(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-01-29
(45)【発行日】2026-02-06
(54)【発明の名称】複合共振器および電波屈折板
(51)【国際特許分類】
H01Q 15/02 20060101AFI20260130BHJP
【FI】
H01Q15/02
(21)【出願番号】P 2023566295
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(86)【国際出願番号】 JP2022044589
(87)【国際公開番号】W WO2023106238
(87)【国際公開日】2023-06-15
【審査請求日】2024-06-05
(31)【優先権主張番号】P 2021198812
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉川 博道
(72)【発明者】
【氏名】平松 信樹
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0212705(US,A1)
【文献】特開2013-062802(JP,A)
【文献】特開2015-231182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面方向に広がる第1導電体と、
前記第1導電体と第1方向に離れており、前記第1面方向に広がる第2導電体と、
前記第2導電体と前記第1方向に離れており、前記第1面方向に広がる第3導電体と、
前記第3導電体と前記第1方向に離れており、前記第1面方向に広がる第4導電体と、
前記第1導電体と、前記第2導電体と、前記第3導電体と、前記第4導電体との周囲に沿って複数設けられた前記第1方向と平行な接続導体と、を含み、
複数の前記接続導体は、前記第1導電体と、前記第2導電体と、前記第3導電体と、前記第4導電体とを電磁気的に接続するように構成されている、
複合共振器。
【請求項2】
前記第1導電体と、前記第2導電体とは、磁気的または容量的に接続され、
前記第2導電体と、前記第3導電体とは、磁気的または容量的に接続され、
前記第3導電体と、前記第4導電体とは、磁気的または容量的に接続されている、
請求項1に記載の複合共振器。
【請求項3】
互いに隣接する前記接続導体間の間隔は、受信電波の波長以下である、
請求項1または2に記載の複合共振器。
【請求項4】
互いに隣接する前記接続導体間の間隔は、前記受信電波の半波長以下である、
請求項3に記載の複合共振器。
【請求項5】
前記第2導電体と、前記第3導電体とは、前記第1導電体と、前記第4導電体とを磁気的または容量的に接続する結合孔を有する、
請求項1または2に記載の複合共振器。
【請求項6】
前記第1導電体と、前記第4導電体とは、枠状に構成されている、
請求項1または2に記載の複合共振器。
【請求項7】
請求項
1に記載の複合共振器を複数含み、
複数の前記複合共振器は前記第1面方向に並んでいる、
電波屈折板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合共振器および電波屈折板に関する。
【背景技術】
【0002】
誘電体レンズを用いずに、電磁波を制御する技術が知られている。例えば、特許文献1には、共振器素子を配列した構造において、各素子のパラメータを変化させることで、電波を屈折させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本開示に係る複合共振器は、第1面方向に広がる第1導電体と、前記第1導電体と第1方向に離れており、前記第1面方向に広がる第2導電体と、前記第2導電体と前記第1方向に離れており、前記第1面方向に広がる第3導電体と、前記第3導電体と前記第1方向に離れており、前記第1面方向に広がる第4導電体と、前記第1導電体と、前記第2導電体と、前記第3導電体と、前記第4導電体との周囲に沿って複数設けられた前記第1方向と平行な接続導体と、を含み、複数の前記接続導体は、前記第1導電体と、前記第2導電体と、前記第3導電体と、前記第4導電体とを電磁気的に接続するように構成されている。
【0005】
本開示に係る複合共振器は、第1面方向に広がる第1導電体と、前記第1導電体と第1方向に離れており、前記第1面方向に広がる第2導電体と、前記第1導電体と、前記第2導電体との周囲に沿って複数設けられた前記第1方向と平行な接続導体と、を含み、複数の前記接続導体は、前記第1導電体と、前記第2導電体とを電磁気的に接続するように構成されている。
【0006】
本開示に係る電波屈折板は、本開示の複合共振器を複数含み、複数の前記複合共振器は前記第1面方向に並んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、電波屈折板の概要を説明するための図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る単位構造の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る単位構造の構成例の上面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る単位構造の構成例の側面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態の変形例の第1の例に係る単位構造の構成例を示す図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態の変形例の第2の例に係る単位構造の構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る電波屈折板の構成例を示す図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る単位構造の位相変化量を説明するための図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る電波屈折板の構成例を示す図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態に係る電波屈折板の構成例を示す上面図である。
【
図11】
図11は、第3実施形態に係る電波屈折板の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下に説明する実施形態により本開示が限定されるものではない。
【0009】
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内のX軸と平行な方向をX軸方向とし、X軸と直交する水平面内のY軸と平行な方向をY軸方向とし、水平面と直交するZ軸と平行な方向をZ軸方向とする。また、X軸およびY軸を含む平面を適宜XY平面と称し、X軸およびZ軸を含む平面を適宜XZ平面と称し、Y軸およびZ軸を含む平面を適宜YZ平面と称する。XY平面は、水平面と平行である。XY平面とXZ平面とYZ平面とは直交する。
【0010】
[概要]
(電波屈折板)
図1を用いて、電波屈折板の概要について説明する。
図1は、電波屈折板の概要を説明するための図である。
【0011】
図1に示すように、電波屈折板1は、複数の単位構造10と、基板12と、を含む。
【0012】
複数の単位構造10は、XY面方向に並んでいる、XY面方向は、第1面方向とも呼ばれ得る。すなわち、複数の単位構造10は、2次元的に並んでいる。本実施形態では、複数の単位構造10は、それぞれ、共振構造を有する。単位構造10の構造については、後述する。基板12は、例えば、誘電体で形成された誘電体基板であり得る。すなわち、本実施形態では、電波屈折板1は、共振構造を有する複数の単位構造10を誘電体から構成された基板12に、単位構造10を2次元的に並ぶことで構成されている。
【0013】
[第1実施形態]
図2と、
図3と、
図4とを用いて、第1実施形態に係る単位構造の構成例について説明する。
図2は、第1実施形態に係る単位構造の構成例を示す図である。
図3は、第1実施形態に係る単位構造の構成例の上面図である。
図4は、第1実施形態に係る単位構造の構成例の側面図である。
【0014】
図2に示すように、単位構造10は、第1導電体14と、第2導電体16と、第3導電体18と、第4導電体20と、複数の接続導体22と、を含む。単位構造10は、複合共振器の一種である。
【0015】
第1導電体14は、基板12において、XY平面に平がるように並び得る。第1導電体14は、例えば、枠状に形成された矩形の導体であり得る。
図2に示す例では、第1導電体14は、枠状に形成された矩形の導電体として示しているが、本開示はこれに限定されない。第1導電体14の形状は、例えば、枠状に形成された円形、および枠状に形成された矩形を除く多角形であってもよい。第1導電体14の形状は、設計に応じて、任意に変更し得る。
【0016】
第2導電体16は、基板12において、第1導電体14からZ軸方向の離れた位置で、XY平面に広がるように並び得る。第2導電体16は、例えば、矩形に形成された導電体であり得る。第2導電体16は、単位構造10の基準導体(例えば、グラウンド導体)であり得る。第2導電体16は、第1導電体14と、第2導電体16とを磁気的または容量的に接続するための結合孔16aを有する。
図3に示すように、結合孔16aは、例えば、第2導電体16の中央部に形成されている。結合孔16aは、第1導電体14の内枠よりも小さい。結合孔16aは、矩形に形成されているが、本開示はこれに限定されない。
図2に示す例では、第2導電体16は、矩形の導電体として示しているが、本開示はこれに限定されない。第2導電体16の形状は、例えば、円形、および矩形を除く多角形であってもよい。第2導電体16の形状は、設計に応じて、任意に変更し得る。
【0017】
第3導電体18は、基板12において、第2導電体16からZ軸方向の離れた位置で、XY平面に広がるように並び得る。第3導電体18は、例えば、矩形に形成された導電体であり得る。第3導電体18は、単位構造10の基準導体(例えば、グラウンド導体)であり得る。第3導電体18は、第2導電体16と、第3導電体18とを磁気的または容量的に接続し、かつ第3導電体18と、第4導電体20とを磁気的または容量的に接続する結合孔18aを有する。結合孔18aは、例えば、第3導電体18の中央部に形成されている。結合孔18aは、結合孔16aと同一の形状を有している。
図2に示す例では、第3導電体18は、矩形の導電体として示しているが、本開示はこれに限定されない。第3導電体18の形状は、例えば、円形、および矩形を除く多角形であってもよい。第3導電体18の形状は、設計に応じて、任意に変更し得る。第3導電体18は、第2導電体16と同一の形状に形成され得る。
【0018】
第4導電体20は、基板12において、第
3導電体
18からZ軸方向の離れた位置で、XY平面に広がるように並び得る。第4導電体20は、例えば、枠状に形成された矩形の導体であり得る。
図2に示す例では、第4導電体20は、枠状に形成された矩形の導電体として示しているが、本開示はこれに限定されない。第4導電体20の形状は、例えば、枠状に形成された円形、および枠状に形成された矩形を除く多角形であってもよい。第4導電体20の形状は、設計に応じて、任意に変更し得る。第4導電体20は、第1導電体14と同一の形状に形成され得る。
【0019】
第1導電体14と、第2導電体16と、第3導電体18と、第4導電体20とは、同一の外形寸法を有している。
【0020】
接続導体22は、第1導電体14と、第2導電体16と、第3導電体18と、第4導電体20とを電磁気的に接続する。接続導体22は、一端が第1導電体14に電磁気的に接続され、他端が第4導電体20に電磁気的に接続されている。接続導体22は、例えば、第1導電体14から第4導電体20にわたって形成されたZ軸方向に平行なビアであり得る。接続導体22は、第1導電体14と、第2導電体16と、第3導電体18と、第4導電体20との周囲に沿って複数設けられている。接続導体22は、例えば、第1導電体14と、第2導電体16と、第3導電体18と、第4導電体20との周囲に沿って等間隔で設けられている。
図4に示すように、互いに隣接する接続導体22間の間隔Lは、例えば、単位構造10が基地局などから受ける電波の波長以下であり得る。間隔Lは、例えば、単位構造10が基地局などから受ける電波の半波長以下であることが好ましい。
【0021】
単位構造10において、第1導電体14と、第2導電体16とは、磁気的または容量的に接続されている。第1導電体14と、第2導電体16とは、1つの共振器を構成している。
【0022】
単位構造10において、第2導電体16と、第3導電体18とは、磁気的または容量的に接続されている。第2導電体16と、第3導電体18とは、1つの共振器を構成している。
【0023】
単位構造10において、第3導電体18と、第4導電体20とは、磁気的または容量的に接続されている。第3導電体18と、第4導電体20とは、1つの共振器を構成している。
【0024】
単位構造10は、第1導電体14から第4導電体20により3つの共振器が復号化されている。単位構造10は、3つの共振器の伝搬特性によって位相シフト、バンドパスフィルタ、ハイパスフィルタ、およびロウパスフィルタのいずれか1つ、または複数の機能を奏しうる。
【0025】
[第1実施形態の変形例]
次に、第1実施形態の変形例について説明する。たとえば、
図2に示した単位構造10は、接続導体22が、第2導電体16と第3導電体18とを貫通しているような構造となっているが、第1実施形態はこれに限られない。
【0026】
図5は、第1実施形態の変形例の第1の例に係る単位構造の構成例を示す図である。
図5に示す単位構造10aのように、第2導電体16と第3導電体18との間に配される接続導体22の一部分は、第1導電体14と第2導電体16との間に配される接続導体22の一部分よりも、外側に配されるようにしてもよい。
【0027】
このように配されることで、第2導電体16と第3導電体の接続導体22で囲まれる領域が広がる。その結果、対応する電磁波の波長を長くすることができる。
【0028】
図6は、第1実施形態の変形例の第2の例に係る単位構造の構成例を示す図である。
図6に示す単位構造10bのように、
図5に示す単位構造10aとは逆に、第2導電体16と第3導電体18との間に配される接続導体22の一部分が、第1導電体14と第2導電体16との間に配される接続導体22の一部分よりも、内側に配されるようにしてもよい。その結果、第2導電体16と第3導電体の接続導体22で囲まれる領域の対応する電磁波の波長を逆に短くすることができる。
【0029】
[電波屈折板]
図7を用いて、第1実施形態に係る電波屈折板の構成例について説明する。
図7は、第1実施形態に係る電波屈折板の構成例を示す図である。
【0030】
図7に示すように、電波屈折板1Aは、複数の単位構造10Aと、複数の単位構造10Bと、複数の単位構造10Cと、複数の単位構造10Dと、を含む。単位構造10Aと、単位構造10Bと、単位構造10Cと、単位構造10Dとは、XY平面に2次元的に並んでいる。単位構造10Aと、単位構造10Bと、単位構造10Cと、単位構造Dとは、XY平面において、格子状に並んでいる。単位構造10Aと、単位構造10Bと、単位構造10Cと、単位構造10Dとは、入射してきた電磁波の位相を変化させて出射するように構成されている。電波屈折板1Aにおいて
、XY平面の面内方向であるX方向またはY方向における、隣接する2つの単位構造は、入射してきた電磁波の位相をシフトさせる位相差が異なるように構成されている。
【0031】
図7に示す例では、電波屈折板1AのX方向に沿った1列目には、複数の単位構造10Aが並んでいる。電波屈折板1AのX方向に沿った2列目には、複数の単位構造10Bが並んでいる。電波屈折板1AのX方向に沿った3列目には、複数の単位構造10Cが並んでいる。電波屈折板1AのX方向に沿った4列目には、複数の単位構造10Dが並んでいる。電波屈折板1AのX方向に沿った5列目には、複数の単位構造10Aが並んでいる。電波屈折板1AのX方向に沿った6列目には、複数の単位構造10Bが並んでいる。電波屈折板1AのX方向に沿った7列目には、複数の単位構造10Cが並んでいる。電波屈折板1AのX方向に沿った8列目には、複数の単位構造10Dが並んでいる。
【0032】
単位構造10Aの第2導電体16Aは、結合孔16Aaを有する。単位構造10Bの第2導電体16Bは、結合孔16Baを有する。単位構造10Cの第2導電体16Cは、結合孔16Caを有する。単位構造10Dの第2導電体16Dは、結合孔16Daを有する。
【0033】
単位構造10Aから単位構造10Dは、それぞれ、各導電体の外径寸法が異なる。単位構造10A、単位構造10B、単位構造10C、単位構造10Dの順に各導電体の外径寸法が小さくなるように構成されている。また、結合孔16Aa、結合孔16Ba、結合孔16Ca、結合孔16Daの順に小さくなるように構成されている。
【0034】
すなわち、単位構造10Aから単位構造10Dは、それぞれ、共振周波数が異なるように構成されている。すなわち、電波屈折板1Aにおいて、各単位構造を並べる位置に応じて共振周波数を変化させることで、位相変化量を変化させている。
【0035】
本実施形態において、
図7に示す例では、単位構造10Aと、単位構造10Bと、単位構造10Cと、単位構造10Dとの4つの単位構造により、電波屈折板1Aに入射した電磁波の位相を360°変化するように構成されている。
【0036】
図8を用いて、第1実施形態に係る単位構造の位相変化量について説明する。
図8は、単位構造の位相変化量を説明するための図である。
【0037】
本実施形態において、
図7に示す例では、単位構造10Aと、単位構造10Bと、単位構造10Cと、単位構造10Dとの4つの単位構造により、電波屈折板1Aに入射した電磁波の位相を360°変化するように構成されている。
図8は、Y軸方向の位相の変化量を示す。具体的には、
図8は、電波屈折板1Aに到来した平面波を平面波のまま方向を屈折させて出射する例を示している。ポイントP1は、入射する電磁波の位相を示し、位相変化量は0°である。ポイントP2は、Y軸方向の1個目の単位構造10Aの位相の変化量を示し、位相変化量は90°である。ポイントP3は、Y軸方向の1個目の単位構造10Bの位相変化量を示し、位相変化量は180°である。ポイントP4は、Y軸方向の1個目の単位構造10Cの位相変化量を示し、位相変化量は270°である。ポイントP5は、Y軸方向の1個目の単位構造10Dの位相変化量を示し、位相変化量は360°である。ポイントP6、ポイントP7、ポイントP8、およびポイントP9は、それぞれ、2個目の単位構造10A、単位構造10B、単位構造10C、および単位構造10Dの位相変化量を示している。2個目の単位構造10A、単位構造10B、単位構造10C、および単位構造10Dの位相変化量は、それぞれ、450°、540°、630°、および720°である。すなわち、本実施形態では、単位構造10Aと、単位構造10Bと、単位構造10Cと、単位構造10Dの4つの単位構造で、電波屈折板1Aに到来した電磁波の位相を360°変化させるように構成されている。
【0038】
単位構造10は、単位セルと呼ばれうる。例えば、単位構造10A,10B,10C,10Dの各々は単位セルと呼ばれうる。構造の異なる複数の単位セルが並ぶ繰り返し単位は、スーパーセルと呼ばれうる。例えば、単位構造10A,10B,10C,10Dの並びをスーパーセルと呼びうる。スーパーセルは、0°から360°の位相変化が生じる等の機能を有しうる。電波屈折板1は、スーパーセルを一つのユニットとしてセル化することで大面積化されうる。なお、スーパーセルとなりうる位相変化の単位は、0°から360°に限られず、0°から360°×n倍(ここでnは自然数である。)までのものを1つの単位としうる。
【0039】
すなわち、
図7に示す例では、Y軸方向に並ぶ複数の単位構造において、Y方向又は-Y方向に進むにつれて、基準となる単位構造(例えば、単位構造10A)に対して位相差が大きくなるように構成されている。
図7に示す例では、Y軸方向に並ぶ複数の単位構造において、位相差は、Y方向又は-Y方向進むごとに第1位相差(例えば、90°)で位相が進む、または遅くなるように構成されている。
【0040】
電波屈折板1Aにおいて、隣り合う単位構造の間隔をd、隣り合う位相変化量の差をΔΦ、電波屈折板1Aに到来した電磁波を屈折させる角度をθ、電波屈折板1Aに到来した電磁波の波数をkとすると、「ΔΦ=kdsinθ」
という関係が成り立つ。
図8に示す例では、位相変化量の勾配をY軸方向として説明したが、本開示はこれに限定されない。本開示では、位相変化量の勾配を任意の方向にとることによって、屈折させる方向を任意に設計することができる。また、
図8に示す例では、位相変化量は線形に変化させるものとして説明したが、本開示はこれに限定されない。本開示では、例えば、位相変化量の勾配を曲線にすることによって、電波屈折板1Aに到来した平面波を任意の場所に収束させたり、拡散させたりすることができる。
【0041】
なお、
図8に示す例において、X軸方向で隣接する2つの単位構造が出射する電磁波の位相差は90°であるものとして説明したが、本開示はこれに限定されない。隣接する2つの単位構造が出射する電磁波の位相差は、例えば、30°、45°、60°などであってもよい。すなわち、隣接する2つの単位構造が出射する電磁波の位相差は、任意であってもよい。
【0042】
また、
図8に示す例において、単位構造10Aと単位構造10Bとが出射する電磁波の位相差、単位構造10Bと単位構造10Cとが出射する電磁波の位相差、単位構造10Cと単位構造10Dとが出射する電磁波の位相差、単位構造10Dと単位構造10Aとが出射する電磁波の位相差は、それぞれ、90°で同じであるが、本開示はこれに限定されない。単位構造10Aと単位構造10Bとが出射する電磁波の位相差、単位構造10Bと単位構造10Cとが出射する電磁波の位相差、単位構造10Cと単位構造10Dとが出射する電磁波の位相差、単位構造10Dと単位構造10Aとが出射する電磁波の位相差は、それぞれ、異なっていてもよい。単位構造10Aと単位構造10Bとが出射する電磁波の位相差、単位構造10Bと単位構造10Cとが出射する電磁波の位相差、単位構造10Cと単位構造10Dとが出射する電磁波の位相差、単位構造10Dと単位構造10Aとが出射する電磁波の位相差は、設計や使用用途などに応じて設定すればよい。
【0043】
上述のとおり、第1実施形態は、到来した電磁波の位相を360°変化させるように、第1導電体14から第4導電体20の外径寸法が異なる複数の単位構造を2次元的に配列する。これにより、第1実施形態は、到来した電磁波の位相を360°変化させるよう配列のセットを繰り返すことで、電波屈折板1Aの面積を大きくすることができる。
【0044】
[第2実施形態]
図9を用いて、第2実施形態に係る電波屈折板の構成例について説明する。
図9は、第2実施形態に係る電波屈折板の構成例を示す図である。
【0045】
図9に示すように、第2実施形態に係る電波屈折板1Bは、複数の単位構造10Aと、複数の単位構造10Bと、複数の単位構造10Cと、複数の単位構造10Dと、を含む。単位構造10Aから単位構造10Dは、XY平面において、放射状に並んでいる点で、
図7に示す電波屈折板1Aとは異なる。
【0046】
図9に示す例では、電波屈折板1BのY方向に沿った1行目には、単位構造10B、単位構造10A、単位構造10B、単位構造10C、単位構造10C、単位構造10B、単位構造10A、および単位構造10Bが順に並んでいる。
【0047】
図9に示す例では、電波屈折板1BのY方向に沿った2行目には、単位構造10C、単位構造10B、単位構造10C、単位構造10D、単位構造10D、単位構造10C、単位構造10B、および単位構造10Cが順に並んでいる。
【0048】
図9に示す例では、電波屈折板1BのY方向に沿った3行目には、単位構造10C、単位構造10B、単位構造10C、単位構造10D、単位構造10D、単位構造10C、単位構造10B、および単位構造10Cが順に並んでいる。
【0049】
図9に示す例では、電波屈折板1BのY方向に沿った4行目には、単位構造10B、単位構造10A、単位構造10B、単位構造10C、単位構造10C、単位構造10B、単位構造10A、および単位構造10Bが順に並んでいる。
【0050】
すなわち、電波屈折板1Bの中心の領域には、単位構造10Aから単位構造10Dのうち、第1導電体14から第4導電体20の外径寸法が最も小さい単位構造10Eが4個並んでいる。そして、電波屈折板1Bにおいては、4個の単位構造10Dを中心にして、単位構造10Aと、単位構造10B、単位構造10Cとが放射状に並んでいる。
【0051】
図9に示す例では、単位構造10Aから単位構造10Dの4つの単位構造により、電波屈折板1Bに入射した電磁波の位相を360°変化するように構成されている。電波屈折板1Bは、XY平面の第1放射方向に並ぶ複数の単位構造において、位相差が中心から外側に向かう方向又は外側から中心に向かう方向に進むにつれて、基準となる単位構造(例えば、単位構造10D)に対して大きくなるように構成されている。電波屈折板1Bは、XY平面の第1放射方向に並ぶ複数の単位構造において、位相差が中心から外側に向かう方向又は外側から中心に向かう方向に進むごとに位相差(例えば、90°)で進む又は遅くなるように構成されている。
【0052】
上述のとおり、第2実施形態は、到来した電磁波の位相を360°変化させるように、第1導電体14から第4導電体20の外径寸法が異なる複数の単位構造を2次元的に放射状に配列する。これにより、第1実施形態は、到来した電磁波の位相を360°変化させるよう配列のセットを繰り返すことで、電波屈折板1Bの面積を大きくすることができる。
【0053】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。
【0054】
第1実施形態では、電波屈折板1Aにおいて、単位構造10Aから単位構造10Dのように、第1導電体14から第4導電体20の外径寸法が異なる複数の単位構造を配列するものとして説明したが、本開示はこれに限定されない。本開示においては、例えば、電波屈折板1Aにおいて、Y軸方向に沿って単位構造の高さを変化させて配列するようにしてもよい。
【0055】
図10と、
図11とを用いて、第3実施形態に係る電波屈折板の構成例について説明する。
図10は、第3実施形態に係る電波屈折板の構成例を示す上面図である。
図11は、第3実施形態に係る電波屈折板の構成を示す断面図である。
【0056】
図10に示すように、電波屈折板1Bは、単位構造10Eと、単位構造10F、単位構造10Gと、単位構造10Hと、を含む。例えば、単位構造10E、単位構造10F、単位構造10G、単位構造10Hの順に高さが低くなるように構成され得る。
【0057】
図11は、
図10におけるA-A断面図を示す。
図11に示すように、単位構造10Eは、第1導電体14Eと、第2導電体16Eと、第3導電体18Eと、第4導電体20Eと、を含む。第1導電体14Eから第4導電体20Eは、図示しない接続導体により電磁気的に接続されている。
【0058】
第2導電体16Eと、第3導電体18Eとは、それぞれ、1枚の導電体により構成されている。第2導電体16Eは、結合孔16Eaを有する。第3導電体18Eは、結合孔18Eaを有する。結合孔16Eaと、結合孔18Eaとの形状と、大きさとは同じであり得る。
【0059】
図11に示すように、単位構造10Fは、第1導電体14Fと、第2導電体16Fと、第3導電体18Fと、第4導電体20Fと、を含む。第1導電体14Fから第4導電体20Fは、図示しない接続導体により電磁気的に接続されている。
【0060】
第1導電体14Fおよび第4導電体20Fは、それぞれ、単位構造10Eの第1導電体14Eおよび第4導電体20Eと同一の形状を有する。
【0061】
第2導電体16Fと、第3導電体18Fとは、それぞれ、2枚の導電体が対向する2層構造を有する。第2導電体16Fは、結合孔16Faを有する。第3導電体18Fは、結合孔18Faを有する。結合孔16Faと、結合孔18Faとの形状と、大きさは同じであり得る。
【0062】
第2導電体16Fおよび第3導電体18Fの高さは、それぞれ、単位構造10Eの第2導電体16Eおよび第3導電体18Eの高さよりも高い。結合孔16Faおよび結合孔18Faの大きさは、それぞれ、単位構造10Eの結合孔16Eaおよび結合孔18Eaよりも小さい。
【0063】
図11に示すように、単位構造10Gは、第1導電体14Gと、第2導電体16Gと、第3導電体18Gと、第4導電体20Gと、を含む。第1導電体14Gから第4導電体20Gは、図示しない接続導体により電磁気的に接続されている。
【0064】
第1導電体14Gおよび第4導電体20Gは、それぞれ、単位構造10Eの第1導電体14Eと、第4導電体20Eと、同一の形状を有する。
【0065】
第2導電体16Gと、第3導電体18Gとは、それぞれ、2枚の導電体が対向する2層構造を有する。第2導電体16Gは、結合孔16Gaを有する。第3導電体18Gは、結合孔18Gaを有する。結合孔16Gaと、結合孔18Gaとの形状と、大きさは同じであり得る。
【0066】
第2導電体16Gおよび第3導電体18Gの高さは、それぞれ、単位構造10Fの第2導電体16Fおよび第3導電体18Fの高さよりも高い。結合孔16Gaおよび結合孔18Gaの大きさは、それぞれ、単位構造10Fの結合孔16Faおよび結合孔18Faよりも小さい。
【0067】
図11に示すように、単位構造10Hは、第1導電体14Hと、第2導電体16Hと、第3導電体18Hと、第4導電体20Hと、を含む。第1導電体14Hから第4導電体20Hは、図示しない接続導体により電磁気的に接続されている。
【0068】
第1導電体14Hと、第4導電体20Hとは、それぞれ、単位構造10Eの第1導電体14Eと、第4導電体20Eと、同一の形状を有する。
【0069】
第2導電体16Hと、第3導電体18Hとは、それぞれ、2枚の導電体が対向する2層構造を有する。第2導電体16Hは、結合孔16Haを有する。第3導電体18Hは、結合孔18Haを有する。結合孔16Haと、結合孔18Haとの形状と、大きさは同じであり得る。
【0070】
第2導電体16Hおよび第3導電体18Hの高さは、それぞれ、単位構造10Gの第2導電体16Gおよび第3導電体18Gの高さよりも高い。結合孔16Haおよび結合孔18Haの大きさは、それぞれ、結合孔16Gaおよび結合孔18Gaよりも小さい。
【0071】
第3実施形態では、第2導電体16Eから第2導電体16H、および第3導電体18Eから第3導電体18Hの高さを変えることで、単位構造10Eから単位構造10Hの高さ寸法を同一にしている。
【0072】
第3実施形態においては、単位構造10Eから単位構造10Hを2次元的に配列し得る。単位構造10Eから単位構造10Hは、例えば、
図7および
図9に示す単位構造10Aから単位構造10Dのように格子状または放射状に配置し得る。
【0073】
上述のとおり、第3実施形態は、到来した電磁波の位相を360°変化させるように、高さ寸法が異なる複数の単位構造を2次元的に配列する。これにより、第1実施形態は、到来した電磁波の位相を360°変化させるよう配列のセットを繰り返すことで、電波屈折板の面積を大きくすることができる。
【0074】
以上、本開示の実施形態を説明したが、実施形態の素子は、空間フィルタとしての機能を有している。この結果、空間フィルタの周波数シフトで位相を制御することで容易に設計可能である。また、透過板の素子として相似形を取る必要はなくなり、各種実施形態の素子を混在させても透過板として機能できる。この際、一般的なフィルタとしての性質として、段数と素子間の結合を決めると規格化フィルタとしての位相も決定される。つまり、共振器間結合をインダクタ性にするか容量性にするかよってフィルタの初期位相を変えることができる。例えば、空間フィルタにおいて、透過板の素子の低位相側を容量性にし、高位相側をインダクタ性にすることで設計を容易にし得る。例えば、空間フィルタにおいて、透過板の素子の低位相側をインダクタ性にし、高位相側を容量性にすることで設計を容易にし得る。低位相側と高位相側との境としては、180°に限られず、120°、135°、150°、210°、225°、240°といった種々の角度を採用しうる。空間フィルタの1つのスーパーセルにおける位相範囲が0°から360°×nとなる場合、複数の位相の境を含みうる。この複数の位相の境は、単一角度に限られず、個々に独立しうる。
【0075】
以上、本開示の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本開示が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0076】
1 電波屈折板
10 単位構造
12 基板
14 第1導電体
16 第2導電体
16a,18a 結合孔
18 第3導電体
20 第4導電体
22 接続導体