(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2026-01-30
(45)【発行日】2026-02-09
(54)【発明の名称】基板積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
H10W 76/10 20260101AFI20260202BHJP
H10W 76/18 20260101ALI20260202BHJP
G03F 7/038 20060101ALN20260202BHJP
G03F 7/075 20060101ALN20260202BHJP
【FI】
H10W76/10 F
H10W76/18 A
G03F7/038 503
G03F7/075 511
(21)【出願番号】P 2023511435
(86)(22)【出願日】2022-03-29
(86)【国際出願番号】 JP2022015716
(87)【国際公開番号】W WO2022210799
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2025-01-20
(31)【優先権主張番号】P 2021055638
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 悠太
(72)【発明者】
【氏名】小川 歩
(72)【発明者】
【氏名】木下 大希
【審査官】▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-018410(JP,A)
【文献】特開2019-081342(JP,A)
【文献】国際公開第2014/021232(WO,A1)
【文献】特開2018-101038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10W 76/10
H10W 76/18
G03F 7/038
G03F 7/075
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板の一方の面に感光性組成物を塗布することにより、前記一方の面に塗膜を形成する工程Saと、
フォトマスクを通して前記塗膜に活性エネルギー線を照射することにより、前記塗膜において、半硬化状態の前記感光性組成物から構成される露光部と、非露光部とを形成する工程Sbと、
アルカリ性現像液で前記非露光部を前記第1基板上から除去することにより、前記第1基板上にパターン化された前記塗膜を形成する工程Scと、
前記パターン化された塗膜を加熱して、半硬化状態の前記感光性組成物を更に硬化させることにより、パターン化された硬化物から構成される第1層を得る工程Sdと、
前記第1層と第2基板とを接着剤を介して貼り合わせた後、前記接着剤を硬化させて、前記第1層と前記第2基板とを接着する第2層を得る工程Seとを備え、
前記感光性組成物は、カチオン重合性基を有する硬化性化合物と、光カチオン重合開始剤とを含有し、かつ、アルカリ可溶性を有し、
前記工程Seの前の前記第1層における前記硬化性化合物の反応率が、90%以上である、基板積層体の製造方法。
【請求項2】
前記工程Sdの後、かつ前記工程Seの前に、前記第1基板と前記第1層との積層物をダイシングすることにより、個片化された積層物を得る工程Sf1を更に備え、
前記工程Seにおいて、前記個片化された積層物の前記第1層と、前記第2基板とを前記接着剤を介して貼り合わせる、請求項1に記載の基板積層体の製造方法。
【請求項3】
前記工程Seの後に、前記第1基板、前記第1層、前記第2層及び前記第2基板がこの順に積層された積層物をダイシングすることにより、個片化された積層物を得る工程Sf2を更に備える、請求項1に記載の基板積層体の製造方法。
【請求項4】
前記アルカリ性現像液は、アルカリ成分を含み、
前記工程Seの前の前記第1層における前記アルカリ成分の含有量が、1000ppm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の基板積層体の製造方法。
【請求項5】
前記工程Seの前の前記第1層の軟化点が、100℃以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の基板積層体の製造方法。
【請求項6】
前記工程Seの前の前記第1層の温度100℃におけるナノインデンテーション試験法で測定した弾性率が、1500N/mm
2以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の基板積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板積層体、イメージセンサ、及び基板積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CMOSセンサやCCDセンサ等のイメージセンサは、デジタルカメラやスマートフォン等に使用されており、近年では、自動車や工場の監視カメラの普及に伴い使用量が増大するとともに、小型化・高精細化がますます要求されてきている。
【0003】
イメージセンサを構成する基板積層体は、例えば、受光素子を有する半導体素子基板とガラス基板とが、パターン化された層を介して貼り合わされた中空構造を有する。例えば、特許文献1では、中空構造を有する基板積層体を、以下の手順で得ている。
【0004】
まず、第1基板(例えばガラス基板)の一方の面に感光性組成物を塗布することにより、第1基板上に塗膜を形成する。次いで、フォトマスクを通して塗膜に光を照射することにより、塗膜において、半硬化状態の感光性組成物から構成される露光部と、非露光部とを形成する。次いで、アルカリ性現像液で非露光部を第1基板上から除去することにより、第1基板上にパターン化された半硬化状態の塗膜(以下、「パターン膜」と記載することがある)を形成する。次いで、パターン膜が形成された第1基板と、第2基板(例えば半導体素子基板)とを、パターン膜を介して貼り合わせた後、パターン膜を硬化させて、第1基板と第2基板とを接着する。以上の工程を経て、中空構造を有する基板積層体が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、半硬化状態のパターン膜には異物が付着することがある。パターン膜に異物が付着した状態で、第1基板と第2基板とを、パターン膜を介して貼り合わせようとすると、上記異物に起因してパターン膜と第2基板との間で位置ずれが生じることがある。また、異物に起因してパターン膜にクラックが生じることもある。従って、異物が混入しにくい基板積層体が求められている。
【0007】
特許文献1に記載の技術には、基板間の接着性を高めつつ、異物の混入を抑制することについて、改善の余地が残されている。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、基板間の接着性に優れつつ、異物が混入しにくい基板積層体及びその製造方法、並びに当該基板積層体を有するイメージセンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る基板積層体の製造方法は、工程Saと、工程Sbと、工程Scと、工程Sdと、工程Seとを備える。前記工程Saでは、第1基板の一方の面に感光性組成物を塗布することにより、前記一方の面に塗膜を形成する。前記工程Sbでは、フォトマスクを通して前記塗膜に活性エネルギー線を照射することにより、前記塗膜において、半硬化状態の前記感光性組成物から構成される露光部と、非露光部とを形成する。前記工程Scでは、アルカリ性現像液で前記非露光部を前記第1基板上から除去することにより、前記第1基板上にパターン化された前記塗膜を形成する。前記工程Sdでは、前記パターン化された塗膜を加熱して、半硬化状態の前記感光性組成物を更に硬化させることにより、パターン化された硬化物から構成される第1層を得る。前記工程Seでは、前記第1層と第2基板とを接着剤を介して貼り合わせた後、前記接着剤を硬化させて、前記第1層と前記第2基板とを接着する第2層を得る。前記感光性組成物は、カチオン重合性基を有する硬化性化合物と、光カチオン重合開始剤とを含有し、かつ、アルカリ可溶性を有する。前記工程Seの前の前記第1層における前記硬化性化合物の反応率は、90%以上である。
【0010】
本発明の一実施形態に係る基板積層体の製造方法は、前記工程Sdの後、かつ前記工程Seの前に、前記第1基板と前記第1層との積層物をダイシングすることにより、個片化された積層物を得る工程Sf1を更に備え、前記工程Seにおいて、前記個片化された積層物の前記第1層と、前記第2基板とを前記接着剤を介して貼り合わせる。
【0011】
本発明の一実施形態に係る基板積層体の製造方法は、前記工程Seの後に、前記第1基板、前記第1層、前記第2層及び前記第2基板がこの順に積層された積層物をダイシングすることにより、個片化された積層物を得る工程Sf2を更に備える。
【0012】
本発明の一実施形態に係る基板積層体の製造方法では、前記アルカリ性現像液がアルカリ成分を含み、前記工程Seの前の前記第1層における前記アルカリ成分の含有量が1000ppm以下である。
【0013】
本発明の一実施形態に係る基板積層体の製造方法では、前記工程Seの前の前記第1層の軟化点が100℃以上である。
【0014】
本発明の一実施形態に係る基板積層体の製造方法では、前記工程Seの前の前記第1層の温度100℃におけるナノインデンテーション試験法で測定した弾性率が、1500N/mm2以上である。
【0015】
本発明に係る基板積層体は、第1基板、第2基板、及び前記第1基板と前記第2基板とを接着する硬化物層を有する。前記硬化物層は、前記第1基板側から、感光性組成物の硬化物から構成される第1層、及び接着剤の硬化物から構成される第2層をこの順に有する。前記第1層は、パターン化されている。前記感光性組成物は、カチオン重合性基を有する硬化性化合物と、光カチオン重合開始剤とを含有し、かつアルカリ可溶性を有する。
【0016】
本発明の一実施形態に係る基板積層体では、前記第2層の壁面が曲面である。
【0017】
本発明の一実施形態に係る基板積層体では、前記硬化物層が、前記第1層の壁面の少なくとも一部を被覆する被覆層を更に有し、前記被覆層と前記第2層とが一体的に形成されている。
【0018】
本発明の一実施形態に係る基板積層体では、前記第1基板及び前記第2基板のいずれか一方が、透明基板である。
【0019】
本発明の一実施形態に係る基板積層体では、前記第1基板及び前記第2基板のうち、一方が透明基板であり、もう一方が半導体素子基板である。
【0020】
本発明の一実施形態に係る基板積層体では、前記カチオン重合性基は、グリシジル基及び脂環式エポキシ基からなる群より選択される1種以上である。
【0021】
本発明の一実施形態に係る基板積層体では、前記第1基板は、ガラス基板である。
【0022】
本発明の一実施形態に係る基板積層体では、前記接着剤は、エポキシ系接着剤である。
【0023】
本発明の一実施形態に係る基板積層体では、前記硬化性化合物は、ポリシロキサン化合物である。
【0024】
本発明の一実施形態に係る基板積層体では、前記ポリシロキサン化合物は、下記化学式(X1)で表される1価の有機基、下記化学式(X2)で表される2価の有機基、フェノール性水酸基、及びカルボキシ基からなる群より選択される1種以上のアルカリ可溶性基を更に有する。
【0025】
【0026】
本発明の一実施形態に係る基板積層体では、前記第1層の高さが30μm以上である。
【0027】
本発明の一実施形態に係る基板積層体は、前記第1基板と前記第2基板との間に中空部を有する中空構造体である。
【0028】
本発明に係るイメージセンサは、本発明に係る基板積層体を含む。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、基板間の接着性に優れつつ、異物が混入しにくい基板積層体及びその製造方法、並びに当該基板積層体を有するイメージセンサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明に係る基板積層体の一例を示す断面図である。
【
図2】本発明に係る基板積層体の他の例を示す部分断面図である。
【
図3】本発明に係る基板積層体の他の例を示す部分断面図である。
【
図4】本発明に係る基板積層体の他の例を示す部分断面図である。
【
図5】本発明に係る基板積層体の一例を製造する際における、第1層形成後の第1基板を示す平面図である。
【
図6】A、B及びCは、本発明に係る基板積層体の製造方法の一例を示す工程別断面図である。
【
図7】A、B及びCは、本発明に係る基板積層体の製造方法の一例を示す工程別断面図である。
【
図8】本発明に係る基板積層体の一例を製造する際における、個片化後の第1基板を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の好適な実施形態について詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、本明細書中に記載された学術文献及び特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
【0032】
まず、本明細書中で使用される用語について説明する。「光重合開始剤」とは、活性エネルギー線を照射することによって活性種(詳しくは、ラジカル、カチオン、アニオン等)を発生する化合物をさす。「光カチオン重合開始剤」とは、活性エネルギー線を照射することによって、活性種としてカチオン(酸)を発生する化合物をさす。「光ラジカル重合開始剤」とは、活性エネルギー線を照射することによって、活性種としてラジカルを発生する化合物をさす。活性エネルギー線としては、可視光線、紫外線、赤外線、電子線、X線、α線、β線、γ線等が挙げられる。
【0033】
「カチオン重合性基」とは、カチオンの存在下で連鎖的に重合する官能基をさす。「アルカリ可溶性基」とは、アルカリと相互作用、又はアルカリと反応することにより、アルカリ性溶液に対する溶解性を高める官能基をさす。「感光性組成物がアルカリ可溶性を有する」とは、感光性組成物が、アルカリ可溶性基を有する化合物を含有することを意味する。「脂環式エポキシ基」とは、脂環式構造を構成する炭素原子のうち、隣接する2個の炭素原子に酸素原子1個が結合して形成される官能基をさし、例えば、3,4-エポキシシクロヘキシル基等が挙げられる。「ポリシロキサン化合物」は、シロキサン単位(Si-O-Si)を構成要素とするポリシロキサン構造を有する化合物である。ポリシロキサン構造としては、鎖状ポリシロキサン構造(具体的には、直鎖状ポリシロキサン構造、分枝鎖状ポリシロキサン構造等)、及び環状ポリシロキサン構造が挙げられる。「エポキシ系接着剤」とは、エポキシ基を有する化合物(例えば、1分子中に少なくとも2つのエポキシ基を含有する化合物)を主剤として含む接着剤をさす。「半硬化状態」とは、その後の工程(例えば、加熱工程)によって硬化度を更に高めることが可能な状態をいう。「固形分」とは組成物中の不揮発成分であり、「固形分全量」とは、組成物の構成成分から溶媒を除外した全量を意味する。
【0034】
材料の「主成分」は、何ら規定していなければ、質量基準で、その材料に最も多く含まれる成分を意味する。
【0035】
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。また、化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰り返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。また、アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。また、アクリレート及びメタクリレートを包括的に「(メタ)アクリレート」と総称する場合がある。
【0036】
本明細書に例示の成分や官能基等は、特記しない限り、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0037】
以下の説明において参照する図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の大きさ、個数、形状等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合がある。また、説明の都合上、後に説明する図面において、先に説明した図面と同一構成部分については、同一符号を付して、その説明を省略する場合がある。
【0038】
<第1実施形態:基板積層体の製造方法>
本発明の第1実施形態に係る基板積層体の製造方法は、工程Saと、工程Sbと、工程Scと、工程Sdと、工程Seとを備える。工程Saでは、第1基板の一方の面に感光性組成物を塗布することにより、一方の面に塗膜を形成する。工程Sbでは、フォトマスクを通して塗膜に活性エネルギー線を照射することにより、塗膜において、半硬化状態の感光性組成物から構成される露光部と、非露光部とを形成する。工程Scでは、アルカリ性現像液で非露光部を第1基板上から除去することにより、第1基板上にパターン化された塗膜を形成する。工程Sdでは、パターン化された塗膜を加熱して、半硬化状態の感光性組成物を更に硬化させることにより、パターン化された硬化物から構成される第1層を得る。工程Seでは、第1層と第2基板とを接着剤を介して貼り合わせた後、接着剤を硬化させて、第1層と第2基板とを接着する第2層を得る。感光性組成物は、カチオン重合性基を有する硬化性化合物と、光カチオン重合開始剤とを含有し、かつ、アルカリ可溶性を有する。工程Seの前の第1層における硬化性化合物の反応率は、90%以上である。
【0039】
以下、工程Seの前の第1層における硬化性化合物の反応率を、単に「反応率」と記載することがある。反応率の測定方法は、後述する実施例と同じ方法又はそれに準ずる方法である。
【0040】
第1実施形態に係る基板積層体の製造方法によれば、基板間の接着性を高めつつ、基板積層体への異物の混入を抑制できる。その理由は、以下のように推測される。
【0041】
第1実施形態に係る基板積層体の製造方法では、工程Sdにおいて、パターン化された塗膜を加熱して、半硬化状態の感光性組成物を更に硬化させることにより、パターン化された硬化物から構成される第1層を得ている。この第1層は、工程Seの前の反応率が90%以上であるため、例えば上述した特許文献1に記載の半硬化状態のパターン膜よりもタック性が低く、異物が比較的付着しにくい。また、第1実施形態に係る基板積層体の製造方法では、工程Seにおいて、異物が比較的付着しにくい第1層と第2基板とを、接着剤を介して貼り合わせる。よって、第1実施形態に係る基板積層体の製造方法によれば、基板積層体中に異物が混入することを抑制できる。
【0042】
また、第1実施形態に係る基板積層体の製造方法では、カチオン重合性基を有する硬化性化合物と、光カチオン重合開始剤とを含有する感光性組成物を使用するため、工程Sbにおいて、光カチオン重合により半硬化状態の感光性組成物から構成される露光部を形成できる。光カチオン重合により得られる半硬化状態の露光部は、第1基板との密着性が比較的高い。よって、第1実施形態に係る基板積層体の製造方法によれば、基板間の接着性を高めることができる。
【0043】
第1実施形態において、基板積層体中に異物が混入することをより抑制するためには、反応率が、95%以上であることが好ましく、97%以上であることがより好ましく、99%以上であることが更に好ましい。反応率の上限は、特に限定されず、100%であってもよい。反応率は、例えば、硬化性化合物の種類、光カチオン重合開始剤の種類、硬化性化合物に対する光カチオン重合開始剤の量、及び露光条件(詳しくは、積算露光量等)のうちの少なくとも1つを変更することにより調整できる。
【0044】
第1実施形態に係る基板積層体の製造方法は、工程Sdの後、かつ工程Seの前に、第1基板と第1層との積層物をダイシングすることにより、個片化された積層物を得る工程Sf1を更に備えていてもよい。第1実施形態に係る基板積層体の製造方法が工程Sf1を更に備える場合、工程Seにおいて、個片化された積層物の第1層と、第2基板とを接着剤を介して貼り合わせる。
【0045】
第1実施形態に係る基板積層体の製造方法は、工程Seの後に、第1基板、第1層、第2層及び第2基板がこの順に積層された積層物をダイシングすることにより、個片化された積層物を得る工程Sf2を更に備えていてもよい。
【0046】
[第1実施形態に係る製造方法により得られる基板積層体の構成]
以下、第1実施形態に係る製造方法により得られる基板積層体(後述する第2実施形態に係る基板積層体)の構成について、適宜図面を参照しながら説明する。
【0047】
図1は、第1実施形態に係る製造方法により得られる基板積層体の一例を示す断面図である。
図1に示す基板積層体10は、第1基板11、第2基板12、及び第1基板11と第2基板12とを接着する硬化物層13を有する。硬化物層13は、第1基板11側から、感光性組成物の硬化物から構成される第1層131、及び接着剤の硬化物から構成される第2層132をこの順に有する。第1層131は、パターン化されている。第1層131の構成材料である感光性組成物は、カチオン重合性基を有する硬化性化合物と、光カチオン重合開始剤とを含有し、かつアルカリ可溶性を有する。なお、
図1に示す基板積層体10では、第1基板11の幅と、第2基板12の幅とが、ほぼ同じであるが、本発明では、第1基板の幅と第2基板の幅とが異なっていてもよい。
【0048】
基板積層体10は、第1基板11と第2基板12と硬化物層13とで囲まれた中空部Zを有する中空構造体である。中空部Zは、密閉された空間であってもよい。基板積層体10がイメージセンサを構成し、かつ中空部Zが密閉された空間である場合、硬化物層13が、有効画素領域への湿気やダストの進入を防ぐ隔壁として機能する。
【0049】
第2層132は、フォトリソグラフィーでパターン化する工程を経ずに、例えば、加熱又は紫外線により接着剤を硬化させて得られる。接着剤は、通常、硬化中に体積が減少する(硬化収縮する)が、第1層131との界面付近及び第2基板12との界面付近の接着剤は、隣接する層に固定されているため、接着剤の硬化により得られた第2層132の壁面は、通常、
図1に示すように曲面である。一方、第1層131は、後述するように、工程Sdにおいて、パターン化された塗膜を加熱して、半硬化状態の感光性組成物を更に硬化させて得られる層である。第1層131は、硬化工程において、端面(第1基板11側とは反対側の面)が固定されていないため、第1層131の壁面は、通常、平面である。
【0050】
基板間の接着性により優れる基板積層体を得るためには、接着剤の硬化がより進んだ状態(硬化収縮がより進んだ状態)で形成された第2層132を備えることが好ましい。一方、冷熱衝撃試験で評価される信頼性に優れる基板積層体を得るためには、第2層132の壁面の凹み度合いが小さい(硬化収縮が小さい)ことが好ましい。
【0051】
以下、第2層132の壁面の凹み度合いの指標の一例について説明する。第2層132の幅方向の断面(
図1)において、第2層132の壁面の高さ方向の両端部(端部132a及び端部132b)を通る直線Lから第2層132の壁面において最も凹んだ箇所132cまでの最短距離Dが大きいほど、第2層132の壁面の凹み度合いが大きいといえる。以下、第2層の壁面の高さ方向の両端部を通る直線から第2層の壁面において最も凹んだ箇所までの最短距離を、単に「最短距離D」と記載することがある。基板間の接着性により優れつつ、冷熱衝撃試験で評価される信頼性に優れる基板積層体を得るためには、最短距離Dが、0.5μm以上100μm以下であることが好ましく、0.5μm以上80μm以下であることがより好ましく、1μm以上50μm以下であることが更に好ましく、1μm以上20μm以下であることが更により好ましく、1μm以上10μm以下であることが特に好ましい。最短距離Dは、例えば、使用する接着剤の種類、及び接着剤の硬化条件(加熱条件、紫外線照射条件等)のうちの少なくとも1つを変更することにより調整できる。
【0052】
なお、第2層132の断面形状は、
図1に示す形状に限定されない。例えば、
図2に示すように、第2基板12側の面の幅が、第1層131側の面の幅よりも大きい断面形状であってもよい。また、図示はしないが、第1層131側の面の幅が、第2基板12側の面の幅よりも大きい断面形状であってもよい。
【0053】
また、
図3に示すように、硬化物層13は、第1層131の壁面131aを被覆する被覆層133を更に有していてもよい。この場合、被覆層133と第2層132とが一体的に形成されていることが好ましい。硬化物層13が、第1層131の壁面131aを被覆する被覆層133を更に有し、かつ被覆層133と第2層132とが一体的に形成されていると、冷熱衝撃試験で評価される信頼性に優れる基板積層体を得ることができる。冷熱衝撃試験で評価される信頼性により優れる基板積層体を得るためには、被覆層133の厚み(第1層131の壁面131aからの高さ)は、0.1μm以上1000μm以下であることが好ましい。被覆層133と第2層132とを一体的に形成する方法としては、例えば、後述する工程Seにおいて、第1層131の壁面131aの少なくとも一部、及び第1層131の端面(第1基板11側とは反対側の面)に接着剤を塗布した後、第1層131と第2基板12とを接着剤を介して貼り合わせて、接着剤を硬化させる方法が挙げられる。被覆層133と第2層132とが一体的に形成されている場合、本明細書では、硬化物層13の幅方向の断面(
図3)において、第1層131の第2層132側の角部131bを通り、かつ第2基板12の第1基板11側の面12aに平行な線BLを基準に、第1基板11側を被覆層133とし、第2基板12側を第2層132とする。なお、理解しやすくするために、
図3では境界線(線BL)を示したが、被覆層133と第2層132とが一体的に形成されている場合、例えば電子顕微鏡画像では被覆層133と第2層132との境界を確認することができない。つまり、「被覆層133と第2層132とが一体的に形成されている」とは、被覆層133と第2層132とが電子顕微鏡画像において境界を確認することができない状態で接していることを意味する。
【0054】
なお、被覆層133は、第1層131の壁面131aの全面を被覆していなくてもよい。例えば、
図4に示すように、被覆層133が第1層131の壁面131aの一部を被覆していてもよい。被覆層133が第1層131の壁面131aの少なくとも一部を被覆し、かつ被覆層133と第2層132とが一体的に形成されていれば、冷熱衝撃試験で評価される信頼性に優れる基板積層体を得ることができる。特に、第1層131の第2層132側の角部131b近傍の壁面131aが被覆されていると、上記信頼性を高めることができる。冷熱衝撃試験で評価される信頼性により優れる基板積層体を得るためには、被覆層133の高さ(線BLからの高さ)が1μm以上であることが好ましい。
【0055】
[第1実施形態に係る基板積層体の製造方法の各工程]
次に、第1実施形態に係る基板積層体の製造方法の各工程について、適宜図面を参照しながら説明する。参照する
図5は、第1実施形態に係る基板積層体の一例を製造する際における、第1層形成後の第1基板を示す平面図である。参照する
図6A~C及び
図7A~Cは、第1実施形態に係る基板積層体の製造方法の一例を示す工程別断面図である。
【0056】
第1実施形態に係る製造方法の一例では、まず、大判の第1基板11上に、第1層131を、四角筒状に多数パターン化した状態で形成する(
図5)。なお、第1層131のパターンは、
図5に示すパターンに限定されず、目的とする形状に合わせて設計すればよく、例えば、格子状等の形状であってもよい。
図5に示すパターン化された第1層131は、以下で詳述する工程Sa~工程Sdにより形成できる。
【0057】
(工程Sa)
工程Saでは、大判の第1基板11の一方の面に感光性組成物を塗布することにより、第1基板11の一方の面に感光性組成物から構成される塗膜300を形成する(
図6A)。この際の塗布方法は、特に限定されず、例えば、スピンコート法、スリットコート法、ロールコート法、印刷法、バーコート法等の一般的な塗布方法を使用できる。塗膜300の厚みは、例えば、0.05μm以上1000μm以下であり、好ましくは0.1μm以上500μm以下であり、より好ましくは1μm以上300μm以下である。工程Saでは、塗膜300を加熱して、塗膜300中の溶媒を除去してもよい。
【0058】
(工程Sb)
工程Sbでは、フォトマスク301を通して塗膜300に活性エネルギー線Eを照射することにより、塗膜300において、半硬化状態の感光性組成物から構成される露光部300aと、非露光部300bとを形成する(
図6B)。フォトマスク301の露光部300aに対応する位置には、開口部301aが形成されている。これにより、開口部301aの下部に位置する塗膜300(露光部300a)のみが露光され、光硬化反応が進行する。露光の際の積算露光量は特に制限されないが、好ましくは1mJ/cm
2以上10000mJ/cm
2以下であり、より好ましくは1mJ/cm
2以上4000mJ/cm
2以下である。工程Sbで照射する活性エネルギー線Eの波長は、例えば、200nm以上450nm以下の範囲である。活性エネルギー線Eの光源としては、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、発光ダイオード等が挙げられる。活性エネルギー線Eの照射時間は、好ましくは1秒以上600秒以下であり、より好ましくは1秒以上150秒以下である。
【0059】
(工程Sc)
工程Scでは、アルカリ性現像液で非露光部300bを第1基板11上から除去する(現像する)ことにより、第1基板11上にパターン化された塗膜(パターン膜)を形成する。工程Scで用いるアルカリ性現象液は、例えば、アルカリ成分を含む水溶液である。アルカリ成分としては、アルカリ有機成分及びアルカリ無機成分が挙げられる。アルカリ有機成分としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等が挙げられる。アルカリ無機成分としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム等が挙げられる。露光部300aと非露光部300bとのコントラストを高めるためには、アルカリ性現象液におけるアルカリ成分の濃度は、25質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましい。アルカリ性現像液で非露光部300bを第1基板11上から除去する方法は、特に限定されず、例えば、浸漬法、スプレー法又はパドル法により塗膜300にアルカリ性現像液を接触させて、非露光部300bを溶解及び除去する方法が挙げられる。
【0060】
工程Scでは、アルカリ性現象液を塗膜300に接触させた後に、塗膜300を水洗してもよい。塗膜300を水洗する場合、水洗後に、塗膜300の表面の水分を圧縮空気で除去することが好ましい。
【0061】
(工程Sd)
工程Sdでは、工程Scで形成されたパターン膜(半硬化状態の感光性組成物から構成される膜)を加熱して、半硬化状態の感光性組成物を更に硬化させることにより、パターン化された硬化物から構成される第1層131を得る(
図6C)。このようにして、
図5に示すような、大判の第1基板11上に、パターン化された多数の第1層131が形成される。工程Sdでパターン膜を加熱する温度としては、好ましくは80℃以上350℃以下であり、より好ましくは150℃以上250℃以下である。
【0062】
第1実施形態では、工程Sdにより半硬化状態の感光性組成物を更に硬化させるため、異物が比較的付着しにくい第1層131が得られる。このため、第1実施形態によれば、冷熱衝撃試験において異物に起因するクラックの発生を抑制できる基板積層体が得られる。よって、第1実施形態に係る製造方法により得られる基板積層体は、冷熱衝撃試験で評価される信頼性に優れる。
【0063】
工程Sdの後、工程Seを実施するが、工程Seを実施する前(工程Seの前)の第1層131におけるアルカリ成分の含有量は、1000ppm以下であることが好ましく、200ppm以下であることがより好ましく、150ppm以下であることが更に好ましい。工程Seの前の第1層131におけるアルカリ成分の含有量の下限は、特に限定されないが、例えば1ppm以上である。工程Seで第1基板11と第2基板12とを積層して、例えば
図1に示すような中空部Zを有する中空構造体を形成する際、工程Seの前の第1層131におけるアルカリ成分の含有量が1000ppm以下であると、工程Seにおいて中空部Zに放出されるアルカリ成分(アウトガス)の量を低減できる。なお、基板積層体がイメージセンサを構成している場合では、中空部Zに放出されるアウトガスの量が過度に増えると、イメージセンサとしての機能が低下する場合がある。また、中空部Zに放出されるアウトガスの量が過度に増えると、高温高湿保存性(高温高湿下で保存しても、中空部Z中の異物の増加を抑制できる性能)が低下する場合がある。第1層131中のアルカリ成分の少なくとも一部は工程Sdでパターン膜を加熱する際に除去できるため、工程Seの前の第1層131におけるアルカリ成分の含有量は、工程Sdにおける加熱条件を変更することにより調整できる。また、工程Seの前の第1層131におけるアルカリ成分の含有量は、使用する感光性組成物の組成を変更することにより調整することもできる。工程Seの前の第1層131におけるアルカリ成分の含有量の測定方法は、後述する実施例と同じ方法又はそれに準ずる方法である。
【0064】
また、工程Seの前の第1層131の軟化点は、100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましい。工程Seの前の第1層131の軟化点の上限は、特に限定されないが、例えば250℃以下である。工程Seの前の第1層131の軟化点が100℃以上である場合、工程Seの前の第1層131への異物の付着をより抑制できる。工程Seの前の第1層131の軟化点は、例えば工程Sdにおける加熱条件を変更することにより調整できる。工程Seの前の第1層131の軟化点の測定方法は、後述する実施例と同じ方法又はそれに準ずる方法である。
【0065】
また、工程Seの前の第1層131の温度100℃におけるナノインデンテーション試験法で測定した弾性率(以下、単に「第1層131の弾性率」と記載することがある)は、1500N/mm2以上であることが好ましく、2000N/mm2以上であることがより好ましい。第1層131の弾性率の上限は、特に限定されないが、例えば5000N/mm2以下である。第1層131の弾性率が1500N/mm2以上である場合、工程Seの前の第1層131への異物の付着をより抑制できる。第1層131の弾性率は、例えば工程Sdにおける加熱条件を変更することにより調整できる。第1層131の弾性率の測定方法は、後述する実施例と同じ方法又はそれに準ずる方法である。
【0066】
(工程Se)
工程Seでは、第1層131と第2基板12とを接着剤400(
図7A参照)を介して貼り合わせた後、接着剤400を硬化させて、第1層131と第2基板12とを接着する第2層132(
図7C参照)を得る。具体的には、まず、
図7Aに示すように、第1層131上にシリンジ等で接着剤400を塗布する。なお、
図7Aでは、第1層131の第1基板11側とは反対側の面(端面)に接着剤400を塗布する例を示したが、本発明はこれに限定されず、第2基板12に接着剤400を塗布してもよく、第1層131及び第2基板12の双方に接着剤400を塗布してもよい。また、第1層131の壁面の少なくとも一部及び端面に接着剤400を塗布してもよい。また、接着剤400の塗布方法についても、シリンジで塗布する方法に限定されず、例えば、スクリーン印刷法やスタンプ法等で接着剤400を塗布してもよい。
【0067】
次いで、第1層131と、大判の第2基板12とを、接着剤400を介して貼り合わせる(
図7B)。次いで、接着剤400を硬化させて、第1層131と第2基板12とを接着する第2層132(
図7C参照)を得る。接着剤400を硬化させる方法は、接着剤400の種類により適宜選択すればよい。接着剤400を硬化させる方法の具体例としては、加熱による硬化方法、紫外線照射による硬化方法等が挙げられる。
【0068】
(工程Sf2)
工程Sf2は、工程Seの後、大判の第1基板11、第1層131、第2層132及び大判の第2基板12がこの順に積層された積層物をダイシングすることにより、個片化された積層物を得る工程である。例えば、工程Seにより
図7Bに示す積層物中の接着剤400を硬化させた後、
図7Bの分割線401に沿ってダイシングすることにより、個片化された積層物である基板積層体10(
図7C)を得ることができる。
【0069】
なお、
図7A~
図7Cに示す方法では工程Sf2を実施したが、第1実施形態に係る製造方法はこれに限定されない。例えば、第1実施形態に係る製造方法は、工程Sdの後、かつ工程Seの前に、大判の第1基板11と第1層131との積層物を、
図5の分割線200に沿ってダイシングすることにより、
図8に示す個片化された積層物(以下、「個片化積層物」と記載することがある)を得る工程Sf1を更に備えていてもよい。
図8に示す個片化積層物は、個片化された第1基板11と、1個の第1層131とを備える。なお、第1実施形態に係る基板積層体の製造方法が工程Sf1を更に備える場合、工程Sf2は実施しない。また、第1実施形態に係る基板積層体の製造方法が工程Sf1を更に備える場合、工程Seにおいて、個片化積層物の第1層131と、第2基板12とを接着剤400を介して貼り合わせる。
【0070】
また、第1実施形態に係る製造方法が工程Sf1を更に備える場合、工程Seにおいて、複数個の個片化積層物の第1層131と、大判の第2基板12とを接着剤400を介して貼り合わせた後、接着剤400を硬化させてもよい。この場合、接着剤400を硬化させた後、大判の第2基板12を第1層131ごとに切断することで、複数個の基板積層体を得ることができる。
【0071】
[第1実施形態に係る製造方法により得られる基板積層体の要素]
次に、第1実施形態に係る製造方法により得られる基板積層体の要素について説明する。
【0072】
(第1基板及び第2基板)
第1基板及び第2基板としては、例えば、シリコンウェハー、ガラス基板、樹脂基板(透明樹脂基板等)、セラミック基板、半導体素子基板等が挙げられる。半導体素子基板としては、例えばセンサ基板(より具体的には、イメージセンサ基板等)等が挙げられる。第1基板と第2基板とは、同種の基板であってもよく、互いに異なる種類の基板であってもよい。第1基板及び第2基板のいずれか一方が透明基板(より具体的には、ガラス基板、透明樹脂基板等)である場合、基板積層体を光学部品の構成部材に適用できる。特に、第1基板及び第2基板のうち、一方が透明基板であり、もう一方が半導体素子基板である基板積層体は、イメージセンサに好適である。
【0073】
第1基板の厚み及び第2基板の厚みは、例えば、それぞれ50μm以上2000μm以下である。第1基板及び第2基板のうちの一方が半導体素子基板である場合、半導体素子基板の厚みは、例えば50μm以上800μm以下である。第1基板の厚み及び第2基板の厚みは、同じであっても、異なっていてもよい。
【0074】
(第1層)
第1層は、感光性組成物の硬化物から構成される。第1層の材料となる感光性組成物の詳細は後述する。冷熱衝撃試験で評価される信頼性に優れる基板積層体を得るためには、第1層の高さ(厚み)は、500μm以下であることが好ましく、400μm以下であることがより好ましく、300μm以下であることが更に好ましく、150μm以下であることが更により好ましく、140μm以下、130μm以下、120μm以下、110μm以下又は100μm以下であってもよい。また、基板積層体をイメージセンサに適用する場合において、透明基板に付着した異物の写り込みを抑制するためには、第1層の高さは、10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることが更に好ましく、30μm以上であることが更により好ましく、40μm以上であってもよい。第1層の幅は、例えば10μm以上500μm以下であり、好ましくは10μm以上200μm以下であり、より好ましくは20μm以上150μm以下である。
【0075】
(第2層)
第2層は、接着剤の硬化物から構成される。第2層の材料となる接着剤としては、例えば、熱硬化型接着剤(より詳しくは、エポキシ系接着剤等)、紫外線硬化型接着剤(より詳しくは、アクリル系接着剤等)等が挙げられる。なお、「アクリル系接着剤」とは、(メタ)アクリル酸若しくはその誘導体(より具体的には、(メタ)アクリル酸エステル等)、又は(メタ)アクリル酸若しくはその誘導体の重合体を主成分とする接着剤を意味する。
【0076】
基板間の接着性により優れる基板積層体を得るためには、第2層の材料となる接着剤としては、エポキシ系接着剤が好ましい。第2層の材料となる接着剤としてエポキシ系接着剤を使用する場合、基板間の接着性により優れる基板積層体を得るためには、エポキシ系接着剤の主剤としては、エポキシ基を2個以上有する芳香族エポキシ化合物が好ましく、ビスフェノール系ジグリシジルエーテル(より具体的には、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル等)がより好ましく、ビスフェノールAジグリシジルエーテルが更に好ましい。
【0077】
第2層の材料となる接着剤としてエポキシ系接着剤を使用する場合、基板間の接着性により優れる基板積層体を得るためには、エポキシ系接着剤の硬化剤としては、イミダゾール系硬化剤が好ましい。
【0078】
基板間の接着性に更に優れる基板積層体を得るためには、第2層の材料となる接着剤としては、ビスフェノール系ジグリシジルエーテルを主剤として含み、かつイミダゾール系硬化剤を硬化剤として含むエポキシ系接着剤が好ましく、ビスフェノールAジグリシジルエーテルを主剤として含み、かつイミダゾール系硬化剤を硬化剤として含むエポキシ系接着剤がより好ましい。この場合、エポキシ系接着剤中の主剤と硬化剤の質量比(主剤/硬化剤)は、例えば100/1以上100/10以下である。
【0079】
基板間の接着性に優れつつ、冷熱衝撃試験で評価される信頼性に優れる基板積層体を得るためには、第2層の高さ(厚み)は、0.01μm以上100μm以下であることが好ましく、0.1μm以上80μm以下であることがより好ましく、0.5μm以上50μm以下であることが更に好ましく、1μm以上20μm以下であることが更により好ましい。第2層の幅は、第1層の幅に応じて適宜変更可能であるが、例えば、10μm以上500μm以下であり、好ましくは10μm以上200μm以下であり、より好ましくは20μm以上150μm以下である。冷熱衝撃試験で評価される信頼性により優れる基板積層体を得るためには、第1層の幅を100%としたときの第2層の幅は、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましく、100%以上、110%以上又は120%以上であってもよい。
【0080】
[感光性組成物]
次に、第1層の材料となる感光性組成物について説明する。第1層の材料となる感光性組成物は、カチオン重合性基を有する硬化性化合物と、光カチオン重合開始剤とを含有し、かつ、アルカリ可溶性を有する。
【0081】
上記カチオン重合性基としては、例えば、エポキシ基、ビニルエーテル基、オキセタニル基、及びアルコキシシリル基が挙げられる。感光性組成物の保存安定性の観点から、上記カチオン重合性基としては、グリシジル基、脂環式エポキシ基及びオキセタニル基からなる群より選択される1種以上が好ましく、グリシジル基及び脂環式エポキシ基からなる群より選択される1種以上がより好ましい。中でも脂環式エポキシ基は、光カチオン重合性に優れるため、特に好ましい。
【0082】
第1層の材料となる感光性組成物が、グリシジル基及び脂環式エポキシ基からなる群より選択される1種以上を有する硬化性化合物を含有する場合、上述した第1基板がガラス基板であることが好ましい。グリシジル基及び脂環式エポキシ基は、いずれもガラス基板の表面に対する結合性が良好であるため、第1層の材料となる感光性組成物が、グリシジル基及び脂環式エポキシ基からなる群より選択される1種以上を有する硬化性化合物を含有し、かつ第1基板がガラス基板である場合、基板間の接着性により優れる基板積層体を得ることができる。
【0083】
また、第1層の材料となる感光性組成物が、グリシジル基及び脂環式エポキシ基からなる群より選択される1種以上を有する硬化性化合物を含有する場合、第1層と第2層との接着強度を向上させるためには、第2層の材料となる接着剤としてエポキシ系接着剤を使用することが好ましい。
【0084】
上記カチオン重合性基を有する硬化性化合物としては、カチオン重合性基を有するポリシロキサン化合物、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’-ビス(4-グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)-5,5-スピロ-(3,4-エポキシシクロヘキサン)-1,3-ジオキサン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2-シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル社製「セロキサイド(登録商標)2021P」)、ε-カプロラクトン変性3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル社製「セロキサイド(登録商標)2081」)等が挙げられる。
【0085】
また、第1層の材料となる感光性組成物は、アルカリ可溶性基を有する化合物を含有することにより、アルカリ可溶性を有する。上記アルカリ可溶性基を有する化合物としては、例えば、アルカリ可溶性基を有するポリシロキサン化合物、フェノール性水酸基を有する樹脂(例えば、フェノール性水酸基を有するノボラック系樹脂等)、カルボキシ基を有する樹脂(例えば、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体等)等が挙げられる。
【0086】
耐熱性に優れる第1層を形成できる上、高温高湿保存性に優れる基板積層体を得るためには、第1層の材料となる感光性組成物が、上記カチオン重合性基を有する硬化性化合物として、カチオン重合性基を有するポリシロキサン化合物を含有することが好ましい。また、パターニング性を向上させつつ、耐熱性に優れる第1層を形成するためには、第1層の材料となる感光性組成物が、上記カチオン重合性基を有する硬化性化合物兼上記アルカリ可溶性基を有する化合物として、カチオン重合性基とアルカリ可溶性基とを1分子中に有するポリシロキサン化合物を含有することが好ましい。つまり、パターニング性を向上させつつ、耐熱性に優れる第1層を形成するためには、第1層の材料となる感光性組成物は、カチオン重合性基とアルカリ可溶性基とを1分子中に有するポリシロキサン化合物(以下、「成分(A)」と記載することがある)と、光カチオン重合開始剤(以下、「成分(B)」と記載することがある)とを含有することが好ましい。以下、成分(A)及び成分(B)を含有する感光性組成物を、「特定感光性組成物」と記載することがある。以下、特定感光性組成物に含まれる成分について詳述する。
【0087】
{成分(A)}
成分(A)としては、1分子中にカチオン重合性基とアルカリ可溶性基とを有するポリシロキサン化合物である限り、特に限定されない。成分(A)が1分子中にカチオン重合性基とアルカリ可溶性基とを有することにより、現像性及び硬化性の双方に優れる特定感光性組成物が得られる。成分(A)は、1分子中に複数個のカチオン重合性基を有することが好ましい。成分(A)が1分子中に複数個のカチオン重合性基を有する場合、架橋密度の高い第1層が得られ、その結果、第1層の耐熱性がより向上する傾向がある。複数個のカチオン重合性基は、同種でもよく、2種以上の異なる官能基でもよい。また、成分(A)は、1分子中に複数個のアルカリ可溶性基を有することが好ましい。成分(A)が1分子中に複数個のアルカリ可溶性基を有する場合、現像時に非露光部の除去性が高くなるため、現像性がより向上する傾向がある。複数個のアルカリ可溶性基は、同種でもよく、2種以上の異なる官能基でもよい。
【0088】
成分(A)は、鎖状ポリシロキサン構造を有していてもよく、環状ポリシロキサン構造を有していてもよい。耐熱性により優れる第1層を形成するためには、成分(A)が、環状ポリシロキサン構造を有することが好ましい。また、成分(A)が環状ポリシロキサン構造を有していると、特定感光性組成物の製膜性及び現像性が高くなる傾向がある。
【0089】
成分(A)は、主鎖にポリシロキサン構造を有していてもよく、側鎖にポリシロキサン構造を有していてもよい。耐熱性により優れる第1層を形成するためには、成分(A)が、主鎖にポリシロキサン構造を有することが好ましい。耐熱性に更に優れる第1層を形成するためには、成分(A)が、主鎖に環状ポリシロキサン構造を有することが好ましい。
【0090】
環状ポリシロキサン構造は、単環構造でもよく、多環構造でもよい。多環構造は多面体構造でもよい。環を構成するシロキサン単位のうち、T単位(XSiO3/2)又はQ単位(SiO4/2)の含有率が高いほど、得られる第1層は、硬度が高くなり、耐熱性に優れる傾向がある。一方、M単位(X3SiO1/2)又はD単位(X2SiO2/2)の含有率が高いほど、得られる第1層は、より柔軟であり、かつ残留応力を低減できる傾向がある。
【0091】
成分(A)が主鎖にポリシロキサン構造を有するポリマーである場合、当該ポリマーの重量平均分子量は、10000以上50000以下であることが好ましく、20000以上40000以下であることがより好ましい。重量平均分子量が10000以上である場合、得られる第1層の耐熱性がより向上する傾向がある。一方、重量平均分子量が50000以下である場合、現像性がより向上する傾向がある。
【0092】
成分(A)が有するカチオン重合性基としては、例えば、エポキシ基、ビニルエーテル基、オキセタニル基、及びアルコキシシリル基が挙げられる。特定感光性組成物の保存安定性の観点から、カチオン重合性基としては、グリシジル基、脂環式エポキシ基及びオキセタニル基からなる群より選択される1種以上が好ましく、グリシジル基及び脂環式エポキシ基からなる群より選択される1種以上がより好ましい。中でも脂環式エポキシ基は、光カチオン重合性に優れるため、特に好ましい。
【0093】
成分(A)が有するアルカリ可溶性基としては、下記化学式(X1)で表される1価の有機基(以下、「X1基」と記載することがある)、下記化学式(X2)で表される2価の有機基(以下、「X2基」と記載することがある)、フェノール性水酸基、及びカルボキシ基からなる群より選択される1種以上が好ましい。なお、X1基は、N-モノ置換イソシアヌル酸由来の1価の有機基である。また、X2基は、N,N’-ジ置換イソシアヌル酸由来の2価の有機基である。
【0094】
【0095】
耐熱性により優れる第1層を形成するためには、成分(A)が有するアルカリ可溶性基としては、X1基及びX2基からなる群より選択される1種以上が好ましい。
【0096】
カチオン重合性基をポリシロキサン化合物中へ導入する方法は特に限定されないが、化学的に安定なケイ素-炭素結合(Si-C結合)によってカチオン重合性基をポリシロキサン化合物中へ導入できることから、ヒドロシリル化反応を用いる方法が好ましい。換言すれば、成分(A)は、ヒドロシリル化反応により有機変性され、ケイ素-炭素結合を介してカチオン重合性基が導入されたポリシロキサン化合物であることが好ましい。アルカリ可溶性基も、ヒドロシリル化反応により、ケイ素-炭素結合を介してポリシロキサン化合物に導入されていることが好ましい。
【0097】
成分(A)は、例えば、下記の化合物(α)、化合物(β)及び化合物(γ)を出発物質とするヒドロシリル化反応により得られる。
・化合物(α):1分子中に少なくとも2個のSiH基(ヒドロシリル基)を有するポリシロキサン化合物
・化合物(β):1分子中に、SiH基との反応性を有する炭素-炭素二重結合と、カチオン重合性基とを有する化合物
・化合物(γ):1分子中に、SiH基との反応性を有する炭素-炭素二重結合と、アルカリ可溶性基とを有する化合物
【0098】
(化合物(α))
化合物(α)は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するポリシロキサン化合物であり、例えば、国際公開第96/15194号に記載の化合物で、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するもの等が使用できる。化合物(α)の具体例としては、直鎖構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサン、分子末端にヒドロシリル基を有するポリシロキサン、ヒドロシリル基を有する環状ポリシロキサン(以下、単に「環状ポリシロキサン」と記載することがある)等が挙げられる。環状ポリシロキサンは、多環構造を有していてもよく、多環構造は多面体構造であってもよい。耐熱性及び機械強度の高い第1層を形成するためには、化合物(α)として、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する環状ポリシロキサンを用いることが好ましい。化合物(α)は、好ましくは1分子中に3個以上のSiH基を有する環状ポリシロキサンである。耐熱性及び耐光性の観点から、Si原子上に存在する基は、水素原子及びメチル基のいずれかであることが好ましい。
【0099】
直鎖構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンとしては、ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、並びにジメチルハイドロジェンシリル基によって末端が封鎖されたポリシロキサン等が例示される。
【0100】
分子末端にヒドロシリル基を有するポリシロキサンとしては、ジメチルハイドロジェンシリル基によって末端が封鎖されたポリシロキサン、並びにジメチルハイドロジェンシロキサン単位(H(CH3)2SiO1/2単位)と、SiO2単位、SiO3/2単位及びSiO単位からなる群より選択される1種以上のシロキサン単位とからなるポリシロキサン等が例示される。
【0101】
環状ポリシロキサンは、例えば下記一般式(I)で表される。
【0102】
【0103】
一般式(I)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上20以下の1価の有機基を表し、mは2以上10以上の整数を表し、nは0以上10以下の整数を表す。ヒドロシリル化反応を容易に行うためには、mが3以上であることが好ましい。ヒドロシリル化反応を容易に行うためには、m+nが3以上12以下であることが好ましい。ヒドロシリル化反応をより容易に行うためには、nが0であることが好ましい。
【0104】
R1、R2及びR3としては、C、H及びOからなる群より選択される元素により構成される有機基が好ましい。R1、R2及びR3の例としては、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、オキシアルキル基、アリール基等が挙げられる。中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等の鎖状アルキル基;シクロヘキシル基、ノルボルニル基等の環状アルキル基;又はフェニル基が好ましい。環状ポリシロキサンの入手容易性の観点から、R1、R2及びR3としては、炭素原子数1以上6以下の鎖状アルキル基、又はフェニル基が好ましい。ヒドロシリル化反応を容易に行うためには、R1、R2及びR3としては、鎖状アルキル基が好ましく、炭素原子数1以上6以下の鎖状アルキル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
【0105】
一般式(I)で表される環状ポリシロキサンとしては、1,3,5,7-テトラハイドロジェン-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1-プロピル-3,5,7-トリハイドロジェン-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5-ジハイドロジェン-3,7-ジヘキシル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5-トリハイドロジェン-1,3,5-トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7,9-ペンタハイドロジェン-1,3,5,7,9-ペンタメチルシクロペンタシロキサン、及び1,3,5,7,9,11-ヘキサハイドロジェン-1,3,5,7,9,11-ヘキサメチルシクロヘキサシロキサン等が例示される。中でも、入手容易性及びSiH基の反応性の観点から、1,3,5,7-テトラハイドロジェン-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン(一般式(I)において、m=4、n=0であり、R1がメチル基である化合物)が好ましい。
【0106】
化合物(α)は、公知の合成方法により得られる。例えば、一般式(I)で表される環状ポリシロキサンは、国際公開第96/15194号等に記載の方法により合成できる。多面体骨格を有する環状ポリシロキサンは、例えば、特開2004-359933号公報、特開2004-143449号公報、特開2006-269402号公報等に記載の方法により合成できる。また、化合物(α)として、市販のポリシロキサン化合物を用いてもよい。
【0107】
特定感光性組成物の現像性を高めつつ、耐熱性により優れる第1層を形成するためには、成分(A)における化合物(α)由来の構造単位の含有率は、成分(A)100質量%に対して、10質量%以上50質量%以下であることが好ましく、15質量%以上45質量%以下であることがより好ましい。
【0108】
(化合物(β))
化合物(β)は、1分子中に、SiH基(ヒドロシリル基)との反応性を有する炭素-炭素二重結合と、カチオン重合性基とを有する化合物であり、ポリシロキサン化合物にカチオン重合性基を導入するための化合物である。化合物(β)におけるカチオン重合性基は、前述の成分(A)が有するカチオン重合性基と同じであり、好ましい態様も同じである。すなわち、化合物(β)は、カチオン重合性基として、グリシジル基、脂環式エポキシ基及びオキセタニル基からなる群より選択される1種以上を有することが好ましく、グリシジル基及び脂環式エポキシ基からなる群より選択される1種以上を有することがより好ましく、脂環式エポキシ基を有することが更に好ましい。
【0109】
SiH基との反応性を有する炭素-炭素二重結合を含む基(以下、単に「アルケニル基」と記載することがある)としては、例えば、ビニル基、アリル基、メタリル基、アリルオキシ基(-O-CH2-CH=CH2)、2-アリルフェニル基、3-アリルフェニル基、4-アリルフェニル基、2-(アリルオキシ)フェニル基、3-(アリルオキシ)フェニル基、4-(アリルオキシ)フェニル基、2-(アリルオキシ)エチル基、2,2-ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3-アリルオキシ-2,2-ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、ビニルエーテル基等が挙げられる。SiH基との反応性の観点から、化合物(β)は、アルケニル基として、ビニル基、アリル基及びアリルオキシ基からなる群より選択される1種以上を有することが好ましく、ビニル基及びアリル基からなる群より選択される1種以上を有することがより好ましい。
【0110】
化合物(β)の具体例としては、1-ビニル-3,4-エポキシシクロヘキサン、アリルグリシジルエーテル、アリルオキセタニルエーテル、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等が挙げられる。カチオン重合における反応性の観点から、化合物(β)としては、脂環式エポキシ基及びグリシジル基からなる群より選択される1種以上の官能基を有する化合物が好ましく、脂環式エポキシ基を有する化合物がより好ましい。カチオン重合における反応性をより高めるためには、化合物(β)としては、アリルグリシジルエーテル及び1-ビニル-3,4-エポキシシクロヘキサンからなる群より選択される1種以上の化合物が好ましく、1-ビニル-3,4-エポキシシクロヘキサンがより好ましい。
【0111】
特定感光性組成物の現像性を高めつつ、耐熱性により優れる第1層を形成するためには、成分(A)における化合物(β)由来の構造単位の含有率は、成分(A)100質量%に対して、20質量%以上50質量%以下であることが好ましく、22質量%以上45質量%以下であることがより好ましい。
【0112】
(化合物(γ))
化合物(γ)は、1分子中に、SiH基との反応性を有する炭素-炭素二重結合と、アルカリ可溶性基とを有する化合物であり、ポリシロキサン化合物にアルカリ可溶性基を導入するための化合物である。化合物(γ)におけるアルカリ可溶性基は、前述の成分(A)が有するアルカリ可溶性基と同じであり、好ましい態様も同じである。すなわち、化合物(γ)は、アルカリ可溶性基として、X1基、X2基、フェノール性水酸基及びカルボキシ基からなる群より選択される1種以上を有することが好ましく、X1基及びX2基からなる群より選択される1種以上を有することがより好ましい。
【0113】
化合物(γ)は、SiH基との反応性を有する炭素-炭素二重結合を含む基(アルケニル基)を有する。化合物(γ)が有するアルケニル基の例としては、前述の化合物(β)が有するアルケニル基として例示したものと同じアルケニル基が挙げられ、好ましい態様も同じである。すなわち、化合物(γ)は、アルケニル基として、ビニル基、アリル基及びアリルオキシ基からなる群より選択される1種以上を有することが好ましく、ビニル基及びアリル基からなる群より選択される1種以上を有することがより好ましい。
【0114】
化合物(γ)は、1分子中に2個以上のアルケニル基を有していてもよい。化合物(γ)が1分子中に複数個のアルケニル基を含む場合は、ヒドロシリル化反応により複数個の化合物(α)を架橋できるため、得られる硬化物の架橋密度が高くなり、硬化物の耐熱性が向上する傾向がある。
【0115】
化合物(γ)の具体例としては、ジアリルイソシアヌレート、モノアリルイソシアヌレート、2,2’-ジアリルビスフェノールA、ビニルフェノール、アリルフェノール、ブテン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、へプテン酸、ウンデシレン酸等が挙げられる。
【0116】
現像性により優れる特定感光性組成物を得るためには、化合物(γ)としては、ジアリルイソシアヌレート、モノアリルイソシアヌレート及び2,2’-ジアリルビスフェノールAからなる群より選択される1種以上が好ましく、ジアリルイソシアヌレート及びモノアリルイソシアヌレートからなる群より選択される1種以上がより好ましい。化合物(γ)としてモノアリルイソシアヌレートを使用すると、アルカリ可溶性基としてX1基を有する成分(A)が得られる。また、化合物(γ)としてジアリルイソシアヌレートを使用すると、アルカリ可溶性基としてX2基を有する成分(A)が得られる。
【0117】
現像性により優れる特定感光性組成物を得るためには、成分(A)における化合物(γ)由来の構造単位の含有率は、成分(A)100質量%に対して、5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、10質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。
【0118】
(他の出発物質)
ヒドロシリル化反応において、上記の化合物(α)、化合物(β)及び化合物(γ)に加えて、他の出発物質を用いてもよい。例えば、他の出発物質として、上記の化合物(β)及び化合物(γ)とは異なるアルケニル基含有化合物(以下、「他のアルケニル基含有化合物」と記載することがある)を用いてもよい。
【0119】
耐熱性により優れる第1層を得るためには、他のアルケニル基含有化合物として、1分子中に2個以上のアルケニル基を有する化合物(以下、「化合物(δ)」と記載することがある)を用いることが好ましい。化合物(δ)を用いれば、ヒドロシリル化反応の際、架橋点が増えるため、得られる第1層の耐熱性がより向上する傾向がある。
【0120】
化合物(δ)の具体例としては、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、1,1,2,2-テトラアリロキシエタン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルモノベンジルイソシアヌレート、ジアリルモノメチルイソシアヌレート、1,2,4-トリビニルシクロヘキサン、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、1,3-ジイソプロペニルベンゼン、1,4-ジイソプロペニルベンゼン、1,3-ビス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3-ビス(ビニルオキシ)アダマンタン、1,3,5-トリス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3,5-トリス(ビニルオキシ)アダマンタン、ジシクロペンタジエン、ビニルシクロへキセン、1,5-ヘキサジエン、1,9-デカジエン、ジアリルエーテル、及びこれらのオリゴマーが挙げられる。
【0121】
得られる第1層の耐熱性を更に向上させるためには、化合物(δ)としては、トリアリルイソシアヌレート及びジアリルモノメチルイソシアヌレートからなる群より選択される1種以上が好ましく、ジアリルモノメチルイソシアヌレートがより好ましい。
【0122】
得られる第1層の耐熱性を更に向上させつつアルカリ現像性を高めるためには、成分(A)における化合物(δ)由来の構造単位の含有率は、成分(A)100質量%に対して、5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、8質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
【0123】
(ヒドロシリル化反応)
成分(A)を得るためのヒドロシリル化反応の順序及び方法は特に限定されない。例えば、上述した化合物(α)、化合物(β)、化合物(γ)、及び必要に応じて任意成分である他の出発物質を用いて、国際公開第2009/075233号に記載の方法に準じたヒドロシリル化反応により、成分(A)が得られる。上述した化合物(α)、化合物(β)、化合物(γ)、及び必要に応じて任意成分である他の出発物質を用いて得られる成分(A)は、例えば、1分子中に複数個のカチオン重合性基と複数個のアルカリ可溶性基とを有し、かつ主鎖にポリシロキサン構造を有するポリマーである。
【0124】
ヒドロシリル化反応における各化合物の割合は特に限定されないが、出発物質のアルケニル基の総物質量AとSiH基の総物質量Bとが、1≦B/A≦30を満たすことが好ましく、1≦B/A≦10を満たすことがより好ましい。
【0125】
ヒドロシリル化反応には、塩化白金酸、白金-オレフィン錯体、白金-ビニルシロキサン錯体等のヒドロシリル化触媒を用いてもよい。ヒドロシリル化触媒と助触媒とを併用してもよい。ヒドロシリル化触媒の添加量(物質量)は特に限定されないが、出発物質に含まれるアルケニル基の総物質量に対して、好ましくは10-8倍以上10-1倍以下、より好ましくは10-6倍以上10-2倍以下である。
【0126】
ヒドロシリル化の反応温度は適宜に設定すればよく、好ましくは30℃以上200℃以下、より好ましくは50℃以上150℃以下である。ヒドロシリル化反応における気相部の酸素濃度は3体積%以下が好ましい。ヒドロシリル化反応促進の観点からは、気相部には0.1体積%以上3体積%以下の酸素が含まれていてもよい。
【0127】
ヒドロシリル化反応には、溶媒を使用してもよい。溶媒としては、1種単独溶媒、又は2種以上を混合した混合溶媒が使用できる。溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;クロロホルム、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒等を使用できる。反応後の留去が容易であることから、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、又はクロロホルムが好ましい。ヒドロシリル化反応においては、必要に応じて、ゲル化抑制剤を用いてもよい。
【0128】
基板間の接着性により優れる基板積層体を得るためには、特定感光性組成物における成分(A)の含有率は、特定感光性組成物の固形分全量に対して、20質量%以上95質量%以下であることが好ましい。
【0129】
{成分(B)}
成分(B)としては、例えば、公知の光カチオン重合開始剤を使用することができる。例えば、成分(B)として、特開2000-1648号公報、特表2001-515533号公報、国際公開第2002/83764号等において好適とされている各種の化合物が挙げられるが、特に限定されない。成分(B)としては、スルホネートエステル系化合物、カルボン酸エステル系化合物又はオニウム塩系化合物が好ましく、オニウム塩系化合物がより好ましく、スルホニウム塩系化合物が更に好ましい。
【0130】
スルホネートエステル系化合物としては、種々のスルホン酸誘導体を使用することができ、例えば、ジスルホン系化合物、ジスルホニルジアゾメタン系化合物、ジスルホニルメタン系化合物、スルホニルベンゾイルメタン系化合物、イミドスルホネート系化合物、ベンゾインスルホネート系化合物、ピロガロールトリスルホネート系化合物及びベンジルスルホネート系化合物が挙げられる。
【0131】
スルホネートエステル系化合物の具体例としては、ジフェニルジスルホン、ジトシルジスルホン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(クロルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシリルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニルベンゾイルジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)メタン、1,8-ナフタレンジカルボン酸イミドメチルスルホネート、1,8-ナフタレンジカルボン酸イミドトシルスルホネート、1,8-ナフタレンジカルボン酸イミドトリフルオロメチルスルホネート、1,8-ナフタレンジカルボン酸イミドカンファースルホネート、コハク酸イミドフェニルスルホネート、コハク酸イミドトシルスルホネート、コハク酸イミドトリフルオロメチルスルホネート、コハク酸イミドカンファースルホネート、フタル酸イミドトリフルオロスルホネート、シス-5-ノルボルネン-エンド-2,3-ジカルボン酸イミドトリフルオロメチルスルホネート、ベンゾイントシラート、1,2-ジフェニル-2-ヒドロキシプロピルトシラート、1,2-ジ(4-メチルメルカプトフェニル)-2-ヒドロキシプロピルトシラート、ピロガロールメチルスルホネート、ピロガロールエチルスルホネート、2,6-ジニトロフェニルメチルトシラート、о-ニトロフェニルメチルトシラート及びp-ニトロフェニルトシラート等が挙げられる。
【0132】
これらは、1種のみ又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明においては、成分(B)としてカルボン酸エステル系化合物も同様に使用することができる。
【0133】
オニウム塩系化合物としては、スルホニウム塩系化合物及びヨードニウム塩系化合物が挙げられる。スルホニウム塩系化合物及びヨードニウム塩系化合物が有する陰イオンとしては、テトラフルオロボレート(BF4
-)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6
-)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6
-)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6
-)、ヘキサクロルアンチモネート(SbCl6
-)、テトラフェニルボレート、テトラキス(トリフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロメチルフェニル)ボレート、フルオロアルキルフルオロホスフェート、過塩素酸イオン(ClO4
-)、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CF3SO3
-)、フルオロスルホン酸イオン(FSO3
-)、トルエンスルホン酸イオン等が挙げられる。
【0134】
光カチオン重合開始剤を、発生する酸の酸強度が強いものから順に並べると、SbF6
-を陰イオンとして含む化合物、B(C6F5)4
-を陰イオンとして含む化合物、PF6
-を陰イオンとして含む化合物、CF3SO3
-を陰イオンとして含む化合物、HSO4
-を陰イオンとして含む化合物となる。発生する酸の酸強度が強い光カチオン重合開始剤を使用すると、残膜率が高くなる傾向がある。光カチオン重合開始剤から発生する酸のpKaは、好ましくは3未満、より好ましくは1未満である。
【0135】
スルホニウム塩系化合物が有する陽イオンとしては、下記化学式(II)で表される陽イオン、及び下記一般式(III)で表される陽イオンが挙げられる。なお、下記一般式(III)中のR4、R5及びR6は、それぞれ独立にアルキル基を表す。
【0136】
【0137】
【0138】
スルホニウム塩系化合物(スルホニウム塩系光カチオン重合開始剤)の市販品としては、例えば、フルオロアルキルフルオロホスフェート(陰イオン)と、化学式(II)で表される陽イオンとを含む光カチオン重合開始剤(サンアプロ社製「CPI-210S」)が挙げられる。
【0139】
ヨードニウム塩系化合物が有する陽イオンとしては、下記一般式(IV)で表される陽イオンが挙げられる。なお、下記一般式(IV)中のR7及びR8は、それぞれ独立にアルキル基を表す。
【0140】
【0141】
特定感光性組成物における成分(B)の含有量は、特に制限はない。硬化速度及び硬化物の物性バランスの観点から、成分(B)の含有量は、成分(A)100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
【0142】
{溶媒}
特定感光性組成物は、溶媒を含有してもよい。例えば、上述の成分(A)、成分(B)、及び必要に応じて使用する後述の他の成分を、溶媒中に溶解又は分散させることにより、特定感光性組成物が得られる。
【0143】
溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセタート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等のグリコール系溶媒;イソ酪酸イソブチル等のエステル系溶媒;クロロホルム、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒等が挙げられる。特定感光性組成物の塗布性(製膜安定性)の観点から、溶媒としては、グリコール系溶媒が好ましく、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセタートがより好ましい。
【0144】
特定感光性組成物の塗布性(製膜安定性)の観点から、溶媒の量は、100質量部の成分(A)に対して、10質量部以上100質量部以下であることが好ましく、20質量部以上80質量部以下であることがより好ましい。
【0145】
{他の成分}
特定感光性組成物は、本発明の目的及び効果を損なわない範囲において、固形分(溶媒以外の成分)として、上述の成分(A)及び成分(B)以外の成分(他の成分)を含有してもよい。ただし、耐熱性に優れる第1層を形成しつつ、基板間の接着性により優れる基板積層体を得るためには、成分(A)及び成分(B)の合計含有率が、特定感光性組成物の固形分全量に対して、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましく、80質量%以上100質量%以下であることが更により好ましい。
【0146】
他の成分としては、反応性希釈剤、架橋剤、塩基性化合物、増感剤、接着性改良剤、熱可塑性樹脂、充填材、酸化防止剤、ラジカル禁止剤、高分子分散剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、界面活性剤、消泡剤、乳化剤、レベリング剤、はじき防止剤、イオントラップ剤(アンチモン-ビスマス等)、チクソ性付与剤、粘着性付与剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、熱安定化剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、金属不活性化剤、熱伝導性付与剤、物性調整剤等が挙げられる。
【0147】
(反応性希釈剤)
特定感光性組成物は、反応性希釈剤を含有してもよい。反応性希釈剤は、特定感光性組成物を低粘度化しつつ硬化反応に関与する成分である。特定感光性組成物が反応性希釈剤を含有することにより、得られる第1層の硬化収縮の低減や、第1層の機械的強度の制御が可能となる。
【0148】
反応性希釈剤としては、例えば、1分子中に2個以上のカチオン重合性基を有する化合物が用いられる。反応性希釈剤のカチオン重合性基の例としては、前述の成分(A)が有するカチオン重合性基として例示したものが挙げられる。反応性希釈剤のカチオン重合性基は、成分(A)のカチオン重合性基と同種でもよく、異なる種類でもよい。カチオン重合反応性を高める観点から、反応性希釈剤は、カチオン重合性基として脂環式エポキシ基を有することが好ましい。特に好ましい形態では、成分(A)がカチオン重合性基として脂環式エポキシ基を含有し、かつ反応性希釈剤が1分子中に2個以上の脂環式エポキシ基を有する。
【0149】
1分子中に2個以上の脂環式エポキシ基を有する化合物としては、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル社製「セロキサイド(登録商標)2021P」)、ε-カプロラクトン変性3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル社製「セロキサイド(登録商標)2081」)、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート等が挙げられる。
【0150】
反応性希釈剤の含有率は、特定感光性組成物の硬化速度向上と硬化物の物性バランスとを両立させる観点から、特定感光性組成物の固形分全量に対して、2質量%以上50質量%以下であることが好ましく、3質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。
【0151】
(架橋剤)
特定感光性組成物は、作業性、反応性、接着性、及び第1層の強度の調整の観点から、架橋剤を含有してもよい。架橋剤は、カチオン重合性基以外の光重合性官能基を1分子中に2個以上有する化合物である。架橋剤としては、例えば、アルコキシシラン化合物、(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0152】
(塩基性化合物)
特定感光性組成物は、塩基性化合物を含有してもよい。塩基性化合物はクエンチャーとして作用する。すなわち、塩基性化合物を適切な量にて特定感光性組成物に配合することによって、光硬化反応が、非露光部にまで及ぶことを防ぐことができる。これによって、露光部と非露光部とのコントラストが明確になり、結果として解像度が向上する。
【0153】
塩基性化合物の配合量は、成分(A)100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上2.0質量部以下であり、より好ましくは0.01質量部以上1.0質量部以下である。塩基性化合物の配合量が0.001質量部以上であれば、クエンチャーとしての機能を十分に発揮させることができる。塩基性化合物の配合量が2.0質量部以下であれば、感度を向上させることができる。
【0154】
光カチオン重合開始剤に対する塩基性化合物の質量比(塩基性化合物/光カチオン重合開始剤)は、例えば0.001以上0.2以下であり、好ましくは0.01以上0.15以下である。当該質量比が0.001以上であれば、クエンチャーとしての機能を十分に発揮させることができる。当該質量比が0.2以下であれば、十分に架橋を行うことができる。
【0155】
塩基性化合物としては、特に制限されないが、第一級、第二級及び第三級の脂肪族アミン系化合物、混成アミン系化合物、芳香族アミン系化合物、複素環アミン系化合物、アミド誘導体、イミド誘導体等が挙げられる。この中でも芳香族アミン系化合物及び複素環アミン系化合物が、塩基性化合物として好適に使用できる。
【0156】
上記芳香族アミン系化合物及び上記複素環アミン系化合物としては、アニリン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、フラザン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、インドール、イソインドール、1H-インダゾール、インドリン、キノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、プリン、プテリジン、カルバゾール、フェナントリジン、アクリジン、フェナジン、1,10-フェナントロリン、アデニン、アデノシン、グアニン、グアノシン、ウラシル及びウリジン、並びにそれらの誘導体(例えば、ビス(2-モルホリノエチル)エーテル等)等が例示される。また、上記複素環アミン系化合物としては、2,6-ルチジンも挙げられる。
【0157】
塩基性化合物としては、1種が用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0158】
(増感剤)
特定感光性組成物は、増感剤を含有してもよい。増感剤を用いることにより、パターニング時の露光感度が向上する。増感剤としては、アントラセン系化合物が好ましい。アントラセン系化合物の具体例としては、アントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジメチルアントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、1,4-ジメトキシアントラセン、9-メチルアントラセン、2-エチルアントラセン、2-t-ブチルアントラセン、2,6-ジ-t-ブチルアントラセン、9,10-ジフェニル-2,6-ジ-t-ブチルアントラセン等が挙げられる。中でも、特定感光性組成物との相溶性の観点から、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセンが好ましい。
【0159】
特定感光性組成物における増感剤の含有量は、特に制限はないが、硬化性及び硬化物の物性バランスの観点から、100質量部の成分(A)に対して、0.01質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上15質量部以下であることがより好ましい。
【0160】
(接着性改良剤)
特定感光性組成物は、接着性改良剤を含有していてもよい。接着性改良剤としては、例えば、種々のカップリング剤、エポキシ化合物、オキセタン化合物、フェノール樹脂、クマロン-インデン樹脂、ロジンエステル樹脂、テルペン-フェノール樹脂、α-メチルスチレン-ビニルトルエン共重合体、ポリエチルメチルスチレン及び芳香族ポリイソシアネート等を挙げることができる。
【0161】
カップリング剤としては、例えばシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、分子中に反応性官能基と加水分解性のケイ素含有基とを各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。反応性官能基としては、取扱い性の観点から、エポキシ基、(メタ)アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基及びカルバメート基からなる群より選ばれる1種以上の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の観点から、エポキシ基、メタクリル基又はアクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素含有基としては、取扱い性の観点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の観点からメトキシシリル基又はエトキシシリル基が特に好ましい。
【0162】
好ましいシランカップリング剤としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基を有するアルコキシシラン系化合物;3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリル基を有するアルコキシシラン系化合物;トリス[3-(トリメトキシシリルプロピル)]イソシアヌレート;γ-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が例示できる。これらのシランカップリング剤は、1種が使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0163】
シランカップリング剤の添加量は適宜設定され得るが、カチオン重合性基を有する化合物100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上20質量部以下であり、より好ましくは0.3質量部以上10質量部以下であり、更に好ましくは0.5質量部以上5質量部以下である。
【0164】
(熱可塑性樹脂)
特定感光性組成物は、熱可塑性樹脂を含有してもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、オレフィン-マレイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ゴム状樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂は、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシ基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、アルコキシシリル基等の架橋性基を有していてもよい。
【0165】
(充填材)
特定感光性組成物は、充填材を含有してもよい。充填材としては、特に限定されないが、例えば、シリカ系充填材(石英、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等)、窒化ケイ素、銀粉、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、カーボンブラック、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、無機バルーン等の無機フィラーをはじめとして、エポキシ系充填材等の有機系充填材も使用できる。
【0166】
(酸化防止剤)
特定感光性組成物は、酸化防止剤を含有してもよい。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤等の一般に用いられている酸化防止剤の他、クエン酸、リン酸及び硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、BASF社から入手できるIRGANOX(登録商標)1010をはじめとして、各種のものが用いられ得る。上記硫黄系酸化防止剤としては、メルカプタン系化合物、メルカプタン系化合物の塩、スルフィド系化合物(スルフィドカルボン酸エステル系化合物等)、ポリスルフィド系化合物、ジチオカルボン酸塩系化合物、チオウレア系化合物、チオホスフェイト系化合物、スルホニウム系化合物、チオアルデヒド系化合物、チオケトン系化合物、メルカプタール系化合物、メルカプトール系化合物、モノチオ酸系化合物、ポリチオ酸系化合物、チオアミド系化合物及びスルホキシド系化合物等が挙げられる。また、これらの酸化防止剤としては、1種が使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0167】
(ラジカル禁止剤)
特定感光性組成物は、ラジカル禁止剤を含有してもよい。ラジカル禁止剤としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-3-メチルフェノール(BHT)、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、テトラキス(メチレン-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン等のフェノール系ラジカル禁止剤;フェニル-β-ナフチルアミン、α-ナフチルアミン、N,N’-第二ブチル-p-フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン等のアミン系ラジカル禁止剤等が挙げられる。また、これらのラジカル禁止剤としては、1種が使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0168】
[第1実施形態に係る基板積層体の製造方法の好ましい態様]
基板間の接着性及び高温高湿保存性を高めつつ、基板積層体中への異物の混入を更に抑制するためには、第1実施形態に係る基板積層体の製造方法は、下記条件1を満たすことが好ましく、下記条件2を満たすことがより好ましく、下記条件3を満たすことが更に好ましい。
条件1:工程Seの前の第1層における硬化性化合物の反応率が95%以上であり、かつ工程Seの前の第1層におけるアルカリ成分の含有量が1000ppm以下である。
条件2:上記条件1を満たし、かつ工程Seの前の第1層の軟化点が100℃以上である。
条件3:上記条件2を満たし、かつ工程Seの前の第1層の温度100℃におけるナノインデンテーション試験法で測定した弾性率が、1500N/mm2以上である。
【0169】
<第2実施形態:基板積層体>
次に、本発明の第2実施形態に係る基板積層体について説明する。第2実施形態に係る基板積層体は、第1基板、第2基板、及び第1基板と第2基板とを接着する硬化物層を有する。硬化物層は、第1基板側から、感光性組成物の硬化物から構成される第1層、及び接着剤の硬化物から構成される第2層をこの順に有する。第1層は、パターン化されている。感光性組成物は、カチオン重合性基を有する硬化性化合物と、光カチオン重合開始剤とを含有し、かつアルカリ可溶性を有する。
【0170】
第2実施形態に係る基板積層体は、上述した第1実施形態に係る製造方法により得られる基板積層体である。よって、第2実施形態に係る基板積層体において、第1実施形態で説明した内容と重複する箇所については、その説明を省略する。第2実施形態に係る基板積層体は、上述した第1実施形態に係る製造方法により得られるため、基板間の接着性に優れつつ、異物が混入しにくい基板積層体である。
【0171】
[第2実施形態に係る基板積層体の好ましい態様]
基板間の接着性、冷熱衝撃試験による信頼性及び高温高湿保存性に更に優れつつ、異物が更に混入しにくい基板積層体を得るためには、第2実施形態に係る基板積層体は、下記条件iを満たすことが好ましく、下記条件iiを満たすことがより好ましく、下記条件iiiを満たすことが更に好ましく、下記条件ivを満たすことが更により好ましく、下記条件vを満たすことが特に好ましい。
条件i:硬化物層が第1層の壁面の少なくとも一部を被覆する被覆層を更に有し、当該被覆層と第2層とが一体的に形成されており、第2層の壁面が曲面である。
条件ii:上記条件iを満たし、かつ第1層の材料である感光性組成物が、グリシジル基及び脂環式エポキシ基からなる群より選択される1種以上のカチオン重合性基を有する硬化性化合物を含有する。
条件iii:上記条件iiを満たし、かつ第1基板がガラス基板である。
条件iv:上記条件iiiを満たし、かつ第2層の材料である接着剤がエポキシ系接着剤である。
条件v:上記条件ivを満たし、かつ第1層の材料である感光性組成物が、グリシジル基及び脂環式エポキシ基からなる群より選択される1種以上のカチオン重合性基を有するポリシロキサン化合物を含有する。
【0172】
[第2実施形態に係る基板積層体のダイシェア強度]
第2実施形態に係る基板積層体のダイシェア強度は、好ましくは10kgf以上、より好ましくは15kgf以上である。第2実施形態に係る基板積層体のダイシェア強度の上限は、特に限定されないが、例えば100kgf以下である。ダイシェア強度は、後述する実施例に記載の方法又はそれに準ずる方法で測定することができる。
【0173】
[第2実施形態に係る基板積層体の用途]
第2実施形態に係る基板積層体は、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を構成する部材として用いられる。好ましくは、第2実施形態に係る基板積層体は、イメージセンサ、加速度センサ、圧力センサ等のセンサを構成する部材として用いられる。
【0174】
第2実施形態に係る基板積層体をイメージセンサに適用した場合、第2実施形態に係る基板積層体を有するイメージセンサは、基板間の接着性に優れつつ、異物混入に起因する不具合(クラックの発生等)を抑制できる。第2実施形態に係る基板積層体を有するイメージセンサは、例えば、第1基板及び第2基板のうち、一方が透明基板であり、もう一方が半導体素子基板(イメージセンサ基板)である。
【0175】
第2実施形態に係る基板積層体のその他の点については、上述した[第1実施形態に係る製造方法により得られる基板積層体の構成]、[第1実施形態に係る製造方法により得られる基板積層体の要素]、及び[感光性組成物]の項で説明した内容と同じである。
【実施例】
【0176】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0177】
<硬化性化合物(ポリシロキサン化合物)の合成>
以下、硬化性化合物P1及びP2の合成方法について説明する。なお、硬化性化合物P1及びP2の重量平均分子量は、東ソー社製「HLC-8420GPC」(カラム:Shodex GPC KD-806M(2本)、TSKgel SuperAWM-H(2本))を用い、N,N-ジメチルホルムアミドを溶媒として、流速1.0mL/分で測定したクロマトグラムから、標準ポリスチレン換算により算出した。
【0178】
[硬化性化合物P1の合成]
ジアリルイソシアヌレート40gとジアリルモノメチルイソシアヌレート29gと1,4-ジオキサン264gとの混合物に、白金-ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(ユミコアプレシャスメタルズ・ジャパン社製「Pt-VTSC-3X」、白金を3質量%含有する溶液)143μLを加えて溶液S1を得た。また、別途、1,3,5,7-テトラハイドロジェン-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン88gをトルエン176gに溶解させて溶液S2を得た。
【0179】
そして、酸素を3体積%含有する窒素雰囲気下、溶液S2を温度105℃に加熱した状態で、溶液S2に溶液S1を3時間かけて滴下し、滴下終了後、温度105℃に保持しつつ30分間攪拌して、溶液S3を得た。なお、得られた溶液S3に含まれる化合物のアルケニル基の反応率を、1H-NMRで測定したところ、当該反応率は95%以上であった。
【0180】
また、別途、1-ビニル-3,4-エポキシシクロヘキサン62gをトルエン62gに溶解させて溶液S4を得た。
【0181】
そして、酸素を3体積%含有する窒素雰囲気下、溶液S3を温度105℃に加熱した状態で、溶液S3に溶液S4を1時間かけて滴下し、滴下終了後、温度105℃に保持しつつ30分間攪拌して、溶液S5を得た。なお、得られた溶液S5に含まれる化合物のアルケニル基の反応率を、1H-NMRで測定したところ、当該反応率は95%以上であった。
【0182】
次いで、溶液S5を冷却した後、溶液S5から溶媒(トルエン、キシレン及び1,4-ジオキサン)を減圧留去し、固形分を得た。次いで、得られた固形分にプロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセタート(以下、「PGMEA」と記載する)を加えて、硬化性化合物P1を含む溶液SP1(硬化性化合物P1の濃度:70質量%)を得た。硬化性化合物P1は、1分子中に複数個のカチオン重合性基(具体的には脂環式エポキシ基)と複数個のアルカリ可溶性基(具体的にはX2基)とを有し、かつ主鎖に環状ポリシロキサン構造を有するポリシロキサン化合物(重量平均分子量30000のポリマー)であった。
【0183】
[硬化性化合物P2の合成]
1-ビニル-3,4-エポキシシクロヘキサン62gの代わりにアリルグリシジルエーテル62gを用いたこと以外は、上記[硬化性化合物P1の合成]と同じ手順で、硬化性化合物P2を含む溶液SP2(硬化性化合物P2の濃度:70質量%)を得た。硬化性化合物P2は、1分子中に複数個のカチオン重合性基(具体的にはグリシジル基)と複数個のアルカリ可溶性基(具体的にはX2基)とを有し、かつ主鎖に環状ポリシロキサン構造を有するポリシロキサン化合物(重量平均分子量28000のポリマー)であった。
【0184】
<他の材料の準備>
感光性組成物の材料として、溶液SP1、溶液SP2及びPGMEA以外に、以下の材料を準備した。
・フェノール性水酸基を有するノボラック系樹脂(群栄化学工業社製「レヂトップ(登録商標)PS7802」、以下、「PS7802」と記載する)
・3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル社製「セロキサイド(登録商標)2021P」、以下、「2021P」と記載する)
・スルホニウム塩系光カチオン重合開始剤(サンアプロ社製「CPI-210S」、以下、「CPI-210S」と記載する)
・酸変性エポキシアクリレート(日本化薬社製「KAYARAD(登録商標)1291H」、以下、「1291H」と記載する)
・トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業社製「A-TMPT」、1分子中に3個のアクリロイル基を有するラジカル重合性化合物、以下、「A-TMPT」と記載する)
・光ラジカル重合開始剤としてのベンゾフェノン系化合物(IGM Resins社製「Omnirad(登録商標)651」、以下、「651」と記載する)
【0185】
<感光性組成物の調製>
表1に記載の材料を、表1に記載の配合量で配合し、実施例及び比較例で使用する感光性組成物PS1~PS4をそれぞれ得た。なお、硬化性化合物P1及びP2を配合する際は、それぞれ溶液SP1及び溶液SP2として配合した。また、表1において、感光性組成物PS1及びPS2のPGMEAの配合量には、溶液SP1又は溶液SP2中のPGMEAの量も含まれる。また、表1において、「-」は、当該材料を配合しなかったことを意味する。
【0186】
【0187】
<基板積層体の作製>
以下、実施例1~4及び比較例1~5の基板積層体(詳しくは、密閉された中空部を有する中空構造体)の作製方法について、それぞれ説明する。
【0188】
[実施例1]
(試料1の作製)
第1基板としてのガラス基板上に、スピンコーターにより感光性組成物PS1を塗布し、ガラス基板上に感光性組成物PS1から構成される塗膜(厚み:50μm)が形成された第1の積層物を得た。次いで、温度120℃に加熱したホットプレート上で、第1の積層物を10分間加熱した。次いで、手動露光機(大日本科研社製「MA-1300」、ランプ:高圧水銀ランプ)を用いて、格子状にラインパターンが形成されたフォトマスク(縦方向:ライン/スペース=50μm/50μm、横方向:ライン/スペース=100μm/100μm)を通して、積算露光量3000mJ/cm2の条件で、加熱後の第1の積層物の塗膜に光を照射することにより、塗膜を露光(詳しくは、ソフトコンタクト露光)した。
【0189】
そして、露光後の第1の積層物を、温度25℃の雰囲気下で1分間放置した後、アルカリ性現像液としてのTMAH水溶液(TMAHの濃度:2.38質量%)に60秒間浸漬した。次いで、アルカリ性現像液に浸漬した第1の積層物を、30秒間水洗した後、表面の水分を圧縮空気で除去した。
【0190】
次いで、温度230℃に加熱したホットプレート上で、水分が除去された第1の積層物を30分間加熱して、パターン化された塗膜(露光部)を硬化させることにより、ガラス基板上にパターン化された第1層(格子状にパターン化された塗膜が硬化した層)を有する試料1を得た。
【0191】
(試料2の作製)
試料1をダイシング装置で切断し、12mm×12mmの大きさに個片化された試料2を得た。試料2は、試料1を個片化した試料である。
【0192】
(基板積層体の作製)
試料2と、第2基板としてのシリコンウェハー(大きさ:12mm×12mm)とをエポキシ系接着剤を介して積層させることにより、第2の積層物を得た。なお、積層の際には、第1層とシリコンウェハーとの間にエポキシ系接着剤が介在するように積層した。また、使用したエポキシ系接着剤は、主剤としてビスフェノールAジグリシジルエーテルを含み、硬化剤としてイミダゾール系硬化剤を含み、かつ主剤と硬化剤の質量比(主剤/硬化剤)が100/3である熱硬化型接着剤であった。
【0193】
次いで、第2の積層物を温度200℃のオーブン中で2時間加熱することにより、実施例1の基板積層体を得た。実施例1の基板積層体は、ガラス基板と、パターン化された第1層(感光性組成物PS1の硬化物から構成される層)と、接着剤の硬化物から構成される第2層と、シリコンウェハーとがこの順で積層された4層構造を有する基板積層体であった。
【0194】
また、実施例1の基板積層体の断面の走査型電子顕微鏡画像から、以下の1)~5)について確認した。
1)第1層の壁面の少なくとも一部が被覆層(第2層と一体的に形成された層)で被覆されていること
2)第2層の壁面が曲面であること
3)第2層の壁面における最短距離D(無作為に選択した10箇所の測定個所の算術平均値)が5μmであること
4)第1層の高さ(無作為に選択した10箇所の測定個所の算術平均値)が、50μmであること
5)第2層の高さ(無作為に選択した10箇所の測定個所の算術平均値)が、10μmであること
【0195】
[実施例2]
感光性組成物PS1の代わりに感光性組成物PS2を用いたこと以外は、実施例1と同じ方法で実施例2の基板積層体を得た。実施例2の基板積層体についても、断面の走査型電子顕微鏡画像から、第1層の壁面の少なくとも一部が被覆層(第2層と一体的に形成された層)で被覆されていること、及び第2層の壁面が曲面であることを確認した。
【0196】
[実施例3]
感光性組成物PS1の代わりに感光性組成物PS3を用いたこと以外は、実施例1と同じ方法で実施例3の基板積層体を得た。実施例3の基板積層体についても、断面の走査型電子顕微鏡画像から、第1層の壁面の少なくとも一部が被覆層(第2層と一体的に形成された層)で被覆されていること、及び第2層の壁面が曲面であることを確認した。
【0197】
[実施例4]
エポキシ系接着剤の代わりに紫外線硬化型のアクリル系接着剤(ケミテック社製「U-2052Z」)を用いたこと、及び第2の積層物を加熱せずに、第2の積層物のガラス基板側から紫外線を照射して接着剤を硬化させたこと以外は、実施例1と同じ方法で実施例4の基板積層体を得た。実施例4の基板積層体についても、断面の走査型電子顕微鏡画像から、第1層の壁面の少なくとも一部が被覆層(第2層と一体的に形成された層)で被覆されていること、及び第2層の壁面が曲面であることを確認した。
【0198】
[比較例1]
(試料1の作製)
第1基板としてのガラス基板上に、スピンコーターにより感光性組成物PS1を塗布し、ガラス基板上に感光性組成物PS1から構成される塗膜(厚み:50μm)が形成された第1の積層物を得た。次いで、温度120℃に加熱したホットプレート上で、第1の積層物を10分間加熱した。次いで、手動露光機(大日本科研社製「MA-1300」、ランプ:高圧水銀ランプ)を用いて、格子状にラインパターンが形成されたフォトマスク(縦方向:ライン/スペース=50μm/50μm、横方向:ライン/スペース=100μm/100μm)を通して、積算露光量3000mJ/cm2の条件で、加熱後の第1の積層物の塗膜に光を照射することにより、塗膜を露光(詳しくは、ソフトコンタクト露光)した。
【0199】
そして、露光後の第1の積層物を、温度25℃の雰囲気下で1分間放置した後、アルカリ性現像液としてのTMAH水溶液(TMAHの濃度:2.38質量%)に60秒間浸漬した。次いで、アルカリ性現像液に浸漬した第1の積層物を、30秒間水洗した後、表面の水分を圧縮空気で除去し、ガラス基板上にパターン化された半硬化層(格子状にパターン化された塗膜が半硬化状態で硬化した層)を有する試料1を得た。
【0200】
(試料2の作製)
試料1をダイシング装置で切断し、12mm×12mmの大きさに個片化された試料2を得た。試料2は、試料1を個片化した試料である。
【0201】
(基板積層体の作製)
温度150℃に加熱したホットプレート上に、第2基板としてのシリコンウェハー(大きさ:12mm×12mm)を載置した。そして、シリコンウェハー上に試料2を積層して第2の積層物を得た。なお、積層の際には、試料2の半硬化層がシリコンウェハー側となるように積層した。次いで、上記ホットプレート上に載置された第2の積層物の上に、1kgの分銅を10分間載置し、シリコンウェハーとガラス基板とを圧着させた。次いで、圧着後の第2の積層物を、温度200℃のオーブン中で2時間加熱することにより、比較例1の基板積層体を得た。比較例1の基板積層体は、ガラス基板と、パターン化された硬化物から構成される層(感光性組成物PS1の硬化物から構成される層)と、シリコンウェハーとがこの順で積層された3層構造を有する基板積層体であった。
【0202】
[比較例2]
感光性組成物PS1の代わりに感光性組成物PS2を用いたこと以外は、比較例1と同じ方法で比較例2の基板積層体を得た。
【0203】
[比較例3]
感光性組成物PS1の代わりに感光性組成物PS3を用いたこと以外は、比較例1と同じ方法で比較例3の基板積層体を得た。
【0204】
[比較例4]
感光性組成物PS1の代わりに感光性組成物PS4を用いたこと以外は、実施例1と同じ方法で比較例4の基板積層体を得た。
【0205】
[比較例5]
感光性組成物PS1の代わりに感光性組成物PS4を用いたこと以外は、比較例1と同じ方法で比較例5の基板積層体を得た。
【0206】
<物性の測定方法及び評価方法>
次に、各種物性の測定方法及び評価方法について説明する。なお、以下において、「第1層又は半硬化層」を、パターン化層と記載することがある。
【0207】
[反応率]
まず、下記分析条件に従って、感光性組成物PS1~PS4の固体13C-NMRチャートを得た。そして、得られたNMRチャート中の「硬化性化合物のカチオン重合性基」に帰属するピークの面積を求め、得られたピーク面積を「第1のピーク面積」とした。次に、下記分析条件に従って、試料1のパターン化層(第1のピーク面積を測定した試料と同質量のパターン化層)の固体13C-NMRチャートを得た。そして、得られたNMRチャート中の「硬化性化合物のカチオン重合性基」に帰属するピークの面積を求め、得られたピーク面積を「第2のピーク面積」とした。そして、反応率(単位:%)を、式「反応率=(1-第2のピーク面積/第1のピーク面積)×100」に従い、算出した。ここで得られた反応率は、シリコンウェハーとガラス基板とを貼り合わせる前のパターン化層における硬化性化合物の反応率である。
【0208】
(固体13C-NMRの分析条件)
・測定装置:核磁気共鳴分析装置(アジレント・テクノロジー社製「VNMRS600」)
・共鳴周波数:150.85MHz
・測定モード:DP/MAS法(DirectPolarization法)
・測定用サンプルの回転数:20kHz
・測定温度:25℃
・積算回数:4096回
・緩和待ち時間:15.000秒
・FID取り込み時間:0.015秒
・フリップ角:90°
【0209】
[アルカリ成分の含有量]
各実施例及び各比較例について5つの試料2を準備し、それぞれパターン化層を切り離し、切り離したパターン化層(試料2の5つ分の合計4mg)を容器に入れ、更に、当該容器に超純水を10mL入れた。そして、温度121℃かつ2atm(絶対圧)の条件でプレッシャークッカー試験(PCT)により、アルカリ成分としてのTMAHを溶出させて、アルカリ成分(TMAH)を含む溶出液を得た。次に、溶出液に含まれるアルカリ成分(TMAH)の量をイオンクロマトグラフ法により測定した。そして、「溶出液に含まれるアルカリ成分(TMAH)の量」から「パターン化層におけるアルカリ成分(TMAH)の含有量(単位:ppm)」を算出した。ここで得られたアルカリ成分の含有量は、シリコンウェハーとガラス基板とを貼り合わせる前のパターン化層におけるアルカリ成分の含有量である。
【0210】
[パターニング性]
3D測定レーザー顕微鏡(オリンパス社製「LEXT(登録商標)OLS4000」)及び触針式表面形状測定器(Veeco社製「Dektak(登録商標)150」)を用いて、試料1のパターン化層のパターン形状を観察し、下記基準に従って評価した。
A:ライン/スペース=50μm/50μmのパターン領域において残渣及び剥離のいずれも生じていない。
B:ライン/スペース=50μm/50μmのパターン領域において残渣及び剥離のいずれか一方が生じたが、ライン/スペース=100μm/100μmのパターン領域では残渣及び剥離のいずれも生じていない。
C:上記A及びB以外
【0211】
[ダイシェア強度]
ダイシェア試験機(Nordson DAGE社製「SERIES4000」)を用いて、基板積層体に剪断力(詳しくは、ガラス基板とシリコンウェハーとに剪断力)を加えて、基板積層体からシリコンウェハーが剥離する際の荷重を測定した。そして、荷重の最大値をダイシェア強度とした。なお、ダイシェア強度は、MIL STD 883に準拠し、シェア高さ50μmかつシェアスピード80μm/秒の条件で測定した。ダイシェア強度が10kgf以上の場合、「基板間の接着性に優れている」と評価した。一方、ダイシェア強度が10kgf未満の場合、「基板間の接着性に優れていない」と評価した。
【0212】
[軟化点]
試料1からパターン化層を剥離し、剥離したパターン化層の軟化点を測定した。詳しくは、JIS K7244-4:1999「プラスチック-動的機械特性の試験方法-第4部:引張振動-非共振法」に従って、以下の測定条件で、貯蔵弾性率E’及び損失弾性率E”を測定した。そして、E’及びE”からtanδ(E”/E’)を求め、横軸を温度とし、縦軸をtanδとするグラフから、tanδのピークの頂点に対応する温度を軟化点とした。ここで得られた軟化点は、シリコンウェハーとガラス基板とを貼り合わせる前のパターン化層の軟化点である。
【0213】
(軟化点の測定条件)
測定装置:動的粘弾性測定装置(UBM社製「Rheogel-E4000」)
測定モード:引張り・正弦波制御モード
初期荷重:300mN
温度範囲:-50℃~200℃
昇温速度:3℃/分
測定周波数:1Hz
【0214】
[弾性率]
ナノインデンテーション試験法(ISO14577計装化押し込み試験)により、試料2のパターン化層の温度100℃における弾性率を測定した。詳しくは、試料2のパターン化層を上に向けて試料2を測定装置の測定台に載置した。次に、パターン化層に対して上から圧子で荷重を徐々にかけ、各荷重に対する変位(圧子でパターン化層を押し込んだ深さ)を測定し、荷重変位曲線を得た。そして、得られた荷重変位曲線からヤング率を算出し、算出したヤング率を弾性率とした。ここで得られた弾性率は、シリコンウェハーとガラス基板とを貼り合わせる前のパターン化層の弾性率である。詳細な測定条件は以下の通りである。
測定装置:ナノインデンテーション試験機(エリオニクス社製「ENT-NEXUS(登録商標)」)
測定時の試料2の温度(測定環境の温度):100℃
圧子アプローチ速度:100nm/秒
最大荷重:3mN
荷重印加速度:0.6mN/秒
最大荷重保持時間:5秒
除荷速度:0.6mN/秒
スティフネス計算:最大荷重から10%除荷時
ドリフト計測:最大荷重から90%除荷時
【0215】
[異物混入の防止性能]
各実施例及び各比較例について5つの試料2を準備し、それぞれ光学顕微鏡で異物(最大径が50μm以上の異物)の付着の有無を確認した。そして、5つの試料2のいずれのパターン化層にも異物(最大径が50μm以上の異物)が付着していなかった場合、A(異物混入の防止性能に優れている)と評価した。一方、5つの試料2のうちの少なくとも1つのパターン化層に異物(最大径が50μm以上の異物)が付着していた場合、B(異物混入の防止性能に優れていない)と評価した。
【0216】
[冷熱衝撃試験による信頼性]
各実施例及び各比較例について5つの基板積層体を準備し、それぞれヒートショック試験装置(日立グローバルライフソリューションズ社製「ES-57L」)を用いて冷熱衝撃試験を実施した。冷熱衝撃試験は、基板積層体を、-55℃の雰囲気下で30分保持した後、125℃の雰囲気下で30分保持する操作を1サイクルとして、1000サイクル行った。次いで、光学顕微鏡により基板積層体をガラス基板側から観察し、5つの基板積層体のいずれにも欠陥(クラック及び剥離のうちの少なくとも1つ)が確認されなかった場合、A(信頼性に優れている)と評価した。一方、5つの基板積層体のうちの少なくとも1つに欠陥(クラック及び剥離のうちの少なくとも1つ)が確認された場合、B(信頼性に優れていない)と評価した。
【0217】
[高温高湿保存性]
各実施例及び各比較例について5つの基板積層体を準備し、それぞれ恒温恒湿槽(日立グローバルライフソリューションズ社製「EC-25MHP」、温度:85℃、相対湿度:85%)に入れて、下記基準に従って高温高湿保存性を評価した。なお、異物の確認は光学顕微鏡で行った。
【0218】
(高温高湿保存性の評価基準)
A:2000時間経過時において、5つの基板積層体のいずれにも、ガラス基板の中空部側の面に最大径1μm以上の異物が付着していなかった。
B:1000時間経過時において、5つの基板積層体のいずれにも、ガラス基板の中空部側の面に最大径1μm以上の異物が付着していなかったが、2000時間経過時においては、5つの基板積層体のうちの少なくとも1つに、ガラス基板の中空部側の面に最大径1μm以上の異物が付着していた。
C:200時間経過時において、5つの基板積層体のいずれにも、ガラス基板の中空部側の面に最大径1μm以上の異物が付着していなかったが、1000時間経過時においては、5つの基板積層体のうちの少なくとも1つに、ガラス基板の中空部側の面に最大径1μm以上の異物が付着していた。
D:200時間経過時において、5つの基板積層体のうちの少なくとも1つに、ガラス基板の中空部側の面に最大径1μm以上の異物が付着していた。
【0219】
実施例1~4及び比較例1~5について、使用した感光性組成物の種類、第2層の有無、第2層の形成に使用した接着剤の種類、反応率、アルカリ成分の含有量、パターニング性の評価結果、ダイシェア強度、軟化点、弾性率、異物混入の防止性能の評価結果、冷熱衝撃試験による信頼性の評価結果、及び高温高湿保存性の評価結果を、表2及び表3にそれぞれ示す。
【0220】
【0221】
【0222】
実施例1~4で使用した感光性組成物は、カチオン重合性基を有する硬化性化合物と、光カチオン重合開始剤とを含有し、かつ、アルカリ可溶性を有していた。実施例1~4では、パターン化層(パターン化された硬化物から構成される第1層)とシリコンウェハー(第2基板)とが、接着剤の硬化物から構成される第2層を介して接着されていた。
【0223】
表2に示すように、実施例1~4では、ダイシェア強度が10kgf以上であった。よって、実施例1~4の基板積層体は、基板間の接着性に優れていた。実施例1~4では、異物混入の防止性能の評価結果がAであった。よって、実施例1~4の基板積層体は、異物混入の防止性能に優れていた。
【0224】
比較例4及び5で使用した感光性組成物は、光カチオン重合開始剤を含有していなかった。比較例1~3及び5では、パターン化層(半硬化層)を硬化した層とシリコンウェハー(第2基板)とが、第2層を介さずに接着していた。
【0225】
表3に示すように、比較例4及び5では、ダイシェア強度が10kgf未満であった。よって、比較例4及び5の基板積層体は、基板間の接着性に優れていなかった。比較例1~3及び5では、異物混入の防止性能の評価結果がBであった。よって、比較例1~3及び5の基板積層体は、異物混入の防止性能に優れていなかった。
【0226】
以上の結果から、本発明によれば、基板間の接着性に優れつつ、異物が混入しにくい基板積層体を提供できることが示された。
【符号の説明】
【0227】
10 :基板積層体
11 :第1基板
12 :第2基板
13 :硬化物層
131 :第1層
132 :第2層
133 :被覆層
300 :塗膜
300a :露光部
300b :非露光部
301 :フォトマスク
400 :接着剤
Z :中空部