対のフェルールを保持する。アダプタは、第1方向に沿った線を軸として一対のフェルールを半周以上にわたって囲む筒形状をなす筒状体を含む。筒状体は、第1方向に延在しフェルールの側面に係合するガイドと、第1方向において一端から他端まで形成されたスリットと、を備える。
【0010】
本開示の一実施形態に係る光接続構造は、上記のアダプタと、アダプタの筒状体に保持された一対のフェルールと、を備える。
【0011】
このアダプタは、一端から他端までスリットが形成された筒状体を有しており、弾性変形可能となっている。そのため、例えば、スリットの幅が大きくなるように筒状体を弾性変形させた場合、スリットの幅が小さくなるように筒状体に復元力が生じ得る。上記のアダプタでは、筒状体の内側に一対のフェルールが保持された状態において、ガイドがフェルールの側面に係合しているので、第1方向から見たときの一対のフェルールの位置が決定される。したがって、一実施形態に係るアダプタによれば、ガイドピンを用いることなく、簡易な構成で複数の光ファイバの位置決めを行うことができる。なお、筒状体にスリットが形成されている場合、筒状体は実際には筒形をなしていないが、本明細書においては、フェルールを半周以上にわたって囲む形状を筒形状として定義する。
【0012】
筒状体は、樹脂によって形成されていてもよい。この構成では、フェルールの損傷を抑制できる。
【0013】
ガイドは、第1方向に延在しフェルールの側面に係合する第1ガイドと、第1方向に延在しフェルールの側面に係合する第2ガイドとを含んでもよい。この構成では、筒状体の内側に一対のフェルールが保持された状態において、第1ガイドと第2ガイドとがそれぞれ別々にフェルールの側面に係合しているので、第1方向から見たときの一対のフェルールの位置がより正確に決定され得る。
【0014】
第1ガイド及び第2ガイドは、筒状体の内周面から内向きに突出していてもよい。この構成では、第1ガイド及び第2ガイドに対応した溝状の係合部がフェルールの第1側面及び第2側面に形成されることで、第1ガイドが第1側面に係合し、第2ガイドが第2側面に係合し得る。
【0015】
第1方向から見たとき、第1ガイド及び第2ガイドのそれぞれは、円弧形状を呈していてもよい。この構成では、フェルールの第1側面及び第2側面において第1ガイド及び第2ガイドに対応したV溝が形成されている場合に、第1ガイド及び第2ガイドによって好適にフェルールを保持できる。
【0016】
第1方向から見たとき、筒状体は実質的に矩形枠状を呈しており、第1ガイド及び第2ガイドは、第1方向から見たときに矩形の短辺を構成する一対の壁体にそれぞれ設けられていてもよい。この構成では、第1ガイドと第2ガイドとの間の距離を大きくとることができるので、第1方向を軸方向とするフェルールの回転方向のぐらつきが抑制される。
【0017】
一対のフェルールのそれぞれは、第1ガイド及び第2ガイドに係合する係合部を有していてもよい。フェルールの係合部が第1ガイド及び第2ガイドに係合することによって、第1方向から見たときのフェルールの位置が決定される。
【0018】
一対のフェルールのそれぞれは、第1方向と交差する第2方向において、互いに対向する第1側面及び第2側面を備えてもよい。この場合、係合部は、第1側面及び第2側面に形成された、第1方向に延在する溝であってもよい。この場合、第1ガイド及び第2ガイドは、第1方向から見たとき、溝に係合可能となるように筒状体の内周面から突出していてもよい。
【0019】
溝の第1方向に交差する断面形状は、V字状であってもよい。第1方向から見たとき、第1ガイド及び第2ガイドのそれぞれの先端が、円弧形状を呈している場合に、第1ガイド及び第2ガイドによって好適にフェルールを保持できる。
【0020】
光接続構造は、一対のフェルール同士を互いに対向する方向に付勢する一対のバネを更に備えてもよい。第1ガイドと第2ガイドとが一対のフェルールを押圧する力は、一対のバネが一対のフェルールに付勢するバネ荷重よりも小さくてよい。この構成では、アダプタに保持された状態のフェルールがバネ荷重によって第1方向に移動され得る。すなわち、対向した状態の一対のフェルール同士を互いに押圧することができる。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、添付図面を参照して、本開示の一実施形態について詳細に説明する。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0022】
図1は、一例に係る光接続構造を示す分解斜視図である。
図2は、一例のフェルールの断面形状を示す図である。
図3は、一例のアダプタの断面形状を示す図である。
図4は、アダプタに保持された状態のフェルールを模式的に示す図である。一例の光接続構造1は、一対のフェルール10と、一対のフェルール10を保持するアダプタ40と、を含む。一対のフェルール10は、互いに同じ形状を有している。フェルール10は、略直方体形状を有しており、第1方向D1の一端に設けられた光学端面11と、第1方向D1の他端に設けられた後端面12と、第1方向D1に沿って延びる第1側面13、第2側面14、第3側面15及び第4側面16とを有する。光学端面11は、光学的に接続される相手側のフェルール10に対向し得る。
【0023】
第1側面13と第2側面14とは、第1方向D1に交差する第2方向D2に互いに対向している。第3側面15と第4側面16とは、第1方向D1及び第2方向D2の双方に交差する第3方向D3に互いに対向している。第1方向D1、第2方向D2及び第3方向D3は、例えば、互いに直交している。
【0024】
フェルール10は、複数の光ファイバを保持するための複数(図示例では12箇所)の光ファイバ保持孔(光ファイバ保持部)18を有する。光ファイバ保持孔18には、光ファイバが挿入されて保持される。光ファイバは、例えば、コア及びクラッドを有するシングルモードファイバであってもよい。光ファイバ保持孔18は、第1方向D1に沿って延びている。光ファイバ保持孔18は、フェルール10の光学端面11に開放されている。複数の光ファイバ保持孔18は、第2方向D2に沿って並んで配置されている。また、光ファイバ保持孔18は、光ファイバテープ心線を挿入するための開口17に連通している。開口17は、後端面12に形成されている。
【0025】
フェルール10は、後述する第1ガイド53及び第2ガイド54に係合する係合部23を有する。係合部23は、第1方向D1の任意の位置における第2方向D2及び第3方向D3に沿った断面形状が一様となるように形成されている。一例の係合部23は、第1側面13及び第2側面14にそれぞれ形成された、第1方向D1に延在する溝であってよい。図示例において、係合部23の第1方向D1に交差する断面形状は、V字状である。V字状の溝を構成する一対の斜面23a,23bは、一定の角度θ1で開いている。例えば、角度θ1は、30°から150°の範囲であり、一例として約120°であってよい。なお、溝の底部23cには、R加工が施されていてもよい。溝の底部23cは、斜面23aと斜面23bとを接続する部分である。
【0026】
フェルール10は、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PEI(ポリエーテルイミド)、PC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、又はPES(ポリエーテルサルホン)等の材料によって構成されている。フェルール10は、例えば、第1方向D1に沿ってアダプタ40に挿入され、アダプタ40に嵌合される。
【0027】
本開示の光接続構造1では、一対のフェルール10が一対のバネ30によって付勢されている。一例において、バネ30は、互いに対向する方向に一対のフェルール10同士を付勢する。フェルール10の後端面12には、バネ30の端部を外周から保持するための突起12aが形成されている。なお、バネ30は、例えば、アダプタ40に対する相対的な位置が決められたハウジング等に収容された状態でフェルール10を第1方向D1に沿って押圧してもよい。フェルール10を押圧するバネ30のバネ荷重の大きさは、特に限定されないが、例えば10N以下であってよく、より好ましくは5N以下であってよい。
【0028】
アダプタ40は、互いに対向する一対のフェルール10を保持する。アダプタ40は、第1方向D1に延在する筒状体41を含み、第1方向D1において一端から他端に形成されるスリット42を有している。筒状体41は、実質的に筒状であればよく、一方向から見たときに、想定される軸線を中心として半周程度以上にわたって壁面が形成されていればよい。一例のアダプタ40は、第1方向D1に沿った線を軸として、少なくとも一対のフェルール10を半周以上にわたって囲んでいる。
【0029】
図示例において、筒状体41は、第1方向D1から見たときに、実質的に矩形枠状を呈している。すなわち、筒状体41は、第1壁体43、第2壁体44、第3壁体45及び第4壁体46を有する。第1壁体43及び第2壁体44は、第1方向D1から見たときに矩形の短辺を構成している。第1壁体43は、フェルール10の第1側面13に対面する第1内周面43aを有する。第2壁体44は、第2側面14に対面する第2内周面44aを有する。第3壁体45は、一方のフェルール10の第3側面15及び他方のフェルール10の第4側面16に対面する第3内周面45aを有する。第4壁体46は、一方のフェルール10の第4側面16及び他方のフェルール10の第3側面15に対面する第4内周面46aを有する。
【0030】
図示例では、第3内周面45aを形成する第3壁体45にスリット42が形成されている。スリット42は、第1方向D1に沿って設けられている。スリット42は、第3壁体45を第2方向D2の一方側と他方側とに分離している。図示例のスリット42は、第2方向D2に所定の幅をもって描かれているが、例えば、スリット42は、無負荷状態において幅を有さなくてもよい。すなわち、無負荷状態においては、第2方向D2の一方側の第3壁体45と他方側の第3壁体45とは互いに当接していてもよい。また、例えば、スリット42は、第2方向D2において、第3壁体45の全域にわたって形成されていてもよい。
【0031】
筒状体41は、フェルール10の第1側面13に形成された係合部23に係合する第1ガイド53と、第2側面14に形成された係合部23に係合する第2ガイド54とを備える。第1ガイド53及び第2ガイド54は、第1方向D1の任意の位置における第2方向D2及び第3方向D3に沿った断面形状が一様となるように形成されている。一例において、第1ガイド53及び第2ガイド54は、第1内周面43a及び第2内周面44aにそれぞれ形成されている。第1ガイド53及び第2ガイド54は、第1方向D1に延在している。図示例の第1ガイド53及び第2ガイド54は、第1内周面43a及び第2内周面44aからそれぞれ内向きに突出する突起状を呈している。第1ガイド53及び第2ガイド54は互いに対向している。
【0032】
また、第1ガイド53及び第2ガイド54の第1方向D1に交差する断面形状は、略V字状である。第1ガイド53において、略V字状をなす突起を構成する一対の斜面53a,53bは、一定の角度θ2で接続されている。同様に、第2ガイド54において、略V字状をなす突起を構成する一対の斜面54a,54bは、一定の角度θ2で接続されている。角度θ2は、係合部23の角度θ1と同じ大きさであってよい。なお、第1方向D1から見たとき、第1ガイド53及び第2ガイド54のそれぞれの先端53c,54cは、円弧形状を呈するようにR加工が施されていてよい。その場合、先端53c,54cのR加工の曲率は係合部23のR加工の曲率と同じであってよい。
【0033】
第1方向D1から見て、筒状体41の第1ガイド53の先端53cから第2ガイド54の先端54cまでの無負荷状態における距離L1は、フェルール10の第1側面13の係合部23の底部23cから第2側面14の係合部23の底部23cまでの距離L2よりも小さい。アダプタ40の筒状体41にフェルール10が保持される場合、筒状体41は、第2方向D2に押し拡げられるように弾性変形する。第1ガイド53及び第2ガイド54は、筒状体41が弾性変形したときの復元力によって、フェルール10の第1側面13と第2側面14とを押圧する。第1ガイド53と第2ガイド54とが一対のフェルール10を押圧する力は、一対のバネ30が一対のフェルール10を付勢するバネ荷重よりも小さい。
【0034】
筒状体41は、弾性変形可能な樹脂によって形成されている。筒状体41は、例えば、PEI(ポリエーテルイミド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、PES(ポリエーテルサルホン)、又はPA(ポリアミド)等の材料によって構成されている。
【0035】
以上説明したとおり、本開示の一実施形態に係るアダプタ40は、互いに対向し光接続される一対のフェルール10を保持する。一対のフェルール10のそれぞれは、複数の光ファイバをそれぞれ保持するための複数の光ファイバ保持孔18と、複数の光ファイバ保持孔18が延在する第1方向D1と交差する第2方向D2に沿って、互いに対向する第1側面13及び第2側面14と、を備える。アダプタ40は、弾性変形可能な筒状体41を含む。筒状体41は、第1方向D1に沿った線を軸として一対のフェルール10を半周以上にわたって囲む。筒状体41は、第1方向D1に延在して第1側面13に係合する第1ガイド53と、第1方向D1に延在して第2側面14に係合する第2ガイド54と、第1方向D1において一端から他端まで形成されるスリット42と、を備え、弾性変形の復元力によって、第1ガイド53と第2ガイド54とによって第1側面13と第2側面14とを押圧する。
【0036】
このアダプタ40は、一端から他端までスリット42が形成された筒状体41を有しており、弾性変形可能となっている。そのため、例えば、スリット42の幅が大きくなるように筒状体41が弾性変形した場合、スリット42の幅が小さくなるように筒状体41に復元力が生じる。アダプタ40にフェルール10を保持させる場合、アダプタ40の第1方向D1の端部からフェルール10を挿入する。上記のアダプタ40では、筒状体41の内側に一対のフェルール10が保持された状態において、筒状体41による弾性変形の復元力によって、第1ガイド53と第2ガイド54とが第1側面13と第2側面14とを押圧する。一対のフェルール10のそれぞれは、第1ガイド53及び第2ガイド54に係合する係合部23を有していてもよい。この場合、第1ガイド53が第1側面13に係合し、第2ガイド54が第2側面14に係合しているので、第1方向D1から見たときの一対のフェルール10の位置が決定される。以上のとおり、一実施形態に係るアダプタ40によれば、ガイドピンを用いることなく、簡易な構成で複数の光ファイバの位置決めを行うことができる。
【0037】
第1ガイド53及び第2ガイド54は、筒状体41の内周面から内向きに突出していてもよい。また、係合部23は、第1側面13及び第2側面14に形成された、第1方向D1に延在する溝であってもよい。この構成では、第1ガイド53が第1側面13の係合部23に係合し、第2ガイド54が第2側面14の係合部23に係合し得る。
【0038】
第1方向D1から見たとき、筒状体41は実質的に矩形枠状を呈しており、第1ガイド53及び第2ガイド54は、第1方向D1から見たときに筒状体41の矩形の短辺を構成する第1壁体43及び第2壁体44にそれぞれ設けられていてもよい。この構成では、第1ガイド53と第2ガイド54との間の距離を大きくとることができるので、第1方向D1を軸方向とするフェルール10の回転方向のぐらつきが抑制される。
【0039】
筒状体41は、樹脂によって形成されていてもよい。この構成では、第1ガイド53及び第2ガイド54によってフェルール10の係合部23が損傷されることが抑制される。
【0040】
光接続構造1は、一対のフェルール10同士を互いに対向する方向に付勢する一対のバネ30を備えてもよい。第1ガイド53と第2ガイド54とが一対のフェルール10を押圧する力は、一対のバネ30が一対のフェルール10に付勢するバネ荷重よりも小さくてよい。この構成では、アダプタ40に保持された一対のフェルール10同士をバネ荷重によって押圧することができる。
【0041】
なお、筒状体41が第3壁体45を有さない場合、すなわち第3壁体の全域がスリット42になっている場合であっても、フェルール10の一対の係合部23を第1ガイド53及び第2ガイド54によって押圧することは可能である。しかしながら、上記の例のように、第3壁体45が形成されていることによって、アダプタ40に保持されたフェルール10がアダプタ40の外部に晒され難くなっている。すなわち、フェルール10は、アダプタ40によって、外部から保護されるようになっている。
【0042】
本開示は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0043】
以下、他の例に係るアダプタを有する光接続構造について説明する。
図5は、他の例に係る光接続構造を示す斜視図である。
図6は、他の例の
アダプタの断面形状を示す図である。
図7は、他の例の
フェルールの断面形状を示す図である。
図8は、図
6のアダプタに図
7のフェルールが保持された状態を模式的に示す図である。
【0044】
光接続構造101は、一対のフェルール10と、一対のフェルール10を保持するアダプタ140と、を含む。
図5において示されていないが、光接続構造101においても、一対のフェルール10は一対のバネ30によって付勢されていてよい。
【0045】
アダプタ140は、互いに対向する一対のフェルール10を保持する。アダプタ140は、第1方向D1に延在する筒状体141を含み、第1方向D1において一端から他端に形成されるスリット142を有している。図示例において、筒状体141は、第1方向D1から見たときに、実質的に矩形枠状を呈している。すなわち、アダプタ140は、第1壁体143、第2壁体144、第3壁体145及び第4壁体146を有する。第1壁体143及び第2壁体144は、第1方向D1から見たときに矩形の短辺を構成している。第1壁体143は、フェルール10の第1側面13に対面する第1内周面143aを有する。第2壁体144は、第2側面14に対面する第2内周面144aを有する。第3壁体145は、第3側面15に対面する第3内周面145aを有する。第4壁体146は、第4側面16に対面する第4内周面146aを有する。図示例では、第3内周面145aを形成する第3壁体145にスリット142が形成されている。
【0046】
筒状体141は、フェルール10の第1側面13に係合する第1ガイド153と、第2側面14に係合する第2ガイド154とを備える。第1ガイド153及び第2ガイド154は、第1方向D1の任意の位置における第2方向D2及び第3方向D3に沿った断面形状が一様となるように形成されている。一例において、第1ガイド153及び第2ガイド154は、第1壁体143及び第2壁体144が内側に湾曲することによって、第1内周面143a及び第2内周面144aにそれぞれ形成されている。第1ガイド153及び第2ガイド154は、第1方向D1に延在している。
【0047】
図示例の第1ガイド153及び第2ガイド154は、第1方向D1から見たときに、第1内周面143a及び第2内周面144aからそれぞれ内向きに突出する円弧状を呈している。第1ガイド153及び第2ガイド154は、互いに対向している。本例において、円弧状をなす第1ガイド153及び第2ガイド154のそれぞれの曲率は、互いに等しくなっている。すなわち、第1内周面143aの円弧状部分に接する仮想円Sと第2内周面144aの円弧状部分に接する仮想円Sとは、互いに同じ径を有する。一例として、この仮想円Sの半径は、0.2mmから2.0mm程度であってよい。
【0048】
無負荷状態において、第1内周面143aの円弧状部分に接する仮想円Sの中心から第2内周面144aの円弧状部分に接する仮想円Sの中心までの距離L3(
図6参照)は、フェルール10の第1側面13の係合部23に接する仮想円Sの中心から第2側面14の係合部23に接する仮想円Sの中心までの距離L4(
図7参照)よりも小さくなっている。なお、第1側面13及び第2側面14に接する仮想円Sの径は、第1内周面143a及び第2内周面144aに接する仮想円Sの径と同じである。アダプタ140の筒状体141にフェルール10が保持される場合、筒状体141は、第2方向D2に押し拡げられるように弾性変形する。第1ガイド153及び第2ガイド154は、筒状体141が弾性変形したときの復元力によって、フェルール10の第1側面13と第2側面14とを押圧する。第1ガイド153と第2ガイド154とが一対のフェルール10を押圧する力は、一対のバネ30が一対のフェルール10を付勢するバネ荷重よりも小さい。
【0049】
筒状体141は、弾性変形可能な樹脂によって形成されている。筒状体141は、例えば、PEI(ポリエーテルイミド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、PES(ポリエーテルサルホン)、又はPA(ポリアミド)等の材料によって構成されている。
【0050】
他の例に係るアダプタ140によれば、
図1等の例に係るアダプタ40と同様に、ガイドピンを用いることなく、簡易な構成で複数の光ファイバの位置決めを行うことができる。
【0051】
また、第1方向D1から見たとき、第1ガイド153及び第2ガイド154のそれぞれは、円弧形状を呈している。係合部23の第1方向D1に交差する断面形状は、V字状である。この構成では、第1ガイド153及び第2ガイド154における先端の角度のブレが許容され得る。第1ガイド153及び第2ガイド154は、フェルール10のV字溝状の係合部23を構成する左右の斜面23a,23bのそれぞれに対して線接触することで、フェルール10の位置決めをしている。筒状体141が押し広げられた場合、第1ガイド153の先端と第2ガイド154の先端とは、互いに対向した位置から僅かに第3内周面145aを向くように、対向する角度にブレが生じる。しかし、第1ガイド153及び第2ガイド154は第1方向D1から見て円弧状を呈しているので、先端の角度にブレが生じたとしても、ブレがない状態と同じようにフェルール10の係合部23に線接触することができる。
【0052】
また、フェルール10に設けられた係合部23の形状と、アダプタ140に設けられた第1ガイド153及び第2ガイド154の形状とは、上述の例の形状に限定されない。
図9から
図13は、さらに他の光接続構造を説明するための模式図である。
図9から
図13では、第1方向D1から見たときに、アダプタのガイド(第1ガイド、第2ガイド)に対してフェルールの係合部がどのように係合されるかの変形例が模式的に示されている。なお、これらの図では要部のみが描かれており、例えば、アダプタの第3壁体及び第4壁体は描かれていない。
【0053】
図9に示すように、フェルールの係合部223が第2方向D2において外方に突出し、アダプタのガイド253が係合部223に対応するように溝状に形成されてもよい。図示例では、フェルールの係合部223の第1方向D1に交差する方向の断面形状はV字状である。第1方向D1から見たとき、V字状をなす係合部223の頂点223aは、第2方向D2の外側に向かって突出している。また、アダプタのガイド253の第1方向D1に交差する方向の断面形状は、係合部223の頂点223aの角度θ3と同じ大きさの角度に開いたV字状である。
【0054】
図10に示すように、一対の係合部のそれぞれの形状は互いに異なっていてもよく、一対のガイドのそれぞれの形状は互いに異なっていてもよい。図示例では、フェルールの一方の係合部323Aの第1方向D1に交差する方向の断面形状はV字状である。第1方向D1から見たとき、V字状をなす係合部323Aの底部323Aaは、第2方向D2の内側に向かって凹んでいる。また、フェルールの他方の係合部323Bの第1方向D1に交差する方向の断面形状はV字状である。第1方向D1から見たとき、V字状をなす係合部323Bの頂点323Baは、第2方向D2の外側に向かって突出している。また、アダプタの一方のガイド353の第1方向D1に交差する方向の断面形状は、係合部323Aの底部323Aaの角度θ4と同じ大きさの角度の頂部353aを有するV字状である。また、アダプタの他方のガイド354の第1方向D1に交差する方向の断面形状は、係合部323Bの頂点323Baの角度θ5と同じ大きさの角度に開いたV字状である。
【0055】
図11に示すように、フェルールの係合部423が第2方向において外方に突出し、アダプタのガイドが係合部に対応するように溝状に形成されてもよい。図示例では、フェルールの係合部423の第1方向D1に交差する方向の断面形状は、所定の曲率で湾曲するU字状である。第1方向D1から見たとき、係合部423は第2方向D2の外側に向かって突出している。また、アダプタのガイド453の第1方向に交差する方向の断面形状は、係合部423の曲率と同じ曲率で湾曲するU字状を有している。
【0056】
図12に示すように、フェルールの係合部523が溝状に形成され、アダプタのガイドが係合部に対応するように第2方向において内側に突出してもよい。図示例では、フェルールの係合部523の第1方向D1に交差する方向の断面形状は、所定の曲率で湾曲するU字状である。また、アダプタのガイド553の第1方向に交差する方向の断面形状は、係合部の曲率と同じ曲率で湾曲するU字状を有している。
【0057】
図13に示すように、フェルールの係合部が第2方向において外方に突出し、アダプタのガイドが係合部に対応するように溝状に形成されてもよい。図示例では、フェルールの係合部623の第1方向D1に交差する方向の断面形状は、所定の曲率で湾曲するU字状である。第1方向D1から見たとき、係合部623は第2方向D2の外側に向かって突出している。また、アダプタのガイド653の第1方向D1に交差する方向の断面形状は、所定の角度で開いたV字状を有している。
【0058】
また、上記の各形態では、特に矛盾や問題がない限り、互いの構成を流用又は追加することができる。
【0059】
また、アダプタは、その全部が弾性材料によって構成されていなくてもよく、その一部が弾性材料によって構成されることで弾性変形可能であればよい。
【符号の説明】
【0060】
1…光接続構造
10…フェルール
11…光学端面
12…後端面
12a…突起
13…第1側面
14…第2側面
15…第3側面
16…第4側面
17…開口
18…光ファイバ保持孔(光ファイバ保持部)
23…係合部
23a…斜面
23b…斜面
23c…底部
30…バネ
40…アダプタ
41…筒状体
42…スリット
43…第1壁体
43a…第1内周面
44…第2壁体
44a…第2内周面
45…第3壁体
45a…第3内周面
46…第4壁体
46a…第4内周面
53…第1ガイド
53a…斜面
53b…斜面
53c…先端
54…第2ガイド
54a…斜面
54b…斜面
54c…先端
101…光接続構造
140…アダプタ
141…筒状体
142…スリット
143…第1壁体
143a…第1内周面
144…第2壁体
144a…第2内周面
145…第3壁体
145a…第3内周面
146…第4壁体
146a…第4内周面
153…第1ガイド
154…第2ガイド
223…係合部
223a…頂点
253…ガイド
323A…係合部
323Aa…底部
323B…係合部
323Ba…頂点
353…ガイド
353a…頂部
354…ガイド
423…係合部
453…ガイド
523…係合部
553…ガイド
623…係合部
653…ガイド
D1…第1方向
D2…第2方向
D3…第3方向
L1~L4…距離
S…仮想円
θ1~θ5…角度